For cement admixture

申请号 JP13849499 申请日 1999-05-19 公开(公告)号 JP4373527B2 公开(公告)日 2009-11-25
申请人 博三 三橋; 西松建設株式会社; 发明人 博三 三橋; 利充 小林; 南 花田; 直洋 西山; 一志 青木;
摘要
权利要求
  • 4〜20℃の温度範囲の水に対して不溶または難溶性であって、かつ溶融温度の範囲が30℃〜100℃である有機化合物であってその平均粒径が10〜500ミクロンの粉体に、遅延剤を混在させたことを特徴とするセメント用混和剤。
  • 前記遅延剤が、フッ化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケトカルボン酸もしくはその塩、または糖もしくは糖アルコールの中から少なくとも一種以 上が選ばれることを特徴とする請求項1に記載のセメント用混和剤。
  • 前記有機化合物が、ロウ、油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属セッケン、高級アルコール、または熱可塑性樹脂の中から少なくとも一種以 上が選ばれることを特徴とする請求項1に記載のセメント用混和剤。
  • 前記有機化合物の粉体が、その平均粒径が50〜300ミクロンの球形微粒子であることを特徴とする請求項3に記載のセメント用混和剤。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、コンクリートに高い流動性を与え、かつセメントの和熱による温度の上昇・降下によるコンクリートのひび割れの発生を抑制することが可能なセメント用添加剤に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    近年、超高層建築や原子発電などの大型構造物には、マスコンクリートと分類されるコンクリートの使用が増加している。 このマスコンクリートではセメントの水和熱による温度の上昇・降下に伴って内部並びに外部拘束応力が作用し、ひび割れが発生しやすい。 また、高強度コンクリートと分類されるコンクリートの使用も増加している。 この高強度コンクリートでは水セメント比を低く抑えているため、コンクリート内部の温度が上昇して温度応力によるコンクリートのひび割れが発生しやすく、また時間が経過すると長期間に亘って期待されているコンクリート強度の伸びがなくなる。 更に鉄筋に対して残留歪みを与えやすい。
    【0003】
    このような原因によるひび割れなどの損傷を防止するために、コンクリートの温度上昇を抑制する方法が取られている。 例えば、マスコンクリートでは液体窒素ガスや氷片を混入させてコンクリートを冷却したり、フッ化物もしくはカルボン酸等の遅延剤を添加したり、コンクリートの中に埋設したパイプに冷却水を通して水和反応を抑制することがおこなわれている。
    【00004】
    さらに、コンクリートの打設作業を容易にするために、流動性を付与する化学物質を添加することが通常行われている。 このような添加剤としては、特開昭63−285140、特開平2−163108ではポリエチレングリコールと無水マレイン酸との共重合体物を、特表平9−508612ではイミド化アクリルポリマーを、特開平6−293543ではアクリルアミドアルキルスルホン酸を添加できることを開示している。
    【0005】
    【発明が解決しようとする課題】
    前述のひび割れを防止するためにコンクリートを冷却する方法では、現場近くに大がかりな装置を設置する必要があり、さらに打設したコンクリートを均一に冷やすことは困難な場合が多かった。 このため、必ずしも有効なひび割れ防止技術までには至っていない。
    【0006】
    他の方法である遅延剤を添加する方法では、セメントの水和反応を遅延させて急激な水和熱の発生を抑制し温度上昇を防止する。 しかし、水和反応の反応速度が遅くなっているので、打設したコンクリート全体が固化するのに時間を要するという欠点が生じていた。 そこで固化する時間を調整するために遅延剤の添加量を少なくすると、コンクリート自体がもつ断熱作用により、打設したコンクリートの水和熱がコンクリートの中心部にずっと籠もってしまい、実質的に温度の上昇を抑制できないケースが度々発生していた。
    【0007】
    このような遅延剤の欠点を改善するため、コンクリートの通常の強度発現に必要な程度の水和反応をあまり抑制することなく、ひび割れの原因となる急激な温度上昇をもたらす水和反応のみを防止する方法として、遅延剤をマイクロカプセルで内包することを、本件発明の出願人らは特開平10−81552で提案した。
    【0008】
    【課題を解決するための手段】
