Hydraulic silica-based binder, and water and heat resistant solidified body

申请号 JP354199 申请日 1999-01-11 公开(公告)号 JPH11263661A 公开(公告)日 1999-09-28
申请人 Nato Kenkyusho:Kk; 有限会社ナトー研究所; 发明人 NAITO HIROYUKI; NAITOU NANAE;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To obtain a water and heat resistant solidified body comprising a silica polymer with various uses by homogeneously dispersing a three-component admixture consisting of a specified silica-alkali compsn., a specified aluminate compsn. and water in a specified ratio respectively to prepare a wet fluid body. SOLUTION: This silica-alkali compsn. (A) is a liq. or powdery compsn. comprising one kind or more alkali silicates represented by the formula M2 O.aSiO2 .bH2 O [where M is on alkali metal element of Li, Na or K; (a) is 1.8-3.5; and (b) is 2.5-50.0]. This aluminate compsn. (B) is an alumino powder comprising one kind or more aluminates of alkaline earth metals represented by formula cQO.Al2 O3 .dH2 O [where Q is Ca or Mg; (c) is 0.8-5.0; and (d) is 0-6.5] and having a 2,000-100,000 cm /g specific surface area. As the blending ratio, the amt. of the component A is 10-310pts.wt. based on 100 pts.wt. of the component B and the amt. of water is 200 pts.wt. based on 100 pts.wt. of the components A and B.
权利要求 【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】 シリカ−アルカリ組成物とアルミン酸塩組成物とからなる2成分混合組成物に対して、水が混和されている3成分混和物が均質分散されている湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーにおいて;上記のシリカ−アルカリ組成物が、下記組成式(1) M 2 O・aSiO 2・bH 2 O ・・・・・・・・・・・・ (1) (式中:M はリチウム、 ナトリウムないしはカリウム群のアルカリ金属元素、aは1.8 ないし3.5 の数であり、b
    は2.5 ないし50.0の数である)で表わされるケイ酸アルカリの群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ基本標準組成物(A1)からなる液状もしくは粉状のシリカ−アルカリ組成物(A) であり;上記のアルミン酸塩組成物が、下記組成式(2) cQO・Al 2 O 3・dH 2 O ・・・・・・・・・・・・ (2) (式中:Q はカルシウムないしはマグネシウム群のアルカリ土類金属元素、c は0.8 ないし5.0 の数、d は零を含む6.5 以下の数)で表わされるアルカリ土類金属のアルミン酸塩の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせで、さらに比表面積が2,000 ないし100,000 cm
    2 /g であるアルミノ粉体(B1)からなる粉状のアルミン酸塩組成物(B) であり;上記の2成分混合組成物が、上記の粉状のアルミン酸塩組成物(B) 100 重量部に対して、
    上記の液状もしくは粉状のシリカ−アルカリ組成物(A)
    10ないし310重量部で混合されている液状もしくは粉状の2成分混合組成物(CD)であり;上記の3成分混和物が、上記の2成分混合組成物(CD)100 重量部に対して、
    水200 重量部以下の量で均質分散されている湿式流動体の3成分混和物(WT)であることを特徴とする水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項2】 前記のシリカ−アルカリ組成物(A) が粉状粘土鉱物にアルカリ塩化合物と水とを加えて予め混和・変性処理されている液状のシリカ−アルカリ組成物において;上記の粉状粘土鉱物が、含水フェロケイ酸塩の2:1層型スメクタイト族からなる粉状粘土鉱物(E) であり;上記のアルカリ塩化合物が、下記組成式(3) M 2 O・eY・fH 2 O ・・・・・・・・・・・・・・・(3) (式中:M はリチウム、 ナトリウムないしはカリウム群のアルカリ金属元素、Yは炭素、ホウ素ないしケイ素の元素の単独ないし2種以上の組み合わせ元素のオキシ酸、e は零を含む4.0 以下の数、f は零を含む28.0以下の数)で表わされるアルカリ塩化合物の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせアルカリ塩化合物
    (F) であり;上記のシリカ−アルカリ組成物が、上記の粉状粘土鉱物(E) 100 重量部に対して、上記のアルカリ塩化合物(F) 30ないし300 重量部と水100 ないし350 重量部とを加えて混和・変性処理されているスラリー状の粘土変性組成物(A2)からなる液状のシリカ−アルカリ組成物(A) である請求項1記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項3】 前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、緩衝帯形成剤が予め混合複合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記の緩衝帯形成剤が、アルカリ溶液に可溶性のホウ素含有化合物類の単独ないしは2種以上の組み合わせホウ素含有化合物
    (T) からなる緩衝帯形成剤(AT)であり;前記シリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記緩衝帯形成剤(AT)が40重量部以下の量で均質に混合複合されている液状もしくは粉状のホウ素複合組成物(A3)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である請求項1または2記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項4】 前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、結晶成長タネが予め混合複合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記結晶成長タネが、下記単位格子の化学組成式(4) M x/n・[(AlO 2 ) x・(SiO 2 ) y ]・wH 2 O ・・・・・・・・・・・(4) (式中:Mハ原子価nの金属陽イオン、 x+yは単位格子当りの四面体数)で表されるアルミノケイ酸塩のゼオライト(S) からなる結晶成長タネ(KS)であり;上記シリカ−
    アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記結晶成長タネ(KS)が0.01ないし10重量部で均質に混合複合されている液状もしくは粉状のタネ複合組成物(A4)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である請求項1または2記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項5】 前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、硬化調整剤が混合複合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記硬化調整剤が、下記組成式(5) BaO・gSiO 2・hH 2 O ・・・・・・・・・・・・・・(5) (式中:g は4.0 以下の零を含む数、h は9.0 以下の零を含む数)で表わされるアルカリ溶液に可溶な粉末バリウム塩類の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせバリウム塩(J) からなる硬化調整剤(KJ)であり;
    前記シリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、
    上記硬化調整剤(KJ)が0.1 ないし10重量部で均質に混合複合されている液状もしくは粉状のバリウム複合組成物
    (A5)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である請求項1または2記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項6】 前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、粘度改質剤が予め混合複合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記粘度改質剤が、易反応性のケイ酸カルシウム(G) からなる粘度改質剤(GS)であり;前記シリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記粘度改質剤(GS)が70重量部以下の量で均質に混合複合されている液状もしくは粉状のケイカル複合組成物(A6)からなるシリカ−アルカリ組成物(A)
    である請求項1または2記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項7】 前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、前記の緩衝帯形成剤(AT)、結晶成長タネ(AS)、硬化調整剤(AJ)もしくは粘土改質剤(AG)からなる複数複合剤が予め複合混合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記の複数複合剤が、前記の緩衝帯形成剤(AT)、結晶成長タネ(AS)、硬化調整剤(AJ)もしくは粘土改質剤(AG)の群より選ばれた2種以上の組み合わせ複数複合剤(AM)であり;前記のシリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記複数複合剤(AM)70重量部以下の量で均質に混合複合されている液状もしくは粉状の複数複合組成物(A7)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である請求項1または2記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項8】 前記のアルミン酸塩組成物(B) が、水酸化アルミニウムとアルカリ土類金属とが予め混合されているアルミン酸塩組成物において;上記水酸化アルミニウムが、易反応性の水酸化アルミニウムからなる水酸化アルミニウム(BH)であり;上記のアルカリ土類金属のケイ酸塩が、下記組成式(6) iDO・SiO 2・jH 2 O ・・・・・・・・・・・・・・(6) (式中:D はカルシウムないしはマグネシウムの群より選ばれたアルカリ土類金属元素、i は0.2 ないし5.0 の数、j は零を含む6.6 以下の数)で表されるアルカリ土類金属のケイ酸塩群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせアルカリ土類金属のケイ酸塩(BC)であり;
    上記の水酸化アルミニウム(BH)100 重量部に対して、アルカリ土類金属のケイ酸塩(BC)が2 ないし30重量部で均質混合されている前駆体組成物(B2)からなるアルミン酸塩組成物(B) である請求項1ないし7のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項9】 前記のアルミン酸塩組成物(B) が、廃棄物粉体を主成分としているアルミン酸塩組成物において;上記の廃棄物粉体が、熱履歴を受けているアルミン酸塩化合物を含有するフライアッシュ、スラッグ、スラッジならびに焼却灰の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ廃棄物粉体(B3)からなるアルミン酸塩組成物(B) である請求項1ないし7のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項10】 前記のアルミン酸塩組成物(B) が、水硬性セメンティング材を主成分としているアルミン酸塩組成物において;上記の水硬性セメンティング材が、ポルトランドセメントないしはアルミナセメントのセメント群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせセメント粉体(B4)からなるアルミン酸塩組成物(B) である請求項1ないし7のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項11】 前記のアルミン酸塩組成物(B) が、軽量粉体の表面積を含浸溶液で含浸改質処理されているアルミン酸塩組成物において;上記の軽量粉体が、組成の主成分としてアルミナ分をAl 2 O 3基準で4 ないし70重量%、シリカ分をSiO 2基準で10ないし70重量%、アルカリ土類金属の酸化物分をQO基準(Q はアルカリ土類金属)
    で10ないし65重量%各々含有しており、比表面積として
    100,000 cm 2 /g 以上を有している軽量粉体(BL)であり;
    上記の含浸溶液が、前記シリカ−アルカリ組成物(A) の基本組成物(A1)におけるシリカ濃度がSiO 2規準で10ないし25重量%であるケイ酸アルカリ溶液からなる含浸溶液
    (AP)であり;上記の軽量粉体(BL)100 重量部に対して、
    上記の含浸溶液(AP)5 ないし50重量部で含浸処理され、
    ついで乾燥されて比表面積が2,000 ないし100,000 cm 2 /
    g に改質されている改質組成物(B5)からなるアルミン酸塩組成物(B) である請求項1ないし7のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項12】 前記のアルミン酸塩組成物(B) が、リンのオキシ酸塩含有のアルミン酸塩化合物がカルシウム塩で予め中和処理されているアルミン酸塩組成物において;上記のリン酸のオキシ酸塩含有のアルミン酸塩化合物が、リンのオキシ酸分をP 2 O 5基準で2 ないし35重量%、アルミナ分をAl 2 O 3基準で4 ないし30重量%、シリカ分をSiO 2基準で5 ないし50重量%、アルカリ土類金属の酸化物分を酸化物規準で3 ないし25重量%の含有を主成分とするリン酸分を含有するアルミン酸塩化合物(BP)
    であり;上記のカルシウム塩が、前記の易反応性の酸化カルシウムを主成分とするカルシウム塩(GC)であり;上記のリンのオキシ酸塩含有のアルミン酸塩化合物(BP)10
    0 重量部に対して、カルシウム塩(GC)ないし50重量部で、水が0 ないし100 重量部の量で配合・混和され、ついで20ないし80℃における反応・養生により中和処理されている前処理組成物(B6)からなるアルミン酸塩組成物
    (B) である請求項1ないし7のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項13】 前記のアルミン酸塩組成物(B) が、アルミン酸塩化合物中に有機化合物を均質分散状態に担持しているアルミン酸塩組成物において;上記の有機化合物が、天然の有機化合物、合成の有機化合物ならびに高分子の有機化合物の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせからなる非電解質の有機化合物(BC)であり;上記のアルミン酸塩化合物が、前記のアルミノ粉体
    (B1)、前駆体組成物(B2)、廃棄物粉体(B3)、セメント粉体(B4)、改質組成物(B5)ならびに前処理組成物(B6)の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ粉粒体からなるアルミン酸塩組成物(B) であり;上記のアルミン酸塩組成物(B) 100 重量部に対して、上記の有機化合物(BC)が1 ないし100 重量部で均質分散状態に担持されている有機含有組成物(B7)からなるアルミン酸塩組成物
    (B) である請求項1ないし7のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項14】 前記のアルミン酸塩組成物(B) が、炭素−アルミナ複合体を主成分としているアルミン酸塩組成物において;上記の炭素−アルミナ複合体が、炭素をC
    基準で5 重量%以上含有し、アルミナ分をAl 2 O 3基準で
    10重量%以上含有し、シリカ分をSiO 2基準で5 重量%以上含有しており、吸着性の表面活性を有している炭素−
    アルミナ複合体(BA)であり;上記の炭素−アルミナ複合体(BA)が少なくとも50重量%以上の量で含有されている炭素含有組成物(B8)からなるアルミン酸塩組成物(B) である請求項1ないし7のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項15】 前記のアルミン酸塩組成物(B) が、アルミン酸塩を主成分として含有する多機能組成物のアルミン酸塩組成物において;上記の多機能組成物が、前記のアルミノ粉体(B1)、前駆体組成物(B2)、廃棄物粉体(B
    3)、セメント粉体(B4)、改質組成物(B5)、前処理組成物
    (B6)、有機含有組成物(B7)ならびに炭素含有組成物(B8)
    の群より選ばれた2種以上の組み合わせ多機能組成物(B
    9)からなるアルミン酸塩組成物(B) である請求項1ないし7のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項16】 前記のシリカ−アルカリ組成物とアルミン酸塩組成物とからなる液状もしくは粉状の2成分混合組成物(CD)に、さらに粉粒体の添加素材が混合されている3成分混合組成物に対して、水が混和されている4成分混和物が均質分散されている湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーにおいて;上記の添加素材が、抗微生物剤、機能性素材、細骨材または再利用材の粉粒体群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ粉粒体添加素材(K) であり;上記の3成分混合組成物が、前記2成分混合組成物(CD)100 重量部に対して、上記の粉粒体添加素材(K) が1 ないし200 重量部で混合されている液状もしくは粉状の3成分混合組成物(CT)であり;上記の4
    成分混和物が、上記の3成分混合組成物(CT)100 重量部に対して、水300 重量部以下の量で均質分散されている湿式流動体の4成分混和物(WQ)である請求項1ないし15
    のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項17】 前記の粉粒体添加素材(K) が、粉粒体の抗微生物剤である添加素材において;上記の抗微生物剤が、下記組成式(7) EO y・aDO x・bH 2 O ・・・・・・・・・・・・・・ (7) (式中:E は銀、1価または2価の銅もしくは亜鉛元素、D はカルシウム、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、窒素、リンもしくはイオウ元素、
    a は0.1 ないし3.5 の数、b は零を含む24.0以下の数、
    y は0.5 ないし1.0の数、x は0.5 ないし3.0 の数)で表される粉粒体で銅もしくは亜鉛のオキシ酸塩化合物の単独ないしは2種以上の組み合わせ抗微生物剤(KZ)である請求項1ないし16のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項18】 前記の粉粒体添加素材(K) が、粉粒体の機能性素材である添加素材において;上記の機能性素材が、顔料、着色剤、充填剤もしくは機能性付与剤の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ機能性素材(KF)からなり、粒径が少なくとも100 μ以下である粉粒体の機能性素材(KF)である請求項1ないし16のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項19】 前記の粉粒体添加素材(K) が、粉粒体の細骨材である添加素材において;上記の細骨材が、天然骨材、加工骨材、改良骨材および処理骨材の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ細骨材(KM)からなり、粒径が0.1 μm ないしは5 mmの範囲にある粉粒体の細骨材(KM)である請求項1ないし16のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項20】 前記の粉粒体添加素材(K) が、粉粒体の再利用材である添加素材において;上記の再利用材が、
    少なくとも25重量%のケイ酸塩類を含有するフライアッシュ、スラッグ、スラッジならびに焼却灰の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ廃棄物から処理加工された再利用材(KR)からなり、粒径が0.1 μmないしは5 mmの範囲にある粉粒体の再利用材(KR)である請求項1ないし16のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項21】 前記の2成分混合組成物(CD)または3成分混合組成物(CT)において、それぞれの混合組成物の粉粒体のみでワンパック混合に調製されている粉粒体混合組成物において;上記の2成分混合組成物(CD)または3
    成分混合組成物(CT)を構成するシリカ−アルカリ組成物
    (A) が、下記組成式(8) M 2 O・aSiO 2・bH 2 O ・・・・・・・・・・・・・・(8) (式中:M はLi、 NaないしはK の群より選ばれるアルカリ金属元素であり、a は1.8 ないし3.5 の数であり、b
    は2.5 ないし5.0 の数である)で表わされるケイ酸アルカリの単独ないしは2種以上の組み合わせの粉状の基本標準組成物(A1)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) であり;上記の2成分混合組成物(CD)または3成分混合組成物(CT)を構成するアルミン酸塩組成物(B) が、前記のアルミノ粉体(B1)もしくは他の態様の粉状のアルミン酸塩組成物(B) の単独ないしは2種以上の組み合わせの粉粒体のアルミン酸塩組成物(B) であり;上記の3成分混合組成物(CT)を構成する添加素材が、前記の抗微生物剤
    (KZ)、機能性素材(KF)、細骨材(KM)ならびに再利用材(K
    R)の単独ないしは2種以上の組み合わせ粉粒体添加素材
    (K) であり;上記の2成分混合組成物(CD)が、上記の粉状シリカ−アルカリ組成物(A) 100重量部に対して、上記の粉状アルミン酸塩組成物(B) 50ないし1000重量部で、さらに必要に応じて上記の粉粒体添加素材(K) が5
    ないし1000重量部でワンパックに混合されて棚寿命性が確保されている粉粒体混合組成物(CH)である請求項1ないし13ないしは20のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダー。
  • 【請求項22】 前記の請求項1ないし21のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダーが、5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、こに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体からなる硬化体であることを特徴とする耐水・耐熱性固化体。
  • 【請求項23】 前記の請求項1ないし21のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダーが、5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、さらに必要に応じて180 ないし
    900 ℃で加熱されて、ここに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体において、含有する重金属類の水溶出を阻止している固定体としての硬化体である請求項20
    記載の耐水・耐熱性固化体。
  • 【請求項24】 前記の請求項1ないし21のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダーが、特定形状に成型された後5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、さらに必要に応じて180 ないし900 ℃で加熱されて、ここに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体で、特定形状の成型体が形成されている硬化体である請求項20または21記載の耐水・耐熱性固化体。
  • 【請求項25】 前記の請求項1ないし21のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダーが、各種基材表面に塗付された後5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、さらに必要に応じて180 ないし900 ℃で加熱されて、ここに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体で、各種基材表面に被覆ないしは接着された付着体が形成されている硬化体である請求項20ないし21のいずれか1項記載の耐水・耐熱性固化体。
  • 【請求項26】 前記の請求項1ないし21のいずれか1項記載の水硬性シリカ系バインダーが、0.1 ないし25mm粒径の特定粒状に造粒された後5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、さらに必要に応じて180 ないし900 ℃で加熱されて、ここに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体で、顆粒体が形成されている硬化体である請求項20ないし21のいずれか1項記載の耐水・耐熱性固化体。
  • 【請求項27】 前記の請求項26記載の顆粒体が特定形状の粟おこし状集合硬化体を形成している耐水・耐熱性固化体において;上記の顆粒体の100 重量部に対して、前記の水硬性シリカ系バインダーが10ないし65重量部の量で該顆粒体表面にまぶされ、ついで水硬性シリカ系バインダーがまぶされた上記顆粒体が、特定形状に一体化されて成型される成型工程に付され、900 ℃以下、好むらくは180 ℃以下に解放されて貫通空隙を有する粟おこし状集合硬化体を形成していることを特徴とする耐水・耐熱性固化体。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】

