ハニカム構造体

申请号 JP2016117310 申请日 2016-06-13 公开(公告)号 JP2017221870A 公开(公告)日 2017-12-21
申请人 日本碍子株式会社; 发明人 近藤 隆宏; 加藤 靖; 松矢 淳宣;
摘要 【課題】耐エロージョン性に優れるとともに、耐熱衝撃性にも優れたハニカム構造体を提供する。 【解決手段】ハニカム構造部4は、流入端面11の中央領域を含む方向の一部に、下記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜8%の緻密部を有するとともに、流入端面11側から流出端面12側に向かって外径が増大する外径増大部17を有し、ハニカム構造部4の下記式(2)によって算出される平均径変化率が0.2〜3%である。式(1):(1−Px/Py)×100(Pxは、流入端面11の中央領域における気孔率(%)を示し、Pyは、流入端面11の中央領域を除く外周領域の気孔率(%)を示す)式(2):(1−Dx/Dy)×100(Dxは、ハニカム構造部4の流入端面11の平均径(mm)、Dyは、ハニカム構造部4の流出端面12の平均径(mm)を示す) 【選択図】図5
权利要求

流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁、及び前記隔壁を囲繞するように配設された外周壁を有する、ハニカム構造部を備え、 前記ハニカム構造部は、前記流入端面の中央領域を含み、当該流入端面の前記中央領域から前記ハニカム構造部の軸方向の一部に、下記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜8%の緻密部を有し、且つ、 前記ハニカム構造部は、前記ハニカム構造部の軸方向の少なくとも一部において、前記ハニカム構造部の前記軸方向に直交する面の外径が、前記流入端面側から前記流出端面側に向かって増大する外径増大部を有し、前記ハニカム構造部の下記式(2)によって算出される平均径変化率が0.2〜3%である、ハニカム構造体。 式(1):(1−Px/Py)×100 (但し、式(1)において、Pxは、前記流入端面の前記中央領域における気孔率(%)を示し、Pyは、前記流入端面の前記中央領域を除く外周領域の気孔率(%)を示す。) 式(2):(1−Dx/Dy)×100 (但し、式(2)において、Dxは、前記ハニカム構造部の前記流入端面の平均径(mm)を示し、Dyは、前記ハニカム構造部の前記流出端面の平均径(mm)を示す。)前記流入端面の前記中央領域の、上記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜6%である、請求項1に記載のハニカム構造体。前記ハニカム構造部は、前記流出端面の中央領域における下記式(3)によって算出される気孔率変化率が、2%未満である、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。 式(3):(1−P’x/P’y)×100 (但し、式(3)において、P’xは、前記流出端面の前記中央領域における気孔率(%)を示し、P’yは、前記流出端面の前記中央領域を除く前記外周領域の気孔率(%)を示す。)前記緻密部の気孔率が、20〜70%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。前記外径増大部が、前記ハニカム構造部の軸方向の全域に存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。前記外径増大部が、前記ハニカム構造部の軸方向の一部のみ存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。前記ハニカム構造部の前記外周壁が、前記隔壁の外周に配設された外周コート層を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。前記ハニカム構造部に形成された前記セルのいずれか一方の端部を封止するように配置された目封止部を、更に備えた、請求項1〜7のいずれか一項に記載のハニカム構造体。

说明书全文

本発明は、ハニカム構造体に関する。異物によるエロージョンに対する耐久性に優れるとともに、耐熱衝撃性にも優れたハニカム構造体に関する。

近年では、社会全体で環境問題に対する意識が高まっており、燃料を燃焼して動を生成する技術分野では、燃料の燃焼時に発生する排ガスから、窒素酸化物等の有害成分を除去する様々な技術が開発されている。例えば、自動車のエンジンから排出される排ガスから、窒素酸化物等の有害成分を除去する様々な技術が開発されている。こうした排ガス中の有害成分の除去の際には、触媒を用いて有害成分に化学反応を起こさせて比較的無害な別の成分に変化させるのが一般的である。そして、排ガス浄化用の触媒を担持するための触媒担体として、ハニカム構造体が用いられている。

また、内燃機関の燃焼により排出される排ガスには、窒素酸化物等の有毒ガスと共に、等の粒子状物質が含まれている。以下、粒子状物質を、「PM」ということがある。例えば、ガソリンエンジンから排出されるPMの除去に関する規制は世界的に厳しくなっており、PMを除去するためのフィルタとして、ハニカム構造を有するハニカムフィルタが用いられている。

従来、このようなハニカム構造体として、流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁を有するハニカム構造部を備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。

特開2013−63422号公報

ハニカム構造体を、排ガスを浄化するための浄化部材として使用する場合において、排気系には、金属粉、金属片などが含まれていることがあり、異物によるエロージョン(Erosion)の対策が求められていた。従来のハニカム構造体においては、このような異物によるエロージョンに対する耐久性が低いという問題があった。

また、排ガスを浄化するための浄化部材として使用するためのハニカム構造体は、高温の排ガスによる熱サイクルに対する耐熱衝撃性も必要とされている。このため、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体の開発についても要望がある。

本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものである。本発明は、異物によるエロージョンに対する耐久性に優れるとともに、耐熱衝撃性にも優れたハニカム構造体を提供する。

本発明によれば、以下に示すハニカム構造体が提供される。

[1] 流入端面から流出端面まで延びる流体の流路となる複数のセルを区画形成する多孔質の隔壁、及び前記隔壁を囲繞するように配設された外周壁を有する、ハニカム構造部を備え、前記ハニカム構造部は、前記流入端面の中央領域を含み、当該流入端面の前記中央領域から前記ハニカム構造部の軸方向の一部に、下記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜8%の緻密部を有し、且つ、前記ハニカム構造部は、前記ハニカム構造部の軸方向の少なくとも一部において、前記ハニカム構造部の前記軸方向に直交する面の外径が、前記流入端面側から前記流出端面側に向かって増大する外径増大部を有し、前記ハニカム構造部の下記式(2)によって算出される平均径変化率が0.2〜3%である、ハニカム構造体。

式(1):(1−Px/Py)×100 (但し、式(1)において、Pxは、前記流入端面の前記中央領域における気孔率(%)を示し、Pyは、前記流入端面の前記中央領域を除く外周領域の気孔率(%)を示す。)

式(2):(1−Dx/Dy)×100 (但し、式(2)において、Dxは、前記ハニカム構造部の前記流入端面の平均径(mm)を示し、Dyは、前記ハニカム構造部の前記流出端面の平均径(mm)を示す。)

[2] 前記流入端面の前記中央領域の、上記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜6%である、前記[1]に記載のハニカム構造体。

