Lightweight multilayer solidified product containing a latent hydraulic particle

申请号 JP10909495 申请日 1995-04-10 公开(公告)号 JP2863111B2 公开(公告)日 1999-03-03
申请人 日本碍子株式会社; 发明人 SEIKE SHOJI; IMAI OSAMU;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 潜在水硬性粒子とトバモライトから構成されている軽量多層固化物であって、潜在水硬性粒子の表面に形成される第1のトバモライトを含有する被覆膜と、潜在水硬性粒子間に形成される第2のトバモライトとを含有し、各潜在水硬性粒子が前記被覆膜を介して接合し、前記第1のトバモライトが前記第2のトバモライトに比較し微細であり、気孔の断面占有比率が異なる層を有することを特徴とする潜在水硬性粒子を含有する軽量多層固化物。
  • 【請求項2】 前記被覆膜の厚さが0.05μm以上である特許請求の範囲第1項に記載の潜在水硬性粒子を含有する軽量多層固化物。
  • 【請求項3】 固化物の気孔の断面占有比率が20%以下である層と、固化物の気孔の断面占有比率が30〜9
    5%である層とからなる特許請求の範囲第1項に記載の潜在水硬性粒子を含有する軽量多層固化物。
  • 【請求項4】 潜在水硬性粒子の断面占有比率が、気孔を除いた固化物の断面積の60〜10%である特許請求の範囲第1項に記載の潜在水硬性粒子を含有する軽量多層固化物。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【産業上の利用分野】本発明は、トバモライトを含有し、潜在硬性粒子を有する固化物に関し、特に建築用パネル、吸音材等の建材用の軽量多層固化物を提供するものである。

    【0002】

    【従来の技術】潜在水硬性粒子としては、石炭灰、高炉スラグ、けい酸白土、火山灰、けい藻土等がある。 ここで、潜在水硬性とは、それ自身では水硬性を示さないが、少量のCa(OH) 2 、NaOHなどのアルカリ性物質が存在すると水硬性を示す性質をいう。 代表的な潜在水硬性粒子である石炭灰、高炉スラグについて以下に述べる。

    【0003】エネルギー源として石炭を利用している火発電所や各種の工場では、フライアッシュ等の石炭灰が大量に産出されている。 その量は、日本において約4
    00万トンに達し、このうち、有効利用されるものは約40%にすぎず、残りの約60%は埋め立て処分されているのが現状である。 しかしながら、石炭灰の埋め立て処分場を確保することは必ずしも容易ではなく、漁業権の保証やリサイクル法の制定により埋め立て処分場の確保がますます困難になってきている。 従って、今後さらに増大するであろう石炭灰の有効利用が緊急の課題となっている。

    【0004】現在のところでは、石炭灰は特開昭63−
    17247号公報および特開平4−305044号公報に示されているように無機質系の建築材料の一原料として提案され、または特開平3−16176号公報に示されているように多孔質の濾過助剤の一原料として提案されている。 また、特殊な例としては刊行物「日本工業新聞:人工海底山脈を石炭灰で構築(平成5年2月26日発行)」に示されているように、人工魚礁の一原料としても提案されている。

    【0005】また、高炉スラグは製鉄所の溶鉱炉で、鉄鉱石に石灰石、コークスなど混合し銑鉄を製造する際に得られる副産物である。 スラグの量は、銑鉄に対し約6
    5%であり、我が国の銑鉄年産を600万トンと考えると、高炉スラグは約400万トン副生されていることになる。

