Ceramic product having electroconductive glaze layer and its production

申请号 JP15179598 申请日 1998-06-01 公开(公告)号 JPH11106269A 公开(公告)日 1999-04-20
申请人 Ngk Insulators Ltd; 日本碍子株式会社; 发明人 ISHIDA NOBUHIKO; IGAMI SHUNICHI; MATSUDA KAZUYUKI; IIMI TAKAO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To obtain a ceramic product having an electroconductive glaze layer hardly having dispersion of surface resistivity and provide a method for producing the ceramic product.
SOLUTION: This ceramic product comprises a ceramic substance having an electroconductive glaze layer in at least a part of the surface and the electroconductive glaze layer disperses electroconductive particles in an insulating matrix and each particle contains at least 50 wt.% of molybdenum- containing substance selected from a metal molybdenum and a molybdenum compound and particles containing the molybdenum-containing substance comprises the metal molybdenum and at least one kind of molybdenum compound.
COPYRIGHT: (C)1999,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 表面の少なくとも一部に導電性釉層を有するセラミック体からなるセラミック製品であって、 当該導電性釉層は絶縁性マトリックス中に導電性粒子を分散してなり、当該導電性粒子の少なくとも50wt%
    は、各々の粒子が少なくとも50wt%の金属モリブデン及びモリブデン化合物から選ばれたモリブデン含有物質を含むとともに、当該モリブデン含有物質を含む粒子が、金属モリブデンと少なくとも1種類のモリブデン化合物を含むことを特徴とするセラミック製品。
  • 【請求項2】 当該モリブデン含有物質を含む粒子は、
    各々の粒子が少なくとも90wt%のモリブデン含有物質を含む請求項1記載のセラミック製品。
  • 【請求項3】 当該モリブデン含有物質を含む粒子は、
    各々の粒子が実質的に完全な当該モリブデン含有物質からなる請求項2記載のセラミック製品。
  • 【請求項4】 当該導電性釉層における当該導電性粒子の少なくとも90wt%は、当該モリブデン含有物質を含む粒子からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  • 【請求項5】 当該導電性釉層中における当該導電性粒子は、実質的にすべて当該モリブデン含有物質を含む粒子からなる請求項4記載のセラミック製品。
  • 【請求項6】 当該モリブデン含有物質を含む導電性粒子が、当該導電性釉層の1〜90wt%を構成する請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  • 【請求項7】 当該モリブデン含有物質を含む粒子が、
    一種以上の珪化モリブデンを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  • 【請求項8】 当該絶縁性マトリックスがガラスである請求項1〜7のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  • 【請求項9】 当該ガラスが、K 2 OおよびNa 2 O:1
    0〜70mol、CaO:0〜70mol、MgO:0
    〜90molの範囲であって、かつ、K 2 O、Na 2 O、
    CaOおよびMgOの総和が100molであって、当該100molに、30〜120molのAl 23と4
    00〜800molのSiO 2を加えてなる成分を有する請求項8記載のセラミック製品。
  • 【請求項10】 当該絶縁性マトリックスが、少なくとも1種類の鉄化合物の形態で鉄を含む請求項1〜9のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  • 【請求項11】 セラミックの電気絶縁体である請求項1〜10のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  • 【請求項12】 当該導電性釉層の熱膨張係数が、当該セラミック体よりも小さい請求項11記載のセラミック製品。
  • 【請求項13】 当該導電性釉層の熱膨張係数が、当該セラミック体よりも、少なくとも2×10 -6-1以上小さい請求項12記載のセラミック製品。
  • 【請求項14】 当該導電性釉層が、当該導電性粒子に加えて、当該絶縁性マトリックス中に分散される絶縁性粒子を含む請求項10〜13のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  • 【請求項15】 当該絶縁性粒子が、コージェライトからなるものである請求項14記載のセラミック製品。
  • 【請求項16】 当該セラミック体の大部分が、表面に当該導電性釉層を有するセラミック粒子であり、当該導電性釉層が当該セラミック粒子を互いに結合させている請求項1〜10記載のいずれか1項に記載のセラミック製品。
  • 【請求項17】 予め仮焼することにより酸化被膜を粒子表面に形成した珪化モリブデンの粉末を使用することを特徴とする請求項7〜16のいずれか1項に記載のセラミック製品の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】 本発明は、導電性釉層を表面に有するセラミック体からなるセラミック製品およびその製造方法に係り、さらに詳しくは、特に、送電系統や配電系統、あるいは変電系統において使用されるセラミック製電気絶縁体(碍子)として好適なセラミック製品およびその製造方法に関する。 セラミック製電気絶縁体(碍子)は焼成されたセラミック体を有し、その表面に導電性釉層がセラミック体と共焼成して形成される。
    本発明は、例えば、懸垂碍子に適用することができる。

