Ceramic article

申请号 JP35089597 申请日 1997-12-19 公开(公告)号 JPH10194832A 公开(公告)日 1998-07-28
申请人 Eastman Kodak Co; イーストマン コダック カンパニー; 发明人 JARROLD GREGORY S; CHATTERJEE DILIP K; GHOSH SYAMAL K;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To increase surface electric conductivity without deteriorating the mechanical characteristics of a composite material consisting of TZP or Y-TZP and alumina by forming a core (bulky part) contg. a tetragonal zirconia alloy or its composite and a shell (surface part) contg. zirconium boride. SOLUTION: Zirconia powder 100 having 99.9-99.99wt.% purity and 0.1-0.01μm crystal grain diameter is mixed with a secondary oxide 102 selected from among MgO, CaO, Y2 O3 , Sc2 O3 , CeO2 , etc. The resultant zirconia alloy powder 104 is filled into a metallic mold in the presence of a binder in a filling ratio of (2.5-3.5):1 and an untreated compact 106 is formed by compression under 10,000-30,000psi pressure for 10-60sec. The surface of the untreated compact 106 is coated with a boron carbide slurry and the coated compact is dried or dewaxed and fired at 1,200-1,600 deg.C for 1-3hr under 69-207MPa pressure in an inert atmosphere. By this firing, a core 114 of a tetragonal zirconia alloy is coated with a shell 116 of zirconium boride.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 正方晶系ジルコニア合金又はその複合体を含むコア/バルク部とホウ化ジルコニウムを含むシェル/表面部とを含んで成るセラミック物品。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、セラミック物品に、特に、本質的に正方晶系ジルコニアからなる電気絶縁性のコア部を有し、その表面層が主として導電性のホウ化ジルコニウムである物品であって、工具又は集積コンデンサーとして用いられ、低摩擦面を有する物品に関する。

    【0002】

    【従来の技術】写真フィルムや印画紙のような材料の製造では、孔あけ機やスリットナイフのようなバイトは、
    突発故障を防止するための耐衝撃性と共に、実用寿命や生産性を向上させるための耐腐食性、耐磨耗性が必要とされる。 従来のバイト材、例えば、高速度鋼、焼入可能なステンレススチール、接合タングステンカーバイドは、これらの要件の一部を満たすものであるが、実用寿命の向上を保証するには相当の制限がある。 また、従来のバイト材には、磨耗や腐食のためメンテナンスを頻繁に要するという制限もある。

    【0003】正方晶系ジルコニア多結晶(TZP)やイットリアをドープした正方晶系ジルコニア多結晶(Y−
    TZP)及びジルコニアとアルミナの複合材のようなジルコニア系セラミック材料は、従来の材料よりも利点が多く、そのため写真フィルムや紙ウェブの切断、孔あけ、スリッティング及びチョッピングに用いられている。 Y−TZPは最も靱性の高いセラミックスの一つである。 靱性は硬さや強さを犠牲にして達成される。 正方晶系ジルコニア合金、すなわち、ジルコニアとある種の安定化ドーパントの粒子混合物を焼結して得られた生成物は、強靱且つ比較的軟質な構造材であるが、破壊靱性や耐腐食性が高いなど魅的な特性を多く有している。
    しかしながら、正方晶系ジルコニア合金が示す摩擦特性は、SiCやSi 34のような他の高性能構造用セラミックスほど魅力的なものではない。 硬度及び強度が良好な材料の一例として一体式の立方晶系スピネル、Si
    C及びSi 34があるが、これらの材料は非常に脆いため、構造用途、特にバイト材用途に使用することができない。

