混合カルシウム及びマグネシウム化合物並びにそれを製造する方法

申请号 JP2015521006 申请日 2013-07-12 公开(公告)号 JP2015525729A 公开(公告)日 2015-09-07
申请人 エス.ア.ロイスト ルシェルシュ エ デヴロップマン; エス.ア.ロイスト ルシェルシュ エ デヴロップマン; 发明人 ロルゴワルー、マリオン; ロウデ、アラン;
摘要 生石灰を 水 酸化 マグネシウム懸濁液で消和し、個体粒子を形成するステップを含む、混合カルシウム及びマグネシウム化合物を製造する方法であって、前記消和は、非湿式手段により、均質容量分布の、緊密に相互に結合したカルシウム相及びマグネシウム相を含む個体粒子を形成する上記方法、並びにカルシウム相及びマグネシウム相を含む混合化合物。
权利要求

性媒体により生石灰を消和するステップを含み、固体粒子の形成を伴う、混合カルシウム及びマグネシウム化合物を製造する方法であって、 前記水性媒体は水酸化マグネシウムの懸濁液であり、 前記消和は、均質容量分布の、密接に結合したカルシウム相及びマグネシウム相を含む式xCa(OH)2.yMg(OH)2.zI(式中、x、y及びzは重量分率であり、x+yは混合化合物の総重量に対して88から100重量%までであり、Iは不純物を表す)の混合化合物の固体粒子を形成する非湿式経路による消和であることを特徴とする上記方法。前記生石灰の消和の前に、前記水酸化マグネシウム懸濁液の重量に対して1から55重量%までの所定量の水酸化マグネシウムを水に懸濁させることによって、前記水酸化マグネシウム懸濁液が調製される、請求項1に記載の方法。前記生石灰の消和が乾式経路により達成される、請求項1又は2に記載の方法。前記生石灰の消和が準乾式経路により達成される、請求項1又は2に記載の方法。前記固体粒子を乾燥させるステップを更に含み、その後に解凝集ステップを任意選択的に含む、請求項4に記載の方法。粒度切り分けのためのステップを更に含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。前記水酸化マグネシウムの量が、水酸化マグネシウム懸濁液の総重量に対して、5から53重量%まで、好ましくは10から40重量%まで、具体的には20から30重量%までの間に含まれる、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。前記水性媒体が、アルコール、アミン等の、前記混合化合物のCa(OH)2粒子の比表面積を増加させる添加剤の群から選択される添加剤を更に含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。カルシウム相及びマグネシウム相を含む混合化合物であって、一般式xCa(OH)2.yMg(OH)2.zI(式中、x、y及びzは重量分率であり、x+yは混合化合物の総重量に対して88から100重量%までであり、Iは不純物を表す)で表され、カルシウム相及びマグネシウム相が密接に結合しており、均質容量分布であることを特徴とする上記混合化合物。粒度d97が、250μm未満、好ましくは200μm未満、有利には90μm未満、より具体的には60μm未満である、請求項9に記載の混合化合物。混合化合物の総重量に対して、4重量%未満、好ましくは2重量%未満、より優先的には1重量%未満の相対水分含量を示す乾燥水和物の形態の、請求項9又10に記載の混合化合物。Mg(OH)2含量が、前記混合化合物の総重量に対して、0.4から48重量%まで、好ましくは0.5から43重量%まで、より具体的には0.6から40重量%までの間に含まれ、Ca(OH)2含量が、前記混合化合物の総重量に対して、40から99.6重量%まで、好ましくは45から99.5重量%まで、より具体的には48から99.4重量%までの間に含まれる、請求項11に記載の混合化合物。5から20m2/gまで、好ましくは10m2/g超、具体的には13から17m2/gまでのBET比表面積を示す、請求項11又は12に記載の混合化合物。0.02から0.1cm3/gまで、好ましくは0.03cm3/g超、有利には0.04から0.07cm3/gまでの間に含まれるBJH細孔容量を示す、請求項11から13までのいずれか一項に記載の混合化合物。湿性水和物の形態では、前記混合化合物の重量に対して、15から30重量%まで、好ましくは17%超、有利には19重量%超の水分含量を示し、乾燥後は4%未満の水分含量を示す、請求項9又は10に記載の混合化合物。乾燥基準で、前記混合化合物の総重量に対して、0.8から58重量%まで、好ましくは0.9から53重量%までの間に含まれるMg(OH)2含量を示し、前記混合化合物の総重量に対して、30から99.2重量%まで、好ましくは35から99.1重量%までの間に含まれるCa(OH)2含量を示す、請求項15に記載の混合化合物。20から50m2/gまで、好ましくは25m2/g以上、有利には30m2/g以上、具体的には35m2/g以上のBET比表面積を示す、請求項15又は16に記載の混合化合物。0.10から0.25cm3/gまで、好ましくは0.11cm3/g超、有利には0.13cm3/g以上、具体的には0.15cm3/g以上のBJH細孔容量を示す、請求項15から17までのいずれか一項に記載の混合化合物。

说明书全文

本発明は、混合カルシウム及びマグネシウム化合物並びにその製造方法に関する。

混合カルシウム及びマグネシウム化合物は、文献US5,422,092及びEP0623555に開示されており、これらは、式Ca(1−x)M2+x(OH)2(式中、Mは、引用されている金属のリストの中からマグネシウムを表してもよい)の複合材料について記載している。これらの複合材料は、金属酸化物の固溶体の形態として、例えば、結晶構造中でカルシウム原子がMg又は別の金属で置換されている水酸化カルシウムとして得られる。逆に、結晶構造中でカルシウム原子がマグネシウム原子で置換されている水酸化マグネシウムの固溶体を得ることもできる。

このような複合材料を得るためには、金属、例えばマグネシウムを、水酸化カルシウムの懸濁液、例えば消石灰の懸濁液に、塩化マグネシウムの形態で120℃においてオートクレーブ中に2時間で添加する。

消石灰は、主に式Ca(OH)2のカルシウム二水酸化物の固体粒子の集合体からなり、水による生石灰の消和、水和とも呼ばれる反応の工業的結果物である。この生成物は、消石灰の名称でも知られている。以降、カルシウム二水酸化物を、単純に水酸化カルシウムと呼ぶ。

適用される水の過剰量に応じて、生石灰から出発して工業的に消石灰を得ることについて多くの可能性が存在する(特に、Boynton、R.S.、「石灰及び石灰岩の化学及び技術(Chemistry and Technology of Lime and Limestone)」、第2版、New York、Wiley、1980年、xii巻、327〜328頁参照)。消和方法も、消石灰が生じる形態、すなわち、乾燥水和物、スラリー、懸濁液/石灰乳を決定する。

「乾式経路による」消和方法において、添加する水の量は、消和反応に必要な量に限定され、反応が発熱的であるために水蒸気として失われた量と共に増加される。水和機から排出された直後では、得られる生成物は粉末状であり、通常、2%未満の残留非水和CaOと2%未満の水分を同時に含み、但し、水分は最大4%である。これは、任意選択的粒度調整ステップの後、しかし、いかなる予備的乾燥や解凝集ステップもなしで、調整・直接販売することができる。

先のいろいろな消和方法において、水和を、WO97/14650に従って、より大過剰の水で達成することができる。この場合、得られる水和物には、15から30質量%程度の水分が含まれる。この水分のために、消石灰は、貯蔵及び輸送の前に乾燥及び解凝集ステップが必要である。生産ラインに乾燥/解凝集ステップを加えるという欠点は、反応の過程で使用される水の過剰量が、水和物の比表面積及び細孔容量の増大を可能にするという事実によって相殺され、このことはその後、これらの特性によって、特定の用途、具体的には酸性ガスの処理に使用することができる。このWO97/14650に従った消和方法は、「準乾式経路」による消和方法と呼ばれている。