    【0002】

    【従来の技術】 セラミック製電気絶縁体(碍子)、特に、懸垂碍子に導電性釉層を形成することは既に知られている。 釉層の本来の機能は強度を高めることである。
    釉層が導電性であるときには、2mA程度の微少電流が、電圧が碍子間に印加された際に碍子の端子間に流れる。 この電流は、わずかに碍子の表面を加熱し、碍子表面に積もったを溶かしたり、碍子表面を乾燥させたりすることを助ける。 このため、碍子の総抵抗を高く、漏洩電流を低く維持している。 このことは、高電圧レベルで碍子を使用することを可能にする。 碍子電極間の釉層の総抵抗は、一般的には、2〜10MΩの範囲にある。

    【0003】 塵粒子がもし湿っていれば、その塵粒子は碍子表面上で導電性を有し、放電が塵粒子間で起こる。 このことは、釉層が導電性であったなら、塵粒子間に連続的な電流流路が存在することから回避される。 この電流通過はまた塵を乾燥させる。

    【0004】 絶縁性釉薬マトリックスに導電性粒子を加えることによって導電性釉薬を作製することは既に知られている。 GB−A−678718は、絶縁性セラミック部分上の釉層に導電性を与えるために、いわゆるブルーチタニア(酸素欠損を有する酸化チタン)を使用することを開示している。 ブルーチタニアは、低酸素分圧下で焼成することによって得られる。 TiO 2に加えて、Be、Cr、Cu、Co、Ni、Mn、Mo、WおよびVの酸化物等の他の酸化物が、TiO 2の導電性の制御のために添加されてもよい。 TiO 2は、粘土、シリカ、長石、石鹸石の希釈液中に分散されてもよい。 T
    iO 2含有層上には、表面釉層が設けられる。

    【0005】 GB−A−848034は、GB−A−
    678178の釉層中、二酸化チタン含有量に対して0.1〜20wt%の二珪化モリブデンを添加することを開示している。 二珪化モリブデンは、焼成条件の正確な制御の必要性を減じ、または回避する。 二珪化モリブデンは、この目的においては、酸化モリブデンよりも遙かに効果的であると言われている。 このことは、ブルーチタニアを含む導電性釉層上に形成される保護釉層の必要性を回避するが、それにもかかわらず、釉層コーティングが推奨されている。

    【0006】 TiO 2が導電性を有するTiO 2-Xの状態にあるTiO 2含有釉層は、釉層表面での微少放電が絶縁性のTiO 2への変化の原因となるという欠点を有する。 第二に、釉層の抵抗は加熱により大きく変化する(減少する)ため、釉層は熱的安定性に劣る。

    【0007】 「セラミックス」(日本セラミックス協会、vol.11 、No.10、P.905−910(1976)
    において、Fe 23含有釉層の使用が提案されている。
    この導電性釉層は、例えば、Fe 23 、TiO 2及びC
    23が30−70wt%、基礎釉成分が30−70w
    t%の組成を有する。 導電性釉層は、主成分としてのF
    23と、TiO 2 、Cr 23 、V 25 、MnO 2 、Be
    O、ZnO等からなる金属酸化物を含む。 この種の導電性釉層は、熱的制御を失う危険性及び導電性酸化物の電気化学的溶出による電気腐食に対する抵抗の劣化という問題がある。