    【0001】

    【発明の属する技術分野】本発明は、硬性シリカ系バインダーならびに耐水・耐熱性固化体に関するものであって、より詳しくは、シリカ−アルカリ組成物とアルミン酸塩組成物と水と、さらに必要に応じて加えられる添加素材とで構成される水硬性シリカ系バインダー、ならびに該水硬性シリカ系バインダーが少なくとも常温に解放されて生成するアルミノケイ酸塩とシリカポリマーからなる複合母体を硬化体として応用される固定体、成型体、付着体、顆粒体、加熱顆粒体ならびに集合硬化体に関する。 特に採択されるアルミン酸塩組成物が廃棄物の場合、地球温暖化に負荷を与えず、廃棄物の資源化と再利用に貢献する技術に関する。

    【0002】

    【従来技術】従来一般に耐水性で耐熱性の無機系製品としては、タイル、瓦、衛生陶器、ガラス等で代表される熔融もしくは燒結方法により製造される所謂セラミック体が挙げられる。 しかるに昨今、石油等の枯渇や地球温暖化に係る二酸化炭素の排出規制等が強く求められている現在、焼成エネルギーを用いる熔融もしくは燒結方法で製造される製品は敬遠される傾向にある。 こうした状況から不焼成で無機系製品を製造する研究は盛んに行われている。

    【0003】不焼成で無機系製品の製造に選ばれる固化バインダー材料としては、下記に挙げる3種類の水硬性固化材料がある。 漆喰やセメント類に見られるように、カルシウム塩を中心とする水硬性鉱物類の水和反応によるセメンティング材料。 硫酸バンド類に見られるように、硫酸アルミニウムのアルカリ中和によるアルミナゾル系バインダー材料。 水ガラス等のケイ酸アルカリの酸中和反応に見られるように、シラノール基のポリマー化で形成されるシロキサン結合のシリカ系バインダー材料。

    【0004】セメンテイング材料としてはコンクリートが一般的であり、このコンクリートは、セメント粉末に骨材と水とを加え混練してカルシウム系鉱物の水和生成物を形成させることにより建築や土木の分野で、またセメント系のコンクリート二次製品の加工分野で広く使用されており、JIS 化されて汎用されている。

    【0005】セメントの硬化機構は、水和反応により生成するケイ酸カルシウム水和物やエトリンガイト等の水和化合物により固化体マトリックスが形成されると説明されている。 したがって、コンクリートは、カルシウム化合物を中心とする水和物でマトリックスを形成している固化体であり、酸に対する耐性がなく、また加熱条件下では脱水が起こり固化体マトリックスは破壊され、固化体形状の維持がなされず、所謂耐酸性で耐熱性のある固化体を確保することはできない。

    【0006】さらに、各種の骨材をセメントを用いて固化体とするとき、その骨材に糖類等の有機成分やリン酸成分が共存する場合は、これらの糖類やリン酸分がセメント鉱物のカルシウム塩を消化してしまうことから、ここに形成されるコンクリート状固化体に強固な固化体性状を期待することはできない。

    【0007】アルミナゾル系バインダー材料としては、
    硫酸アルミニウム等の酸性化合物をアルカリで中和反応することにより生成するアルミナゾルのバインダー効果が期待されている。 しかるに、この時の中和反応は大変迅速に進行してしまうことから、この中和反応を作業時間に合わせてコントロールすることは難しく、いわゆる作業可使時間の確保が困難であり、実用化は程遠い。

    【0008】シリカ系バインダー材料としては、水ガラスで代表されるシラノール基を含有するケイ酸アルカリが一般的である。 バインダーとしての応用は、この水溶性のケイ酸アルカリに酸性の硬化剤を加え、ケイ酸アルカリの酸中和によりポリシロキサン結合からなるポリマーを形成させることにより達成させている。

    【0009】この水ガラスで代表される液状ケイ酸アルカリは、安価であり、その結合形態がシロキサン結合(-
    Si-O-)を主体としていることから建設・土木等の分野で応用される結着剤、シリカゲルの製造原料、耐酸性や耐熱性が要求される固化体の製造、コーティング剤や接着剤等の用途に古くから利用されている。

    【0010】ケイ酸アルカリの硬化機構は、気乾型、水硬型、反応型とあるが、一般的には反応型が応用されている。 この反応型は、ケイ酸アルカリに硬化剤を添加して脱アルカリ反応させ、シラノール基を脱水縮合させてポリシロキサン(-O-Si-O-)結合のポリマーを形成させるタイプをいう。

    【0011】現在商品化されているケイ酸アルカリを原料とするシリカ系バインダーは、一般に液状の水ガラスをのり剤とし、硬化剤に酸性化合物を選び、充填剤等の骨材を加えた3成分で構成されている。 したがって、施工に際しては3成分を現場で一旦混合混練してペースト状もしくはモルタル状に調製して使用されている。 しかし、このシリカ系バインダーには種々の課題を残している。 例えば、ケイ酸アルカリを原料とするシリカ系バインダーでは、現場での施工性と生成固化体の諸物性発現のバランスが悪い。 即ち、施工性を重視すると生成固化体の諸物性発現が悪く、一方生成固化体の諸物性発現を速くすると施工性が悪くなる。

    【0012】また、これらのケイ酸アルカリを原料とするシリカ系バインダーにおいて、常温施工に付されて形成される固化体では、一般に生成固化体中に水可溶性のアルカリ塩として残っている。 したがって、このアルカリ塩が固化体の耐水性を阻止しており、これら固化体は雨水にさらされる屋外で使用を不能にしている。 また固化体に残存する水可溶性アルカリ塩は空気中の炭酸ガスと反応して炭酸アルカリを発生させ、所謂白化現象が避けられず、これらの問題点が未解決であることから商品トラブルが絶えない。

    【0013】これら問題点を解消するための改良研究、
    特に硬化剤や硬化条件に関する研究は多く、様々な改良・開発技術が提案されている。 これら研究成果の一部は「無機系接着剤」[ 日本接着協会誌12 394(1976) ]に整理して報告されている。 また、自硬性タイプのケイ酸アルカリ塩に関する代表的な技術開示が米国特許公報26
    62022 (1953)号にある。 さらに変性水ガラス溶液と無機質リン酸塩の組み合わせからなる硬化組成物の技術開示が、特公昭53-24212号、特公昭53- 109558号、 特公昭56
    - 6387号、 特公昭57- 42581 号等の公報に示され、特公昭53-24206号にはケイ酸アルカリに有効な各種リン酸ケイ素が詳細に記載されている。 さらにまた水ガラスにケイフッ化ソーダーを硬化剤として反応させた耐酸モルタルの例が報告(窯協69 284(1961) されている。

    【0014】また、粉状のケイ酸アルカリをベースにワンパックされた無機結着剤組成物の開示が特公昭58-583
    06号、 特公平1-53230 号、 特公平2-1791号、特公平2-56
    299号等に示されている。 特に特公平1-53230 号、 特公平2-1791号、特公平2-56299号の公報では粉状ワンパック無機結着剤組成物に特定された条件下(700 ℃以上の高温熱処理)で特別製造された結晶性もしくは非晶質のケイ酸バリウム粉末を併用することにより、そのペーストスラリーの流動性が改善されることが開示されている。 さらにまた、上記特許公報の中で特公昭53-24206号には、リン酸分の徐放性を特定した硬化剤を配合した水ガラス組成物の技術開示がある。