「湿式経路による」消和方法において、添加される水の量は、消和反応に厳密に必要な量に比較して非常に大過剰である。その際、「石灰乳」、即ち、消石灰粒子の水性懸濁液が得られる。

消和反応に使用される水分量が若干少ない場合、得られる生成物はペースト状であり、「ペースト経路による」消和(石灰ペースト)と称される。

本明細書において、「非湿式経路による」消和方法とは、乾式経路による、準乾式経路による、及びこの両者の間の任意の中間の消和方法(2から15%までの水分を伴って得られる水和物)を総称する消和方法であって、湿式経路によるもの及びスラリー経路によるものという2種の消和方法を除く消和方法をいう。

生石灰とは、化学組成が主に酸化カルシウムCaOである無機固体物質と理解される。生石灰は、一般的に、主にCaCO3からなる石灰岩の焼成によって得られる。生石灰は、不純物、即ち、酸化マグネシウムMgO、シリカSiO2更にはアルミナAl2O3等の化合物を数%の量で含む。これらの不純物は、前述の形態で表わされるが、実際にはさまざまな相として現れ得るものと理解される。生石灰には、一般に未焼成成分と呼ばれる残留CaCO3も数%含まれる。

石灰岩堆積物(式CaCO3の炭酸カルシウム)に加えて、ドロマイト堆積物(式CaCO3.MgCO3の混合カルシウム及びマグネシウム炭酸塩)その他の混合カルシウム及びマグネシウム炭酸塩が存在する。石灰岩と同様に、ドロマイトその他の前述の混合炭酸塩を焼成してもよく、それによって、式CaO.MgOの生ドロマイトその他の混合カルシウム及びマグネシウム酸化物が生成される。生石灰の場合と同様に、生ドロマイトその他の前述の混合酸化物が水と接触された場合、水和反応が開始されることになる。しかし、酸化マグネシウムの反応性は、きわめて親水性である生石灰の反応性よりはるかに低く、生化合物類の水和は、生石灰単独の水和よりはるかに複雑であることが知られている。

こうした理由で、多くの場合、乾式経路により工業的に製造される水和ドロマイトその他の混合カルシウム及びマグネシウム水酸化物は、実際には、無視できない量の残留非水和MgOを含有するドロマイト半水和物その他の前述の混合水酸化物である。前記ドロマイト半水和物は、一般に、酸化マグネシウムの水和率に応じて、式Ca(OH)2・MgO又はCa(OH)2・Mg(OH)2・MgOで表される。他の前述の混合水酸化物は同様のタイプの式を有するが、カルシウム/マグネシウムモル比が異なる。

完全に水和された(一般式aCa(OH)2.bMg(OH)2の)生成物を得る目的で、水に対する生ドロマイトその他の前述の生化合物の低反応性を克服するために、乾式消和に使用される水分量より実質的に多量の水、及び/又は生石灰に対する標準的な水和反応が行われるより高い温度、生ドロマイトその他の前述の生化合物を水和の前に磨砕すること、又は更に熱水反応、即ち、高温での加圧水和(水蒸気中で、7〜13バール、115〜165℃)(Boynton、325〜326頁)に頼ることが知られている。この種の完全に水和されたドロマイト生成物は、標準的な、即ち部分的に水和されたドロマイト水和物を意味するタイプNとは反対の用語であるタイプSという名称で知られている。(OATES、J.A.H.、Lime and limestone、Weinheim:Wiley−VCH、1998年、222〜223頁)。

いずれの場合においても、これらの消和方法は複雑かつ高価であり、MgOの一部は十分に水和されないという危険を伴う。

完全水和又は半水和のドロマイト、その他の前述の混合水酸化物にかかわらず、生成物中のCa/Mg比は維持され、出発物質である粗製ドロマイトその他の前述の混合炭酸塩のCa/Mgモル比に対応する。

本出願人名義の文献EP0558522は、Ca/Mg比が結果として固定され、ほぼ1であるドロマイトからの水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムの製造方法を提供するものであり、当該ドロマイトは、完全に水和されるように、先ず微細に磨砕され、次いで、高温(>80℃)において過剰の水(一方の水と他方のCaO及び/又はMgOとの間の質量比2.5)で水和される。

出発物質であるドロマイト混合化合物は、35m2/g超の比表面積、及び50重量%未満の水分含量を示す。この生成物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びこれらの混合物から選択される添加剤の存在下で得られる。その代わり、この文献には得られた細孔容量に関しては記載がない。

文献US3,869,299には、常圧下に完全水和ドロマイトの製造を可能にする方法が開示されている。この方法は、大過剰の熱水(ドロマイト乳を生じさせる湿式経路による水和)(50〜100℃、好ましくは90〜100℃)及びホウ素系添加剤の使用に頼る。水和時間は最大で10時間に達し得る。Ca/Mg比は維持され、天然ドロマイトのため一貫してほぼ等モルである。

水和の過程でのホウ素系化合物の添加は、単純にホウ素系化合物を添加しない同様の水和と比較すると、水酸化マグネシウムの空隙率及び比表面積の増大を可能にする。

様々な用途に対して、完全に水和された混合カルシウム及びマグネシウム水和物であって、その組成(カルシウムとマグネシウムの比率)が制御され、かつ、可変であり、カルシウム及びマグネシウム化合物が密接に結びついているような水和物の工業規模での需要が存在する。これらの水和物は、混合カルシウム及びマグネシウム水酸化物であり、CaO、CaCO3、Al2O3、SiO2、Fe2O3といった種類の不純物を伴っている。

より具体的には、本発明は、水性媒体により生石灰を消和し、固体粒子を形成するステップを含む、カルシウム及びマグネシウム混合化合物を製造する方法に関する。

このような方法は文献SU1065341から公知であり、そこには、このような方法に関し、脱塩素廃水及びMg(OH)2の存在下で、水による生石灰の水和によって水和された石灰の懸濁液の調製方法が記載されている。Mg(OH)2は、i)水和反応の開始時に熱の放出を抑制することによって、及び、CaO粒子(反応性の最も低い粒子まで)の完全な水和を促進させることによって、活性CaOの損失を減少させるため、ii)懸濁液の粘度を減少させるため、並びにiii)得られる懸濁液中の不純物の濃度を減少させることに役立つ。Mg(OH)2は、生石灰を水和する前に、母石灰中のCaOの利用可能な質量の3から9%の量で水和水中に添加される。例で使用された石灰は、利用可能なCaOを72%しか含有せず、残部は不活性なCaO、CaCO3及び不純物である極めて不純な石灰である。

このような方法はまた、例えば、文献WO98/51614から知られており、これには、廃水中の大量の酸、金属及びアニオンの捕捉の、これらの水を処理するための標準的な水酸化マグネシウムの懸濁液を用いることによって得られる捕捉と比較して、促進及びしたがって改善を可能にする解決法を提供する目的を有する、このような混合化合物の様々な製造経路が開示されている。かかる解決法は、Mg(OH)2の質量に対して5から30質量%のカルシウム化合物、即ち、とりわけCa(OH)2を添加することによって修飾されたMg(OH)2等のマグネシウム化合物の懸濁液を用いることに帰着する。

この修飾された懸濁液は、先に言及したように異なる方法で得てもよい。まず最初に、記載されている経路の1つは、必須の添加剤の存在下、カルシウム及びマグネシウム供給源の混合物、即ちMgO及びCaOを一緒に加圧下で水和することに帰着する。安定化、ふるい分け及び解凝集の後、組成物の総重量に対して55〜65重量%の乾燥材料を含む懸濁液が得られる。

