Te - tape running for Russia - La - and a method of manufacturing the same

申请号 JP33134491 申请日 1991-11-19 公开(公告)号 JP3374402B2 公开(公告)日 2003-02-04
申请人 住友電気工業株式会社; 发明人 剛 吉岡; 久典 大原; 弘 川合; 一彦 織田;
摘要
权利要求
  • (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 金属母材からなるローラー母材の上に、
    アモルファス構造を有するシリコン中間層が被覆され、
    その上に200℃以下の温度で生成されたアモルファス構造を有する硬質炭素膜が被覆されており、シリコン中間層、硬質炭素膜の膜厚をそれぞれd 、d とすると、5nm≦d ≦500nm、100nm≦d ≦1
    μmであることを特徴とするテープ走行用ローラー。 【請求項2】 金属母材からなるローラー母材の上に、
    PVD法によって膜厚5nm以上500nm以下であるアモルファス構造を有するシリコン中間層を200℃以下で被覆し、プラズマCVD法によって前記シリコン中間層の上に膜厚100nm以上1μm以下であるアモルファス構造を有する硬質炭素膜を200℃以下で被覆することを特徴とするテープ走行用ローラーの製造方法。 【請求項3】 シリコン中間層の被覆と硬質炭素膜の被覆を被覆装置の真空を大気に戻すことなく連続して処理することを特徴とする請求項2に記載のテープ走行用ローラーの製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明はオ−ディオテ−プ、ビデオテ−プ等の走行用ロ−ラ−に関するものである。 【0002】 【従来の技術】オ−ディオテ−プ、ビデオテ−プ等のテ−プ走行用ロ−ラ−は、録音(録画)、再生、巻き戻し時などテ−プ走行中は常時テ−プと接している。 そのためテ−プとの摩擦により摩耗が生じ易い部品である。 ロ−ラ−の摩耗はテ−プ損傷の原因になるので、摩耗し難いロ−ラ−の開発が望まれていた。 一般に耐摩耗性の不足する部材において、耐摩耗性を得るためには部材の表面にTiNなどの硬質の膜をコ−テイングする方法がしばしば用いられる。 テ−プ走行用ロ−ラ−の母材はSU
    J又はSUS420J2製のものが一般に用いられている。 この材料は200℃以上に加熱されると変質するという欠点がある。 TiNをコ−テイングするためには4
    00℃以上の温度に母材を加熱する必要がある。 従ってTiNをコ−テイングして耐摩耗製を高めるという方法は通常のSUJ又はSUS420J2製のロ−ラ−に対しては使えない。 【0003】SUJ又はSUS420J2製のロ−ラ−
    を改良するには、200℃以下の温度で成膜できる薄膜材料が必要である。 200℃以下の温度領域でコ−テイングできる硬質の材料としては、硬質炭素層が挙げられる。 これは多くの半導体や絶縁体との密着性が良いので、半導体、絶縁体の被覆材料として用いられている。
    しかし硬質炭素層は金属との密着性が非常に悪い。 通常のCVD法、蒸着法、スパッタ法などを用いてSUJ又はSUS420J2製のロ−ラ−上に成膜してもすぐに剥がれてしまう。 このような難点を解決するため硬質炭素層をSUJ又はSUS420J2製母材へのコ−テイングの際、イオンビ−ム蒸着法とよばれる方法が適用される例がある。 これによってできたものは、母材表面/
    硬質炭素層という構造になる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】通常の蒸着法やCVD