    【0006】建築材料は、PC板、ALC板、吸音板等種々あるが、最近軽量化に対する要望より各種ALC板が開発されており、そのニーズも年々増加している。 従って、これらの潜在水硬性粒子をALC板として利用する場合には、これらの潜在水硬性粒子の大量の利用が期待できる。 ALC(autoclaved light weight concret
    e)は、オートクレーブ養生した軽量気泡コンクリートであり、耐火、断熱、防音性に優れ、軽量で耐久性のある建築用パネルとして住宅等で幅広く用いられている。
    しかし、気孔率が大きいため、床材等の強度の必要なところは鉄筋等の補強材を入れる必要があった。 また、最近、騒音に対する要望より各種吸音板が開発されており、そのニーズも年々増加している。 従って、吸音板として利用する場合にも、これらの潜在水硬性粒子の大量の利用が期待できる。 通常、吸音性の優れた吸音板の気孔率は大きいため、その強度は低い(たとえば、圧縮強度で10Kg/cm 2以下)。 従って、鉄枠等の支持体に入れ強度不足を補っているのが現状である。

    【0007】

    【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従来の問題点を解決して、軽量で、かつ補強材あるいは支持体なしでも高強度な軽量多層固化物を提供することを目的としている。

    【0008】

    【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、本発明の発明者は、種々検討の結果、潜在水硬性粒子の表面にマトリックス中のトバモライトより細かいトバモライトを含有する被覆膜が形成された固化物は、
    高い強度を示し、強度のばらつきも小さいことを見いだした。 さらに、この高強度固化物と、この固化物に気孔を導入した軽量固化物とを一体化した軽量多層固化物は軽量で補強材なしでも高強度であり、そのばらつきも小さいことを見いだした。 その概要は、潜在水硬性粒子とトバモライトから構成されている軽量多層固化物であって、各層とも潜在水硬性粒子の表面に形成される第1のトバモライトを含有する被覆膜と、潜在水硬性粒子間に形成される第2のトバモライトとを含有し、各潜在水硬性粒子が前記被覆膜を介して接合し、前記第1のトバモライトが前記第2のトバモライトに比較し微細であり、
    気孔の断面占有比率の異なる層を有することを特徴とするものである。 そして、前記被覆膜の厚さが0.05μ
    m以上であること、固化物の気孔の断面占有比率が20
    %以下である層と、固化物の気孔の断面占有比率が30
    〜95%である層からなること、さらに、潜在水硬性粒子の断面占有比率が、気孔を除いた固化物の断面積の6
    0〜10%であることを好ましい実施態様とするものである。

    【0009】前記固化物の研磨断面に認められる気孔には、直径0.1mm以上の球状の気孔(以下、第1の気孔という。)と、直径0.1mm未満の気孔(BET法で測定される微細気孔も含む。)(以下、第2の気孔という。)とが有る。 潜在水硬性粒子の断面占有比率を求める際の気孔、気孔の断面占有比率を求める際の気孔、
    及び連通気孔と独立気孔の判定は、前記第1の気孔を採用した。 また、気孔率の測定は、JIS R 2205
    の測定方法(煮沸法)にしたがって、開気孔と閉気孔とを含む全気孔率を測定した。 この全気孔率は、第1の気孔及び第2の気孔を対象とする。 なお、連通気孔とは、気孔同士が連通状態になっている気孔を意味し、独立気孔とは、気孔同士が連通状態になっていない気孔を意味する。 また、気孔及び潜在水硬性粒子の断面占有比率の測定は固化物の研磨断面にて行う。 また、第1のトバモライトは、繊維状又はシート状(シート状のものが巻かれているものも含む)の形態をし、その長さは0.
    5μm未満、厚さは数十オングストローム以下である。
    一方、マトリックス中に主に形成される第2のトバモライトは、花びら状、針状の形態をし、その長さは1μm
    以上、厚さは500オングストローム以上である。

    【0010】

    【作用】石炭灰、高炉スラグ、シラス等の平均粒径10
    〜30μmの潜在水硬性粒子、水酸化カルシウム、及び水とを混合し、その混合物を型枠に流し込み、その上に、上記の潜在水硬性粒子、水酸化カルシウム、起泡剤よりなる混合物を流し込む。 これを相対湿度90%以上で60〜70℃の温度で4日間以上養生し、その後、1
    80℃で2日間以上オートクレーブ養生することにより軽量で補強材や支持体なしでも高強度で強度ばらつきの小さい軽量多層固化物が得られる。

