Benefit of water-reducing composition

申请号 JP2003576358 申请日 2003-03-10 公开(公告)号 JP4332434B2 公开(公告)日 2009-09-16
申请人 ダブリュー・アール・グレイス・アンド・カンパニー−コネチカット; 发明人 ジエクナボリアン,アラ・エイ; チユン,ビヨング−ワ; チユング,ジヨセフイン・ホー−ワー; デア,ベニタ; ポートヌーブ,シヤーロツト・ビー; ロバーツ,ローレンス・アール;
摘要
权利要求
  • (A)リグノスルホン酸もしくはこれの塩、アルドヘキソン酸もしくはこれの塩、ヘキスロン酸もしくはこれの塩、ヘキサ糖酸もしくはこれの塩、またはこれらの混合物、および (B)キシロン酸もしくはこれの塩形態、アラビノン酸もしくはこれの塩形態またはこれらの混合物を包含する少なくとも1種のアルドペントン酸もしくはこれの塩、
    を含んで成る組成物であって、
    この組成物がリグノスルホン酸もしくはこれの塩を含んで成る場合には、リグノスルホン酸もしくはこれの塩を5%以上から90%以下の量で含んで成り、かつ前記アルドペントン酸もしくはこれの塩が10%以上から95%以下の量で存在し、そして この組成物がリグノスルホン酸もしくはこれの塩を含有しない場合には、アルドヘキソン酸もしくはこれの塩、ヘキスロン酸もしくはこれの塩またはヘキサ糖酸もしくはこれの塩から成る群から選択されるC 6糖酸もしくは塩を含んで成っていて、C 6糖酸もしくはこれの塩を5%以上から70%以下の量で含んで成り、かつ前記アルドペントン酸もしくはこれの塩が30%以上から95%以下の量で存在し、ここで、あらゆるパーセントがこの組成物に入っている固体の乾燥重量が基になっている組成物。
  • 更にメタノールおよびエタノールから成る群から選択されるアルコールも含んで成っていて前記アルコールがこの組成物に入っている固体の乾燥重量を基準にして0.01%以上の量で存在するが前記アルコールが5.0%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
  • 更にセルロース繊維も含んで成っていて前記セルロース繊維がこの組成物に入っている固体の乾燥重量を基準にして0.01%以上の量で存在するが記セルロース繊維が5.0%以下の量で存在する請求項1記載の組成物。
  • 前記成分B中の前記少なくとも1種のアルドペントン酸がアラビノン酸、キシロン酸またはこれらの混合物を含んで成る請求項1記載の組成物。
  • 前記少なくとも1種のアルドペントン酸がキシロン酸である請求項1記載の組成物。
  • キシロン酸がこの組成物に入っている固体の乾燥重量を基準にして少なくとも30%の量で存在する請求項5記載の組成物。
  • 前記キシロン酸がこの組成物に入っている固体の乾燥重量を基準にして少なくとも50重量%の量で存在する請求項5記載の組成物。
  • 成分Bがキシロン酸とアラビノン酸を含んで成っていて前記キシロン酸が前記成分Bの50重量%より多い請求項1記載の組成物。
  • 前記アラビノン酸の量が組成物全体の30重量%以下である請求項8記載の組成物。
  • 更に少なくとも1種のアルドヘキソン酸またはこれの塩形態も含んで成る請求項1記載の組成物。
  • 前記少なくとも1種のアルドヘキソン酸がグルコン酸、マンノン酸、ガラクトン酸またはこれらの混合物を含んで成る請求項10記載の組成物。
  • 前記少なくとも1種のアルドヘキソン酸もしくはこれの塩形態がこの組成物に入っている固体の乾燥重量を基準にして0.1%以上の量で存在するが前記少なくとも1種のアルドヘキソン酸もしくはこれの塩形態が40%以下の量で存在する請求項10記載の組成物。
  • この組成物に入っている固体の乾燥重量を基準にしてキシロン酸もしくはこれの塩を10%以上の量であるがキシロン酸もしくはこれの塩を90%以下の量で含有し、グルコン酸もしくはこれの塩を10%以上の量であるがグルコン酸もしくはこれの塩を90%以下の量で含有して成る請求項1記載の組成物。
  • 水和性セメント質結合剤と請求項1記載の組成物を含んで成るセメント質組成物。
  • 前記水和性セメント質結合剤がポートランドセメント、メーソンリーセメント、モルタルセメント、石灰石、消石灰、フライアッシュ、高炉水砕スラグ・ポゾラン、シリカフューム、メタカオリンまたはこれらの混合物を含んで成る請求項14記載のセメント質組成物。
  • 更に骨材も含んで成っていて前記骨材が砂、砂利、砕石またはこれらの混合物を含んで成る請求項15記載のセメント質組成物。
  • 水和性セメント質組成物を改質する方法であって、セメント質材料を請求項1記載の組成物と一緒にすることを含んで成る方法。
  • 前記一緒にする段階が前記組成物をセメントクリンカに、前記クリンカを粉砕して水和性セメントを得る粉砕操作中に導入することを含んで成る請求項17記載の方法。
  • 前記一緒にする段階が前記組成物を水和性セメントに、前記水和性セメントに水を添加する前または添加した後に導入することを含んで成る請求項17記載の方法。
  • 更に非水和性粒子も多数含んで成る請求項1記載の組成物。
  • 说明书全文