    法は生産性は優れるものの材料がイオンではなく原子または分子状態であり運動エネルギ−を殆ど持たないので金属の内部に入らない。 イオンビ−ム蒸着法はメタン等の炭化素をイオン源においてプラズマとし引出電極系の作用で加速したイオンビ−ムとして引き出して被処理物に照射するものである。 加速エネルギ−が大きいので、蒸着などに比較して炭素が被処理物の内部まで進入する。 運動エネルギ−によって金属の表面が活性化されることもあって炭素原料と母材との密着性が良い。 このため200℃以下の温度であっても金属に硬質炭素層を被覆できる。 【0005】しかしイオンビ−ム蒸着法は成膜速度が遅く、一度に処理できる本数が少ない等生産性が低いという難点がある。 炭化水素をプラズマとするのにエネルギ−が必要でこれをイオンビ−ムとするのにも大電が必要であるから、イオンビ−ム電流をあまり大きくできない。 装置を改良してイオンビ−ム電流を増やしても今度は金属表面に与える機械的、熱的衝撃が過大になって金属の表面を荒らしたり成膜した部分が再び剥離したりする可能性がある。 イオンビ−ム蒸着法を用いる限り生産性をある程度以上に昂揚させることはできない。 他の方法によって硬質炭素層を金属母材に密着性良く形成することが望ましい。 このような従来の方法の難点を解決し、硬質炭素層を密着性良く、生産性高く母材の上に形成する方法を提供することが本発明の目的である。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の方法は、ロ−ラ−の母材の表面にシリコン中間層を設けその上に硬質炭素層を形成するものである。 好適には、母材の上に、膜厚5nm〜500nm程度のシリコン中間層を形成し、
    その上に膜厚100nm〜1μm程度の硬質炭素層を形成する。 シリコン中間層は、イオンプレ−テイング法やイオンビ−ムアシスト蒸着法などのPVD法で成膜することができる。 また硬質炭素層はプラズマCVD法で成膜することができる。 シリコン中間層の介在によって母材表面と硬質炭素層の密着性を得るものである。 【0007】 【作用】本発明におけるテ−プ走行用ロ−ラ−は、金属母材/シリコン中間層/硬質炭素層という構造になる。
    本発明で中間層として採用したシリコン層は、硬質炭素層との親和性が非常に高い。 またシリコン層は母材の金属との密着性も良い。 このためにシリコン層は中間にあって、母材表面と硬質炭素層との密着性を大いに向上させることができる。 ここでいうシリコン中間層はアモルファスシリコンやアモルファス成分を有する多結晶シリコンである。 ヌ−プ硬度計圧子による圧痕まわりの剥離状態から判断すると、単結晶シリコン上に成膜した硬質炭素膜は荷重25gで剥離が生ずる。 しかし、アモルファス構造を有するシリコン層の上に成膜した硬質炭素膜は荷重200gでも剥離は生じない。 これは硬質炭素層がアモルファス構造をとるため下地中間層もアモルファスである方が親和性が高くなるためと考えられる。 シリコン層の他に、Ge、SiCなどの材料も硬質炭素層に対して高い密着性を持っている。 しかしこれらの材料はシリコンに比較して材料コスト、生産性において劣る。
    やはりシリコンを中間層にするのが原材料費、生産性の点で最も優れている。 それで本発明ではシリコンを中間層とするのである。 【0008】本発明で採用するシリコン中間層の膜厚は50Å(5nm)〜5000Å(500nm)程度とする。 50Å(5nm)以下の膜厚では、母材の表面を完全にシリコンで覆うことが困難でありSi中間層導入効果が顕著に現れない。 膜厚の下限はこれによって決まる。 シリコン膜厚は数μmであっても機械的強度など問題は無い。 しかし生産性を考慮すると膜厚は薄いほうが好都合であるから500nm以下が良い。 生産性の観点から特に望ましいのは5nm〜300nmである。 シリコン中間層の成膜には例えばPVD法を用いる。 これはイオンプレ−テイング法、イオンビ−ムアシスト蒸着法などがある。 