    【0004】耐衝撃性を有する工具や部品は、コア/バルク部が強靱な材料でできており、表面又はシェル部が硬質材料でできていると、実用寿命が長くなり性能もよくなることが知られている。 金属材料の一般的な例として、窒化又は硬化層浸炭金属工具部品、カムシャフト、
    等が挙げられる。 浸炭や窒化などの表面処理により、より強靱なコア部の表面に安定な硬質相が形成される。 この相変化は、母体の金属材料と反応性物質、例えば炭素種又は窒素種、との反応性に依存する。 セラミックスの場合、元来化学的に不活性であるため、同等な複合構造を製作することができなかった。 応力が引き起こす相変化を伴う表面領域を有する正方晶系ジルコニアセラミック物品は、使用時の使用面の摩擦によりこのような相変化が起こるので、非常に容易に得られる。 Y−TZPの場合、応力により、強靱であるがさほど硬くはない正方晶相からより硬質の単斜晶相への転移が引き起こされる。 この相変化は様々な使途がある。 米国特許第5,2
    90,332号明細書に記載されているように、ネットシェイプ型正方晶系ジルコニア合金物品を製造することができる。 「ネットシェイプ」とは、セラミック物品の寸法が焼結後にも変化しないため、所期の使用環境において使用する前にさらに機械加工する必要のないセラミック物品をさす。 使用時に、ネットシェイプ物品の使用面が摩擦、磨耗による相転移を受ける。 適当な許容差を設けることで、相転移前の使用面での磨耗減量は無視できる。 別法として、正方晶系ジルコニアの単斜晶系ジルコニアへの表面相転移は、工具加工時の研削仕上やラップ仕上などの磨耗工程によっても引き起こすことができる。 いずれの方法も、二つの変数、すなわち物品の寸法とその相特性が同時に変化するため、簡単な方法ではない。 どちらの方法も、形状の複雑な物品で行う場合には非常に問題が大きい。

    【0005】別の方法が米国特許第5,358,913
    号明細書に記載されており、これを参照することにより本明細書に援用する。 その方法では、ネットシェイプに近づけることができる正方晶系ジルコニア合金の物品を圧縮した後、MgO、CaO、Y 23 、Sc 23
    CeO 2若しくは稀土類酸化物ドーパント又はこれらの混合物の存在下で焼結し、正方晶系コア部と立方晶系シェル部を有する物品を製造している。 該ドーパントは、
    固体プレート、粉末、又は有機金属前駆体フィルムの分解により得られた層のように、様々な形態で提供することができる。 米国特許出願第07/994,820号(現在、1994年4月25日出願の一部継続出願第0
    8/231,870号及び1995年7月25日出願の分割出願第08/506,629号のため放棄済)に、
    正方晶系ジルコニア合金コア部と単斜晶系シェル部を有する物品の拡散制御による製造方法が記載されている。
    米国特許出願第07/994,818号(現在、199
    5年3月3日出願の一部継続出願第08/400,41
    6号のため放棄済)に、正方晶系ジルコニア合金及びアルミナのコア部と正方晶系ジルコニア及び立方晶系スピネルのシェル部とを有する物品の製造方法が記載されており、これを参照することにより本明細書に援用する。
    そのコア部及びシェル部における主成分種は正方晶系ジルコニアである。 この出願明細書には、正方晶系ジルコニア合金と約5重量%未満のアルミナを含むコア部を有し且つ、立方晶相ジルコニア及び立方晶系スピネルを含むシェル部を有する物品の製造方法も教示されている。

    【0006】米国特許第5,177,037号明細書では、少なくとも一種の非導電性セラミックウィスカー成分と一種の導電性セラミックウィスカー成分を含有する放電機械加工できる(electro-discharge machinable)
    セラミックスが用いられている。 この特許明細書に正方晶系ジルコニア材料は記載されていない。

    【0007】特公昭58−102881号に、ジルコニア94〜88モル%に6〜12モル%のMgO、Ca
    O、Y 23及びCeO 2の安定剤を配合した安定化ジルコニアが、安定化ジルコニアと二ホウ化ジルコニウムの混合物から通常の圧力下、1400℃よりも高い温度での焼結又はホットプレスにより調製されることが記載されている。 上記量の安定剤からは多相のジルコニアが得られる。

    【0008】米国特許第5,230,718号明細書に、溶融塩浴に浸漬する方法で、砥粒を金属の炭化物、
    ホウ化物及び窒化物から選ばれた物質でコーティングすることが記載されている。 この方法により、前記砥粒表面にホウ素化合物の層が形成される。 しかしながら、この方法には、砥粒が金属コーティングを有するという前提条件がある。

