Rapid-hardening cement for sea water resistant cement asphalt mortar and sea water resistant cement asphalt mortar using the same

申请号 JP2008005445 申请日 2008-01-15 公开(公告)号 JP2009167042A 公开(公告)日 2009-07-30
申请人 Denki Kagaku Kogyo Kk; Railway Technical Res Inst; Toa Doro Kogyo Co Ltd; West Japan Railway Co; 東亜道路工業株式会社; 西日本旅客鉄道株式会社; 財団法人鉄道総合技術研究所; 電気化学工業株式会社; 发明人 TAKAGI SATOSHI; KOBAYASHI KENJI; UMEDA TAKESHI; OYATO SATOAKI; SASAKI TAKAHIKO; KANEOKA HIROYUKI; TABUCHI TAKESHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide rapid-hardening cement for sea water-resistant cement asphalt mortar which exhibits excellent short time strength development and is used for an undersea tunnel or the like and the cement asphalt mortar suitable for filler for the track of the undersea tunnel or the like using the same.
SOLUTION: The rapid-hardening cement for the sea water-resistant cement asphalt mortar contains 20-100 pts.mass crystalline calcium aluminate, 10-70 pts.mass gypsum, 5-50 pts.mass granulated blast furnace slug fine powder and 0.5-5 pts.mass lithium salt per 100 pts.mass cement. The sea water-resistant cement asphalt mortar contains the rapid-hardening cement for the sea water-resistant cement asphalt mortar, a setting modifier, fine aggregate, an asphalt emulsion, a polymer-based emulsion, a defoaming agent and water.
COPYRIGHT: (C)2009,JPO&INPIT
权利要求
  • セメント100質量部に対して、結晶質カルシウムアルミネート20〜100質量部、石膏10〜70質量部、高炉水砕スラグ微粉末5〜50質量部、およびリチウム塩0.5〜5質量部を含有してなることを特徴とする耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント。
  • 前記セメントの3CaO・SiO 2含有量が60%以上であることを特徴とする請求項1に記載の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント。
  • 前記結晶質カルシウムアルミネートのCaO/Al 2 O 3モル比が0.75〜2.0であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント。
  • 前記石膏が、半水石膏であることを特徴とする請求項1〜請求項3のうちの一項に記載の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント。
  • さらに発泡剤を含有することを特徴とする請求項1〜請求項4のうちの一項に記載の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント。
  • 請求項1〜請求項5のうちの一項に記載の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント、凝結調整剤、細骨材、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、消泡剤、および水を含有してなる耐海水性セメントアスファルトモルタル。
  • 说明书全文

    本発明は、セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント、およびそれを用いたセメントアスファルトモルタルに関し、特に、海底トンネルにおける鉄道の軌道用充填材に用いることができる耐性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント、およびそれを用いた耐海水性セメントアスファルトモルタルに関する。

    鉄道の軌道には、レール、枕木、及びバラストの三要素からなるバラスト道床軌道があり、このバラスト道床軌道では、バラスト敷設後に突き固め、狂いの整正、及びバラストの交換等、その保守作業に多大な労を必要とし、また、人手不足、作業者の高齢化、及び賃金の高騰等の問題に対処するために各種の省力化軌道が検討されるようになってきた。
    その代表例として、営業線用省力化軌道には、スラブ軌道(軌道スラブと基層間の間隙を粘弾性体でてん充した軌道)およびてん充道床軌道(バラスト道床軌道のバラスト間隙を粘弾性体でてん充した軌道)がある。
    てん充する粘弾性体は、それぞれの軌道構造に適する性能をもった充填材が用いられる。 それらは、いずれも営業線の短い線路閉鎖時間内でバラスト内に注入し、列車荷重に耐える強度を速く発現させるために、急硬性セメント瀝青グラウト材を使用することが提案されている(特許文献1参照)。
    しかしながら、この急硬性セメント瀝青グラウト材に用いる急硬材は、海水中の成分と反応して過膨張となり、最終的には膨張破壊を引き起こす可能性があるため、海底トンネル等の省力化軌道に用いるには問題があった。

