窒化ホウ素凝集体粉末

申请号 JP2017565225 申请日 2016-06-16 公开(公告)号 JP2018519235A 公开(公告)日 2018-07-19
申请人 サン−ゴバン サントル ドゥ ルシェルシェ エ デトゥードゥ ユーロペン; 发明人 ナビル ナア; エロディ バオン; イーブ ブッサン−ルー;
摘要 本発明は、窒化ホウ素に基づく凝集体から本質的に構成される粒子に関し、前述の粒子は、重量パーセントでの、40と45%の間のホウ素、53と57%の間の窒素、重量で400ppm未満のカルシウム、合計で5%未満の他の元素、及び、結晶相を合わせたものを基準として重量パーセントで下限値を含んで90%以上の窒化ホウ素を含んでいる全体的な化学組成、0.90以上の平均真円度、1.5μm以下の平均細孔径、並びに55%以下の見かけの 空隙率 を示す。 【選択図】なし
权利要求

窒化ホウ素に基づく凝集体から本質的に構成される粉末であって、下記を示す粉末: (a)重量パーセントで、以下の全体的な化学組成: ・上限値及び下限値を含んで40%と45%の間のホウ素、 ・上限値及び下限値を含んで53%と57%の間の窒素、 ・重量で400ppm未満のカルシウム含有率、 ・総計で5%未満の他の元素、 (b)重量パーセントで、かつ前記粉末中に存在する結晶相を合わせたものを基準として、下限値を含んで90%よりも多い窒化ホウ素を含有している、構造組成、 (c)以下の物理的特徴: ・0.90以上の平均真円度、 ・1.5μm以下のメジアン細孔径、 ・55%以下の見かけの空隙率。0.3μm以下のメジアン細孔径を示す、請求項1に記載の粉末。以下の全体的な化学組成を示す、請求項1又は2に記載の粉末: − 41%以上かつ44%以下のホウ素含有率、 − 54%以上かつ56%以下の窒素含有率、 − 重量で300ppm未満の、好ましくは重量で200ppm未満のカルシウム含有率。B,N及びCa以外の元素の重量での含有率が、4%未満であり、好ましくは2%未満であり、かつ、酸素含有率が、重量で5000ppm未満であり、好ましくは重量で2000ppm未満であるという化学組成を示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉末。前記他の元素が、好ましくは0.5%以上かつ4%未満の量の、前記窒化ホウ素の焼結用助剤を含んでいる、という化学組成を示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粉末。前記窒化ホウ素の前記焼結用助剤が、LaB6;希土類金属の酸化物、元素周期表の3及び4族の元素の酸化物、並びにそれらの混合物の酸化物;元素周期表4族の元素の窒化物;並びにそれらの混合物から選ばれる、請求項5に記載の粉末。前記構造組成が、重量パーセントで、かつ、前記粉末に存在する結晶相を合わせたものを基準として、95%よりも多くの、好ましくは98%よりも多くの、窒化ホウ素を含有している、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粉末。重量パーセントで、かつ、前記粉末に存在する結晶窒化ホウ素を基準として、60%よりも多くの前記窒化ホウ素が、六方晶構造として存在しているという構造組成を示す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粉末。0.92以上の平均真円度を示す、請求項1〜8のいずれか一項に記載の粉末。0.25μm以下で、かつ好ましくは0.05μmよりも大きいメジアン細孔径を示す、請求項1〜9のいずれか一項に記載の粉末。50%未満の、好ましくは49%未満の見かけの空隙率を示す、請求項1〜10のいずれか一項に記載の粉末。30μmよりも大きく、かつ、500μm未満のメジアン径を示す、請求項1〜11のいずれか一項に記載の粉末。以下の工程を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の粉末を製造するための方法: (a)出発供給原料を調製すること:工程(g)の完了時に前記粉末が得られるように、出発供給原料の組成が適合され、前記出発供給原料が、窒化ホウ素の粒を含んでおり、窒化ホウ素の粒から形成される粉末が、10重量%以下の酸素含有率及び重量で400ppm未満のカルシウム含有率を示す、 (b)場合によって、前記出発供給原料を粉砕すること、 (c)前記出発供給原料を成型して、60%以上の相対密度を示すブロックの形状にすること、 (d)前記ブロックを粉砕して、集塊を得ること、 (e)工程(d)の最後に得られる前記集塊を研磨して、それによって、前記集塊が、0.90以上の真円度を示すようにすること、 (f)場合によって、前記集塊の粒径を選択すること、 (g)不活性雰囲気又は弱還元性雰囲気において、1600℃よりも高くかつ2100℃未満の焼結温度で、前記集塊を焼結すること、 (h)場合によって、凝集体の粒径を選択すること。以下の工程を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の粉末を製造するための方法: (a’)出発供給原料を調製すること:工程(f’)の完了時に前記粉末が得られるように、出発供給原料の組成が適合され、前記出発供給原料が、窒化ホウ素の粒を含んでおり、窒化ホウ素の粒から形成される粉末が、10重量%以下の酸素含有率、及び重量で400ppm未満のカルシウム含有率を示す、 (b’)場合によって、前記出発供給原料を粉砕すること、 (c’)前記出発供給原料を成型して、60%以上の相対密度を示すブロックの形状にすること、 (d’)不活性雰囲気又は弱還元性雰囲気において、1600℃よりも高くかつ2100℃未満の焼結温度で、前記ブロックを焼結すること、 (e’)前記ブロックを粉砕して、凝集体を得ること、 (f’)工程(e’)の最後に得られる前記凝集体を研磨して、凝集体が0.90以上の真円度を示すようにすること、 (g’)場合によって、前記凝集体の粒径を選択すること。工程(a)又は(a’)において、カルシウム含有率の合計が、重量で300ppm未満であり、かつ/若しくは、酸素含有率の合計が、前記出発供給原料を基準とした重量パーセントで、5%未満であり、好ましくは2%未満である、請求項13又は14に記載の方法。工程(c)又は(c’)において、前記出発供給原料をブロックの形状に成型して、前記ブロックの相対密度が、65%よりも大きく、好ましくは70%よりも大きくなるようにする、請求項13〜15のいずれか一項に記載の方法。請求項1〜12のいずれか一項に記載の粉末が分散した重合体を含有している、微粒子充填重合体。前記重合体は、エポキシ樹脂、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフェニレンスルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリブチレンテレフタラート、ナイロン、ポリカーボネート、及びエラストマーから選ばれる、請求項17に記載の微粒子充填重合体。

