Cement hardened body, its manufacturing method and its use

申请号 JP2000009531 申请日 2000-01-18 公开(公告)号 JP2001206755A 公开(公告)日 2001-07-31
申请人 Nippon Maintech:Kk; 有限会社日本メインテック; 发明人 SAKURAI SHOICHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To utilize waste paper, pulp, etc., as new aggregate and to provide a method of manufacturing for conveniently obtaining a cement hardened body having high compressive strength required by the conventional concrete product in a short time at a low cost.
SOLUTION: At least one kind of new aggregate selected from a group consisting of fibrous material, granular material of a volcanic rock, ash, sintering residue, resin powder material, glass powder material, cement and water are mixed to blend a tamping material, pressure and vibration are exerted on the mixture to solidify the whole tamping material, and a cement hardened body is manufactured.
COPYRIGHT: (C)2001,JPO
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 繊維質材料、火山性岩石の粉粒材、灰・
    焼成残渣分、樹脂粉粒材、ガラス粉粒材および生活廃材よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の新骨材、
    セメント並びに水を含有してなる突き固め材料を配合し、圧力と振動を加えて、突き固め材材料全体を固形化することを特徴とするセメント硬化体の製造方法。
  • 【請求項2】 前記突き固め材料は、前記新骨材(A)、セメント(B)および水(C)の体積比が、当該(A):(B):(C)=1〜15:1:0.1〜1
    5の範囲であることを特徴とする請求項1に記載のセメント硬化体の製造方法。
  • 【請求項3】 前記突き固め材料に加える振動数が、1
    0〜60Hzの範囲であり、前記突き固め材料に加える圧力が1.0〜3.5N/mm 2以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のセメント硬化体の製造方法。
  • 【請求項4】 前記突き固め材料(W)に圧力と振動を加えるための加振加圧装置が、突き固め容器(40)内に投入された前記突き固め材料(W)を垂直に加圧する加圧手段
    (23)と、前記突き固め材料(W)に上下振動を加える振動手段(20)とを有し、当該加圧手段(23)が、前記振動手段
    (20)の振動加圧による反力より大きな加圧力で当該振動手段(20)を加圧するようにした高圧振動締固め装置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメント硬化体の製造方法。
  • 【請求項5】 前記加圧手段(23)が、前記振動手段(20)
    を直接加圧するようにしたことを特徴とする請求項4に記載のセメント硬化体の製造方法。
  • 【請求項6】 前記振動手段(20)が、前記加圧板(21)と連結部材(20a)を介して連結され、当該連結部材(20a)
    は、前記振動手段(20)に取り付けられる基部(20b)と、
    前記加圧板(21)上の複数の箇所に取り付けられる脚部(2
    0c)とを有していることを特徴とする請求項4または5
    に記載のセメント硬化体の製造方法。
  • 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法により得られたものであることを特徴とするセメント硬化体。
  • 【請求項8】 繊維質材料、火山性岩石の粉粒材、灰・
    焼成残渣分、樹脂粉粒材、ガラス粉粒材および生活廃材よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の新骨材、
    セメント並びに水を含有してなるセメント硬化体であって、 当該セメント硬化体の圧縮強度が、10N/mm 2以上であることを特徴とするセメント硬化体。
  • 【請求項9】 請求項7または8に記載のセメント硬化体を用いてなることを特徴とするブロック塀。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、新規なセメント硬化体およびその製法に関するものである。

    【0002】

    【従来の技術】コンクリートは、セメント、、骨材(粗骨材および細骨材)、混和材料より構成されている。 さらに詳しく述べると、セメントペーストは、セメントと水とを含有し、骨材成分を含まないものをいい、
    モルタルは、セメントと水と骨材を含有するもののうち、骨材成分に細骨材を用いたものをいい、コンクリートとは、セメントと水と骨材を含有するものであって、
    骨材成分に粗骨材を用いたもの、並びに粗骨材および細骨材の双方を用いたものをいう。 本発明において、これらを単にコンクリートという。 そして、一般的なコンクリートの成分構成(体積比率)は、下記表1に示す通りである。

    【0003】

    【表1】

    【0004】こうしたコンクリートの機械的特性で最も大きな特長は、圧縮強度が大きく引張強度、せん断強度、曲げ強度が小さいという点である。 このため、鉄筋コンクリートという複合化によって引張強度を補いながら、建物、道路、橋梁など大規模な建造物の構造材料として使用されてきた。 しかしながら、構造物がより高層化、長大化する中で、構造材料として宿命的な「より強く、より軽く」という願が常に求められ、今なお改良が続けられている。 また、鉄筋を用いることが困難な小型成型品、薄肉成型品などの分野では、引張強度、せん断強度、曲げ強度の不足という大きな問題を抱えている。

    【0005】これらの問題に対する改善策として、これまで大きく分けて次の2つの方法が行われている。

    【0006】(a)使用水量の低減(減水剤、AE減水剤などの使用) (b)繊維による複合化 上記(a)の方法は、圧縮強度を向上するための方法である。 一般に水セメント比(水の使用量)を少なくするほど強度の高いコンクリートが得られるが、水の使用量を少なくすると生コンクリートの流動性が低下し、型枠へ打ち込む時の作業性が著しく低下する。 減水剤、AE
    減水剤などの混和材料は、一種の界面活性剤で、これを用いるとセメント粒子が水中に均一に分散し、生コンクリートの流動性を損なわずに水の使用量を低減でき、緻密で強度の高いコンクリートが得られる。 超高層ビルの建設を可能にした超高強度コンクリートも、この方法で実現した。

    【0007】これに対し上記(b)の方法は、引張強度の優れた繊維(主に短繊維)を混入することにより、F
    RPと同様に引張強度、せん断強度、曲げ強度などの機械的物性を改善している。 ガラス繊維、金属繊維、炭素繊維などの無機繊維のほか、セルロース繊維、各種合成繊維などの有機繊維が用いられている。

    【0008】しかしながら、これらは、決して従来のコンクリート製品の構成成分の枠を超えるものではなく、
    基本的には上記表1に記載の範囲内において、その改良が成されているに過ぎず、紙パルプ材を主成分とし、これに従来よりはるかに少量のセメントと水とからなる製品について、現在までに、圧縮強度と、引張強度、せん断強度、曲げ強度とを同時に改善してなる製品やその製法に関しては、なんら提案されていない。

    【0009】また、コンクリートの欠点の1つとして強度の割に比重が大きいことが挙げられ、コンクリートの軽量化の研究は古くから行われてきた。 一般にコンクリートの強度は比重に依存し、軽量化すると必ず強度は低下していた。 このため、軽量コンクリートは構造材料としてではなく、優れた断熱性を利用してビル、工場、一般住宅、集合住宅などの外壁、床、間仕切り、断熱層などの用途に用いられている。

    【0010】コンクリートの軽量化は、下記の方法で行われている。

    【0011】(a)多孔質で比重の軽い骨材の使用 (b)モルタル中への気泡の導入 上記(a)の方法では、ひる石、パーライト、発泡ガラス、発泡プラスチックなどが骨材として使用されている。

    【0012】また、上記(b)の方法では、気泡剤や発泡剤を用いて、モルタルまたはコンクリート中に多量の気泡を混入し、オートクレーブ養生で気泡コンクリートを製造する。

    【0013】上記に示すように、従来のコンクリート製品では、その軽量化に、従来の基本構成の域を超えることなく、強度補強に必須である骨材を軽量化するか、気泡を導入するものであり、基本的な成分構成は、表1に示す構成比率の範疇にあった。 そして、この場合にも、
    紙パルプ材を主成分とし、これに従来よりはるかに少量のセメントと水とからなる製品について、現在までに、
    「軽量化すると必ず強度は低下していた」との既存の常識を打破するような、軽量で高強度で優れた断熱性を有してなる製品やその製法に関しては、なんら提案されていない。

    【0014】また、コンクリートの構造材としての欠点である脆性(割れやすさ)を改善する方策として、無機および有機の各種繊維をコクリート中に練り混ぜた繊維補強コンクリートが開発され、実用化されている。

    【0015】しかしながら、この場合にも、基本的に上記表1に示すコクリートの構成成分及びその構成比率の範囲内での改良であって、その製法も繊維をコクリート中に練り混ぜて、養生させて硬化させるものであり、従来既知の製造方法と何ら変わるものではなかった。

    【0016】一方、回収した新聞紙などの古紙(=廃紙)は、再び漉き直して再生紙とするリサイクル化が進んでいるが、通常の一般紙の製造コストに比べて割高なため、回収された古紙が再生されることなくだぶついているのが現状である。

    【0017】

    【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来のコンクリート製品の構成成分とは全く異なる成分構成及び比率によって得られる、高い圧縮強度の(好ましくはさらに割れにくく低コストの)セメント硬化体を提供するものである。