[3] 前記ハニカム構造部は、前記流出端面の中央領域における下記式(3)によって算出される気孔率変化率が、2%未満である、前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。

式(3):(1−P’x/P’y)×100 (但し、式(3)において、P’xは、前記流出端面の前記中央領域における気孔率(%)を示し、P’yは、前記流出端面の前記中央領域を除く前記外周領域の気孔率(%)を示す。)

[4] 前記緻密部の気孔率が、20〜70%である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のハニカム構造体。

[5] 前記外径増大部が、前記ハニカム構造部の軸方向の全域に存在する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。

[6] 前記外径増大部が、前記ハニカム構造部の軸方向の一部のみ存在する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のハニカム構造体。

[7] 前記ハニカム構造部の前記外周壁が、前記隔壁の外周に配設された外周コート層を含む、前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。

[8] 前記ハニカム構造部に形成された前記セルのいずれか一方の端部を封止するように配置された目封止部を、更に備えた、前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体。

本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造部の流入端面側に、流入端面の中央領域における気孔率が外周領域の気孔率に比して低くなるように構成され、上記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜8%の緻密部を有している。更に、本発明のハニカム構造体は、ハニカム構造部が、上記式(2)によって算出される平均径変化率が0.2〜3%の外径増大部を有している。このため、本発明のハニカム構造体は、異物によるエロージョンに対する耐久性に優れるとともに、耐熱衝撃性にも優れるという効果を奏するものである。

本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す斜視図である。

図1に示すハニカム構造体の側面を模式的に示す側面図である。

図1に示すハニカム構造体の流入端面を模式的に示す平面図である。

図1に示すハニカム構造体の流出端面を模式的に示す平面図である。

図3のX−X’断面を模式的に示す、断面図である。

本発明のハニカム構造体の第一実施形態における、ハニカム構造部の気孔率の測定箇所を説明するための模式図である。

本発明のハニカム構造体の第二実施形態を模式的に示す斜視図である。

図7に示すハニカム構造体の側面を模式的に示す側面図である。

図7に示すハニカム構造体の流入端面を模式的に示す平面図である。

図7に示すハニカム構造体の流出端面を模式的に示す平面図である。

図9のY−Y’断面を模式的に示す、断面図である。

本発明のハニカム構造体の第三実施形態を模式的に示す側面図である。

本発明のハニカム構造体の第四実施形態を模式的に示す側面図である。

本発明のハニカム構造体の第五実施形態を模式的に示す側面図である。

本発明のハニカム構造体の第六実施形態を模式的に示す側面図である。

本発明のハニカム構造体の第七実施形態を模式的に示す側面図である。

本発明のハニカム構造体の第八実施形態を模式的に示す側面図である。

耐熱衝撃性の試験における、エンジンの運転時間(秒)とエンジン回転数(rpm)との関係を示すグラフである。

以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。

(1)ハニカム構造体(第一実施形態): 図1〜図5に示すように、本発明のハニカム構造体の第一実施形態は、多孔質の隔壁1、及び隔壁1を囲繞するように配設された外周壁3を有する、ハニカム構造部4を備えたハニカム構造体100である。ここで、図1は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示すハニカム構造体の側面を模式的に示す側面図である。図3は、図1に示すハニカム構造体の流入端面を模式的に示す平面図である。図4は、図1に示すハニカム構造体の流出端面を模式的に示す平面図である。図5は、図3のX−X’断面を模式的に示す、断面図である。

ハニカム構造部4の隔壁1は、流入端面11から流出端面12まで延びる流体の流路となる複数のセル2を区画形成するものである。ハニカム構造部4は、流入端面11の中央領域を含み、当該流入端面11の中央領域からハニカム構造部4の軸方向の一部に、気孔率が相対的に低くなるように構成された緻密部15を有する。この緻密部15は、下記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜8%である。また、ハニカム構造部4は、ハニカム構造部4の軸方向の少なくとも一部において、ハニカム構造部4の軸方向に直交する面の外径が、流入端面11側から流出端面12側に向かって増大する外径増大部17を有する。そして、このような外径増大部17を有することにより、ハニカム構造部4の下記式(2)によって算出される平均径変化率が0.2〜3%となっている。図5に示すハニカム構造部4は、ハニカム構造部4の軸方向の全域に外径増大部17を有している。

式(1):(1−Px/Py)×100 (但し、式(1)において、Pxは、流入端面11の中央領域における気孔率(%)を示し、Pyは、流入端面11の中央領域を除く外周領域の気孔率(%)を示す。)

式(2):(1−Dx/Dy)×100 (但し、式(2)において、Dxは、ハニカム構造部4の流入端面11の平均径(mm)を示し、Dyは、ハニカム構造部4の流出端面12の平均径(mm)を示す。)

本実施形態のハニカム構造体100は、上記のような緻密部15及び外径増大部17を有するものであり、異物によるエロージョンに対する耐久性に優れるとともに、耐熱衝撃性にも優れるという効果を奏するものである。以下、異物によるエロージョンに対する耐久性を、「耐エロージョン性」ということがある。

ハニカム構造部4の流入端面11の中央領域を含み、当該中央領域からハニカム構造部4の軸方向の一部に、上述した緻密部15を有することにより、ハニカム構造部4の耐エロージョン性を向上させることができる。ただし、このような緻密部15がハニカム構造部4の流入端面11の中央領域に存在する場合には、ハニカム構造部4の流出端面12側の耐熱衝撃性が低下してしまうことがある。このため、本実施形態のハニカム構造体100においては、上記式(2)によって算出される平均径変化率を0.2〜3%とすることで、ハニカム構造部4の流出端面12側の耐熱衝撃性の低下を抑制している。即ち、ハニカム構造体100の平均径変化率が0.2%未満であると、ハニカム構造部4の流入端面11の中央領域に緻密部15を有する場合には、流出端面12側の耐熱衝撃性が低下してしまう。一方で、ハニカム構造体100の平均径変化率が3%を超えると、逆に、流入端面11側の耐熱衝撃性が低下してしまう。