说明书全文

本発明は、窒化ホウ素に基づく凝集体から形成される粉末に関し、かつ、重合体セラミック又は微粒子充填重合体複合体におけるそれらの使用、すなわち、重合体マトリックスにおける充填剤(フィラー)としてのそれらの使用に関する。

無機粒子から形成される粉末を重合体の充填剤として使用することが、従来技術からよく知られている。この充填剤は、追加の機能性を与えることを可能にし、特には、充填剤に含まれる材料の特性に応じて、追加の機能性を与えることを可能にする。これらの機能性は、例えば、熱伝導性の増大、及び/又は硬度の増大、及び/又は重合体の密度の増大などである。こうして得られる微粒子充填重合体は、特には、非常に多数の技術分野において用途があり、例えば、熱グリース若しくはヒートシンク、又はその他ではプリント回路基板などの、サーマルインターフェースマテリアル(thermla interface material)などの技術分野において用途がある。

特には、窒化ホウ素(BN)粉末は、重合体における充填剤として使用されることが知られている。とりわけ、この分野において、米国特許出願公開第2003/073769号明細書、米国特許出願公開第2008/076856号明細書、国際公開第2008/088774号、及び国際公開第2014/136959号の文献への言及をすることができる。BN粉末の使用は、特に、重合体の熱伝導率を増大することが知られており、このことは、例えば熱グリースなどのサーマルインターフェースマテリアルの用途において、特に望まれている。

国際公開第2014/136959号は、熱を発熱性電子部品からうつすための樹脂組成物において使用するのに適した、窒化ホウ素粉末に関する。この窒化ホウ素粉末は、窒化ホウ素粒子を含有し、窒化ホウ素粒子の各々は、六方晶の一次窒化ホウ素粒子がまとまって結合したものを含有している。BN凝集体から形成される粉末は、0.70以上の平均球形度、20μmと100μmの間の平均粒径、50%と80%の間の空隙率、0.10と2.0μmの間の平均細孔径、10μm未満の最大細孔径、及び500ppmと5000ppmの間のカルシウム含有率を示す。この特許出願の段落[0020]では、要求される特性を得るためには、最小量含有率のカルシウムが存在していることが重要であることがさらに示される。特には、上述のカルシウム含有率は、500ppmよりも大きい必要があり、これによって、凝集体は、十分な焼結を示して、微粒子充填重合体の製造時の成型応に耐える。しかしながら、以下において報告されるように、我々が行った試験によって、摩擦による摩耗が、この文献の教示に従った凝集体の摩擦による摩耗よりも、はるかに優れている凝集体を得ることが可能であることが示された。

本発明の主要な目的のひとつは、したがって、摩擦による摩耗が低度である凝集体から形成される粉末を提供することであり、さらには、種々の重合体マトリックスと混合した時に、良好な熱伝導性を得ることを可能にすることである。

本発明は、BNに基づく凝集体から形成される粉末に関し、また、凝集体それ自体にも関し、上述の課題すべてを解決することを可能にする。

さらに具体的には、本発明は、まず、窒化ホウ素に基づく凝集体から本質的に構成される粉末(又は混合物)に関し、上述の粉末は、以下を示す: (a)重量パーセントで、以下の全体的な化学組成: ・上限値と下限値を含めて40%と45%の間のホウ素、 ・上限値と下限値を含めて53%と57%の間の窒素、 ・合計で5%未満の他の元素、 ・重量で400ppm未満のカルシウム含有率; (b)重量パーセントで、かつ、上述の粉末中に存在する結晶相を合わせたものを基準として、下限値を含めて90%よりも多くの窒化ホウ素を含有している構造組成、 (c)以下の物理的特徴: ・0.90以上の平均真円度、 ・1.5μm以下のメジアン細孔径、 ・55%以下の、見かけの空隙率。

本記述においては、明示的に特定されない限り、すべてのパーセントは、重量パーセントである。

本発明の意味の範囲内で、上述の化学組成のO,C及びN以外の元素、特には、ホウ素及びカルシウムは、ICP−AESによって、凝集体から形成される粉末において、慣用的な方法で計測される。

本発明の意味の範囲内において、上述の化学組成の元素O,C及びNは、凝集体から形成される粉末において、慣用的な方法で計測され、元素O及びCに関しては、赤外分光法によって計測され、元素Nに関しては、熱伝導率によって計測され、例えば、元素N及びOに関しては、LecoシリーズTC−436DR装置において計測され、かつ、元素Cに関しては、LecoシリーズSC−144DR装置において計測される。

