硬性材料用混和剤

申请号 JP2015559485 申请日 2014-02-26 公开(公告)号 JP2016509986A 公开(公告)日 2016-04-04
申请人 コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハーConstruction Research & Technology GmbH; コンストラクション リサーチ アンド テクノロジー ゲーエムベーハーConstruction Research & Technology GmbH; 发明人 ゲット トアベン; ゲット トアベン; グラスル ハラルト; グラスル ハラルト; クラウス アレクサンダー; クラウス アレクサンダー; ニコロ リュック; ニコロ リュック; ヴィンクルバウアー マルティン; ヴィンクルバウアー マルティン;
摘要 本発明は、多価金属カチオンの少なくとも1つの 水 溶性塩と、多価金属カチオンとともに難溶性塩を形成する、アニオンを放出することができる、少なくとも1つの化合物と、アニオン性基および/またはアニオノゲン基およびポリエーテル側鎖を含む、少なくとも1つのポリマー分散剤とのコロイド分散調製物を含む水硬性材料用混和剤に関する。
权利要求

多価金属カチオンの少なくとも1つの溶性塩と、多価金属カチオンとともに難溶性塩を形成する、アニオンを放出することができる、少なくとも1つの化合物と、アニオン性基および/またはアニオノゲン基およびポリエーテル側鎖を含む、少なくとも1つのポリマー分散剤とのコロイド分散調製物を含む水硬性材料用混和剤であって、 前記多価金属カチオンが、Al3+、Fe3+、Fe2+、Zn2+、Mn2+、Cu2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびこれらの混合物の中から選択されており、 その際に、金属カチオンは、次の式(a): による比率が0を上回りかつ1以下であるような量で存在し、 およびその際に、 zK,iは、多価金属カチオンの電荷数の総数を表わし、 nK,iは、多価金属カチオンのモル数を表わし、 zs,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基の電荷数の総数を表わし、かつ ns,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基のモル数を表わし、 指数iおよびjは、互いに独立して、0を上回る整数であり、その際に、iは、異なる種類の多価金属カチオンの数を表わし、かつjは、ポリマー分散剤中に含まれている、異なる種類のアニオン性基およびアニオノゲン基の数を表わす、前記混和剤。前記多価金属カチオンおよび前記アニオンが、次の式: 〔式中、 zK,iは、多価金属カチオンの電荷数の総数を表わし、 nK,iは、多価金属カチオンのモル数を表わし、 zs,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基の電荷数を表わし、 ns,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基のモル数を表わし、 zA,lは、アニオンの電荷数を表わし、 nA,lは、アニオンのモル数を表わし、 指数i、jおよびlは、互いに独立して、0を上回る整数であり、iは、異なる種類の多価金属カチオンの数を表わし、jは、ポリマー分散剤中に含まれている、異なる種類のアニオン性基およびアニオノゲン基の数を表わし、かつlは、金属カチオンとともに難溶性塩を形成することができる、異なる種類のアニオンの数を表わす〕により算出される量で存在する、請求項1記載の混和剤。前記アニオンが炭酸アニオン、シュウ酸アニオン、ケイ酸アニオン、リン酸アニオン、ポリリン酸アニオン、亜リン酸アニオン、ホウ酸アニオン、アルミン酸アニオンおよび硫酸アニオンならびにこれらの混合物の中から選択されている、請求項1または2記載の混和剤。前記アニオンがリン酸アニオンおよび/またはアルミン酸アニオンである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の混和剤。前記多価金属カチオンがAl3+、Fe3+、Ca2+およびこれらの混合物から選択されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の混和剤。前記多価金属カチオンおよび前記アニオンが次の式: により算出される量で存在する、請求項1から5までのいずれか1項に記載の混和剤。2〜11.5のpH値を有する、請求項1から6までのいずれか1項に記載の混和剤。前記ポリマー分散剤がアニオン性基またはアニオノゲン基として、一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)および/または(Id) 〔式中、 R1は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、CH2COOHまたはCH2CO−X−R2を表わし; Xは、NH−(CnH2n)、O(CnH2n)、但し、nは、1、2、3または4であり、その際に、窒素原子または酸素原子は、CO基に結合しているものとし、を表わすかまたは化学結合を表わし、特にXは、化学結合またはO(CnH2n)を表わし; R2は、OM、PO3M2またはO−PO3M2を表わし、但し、R2がOMを表わす場合には、Xは、化学結合を表わす〕; 〔式中、 R3は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; nは、0、1、2、3または4を表わし; R4は、PO3M2またはO−PO3M2を表わす〕; 〔式中、 R5は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Zは、OまたはNR7を表わし;かつ R7は、H、(CnH2n)−OH、(CnH2n)−PO3M2、(CnH2n)−OPO3M2、(C6H4)−PO3M2または(C6H4)−OPO3M2を表わし、 nは、1、2、3または4を表わす〕; 〔式中、 R6は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Qは、NR7またはOを表わし; R7は、H、(CnH2n)−OH、(CnH2n)−PO3M2、(CnH2n)−OPO3M2、(C6H4)−PO3M2、(C6H4)−OPO3M2または(CnH2n)−O−(AO)α−R9を表わし、 Aは、CxH2x、但し、xは、2、3、4もしくは5を表わすものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; αは、1〜350の整数を表わし; R9は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; nは、1、2、3または4を表わし;かつ その際に、上記式中のそのつどのMは、互いに独立して、Hまたはカチオン当量を表わす〕の少なくとも1つの構造単位を有する、請求項1から7までのいずれか1項に記載の混和剤。前記ポリマー分散剤が、ポリエーテル側鎖として、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId): 〔式中、 R10、R11およびR12は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Zは、OまたはSを表わし; Eは、非分枝鎖状C1〜C6アルキレン基もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシレン基、CH2−C6H10、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンを表わし; Gは、O、NHまたはCO−NHを表わし;或いは EおよびGは、一緒になって1つの化学結合を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; nは、0、1、2、3、4および/または5を表わし; aは、2〜350の整数を表わし; R13は、H、非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、CO−NH2および/またはCOCH3を表わす〕; 〔式中、 R16、R17およびR18は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Eは、非分枝鎖状C1〜C6アルキレン基もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシレン基、CH2−C6H10、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンを表わすかまたは化学結合を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; Lは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2−CH(C6H5)を表わし; aは、2〜350の整数を表わし; dは、1〜350の整数を表わし; R19は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; R20は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし;かつ nは、0、1、2、3、4または5を表わす〕; 〔式中、 R21、R22およびR23は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Wは、O、NR25、Nを表わし; Yは、W=OまたはNR25である場合に、1を表わし、かつW=Nである場合に、2を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; aは、2〜350の整数を表わし; R24は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; R25は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わす〕; 〔式中、 R6は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Qは、NR10、NまたはOを表わし; Yは、Q=OまたはNR10である場合に、1を表わし、かつQ=Nである場合に、2を表わし; R10は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; R24は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2C(C6H5)Hを表わし; aは、2〜350の整数を表わし;かつ Mは、Hまたはカチオン当量を表わす〕の少なくとも1つの構造単位を有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の混和剤。前記ポリマー分散剤が構造単位(III)および(IV): 〔式中、 Tは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基または5〜10個の環原子を有する、置換ヘテロ芳香族基もしくは非置換ヘテロ芳香族基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; nは、1または2を表わし; Bは、N、NHまたはOを表わし、但し、BがNを表わす場合に、nは、2を表わし、およびBがNHまたはOを表わす場合に、nは、1を表わすものとし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; aは、1〜300の整数を表わし; R25は、H、分枝鎖状C1〜C10アルキル基もしくは非分枝鎖状C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、5〜10個の環原子を有する、アリール基またはヘテロアリール基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; その際に、構造単位(IV)は、構造単位(IVa)および(IVb): (式中、 Dは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基または5〜10個の環原子を有する、置換ヘテロ芳香族基もしくは非置換ヘテロ芳香族基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; Eは、N、NHまたはOを表わし、但し、EがNを表わす場合に、nは、2を表わし、およびEがNHまたはOを表わす場合に、nは、1を表わすものとし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; bは、1〜300の整数を表わし; Mは、互いに独立して、Hまたはカチオン当量を表わす); (式中、 Vは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、または置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基を表わし、かつ任意に、R8、OH、OR8、(CO)R8、COOM、COOR8、SO3R8およびNO2の中から選択されている1または2個の基によって置換されており; R7は、COOM、OCH2COOM、SO3MまたはOPO3M2を表わし; Mは、Hまたはカチオン当量を表わし;および R8は、C1〜C4アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルキルフェニルを表わす)の中から選択されている〕を含む重縮合生成物である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の混和剤。前記多価金属カチオンの塩をポリマー分散剤の存在下に沈殿させて当該塩のコロイド分散性調製物を得ることによって得られたか、または 前記多価金属カチオンの沈殿されたままの塩をポリマー分散剤の存在下に分散させて当該塩のコロイド分散性調製物を得ることによって得られた、請求項1から10までのいずれか1項に記載の混和剤。粉末の形の請求項1から11までのいずれか1項に記載の混和剤。請求項1から12までのいずれか1項に記載の水硬性材料用混和剤の製造法であって、 前記多価金属カチオンの塩をポリマー分散剤の存在下に沈殿させて当該塩のコロイド分散性調製物を得る工程、または 前記多価金属カチオンの沈殿されたままの塩をポリマー分散剤の存在下に分散させて当該塩のコロイド分散性調製物を得る工程、および 任意に乾燥工程を含む、前記方法。水硬性結合材を含有する、含水建築材料混合物中のスランプ保持剤としての、請求項1から12までのいずれか1項に記載の混和剤の使用。水硬性結合材は、(ポルトランド)セメント、スラグ砂、フライアッシュ、シリカ微粉、メタカオリン、天然のポゾラン、焼成オイルシェール、アルミン酸カルシウムセメントおよびこれらの成分の2つ以上の混合物の中から選択されている、請求項14記載の使用。建築材料混合物であって、請求項1から12までのいずれか1項に記載の混和剤と(ポルトランド)セメント、スラグ砂、フライアッシュ、シリカ微粉、メタカオリン、天然のポゾラン、焼成オイルシェール、アルミン酸カルシウムセメントおよびこれらの混合物の中から選択された結合材とを含む、前記建築材料混合物。

说明书全文

本発明は、硬性材料用混和剤、殊にコンシステンシー保持剤(スランプ保持剤)として適している前記混和剤に関する。

水硬性結合材および/または鉱物質結合材ならびに粉末状の無機物質および/または有機物質、例えば粘土、シリカ粉末、白亜、カーボンブラックまたは砕石粉の水性懸濁液を含む水硬性材料は、例えばコンクリート、モルタルまたはセッコウの形で広く使用されている。