    特開平07−069698号公報

    上記のような問題を解決し、耐海水性を向上させるために、セメントアスファルトモルタルのセメント系膨張材として石灰系膨張材を使用し、急硬性セメント混和材(カルシウムアルミネートと無水石膏との混合物)と組み合わせたスラブ軌道用急硬性、耐海水性セメントアスファルトモルタルが公知である(特許文献2)が、耐海水性の向上は十分ではなかった。

    特開平09−86993号公報

    さらに、セメントアスファルトモルタル用急硬性セメントについて、特許文献3には、「ポルトランドセメント、速硬材、高炉スラグ又は珪砂及び膨張材の混合物であることを特徴とする常温アスファルト舗装用低収縮速硬材。」(請求項1)、「速硬材が、アルミナセメント100重量部、無水石こう30〜100重量部及び消石灰5〜50重量部からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の常温アスファルト舗装用低収縮速硬材。」(請求項4)の発明が記載されているが、リチウム塩を含有させることについては記載がなく、また、特許文献3に記載された発明は、「セメントアスファルト混合物から得られた舗装体における収縮によるひび割れの発生を防止し、長期的にも適度の剛性を保持することができる常温アスファルト舗装用低収縮速硬材を提供すること」(段落[0005])を課題とするものであり、耐海水性の向上を課題とするものではなく、海底トンネル等の省力化軌道に用いることは示唆されていない。

    特開2001−278652号公報

    特許文献4には、「速硬性セメント、水、凝結遅延剤、消泡剤、発泡剤を混合し、さらに必要に応じてアスファルト乳剤と高分子乳剤を1種または2種以上および短期強度促進剤を添加する速硬性セメント系の注入材」において、速硬性セメントとして「カルシウムサルホアルミネートを主成分とするクリンカー20〜60重量%、ポルトランドセメントクリンカー20〜70重量%、II型無水石膏0.5〜30重量%、ブレーン値5000cm 2 /gの炭酸リチウム0.1〜3.0重量%、クエン酸等オキシカルボン酸0.05〜2重量%から成り、前記II型無水石膏の一部は前記クリンカーの粉砕時に混合して微粉化し、残部はブレーン値3000cm 2 /g以下の粗粉状態で後添加且つセメントの化学成分SO 3 /Al 23をモル比で1.4〜1.0としたもの」(段落[0021])を使用することが記載されているが、高炉水砕スラグを含有させることについては記載がなく、また、特許文献4に記載された発明は、「速硬性セメント系の注入材とコンクリートにおいて変形能力や靱性を向上させる構成を得て、ひび割れの発生・破損を防止して、構造部材の信頼性及び長寿命化を向上させること」を課題とするものであり、耐海水性の向上を課題とするものではなく、海底トンネル等の省力化軌道に用いることは示唆されていない。

    特開平11−246252号公報

    一方、セメントに石膏と高炉水砕スラグを混合して耐海水性に優れたセメントとすることも公知である(特許文献5及び6参照)が、特許文献5及び6に記載された耐海水性セメントは、急硬性ではなく、耐海水性の向上も十分ではないから、このような耐海水性セメントをセメントアスファルトモルタルとしても、海底トンネル等の省力化軌道に用いることは難しかった。

    特開平7−242449号公報

    特開2004−137113号公報

    本発明は、上記のような問題を解決しようとするものであり、短時間強度発現性に優れ、海底トンネル等でも使用可能な耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント、およびそれを用いた海底トンネル等の軌道用充填材に適するセメントアスファルトモルタルモルタルを提供することを課題とする。