次に、記載されている別の経路は、必須の添加剤と共に、MgO及びCaO等のカルシウム及びマグネシウム供給源の混合物を常圧で非常に長時間水和することからなる。

最後に、最後の経路が記載されており、この場合、混合化合物は、カルシウムCaO供給源を、Mg(OH)2懸濁液を製造するための任意の公知技術によって予め調製され、懸濁液の総重量に対して50〜60重量%の固体画分を含む、Mg(OH)2の希釈されたマグネシウム懸濁液と混合することによって得られる。CaO供給源を添加した後、懸濁液の撹拌は、CaO供給源の水和及びCa(OH)2の形成を可能にする。

当該文献の例1のみが、Ca(OH)2の存在によって修飾された、このようなMg(OH)2懸濁液の製造を記載し、他の例は、水を処理するためのこの懸濁液の使用を記載する。

しかし、当該文献には、得られる化合物は常に懸濁液として開示されているので、粉末状の乾燥混合化合物を得ることは開示されていない。

しかし、例えば、難燃剤として使用することができる化合物のような、30重量%未満の水分を有する粉末であり、そのCa/Mg比が、企図される用途に応じて比表面積及び制御された細孔容量を有することができるように可変であり制御されている、基本的に乾燥水酸化物の形態のカルシウム及びマグネシウム混合化合物を、単純かつ安価な方法で製造するニーズのあることが判明した。

本発明の目的は、可変で制御されたCa/Mg比を有し、制御可能な比表面積及び細孔容量を有する混合カルシウム及びマグネシウム化合物の製造であって、そのためのエネルギー消費量が低減され、いかなる特別な設備も必要とせず、その結果、付加価値がより低い分野も含めて広範な使用が可能になるように化合物の価格を低減させるような、上記化合物の製造を可能にする方法を提供することによって、従来技術の欠点を克服することである。

この問題を解決するために、本発明により、冒頭に示したような、前記水性媒体が、水酸化マグネシウムの懸濁液であり、その中の固体粒子が、均質容量分布の、密接に結合したカルシウム相及びマグネシウム相を含む、式xCa(OH)2.yMg(OH)2.zI(式中、x、y及びzは重量分率であり、x+yは、混合化合物の総重量に対して88から100重量%の間に含まれ、Iは不純物を表す)の混合化合物の粒子であることを特徴とする方法が提供される。

本発明によれば、企図される解決法はそれゆえ、古典的な消和機中で生石灰をMg(OH)2懸濁液を用いて非湿式経路により消和するステップからなる。この解決法は、前記の諸方法に比較して、完全に水和されたカルシウム及びマグネシウムベースの混合化合物を製造するための様々な利点を呈する。実際、該解決法によれば、水和物の製造においてCa/Mg比を制御された方法で変化させることが可能となる。逆にこのCa/Mg比はもとのドロマイトの組成によって決まるため、ドロマイト水和物中では維持される。

更に、本発明による方法では、マグネシウムは既に水酸化物の形態である。したがって、消和は、水和が困難なMgOとは反対に水の存在下ではるかに反応性である酸化カルシウムのみに関係する。

Ca(OH)2を形成するためのCaOの消和の過程で、Mg(OH)2の粒子は、結晶格子のレベルでのいかなる置換もなく、形成された水酸化カルシウム中に取り込まれる。

完全に水和されたドロマイトの比表面積及び細孔容量は、一般に、それぞれ15〜25m2/g程度及び0.05〜0.15cm3/g程度に過ぎないところ、本発明によるこの方法は、二重水酸化物の比表面積及び細孔容量に関する融通性をも可能にする。

以下において、「比表面積」又は「BET比表面積」とは、窒素吸着検圧法によって測定され、BET法によって計算された比表面積を意味する一方、「細孔容量」又は「BJH細孔容量」とは、窒素吸着検圧法によって測定され、BJH法によって計算された、17〜1000Åの大きさを有する細孔の容積を意味する。粒径自体はレーザ粒径測定によって求められる。

有利には、本発明による方法は、前記生石灰の消和の前に、水酸化マグネシウム懸濁液の重量に対して1から55重量%の間に含まれる所定量の固体水酸化マグネシウムを水に懸濁させることによる前記水酸化マグネシウム乳の調製を含む。

別法では、生石灰の消和反応のための水酸化マグネシウム乳の供給は、希釈された又は希釈されていない、市販の水酸化マグネシウム乳から行うことができる。

Mg(OH)2乳すなわち懸濁液は、固体Mg(OH)2粒子の水中懸濁液である。その乾燥材料の含量は大きく変化させることができ、1から55重量%の間、好ましくは5から53重量%の間、好ましくは10から40重量%の間、特に有利には20から30重量%の間に含まれる。

Mg(OH)2は、乳状液として、又は、このような乳状液からの分離及び乾燥から生じる粉末として販売されている一般的な工業製品である。

本発明による方法で使用される水酸化マグネシウム乳状液の固体画分には、少なくとも88重量%のMg(OH)2、具体的には少なくとも90%、好ましくは少なくとも92重量%、有利には95重量%のMg(OH)2が含有され、残りは不純物(CaO、Al2O3、SiO2、Fe2O3…)の形態と、そのMgO含量が2%未満、有利には1%未満、好ましくは0.5%未満のMgOが含有される。

水酸化マグネシウム乳状液の固体画分の比表面積は5から15m2/gの間、好ましくは5から10m2/gの間、有利には6から8m2/gの間に含まれる。その細孔容量は0.02から0.05cm3/gの間、好ましくは0.02から0.04cm3/gの間、有利には0.02から0.03cm3/gの間に含まれる。この固体画分は5から20μmの間に含まれ、好ましくは<15μm、有利には<10μmのd90、及び2から10μmの間に含まれ、好ましくは<8μm、有利には<5μmのd50を示す。

記号dxはμm単位で表わされる直径を意味し、測定された粒子のX%はこれよりも小さい。

具体的な一実施形態において、前記生石灰の消和は乾式経路により行われる。

本発明の別の具体的な一実施形態において、前記生石灰の消和は準乾式経路により行われ、続いて乾燥及び解凝集ステップが行われる。

本発明による方法は、有利には、粒径切り分けのステップを更に含む。

本発明による方法の特に有利な一実施形態において、前記水酸化マグネシウムの量は、水酸化マグネシウム乳状液の総重量に対して、5から53重量%の間、好ましくは10から40重量%の間、具体的には20から30重量%の間に含まれる。

更に、特に有利な一実施形態において、前記生石灰は、その大きさが10μmから10mmの間に含まれ、好ましくは5mmのふるい、より具体的には2mmのふるいを完全に通過する粒子からなる。

更に別の一実施形態において、前記水性媒体は、アルコール、アミン等の、前記混合化合物のCa(OH)2粒子の比表面積を増加させる添加剤の群から選択される添加剤を更に含む。

これらの添加剤は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びこれらの混合物から選択される。

具体的な一実施形態において、前記水性媒体は、脂肪酸タイプの添加剤、具体的にはステアラート、より有利にはステアリン酸カルシウムを含む。実際、本発明による混合化合物に対して企図され得るある種の用途、具体的には、ポリマー中の充填剤として、とりわけポリマー中の難燃性充填剤としての用途において、このような添加剤は、一般に、界面剤又はカップリング剤として使用される。これらは、電荷とポリマーマトリックスとの適合性を向上させるために、表面電荷を処理するために必要である。