    【技術分野】
    【0001】
    本発明は、和性セメント質材料(hydratable cementitious materials)を改質するための組成物、より詳細には、アルドペントン酸もしくはこれの塩を含有しかつ場合によりリグノスルホネート、アルドヘキソン酸もしくはこれの塩またはこれらの混合物を含有していてもよい組成物、そして前記組成物を製造する方法に関する。
    【背景技術】
    【0002】
    セメント質組成物、例えばモルタルおよびコンクリートなどの流動性(他に「スランプ」と呼ばれる)を最初に生じさせた組成物の水含有量を高くすることなく向上させるいろいろな添加剤が知られている。 そのような添加剤、即ち「混和材」(また、このようにも呼ばれる)は、これが前記目的で用いられる場合、「減水剤」または「超可塑剤」として分類分けされる。 そのような減水剤の中で最も一般的に用いられている化合物はリグニン−スルホネート化合物(また「リグノスルホネート」とも呼ばれる)であり、これは、木からセルロースを抽出する亜硫酸パルプ化法(sulfite pulping processes)で得られる。
    【0003】
    いわゆる亜硫酸パルプ化法は、二酸化硫黄(SO )と塩基水溶液を混合することで木を加熱処理するための生溶液(raw liquor)を生じさせることを伴う。 二酸化硫黄を水に入れると亜硫酸が生じ(SO +H O<−−−>H SO )、それがリグニンを減成させそして最終的にヒドロキシル基がスルホネート基に置き換わることでリグニンがスルホン化されることで可溶化し、それを沈澱していない形態でセルロースから分離する。 その結果としてもたらされる液は「亜硫酸パルプ廃液」(SSL)と呼ばれ、これにはリグノスルホネートと糖、主に単糖が入っており、前記リグノスルホネートをコンクリート減水用添加剤として有効に用いるには前記糖を除去するか或は崩壊させる必要がある。 さもなければ、前記リグノスルホネートに付随して存在する高濃度の糖がコンクリートの硬化を有意に遅らせ、初期硬化時間の実質的な遅れの方が減水の利点よりも勝る点にまで遅らせる可能性がある。 糖を除去しておかないと、それが通常は崩壊(例えば減成、分解などによって)しそしてリグノスルホネートがコンクリートの中で示す機能が評価できるほどの利益を示さなくなってしまう。
    【発明の開示】
    【発明が解決しようとする課題】
    【0004】
    本発明の目的の1つは、農業残渣(例えば植物、木および他のセルロース含有材料)に存在するアルドース糖を有用な酸もしくは塩形態に転化させることでリグニンおよび/またはリグノスルホネートを含有する組成物を生じさせることにある。 本発明者らは、アルドン酸類はセメントを分散させる優れた能を有し、従って、リグノスルホネートが特に減水用添加剤として果たす機能を「有益にする(beneficiate)」能力を有すると考えている。
    【0005】
    本発明の別の目的は、農業材料からリグニンまたはリグノスルホネートを回収する回収中に糖を除去または崩壊させる文字通りの段階およびそれに付随する費用を回避することにある。 取り出された糖は甘味剤として用いられる。 典型的には酵母を用いて糖を除去することが行われている。 さもなければ、糖にアルカリによる酸化を受けさせてそれを崩壊させることで小型有機酸と二酸化炭素と水を生じさせることが行われている。 しかしながら、本発明者らは、糖を除去することも崩壊させることもなく、その代わりに、環境に優しくて効率の良い酵素もしくは生物学的手段を用いて糖に転化することを提案する。 粗リグノスルホネートに入っている糖はアルドース、例えばペントースおよびヘキソースなどであり得る。
    【0006】
    本発明のあまり重要ではない別の目的は、アルドペントース糖をアルドペントン酸(またはこれらの塩)が豊富な組成物、特にキシロン酸が豊富な組成物に転化することにある。 他の典型的な組成物は更にアルドヘキソン酸もしくはこれの塩(例えばグルコン酸/グルコン酸塩)も含んで成る。 本発明者らは、驚くべきことに、用量レベルを等しくした時にキシロン酸(またはこれの塩形態)[これはキシロース糖の酸化で入手可能]が硬化を遅らせる度合の方がグルコン酸もしくはグルコン酸塩(これは以前から減水剤としてコンクリート産業で知られていた)が硬化を遅らせる度合よりも低いことを見いだした。 本発明の好適な組成物は転化された糖を20:1から1:10の比率[アルドペントン酸/塩:アルドヘキソン酸/塩(重量)]で含んで成る。
    【0007】
    本発明のさらなる目的は、アルドン酸有益化(aldonic acid−beneficiated)リグノスルホネート含有組成物を生じさせることを可能にすると同時に他の源(例えばコーンシロップ、糖蜜)に由来する糖も同様に水和性セメント質材料が有する1つ以上の特性を改善するに有益な副生成物に転化させ得ることでそれらを添加した場合にも使用可能な方法を提供することにある。
    【課題を解決するための手段】
    【0008】
    (発明の要約)
    本発明は、従来技術の欠点を克服して、水和性セメント質材料が有する1つ以上の特性を改善する組成物を提供しかつ前記組成物を製造する方法も開示する。
    【0009】
    本発明の典型的な組成物は、(A)リグノスルホン酸もしくはこれの塩、アルドヘキソン酸もしくはこれの塩、ヘキスロン酸もしくはこれの塩、ヘキサ糖酸もしくはこれの塩、またはこれらの混合物、および(B)少なくとも1種のアルドペントン酸もしくはこれの塩を含んで成る。
    【0010】
    別の典型的な組成物は、リグノスルホン酸もしくはこれの塩(例えばリグノスルホネート)と少なくとも1種のアルドペントン酸(例えばキシロン酸)もしくはこれの塩と場合によりアルドヘキソン酸(例えばグルコン酸)もしくはこれの塩を含んで成る。
    【0011】
    前記組成物を製造する本発明の典型的な方法は、農業残渣、例えばトウモロコシ繊維(例えば穂軸、茎および/または皮)、バガス、わら、竹、もみ殻、小麦殻、広葉樹材チップ、広葉樹材鋸屑、新聞用紙または再生紙またはこれらの混合物などに微生物または酵素による酸化過程を受けさせることを伴う。 前記酸化で生じた生成物を用いて、セメント質材料、例えばコンクリートなどで用いるに適すると同時に過度の遅延をもたらさない減水用組成物を生じさせる。 その理由は、そのような副生成物を得るに好適な方法はアルドース糖を崩壊させることもそれらを農業残渣から除去することもなく、その代わりに、それらをリグニンおよび/または他のアルドース糖のバイオマス源(ヘミセルロース加水分解物溶液に入っている如き)および/またはリグノスルホネート(亜硫酸パルプ廃液に入っている如き)と一緒にインサイチューで処理することを可能にするからである。
    【0012】
    さらなる典型的な態様では、前記農業残渣の酸化処理に場合により追加的アルドース糖(例えばコーンシロップ、外部源に由来する糖蜜)を導入することで所望のアルドン酸副生成物の収率を向上させてより高くすることができる。 従って、本発明の典型的な方法は、アルドース糖をアルドン酸もしくは塩に転化する機能を有する微生物または酵素を(A)主に少なくとも1種のアルドースもしくはアルドウロース(aldourose)を含有、好適には少なくとも1種のアルドペントース糖を含有するヘミセルロース加水分解物(HH)溶液、(B)リグノスルホネートと少なくとも1種のアルドース糖(例えば好適にはアルドペントース糖)を含んで成る亜硫酸パルプ廃液(SSL)、または(C)(A)と(B)の溶液の混合物に導入しそして少なくとも1種のアルドン酸もしくはこれの塩を得ることを含んで成る。 従って、本発明は、更に、前記方法を用いて生じさせた組成物(例えばリグノスルホン酸もしくは塩がアルドン酸、例えばグルコン酸、キシロン酸、これらの塩またはこれらの混合物と組み合わされている)にも向けたものである。
    【0013】
    典型的なさらなる方法は、更に、アルドース糖をアルドン酸に転化させた後に前記亜硫酸処理溶液(sulfite process liquor)を水和性セメント質組成物に導入することも含んで成る。
    【0014】
    本発明者らは、驚くべきことに、キシロン酸は水和性セメント質材料の中で有益な減水能力を示すが特定の用量レベルにするとグルコネートが示す不利な硬化遅延性質を示さないことを見いだした。 キシロン酸およびこれの誘導体は、空気連行問題をもたらさない点でさらなる利点を有する。 現在のところ、キシロン酸を製造するに適する広く知られている方法も経済的に有利な方法は全く商業化されていない。 しかしながら、本発明者らは、特定の農業残渣、例えばコーンストーバー(corn stover)などを酸化転化でキシロン酸を生じさせる時の多量なキシロース源にすることができそしてそのような特別な農業残渣はリグニンをほとんどか或は全く含有しないことを認識している。
    【0015】
    従って、本発明は、また、キシロン酸を含有しかつ場合により他のある種の通常混和材、例えば減水剤(例えばリグノスルホネート)、超可塑剤(例えばポリカルボキシレート型)、はっ水剤、腐食抑制剤、収縮ひび割れ剤(shrinkage cracking agents)などを含有していてもよい組成物も請求する。
    【0016】
    本発明の典型的なさらなる組成物に入っているペントース糖成分は主にキシロン酸もしくはこれの塩であり、従って、その量はアラビノン酸もしくはこれの塩(もしあれば)の量以上である。 従って、そのような典型的なさらなる組成物に入っているキシロン酸/塩:アラビノン酸/塩の量の比率は1:0から1:1である。 本発明のさらなる利点および特徴を本明細書の以下に記述する。
    (典型的な態様の詳細な説明)
    本発明の1番目の典型的な組成物はリグノスルホネートと少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩と場合により少なくとも1種のアルドヘキソン酸もしくは塩を含んで成り、この組成物は、水和性セメント質材料を改質するのに有用である。 この詳細な説明の章の最初の部分では、リグニンが基になった方法に焦点を当て、この方法では、結果として生じる組成物の中にリグノスルホネートが現れる。 リグニンは、セルロース材料、例えば木および植物などの細胞壁と細胞壁の間の特徴的な結合成分であり、それが本目的の適切な出発点である。 しかしながら、この詳細な説明の章の後ろの部分で、本発明者らは、本発明の方法を用いて実質的に高純度のアルドペントン酸/塩(リグニンもリグノスルホネートも含有しない)を生じさせそしてそれをセメントおよびコンクリートを改質する時に用いるに適していて通常に混合される添加剤および混和材を製造する目的で用いることを可能にする方法に焦点を当てる。