    そこで、本発明者らは、前記課題を解決すべく、種々の努力を重ねた結果、特定の急硬性セメントを用いることにより、耐海水性に優れる急硬性セメントアスファルトモルタルが得られることを知見し、本発明を完成させるに至った。 本発明は、セメントに、結晶質カルシウムアルミネート、石膏、高炉水砕スラグ微粉末、およびリチウム塩のすべての成分を含有させて急硬性セメントとしたことを特徴とするものであり、以下の実施例に示すように、これらの成分の一つでも欠けた急硬性セメントを用いたのでは、耐海水性に優れる急硬性セメントアスファルトモルタルは得られない。

    本発明においては、前記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
    (1)セメント100質量部に対して、結晶質カルシウムアルミネート20〜100質量部、石膏10〜70質量部、高炉水砕スラグ微粉末5〜50質量部、およびリチウム塩0.5〜5質量部を含有してなることを特徴とする耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメントである。
    (2)前記セメントの3CaO・SiO 2含有量が60%以上であることを特徴とする前記(1)の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメントである。
    (3)前記結晶質カルシウムアルミネートのCaO/Al 2 O 3モル比が0.75〜2.0であることを特徴とする前記(1)又は(2)の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメントである。
    (4)前記石膏が、半水石膏であることを特徴とする前記(1)〜(3)のうちの一項の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメントである。
    (5)さらに発泡剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のうちの一項の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメントである。
    (6)前記(1)〜(5)のうちの一項の耐海水性セメントアスファルトモルタル用急硬性セメント、凝結調整剤、細骨材、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、消泡剤、および水を含有してなる耐海水性セメントアスファルトモルタルである。
    なお、本発明における部や%は特に規定しない限り質量基準で示す。

    本発明は、特定の急硬性セメントを用いることにより、耐海水性に優れた急硬性セメントアスファルトモルタル(以下、CAモルタルという)が得られ、海底トンネルの営業線省力化軌道に用いる充填材に適する。

    以下、詳しく本発明を説明する。
    本発明で使用するセメントは特に限定されるものではなく、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカなどを混合した各種混合セメント、都市ゴミ焼却灰や下水道汚泥焼却灰等を原料として製造された廃棄物利用セメント(エコセメント)、並びに、石灰石微粉末や高炉水砕スラグ微粉末等を混合した各種フィラーセメントなどがあり、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
    本発明において、セメントは、3CaO・SiO 2含有量が60%以上、70%以下のものを使用することが、CAモルタルの強度発現性の面から好ましい。

    本発明で使用する結晶質カルシウムアルミネートは、CaOとAl 2 O 3を主成分とする化合物を総称するものであり、具体例としては、例えば、CaO・2Al 2 O 3 、CaO・Al 2 O 3 、12CaO・7Al 2 O 3 、11CaO・7Al 2 O 3・CaF 2 、及び3CaO・3Al 2 O 3・CaSO 4などと表される結晶性のカルシウムアルミネートが挙げられる。
    結晶質カルシウムアルミネートを得る方法としては、CaO原料とAl 2 O 3原料等をロータリーキルンや電気炉等によって熱処理して製造する方法が挙げられる。
    結晶質カルシウムアルミネートを製造する際のCaO原料としては、例えば、石灰石や貝殻等の炭酸カルシウム、消石灰等の水酸化カルシウム、あるいは、生石灰等の酸化カルシウムが挙げられる。
    また、Al 2 O 3原料としては、例えば、ボーキサイトやアルミ残灰と呼ばれる産業副産物のほか、アルミニウム粉等が挙げられる。

    本発明の結晶質カルシウムアルミネートのCaO/Al 2 O 3モル比は、0.75〜2.0が好ましく、1.0〜1.5がより好ましい。 CaO/Al 2 O 3モル比が0.75未満では充分な強度発現性が得られない場合があり、CaO/Al 2 O 3モル比が2.0を超えると優れた流動性や充分な作業時間が得られない場合がある。
    結晶質カルシウムアルミネートの粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で3,000〜9,000cm 2 /gが好ましく、4,000〜8,000cm 2 /gがより好ましい。 3,000cm 2 /g未満では強度発現性が充分でない場合があり、9,000cm 2 /gを超えると流動性の保持や作業時間の確保が困難になる場合がある。
    結晶質カルシウムアルミネートの結晶化率は、粉末法X線回析法によって測定でき、結晶化率30〜90%が好ましく、可使時間と急硬性のバランスから40〜70%がより好ましい。
    なお、結晶化率は次式から算出することが可能である。
    結晶化率(%)=(ピーク面積/全面積)×100