これらのカップリング剤は、一般に、ポリマー部品を製造する方法の独立したステップにおいて、充填物とカップリング剤の間の激しい混合によって、充填物に添加される。本発明によれば、このようなカップリング剤は、水酸化マグネシウム懸濁液中に添加してもよく、このことは、充填物として使用する目的で、本発明による混合化合物を合成する際、その場で表面処理を実現することに帰着する。

本発明による方法の他の実施形態は、添付した特許請求の範囲に示されている。

本発明の対象はまた、一般式xCa(OH)2.yMg(OH)2.zI(式中、x、y及びzは重量分率であり、x+yは、混合化合物の総重量に対して88から100重量%の間に含まれ、Iは不純物を表す)で表され、均質容量分布の、カルシウム相及びマグネシウム相が密接に結合していることを特徴とする、固体かつ粉末状の形態で前記カルシウム相及び前記マグネシウム相を含む粉末状混合化合物である。

本発明による混合化合物において、粒径d97は250μm未満、好ましくは200μm未満、有利には90μm未満、より具体的には60μm未満である。

有利には、本発明による混合化合物は、混合化合物の総重量に対して4重量%未満、好ましくは2重量%未満、より優先的には1重量%未満の相対水分含量を示す乾燥水和物の形態である。

本発明による前記乾燥水和物の形態の混合化合物において、Mg(OH)2含量は、当該化合物の総重量に対して0.4から48重量%の間、好ましくは0.5から43重量%の間、より具体的には0.6から40重量%の間に含まれ、Ca(OH)2含量は、当該混合化合物の総重量に対して40から99.6重量%の間、好ましくは45から99.5重量%の間、より具体的には48から99.4重量%の間に含まれる。

かくして、本発明による混合化合物中のCa(OH)2の質量に対するMg(OH)2の比率は、0.4から120%の間に含まれる。好ましくは、この比率は5から80%の間、具体的には10から60%の間、特定の場合には30から50%の間に含まれる。逆に、本発明による混合化合物中のMg(OH)2の質量に対するCa(OH)2の比率は、したがって80から25,000%の間に含まれる。好ましくは、この比率は125から2,000%の間、具体的には165から1,000%の間、特定の場合には200から350%の間に含まれる。

有利には、本発明による乾燥水和物は、5から20m2/gの間に含まれ、好ましくは10m2/gを超え、具体的には13から17m2/gの間に含まれるBET比表面積を示す。

具体的には、本発明による乾燥水和物は0.02から0.1cm3/gの間に含まれ、好ましくは0.03cm3/gを超え、有利には0.04から0.07cm3/gの間に含まれるBJH細孔容量を示す。

本発明による別法では、混合化合物は、湿式水和物の形態では、前記混合化合物の重量に対して、15から30重量%の間、好ましくは17%超、有利には19重量%超の水分含量を示し、乾燥後には、4%未満、好ましくは2%未満、又は更に1%未満の水分を示す。

有利には、本発明による準乾式経路により得られた混合化合物は、乾燥ベースで、当該化合物の総重量に対して、0.8から58重量%の間、好ましくは0.9から53重量%の間に含まれるMg(OH)2含量を示し、混合化合物の総重量に対して、30から99.2重量%の間、好ましくは35から99.1重量%の間に含まれるCa(OH)2含量を示す。

このようにして、本発明による混合化合物中におけるCa(OH)2の質量に対するMg(OH)2の比率は、0.8から200%の間に含まれる。好ましくは、この比率は、5から80%の間、具体的には10から60%の間、特定の場合には30から50%の間に含まれる。逆に、本発明による混合化合物中におけるMg(OH)2の質量に対するCa(OH)2の比率は、したがって、50から12,500%の間に含まれる。好ましくは、この比率は125から2,000%の間、具体的には165から1,000%の間、特定の場合には200から350%の間に含まれる。

より具体的には、準乾式経路により得られる本発明による化合物は、20から50m2/gの間に含まれ、好ましくは25m2/g以上、30m2/g以上、具体的には35m2/g以上のBET比表面積を示す。

好ましくは、特に有利な実施形態において、本発明による準乾式経路の混合化合物は、0.10から0.25cm3/gの間に含まれ、好ましくは0.11cm3/g以上、有利には0.13cm3/g以上、具体的には0.15cm3/g以上のBJH細孔容量を示す。

本発明による混合化合物の他の実施形態は、添付した特許請求の範囲に示す。

本発明の他の特徴、詳細及び利点は、添付の図面及び例を参照しつつ、非限定的なものとして以下に与えられる記載により明らかになる。

例1、次いで例3から6の生成物に対して記録された熱重量分析曲線を示すグラフである(空気中において、2℃/分の傾斜で20から950℃までの温度)。

例7から9の生成物に対して記録された熱重量分析曲線を示すグラフである(空気中において、5℃/分の傾斜で20から950℃までの温度)。

図中、同じ又は類似の要素には、同じ参照を付する。 本発明による方法は、以下のように要約される様々な連続的ステップによって記述することができる: i)任意選択で独立した方法で実施される、Mg(OH)2乳状液の調製; ii)そのように調製されたMg(OH)2乳状液を用いた生石灰の水和; iii)過剰の水を用いて消和する場合、生成物の任意選択の乾燥及び任意選択の解凝集; iv)粒径の制御。

生石灰の水和のためのステップii)は、乾式経路による生石灰消和用のまったく標準的な消和機で実施される。

本発明による方法において、消和機は単段消和機、即ち、中心軸及び撹拌羽根を装備した単一の水平円筒形反応器からなり、この反応器は、予混合機として使用される別の水平シリンダーと共に若しくはそれなしで設置されてもよく、或いは、例えば3個の、直径が増加する連続的水平反応器からなり、その中を生成物が水和反応が進むに従って落下する多段階消和機であってもよい。

20μmから10mmの間に含まれ、好ましくは<5mm、好ましくは<2mmの粒径を有する粉末状生石灰を消和機に供給する。生石灰は、通常、その化学的純度及びその反応性によって特徴付けられる。

高純度とは、不純物濃度が低いこと、即ち、一般に5重量%未満、有利には4重量%未満、好ましくは3重量%未満、更に2重量%未満の、石灰岩中に当初見出される古典的な不純物(MgO、SiO2、Al2O3、…)をいうだけではなく、利用可能な石灰含量が高いことをいうものと理解される。「利用可能な石灰」という用語は、一般に、規格EN 459−2:2010年 段落5.8又は1994年のASTM C25規格に従って、CaO及び/又はCa(OH)2の形態で有効に見出される生石灰の画分を表す。これは、不焼成物質(CaCO3)又はケイ酸カルシウム若しくはアルミン酸カルシウム型の化合物等の、カルシウムの他のあらゆる可能な形態を除外するものである。本発明による方法に使用される生石灰は90重量%超、有利には93重量%超、好ましくは96重量%超、特に有利には97重量%超の利用可能な石灰を含有する。本発明による方法に使用される、生石灰中の不焼成物質の比率は、通常3重量%未満、有利には2重量%未満、好ましくは1重量%未満である。

生石灰の反応性は、EN 459−2:2010年 段落6.6規格に記載されている反応性試験により、具体的にはt60の値により特徴付けられる。本発明による方法に使用される石灰は、0.3から8分の範囲の、好ましくは0.5から5分の間に含まれるt60を有する。

本発明による方法で使用される生石灰の流量は、水和された粉末状の石灰を製造する目的で石灰が水によってのみ消和される古典的な乾式経路で消和するために通常使用される生石灰の流量と同様である。