    【0018】本発明の目的は、さらに土木・建築資材に求められる耐熱性、耐火性、吸音性等の特性に優れたセメント硬化体を提供するものである。

    【0019】本発明の目的は、さらに軽量化、小型成型品化、薄肉成型品化に適したセメント硬化体を提供するものである。

    【0020】また、本発明の他の目的は、従来既知の高比重の砂や砂利等の細骨材や粗骨材を必要とせずに、短時間で簡便に、特に養生不要で数十秒〜数分間の固形化操作で、従来のコンクリート製品に求められていた高い圧縮強度の(好ましくはさらに割れにくい)セメント硬化体を低コストにて得るための製造方法を提供するものである。

    【0021】本発明の他の目的は、さらに土木・建築資材に求められる耐熱性、耐火性、吸音性等に優れたセメント硬化体の製造方法を提供するものである。

    【0022】本発明の目的は、さらに軽量化、小型成型品化、薄肉成型品化に適したセメント硬化体の製造方法を提供するものである。

    【0023】

    【課題を解決するための手段】本発明者は、再生されることなくだぶついている回収された古紙を有効活用するべく、鋭意検討した結果、シュレッダーで裁断された古紙に従来技術よりはるかに少量のセメントと水を配合し、高圧振動締固め装置を用いて、圧と振動による弾性波を加えることで、従来のコンクリートように養生することなく材料全体を同時に極々短時間(数分)で固形化することができ、得られたセメント硬化体が高い圧縮強度を有し割れにくい特性を有していることを見出した。 かかる知見に基づき、古紙以外の成分についても同様に検討を重ねた結果、高い圧縮強度で割れにくい各種の低コストのセメント硬化体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。

    【0024】すなわち、本発明の目的は、下記(1)〜
    (10)のセメント硬化体およびその製造方法並びにセメント硬化体の用途により達成される。

    【0025】(1) 繊維質材料、火山性岩石の粉粒材、灰・焼成残渣分、樹脂粉粒材、ガラス粉粒材および生活廃材よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の新骨材、セメント並びに水を含有してなる突き固め材料を配合し、圧力と振動を加えて、突き固め材材料全体を固形化することを特徴とするセメント硬化体の製造方法。

    【0026】(2) 前記突き固め材料は、前記新骨材(A)、セメント(B)および水(C)の体積比が、当該(A):(B):(C)=1〜15:1:0.1〜1
    5の範囲であることを特徴とする上記(1)に記載のセメント硬化体の製造方法。

    【0027】(3) 前記突き固め材料に加える振動数が、10〜60Hzの範囲であり、前記突き固め材料に加える圧力が1.0〜3.5N/mm 2以上であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のセメント硬化体の製造方法。

    【0028】(4) 前記突き固め材料(W)に圧力と振動を加えるための加振加圧装置が、突き固め容器(40)内に投入された前記突き固め材料(W)を垂直に加圧する加圧手段(23)と、前記突き固め材料(W)に上下振動を加える振動手段(20)とを有し、当該加圧手段(23)が、前記振動手段(20)の振動加圧による反力より大きな加圧力で当該振動手段(20)を加圧するようにした高圧振動締固め装置であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載のセメント硬化体の製造方法。

    【0029】(5) 前記加圧手段(23)が、前記振動手段(20)を直接加圧するようにしたことを特徴とする上記(4)に記載のセメント硬化体の製造方法。

    【0030】(6) 前記振動手段(20)が、前記加圧板
    (21)と連結部材(20a)を介して連結され、当該連結部材
    (20a)は、前記振動手段(20)に取り付けられる基部(20
    b)と、前記加圧板(21)上の複数の箇所に取り付けられる脚部(20c)とを有していることを特徴とする上記(4)または(5)に記載のセメント硬化体の製造方法。

    【0031】(7) 上記(1)〜(6)のいずれか1
    つに記載の製造方法により得られたものであることを特徴とするセメント硬化体。

    【0032】(8) 繊維質材料、火山性岩石の粉粒材、灰・焼成残渣分、樹脂粉粒材、ガラス粉粒材および生活廃材よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の新骨材、セメント並びに水を含有してなるセメント硬化体であって、当該セメント硬化体の圧縮強度が、10N
    /mm 2以上であることを特徴とするセメント硬化体。

    【0033】(9) 上記(7)または(8)に記載のセメント硬化体を用いてなることを特徴とするブロック塀。

    【0034】

    【発明の実施の形態】本発明に係るセメント硬化体の製造方法は、繊維質材料、火山性岩石の粉粒材、灰・焼成残渣分、樹脂粉粒材、ガラス粉粒材および生活廃材よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の新骨材(以下、単に「新骨材」ともいう)、セメント並びに水を含有してなる突き固め材料を配合し、圧力と振動を加えて、突き固め材材料全体を固形化することを特徴とするものである。 本発明では、突き固め材料に、単にコンクリートの増量材として使用されるだけではなく、乾燥収縮、ひび割れ、クリープ(荷重下での変形)などの欠点を抑制するためにも欠かせない材料である、既存の砂や砂利などの粗骨材や細骨材を用いずに、コクリートの代替え品として十分な性能を発現させることができる新規な製法を確立したものである。 特にこれらの新骨材は、
    廃品回収された古紙や廃木材、石材の削り屑や火山灰
    焼却灰、さらに回収されたPETボトルやカラス瓶を粉砕処理した樹脂粉粒材やガラス粉粒材などの廃材にほかならず、こうした廃材を有効に利用するための、付加価値製品への転換技術(製法)である。

    【0035】ここで、本発明に用いることのできる突き固め材料の構成成分は、新骨材、セメントおよび水を含有し、さらに必要に応じて、従来公知の各種コンクリート添加剤を含有していてもよい。

    【0036】上記突き固め材料の必須構成成分である新骨材は、既存の砂や砂利などの粗骨材や細骨材とは異なり、軽量で強度も低い、繊維質材料、火山性岩石の粉粒材、灰・焼成残渣分、樹脂粉粒材およびガラス粉粒材よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種のものであればよい。

    【0037】上記新骨材の1種である繊維質材料としては、特に制限されるものではなく、長繊維(連続繊維)、短繊維のいずれでもあってもよく、ガラス繊維、
    炭素繊維、金属繊維などの無機繊維、アラミド繊維、セルロース繊維、各種合成繊維、天然繊維などの有機繊維、紙パルプ、絨毯などの毛織物等の繊維加工製品(中間品を含む)、流木や倒木等の廃材や材木などの繊維原などを用いることができる。 これらの繊維質材料を添加することにより、引張強度、せん断強度、曲げ強度などの機械的物性をより一層向上させることができる。 好ましくは、パームヤシや竹などの天然有機繊維、絨毯などの毛織物の廃品、紙パルプ等の廃品(古紙)、流木や倒木などの廃材などを利用するのが、原料コストが極めて低く、経済的に有利である。

    【0038】上記繊維質材料の1種である紙パルプ等の繊維加工製品(及びその廃品を含む)としては、特に制限されるものではなく、例えば、新聞巻取紙;印刷用紙、グラビヤ用紙、印刷せんか紙、筆記、図画用紙などの非塗工印刷紙;アート紙、コート紙、軽量コート紙などの塗工印刷紙;重袋用両更クラフト紙、純白ロール紙などの包装用紙;グラシンペーパー、ライスペーパー、
    インディアペーパー、カーボン紙原紙、タイプライターペーパー、コピー紙、コンデンサーペーパー、複写原紙などの薄葉紙;ティッシュペーパー、京花紙、ちり紙、
    トイレットペーパー、生理用紙、タオル用紙、加工原紙などの家庭用薄葉紙;感光紙用紙、統計機カード用紙、
    連続伝票用紙、電気絶縁紙、色上質紙、色ひも用紙、書道用紙、障子紙などの雑種紙;外装用ライナー(クラフト)、外装用ライナー(ジュート)、内装用ライナー、
    パルプしん、得しんなどの段ボール原紙;マニラボール(塗工)、マニラボール(非塗工)、白ボール(塗工)、白ボール(非塗工)などの色板紙の紙器用板紙;
    黄板紙、チップボール、色板紙などの紙器用板紙、防水原紙;セッコウボード原紙などの建材原紙;紙管原紙、
    ワンプなどのその他の原紙などの紙、(1)針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプ、わらパルプ、脱墨古紙パルプなど(原料による分類)、(2)砕木パルプ、リファイナーメカニカルパルプ(リファイナー砕木パルプ)、サーモメカニカルパルプ、ケミサーモメカニカルパルプ、ケミメカニカルパルプ(ケミグラウンドパルプ)などのメカニカルパルプ;中性亜硫酸セミケミカルパルプ、酸性亜硫酸セミケミカルパルプ、クラフトセミケミカルパルプなどのセミケミカルパルプ;亜硫酸パルプ、ソーダパルプ、クラフトパルプ(硫酸塩パルプ)などのケミカルパルプ;未さらしパルプ;半さらしパルプ;さらしパルプなど(製法による分類)、
    (3)製紙パルプ;溶解パルプなど(用途による分類)、広葉樹さらし中性亜硫酸セミケミカルパルプ;針葉樹溶解亜硫酸パルプ;広葉樹溶解クラフトパルプ;針葉樹広葉樹混合さらしクラフトパルプなど(1)〜
    (3)の組み合わせなど従来既知の各種紙および/またはパルプを用いることができる。 好ましくは、例えば、
    電話帳、新聞紙、オフィスから出される廃紙などの古紙であり、より好ましくは、例えば、シュレッダー等にかけられ回収されたような細断されてなる古紙である。 特に好ましくは、適当な大きさに長方形の形に細断された古紙である。