イオンプレ−テイング法は、Arガスなど稀ガスによるグロ−放電中でシリコンを蒸着する方法である。 シリコンはルツボに入れておき電子ビ−ム等で加熱蒸発させる。 Arイオンが加速されて金属母材に衝突し運動エネルギ−によって表面を活性化するので、低温であってもシリコンと母材がよく密着するのである。 イオンビ−ムアシスト蒸着法はイオン蒸着法ということもある。 Arなど稀ガスのプラズマをイオン源において生成しこれを加速して金属母材に照射する。 シリコンはルツボに入れておき電子ビ−ム加熱などによって加熱蒸発させる。 稀ガスの運動エネルギ−、電流量を自由に変化させることができる。 Ar等イオンのエネルギ−によって母材の表面が活性化される。 低温であってもシリコンが母材に密着する。 しかし同一の真空チャンバの中にイオン源と蒸発源の2つを収容しなければならない。 いずれにしてもシリコン自体をイオンビ−ムにするイオンビ−ム蒸着法とは異なる。 シリコンは原子状の蒸気として飛ぶ。 運動エネルギ−は少ない。 しかし稀ガスがイオンとして高い運動エネルギ−をもって母材に衝突するから表面を活性化しシリコンの密着性を高揚させる。 いずれの方法によってもシリコン中間層を金属母材の上に形成できる。 しかしイオンビ−ムアシスト法は照射面積が限定されるため、バッチ当たりのチャ−ジ量を高めるためにはイオンプレ−テイング法のほうが適している。 【0009】最上層は硬質炭素層である。 硬質炭素層は、ダイヤモンド状炭素、アモルファスカ−ボン、i−
    Cなどと呼ばれる。 アモルファス状のカ−ボン膜である。 グラファイトなど結晶炭素ではなくダイヤモンド自体でもない。 硬質炭素層の特性はダイヤモンドに類似した点が多い。 特にヌ−プ硬度が2000〜10000k
    g/mm 2であって非常に硬い材料である。 本発明ではこの硬い硬質炭素層をテ−プ走行用ロ−ラ−の表面にコ−テイングすることによってロ−ラ−の摩耗を防ぐ。 硬質の被覆層によって摩擦係数が低下するので同時にテ−
    プの損傷をも防ぐことができる。 これによる経済的な効果も大きい。 硬質炭素層の膜厚は、1000Å(100
    nm)〜10000Å(1μm)であることが望ましい。 ロ−ラ−の保護膜として十分であるためには100
    0Å以上の厚みが必要である。 反対に生産性の点であまり厚いのは望ましくない。 さらに硬質炭素層は大きい圧縮応力を持つので膜厚が大きいと応力が強くなり剥離しやすくなる。 それで1μmより薄いほうが良い。 【0010】硬質炭素層の成膜には例えばプラズマCV
    D法を用いる。 これは高周波放電、直流放電、マイクロ波放電などの作用で炭素を含む原料をプラズマとしてから金属母材に堆積させるものである。 プラズマで金属母材を叩くので表面を活性化でき、熱CVD法などに比べると薄膜形成温度が低くて良いという長所がある。 イオンビ−ム蒸着法と比較すると、プラズマとするのは同じであるが、これをイオンビ−ムとして取り出すのではなく同一の空間内にある母材に直接に堆積させるので成膜が迅速である。 プラズマCVD法は、イオンビ−ム蒸着法に比べて成膜速度は3倍以上、バッチ当たりの処理数が数倍〜数十倍である。 高速処理できるので生産性が飛躍的に向上する。 プラズマCVD法とイオンビ−ム蒸着法を一般的に比較すると、イオンビ−ム蒸着法の方が、
    密着性が良いと言われている。 しかし本発明ではシリコンの中間層を設けているからプラズマCVD法で硬質炭素層を形成しても実用上十分な密着性が得られる。 両工程を通じて、金属母材の温度は200℃以下に保つことができる。 低温成膜できるから母材を変質させる惧れがない。 なお、生産性向上のため、シリコン中間層の被覆と硬質炭素層の被覆は同一の真空槽もしくは多槽式の真空装置において真空を大気圧にもどすことなく連続して行うのが効果的である。 同時に大気にふれないため、シリコン中間層と硬質炭素層との間の密着性の向上も期待できる。 【0011】 【実施例】本発明の方法と、イオンビ−ム蒸着法による方法で、直径2mm、長さ30mmのSUJ又はSUS