本発明による方法に使用されるMg(OH)2乳状液の流量は、水分含量及び最終生成物として望まれるMg(OH)2により異なる。消和機の排出口で、生成物の水分は1から30重量%の間に含まれる。消和機を出る生成物の水分が高いほど、比表面積及びその細孔容量は高いだろう。

消和機の排出口における生成物の最終水分は、所望の比表面積及び細孔容量により決定される。この水分を得るために生石灰に添加される水の量は、したがって、生石灰の水和反応の発熱性に起因する蒸発を計算に入れて決定される。生石灰を水和するのに必要な全水分は、Mg(OH)2乳状液によってもたらされる。そして、最終生成物中のCa(OH)2及びMg(OH)2のそれぞれの所望の比率に応じて、生石灰に添加されるMg(OH)2の量が計算される。

したがって、所与の水和期間に対して、消和機中に導入される生石灰量に対して、添加されるべき水の量及びMg(OH)2の量を計算することができる。水和の前にこれらの量の水とMg(OH)2とを、水及びMg(OH)2が所望の質量を持つように(希釈された又は希釈されていない)事前に存在するMg(OH)2乳状液を使用することによってであれ、所望の水量中にMg(OH)2粉末の所望の量を分散させることによってであれ、接触させる。このように調製された乳状液は、その調製中に十分に均質化され、次いでそれは消和機中に、単純なオリフィスを通してであれ、目詰まりを防ぐためにMg(OH)2粒子の直径に適合したスプレーノズルを通してであれ、生石灰上に注入するためにポンプ給送される。水和期間を通じて、Mg(OH)2乳状液は、Mg(OH)2粒子の沈降を防ぐために、撹拌下に維持される。消和機の排出口において定期的なサンプリングを実施し、これらの試料の水分を測定する。この水分が所望の水分に対応する場合、追加の調整は必要でない。この水分が低すぎる場合、Mg(OH)2乳状液の流量を増加させてもよく、生石灰の流量を減少させてもよい。水分が高すぎる場合、Mg(OH)2乳状液流量を減少させてもよく、生石灰の流量を増加させてもよい。

消和機から出る生成物が2%未満、又は更に4%未満の水分を有する場合、生成物は粒径制御ステップiv)に直接通すことができる。

逆に、その水分が4から30%の間に含まれる場合、生成物を乾燥させなければならない。このような過剰の水分は多かれ少なかれ水酸化カルシウム粒子(Ca(OH)2)の顕著な凝集を引き起こすので、生成物は同時に解凝集されなければならない。この乾燥及び解凝集ステップは工業的に、好ましくは「かご形ミル」型の粉砕機中で、実施される。他の装置、具体的には「フラッシュドライヤー」型の装置を使用することもできる。このステップの後、生成物は2%未満の水分、好ましくは1%未満の水分を含むべきであり、その粒子は1mm未満、好ましくは500μm未満、有利には200μm未満の大きさを有するべきであり、このことは、d97が前述の大きさ未満でなければならないことを意味する。

たいていの場合、消石灰又は標準的半水和若しくは完全水和ドロマイトは、粒径制御を通してから様々な用途に使用される。この粒径制御により、企図される用途に合った反応性水和物を得るため、最も粗大な粒子(具体的には不焼成物質)を除去することができる。本発明による方法の場合、同様の粒径制御ステップが望ましい。このステップは、工業的にはエア・セパレーター中で実施される;これはふるい分けによって実施することができる。切り分けは、一般に<250μm、好ましくは<200μm、好ましくは<90μm、更に時には<60μmの生成物を得るという目標で行われる。

本発明による方法で得られる生成物は、カルシウム及びマグネシウムをベースとする混合生成物であり、これらの両方の要素は、たいていはその水酸化物の形態(Ca(OH)2)及びMg(OH)2)で見出される。本発明による方法から得られる最終生成物中に見出されるMg(OH)2は、乳状液の形態とされる時の水和の前と同じ特性を有する。実際、Mg(OH)2は水和反応の過程で改変されず、したがって、上記のものと同じ基準の化学的純度及び空隙率を保持している。最終生成物中で見出されるCa(OH)2は、こちらは、生石灰とMg(OH)2乳状液によって消和機に持ち込まれる水との間で起こる水和反応の生成物である。

最終生成物は、xCa(OH)2.yMg(OH)2.zI型の一般式によって記述することができ、Ca(OH)2が前記カルシウム相の過半を表し、Mg(OH)2が前記マグネシウム相の過半を表している。これらの相の両方は密接に結合されており、均質容量分布を有する。x、y及びzは重量分率である。yは、より具体的には0.4から58%の間、好ましくは3から53%の間、有利には5から44%の間、特に有利には10から30%の間に含まれる。しかし、xとyの合計は、混合化合物の総重量に対して88から100重量%に含まれ、典型的には100%に等しくないことに注意を要する。実際、最終生成物は、極めて高い分率のCa(OH)2及びMg(OH)2以外に、Iによって表される、Mg(OH)2乳状液によってもたらされる不純物、並びに生石灰によってもたらされる不純物及び不焼成物質(CaCO3)を含有する。更に、生石灰の水和が本発明による方法では完全でなく、その結果、最終生成物中に残留生石灰CaOの存在をもたらす可能性がある。しかしながら、最終生成物中の残留CaO含量は可能な限り低く、I中にも含まれて、これは0.1から3重量%の間に含まれ、好ましくは2重量%未満、有利には1重量%未満である。最終生成物中のMgO含量もまたI中に含まれており、こちらは2重量%未満、好ましくは1重量%未満、具体的には0.5重量%未満である。優先的には、不純物及び不焼成物質の含量は可能な限り低く、xとyの合計は90%超、好ましくは92%超、有利には95%超、具体的には97%超、極めて優先的には98%超である。生成物を準乾式経路を介して得る場合、本発明による混合化合物の乾燥の過程でカルシウム相の部分的炭酸塩化が存在し、これは、乾式経路を介して得られる混合化合物に比較すると、重量分率zの値を増加させることに注意を要する。

実際には、最終生成物中のMg(OH)2比率yは、消和機の排出口における生成物の水分に依存する。実際、水和反応のために必要なすべての水は、55重量%程度の最大濃度を有するMg(OH)2乳状液によってもたらされることを上記で述べた。したがって、消和機の排出口において所与の水分に達するためには水和反応のための所与の水分量を生石灰に添加しなければならず、添加するMg(OH)2の量は、この結果、この水分量の最大122%に等しい(なぜなら、乳状液は最大で55%のMg(OH)2と45%の水を含むからである)。上記の諸段落で表わされたyの比率は、消和機の排出口で1から30重量%の間に含まれる水分を有する生成物に対応する。

この水分は、もっとも、2種の好ましい生成物群に対してではあるが、消和機の排出口で1から30重量%の間に含まれる。

本発明による生成物の第1群は、4重量%未満、好ましくは2重量%未満、好ましくは1重量%未満の消和機の排出口における水分を有する。この群は、粒径制御及び梱包ステップの前に乾燥させる必要のない乾燥水和物群に対応する。Mg(OH)2の比率の消和機の排出口における生成物の水分への依存性を指摘した上記の所見を考慮に入れると、この群の生成物は、0.4から48%の間のMg(OH)2、及びしたがって40から99.6%のCa(OH)2を含有する。最終生成物中のMg(OH)2の比率は好ましくは0.5から43重量%の間、具体的には0.6から40重量%の間に含まれる。Ca(OH)2の比率は、したがって、好ましくは45から99.5重量%の間、好ましくは48から99.4重量%の間に含まれる(88から100%の範囲であるxとyの合計に対して)。この群の生成物は、古典的な乾式経路を介して得られる通例の消石灰と同程度の大きさの比表面積及び細孔容量を有する。粒径制御ステップの後、この群の生成物の粒子の集合体は、<250μm、好ましくは<200μm、有利には<90μm、更に時には<60μmの大きさを示す。これは、d97が前述の大きさ未満であることを意味する。