    【0011】このメカニズムは定かではないが次のように考えられる。 平均粒径10〜30μmの潜在水硬性粒子、水酸化カルシウム、及び水とを混合し、型枠に流し込んだ状態では、原料成分の各微粒子が互いに分散した状態を呈しており、この上に上記の潜在水硬性粒子、水酸化カルシウム、起泡剤、及び水とを混合し、型枠に流し込むと、この上層の状態は、起泡剤による巻き込み気泡が起泡剤自身により安定化され、気泡同士が合体せずに、気泡および原料成分が混合物中に均一に分散されている。 この混合物を相対湿度90%以上の湿潤状態で6
    0〜70℃の温度で長時間養生すると、上、下層とも潜在水硬性粒子中のSiO 2成分と水酸化カルシウムと水とが反応して、C−S−Hゲルが生成する。 また、上層の巻き込み気泡は、この養生により気孔となる。 従って、湿潤養生後では、上層は巻き込み気孔が分散した多孔質となり、下層は緻密となり、上、下層とも水を含んだ柔らかい構造体となる。 上、下層ともこの構造体中の潜在水硬性粒子の外周表面には被覆膜が形成され、この被覆膜は、潜在水硬性粒子と水酸化カルシウムの反応により生成する非晶質のC−S−Hゲルで構成されていると考えられる。 その後、高温で長時間オートクレーブ養生することにより、上、下層とも潜在水硬性粒子の外周に繊維状又はシート状の第1のトバモライトを主とする被覆膜が形成される。 これは、被覆膜のC−S−Hゲルが結晶質の第1のトバモライト(5CaO・6SiO 2
    ・5H 2 O)に変化するものと考えられる。 なお、オートクレーブ養生の際、試料は水中に浸漬しない。

    【0012】従来、セメントを用いたALC、吸音材では、オートクレーブ養生前の前養生は実施されているが、骨材としてケイ砂を使用し、養生温度は30〜40
    ℃と低く、養生時間も3時間以下と短い。 これは、単にアルミニウム等の発泡剤を発泡し、セメントを固化するためであり、オートクレーブ養生後には、ケイ砂の外周に第1のトバモライトを主とする被覆膜は、ほとんど形成されない。

    【0013】また、オートクレーブ養生により潜在水硬性粒子と水酸化カルシウムより直接トバモライトも生成されるが、このトバモライトは主に花びら状、針状の第2のトバモライト(結晶質)となりマトリックスを形成すると考えられる。 なお、上、下層の界面については湿潤養生後には一体化され、オートクレーブ養生後には界面での相互反応により、上、下層が強固に接合し、クラック等の発生は認められない。 圧着、接着等で接合した界面より高強度となる。 その結果、各潜在水硬性粒子が前記被覆膜を介して互いに接合し、各潜在水硬性粒子が互いに強固に固着し、マトリックスとも強固に固着した状態となった高強度固化物層と、潜在水硬性粒子が上記強度固化物層と同様な状態となりマトリックス中に多数の気孔が分散した軽量固化物層とが強固に一体化された構造となって、軽量で補強材無しでも高強度であり、そのばらつきも小さい固化物を得ることができる。

    【0014】また、この固化物はセメントが少ないため固化物にセメントクリンカーに含まれるエーライト(3
    CaO・SiO 2 )及びビーライト(2CaO・SiO
    2 )等のケイ酸カルシウムが残存することはなく、また、高温で長時間オートクレーブ養生するためC−S−
    Hゲルの残存も少ない。 このため水に対する寸法安定性も優れている。 なお、X線回折及び熱重量分析(TG)
    よりトバモライトとC−S−Hゲルの量比を測定すると、トバモライトは重量比で7割以上であることが確認された。 なお、本発明の固化物ではハイドロガーネット、ゾノトライトは認められない。