    【0009】写真フィルムや印画紙のような多層化ウェブの切断、孔あけ又はスリッティングでは、作業中に発生する屑の問題がある。 工具の巧妙な設計によりこの問題をある程度は軽減することができる。 しかしながら、
    工具表面に蓄積した静電気がこれらの屑を引きつける恐れがある。 この問題は、工具表面が工具と作業面との間の摩擦により発生する静電気を散逸させることができれば、排除とはいかないまでも軽減することは可能である。

    【0010】

    【発明が解決しようとする課題】TZPやY−TZPのようなジルコニア合金及びジルコニアとアルミナ工具材料系の複合材の最大の欠点の一つは、それらの電気絶縁性が室温において高いため、一般に室温で実施される仕上げ作業のための工具としての用途に適さず、実際に屑を発生させてしまう点である。 これらの作業に適さない理由として、製品の品質が低下すること、工具による屑の引きつけが原因で汚れること、非導電性であること、
    そして静電気を蓄積することが挙げられる。 TZPやその複合材のようなジルコニア合金を導電性にしようと多くの試みがなされてきたが、機械特性、特に破壊靱性を犠牲にせざるを得ないものであった。 本発明の目的は、
    TZP、Y−TZP及びY−TZPとアルミナの複合材に、その機械特性を大幅に損なうことなく表面導電性を付与することで、多層ウェブの仕上げ作業を低コストで行えるようにし、屑による不良品を減少させ、或いは皆無にすることにある。 本発明の別の目的として、表面導電性を有するセラミック物品の製造に関し、セラミックスの焼結工程中に現場で表面改質を行うことにより二次的な工程を排除する効果的な方法を提供することがある。

    【0011】

    【課題を解決するための手段】本発明は、TZP、Y−
    TZP又はY−TZPとAl 23のマトリックス複合材のようなジルコニアを炭化ホウ素(B 4 C)によって現場で又は二次的に表面改質することに関するものであって、アルゴン環境下で焼結する際に達成され、バルクは絶縁性としたまま導電性の高い表面を得るものである。 本発明は、1200〜1600℃の焼結工程中の拡散制御交換反応に関し、その反応において、X線回折で確認されるように、少なくとも表面を導電性のホウ化ジルコニウム(ZrB 2 )に転化させるものである。 存在するB 4 Cの量や、焼結温度、焼結時間の制御によって、ZrB 2濃度を一端から他端にかけて変化させた傾斜機能材料を製造することができる。 バルクの結晶構造は正方晶系ジルコニアを主体とするが、少量(微量)の単斜晶相が含まれている。 得られたセラミック物品は、
    主として正方晶系ジルコニアを含むコア又はバルク部と、主としてホウ化ジルコニウムを含むシェル又は表面部とを有する。

    【0012】改質されたジルコニア工具の表面導電性は、高分子材料が、写真フィルムや印画紙の搬送のためにこのような材料から製造されたローラーや案内レールのような搬送装置と接触することになるプロセスにおける摩擦帯電による静電気の蓄積を最小限に抑えるものである。 本発明の方法により傾斜機能改質が可能であるため、すなわちコア部のより深部を導電性とするように改質できることを意味するため、放電機械加工(EDM)
    法を利用してこれらの物品を低コストで機械加工することが可能となる。 これらの傾斜機能材料を用いて集積コンデンサーのような物品を製造することができる。

    【0013】本発明の方法では、焼結後の及び/又は「未処理の」ジルコニア合金セラミック材料を、炭化ホウ素スラリー中で浸漬コーティングし、そして焼結する。 この焼結はアルゴンガス雰囲気内で行う。 得られる本発明のセラミック物品は、本質的にホウ化ジルコニウムからなるシェル又は表面部と、本質的に正方晶系ジルコニアからなるコア又はバルク部とを有する。 複合材のシェル部形成を担うと考えられる化学反応は、 2ZrO 2 +B 4 C −−> 2ZrB 2 +CO 2 +O
    2である。 ここで、炭化ホウ素が酸化ジルコニウムと反応してホウ化ジルコニウムが生成する。