    420J2製のビデオテ−プ走行用ロ−ラ−に硬質炭素層のコ−テイングを行った。 そしてロ−ラ−の性能の比較と、コ−テイング処理能力の比較を行った。 まずコ−
    テイングプロセスの概要について説明する。 [実施例] 1. シリコン中間層のコ−テイングシリコン中間層のコ−テイングは図1に示す装置によって行う。 この装置はイオンプレ−テイング装置の一種である。 真空槽1は真空に引くことのできる空間である。
    円盤型基板ホルダ−2は真空槽1の内部上方に2つ平行に設けられる。 この基板ホルダ−の数は任意に増減できる。 円盤型基板ホルダ−2は多数のロ−ラ−3の端を片持ち支持している。 ロ−ラ−の近傍にはこれを適当な温度に加熱するためのヒ−タがあるが、簡単のため図示を略した。 真空槽1の下方にはシリコン蒸発源4が設けられる。 これは水冷ルツボ12にシリコン原料13を入れたものである。 電子ビ−ム等によって加熱蒸発させられる。 ここでは簡単のため加熱源の図示を略した。 シリコン蒸発源4の上方にはシャタ−5がある。 これは開閉することが出来、開くとシリコン蒸気が上昇し、上方のロ−ラ−3に到達できる。 閉じると蒸気は遮断される。 さらにこの上には高周波電極6がある。 これは高周波電源9によって高周波電力が与えられるようになっている。
    真空槽1の外部には基板回転用モ−タ7がある。 これは水平に真空槽を貫く回転軸8を回転させる。 前記の円盤型基板ホルダ−2は回転軸8の適当な箇所に固定されるので、回転軸8とともに回転する。 これは全てのロ−ラ−に均一にコ−テイングするようにするためである。 また回転軸を介してロ−ラ−には負の電圧を印加する。 高周波電極6との間には直流と高周波の重畳した電圧が掛かることになる。 真空槽1の壁面には、ガス入口10があってここからArなどの稀ガスが内部に導入される。
    真空排気装置に接続された排気口11からガスが排気される。 【0012】本発明の方法を行うために、先ず 有機溶材による超音波洗浄でSUJ又はSUS420J2製ロ−ラ−母材の表面の汚れを落とした。 直径30mmの円盤型基板ホルダ−2にこのロ−ラ−母材を200本ずつセットし、このホルダ−2個を図1に示すシリコン中間層コ−テイングのための装置にセットした。 合計400
    本のロ−ラ−を処理することになる。 まず真空槽1を1
    ×10 -6 Torr以下の真空になるまで排気した。 ついでヒ−タによりロ−ラ−母材を150℃まで加熱した。
    さらにArガスを5×10 -4 Torrまで導入した。 これは高周波電極とロ−ラ−基板の間で生ずる高周波放電の作用でプラズマになる。 基板ホルダ−2、ロ−ラ−3
    は回転させる。 基板ホルダ−2、ロ−ラ−3には−50
    0Vの負バイアスを印加しておく。 ロ−ラ−側は負の電圧が印加してあるので正のArイオンがロ−ラ−に衝突し母材の表面をスパッタして清浄化する。 10分間放電処理しロ−ラ−表面を清浄化した。 このあと、高周波放電は継続したままシリコンの蒸発を開始した。 ルツボに入れたシリコンを電子ビ−ム等で加熱し蒸気を発生させた。 シリコンの蒸気が上昇し加熱されたロ−ラ−3の表面に付着する。 Arイオンによって一部の蒸気はイオン化していることもある。 ロ−ラ−の表面がArイオンの衝突によって活性化されているのでシリコン蒸気の密着性がより良くなる。 所望の膜厚になったらシリコンの蒸着と放電を停止し、この状態で室温まで冷却した。 【0013】2. 硬質炭素層のコ−テイングロ−ラ−がセットされた状態のままの基板ホルダ−を図2に示す硬質炭素層コ−テイング装置にセットし硬質炭素層をコ−テイングした。 図2において真空予備排気槽21、反応槽22、冷却槽23が直列につながれる。 これらの真空室の間にはバルブ24、24が設けられる。