水硬性材料の加工性、すなわち混練性、塗被能、噴射性、ポンプ圧送可能性または流動能を改善するために、水硬性材料に、ポリマー分散剤を含む混和剤を添加することは、公知である。この種の混和剤は、固体凝集塊の形成を阻止することができ、既に存在する粒子および水和反応により形成されたままの粒子を分散させることができ、かつこうして加工性を改善することができる。ポリマー分散剤を含む混和剤は、殊に、水硬性結合材および/または鉱物質結合材、例えば(ポルトランド)セメント、スラグ砂、フライアッシュ、シリカ微粉、メタカオリン、天然のポゾラン、焼成オイルシェール、アルミン酸カルシウムセメント、石灰、セッコウ、これらの成分の半水和物、これらの成分の無水物、またはこれらの成分の2つ以上の混合物を含有する水硬性材料を製造する際にも意図的に使用される。

挙げられた結合材をベースとする水硬性材料を既製の加工しうる形に変換するために、たいてい、次に続く硬化プロセスに必要とされるであろう量よりも基本的に大量の練混ぜ水が必要とされる。コンクリート構造体において、過剰の、後に蒸発する水によって形成された空隙は、機械的強度および機械的安定性を低減させる。

所定の加工コンシステンシーの際に過剰の水の割合を減少させるため、および/または所定の水/結合材比で加工性を改善するために、一般に減水剤または流動化剤と呼称される混和剤が使用される。減水剤または流動化剤として、実地においては、殊に、ラジカル重合によって得られた、カルボキシル基を含むモノマーおよびポリエチレングリコール含有オレフィン性モノマーをベースとするポリマーが使用され、このポリマーは、ポリカルボキシレートエーテル(略記して、“PCE”)とも呼称される。前記ポリマーは、カルボキシル基を含む主鎖およびポリエチレングリコール含有側鎖を有し、かつ櫛形ポリマーとも呼称される。

比較的少ない計量供給量の際に液化を新たに開始させるコンクリートを生じさせる、減水剤および流動化剤によって、いわゆるコンシステンシー保持剤、またはスランプ保持剤(Setzmassaufrechterhalter)が制限され、前記保持剤は、以下、“スランプ保持剤”と呼称され、前記保持剤は、比較的多い計量供給量の場合にだけ、同様の初期の液化を達成するが、しかし、一定の流れのコンシステンシー(ein konstantes Ausbreitmass)を経時的に生じさせる。減水剤での加工性がたいてい、既に10〜30分後に明らかに低下する一方で、減水剤の添加とは異なり、スランプ保持剤の添加は、コンクリートの練混ぜ後の例えば90分までに延長された良好な加工性を可能にする。

これまでに技術水準において公知の櫛形ポリマーにとって、いくつかのポリマーの特異的なパラメーターに依存して意図的に減水剤を製造しうるか、そうでなければスランプ保持剤を製造しうることは、特徴的なことである。前記のポリマーの特異的なパラメーターは、カルボキシル基またはその以外の酸基の数、ポリエチレングリコール側鎖の数および長さならびに分子量を含む。しかし、前記のポリマーの特異的なパラメーターの相応する選択による、減衰効果とスランプ保持効果(Setzmassaufrechterhaltungs−Effekt)との間の調節は、先験的にのみ、実験室における合成手段または重合技術的手段によって可能であるかまたは化学的製造プラントにおいて可能である。この場合には、たいてい、相応するタイプの酸モノマーおよびポリエチレングリコール含有マクロモノマーがある程度のモル比で選択されかつ重合される。前記製造プロセスにおける規定により、コンクリート加工の現場で、減水剤をスランプ保持剤へ変えるかまたはその反対にスランプ保持剤を減水剤へ変えることは、技術水準では不可能である。

たいてい、実地においては、減水剤とスランプ保持剤とは、配合物中で変化する割合で使用される。しかし、配合技術的手段によって、スランプ保持性能(Slump−retention)を改善することは、極めて制限されてのみ可能であり、殊に、その際にコンクリート特性に不利な影響を及ぼすことなく、スランプ保持性能を改善することは、困難である。すなわち、スランプ保持剤を有する配合物は、実際に、例えばホスホネートに関連してWO 2009/004348中に開示されかつ糖に関連して特開昭57−067057号公報中に開示されているように、より良好なスランプ保持性能(Slumperhalt)をもたらす。しかし、このスランプ保持性能(Aufrechterhaltung)は、早期強度がより劣悪になることを承知で達成される。

技術水準において、セメント質結合材分散液のスランプを経時的に保持するさらなる方法として次のものがある: 加水分解可能なアクリル酸エステル、いわゆる“動的超液化剤”を有する、ポリカルボキシレートエーテルをベースとする高性能流動化剤の使用は、例えば欧州特許出願公開第1136508号明細書A1およびWO 2010/029117中に記載されている。この技術は、流動化剤ポリマーの時間的に制御される吸着をセメント粒子表面上で可能にし、その際に、相応するカルボン酸誘導体(例えば、アクリル酸エステル)をアルカリ性媒体のコンクリート中で加水分解することによって、スランプ保持性能は、改善される。また、“動的超液化剤”の性質は、実験室における合成手段または重合技術的手段によって確定されるかまたは化学的製造プラントにおいて確定され、かつコンクリート加工の現場でフレキシブルに調節することは不可能である。

さらに、1個を上回る重合性官能基を有するモノマー、例えばジ(メタ)アクリレートによって架橋されている架橋ポリカルボキシレートエーテルが使用される。セメント細孔水の強塩基性条件下で架橋性の構造単位を加水分解する場合には、架橋は、停止され、かつ流動化剤として作用する未架橋の(コ)ポリマーは、経時的に遊離される(WO2000/048961)。また、この架橋されたポリカルボキシレートエーテルの性質は、実験室における合成手段または重合技術的手段によって確定されるかまたは化学的製造プラントにおいて確定され、かつコンクリート加工の現場でフレキシブルに調節することは不可能である。さらに、生成物の貯蔵の際に予期しない早期の加水分解の危険がある。

米国特許第7879146号明細書B2には、二価金属カチオン(例えば、Ni2+、Zn2+、Mn2+および/またはCa2+)および三価金属カチオン(例えば、Al3+、Ga3+、Fe3+および/またはCr3+)をベースとする二重層水酸化物の製造が開示されている。前記二重層水酸化物には、アニオン、例えば硝酸アニオン、水酸化物アニオン、炭酸アニオン、硫酸アニオンおよびクロリドアニオンが挿入されていてよい。無機生成物は、数時間にわたり、高められた温度(65℃)で処理されかつ次に真空中で100℃で乾燥される。こうして製造された二重層水酸化物には、引き続くイオン交換プロセスにおいて、有機分子、例えばナフタレンスルホネート、ニトロ安息香酸誘導体、サリチル酸、クエン酸、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、およびポリナフタリンスルホン酸(PNS)のナトリウム塩をベースとする超可塑剤が挿入される。ポリナフタリンスルホン酸(PNS)の二重層水酸化物によって変性された、無機ナトリウム塩は、モルタル試験において、簡単に改善されたスランプ保持性能だけを生じさせる。この改善は、数多くの用途には不十分である。

欧州特許第2412689号明細書には、層状二重水酸化物とポリウレタンコポリマーの2つの成分を混合しかつ熱水処理することによって製造される、前記の2つの成分からなるコンクリート用ナノハイブリッド混和剤が記載されている。前記混和剤は、水中コンクリートのクロリドイオンで誘発された分解を阻止しかつ冬期での氷結防止剤、例えば塩化カルシウムの使用によるコンクリートの分解を阻止するはずである。6時間を上回る長い合成時間および二重層水酸化物を熱水製造する際の80〜100℃の必要とされる高い温度は、不利である。さらに、この方法の場合も、前記ハイブリッドの性質が複雑な合成における化学的製造プラントで確定されることと結び付いている。

さらに、欧州特許出願第12177399.8号には、多価金属カチオンの少なくとも1つの塩と少なくとも1つのポリマー分散剤との水性コロイド分散調製物を含む、スランプを保持する混和剤が記載されており、その際に、前記のポリマー分散剤は、アニオン性基および/またはアニオノゲン基およびポリエーテル側鎖を含む。

コンクリートの性能プロファイルについての多様な要件は、各国ごとの規制および規格に左右されておりかつそれぞれの工事現場に支配される条件、例えば気候条件に強く依存する。特に、スランプ保持性能(Aufrechterhaltung des Setzmasses)は、それぞれの工事現場に支配される条件に強く依存する。

工事現場ごとに全く異なる気候条件が支配しうるので、建設産業において、技術水準の前記欠点を取り除くことが必要である。したがって、本発明は、効率的なスランプ保持剤を提供するという課題に基づくものである。前記課題は、工事現場に支配される条件下で、他のコンクリート特性、例えば早期強度を損なうことなく、十分なスランプ保持性能を保証することができるべきである。

前記課題は、次の実施態様によって解決される: 1.多価金属カチオンの少なくとも1つの水溶性塩と、多価金属カチオンとともに難溶性塩を形成する、アニオンを放出することができる、少なくとも1つの化合物と、アニオン性基および/またはアニオノゲン基およびポリエーテル側鎖を含む、少なくとも1つのポリマー分散剤とのコロイド分散調製物、殊に水性コロイド分散調製物を含む水硬性材料用混和剤であって、 その際に、金属カチオンは、次の式(a):

による比率が0を上回りかつ1以下であるような量で存在し、 およびその際に、 zK,iは、多価金属カチオンの電荷数の総数を表わし、 nK,iは、多価金属カチオンのモル数を表わし、 zs,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基の電荷数の総数を表わし、かつ ns,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基のモル数を表わし、 指数iおよびjは、互いに独立して、0を上回る整数であり、その際に、iは、異なる種類の多価金属カチオンの数を表わし、かつjは、ポリマー分散剤中に含まれている、異なる種類のアニオン性基およびアニオノゲン基の数を表わす、前記混和剤。 zK,iは、金属カチオンの電荷数が絶えず、全ての形式電荷に関連するように定義されており、すなわち、ZFe(FeCl3)=3、ZFe(FeCl2)=2である。 電荷数zS,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基の最大の脱プロトン化の際の形式電荷の総数を表わし、すなわち、例えば基(−OPO3H2)、(−OPO3H-)、(−OPO32-)、(PO3H2)、(−PO3H-)および(−PO32-)の場合に、zは、2を表わし、および基(−COOH)および(−COO-)の場合に、zは、1を表わす。 2.前記多価金属カチオンがAl3+、Fe3+、Fe2+、Zn2+、Mn2+、Cu2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Ba2+およびこれらの混合物の中から選択されている、実施態様1に記載の混和剤。 3.前記多価金属カチオンがAl3+、Fe3+、Fe2+、Ca2+およびこれらの混合物の中から選択されている、実施態様2に記載の混和剤。 4.前記多価金属カチオンおよび前記アニオンが次の式:

により算出される量で存在し、 その際に、式(b)による比率は、有利に0.01〜2であり、さらに有利に0.05〜1.5であり、特に有利に0.1〜1.0であり、さらに特に有利に0.15〜0.8であり、殊に有利に0.2〜0.75であり、かつ zK,iは、多価金属カチオンの総数を表わし、 nK,iは、多価金属カチオンのモル数を表わし、 zs,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基の電荷数を表わし、 ns,jは、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基のモル数を表わし、 zA,lは、アニオンの電荷数を表わし、 zA,lは、アニオンのモル数を表わし、 指数i、jおよびlは、互いに独立して、0を上回る整数であり、iは、異なる種類の多価金属カチオンの数を表わし、jは、ポリマー分散剤中に含まれている、異なる種類のアニオン性基およびアニオノゲン基の数を表わし、かつlは、金属カチオンとともに、難溶性塩を形成する能を有する、異なる種類のアニオンの数を表わす、実施態様1から3までのいずれか1つに記載の混和剤。 電荷数zA,iは、最大の脱プロトン化の際の形式電荷の総数を表わし、すなわち、例えば基(H3PO4)および(Na3PO4)の場合に、zPO4は、3を表わすか、または(Na2CO3)の場合に、ZCO3は、2を表わす。アルミン酸塩の場合には、zAlO2(NaAlO2)=zAlO2(NaAl(OH)4)=1が想定されており、ケイ酸塩の場合には、全てのケイ酸塩種に対して、zSiO3(Na2SiO3)=2が想定されている。 5.式(a)による比率が0.1〜1の範囲内、特に0.3〜1、特に有利に0.5〜0.94、さらに有利に0.7〜0.94、殊に有利に0.8〜0.9の範囲内にある、実施態様1から4までのいずれか1つに記載の混和剤。 6.前記アニオンが炭酸アニオン、シュウ酸アニオン、ケイ酸アニオン、ポリリン酸アニオン、亜リン酸アニオン、ホウ酸アニオン、アルミン酸アニオンおよび硫酸アニオンの中から選択されている、実施態様1から5までのいずれか1つに記載の混和剤。 7.前記アニオンが炭酸アニオン、ケイ酸アニオン、リン酸アニオン、アルミン酸アニオンおよびこれらの混合物の中から選択されている、実施態様6に記載の混和剤。 8.前記アニオンがリン酸アニオンである、実施態様7に記載の混和剤。 9.前記アニオンがアルミン酸アニオンである、実施態様7に記載の混和剤。 10.固体含量が1〜45質量%、有利に5〜40質量%、特に有利に15〜35質量%である、実施態様1から9までのいずれか1つに記載の混和剤。 11.前記多価金属カチオンおよび前記アニオンが次の式:

により算出される量で存在し、その際に、式(c)による比率は、有利に0.4〜20の範囲内にあり、特に有利に1〜10の範囲内にある、実施態様1から10までのいずれか1つに記載の混和剤。 12.常圧で高い貯蔵安定性を有し、その際に、貯蔵安定性は、0〜40℃、有利に5〜35℃で測定される、実施態様1から11までのいずれか1つに記載の混和剤。 13.前記混和剤が基本的にAl3+塩、Ca2+塩またはMg2+塩およびケイ酸塩の調製物を含まない、実施態様1から12までのいずれか1つに記載の混和剤。 14.式(a)の分数の分子の総和が式(a)の分数の分子の総和の、Al3+塩、Ca2+塩またはMg2+塩およびケイ酸塩の調製物に割り当てられる部分よりも少なくとも200倍大きい、実施態様13に記載の混和剤。 15.式(a)の分数の分子の総和が式(a)の分数の分子の総和の、Al3+塩、Ca2+塩またはMg2+塩およびケイ酸塩の調製物に割り当てられる部分よりも少なくとも1000倍大きい、実施態様14に記載の混和剤。 16.さらに、少なくとも1つの中和剤を含む、実施態様1から15までのいずれか1つに記載の混和剤。 17.前記中和剤がアルカリ金属水酸化物、有機モノアミン、有機ジアミン、有機ポリアミンまたはアンモニアである、実施態様16に記載の混和剤。 18.前記中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、ジヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、トリヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、モノ−C1〜C4アルキルアミン、ジ−C1〜C4アルキルアミン、トリ−C1〜C4アルキルアミン、C1〜C4アルキレンジアミン、(テトラヒドロキシ−C1〜C4アルキル)−C1〜C4アルキレンジアミン、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンアミンおよびこれらの混合物の中から選択されている、実施態様17に記載の混和剤。 19.前記中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、ジヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、トリヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、C1〜C4アルキレンジアミン、ポリエチレンアミンおよびこれらの混合物の中から選択されている、実施態様18に記載の混和剤。 20.前記中和剤が水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリエチレンアミンおよびこれらの混合物の中から選択されている、実施態様19に記載の混和剤。 21.前記中和剤が水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムならびにこれらの混合物の中から選択されている、実施態様20に記載の混和剤。 22.前記中和剤が水酸化ナトリウムである、実施態様21に記載の混和剤。 23.2〜11.5、特に3〜10、殊に3〜9のpH値を有する、実施態様1から22までのいずれか1つに記載の混和剤。 24.前記ポリマー分散剤が、アニオン性基またはアニオノゲン基として、一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)および/または(Id)

〔式中、 R1は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、CH2COOHまたはCH2CO−X−R2を表わし; Xは、NH−(CnH2n)、O(CnH2n)、但し、nは、1、2、3または4であり、その際に、窒素原子または酸素原子は、CO基に結合しているものとし、を表わすかまたは化学結合を表わし、特にXは、化学結合またはO(CnH2n)を表わし; R2は、OM、PO3M2またはO−PO3M2を表わし、但し、R2がOMを表わす場合には、Xは、化学結合を表わす〕;

〔式中、 R3は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; nは、0、1、2、3または4を表わし; R4は、PO3M2またはO−PO3M2を表わす〕;

〔式中、 R5は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Zは、OまたはNR7を表わし;かつ R7は、H、(CnH2n)−OH、(CnH2n)−PO3M2、(CnH2n)−OPO3M2、(C6H4)−PO3M2または(C6H4)−OPO3M2を表わし、 nは、1、2、3または4を表わす〕;

〔式中、 R6は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Qは、NR7またはOを表わし; R7は、H、(CnH2n)−OH、(CnH2n)−PO3M2、(CnH2n)−OPO3M2、(C6H4)−PO3M2、(C6H4)−OPO3M2または(CnH2n)−O−(AO)α−R9を表わし、 Aは、CxH2x、但し、xは、2、3、4もしくは5を表わすものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; αは、1〜350、特に5〜150の整数を表わし; R9は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; nは、1、2、3または4、特に1、2または3を表わし;かつ その際に、上記式中のそのつどのMは、互いに独立して、Hまたはカチオン当量を表わす〕の少なくとも1つの構造単位を有する、実施態様1から23までのいずれか1つに記載の混和剤。 25.前記ポリマー分散剤が、アニオン性基またはアニオノゲン基として、式(Ia)〔式中、R1は、HまたはCH3を表わす〕の少なくとも1つの構造単位;および/または式(Ib)〔式中、R3は、HまたはCH3を表わす〕の少なくとも1つの構造単位;および/または式(Ic)〔式中、R5は、HまたはCH3を表わし、かつZは、Oを表わす〕の少なくとも1つの構造単位;および/または式(Id)〔式中、R6は、Hを表わしかつQは、Oを表わす〕の少なくとも1つの構造単位を有する、実施態様24記載の混和剤。 26.前記ポリマー分散剤が、アニオン性基またはアニオノゲン基として、式(Ia)〔式中、R1は、HまたはCH3を表わしかつXR2は、OMを表わすかまたはXは、O(CnH2n)、但し、n=1、2、3または4、殊に2であるものとし、を表わし、かつR2は、O−PO3M2を表わす〕の少なくとも1つの構造単位を有する、実施態様24記載の混和剤。 27.前記ポリマー分散剤が、ポリエーテル側鎖として、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId):

〔式中、 R10、R11およびR12は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Zは、OまたはSを表わし; Eは、非分枝鎖状C1〜C6アルキレン基もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシレン基、CH2−C6H10、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンを表わし; Gは、O、NHまたはCO−NHを表わし;或いは EおよびGは、一緒になって1つの化学結合を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; nは、0、1、2、3、4および/または5を表わし; aは、2〜350の整数を表わし; R13は、H、非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、CO−NH2および/またはCOCH3を表わす〕;

〔式中、 R16、R17およびR18は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Eは、非分枝鎖状C1〜C6アルキレン基もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシレン基、CH2−C6H10、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンを表わすかまたは化学結合を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; Lは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2−CH(C6H5)を表わし; aは、2〜350の整数を表わし; dは、1〜350の整数を表わし; R19は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; R20は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし;かつ nは、0、1、2、3、4または5を表わす〕;

〔式中、 R21、R22およびR23は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Wは、O、NR25、Nを表わし; Yは、W=OまたはNR25である場合に、1を表わし、かつW=Nである場合に、2を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; aは、2〜350の整数を表わし; R24は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; R25は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わす〕;

〔式中、 R6は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Qは、NR10、NまたはOを表わし; Yは、Q=OまたはNR10である場合に、1を表わし、かつQ=Nである場合に、2を表わし; R10は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; R24は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2C(C6H5)Hを表わし; aは、2〜350の整数を表わし; Mは、Hまたはカチオン当量を表わす〕の少なくとも1つの構造単位を有する、実施態様1から26までのいずれか1つに記載の混和剤。 28.前記ポリマー分散剤が、ポリエーテル側鎖として、 (a)式(IIa)〔式中、R10およびR12は、Hを表わし、R11は、HまたはCH3を表わし、EおよびGは、一緒になって1つの化学結合を表わし、Aは、CxH2x、但し、x=2および/または3であるものとし、を表わし、aは、3〜150を表わし、およびR13は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わす〕の少なくとも1つの構造単位;および/または (b)式(IIb)〔式中、R16およびR18は、Hを表わし、R17は、HまたはCH3を表わし、Eは、非分枝鎖状C1〜C6アルキレン基または分枝鎖状C1〜C6アルキレン基を表わし、Aは、CxH2x、但し、x=2および/または3であるものとし、を表わし、Lは、CxH2x、但し、x=2および/または3であるものとし、aは、2〜150の整数を表わし、dは、1〜150の整数を表わし、R19は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし、およびR20は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わす〕の少なくとも1つの構造単位;および/または (c)式(IIc)〔式中、R21およびR23は、Hを表わし、R22は、HまたはCH3を表わし、Aは、CxH2x、但し、x=2および/または3であるものとし、を表わし、aは、2〜150の整数を表わし、およびR24は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わす〕の少なくとも1つの構造単位;および/または (d)式(IId)〔式中、R6は、Hを表わし、Qは、Oを表わし、R7は、(CnH2n)−O−(AO)α−R9を表わし、nは、2および/または3を表わし、Aは、CxH2x、但し、x=2および/または3であるものとし、を表わし、αは、1〜150の整数を表わし、およびR9は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わす〕の少なくとも1つの構造単位を有する、実施態様27記載の混和剤。 29.前記ポリマー分散剤が式(IIa)および/または(IIc)の少なくとも1つの構造単位を含む、実施態様27または28に記載の混和剤。 30.前記ポリマー分散剤が構造単位(III)および(IV):