    【0014】本発明の方法は、純粋なZrO 2と、Mg
    O、CaO、Y 23 、Sc 23 、CeO 2及びその他の稀土類酸化物(本明細書中、「Mg−Ca−Y−S
    c−稀土類酸化物」ともいう)の中から選ばれた追加の「第二酸化物」との化学混合物から得られる正方晶系ジルコニアの合金粒体を使用する。 本発明の方法において有用なジルコニア合金は、得られたセラミック物品を使用する際の温度範囲及び圧力範囲において準安定な正方晶構造を有する。 ジルコニアとの合金化に好適な酸化物はY 23 、MgO、CaO、CeO 2 、Sc 23
    稀土類酸化物及びこれら酸化物の混合物である。 ジルコニア粉末は純度が高いこと、すなわち、純度約99.9
    %以上であることが好ましい。 有用なジルコニア合金の具体例として、約0.5〜約5モル%、好ましくは約2
    〜約5モル%、より好ましくは約3モル%のY 23を含有する正方晶構造のジルコニア合金が挙げられる。 M
    gOの場合には、0.1〜1.0モル%で正方晶構造が得られ、またCeO 2の場合には、0.5〜15モル%
    で正方晶構造が得られ、0.5〜約5モル%のCaO、
    約0.5〜7.0モル%のSc 23でそれぞれ正方晶構造が得られる。 本発明の方法において有用な正方晶構造のジルコニア合金の例が、米国特許第5,290,3
    32号及び同第5,411,690号明細書に記載されている。 これらの特許明細書中、このようなジルコニア合金は「ネットシェイプ」のセラミック物品、すなわち焼結による寸法変化がないため、所期の使用環境において使用する前にさらに機械加工する必要のないセラミック物品、が得られるので有用であると記載されている。

    【0015】図1の工程「A」は合金化工程の略図である。 ジルコニア粉末100を一種又は二種以上の第二酸化物粉末102と組み合わせてジルコニア合金粉末10
    4を得る。 ジルコニア合金の製造については当業者であれば周知であり、またジルコニア合金は市販もされている。 例えば、Y 23を3モル%含有する粒状ジルコニア合金がZ-TECH社(Bow, New Hampshire)(現在はHANWHA
    アドバンスト・セラミクスとして周知)より「SYP-ULTR
    A 5.2 」又は「HWA-3YB 」イットリア安定化ジルコニアとして、また日本のTOSHO 社より「TZ-3YB」として市販されている。

    【0016】当業者には周知であるように、ジルコニア合金においては、結晶粒や凝集の大きさや分布、量及び結合剤(使用した場合)に変動幅がありうる。 「結晶粒(grain)」とは、個別の結晶をいい、粒子(particl
    e)の内部に存在することができ、隣接結晶粒とは異なる空間定位(spatial orientation) を有する。 「凝集体(a
    gglomerate)」とは、個別の粒子の団結をいい、それぞれが多数の結晶粒を含む場合もある。

    【0017】本発明の具体的実施態様にとって都合のよい粒子特性の一例は以下の通りである。 純度は99.9
    〜99.99%の範囲で十分に制御すること、すなわち不純物が約0.1〜0.01%を上回らないことが好ましい。 結晶粒の大きさは約0.1〜約0.6μmである。 結晶粒の大きさの平均は0.3μmである。 結晶粒の大きさの分布は、0.1μm未満が5〜15%、0.
    3μm未満が40〜60%及び0.6μm未満が85〜
    95%である。 個々の結晶粒の表面積は約10〜約15
    2 /グラムの範囲にあり、14m 2 /グラムであることが好ましい。 凝集体の大きさは約30〜約60μmの範囲にあり、凝集体の大きさの平均は40〜60μmである。 含水率はブランクに対して約0.2〜1.0体積%、好ましくは0.5体積%である。 粒状物の混合物は、ゼラチン、ポリエチレングリコール(PEG)、アクリル樹脂又はポリビニルイオノマー、より好ましくはポリビニルアルコールのようなバインダーの存在下で圧縮される。 バインダーは、粉末混合物を圧縮装置に入れる前にスプレー法やボールミル粉砕法等で、粒状混合物に添加して混合する。