    【0017】
    蒸解装置を用いてリグノセルロースバイオマス(lignocellulosic biomass)に酸による加水分解を受けさせることで不溶部分、例えばセルロース[これは紙製品、例えばパパー(papper)などを製造する目的で分離可能である]と可溶部分(これはリグニンとヘミセルロースを含有する加水分解物溶液である)にする。 ヘミセルロースは糖類および糖重合体、例えば単糖類、オリゴ糖類および多糖類を含有する。 リグノスルホネートを生じさせる時の処理は、加水分解物を亜硫酸塩と一緒にして高温で処理することでリグニンにスルホン化を受けさせ(それによってリグノスルホネートが生じ)かつヘミセルロースを単糖に分解させることを除いて類似している。
    【0018】
    図1(a)および1(b)に、リグノセルロース材料(例えば木、草、穀類の廃棄物、廃紙)を有用な製品に転化させる従来技術の方法を示す。 図1(a)に従来技術の酸性亜硫酸パルプ化処理(acid sulfite pulping process)を示しそして図1(b)に希酸による加水分解を利用した従来技術の処理を示す。 両方の処理とも、典型的に、糖副生成物に酵母による発酵を受けさせてエタノールを生じさせるか或はそれを分離した後に処理して甘味剤製品(ヒトまたは動物消費用)に加工することが行われている。
    【0019】
    図1(a)の処理では、蒸解装置に酸性亜硫酸塩を入れて、その中で木および他のリグノセルロース材料に処理を受けさせる。 そのような処理の不溶材料はセルロース繊維を含有し、それを取り出して紙および紙製品の製造で用いる一方、可溶部分はスルホン化リグニン(リグノスルホネート)と単糖類を含有する。
    【0020】
    しかしながら、本発明者らは、本発明の典型的な方法において、図2(a)に示すように、農業残渣に含まれているアルドース糖を除去することも崩壊させることもしないで、その代わりに、それらをリグノスルホネートと一緒にインサイチュー処理することでアルドースをアルドン酸に転化することを提案する。 本発明者らは、結果として生じたアルドン酸はこれら自身またはリグノスルホネートと組み合わされた状態で水和性セメント質組成物の中に混合された時に減水能力を示すことを見いだした。
    【0021】
    この上で述べたように、図1(b)に従来技術の方法を示し、その方法では、リグノセルロース材料(セルロース、ヘミセルロース)に希酸による加水分解を受けさせてヘミセルロース加水分解物(糖を含有する)に転化した後、その加水分解物に通常は発酵を受けさせてエタノールを生じさせる。 多糖類であるヘミセルロースは植物繊維の非セルロース成分である。 ヘミセルロースの1種はキシランであり、これは主にD−キシロースと少量の他の糖と糖酸の重合体である。 そのようなリグノセルロース材料に希酸による加水分解を受けさせた後に不溶なセルロースおよびリグニンを除去すると可溶なヘミセルロース加水分解物が残存し、これは主にD−キシロースおよび他の糖の単量体(およびオリゴマー)を含有する(加うるに、リグニンに由来する数種のいろいろな芳香化合物も含有する)。 典型的には、そのようなヘミセルロース加水分解物に酵素または微生物を用いた発酵を受けさせることでエタノールを得ることが行われている[図1(b)の下部を参照]。
    【0022】
    本発明の典型的な方法を図2(b)に示し、この中で、本発明者らは、ヘミセルロース加水分解物を特に被子植物種および広葉樹材から抽出した時にはそれを生物変換性(bio−converting)アルドース糖内容物をアルドン酸(もしくはこれらの塩)、特にアルドペントン酸もしくは塩[これは水和性セメント質材料、例えばコンクリートおよびモルタルなどで用いられた時に減水能力を示す]にするための前駆体として用いることを提案する。
    【0023】
    本発明の典型的な方法は、アルドペントース糖をアルドン酸もしくは塩に転化する機能を有する微生物または酵素を(A)リグニンと少なくとも1種のアルドペントース糖を含んで成るヘミセルロース加水分解物溶液、(B)リグノスルホネートと少なくとも1種のアルドペントース糖を含んで成る亜硫酸パルプ廃液、または(C)(A)と(B)の溶液の混合物に導入しそしてアルドペントース糖1種または2種以上に転化した後に少なくとも1種のアルドン酸もしくはこれの塩を得ることを含んで成る。
    【0024】
    アルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸などに転化し得るアルドペントース糖が豊富な組成物を得るにはアルドペントースもしくはこれらの前駆体の含有量が高い「農業残渣」材料からヘミセルロース加水分解物溶液および/または亜硫酸パルプ廃液を生じさせる必要がある。
    【0025】
    従って、本発明の方法で用いるに有用な好適な「農業残渣」には、選択した植物および木材料および副生成物が含まれ、それらには、これらに限定するものでないが、トウモロコシ粉砕廃棄物[例えばトウモロコシの茎、トウモロコシの皮、トウモロコシの穂軸、コーンスティープリカー(corn steep liquor)];バガス(サトウキビまたはブドウ残渣);もみ殻;小麦殻(種子から分離された残渣);草(例えばアルファルファ、アフリカハネガヤ、ネピアグラスなど);穀類のわら;モロコシ;広葉樹材(例えば樺材、カエデ材、ユーカリ材など);竹;広葉樹材含有量が少なくとも1から100重量%の再生新聞用紙または他の褐色紙が含まれる。
    【0026】
    本発明で用いるに有用な他の典型的な農業残渣では、好適には、酸による加水分解後の副生成物の中にリグニンもリグノスルホネートも実質的にほとんどか或は全く存在しないようにそれを選択すべきである。 例えば、コーンストーバーはアルドペントン糖(キシロース)が豊富に存在するがリグニン含有量はほとんどゼロであるか或はゼロであると考えている。 別の好適な農業残渣はサトウキビであり、これにはリグニンがほとんどか或は全く入っていないと考えている。
    【0027】
    そのような農業残渣材料に入っているアルドース糖を微生物学的または酵素的に有機酸、糖アルコールまたは溶媒(例えばエタノール)などに転化することができる。 アルドン酸はアルドースの酸化で生じる糖酸である。 文献では、微生物、例えばグルコノバクター属、シュードモナス属およびアセトバクター属などを用いてアルドースからアルドン酸を酸化代謝で産生させることを達成することができる。 前記および他が下記の文献の中で注目されてきた:
    アセトバクター種(Bernhauer,K.およびRiedl−Tumova,E.(1950)、Biochem.Z.321、26−30頁)
    アスペルギルス(Faroneの米国特許第5,620,877号に示されている)
    黒酵母(Anastassiadisのドイツ特許第4317488号に示されている)
    クロストリジウム種(Faroneの米国特許第5,620,877号に示されている)
    エンテロバクター・クロアセア(Enterobacter cloacea)(Ishizaki,H.、Ihara,T.およびYoshitake,J.1973)、日本農芸化学会誌 47、755−761頁エルウィニア種(Erwinia sp.)(Suzuki他、Agric.Biol.Chem.29(1965)、462−470頁、Uchida他、日本農芸化学会誌49(1975)257−262頁フサリウム・リニ(Fusarium lini)(Hayasida他、Boichem.Z.298(1938)、169−178頁;
    ミクロコッカス種[Ohsugi他、Agric. Biol. Chem. 34(1970)、357−363頁]
    グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter Oxydans)[Buchert,J. 、「Biotechnical Oxidation of D−xylose and Hemicellulose Hydrolyzates by Gluconobacter Oxydans」、Techinical Research Centre of Finland、Publications 70(Espoo、1990年11月)17−20頁]
    乳酸桿菌属(Faroneの米国特許第5,620,877号に示されている)
    ミクロコッカス種(Ohsugi他、「Oxidative Dissimilation by Micrococcus sp. Of D−xylose into D−xylonic Acd」)
    ペニシリウム・コリロフィルム(Penicillium corylophilum)[Ikeda他、日本農芸化学会誌 39(1963)、514−517頁]
    ピキア・クエルクム(Pichia quercuum)[Suzuki他、Appl. Microbiol. 25(1973)、850−852頁プロピオン酸菌属(Faroneの米国特許第5,620,877号に示されている)
    シュードモナス種[Lockwood他、G. E. N. J. Bacteriol. 52(1946)、581−586頁;またYokosawa他、日本農芸化学会誌 26(1952)、415−420頁も参照シュードモナス・フラギ(Pseudomonas fragi)[J. Buchert他、「Production of Xylonic Acid by Pseudomonas Fragi」、 Biotechnology Letters 、8巻、No. 8(1986)、541−546頁]
    プルラリア・プルランス[Kiessling他、Acta Chem. Scand. 16(1962)、1858−1862頁];Sasaki他、J. Ferment. Technol. 48(1970)、368−373頁ザイモモナス菌(Faroneの米国特許第5,620,877号に示されている)。
    この上に挙げたリストは排他的であることを意図するものでない。 アルドースの酸化的消化に好適な有機体には、グルコノバクター・オキシダンス、シュードモナス・フラギおよびプルラリア・プルランスが含まれる。