    【0039】また、本発明に用いる場合には、こうした繊維質材料を適当な大きさに細断してなるものが好ましい。 例えば、紙パルプでは、シュレッダー等で細切れに細断されたものがよい。 なかでも、正方形の細断物よりも長方形の細断物の方が、他の配合成分であるセメントと混ざりやすく、例えば、長辺4〜6mmで短辺が1〜
    4mmの長方形(縦/横比=1.5〜6)の細断物の方が、一辺3〜6mmの正方形の細断物よりも均一に配合しやすいため望ましい。 流木や倒木などの廃材では、同程度の細長い細断物に細断してもよいし、木粉のように微粉砕してもよい。

    【0040】上記新骨材の1種である火山性岩石の粉粒材としては、特に制限されるものではないが、耐久性・
    耐火性に富み、加工が容易であり、土木・建築、特に門塀・石垣、擁壁などに用いられている大谷石に代表される凝灰岩の石粉が好ましい。 この大谷石に代表されるグリーンタフに属する流紋岩質軽石凝灰岩は、多孔質で柔らかく、つるはしでも切り出せ、露天掘、坑内掘で採石することができ、低コストで入手が可能である。

    【0041】上記火山性岩石の粉粒材の粒度は、通常2
    mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.
    5mm以下である。 ただし、粒度が2mmを超える場合には、得られる表面がざらつくが、むしろこうしたざらつき感による意匠性や独特な肌触りが求められる場合などでは意図的に粒度の大きなものを加えても良いなど、
    粒度については、特に制限されるものではない。

    【0042】上記新骨材の1種である灰・焼成残渣分についても、これらが作り出されるまでにかなりの高温下で焼成されるという共通の熱履歴を有するため、火山性の岩石粉と同様に多孔質で柔らかい。 また、通常、利用価値が低いか利用価値のない廃棄物として扱われており、いずれも低コストで入手が可能である。 灰・焼成残渣分としては、火山灰、焼却灰、フライアッシュ(石炭灰)等の灰分、高炉スラグ粉末、焼成した粘土、スラグ、スラッジなどの焼成残渣分が挙げられる。 これらの灰・焼成残渣分は、微粉末形態で使用するのが望ましい。

    【0043】上記新骨材の1種である樹脂粉粒材についても、上述したように、廃品として回収されるポリエチレンテレフタレート(PET)製のいわゆるペットボトルや鮮魚や肉などを入れるポリエチレン製等の樹脂トレー等の容器を適当に破砕処理したものなどが挙げられるほか、こうした樹脂製品の製造工場から樹脂廃材として出されるものなどが好ましい。

    【0044】また、上記樹脂粉粒材の粒度は、通常2m
    m以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5
    mm以下である。 ただし、粒度が2mmを超える場合には、得られる表面がざらつくが、むしろこうしたざらつき感による意匠性や独特な肌触りが求められる場合などでは意図的に粒度の大きなものを加えても良いなど、粒度については、特に制限されるものではない。

    【0045】上記新骨材の1種であるガラス粉粒材についても、上述したように、ビール、酒等のアルコール飲料やジュースなどの清涼飲料水、調味料などの商品の使用後に出されるガラス製容器を廃品として回収されるガラス瓶等の空き瓶を適当に破砕処理したものなどが挙げられるほか、こうしたガラス製品の製造工場から樹脂廃材として出されるものなどが好ましい。

    【0046】また、上記ガラス粉粒材の粒度は、通常2
    mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.
    5mm以下である。 ただし、粒度が2mmを超える場合には、得られる表面がざらつくが、むしろこうしたざらつき感による意匠性や独特な肌触りが求められる場合などでは意図的に粒度の大きなものを加えても良いなど、
    粒度については、特に制限されるものではない。

    【0047】上記生活廃材についても、肉、魚、野菜などの生ゴミ等、汚れた紙屑やテッシュペーパー等、燃えるゴミとして回収される廃材を適当に破砕処理したものなどが挙げられ。

    【0048】また、上記生活廃材の粒度は、通常2mm
    以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5m
    m以下である。 ただし、粒度が2mmを超える場合には、得られる表面がざらつくが、むしろこうしたざらつき感による意匠性や独特な肌触りが求められる場合などでは意図的に粒度の大きなものを加えても良いなど、粒度については、特に制限されるものではない。

    【0049】また、本発明では、後述するように、繊維質材料に古紙等の繊維質材料を用いて突き固めて固形化したセメント硬化体では、弾性化するためにダイヤモンダカッターでも容易に切断し得ないとする特徴があり、
    特に二次加工を要しない場合には長所として機能する反面、二次加工を行う場合には、この点が短所ともなり得ることから、大谷石などの火山性の岩石粉や火山灰等の灰・焼成残渣分を添加することが望ましい。 これにより、切断加工性に優れるようになり、二次加工に適した土木建材や建築建材などに幅広く利用することができる。

    【0050】上記突き固め材料の必須構成成分の1種であるセメントとしては、特に制限されるものではなく、
    例えば、普通、早強、超早強、中庸熱、白色等の各種ポルトランドセメント、ビーライト高含有セメント、アルミナセメント、フライアッシュセメント、高炉セメント、シリカセメント、各種混合セメント等が挙げられるほか、石膏などのセメント以外の水硬材料などをも含むものである。

    【0051】上記突き固め材料の必須構成成分の1種である水に関しては、突き固める際に余分な水の一部が周囲に漏れ出しても特に問題にならないことから、特に制限されるものではないが、好ましくは得られるセメント硬化体の含水比(重量比)が20〜24、もしくは含水比(体積比)が25〜28%となるのを目安として、さらに若干多めに配合しておいても良い。 ただし、これらはあくまで目安であって、使用する新骨材の種類や組み合わせにより、最適な水の配合量も、含水比も変わることから、好ましくは予め予備実験を行い(特に本発明の製造方法では、簡単にサンプルを製造できる利点もあり)、個々に最適な含有量を適宜決定すればよい。

    【0052】また、上記突き固め材料に必要に応じて用いることのできる各種添加剤としては、特に制限されるものではなく、例えば、ポゾラン(但し、上記灰・焼成残渣分を除く)、シリカフューム、石灰石、CaOやC
    33 CaSO 4などの鉱物を主成分とする膨張材などの微粉末混和材(容積が無視できないもの)、AE減水剤、減水剤、凝結硬化促進剤、凝結硬化遅延剤、急結剤、防水剤、増粘剤、発泡剤、気泡剤、防錆剤、空気連行剤、セメント湿潤剤、膨張剤、凝集剤、乾燥収縮低減剤、強度増進剤、充填剤、消泡剤、着色剤、難燃剤、防腐剤、耐水化剤、老化防止剤、安定剤、加硫促進剤、帯電防止剤などの混和剤(容積が無視できるもの)などの従来既知のコンクリート添加剤などが利用できる。

    【0053】上記突き固め材料の必須の構成成分の配合比率としては、使用する新骨材の種類や組み合わせにより、適正な範囲が異なるため、一義的に規定することはできないが、大体の目安としては、新骨材(A)、セメント(B)および水(C)の体積比が、当該(A):
    (B):(C)=1〜30:1:0.5〜5、好ましくは1〜25:1:0.5〜1である(但し、これらはあくまで目安であり、新骨材(A)の種類や組み合わせによっては、上記範囲内でも十分な特性を得られないことがある反面、上記範囲を外れても十分な特性を発現することができる場合もあり得る)。 好ましくは予め予備実験を行い(特に本発明では、簡単かつ短時間に低コストでサンプルを製造できる利点もあり)、それぞれの使用用途にあった機械的強度や耐熱性、耐火性、吸音性などの性能や軽量化、小型成型品化、薄肉成型品化等の要求される特性や意匠性などの外観特性などを充分に発現できるように、個々に最適な組み合わせにおける最適な構成比率を適宜決定すればよく、例えば、新骨材に古紙細断物とパームヤシと大谷石粉を用いる場合には、水を含浸させた古紙細断物:パームヤシ:大谷石粉:セメント:水(含浸分を除く)=3:3:3:1:0.5(体積比)とすれば、機械的強度や耐熱性、耐火性、吸音性などの性能や軽量化、小型成型品化、薄肉成型品化等の要求される特性が得られる。 また、上記(A)、
    (B)、(C)の重量比も、使用する新骨材の種類や組み合わせにより、適正な範囲が異なるため、一義的に規定することはできないが、大体の目安としては、当該(A):(B):(C)=0.1〜30:1:0.1〜
    30の範囲である(但し、これらはあくまで目安であり、(A)の種類や組み合わせによっては、上記範囲内でも十分な特性を得られないことがある反面、上記範囲を外れても十分な特性を発現することができる場合もあり得る)。

