Production of hydraulic composite material

申请号 JP13514695 申请日 1995-06-01 公开(公告)号 JPH08333149A 公开(公告)日 1996-12-17
申请人 Ohbayashi Corp; Schokbeton Japan Co Ltd; 株式会社ショックベトン・ジャパン; 株式会社大林組; 发明人 KAWACHI TAKESHI; HAYASHI YOSHIMASA; OGAWA HARUKA; MITANI KAZUFUSA; KAWAHARA MASAO;
摘要 PURPOSE: To obtain a hydraulic composite material capable of sufficiently demonstrating performance as a composite material.
CONSTITUTION: This production method for producing a hydraulic composite material is made up of (A) kneading process and (B) heat curing process. The process A is as follows: the mixing and kneading of cement mortar 10, and the mixing of a latent-curable epoxy resin 12 are conducted separately; for the mixing for the resin 12, a liquid resin 12a as the main agent and a curing agent 12b coated with a microcapsule film 12c are mixed under agitation in a mixing tank 16 into an one-pack mixture; when applying a specified thermal energy on the capsule film 12c, the film 12c is melted and the curing agent 12b is released outside; the mortar 10 and the epoxy resin 12 in an one-pack state are then mixed under agitation in a mixing tank 18, and the resultant mixture is placed into a mold frame 20; and in this state, the system is transferred to the process B. The process B is made up of precuring period, temperature rising period, maximum temperature maintaining period and temperature falling period; and in the course of the temperature rising period, the epoxy resin 12 initiates its curing.
COPYRIGHT: (C)1996,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 水硬性主材と液状のポリマーとを混合して、これらを硬化させることで製造される水硬性複合材の製造方法において、 前記ポリマーを潜在性硬化型のもので構成するとともに、前記水硬性主材の硬化開始後の任意の時期に、前記ポリマーの潜在硬化性を顕在化させることを特徴とする水硬性複合材の製造方法。
  • 【請求項2】 前記水硬性主材は、セメント,石膏,それらに骨材を加えたものから選択されることを特徴とする請求項1記載の水硬性複合材の製造方法。
  • 【請求項3】 前記潜在硬化型のポリマーは、エポキシ樹脂主剤と、カプセル膜で被覆された硬化剤とから構成され、前記ポリマーの潜在硬化性の顕在化が、温度,圧力,光照射のいずれか1つで行なわれることを特徴とする請求項1または2記載の水硬性複合材の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】この発明は、硬性複合材の製造方法に関し、特に、水硬性主材と混合されるポリマーの硬化開始時期を制御して、複合材の性能を改善する製造方法に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】セメントモルタルやコンクリートなどの水硬性材料の性能を改善する技術として、これらの水硬性材料にポリマー(高分子重合体)を混合する方法が知られている。 このような水硬性材料の改質方法として、
    水性ポリマーディスパージョンを水硬性材料と混合する方法や、水硬性材料を硬化させた後に、ポリマーを含浸させる方法などが提供されている。

    【0003】しかし、前者の水性ポリマーディスパージョンを水硬性材料と混合する方法では、水硬性材料改質効果が十分得られない。 また、後者の水硬性材料を硬化させた後に、ポリマーを含浸させる方法では、通常のコンクリートに対して、学的特性や耐久性に顕著な効果が求められるものの、これを製造する際に以下のような問題が指摘されていた。

    【0004】水硬性材料にポリマーを含浸させるためには、通常、水硬性材料を気密室内に設置して、室内を真空にした状態で、ポリマーを含浸させている。 ところが、このような製造方法では、例えば、建築物の外壁に使用されるプレキャスト壁体等のような大型の複合材を製造する際には、非常に大きな真空設備が必要になって、コトス的な面で実用化することが困難であった。

    【0005】一方、この種の改質方法の一種として、液状のポリマー、例えば、エポキシ樹脂をコンクリートと混合して、これらを硬化させることによって複合材を製造する方法も知られている。 このような水硬性材料の改質方法では、大型の設備を必要としないので、その実用化が期待されている。 そこで、近時、プレキャスト製品の曲げ強度,引っ張り強度および変形性能の向上、あるいは、乾燥収縮率の低減などを目的として、コンクリートに熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂を添加して、
    コンクリートと樹脂とを複合化させることが試みられている。