    【0008】 一般に、導電性釉の温度による抵抗変化は、温度が上昇したとき、表面抵抗率が低下し、好ましくない。 温度と表面抵抗率の相関関係は、サーミスタの場合に用いられるのと同様に次式で表すことができる。 R=R 0 exp(B(1/T−1/T 0 )) (Rは温度T(K)での表面抵抗率(Ω)、R 0は温度T 0 (K)での表面抵抗率(Ω)、Bはサーミスタ定数(K)を示す。) 抵抗の温度依存性は、この式においてBの値によって表すことができる。 B値が高いときには、抵抗は温度上昇によりより多く減少し、熱的制御を失う危険性が増大する。

    【0009】 酸化鉄系の導電性釉は約3000−40
    00KのB値をもち、約15−20℃の温度上昇で、初期抵抗が半分に減少する。 このため、抵抗は碍子表面に流れる電流により発生した熱によってさらに減少し、これによって、更に電流量が増大し、加熱される。 ついには、碍子温度は急激に上昇し、碍子は熱的に壊れる。 従って、この釉は導電性釉として碍子全表面に使用することはできず、コロナノイズを回避する目的でピン碍子の先端部等の電極の領域に部分的に適用される導電性釉として使用されてきた。

    【0010】 日本碍子(株)は、SnO 2とSb 25
    が20−40wt%、基礎釉成分が60−80wt%の組成をもつ酸化錫系の導電性釉を有する高電圧懸垂碍子を販売している。 酸化錫と酸化アンチモンを所定比率で混合し、この混合物を釉成分に添加する。 Sb 5+がドープされているSnO 2は導電性を有する。 この導電性釉は、同じく上記式においてB値で1000−1500K
    の抵抗の温度依存性を有している。 この導電性釉は、上記した酸化鉄系の導電性釉と比較すると熱的制御を失う危険性が少ないので、全表面に適用できる。 しかしながら、これらの碍子を使用するに際しては、碍子1個当りに印加される電圧を低く維持し、碍子表面の発熱量を制御することが必要である。 すなわち、多数の碍子を連結して使用しなければならない。

    【0011】 酸化鉄系の導電性釉において電気化学的溶出の主な原因である電気腐食は、酸化錫系の導電性釉ではほとんど生じないが、碍子を長期にわたりフィールド試験した場合、碍子表面が荒れてチッピングが生じる。 その結果、表面抵抗率は徐々に上昇し、所望の導電性釉の作用効果を消失する。 この原因は、導電性釉の表面と不純物の間で電荷の分離が生じ、これによって生じる物理的及び化学的反応であると思われる。 抵抗の劣化は、特に直流系統で顕著なので、この導電性釉は直流系統用の全面導電性釉として使用されていない。 さらに、
    酸化錫系の導電性釉は酸化雰囲気で焼成することが必要であり、還元雰囲気での焼成では、碍子として必要な所定の表面抵抗率は得られない。

    【0012】

    【発明が解決しようとする課題】 本発明は、上記した問題を解決する、或いは軽減することを目的とするものである。

    【0013】

    【課題を解決するための手段】 本発明によれば、表面の少なくとも一部に導電性釉層を有するセラミック体からなるセラミック製品であって、当該導電性釉層は絶縁性マトリックス中に導電性粒子を分散してなり、当該導電性粒子の少なくとも50wt%は、各々の粒子が少なくとも50wt%の金属モリブデン及びモリブデン化合物から選ばれたモリブデン含有物質を含むとともに、当該モリブデン含有物質を含む粒子が、金属モリブデンと少なくとも1種類のモリブデン化合物を含むことを特徴とするセラミック製品が提供される。

    【0014】 本発明のセラミック製品は、予め仮焼することにより酸化被膜を粒子表面に形成した珪化モリブデンの粉末を使用することにより製造することが、好ましい。

    【0015】

    【発明の実施の形態】 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において、モリブデン含有物質は、金属状態のモリブデン(Mo)のみであってもよいし、金属状態のモリブデン粒子や、珪化モリブデンのようなモリブデン化合物を含む粒子であってもよい。 珪化モリブデン(MoSi 2 )は添加されると、焼成中に他の導電性の珪化物及び/又は酸化モリブデン(MoO 2 )に変化するかもしれない。 釉層中の導電性粒子の総量は、金属モリブデン及びモリブデン化合物の両方を使用することにより減らすことができる。 このことはコスト低減となる。