〔式中、 Tは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基または5〜10個の環原子を有する、置換ヘテロ芳香族基もしくは非置換ヘテロ芳香族基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; nは、1または2を表わし; Bは、N、NHまたはOを表わし、但し、BがNを表わす場合に、nは、2を表わし、およびBがNHまたはOを表わす場合に、nは、1を表わすものとし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; aは、1〜300の整数を表わし; R25は、H、分枝鎖状C1〜C10アルキル基もしくは非分枝鎖状C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、5〜10個の環原子を有する、アリール基またはヘテロアリール基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; その際に、構造単位(IV)は、構造単位(IVa)および(IVb):

(式中、 Dは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基または5〜10個の環原子を有する、置換ヘテロ芳香族基もしくは非置換ヘテロ芳香族基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; Eは、N、NHまたはOを表わし、但し、EがNを表わす場合に、nは、2を表わし、およびEがNHまたはOを表わす場合に、nは、1を表わすものとし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; bは、1〜300の整数を表わし; Mは、互いに独立して、Hまたはカチオン当量を表わす);

(式中、 Vは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、または置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基を表わし、かつ任意に、R8、OH、OR8、(CO)R8、COOM、COOR8、SO3R8およびNO2、特にOH、OC1〜C4アルキルおよびC1〜C4アルキルの中から選択されている1または2個の基によって置換されており; R7は、COOM、OCH2COOM、SO3MまたはOPO3M2を表わし; Mは、Hまたはカチオン当量を表わし;および R8は、C1〜C4アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルキルフェニルを表わす)の中から選択されている〕を含む重縮合生成物である、実施態様1から23までのいずれか1つに記載の混和剤。 31.Tが置換フェニル基もしくは非置換フェニル基またはナフチル基を表わし、EがNHまたはOを表わし、AがCxH2x、但し、x=2および/または3を表わすものとし、を表わし、aが1〜150の整数を表わし、およびR25が、H、または非分枝鎖状C1〜C10アルキル基もしくは非分枝鎖状C1〜C10アルキル基を表わす、実施態様30記載の混和剤。 32.Dが置換フェニル基もしくは非置換フェニル基またはナフチル基を表わし、EがNHまたはOを表わし、AがCxH2x、但し、x=2および/または3を表わすものとし、を表わし、およびbが1〜150の整数を表わす、実施態様30記載の混和剤。 33.Tおよび/またはDが1または2個のC1〜C4アルキル基、1または2個のヒドロキシル基または2個のC1〜C4アルコキシ基によって置換されているフェニルまたはナフチルを表わす、実施態様30から32までのいずれか1つに記載の混和剤。 34.Vが1または2個のC1〜C4アルキル、OH、OCH3またはCOOMによって置換されているフェニルまたはナフチルを表わし、およびR7がCOOMまたはOCH2COOMを表わす、実施態様30記載の混和剤。 35.前記重縮合生成物が式

〔式中、 R5およびR6は、同一でも異なっていてもよく、かつH、CH3、COOHを表わすかまたは置換フェニルもしくは非置換フェニルまたは置換ナフチルもしくは非置換ナフチルを表わす〕のさらなる構造単位(V)を含む、実施態様30から33までのいずれか1つに記載の混和剤。 36.R5およびR6が、同一でも異なっていてもよく、かつH、CH3、COOH、殊にHを表わすかまたは基R5およびR6の一方が、Hを表わしかつ他方が、CH3を表わす、実施態様35記載の混和剤。 37.前記ポリマー分散剤が式(I)および(II)、殊に式(Ia)および(IIa)の単位を有する、実施態様1から29までのいずれか1つに記載の混和剤。 38.前記ポリマー分散剤が式(Ia)および(IIc)の構造単位を有する、実施態様1から29までのいずれか1つに記載の混和剤。 39.前記ポリマー分散剤が式(Ic)および(IIa)の構造単位を有する、実施態様1から29までのいずれか1つに記載の混和剤。 40.前記ポリマー分散剤が式(Ia)、(Ic)および(IIa)の構造単位を有する、実施態様1から29までのいずれか1つに記載の混和剤。 41.前記ポリマー分散剤が (i)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、ヒドロキシエチルアクリレートリン酸エステル、および/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステル、ヒドロキシエチルアクリレートリン酸ジエステル、および/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸ジエステルに由来する、アニオン性構造単位またはアニオノゲン構造単位および (ii)C1〜C4アルキルポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、C1〜C4アルキルポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールメタクリル酸エステル、C1〜C4アルキルポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ポリエチレングリコールアクリル酸エステル、ビニルオキシ−C2〜C4アルキレンポリエチレングリコール、ビニルオキシ−C2〜C4アルキレンポリエチレングリコール−C1〜C4アルキルエーテル、アリルオキシポリエチレングリコール、アリルオキシポリエチレングリコール−C1〜C4アルキルエーテル、メタリルオキシポリエチレングリコール、メタリルオキシポリエチレングリコール−C1〜C4アルキルエーテル、イソプレニルオキシポリエチレングリコールおよび/またはイソプレニルオキシポリエチレングリコール−C1〜C4アルキルエーテルに由来するポリエーテル側鎖構造単位から形成されている、実施態様1から29までのいずれか1つに記載の混和剤。 42.前記ポリマー分散剤が (i)ヒドロキシエチルアクリレートリン酸エステルおよび/またはヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステルおよび(ii)C1〜C4アルキルポリエチレングリコールアクリル酸エステルおよび/またはC1〜C4アルキルポリエチレングリコールメタクリル酸エステル;または (i)アクリル酸および/またはメタクリル酸および(ii)C1〜C4アルキルポリエチレングリコールアクリル酸エステルおよび/またはC1〜C4アルキルポリエチレングリコールメタクリル酸エステル;または (i)アクリル酸、メタクリル酸および/またはマレイン酸および(ii)ビニルオキシ−C2〜C4アルキレンポリエチレングリコール、アリルオキシポリエチレングリコール、メタリルオキシポリエチレングリコールおよび/またはイソプレニルオキシポリエチレングリコール に由来する構造単位(i)および構造単位(ii)から形成されている、実施態様41記載の混和剤。 43.前記ポリマー分散剤が (i)ヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステルおよび(ii)C1〜C4アルキルポリエチレングリコールメタクリル酸エステルまたはポリエチレングリコールメタクリル酸エステル;または (i)メタクリル酸および(ii)C1〜C4アルキルポリエチレングリコールメタクリル酸エステルまたはポリエチレングリコールメタクリル酸エステル;または (i)アクリル酸およびマレイン酸および(ii)ビニルオキシ−C2〜C4アルキレンポリエチレングリコールまたは (i)アクリル酸およびマレイン酸および(ii)イソプレニルオキシポリエチレングリコールまたは (i)アクリル酸および(ii)ビニルオキシ−C2〜C4アルキレンポリエチレングリコールまたは (i)アクリル酸および(ii)イソプレニルオキシポリエチレングリコールまたは (i)アクリル酸および(ii)メタリルオキシポリエチレングリコールまたは (i)マレイン酸および(ii)イソプレニルオキシポリエチレングリコールまたは (i)マレイン酸および(ii)アリルオキシポリエチレングリコールまたは (i)マレイン酸および(ii)メタリルオキシポリエチレングリコール に由来する構造単位(i)および構造単位(ii)から形成されている、実施態様41記載の混和剤。 44.構造単位(I):構造単位(II)のモル比が1:4〜15:1、殊に1:1〜10:1である、実施態様24から29までのいずれか1つに記載の混和剤。 45.構造単位(III):構造単位(IV)のモル比が4:1〜1:15、殊に2:1〜1:10である、実施態様30から36までのいずれか1つに記載の混和剤。 46.構造単位(III+IV):構造単位(V)のモル比が2:1〜1:3、殊に1:0.8〜1:2である、実施態様30から36までのいずれか1つに記載の混和剤。 47.前記ポリマー分散剤が式(III)および式(IV)〔上記式中、TおよびDは、フェニルまたはナフチルを表わし、その際にフェニルまたはナフチルは、任意に1または2個のC1〜C4アルキル基、1または2個のヒドロキシ基または2個のC1〜C4アルコキシ基によって置換されており、BおよびEは、Oを表わし、Aは、CxH2x、但し、x=2であるものとし、を表わし、aは、3〜150、殊に10〜150を表わし、およびbは、1、2または3を表わす〕から形成されている、実施態様30から36までのいずれか1つまたは実施態様46に記載の混和剤。 48.前記多価金属カチオンの塩のコロイド分散性調製物を得るために、当該塩をポリマー分散剤の存在下に沈殿させることによって得られた、実施態様1から47までのいずれか1つに記載の混和剤。 49.前記多価金属カチオンの沈殿されたままの塩をポリマー分散剤の存在下に分散させて当該塩のコロイド分散性調製物を得ることによって得られた、実施態様1から48までのいずれか1つに記載の混和剤。 50.前記コロイド分散調製物に中和剤を混合する、実施態様47または48に記載の混和剤。 51.前記多価金属カチオンの水酸化物および/または酸化物を酸で解膠して前記多価金属カチオンの塩のコロイド分散調製物を得ることによって得られた、実施態様1から49までのいずれか1つに記載の混和剤。 52.前記酸がホウ酸、炭酸、シュウ酸、ケイ酸、硫酸、ポリリン酸、リン酸および/または亜リン酸の中から選択されている、実施態様51記載の混和剤。 53.酸型の前記ポリマー分散剤が多価金属カチオンの水酸化物および/または酸化物の解膠に使用される、実施態様51記載の混和剤。 54.Al3+塩の調製物を含む、実施態様1から53までのいずれか1つに記載の混和剤。 55.Fe3+塩の調製物を含む、実施態様1から53までのいずれか1つに記載の実施態様1から53までのいずれか1つに記載の混和剤。 56.Fe2+塩の調製物を含む、実施態様1から53までのいずれか1つに記載の混和剤。 57.Ca2+塩の調製物を含む、実施態様1から53までのいずれか1つに記載の混和剤。 58.前記アニオンが炭酸アニオン、ケイ酸アニオン、リン酸アニオンおよびアルミン酸アニオン、殊にリン酸アニオンおよびアルミン酸アニオン、およびこれらの混合物から選択されている、実施態様1から57までのいずれか1つに記載の混和剤。 59.前記アニオンがリン酸アニオンであり、および式(b)による比率が0.01〜2の範囲内にある、実施態様58記載の混和剤。 60.前記アニオンがリン酸アニオンであり、および式(b)による比率が0.1〜1.0の範囲内にある、実施態様58記載の混和剤。 61.前記アニオンがリン酸アニオンであり、および式(b)による比率が0.2〜0.75の範囲内にある、実施態様58記載の混和剤。 62.前記アニオンがアルミン酸アニオンであり、および式(b)による比率が0.01〜2の範囲内にある、実施態様58記載の混和剤。 63.前記アニオンがアルミン酸アニオンであり、および式(b)による比率が0.1〜1.0の範囲内にある、実施態様58記載の混和剤。 64.前記アニオンがアルミン酸アニオンであり、および式(b)による比率が0.2〜0.75の範囲内にある、実施態様58記載の混和剤。 65.粉末の形の実施態様1から64までのいずれか1つに記載の混和剤。 66.実施態様1から65までのいずれか1つに記載の水硬性材料用混和剤を製造する方法であって、多価金属カチオンの塩をポリマー分散剤の存在下に沈殿させて当該塩のコロイド分散性調製物を得る、前記方法。 67.実施態様1から65までのいずれか1つに記載の水硬性材料用混和剤を製造する方法であって、多価金属カチオンの沈殿されたままの塩をポリマー分散剤の存在下に分散させて当該塩のコロイド分散性調製物を得る、前記方法。 68.さらに乾燥工程を含み、その際に粉末の形の混和剤を得る、実施態様66または67に記載の方法。 69.水硬性結合材を含有する、含水建築材料混合物中のスランプ保持剤としての、実施態様1から65までのいずれか1つに記載の混和剤の使用。 70.前記水硬性結合材は、(ポルトランド)セメント、スラグ砂、フライアッシュ、シリカ微粉、メタカオリン、天然のポゾラン、焼成オイルシェール、アルミン酸カルシウムセメントおよびこれらの成分の2つ以上の混合物の中から選択されている、実施態様69記載の使用。 71.実施態様1から65までのいずれか1つに記載の混和剤と(ポルトランド)セメント、スラグ砂、フライアッシュ、シリカ微粉、メタカオリン、天然のポゾラン、焼成オイルシェール、アルミン酸カルシウムセメントおよびこれらの混合物の中から選択された結合材とを含む、建築材料混合物。 72.水硬性結合材として(ポルトランド)セメントを含む、実施態様71記載の建築材料混合物。 73.基本的にはポルトランドセメントを含まない(0〜5質量%)、実施態様71記載の建築材料混合物。