    【0054】上記突き固め材料の任意成分である上記に示す各種添加剤は、使用用途によっては適宜配合してもよく、その場合には、その添加によって使用する添加剤の持つ特有の作用効果が有効かつ効果的に発現し得る範囲内で適当量を添加するのが望ましい。

    【0055】上記突き固め材料の調製方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、予め水(一部ないし全部)に浸した紙パルプ等の新骨材に、セメント、残りの練り水、他の新骨材(火山性岩石の粉粒材、灰・焼成残渣分、樹脂粉粒材、ガラス粉粒材)、任意成分の各種添加剤を上記に示す構成比率を目安にして添加し、適当な撹拌・混合装置により撹拌・混合する方法や、予め水の一部に浸した紙パルプ材等の新骨材と、予め水の一部(練り水)を加えて調整したセメントペーストと、他の新骨材(火山性岩石の粉粒材、灰・焼成残渣分、樹脂粉粒材、ガラス粉粒材)と、さらに必要に応じて任意成分の各種添加剤とを上記に示す構成比率を目安にして配合し、適当な撹拌・混合装置などにより混合する方法、
    上記に示す構成比率を目安にして予め水(練り水)を加えて調整したセメントペーストに紙パルプ材等の新骨材を添加し充分に馴染ませた後、適当な撹拌・混合装置により混合した後に、さらに他の新骨材(火山性岩石の粉粒材、灰・焼成残渣分、樹脂粉粒材、ガラス粉粒材)、
    その他の各種添加剤を追加的に添加し、再度撹拌・混合する方法、セメントと火山性の岩石粉や灰・焼成残渣分を均一に混合し、これに水を添加して適当な撹拌・混合装置により撹拌・混合する方法など、本発明では、当該突き固め材料の各成分の配合の順序を適当に入れ替えても問題にならないという利点を有するものである。 すなわち、従来では、経時的に流動性などが低下したりするために、その各成分の配合の順序も、最適化する必要性があり、こうした配合操作が重要な要件であったが、本発明では、従来のコンクリート組成物に比してはるかに少量のセメントと水を配合するだけでも、実施例に示すように、数分間という極めて短い時間で当該突き固め材料を加圧加振して十分に成形(固形化)することができるため、当該突き固め材料の調整に時間を要してもなんら問題になることはない。 ここで、従来のコンクリート組成物に比してはるかに少量のセメントと水を配合するだけで、数分間という極めて短い時間で当該突き固め材料を加圧加振して十分に成形(固形化)することができるとする点は、従来にない新しい技術であり、従来のコンクリート製造技術とは全く異なるものといえる。 これにより、その作用機序は明らかでないが、突き固め材料内部の残留気体が押し出され、こうした空間内部にコンクリートなどが浸透し、その結果、極めて強固なセメント硬化体が得られるものと思われる。

    【0056】次に本発明では、上記突き固め材料に対して、圧力と振動、好ましくは高圧振動を加えて、材料全体を、好ましくは同時に、固形化することを特徴とするものである。

    【0057】ここで、前記突き固め材料に加える振動数としては、通常10〜60Hz、好ましくは20〜50
    Hz、より好ましくは30〜40Hzの範囲であり、前記突き固め材料に加える圧力は、0.5〜10N/mm
    2 、好ましくは1.0〜5N/mm 2 、より好ましくは1.5〜3N/mm 2の範囲である。 突き固める過程で変動していくため一義的に規定されるものではないが、
    通常0.1〜10mm、好ましくは0.5〜5mm、より好ましくは1〜3mmの範囲に最大〜最小振副までが含まれるようにするのが好ましい。 加振時間が長くなるほか、突き固めが十分に成されずセメント硬化体が所望の強度を得ることができない場合がある得るため好ましくなく、一方、突き固め材料に加える振動数が60Hz
    を超える場合には、加圧加振する場合に、十分な圧力を加えながら高速振動させるには加振装置が大型化するため、設備投資がかかり製造コストがかかり、また加振時間は短くできるが、単位時間当たりに加えられる加振エネルギーが大きいため、所定の加振時間を超えた場合には比較的短時間でセメント硬化体に亀裂が生じ得るようになるためその制御が困難である。 また、上記突き固め材料に加える圧力が0.5N/mm 2未満の場合には、
    十分に突き固めができず、得られる固化物の密度が低く十分な強度や耐久性、耐水性が得られない場合があり好ましくなく、一方、突き固め材料に加える圧力の上限に関しては特に制限されるものではない。 ただ、突き固め材料に加える圧力が10N/mm 2を超える場合には、
    高い加圧性能を備える加振装置に高い加圧性能を備える必要があるため極めて大がかりな製造装置と、こうした圧力に耐える高強度の部材が必要であり、製造コストがかかり、また加振時間は短くできるが、単位時間当たりに加えられる加振エネルギーが大きいため、所定の加振時間を超えた場合には比較的短時間でセメント硬化体に亀裂が生じ得るようになるためその制御が困難である。

    【0058】また、上記突き固め材料に対して、圧力と振動(好ましくは高圧振動)を加えて、材料全体を(好ましくは同時に)固形化するための加振加圧装置としては、特に限定されるものではなく、従来既知の加振加圧装置を利用することができるが、好ましくは以下に説明する縦型突き固め装置を利用するのが上記に規定する振動数および圧力を同時に加えながら加振加圧することができるので好ましい。 かかる装置は、図1に示すように、突き固め容器(40)内に投入された前記突き固め材料
    (W)を垂直に加圧する加圧手段(23)と、前記突き固め材料(W)に上下振動を加える振動手段(20)とを有し、当該加圧手段(23)が、前記振動手段(20)の振動加圧による反力より大きな加圧力で当該振動手段(20)を加圧するようにした高圧振動締固め装置である。 好ましくは、前記加圧手段(23)が、前記振動手段(20)を直接加圧するようにしたものである。 また、前記振動手段(20)は、図2に示すように、前記加圧板(21)と連結部材(20a)を介して連結され、当該連結部材(20a)は、前記振動手段(20)に取り付けられる基部(20b)と、前記加圧板(21)上の複数の箇所に取り付けられる脚部(20c)とを有しているものであってもよい。 ただし、本発明に用いることのできる装置としては、これらに限定されるものでないことはいうまでもない。 以下に、上記縦型突き固め装置を利用してなる高圧振動締固め装置につき説明する。

    【0059】本発明の製造方法に用いることのできる高圧振動締固め装置は、図1〜4に示すように、内部フレーム11内に設けられた突き固め容器40内の突き固め材料Wに上下振動を加えるものであり、当該突き固め材料Wに接して振動加圧する加圧板21と、当該加圧板2
    1に連結部材20aを介して上下方向の振動を加える一対の振動装置22と、これら両振動装置22を一括して支持するフレーム部材29とを有している。

    【0060】ここで使用される振動装置22としては、
    突き固め材料Wに上下方向の振動を加えるものであれば、電動式あるいは流体圧(空圧、油圧、水圧を含む)
    式等どのような駆動方式のものでも良いが、好適には、
    例えば、特公昭59−1883号公報あるいは特公昭6
    3−50562号公報等に開示されているような油圧駆動により上下振動を生じさせるものが使用される。 ただし、本発明の製造方法に用いることのできる高圧振動締固め装置に使用し得るものとしては、何等このような振動装置に限定されるものではないことはいうまでもない。

    【0061】この振動装置22は、連結部材20aを介して加圧板21と連結されているが、この連結部材20
    aは、図1に示すように1本のシャフトであっても良いが、好ましくは、図2に示すように、前記振動装置22
    の下部に取り付けられる基部20bと、前記加圧板21
    上の複数の箇所に取り付けられる脚部20cとを有するように構成することが好ましい。

    【0062】突き固め材料Wを加圧する場合には、突き固め材料Wの表面が平滑であるとは限らず、また平滑であっても材料自体に軟弱な部分と固い部分が存在することもあり、このような突き固め材料Wを加圧したとき、
    加圧による反力が加圧板21全体にわたり均一に作用しないこともある。 このような反力が1本のシャフトである連結部材20aに伝わると、連結部材20aの基端部分に大きな集中応力が作用し、クラックが生じる虞れがある。

    【0063】また、加圧板21に伝達される振動は、加圧板21を通り直線的に突き固め材料Wに伝播され、突き固め材料Wに入ると、放射状に拡がる性質を有しているので、分岐された脚部20cにより複数の点で加圧板21に振動を伝達すると、突き固め材料Wは複数の方向からの振動による相乗効果により突き固めが促進される。

    【0064】このため、本実施の形態では、加振ポイントを複数にしかつ集中応力の発生を回避するために、連結部材20aの下端部分を複数の脚部20cとなるように分岐している。