    中央の反応槽22には、下方に高周波電極25が、上方に対向電極26が設けられる。 これらの間に高周波電圧が印加される。 シリコン中間層が被覆されたロ−ラ−3
    を保持した基板ホルダ−2は下方にある高周波電極25
    の上に置かれる。 反応槽22にはガス導入口27と、ガス排気口28がある。 ガス導入口27は原料ガスである炭化水素のガスを導入するものである。 ガス排気口28
    は真空排気装置(図示せず)に接続されている。 ロ−ラ−3を加熱するためのヒ−タが高周波電極25の下方にあるが簡単のため図示を略している。 真空予備排気槽2
    1、冷却槽23は、コ−テイング工程という点には関係ないが、生産性を高めるために、反応槽22の両側に設けられたものである。 基板ホルダ−2は、まず真空予備排気槽21から真空中に装入される。 ここには蓋や搬送機構など基板交換装置があるのであるが簡単のため図示を略す。 ガス排気口29があってこれが真空排気装置に接続され内部を真空に引くことができるようになっている。 バルブ24を開けば、搬送機構によって基板ホルダ−2を、真空予備排気槽21から反応槽22へ移送できる。 同様に冷却槽23にもガス排気口30があり真空に排気できる。 ここでは硬質炭素層のコ−テイングが終了したロ−ラ−を常温まで冷却する。 ロ−ラ−、基板ホルダ−の流れが一方向であるので能率が上がる。 【0014】反応槽22での硬質炭素層のコ−テイングについて述べる。 反応槽22を1×10 -6 Torr以下の真空になるまで排気した。 水素ガスH 2を5×10 -4
    Torrになるまで導入し、基板ホルダ−2に高周波を印加した。 高周波電極25と対向電極26の間に高周波放電が起こる。 これによってH 2がプラズマになる。 水素プラズマがロ−ラ−に衝突してこれの表面を清浄化する。 10分間の放電洗浄の後、導入ガスをメタンCH 4
    に切り替えた。 CH 4が高周波放電によってプラズマとなり、ロ−ラ−の表面において炭素となって堆積する。
    これがプラズマCVDによる硬質炭素層のコ−テイングである。 所定の膜厚に達したら、CH 4の導入を停止し、コ−テイングを終了する。 基板ホルダ−2を冷却槽23に移送し、室温まで冷却する。 ここから取り出したロ−ラ−の寿命を評価した。 【0015】[比較例] イオンビ−ム蒸着による場合比較のためイオンビ−ム蒸着法により硬質炭素膜単層をコ−テイングしたサンプルも作製した。 これは、炭化水素原料をイオンビ−ムとして母材に照射するものである。 本発明と異なりシリコン中間層を設けない。 ここで用いた装置はイオンビ−ム径が50mmである。 基板ホルダ−は直径50mmの円盤状のものを使用した。 直径2mm長さ30mmのロ−ラ−母材を20本この基板ホルダ−にセットした。 これを装置の内部に装入し、装置内部を1×10 -6 Torr以下の真空まで排気した後、
    基板ホルダ−を回転させながらArイオンを照射し表面洗浄を行った。 Arによる表面処理の条件は、 [Arの表面処理] Arイオンの加速エネルギ− 3keV Arビ−ム電流密度 0.5mA/cm 2 Ar照射時間 3分であった。 Arイオンによる表面処理後、Arに代えてCH 4ガスを導入し以下の条件で硬質炭素層をコ−テイングした。 [硬質炭素層形成] 原料ガス CH 4 CH 4イオンの加速エネルギ− 500eV イオンビ−ム電流密度 0.2mA/cm 所定の膜厚まで成膜した後、室温まで冷却して外部に取り出した。 本発明に於いて膜厚と寿命の関係を調べるためにさまざまの膜厚のシリコン中間層、硬質炭素層のものを作製した。 また生産性の評価を行うために処理能力も調べた。 これらの結果及び従来例の結果を表1に示す。 【0016】 【表1】