    【0015】また、軽量固化物の気孔の断面占有比率が、20%以下である層と、30〜95%である層とからなることが好ましい。 20%以下の層がない固化物の場合には充分な強度が得られなく、30〜95%である層がない場合には軽量化が図られないためである。 なお、95%を越えた場合には軽量化されるものの形を保つことが難しくなる。 なお、気孔には、連通気孔と独立気孔の2種類がある。 ALCとして用いる場合、気孔の断面占有比率の高い層は独立気孔とするのが好ましく、
    吸音材及び透水板等の通気性、透水性が必要な場合、気孔の断面占有比率の高い層は連通気孔とするのが好ましい。 ALC等の軽量パネルとして用いる場合には、気孔の断面占有比率の高い層の気孔の断面占有比率は強度の点から30〜70%であることがより好ましい。 また、
    吸音板として用いる場合には、気孔の断面占有比率の高い層の気孔の断面占有比率は吸音特性の点から50〜9
    0%であることがより好ましく、連通気孔の直径が研磨断面で平均100〜2000μmであることが好ましく、また、連通孔(気孔同士を連通させる空隙)の大きさが平均30〜500μmであることが好ましい。 独立気孔を形成する場合、起泡剤として高級アルコール硫酸ナトリウムを用い、混練機によって潜在水硬性粒子、水酸化カルシウム、起泡剤、水を300rpmの回転で5
    分間の高速混練をする。 その後、型に流し込み、湿潤状態で60〜70℃の温度で養生する。 養生後、この特定の起泡剤の作用により気孔は独立気孔になる。 連通気孔を形成する場合、起泡剤としてアルキルアリルエーテルのアンモニウム塩を用い、混練機によって潜在水硬性粒子、水酸化カルシウム、起泡剤、水を300rpmの回転で5分間の高速混練をする。 その後、型に流し込み、
    湿潤状態で60〜70℃の温度で養生する。 養生後の固化物は、この特定の起泡剤の作用により気孔は連通状態になる。 この理由は定かではないが、この起泡剤では巻き込み気泡量の多いこと及びアンモニウム塩であるため水酸化カルシウム等のアルカリ下で50〜60℃の低温で分解しやすく、この分解ガス(アンモニア)が発生することが連通気孔生成に関係していると考えられる。

    【0016】なお、混練時に起泡剤とともに、金属アルミニウム粉末等の発泡剤を添加することが独立気孔の形成に際しても、連通気孔の形成に際しても好ましい。 これは、発泡剤添加により、湿潤養生でガス(金属アルミニウム粉末の場合、水素)が発生し、このため固化物の気孔径及び気孔率が増大し、より軽量化が達成されるためである。 これらの起泡剤は、発泡剤により発生する気泡も安定化し、気泡同士の合体を起こりにくくするとともに、アルキルアリルエーテルのアンモニウム塩を用いた場合は湿潤養生で発泡剤により発生する気泡が形成する気孔も連通化し、一方、高級アルコール硫酸ナトリウムを用いた場合は湿潤養生で発泡剤により発生する気泡が形成する気孔を連通化しないため、発泡剤との併用が好ましい。 また、混合物の水分量は、気孔の断面占有比率の高い層では固形分に対して50〜70重量%にする必要がある。 50重量%未満では発泡及び気泡巻き込みがうまくいかず、70重量%を越えると潜在水硬性粒子の沈降が起きるためである。 また、気孔の断面占有比率の低い層では高強度化のため固形分に対して35重量%
    以下ににする必要がある。