    結晶質カルシウムアルミネートを工業的に製造すると、例えば、Li 2 O、Na 2 O、K 2 O、MgO、TiO 2 、MnO、Fe 2 O 3 、SiO 2 、P 2 O 5 、S、及びFなどの不純物が含まれることがある。
    これらの不純物の存在は本発明の目的を実質的に阻害しない範囲、通常は、不純物の合計が10%以下の範囲では、特に問題とはならない。
    また、本発明では、4CaO・Al 2 O 3・Fe 2 O 3 、6CaO・2Al 2 O 3・Fe 2 O 3 、及び6CaO・Al 2 O 3・2Fe 2 O 3などのカルシウムアルミノフェライト、2CaO・Fe 2 O 3やCaO・Fe 2 O 3などのカルシウムフェライト、ゲーレナイト2CaO・Al 2 O 3・SiO 2やアノーサイトCaO・Al 2 O 3・2SiO 2などのカルシウムアルミノシリケート、メルビナイト3CaO・MgO・2SiO 2 、アケルマナイト2CaO・MgO・2SiO 2 、及びモンチセライトCaO・MgO・SiO 2などのカルシウムマグネシウムシリケート、トライカルシウムシリケート3CaO・SiO 2 、ダイカルシウムシリケート2CaO・SiO 2 、及びランキナイト3CaO・2SiO 2 、ワラストナイトCaO・SiO 2などのカルシウムシリケート、カルシウムチタネートCaO・TiO 2 、遊離石灰、並びに、リューサイト(Na 2 O、K 2 O)・Al 2 O 3・SiO 2などを結晶質カルシウムアルミネートが含む場合がある。
    結晶質カルシウムアルミネートの使用量は、セメント100部に対して、20〜100部が好ましく、40〜80部がより好ましい。 20部未満では短時間強度発現性、耐海水性が悪くなる場合があり、100部を越えると凝結調整剤を用いても作業時間を確保できない場合がある。

    本発明で使用する石膏は、無水石膏、半水石膏、および二水石膏が挙げられ、さらに天然石膏や、リン酸副生石膏、排脱石膏、およびフッ酸副生石膏等の化学石膏、または、これらを熱処理して得られる石膏等が含まれる。 これらの中で短時間強度発現性が大きい面で半水石膏が好ましい。
    石膏の粒度は特に限定されるものではないが、通常、ブレーン比表面積値で3,000〜9,000cm /gの範囲にあり、4,000〜8,000cm /g程度のものがより好ましい。 3,000cm /g未満では強度発現性が充分でない場合があり、9,000cm /gを超えるようなものは優れた流動性が得られない場合がある。
    石膏の使用量は、セメント100部に対して、10〜70部が好ましく、30〜50部がより好ましい。 10部未満では強度発現性、耐海水性が悪くなる場合があり、70部を越えると膨張量が大きくなり過ぎ膨張破壊を起こす可能性がある。

    本発明で使用する高炉水砕スラグ微粉末は、鉄鋼業界から発生する産業副産物であり、JISでも制定されている。
    本発明の高炉水砕スラグ微粉末の粒度は、特に限定されるものではないが、JISで規定されるブレーン比表面積値で4000〜8000cm /gのものが使用できる。 4000cm /g未満では強度発現性が充分でない場合があり、8000cm /gを超えるようなものは優れた流動性が得られない場合がある。
    高炉水砕スラグ微粉末の使用量は、セメント100部に対して5〜50部が好ましく、10〜30部がより好ましい。 5部未満では耐海水性が悪くなる場合があり、50部を越えると優れた流動性が得られない場合がある。