    【0015】上記の技術開示に示されているようにシリカ系バインダーにおいては、ケイ酸アルカリに酸性の硬化剤を併用する方法が一般的である。 特にケイ酸アルカリを常温で硬化させるに際し、酸性の硬化剤等を配合することなく、特定されるアルミン酸塩組成物を特定される範囲で配合して、このとき生成するシロキサン結合から遊離してくるアルカリ成分をシリカ、アルミナ、アルカリからなるアルミノケイ酸塩のゼオライトもしくはゼオライト前駆体として固定化する技術により、従来技術における課題(作業可使時間、早期物性発現、耐水性、
    白化問題等)を総合的に効率よく解消させようとする思想もまた具体的な技術開示やその例は従来技術には見当たらない。

    【0016】また、ケイ酸アルカリを主成分とするシリカ系バインダーにおいて、生成するシロキサン結合から遊離してくるアルカリ成分をシリカ、アルミナ、アルカリからなるアルミノケイ酸塩のゼオライトもしくはゼオライト前駆体として固定化することに伴って、例えば、
    廃棄物等が含有する有害な重金属類を固定化し、生成固化体から重金属類を水不溶出にする技術の開示は見当たらない。

    【0017】さらにまた、ケイ酸アルカリを主成分とするシリカ系バインダーにおいて、不焼成でアルカリ成分を固定化して耐熱性で耐水性が付与されたバインダー技術を単独もしくは複合で利用して成型体製品とすること、さらにまたこのバインダー技術を被覆材や接着剤である付着体製品とすること、またこのバインダー技術を抗菌性機能を有する素材を付加させた抗菌体製品とすること、さらにまた砂状や顆粒状に造粒された顆粒体製品とすること、またこれら製品の複合体製品とすること等の、それぞれの用途・応用における具体的技術開示は未だない。

    【0018】

    【発明が解決しようとする課題】現在、「エネルギー問題」と「環境問題」は人類の危急存亡の課題として真剣に取り組まれている。 特に石油等資源の枯渇ならびに地球温暖化に係る二酸化炭素の排出規制等が強く求められており、大量の熱エネルギーを用いる熔融もしくは燒結方法による無機系の製品の製造は敬遠される傾向にある。 その代替えとして大量の熱エネルギーを用いることなく安全で安定な無機質固化体が得られる有効な方法が求められている。

    【0019】一方、有害な重金属類を含有する廃棄物の安易な埋立や投棄は環境保全ならびに環境破壊から許されず、むしろ廃棄物を資源とする再利用が求められている。 しかし、大量に排出される廃棄物類を有効に再利用する処理処分技術は未熟であり、その確立は緊急を要している。

    【0020】これらの課題に対処できる方法として、廃棄物類を不焼成で固化して処理処分する方法が提案されている。 しかるに廃棄物類の固化をセメント系固化剤により行っても、処理処分に有用な固化体生成が期待できず実用化されていない。 一方、固化剤としてシリカ系バインダーの採択による固化技術の提案がある。 しかるにシリカ系バインダーの従来技術にも種々なる課題があり、現実に製品トラブルが発生している。 そのトラブルの主たる原因は、シリカ系バインダーの主原料であるケイ酸アルカリから固化体が生成する時に副生してくる遊離のアルカリ成分が固化体中に残存していることにある。

    【0021】シリカ系バインダーの主成分となるケイ酸アルカリ、所謂水ガラスを加熱することなく常温で耐水性の付与された固化体を形成せしめる条件は現在確立されていない。 特にシリカ系バインダーからなる無機質固化体に耐水性を付与せしめるために、固化体生成時に副生して遊離状態で存在するアルカリ成分を固定化させる技術の確立が未完成であり、課題を残している。

    【0022】また、シリカ系バインダーを構成する主成分のシリカ−アルカリ組成物において、バインダー効果を有効に発揮するシラノール基を安価に確保できる他の態様が求められる。 この態様として、シリカのポリマー体を形成しているフェロケイ酸塩を主成分とする粘土鉱物にアルカリ成分を反応させたシリカ−アルカリ組成物が、シリカ系バインダーとして条件を具備していることが求められる。

    【0023】さらにまた、シリカ系バインダーの施工現場において遭遇する煩雑な工程の省化ならびに二次公害を発生させない輸送容器を確保するために、予め調製された粉末状ワンパック品が有効であり、この粉末状ワンパック品がシリカ系バインダーとしての条件を具備していることが求められる。

    【0024】さらにまた、シリカ−アルカリ組成物とアルミン酸塩とで構成されるシリカ系バインダーの施行作業可使時間を確保しコントロールする必要がある。 この可使時間を調整できる調整剤の選択が必要であり、バリウム塩による可使時間調整剤の検討が必要である。

    【0025】以上水硬性シリカ系バインダーに関する問題点を種々調査検討した結果、「シリカポリマーとその用途」に関する主たる課題は下記9点にあると判断された。 シリカ系バインダーの特長である耐熱性ならびに耐酸性を生かす。 耐水性を確保するため副生する水可溶性アルカリ塩を固定化する。 可溶性アルカリ塩を生成させないために酸性硬化剤を採択しない。 特段の熱エネルギーを用いることなく常温の不焼成で反応させる。 アルカリ成分を固定化するためにアルミノケイ酸塩を生成させる。 廃棄物類が含有する有害な重金属類を水不溶性状態に固定化する。 汎用性の無機系製品を成型体、付着体、顆粒体、複合体等で得る。 廃棄物類を資源とし再利用を可能にし環境問題の解消に貢献する。 シリカ系バインダーを安価で施行作業性の確保された材料とする。

    【0026】

    【発明の目的】本発明の目的は、予めシリカ−アルカリ組成物とアルミン酸塩組成物と、必要に応じて加えられる添加素材と、さらに水とで構成される水硬性シリカ系バインダーを調製し、この水硬性シリカ系バインダーを少なくも常温に解放してアルミノケイ酸塩を含むシリカポリマーからなる複合母体を硬化体とし、固定体、成型体、付着体、顆粒体、加熱顆粒体または集合硬化体に応用される耐水・耐熱性固化体を提供することにある。 さらに耐水・耐熱性固化体の提供を通して、廃棄物が含有する重金属類を固定化し、廃棄物類を資源として安全に再利用して環境問題の解消に貢献することにある。