全ての本発明による実施態様において、前記多価金属カチオンは、前記ポリマー分散剤のアニオン性基またはアニオノゲン基の総和に対して、カチオン当量として計算した、化学量論的不足量または化学量論的量で存在する。

電荷数zs,jとポリマー分散剤のmmol/gでのモル数ns,jとの積による総和は、さまざまな公知方法により、例えばJ.Plank et al.,Cem.Conr.Res.2009,39,1〜5中に記載された、ポリカチオンを用いて電荷密度を算出する滴定(Ladungsdichtetitration)による測定法によって測定されうる。さらに、技術水準を信頼した当業者であれば、ポリマー分散剤の合成に対してモノマーの正味質量からの前記値を簡単な計算で定めることができる状態にある(実施例478の計算、参照のこと)。最終的に、核磁気共鳴分光法(NMR)によってポリマー成分の割合を測定することにより、zsとnsとの積による総和の数値を実験により得ることが可能である。そのために、殊に、溶解されたポリマー分散剤の1H−NMRスペクトルにおける信号の積分が利用される。

前記多価金属カチオンは、とりわけ、Al3+、Fe3+、Fe2+、Zn2+、Mn2+、Cu2+、Ca2+、Mg2+、Sr2+、Ba2+およびこれらの混合物から選択されており、好ましくは、Al3+、Fe3+、Fe2+、Mn2+、Zn2+、Ca2+およびこれらの混合物から選択されており、特に好ましくは、Al3+、Fe3+、Fe2+、Ca2+およびこれらの混合物から選択されている。特に好ましい金属カチオンは、Ca2+である。

好ましくは、前記多価金属カチオンの水溶性塩の対アニオンは、当該塩が良好に水溶性であり、好ましくは、溶解度が20℃および標準圧力の標準条件で10g/lを上回り、特に有利に100g/lを上回り、殊に有利に200g/lを上回るように選択されている。この場合、溶解度の数値は、平衡状態で水溶性塩を脱イオン水中に溶解した際に20℃および標準圧力で生じる、溶解された金属カチオンおよび対アニオンの全質量に対するものである。前記溶解度は、プロトン化平衡(pH値)および錯形成平衡による効果を考慮せず、すなわち、前記溶解度の値は、溶解の際にもたらされるpH値に該当する。

好ましくは、対アニオンは、簡単に荷電されかつ硝酸アニオン、酢酸アニオン、ギ酸アニオン、硫酸水素アニオン、ハロゲン化物アニオン、ハロゲン酸(Halogenat)アニオン、シアン化物アニオン、アジ化物アニオン、シアン酸アニオン、チオシアン酸アニオン、雷酸アニオン、メタンスルホン酸アニオンおよび/またはアミドスルホン酸アニオンの中から選択されている。特に好ましくは、対アニオンは、クロリドアニオンおよび硝酸アニオンの中から選択されている。殊に好ましくは、対アニオンは、硝酸アニオンである。また、二重塩は、多価金属カチオンの塩として使用されてよい。二重塩は、複数の異なる種類のカチオンを有する塩である。例示的に、アルミニウム塩として適しているAlaun(KAI(SO4)2−12H2O)が挙げられる。前記の多価金属カチオンと前記対アニオンとの塩は、良好に水溶性であり、ひいては特に好適である。それというのも、金属塩水溶液(出発物質として)のより高い濃度に調節されうるからである。

アニオン性基は、ポリマー分散剤中に含まれている脱プロトン化された酸基である。アニオノゲン基は、ポリマー分散剤中に含まれている酸基である。同時にアニオン性でありかつアニオノゲンである基、例えば部分的に脱プロトン化された多塩基性酸基、は、ポリマー分散剤中に含まれているアニオン性基およびアニオノゲン基のモル数の総和を形成する際に、アニオン性基だけが算入される。

異なる元素の多価金属カチオンは、多種多様な多価金属カチオンと呼称される。さらに、異なる電荷数を有する同じ元素の金属カチオンも多種多様な多価金属カチオンと呼称される。

プロトン化によって互いに移行されえない、ポリマー分散剤のアニオン性基とアニオノゲン基は、多種多様である。

式(a)

による比率は、有利に0.1〜1の範囲内、特に0.3〜1、特に有利に0.5〜0.94、さらに有利に0.7〜0.94、殊に有利に0.8〜0.9の範囲内にある。

式(b)

による比率は、有利に0.01〜2の範囲内、特に0.05〜1.5、特に有利に0.1〜1.0、さらに特に有利に0.15〜0.8、殊に有利に0.2〜0.75の範囲内にある。

この場合、式(a)の全ての範囲は、式(b)の全ての範囲と組み合わされてよい。

水中でのその溶解度が20℃の標準条件および標準圧力で5g/l未満、有利に1g/l未満である塩は、難溶性塩と呼称される。

水中でのその溶解度が20℃の標準条件および標準圧力で5g/lを上回る塩は、水溶性塩と呼称される。

前記アニオンは、炭酸アニオン、シュウ酸アニオン、ケイ酸アニオン、リン酸アニオン、ポリリン酸アニオン、亜リン酸アニオン、ホウ酸アニオン、アルミン酸アニオンおよび硫酸アニオンの中から選択されている。好ましくは、前記アニオンは、炭酸アニオン、ケイ酸アニオン、リン酸アニオンおよびアルミン酸アニオンの中から選択されており、特に好ましくは、前記アニオンは、リン酸アニオンであり、および殊に前記アニオンは、アルミン酸アニオンである。

また、ポリマーのホウ酸アニオン、ケイ酸アニオンおよびシュウ酸アニオンならびにポリリン酸アニオンは、挙げられたアニオンに含まれている。“ポリマーのアニオン”の概念とは、酸素原子の他に、一連のホウ素、炭素、ケイ素およびリンからの少なくとも2個の原子を含むアニオンであると解釈することができる。特に好ましくは、2〜20の原子数、殊に有利に2〜14個の原子、ふつうは有利に2〜5個の原子を有するオリゴマーである。原子の数は、ケイ酸塩の場合に特に有利にケイ素原子2〜14個の範囲内にあり、およびポリリン酸塩の場合には、特に有利にリン原子2〜5個の範囲内にある。

ケイ酸塩を遊離することができる化合物として、1/1〜4/1、特に有利に1/1〜3/1の範囲内のSiO2対アルカリ金属酸化物の比として定義されたモジュールを有する、Na2SiO3および水ガラスがある。

前記ケイ酸塩の場合、前記ケイ酸塩のケイ素原子の一部がアルミニウムによって置き換えられていてよい。アルミノケイ酸塩のクラスから、相応する化合物が公知である。好ましくは、アルミニウムの割合は、ケイ素およびアルミニウムの総和に対して、10モル%未満であり、特に好ましくは、アルミニウムの割合は、零である。

前記アニオンがリン酸アニオンもしくはアルミン酸アニオンまたはこれらの混合物でありかつ式(b)による比率が0.01〜2の範囲内にあることは、好ましいことが判明した。

さらに、前記アニオンがリン酸アニオンもしくはアルミン酸アニオンまたはこれらの混合物でありかつ式(b)による比率が0.1〜1.0の範囲内にあることは、好ましいことが判明した。

前記アニオンがリン酸アニオンもしくはアルミン酸アニオンまたはこれらの混合物でありかつ式(b)による比率が0.2〜0.75の範囲内にあることは、特に好ましいことが判明した。

好ましくは、アニオンを放出することができる化合物の対カチオンは、簡単に荷電されたカチオンであるか、またはプロトンであり、好ましくは、アルカリ金属カチオンおよび/またはアンモニウムイオンおよび/またはプロトン、特に有利にプロトンである。アンモニウムイオンは、有機アンモニウムイオン、例えば1〜4個のアルキル基を有するアルキルアンモニウムイオンを含んでいてもよい。有機基は、芳香族の性質であってもよいか、または芳香族基を含んでいてもよい。アンモニウムイオンは、アルカノールアンモニウムイオンであってもよい。

前記水硬性材料用混和剤は、さらに少なくとも1つの中和剤を含むことができる。

好ましくは、前記中和剤は、アルカリ金属水酸化物、有機モノアミン、有機ジアミン、有機ポリアミンまたはアンモニアである。適当な有機アミンは、殊に脂肪族モノアミン、脂肪族ジアミンまたは脂肪族ポリアミンである。また、ポリアミンは、トリアミンである。

さらに、好ましくは、前記中和剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノ−ヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、ジ−ヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、トリ−ヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、モノ−C1〜C4アルキルアミン、ジ−C1〜C4アルキルアミン、トリ−C1〜C4アルキルアミン、C1〜C4アルキレンジアミン、(テトラ−ヒドロキシ−C1〜C4アルキル)−C1〜C4アルキレンジアミン、ポリエチレンアミン、ポリプロピレンアミンおよびこれらの混合物の中から選択されている。

特に好ましくは、前記中和剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、モノ−ヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、ジ−ヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、トリ−ヒドロキシ−C1〜C4アルキルアミン、C1〜C4アルキレンジアミン、ポリエチレンアミンおよびこれらの混合物の中から選択されている。

殊に好ましくは、前記中和剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリエチレンアミンおよびこれらの混合物の中から選択されている。

殊に好ましくは、前記中和剤は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムならびにこれらの混合物の中から選択されている。たいてい、有利には、前記中和剤は、水酸化ナトリウムである。