    【0065】この分岐は、加圧板21の形状を考慮して行なうことが好ましい。 例えば、四形の加圧板21であれば、図3(A)に示すように、四等分した各部分の中心と基部20bとを連結するように4点とする。 ただし、加圧板21の中心部分との連結を加えて5本としても良い。 また、図3(B)、(C)に示すように、円形の場合には3本乃至4本、5角形の場合には5本乃至6
    本等とすることが好ましい。

    【0066】なお、前記加圧板21には、外周面に前記突き固め容器40の内周面との間のシール性を高めるためにシール部材Sが設けられている。

    【0067】前記加圧手段23は、振動手段20を垂直方向下方に加圧する一対の油圧シリンダ装置であり、当該油圧シリンダ装置の上端は、前記内部フレーム11の頂板に取り付けられ、下端は、振動手段20のフレーム部材29の側端部を加圧するように取り付けられている。 この加圧手段23は、振動手段20を加圧する機能のみでなく、当該振動手段20を内部フレーム11内で昇降させる昇降手段としても機能するものである。

    【0068】特に、本実施の形態では、加圧手段23
    は、振動手段20の振動加圧による反力より大きな加圧力で当該振動手段20を直接加圧するようにしている。

    【0069】加圧手段23による加圧力が、振動手段2
    0の振動加圧による反力と等しいか若しくは小さい場合には、振動手段20の振動加圧力が突き固め材料Wを突き固める力として機能せず、加圧手段23と突き固め材料Wとの間で振動しているのみの状態となり、突き固め容器本体40内の突き固め材料Wに対する突き固めスピードは遅いか、場合によっては十分な突き固めができず、作業性が悪いものとなる。

    【0070】しかし、加圧手段23による加圧力が、振動手段20の振動加圧による反力より大きいと、加圧手段23による加圧力が振動手段20の振動加圧力に加わり、両者が加算された大きな力が突き固め材料Wを突き固める力として機能する。 この結果、振動手段20の振動により突き固め材料Wの微粒子(セメントや凝灰岩等)が微粒子相互(紙パルプ材成分間を含む)の隙間に入り込みを促進し、また一旦入り込んだ微粒子が元に戻ろうとする力を封じ込め、極めて短時間の内に体積を低減することができ、突き固めの作業性を著しく高めることになる。 これは、振動加圧の状態を変更しつつ突き固める実験を行なった場合に、不十分な力あるいは不十分な振動状態で加圧したとき突き固め材料Wが膨張現象を起こすことからも立証されている。 なお、図4は、振動加圧中の振動手段20から突き固め材料W内への力の伝達状態を示す説明図である。 材料Wの突き固めは、図4
    に示すように、突き固め容器40内に突き固め材料Wがキッチリと充填された状態のものを上方から加圧するので、上方から加えられる力や振動は、破線で示すように、下方に向かって末広がりに伝播され、突き固め容器40の下部で横向きに作用し、隅まで伝わり、図中破線A,Aで囲まれる範囲内の突き固め材料Wを突き固める。 また、突き固め容器40の下部に作用した力や振動は、その反力等が上方に向かって末広がりに伝播される。

    【0071】この結果、突き固め材料Wの内部付近は、
    強力に突き固められることになる。 なお水は非圧縮性であることから、この水は突き固め材料Wの内部の含浸性の材料成分中や突き固め前に存在していた気泡などの空隙部分に速やかに取り込ませ置換させるようにすれば、
    突き固め材料W中の気泡等の空隙が急速に減少し突き固めが速やかに行なわれるようになる。

    【0072】このため、本実施の形態では、突き固め容器40内の突き固め材料Wの内部からガス(若干の水分を含んでいても良い)を速やかに除去し、短時間の内に強力な突き固めが可能となるようにしている。

    【0073】なお、上記装置の他の実施の形態として、
    前記突き固め容器40を、図5に示すように、下端が開放されかつ側部に材料投入口41が開設された容器本体42と、頂板43を貫通して垂下された2本の多孔性パイプ44とを有し、前記頂板43には油圧シリンダ等により構成された昇降手段45が連結されているように構成してもよい。

    【0074】この昇降手段45は、容器本体42とともに多孔性パイプ44を昇降させるものであり、当該昇降手段45を下降動作することにより容器40を、ベルトコンベア部50上に載置し、この状態で投入口41から突き固め材料Wが投入されると、前記振動装置22により突き固め材料Wを突き固め、突き固め後は、昇降手段45により容器本体42とともに多孔性パイプ44を上昇させるようにしている。

    【0075】上記他の実施の形態としては、突き固め容器40内に多孔性パイプ44を設け、この突き固め材料Wの内部からガスや過剰の水分(この点については後述する)を速やかに除去し、短時間の内に強力な突き固めが可能となるようにしている。

    【0076】図6は多孔性パイプと内部に設けられたかき取り部材を示す一部破断概略斜視図である。

    【0077】この図6に示すように、多孔性パイプ44
    は、内外に多孔性パイプ44a,44bを有する二重構造とされ、その間に過剰の水分を漉す濾材R(これは、
    本発明では、従来のコンクリート製品に比してはるかに少量の水とセメントを用いるため最初から適正量の水を用いる場合にはこうした濾材は必要ないが、本実施の形態では、はじめからこうした成分量の調整を行わなくともこれら濾材を用いることで、ある程度、過剰の水分を加えてすばやく材料を調整しておき、これら濾材により過剰の水分を取り除くことで、所望の成分比率になるようにすることができるものである。 )として機能する化学繊維R1 ,R2 が設けられている。 これは、材料Wを突き固めるとき、材料Wの一部が多孔性パイプ44の内部に入り込むのを防止し、極力ガスや過剰の水分をパイプ44内に取り込むようにするためである。

    【0078】また、二重構造の多孔性パイプ44a、4
    4bの外部に付着した土の清掃作業を容易にするために、本実施の形態では、多孔性パイプ44の外周面と振動手段20の加圧板21との間を小許の間隙とし、多孔性パイプ44内にはかき取り部材47が設けられている。

    【0079】これは、容器40と共に多孔性パイプ44
    を引き上げるとき、パイプ44の内周面に付着した土は、当該多孔性パイプ44内に設けられたかき取り部材47によりそぎ落し、パイプ44の外周面に付着した土は、加圧板21によりそぎ落すためである。

    【0080】前記かき取り部材47は、内部フレーム1
    1の上部に掛け渡された固定フレーム48を利用して取り付けられており、この固定フレーム48に位置固定のバー49の上端を取り付け、このバー49の下端に3層のピストン状の頭部47aを設け、突き固め容器40及び加圧板21と、多孔性パイプ44との間で相対的な移動があれば、この頭部47a及び加圧板21により多孔性パイプ44内外の材料Wをそぎ落とすようにしている。

    【0081】なお、この3層のピストン状の頭部47a
    には、好ましくは、ピストンリング(図示せず)が3本取り付けられ、当該ピストンリングのスリットが軸線に対して斜めに傾斜するように、しかもこれらスリットが相互に軸線方向同じ位置とならないように構成することである。 このようにすれば、パイプ44の内周面に付着した土を確実に除去することができ、またガスが元の材料W内に入り込む虞れもない。

    【0082】図7はベルトコンベア部分の概略正面図、
    図8はベルトコンベア部分の縦断面図である。

    【0083】前記ベルトコンベア部50は、図7、8に示すように、前記内部フレーム11の底部に手動により横方向移動可能とされるように設けられている。

    【0084】このベルトコンベア部50は、前記突き固め容器40自体と突き固め時の力を受けるための受け板51を有している。

    【0085】この受け板51は、図8に示すように、側部に凹溝51aを有し、この凹溝51aに、内部フレーム11より内方に突出された複数の支持ロッド57がベアリング等を介して嵌挿され、当該内部フレーム11に対し、矢印で示す水平方向に手動で移動可能とされている。

    【0086】このようにしたのは、ベルトコンベア部5
    0上で突き固められたものを簡単に外部に引き出すことができるようにするためである。

    【0087】この受け板51上には、ベルト52が走行可能に設けられている。 このベルト52は、両端に設けられたプーリ53に卷回されているが、このプーリ53
    は、同軸的に取り付けられたスプロケット54、チェーン55及びモータ(図示せず)を介して駆動される。

    【0088】このように本実施の形態のベルトコンベア部50は、前記内部フレーム11の底部上に設けられているので、この内部フレーム11の上部に設けられている前記振動装置22や加圧手段23の突き固め力が突き固め材料Wを介してベルトコンベア部50に伝わっても、この内部フレーム11内で相殺され、他に伝播することはない。

    【0089】上述した高圧振動締固め装置を用いて、突き固め材料全体を突き固め固形化するには、まず、振動手段20と加圧手段23を駆動することにより行なう。
    これら両手段20、23の同時作動により、加圧板21
    が振動しつつ下降し、突き固め容器40内の突き固め材料が振動加圧される。 このとき、突き固め容器40の投入口41は、加圧板21の側部に設けられた閉塞板21
    aにより閉鎖される。