本発明による好ましい生成物の第2群は、消和機の排出口において、15から30重量%の間に含まれ、好ましくは17%超、具体的には19%超、好ましくは25%未満、具体的には22%未満の水分を有する。この群は、粒径制御及び梱包ステップの前に予備乾燥ステップが必要な生成物の群に対応する。乾燥ステップの終点において、この群の生成物は、理想的には2重量%未満、好ましくは1重量%未満の水分を有する。乾燥は、解凝集ステップと同時に又はその前に行うことができ、一般に、これらに続いて、上記の当該方法に関する部分で説明したような粒径制御ステップを行い、この群の生成物の粒子の集合体は、この結果、本発明による方法の終点において、<250μm、好ましくは<200μm、有利には<90μ、更に時には<60μmの大きさを有する。これは、d97が前述の大きさ未満であることを意味する。

Mg(OH)2の比率の消和機の排出口における生成物の水分への依存性を指摘した上記の所見を考慮に入れると、この群の生成物は、これらを乾燥させた後、0.8から58%の間のMg(OH)2、及びしたがって30から99.2%の間のCa(OH)2を含有する。好ましくは、最終生成物中のMg(OH)2の比率は0.9から53重量%の間、好ましくは1.0から51重量%の間に含まれる。Ca(OH)2の比率は、したがって、好ましくは35から99.1重量%の間、好ましくは37から99.0重量%の間に含まれる(88から100%の範囲であるxとyの合計に対して)。この群の生成物は、高い比表面積及び高い細孔容量を有する。これらの比表面積は20m2/g超、好ましくは25m2/g超、具体的には30m2/g超であり、50m2/g未満、具体的には45m2/g未満、特に40m2/g未満、又は更に35m2/g未満である。これらの細孔容量は0.10cm3/g超、好ましくは0.11cm3/g超、有利には0.13cm3/g超であり、0.25cm3/g未満、具体的には0.20cm3/g未満、特に0.18cm3/g未満、更には0.16cm3/g未満である。

これら生成物の2種の群に対して、比表面積及び細孔容量は、Ca(OH)2とMg(OH)2のxとyの比率による。実際、Mg(OH)2の比表面積及び細孔容量は、本発明による方法に記載されている反応の過程で改変されず、したがって低いままである。消和機の排出口における生成物の水分のいかんにかかわらず、本発明による方法によって記載されている反応の過程で形成されるCa(OH)2の比表面積及び細孔容量は、当該方法に関与するMg(OH)2より高い。したがって、生成物中のMg(OH)2の比率が上がれば上がるほど、Ca(OH)2及びMg(OH)2に基づく最終生成物の比表面積及び細孔容量は低くなる。このMg(OH)2の比率の増加に伴う生成物の比表面積及び細孔容量の減少効果は、第2群の生成物の場合に、より顕著である。実際、消和機の排出口における水分が高い場合、生石灰の水和の過程で形成されるCa(OH)2の比表面積及び細孔容量は高く、この種のCa(OH)2に添加される、低比表面積及び低細孔容量のMg(OH)2の各百分率は、比表面積及び細孔容量に比例した減少を混合物に対してもたらす。

いずれの場合においても、CaOのCa(OH)2への水和反応の過程で消和機中にMg(OH)2を均質な懸濁液の形態で添加することにより、Ca(OH)2化合物とMg(OH)2化合物の間の密接な混合物、Ca(OH)2とMg(OH)2の単純な物理的混合物の場合より明らかにより密接な混合物、が得られる。

以下に記載する全部の例の実施に使用される実験室用消和機は、単段の消和機である。消和機は、長さ約80cm、直径25cmの寸法の水平シリンダーの形態である。これらの比率は工業用単段消和機の比率に対応し、これらの寸法は工業用消和機の寸法の6分の1から7分の1の大きさである。このシリンダーは、熱流体又は冷流体の循環によって温度制御能をもたらすジャケットを備えている。消和機の内部では、羽根を備えた軸が、水和の過程で生成物をホモジナイズするためだけでなく、生成物を注入口(一端)から排出口(シリンダーの他端)まで押し出すために使用される。生石灰の流量を調整するため予め較正してあるウォーム・スクリューを介して、石灰を消和機中に導入する。Mg(OH)2乳状液の方は、生石灰の取入れ口の近く、消和機のふた上に位置する、それぞれが直径約5mmの2つのオリフィスのところで消和機中に導入される。生成物が消和機の長さ全体に行き渡ったら、生成物は単純にオーバーフローによって消和機から排出される。一般に、消和機の充填レベルは50体積%程度、即ち、生成物の層がほぼ軸の高さに到達するレベルである。以下のすべての例において、消和機は90℃の水をジャケット中で循環させることによって、70〜80℃に予熱される。この予熱により、連続操作によって工業的に得られる作動の開始をシミュレートすることができ、生石灰の水和反応によって生成された水蒸気が、消和機の壁が冷たい場合に壁に凝縮するのが回避される。その後、消和機中で水和反応が開始したら、ジャケットは空にする。

過剰の水による水和の場合(例1から6の準乾式経路)、消和機中の生成物の滞留時間は15分程度である。乾式経路による水和の場合(例7から9)、滞留時間はより長く、約25分程度である。

(例1) 1に近いCa/Mgモル比を有し、高い比表面積及び細孔容量を有する完全に水和された混合化合物の製造 生石灰no.1(その特性を表1に再録する)を上記実験室用消和機中で、以下に詳述する特定の条件下でMg(OH)2乳状液により水和させる。

生石灰の流量は300g/分であり、これは理論的にはCa(OH)2396g/分、即ちCa(OH)25.34モル/分に対応する。次いで、等モル混合化合物を得るために、Mg(OH)25.34モル/分、即ちMg(OH)2312g/分を添加する必要がある。

この例で使用されるMg(OH)2は、Mg(OH)2供給源no.1(その主要な特性は表2に記載されている)と記され、当初53%の固体物質を含有する乳状液である。したがって、約1のCa(OH)2/Mg(OH)2比を得るために、消和機中に589g/分のこの乳状液を添加する必要がある。しかし、水和物の空隙率を増大させる目的で、水和反応の過程で過剰の水が必要である。この特定の場合において、過剰の水は、消和機の排出口において、16から22%の間に含まれる水分を有する生成物を得られることを可能とするものでなければならない。589g/分のMg(OH)2乳状液によって反応中に導入される水は、この水分レベルに到達するには不十分であるため、補充の水が添加されなければならない。実際には、この水は、Mg(OH)2乳状液にその消和機への導入の前に添加する。

消和機は、これらの操作条件下で30分間運転を続け、それによって、25kgを超える粉末状湿性生成物を製造する。この製造の過程で、150℃の急速乾燥の過程での質量損失によって測定される生成物の水分を制御するために、数回のサンプリングを実施する。

製造の終点において、「スピン・フラッシュ・ドライヤー」を用いて、生成物を、熱風流中を短時間通過させることによって、乾燥させ、解凝集させた。生成物に加えられる温度は130℃程度である。ここには粒径制御ステップはない。乾燥後、生成物を熱重量分析(室温から950℃まで温度上昇率2℃/分で)によって特徴付けたが、これにより、300から400℃の間、次いで400から600℃の間に観察され、Mg(OH)2及びCa(OH)2の脱ヒドロキシル化にそれぞれ対応する質量損失による生成物中のMg(OH)2とCa(OH)2の現実の比率を求めることができる。この生成物に対して記録された熱重量分析曲線を図1に示す。生成物の脱気を190℃で数時間実施した後、窒素吸着マノメトリック測定も実施する。この測定によりBET法による生成物の比表面積を求めることができ、BJH法の方によれば、大きさが17から1000Åの間に含まれる細孔の容積の評価ができる。