    【0027】

    【課題を解決するための手段】本発明によれば、シリカ−アルカリ組成物とアルミン酸塩組成物とからなる2成分混合組成物に対して、水が混和されている3成分混和物が均質分散されている湿式流動体の水硬性シリカ系バインダ−において;上記のシリカーアルカリ組成物が、
    下記組成式(1) M 2 O・aSiO 2・bH 2 O ・・・・・・・・・・・(1) (式中:M はリチウム、 ナトリウムないしはカリウム群のアルカリ金属元素、aは1.8 ないし3.5 の数であり、b
    は2.5 ないし50.0の数である)で表わされるケイ酸アルカリの群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ基本標準組成物(A1)からなる液状もしくは粉状のシリカ−アルカリ組成物(A) であり;上記のアルミン酸塩組成物が、下記組成式(2) cQO・Al 2 O 3・dH 2 O ・・・・・・・・・・・・ (2) (式中:Q はカルシウムないしはマグネシウム群のアルカリ土類金属元素、c は0.8 ないし5.0 の数、d は零を含む6.5 以下の数)で表わされるアルカリ土類金属のアルミン酸塩の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせで、さらに比表面積が2,000 ないし100,000 cm
    2 /g であるアルミノ粉体(B1)からなる粉状のアルミン酸塩組成物(B) であり;上記の2成分混合組成物が、上記の粉状のアルミン酸塩組成物(B) 100 重量部に対して、
    上記の液状もしくは粉状のシリカ−アルカリ組成物(A)
    10ないし310重量部で混合されている液状もしくは粉状の2成分混合組成物(CD)であり;上記の3成分混和物が、上記の2成分混合組成物(CD)100 重量部に対して、
    水200 重量部以下の量で均質分散されている湿式流動体の3成分混和物(WT)である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0028】また、本発明によれば、前記のシリカ−アルカリ組成物(A) が粉状粘土鉱物にアルカリ塩化合物と水とを加えて予め混和・変性処理されている液状のシリカ−アルカリ組成物において;上記の粉状粘土鉱物が、
    含水フェロケイ酸塩の2:1層型スメクタイト族からなる粉状粘土鉱物(E) であり;上記のアルカリ塩化合物が、下記組成式(3) M 2 O・eY・fH 2 O ・・・・・・・・・・・・・・・(3) (式中:M はリチウム、 ナトリウムないしはカリウム群のアルカリ金属元素、Yは炭素、ホウ素ないしケイ素の元素の単独ないし2種以上の組み合わせ元素のオキシ酸、e は零を含む4.0 以下の数、f は零を含む28.0以下の数)で表わされるアルカリ塩化合物の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせアルカリ塩化合物
    (F) であり;上記シリカ−アルカリ組成物が、上記粉状粘土鉱物(E) 100 重量部に対して、上記アルカリ塩化合物(F) 30ないし300 重量部と水100 ないし350 重量部とを加えて混和・変性処理されているスラリー状の粘土変性組成物(A2)からなる液状のシリカ−アルカリ組成物
    (A) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0029】また、本発明によれば、前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、緩衝帯形成剤が予め混合複合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記の緩衝帯形成剤が、アルカリ溶液に可溶性のホウ素含有化合物類の単独ないしは2種以上の組み合わせホウ素含有化合物(T) からなる緩衝帯形成剤(AT)であり;前記シリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記緩衝帯形成剤(AT)が40重量部以下の量で均質に混合複合されている液状もしくは粉状のホウ素複合組成物(A3)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0030】また、本発明によれば、前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、結晶成長タネが予め混合複合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記結晶成長タネが、下記単位格子の化学組成式
    (4) M x/n・[(AlO 2 ) x・(SiO 2 ) y ]・wH 2 O ・・・・・・・・・・・(4) (式中:Mハ原子価nの金属陽イオン、 x+yは単位格子当りの四面体数)で表されるアルミノケイ酸塩のゼオライト(S) からなる結晶成長タネ(KS)であり;上記シリカ−
    アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記結晶成長タネ(KS)が0.01ないし10重量部で均質に混合複合されている液状もしくは粉状のタネ複合組成物(A4)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0031】また、本発明によれば、前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、硬化調整剤が混合複合されているシリカ−アルカリ組成物において;
    上記硬化調整剤が、下記組成式(5) BaO・gSiO 2・hH 2 O ・・・・・・・・・・・・ (5) (式中:g は4.0 以下の零を含む数、h は9.0 以下の零を含む数)で表わされるアルカリ溶液に可溶な粉末バリウム塩類の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせバリウム塩(J) からなる硬化調整剤(KJ)であり;
    前記シリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、
    上記硬化調整剤(KJ)が0.1 ないし10重量部で均質に混合複合されている液状もしくは粉状のバリウム複合組成物
    (A5)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0032】また、本発明によれば、前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、粘度改質剤が予め混合複合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記粘度改質剤が、易反応性のケイ酸カルシウム
    (G) からなる粘度改質剤(GS)であり;前記シリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記粘度改質剤(G
    S)が70重量部以下の量で均質に混合複合されている液状もしくは粉状のケイカル複合組成物(A6)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0033】また、本発明によれば、前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)に、前記の緩衝帯形成剤(AT)、結晶成長タネ(AS)、硬化調整剤(AJ)もしくは粘土改質剤(AG)からなる複数複合剤が予め複合混合されているシリカ−アルカリ組成物において;上記の複数複合剤が、前記の緩衝帯形成剤(AT)、結晶成長タネ(A
    S)、硬化調整剤(AJ)もしくは粘土改質剤(AG)の群より選ばれた2種以上の組み合わせ複数複合剤(AM)であり;前記のシリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、
    上記複数複合剤(AM)70重量部以下の量で均質に混合複合されている液状もしくは粉状の複数複合組成物(A7)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0034】また、本発明によれば、前記のアルミン酸塩組成物(B) が、水酸化アルミニウムとアルカリ土類金属とが予め混合されているアルミン酸塩組成物において;上記水酸化アルミニウムが、易反応性の水酸化アルミニウムからなる水酸化アルミニウム(BH)であり;上記のアルカリ土類金属のケイ酸塩が、下記組成式(6) iDO・SiO 2・jH 2 O ・・・・・・・・・・・・ (6) (式中:D はカルシウムないしはマグネシウムの群より選ばれたアルカリ土類金属元素、i は0.2 ないし5.0 の数、j は零を含む6.6 以下の数)で表されるアルカリ土類金属のケイ酸塩群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせアルカリ土類金属のケイ酸塩(BC)であり;
    上記の水酸化アルミニウム(BH)100 重量部に対して、アルカリ土類金属のケイ酸塩(BC)が2 ないし30重量部で均質混合されている前駆体組成物(B2)からなるアルミン酸塩組成物(B) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0035】また、本発明によれば、前記のアルミン酸塩組成物(B) が、廃棄物粉体を主成分としているアルミン酸塩組成物において;上記の廃棄物粉体が、熱履歴を受けているアルミン酸塩化合物を含有するフライアッシュ、スラッグ、スラッジならびに焼却灰の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ廃棄物粉体(B3)からなるアルミン酸塩組成物(B) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0036】また、本発明によれば、前記のアルミン酸塩組成物(B) が、水硬性セメンティング材を主成分としているアルミン酸塩組成物において;上記の水硬性セメンティング材が、ポルトランドセメントないしはアルミナセメントのセメント群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせセメント粉体(B4)からなるアルミン酸塩組成物(B) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0037】また、本発明によれば、前記のアルミン酸塩組成物(B) が、軽量粉体の表面積を含浸溶液で含浸改質処理されているアルミン酸塩組成物において;上記の軽量粉体が、組成の主成分としてアルミナ分をAl 2 O 3基準で4 ないし70重量%、シリカ分をSiO 2基準で10ないし
    70重量%、アルカリ土類金属の酸化物分をQO基準(Q はアルカリ土類金属)で10ないし65重量%各々含有しており、比表面積として100,000 cm 2 /g 以上を有している軽量粉体(BL)であり;上記の含浸溶液が、前記シリカ−アルカリ組成物(A) の基本組成物(A1)におけるシリカ濃度がSiO 2規準で10ないし25重量%であるケイ酸アルカリ溶液からなる含浸溶液(AP)であり;上記の軽量粉体(BL)10
    0 重量部に対して、上記の含浸溶液(AP)5 ないし50重量部で含浸処理され、ついで乾燥されて比表面積が2,000
    ないし100,000 cm 2 /g に改質されている改質組成物(B5)
    からなるアルミン酸塩組成物(B) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0038】また、本発明によれば、前記のアルミン酸塩組成物(B) が、リンのオキシ酸塩含有のアルミン酸塩化合物がカルシウム塩で予め中和処理されているアルミン酸塩組成物において;上記のリン酸のオキシ酸塩含有のアルミン酸塩化合物が、リンのオキシ酸分をP 2 O 5基準で2 ないし35重量%、アルミナ分をAl 2 O 3基準で4 ないし30重量%、シリカ分をSiO 2基準で5 ないし50重量%、
    アルカリ土類金属の酸化物分を酸化物規準で3 ないし25
    重量%の含有を主成分とするリン酸分を含有するアルミン酸塩化合物(BP)であり;上記のカルシウム塩が、前記の易反応性の酸化カルシウムを主成分とするカルシウム塩(GC)であり;上記のリンのオキシ酸塩含有のアルミン酸塩化合物(BP)100 重量部に対して、カルシウム塩(GC)
    ないし50重量部で、水が0 ないし100 重量部の量で配合・混和され、ついで20ないし80℃における反応・養生により中和処理されている前処理組成物(B6)からなるアルミン酸塩組成物(B) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0039】また、本発明によれば、前記のアルミン酸塩組成物(B) が、アルミン酸塩化合物中に有機化合物を均質分散状態に担持しているアルミン酸塩組成物において;上記の有機化合物が、天然の有機化合物、合成の有機化合物ならびに高分子の有機化合物の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせからなる非電解質の有機化合物(BC)であり;上記のアルミン酸塩化合物が、
    前記のアルミノ粉体(B1)、前駆体組成物(B2)、廃棄物粉体(B3)、セメント粉体(B4)、改質組成物(B5)ならびに前処理組成物(B6)の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ粉粒体からなるアルミン酸塩組成物(B) であり;上記のアルミン酸塩組成物(B) 100 重量部に対して、上記の有機化合物(BC)が1 ないし100 重量部で均質分散状態に担持されている有機含有組成物(B7)からなるアルミン酸塩組成物(B) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0040】また、本発明によれば、前記のアルミン酸塩組成物(B) が、炭素−アルミナ複合体を主成分としているアルミン酸塩組成物において;上記の炭素−アルミナ複合体が、炭素をC 基準で5 重量%以上含有し、アルミナ分をAl 2 O 3基準で10重量%以上含有し、シリカ分を
    SiO 2基準で5 重量%以上含有しており、吸着性の表面活性を有している炭素−アルミナ複合体(BA)であり;上記の炭素−アルミナ複合体(BA)が少なくとも50重量%以上の量で含有されている炭素含有組成物(B8)からなるアルミン酸塩組成物(B) である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0041】また、本発明によれば、前記のアルミン酸塩組成物(B) が、アルミン酸塩を主成分として含有する多機能組成物のアルミン酸塩組成物において;上記の多機能組成物が、前記のアルミノ粉体(B1)、前駆体組成物
    (B2)、廃棄物粉体(B3)、セメント粉体(B4)、改質組成物
    (B5)、前処理組成物(B6)、有機含有組成物(B7)ならびに炭素含有組成物(B8)の群より選ばれた2種以上の組み合わせ多機能組成物(B9)からなるアルミン酸塩組成物(B)
    である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0042】またまた、本発明によれば、前記のシリカ−アルカリ組成物とアルミン酸塩組成物とからなる液状もしくは粉状の2成分混合組成物(CD)に、さらに粉粒体の添加素材が混合されている3成分混合組成物に対して、水が混和されている4成分混和物が均質分散されている湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーにおいて;
    上記の添加素材が、抗生物剤、機能性素材、細骨材または再利用材の粉粒体群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ粉粒体添加素材(K) であり;上記の3
    成分混合組成物が、前記2成分混合組成物(CD)100 重量部に対して、上記の粉粒体添加素材(K) が1 ないし200
    重量部で混合されている液状もしくは粉状の3成分混合組成物(CT)であり;上記の4成分混和物が、上記の3成分混合組成物(CT)100 重量部に対して、水300 重量部以下の量で均質分散されている湿式流動体の4成分混和物
    (WQ)である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0043】また、本発明によれば、前記の粉粒体添加素材(K) が、粉粒体の抗微生物剤である添加素材において;上記の抗微生物剤が、下記組成式(7) EO y・aDO x・bH 2 O ・・・・・・・・・・・・・ (7) (式中:E は銀、1価または2価の銅もしくは亜鉛元素、D はカルシウム、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、窒素、リンもしくはイオウ元素、
    a は0.1 ないし3.5 の数、b は零を含む24.0以下の数、
    y は0.5 ないし1.0の数、x は0.5 ないし3.0 の数)で表される粉粒体で銅もしくは亜鉛のオキシ酸塩化合物の単独ないしは2種以上の組み合わせ抗微生物剤(KZ)である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0044】また、本発明によれば、前記の粉粒体添加素材(K) が、粉粒体の機能性素材である添加素材において;上記の機能性素材が、顔料、着色剤、充填剤もしくは機能性付与剤の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ機能性素材(KF)からなり、粒径が少なくとも100 μ以下である粉粒体の機能性素材(KF)である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0045】また、本発明によれば、前記の粉粒体添加素材(K) が、粉粒体の細骨材である添加素材において;
    上記の細骨材が、天然骨材、加工骨材、改良骨材および処理骨材の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ細骨材(KM)からなり、粒径が0.1 μm ないしは5
    mmの範囲にある粉粒体の細骨材(KM)である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0046】また、本発明によれば、前記の粉粒体添加素材(K) が、粉粒体の再利用材である添加素材において;上記の再利用材が、少なくとも25重量%のケイ酸塩類を含有するフライアッシュ、スラッグ、スラッジならびに焼却灰の群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ廃棄物から処理加工された再利用材(KR)からなり、粒径が0.1 μmないしは5 mmの範囲にある粉粒体の再利用材(KR)である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0047】また、本発明によれば、前記の2成分混合組成物(CD)または3成分混合組成物(CT)において、それぞれの混合組成物の粉粒体のみでワンパック混合に調製されている粉粒体混合組成物において;上記の2成分混合組成物(CD)または3成分混合組成物(CT)を構成するシリカ−アルカリ組成物(A) が、下記組成式(8) M 2 O・aSiO 2・bH 2 O ・・・・・・・・・・・・ (8) (式中:M はLi、 NaないしはK の群より選ばれるアルカリ金属元素であり、a は1.8 ないし3.5 の数であり、b
    は2.5 ないし5.0 の数である)で表わされるケイ酸アルカリの単独ないしは2種以上の組み合わせの粉状の基本標準組成物(A1)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) であり;上記の2成分混合組成物(CD)または3成分混合組成物(CT)を構成するアルミン酸塩組成物(B) が、前記のアルミノ粉体(B1)もしくは他の態様の粉状のアルミン酸塩組成物(B) の単独ないしは2種以上の組み合わせの粉粒体のアルミン酸塩組成物(B) であり;上記の3成分混合組成物(CT)を構成する添加素材が、前記の抗微生物剤
    (KZ)、機能性素材(KF)、細骨材(KM)ならびに再利用材(K
    R)の単独ないしは2種以上の組み合わせ粉粒体添加素材
    (K) であり;上記の2成分混合組成物(CD)が、上記の粉状シリカ−アルカリ組成物(A) 100重量部に対して、上記の粉状アルミン酸塩組成物(B) 50ないし1000重量部で、さらに必要に応じて上記の粉粒体添加素材(K) が5
    ないし1000重量部でワンパックに混合されて棚寿命性が確保されている粉粒体混合組成物(CH)である水硬性シリカ系バインダーが提供される。

    【0048】また、本発明によれば、前記水硬性シリカ系バインダーが、5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、こに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体からなる硬化体である耐水・耐熱性固化体が提供される。

    【0049】また、本発明によれば、前記水硬性シリカ系バインダーが、5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、さらに必要に応じて180 ないし900 ℃で加熱されて、ここに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体において、含有する重金属類の水溶出を阻止している固定体としての硬化体である耐水・耐熱性固化体が提供される。

    【0050】また、本発明によれば、前記の水硬性シリカ系バインダーが、特定形状に成型された後5 ないし18
    0 ℃の雰囲気中に解放されて、さらに必要に応じて180
    ないし900 ℃で加熱されて、ここに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体で、特定形状の成型体が形成されている硬化体である耐水・耐熱性固化体が提供される。

    【0051】また、本発明によれば、前記の水硬性シリカ系バインダーが、各種基材表面に塗付された後5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、さらに必要に応じて
    180ないし900 ℃で加熱されて、ここに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体で、各種基材表面に被覆ないしは接着された付着体が形成されている硬化体である耐水・耐熱性固化体が提供される。

    【0052】また、本発明によれば、前記の水硬性シリカ系バインダーが、0.1 ないし25mm粒径の特定粒状に造粒された後5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放されて、さらに必要に応じて180 ないし900 ℃で加熱されて、ここに生成するアルミノケイ酸塩ならびにシロキサン結合を主鎖とするシリカポリマーで構成される複合母体で、顆粒体が形成されている硬化体である耐水・耐熱性固化体が提供される。

    【0053】また、本発明によれば、前記の顆粒体が特定形状の粟おこし状集合硬化体を形成している耐水・耐熱性固化体において;上記の顆粒体の100 重量部に対して、前記の水硬性シリカ系バインダーが10ないし65重量部の量で該顆粒体表面にまぶされ、ついで水硬性シリカ系バインダーがまぶされた上記顆粒体が、特定形状に一体化されて成型される成型工程に付され、900 ℃以下、
    好むらくは180 ℃以下に解放されて貫通空隙を有する粟おこし状集合硬化体を形成している耐水・耐熱性固化体が提供される。

    【0054】

    【発明の実施の形態】本発明者等は、不焼成で耐水・耐熱性の無機固化体を形成せしめるには、水硬性シリカ系バインダーの採択が有効と判断した。 しかるに従来技術におていは、常温硬化システムで採択される水硬性シリカ系バインダーは、酸性硬化剤を用いて固化体を形成せしめている。 その結果、生成固化体中には水可溶性のアルカリ塩化合物が副生していることから、生成固化体は水に溶解し、耐水性の付与された固化体を期待することはできない。

    【0055】したがって、本発明の目的を達成するためには、従来技術による水硬性シリカ系バインダーが抱えているこれら課題を解消する必要がある。 本発明者等は、本発明の目的である耐水性で耐熱性の無機固化体の提供を効果的に完成するために鋭意検討を行って実験を重ねた。

    【0056】その結果本発明者等は、酸性硬化剤を用いることなく、シリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) とで構成される2成分混合組成物(CD)、もしくは必要に応じて2成分混合組成物(CD)に添加素材
    (K) が加えられて構成される3成分混合組成物(CT)に、
    さらに水が加えられて調製される水分散型の3成分混和物(WT)または3成分混和物(WQ)の湿式流動体である水硬性シリカ系バインダーを提供できることを見出した。

    【0057】さらに本発明者等は、この水硬性シリカ系バインダーを、180 ℃以下の不焼成雰囲気に解放すると、ポリシロキサン結合を主鎖とする不燃性のシリカポリマーが生成し、同時に含有するアルカリ成分が水不溶性塩類として固定化されるアルミノケイ酸塩が生成し、
    シリカポリマーとアルミノケイ酸塩との複合母体からなる無機固化体に耐水性ならびに耐熱性が付与されることを見出した。