    本件発明のセメント用混和剤は、4〜20℃の温度範囲の水に不溶または難溶性であって、かつその溶融温度の範囲が30℃〜100℃の有機化合物であって、その平均粒径が10〜500ミクロンの粉体に、遅延剤を混在させた化合物である。 前記遅延剤には、フッ化物、リン酸塩、ホウ酸塩、オキシカルボン酸もしくはその塩、ケトカルボン酸もしくはその塩、または糖もしくは糖アルコール中から少なくとも一種以上が選ばれる。 前記有機化合物には、ロウ、油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属セッケン、高級アルコール、または熱可塑性樹脂の中から少なくとも一種以上が選ばれる。 さらに好ましくは、有機化合物が平均粒径で50〜300ミクロンの球形微粒子である。
    【0009】
    本発明に用いる遅延剤は前述の各種酸または糖であればよく、特定の物質に限定されるものではない。 特に好ましい遅延剤としては、分子内にヒドロキシ基とカルボン酸基を有するオキシカルボン酸である。 具体的に、グルコン酸、グルコヘプトン酸、アラボン酸、リンゴ酸、クエン酸等の化合物名が、特開昭61−40854号、特開平6−263502号、特開平10−53444号等に開示されている。 これら物質のカルボン酸基が、水和反応に関与するセメントのカルシウムイオンと錯体を形成することで遅延効果を発現する。
    【0010】
    本発明は、この遅延剤を溶融温度の範囲が30℃〜100℃の有機化合物の粉体に混在させる。 有機化合物の溶融温度が30℃以上でなければならない理由は、遅延剤による水和反応の抑制作用を不要とする場合(例えば打設したコンクリートの水和熱による急激な温度上昇が起こらない場合)には、有機化合物は溶融することなくかつ水に不溶もしくは難溶なので、この遅延剤を固定化したままでコンクリートへ放出しない結果、コンクリートは遅延剤の抑制作用を受けることなく、通常の通りの水和反応で固化させるためである 。 逆に、溶融温度が30℃ 未満では遅延剤が容易に放出されてコンクリートの固化が遅くなりやすい。 他方、溶融温度が100℃超では、水和反応でコンクリート温度が水の沸点まで上昇しても有機化合物は溶融せずに遅延剤を固定化したままとなり、温度上昇の抑制効果が働かず熱くなったコンクリートから水が急速に蒸発してしまい正常な水和反応を期待できなくなるからである。
    【0011】
    なお、本件発明の溶融温度には、結晶性物質の溶ける温度を示す「融点」だけでなく、混合物や熱可塑性樹脂などのように明確な融点のない物質が固形状から軟化して液状化へ変化する温度も含むものとする。
    【0012】
    本件発明では、有機化合物の粉体に遅延剤を混在させる方法としては、前述の特開平10−81552に記載した界面重合法、In−Situ法、不溶化反応法、コアセルベーション法、液中乾燥法、噴霧乾燥法、流動床法などのカプセルの方法だけには限らない。 例えば、液状化させた有機化合物に遅延剤を混合させたのち当該有機化合物を冷却固化させ、次いでこの固化物を粉砕して調製してもよい。 また多孔質の固体状の有機化合物に遅延剤を含浸させたのち粉砕したり、多孔質の有機化合物の粉体へ直接に遅延剤を含浸させて調製してもよい。 さらには、有機化合物の粉体の表面に遅延剤を吸着、固着させる場合でもよい。 本件発明のセメント用混和剤では、有機化合物の粉体の中に遅延剤を存在させる場合だけでなく、粉体の表面に遅延剤が露出している場合でもよい。
    【0013】
    つまり、「有機化合物の粉体に遅延剤を混在する」とは、 遅延剤が有機化合物によって固定化されて有機化合物と遅延剤が一体化されている状態をいう。 そして、この有機化合物の粉体がセメントの水和熱で溶融して液状に変化し、一体化されていた遅延剤がセメント組成物中へ放出されることで、水和反応を遅延化させて急激な温度上昇を抑制する。
    【0014】
    さらに、本件発明のセメント用混和剤はセメント組成物に対して流動性を付与する作用を有する。 この流動性は、セメント用混和剤の成分である有機化合物の官能基による化学的作用、または有機化合物の物性に基づく物理的作用のいずれかによって発現される。 例えば、化学的作用には、有機化合物の官能基がセメント組成物である骨材の粒子表面に化学結合もしくは化学吸着してその界面活性作用によりコンクリートの粘性を下げたり、または水の表面張力を下げたりする場合が挙げられる。 物理的作用には、骨材やセメントなどの粒子間でこの有機化合物の球状微粒子が固体潤滑剤のような働きをして骨材等の粒子を滑り易くする場合が挙げられる。
    【0015】