    【0018】図1を参照するが、ジルコニア合金104
    を工程Bで表したように圧縮し、「未処理」体106を形成する。 この未処理体に、工程Cで表したように炭化ホウ素のスラリーをコーティングする。 炭化ホウ素は、
    パラフィン油のような溶剤に分散される。 「未処理」体のコーティングは、浸漬コーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、ドクターブレード法、流延法又はこれらの組合せのような方法によって行われる。

    【0019】次いで、コーティングされた未処理体を、
    工程Dで表したように乾燥又は脱結合し、その後、工程Eで表したようにアルゴン雰囲気中、1200〜160
    0℃の温度範囲で焼結する。 本発明の場合、B 4 CとZ
    rO 2と間でZrB 2を生成させる反応は、様々な方法で達成することができる。 未処理体は、単にB 4 Cと接触状態に置かれるだけでよい。

    【0020】また、(工程Eで形成された)焼結後の正方晶系ZrO 2合金化物品に、工程Fで表したようにB
    4 CをコーティングすることによりZrB 2のシェル/
    表面部を生成させることもできる。 正方晶系ZrO 2のコア/バルク部とZrB 2のシェル/表面部との界面は不連続的ではなく漸進的である。 本発明の場合のような拡散制御法では、B 4 CがZrO 2シェル/表面部から拡散することにより、正方晶系ZrO 2とB 4 Cとの間で反応が起こりZrB 2が生成する。 このZrB 2濃度は、物品のシェル/表面部からコア/バルク部に向かい徐々に低下していくことが予想される。

    【0021】完全焼結製品及び/又は部分圧縮工程及び部分焼結工程の暫定製品を本明細書では「ブランク」と称し、これを図1では要素(ブランク)112として図示する。 ブランク112を圧縮し、そして完全に焼結又は高温等方圧縮する。 圧縮及び焼結の完了により最終セラミック物品112が得られる。 該物品は、実質的に正方晶系ジルコニアからなるコア又はバルク部114と、
    実質的にホウ化ジルコニウムからなるシェル又は表面部116とを有する。

    【0022】本発明の好ましい方法では、粉末を低温圧縮して「未処理プレフォーム」を得る。 この「未処理」
    密度は、セラミック物品112の最終焼結後密度よりも実質的に低い。 シェル又は表面部116の最終焼結後密度とコア部114の最終焼結後密度とには若干の差があるが、物品112が非常に小さい場合を除き、この差は無視することができ、焼結後の最終焼結後密度はコア又はバルク部の密度に等しいものとみなすことができる。
    未処理密度は最終焼結後密度の約40〜約65%、より好ましくは約60%であることが好ましい。

    【0023】特定の粉末分布については、未焼結密度は圧縮圧及び充填比に大きく依存する。 本発明の方法における好適な圧縮圧は約10,000〜30,000ps
    i(69〜207MPa)である。 より好適な圧縮圧は約15,000psi(約100MPa)である。 充填比は約2.5:1〜約3.5:1に維持される。 好適な充填比は約3.0:1である。 圧縮時間は、設定した圧縮圧により、運転者が容易に決めることができる。 圧縮時間は、例えば、圧縮圧の範囲が約12,000〜約1
    8,000psi(約83〜124MPa)の範囲にある場合には約60秒〜約10秒の範囲とすることができる。 圧縮圧が15,000psi(100MPa)である場合には、圧縮時間は30秒とすることができる。 運転者が設定した圧縮圧及び圧縮時間は最終部品112の大きさに影響を与えることが知られている。 一般に、部品の大きさが大きくなるにつれ、圧縮時間は長くなる。