    【0090】振動手段20による振動加圧は、周期的に行なわれるが、加圧手段23からの加圧力は、常時振動手段20を介して加圧板21を加圧することになるので、振動手段20の上下振動は、ほとんど突き固め材料の突き固めに供される。

    【0091】また、この振動手段20による振動も、加圧手段23による加圧も、内部フレーム11内での作用反作用として作用するので、力のロスがなく、突き固めは極めて強力なものとなる。

    【0092】振動加圧が開始された当初は、低周波振動が突き固め材料Wに加わり、突き固め材料W内では微粒子が微粒子相互の隙間に入り込み、また、突き固め材料Wの内部の水分は、多孔性パイプ44内に入り込み、突き固め材料Wの内部の水分やガスも中心から除去されるので、突き固め容器本体40内の突き固め材料Wは、驚くほどのスピードで体積を低減することになる。

    【0093】本実施の形態では、加圧手段23による加圧力が、振動手段20の振動加圧による反力より大きいので、振動手段20の振動により突き固め材料Wの微粒子が微粒子相互の隙間に入り込みを促進し、また一旦入り込んだ微粒子が元に戻ろうとする力は封じ込められ、
    極めて短時間の内に体積を低減することができ、突き固めのスピード著しく高め、作業性が向上する。

    【0094】このようにして、突き固めが最終段階となると、振動手段20の振幅も次第に小さくなり、加圧手段23による加圧板21の下降スピードも低減することになり、最終的には、振動手段20が加圧手段23により押さえ込まれ、振動手段20は上下の振幅が零の状態、つまり振動しない不作動状態となり、加圧手段23
    の加圧によっても、突き固め容器40内の突き固め材料Wは変化しない状態となり、突き固め材料W全体が均一に強固に圧縮固化され、硬度の高い突き固め状態である。

    【0095】突き固めが完了すると、突き固め容器40
    は多孔性パイプ44とともに上昇する。 この場合、多孔性パイプ44内には、かき取り部材47が設けられ、外周には加圧板21が設けられているので、多孔性パイプ44内に入り込んだ突き固め材料Wは、かき取り部材4
    7によりそぎ落とされ、また多孔性パイプ44の外に付着した突き固め材料Wも加圧板21によりそぎ落とされる。 したがって、別途清掃作業を行なわなくても、この装置の中心部分は常にクリーンな状態が保持される。

    【0096】前記容器40の上昇により突き固められた突き固め材料Wは、ベルトコンベア部50上に残されることになるので、このベルトコンベア部50を手動により移動すれば、外部に搬出することができる。

    【0097】なお、突き固め作業中に振動手段20により発生した振動は、内外フレーム11、12及びガイドローラを介して外部に伝達されるが、この内部フレーム11の振動は、クッション性及び反発力がともに優れた弾性支持部13により吸収されるので、運転は静かに行なわれる。

    【0098】また、低周波振動と加圧を同時に作用させて突き固めると、突き固め材料W内の微粒子が微粒子相互の隙間に入り込み、突き固め材料W全体の体積を著しく低減するのみでなく、突き固めにより形成されたもの(セメント硬化体)が極めて高い硬度を有するものとなることが実験により判明している。

    【0099】特に、本実施の形態のように、加圧手段2
    3による加圧力が、振動手段20の振動加圧による反力より大きいと、振動装置22が突き固め材料Wから受ける反力も、この加圧手段23により突き固め材料Wの突き固めに利用されるので、強力な突き固めが行なわれる。 これは、最終段階において突き固め材料Wに極めて大きな力が加わり、実験結果から判断して材料自体の組成までも変化していると思われるほど極めて堅く突き固められる。

    【0100】しかも、突き固め製品であるセメント硬化体は、全体が均一化した状態になるので、建築資材等としてJISなどで求められる要求基準に適合し得るため、例えば、建築物の天井材、壁材、床材などの各種建材、さらには防火・耐火材、防音・遮音材などにも使用することができる。 特に、このように振動を加えつつ加圧した製品であるセメント硬化体は、紙パルプ材を使用しているにもかかわらず、長期間水等に入れても内部に水が浸入しないことが判明している(2〜3ケ月間水中に放置した後に、切断しても内部に水が浸入していないことが判明している)。

    【0101】上述したものは、本発明の製造方法に用いることのできる高圧振動締固め装置の好ましい実施の形態であるが、本発明の製造方法では、この実施の形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々の変更が可能である。 例えば、前記実施の形態は、走行可能な台車に突き固め装置を設置し、またこれにホッパーも取り付けたものであるが、本発明は、必ずしも台車に設置する必要はなく、またホッパーも必須のものでもない。 前述した本体フレーム部分のみでも突き固めは可能である。

    【0102】また、振動手段20の加圧板21は、1枚のみであるが、場合によっては、複数枚使用しても良く、さらに、容器の形状も水平断面矩形状をしているが、この形状も三角形あるいは星形や円や惰円等種々の形状のものを選択することが可能である。 加えて、ホッパー部内に設けられた掻きならし部材とヘラ部材は、いずれか一方により他方の機能を持たせるようにしてもよい。

    【0103】本発明の製造方法では、上述したような突き固め材料及び高圧振動締固め装置を用いて、当該突き固め材料に圧力と振動を短時間(通常、数十秒〜数分間)加えるだけで、材料全体を固形化することができ、
    その後、乾燥も焼成も行うことなく所望のセメント硬化体の製造することができるものであり、従来のコンクリートの製法のように一定期養生させる必要もない画期的な製法といえ、これにより、製造時間の大幅な短縮が可能となり、生産コストが極めて低く抑える事が出きる。

    【0104】次に、本発明のセメント硬化体は、上記製法により得られてなるものであればよい。 これにより、
    通常のコンクリート製品で必須成分とされる高比重の既存の骨材を含有しなくともよく、かつ従来の紙等を利用した固化体に比して格段に緻密で高い密度を有し、軽量化、小型型成型品化、薄肉成型品化が図られる。 にもかかわらず、従来のコンクリート製品に匹敵もしくはこれを上回るような高い圧縮強度や曲げ強度を有し、石のように硬く、ダイヤモンドカッターやドリルが通用しないような弾性と硬度を合わせ持つものである。 すなわち、
    従来のコンクリートでは、比重の大きな骨材を使用するため、軽量化には、多孔質で比重の軽い骨材を使用するか、気泡を導入する必要があったが、本発明のセメント硬化体では、こうした高比重の骨材に変えて、極めて比重の軽い紙パルプ材等の廃材である古紙等の新骨材を用いてなるため、通常のコンクリート製品に比して軽量化を達成でき、さらに十分に小型成型品化、薄肉成型品化をも達成できるほか、極めて製造コストを低く抑えることができ、同時に廃材のリサイクルにも貢献し得るものである。

    【0105】なお、本発明のセメント硬化体は、製法からみると上記のように規定することができるが、その組成および特性から以下のように規定することもできる。

    【0106】すなわち、本発明のセメント硬化体は、繊維質材料、火山性の岩石粉、灰・焼成残渣分およびガラス粉よりなる群から選ばれてなる少なくとも1種の新骨材、セメントおよび水を含有してなるセメント硬化体であって、当該セメント硬化体の圧縮強度が、3N/mm
    2以上、好ましくは10N/mm 2以上、より好ましくは15N/mm 2以上、特に好ましくは20N/mm 2
    以上である。 該圧縮強度が10N/mm 2未満の場合には、通常のコンクリート強度(約10N/mm 2程度)
    よりも低くなるため、コンクリートの代替え品としての幅広い分野への利用が制限されるため好ましくない。 ただし、10N/mm 2以下であっても既存の紙製品に比べれば極めて強度の高いものであり、使用用途によっては、むしろ軽量化で高い断熱性を有する建築資材としての利用が図れるものであり、本発明のセメント硬化体の技術範囲に含まれるものである。 一方、強度の上限については、製造時に装置性能を高めたり、突き固め材料の成分構成を高強度化に適した材料を選択することで、1
    5〜20N/mm 2という通常のコンクリート強度を上回る高い強度のセメント硬化体も製造可能である。 特に住宅地などでの多用されているコンクリート塀これらコンクリート塀に代えてセメント硬化体を用いることで、
    軽量かつ耐震強度にも優れるため、地震や自動車等が壁に衝突して塀が崩れて人に当たった場合にも軽傷で済むなどの利点も有するものである。