    本発明で使用するリチウム塩は、炭酸リチウム、重炭酸リチウム、水酸化リチウム、珪酸リチウム、クエン酸リチウム、リン酸リチウム、硝酸リチウム、亜硝酸リチウム等があり、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。 これらの中では、炭酸リチウムが短時間強度発現性の面から最も好ましい。
    リチウム塩の使用量は、セメント100部に対して0.5〜5部が好ましく、1〜3部がより好ましい。
    0.5部未満では短時間強度発現性、耐海水性が悪くなる場合があり、5部を越えると凝結調整剤を用いても作業時間を確保できない場合がある。

    本発明の発泡剤は、例えば、アルミニウム粉末、マグネシウム粉末、亜鉛粉末、又は炭素物質のほか、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過硫酸塩、および過マンガン酸塩等の過酸化物質等がある。 本発明では、過酸化物質を用いることが、CAモルタルのまだ固まらない状態での沈下や収縮を抑止する効果が大きい面で好ましい。
    発泡剤の使用量はその種類によって異なるが、過酸化物質の場合、セメント100部に対して、0.05〜1部が好ましく、0.1〜0.5部がより好ましい。 0.05部未満ではCAモルタルがまだ固まらない状態での沈下や収縮を抑止する効果が得られない場合があり、1部を超えると発泡による膨張が過剰となり、強度の発現が低下する場合がある。

    本発明の凝結調整剤は、特に限定されるものではないが、その具体例としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、及びコハク酸等のオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、及びアルミニウムなどの塩等の有機酸類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸リチウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、及び重炭酸アンモニウムなどのアルカリ炭酸塩が挙げられ、本発明では、充分な作業時間と短時間強度発現性の双方を満足する面から、有機酸類とアルカリ炭酸塩の併用が好ましい。
    有機酸類とアルカリ炭酸塩の混合割合は、流動性と短時間強度発現性の点から、有機酸類とアルカリ炭酸塩の合計100質量部中、15〜50:85〜50(質量比)が好ましく、20〜40:80〜60(質量比)がより好ましい。
    凝結調整剤の使用量は特に限定されるものではないが、通常、セメント100部に対して、0.1〜10部が好ましく、0.5〜5部がより好ましい。 0.1部未満では作業時間確保が困難となる場合があり、10部を超えると凝結遅延効果が大き過ぎ短時間強度発現性が悪くなる場合がある。

    本発明の細骨材には、天然砂や珪砂等が使用可能である。
    細骨材の使用量は、セメント100部に対して、50〜300部が好ましく、100〜200部がより好ましい。 50部未満ではCAモルタルの体積変化が大きく、ひび割れなどが発生する場合があり、300部を超えると細骨材が沈降したり、強度発現が低下する場合がある。

    本発明では、CAモルタルに、粘弾性を付与させ、列車荷重の振動等に耐える目的でアスファルト乳剤を使用する。
    本発明のアスファルト乳剤は、天然に得られる又は石油の蒸留残渣として得られる瀝青物を主成分とするアスファルトの微粒子を、水中に分散させて得られるコロイド液体のことであり、本発明では、瀝青物、例えば、針入度40/60〜200/500程度のストレートアスファルトを主材とし、これに界面活性剤と多価金属塩とを加え、さらに、必要に応じて乳化助剤、分散剤、及び保護コロイド等を適宜使用して水中に乳化させたものである。
    また、本発明では、瀝青物に、ゴムや合成高分子重合体等を添加・混合して、改質した瀝青物を乳化したものを使用することも可能である。
    アスファルト乳剤中の瀝青物含有量は、40〜70%が好ましく、55〜65%がより好ましい。 40%未満ではCAモルタルに粘弾性を与える効果が得られない場合があり、70%を超えると強度の発現が低下する場合がある。
    アスファルト乳剤の使用量は用途によって適宜選択することが可能であるが、通常、セメント100部に対して、10〜300部が好ましい。 10部未満では粘弾性を与える効果が得られない場合があり、300部を超えると強度の発現が低下する場合がある。