ハニカム構造部4は、流入端面11側から流出端面12側に向かって、その外径が増大する外径増大部17を有することにより、平均径変化率が0.2〜3%となっている。上記式(2)において、Dxは、ハニカム構造部4の流入端面11の平均径(mm)を示し、Dyは、ハニカム構造部4の流出端面12の平均径(mm)を示す。ここで、流入端面11の平均径(mm)、及び流出端面12の平均径(mm)とは、ハニカム構造部4の流入端面11及び流出端面12の形状が円形の場合には、その円形の直径(mm)のことを意味する。ハニカム構造部4の流入端面11及び流出端面12の形状が円形でない場合には、以下の方法に従って、平均径(mm)を求める。ハニカム構造部4の流入端面11の場合、流入端面11の幾何学的重心を通過する外径のうちの長径の長さ(mm)と短径の長さ(mm)を測定し、その平均値を、流入端面11の平均径(mm)とする。同様に、ハニカム構造部4の流出端面12の場合、流出端面12の幾何学的重心を通過する外径のうちの長径の長さ(mm)と短径の長さ(mm)を測定し、その平均値を、流出端面12の平均径(mm)とする。以下、「平均径Dx」という場合は、流入端面11の平均径(mm)を意味する。また、「平均径Dy」という場合は、流出端面12の平均径(mm)を意味する。

ハニカム構造部4の緻密部15は、流入端面11の中央領域からハニカム構造部4の軸方向の一部に存在している。以下、ハニカム構造部4の流入端面11の中央領域の気孔率、及び流入端面11の外周領域の気孔率の測定方法について、図6を参照しつつ、更に詳しく説明する。なお、以下の説明においては、ハニカム構造部4の流出端面12の中央領域の気孔率、及び流出端面12の外周領域の気孔率の測定方法についても併せて説明する。図6は、本発明のハニカム構造体の第一実施形態における、ハニカム構造部の気孔率の測定箇所を説明するための模式図である。図6の紙面上方の符号11に示される部分が、ハニカム構造部4の流入端面11を示している。図6の紙面中央の符号4に示される部分が、ハニカム構造部4を軸方向に沿って切断した断面を示している。図6に示す上記断面においては、ハニカム構造部4の隔壁1及びセル2を捨象した形で作図を行っている。図6の紙面下方の符号12に示される部分が、ハニカム構造部4の流出端面12を示している。なお、ハニカム構造部4の軸方向とは、ハニカム構造部4の流入端面11から流出端面に向かう方向のことを意味する。

ハニカム構造部の気孔率を測定する際には、ハニカム構造部4の流入端面11側の符号P1〜P5に示す部位と、ハニカム構造部4の流出端面12側の符号P6〜P10に示す部位との、合計10箇所について、ハニカム構造部4の隔壁の気孔率を測定する。ハニカム構造部4の気孔率[%]は、銀ポロシメータ(Mercury porosimeter)によって計測された値とする。水銀ポロシメータとしては、例えば、Micromeritics社製のAutopore 9500(商品名)を挙げることができる。

図6の流入端面11において、符号P2に示す部位は、流入端面11の中央領域である。符号P2によって示される流入端面11の中央領域は、流入端面11の中心から、ハニカム構造部4の流入端面11の直径の10%に相当する範囲とする。このような範囲の流入端面11の中央領域のことを、以下、「流入端面11の中央領域P2」、又は、単に「中央領域P2」ということがある。中央領域P2においては、この領域内の任意の4点について、気孔率を測定し、その平均値を、中央領域P2の気孔率(%)とする。

図6の流入端面11において、符号P1,P3〜P5に示す部位は、流入端面11の外周領域である。符号P1,P3〜P5によって示される流入端面11の外周領域は、流入端面11の最外周から内側に向かって、ハニカム構造部4の流入端面11の直径の10%に相当する環状の範囲とする。このような範囲の流入端面11の外周領域のことを、以下、「流入端面11の外周領域P1,P3〜P5」、又は、単に「外周領域P1,P3〜P5」ということがある。外周領域P1,P3〜P5においては、それぞれの領域内の任意の2点について、気孔率を測定し、その平均値を、それぞれの外周領域P1,P3〜P5の気孔率(%)とする。

図6の流出端面12において、符号P7に示す部位は、流出端面12の中央領域である。符号P7によって示される流出端面12の中央領域は、流出端面12の中心から、ハニカム構造部4の流出端面12の直径の10%に相当する範囲とする。このような範囲の流出端面12の中央領域のことを、以下、「流出端面12の中央領域P7」、又は、単に「中央領域P7」ということがある。中央領域P7においては、この領域内の任意の4点について、気孔率を測定し、その平均値を、中央領域P7の気孔率(%)とする。

図6の流出端面12において、符号P6,P8〜P10に示す部位は、流出端面12の外周領域である。符号P6,P8〜P10によって示される流出端面12の外周領域は、流出端面12の最外周から内側に向かって、ハニカム構造部4の流出端面12の直径の10%に相当する環状の範囲とする。このような範囲の流出端面12の外周領域のことを、以下、「流出端面12の外周領域P6,P8〜P10」、又は、単に「外周領域P6,P8〜P10」ということがある。外周領域P6,P8〜P10においては、それぞれの領域内の任意の2点について、気孔率を測定し、その平均値を、それぞれの外周領域P6,P8〜P10の気孔率(%)とする。

図1〜図5に示す本実施形態のハニカム構造体100においては、中央領域P2の気孔率(%)が、外周領域P1,P3〜P5のそれぞれの気孔率(%)よりも低い値となっている。

本実施形態のハニカム構造体100においては、流入端面11の中央領域の、上記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜8%であり、2〜7%であることが好ましく、2〜6%であることが特に好ましい。即ち、本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4の緻密部15の気孔率変化率が2〜6%であることが特に好ましい。

なお、上記式(1)における「Px」は、上記した方法によって求めた「流入端面11の中央領域P2における気孔率(%)」である。また、上記式(1)における「Py」は、上記した方法によって求めた「外周領域P1,P3〜P5における気孔率(%)の平均値」である。

ハニカム構造部4の緻密部15の気孔率変化率が2%未満であると、十分な耐エロージョン性を得ることができない。また、気孔率変化率が2%未満であると、ハニカム構造部4の流入端面11側の耐熱衝撃性が低下してしまう。一方で、気孔率変化率が8%を超えると、上記とは逆に、ハニカム構造部4の流出端面12側の耐熱衝撃性が低下してしまう。本実施形態のハニカム構造体100においては、ハニカム構造部4に外径増大部17を設けることで、耐熱衝撃性の低下を抑制する効果を奏するものであるが、緻密部15の気孔率変化率を特定の数値範囲とすることで、互いの作用効果が相俟って、耐エロージョン性及び耐熱衝撃性に特に優れたものとなる。

ハニカム構造部4の緻密部15は、流入端面11の中央領域からハニカム構造部4の軸方向の一部に存在している。このため、ハニカム構造部4の流出端面12には、流入端面11のような緻密部15が存在しないことが好ましい。例えば、ハニカム構造部4は、流出端面12の中央領域における下記式(3)によって算出される気孔率変化率が、2%未満であることが好ましく、1.5%未満であることが更に好ましい。