    【0028】
    別法として、アルドースオキシダーゼ酵素、例えばグルコースオキシダーゼ(EC1.1.1.118;EC1.1.1.119;EC1.1.1.47;EC1.1.3.4;EC1.199.10;EC1.1.99.17);キシロースオキシダーゼ(EC1.1.1.175;EC1.1.1.179;EC1.1.3.5);またはアルドースオキシダーゼ(EC1.1.1.121)などを用いた酵素による転化によりアルドースからアルドン酸の生産を達成することも可能である。
    【0029】
    従って、水和性セメント組成物が有する1つ以上の特性を改善するに有用な組成物は、アルドペントース(例えばキシロース、アラビノース)および場合によりアルドヘキソース(例えばグルコース、ガラクトース、マンノース)から生じさせた少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩を含んで成る。 好適なアルドペントン酸/塩はキシロン酸である。 上述した微生物の1種とアルドースを一緒にして水性懸濁液を生じさせることにより酸化を達成してもよいが、場合により、好適には、糖蜜、コーンシロップまたはグルコースを補充することで、前記微生物が要求する如き酸化代謝用燃料を供給してもよく、そして/またはアルドースと1種以上のオキシダーゼ酵素を一緒にして水性懸濁液を生じさせることにより酸化を達成することも可能である。
    【0030】
    酵素を用いてグルコースをグルコン酸に転化する方法の実例の説明をVroemen他の米国特許第5,897,995号に見ることができる一方、微生物の活性を用いたグルコース転化方法をAnastassiadis他のドイツ特許番号DE 4317488に見ることができ、これらは全部引用することによって本明細書に組み入れられる。 高純度のキシロースを用いたキシロース転化をヘミセルロース加水分解物の中で微生物の活性によって起こさせる方法をBuchert,J. 、「Biotechnical Oxidation of D−xylose and Hemicellulose Hydrolyzates by Gluconobacter Oxydans」、Technical Research Center of Finland、Publications 70(Espoo、1990年11月)(これもまた引用することによって本明細書に組み入れら)に見ることができる。
    【0031】
    好適には、農業残渣、例えば広葉樹材などを亜硫酸パルプ粉砕処理する結果としてセルロースから分離した亜硫酸処理液の中に上述した微生物の中の少なくとも1種を導入することで微生物による酸化を達成する。 従って、そのような亜硫酸処理液は単糖類とリグノスルホネートを含有する。 しかしながら、本発明者らは、そのような単糖類を除去する代わりに、前記亜硫酸処理液をアルドース糖源として用いることができ、それに微生物による酸化を受けさせてアルドン酸を生じさせた後に減水用添加剤として水和性セメント質組成物の中に直接混合することができる(そのようにしないと転化されていない糖が過度の硬化遅延特性を示すが、そのようにすると、それを回避することができることで、前記処理液を「有益にする」ことができる)と考えている。 また、前記亜硫酸処理液に更に追加的アルドースもしくはアルドン酸を補充して前記処理液を更に有益にすることも可能である。
    【0032】
    従って、本発明の典型的な方法は、広葉樹材のパルプ製造によってもたらされた亜硫酸処理液(これは亜硫酸処理液に固有のアルドース糖および/または補充したアルドース糖を含有する)にアルドース糖に代謝を受けさせてアルドン酸を生じさせる機能を有する微生物または酵素を導入することを含んで成る。 場合により、針葉樹材を広葉樹材と一緒に混合してもよい。
    【0033】
    従って、水和性セメント質材料が有する1つ以上の特性を改善するに適した典型的な組成物は、(A)リグノスルホン酸もしくはこれの塩、アルドヘキソン酸もしくはこれの塩、ヘキスロン酸もしくはこれの塩、ヘキサ糖酸もしくはこれの塩、またはこれらの混合物、(B)少なくとも1種のアルドペントン酸もしくはこれの塩を含んで成る。 前記成分(A)を好適には5−90%、より好適には5−70%の量で存在させる[本明細書に示すパーセントは当該組成物に入っている固体の乾燥重量(dry weight solids)が基になっている]。 例えば、典型的な組成物はリグノスルホン酸もしくは塩とアルドペントン酸もしくはこれの塩と場合によりアルドヘキソン酸もしくはこれの塩を含んで成る。
    【0034】
    別の典型的な方法では、アルドペントース糖を転化する前に糖源、例えばグルコース、コーンシロップおよび糖蜜などをHHまたはSSL溶液の中に混合してもよい。 これは、例えばさらなる糖酸副生成物を供給しそして/または微生物用代謝燃料を供給する目的などで実施可能である。 例えば、グルコースをHH溶液にか、SSL溶液にか或はキシロース汁に混合(リグニンを含有しない農業廃棄物、例えばコーンストーバーなどの場合)することで、アルドペントースがアルドン酸/塩になる生物転化を助長してもよい、と言うのは、特定の微生物は代謝の支持でグルコースを要求するからである。 Buchertは「Biotechnical Oxidation of D−xylose and Hemicellulose Hydrolyzates by Gluconobacter Oxydans」、Technical Research Center of Finland、Publications 70(Espoo、1990年11月)の中でグルコノバクター・オキシダンス・サブオキシダンス(Gluconobacter oxydans sub oxydans)の代謝を支持するにはキシロースにグルコースを5%添加する必要があったと述べている。 従って、本発明者らは、アルドペントースとアルドヘキソース糖を組み合わせるとある場合には微生物による転化にとってより良好な酸化環境が得られる可能性があると考えている。
    【0035】
    典型的なさらなる組成物はアルコール、例えばメタノールおよびエタノールなどをこの組成物に入っている固体の乾燥重量を基準にして好適には0−5%、より好適には0.01−2.0%の量で含んで成り得る。
    【0036】
    典型的なさらなる組成物はセルロース繊維をこの組成物に入っている固体の乾燥重量を基準にして0−50%、より好適には0.01−2.0%の量で含んで成り得る。
    【0037】
    成分(B)のアルドペントン酸もしくは塩はアラビノン酸、キシロン酸またはこれらの混合物、好適にはキシロン酸を含んで成り得る。 上述したように、キシロン酸を本組成物に乾燥固体重量を基準にして好適には少なくとも10%、より好適には少なくとも30%、最も好適には少なくとも50%の量で存在させる。 さらなる組成物は少なくとも1種のアルドヘキソン酸を含んで成るが、これはグルコン酸、マンノン酸、ガラクトン酸、これらの塩またはこれらの混合物であってもよい。
    【0038】
    本発明の典型的なセメント質組成物は、少なくとも1種の水和性セメント質結合剤(binder)と少なくとも1種のアルドペントン酸、例えばキシロン酸もしくはこれの塩を有し、加うるに場合によりリグノスルホン酸もしくはこれの塩、アルドヘキソン酸もしくはこれの塩またはこれらの混合物を有していてもよい。 そのようなセメント質結合剤含有組成物に更に微細および/または粗骨材を含有させてもよい。 本発明は、また、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩をセメント質結合剤に導入、例えばそれをクリンカーを粉砕して水和性セメントを得る粉砕(intergrinding)操作中のセメント質結合剤に導入することなどでか、或は例えば水を添加してセメント質結合剤を水和させる前、水和させている間または水和させた後にアルドペントン酸もしくは塩を水和性セメント結合剤と一緒にすることなどで、水和性セメント質組成物に改質を受けさせる方法も提供する。
    【0039】
    本発明は、また、上述したリグノスルホン酸もしくは塩と少なくとも1種のアルドペントン酸もしくはこれの塩を入れておいた水和性セメント質材料も提供する。 本明細書では、水和性セメント結合剤(hydratable cement binder)を含んで成る乾燥した粉末ばかりでなくペースト、モルタル、ショットクリート、グラウト、例えば油井接着用グラウト(oil well cementing grouts)およびコンクリート組成物などを指す目的で用語「セメント」および「セメント質組成物」(これは「セメント組成物」と同義語であり得る)を用いる可能性がある。 用語「ペースト」、「モルタル」および「コンクリート」は本技術分野の用語であり、ペーストは、水和性セメント結合剤(排他的ではなく、通常は、ポートランドセメント、石膏、メーソンリーセメントまたはモルタルセメントであり、また、石灰石、消石灰、フライアッシュ、高炉水砕スラグ、ポゾラン、シリカフューム、メタカオリン、またはそのようなセメントに通常入れられる他の材料も含有し得る)と水で構成されている混合物であり、モルタルは、追加的に微細骨材(例えば砂)も含有するペーストであり、そしてコンクリートは、追加的に粗骨材(例えば砕石砂利、石)も含有するモルタルである。
    【0040】
    本発明のセメント質組成物を生じさせる時、生じさせるべき個々のセメント組成物の作成に適用可能な限り、必要な量の特定材料、例えば水和性セメント、水および場合により微細骨材(例えば砂)、粗骨材(例えば砕石または砂利)または微細骨材と粗骨材の両方の混合物を混合することで本発明のセメント質組成物を生じさせることができる。
    【0041】
    この上で述べたように、本発明者らは、リグニンを実質的に含有しないコーンストーバーに微生物および/または酵素転化により酸化減成を受けさせることで実質的に高純度のキシロースを得ることができると認識する。 用量レベルを等しくした時にキシロン酸の方がグルコン酸よりももたらす遅延度合が低いことでセメント質材料用の減水用添加剤として有利であることを本発明者らが見いだしたことに加えて経済的規模でも幅広く普及した規模でもキシロン酸を製造する商業的方法が存在しないと言った背景の範囲内で、本発明は、また、主にキシロン酸(もしくは塩)と場合により他の少なくとも1種の成分(これはキシロースをキシロン酸に転化する前、転化させている間または転化させた後にキシロースと一緒に添加可能である)を含んで成る添加剤および混和材組成物(セメント質材料で用いられる)も提供する。