    本発明の高分子系乳剤は、スチレン−ブタジエン−ゴム(SBR)などのゴムラテックス、合成高分子重合体エマルジョン、合成樹脂エマルジョン、及び水溶性高分子重合体等が使用可能であり、これらのうち、本耐海水性CAモルタル用急硬性セメント、およびアスファルト乳剤等との混合性に優れるSBR系ゴムラテックスが好ましい。
    高分子系乳剤の使用量は用途によって適宜選択することが可能であるが、通常、セメント100部に対して、5〜100部が好ましい。 5部未満では脆性や耐候性等を与える効果が得られない場合があり、100部を超えると強度の発現が低下する場合がある。

    本発明の消泡剤には、例えば、シリコーン系消泡剤の他、アルコール系消泡剤、脂肪酸系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤、アミン系消泡剤、アミド系消泡剤、エーテル系消泡剤、および金属石鹸等が使用可能である。 これらの消泡剤は、本耐海水性CAモルタル用急硬性セメント、発泡剤、凝結調整剤、細骨材、アスファルト乳剤、高分子系乳剤、消泡剤および水の各材料を混練するときに、不必要な抱き込み気泡の混入を減少させる効果がある。
    消泡剤の使用量は特に限定されるものではないが、セメント100部に対して、0.05〜10部が好ましい。 0.05部未満では抱き込み気泡の混入を減少させる効果が得られない場合があり、10部を超えても抱き込み気泡の混入を減少させる効果は向上せず、逆に、CAモルタルの強度発現性に悪影響をおよぼす場合がある。

    CAモルタル中の水の使用量は、セメント100部に対して、5〜200部が好ましく、20〜100部がより好ましい。 5部未満ではCAモルタルの流動性が悪い場合があり、200部を超えると細骨材が沈降したり強度発現が低下する場合がある。

    本発明では更に短時間強度発現性を向上させるために、本耐海水性CAモルタル用急硬性セメントにカルシウム以外の金属の硫酸塩、およびリチウム以外のアルカリ炭酸塩を配合することも可能である。
    カルシウム以外の金属の硫酸塩とは、アルカリ金属、カルシウム以外のアルカリ土類金属、及びアルミニウム、又は、その複塩の硫酸塩を総称するものである。 これらの中ではナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、及びアルミニウムの硫酸塩が、短時間強度発現性の面から好ましく、中でも、カリウムを含有する硫酸塩が最も好ましい。 その具体例としては、硫酸カリウムやミョウバン類が挙げられる。
    リチウム以外のアルカリ炭酸塩とは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、及び重炭酸ナトリウム等が挙げられ、これらの一種又は二種以上が使用可能である。 これらの中では、炭酸カリウムが短時間強度発現性の面から最も好ましい。
    カルシウム以外の金属の硫酸塩、およびリチウム以外のアルカリ炭酸塩の使用量は、セメント100部に対して、0.5〜20部が好ましく、1〜10部がより好ましい。 0.5部未満では短時間強度発現性を向上できない場合があり、20部を超えると凝結調整剤を用いても作業時間の確保が困難となる場合がある。

    CAモルタルの調製方法は特に限定されるものではないが、例えば、まず、水、凝結調整剤、および消泡剤を混ぜ、それにアスファルト乳剤、および高分子系乳剤を加え、次に、本耐海水性CAモルタル用急硬性セメントを、最後に砂と発泡剤を加えてミキサで混合して調製する。
    調製したCAモルタルは、圧送ポンプにて圧送され、通常、バラスト内に流し込むことにより注入される。
    本発明のCAモルタルには、必要に応じて、市販の減水剤を使用することも可能である。