    本件発明では、有機化合物の粉体の平均粒径は10〜500ミクロンが好ましい。 500ミクロン以上では通常のセメントの粒子より極めて大きくなり、結果としてコンリート強度を低下させてしまうからである。 逆に、10ミクロン以下では有機化合物がコンクリート中で遅延剤を固定化する作用が弱く、水和熱によらなくても容易に遅延剤をセメント組成物中に放出してしまうからである。 特に好ましい平均粒径としては50〜300ミクロンである。 この範囲の平均粒径が、前述のコンクリートに対する流動性を上げる物理的作用を最も発揮し易く、かつ粉体がセメント組成物中に均一に分散しやすく、水和反応の抑制作用を広範囲に発現することができるからである。
    【0016】
    有機化合物は、4〜20℃の温度範囲では水に不溶または難溶性であって、かつその溶融温度が30℃〜100℃の物性を有していなければならない。 本件発明では、前記の物性を有する有機化合物であればいずれでもよく、特定の化合物に限定されるものではない。 このような物性を有する周知の化合物としては、ロウ、油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、金属セッケン、高級アルコール、または熱可塑性樹脂を挙げることができる。 ロウとは脂肪酸と一価または二価の高級アルコールとのエステル化合物をさし、油脂は脂肪酸とグリセリンとのエステル化合物をいう。 また、脂肪酸とは油脂から加水分解して得られるカルボン酸をいい、脂肪酸エステルとは脂肪酸と低級アルコールとのエステル化合物をいい、金属セッケンとは、前記脂肪酸の重金属塩をいう。 熱可塑性樹脂とは、一般に直鎖状の重合体のことをいう。 これらの化合物の前記の定義は一般的な区分けにすぎず、本発明の有機化合物を特定するものではない。
    【0017】
    【発明の実施の形態】
    本件発明のセメント用混和剤の製造方法を説明する。
    【0018】
    実施例1;溶融温度が40℃〜45℃の範囲で4℃〜20℃の温度範囲の水に不溶性の合成高分子ワックス(商品名;CX−ST200、日本触媒社製)を70℃まで加熱して溶融させておき、そこにオキシカルボン酸塩の遅延剤(商品名;パリックT、藤沢薬品工業社製)を、ワックス:遅延剤=6:4の重量比で混合して、混合溶液を調製する。 この混合溶液をスプレードライヤー装置(大原化工機社製)で噴霧・乾燥処理を行い、合成高分子ワックスの球形粒子(平均粒径約250ミクロン)の中に遅延剤の微粒子が約40重量%で点在しているセメント用混和剤を調製した。
    【0019】
    実施例2;溶融温度が72℃〜86℃の範囲で4℃〜20℃の温度範囲の水に不溶性のカーナバロウを95℃まで加熱して溶融させておき、そこにオキシカルボン酸塩の遅延剤(商品名;パリックT、藤沢薬品工業社製)を、カーナバロウ:遅延剤=5:5の重量比で混合して、混合溶液を調製する。 この混合溶液を冷却して固形状に戻した後、さらにこの固形物をボールミルで粉砕して、カーナバロウの不定形粒子(平均粒径約300ミクロン)の中に遅延剤の微粒子が約50重量%で点在しているセメント用混和剤を調製した。
    【0020】
    実施例3;融点が55℃で4℃〜20℃の温度範囲の水に難溶性の2−メチルオクタデカン酸を60℃まで加熱して溶融させておき、そこに遅延剤としてグルコン酸ナトリウム塩を、2−メチルオクタデカン酸:グルコン酸Na塩=4:6の重量比で混合して、混合溶液を調製する。 この混合溶液をスプレードライヤー装置(大原化工機社製)で噴霧・乾燥処理を行い、2−メチルオクタデカン酸の粒子(平均粒径約50ミクロン)の中に前記のグルコン酸Na塩の微粒子が約60重量%で点在している本件発明のセメント用混和剤を調製した。
    【0021】
    実施例1、2、3のセメント用混和剤を次のコンクリートで評価した。
    セメント;ポルトランドセメント粗骨材;粗粒率の異なる2種類の砕石を混合細骨材;砂、細骨材率48.2%
    減水剤;(商品名)パリックK(藤沢薬品工業社製)、0.25重量%(セメントを基準)
    空気量;4.0%
    水セメント比;50%
    スランプ;18.0cm、JIS A 1101で測定【0022】
    上記の調合割合で強制練りミキサーを用いてまずセメントと水と減水剤を3分間混練して、次いで骨材と実施例のセメント用混和剤を加えて3分間混練した。 なお、遅延剤成分がセメントに対して0.5重量%なる量で、実施例のセメント用混和剤をコンクリートにそれぞれ添加した。 混練したコンクリートはスランプフロー試験(JIS A 1101)を行うともに、高さ50cm、幅33cm、厚さ15cmの型枠内に打設して、型枠内の中心部の温度の経時変化を測定した。 なお、この型枠は断熱材で覆って周囲の温度によって影響されないようした。 さらに、セメント用混和剤の性能を比較するために、有機化合物中に混在させることなく市販のままの状態で遅延剤(商品名)パリックTを前述のコンクリートに添加して、比較試験を行った。
    【0023】
    評価結果を表1に示す。
    【0024】
    【表1】