    【0016】 金属モリブデンとモリブデン化合物の両方を使用すると、次の効果を達成する。 金属モリブデン(Mo)と、例えば珪化モリブデン(MoSi 2 )等のモリブデン化合物の両方を添加すると、焼成時にはどちらも酸化反応が進行し、下記物質が生成する。 MoSi 2の酸化生成物…SiO 2 、Mo、MoO 2 、M
    oO 3 (高温で揮発)、Mo 5 Si 3 、Mo 3 Si、等 Moの酸化生成物…MoO 2 、MoO 3 (高温で揮発)

    【0017】 これらの物質の抵抗率は、SiO 2とM
    oO 3を除きいずれも10 -3 Ωcm以下(10 -4 〜10
    -6 Ωcm)であり、これらの物質の生成による抵抗値変化は少ない。 MoO 3は高温で昇華するため、抵抗値バラツキへの影響は小さいと推測される。 一方、SiO 2
    は絶縁体であり、生成により高抵抗化する要因となる。

    【0018】 MoSi 2の酸化反応は表面から進行し、SiO 2は粒子表面に被膜として生成することになる。 このため、導電性物質が粒子内に残存している場合においても、SiO 2被膜が厚くなると粒子同士の接触抵抗が増大し、導電性が低下する。 この酸化被膜の生成度合いのバラツキが抵抗率のバラツキ原因となっていると推測される。 金属Moを添加した場合には、金属Mo
    及びその酸化物はいずれも導電性が十分であるため、M
    oSi 2粒子間に存在することにより、接触抵抗が減少し、抵抗値が安定化するものと推測される。

    【0019】 次に、本発明のセラミック製品を製造するに際しては、予め仮焼することにより酸化被膜を粒子表面に形成した珪化モリブデンの粉末を使用することが好ましい。 すなわち、MoSi 2原料として、予め仮焼することにより酸化被膜を表面に形成した粉末を使用すると、焼成時におけるさらなる酸化を防止でき、釉のはがれ等による外観不良を防止することが可能となる。

    【0020】 本発明において、モリブデン含有物質を含む釉中の粒子は、各々の粒子が少なくとも90wt%
    のモリブデン含有物質を含むことが好ましく、各々の粒子が実質的に完全なモリブデン含有物質からなることがさらに好ましい。 また、導電性釉層における導電性粒子の少なくとも90wt%は、モリブデン含有物質を含む粒子からなることが好ましく、導電性釉層中における導電性粒子は、実質的にすべてモリブデン含有物質を含む粒子からなることがさらに好ましい。

    【0021】 導電性のモリブデン含有粒子の量は、要求される特性に対応して設定され、導電性釉層の1〜9
    0wt%の範囲とすることができる。 絶縁性マトリックスは、絶縁体釉として従来使用されているもの、例えばソーダガラス等のガラスを用いることができる。 好ましい釉としては、Seger式に従うモル比として、K 2 OおよびNa 2 O:10〜70mol、CaO:0〜70mo
    l、MgO:0〜90molの範囲であって、かつ、K
    2 O、Na 2 O、CaOおよびMgOの総和が100mo
    lであって、当該100molに、30〜120mol
    のAl 23と400〜800molのSiO 2を加えてなる成分を有する。

    【0022】 この絶縁性マトリックスは、少なくとも1種類の鉄化合物の形態で鉄を含んでいてもよい。 Fe
    23は褐色を付与することができる。 本発明で得られる釉における抵抗の温度依存性係数(B値)は、0〜20
    0K程度に小さくできる。 従って、使用時、熱的制御を喪失するという問題を考慮する必要はなく、碍子用として全表面に導電性釉を施すことができる。 碍子の全表面に導電性釉が施された碍子1個当りに安全に印加できる電圧を高くすることができるので、必要な電圧レベルに必要な碍子の連結数を減らすことができる。