    【0058】さらに本発明者等は、この耐水性で耐熱性の無機固化体を、各種の用途目的に応じて各製品に加工すると、それぞれ固定体(重金属類の水不溶性化)、成型体(二次成型製品等)、付着体(バインダー、塗料塗膜等)、顆粒体(造粒品、顆粒品等)ならびに集合硬化体(粟おこし品、濾過剤等)等として有効に応用できることを見出した。

    【0059】本発明で形成される複合母体からなる無機固化体が発揮する耐水性ならびに耐熱性は、本発明者等が見出した条件と工程により発生する下記する化学的現象によるものと判断される。 本発明条件下において、原料が豊富に有しているシラノール基成分が、少なくとも常温で反応して、ポリシロキサン結合(Si-O-Si) を主鎖とするシリカポリマーを形成し、生成固化体に「耐熱性」と「耐酸性」を付与せしめる。 本発明条件下において、共存するアルミナおよびシリカにアルカリが常温で反応して、水不溶性のゼオライト・ゼオライト前駆体等のアルミノケイ酸塩を形成し、生成固化体に「耐水性」と「重金属類の水不溶性」を付与せしめる。

    【0060】即ち、本発明固化体の複合母体を形成するシリカポリマーは、シリカ−アルカリ組成物(A) 有するアルカリシラノール基(-Si-OM)[M :はLi、Na、K ]で起こる脱アルカリ反応、ついでシラノール基(-Si-OH)の水酸基で起こる脱水反応による水分子(H 2 O) 離脱で生成する耐熱性ポリシロキサン結合(-Si-O-Si-) を主鎖とするポリマーである。 したがって本発明の固化体は、セメントや石膏の水和反応で生成する水和鉱物からなる耐熱性のない固化体とは基本的に異なっており、耐熱性を有する固化体マトリックスを形成していることが理解される。

    【0061】一方、本発明固化体の複合母体を形成するアルミノケイ酸塩は、アルカリシラノール基(-Si-OM)から脱アルカリされて副生するアルカリ成分を遊離させたり水可溶性の塩類となることなく、共存するアルミナやシリカと反応して水不溶性のゼオライトもしくはゼオライト前駆体を形成している。 したがって本発明の固化体は、アルカリ分を水不溶性に固定していおり、耐水性を有する固化体マトリックスを形成していることが理解される。

    【0062】本発明の基礎原料として採択されるシリカ−アルカリ組成物(A) には7種類を挙げることができる。 この7種類は、標準となる液状もしくは粉状の基本標準組成物(A1);粘土鉱物(E) とアルカリ塩(F) から変性処理されているスラリー状の粘土変性組成物(A2);ホウ素含有化合物(T) からなる緩衝帯形成剤(AT)で混合複合されているホウ素変性組成物(A2);アルミノケイ酸塩であるゼオライト(S) からなる結晶成長タネ(KS)で混合複合されているタネ複合組成物(A4);アルカリ溶液に可溶なバリウム塩化合物(J) からなる硬化調製剤(KJ)で混合複合されているバリウム複合組成物(A5);液組成物の粘性を調整するケイ酸カルシウム(G) からなる粘性改質剤(GS)で混合複合されているケイカル複合組成物(A6);
    以上のシリカ−アルカリ組成物(A) の複数複合剤(AM)
    [(A3)・(A4)・(A5)・(A6) ]で複合されている複数複合組成物(A7)に分類することができる。

    【0063】本発明基礎原料として採択されるアルミン酸塩組成物(B) には9種類を挙げることができる。 これら9種類は、アルカリ土類金属のアルミン酸塩であるアルミノ粉体(B1);水酸化アルミニウム(BH)にアルカリ土類金属のケイ酸塩(BC)が混和されている前駆体組成物(B
    2);フライアッシュ、スラッグ、焼却灰等の廃棄物粉体
    (B3);ポルトランドセメントやアルミナセメント等のセメント粉体(B4);軽量粉体(BA)の表面積が含浸溶液(AP)
    で改質されている改質組成物(B5);リンのオキシ酸含有化合物(BP)がカルシウム塩(GC)で中和処理されている前処理組成物(B6);有機化合物(BC)を含有している有機含有組成物(B7);有機質分含有アルミン酸塩の乾留処理で調製されている炭素−アルミナ複合体の炭素含有組成物
    (B8);以上アルミン酸塩組成物[(B1)、(B2)、(B3)、(B
    4)、(B5)、(B6)、(B7)、(B8)]2種以上の組み合わせからなる多機能組成物(B9)に分類することができる。

    【0064】本発明の耐水・耐熱性固化体においては、
    その固化体の増量、補強、改質、作業性の改善、各種の機能性の向上等を可能にするために、それぞれの目的に応じた各種の添加素材(K) を基礎原料として混合せしめた水硬性シリカバインダーを予め調製しておくことが有効である。

    【0065】本発明の基礎原料として採択される添加素材(K) には大別して4種類を挙げることができる。 これら4種類は、抗菌性、抗黴性ならびに防藻性を有する抗微生物剤(KZ);顔料、着色剤、活性剤、充填剤、機能性付与剤である機能性素材(KF);粒径が0.1 mmないしは5
    mmの範囲にある天然骨材、加工骨材、改良骨材ならびに処理骨材である細骨材(KM);粒径が0.1 mmないしは5 mm
    の範囲にある廃棄物等を再利用した粉粒体の再利用材(K
    R)に分類することができる。

    【0066】本発明水硬性シリカ系バインダーの基礎原料は、上記のシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) と添加素材(K) との3種組み合わせ混合組成物により達成される。 この組み合わせ混合組成物は、
    シリカ−アルカリ組成物(A)とアルミン酸塩組成物(B)
    の2成分混合組成物(CD)の場合と、シリカ−アルカリ組成物(A) とアル酸塩組成物(B) と添加素材(K) の3成分混合組成物(CT)の場合とに大別される。 なお、それぞれの混合組成物が粉状体のみのワンパック混合で構成される時は、粉粒体混合組成物(CH)として商品化することが可能となり、本発明の湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーを施工現場で調製することができる。

    【0067】本発明の湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーは、上記2成分混合組成物(CD)もしくは3成分混合組成物(CT)の混合組成物に対して、水を加えて均質分散された水分散型の混和物2種類を挙げることができる。 これら2種類は、シリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) からなる2成分混合組成物(CD)が水に均質分散されている3成分混和物(WT)のバインダーと、2成分混合組成物(CD)にさらに添加素材(K) が加えられた3成分混合組成物(CT)が水に分散されている4成分混和物(WQ)のバインダーとに分類される。

    【0068】混和物として調製された本発明の湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーは、5 ないし180 ℃の雰囲気中に解放される時、さらに必要に応じて180 ないし
    900℃で加熱される時、水存在下で原料混合組成物は反応して、シリカポリマーとアルミノケイ酸塩とで構成される耐水性で耐熱性の複合母体を生成する。

    【0069】この複合母体を基礎とする本発明の耐水・
    耐熱性固化体は、それぞれの目的用途に応じた応用製品に加工製造することができる。 この耐水・耐熱性固化体からなる応用製品には、6種類を挙げることができる。
    これら応用製品は、廃棄物類等に含有される重金属類が固定されている固定体;成型二次製品としてレンガ、炉材、衛生陶器類、建材等の一定形状の成型体;各種の基材表面に対して被覆、コーティング材、塗膜、接着、バインダー等として付着している付着体;骨材、路盤材、
    充填剤、浄化処理材等に応用される顆粒体;上記顆粒体を原材料として二次加工される防音材、保温材、緑化用床、現地施工型粟おこし体等に応用される集合硬化体;
    以上6種類の応用製品に分類することができる。

    【0070】以下、本発明の基礎原料として採択されるシリカ−アルカリ組成物(A) 、アルミン酸塩組成物(B)
    ならびに添加素材(K) 、さらに基礎原料の組成物に水を加えて調製される湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーに関し、さらに水硬性シリカ系バインダーから形成されるシリカポリマーならびにアルミノケイ酸塩からなる複合母体の耐水・耐熱性固化体ならびにその応用製品に関し、各構成成分に沿ってそれぞれを具体的な例を以て、各実施形態とその特長について説明する。

    【0071】なお、本明細書における「湿式流動体」とは、流動性ないしは可塑性、もしくはスラリー状ないしはペースト状である水分散型の均質組成物を総称している。 また、本明細書における「粉粒体」とは、粒径が0.
    1 mmないしは5 mmの範囲にある粉状、砂状、塊状、顆粒状、球状、中空状もしくは各種形状にある固体素材を総称しており、代表的には粉状体、砂粒体、砕石体等を挙げることができる。 また、本明細書における「部数」および「%」等の数量記載は、特記しない限り「重量」を以て示す。

    【0072】本発明で採択される7種類のシリカ−アルカリ組成物(A) は、いずれもケイ酸アルカリを主成分としており、これを総称する基本的組成として下記組成式
    (1) M 2 O・aSiO 2・bH 2 O ・・・・・・・・・・・・ (1) (式中:M はリチウム、ナトリウムないしはカリウム群のアルカリ金属元素、aは1.8 ないし3.5 の数、b は2.5
    ないし50.0の数)で表される粉状もしくは液状のケイ酸アルカリを基本標準組成物(A1)として挙げることができる。

    【0073】基本標準組成物(A1)で総称されるケイ酸アルカリのアルカリ金属種(M) は、一般に入手の容易さならびに安価であることからナトリウム(Na)が好適である。 中でもJIS 化されている水ガラスは工業的にも大量に生産されており、本発明製品の基礎原料として好適である。 しかし、固化体の利用分野や使用目的、また施工作業性や固化体物性、さらにはその形状等によってはアルカリ金属種にカリウム(K) やリチウム(Li)をそれぞれ単独に、またはナトリウムを含めたアルカリ金属の組み合わせの複合ケイ酸アルカリとして適宜選択使用することができる。

    【0074】本発明で採択される基本標準組成物(A1)の組成式(1) におけるa およびb の数は、選択されるシリカ−アルカリ組成物(A) の種類によって若干異なるが、
    一般的にはa は1.8 ないし3.5 の範囲にあることが好ましく、特にa が2.0 ないしは3.2 の範囲にあり、b が2.
    5 ないし50.0の数の範囲にある時は、本発明の水硬性シリカ系バインダーの調製を粉状もしくは液状で好適に実施することができる。

    【0075】この時組成式(1) におけるa が、1.8 より小さい時は、アルカリ成分が多すぎて固化体の硬化速度を遅延させたり、また生成固化体に白化現象を発現させたりして耐水性が劣る傾向にある。 また、a が3.5 より大きい時は、反応性のシラノール基量が少なくなり、シロキサン結合からなる有効なポリマー形成が期待されず高硬度の固化体は得られない傾向にある。

    【0076】本発明の基本標準組成物(A1)の組成式(1)
    におけるb が2.5 ないし50.0の数である時は、基本標準組成物(A1)のケイ酸アルカリは粉状体で得られる。 この粉状体のケイ酸アルカリは、粉粒体混合組成物(CH)[ワンパック品]の原料として好適である。

    【0077】本発明において、粉状体ケイ酸アルカリの組成式(1) におけるb が5.0 よりも大きい時には、粉末ケイ酸ルカリに潮解性が生じ粉状ワンパック品としての粉状での保存性が低下し本発明の粉粒体混合組成物(CH)
    の棚寿命性を損ない適切でない。 また、組成式(1) のb
    が2.5 よりも小さい時には、粉末シリカ−アルカリ組成物の水に対する溶解性が損なわれ、シリカ−アルカリ組成物の有効利用ができず本発明の目的を達することができない。 したがって、粉状体ケイ酸アルカリを表す組成式(1) のb が2.5 ないし5.0 の数の範囲にある粉状のケイ酸アルカリであることが大切であり、この範囲から本発明固化体の使用目的、用途、施工条件等に併せて粉状体ケイ酸アルカリを随時選ぶことができる。

    【0078】一方、基本標準組成物(A1)の組成式(1) におけるb が5.0 ないし50.0の範囲にある時は、一般に液状体のケイ酸アルカリであり、基本標準組成物(A1)の液状組成物として簡易型の液状シリカ−アルカリ組成物
    (A) の原料として好適である。 特に液状組成物がケイ酸ナトリウムの所謂液状水ガラスであるときは、JIS 化された工業薬品であり、安価であることから本発明の原料として好適である。 組成式(1) のb が50.0よりも大きくなる時は、液状シリカ−アルカリ組成物(A) の実質的濃度が低くなり、バインダー効果が低下する傾向にある。

    【0079】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるシリカ−アルカリ組成物(A)の他の形態として、
    粉状粘土鉱物とアルカリ塩化合物と水との3成分による反応・養生で予め調製される粘土変性組成物(A2)を挙げることができる。

    【0080】上記粘土変性組成物(A2)の原材料となる粉状粘土鉱物は、下記するアルカリ塩化合物(F) 溶液のアルカリに対して易反応性である含水フェロケイ酸塩化合物、特にの2:1層型でスメクタイト族の含水フェロケイ酸塩化合物からなる粉状粘土鉱物(E) が好適である。
    これらの含水フェロケイ酸塩化合物からなる粉状粘土鉱物(E) は、シロキサン結合によるポリマー中にシラノール基を豊富に確保しており、本発明固化体の複合母体となるシリカポリマーの形成に有効である。