    【0017】また、潜在水硬性粒子の断面占有比率が、
    気孔を除いた固化物の60〜10%であることが好ましい。 より好ましくは50〜30%である。 この範囲外では固化物の強度が低下するからである。 その理由は、潜在水硬性粒子の断面占有比率が60%を越える場合、トバモライトの生成が少なくなり、固化しにくくなるため、また、潜在水硬性粒子の断面占有比率が10%未満である場合、潜在水硬性粒子の骨材としての役割を充分はたさないためと考えられる。 この断面占有比率を60
    〜10%とするには、潜在水硬性粒子と水酸化カルシウムの混合比を重量比で8:2〜4:6とし、湿潤養生時間を4日間以上、オートクレーブ養生時間を2日間以上とした。

    【0018】したがって、得られる潜在水硬性粒子を含有する固化物は、多数の気孔を内在する層をもつにもかかわらず、高強度で、強度のばらつきも小さいものとなり、たとえば絶乾比重が1.0以下の軽量なものとなる。 また、連通気孔を有するものでは、吸音特性も良好なため、吸音材としての適用が可能となり、また、水に対する寸法安定性、透水性、耐磨耗性が良好であるため、透水歩道板等の透水板としての使用も可能である。
    また、本発明の固化物は耐火性、耐久性も良好である。
    このため、本発明の潜在水硬性粒子を含有する軽量多層固化物は、広い分野で大量に利用することができるとともに、当該潜在水硬性粒子を含有する軽量多層固化物の原料中の潜在水硬性粒子の混合比が高いことから、潜在水硬性粒子の大量利用が可能となる。

    【0019】なお、潜在水硬性粒子、水酸化カルシウム、起泡剤及び水とを混合し、吸音材(セメント使用)、ALC並の低温で短時間の養生ではオートクレーブ養生後、第2のトバモライトがマトリックス中に形成され、各潜在水硬性粒子を接合する第1のトバモライトを含有する被覆膜が必要量形成されないため、各潜在水硬性粒子が接合されず固化物の強度が向上しないものと考えられる。 ここで、潜在水硬性粒子が小さい場合には反応により消失してしまい強度向上効果をもたらさなくなる。 又、逆に巨大な場合には欠陥として作用し強度低下をもたらすため、平均粒径10〜30μmが必要である。 なお、石炭灰では、第1のトバモライトが粒子外周に生成するように中実度の高い、嵩密度で1g/cm 3
    以上の粒子を用いる。 なお、潜在水硬性粒子のかわりにケイ砂、ケイ石を用いた場合には、湿潤養生を実施したときC−S−Hゲルを主体とした被覆膜はほとんど生成されない。 カルシウム供給源として水酸化カルシウムが強度向上の点で良好な結果をもたらした。 これは、水酸化カルシウムはセメント等と比較してSiO 2成分等を含まないため、直接刺激剤として作用し、そのため高強度化がもたらされたものと考えられる。 酸化カルシウムのみを用いた場合には湿潤養生において膨潤したため、
    固化物にクラックが発生した。 なお、湿潤養生において潜在水硬性粒子の沈降する場合には、ポルトランドセメントを少量(水酸化カルシウム重量の2割以下)添加するとよい。 なお、潜在水硬性粒子としては強度面で石炭灰が好ましい。 中でもフライアッシュがより好ましい。

    【0020】また、強度向上の点で前記第1のトバモライトの被覆膜の厚さが、好ましくは0.05μm以上、
    より好ましくは0.1μm以上である。 湿潤養生時間を60℃〜70℃で4日間以上とすることにより、0.0
    5μm以上の第1のトバモライトの被覆膜を得ることができた。 これは養生としては比較的高い温度で長時間湿潤養生することによりC−S−Hゲルが潜在水硬性粒子の外周表面に多く生成し、これがオートクレーブ養生によりトバモライトに変化したものと考えられる。 80℃
    以上では気孔が巨大になり固化物の強度が低下した。