本発明の意味の範囲内で、上述の構造組成は、凝集体から形成される粉末から、X線回折及びリートベルト法によって、慣用的に取得される。

用語「本質的に構成される」は、上述の粉末の極めて大部分が、窒化ホウ素に基づく上述の凝集体からなり、ただし、窒化ホウ素に基づく凝集体以外の粒子、例えば要素的な窒化ホウ素粒子などが存在することは排除されず、ただし、要素的な窒化ホウ素粒子などは、本発明の意味の範囲内で必然的にごく少量で存在する、ということを意味するものと理解される。さらに特には、粉末は、90重量%よりも多く、好ましくは95重量%よりも多く、特にさらには、99重量%よりも多い、窒化ホウ素に基づく上述の凝集体を含むものと理解される。無論、一つの可能的な実施態様によれば、粉末は、不可避な不純物は別として、窒化ホウ素に基づく凝集体のみを含有する。

本発明の意味の範囲内で: − 用語「凝集体」(aggregate)は、BNを含有している粒子の集合を意味するものと慣用的に理解され、上述の複数の粒子は、集合してひとつにまとまり、かつ強く固く結合して、特には焼結によって強く固く結合して、それによって、上述の複数の粒子は、凝集体として知られる個別化された粒を構成し、この粒が、上述の粉末を構成する、; − 対照的に、用語「集塊」(agglomerate)は、弱く結合し、かつ、容易に分散しうる、複数の粒子の集合を意味するものと理解される。

言及するまでもなく適切な場合には組み合わせることが可能である、本発明の種々の好ましい実施態様によると: 上述の化学組成物において、 − 重量でのホウ素の含有率が、41%以上、 − 重量でのホウ素の含有率が、44%以下、 − 重量での窒素の含有率が、54%以上、 − 重量での窒素の含有率が、56%以下、 − カルシウム含有率は、重量で300ppm未満であり、好ましくは、重量で200ppm未満であり、好ましくは、重量で100ppm未満であり、さらに好ましくは、重量で50ppm未満である、 − 好ましい実施態様では、上述の前述の元素化学組成において記載されたもの以外の元素の重量含有率は、4%未満、好ましくは2%未満、好ましくは1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.1%未満である。上述の実施態様においては、これらの元素は、好ましくは不純物であり、すなわち、意図的に導入された元素ではなく、例えば、出発充填剤に使用される出発供給原料によって導入される元素などであり、例えば、元素O,C,Mg,Fe,Si,Na及びKなどである、 − 好ましくは、粉末内の酸素含有率は、重量で5000ppm未満であり、好ましくは、重量で2000ppm未満であり、特にさらには重量で1000ppm未満である、 − 特定の実施態様では、上述の他の元素としては、窒化ホウ素の焼結のための助剤が、好ましくは0.5%以上の量で含有され、好ましくは1%よりも多い量で含有され、4%未満の量で含有され、好ましくは3%未満の量で含有され、好ましくは2%未満の量で含有される、 − 窒化ホウ素の焼結のための助剤は、LaB6;希土類金属の酸化物、元素周期表の3及び4族の元素の酸化物、並びにそれらの混合物の酸化物;元素周期表の4族の元素の窒化物;並びにそれらの混合物;から選ばれる。好ましくは、上述の焼結助剤は、LaB6、Y2O3、元素Ti,Zr,Si及びAlの窒化物、並びにそれらの混合物から選ばれる。好ましくは、上述の焼結助剤は、LaB6、Y2O3、元素Ti、Si,及びAlの窒化物、並びにそれらの混合物から選ばれる、 −本発明に係る粉末に、非常に好ましくは含まれる、酸化ホウ素B2O3の含有率は、5%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、さらには0.5%未満であり、非常に好ましくは、0.1%未満である。

本発明に係る粉末の酸化ホウ素B2O3の含有率は、マンニトール滴定によって、慣用的な方法で計測される。

本発明の意味の範囲内で: − 窒化ホウ素の「焼結用助剤」という用語は、例えば、上述の焼結に必要な温度を低減することによって、緻密化を向上させることによって、又は結晶成長を制限することによって、上述の窒化ホウ素の焼結を促進させる化合物を意味するものと、慣用的に理解される。; − 用語「希土類金属」は、ランタニドに加えて、スカンジウムSc及びイットリウムYからなる群の元素を意味するものと、慣用的に理解される; − 用語「ランタニド」は、周期表の57(ランタン)と71(ルテチウム)の間の原子番号を有する元素を意味するものと、慣用的に理解される。

本発明の好ましい実施態様によると: − 上述の構造組成は、重量パーセントで、かつ、上述の粉末中の結晶相を合わせたものを基準として、窒化ホウ素を、95%よりも多く含有し、好ましくは、98%よりも多く含有し、 − 上述の構造組成は、重量パーセントで、かつ、上述の粉末の重量を基準として、窒化ホウ素を、90%よりも多く、好ましくは95%よりも多く、好ましくは98%よりも多く含有し、 − 窒化ホウ素は、重量パーセントで、かつ、上述の粉末に存在する結晶窒化ホウ素相を基準として、60%よりも多く、好ましくは70%よりも多く、好ましくは80%よりも多く、特にさらには実質的に100%が、六方晶構造で存在する。

上述の物理的特徴において、 − 凝集体から形成される粉末は、平均真円度が、0.92以上であり、好ましくは、0.93以上であり、特にさらには、0.94以上であり、特にさらには、0.95以上である。凝集体Pの真円度「Ci」を評価するために、この凝集体の写真において、凝集体Pの面積Apと等しい面積を示す円板Dの外周PDが決定される。さらに、この凝集体の外周Prが決定される。真円度は、比PD/Prに等しく、すなわち以下に等しい:

凝集体がその形状においてより細長いほど、真円度はより低い。

本発明の意味の範囲内で、凝集体から形成される粉末の平均真円度は、粉末に含有される凝集体の集団に関して取得される異なる複数の値の、算術平均に対応する。

真円度を評価するための既知の任意の計測方法を想定することができ、特には、凝集体の写真をマニュアルで又は自動で観察することを想定することができ、例えば、Malvernによって販売されるMorphologi(商標)G3S装置におけるそのような観察を想定することができる。そのような装置によって、凝集体から形成される粉末の平均真円度を決定することも可能となり、 − 凝集体から形成される粉末が示すメジアン細孔径は、1.3μm以下であり、好ましくは1.2μm以下であり、好ましくは1.0μm以下であり、好ましくは0.8μm以下であり、好ましくは0.5μm以下であり、好ましくは0.3μm以下であり、好ましくは0.25μm以下であり、好ましくは0.2μm以下である。好ましくは、凝集体から形成される粉末は、0.05μmよりも大きいメジアン細孔径を示す。

凝集体から形成される粉末の細孔のメジアン径はISO 15901−1規格に従って、銀ポロシメーター法によって評価される。D50と表される、細孔の集合の「メジアン径」という用語は、この集合の細孔を体積が等しい第1集団及び第2集団に分割する径を示しており、この第1集団及びこの第2集団は、それぞれ、上述のメジアン径よりもより大きい径、又はより小さい径を示す細孔のみを有している。 − 凝集体から形成される粉末が示す見かけの空隙率は、53%未満であり、好ましくは50%未満であり、好ましくは49%未満であり、特にさらには47%未満であり、特にさらには45%未満である。 − 凝集体から形成される粉末が示す見かけの空隙率は、25%よりも大きく、特にさらには30%よりも大きく、特にさらには35%よりも大きい。

凝集体から形成される粉末の見かけの空隙率は、ISO 15901−1規格に従って、水銀ポロシメーター法によって、慣用的な方法で評価される。

本発明の他の好ましい実施態様によると: − 凝集体から形成される粉末が示すメジアン径は、30μmよりも大きく、好ましくは50μmよりも大きく、かつ、500μm未満であり、好ましくは400μm未満であり、好ましくは300μm未満であり、好ましくは200μm未満である。一つの実施態様では、メジアン径は、40μmと70μmの間である。一つの実施態様では、メジアン径は、100μmと150μmの間である、 − 凝集体から形成される粉末が示す最大径は、1mm未満であり、好ましくは750μm未満である、 −凝集体から形成される粉末が示すD10パーセンタイルは、5μmよりも大きく、好ましくは10μmよりも大きく、好ましくは20μmよりも大きい。 − 凝集体から形成される粉末が示す比(D90−D10)/D50は、10未満、好ましくは5未満、特にさらには3未満、特にさらには2未満である。有利には、そのようにして、粉末の流動性が改善される、 − 好ましくは、凝集体は、ランダムに配向した窒化ホウ素の小板を含有している。上述の凝集体の特性は、したがって、本質的に等方性である。

D50と表される、凝集体の(又は粒の)集合の「メジアン径」という用語は、この集合の凝集体(粒)を重量が等しい第1集団及び第2集団に分割する径を指しており、この第1集団及びこの第2集団は、それぞれ、上述のメジアン径よりもより大きい、又はより小さい径を示す凝集体(粒)のみを含有している。

(D10と表される)10、(D90と表される)90及び(D99.5と表される)99.5「パーセンタイル」という用語は、粉末の凝集体(粒)の径の累積粒子径分布曲線における、それぞれ10重量%、90重量%、及び99.5重量%に等しい割合に対応する凝集体(粒)の径を示しており、凝集体(粒)の上述の径は、増加する順番で分級される。この定義によれば、粉末の凝集体の10重量%は、したがって、D10未満の径を有しており、かつ、凝集体の90重量%は、D10よりも大きい径を有している。パーセンタイルは、レーザー粒子寸法測定器(laser particle sizer)を用いて作成される粒子径分布を用いて決定される。

粉末の「最大径」という用語は、99.5パーセンタイルを示している。

本発明に係る凝集体から(粒から)形成される粉末の粒子径分布は、例えば、Retsh Technologiesによって販売されるCamsizer particle sizerにおいて、事前に上述の粉末を懸濁することなく、レーザー散乱によって決定される。メジアン径D50、10パーセンタイル(D10)及び90パーセンタイル(D90)、また最大径(D99.5)は、この粒子径分布から、慣用的な方法で決定される。

本発明は、また、このような粉末の製造のための方法にも関する。

本発明に係る凝集体から形成される粉末の製造のための、第一の可能的な方法は、以下の工程を含んでいる: (a)本発明に係る凝集体から形成される粉末が工程(g)の完了時に得られるように、出発供給原料の組成を適合させ、上述の出発供給原料が、窒化ホウ素の粒から形成される粉末を含んでおり、その酸素含有率が、10重量%以下であり、かつ、そのカルシウム含有率が、重量で400ppm未満である、出発供給原料を調製する工程、 (b)場合によって、上述の出発供給原料を粉砕する工程、 (c)出発供給原料を、60%以上の相対密度を示すブロックの形状に成型する工程、 (d)上述のブロックを粉砕して、それによって、集塊を得る工程、 (e)工程(d)の終わりに得られる集塊を研磨し、そのようにして、集塊が、0.90以上の真円度を示すようにする工程、 (f)場合によって、集塊の粒径を選択する工程、 (g)不活性雰囲気又は弱還元性雰囲気において、1600℃よりも高く、かつ2100℃未満の焼結温度で、集塊を焼結し、本発明に係る凝集体を得る工程、 (h)場合により、凝集体の粒径を選択する工程。