この生成物に関連するすべての結果を表3の第1欄にまとめた。

(例2) 1に近いCa/Mgモル比を有し、高い比表面積及び細孔容量を有する完全に水和された混合化合物の製造 この例は、ほとんど例1に類似するものである。唯一の差異は、今回はMg(OH)2乳状液を例1でMg(OH)2乳状液に添加したより多量の水で予め希釈することのみであり、ここでの目的は、消和機の排出口において、もはや例1におけるように16から22%だけではない、26から28%の水分を含有する湿性の生成物を得ることである。

このようにして得られた生成物を乾燥し、例1の生成物と同様の方法で特徴付け、測定結果は表3の第2欄に載っている。

水和反応の過程で使用される過剰の水により、意図した通り高い比表面積及び高い細孔容量を増大させることができる。26から28%の水分を有する生成物(例2)は、消和機の排出口における水分が16〜22%(例1)であった生成物に等しい比表面積を有するが、細孔容量は例2においてより増大している。最小量の過剰な水は、したがって、空隙率を増大させるために必要である(消和機の排出口で水分≧15%)が、高い比表面積だけが求められている場合には、水分量は正確な制御を必要とされない。しかし、特に消和機中で固着することになる、もはや粉末状とはいえないペースト状の生成物の生成を避けるためには、水分量は限度未満(水分≦30%)に留めるべきである。

(例3) Ca(OH)2の質量に対して約5%のMg(OH)2を含有し、高い比表面積及び細孔容量を有する完全に水和された混合化合物の製造 この例は、例1から強い示唆を受けたものである。

生石灰の流量は先行の例の通り300g/分のままとするが、これは、理論的にはやはりCa(OH)2396g/分に対応する。したがって、Mg(OH)2約20g/分、即ち、当初固体物質53%を有するMg(OH)2乳状液38g/分を添加する必要がある。この少量の乳状液によって供給される水は、石灰の完全な水和及び水和物の空隙率の増大を保証するには明らかに不十分である。そこで、消和機の排出口で16から22%の程度の水分を有する生成物を得るため、水を添加する。実際には、この水は、を消和機中に導入する前のMg(OH)2懸濁液に添加する。

このようにして得られた生成物を乾燥させ、例1の生成物と同様の方法で特徴付ける。熱重量分析曲線を図1に示す。第1の質量損失(300〜400℃)は、例1の試料に関して観察されたものより明らかに小さく、これは、Mg(OH)2の比率が低いと解釈される。逆に、第2の質量損失(400〜600℃)は、より明白であり、例1の生成物に比較してCa(OH)2のより高い比率を示す。様々な測定の結果は表3の第3欄にある。

(例4) Ca(OH)2の質量に対して約10%のMg(OH)2を含有し、高い比表面積及び細孔容量の完全に水和された混合化合物の製造 この例は、Mg(OH)2の百分率以外は、例3と類似するものである。生石灰の流量は、先行の例と同様に300g/分のままであり、これは、理論的にはやはりCa(OH)2396g/分に対応する。したがって、Mg(OH)2約40g/分、即ち、当初53%の固体物質を有するMg(OH)2乳状液約75g/分を添加する必要がある。そこで、消和機の排出口において、この場合もやはり16から22%の程度の水分を有する生成物を得るために、水を添加する。実際には、この水は、消和機に導入する前のMg(OH)2乳状液に添加する。

このようにして得られた生成物を例1の生成物と同様に、乾燥させ、特徴付ける。熱重量分析曲線を図1に示す。この曲線は、例3の生成物に対応する曲線に極めて近似している。この例4の生成物についての300から400℃の間のわずかに多くの質量損失は、例3の場合よりMg(OH)2の比率が高い、と解釈される。様々な測定の結果は表3の第4欄にある。

(例5) Ca(OH)2の質量に対して約30%のMg(OH)2を含有し、高い比表面積及び細孔容量の完全に水和された混合化合物の製造 この例は、Mg(OH)2の百分率以外は、例3及び例4に類似するものである。

生石灰の流量は、先行の例と同様に300g/分のままであり、これは、理論的にはやはりCa(OH)2/分396gに対応する。したがって、Mg(OH)2約119g/分、即ち、当初固体物質53%を有するMg(OH)2乳状液約225g/分を添加する必要がある。そこで、消和機の排出口において、この場合もやはり16から22%の程度の水分を有する生成物を得るために、水を添加する。実際には、この水を消和機へのその導入前のMg(OH)2乳状液に添加する。

こうして得られた生成物を乾燥させ、例1の生成物と同様に特徴付ける。熱重量分析曲線を図1に示す。300から400°の間の質量損失は、それでも例3及び例4より大きく、逆に400から600℃の間の質量損失はより小さく、このことは、Mg(OH)2の比率がより高く、同時にCa(OH)2の比率がより低い、と解釈される。様々な測定の結果は表3の第5欄にある。

(例6) Ca(OH)2の質量に対して約30%のMg(OH)2を含有し、高い比表面積及び細孔容量の完全に水和された混合化合物の製造 この例は、例5に類似するものである。しかしながら、供給源no.1として記され、例1から例5に使用されたMg(OH)2供給源は、この場合は、その主要な特性が表2に示されているMg(OH)2供給源no.2に置換されている。今回は、Mg(OH)2は、もはや乳状液の形態ではなく、乾燥粉末の形態である。

上記例5と同様に、Ca(OH)2とMg(OH)2の所望の比率を得るために、Mg(OH)2119g/分を、300g/分の生石灰流量に対して添加する必要がある。この結果、30分の製造は、Mg(OH)23570gに対応する。この量のMg(OH)2を正確に測定した水分量と混合し、この懸濁液をポンプ給送し、次いで消和機中に導入する。この乳状液を製造するのに使用される水分量は、消和機の排出口における生成物の水分が上記のように16から及び22%の間に含まれるようなものでなければならない。

こうして得られた生成物を乾燥させ、例1の生成物と同様に特徴付ける。熱重量分析曲線を図1に示す。該曲線は、例5の生成物に対応する曲線とまったく類似しており、Mg(OH)2とCa(OH)2の比率という点で、これらの生成物の組成は近似しているものと解釈される。様々な測定の結果は表3の第6欄にある。

(例7) Ca(OH)2の質量に対して約5%のMg(OH)2を含有する完全に水和された混合化合物の製造 今回は、生成物は、純粋にカルシウム(消石灰)であるにしてもドロマイトであるにしても標準的な乾燥水和物と比較して、比表面積及び細孔容量という点で特異性を有さない。

この目標を達成するために、先行の例で使用された生石灰no.1の代わりに、生石灰no.2(表1に記載されている)を使用する。その流量を今回は200g/分のみに調整し、これは理論的にはCa(OH)2264g/分に対応する。したがって、Mg(OH)2約13g/分を添加する必要がある。Mg(OH)2供給源は、この場合もやはり供給源no.1、即ち、Mg(OH)2を53質量%含有する乳状液である。消和機中にMg(OH)213g/分を導入することは、当初固体物質53%を有するMg(OH)2乳状液24.5gをそこに導入することに帰着する。この少量の乳状液によってもたらされる水は、この例ではたとえ水和物の空隙率を増大させる意図がないとしても、石灰の完全な水和を保証するには不十分であることは極めて明らかである。そこで、消和機の排出口において1から4%程度の水分を有する生成物を得るために、水を添加する。実際には、この水は、消和機中に導入する前のMg(OH)2の懸濁液に添加する。