    【0021】軽量多層固化物の気孔形態が2層の場合について上述したが、3層以上の多層も可能である。 軽量多層固化物の形態としては、気孔の断面占有比率が、主に次の4つの型に分けられる。 2面間の気孔の断面占有比率が、低→高 と変化する型、 2面間の気孔の断面占有比率が、低→高→低 と変化する型、2面間の気孔の断面占有比率が、高→低→高 と変化する型、 上記の混合型。 いずれの場合でも各泥漿の流し込み時間は2時間以内にしたほうが強度の面で好ましい。 また、強度及び吸水率の面から考えると外面(型枠の底面あるいは上面)部分を流し込む泥漿は、起泡剤、発泡剤を添加しないほうが望ましい。 気孔の断面占有比率の分布は、連続的に変化したほうが強度の面で好ましいため、各泥漿の起泡剤、発泡剤の量は連続的に変化するように調整したほうがよい。 また、石炭灰とカルシウム化合物の配合比も変える場合には連続的に変化したほうが強度の面で好ましい。 上記は寸法安定性及び強度がやや他より劣るため、屋外での使用は好ましくない。

    【0022】

    【実施例】次に、本発明を潜在水硬性粒子として主に石炭灰を用いた実施例に基づき説明する。 用いられる石炭灰としては、一般に発生する微粉炭石炭灰のみならず、
    常圧ないし加圧流動床燃焼発電システムより発生する石炭灰を使用してもよい。

    【0023】石炭灰、水酸化カルシウム、金属アルミニウム粉末、起泡剤及び水とを混練機で混合する際には、
    バインダー、減水剤、保水剤、防水剤、流動化剤、収縮低減剤等の混和剤を添加してもよく、また固化物の強度の向上、比重の調整、コストの低減などのために、パーライト、ALCの屑、ガラス繊維(好ましくは耐アルカリ性ガラス繊維)、合成繊維(ビニロン、ナイロン)、
    パルプ等を添加することもできる。 なお、起泡剤はプレフォーム法で用いてもよい。

    【0024】このように調製された原料を使用して、流し込み成形方法により所定の形状に成形する。 この際、
    振動を加えた状態で行うと好ましい。 また、型枠に鉄筋等の補強材をいれた状態で成形することも可能である。

    【0025】(実施例1〜9)嵩密度が1g/cm 3以上で平均粒径10〜30μmの石炭灰(フライアッシュ)(実施例1〜8)及び高炉スラグ(実施例9)を使用するとともに、平均粒径10μmの水酸化カルシウムを使用し、これらを重量比で8:2〜4:6で混合するとともに、20〜60重量%の水と、起泡剤を添加して混練機で混合し、各種の石炭灰質原料を調製し、流し込み成形した。 ここで、混練機はスパイラルミキサを用い、300rpmの回転数で5分間混練した。 また、金属アルミニウム粉末は平均粒径50μm以下のものを用い、石炭灰質原料の固形分に対して0.0〜0.3重量%添加した。 起泡剤はアルキルアリルエーテルのアンモニウム塩(商品名:第一工業製薬製ハイテノール)、高級アルコール硫酸ナトリウム(商品名:花王製エマール)を用い、石炭灰質原料の固形分に対して0.0〜
    0.1重量%添加した。 なお、水酸化カルシウムの重量の20%のポルトランドセメントを添加した。 この異なる種類の混合物を型枠(底面90×150mm)に流し込んで2層とし、60〜70℃、4〜7日間湿潤状態(相対湿度95%)で養生を行い、円板状の固化物素地(90×90×150mm、各層の厚さ45mm)を得た。 このようにして得た固化物素地を180℃の温度条件で2〜7日間オ─トクレ─ブ養生を行った。 なお、前記嵩密度の測定はJIS Z 2504の測定方法に準拠した。