    【0006】しかしながら、この種の製品を製造する際に、従来、試みられていた製造方法には、以下に説明するような技術的課題が存在していた。

    【0007】

    【発明が解決しようとする課題】すなわち、プレキャスト製品においてコンクリートとエポキシ樹脂との複合化を図ろうとすると、一般的には、エポキシ樹脂を均一に分散させるために、型枠に打設する前に、エポキシ樹脂をセメントモルタル中に添加して混合することになる。

    【0008】ところが、単に、エポキシ樹脂をセメントモルタル中に添加,混合する製造方法では、水和反応によるセメントマトリックスの硬化速度と、架橋反応などによるエポキシ樹脂の硬化速度とが異なるため、両者の硬化反応をバランス良く行なわせることが非常に困難な状況になる。 つまり、両者の配合量によっても異なるが、一般的には、セメントマトリックスの水和反応の方が、エポキシ樹脂の硬化反応よりも非常に遅いので、エポキシ樹脂がセメントよりも先に硬化反応が開始され、
    例えば、前述したようなプレキャスト製品の製造工程においては、前養生期間中にエポキシ樹脂の硬化が開始され、その後にセメントの硬化が進行することになり、セメントの凝結が遅延するといった問題が発生し、複合材料としての性能を充分に発揮させることができなかった。

    【0009】また、特に、エポキシ樹脂は、通常、液状の主剤と硬化剤とから構成されていて、この2成分を混合して使用するが、液状の主剤の粘度がかなり大きく、
    これに硬化剤を添加すると、主剤の硬化が開始してさらに粘度が上がることもあって、混合に手間がかかるだけでなく、2成分を混合すると硬化が始まるので、計量を手早く行なうために、軽量ミスが発生する危険性もあり、工場生産されるプレキャスト製品での実用化を妨げる一因となっていた。

    【0010】本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その第一の目的は、複合材としての性能を充分に発揮させることができる水硬性複合材の製造方法を提供することにある。 また、第二の目的として、手間や計量ミスの発生を低減することができる水硬性複合材の製造方法を提供することにある。

    【0011】

    【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、水硬性主材と液状のポリマーとを混合して、これらを硬化させることで製造される水硬性複合材の製造方法において、前記ポリマーを潜在性硬化型のもので構成するとともに、前記水硬性主材の硬化開始後の任意の時期に、ポリマーの潜在硬化性を顕在化させることを特徴とする。 前記水硬性主材は、セメント,石膏
    それらに骨材を加えたものから選択することができる。
    前記潜在硬化型のポリマーは、エポキシ樹脂主剤と、カプセル膜で被覆された硬化剤とから構成され、前記ポリマーの潜在硬化性の顕在化が、温度,圧力,光照射のいずれか1つで行なうことができる。

    【0012】

    【作用】上記構成の水硬性複合材の製造方法によれば、
    ポリマーを潜在性硬化型のもので構成するとともに、水硬性主材の硬化開始後の任意の時期に、ポリマーの潜在硬化性を顕在化させるので、得ようとする複合材の性能要求に応じて、ポリマーの硬化時期をコントロールし、
    ポリマーによる水硬性主材の改質効果を有効に発揮させることができる。 また、本発明の製造方法では、潜在性硬化型のポリマーを使用するので、予めポリマーと水硬性主材とを混合しても、この状態では、ポリマーの硬化が開始しないので、計量を急ぐ必要がなく、これらを十分に混合することが可能になり、ポリマーを水硬性主材中に均一に分散させることができる。 請求項2の構成によれば、水硬性主材は、セメント,石膏,それらに骨材を加えたものから選択することができるので、セメントモルタルやコンクリートを使用するプレキャスト製品などに適用することが可能になる。 さらに、請求項3の構成によれば、潜在硬化型のポリマーは、エポキシ樹脂主剤と、カプセル膜で被覆された硬化剤とから構成され、
    前記ポリマーの潜在硬化性の顕在化が、温度,圧力,光照射のいずれか1つで行なうので、主剤と硬化剤とを混合しても、主剤の硬化が開始されず、予めこれらを大量に混合して一液化した状態で長期間貯蔵することができる。