    【0017】表1において、最左欄は硬質炭素層の膜厚、製法、処理能力を示す。 第2欄はシリコン中間層の膜厚、製法、処理能力を示す。 第3欄は寿命を示す。 上から7つ目までの試料についてはシリコン中間層の膜厚を500Å、とし硬質炭素層の膜厚を500Å〜120


    00Åに変化させている。 8番目〜16番目の試料は硬質炭素層の膜厚を3000Åとし、シリコン中間層の膜厚を0Å〜10000Åに変化させている。 17番目の試料は従来法に属するイオンビ−ム蒸着によるものである。 寿命は、実機にロ−ラ−を組込みテストを行って評価した結果である。 コ−テイングが施されていないSU


    J又はSUS420J2母材のみのロ−ラ−の寿命を1


    としてこれに対する比によって寿命を表現している。 其れぞれのプロセスについて単位時間あたりの処理能力を本数で示した。 硬質炭素層の膜厚が1000Å以上になると、ロ−ラ−の寿命が無被覆のものに比べて格段に増加するのが分かる。 シリコン中間層が500Åの時、硬質炭素層が1000Åを越えるとロ−ラ−の寿命は7倍以上になる。 しかし硬質炭素層の膜厚が10000Å


    (1μm)を越えると剥離が生じた。 これは厚過ぎるのである。 硬質炭素層の膜厚は従って1000Å〜100


    00Åが最適であるということが分かる。 【0018】シリコン中間層については、これがないと硬質炭素層は完全に剥離した。 シリコン中間層があっても50Å以下の場合は、矢張り剥離した。 シリコン中間層が50Å以上であれば硬質炭素層の剥離は起こらなくなり、寿命も無被覆のものに比べて5倍以上になる。 シリコン中間層の厚みが300Åを越えると硬質炭素層の接合強度は増強され寿命は10倍以上になる。 シリコン中間層の厚みを増やしても剥離するということはなく機械的強度の観点からは厚みに上限は存在しない。 しかしシリコン中間層の厚みを増やすとコ−テイング時間が余分にかかるので処理能力が減少する。 処理能力の点では、シリコン中間層の膜厚は5000Å以下であるのが良い。 従って、シリコン中間層の厚みをd

    1 、硬質炭素層の膜厚をd

    2とすると、最適の範囲は、 50Å≦d

    1 ≦5000Å (1) 1000Å≦d

    2 ≦1μm (2) ということになる。 この範囲でいずれも寿命は無被覆の物に比べ5倍以上である。 処理能力はシリコン中間層に関しては180〜250本/時間である。 硬質炭素層に関しては、92〜300本/時間である。 本発明では2


    工程を含むので、全体としての処理能力は低い方が律速する。 この範囲外であっても、硬質炭素層の膜厚が50


    0Å〜1000Åの範囲で、無被覆のものに比して2〜


    7倍程度に寿命を延長することはできる。 さらにイオンビ−ム蒸着によるものは無被覆のものに比較して10倍以上の寿命を持つが、処理能力が13本/時間であって極めて低い。 処理能力の点で本発明に及ぶものではない。 シリコン中間層の形成はイオンプレ−テイングによって行うと処理能力を高めることができる。 【0019】本実施例は、シリコン中間層と硬質炭素層とをそれぞれ独立した別の真空槽にて被覆処理した場合について示したものである。 これを同一の真空槽もしくは多槽式の真空装置において、真空を大気圧にもどすことなく連続して2層コ−トを行うと、生産性は格段に向上する。 その連続コ−ト用の装置の一例を図3に示す。


    これは共通の真空槽を用いて連続コ−トする装置の例である。 シリコンの被覆は前に述べた方法と同様のプロセスにて行う。 シリコンの膜厚が所定の値に達したら、シャッタ−を閉じてシリコンコ−ティングを終了し、導入するガスをArからCH