    【0026】こうして得られた固化物についてその外観、各層の気孔状態、潜在水硬性粒子の状態及び被覆膜の状態を観察するとともに,固化物の圧縮強度及び吸音率を測定して,これらの結果を表1に示す。 また、得られた固化物について二層の界面状態を観察するため、研磨した試料を反射型顕微鏡で観察した。 この結果を図3
    に示す。 界面はマイクロクラック等の欠陥はなく強固に固着していることが認められる。 なお、この写真は独立気孔を形成しているものである。 なお、連通気孔を形成しているものについては、連通気孔の直径は平均100
    〜2000μmであり、連通孔の大きさは平均30〜5
    00μmである。 なお、研磨面の観察では、直径0.1
    mm以上の気孔のうち60%以上、また直径1mm以上の気孔では80%以上連通気孔がである。 また、独立気孔を形成しているものについても同様であり、直径0.
    1mm以上の気孔のうち60%以上、また直径1mm以上の気孔では80%以上が独立気孔である。 また、得られた固化物のX線回折分析を行った。 そのチャートを図4に示す。 トバモライトの他石炭灰粒子に含まれるα−
    石英とムライトのピークが認められる。 さらに石炭灰粒子の表面に形成されている被覆層の走査型電子顕微鏡写真、透過型電子顕微鏡写真撮影を行った。 それらを図1
    〜2に示す。 図2では微細トバモライトの被覆膜は微細なため明確には認められないが、図1のように拡大すると明確に認められる。 なお、比較例1のものは、このような微細トバモライトの被覆膜は認められない。 なお、
    固化物の外観の観察では固化物における亀裂などの損傷の有無,形態保持性の強弱を判定し,良好なものを○
    印,不良なものを×印で表示している。 また,圧縮強度の測定については,JIS A 1108 に従った。
    即ち、試料の上下面に直径50mmの金属板をのせ、各層に平行に圧力をかける方法で、オートグラフを用いこれに圧力をかけ、10個の試料の平均を圧縮強度とし、
    その標準偏差をばらつきとした。 吸音率はJIS A
    1405 に従い、厚さ5mm、空気層なし、周波数
    00Hzで垂直入射吸音率を測定した。 以上潜在水硬性粒子として、石炭灰粒子、高炉スラグを用いた実施例について説明したが、本発明は、これに限るものではなく、けい酸白土、火山灰、けい藻土等の潜在水硬性粒子を用いても構わない。

    【0027】(比較例1〜2)比較例1は石炭灰を用いて実施例と同様に流し込み成形(2層形成)まで実施し、40℃3時間湿潤状態で養生し、その後180℃の温度条件で2日間オートクレーブ養生を行った。 また、
    比較例2は実施例と同様に実施したものの、1層のみ流し込みしたものである。 なお、1層で90mmの厚さとした。 これらの結果を表1に示す。

    【0028】

    【表1】

    【0029】

    【発明の効果】以上説明からも明らかなように、本発明による軽量多層固化物は、潜在水硬性粒子の混合比率が高く、気孔の断面占有比率の異なる層を有し、軽量で高強度である。 また、連通気孔を形成したものは吸音特性及び透水性も良好である。 従って、建材用パネル・ブロック、吸音板、透水板等の建材等広い分野に適用できるため、従来から苦慮していた産業廃棄物である石炭灰、
    高炉スラグ等潜在水硬性粒子を有効に大量利用が実現でき、本発明の効果は極めて多大である。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 石炭灰粒子の表面に、微細トバモライトが形成されている様子を示す透過型電子顕微鏡写真(×24
    0000)

    【図2】 本発明による固化物の破面の走査型電子顕微鏡写真(×800)

    【図3】 本発明による固化物の研磨断面の反射顕微鏡写真(×15)

    【図4】 本発明による固化物のX線回折チャート

    フロントページの続き (51)Int.Cl. 6識別記号 FI C04B 40/02 C04B 40/02 //(C04B 28/18 18:08 18:14 20:10) 111:40 (56)参考文献 特開 昭56−73658(JP,A) 特開 昭49−20220(JP,A) 特開 平5−310454(JP,A) 特開 平8−208345(JP,A) 特開 平8−208350(JP,A) 特開 平7−315951(JP,A) 特開 平8−325073(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 6 ,DB名) C04B 38/00 301 C04B 38/02 C04B 38/10

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