    【0042】
    従って、典型的な組成物は、キシロン酸を乾燥固体重量で表して10−100%の量で含有し、場合によりリグノスルホネート、アルドヘキソン酸(例えばグルコン酸)もしくはこれの塩または通常のセメント用添加剤および混和材から選択される1種以上の材料を含有する。 そのような添加剤もしくは混和材には、例えばポリカルボキシレート型の超可塑剤、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルカリもしくはアルカリ土類金属の塩(例えば亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム)、または相乗的利点を達成する可能性がある他の混和材が含まれ得る。
    【0043】
    従って、本発明の別の典型的な方法は、アルドペントース糖をアルドン酸もしくは塩に転化する機能を有する微生物または酵素をリグニンを実質的な量で含有しない農業残渣(例えばコーンストーバー、トウモロコシの穂軸)に酸による加水分解を受けさせることで得た副生成物材料の中に導入しそしてリグニンもリグノスルホン酸も実質的に含有しないアルドペントン酸もしくは誘導体(例えばキシロン酸もしくは塩)を得ることを含んで成る。 従って、本発明者らは、実質的に高純度のキシロン酸を得ることができかつそれを例えばセメント質材料用の減水用添加剤または混和材として用いることができると考えている。 前記糖に酸化を受けさせる前または後に他の源(例えばコーンシロップ、糖蜜、グルコース)に由来する糖を一緒にして注文に合った副生成物混合物を得ることにより、本方法に修飾を受けさせることも可能である。
    【0044】
    糖を糖酸に転化した後にアルドン酸を他の添加剤と一緒にしてもよい。 そのような他の添加剤には、例えば下記の材料の中の1種以上が含まれ得る:糖蜜、メラミンスルホネートホルムアルデヒド重合体、ナフタレンスルホネートホルムアルデヒド重合体、アルカリもしくはアルカリ土類の塩化物、臭化物、蛋白質、アルカノールアミン、トール油脂肪酸、脂肪酸またはこれの誘導体、脂肪エステルまたはこれの誘導体、アルカリもしくはアルカリ土類のヒドロキシカルボン酸塩、即ちグルコン酸、グルコヘプトン酸、クエン酸、酒石酸、粘液酸、リンゴ酸、サリチル酸、リグノスルホン酸の塩、染料、スクロース、グルコース、コーンシロップ、サルコシンナトリウム、アルコール、フェノール、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、直鎖アルキレートスルホン酸ナトリウム、ホルムアルデヒド、シリカ、ジグリシネート、オキシアルキレン基含有重合体、蟻酸カルシウム、蟻酸、シロキサン、界面活性剤、樹脂およびロジン酸、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アルミン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、ホスホン酸塩、乳酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、しゅう酸塩、ヘキサシアノ鉄酸塩およびこはく酸塩、グリコール、ホウ酸エステル、ホスホン酸エステル、燐酸エステル、フェノールおよびこれの誘導体、天然ゴム、澱粉、またはこの上に示したいずれかの誘導体(例えば塩)。 別法として、前記アルドース糖と上述した添加剤を一緒にした後に本発明の手順を用いて前記アルドース糖に酸化を受けさせることも可能であるが、但し前記添加剤の方が前記アルドース糖よりも容易には酸化されないことを条件とする。
    【0045】
    キシロン酸もしくはこれの塩形態を含んで成る本発明の組成物に、更に、少なくとも1種の混和材、例えば硬化促進剤、遅延剤、空気吐出剤(air detrainer)、空気連行剤、アルカリ反応性低下剤、結合用混和材、減水用混和材、超可塑剤、着色剤、腐食抑制剤、防湿用混和材、気体発生剤、透過性低下剤、ポンピングエイド(pumping aid)、殺菌・殺カビ用混和材、殺菌用混和材、殺虫用混和材またはこれらの混合物などを含有させてもよい。 この上に示した混和材は本技術分野で一般に知られており、例えばW. R. Grace & Co. −Conn. の国際特許出願番号PCT/US98/17441(引用することによって本明細書に組み入れられる)などに記述されている。
    【0046】
    ポリカルボン酸型の超可塑剤はコンクリート技術分野で通常公知である。 本発明のアルドペントン酸/塩組成物と組み合わせて用いることを意図する典型的なポリカルボン酸/塩型の超可塑剤には、いわゆる「EP/POタイプの櫛形重合体」が含まれるが、この用語は、カルボキシレート基(これはセメント質混合物の中でセメントをつなぎ止める基として機能すると考えている)とエチレンオキサイド(EO)基、プロピレンオキサイド(PO)基および/またはEP/PO基の組み合わせの両方(これらは櫛形重合体のバックボーンの中に存在するか或はより好適にはバックボーンに結合しているペンダント型基の中に存在する)が結合しているバックボーン、例えば炭素バックボーンなどを有する重合体を意味しかつ指す用語である。 そのようなペンダント基はイオン性または非イオン性であり得る。 EP/POタイプの櫛形重合体である超可塑剤および減水剤の例がJardine他の米国特許第6,352,952号、Darwin他の米国特許第5,393,343号ばかりでなく米国特許第4,946,904号、米国特許第4,471,100号、5,100,984号および5,369,198号に考察または記述されており、前記特許に記述されている櫛形重合体は、例えば、ポリカルボキシル単量体、例えばマレイン酸もしくは無水物と重合性EP/PO含有単量体、例えばポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルなどの共重合体などである。
    【0047】
    本発明の典型的なさらなる組成物は、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸などと少なくとも1種のオキシアルキレン基含有化合物、好適には繰り返すエチレンオキサイド(EO)基、ポリエチレンオキサイド(PO)基またはこれらの混合物を有するポリオキシアルキレン化合物を含有する。 そのようなオキシアルキレン基含有化合物にセメントをつなぎ止める基、例えばカルボキシレート部分などを更に持たせると、それらは、この上に記述したように、超可塑剤または減水剤として機能し得る。 そのようなオキシアルキレン基含有化合物は、また、空気連行剤および/または収縮低下剤としても機能し得る。 オキシアルキレン型収縮低下剤の例が例えば米国特許第5,556,460号および5,938,835号(これらは引用することによって本明細書に組み入れられる)などに開示されている。
    【0048】
    本発明の典型的なさらなる組成物は、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸などを少なくとも2種類のオキシアルキレン基を含有する組成物、例えばセメント質組成物を流動させる機能を有する1番目の基と水和性セメント質組成物が示す収縮もしくは収縮ひび割れを低下させる機能を有する2番目の基を含有する組成物などと組み合わせて含有する。
    【0049】
    本発明の典型的な別の組成物は、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸もしくはこれの塩などをアルカノールアミン添加剤(もしくは混和材)[これには、これらに限定するものでないが、トリエタノールアミン(TEA)、メチル(ジエタノール)アミン、ジエタノールイソプロパノールアミン(DEIPA)、トリイソプロパノールアミン(TIPA)、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン(THEED)および他のアルカノールアミンが含まれる]と組み合わせて含有する。 キシロン酸もしくはこれの塩(「XA」)をXA:アルカノールアミン添加剤の比率が100:1から1:1、より好適には2:1から10:1であるように用いてもよい。 そのようなアルカノールアミンは、例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−プロパノールアミンまたはN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N−(ヒドロキシエチル)アミンであってもよい。 従って、本発明の典型的なセメント質組成物は水和性セメント質結合剤とXA/アルカノールアミン添加剤組み合わせを含有してもよく、存在させるXAの量を前記セメント質結合剤の重量を基準にした乾燥重量で表して0.005から0.5%にする。
    【0050】
    本発明の別の典型的な組成物は、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸もしくはこれの塩などをヒドロキシル基および/またはイオン基を少なくとも1個有するアミン添加剤(または混和材)[これには、これらに限定するものでないが、サルコシンおよびグリシンが含まれる]と組み合わせて含有する。 キシロン酸もしくはこれの塩(「XA」)をXA:アミン添加剤の比率が100:1から1:1、より好適には10:1から3:1であるように用いてもよい。 従って、本発明の典型的なセメント質組成物は水和性セメント質結合剤とXA/添加剤組み合わせを含有してもよく、存在するXAの量を前記セメント質結合剤の重量を基準にした乾燥重量で表して0.005から0.5%にする。
    【0051】
    本発明の別の典型的な組成物は、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸もしくはこれの塩などをアルカリもしくはアルカリ土類のヒドロキシカルボン酸塩、即ちグルコン酸、グルコヘプトン酸、クエン酸、酒石酸、粘液酸、リンゴ酸およびサリチル酸の塩から成る群から選択される添加剤(または混和材)と組み合わせて含有する。 キシロン酸もしくはこれの塩(「XA」)をXA:添加剤の比率が1:99から99:1、より好適には3:10から10:3であるように用いてもよい。 従って、本発明の典型的なセメント質組成物には水和性セメント質結合剤とXA/添加剤組み合わせを含有させてもよく、XAの量を前記セメント質結合剤の重量を基準にした乾燥重量で表して0.005から0.5%にする。