式(3):(1−P’x/P’y)×100 (但し、式(3)において、P’xは、流出端面の中央領域における気孔率(%)を示し、P’yは、流出端面の中央領域を除く外周領域の気孔率(%)を示す。)

なお、上記式(3)における「P’x」は、上記した方法によって求めた「流出端面12の中央領域P7における気孔率(%)」である。また、上記式(3)における「P’y」は、上記した方法によって求めた「外周領域P6,P8〜P10における気孔率(%)の平均値」である。

ハニカム構造部4の緻密部15の気孔率が、20〜70%であることが好ましく、22〜66%であることが更に好ましく、24〜63%であることが特に好ましい。なお、ハニカム構造部4の緻密部15の気孔率は、図6における「流入端面11の中央領域P2における気孔率(%)」のことである。

本実施形態のハニカム構造体は、隔壁の厚さが、40〜350μmであることが好ましく、50〜300μmであることが更に好ましく、60〜260μmであることが特に好ましい。隔壁の厚さが、40μm未満であると、ハニカム構造部のアイソスタティック強度(Isostatic strength)が低下してしまうことがある。隔壁の厚さが、350μmを超えると、圧力損失が増大し、エンジンの出力低下や燃費の悪化を引き起こすことがある。隔壁の厚さは、ハニカム構造体の軸方向に直交する断面を光学顕微鏡により観察する方法で測定した値である。

本実施形態のハニカム構造体は、隔壁によって区画形成されるセルのセル密度が、30〜150個/cm2であることが好ましく、34〜140個/cm2であることが更に好ましい。このように構成することによって、本実施形態のハニカム構造体を、排ガス浄化用触媒担体やフィルタ等として好適に利用することができる。

隔壁及び外周壁は、セラミックを主成分とするものであることが好ましい。隔壁及び外周壁の材質としては、コージェライト、炭化珪素、珪素−炭化珪素系複合材料、ムライト、アルミナ、チタン酸アルミニウム、窒化珪素、コージェライト化原料、リチウムアルミニウムシリケート、アルミニウムチタネート、及び炭化珪素−コージェライト系複合材料からなる群より選択される少なくとも1種を含む材料を好適例として挙げることができる。「セラミックを主成分とする」というときは、セラミックを全体の50質量%以上含有することを意味する。

ハニカム構造部の外周壁は、セルを区画形成する隔壁と一体的に構成されたものであってもよいし、セルを区画形成する隔壁の外周側に外周コート材を塗工することによって形成した外周コート層であってもよい。外周コート層は、製造時において、隔壁と外周壁とを一体的に形成した後、形成された外周壁を、研削加工等の公知の方法によって除去した後、隔壁の外周側に設けられたものであってもよい。

ハニカム構造部に形成されているセルの形状については特に制限はない。例えば、セルの延びる方向に直交する断面における、セルの形状としては、多形、円形、楕円形等を挙げることができる。多角形としては、三角形、四角形、五角形、六角形、八角形等を挙げることができる。また、セルの形状については、全てのセルの形状が同一形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。例えば、四角形のセルと、八角形のセルと混在したものであってもよい。また、セルの大きさについては、全てのセルの大きさが同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、複数のセルのうち、一部のセルの大きさを大きくし、他のセルの大きさを相対的に小さくしてもよい。

ハニカム構造部の形状については特に制限はない。ハニカム構造部の形状としては、流入端面及び流出端面の形状が円形、楕円形、多角形等の柱状を挙げることができる。ただし、本実施形態のハニカム構造体は、上述したような外径増大部を有するため、厳密は、その形状の少なくとも一部が錘台形状等となっている。例えば、流入端面及び流出端面の形状が円形の場合には、ハニカム構造部の形状は、円錘台形状となる。多角形としては、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等を挙げることができる。

ハニカム構造部の大きさ、例えば、流入端面から流出端面までの長さや、ハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面の大きさについては、特に制限はない。本実施形態のハニカム構造体を、排ガス浄化用の部材として用いた際に、最適な浄化性能を得るように、各大きさを適宜選択すればよい。例えば、ハニカム構造部の流入端面から流出端面までの長さは、40〜200mmであることが好ましく、50〜190mmであることが特に好ましい。また、ハニカム構造部のセルの延びる方向に直交する断面の面積は、3000〜120000mm2であることが好ましく、4500〜100000mm2であることが特に好ましい。

本実施形態のハニカム構造体においては、ハニカム構造部の隔壁の表面及び隔壁の細孔のうちの少なくとも一方に、排ガス浄化用の触媒が担持されていてもよい。このように構成することによって、排ガス中のCOやNOxやHCなどを触媒反応によって無害な物質にすることができる。

(2)ハニカム構造体(第二実施形態): 次に、本発明のハニカム構造体の第二実施形態について説明する。図7〜図11に示すように、本発明のハニカム構造体の他の実施形態は、多孔質の隔壁1を有するハニカム構造部4と、ハニカム構造部4に形成されたセル2のいずれか一方の端部に配設された目封止部5と、を備えたハニカム構造体200である。多孔質の隔壁1は、流入端面11から流出端面12まで延びる流体の流路となる複数のセル2を区画形成するものである。目封止部5は、セル2の流入端面11側又は流出端面12側の開口部に配設され、セル2のいずれか一方の端部を封止するものである。ここで、複数のセル2のうち、流出端面12側の開口部に目封止部5が配設され、流入端面11側が開口したセル2を、流入セル2aとする。また、複数のセル2のうち、流入端面11側の開口部に目封止部5が配設され、流出端面12側が開口したセル2を、流出セル2bとする。

ここで、図7は、本発明のハニカム構造体の第二実施形態を模式的に示す斜視図である。図8は、図7に示すハニカム構造体の側面を模式的に示す側面図である。図9は、図7に示すハニカム構造体の流入端面を模式的に示す平面図である。図10は、図7に示すハニカム構造体の流出端面を模式的に示す平面図である。図11は、図9のY−Y’断面を模式的に示す、断面図である。

図7〜図10に示すハニカム構造体200に用いられるハニカム構造部4は、図1〜図5に示すハニカム構造部4と同様に構成されたものである。即ち、ハニカム構造部4は、流入端面11の中央領域を含み、当該流入端面11の中央領域からハニカム構造部4の軸方向の一部に、気孔率が相対的に低くなるように構成された緻密部15を有する。そして、緻密部15は、上記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜8%となっている。また、ハニカム構造部4は、ハニカム構造部4の軸方向の少なくとも一部において、ハニカム構造部4の軸方向に直交する面の外径が、流入端面11側から流出端面12側に向かって増大する外径増大部17を有する。そして、このような外径増大部17を有することにより、ハニカム構造部4の上記式(2)によって算出される平均径変化率が0.2〜3%となっている。