    【0024】本発明の方法は、特定の焼結圧及び焼結温度条件に限定されることはない。 焼結は大気圧で行うことができ、また別法として焼結工程の全部又は一部に比較的高圧を適用することにより多孔度を下げることもできる。 焼結は、物品が焼結されて熱力学的平衡構造に到達するのに十分な時間継続される。 焼結圧を高めた有用な範囲の一例として、約69〜約207MPa、より好ましくは約100〜103MPaが挙げられる。 焼結温度の有用な範囲の一例として、約1200〜約1600
    ℃、より好ましくは約1500℃が挙げられる。 焼結時間の有用な範囲の一例として、約1〜約3時間、より好ましくは約2時間が挙げられる。 本発明の方法の具体的実施態様では、焼結ピーク温度を1500℃とし、その温度を約2時間維持している。 傾斜機能導電層の厚さは、焼結温度及び/又は焼結時間を変えることにより変化させることができる。 圧縮工程と焼結工程は、所望であれば同時に行うことができる。

    【0025】焼結ブランクの焼結温度への加熱及び冷却を徐々に行うことで、セラミック物品中にクラックを発生させることになる望ましくない寸法変化を回避することが好ましい。 好適な焼結温度1500℃による本発明の実施態様では、加熱時の好適な昇温法は、室温〜約3
    00℃を約0.3℃/分、約300℃〜約400℃を約0.1℃/分、約400℃〜約600℃を約0.4℃/
    分、そして約600℃〜約1500℃を約1.5℃/分とするものである。 冷却時の好適な降温法は、約150
    0℃〜約800℃を約2℃/分、そして約800℃〜室温を約1.6℃/分とするものである。

    【0026】本発明において「未処理プレフォーム」を焼結して上記セラミック物品を製造する際の綿密な方法は特に問題ではないが、「シェル/表面部」は、当該用語を本明細書で使用しているように、焼結工程の際に炭化ホウ素と接触しているブランクの表面領域に限定される。 従って、「未処理プレフォーム」の周囲を炭化ホウ素コーティングが妨害されずに均一に取り囲むことで、
    ブランクの表面に均一な導電性シェル又は表面部が形成されることが肝要である。

    【0027】本発明の物品は、特定の出発材料には限定されない。 後述するように、ジルコニアとアルミナの複合材を上記方法で処理することにより、導電性の本質的にホウ化ジルコニウムからなる表面/シェル部と、絶縁性の正方晶系ジルコニア及びα−アルミナの複合材からなるバルク/コア部とを有する物品を製造することができる。

    【0028】図1を参照するが、導電性のZrB 2外層116が絶縁性の正方晶ジルコニアコア部114の上に形成される。 試料調製は、焼結済又は「未処理プレフォーム」をB 4 Cのスラリーの中に浸漬し、次いでそれをCM(商標)管炉内のアルミナボートの上に配置し、アルゴンガス流速1.0〜3.0リットル/分(LP
    M)、好ましくは2LPMの雰囲気中、1200〜16
    00℃で焼結又は加熱することにより行った。 その後、
    各焼結試料112のシェル/表面部とコア/バルク部の両方の結晶構造及び導電率を、それぞれX線回折法及び
    Veeco 5000四点プローブ法により測定した。 X線回折法により、導電性の外層116はZrB 2であることが、
    また内部のコア部114は主として正方晶ZrO 2であることが、それぞれ検出された。 実施例(1及び2)並びに比較例(1及び2)は、B 4 C又はBNと接触させた状態で焼結セラミック物品を反応させた効果を示すものであり、その実験結果を表1にまとめる。 比較例3
    は、本発明における焼結雰囲気の重要性を例示するものである。

    【0029】

    【実施例】 実施例14 Cをコーティングした正方晶系ジルコニアの未処理試料及び焼結後試料をArの雰囲気中、1200〜16
    00℃に加熱した。 X線回折パターン(図2)は、被覆セラミック物品をAr中で加熱した後の主相がZrB 2
    であること、正方晶系ZrO 2のピークは弱いものだけが、また単斜晶系ZrO 2のピークは極弱いものだけが認められたことを示している。 コア/バルク部のX線回折結果については図3に示す。