    セメント100部に対して、高炉水砕スラグ微粉末20部、リチウム塩2部、発泡剤0.2部、および表1に示す結晶質カルシウムアルミネートと石膏を混合し、急硬性セメントを調整した。 次いで、急硬性セメント中のセメント100部に対して、凝結調整剤2部、細骨材180部、アスファルト乳剤200部、高分子系乳剤40部、消泡剤1部、および水70部を急硬性セメントと混合して、温度20℃で、流動性、可使時間、初期膨張率、圧縮強度、人工海水養生後の圧縮強度を測定した。 結果を表1に併記する。

    <使用材料>
    セメント:早強ポルトランドセメント、3CaO・SiO 2含有量66%、電気化学工業社製結晶質カルシウムアルミネート:CaO/Al 2 O 3モル比1.0、強熱減量1.5%、主成分CaO・Al 2 O 3 、ブレーン値5,000cm 2 /g、結晶化率55%
    石膏:半水石膏、ブレーン値6,000cm 2 /g、市販品高炉水砕スラグ微粉末:ブレーン比表面積4000cm 2 /g、市販品リチウム塩:炭酸リチウム、市販品発泡剤:過炭酸ナトリウム、試薬1級凝結調整剤:クエン酸と炭酸カリウムの質量比1:3、試薬1級細骨材:珪砂8号、東北砂社製アスファルト乳剤:B乳剤、主成分アスファルト、瀝青物含有量60%、東亜道路工業社製高分子系乳剤:SBR系ラテックス、東亜道路工業社製消泡剤:シリコーン系消泡剤、市販品

    <測定方法>
    流動性:JSCEに準じて、J10ロート流下値可使時間:J10ロート流下値が12秒を超え、充分な流し込みができなくなった時点初期膨張率:CAモルタルを300mlメスシリンダーに250ml採取し、ディップスゲージを用いてメスシリンダー上面からCAモルタル表面までの深さを測定し、材齢24時間後に同様に測定して、以下計算式により膨張率を算出、表中の−は収縮側、+は膨張側を示す(膨張率計算式)
    膨張率(%)=0.000314×(採取直後の深さ−24時間後の深さ)×(メスシリンダー直径)2
    圧縮強度:CAモルタルを型枠に詰めてφ5×5cmの供試体を作成し、材齢1時間、7日、28日、および6ヶ月の圧縮強度をJIS R 5201に準じて測定、気乾養生人工海水養生後の圧縮強度:CAモルタルを型枠に詰めてφ5×5cmの供試体を作成し、材齢3時間後にJIS A 6205の人工海水に浸漬後、材齢28日、および6ヶ月の圧縮強度をJIS R 5201に準じて測定

    表1より、結晶質カルシウムアルミネートを、セメント100部に対して、20〜100部含有する実施例のCAモルタルは、短時間強度発現性が十分であり、流動性に優れ、十分な作業時間を確保でき、適当な膨張量を有し、耐海水性に優れていることが分かる(実験No.1-2〜No.1-6)。 短時間強度発現性、耐海水性をさらに向上させるためには、結晶質カルシウムアルミネートを、セメント100部に対して、40〜80部とすることが好ましい(実験No.1-3〜No.1-5)。 これに対して、結晶質カルシウムアルミネートを含有しない比較例のCAモルタルは、結晶質カルシウムアルミネートを含有する実施例のCAモルタルと比較して、短時間強度発現性が悪いだけではなく、28日後、6ヵ月後の圧縮強度を見ると、気乾養生の場合には差はないが、人工海水養生の場合に極端に低く、耐海水性に劣るものであった(実験No.1-1)。
    また、石膏を、セメント100部に対して、10〜70部含有する実施例のCAモルタルは、強度発現性が十分であり、流動性に優れ、十分な作業時間を確保でき、適当な膨張量を有し、耐海水性に優れていることが分かる(実験No.1-9〜No.1-12)。 さらに耐海水性を向上させるためには、石膏を、セメント100部に対して、30〜50部とすることが好ましい(実験No.1-10、No.1-11)。 これに対して、石膏を含有しない比較例のCAモルタルは、石膏を含有する実施例のCAモルタルと比較して、強度発現性が悪く、特に、人工海水養生後の圧縮強度が極端に低く、耐海水性に劣るものであった(実験No.1-8)。