とりわけ、水硬性材料用混和剤は、2〜11.5、特に3〜10、殊に3〜9のpH値を有する。

1つの実施態様において、前記ポリマー分散剤は、一般式(Ia)、(Ib)、(Ic)および/または(Id)の少なくとも1つの構造単位を有し、その際に、前記構造単位(Ia)、(Ib)、(Ic)および/または(Id)は、個々のポリマー分子内で同一でも異なっていてもよく、ならびに異なる種類のポリマー分子の間で同一でも異なっていてもよい。

上記式中、 R1は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、CH2COOHまたはCH2CO−X−R2、特にHまたはCH3を表わし; Xは、NH−(CnH2n)、O(CnH2n)、但し、nは、1、2、3または4であり、その際に、窒素原子または酸素原子は、CO基に結合しているものとし、を表わすかまたは化学結合を表わし、特にXは、化学結合またはO(CnH2n)を表わし; R2は、OM、PO3M2またはO−PO3M2を表わし、但し、R2がOMを表わす場合には、Xは、化学結合を表わし;

上記式中、 R3は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、特にHまたはCH3を表わし; nは、0、1、2、3または4、特に0または1を表わし; R4は、PO3M2またはO−PO3M2を表わし;

上記式中、 R5は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、特にHを表わし; Zは、OまたはNR7、特にOを表わし; R7は、H、(CnH2n)−OH、(CnH2n)−PO3M2、(CnH2n)−OPO3M2、(C6H4)−PO3M2または(C6H4)−OPO3M2を表わし、かつ nは、1、2、3または4、特に1、2または2を表わし;

上記式中、 R6は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、特にHを表わし; Qは、NR7またはO、特にOを表わし; R7は、H、(CnH2n)−OH、(CnH2n)−PO3M2、(CnH2n)−OPO3M2、(C6H4)−PO3M2、(C6H4)−OPO3M2または(CnH2n)−O−(AO)α−R9を表わし; Aは、CxH2x、但し、xは、2、3、4もしくは5を表わすものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; αは、1〜350、特に5〜150の整数を表わし; R9は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; nは、1、2、3または4、特に1、2または3を表わし;かつ 上記式中のそのつどのMは、互いに独立して、Hまたはカチオン当量を表わす。

特に好ましくは、式Iaによる構造単位は、メタクリル酸単位またはアクリル酸単位であり、式Icによる構造単位は、無水マレイン酸単位であり、かつ式Idによる構造単位は、マレイン酸単位またはマレイン酸モノエステル単位である。

モノマー(I)がリン酸エステルまたはホスホン酸エステルである場合、これらのリン酸エステルまたはホスホン酸エステルは、相応するジエステルおよびトリエステルならびにジリン酸のモノエステルを含んでいてもよい。これらのエステルは、一般に、有機アルコールをリン酸、ポリリン酸、酸化リン、リンハロゲン化物もしくはリンオキシハロゲン化物または相応するホスホン酸化合物でエステル化した際に、モノエステルとともに異なる割合で、例えばジリン酸のジエステル5〜30モル%およびトリエステル1〜15モル%ならびにモノエステル2〜20モル%の割合で生じる。

1つの実施態様において、前記ポリマー分散剤は、一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および/または(IId)の少なくとも1つの構造単位を有する。一般式(IIa)、(IIb)、(IIc)および(IId)は、個々のポリマー分子内で同一でも異なっていてもよく、ならびに異なる種類のポリマー分子間で同一でも異なっていてもよい。全ての構造単位Aは、個々のポリエーテル側鎖内で同一でも異なっていてもよく、ならびに異なる種類のポリエーテル側鎖間で同一でも異なっていてもよい。

上記式中、 R10、R11およびR12は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Zは、OまたはSを表わし; Eは、非分枝鎖状C1〜C6アルキレン基もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシレン基、CH2−C6H10、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンを表わし; Gは、O、NHまたはCO−NHを表わし;或いは EおよびGは、一緒になって1つの化学結合を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5、特に2または3であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; nは、0、1、2、3、4および/または5、特に0、1または2を表わし; aは、2〜350、特に5〜150の整数を表わし; R13は、H、非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基、CO−NH2および/またはCOCH3を表わし; 特に好ましくは、式IIaの構造単位は、そのつどとりわけ4〜340個のオキシアルキレン基の算術平均を有する、アルコキシル化イソプレニル単位、アルコキシル化ヒドロキシブチルビニルエーテル単位、アルコキシル化(メタ)アリルアルコール単位、またはビニル化メチルポリアルキレングリコール単位である。

上記式中、 R16、R17およびR18は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Eは、非分枝鎖状C1〜C6アルキレン基もしくは分枝鎖状C1〜C6アルキレン基、シクロヘキシレン基、CH2−C6H10、1,2−フェニレン、1,3−フェニレンまたは1,4−フェニレンを表わすかまたは化学結合を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5、特に2または3であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; nは、0、1、2、3、4および/または5、特に0、1または2を表わし; Lは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5、特に2または3であるものとし、またはCH2−CH(C6H5)を表わし; aは、2〜350、特に5〜150の整数を表わし; dは、1〜350、特に5〜150の整数を表わし; R19は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; R20は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし;

上記式中、 R21、R22およびR23は、互いに独立して、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Wは、O、NR25またはNを表わし; Yは、W=OまたはNR25である場合に、1を表わし、かつW=Nである場合に、2を表わし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5、特に2または3であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; aは、2〜350、特に5〜150の整数を表わし; R24は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし;かつ R25は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし;

上記式中、 R6は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし; Qは、NR10、NまたはOを表わし; Yは、W=OまたはNR10である場合に、1を表わし、かつW=Nである場合に、2を表わし; R10は、Hまたは非分枝鎖状C1〜C4アルキル基もしくは分枝鎖状C1〜C4アルキル基を表わし;かつ Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5、特に2または3であるものとし、またはCH2C(C6H5)Hを表わし; aは、2〜350、特に5〜150の整数を表わし;かつ Mは、Hまたはカチオン当量を表わす。

前記ポリマー分散剤は、式(I)および(II)の構造単位の他に、ラジカル重合可能なモノマーに由来する、さらなる構造単位、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(C1〜C4)アルキル(メタ)アクリレート、スチレン、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルアセテート、アクロレイン、N−ビニルホルムアミド、ビニルピロリドン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール、1−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、アミノプロピルビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルモノビニルエーテル、(メタ)アクロレイン、クロトンアルデヒド、ジブチルマレエート、ジメチルマレエート、ジエチルマレエート、ジプロピルマレエート等を含んでいてもよい。

ポリマー分散剤(櫛形ポリマー)、有利に水溶性ポリマー分散剤のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された平均分子量Mwは、特に5000〜200000g/mol、特に有利に10000〜80000g/mol、殊に有利に20000〜70000g/molである。前記ポリマーは、サイズ排除クロマトグラフィーを用いて平均モル質量および転化率に対して分析される(カラムの組合せ:Shodex社、日本、のOH−Pak SB−G、OH−Pak SB 804 HQおよびOH−Pak SB 802.5 HQ;溶離剤:HCO2NH480容量%の水溶液(0.05モル/l)およびアセトニトリル20容量%;注入容量100μl;貫流速度0.5ml/分)。平均モル質量を測定するための校正法は、直鎖状ポリ(エチレンオキシド)標準およびポリエチレングリコール標準を用いて行なわれた。転化率の基準として、前記コポリマーのピークが1の相対的高さに対して規格化され、および未反応のマクロモノマー/PEG含有オリゴマーのピークの高さが残留モノマー含量の基準として使用される。

とりわけ、前記ポリマー分散剤は、工業規格EN 934−2(2002年2月)の要件を満たす。

構造単位(I)および(II)を含むポリマー分散剤は、通常の方法で、例えばラジカル重合によって製造される。この製造は、例えば欧州特許第0894811号明細書、欧州特許第1851256号明細書、欧州特許第2463314号明細書、欧州特許第0753488号明細書中に記載されている。

1つの実施態様において、前記ポリマー分散剤は、構造単位(III)および(IV)を含む重縮合生成物である。

上記式中、 Tは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基または5〜10個の環原子を有する、置換ヘテロ芳香族基もしくは非置換ヘテロ芳香族基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; nは、1または2を表わし; Bは、N、NHまたはOを表わし、但し、BがNを表わす場合に、nは、2を表わし、およびBがNHまたはOを表わす場合に、nは、1を表わすものとし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; aは、1〜300の整数を表わし; R25は、H、分枝鎖状C1〜C10アルキル基もしくは非分枝鎖状C1〜C10アルキル基、C5〜C8シクロアルキル基、5〜10個の環原子を有する、アリール基またはヘテロアリール基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; その際に、構造単位(IV)は、構造単位(IVa)および(IVb):

(式中、 Dは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基または5〜10個の環原子を有する、置換ヘテロ芳香族基もしくは非置換ヘテロ芳香族基を表わし、当該環原子の1または2個の原子は、N、OおよびSの中から選択されているヘテロ原子であり; Eは、N、NHまたはOを表わし、但し、EがNを表わす場合に、nは、2を表わし、およびEがNHまたはOを表わす場合に、nは、1を表わすものとし; Aは、CxH2x、但し、x=2、3、4または5であるものとし、またはCH2CH(C6H5)を表わし; bは、1〜300の整数を表わし; Mは、互いに独立して、H、カチオン当量を表わす);および

(式中、 Vは、置換フェニル基もしくは非置換フェニル基、または置換ナフチル基もしくは非置換ナフチル基を表わし、その際に、Vは、任意に、R8、OH、OR8、(CO)R8、COOM、COOR8、SO3R8およびNO2、特にOH、OC1〜C4アルキルおよびC1〜C4アルキルの中から互いに独立して選択されている1または2個の基によって置換されており; R7は、COOM、OCH2COOM、SO3MまたはOPO3M2を表わし; Mは、Hまたはカチオン当量を表わし;および R8は、C1〜C4アルキル、フェニル、ナフチル、フェニル−C1〜C4アルキルまたはC1〜C4アルキルフェニルを表わす)の中から選択されている。

前記重縮合生成物の一般式(III)および(IV)中の構造単位TおよびDは、とりわけ、フェニル、2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシフェニル、3−メトキシフェニル、4−メトキシフェニル、ナフチル、2−ヒドロキシナフチル、4−ヒドロキシナフチル、2−メトキシナフチル、4−メトキシナフチル、フェノキシ酢酸、サリチル酸、特にフェニルに由来し、その際に、TおよびDは、互いに独立して、選択されていてよくかつそのつど、挙げられた基の混合物に由来してもよい。基BおよびEは、互いに独立して、とりわけOを表わす。全ての構造単位Aは、個々のポリエーテル側鎖内で同一でも異なっていてもよく、ならびに異なる種類のポリエーテル側鎖の間で同一でも異なっていてもよい。Aは、特に好ましい実施態様において、C2H4を表わす。