    【0030】また、摩擦測定を行い、ホウ化ジルコニウム表面を有する物品をY−TZP、WC及びAl 23
    に対して摩擦結合(tribo-couple)させ、それぞれ0.2
    4、0.25及び0.28の摩擦係数を有することが求められた。 これらの値は、それぞれ0.29、0.31
    及び0.31の摩擦係数を有することが求められたY−
    TZPのY−TZP、WC及びAl 23に対する摩擦結合の場合よりも改良された値を示すものである。

    【0031】 実施例2実施例1に記載した手順と同様にして、ZrO 2とAl
    23との複合材(Al 23濃度40重量%)を焼結した。 そのX線回折結果を図4に示す。 比較例1 BNを正方晶系ジルコニア物品に物理接触させ、実施例1と同様に焼結したところ、導電性ZrB 2は形成されなかった。 このことは、本発明におけるB 4 Cの重要性を強調するものである。 この試料のX線回折結果は、図5に示したように強い正方晶系ZrO 2のピーク及び強い単斜晶系ZrO 2のピークを示しており、導電性はまったく検出されなかった。

    【0032】 比較例2完全焼結α−Al 23物品にB 4 Cをコーティングし、実施例と同様に焼結した。 得られたものは、測定できる導電性をまったく示さないα−Al 23であった。 比較例3実施例1に記載したように、B 4 Cをコーティングした正方晶系ジルコニアの未処理試料及び焼結後試料を焼結したが、但し、焼結工程を空気中で行った。 焼結後試料の表面/シェル部は電気絶縁性を示し、好適な焼結雰囲気としてのアルゴンの重要性が強調された。

    【0033】

    【表1】

    【0034】本発明の方法は様々な物品の製造に適用可能であるが、とりわけ使用面が比較的靱性の高いコア部の上に硬質のキャストシェルが被覆されているものである場合には多くの工具がより長い使用寿命を示すという点で、バイト材や耐磨耗性部品の製造に適用可能である。 比較的高靱性のコア部を要する工具の例として、布地、厚紙、金属、高分子材料用及びハロゲン化銀のような研摩材料で被覆された紙、特にアドバンスト・フォト・システム(APS)用のフィルムのためのスリッターナイフ、パンチ及びダイが含まれる。

    【0035】写真フィルム基材又は印画紙を搬送するために移動中の高分子材料が搬送用のローラーやガイド部と接触するような用途では、表面導電性が摩擦帯電量を皆無にしないまでも最小限に抑える。 バルクとしては絶縁性となるように表面導電性が制御されているため、この材料は集積コンデンサー(integrated capacitor)として有用である。 ZrB 2の製造は拡散制御法であるため、(B 4 C濃度による)導電層の厚みは焼結温度及び/又は焼結時間を変化させることにより変えることができる。

    【0036】本発明の方法により傾斜機能改質が可能であるため、すなわちコア/バルク部のより深部を導電性とするように改質できることを意味するため、放電機械加工(EDM)法のような低コストの機械加工法を利用して、これらの物品から複雑な工具その他の物品を製造することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明の方法を示す概略図である。

    【図2】焼結/B 4 Cとの反応後の正方晶系ZrO 2シェル/表面部のX線回折データであって、主としてZr
    2相が存在していることを示すグラフである。

    【図3】焼結/B 4 Cとの反応後の正方晶系ZrO 2物品のコア/バルク部のX線回折データであって、主として正方晶系ZrO 2の回折ピークが存在していることを示すグラフである。

    【図4】焼結/B 4 Cとの反応後のY−TZP及びAl
    23の複合材物品のX線回折データであって、シェル/表面部の主相がZrB 2であり、正方晶系ZrO 2及びAl 23は少量であることを示すグラフである。

    【図5】焼結/BNとの反応後の正方晶系ZrO 2物品のX線回折データであって、絶縁性の正方晶系及び単斜晶系ZrO 2しか得られなかったことを示すグラフである。

    【符号の説明】

    100…ジルコニア粉末 102…第二酸化物粉末 104…ジルコニア合金粉末 106…未処理体 112…ブランク、セラミック物品 114…コア部 116…シェル部

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 サマル クメール ゴシュ アメリカ合衆国,ニューヨーク 14612, ロチェスター,クレイシュトン レーン 42

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