    【0013】

    【実施例】以下本発明の好適な実施例について添附図面を参照して詳細に説明する。 図1および図2は、本発明にかかる水硬性複合材の製造方法の一実施例を示しており、同図に示す実施例では、水硬性主材としてセメントモルタルを使用し、液状ポリマーとしてエポキシ樹脂を使用して、プレキャスト製品を製造する場合に、本発明を適用している。 図1,2に示すプレキャスト製品の製造方法は、原材料の混合,混練工程(A)と、この工程(A)に引き続いて行なわれる加熱養生工程(B)とから概略構成されている。

    【0014】原材料の混合,混練工程(A)は、セメントモルタル10の混合,混練と、潜在性硬化型の熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂12の混合とが別々に行なわれる。 セメントモルタル10の混合,混練は、セメントと細骨材と水とを混合槽14内に投入して、所定混合比のものが作成される。 エポキシ樹脂12の混合では、液状の樹脂主剤12aと、微細なマイクロカプセル膜12cで被覆された硬化剤12bとが、それぞれ所定量ずつ計量されて、混合槽16内で攪拌混合され、所定比率の一液状態のものが作成される。

    【0015】硬化剤12bの外周を被覆するカプセル膜12cは、所定の温度が加えられると溶融して、内部の硬化剤12bが外部に放出され、すなわち、この状態になると潜在硬化型ポリマーの潜在硬化性が顕在化されるものであって、この溶融温度は、例えば、60℃以上に設定されている。 なお、このカプセル膜12cの溶融温度は、その膜厚を異ならせることでコントロールすることができる。 つまり、カプセル膜12を採用した潜在硬化型ポリマーの潜在硬化性の顕在化は、膜厚みを一定にした場合に、温度により制御できるとともに、温度を一定にした場合に、膜厚みを変えることにより制御できる。

    【0016】セメントモルタル10と一液状態のエポキシ樹脂12が作成されると、これらは、さらに混合槽1
    8内に投入されて、攪拌混合される。 このような原材料の混合,混練工程(A)においては、潜在硬化型の熱硬化性樹脂は、液状のエポキシ樹脂主剤12aと、カプセル膜12cで被覆された硬化剤12bとから構成されているので、これらを混合しても主剤12aと硬化剤12
    bとが直接接触しないので、主剤12aの硬化は開始されない。

    【0017】このため、エポキシ樹脂主剤12aの粘度が上昇しないので、混合攪拌が容易かつ、十分に行なえ、硬化剤12bを主剤12a中に均一に分散させることができるとともに、カプセル膜12cで被覆された硬化剤12bの計量も簡単に行なえる。 また、主剤12a
    と硬化剤12bとを混合しても、主剤12aの硬化が開始されないので、予め大量に混合して一液化した状態で長期間貯蔵することもできるとともに、一液化されたエポキシ樹脂12をセメントモルタル10に混合しても、
    樹脂12の硬化が開始されないので、混合が充分にでき、樹脂12をセメントモルタル10中に均一に分散させることができる。

    【0018】以上のようにして原材料の混合,混練工程(A)が終了すると、混合,混練されたセメントモルタル10と一液状態のエポキシ樹脂12とは、所定形状の型枠20内に打設されて、加熱養生工程(B)に移行される。 加熱養生工程(B)は、通常のプレキャスト工場で採用されている蒸気養生と同様な工程であって、図2
    に示すような熱処理が行なわれる。

    【0019】図2に示した加熱養生工程(B)は、前養生期間と、温度上昇期間と、最高温度維持期間と、温度下降期間とから構成されている。 前養生期間は、セメントモルタル10およびエポキシ樹脂12の打設後、本養生を開始するまでの期間であって、常温、
    例えば、20℃程度の温度で2〜3時間程度空気中に放置しておき、固まらないセメントモルタル10を急激に加熱する際の熱変形を回避するために行なわれる。

    【0020】温度上昇期間は、本養生を開始して、例えば、蒸気を送り込みながら型枠20の温度をほぼ一定の速度で上昇させる期間であり、セメントモルタル10
    の硬化を促進するために行なわれ、例えば、生産効率と急激な加熱による障害とを考慮して、20℃/h程度の定速で行なわれる。 最高温度維持期間は、型枠20内の温度を最高温度で所定時間保つ期間であって、加熱を終了するまでをいう。