    【0081】一般に含水フィロケイ酸塩化合物は、Si-O
    の四面体を中心に互いに結合した層状ケイ酸塩構造を基本体とする含水の層状ケイ酸塩化合物を総称しており、
    天然の層状粘土鉱物がこれに当たる。 このフィロケイ酸塩化合物には、六網状の層状体と四角網状の層状体とに大別されており、大部分のケイ酸塩化合物は六角網状の層状体から形成されている。 このフィロケイ酸塩化合物を構成する単位は、面、シート、層の3っに区別されており、シートには四面体シートと八面体シートとがある。 この四面体シートと八面体シートで構成される単位層が層状に重なってフィロケイ酸塩化合物を形成しており、層と層との間には水分子を伴って陽イオンが入っており、含水状態を形成している。

    【0082】含水フェロケイ酸塩化合物である層状粘土鉱物の分類によれば、1:1層型のカオリナイトでは2
    八面体型と3八面体型に分類されている。 一方、2:1
    層型にはパイロフィライト、タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母、緑泥石等各族があり、それぞれ2八面体型と3八面体型とに分類されている。

    【0083】しかし、2:1層型のスメクタイト族2八面体型のモンモリロナイト等の層状粘土鉱物は、1:1
    層のカオリナイト等の層状粘土鉱物に比べて、含有するアルミニウムとケイ素の結合が不安定であり反応性に富み、比表面積も大きく、吸着性能も高く、本発明におけるバインダー効果を発揮する上で優れている。

    【0084】上記粉状粘土鉱物(E) の代表的な含水フェロケイ酸塩化合物として、2:1層型でスメクタイト族のフェロケイ酸塩化合物を挙げることができる。 スメクタイト族の2八面体型には、モンモリロナイトならびにバイデライトがあり、3八面体型には、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイトが分類されている。

    【0085】この中でもモンモリロナイトは、易反応性に優れ、入手が容易であることから好適である。 モンモリロナイトは、(Na,Ca 1/2 ) 0.33 (Al 1.67 Mg 0.33 )Si 4 O 10 (O
    H) 2の組成構造式(但し層間水は省略)で示される。 このモンモリロナイトでは、正負の荷電間の距離は大で、
    相互作用の力は弱く、容易に陽イオン交換が起きる。 また環境によって層間水の量も変わり、水や有機物が層間に入って底面間隔を広げる傾向にあり、膨潤性がある。
    このモンモリロナイトにはベントナイトや膨潤性がそれほど大きくないサブベントナイト(酸性白土)が分類されている。

    【0086】しかし、含水の層状粘土鉱物は天然産の鉱物であることから、一般に各種の不純物を共存している。 したがって本発明においては、不純物を共存している含水の層状粘土鉱物の場合、粘土鉱物としての有効成分、例えばモンモリロナイトを少なくとも50重量%以上含有しいる粘土鉱物であれば、本発明の目的を損なうことなく粉状粘土鉱物(E) として採択することができる。

    【0087】一般にフィロケイ酸塩化合物は乾燥物でも水分を20重量%以下の量範囲で含有している。 しかし、
    粉状粘土鉱物(E) として採択される含水フィロケイ酸塩は、乾燥粉末であることが大切である。 その含有水分量は20重量%以下、好適には18重量%以下の乾燥粉末であり、その粉末度は、実質的に65メッシュ篩を少なくとも
    80%以上通過する粉末に粉砕・分級されていることが取扱上好ましい。

    【0088】一方、粉状粘土鉱物(E) と予め反応・調製させてシラノール基を有するシリカ−アルカリ組成物
    (A) を生成させるアルカリ塩化合物は、下記組成式(3) M 2 O・eY・fH 2 O ・・・・・・・・・・・・・・・ (3) (式中:M はリチウム、ナトリウムないしはカリウムの群より選ばれるアルカリ金属元素、Y は炭素、ホウ素もしくはケイ素の単独ないし2種以上の組み合わせからなる元素のオキシ酸、e は零を含む4.0 以下の数、f は零を含む28.0以下の数)で表されるアルカリ塩化合物の単独ないし2種以上の組み合わせアルカリ塩化合物(F) の
    25重量%以上、好ましくは35濃度%以上の水溶液であることがシラノール基確保の上から望ましい。

    【0089】上記の組成式(3) で表されるアルカリ塩化合物(F) の具体例としては、組成式(3) のe が零でオキシ酸を含まず、f が1 の水酸化アルカリの水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを挙げることができ、中でも水酸化ナトリウムが一般的に価格が安価であり、入手が容易であることから好適である。

    【0090】上記組成式(3) のY が炭素のオキシ酸である場合、e が1 であり、f が零である各炭酸アルカリ、
    具体的には炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムを挙げることができる。 また、これらの炭酸アルカリは粉末であることから、本発明においては水に溶解せしめて採択することが好適である。

    【0091】また、上記組成式(3) のY がホウ素のオキシ酸で、e が1 ないし2 であり、fが零ないし10である各種のホウ酸アルカリを挙げることができる。 例えば、
    ホウ酸カリやホウ酸ソーダー等のホウ素含有化合物を選ぶことができる。

    【0092】上記組成式(3) のY がケイ素のオキシ酸である場合、e が2.0 ないし3.5 であり、f が2.5 ないし
    5.0 である各ケイ酸アルカリを挙げることができる。 これらのケイ酸アルカリが前述したる組成式(1) の粉末状ケイ酸アルカリと同質であっても構わない。 具体的にはケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムを挙げることができる。 これらのケイ酸アルカリは粉末であることから、本発明においては水に溶解せしめて採択することが好適である。

    【0093】上記組成式(3) におけるe が4.0 よりも大きい時ならびにf が28.0よりも大きい時は、アルカリ塩
    (F) 中のアルカリ成分が不足することから粉状粘土鉱物
    (E)との反応により生成するシラノール基の満足な量を期待することができない。

    【0094】本発明のシリカ−アルカリ組成物(A) に採択される粘土変性組成物(A2)は、粉状粘土鉱物(E) 100
    重量部に対して、アルカリ塩化合物(F) が30ないし300
    重量部の量で、さらに水が100 ないし350 重量部の量で混和・反応・養生されて3成分混和物(WT)に予め調製されていることが好適である。 この時の調製は所定原料を所定量で混和せしめた後、常温ないしは90℃の範囲で攪拌下に反応・養生させてシラノール基を生成させることが大切である。

    【0095】本発明におけるシロキサン結合からなるシリカポリマーは、基本的に4価のケイ素(Si)と2価の酸素(O) とが規則正しく配列してポリマーのマトリックスを構成している。 しかるに、ケイ酸アルカリから生成するシリカポリマーは、脱水を伴うことからポリマーのマトリックスに収縮が起り、その収縮から歪エネルギーが固化体に発生し蓄積してくる傾向にある。

    【0096】しかもポリマーのマトリックスは規則正しく構成されていることから余裕はなく、発生した歪エネルギーに逃げ場がなくなり蓄積する。 その結果、歪エネルギーの解消方法として、ポリマーにキレツやクラックを発生させ、歪みエネルギーを解消する傾向にある。 このキレツやクラックの発生が、商品化された製品にトラブルを起こす原因となっている。

    【0097】したがって、ポリマー内に発生する歪エネルギーを吸収できる場、所謂「遊びの場」が必要であり、この場をポリマー内に緩衝帯として形成させておく必要がある。 この現象の応用は、ガラスにおけるホウケイ酸ガラスの挙動に類似している。 本発明で生成するシロキサン結合からなるシリカポリマーにおいても、価数の異なる3価のホウ素元素をポリシロキサン結合内に適度に含有せしめることにより、ポリマー内に緩衝帯を設けることが可能となり、収縮歪みによるトラブルを解消することができる。

    【0098】本発明においては、以上の現象から生成固化体に発生する収縮歪を解消するために、水硬性シリカ系バインダーにおけるシリカ−アルカリ組成物(A) の他の形態として、基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)であるシリカ−アルカリ組成物(A) に、緩衝帯形成剤としてホウ素含有化合物が予め混合複合されている液状ないし粉状のホウ素複合組成物(A3)を挙げることができる。

    【0099】本発明で選択される緩衝帯形成剤としては、アルカリ溶液に可溶でシリカポリマーの骨格であるシロキサン結合との反応性が容易であり、4価のケイ素価数と異なる3価の価数を有するホウ素を含有するホウ素含有化合物(T) からなる緩衝帯形成剤(AT)が好適である。

    【0100】本発明で選択されるアルカリ溶液に可溶性のホウ素含有化合物(T) としては、ホウ酸アルカリであるアルカリ塩が好適であり、アルカリ元素がカリウムもしくはナトリウムであることが好ましく、例えばホウ酸カリやホウ酸ソーダーを挙げることができる。 また、ホウ酸アルカリは粉状体であることから、無水塩、3 水塩、5 水塩、7 水塩、10水塩の中から選択することが好適である。

    【0101】さらに他のホウ素含有化合物(T) としては、アルカリ塩に代わり、各種のホウ酸塩化合物を適宜選ぶこともできる。 このホウ酸塩化合物としては、例えば、工業薬品である酸化ホウ素、ホウ酸、リン酸ホウ素、ホウ酸亜鉛、ホウ酸カルシウム等を挙げることができる。

    【0102】本発明のホウ素複合組成物(A3)は、前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記の緩衝帯形成剤(AT)が40重量部以下、好ましくは30重量部以下の量で均質に混合複合されているシリカ−アルカリ組成物(A) に予め調製しておくことが生成するシリカポリマー中で発生する収縮歪みを解消させる上で有効である。

    【0103】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるシリカ−アルカリ組成物(A)の他の形態として、
    基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)からなるシリカ−アルカリ組成物に、アルミノケイ酸塩であるゼオライトを本発明の生成固化体の結晶成長タネとして予め混合複合させた粉状ないし液状のタネ複合組成物(A
    4)を挙げることができる。

    【0104】本発明においては、シリカ−アルカリ組成物(A) とアルミノケイ酸塩(B) と水との3成分混和物(W
    T)を少なくとも常温に解放するときは、アルカリ成分等が固定化された水不溶性のアルミノケイ酸塩であるゼオライトもしくはゼオライト前駆体ならびにシリカポリマーで構成される複合母体が生成する。

    【0105】ここに生成するゼオライトもしくはゼオライト前駆体を速やかに生成させるために、3成分混和物
    (WT)にアルミノケイ酸塩であるゼオライト(S) を結晶成長のタネ(KS)として共存せしめておくことが本発明固化体形成に有効である。

    【0106】上記結晶成長のタネ(KS)として有効なアルミノケイ酸塩は、下記単位格子の化学組成式(4) M x/n・[(AlO 2 ) x・(SiO 2 ) y ]・wH 2 O ・・・・・・・・・・・(4) (式中:Mハ原子価nの金属陽イオン、 x+yは単位格子当りの四面体数)で表されるアルミノケイ酸塩でゼオライト構造を有するゼオライト(S) 結晶成長タネ(KS)として有効である。 これらのゼオライト(S) は、天然鉱物でも人工的合成の鉱物でも有効である。

    【0107】本発明のタネ複合組成物(A4)は、前記の基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、結晶成長タネ(KS)が0.01ないし10重量部で均質に混合複合されているシリカ−アルカリ組成物(A) であることが、本発明固化体中にゼオライトを有効に速やかに生成せしめる上で有効である。

    【0108】本発明の水硬性シリカ系バインダーを施工現場で作業に付するに際して、その施行作業中を通して水硬性シリカ系バインダーが、施工に必要な作業性を確保して流動体を保持した作業可使時間を有していることが重要である。

    【0109】この作業可使時間を確保するために、本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるシリカ−アルカリ組成物(A) の他の形態として、基本標準組成物(A
    1)もしくは粘土変性組成物(A2)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) に、硬化調整剤としてバリウム塩化合物を予め混合複合された液状ないし粉状のバリウム複合組成物(A5)を挙げることができる。

    【0110】本発明で選択される硬化調整剤としては、
    ケイ酸アルカリのゲル化反応を調整できるアルカリ溶液への可溶分を有する粉末のバリウム塩化合物(J) からなる硬化調整剤(AJ)が好適である。

    【0111】上記硬化調整剤として有効なバリウム塩化合物は、下記組成式(5) BaO・gSiO 2・hH 2 O ・・・・・・・・・・・・・ (5) (式中:g は4.0 以下の零を含む数であり、h は9.0 以下の零を含む数である)で表わされるアルカリ溶液への可溶分を有する粉末バリウム塩の単独ないし2種以上の組み合わせバリウム塩化合物(J) からなる硬化調整剤(A
    J)が好適である。

    【0112】本発明において、硬化調整剤(AJ)として採択される粉状バリウム塩化合物を特定する「アルカリ溶液への可溶分」とは、バリウム塩化合物10g を25℃の1
    規定苛性ソーダ溶液100 ml中に10分間撹拌分散させた後、該試料溶液を濾別した溶液中のバリウムイオン(Ba
    ++ )を定量し、採取試料中の全バリウム元素(Ba)量を基準(100) として1規定苛性ソーダ溶液中に溶出したバリウム(Ba)量(%) をいう。