このように構成されたハニカム構造体200も、図1〜図5に示すハニカム構造体100と同様の作用効果を奏するものである。即ち、ハニカム構造体200も、耐エロージョン性に優れるとともに、耐熱衝撃性にも優れるという効果を奏するものである。

目封止部は、複数のセルのうち、所定のセルの流入端面側の開口部、及び所定のセル以外の残余のセルの流出端面側の開口部に配置されたものである。上記のように、複数のセルについては、それぞれのセルのいずれか一方の開口部が目封止部によって封止されることにより、本実施形態のハニカム構造体は、排ガス浄化用のフィルタとして利用することができる。図7〜図10に示すハニカム構造体200は、特に、ガソリンエンジン用のフィルタとして好適に用いることができる。ガソリンエンジンは、排ガス排出時における煤の発生量が、ディーゼルエンジンに比して少ない。このため、ガソリンエンジン用のフィルタは、フィルタによって捕集した煤を強制的に燃焼除去する強制再生を必要としない。ただし、ガソリンエンジン用のフィルタは、連続的に高温排ガスに曝されるため、高温排ガスの熱サイクルに対する耐熱衝撃性を必要としている。本実施形態のハニカム構造体200は、耐熱衝撃性に優れたものであるため、ガソリン自動車用のフィルタの要求特性に合致したものであるといえる。

本実施形態のハニカム構造体において、流入セルの形状と、流出セルの形状とは同じであってもよいし、流入セルの形状と、流出セルの形状とが異なっていてもよい。例えば、流入セルの形状を八角形とし、流出セルの形状を四角形としてもよい。また、セルの大きさについては、全てのセルの大きさが同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、複数のセルのうち、流入セルの大きさを大きくし、流出セルの大きさを、流入セルの大きさに比して相対的に小さくしてもよい。また、逆に、複数のセルのうち、流入セルの大きさを小さくし、流出セルの大きさを、流入セルの大きさに比して相対的に大きくしてもよい。更に、流入セルの中にも、大きさが異なるセルが混在していてもよい。流出セルの中にも、大きさが異なるセルが混在していてもよい。

ハニカム構造部における、流入セルと流出セルとの配置については特に制限はないが、1個の流入セルに対して、少なくとも1個の流出セルが、隔壁を隔てて離接するように配置されていることが好ましい。例えば、セルの形状が四角形の場合には、流入セルと流出セルとが隔壁を隔てて交互に配置され、ハニカム構造部の両端面が相補的な市松模様を呈するように構成されていることが好ましい。

(3)ハニカム構造体(第三実施形態〜第八実施形態): 次に、本発明のハニカム構造体の第三実施形態〜第八実施形態について、図12〜図17を参照しつつ説明する。ここで、図12は、本発明のハニカム構造体の第三実施形態を模式的に示す側面図である。図13は、本発明のハニカム構造体の第四実施形態を模式的に示す側面図である。図14は、本発明のハニカム構造体の第五実施形態を模式的に示す側面図である。図15は、本発明のハニカム構造体の第六実施形態を模式的に示す側面図である。図16は、本発明のハニカム構造体の第七実施形態を模式的に示す側面図である。図17は、本発明のハニカム構造体の第八実施形態を模式的に示す側面図である。

第三実施形態〜第八実施形態のハニカム構造体は、ハニカム構造部の側面の形状が、図12〜図17に示すハニカム構造部4のように構成されていること以外は、図1〜図5に示すハニカム構造部4と同様に構成されたものである。即ち、ハニカム構造部4は、流入端面11の中央領域を含み、当該流入端面11の中央領域からハニカム構造部4の軸方向の一部に、気孔率が相対的に低くなるように構成された緻密部15を有する。そして、緻密部15は、上記式(1)によって算出される気孔率変化率が2〜8%となっている。また、ハニカム構造部4は、ハニカム構造部4の軸方向の少なくとも一部において、ハニカム構造部4の軸方向に直交する面の外径が、流入端面11側から流出端面12側に向かって増大する外径増大部17を有する。そして、このような外径増大部17を有することにより、ハニカム構造部4の上記式(2)によって算出される平均径変化率が0.2〜3%となっている。

図12に示す第三実施形態のハニカム構造体300は、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、流入端面11側から流出端面12側に向かって末広がりとなる形状をなしている。この末広がりとなる形状をなす部分が、ハニカム構造部4の外径増大部17となっている。

図13に示す第四実施形態のハニカム構造体400は、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、流入端面11側から一定の範囲において外径の変化がない柱状をなしている。そして、流出端面12側において、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、円錐台形状をなしている。この円錐台形状をなす部分が、ハニカム構造部4の外径増大部17となっている。

図14に示す第五実施形態のハニカム構造体500は、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、流入端面11側から流出端面12側に向かって釣鐘形状をなしている。この釣鐘形状をなす部分が、ハニカム構造部4の外径増大部17となっている。

図15に示す第六実施形態のハニカム構造体600は、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、流入端面11側から一定の範囲において、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、円錐台形状をなしている。そして、流出端面12側において外径の変化がない柱状をなしている。そして、この円錐台形状をなす部分が、ハニカム構造部4の外径増大部17となっている。

図16に示す第七実施形態のハニカム構造体700は、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、流入端面11側から一定の範囲において外径の変化がない柱状をなしている。そして、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、流出端面12側において末広がりとなる形状をなしている。この末広がりとなる形状をなす部分が、ハニカム構造部4の外径増大部17となっている。

図17に示す第八実施形態のハニカム構造体800は、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、流入端面11側から一定の範囲において外径の変化がない柱状をなしている。そして、ハニカム構造部4の側面を構成する外周壁3が、流出端面12側において釣鐘形状をなしている。この釣鐘形状をなす部分が、ハニカム構造部4の外径増大部17となっている。

本発明のハニカム構造体におけるハニカム構造部の外周の形状、別言すれば、ハニカム構造部を側面から見た形状は、これまでに説明した第一実施形態〜第八実施形態に限定されることはない。即ち、本発明のハニカム構造体は、上記式(2)によって算出される平均径変化率が0.2〜3%となるように、所望形状の外径増大部を有していれば、その外周の形状については、その使用用途等に応じて、適宜決定することができる。