    【0021】この時の最高温度は、例えば、80℃以下に設定されている。 温度下降期間は、加熱を停止した後、型枠20などの温度が徐々に下降する期間で、型枠20内から製品を脱型するまでをいう。 以上のような条件で加熱養生工程(B)が行なわれると、本実施例の場合には、硬化剤12bを被覆しているカプセル膜12c
    に60℃以上の温度が加えられると、膜12cが溶融するので、温度上昇期間の途中でカプセル膜12cが溶融して、硬化剤12bが放出され、硬化剤12bと主剤12aとが接触して、主剤12aの硬化が温度上昇期間の途中で開始される。

    【0022】より具体的には、本実施例の場合には、温度上昇期間の後半部分で、かつ、実際には加熱雰囲気の温度と型枠20内の温度とが若干遅れて上昇するので、最高温度維持期間に近接した時期に主剤12の硬化が開始される。 なお、この場合いの主剤12aの硬化開始時期は、温度上昇の条件を変更したり、あるいは、
    カプセル膜12cの膜厚を変更することにより、適宜制御することができる。

    【0023】そして、加熱養生工程(B)が全て終了すると、型枠20が取り除かれ、脱型されたプレキャスト製品は、その後通常の養生が行なわれて完成品となる。
    さて、以上のように構成されたプレキャスト製品の製造方法によれば、セメントモルタル10を型枠20内に打設する前に潜在性硬化型のエポキシ樹脂12を添加して混合し、加熱養生の昇温過程の途中でエポキシ樹脂1
    2の硬化を開始させるので、セメントの水和反応による硬化と、エポキシ樹脂12の硬化とを同時進行的に行なわせることが可能になる。

    【0024】このようにして、セメントおよびエポキシ樹脂12の硬化を同時進行的に行なうと、これらを複合化させることにより得られる機能が有効に発揮され、高強度のプレキャスト製品が製造できる。 また、本実施例の場合には、硬化剤12bを被覆したカプセル膜12c
    は、加熱養生工程(B)の際の温度上昇期間の加熱により溶融させるので、特別な方法を講じることなく、通常のプレキャスト製品の製造工程中でエポキシ樹脂12
    を硬化させて、これとセメントモルタル10との複合化を達成することができる。

    【0025】ここで、本発明者らは、上述したような本発明の作用効果を確認するため、以下に説明する条件でプレキャスト供試体を作成し、得られた供試体の性能評価を行なった。 セメントモルタルの使用材料は、早強ポルトランドセメントの一部をシリカフュームで置換したものを用い、混和剤として、アミノスルホン酸系の高性能AE減水剤を使用し、その配合比率は、以下に示す表1のように設定した。

    【0026】エポキシ樹脂としては、潜在性硬化型の一液性エポキシ樹脂配合品(旭化成株式会社製、商品名:
    ノバキュア HX−3722、主剤:ビスフェノールA
    型エポキシ樹脂、硬化材:イミダゾール変性品、カプセル膜の厚み2μ,溶融温度60〜70℃)を使用し、樹脂とセメントとの重量%(P/C)を0,5,10,1
    5,20に設定した。

    【表1】

    使用材料の混合は、JIS R5201「セメントの物理試験方法」に準じて行なった。 供試体の寸法は、全て4.0×4.0×16.0cmとし、成形時に振動台による締め固めを60秒間行なった。 加熱養生工程は、図2に示した前養生期間が、20±2℃、65±5%R


    Hとし、その期間を0,1,6,27日に設定し、温度上昇期間の定速昇温の勾配を20℃/hとし、最高温度維持期間の最高温度80℃,2時間に設定した。 そして、20℃まで温度が降下する温度下降期間(約3