    【0113】本発明粉状バリウム塩化合物(J) のアルカリ溶液への可溶分は、10%以上であることが水硬性シリカ系バインダーの湿式流動体を確保する上で好適である。 アルカリ溶液への可溶分が10%以下のバリウム塩化合物(J) を採択する時には、水硬性シリカ系バインダーの施工作業に必要な流動体を確保できる可使時間が期待できない。 一方、アルカリ溶液への可溶分が90%以上のバリウム塩化合物(J) では、水硬性シリカ系バインダーの可使時間は確保されるが硬化に至る時間が長期化してしまい、生成シリカポリマーの適切な形成を損ない、また均質な固化体生成が阻まれ好ましくない。

    【0114】一般に、上記アルカリ溶液への可溶分を満足し、入手容易で安価であるバリウム塩化合物(J) としては、工業製品として市販されている化学式Ba(OH) 2・8H
    2 Oで示される水酸化バリウムが好適である。 また、化学式BaO の酸化バリウムを採択することも有効である。 しかし、アルカリ溶液への可溶分量が管理でき、水硬性シリカ系バインダーの湿式流動体と可使時間を調整・管理できることから、本発明においてはバリウムイオンの活性がマイルドに発揮されるケイ酸バリウムが好適である。

    【0115】このケイ酸バリウムとしては、水酸化バリウムと反応性ケイ酸とを原料とした混合品を低温(好適には100 ないし200 ℃)処理により調製されたアルカリ溶液への可溶分が10%以上である簡易型粉状ケイ酸バリウムが本発明においては水硬性シリカ系バインダーの湿式流動体と可使時間ならびに硬化時間を管理できることから好適である。

    【0116】この場合の簡易型粉状ケイ酸バリウムは、
    組成式(5) g の数が4.0 以下の数であることが良く、4.
    0 以上の数ではバリウムイオンの活性を有効に利用することができない。 また、組成式(5) h の数が9.0 以下の数であることが良く、9.0 以上の数では、特に本発明においてワンパック品(G) 中でのバリウム塩化合物(J)の保存安定性が確保されず本発明の目的を達することができない。

    【0117】アルカリ溶液への可溶分を有する粉状バリウム塩化合物(J) は、基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) 10
    0 重量部に対して、0.1 ないし10重量部の範囲で混合複合されているバリウム複合組成物(A5)であることが好ましい。

    【0118】バリウム塩化合物(J) の量が0.1 重量部よりも少ない時は、施工作業性に適切な可使時間と水硬性シリカ系バインダーの湿式流動体を確保することが困難となる。 また、バリウム塩化合物(J) の量が10重量部よりも多い時は、作業可使時間は充分であるが固化体の硬化速度が遅くなり、固化体の生産性と実用性を損なう傾向にある。

    【0119】本発明においては、調製される水硬性シリカ系バインダーがシリカ濃度を低減させることなく作業性に好適な流動性ないしは可塑性を確保するために、水硬性シリカ系バインダーにおけるシリカ−アルカリ組成物(A) の他の形態として、基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)からなるシリカ−アルカリ組成物
    (A) に粘度改質剤として易反応性のケイ酸カルシウムを予め混合複合させた粉状ないしは液状のケイカル複合組成物(A6)を挙げることができる。

    【0120】本発明で選択される粘度改質剤としては、
    ケイ酸アルカリのゾル−ゲル反応を調整できてケイ酸アルカリに易反応性のケイ酸カルシウム(G) からなる粘度改質剤(AG)が好適である。

    【0121】本発明で採択される易反応性のケイ酸カルシウム(G) の具体的な例としては、ウオラストナイトもしくは非晶質の構造をしている天然のケイ酸カルシウムならびに合成のケイ酸カルシウム等の粉状体が安価であり、入手が容易であることから好適に選択することがことができる。

    【0122】これらのケイ酸カルシウム(G) は、基本標準組成物(A1)もしくは粘土変性組成物(A2)からなるシリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記の粘度改質剤(AG)が70重量部以下、好ましくは60重量部以下の量で均質に混合複合されているケイカル複合組成物(A
    6)に予め調製しておくことにより、好適な作業性ならびに可使時間の確保された水硬性シリカ系バインダーが調製される。

    【0123】このケイ酸カルシウム(G) の混合複合されたケイカル複合組成物(A6)は、安定した水分散のシリカ−アルカリ組成物(A) を形成し、水硬性シリカ系バインダーの湿式流動体としての液性を好適に調製することができ、本発明目的の固化体を形成させる上で重要である。

    【0124】本発明ケイカル複合組成物(A6)で採択されるケイ酸カルシウムに代えて、単に水酸化カルシウムや酸化カルシウムが採択されたシリカ−アルカリ組成物では、直ちにゲル化が起こり、好適な作業可使時間を有している湿式流動体であり流動性ないしは可塑性を好適に確保できる水硬性シリカ系バインダーを調製することはできない。

    【0125】本発明においてケイカル複合組成物(A6)を採択して湿式流動体である水硬性シリカ系バインダーを調製するときは、シリカ−アルカリ組成物(A) に予めカルシウム成分が安定に含有されていることから、後述するアルミン酸塩組成物(B) のアルカリ土類金属成分の含有量に拘らずにアルミン酸塩組成物(B) を幅広く選択でき、しかも白化現象等が抑制されることから好適である。

    【0126】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるシリカ−アルカリ組成物(A)の他の形態として、
    前期の各シリカ−アルカリ組成物(A) である基本標準組成物(A1)、粘土変性組成物(A2)、ホウ素含有組成物(A
    3)、タネ含有組成物(A4)、バリウム含有組成物(A5)ならびにケイカル含有組成物(A6)の群より選ばれる2種以上の組み合わせ混合複合物である粉状ないし液状の複数複合組成物(A7)を挙げることができる。

    【0127】これらの複数複合組成物(A7)は、本発明水硬性シリカ系バインダーの用途目的または作業性、さらには価格に応じて、予め行われる予備実験により確認された条件(種類、配合量等)により複数の組成物を混合することにより採択されることが好ましい。

    【0128】本発明によれば、基礎原料として採択されるシリカ−アルカリ組成物(A) と共に選択されるアルミン酸塩組成物(B) は9種類あり、この9種類のアルミン酸塩組成物(B) は、いずれもアルミン酸塩化合物を主成分としており、その代表例として下記組成式(2) cQO・Al 2 O 3・dH 2 O ・・・・・・・・・・・・ (2) (式中:Q はカルシウムないしはマグネシウムの群より選ばれたアルカリ土類金属元素、c は0.8 ないし6.0 の数、d は零を含む6.5 以下の数)で表わされるアルカリ土類金属のアルミン酸塩化合物からなる易反応性のアルミノ粉体(B1)を挙げられることができる。

    【0129】一般にアルミン酸塩化合物は、アルミナや水酸化アルミニウムがアルカリ溶液に対する溶解により生成するといわれている。 本発明の組成式(2) で示される代表的なアルカリ土類金属のアルミン酸塩化合物からなる易反応性のアルミノ粉体(B1)の具体的例としては、
    アルミン酸カルシウムやスピネル構造を持つアルミン酸マグネシウム、またアルミナセメント等を挙げることができる。

    【0130】これらアルミノ粉体(B1)は、シリカ−アルカリ組成物(A) との反応性ならびに触媒作用に優れ、しかも以上のアルミノ粉体(B1)は工業薬品として入手容易であることから本発明水硬性シリカ系バインダーの原料として好適である。

    【0131】本発明水硬性シリカ系バインダーのアルミン酸塩化合物組成物(B) において、組成式(2) で示されるQ がアルカリ土類金属元素であることがゼオライトの生成に好適であり、このアルカリ土類金属元素が触媒的作用を発揮し、生成固化体に耐水性を付与せしめることから重要である。 アルカリ土類金属を含有する化合物として、例えば、消石灰や石灰、さらにはマグネシヤや水酸化マグネシウム等の塩類を一般に挙げることができる。

    【0132】アルミン酸塩組成物(B) の組成式(2) におけるc が5.0 より大きい時は、副生アルカリ成分を固定するゼオライトの形成に必要なアルミナ分の量が少なくなり好適なゼオライト形成を期待できない。 また、c が
    0.8 より小さい時は、ゼオライト生成に際して触媒的作用をするアルカリ土類金属化合物の量が減少し、ゼオライト生成を迅速に進行させることができず耐水性の発現が期待できない。

    【0133】また、アルミン酸塩組成物(B) の組成式
    (2) におけるd がは3.5 より大きい時は、アルミン酸塩組成物(B) の含水率が上り粉状体を維持できなくなり本発明のアルミン酸塩組成物(B) としては好適でない。 但し、シリカバインダーとして反応させるシリカ−アルカリ組成物が高濃度の液状体である時は、d がは3.5 より大きいアルミン酸塩組成物(B) を採択することも可能である。

    【0134】本発明組成式(2) で示されるアルミノ粉体
    (B1)のアルミン酸塩組成物(B) は、一般に主成分としてアルミナ分をAl 2 O 3基準で4 ないしは70重量%、シリカ分をSiO 2基準で10ないしは70重量%、アルカリ土類金属の酸化物分をQO基準で10ないしは65重量%含有しており、比表面積として2,000 ないし100,000 cm 2 /g 有していることが、シリカ−アルミナ組成物(A) との反応性に優れ、作業性容易な優れた湿式流動体のの水硬性シリカ系バインダーを調製する上で有効である。

    【0135】本発明のアルミン酸塩組成物(B) において、主成分であるアルミナ分が4 重量%より少ない時は、シリカポリマー生成時に副生するアルカリ成分を固定することができず固化体に耐水性を付与することができない。 また、アルミナ分が70重量%よりも多い時は他の成分であるアルカリ土類金属成分が少なくなりゼオライトの迅速な生成が損なわれる傾向にある。

    【0136】また、アルミン酸塩組成物(B) がシリカ−
    アルミナ組成物(A) との共同作業によりバインダー効果を効率よく達成するために、アルミン酸塩組成物(B) の比表面積が2,000 ないし100,000cm 2 /gの粉体であることが重要である。 この時の比表面積が2,000 cm 2 /g より小さい時は、アルミン酸塩組成物(B) の反応性が低下しアルカリ成分の固定が困難となる。

    【0137】一方、比表面積が100,000 cm 2 /g より大きい軽量粉体(BA)である時は、液状シリカ−アルミナ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) 粉体とが混合された時に、シリカ−アルミナ組成物(A) の液状部分が吸収されて該混和物は「バサバサ」状態となり、水硬性シリカ系バインダーを一体化した連続層で確保することができず、均質に一体化した固化体生成を期待することはできない。

    【0138】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるアルミン酸塩組成物(B) の他の形態として、水酸化アルミニウムとアルカリ土類金属のケイ酸塩とで混合処理されてアルミン酸塩化合物の前駆体化合物を形成している前駆体組成物(B2)を挙げることができる。

    【0139】上記の水酸化アルミニウムとしては、組成式Al 2 O 3・3H 2 Oで示される含水の酸化アルミニウムが、易反応性で入手が容易であることから好適である。 一方、
    上記のアルカリ土類金属のケイ酸塩としては、ケイ酸カルシウムとケイ酸マグネシウムが易反応性で入手が容易であることから好適である。 しかし、本発明で採択されるアルカリ土類金属のケイ酸塩は、酸化物基準におけるケイ酸SiO 2とアルカリ土類金属の酸化物MOとのモル比が1:1に限定されるものでなく、モル比が0.3ないし3
    :0.3 ないし3 の範囲から選ぶことができる。

    【0140】また、本発明の前駆体組成物(B2)に採択されるアルカリ土類金属のケイ酸塩としては、ケイ酸カルシウムやケイ酸マグネシウムに止まらず、ケイ酸カルシウム等を含有している高炉スラッグやポルトランドセメント等のカルシヤを多量に含んでいるケイ酸塩も本発明の目的を達成する上で有効である。 中でもポルトランドセメントは水硬性を有している材料であり、本発明にとって好適である。 この前駆体組成物(B2)の調製は、水酸化アルミニウムとアルカリ土類金属のケイ酸塩との簡単な均質混合によって達成することができる。

    【0141】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるアルミン酸塩組成物(B) の他の形態として、各分野から副生してくる熱履歴を受けたアルミン酸塩化合物を含有している廃棄物であるフライアッシュ、スラッグならびに焼却灰等の廃棄物粉体(B3)を挙げることができる。

    【0142】上記熱履歴を受けたアルミン酸塩化合物を含有している廃棄物粉体(B3)は、石炭火力発電所から副生するフライアッシュ、製鋼や各種金属冶金に際して副生するスラッグ、製紙業界から排出されるペーパースラッジの焼却灰、一般廃棄物を含む各種の生ゴミ類の焼却灰、下水汚泥やその他の汚泥等の焼却灰、各種発酵残渣の焼却灰等の粉状体を廃棄物粉体(B3)として挙げることができる。

    【0143】これら廃棄物の粉状体は、熱履歴を受けてるが比表面積が大きい場合がある。 このような場合は後述する軽量粉体(BL)の分野に属し、粉状体の比表面積を小さくする処理工程に付してから廃棄物粉体(B3)として採択することが好適である。