(4)ハニカム構造体の製造方法: 次に、本発明のハニカム構造体を製造する方法について説明する。本発明のハニカム構造体の製造方法としては、ハニカム成形体を作製する工程、ハニカム成形体を乾燥及び焼成する工程、を備えたものを挙げることができる。

(4−1)成形工程: 成形工程は、成形原料を混練して得られる坏土をハニカム形状に押出成形してハニカム成形体を得る工程である。ハニカム成形体は、第一端面から第二端面まで延びるセルを区画形成する隔壁、及びこの隔壁の最外周を囲繞するように形成された外周壁を有するものである。隔壁によって構成されたハニカム構造の部分が、ハニカム構造部となる。成形工程においては、まず、成形原料を混練して坏土とする。次に、得られた坏土を押出成形して、隔壁と外周壁とが一体的に成形されたハニカム成形体を得る。

成形原料は、セラミック原料に分散媒及び添加剤を加えたものであることが好ましい。添加剤としては、有機バインダ、造孔材、界面活性剤等を挙げることができる。分散媒としては、水等を挙げることができる。成形原料としては、従来公知のハニカム構造体の製造方法において使用される成形原料と同様のものを用いることができる。

成形原料を混練して坏土を形成する方法としては、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。押出成形は、ハニカム成形体の断面形状に対応したスリットが形成された押出成形用の口金を用いて行うことができる。

(4−2)焼成工程: 焼成工程は、ハニカム成形体を焼成して、ハニカム構造体を得る工程である。ハニカム成形体を焼成する前に、得られたハニカム成形体を、例えば、マイクロ波及び熱風で乾燥してもよい。また、製造するハニカム構造体として、目封止部を備えたものとする場合には、ハニカム成形体を乾燥した後に、ハニカム成形体の作製に用いた材料と同様の材料で、セルの開口部を目封止することで目封止部を作製してもよい。目封止部を作製した後に、ハニカム成形体を更に乾燥してもよい。

ハニカム成形体を焼成する際の焼成温度は、ハニカム成形体の材質によって適宜決定することができる。例えば、ハニカム成形体の材質がコージェライトの場合、焼成温度は、1380〜1450℃が好ましく、1400〜1440℃が更に好ましい。また、焼成時間は、最高温度でのキープ時間として4〜6時間程度とすることが好ましい。

本発明のハニカム構造体を製造する際には、この焼成工程において、ハニカム成形体の流入端面となる端面の端部側において緻密部となる中央領域が他の部分よりも遅れて高温となるような焼成条件により焼成を行うことが好ましい。このように構成することによって、得られるハニカム構造体の流入端面側の中央領域の気孔率が、外周領域の気孔率に比して低くなる緻密部を形成することが出来る。

例えば、ハニカム成形体の焼成は、油脂や有機物等が除去されたハニカム成形体を、不活性ガス雰囲気下で高温焼成するための焼成炉を用いて行うことができる。焼成炉は、長手形状を呈し、一方の炉開口部から炉内空間に導入されたハニカム成形体を、水平方向に沿って定速移動させながら、他方の炉開口部に到達するまでの間で本焼成を行うものである。この際、例えば、以下のように焼成を行うことが好ましい。まず、ハニカム成形体を、その軸方向が鉛直方向に平行となり、ハニカム成形体の流入端面側が下方を向くように配置する。そして、配置したハニカム成形体に対して、下方となる流入端面側において、緻密部となる中央領域が他の部分よりも遅れて高温となるように焼成を行うことが好ましい。なお、中央領域が他の部分よりも遅れて高温となるように焼成を行う方法としては、栃を配置するなどして焼成中のハニカム成形体の温度に差を生じさせながら焼成を行う方法を挙げることができる。流入端面側の中央領域とその他の部分との温度差に特に制限はないが、例えば、15〜100℃の温度差を設けることで、得られるハニカム構造体の流入端面側の中央領域の気孔率が、外周領域の気孔率に比して低くなる緻密部を形成することができる。

また、必要に応じて、焼成工程を行った後、得られたハニカム構造体の外周壁を研削加工し、その後、隔壁の外周側に外周コート材を塗工して、外周コート層を形成してもよい。例えば、外周壁の研削加工、及び外周コート層の形成については、以下に記載する方法1〜方法3を採用することにより、得られるハニカム構造体の平均径変化率を0.2〜3%となるようにすることができる。方法1は、外周壁を研削加工する際、流入端面側から流出端面側まで均一の大きさで加工した後、外周コート材を塗工する際、流入端面側から流出端面側の外周コート層の厚さを厚くする。方法2は、外周壁を研削加工する際、流入端面側を小さく加工した後、外周コート材を流入端面側から流出端面側まで均一の厚さで塗工する。方法3は、外周壁を研削加工する際、流入端面側から流出端面側まで均一の大きさで加工した後、外周コート材を流入端面側から流出端面側まで均一の厚さで外周コート層を塗工する。方法3においては、その後、乾燥を行った後に、外周コート層を流出端面側から流入端面側にかけて径が小さくなるように研削加工を行う。本発明のハニカム構造体を製造する方法においては、上記した方法1〜方法3のうち、方法1及び方法2がより好ましい。

(実施例1) コージェライト化原料100質量部に、造孔材を0.5質量部、分散媒を33質量部、有機バインダを5.6質量部、それぞれ添加し、混合、混練して坏土を調製した。コージェライト化原料としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、カオリン、タルク、及びシリカを使用した。分散媒としては水を使用し、造孔材としては平均粒子径10〜50μmの吸水性ポリマーを使用し、有機バインダとしてはメチルセルロース(Methylcellulose)を使用し、分散剤としてはデキストリン(Dextrin)を使用した。

次に、所定の金型を用いて坏土を押出成形し、セル形状が四角形で、全体形状が円柱形 のハニカム成形体を得た。

次に、ハニカム成形体を、作製するハニカム構造体の流入端面側が下を向くようにして、アルミナ製の焼栃の上に載置した。そして、ハニカム成形体を、熱風乾燥機にて乾燥させた。乾燥条件としては、95〜145℃とした。

次に、乾燥させたハニカム成形体を、トンネルキルン(Tunnel kiln;連続焼成炉)にて焼成した。焼成条件としては、1350〜1440℃で、10時間、焼成してハニカム焼成体を得た。実施例1においては、焼成時に流入端面側の中央領域が、その他の部分に対し50℃遅れて昇温されるようにして焼成を行った。