    【0023】 交流または直流系統で使用したとき、本発明の導電性釉を有する碍子において電気的劣化は見られず、表面抵抗率は変化しない。 従って、全表面釉として従来の釉を使用する碍子の場合と異なり、電気腐食による寿命を考慮する必要はない。 本発明の導電性釉を用いれば、導電性釉をもつ碍子に必要とされる所定の表面抵抗率は焼成時、酸化雰囲気から還元雰囲気までの広い範囲の雰囲気で得ることができる。

    【0024】 本発明は、適当な熱膨張係数(CTE)
    を持った導電性釉を提供することができる。 具体的には、セラミックからなる碍子本体は8.0〜4.5×1
    -6-1の熱膨張係数を有する。 本発明に用いる導電性釉は、セラミック本体よりも十分に小さいCTEを有することができ、このため碍子表面に十分な圧縮応力を発生させ、これにより、碍子の機械的強度を増大させることができる。 特に、本発明に用いる釉のCTEは、碍子本体のセラミック体よりも、少なくとも2×10 -6-1
    以上小さいことが好ましい。 上記した公知の酸化錫系の導電性釉は、4.5〜5.5×10 -6-1のCTEを有しており、その結果、十分な圧縮応力を発生させることができず、実際には、高強度を必要とする碍子には、低いCTEを有する従来釉(導電性なし)が適用されてきた。 しかしながら、本発明の釉は碍子の全表面に適用でき、碍子に十分な強度を付与できる。

    【0025】 添加剤により、本発明の釉は色を選択することができる。 使用されてきた公知の酸化錫系の導電性釉は、酸化錫の色彩である灰色のみを有することができるが、いくつかの国では、褐色の碍子が要求される。
    本発明の導電性釉は褐色を有することができる。

    【0026】 釉に含まれる導電性物質は、適切に低い抵抗率、好ましくは1000Ωcmより低く、より好ましくは100Ωcmより低い抵抗率を有しなければならず、碍子の焼成条件下、例えば1200〜1300℃の焼成温度で焼成されることができなければならない。 粒子は、釉のガラスマトリックスの全体に分散保持されていなければならない。 導電性物質は釉中において導電性を有していなければならない。

    【0027】 本発明において得られる効果は、所望の抵抗率の温度係数を有する物質の粒子を釉に使用することができることである。 釉は正の抵抗率温度係数もしくは僅かに負の抵抗率温度係数を持っており、この係数(上記したサーミスタ式の定数B)は−300〜300
    Kの間にある。 導電性物質粒子の使用は、その物質の選択および釉に含まれる粒子量によって、釉の抵抗率を制御することを可能とする。 釉のマトリックス組成は、抵抗率を調節するため変えることができる。 10 -1 〜10
    9 Ωの間の表面抵抗率は、例えば本発明の釉で得ることができる。

    【0028】 焼成中の粒子の酸化は、粒子を構成する物質の選択およびその量により最小化することができ、
    本発明の碍子は、酸素分圧の広い範囲、例えば、0.1
    〜10 -10 atmの範囲で焼成でき、このことにより碍子のセラミック本体に対する焼成条件の最適化を行うことができる。 本発明で用いるいくつかの釉は、還元雰囲気下で焼成できる。 焼成時、低酸素濃度を採用することの効果は、碍子の性能を向上させ、コストを低減できることである。

    【0029】 導電性粒子に加えて、非導電性粒子を釉マトリックスに分散させて、釉の色あるいは釉の熱膨張係数を決定してもよい。 例えば、顔料粒子を加えてもいいし、コージェライトのように低熱膨張係数を有した非導電性粒子を加えてもよい。 碍子などのセラミック絶縁体を製造する技術は広く知られており、ここで説明する必要はないが、釉については、例えば碍子本体に対し、
    フローコーティングやディッピングのような従来方法により塗布することができ、焼成は、組成によって変化するが、酸化雰囲気下(酸素分圧0.2〜10 -3 atm)
    あるいは還元雰囲気下(酸素分圧10 -3 〜10 -10 at
    m)で行うことができる。