一般式(III)中で、aは、とりわけ、3〜200、殊に5〜150の整数を表わし、および一般式(IV)中で、bは、とりわけ、1〜300、殊に1〜50、特に有利に1〜10の整数を表わす。さらに、一般式(III)または(IV)の基は、互いに独立して、そのつど同じ鎖長を有していてよく、その際に、aおよびbは、それぞれ数によって表わされる。その際に、たいてい、そのつど異なる鎖長を有する混合物が存在することは、好ましく、その結果、aの重縮合生成物中の構造単位の基は、bの重縮合生成物中の構造単位の基にはかかわりなく、さまざまな数値を有する。

しばしば、本発明による重縮合生成物は、5000g/mol〜200000g/mol、特に10000〜100000g/mol、特に有利に15000〜55000g/molの質量平均分子量を有する。

構造単位(III):(IV)のモル比は、典型的には、4:1〜1:15、特に2:1〜1:10である。重縮合生成物中の比較的高い割合の構造単位(IV)を使用することは、好ましい。それというのも、前記ポリマーの比較的高い負電荷は、水性コロイド分散調製物の安定性に対して良好な影響を及ぼすからである。構造単位(IVa):(IVb)のモル比は、これら双方が含まれている場合に、典型的には1:10〜10:1、特に1:3〜3:1である。

本発明の好ましい実施態様において、前記重縮合生成物は、次の式によって表わされる、さらなる構造単位(V)を含む:

上記式中、 R5は、H、CH3、COOHを表わすかまたは置換フェニルもしくは非置換フェニルまたは置換ナフチルもしくは非置換ナフチルを表わし; R6は、H、CH3、COOHを表わすかまたは置換フェニルもしくは非置換フェニルまたは置換ナフチルもしくは非置換ナフチルを表わす。

とりわけ、R5およびR6は、Hを表わすか、または基CR5およびR6の一方は、Hを表わし、かつ他方は、CH3を表わす。

典型的には、構造単位(V)中のR5およびR6は、同一かまたは異なり、かつH、COOHおよび/またはメチルを表わす。Hが殊に好ましい。

他の実施態様において、前記重縮合物中の構造単位[(III)+(IV)]:(V)のモル比は、2:1〜1:3である。

前記重縮合物は、典型的には、構造単位(III)、(IV)および(V)の基礎を成している化合物を互いに反応させる方法に従って製造される。前記重縮合物の製造は、例えばWO 2006/042709およびWO 2010/026155中に記載されている。

とりわけ、ケト基を有するモノマーは、アルデヒドまたはケトンである。式(V)のモノマーの例は、ホルムアミド、アセトアルデヒド、アセトン、グリコキシル酸および/またはベンズアルデヒドである。ホルムアミドが好ましい。

本発明によるポリマー分散剤は、その塩の形、例えばナトリウム塩、カリウム塩、有機アンモニウム塩、アンモニウム塩および/またはカルシウム塩の塩の形で存在していてもよく、とりわけナトリウム塩および/またはカルシウム塩として存在していてもよい。

好ましくは、前記混和剤は、水50〜90%および固体10〜50%、特に有利に水55〜85%および固体15〜45%を含有する。 この場合、この固体は、ポリマーおよび本発明による難溶性塩を含む。

本発明による混和剤は、水性生成物として、溶液、乳濁液または分散液の形で存在することができるか、または固体の形で、例えば粉末として、乾燥工程後に存在することができる。さらに、固体の形の混和剤の含水量は、有利に10質量%未満、特に有利に5質量%未満である。水の一部を、特に10質量%まで、有機溶剤によって置き換えることもできる。アルコール、例えばエタノール、(イソ)プロパノールおよび1−ブタノールがその異性体も含めて好ましい。アセトンが使用されてもよい。本発明による塩の溶解度、ひいては結晶化挙動は、有機溶剤の使用によって影響を及ぼされうる。

本発明による混和剤は、多価金属カチオンの水溶性塩とポリマー分散剤とを水性媒体中で接触させることによって、固体の形で製造されるかまたはポリマー溶融液中で製造される。とりわけ、多価金属カチオンの水溶性塩が使用される。金属カチオンの塩は、固体の形で準備されうるが、しかし、好ましくは、水溶液または水性懸濁液として準備されうる。したがって、多価金属カチオンの塩を、粉末として、水溶液としてか、そうでなければ水性懸濁液として、分散剤の水溶液に添加することができる。

アニオンを放出することができる化合物は、同様に、固体の形で使用されてもよいし(溶液のインサイチュー(in−situ)での製造、またはポリマー溶融液との接触)、好ましくは水溶液の形で使用されてもよい。

本発明による水硬性材料用混和剤は、難溶性塩がポリマー分散剤の存在下に沈殿することによって得ることができ、その際に、当該塩のコロイド分散調製物が得られる。ここで、難溶性塩の沈殿とは、ポリマー分散剤によって分散されかつコロイド分散性塩粒子のさらなる凝集が阻止される、コロイド分散性塩粒子の形成を意味する。

多価金属カチオンの塩がポリマー分散剤の存在下に沈殿するかどうか、または多価金属カチオンの沈殿されたままの塩がポリマー分散剤の存在下に分散するかどうかにかかわりなく、水硬性材料用の本発明による混和剤は、他の選択可能な方法により、前記調製物にさらに上記と同様の中和剤を混合することによって得ることもできる。

また、本発明による水硬性材料用混和剤は、多価金属カチオンの水酸化物および/または酸化物を酸で解膠し、前記多価金属カチオンの塩のコロイド分散調製物を得ることによって得てもよく、その際に、前記酸は、とりわけ、ホウ酸、炭酸、シュウ酸、ケイ酸、ポリリン酸、リン酸および/または亜リン酸の中から選択されている。

前記混和剤は、一般に、とりわけ水溶液として存在する成分を混合することによって製造される。とりわけ、この場合には、最初にポリマー分散剤(櫛形ポリマー)と多価金属カチオンの塩とが混合され、引き続き、多価金属カチオンとともに難溶性塩を形成するアニオンを放出することができる化合物が添加される。他の実施態様によれば、最初にポリマー分散剤(櫛形ポリマー)とアニオンを放出することができる化合物とが混合され、引き続き多価金属カチオンが添加される。さらに、pH値を調節するために、酸または塩基が添加されうる。前記成分の混合は、一般に、5〜80℃、有利に10〜40℃の範囲内の温度で、殊に室温(約20〜30℃)で行なわれる。

本発明による水硬性材料用混和剤は、沈殿されたままの難溶性塩をポリマー分散剤の存在下に分散させ、前記塩のコロイド分散調製物を得ることによって得られてもよい。ここで、前記塩が基本的に非晶質で(結晶化度最大30%、有利に最大15%)存在する場合には、沈殿されたままとは、前記沈殿に引き続いて直ちに沈殿していることと解釈することができ;すなわち、沈殿してからほぼ5分間以内、特に1,2分以内に沈殿していることと解釈することができる。

その原子状成分が結晶格子内に配置されていない、すなわち長距離秩序を有するのではなく、多かれ少なかれ顕著な近距離秩序だけを有する固体は、“非晶質”と呼称される。結晶性物質の大多数がX線、電子線および中性子線の回折の際にシャープな反射を示す一方で、非晶質固体は、せいぜい、より少ない拡散性の干渉リング(Halos)を小さい回折度で有する。

前記製造は、連続的に行なうことができるかまたは非連続的に行なうことができる。前記成分は、一般に、機械的攪拌機を備えた反応器中で混合される。その際に、前記攪拌機の攪拌速度は、10rpm〜2000rpmであることができる。しかし、前記溶液を、1000〜30000rpmの範囲内の攪拌速度を有することができる回転子−固定子型混合装置を用いて混合することもできる。さらに、他の幾何学的形状の混合、例えば前記溶液をY字型ミキサーにより混合する連続的プロセスが使用されてもよい。

任意に、本発明による混和剤を乾燥するためのさらなる方法の工程が引き続きうる。前記乾燥は、ドラム乾燥、噴霧乾燥、流動層法における乾燥、高められた温度での物質乾燥またはその他の通常の乾燥法によって行なうことができる。乾燥温度の好ましい範囲は、50〜230℃である。

本発明による水硬性材料用混和剤は、水硬性結合材を含有する、含水建築材料混合物中のスランプ保持剤として使用されることができ、その際に、前記水硬性結合材は、(ポルトランド)セメント、スラグ砂、フライアッシュ、シリカ微粉、メタカオリン、天然のポゾラン、焼成オイルシェール、アルミン酸カルシウムセメントまたはこれらの成分の2つ以上の混合物の中から選択されている。

本発明による混和剤は、式(a)による1を上回る多価金属カチオンの割合を有するポリマー分散剤を製造し、かつこのポリマー分散剤を、式(a)による1を下回る多価金属カチオンの割合が得られるような比で、アルカリで中和されたポリマー分散剤と混合することにより、製造されてもよい。この場合、さまざまな順序の混合が可能である。すなわち、式(a)による1を上回る多価金属カチオンの割合を有するポリマー分散剤が予め装入され、かつアルカリで中和されたポリマー分散剤と混合されうるか、或いは逆に、アルカリで中和されたポリマー分散剤が予め装入され、かつ式(a)による1を上回る多価金属カチオンの割合を有するポリマー分散剤と混合されうる。さらに、こうして、異なる種類のポリマー分散剤を混合することが可能である。例えば、第1のアルカリで中和されたポリマー分散剤は、第1のポリマー分散剤とは異なる構造単位または構造単位の組成を有しかつ式(a)による1を上回る多価金属カチオンの割合を有する、第2のポリマー分散剤と混合されて本発明による混和剤となりうる。

本発明による混和剤の合成中の個々の成分の計量供給速度は、重要なパラメーターである。前記成分を高速で計量供給することは、特に好ましい。すなわち、個々の成分の実験室内で典型的な計量供給速度は、0.01ml/秒〜1000ml/秒である。前記の大きさは、通常の運搬技術という条件付きで、マルチメトリックトン(multi−metric−ton)の生産水準になるまで一定比率で増加させることができ、その際に計量供給速度の上限は、少なくとも100m3/時間である。

本願におけるスランプ保持剤の概念とは、前記混和剤が建築材料混合物と水との混合後に90分まで、有利に60分までの加工時間にわたって、そのつどの使用の場合の条件にとってできるだけ十分で、できるだけ高い、結合材懸濁液のスランプ、殊に前記時間にわたって基本的に落下しない、結合材懸濁液のスランプを生じさせることであると解釈されうる。前記混和剤は、そのつどの使用に対して適合された特性プロフィールに調整することができる。さらに、前記混和剤をモルタルまたはコンクリートの製造の際に添加するのではなく、セメント製造の際に既に添加しておくことが可能である。そのうえ、前記混和剤は、同時に粉砕助剤の機能を満たす。

前記コンクリート混和剤は、ポリマー流動化剤、多価金属カチオンおよび本発明によるアニオンからなる、本発明によるコロイド分散調製物に加えて、なおさらなる成分を含有することができる。前記のさらなる成分は、減水性流動化剤、例えばリグニンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸塩縮合物、スルホン化メラミン樹脂、または常用のポリカルボキシレートエーテル(これは、上記のポリカルボキシレートエーテルとは異なる)、ならびに消泡剤、空気連行剤、遅延剤、収縮低減剤および/または硬化促進剤を含む。