    【0107】ここで、セメント硬化体の構成成分に関しては、上記セメント硬化体の製造方法に説明したと同様のものを用いることができることはいうまでもない。

    【0108】前記セメント硬化体の構成比率としても、
    上記セメント硬化体の製造方法に説明したとほぼ同様の範囲内となる。 ただし、製造過程およびその後の乾燥により若干全体の構成比率が変動するものである。 すなわち、製造条件および使用環境により水分量が変動するため、全体の構成比率も変動するものである。 ここでは、
    製造後、自然放置下(温度が25±3℃、湿度が65±
    5%に28日間保管した後に測定したものとする。 すなわち、前記石様固化物の構成比率は、前記新骨材(A)、セメント(B)および水(C)の体積比が、
    (A):(B):(C)=(A):(B):(C)=1
    〜30:1:0.5〜5、好ましくは1〜25:1:
    0.5〜1である。 すなわち、本発明のセメント硬化体では、その使用用途により求められる特性が大きく異なることから、その成分組成も当該特性に応じて最適範囲が異なるものである。 適宜決定されるものである。 すなわち、それぞれの使用用途にあった機械的強度や耐熱性、耐火性、吸音性などの性能や軽量化、小型成型品化、薄肉成型品化等の要求される特性や意匠性などの外観特性などを充分に発現できるように、個々に最適な組み合わせにおける最適な構成比率を適宜決定すればよいといえる。 また、上記(A)、(B)、(C)の重量比も、その使用用途により適正な範囲が異なるため、一義的に規定することはできないが、大体の目安としては、
    当該(A):(B):(C)=0.1〜30:1:0.
    1〜30の範囲である(但し、これらはあくまで目安であり、(A)の種類や組み合わせによっては、上記範囲内でも十分な特性を得られないことがある反面、上記範囲を外れても十分な特性を発現することができる場合もあり得る)。

    【0109】さらに、必要に応じて、上記に示す各種添加剤も任意成分として適宜含有されていてもよく、その場合には、その含有されることによって当該添加剤の持つ特有の作用効果が有効かつ効果的に発現し得る範囲内で適当量を含有しているのが望ましい。

    【0110】ただし、上記セメント硬化体の各成分の構成比率の総和は、如何なる場合にも100体積%である。

    【0111】さらに、本発明のセメント硬化体では、
    0.5g/cm 3以上、好ましくは1.5〜3.0g/
    cm 3 、より好ましくは1.5〜2.5g/cm 3である。 セメント硬化体の密度が1.0g/cm 3未満の場合でも条件によっては所望の石様固化物を得ることができることはいうまでもない。 ただ、一般的にみて十分な突き固めがなされず、脆性(割れやすく)になる場合があるほか、薄肉成型品化が困難となり、建材として、天井や壁など薄肉なものが重宝される部分への適用が困難となる場合もある。 また、密度の上限は特に規定されるものではなく、3.0g/cm 3を超えても製造することができる。 ただこの場合には、製造時の加圧加振力を高める必要があるり、曲げ強度が低下し脆性となる場合がある。 かかる密度は、その構成成分の大半を紙パルプ材等の新骨材が占めるにもかかわらず、セメント硬化体の内部に隙間(空隙)部分が従来のコンクリート製品や紙固化体(固形化体)に比して著しく少ないことを意味する。 これにより繊維質材料である紙パルプ材の高密度化により、しなやかさと強さをあわせ持つ強靭なセメント硬化体が得られ、後述するような機械的特性や熱的特性、物理的(吸音)特性などに優れることの一因ともなっていると思われる。 したがって、セメント硬化体の密度が1.0g/cm 3未満の場合には、脆性(割れやすく)になるため、薄肉成型品化が困難となり、建材として、天井や壁など薄肉なものが重宝される部分への適用が困難となるなど好ましくない。 また、密度の上限は特に規定されるものではなく、3.0g/cm 3を超えるものは製造することはできるが、この場合には、セメントや凝灰岩の含有率を高め、さらに製造時の圧力を高める必要があるが、曲げ強度が低下し脆性となるほか、製造装置、特に高圧振動締固め装置が大がかりとなるなど設備投資やランニングコストがかさむため、産業上の利用可能性が低くなる。

    【0112】さらに、本発明のセメント硬化体では、防火・耐火性(難燃性)の観点から、JISに規定する防火・耐火試験方法により所望の建材などの防火・耐火規格に適合(合格)するものが好ましい。 こうした特性を備えることにより、火災時に、表面から2〜4cmの位置におけるコンクリートの温度は400〜600℃になるが、通常のコンクリートの耐火度(約600℃)であり、十分とはいえないのに比べて高い耐火度を有するため、外壁材や天井や床材など、さらには防火シャッターやダンパー等に幅広く適用することができる。 本発明のセメント硬化体では、構成成分中にほぼ均一に含水した紙パルプ材を大量に含有しているため、防火・耐火(難燃)効果のある気泡や無機系の多孔質材料等を多く含ませなくともよく、そのため上記に規定する圧縮強度、曲げ強度、密度を備えた上で、なおかつ十分な防火・耐火性(難燃性)を発現させることができるとする利点を有するものである。 これにより、幅広く防火材、耐火材ないし難燃材として利用することができる。

    【0113】次に、本発明のセメント硬化体の用途としては、従来のコンクリート製品に匹敵もしくはこれを上回るような高い圧縮強度を有するので、現在のコンクリート製品、特にブロック状や板状などの形態で使用されている製品の代替製品として安価に提供できるため、極めて幅広い技術分野(用途)に利用(適用)できる。 また、本発明のセメント硬化体は、突き固めにより格段に緻密で高い密度を有し、小型成型品化、薄肉成型品化が図られるため、断熱・耐火建材などへの利用も可能である。 さらに、漁礁などの海洋資材などへの利用も可能である。

    【0114】本発明のセメント硬化体の用途として、以下に建築土木用資材への利用例として、ブロック塀や擁壁等の壁材に利用する場合を例に、図面を用いて簡単に説明する。 ただし、本発明のセメント硬化体は、これらの用途に限定されるべきものでないことはいうまでもない。

    【0115】図9〜10に示すように、本発明のセメント硬化体として、上記に説明した製造方法により断面凹状のブロック状のセメント硬化体91に製造する。 該ブロック状のセメント硬化体91には、製造時にあらかじめ連結孔用の棒材(図示せず)を入れて成形固化させてもよいし、製造後にドリルなどにより所望の位置に連結孔93
    をあけてもよい。 製造時にあらかじめ連結孔用の棒材(図示せず)を入れて成形固化させる場合には、製造後に棒材が抜き取りやすいように、潤滑剤ないし滑剤等を棒材表面に施しておくのが好ましい。 こうして得られたブロック状のセメント硬化体91は、該連通孔93につなぎボルト95を用いて連接するブロック状のセメント硬化体
    91を連結して所望のブロック塀を形成することができる。 詳しくは、セメント硬化体91が、断面凹状のブロック状のものであって、隣接するセメント硬化体91同士を連結するための連結孔93が凹状の四辺の少なくとも1辺に設けられており、隣接するセメント硬化体91の連結孔
    93同士が、つなぎボルト95によって貫通され、該つなぎボルト95にて締結されて、隣接するセメント硬化体91同士が連結されており、また、設置(=接地)面101内に埋設されたアンカーボルト97が、設置面用のセメント硬化体91の底辺部の連結孔93に通されて締結されて固定されているものである。 なお、設置面101上にブロック状のセメント硬化体91を固定する場合には、図10に示すように、設置面101に所定の間隔をあけて埋設して固定されたアンカーボルト97に、各ブロック状のセメント硬化体91の連通孔93を通して締め付けて固定していけばよいし、逆に各ブロック状のセメント硬化体91の連通孔93
    にアンカーボルト97を通して締結しておき、設置面101
    にアンカーボルト97を埋設するための穴(図示せず)をあけて、この穴にアンカーボルト97を入れてセメントなどを流し込んで埋め戻し、該アンカーボルト付きのセメント硬化体91を設置面101に強固に固定しても良い。 なお、各ブロック状のセメント硬化体91同士を連結する場合に、例えば、ゴムないしエラストマー等の弾性を有するクッションパッド99を介して固定することで、締め付けが確実に行えるほか、硬いもの同士を直接締め付ける細に起こりがちな割れや欠けを防止する緩衝効果もある。 また、連結孔93の数も、ブロック状のセメント硬化体91の大きさに応じて適宜決定すればよいが、通常、各片に1〜3個程度を設ければたりる。 過剰に設ける場合、所望の強度を発現させるのが困難となる場合がある。 また、ブロック塀のように外観が問われる場合には、適当な顔料や染料などを突き固め材料に加えてもよいし、表面のみにスプレーなどにより塗布しても良い。
    これにより、壁材等の建築土木用資材に所望の意匠性を発現させることができ、突き固め材料に加えた場合には、色落ちしないので長期にわたり意匠特性を保持できる利点を有する。 特に、セメント硬化体91を断面凹状のブロック状にすることで、小型軽量化が図れ、個々に色や表面の平滑さや肌触り等が異なるブロックを組み合わせることができるなどバリエーションが豊富でその外観の意匠性を高めることもでき、また損傷した部分の取り替え作業が重労働にならず、必要場部分のみを取り替え可能であるため、経済性にも優れるほか、新たに増設する場合などに、縦でも横でも自由に拡張させることも可能である。 また、小型軽量化によりブロック塀が壊れて人や動物が下敷きになっても軽傷ですむという利点も有する。 さらにブロック塀等では、軽量かつ高強度が得られる新骨材(例えば、比較的軽いシュレッダーで裁断した古紙や軽量化と強度特性の向上につながるパームやし等の繊維質材料など)を適当に組み合わせて利用するのが好ましい。 また、擁壁のように土砂災害を防止する目的で建造するような場合には、外観等の意匠性よりももっぱら強度に重点が置かれるため、緻密化が容易なように、シュレッダーで裁断した古紙やパームやしに加えて、大谷石粉、ガラス粉など粒度の細かい無機鉱物と、
    さらに強度及び粘性(割れにくさ)を増すために、樹脂粉などを加えるのが好ましい。