本発明に係る凝集体から形成される粉末の製造のための、第二の別の方法は、以下の工程を含む: (a’)本発明に係る凝集体が工程(f’)の完了時に得られるように、出発供給原料の組成が適合され、上述の出発供給原料が、窒化ホウ素の粒を含んでおり、窒化ホウ素の粒から形成される粉末が、10重量%以下の酸素含有量を示し、かつ、重量で400ppm未満のカルシウム含有量を示す、出発供給原料を調製する工程、 (b’)場合によって、上述の出発供給原料を粉砕する工程、 (c’)出発供給原料を、60%以上の相対密度を示すブロックの形状に成型する工程、 (d’)不活性雰囲気又は弱還元性雰囲気において、1600℃よりも高く、かつ2100℃未満の焼結温度で、上述のブロックを焼結する工程、 (e’)上述のブロックを粉砕して、それによって、凝集体を得る工程、 (f’)工程(e’)の終わりに得られる凝集体を研磨し、そうすることで、凝集体が、0.90以上の真円度を示すようにする工程、 (g’)場合により、凝集体の粒径を選択する工程。

上記の方法の工程に関する詳細を、以下に示す。

以下の部では、本記載全体と同様に、すべてのパーセントは、明示的に別段の指示がない限り、重量で与えられる。

工程(a)又は(a’)では、出発供給原料は、窒化ホウ素から形成される、及び場合によって窒化ホウ素の焼結用助剤から形成される1以上の粉末を含んでおり、周囲温度で調製される。

窒化ホウ素の焼結用助剤から形成される粉末を、これら焼結助剤の前駆体から形成され同じ量で導入される粉末によって、少なくとも部分的に置き換えることも可能である。

窒化ホウ素粉末、又は複数の窒化ホウ素粉末は、好ましくは、以下となるように選ばれる: − 「他の元素」の総含有率が、重量パーセントで、出発供給原料を基準として、5%未満であり、好ましくは4%未満であり、好ましくは3%未満であり、好ましくは2%未満であり、好ましくは1%未満である、 − 総カルシウム含有率が、出発供給原料を基準として、重量で300ppm未満であり、特にさらには重量で200ppm未満である、 − 総酸素含有率が、重量パーセントで、出発供給原料を基準として、8%未満であり、好ましくは6%未満であり、好ましくは5%未満であり、好ましくは4%未満であり、好ましくは2%未満であり、好ましくは1.5%未満であり、好ましくは1%未満である。

出発供給原料に含まれている窒化ホウ素粉末の量は、出発供給原料の重量を基準として、90重量%よりも多く、好ましくは92重量%よりも多く、好ましくは94重量%よりも多く、好ましくは96重量%よりも多い。

好ましい実施態様では、窒化ホウ素、並びに場合により窒化ホウ素の焼結用助剤及び/又はこのような焼結助剤の前駆体に寄与する粉末以外の粉末は、出発供給原料内に意図的に導入されず、他の元素は不純物である。

非常に好ましい実施態様では、窒化ホウ素に寄与する粉末以外の粉末は、出発供給原料内に意図的に導入されない。

好ましくは、出発供給原料に使用される粉末が示すメジアン径は、5ミクロン未満、好ましくは2ミクロン未満、好ましくは1ミクロン未満である。有利には、本発明に係る粉末の凝集体の均一性が、このようにして向上し、及び/又は、焼結がこのようにして促進される。好ましくは、出発供給原料が10ミクロンよりも大きいメジアン径を示す場合には、方法には(b)又は(b’)が含まれる。

出発供給原料は、追加的に、溶媒を含むことができ、好ましくは水を含むことができ、その量は、工程(c)又は(c’)の成形方法に適している。

出発供給原料は、また、PEG若しくはPVAなどの可塑剤、樹脂、リグニンスルホン酸塩、カルボキシメチルセルロース、若しくはデキストリンなどの仮有機バインダーを含むバインダー、ポリアクリレートなどの解膠剤、及びこれら製品の混合物からなる群から特には選ばれる、有機成形助剤を含むこともできる。その量は、工程(c)又は(c’)の成形方法に適している。

当業者には周知のとおり、出発供給原料は、工程(c)又は(c’)の成形方法に適している。

任意の工程(b)又は(b’)では、粉砕を、乾燥条件下で、例えばボールミルにおいて行うことができ、又は例えばアトリッションミル)などにおいて、湿潤媒体で行うことができる。湿潤媒体における粉砕の後には、粉砕された出発供給原料が、好ましくは乾燥される。

工程(c)又は(c’)では、出発供給原料は、当業者に知られる任意の技術によって、特には押圧によって、ブロックの形状に成形され、それによって、上述のブロックの相対密度が、60%よりも大きく、好ましくは65%よりも大きいように、好ましくは70%よりも大きいように、特にはさらには75%よりも大きいように、特にはさらには80%よりも大きいようにする。