また、本発明は、少なくとも1つの混和剤および少なくとも1つの結合材を含有する建築材料混合物に関する。前記結合材は、とりわけ、(ポルトランド)セメント、スラグ砂、フライアッシュ、シリカ微粉、メタカオリン、天然のポゾラン、焼成オイルシェール、アルミン酸カルシウムセメントおよびこれらの混合物の中から選択されている。さらに、前記建築材料混合物は、通常の成分、例えば硬化促進剤、硬化遅延剤、クレー変性剤、収縮低減剤、腐食防止剤、強度を高めるための薬剤、減水剤等を含有することができる。

本発明による混和剤の計量供給量は、一般に、建築材料混合物のセメント含量に対して、固体として0.1〜4質量%である。この場合、計量供給は、水性コロイド分散調製物として行なうことができるかまたは乾燥された固体として行なうことができる。

例 ゲル浸透クロマトグラフィー モル質量測定のための試料調製は、ポリマー溶液をGPC溶離液中に溶解することによって行なわれた。その結果、GPC溶離液中のポリマー濃度は、0.5質量%であった。その後、前記溶液を、ポリエーテルスルホン膜を備えかつ孔径0.45μmを有するシリンジフィルターを介してろ過した。このろ液の注入容量は、50〜100μlであった。

平均分子量を、UV検出器(Waters 2487)およびRI検出器(Waters 2410)を備えた、型式名Alliance 2690を有する、Waters社のGPC機器上で測定した。 カラム:SB−800 HQシリーズのShodex SB−G Guard Column Shodex OHpak SB 804HQおよび802.5HQ (PHMゲル、8×300mm、pH4.0〜7.5)、 溶離液:0.05M水性ギ酸アンモニウム/メタノール混合物=80:20(容量部)、 流速:0.5ml/分、 温度:50℃、 注入量:50〜100μl、 検出:RIおよびUV。

前記ポリマーの分子量を、2つの異なる校正法を用いて測定した。第一番目に、測定を、PSS Polymer Standards Service GmbH社のポリエチレングリコール標準に対して行なった。前記ポリエチレングリコール標準の分子量分布曲線を光散乱により測定した。前記ポリエチレングリコール標準の質量は、682000、164000、114000、57100、40000、26100、22100、12300、6240、3120、2010、970、430、194、106g/molであった。

ポリマー合成 ポリマー分散剤P1は、モノマーのマレイン酸、アクリル酸およびビニルオキシブチルポリエチレングリコール−5800をベースとするものである。マレイン酸に対するアクリル酸のモル比率は、7である。Mw=40000g/mol(GPCによって測定した)。固体含量は、45質量%である。櫛形ポリマーP1の合成は、WO 2010/066470中の第10頁、第1行〜第38行に記載されている。

ポリマー分散剤P2は、成分のフェノールPEG5000とフェノキシエタノールホスフェートとの縮合物である。分子量は、23000g/molである。合成は、ドイツ連邦共和国特許第102004050395号明細書中に記載されている。固体含量は、31%である。

リン酸エステル含有ポリマー分散剤P3 攪拌機、温度計、pH電極および複数の供給装置を装備したガラス型反応器中に、脱イオン水180gを予め装入し、かつ80℃の重合開始温度に温度調節した(予めの装入物)。離れた供給容器中で、25.7%の水性メチルポリエチレングリコール(5.000)メタクリル酸エステル溶液4.669g(240mmol)を、ヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステル251.8g(1198mmol)(HEMA−ホスフェート)および20%のNaOH溶液190.2g(溶液Aに相当する)と混合した。さらなる離れた供給容器中で、ペルオキソ二硫酸ナトリウム13.71gを水182.1gと混合した(溶液B)。第3の供給容器中で、メルカプトエタノール13.2gおよび脱イオン水39.6gを用いて、25%の溶液を製造した(溶液C)。

溶液A、BおよびCの製造後に、3つの全ての溶液の添加と同時に、予めの装入物の攪拌を開始した。この場合には、全ての添加物を60分間にわたって直線的に予めの装入物中に計量供給した。

添加の終結後、温度をさらに30分間、80℃に保持し、その後に溶液を冷却させ、かつこの溶液を50%の苛性ソーダ液158gでpH7.3へ中和した。得られたコポリマーは、27.8%の固体含量を有する澄明な溶液として生じた。前記コポリマーの平均分子量は、Mw39000g/mol、Mp34000g/molであり、かつ多分散指数は、1.55であった。

使用されるHEMAホスフェートを、ポリリン酸とHEMAとの混合によって製造し、その際に、HEMA156gとポリリン酸141.6gとを混合する。このことは、反応混合物に対して、純粋なHEMAホスフェートの割合が251.8gであることを意味する。

電荷密度の例示的算出:

ポリマーP3の例示的算出(初期質量はポリマー合成を参照のこと):

例7についての式(a)の例示的算出: 初期質量の表から、相応する質量が確認される:ポリマーP3の質量26.1gおよび硝酸鉄九水和物の質量4.3g。

したがって、

本発明による混和剤の製造例 一般的規定: ポリマー分散剤の水溶液を、本発明により、多価金属カチオンの塩、アニオンを放出することができる化合物、および任意に、pH値を適合させるための塩基または酸と、撹拌下に混合する。前記混合を、20℃へ温度調節された、1 lの二重ジャケット型ガラス製反応器中で羽根型攪拌機で300rpmで実施した。添加の順序は、第2表中で文字コードによって示されている。Pは、ポリマー分散剤の水溶液を表わし、Kは、多価金属カチオンの本発明による塩を表わし、Aは、アニオンを放出することができる、本発明による化合物を表わし、かつBは、塩基を表わし、またはSは、酸を表わす。量は、常に、正味含量に対するものである。生じる溶液または懸濁液の最終的なpH値が同様に示されている。

ポリマー分散剤の溶液を、電磁攪拌機を備えたビーカー中に予め装入し、かつ所定の質量の水(第2表参照のこと)で希釈する。引続き、多価金属カチオンの本発明による塩(量は、表を参照のこと)を添加し、かつマグネットフィッシュ(Magnetfisch)を用いて約200rpmで攪拌しながら溶解した。アニオンを放出することができる化合物を撹拌下に添加した。任意に、塩基を用いて、pH値をpH7へ調節する。この場合、粘稠な懸濁液が形成される。

前記懸濁液は、貯蔵安定性である。

例12および例13の試料をそのつど20℃および4℃ならびに常圧で6ヶ月間貯蔵した。この場合、前記混和剤は、相分離に対して安定性であることが証明されかつスランプ保持剤としての当該混和剤の作用を保持した。

一般的な噴霧乾燥の規定 本発明による混和剤は、噴霧乾燥によって粉末の形に変換することができる。この場合、本発明による混和剤の水溶液または懸濁液を、噴霧乾燥機型式Mobil Minor(GEA Niro社)を用いて230℃の入口温度および80℃の出口温度で乾燥させる。そのために、前記水溶液に、予めAdditin RC 7135 LD(Rhein Chemie GmbH社)とMPEG500(それぞれ50質量%)との混合物1質量%(水溶液の固体含量に対して)を混合した。得られた粉末に高分散性ケイ酸1質量%(N20P、Wacker Chemie AG社)を混合し、Retsch Grindomix RM 200 ミルを用いて10秒間、8000rpmで微粉砕し、かつ500μmのスクリーンを介してろ過する。

コンクリート試験 コンクリート試験として、380kgのセメント含量を有する、DIN EN 12350に従った標準コンクリート試験を実施した。調節されたスクリーンラインは、DIN 1045−2による分類A/B 16に相当する。

使用されたセメントは、0.47のw/z値を有するKarlstadt CEM l 42.5 R、ならびに0.44のw/z値を有するBernburg CEM l 42.5 Rである。

コンクリートにおける試験前に、ポリマー固体含量に対して、トリイソブチルホスフェート1質量%を有するポリマー試料の泡を消滅させた。

混合プロセス スクリーンラインによる乾燥された骨材とセメントとを強制ミキサー中に予め装入し、かつ10秒間混合した。その後に、強制式ミキサー中の混合物を全体水の10%で湿らせかつさらに2分間混合した。引続き、残りの水を添加し、かつさらに1分間混合した。最終的に、混和剤を添加し、その後直ちに再度1分間、混合した。

スランプ値は、金属製スランプコーン(Metallkonus)を取り除いた後のコンクリートケーキがどのような強さで崩壊するのかの基準である(金属製スランプコーンの上端と金属製スランプコーンを取り除いた後のコンクリートケーキの高さとの高さの差)。スランプフロー(Slump−flow)は、コンクリートケーキが崩壊した後のコンクリートケーキの基本直径に相当する。前記のDIN法による広がりを測定する台(Ausbreittisch)を15回持ち上げかつどしんと置いて揺さぶることにより、広がりの程度が維持される。前記台をたたくことによって発生する剪断力は、コンクリートのさらなる広がりを生じさせる。前記台をたたいた後のコンクリートケーキの直径は、広がりの程度と呼称される。

規定された計量供給量(Dos.%)は、使用された混和剤の固体含量に対するものである。

使用試験 モルタル試験 モルタル試験として、Karlstadt CEM l 42.5 R(w/z 0.44)およびBernburg CEM l 42.5 R(w/z 0.42)による、DIN EN 1015−3に従った標準モルタル試験を使用した。砂対セメントの質量比は、2.2対1であった。Normensand70質量%(Normensand GmbH社、D−59247 Beckum在)と石英砂30質量%との混合物を使用した。モルタルにおける試験前に、ポリマー固体含量に対して、トリイソブチルホスフェート1質量%を有する混和剤試料の泡を消滅させた。

混合プロセス 予め装入した水にセメントをいっぱいにする。このことは、時点0sを定義する。引続き、段階1で30秒間攪拌する。それにしたがって、砂を添加し、段階1(140rpm)でさらに30秒間攪拌しかつ段階2(285rpm)でさらに30秒間攪拌する。

次に、攪拌を90秒間、中断する。この時間間隔の間に、流動化剤(水性調製物としてかまたは粉末として)を添加する。水性流動化剤調製物を添加した場合には、付加された水を、練混ぜ水の量に相応して取出す。最終的に、段階2で再度60秒間攪拌する。したがって、4分間の全混合時間後に、第1の広がりの程度を測定する。

前記のDIN法による広がりを測定する台(Ausbreittisch)を15回持ち上げかつどしんと置いて揺さぶることにより、広がりの程度が維持される。前記台をたたいた後のモルタルケーキの直径は、広がりの程度と呼称される。本発明による混和剤を用いる広がりの程度と比較モルタル試験の広がりの程度との差は、デルタで示されている。比較モルタル試験において、そのつど、本発明による混和剤中に含有されているポリマー分散剤を混和剤として使用した。

規定された計量供給量は、使用されたポリマー懸濁液の固体含量に対するものである。

モルタル試験の結果が示すように、未変性のポリマー分散剤と比較して、本発明による混和剤は、例外なく、より長いコンシステンシーの保持をもたらす。

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