    【0116】上記に示したように、本発明のセメント硬化体の形状(形態)に関しては、何ら制限されるものではなく、突き固めにより成形できるものであればその使用用途に応じて任意の形態を取り得るものである。 例えば、ブロック状等の形態に突き固めた後、適当に孔等をあけるなどの加工をしてもよいし、ブロック状等の形態に突き固めた後、所定の厚さにスライスして板状に2次加工などしてもよいことはいうまでもない。 さらに漁礁などに利用する場合には、枠型、L型、V型等の形態のものとし、これらを適当につなぎ合わせて利用してもよい。

    【0117】

    【実施例】以下、本発明の実施例により具体的に説明する。

    【0118】実施例1〜4 (1)突き固め材料の調製 セメントミキサー中に下記表2に示す各成分を同表に示す分量を添加、混合して各種の突き固め材料のサンプルをそれぞれ調製した。 尚、新骨材にシュレッダーで裁断した古紙等を使用した例では、あらかじめ水に含浸した状態における体積を測定したため、下記表2では、水と古紙等をまとめた体積を記載したが、いずれも古紙等が十分に水を含んだ状態とした。

    【0119】(2)セメント硬化体の製造 上記(1)の調製により得られた各種の突き固め材料のサンプルを、図1に示す高圧振動締固め装置を用いて圧力と振動を加えて、材料全体を固形化した。 すなわち、
    縦240mm、横120mm、高さ400mmの枠の突き固め容器40内に300mmの高さまで投入された前記突き固め材料(W)を垂直に加圧する加圧手段23と、
    前記突き固め材料Wに上下振動を加える振動手段20とを有し、当該加圧手段23が、前記振動手段20の振動加圧による反力より大きな加圧力で当該振動手段20を振動加圧することで、実施例1〜4(ただし、実施例1
    〜3は、加圧手段23が、振動手段20を直接加圧するようにし、実施例4は、加圧手段23が、振動手段20
    を直接加圧しないように振動手段20にゴムないしバネをかまるようにした)の材料全体を同時に固形化して、
    240mm×120mm×240mmのブロック状のセメント硬化体を製造した。 具体的には、下記表1に示すようにサンプル毎に条件を変化させて行ったが、実施例1〜4では何れの場合も、5トンないし10トンの上下振動加圧力を有する流体圧作動式の振動装置22を使用し、発生する振動の周波数(突き固め材料に加える振動数)を30Hzの低周波の範囲とし、振幅を1.0〜
    1.5mmの範囲として、前記突き固め材料Wを突き固めた。 加圧手段23の力は実施例1〜3では1.5〜
    1.8N/mm 2とし、実施例4では3.0N/mm 2
    とした。 また、突き固め時間は、2.0〜3.3分間の範囲とした。

    【0120】得られたブロック状のセメント硬化体の各サンプルを自然放置下で28日経過後に、ブロック状の石様固化物および比較用固化物の各サンプよりコア(直径約50mm、高さ約10mm)を供試体として打ち抜いて採取した。

    【0121】(3)石様固化物および比較用固化物 上記(2)で得られた供試体を用いて圧縮強度を求めた。 得られた結果を下記表2に示す。 圧縮強度は、JI
    S A 11008に従って測定した。

    【0122】

    【表2】

    【0123】上記表2からも明らかなように、本実施例1〜3のセメント硬化体では、通常のコンクリートブロックの圧縮強度である10〜15N/mm 2と同等若しくはそれ以上の高い圧縮強度を発揮することが判明した。 なお、実施例4では、振動手段20にゴムないしバネをかませたことにより、圧縮強度が低くなった。 これにより、内部に水分を多く含有するため、乾燥後に多孔質となり、軽量化、断熱性、消音性などの特性を発揮することができる構造にできる。

    【0124】

    【発明の効果】本発明のセメント硬化体およびその製法では、従来のコンクリートの構成成分の骨材を用いることなく、大量の紙パルプ材を使用し、かつ従来に比してはるかに少量の水とセメントも用い、これに高圧加振を短時間加えることにより、材料全体を固形化することができ、その後に従来のコンクリート製品の様な養生を行わなくとも、従来品に比べて強度、耐熱性等の特性に優れた製品を得ることができる。 また、紙パルプ材には、
    シュレッダーで切断した廃紙を有効活用することができるため、大幅な低価格化、省エネルギー化をはかることができるほか、二酸化炭素の増大による地球温暖化やダイオキシン等の環境ホルモン(生体内ホルモン撹乱物質)による環境汚染等の一因として廃紙を含む一般廃棄物の焼却などが挙げられており、こうした観点からも、
    廃紙のリサイクルによる建築材料、耐熱材料等への本発明の再生技術は、環境対策の一環とも成り得るものである。

    【0125】また、本発明では、従来の紙固化体では実現し得なかった高い密度を有することから、その大半が紙からできているとは考えられないような、いわば石のように硬いという高い圧縮強度を備えている(これは従来にコンクリート製品とに比べても同等以上である)にも関わらず、従来にコンクリート製品とに比べると極めて軽く(軽量化)、薄肉成形品化、小型成形品化を実現できるほか、例えば、600mm×600mm×6mm
    のセメント硬化体の中心部に100kgの荷重を加えることにより5mm程度のたわみを発現できるとする高い曲げ強さ(弾性)を備えている。 そのため、通常の建材はもとより、免震工法に適した建材などにも利用できる。 さらに、本発明のセメント硬化体では、その大半が紙からできているとは考えられないような、優れた防火・耐熱性、保温・断熱性、吸音性等の建材に求められる多くの特性を備えており、建築物(床、壁、天井など)
    の不燃構造部分、住宅用の保温・断熱材、建築物の床衝撃音などの吸音材や防音シャッターなどの吸音材料、スピーカーなどの吸音性に優れたキャビネット、高速道路や高速鉄道などの騒音レバルの高いところに用いる防音壁や騒音吸収パネル等に幅広く利用できる。 さらに、ダイヤモンドカッターで容易に切断できず、ドリルを使ってもドリルの方が焼きつくなどの特性を備えており、外壁材などにも利用できる。 さらに、薄肉化が可能であり、軽量化も図れるため、高機能性の建材のほか、家具製品やインテリア製品などとしても利用できる。

    【図面の簡単な説明】

    【図1】 本発明のセメント硬化体の製造方法に用いられる高圧振動締固め装置の一実施形態であって、当該装置の振動手段の取り付け状態を示す要部断面図である。

    【図2】 本発明のセメント硬化体の製造方法に用いられる高圧振動締固め装置の一実施形態であって、当該装置の連結部材を詳示した断面図である。

    【図3】 本発明のセメント硬化体の製造方法に用いられる高圧振動締固め装置の一実施形態であって、当該装置の連結部材の取り付け状態を示す平面図である。

    【図4】 本発明のセメント硬化体の製造方法に用いられる高圧振動締固め装置の一実施形態であって、当該装置の振動加圧中の力の伝達状態を示す説明図である。

    【図5】 本発明のセメント硬化体の製造方法に用いられる高圧振動締固め装置の一実施形態であって、当該装置の突き固め容器を略示した一部破断概略斜視図である。

    【図6】 本発明のセメント硬化体の製造方法に用いられる高圧振動締固め装置の他の一実施形態であって、当該装置の多孔性パイプとかき取り部材を示す一部破断概略斜視図である。

    【図7】 本発明のセメント硬化体の製造方法に用いられる高圧振動締固め装置の他の一実施形態であって、当該装置のベルトコンベア部分の概略正面図である。

    【図8】 本発明のセメント硬化体の製造方法に用いられる高圧振動締固め装置の他の一実施形態であって、当該装置のベルトコンベア部分の縦断面図である。

    【図9】 本発明のセメント硬化体を用いてなるブロック塀(一部分)の一実施形態を切断部端面図を用いて表した概略斜視図である。

    【図10】 図9のブロック塀を表す概略正面図である。

    【符号の説明】

    10…本体フレーム、 11…内部フレーム、1
    2…外部フレーム、 13…弾性支持部、20…
    振動手段、 20a…連結部材、20b…基部、 20c…脚部、21…加圧板、
    22…振動装置、23…加圧手段、
    40…突き固め容器、42…容器本体、
    47…多孔性パイプ、47a…かき取り部材、
    51…受け板、W…突き固め材料、91…断面凹状のブロック状のセメント硬化体、93…連結孔、
    95…つなぎボルト、97…アンカーボルト、
    99…クッションパッド、101…設置(接地)面。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 18:16 C04B 18:16 18:30 18:30 16:06 16:06 Z 14:22 14:22 16:04) 16:04)

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