    セメント100部に対して、結晶質カルシウムアルミネート60部、石膏40部、リチウム塩2部、発泡剤0.2部、および表2に示す高炉水砕スラグ微粉末を混合し、急硬性セメントを調整したこと以外は実施例1と同様に行った。 結果を表2に併記する。

    表2より、高炉水砕スラグ微粉末を、セメント100部に対して、5〜50部含有する実施例のCAモルタルは、強度発現性が十分であり、流動性に優れ、十分な作業時間を確保でき、適当な膨張量を有し、耐海水性に優れていることが分かる(実験No.2-2〜No.2-5、No.1-4)。 耐海水性をさらに向上させるためには、高炉水砕スラグ微粉末を、セメント100部に対して、10〜30部とすることが好ましい(実験No.2-3、No.1-4、No.2-4)。 これに対して、高炉水砕スラグ微粉末を含有しない比較例のCAモルタルは、高炉水砕スラグ微粉末を含有する実施例のCAモルタルと比較して、強度発現性が悪く、特に、人工海水養生後の圧縮強度が極端に低く、耐海水性に劣るものであった(実験No.2-1)。 なお、この比較例のCAモルタルは、特許文献4に記載されたCAモルタルに相当する。

    セメント100部に対して、結晶質カルシウムアルミネート60部、石膏40部、高炉水砕スラグ微粉末20部、発泡剤0.2部、および表3に示すリチウム塩を混合し、急硬性セメントを調整したこと以外は実施例1と同様に行った。 結果を表3に併記する。

    表3より、リチウム塩を、セメント100部に対して、0.5〜5部含有する実施例のCAモルタルは、強度発現性が十分であり、流動性に優れ、十分な作業時間を確保でき、適当な膨張量を有し、耐海水性に優れていることが分かる(実験No.3-2〜No.3-5、No.1-4)。 短時間強度発現性、耐海水性をさらに向上させるためには、リチウム塩を、セメント100部に対して、1〜3部とすることが好ましい(実験No.3-3、No.1-4、No.3-4)。 これに対して、リチウム塩を含有しない比較例のCAモルタルは、リチウム塩を含有する実施例のCAモルタルと比較して、28日後、6ヵ月後の圧縮強度を見ると、気乾養生の場合には差はないが、人工海水養生の場合に極端に低く、耐海水性に劣るものであった(実験No.3-1)。 なお、この比較例のCAモルタルは、特許文献3に記載されたCAモルタルに相当する。

    セメント100部に対して、結晶質カルシウムアルミネート60部、石膏40部、高炉水砕スラグ微粉末20部、リチウム塩2部、および表4に示す発泡剤を混合し、急硬性セメントを調整したこと以外は実施例1と同様に行った。 結果を表4に併記する。

    表4より、発泡剤を混合することにより、CAモルタルの初期膨張率が大きくなり、CAモルタルのまだ固まらない状態での沈下や収縮を抑止する効果が得られることが分かる。

    以上の実施例に示されるように、本発明においては、セメントに、結晶質カルシウムアルミネート、石膏、高炉水砕スラグ微粉末、およびリチウム塩のすべての成分を含有させた急硬性セメントを用いることにより、耐海水性に優れる急硬性セメントアスファルトモルタルが得られたものであり、これらの成分の一つでも欠けた急硬性セメントを用いたのでは、耐海水性に優れる急硬性セメントアスファルトモルタルは得られなかった。

    本発明の急硬性セメントをCAモルタルに用いると、短時間強度発現性に優れ、海水に曝されても強度低下が小さく、耐海水性に優れる等の効果を奏するCAモルタルが得られ、営業線省力化軌道のうち、特に、海底トンネルで用いる充填材に適する。

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