工程(d)では、工程(c)の最後に得られるブロックが、当業者に知られる任意の技術に従って、粉砕処理を受ける。

工程(d’)では、ブロックを、1600℃と2100℃の間の温度で、好ましくは1800℃と2100℃の間の温度で、不活性雰囲気又は還元性雰囲気において、好ましくはアルゴン下、窒素下、又は真空下で、好ましくは窒素下又はアルゴン下で、焼結する。

工程(e’)では、工程(d’)の最後に得られるブロックが、当業者に知られる任意の技術に従って、粉砕を受ける。

工程(e)又は(f’)では、集塊が、当業者に知られる任意の技術に従って、好ましくはミルを用いて、好ましくはボールミルを用いて、研磨される。

任意の工程(f)又は(g’)では、工程(e)又は(f’)の最後に得られる集塊が、当業者に知られる任意の技術に従って、例えばふるい分け、サイクロン(粉末分離機)、又は空気分級などによって、好ましくはふるい分けによって、粒径選択を受ける。

工程(g)では、集塊又はブロックを、1600℃と2100℃の間の温度で、好ましくは1800℃と2100℃の間の温度で、不活性雰囲気又は還元雰囲気において、好ましくはアルゴン下、窒素下、又は真空下で、好ましくは窒素下又はアルゴン下で、焼結する。この工程によって、本発明に係る凝集体を得ることが可能となる。

任意である工程(h)では、当業者に知られる任意の技術に従って、凝集体に対して、粒径選択を行うことができる。

工程(h)又は(g’)の後に続く任意の工程の間に、凝集体に対して、それらの表面を機能化する工程を行うことができ、特には、例えば、シラン、シロキサン、又は、ステアリン酸若しくは乳酸などの長鎖カルボン酸などのカップリング剤又は分散剤によって、この機能化の工程を施すことができる。この機能化工程は、有利には、重合体マトリックス中での焼結された凝集体の、分散の向上及び/又は付着性の向上を可能とする。

本発明は、また、上記のような本発明に係る凝集体から形成される粉末の、特には上記のような方法に従って製造される凝集体から形成される粉末の、重合体における充填剤としての使用にも関する。

最後に、本発明は、本発明に係る焼結された凝集体から形成される粉末を含有している重合体に関し、すなわち、上記の凝集体が重合体マトリックス内に分散した、重合体セラミック又は微粒子充填重合体複合材に関する。

好ましくは、本発明に係る複合材における、凝集体の重量含有率は、微粒子充填重合体の重量を基準として、20%よりも大きく、好ましくは30%よりも大きく、好ましくは80%未満であり、好ましくは70%未満である。

このような微粒子充填重合体では、重合体は、特には、熱硬化性重合体又は熱可塑性重合体から選ぶことができる。好ましくは、重合体は、熱硬化性重合体から選ばれる。より好ましくは、熱硬化性重合体は、エポキシ樹脂及びシリコーンから選ばれる。熱可塑性重合体は、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン又はPTFE、ポリフェニレンスルファイド又はPPS,ポリエーテルエーテルケトン又はPEEK,ポリブチレンテレフタラート又はPBT、ナイロン、ポリカーボネート、及びエラストマーから選ばれる。

本発明の範囲から逸脱することなく、本発明に係る窒化ホウ素に基づく凝集体から本質的に構成される粉末は、事前に、上述の重合体内に導入される前に、別の粉末と混合することができ、例えば、アルミナ凝集体から形成される粉末と混合することができる。言い方を変えると、本発明は、また、上記の窒化ホウ素に基づく凝集体から本質的に構成される粉末を含む、任意の粉状混合物にも関する。

専ら説明の目的で提供され、かつ本発明を限定するという意味は含まない、以下の実施例を読むことで、本発明及びその利点をより良く理解することができるであろう。

比較例1に係る窒化ホウ素の凝集体から形成される粉末は、Saint−Gobain Boron Nitrideにより販売されるPCTL5MHF粉末である。

比較例2に係る窒化ホウ素の凝集体から形成される粉末は、Saint−Gobain Boron Nitrideにより販売されるPCTH7MHF粉末である。

比較例3に係る窒化ホウ素の凝集体から形成される粉末は、以下の方法を用いて製造される:酸素含有率が5重量%に等しく、カルシウム含有率が100ppmに等しく、並びに酸素及びカルシウム以外の元素含有率が1重量%未満である窒化ホウ素粉末を、ボールミルにおいて乾燥粉砕し、それによって、メジアン径が3μmになるようにする。続いて、粉末を、80ミクロンに等しいメッシュ開口部を有するふるい上でふるい分けし、そして次に、等方圧プレスにおいて200MPaの圧力で、50mmの直径を有するペレットの形状へと圧縮する。得られるペレットの相対密度は、45%に等しい。得られるペレットを、その後に、ロールミルを用いて粉砕し、そして次に、ボールが除かれたボールミルにおいて1時間の間、研磨し、上述のミルの回転速度は、5回転/分に等しく、そして次に、超音波の適用を伴って、200μmで及び80μmでふるい分けし、最後に、2000℃まで100℃/時間の加熱速度、この温度での2時間の維持時間、及び300℃/時間の下降勾配を示すサイクルで、窒素下において加熱処理する。このようにして得られる粉末を、最後にふるい分けして、それによって、80μmと200μmの間の粒径バンドが保持されるようにする。