    【0052】
    本発明の別の典型的な組成物は、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸もしくはこれの塩などをアルカリ、アルカリ土類、III族もしくは遷移金属の塩化物および/または臭化物から成る群から選択される添加剤(または混和材)と組み合わせて含有する。 キシロン酸もしくはこれの塩(「XA」)をXA:添加剤の比率が1:20から500:1、より好適には1:5から10:1であるように用いてもよい。 従って、本発明の典型的なセメント質組成物は水和性セメント質結合剤とXA:添加剤組み合わせを含有してもよく、存在させるXAの量を前記セメント質結合剤の重量を基準にした乾燥重量で表して0.005から0.5%にする。
    【0053】
    本発明の別の典型的な組成物は、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸もしくはこれの塩などをアルカリ、アルカリ土類、III族もしくは遷移金属のアルミン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、ホスホン酸塩、乳酸塩、硫酸塩、チオ硫酸塩、安息香酸塩、酢酸塩、しゅう酸塩、ヘキサシアノ鉄酸塩、こはく酸塩またはこれらの混合物(または酸もしくはこれの誘導体)から成る群から選択される添加剤(または混和材)と組み合わせて含有する。 キシロン酸もしくはこれの塩(「XA」)をXA:添加剤の比率が1:100から100:1、より好適には1:20から20:1であるように用いてもよい。 従って、本発明の典型的なセメント質組成物は水和性セメント質結合剤とXA:添加剤組み合わせを含有してもよく、存在させるXAの量を前記セメント質結合剤の重量を基準にした乾燥重量で表して0.005から0.5%にする。
    【0054】
    本発明の典型的なさらなる組成物では、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸もしくはこれの塩などをグリコール(例えばポリエチレングリコール)、グリセロール、ホウ酸エステル、ホスホン酸エステル、燐酸エステル、フェノールまたはフェノール誘導体、天然ゴム、澱粉誘導化合物、ヒドロコロイドまたはこれらの混合物から成る群から選択される他の少なくとも1種の添加剤(または混和材)と組み合わせてもよい。 キシロン酸もしくはこれの塩(「XA」)をXA:添加剤の比率が500:1から1:1、より好適には10:1から2:1であるように用いてもよい。 従って、本発明の典型的なセメント質組成物には水和性セメント質結合剤とXA/添加剤を含有させてもよく、存在させるキシロン酸もしくはこれの塩の量を前記セメント質結合剤の重量を基準にした乾燥重量で表して0.005から0.5%にする。
    【0055】
    本発明の典型的なさらなる組成物では、少なくとも1種のアルドペントン酸もしくは塩、例えばキシロン酸もしくはこれの塩などを防水剤(例えばステアリン酸カルシウム)、仕上げ助剤(例えばポリエーテル)、凍結防止剤(例えば硝酸Caまたは亜硝酸Ca)、粘度調節剤[例えばバイオポリマーS−657またはジウタンゴム(diutan gum)、ウエランゴム(welan gum)]、収縮低下剤(例えばオキシアルキレン型)、強度増強剤(例えば塩化物、チオシアン酸塩、アルカノールアミン)、抗風化剤(例えばステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム分散液)、膨張剤(例えばアルミン酸カルシウム)および防氷剤(例えば塩化物塩、グリコール)から成る群から選択される他の少なくとも1種の添加剤(または混和材)と組み合わせてもよい。
    【0056】
    本発明のアルドペントン酸含有組成物および有益化リグノスルホネート組成物はセメント用添加剤およびコンクリート用混和材として優れた性能を示すことに加えて他の用途でも効力を示すと考えている。 前記組成物を油井ボーリング泥水、有害生物防除剤用途、カーボンブラック(例えばインクおよび顔料分散液)、染料製造、アスファルト乳液、水処理(例えば分散剤、湯垢防止剤)、鉛酸蓄電池、革なめし、微量栄養素(例えば金属キレート化剤)、産業用洗浄剤(例えば埃用分散剤、金属浄化剤)、選鉱(例えばリチウム)、金属メッキ、原油の増進回収、絶縁などで添加剤として用いると例えば分散剤または流動調節剤(fluidity modifiers)などとして利点を有すると考えている。
    【0057】
    本発明は、また、この上に記述した如き本発明のアルドペントン酸もしくは塩含有組成物を非セメント質(即ち非水和性)粒子もしくは粒状物、例えば金属酸化物(例えば二酸化チタン)、染料(例えばアントラキノン染料、アゾ染料、アニリン染料、スチルベン染料)、顔料(例えば酸化亜鉛、カーボンブラック)、微細シリカ(例えばシリカフューム、微粒子状シリカ)、タルク、粘土(例えばカオリン、ベントナイト)および他のそのような粒子、粒状または粉砕された鉱物、有機または無機材料など用の分散剤として用いる方法および組成物にも関する。 そのような分散液は好適には現実に水性分散液である。 従って、本発明の典型的なさらなる組成物は、この上に示した粒状形態の鉱物もしくは材料の中の1種以上を分散させる機能を有するアルドペントン酸もしくはこれの塩を含んで成る水性懸濁液を含んで成る。
    【0058】
    以下に示す実施例は単に説明の目的で示すものであり、本発明の範囲を限定することを意図するものでない。
    【実施例1】
    【0059】
    [リグノスルホネート+アルドン酸(キシロン酸)]
    亜硫酸パルプ廃液(SSL)に入っているキシロースを転化することに関する利点を立証する実験を実施した。 この実験ではFraser Paperから入手可能な2種類のリグノスルホネート製品を用いた。 一方は糖が除去されていないリグノスルホネートであり、これのキシロース含有量は34重量%である。 もう一方は糖が除去(糖含有量が無視出来るほどでありかつ評価できるほどの硬化遅延をもたらすことなくセメントまたはコンクリートに混合可能であるように)されているリグノスルホネートである。 その糖が除去されているリグノスルホネートを糖酸(グルコネートもしくはキシロン酸)とリグノスルホネート:糖の比率が66:34(図3)になるように一緒にすることで、リグノスルホネート+キシロース(即ち糖が除去されていない)組成物を用いた比較用の3番目のサンプルを生じさせた。 高純度のキシロン酸をOmicron Biochemicals,Inc. から入手した。
    [モルタル試験]
    前記3種類のリグノスルホネートサンプルおよびリグノスルホネート+グルコネートのモルタル流動試験をJIS A 5201に従って実施した。 このモルタルの混合比率はセメント/砂/水=460/1350/235であり、セメントに対する水の比率(重量)(w/c)=0.51であった。 I/II型の通常のポートランドセメントおよび標準的なEN砂を用いた。 モルタルのスランプと流動性の両方を測定しそして作業性を式[作業性(mm)]=[スランプ(mm)]+[流動性(mm)]−100
    に従って決定した。 糖が除去されているリグノスルホネート、糖が除去されていないリグノスルホネート、糖が除去されているリグノスルホネート+グルコネートおよび糖が除去されているリグノスルホネート+キシロン酸をいろいろな用量で用いた時の作業性を図4に示す。 図4に示すように、リグノスルホネートとキシロン酸の組み合わせが示した流動効果(fluidizing effect)の方がリグノスルホネートとキシロースの組み合わせが示したそれよりも大きく、従って、キシロン酸によってリグノスルホネートが大きく有益になりかつセメント質材料用の減水用添加剤としてより有効になることが立証された。
    [コンクリート試験]
    前記リグノスルホネートサンプルにまたコンクリートを用いた試験もASTM C 192(実験室でコンクリート試験片を作成して硬化させる標準的実施)、ASTM C 143(水硬性セメントコンクリートが示すスランプの標準的試験方法)、およびASTM C 39(円柱形コンクリート試験片が示す圧縮強度を試験する方法)に従って受けさせた。 この試験で興味の持たれる特性は9分間のスランプ、減水、新鮮なコンクリートの空気含有量、初期硬化時間および圧縮強度であった。
    【0060】
    このコンクリート試験では地理的位置の源が異なる2種類のセメントを用い、それらを「セメントA」および「セメントB」と表示する。 両方のセメントで用いたセメント係数(作成したコンクリート1立方ヤード当たりの量)はコンクリート1立方ヤード当たり564ポンドであった。 セメントAおよびセメントBの場合の基準コンクリートのw/c比はそれぞれ0.546および0.541であり、9分間の目標スランプは152mm(6インチ)であった(ASTM C 143に記述されている如き標準的スランプコーン方法を使用)。 コンクリートに混合するセメントに対して0.2%固体の用量で典型的なリグノスルホネートを入れたコンクリートが達成したスランプレベルと同じスランプレベルを達成するに要したセメントに対する水の比率はセメントAおよびセメントBの場合0.532および0.502である(即ち基準コンクリートから減少した水の%はそれぞれ3.6%および7%である)ことを確認した。
    【0061】
    表1に、この上に記述した如きリグノスルホネートサンプルを用いたコンクリート試験の結果を挙げる。 糖が除去されているリグノスルホネート+キシロン酸を含有させた混合物が同じスランプを達成するに要したそれの用量はリグノスルホネートを単独で用いた場合よりも30−45%少なく、それに加えて硬化時間も短かった。 そのようなキシロン酸混合物を用いると2日目の強度が優れていることを観察したが、これは硬化時間がより短いことによるものであろう。 セメント質系の場合、硬化時間が長ければ長いほど典型的に28日目の強度が高くなるが、しかしながら、また、前記キシロン酸混合物は初期の硬化時間がより短いにも拘らず28日目の強度に関して圧縮強度が優れることも分かった。 これらの結果は全部リグノスルホネートが有する減水能力がキシロン酸によって有益になることを立証していた。
    【0062】
    【表1】