実施例1のハニカム構造体は、流入端面の中央領域を含み、当該流入端面の中央領域から軸方向の一部に、流入端面の中央領域における気孔率が、当該中央領域よりも外側の外周領域の気孔率に比して低くなるように構成された緻密部を有するものであった。また、得られたハニカム構造体は、図2に示すハニカム構造体100のような、ハニカム構造部4の軸方向に直交する面の外径が、流入端面11側から流出端面12側に向かって増大する外径増大部17を有するものであった。

実施例1のハニカム構造体は、中央領域の隔壁の厚さが50μmであり、外周領域の隔壁の厚さが70μmであった。また、セル密度が93個/cm2であった。セルの形状は、四角形であった。表1の「セル構造」の欄に、中央領域の隔壁の厚さ、外周領域の隔壁の厚さ、セル密度、及びセル形状を示す。また、作製したハニカム構造体が、目封止部を備えていない場合に、表1の「目封止部」の欄に「なし」と記す。一方、作製したハニカム構造体が、目封止部を備えている場合に、表1の「目封止部」の欄に「有」と記す。実施例1のハニカム構造体は、目封止部を備えていないものであるため、表1の「目封止部」の欄には、「なし」と記す。

実施例1のハニカム構造体は、軸方向に直交する断面の形状が円形であり、上記したように、ハニカム構造体の外周の形状が、図2に示すようなものであった。ハニカム構造体の流出端面の直径は、105.4mmであり、流入端面から流出端面のまでの長さ(全長)は、81.2mmであった。実施例1のハニカム構造体の形状を、表1の「断面形状」、「外周の形状」、「全長」の欄に示す。なお、表1の「外周の形状」の「形成方法」の欄には、ハニカム構造体が、隔壁と一体的に構成された外周壁を有する場合には、「一体」と記す。また、ハニカム構造体が、隔壁と一体的に構成された外周壁を外周加工により取り除き、隔壁を囲繞するように外周コート材を塗工して形成した外周コート層を備えたものの場合には、「外周加工」と記す。なお、表1の「直径」の欄は、ハニカム構造体の「流出端面の狙いの直径」の値を示し、製造されたハニカム構造体の実際の直径(Dx,Dy)は、表3に示している。

実施例1のハニカム構造体について、図6に示すP1〜P10のそれぞれの測定箇所の気孔率を測定した。気孔率の測定結果を表2に示す。また、気孔率の測定結果に基づいて、「P1,P3〜P5の平均値」と、「P6,P8〜P10の平均値」を求めた。結果を、表2に示す。

P1〜P10のそれぞれの測定箇所の気孔率の値に基づき、流入端面及び流出端面における気孔率変化率(%)を、上記式(1)又は式(3)により算出した。結果を、表3に示す。

また、ハニカム構造部の流入端面の平均径Dx(mm)、及びハニカム構造部の流出端面の平均径Dy(mm)を求めた。流入端面の平均径Dxは103.2mmであり、流出端面の平均径Dyは105.4mmであった。平均径Dx及び平均径Dyの値に基づき、平均径変化率を、上記式(2)により算出した。結果を、表3に示す。

(実施例2〜26) セル構造、断面形状、外周の形状等を表1に示すように変更し、実施例2〜26のハニカム構造体を作製した。なお、実施例2〜26のハニカム構造体は、その外周の形状が、図2、図12〜図17のいずれかの形状に該当するものであった。表1の「外周の形状」の「参照図」の欄は、各実施例のハニカム構造体について、その外周の形状が、図2、図12〜図17のいずれに該当するのかを示している。例えば、表1の「外周の形状」の「参照図」の欄に、「図12」と記されている場合は、そのハニカム構造体の外周の形状が、図12の形状に該当することを意味する。

実施例11,12,18〜20,22,25においては、隔壁と一体的に構成された外周壁を外周加工により取り除き、隔壁を囲繞するように外周コート材を塗工して外周コート層を形成した。なお、実施例11,12,18〜20,22,25においては、外周壁を外周加工する際に、流入端面側を小さく加工した後、外周コート材を流入端面側から流出端面側まで均一の厚さで塗した。また、実施例21〜26においては、セルのいずれか一方の端部を封止するように目封止部を配設してハニカム構造体を作製した。

また、実施例2〜26においては、坏土に添加する造孔材の量を適宜調整して、作製するハニカム構造体の気孔率を調整した。また、焼成時においては、焼成時に下方に向けて置いた流入端面側の中央領域が他の部分に対し、15〜100℃遅れて昇温されるようにして焼成を行った。

実施例2〜26のハニカム構造体について、図6に示すP1〜P10のそれぞれの測定箇所の気孔率を測定した。気孔率の測定結果を表2に示す。また、気孔率の測定結果に基づいて、「P1,P3〜P5の平均値」と、「P6,P8〜P10の平均値」を求めた。結果を、表2に示す。

実施例2〜26のハニカム構造体について、P1〜P10のそれぞれの測定箇所の気孔率の値に基づき、流入端面及び流出端面における気孔率変化率(%)を、上記式(1)又は式(3)により算出した。結果を、表3に示す。

また、ハニカム構造部の流入端面の平均径Dx(mm)、及びハニカム構造部の流出端面の平均径Dy(mm)を求め、上記式(2)により平均径変化率を算出した。結果を、表3に示す。

実施例1〜26のハニカム構造体について、「耐エロージョン性」及び「耐熱衝撃性」の評価を、以下の方法で行った。結果を、表4に示す。なお、「耐エロージョン性」及び「耐熱衝撃性」については、実施例1〜26のそれぞれのハニカム構造体について、後述する比較例1〜26のうちの同一番号の比較例のハニカム構造体と比較することによって評価を行った。

[耐エロージョン性] ハニカム構造体を収納する缶体内に、ガスと砥粒を供給して、当該ガスと砥粒を、ハニカム構造体の端面に衝突させることができる「ガスバーナー装置」を用いて、ハニカム構造体の耐エロージョン性の評価を行った。具体的には、まず、作製したハニカム構造体の体積(cm3)、及び質量(g)を測定し、嵩密度(g/cm3)を算出した。次に、各実施例のハニカム構造体を缶体内に収納(キャニング)し、上記ガスバーナー装置から発生するガスがハニカム構造体の端面に対し45°で流入するようにセットした。次に、700℃、270m/secのガスに砥粒(炭化珪素「GC320(商品名)」、平均粒子径50μm)を投入し、砥粒の衝突量が15g/200secとなるように、当該砥粒をハニカム構造体の端面に衝突させた。ガスと砥粒を衝突させた後、ハニカム構造体を取り出し、ハニカム構造体の質量(g)を測定し、上記試験前後のハニカム構造体の質量差から、上記試験によって削られたハニカム構造体の量(エロージョン量)を算出した。その後、嵩密度(g/cm3)とエロージョン量(g)により、エロージョン体積(cm3)を算出した。このようにして、ハニカム構造体の耐エロージョン性の評価を行った。なお、バーナー装置としては、プロパンを燃料とするガスバーナーの燃焼ガスと、希釈空気との比率をコントロールすることにより、ガス温度を過渡的に変化可能なものを用いた。耐エロージョン性の評価においては、エロージョン体積が少ないほど良好である。耐エロージョン性の評価は、材料、ベースの気孔率およびセル構造が同一である、実施例と比較例の同一番号を比較し、実施例を基準として、比較例を以下の「A」〜「C」の3段階の評価基準にて行った。