例4に係る窒化ホウ素の凝集体から形成される粉末は、本発明に従って、以下の方法を用いて製造される:1重量%に等しい酸素含有率、100ppmに等しいカルシウム含有率、及び1μmに等しいメジアン径を示す、窒化ホウ素粉末Saint−Gobain Boron Nitride PUHP30005を、80ミクロンのふるい上でふるい分けし、そして次に、等方圧プレスにおいて200MPaの圧力で、50mmの直径を有するペレットの形状に圧縮する。得られるペレットの相対密度は、75%に等しい。得られるペレットを、その後に、ロールミルを用いて粉砕し、そして次に、ボールを除いたボールミルにおいて1時間の間、研磨し、上述のミルの回転速度は、5回転/分に等しく、そして次に、超音波の適用を伴って、200μmで及び80μmでふるい分けし、最後に、2000℃まで100℃/時間の加熱速度、この温度での2時間の維持時間、及び300℃/時間の下降勾配を示すサイクルで、窒素下において加熱処理する。このようにして得られる粉末はを、最後にふるい分けして、それによって、80μmと200μmの間の粒径バンドが保持されるようにする。

例5に係る窒化ホウ素の凝集体から形成される粉末は、本発明に従って、以下の方法を用いて製造される:95重量%に等しい窒化ホウ素含有率、4重量%に等しい酸素含有率、300ppmに等しいカルシウム含有率、及び3μmに等しいメジアン径を示す窒化ホウ素粉末を、80ミクロンのふるい上でふるい分けし、そして次に、等方圧プレスにおいて200MPaの圧力で、50mmの直径を有するペレットの形状に圧縮する。得られるペレットの相対密度は、80%に等しい。得られるペレットを、その後に、ロールミルを用いて粉砕し、そして次に、ボールを除いたボールミルにおいて1時間の間、研磨し、上述のミルの回転速度は、5回転/分に等しく、そして次に、超音波の適用を伴って、200μmで及び80μmでふるい分けし、最後に、2000℃まで100℃/時間の加熱速度、この温度での2時間の維持時間、及び300℃/時間の下降勾配を示すサイクルで、窒素下において加熱処理する。このようにして得られる粉末を、最後にふるい分けして、それによって、80μmと200μmの間の粒径バンドが保持されるようにする。

例6に係る窒化ホウ素の凝集体から形成される粉末は、本発明に従って、以下の方法を用いて製造される:92重量%に等しい窒化ホウ素含有率、8重量%に等しい酸素含有率、10ppmに等しいカルシウム含有率、及び3μmに等しいメジアン径を示す窒化ホウ素粉末を、80ミクロンのふるい上でふるい分けし、そして次に、等方圧プレスにおいて200MPaの圧力で、50mmの直径を有するペレットの形状に圧縮する。得られるペレットの相対密度は、65%に等しい。得られるペレットを、その後に、ロールミルを用いて粉砕し、そして次に、ボールを除いたボールミルにおいて1時間の間、研磨し、上述のミルの回転速度は、5回転/分に等しく、そして次に、超音波の適用を伴って、200μmで及び80μmでふるい分けし、最後に、2000℃まで100℃/時間の加熱速度、この温度での2時間の維持時間、及び300℃/時間の下降勾配を示すサイクルで、窒素下において加熱処理する。このようにして得られる粉末を、最後にふるい分けして、それによって、80μmと200μmの間の粒径バンドが保持されるようにする。

上述の技術を用いて行なわれる、元素分析、構造分析、及び物理分析後の、例1〜6の粉末の特性を、以下の表1に統合する。

マンニトール滴定で計測した、酸化ホウ素の含有量は、すべての例について、おおよそ0.1%である。

続いて、例1〜6に従って得られる粉末の摩擦による摩耗を、以下の試験を用いて評価する:200μmに等しい開口部を有するふるいのメッシュを通過し、かつ、80μmに等しい開口部を有するふるいのメッシュを通過しない凝集体から形成される粉末20gを、閉じられたナイロン容器に入れて、上述の粉末が、上述の容器の体積の45%を占めるようにする。続いて、容器を、ジャーミル(jar mill)において、20回転/分に等しい回転速度で、120分にわたって攪拌する。試験の後に、80μmに等しい開口部を有するふるいのメッシュを通過する粒子の重さを決定する。それは、試験の間に作り出される細粒の量に相当する。生成する細粒のこの量を、あるいは「摩擦による摩耗」を、試験前の粉末の重量のパーセントとして表現する。試験の間に生成する細粒の上述の量が高いほど、凝集体から形成される粉末の摩擦による摩耗が、より大きい。

摩擦による摩耗が20%よりも大きいと、上述の凝集体を含有する微粒子充填重合体の熱伝導性が、実質的に減少する結果となる。好ましくは、摩擦による摩耗は、15%未満であり、好ましくは10%未満である。

凝集体Aから形成される粉末に対する、凝集体Bから形成される粉末の摩擦による摩耗の減少は、粉末Aの摩擦による摩耗で割った、粉末Aの摩擦による摩耗と粉末Bの摩擦による摩耗との差異に等しく、パーセントとして表される。粉末Aは、基準とみなされる粉末である。

続いて、例1〜6に従って得られる粉末を、Momentive Performance Materialsによって販売されるシリコーン樹脂TSE3033タイプの通常の重合体マトリックスにおける充填剤として使用する。重合体マトリックスにおける凝集体の包接及び分散は、以下のプロトコルに従って実行される: 周囲温度で、VMIによって販売されるRayneri VMI Turbotest mixer内で、200回転毎分に等しい回転速度で、各粉末を、シリコーン樹脂TSE3033(樹脂の2つの部分A及びBを、等しい重量の量で混合する)中に分散させる。導入される粉末の重量は、シリコーン樹脂TSE3033の重量と粉末の重量の合計を基準として、40%に等しい。続いて、このようにして得られる各混合物を流し込んで、5mmに等しい厚みを示す膜を得る。続いて、上述の膜を、100℃に等しい温度で2時間に等しい時間の間、加熱する。