先行の例とは反対に、生成物を、乾燥することもなく、解凝集することもなく;例1の生成物と同様に特徴付ける。熱重量分析曲線を図2に示す。今回は、測定を上記例の生成物を特徴付けるために使用した2℃/分の加熱速度の代わりに5℃/分で実施した。その結果、今回は、Mg(OH)2の分解は350から450℃の間で、Ca(OH)2の分解は450から650℃の間で起こる。様々な測定の結果は表3の第7欄にある。

(例8) Ca(OH)2の質量に対して約10%のMg(OH)2を含有する完全に水和された混合化合物の製造 この例は、Mg(OH)2の百分率以外は、例7に類似するものである。

生石灰の流量を200g/分に維持するが、これは、理論的にはやはりCa(OH)2264g/分に対応する。したがって、Mg(OH)2約26g/分、即ち、当初固体物質53%を有するMg(OH)2乳状液49gを添加する必要がある。この少量の乳状液によってもたらされる水は、この例ではたとえ水和物の空隙率を増大させる意図がないとしても、石灰の完全な水和を保証するには不十分であることは極めて明らかである。そこで、消和機の排出口において1から4%程度の水分を有する生成物を得るために、水を添加する。実際には、この水は、消和機中に導入する前のMg(OH)2の乳状液に添加する。

このようにして得られた生成物を例1の生成物と同様に特徴付ける。熱重量分析曲線を図2に示す。上記図1の生成物についてと同様、例7の曲線と比較して、第1の質量損失(350〜450℃)が増加すること及び第2の質量損失(450〜650℃)が低下することは、Mg(OH)2の比率の増加と、並行するCa(OH)2の比率の低下とを示している。様々な測定の結果は表3の第8欄にある。

(例9) Ca(OH)2の質量に対して約30%のMg(OH)2を含有する完全に水和された混合化合物の製造 この例は、Mg(OH)2の百分率以外は、例7及び例8に類似するものである。

生石灰の流量を200g/分に維持するが、これは、理論的にはやはりCa(OH)2264g/分に対応する。したがって、Mg(OH)2約79g/分、即ち、当初固体物質53%を有するMg(OH)2乳状液149gを添加する必要がある。そこで、消和機の排出口において1から4%程度の水分を有する生成物を得るために、水を添加する。実際には、この水は、消和機中に導入する前のMg(OH)2の乳状液に添加する。

このようにして得られた生成物を例1の生成物と同様に特徴付ける。熱重量分析曲線を図2に示す。350から450℃の間の質量損失がより一層顕著に増加し、450から650℃の間の質量損失が一層低下し、例8でなされた観察がそのまま有効である。様々な測定の結果は表3の最後の欄にある。

全般的に、表3は、図1及び図2の熱重量分析曲線により分かるCa(OH)2の比率に対して表わされたMg(OH)2の比率が、期待値に近いことを示す。しかしながら、乾式経路による水和の場合(例7から例9)、現実の比率は、所望の比率よりわずかに少ない。この差は、乾式経路による水和の場合において水蒸気が、例1から例6の過剰の水による水和の場合より多く、相当に生成することで説明できるのかもしれない。ある種の微細な粒子、主として粒径が極めて微細なMg(OH)2が、この水蒸気における懸濁液中に見出され、水蒸気抽出系によって消和機から抽出されるため、反応の過程で少量のMg(OH)2の「損失」が生じるというわけである。論理的には、これらの「損失」は過剰の水による水和の場合(例1から例6)では比較的重要ではない。その過程では、温度がより低く、水蒸気の生成がより少なく、その結果、現実の数値は、例7から例9におけるよりも例1から例6においての方が所望の値により近いのである。

また、表3の結果によれば、過剰な水分量による水和(例1から例6)が高い比表面積及び細孔容量を有する生成物をもたらすのに、乾式経路による水和が空隙率が特により低い生成物をもたらすことは明らかである。生成物の比表面積はMg(OH)2の比率に依存し、即ち、Mg(OH)2の比率がCa(OH)2と比較して高くなるほど、生成物の比表面積は小さくなる。この差異は、過剰な水による水和の場合(例1から例6)においてより顕著であり、このとき生成物は複合物、又は少なくとも、当初Mg(OH)2と大きな比表面積(約40m2/g)の消石灰Ca(OH)2との間の密接に結合した混合物だと考えられる。

(比較例1) 今回は、粉末形態にあるMg(OH)2供給源no.2を、こちらは乳状液であるMg(OH)2供給源no.1の代わりに使用する以外は、例1を繰り返す。例6のように、乳状液を調製するため、水中にMg(OH)2供給源no.2を分散する代わりに、今回は、Mg(OH)2供給源no.2を生石灰と混合し、生石灰の代わりに、その生石灰/Mg(OH)2混合物をその場で消和機に導入し、この混合物の水和を水のみで行う。

この例については生石灰no.1を使用し、その流量を300g/分に設定する。例1におけると同様に、そのモル濃度に近いCa/Mg比を有する生成物を製造するのに必要なMg(OH)2の流量は、したがって312g/分である。全30分間の生産用に実験室用ミキサー中で混合されるのは、したがって、生石灰9000g及び粉末状Mg(OH)29360gであり、次いで、これらは、生石灰を実験室用消和機に供給するために通常使用される計量デバイス中に導入される。この計量デバイスを、1分間当たりの生石灰+Mg(OH)2混合物612gを消和機中に導入するように較正する。CaOを完全に水和し、高い比表面積及び高い細孔容量のカルシウム−マグネシウム生成物を製造する目的で消和機中に添加される水分量は、消和機を出る生成物が15%の程度の水分を有するように決定される。

製造が終了したら、例1に記載されているのと同じ乾燥、解凝集ステップ及び同じ特徴付けが適用される。最終生成物中のCa(OH)2及びMg(OH)2の質量比率の定量を可能にする熱重量分析の結果によれば、この最終生成物は乾燥後、所望であった1という比率の代わりにCa/Mgモル比1.21を示す。上記の例1において、Mg(OH)2を乳状液の形態で消和機中に導入することによって等モルに匹敵する生成物を製造することを狙った同様の水和は、しかしながら、Ca/Mgモル比が1.01であるという予想に非常に近い生成物をもたらした。

したがって、Mg(OH)2供給源を乳状液の形態で消和機中に導入することは、それを粉末の形態で生石灰との混合物として導入することより明らかに良好と思われる。一方で、粉末の混合物は、その完全な均一性を保証するには、調製が複雑である。他方では、Mg(OH)2が既に乾燥済みの粉末の形態で消和機中に届けられる場合、上記の現象が起こり得る。すなわち、実際には、微細なMg(OH)2粉末粒子が生石灰の水和で発生した水蒸気中に懸濁され、水蒸気抽出系によって消和機から抽出され、その結果、Mg(OH)2の「損失」が引き起こされるという事態に直面することがある。Mg(OH)2を乳状液の形態で消和機に入れると、その粒子は、Mg(OH)2粉末と同じくらい微細ではあるものの、水でくるまれているため、水蒸気中に懸濁される前に乾燥してしまわなければならないが、このことが、抽出系によるMg(OH)2の「損失」を制限するのである。

本発明が、決して上記の実施形態に限定されるものではないこと、及び添付した特許請求の範囲の要旨から逸脱することなく、それに対して多数の変更が可能であることは当然である。

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