    4などの炭化水素ガスに切り変える。 前に示した硬質炭素コ−ティング装置では、基板ホルダ−に高周波を印加したがここでは基板ホルダ−とは独立した高周波電極を適用する例を示している。 基板ホルダ−は接地でもよいがマイナスの直流電圧を印加した方が成膜速度は向上する。 例えば、高周波電極に40


    0Wの電力を印加した場合、基板ホルダ−が接地の時は600Å/hの成膜速度であるがホルダ−にマイナス5


    00Vの直流電圧を印加すると2000Å/hまで成膜速度が向上する。 また、本装置ではロ−ラ−の円周方向の膜厚の均一化のため図3に示す様なホルダ−を使用した。 ロ−ラ−をホ−ルドする穴の内径をロ−ラ−外径より大きくすることでホルダ−の公転運動にともないロ−


    ラ−が自転をするというものである。 さらにホルダ−を多段に積み重ねることで処理本数も増やす事が出来る。


    この様な連続コ−ト装置を用いることにより処理能力は2倍以上、人件費は半分、設備投資も半分以下になり、


    大幅な生産性向上が達成された。 シリコン中間層と硬質炭素層を独立した別の装置でコ−トした場合と連続コ−


    トした場合とで[硬質炭素/シリコン]界面の不純物量を調べた。 両者とも界面に酸素が検出された。 前者の一度大気にさらしたサンプルでは界面に約20%の酸素が確認された。 一方後者の連続コ−トにおいては界面の酸素は5%未満であった。 大気にさらすことによる不純物の吸着の差が明瞭に観測された。 こうした界面の不純物量は、一般に2つの層間の密着性に大きく影響を及ぼす。 即ち、不純物量が多い場合は密着性が低下する。 この様に本連続コ−トプロセスは、生産性のみならず、密着性など製品の特性をも向上させるものである。 本発明のロ−ラ−は、無被覆のSUJ又はSUS420J2製のものに比べて工程が増えるが、寿命が格段に高揚する。 本発明は2層の薄膜をコ−テイングする必要があるが、イオンビ−ム蒸着法による硬質炭素層1層の形成よりも処理能力が高く生産性において勝っている。 【0020】 【発明の効果】本発明は、金属製のテ−プ走行用ロ−ラ−の表面にシリコン中間層と硬質炭素層を被覆している。 硬質炭素層によって高い耐摩耗性が得られ摩耗が少なくなる。 テ−プの損傷も減少する。 またシリコン中間層によって金属母材と硬質炭素層の密着性が得られるので、膜形成に時間のかかるイオンビ−ム蒸着法を用いることなく硬質炭素層を母材に被覆できる。 膜形成のための処理時間が短縮できるので、イオンビ−ム蒸着法を用いるものよりも生産性が向上する。

    【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施例においてシリコン中間層をコ−
    テイングするために用いるイオンプレ−テイング装置の概略断面図。 【図2】本発明の実施例において硬質炭素層をコ−テイングするために用いるプラズマCVD装置の概略断面図。 【図3】シリコン中間層と硬質炭素膜とを連続して形成する装置の概略断面図。 【図4】自公転型ホルダ−の1枚の板の穴とロ−ラ−との関係を示す図。 【符号の説明】 1 真空槽2 基板ホルダ− 3 ロ−ラ− 4 シリコン蒸発源5 シャッタ− 6 高周波電極7 基板回転用モ−タ8 回転軸9 高周波電源10 ガス導入口11 ガス排気口21 真空予備排気槽22 反応槽23 冷却槽24 バルブ25 高周波電極26 対向電極27 ガス導入口28 ガス排気口29 ガス排気口30 ガス排気口

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川合 弘 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 平3−115572(JP,A) 特開 昭63−286575(JP,A) 特開 昭62−116767(JP,A) 特開 平2−149673(JP,A) 特開 平2−182880(JP,A) 特開 昭61−208056(JP,A) 特開 昭56−6920(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/26 - 16/27 G11B 15/60

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