    【0025】


    本件発明のセメント用混和剤は、スランプフローが13.0〜14.0cmと低くコンクリートに流動性を付与していることが判る。 また、水和反応による最高温度は遅延剤無添加のコンクリートに比べて約15℃程低くなり、急激な温度上昇が抑制されて緩い温度変化をしていることが判る。 つまり、本件発明のセメント用混和剤は、水和熱による温度上昇前から遅延効果を発揮することなく遅延剤無添加のコンクリートと同様に混練初期から水和反応を開始させることが可能で、温度上昇が始まってコンクリートの温度が高くなりかけると水和反応を抑制して緩慢な温度上昇と温度降下させる働きをする。


    【0026】


    【発明の効果】


    本件発明のセメント用混和剤を混合すると、コンクリートに流動性が付与されると

    ともにその流動性は長時間維持されているので、ポンプ圧送におけるスランプロスは小さくなり輸送トラブルが軽減し、型枠への打設作業も容易にすることができる。


    【0027】


    さらに、打設後において水和反応によりコンクリートの温度が上昇した場合に、本件発明のセメント用混和剤が液状に変質して遅延剤をコンクリート中に放出し、この遅延剤は水和反応を抑制して急激な温度上昇を防止する。 逆に、打設したコンクリートの表面付近では放熱作用により温度上昇はおきにくいので、セメント用混和剤は水に溶解することなくかつ溶融しないので、遅延剤をコンクリート中に放出することなく、通常の水和反応が維持される。 結果として、打設したコンクリート全体の温度分布が均一となり、温度差から生じる内部拘束応力を低減してひび割れを防止する。


    【0028】


    また、通常の水和反応に必要な温度以上に到達するような温度上昇を抑制させる結果、コンクリート全体の熱膨張や急激な温度降下を抑えて外部拘束応力を低減して、同様にひび割れを防止する。

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