耐エロージョン性の評価基準: 同一番号の実施例に対し、比較例のエロージョン量が50%以上増加している場合を「B」、100%以上増加している場合を「C」とした。逆に言えば、比較例が「B」評価の場合、同一番号の実施例は33%以上エロージョン量が減少していることになる。また、比較例が「C」評価の場合、同一番号の実施例は50%以上エロージョン量が減少していることになる。

[耐熱衝撃性] ハニカム構造体を直列4気筒、排気量2.0リットルのガソリンエンジンの排気ポートに、ハニカム構造体が把持、収容された金属キャンを接続した。なお、耐熱衝撃性の評価においては、各実施例及び比較例のハニカム構造体に対して、150g/Lの担持量となるように三元触媒を担持した。そして、三元触媒を担持したハニカム構造体を担体としたサンプルを、エンジンの直下に接続した。次に、図18に示すように、エンジン高速回転とIdleを繰り返した条件でエンジンを運転した。このとき、各実施例において、ハニカム構造体の入口側5mm位置における中央部の担体温度が、最高温度が1050℃、最低温度が100℃以下となるように温度調整を行った。なお、最高温度側はエンジン高速回転を調整して温度を合わせ、最低温度は冷却時にエアーを導入して温度調整を行った。この20分のエンジンの運転を1サイクルとし、これを300サイクル繰り返すことにより、耐熱衝撃性の試験を実施した。比較例については、各々実施例の同一番号と同じエンジン回転数、冷却時のエアー導入量の条件で試験を実施した。終了後、ガソリンエンジンから金属キャンを取り外し、その後、金属キャンからも担体を取り出し、ハニカム構造体の流入端面側および流出端面側におけるクラックの有無をそれぞれ目視にて観察した。表4においては、流入端面側の観察結果と、流出端面側の観察結果をそれぞれ示す。ここで、図18は、耐熱衝撃性の試験における、エンジンの運転時間(秒)とエンジン回転数(rpm)との関係を示すグラフである。

耐熱衝撃性の評価基準: クラックが確認されない場合を合格として、表4にて「OK」と示す。 クラックが確認された場合を不合格として、表4にて「NG」と示す。

[総合] また、以下の評価基準に基づいて、耐熱衝撃性の評価の総合評価を行った。結果を、表4に示す。 耐熱衝撃性の評価において、流入端面側及び流出端面側が共に「OK」の場合を、「A」とした。 耐熱衝撃性の評価において、流入端面側及び流出端面側の少なくとも一方が「NG」の場合を、「C」とした。

(比較例1〜26) セル構造、断面形状、外周の形状等を表5に示すように変更し、比較例1〜26のハニカム構造体を作製した。なお、比較例1〜26のハニカム構造体は、その外周の形状が、図2、図12〜図17のいずれかの形状に該当するもの、又は以下に記載するような形状のものであった。比較例5,10,11,24のハニカム構造体は、外径増大部を有さず、軸方向に直交する面の外径が、流入端面側から流出端面側において一定のものであった。このような形状のハニカム構造体について、表5の「外周の形状」の「参照図」の欄に、「長方形」と記す。また、比較例20のハニカム構造体は、外周の形状が、図2に示す形状の、流入端面と流出端面とが逆に配置されるような形状のものであった。このような形状のハニカム構造体について、表5の「外周の形状」の「参照図」の欄に、「図2(逆)」と記す。

比較例11,12,18〜20,22,25においては、隔壁と一体的に構成された外周壁を外周加工により取り除き、隔壁を囲繞するように外周コート材を塗工して外周コート層を形成した。また、比較例21〜26においては、セルのいずれか一方の端部を封止するように目封止部を配設してハニカム構造体を作製した。

比較例1〜26のハニカム構造体について、図6に示すP1〜P10のそれぞれの測定箇所の気孔率を測定した。気孔率の測定結果を表6に示す。また、気孔率の測定結果に基づいて、「P1,P3〜P5の平均値」と、「P6,P8〜P10の平均値」を求めた。結果を、表6に示す。

比較例1〜26のハニカム構造体について、P1〜P10のそれぞれの測定箇所の気孔率の値に基づき、流入端面及び流出端面における気孔率変化率(%)を、上記式(1)又は式(3)により算出した。結果を、表7に示す。

また、ハニカム構造部の流入端面の平均径Dx(mm)、及びハニカム構造部の流出端面の平均径Dy(mm)を求め、上記式(2)により平均径変化率を算出した。結果を、表7に示す。

比較例1〜26のハニカム構造体について、「耐エロージョン性」及び「耐熱衝撃性」の評価を、実施例1と同様の方法で行った。結果を、表8に示す。

(結果) 表4に示すように、実施例1〜26のハニカム構造体は、「耐エロージョン性」及び「耐熱衝撃性」の評価において、いずれも良好な結果を得ることができた。比較例1〜26のハニカム構造体は、ハニカム構造体の流入端面側及び流出端面側のうちの少なくとも一方にクラックが発生していた。例えば、比較例3,6,8,11,13,17,18等のハニカム構造体は、流入端面の気孔率変化率(%)が正の値を示しており、耐エロージョン性において良好な結果を得ることができたが、クラックの発生を抑制することはできなかった。

本発明のハニカム構造体は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等から排出される排ガスを浄化するための触媒を担持するための触媒担体や、ガソリンエンジンから排出される排ガス中の煤を捕集するためのフィルタとして利用することができる。

1:隔壁、2:セル、2a:流入セル、2b:流出セル、3:外周壁、4:ハニカム構造部、5:目封止部、11:流入端面、12:流出端面、15:緻密部、17:外径増大部、100,200,300,400,500,600,700,800:ハニカム構造体、P1,P3〜P5:外周領域(流入端面の外周領域)、P2:中央領域(流入端面の中央領域)、P6,P8〜P10:外周領域(流出端面の外周領域)、P7:中央領域(流出端面の中央領域)、Dx:流入端面の平均径、Dy:流出端面の平均径。

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