厚み方向熱伝導性の計測を、得られる重合体膜それぞれについて行う。厚み方向熱伝導性は、重合体膜に垂直な方向に沿って計測される熱伝導性を示し、別の言い方をすれば、上述の膜の厚さに沿って計測される熱伝導性を示す。

計測は、以下の規格及び実験プロトコルに従って実行される: 熱伝導率は、拡散率、密度、及び熱容量の積によって、慣用的な方法で与えられる。

より特には、厚み方向熱伝導率は、厚み方向熱拡散率、密度、及び熱容量の積によって計測される。

重合体の熱拡散率は、ASTM規格 C−518に従って、ヒートフロー法によって計測される。拡散性は、重合体層に垂直に計測される(厚み方向熱拡散率)。

重合体の熱容量は、Netzschの熱てんびん上において、示差走査熱量測定(DSC)によって計測される。

重合体の密度は、ヘリウムピクノメトリー(Helium pycnometry)によって計測される。

凝集体Aから形成される粉末を含んでいる微粒子充填重合体に対する、凝集体Bから形成される粉末を含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率の向上は、粉末Aを含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率で割った、粉末Bを含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率と粉末Aを含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導性の差に等しく、パーセントで表される(粉末Aを含んでいる微粒子充填重合体は、基準の微粒子充填重合体である)。

凝集体から形成される粉末の摩擦による摩耗の試験の結果、及び熱伝導率計測の結果を、以下の表2に示す:

表2によって与えられるデータが示すのは、例4,5、及び6の本発明に係る窒化ホウ素に基づく凝集体から形成される粉末は、計測値がそれぞれ7%、11%及び14%である摩擦による摩耗を示すということであり、例4,5、及び6の、本発明に係る窒化ホウ素に基づく凝集体から形成される上述の粉末から得られる微粒子充填重合体が、他のすべての試料の厚み方向熱伝導率よりも、はるかに大きい厚み方向熱伝導率を示すということである。

より具体的には、国際公開第2014/136959号の文献の教示に従った、例1に係る凝集体から形成される粉末は、所望の折衷を満たさない:特には、摩擦による摩耗が、本発明に係る例4〜6の摩擦による摩耗よりも、より高いようである。

最善の折衷は、例2(本発明外)に係る凝集体から形成される粉末によっては満たされず、かつ、上述の粉末を含んでいる微粒子充填重合体に関しても満たされない:凝集体から形成される粉末の摩擦による摩耗は、例1の摩擦による摩耗よりは低いものの、なおも高すぎる。しかしながら、上述の粉末を含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率は、例1に係る粉末を含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率よりも、実質的に高い(60%分だけ高い)。

カルシウムを含有していない例3(本発明外)に係る凝集体から形成される粉末、及び上述の粉末を含んでいる微粒子充填重合体に関しては、凝集体から形成される粉末の摩擦による摩耗は、なおも高すぎるということが見いだされ、かつ、上述の粉末を含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率は、例1に係る粉末を含む微粒子充填重合体の熱伝導率に対して、向上していないことが見いだされる。

最善の結果及び折衷は、本発明に係る例4,5及び6に係る凝集体から形成される粉末、並びに上述の粉末を含んでいる微粒子充填重合体に関して得られる:例4,5及び6の凝集体から形成される粉末の摩擦による摩耗は、それぞれ、ほんの7%、11%及び14%に制限され、すなわち、比較例1,2及び3の凝集体から形成される粉末の摩擦による摩耗よりも、はるかに低い。例4,5及び6に係る凝集体から形成される粉末を含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率は、比較例1,2及び3の凝集体から形成される粉末を含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率よりも大きい。例4は、特に好ましい例である:この例の凝集体から形成される粉末の摩擦による摩耗は、例示の粉末において計測される摩耗の値の中で、最も低く、かつ、上述の例4の凝集体から形成される粉末を含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率は、特に、例1に係る粉末を含んでいる微粒子充填重合体の熱伝導率のおおよそ2倍であり、絶対的な意味で、試験されたすべての試料の中で、最も高い。

例1と例4の凝集体から形成される粉末の間で比較することで、本発明に従って見かけの空隙率、カルシウム含有率、凝集体の真円度及び平均細孔径のパラメーターを特定的に調整することによって得られる大幅な改善を、明示することがこのように可能となる。

特には、上述した国際公開第2014/136959号の先行文献の教示の観点から、我々は、上述の粉末を含む微粒子充填重合体の摩耗抵抗性及び熱伝導性の特性に対して、平均細孔径の低減、カルシウム含有率の低減、見かけの空隙率の低減、及び真円度の増大が及ぼす、累積的な効果を明示した。

特には、(国際公開第2014/136959号に係る)例1及び(本発明に係る)例4を比較したときに、以下のことが見いだされる: − 摩擦による摩耗が、31%から7%へと減少する、すなわち、減少は、77%に等しい、 − 微粒子充填重合体の熱伝導率が、0.5から1W/m・Kへと増大し、100%分の向上となる。

予期していなかったことであるが、本発明に従って以下のものを調節することによってより良い折衷が得られることを踏まえて、我々は、真円度、見かけの空隙率、平均細孔径及びカルシウム含有率の特性の間での、真の相乗効果を明示した。

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