    時間)を経て、その後は、材齢試験を行なうまで引き続いて気中養生を行なった。

    【0027】測定項目は、力学的性質として、曲げ強度および圧縮強度(JIS R5201に準拠)を測定した、また、物理的性質として、吸水率,気孔率を測定した。 試験材齢は、7日と28日(27日)に設定した。
    図3から図5には、得られた供試体の曲げ強度の測定結果が示されている。 図3は、エポキシ樹脂を混入しないで、かつ、加熱養生を施さなかった場合の測定結果である。 図4は、エポキシ樹脂を混入して、前養生を1日行なった場合の測定結果で、図5は、エポキシ樹脂を混入して、前養生を6日行なった場合の測定結果である。

    【0028】これらの図に示す測定結果から、エポキシ樹脂をセメントモルタルに混入すると、曲げ強度が向上することが判る。 ここで、特に注目すべきことは、エポキシ樹脂を添加した複合材料では、前養生期間を従来のプレキャスト製品の製造で設定されていた期間(数時間)よりもかなり長くして、6日にすると、材令1日の曲げ強度よりも、材令27日の曲げ強度が大幅に向上することが判明したことである。

    【0029】図6から図8には、得られた供試体の圧縮強度の測定結果が示されている。 図6は、エポキシ樹脂を混入しないで、かつ、加熱養生を施さなかった場合の測定結果である。 図7は、エポキシ樹脂を混入して、前養生を1日行なった場合の測定結果で、図8は、エポキシ樹脂を混入して、前養生を6日行なった場合の測定結果である。

    【0030】これらの図に示す測定結果から、エポキシ樹脂をセメントモルタルに混入した場合でも、加熱養生を行なうと、複合材料の圧縮強度が向上することが判るとともに、このような養生を行なえば、エポキシ樹脂を混入しない場合のセメントモルタル製品とほぼ同程度の圧縮強度を確保することができる。 以下に示す表2には、得られた供試体の吸水率の測定結果が示されている。

    【表2】

    なお、この吸水率の測定結果は、3個づつの供試体の平均値を示している。

    【0031】この測定結果から明らかなように、潜在硬化型のエポキシ樹脂を混入した複合材では、吸水率が1
    /3程度に低下することが判る。 以下に示す表3には、
    得られた供試体の気孔率の測定結果が示されている。

    【表3】

    なお、この気孔率の測定結果は、3個づつの供試体の平均値を示している。

    【0032】この測定結果から明らかなように、潜在硬化型のエポキシ樹脂を混入した複合材では、気孔率が1
    /3程度に非常に大きく低下することが判る。 図9は、
    この発明にかかる水硬性複合材の製造方法の他の実施例を示している。 同図に示す実施例では、上記実施例と同様に、水硬性主材にセメントモルタル10を使用し、ポリマーには、液状の樹脂主剤12aと、微細なマイクロカプセル膜12cで被覆された硬化剤12bとが用いられていて、これらの部材を混合して、柱状のプレキャスト製品を製造する。 このとき、プレキャスト製品には、
    中空筒状のシース20が適宜位置に埋設される。

    【0033】この実施例の場合には、マイクロカプセル膜12cを溶融させることなく、セメントモルタル10
    だけが硬化させられる。 そして、セメントモルタル10
    が硬化して、所定の強度が発現されると、シース20内にプレストレスト鋼材22を挿通して、これに引っ張り力が導入される。 プレストレス鋼材22に張力が導入されると、硬化したセメントモルタル10には、圧縮力が加えられ、この圧縮力によりマイクロカプセル12cが破断して、エポキシ樹脂主剤12aの硬化反応が開始される。

    【0034】つまり、この実施例の場合には、水硬性主剤(セメントモルタル10)の硬化反応をほぼ終了させた時期に、潜在性硬化型ポリマー(一液型エポキシ樹脂)の潜在硬化性が顕在化される。 このようにして、水硬性主剤と潜在硬化性ポリマーとを複合化させると、相互の硬化反応が別々に行なわれて、一方の硬化反応が他方の硬化反応に影響を全く及ぼすことがないので、パリマーによる水硬性材料の改質効果を有効に発揮させることが可能になる。

    【0035】なお、上記実施例では、潜在性硬化型の熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を例示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、硬化剤と接触することにより硬化反応が開始される、例えば、ウレタン樹脂,MMA(メチルメタクレート樹脂),ポリエステル樹脂,フェノール樹脂などにも適用することができる。