    【0030】 焼成条件、例えば焼成温度や焼成スケジュールも釉の抵抗率に影響を与える。 釉に含まれるいくつかの導電性物質は焼成条件に敏感であり、注意が必要である。 例えば、MoO 3は800℃で釉から消失するため、昇温条件はこの消失を最小にするよう選択すべきである。

    【0031】 本発明は、第一に電気絶縁体(碍子)に適用される。 他の適用される製品としては、例えば融雪のために使用する電気加熱可能なタイル、および例えば道路用の導電性舗装材料に適用することができる。 舗装材料は表面被覆として釉を有するセラミック粒子からなり、釉は透のための孔を残しつつ粒子を互いに結合させてなるものである。

    【0032】

    【実施例】 以下、本発明を具体的に説明するために、
    実施例に基づき説明するが、これらに限定されるものではない。 以下の表1及び表2は、Mo系導電性釉として定義される本発明の電気絶縁体(碍子)の実施例と、酸化錫系の導電性釉として定義される比較例を示す。

    【0033】 釉のマトリックス成分を準備するために、酸化物成分を所望割合で混合し、湿式粉砕・混合する。 その際、非導電性フィラー粒子を加えてもよい。 そして、所望の導電性粒子(Mo、MoSi 2 )をその混合物に添加し、撹拌する。 導電性粒子の粒径分布が撹拌によって変化しないことが好ましい。 釉は従来公知の手法でセラミック絶縁体に塗布される。 SnO 2及びSb 2
    5フィラーの平均粒径は、0.5〜3μmの範囲であった。 MoSi 2フィラーとMoフィラーの平均粒径はそれぞれ8μm、3μmであった。

    【0034】 「酸化炎焼成」及び「還元炎焼成」とは、1000℃を超える高温相での焼成雰囲気を示す。
    最高焼成温度は1270℃であった。 10 -3 atmをより高い酸素分圧を酸化性とみなし、10 -3 atmより低い酸素分圧を還元性とみなす。 表2に焼成条件を変化させて得られた表面抵抗率の範囲を示す。

    【0035】 表3は、金属MoとMo化合物が共存することにより抵抗バラツキが抑制できることを示す。 表3に示すように、低膨張釉を用い、MoSi 2単独品とMoSi 2 /Mo混合品を同一焼成条件で焼成した。 表3からわかるように、得られた物の表面抵抗率はいずれも平均値としては10 3 Ωレベルであるが、抵抗率の変動幅は金属Moを添加することにより大幅に低減された。 すなわち、変動幅は4桁から同一桁に低減した。

    【0036】 表4は予め仮焼したMoSi 2粉末を使用することにより焼成時の外観不良が防止できることを示している。 MoSi 2粉末に対し、最高温度850℃
    で2hr大気中で保持することにより仮焼を行った。 仮焼を行ったMoSi 2粉末と行っていない粉末について、基礎釉としてブラウン釉を使用し、MoSi 2の添加量はいずれも13vol%とし、比較を行った。 作製した釉をセラミック絶縁体(碍子)表面に塗布した後、最高温度1000℃まで3種類の昇温速度(650℃/h
    r、300℃/hr、100℃/hr)で酸化炎焼成を行い、釉の外観を観察した。

    【0037】 表4からわかるように、仮焼なしの場合、昇温速度が遅くなるにつれ釉のはがれがひどくなった。 一方、仮焼ありの場合には、いずれの昇温速度においても外観不良は発生せず、酸化被膜形成によりMoS
    2の酸化が抑制された結果である。 通常の焼成における昇温速度は100℃/hr程度であるため、外観不良を防止するためには仮焼したMoSi 2を使用する必要がある。

    【0038】

    【表1】

    【0039】

    【表2】

    【0040】

    【表3】

    【0041】

    【表4】

    【0042】 本発明のモリブデン含有釉においては、
    X線回折分析により、MoSi 2 、Mo 5 Si 3 、Mo 3
    i、MoO 2及びMoの存在を確認した。 MoSi 2が焼成時に他の化合物に変化した結果と推定する。 一方、M
    oを金属状態で添加すると、焼成後もその状態で維持される。 これらの物質はすべて導電性である。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯味 孝夫 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内

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