    参考例1


    【0063】


    (キシロン酸熱量測定)


    セメント熱量測定装置を用いてキシロン酸に試験を受けさせることで硬化時間作用を検査した。 熱ピークの開始点を用いて初期硬化時間を決定した。 この熱量試験では2種類のセメントを用い、本明細書ではそれらを「セメントB」および「セメントC」と呼ぶ。 セメントBの可溶アルカリ含有量の方がセメントCのそれよりも低かった。


    【0064】


    図5および6に、キシロン酸およびグルコネートのそれぞれをセメントBおよびセメントCで用いた時の初期硬化時間の結果を示す。 その結果は、キシロン酸が示した硬化遅延反応はグルコン酸ナトリウムとは対照的に用量に対して線形であることを示している。 従って、本発明者らは、キシロン酸がセメント質系の中で示す遅延特徴はグルコン酸/グルコン酸塩に比較して得られる遅延作用が用量に伴って予測可能である点で有益であると考えている。


    参考例2


    【0065】


    (酵素処理で生じさせたキシロン酸)


    酵素による転化が実行可能であることを立証しかつ結果として生じた転化生成物が入っている溶液が減水能力を有することを調査する目的で酵素を用いてD−キシロースに酸化を受けさせてD−キシロン酸を生じさせた。 この転化で用いた酵素は黒色アスペルギルスのグルコース酸化酵素(E.C.1.1.3.4)およびカタラーゼ(E.C.1.11.1.6)であり、これらは両方ともGenencor Internationalからそれぞれ商標OxyGo 1500およびFermcolase 1000の下で入手可能である。


    【0066】


    500mLのジャケット付き反応用フラスコに蒸留水を525グラム入れて、これにD−キシロース(Sigma−Aldrich Chemicalsの)を50グラム溶解させることで、8%の糖溶液を生じさせた。 この溶液を350rpmで連続的に撹拌した。 前記ジャケット付き反応用容器を55℃に保持されている循環水浴につなげた。 キシロースが溶解しそして温度が安定になった時点で、溶解させた固体1グラム当たり0.052グラム(溶解させた固体状キシロース1グラム当たり約68GOU)の量のOxyGoおよび溶解させた固体1グラム当たり0.015−0.032グラム(溶解させた固体状キシロース1グラム当たり約2000−4000CU)の量のFermcolaseを加えた。 空気を酸素源として用いて、1時間当たり3標準立方フィート(scfh)の速度で汁の中に吹き込んだ。


    【0067】


    この反応全体に渡って0.5MのNaOHを添加することで反応物のpHを5.2に維持した。 NaOHの消費量を用いて反応の進行を測定した。 反応の3−5日毎に追加的酵素、即ちOxyGoを溶解固体1グラム当たり0.052グラムおよびFermcolaseを溶解固体1グラム当たり0.015−0.032グラムの量で加えた。 NaOHの消費量がキシロース糖からキシロン酸への転化率が90%に相当した時点で反応を停止させた。


    【0068】


    イオンクロマトグラフィー分析により、生成物の塩化物(使用した酵素に由来する)含有量(生成物の乾燥重量を基準)は5.5−9.3%であることが分かった。


    [コンクリート試験]


    実施例1の場合と同様なコンクリートを用いて、この上で調製したキシロン酸にASTM C 192およびASTM C 143に従う試験を受けさせた。 キシロン酸を単独で含有させたコンクリートが示す9分間のスランプ値および初期硬化時間を脱糖リグノスルホネート、グルコン酸ナトリウムを単独およびD−キシロース(出発材料)を単独で含有させた場合と比較した。 セメントAをセメント係数がコンクリート1立方ヤード当たり564ポンドになるように用いそしてセメントに対する水の比率を0.567にした。 各サンプルにいろいろな用量で試験を受けさせた。


    【0069】


    図7および8のそれぞれにスランプおよび硬化時間の結果を示す。 図7に示すように、用量を一定にした時にキシロン酸がスランプの点で示した性能の方が脱糖リグノスルホネートが示したそれよりも有意に良好であり、グルコン酸ナトリウムを単独で用いた場合とほぼ同様に良好であった。 図8は、キシロン酸を用いた時の方がグルコネートを用いた時よりも硬化時間が有意に短くかつそれが示した硬化時間性能は脱糖リグノスルホネートのそれに類似していることを示している。 しかしながら、硬化時間短縮の一部はその特別なサンプルに塩化物が存在していることによる可能性があることを注目すべきである。 本発明者らは、新鮮なコンクリートに関して同様なスランプを得ようとする時に必要なキシロン酸の量は脱糖リグノスルホネートのそれに比較してほぼ半分のみであることからキシロン酸が示した効果は脱糖リグノスルホネートのそれのほぼ2倍であることを注目する。 本発明者らは、この

    参考例の結果を

    参考例1の結果と一緒に考察することで、キシロン酸は実用的な用量範囲内で線形硬化遅延反応を示しかつコンクリートを可塑化する能力を有することで驚くべきほど有益な減水能力を示すと考えている。


    【実施例


    【0070】


    [SSLにおけるグルコノバクターオキシダンス(ATTCC 621)によるキシロース転化]


    リグノスルホネートが存在する時に微生物による転化が起こり得るか否かを示す目的で微生物を用いて広葉樹材亜硫酸パルプ廃液(SSL)に入っているD−キシロースに生物変換を受けさせてD−キシロン酸を生じさせた。 この転化で用いた微生物はグルコノバクター・オキシダンス・サブオキシダンス(ATCC 621)であった。 用いたSSL基質は実施例1に記述した非脱糖リグノスルホネート(Fraser Paperの)であった。