    【0036】また、上記実施例では、ポリマーに潜在硬化性を付与する手段として、硬化剤12bをマイクロカプセル12cで包囲するものを示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、例えば、室温では溶解しない硬化剤を粒状化して主剤と混合しておき、硬化させたい時に加熱することや、ポリマーの硬化反応を遅延させる遅延剤を混入し、遅延剤によりポリマーの硬化反応を制御してもよい。

    【0037】さらに、マイクロカプセル膜12cを利用した潜在硬化型樹脂の潜在硬化性の顕在化は、上記実施例で示した熱により溶融させることだけでなく、例えば、型枠20内に打設した状態で、その上方から圧力を加えることによって、カプセル膜12cを破壊して、顕在化させることもできるし、膨張材を混入しておいて、
    この膨張材の膨張により膜12cを破断して顕在化させたり、あるいは、表面から紫外線や赤外線などを照射して顕在化させてもよい。

    【0038】さらに、上記実施例では、水硬性主材としてセメントモルタル10を例示したが、本発明の実施は、これに限定されることはなく、例えば、石膏などとも混合することができる。

    【0039】

    【発明の効果】以上、実施例で詳細に説明したように、
    本発明にかかる水硬性複合材の製造方法によれば、ポリマーの硬化時期を制御するので、ポリマーの改質効果を有効に発揮させることができる。 また、本発明の製造方法では、潜在性硬化型のポリマーを使用するので、予めポリマーと水硬性主材とを混合しても、この状態では、
    ポリマーの硬化が開始せず、計量を急ぐ必要がなく、これらを十分に混合することが可能になり、ポリマーを水硬性主材中に均一に分散させることができる。 請求項2
    の構成によれば、水硬性主材は、セメント,石膏,それらに骨材を加えたものから選択することができるので、
    セメントモルタルやコンクリートを使用するプレキャスト製品などに適用することが可能になる。 さらに、請求項3の構成によれば、潜在硬化型のポリマーは、エポキシ樹脂主剤と、カプセル膜で被覆された硬化剤とから構成され、前記ポリマーの潜在硬化性の顕在化が、温度,
    圧力,光照射のいずれか1つで行なうので、主剤と硬化剤とを混合しても、主剤の硬化が開始されず、予めこれらを大量に混合して一液化した状態で長期間貯蔵することができ、工場で大量に生産する製品に採用することができる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】本発明にかかる製造方法をプレキャスト製品の製造に適用した場合の工程説明図である。

    【図2】図1に示した製造における加熱養生工程の熱処理期間のタイムチャート図である。

    【図3】ポリマーを混入しないで、かつ、加熱養生を行なわないで作成した供試体の曲げ強度の測定結果を示すグラフである。

    【図4】ポリマーを混入して、かつ、前養生を1日行なった後に、加熱養生をおこなった供試体の曲げ強度の測定結果を示すグラフである。

    【図5】ポリマーを混入して、かつ、前養生を6日行なった後に、加熱養生を行なった供試体の曲げ強度の測定結果を示すグラフである。

    【図6】ポリマーを混入しないで、かつ、加熱養生を行なわないで作成した供試体の圧縮強度の測定結果を示すグラフである。

    【図7】ポリマーを混入して、かつ、前養生を1日行なった後に、加熱養生をおこなった供試体の圧縮強度の測定結果を示すグラフである。

    【図8】ポリマーを混入して、かつ、前養生を6日行なった後に、加熱養生を行なった供試体の圧縮強度の測定結果を示すグラフである。

    【図9】本発明にかかる水硬性複合材の製造方法の他の実施例を示す断面説明図である。

    【符号の説明】

    10 セメントモルタル 12 エポキシ樹脂(潜在性硬化型熱硬化性樹脂) 12a 樹脂主剤 12b 硬化剤 12c カプセル膜 20 型枠 (A) 混合,混練工程 (B) 加熱養生工程

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 晴果 東京都清瀬市下清戸4−640 株式会社大 林組技術研究所内 (72)発明者 三谷 一房 東京都清瀬市下清戸4−640 株式会社大 林組技術研究所内 (72)発明者 川原 正雄 埼玉県川越市南台1丁目10番地4 株式会 社ショックベトン・ジャパン内

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