    [生物転化」


    文献[Buchert,J. 、「Biotechnical Oxidation of D−xylose and Hemicellulose Hydrolyzates by Gluconobacter Oxydans」、Techinical Research Centre of Finland、Publications 70(Espoo、1990年11月)17−20頁]が基になった下記の手順に従ってSSLの生物転化を実施した。 この上に示した文献に記述されている基本的培地を用いてG. オキシダンスの接種材料を調製した。 キシロースとグルコース(キシロース:グルコース=20:1 g/L)が入っている基本的培地(50mL)を各250mLのフラスコに入れて、これにG. オキシダンス(生菌数=10

    cfu)を接種した後、シェーカーテーブル(shaker table)(200rpm)を用いて25℃でインキュベートした。 この培養培地のpHが5日以内に3にまで降下し、そして生菌数が10

    cfuを超えるまで高くなった。 次に、遠心器を用いて全体で100mLの培養培地を沈降させて1mLにした。 このようにして調製した接種材料を100mLの無菌広葉樹材SSL(5重量%)に基本的培地(キシロースおよびグルコースを除く)と一緒に加えた。 機械的撹拌機と濾過装置付き空気吹き込み管とpH調節装置が備わっている無菌生物反応槽(500mLの規模)の中で生物転化を起こさせた。 NaOH溶液を用いてpHを5.5に維持した。 NaOHの消費量およびHPLCを用いて転化率を監視した。 転化の進行を図9(NaOH消費量)および図10(HPLC)に示す。


    【0071】


    また、生物反応槽に添加するG. オキシダンスの量を単に多くすることでも転化率が有意に向上し得ることも分かった。


    [モルタル試験]


    実施例1に記述したモルタルと同様なモルタルを用いて、前記生物転化で得たSSLに試験を受けさせた。 前記モルタルの混合比率はセメント/砂/水=384/1350/230であった。 用いた用量はセメントの重量を基準にして0.1重量%の固体であった。 図11および図12のそれぞれに作業性および硬化時間の結果を示す。 これらの図に示すように、糖が除去されていない出発SSLに生物転化を受けさせるとそれが示す作業性が有意に向上した。 硬化時間は出発SSLのそれと同様であったが、脱糖SSLよりも長い。 しかしながら、そのように生物転化を受けさせておいたSSLが示す作業性の方が高いことから使用量を少なくすることができ、従って、その硬化時間は脱糖SSLのそれに相当するはずである。


    [ペースト試験]


    前記生物転化を受けさせたSSLにまたセメントペーストを用いた試験も出発SSLおよび脱糖SSLに対比させて受けさせた。 w/c比率が0.5になるようにしてセメントペースト試験を実施した。 化学品の遅延添加(delayed addition)を用いた。 このペースト試験手順は他にも記述されている(例えばB.−w.Chun,Cement and Concrete Research、31(2001)959−963)。 図13および図14のそれぞれにセメントペースト流動データおよび熱量測定硬化時間データを示す。 図13に示すように、生物転化を受けさせておいたサンプルの方が優れた流動性を示す。 このような結果に従い、生物転化を受けさせておいたSSLが同じ作業性を達成するに必要な用量は出発SSLおよび脱糖SSLのそれよりも実質的に少ない。 作業性が同じになるように用量を調整した時には前記生物転化を受けさせておいたSSLを用いた場合の硬化時間は脱糖SSLを用いた場合に相当するか或はそれよりも短いはずである。


    参考例3


    【0072】


    本発明者らは、キシロン酸もしくはこれの塩をアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン(TEA)またはジエタノールイソプロパノールアミン、例えばN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−プロパノールアミンまたはN,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−N−(ヒドロキシエチル)アミンなどと組み合わせてモルタルに入れると硬化時間作用の点で相乗作用が得られることを見いだした。


    【0073】


    I型のポートランドセメントと砂(セメントに対する砂の重量比が2.935になるように)と水(セメントに対する水の比率が0.543になるように)を用いてモルタルを調製した。 キシロン酸および/またはTEAまたはDEIPAを包含する混和材を含有させた異なる5サンプルに試験を受けさせたが、ここでは、キシロン酸の量を漸次0%、25%、50%、75%および100%にした。 これらのサンプルに硬化時間作用に関する試験を受けさせた。


    【0074】


    キシロン酸および/またはTEAを用いた時の結果を図15に示す一方、キシロン酸および/またはDEIPAを用いた時の結果を図16に示す。 これらの図から、キシロン酸のパーセントを一定にしてアルカノールアミンを添加すると硬化時間がおおよそ通常の相加効果として典型的に期待される硬化時間に比べて短くなることが分かるであろう。


    【0075】


    しかしながら、いろいろなキシロン酸/アルカノールアミンの組み合わせが示す作業性を0%、25%、50%、75%および100%(キシロン酸)で試験した時、作業性の性質は単に相加的である(即ちキシロン酸のパーセントを高くするにつれて作業性が直線的に高くなる傾向がある)ことを確認した。 従って、図16および17に示されている作用はキシロン酸とアルカノールアミンの間に硬化時間作用の点で非常に相乗的な作用があることを示していると考えている。


    【0076】


    従って、本発明の典型的な組成物はアルドペントン酸、アルドヘキソン酸、これらの塩またはこれらの混合物をアルカノールアミン、例えばTEAおよびDEIPAなどと組み合わせて含んで成る。


    【0077】


    この上に示した実施例および好適な態様で本発明を限定するものでなく、それらは単に説明の目的で示すものである。


    【図面の簡単な説明】


    【0078】


    【図1(a)】図1(a)は、セルロース材料からリグノスルホネートを製造する従来技術の方法を示すフローチャートである。


    【図1(b)】図1(b)は、ヘミセルロース加水分解物生成物、例えばエタノールなどを製造する従来技術の方法を示すフローチャートである。


    【図2(a)】図2(a)は、水和性セメント質材料を改質するに有用な糖酸生成物を製造する本発明の典型的な方法を示すフローチャートである。


    【図2(b)】図2(b)は、水和性セメント質材料を改質するに有用な糖酸生成物を製造する本発明の別の典型的な方法を示すフローチャートである。


    【図3】図3は、糖成分を用いた時または用いない時のリグノスルホネートのいろいろな組み合わせを示すグラフ図である。


    【図4(a)】図4(a)は、リグノスルホネート組成物の4サンプルのモルタル作業性特徴を示すグラフ図である。


    【図4(b)】図4(b)は、異なる4種類のリグノスルホネート組成物をセメント質混合物に入れた時の硬化時間を示すグラフ図である。


    【図5−6】図5および6は、グルコン酸ナトリウムおよびキシロン酸をいろいろな用量でいろいろなセメント質混合物に入れた時の硬化時間を示すグラフ図である。


    【図7】図7は、いろいろな減水用添加剤をいろいろな用量で用いた時のスランプを示すグラフ図である。


    【図8】図8は、減水用添加剤をいろいろな用量で用いた時の硬化時間を示すグラフ図である。


    【図9】図9は、糖が除去されていないSSLに微生物による生物変換を受けさせている時のアルカリ消費量を示すグラフ図である。


    【図10】図10は、糖が除去されていないSSLに微生物による生物転化を受けさせている時のキシロースからキシロン酸への転化進行をHPLCで測定した時のグラフ図である。


    【図11】図11は、生物転化を受けさせたSSLを用いた時のモルタル試験作業性の結果を示すグラフ図である。


    【図12】図12は、生物転化を受けさせたSSLを用いた時のモルタル試験硬化時間の結果を示すグラフ図である。


    【図13】図13は、生物転化を受けさせたSSLを用いた時のセメントペースト試験流動性の結果を示すグラフ図である。


    【図14】図14は、生物転化を受けさせたSSLを用いた時のセメントペースト試験熱量測定硬化時間の結果を示すグラフ図である。


    【図15】図15は、キシロン酸とトリエタノールアミンを含んで成る本発明の典型的な組成物を用いた時の硬化時間作用を示すグラフ図である。


    【図16】図16は、キシロン酸とジエタノールイソプロパノールアミンを含んで成る本発明の典型的な組成物を用いた時の硬化時間作用を示すグラフ図である。

    QQ群二维码
    意见反馈