    【0144】本発明において重要なことは、これら廃棄物類に含有されている有害な重金属類が本発明の水硬性シリカ系バインダーの固化工程中に生成するゼオライトにより水不溶性塩として固定化されることにある。 即ち、本発明の水硬性シリカ系バインダーに廃棄物類が採択される場合、これら廃棄物が含有している重金属類は不溶性塩類となり、水への溶出は阻止され、廃棄物類を安全に再利用することを可能にしている。 したがって、
    これら有害重金属類の環境への汚染を防止することが可能であり、本発明技術が環境問題の解消に貢献できる点で重要である。

    【0145】なお、石炭灰はフライアッシュとクリンカアッシュとを総称しているが、本明細書においてはフライアッシュを中心に記載説明する。 フライアッシュの一般的な化学組成( 重量%) は、 SiO 2 : 48.2 ないし 61.
    3 、Al 2 O 3 :20.0ないし26.8、Fe 2 O 3 :3.6 ないし7.5
    、MgO :0.8 ないし2.7 、CaO :3.0 ないし8.5 であり、また比表面積(cm 2 /g) は2400以上であり、45μm ふるい残分は40%以下の粉体である。 このようにフライアッシュはシリカとアルミナを主成分とし、カルシヤを含有しており、シリカ−アルカリ組成物と易反応性で本発明のアルミン酸塩組成物(B) として好適である。

    【0146】また石炭灰のクリンカアッシュは赤熱状態でボイラー底部の水槽に落下した石炭灰を、破砕機で破砕し、粒度調整したもので、赤熱状態から急冷したために化学的に安定している。 クリンカアッシュの化学組成(重量%)は、SiO 2 :51.6ないし64.0、Al 2 O 3 :17.3ないし26.9、Fe 2 O 3 : 3.7ないし10.9、MgO: 0.9ないし2.6、
    CaO:1.9 ないし 8.8で、フライアッシュとほぼ同等で、シリカとアルミナを主成分としている。

    【0147】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるアルミン酸塩組成物(B) の他の形態として、カルシウム塩鉱物を主成分とするアルミン酸塩化合物からなる水硬性セメント類粉末であるセメント粉体(B4)を挙げることができる。

    【0148】これらのセメント粉体(B4)としては、公知・公用の各種の水硬性セメント類粉末から適宜選ぶことができる。 その具体的例は、JIS R 5200で規定されているポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩)や混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント)、さらには各種の特殊セメント(白色ポルトランドセメント、アルミナセメント、超速硬性セメント、コロイド状セメント、油井セメント、地熱井セメント、膨潤セメント、その他特殊セメント)等の水硬性セメント鉱物類の粉状体を挙げることができる。

    【0149】これらの水硬性セメント鉱物類の粉状体は、それ自体が水との混合により水和物を生成して固化体を形成する。 しかし本発明においては、これらの水硬性セメント鉱物類の粉状体は、本発明の水硬性シリカ系バインダーにとって安価なアルミン酸塩組成物原料として有効であり、好適に採択することができる。

    【0150】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるアルミン酸塩組成物(B) の他の形態として、アルミン酸塩含有の軽量粉体が有する表面積を含浸溶液を用いて改質されている改質組成物(B5)を挙げることができる。

    【0151】上記アルミン酸塩含有の軽量粉体は、前記のアルミノ粉体(B1)とほぼ同様の組成であり、アルミナ分をAl 2 O 3基準で10ないし85重量%、シリカ分をSiO 2基準で10ないし75重量%、カルシヤ分をCaO 基準で2 ないし40重量%含有しており、しかも比表面積が100,000 cm
    2 /g 以上と大きくかさ高い軽量粉体(BL)である。 この軽量粉体(BL)に液状のシリカ−アルカリ組成物(A) が混和されると、その混和物は「バサバサ状」となり、本発明が目的とする湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーの性能を有効に発揮させられない。 .

    【0152】軽量粉体(BL)の具体的な例としては、産業廃棄物であるペーパースラッジや各種の焼却灰、窯業製品の微粉廃棄物、ケイ酸カルシウムやケイ酸アルミニウム等の微粉末からなる各種の体質顔料、ケイ酸アルミニウムを主成分とする微粉末の粘土鉱物類、含水の土壌・
    堆積土や汚泥類、火山灰等を挙げることができる。

    【0153】上記の含浸溶液は、前記の組成式(1) で表わされるケイ酸アルカリの単独もしくは2種以上の組み合わせからなる液状の含浸溶液(AP)が好ましい。 一般的には安価で入手がしやすい液状ケイ酸ソーダ、所謂水ガラスが好ましい。

    【0154】本発明においては、比表面積の大きい軽量粉体(BL)にケイ酸アルカリからなる含浸溶液(AP)を含浸させて乾燥させる処理工程に付し、軽量粉体(BL)の細孔を含めた粉体表面にケイ酸分が沈着せしめ、軽量粉体(B
    L)の比表面積を2,000 ないし100,000 cm 2 /g の範囲に改質することにより改質組成物(B5)に予め調製しておくことが、本発明のアルミン酸塩組成物(B) として好適に採択できる。

    【0155】比表面積を小さくする処理工程は、軽量粉体(BL) 100重量部に対して含浸溶液(AP)を80重量部以下の量で含浸させ、ついで120 ℃以下の温度で乾燥する処理工程に付することにより、比表面積を小さくした改質組成物(B5)に調製することが可能となり有効である。

    【0156】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるアルミン酸塩組成物(B) の他の形態として、リンのオキシ酸含有のアルミン酸塩化合物がカルシウム塩で中和処理されている前処理組成物(B6)を挙げることができる。

    【0157】一般に、リンのオキシ酸含有の酸性サイドにある化合物をセメント類で固化体に形成しようとするとき、リンのオキシ酸がセメント鉱物のカルシウム塩と反応して固化形成機能を消滅せしめることがら固化体形成は難しい。 同様に本発明の水硬性シリカ系バインダーにおいても、リンのオキシ酸含有のアルミン酸塩化合物粉体(BP)を採択するときは、シリカ−アルカリ組成物
    (A) との中和反応が優先し、固化体形成を阻害する。 したがって、予めリンのオキシ酸含有化合物をカルシウム塩等により中和しておくことが必要である。

    【0158】上記の前処理組成物(B6)で採択されるリンのオキシ酸含有のアルミン酸塩化合物は、主成分としてリンのオキシ酸分をP 2 O 5基準で2 ないし35重量%、アルミナ分をAl 2 O 3基準で4 ないし30重量%、シリカ分をSi
    O 2基準で5 ないし50重量%、アルカリ土類金属の酸化物分をQO基準で3 ないし25重量%各々含有している粉体のリンのオキシ酸含有のアルミン酸塩化合物(BP)であり、
    具体的には下水道汚泥の焼却処理灰やヘドロ等の汚泥処理土等の粉末より選ぶことができる。

    【0159】これらリンのオキシ酸含有のアルミン酸塩化合物粉体(BP)を中和処理するカルシウム塩としては、
    安価で入手が容易である消石灰や生石灰、さらに炭酸石灰やケイ酸カルシウム、またセメント類等からなるカルシウム塩(GC)が好適である。

    【0160】前処理組成物(B6)の前処理調製方法は、リンのオキシ酸含有のアルミン酸塩化合物粉体(BP)100 重量部に対してカルシウム塩(GC)が5 ないし50重量部、水が0ないし100 重量部の量で配合・混和して、ついで20
    ないし80℃において反応・養生することによって中和処理が行われ、含有するリンのオキシ酸を予め中和処理した前処理組成物(B6)に調製しておくことが好ましい。

    【0161】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるアルミン酸塩組成物(B) の他の形態として、有機化合物を均質分散状態に担持しているアルミン酸塩からなる有機含有組成物(B7)を挙げることができる。

    【0162】上記の有機化合物として、動・植物類や発酵物ならびにそれらの生産物等である天然の有機化合物、各種人工的に生産される合成の有機化合物、さらに各種プラスチックスやその加工品である高分子の有機化合物等の有機化合物(BC)を挙げることができる。

    【0163】上記の有機化合物(BC)が均質分散状態に担持されているアルミン酸塩からなる有機含有組成物(B7)
    の具体例としては、前記した廃パルプ類を含有しているペーパースラッジや油脂類の精製処理剤として使用されて油分を含有した廃白土、また有機質分を含有している各種の発酵残渣、沼・湖やダム等のヘドロ汚泥や動物のふん尿の含まれた汚泥等を挙げることができる。

    【0164】有機含有組成物(B7)の一般的主たる化学組成(乾燥物規準の重量%)は、SiO 2 :5.0 ないし30.0、
    Al 2 O 3 :1.0 ないし30.0、Fe 2 O 3 :0.1 ないし10.0、Mg
    O :0.1 ないし8.0 、CaO :0.1 ないし8.0 、灼熱減量:10.0ないし65.0であり、また比表面積(cm 2 /g) は24
    00以上であり、45μm ふるい残分は50%以下に調製された粉体が好適である。

    【0165】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるアルミン酸塩組成物(B) の他の形態として、有機質分含有アルミン酸塩が乾留処理されて調製された炭素−アルミナ複合体の炭素含有組成物(B8)を挙げることができる。

    【0166】上記の炭素−アルミナ複合体は、有機質成分含有アルミン酸塩である廃パルプ類を含有しているペーパースラッジや油脂類の脱色精製処理剤に使用されて油分を含有した廃白土等を乾留原料として、有機質成分含有アルミン酸塩の有機分が乾留工程で炭素化されている炭素−アルミナ複合体(BA)が好適である。 この時の乾留工程は、公知・公用の汎用性の乾留装置を用いて300
    ないし950 ℃の温度範囲における乾留処理で含有有機成分を炭素化する方法が好適である。

    【0167】炭素化された炭素−アルミナ複合体(BA)の一般的な主たる化学組成(重量%)は、C :3.0 ないし
    50.0、SiO 2 :10.0ないし40.0、Al 2 O 3 :5.0 ないし35.
    0、Fe 2 O 3 :0.5 ないし10.0、MgO :0.1 ないし8.0 、C
    aO :0.1 ないし8.0 であり、比表面積(cm 2 /g) は2400
    以上であり、45μm 篩残分は40%以下の粉体炭素含有組成物(B8)が好適である。

    【0168】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択されるアルミン酸塩組成物(B) の他の形態として、前記の各アルミン酸塩組成物(B) であるアルミノ粉体(B1)、
    前駆体組成物(B2)、廃棄物粉体(B3)、セメント粉体(B
    4)、改質組成物(B5)、前処理組成物(B6)、有機含有組成物(B7)ならびに炭素含有組成物(B8)の2種以上の組み合わせからなる多機能組成物(B9)を挙げることができる。

    【0169】これらの多機能組成物(B9)は、本発明水硬性シリカ系バインダーの用途目的または作業性、さらに価格に応じて、予めの予備実験により確認された条件により複数の組成物が混合されて多種の機能性を発揮することができるので好ましい。

    【0170】本発明においては、シリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) とで構成される2成分混合組成物(CD)は、上記の粉状のアルミン酸塩組成物
    (B) 100 重量部に対して、上記の液状もしくは粉状のシリカ−アルカリ組成物(A) が10ないし310 重量部で混合されていることが好適である。

    【0171】上記のシリカ−アルカリ組成物(A) が10重量部よりも少ないときは、本発明水硬性シリカ系バインダーの固化性バインダー効果を低減させて好ましくない。 また、シリカ−アルカリ組成物(A) が310 重量部よりも多いときには、本発明の水硬性シリカ系バインダーに特段のバインダー有効性を見出すことはできない。

    【0172】本発明の2成分混合組成物(CD)の調製方法は、シリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物
    (B) との所定割合による簡単な混合によってて達成される。 この場合、シリカ−アルカリ組成物(A) が液状であるか粉状であるかにより、その混合方法は異なるが、いずれにせよ一般には公知・公用の混合方法の採択により達成することができる。 なお、後述する水との混和において、これら2成分の混合を同時に行うことも生産性の上からも有効である。

    【0173】本発明の水硬性シリカ系バインダーにおいて、前記のシリカ−アルカリ組成物とアルミン酸塩組成物とからなる液状もしくは粉状の2成分混合組成物(CD)
    に、さらに各種粉粒体の添加素材(K) が混合されている3成分混合組成物(CT)に、水が均質分散されて混和されている4成分混和物(WQ)からなる湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーを提供することができる。

    【0174】本発明の水硬性シリカ系バインダーに採択される粉粒体の添加素材としては、抗微生物剤、機能性素材、細骨材ないしは再利用材の粉粒体群より選ばれた単独ないしは2種以上の組み合わせ粉粒体添加素材(K)
    が好適である。

    【0175】本発明の添加素材(K) として好適な粉粒体は、粒径が50μ未満の微粉末体のみならず、粒径が50μ
    以上で5 mm以下の範囲にある粒状体を含めることができる。 具体的形状としては、粉状、砂状、塊状、針状、柱状、球体、中空体、繊維状、板状、フレーク状、変形状もしくは各種形状の微粉末体ないしは粒状体である粉粒体を総称して挙げることができる。

    【0176】なお本発明耐水・耐熱性固化体に添加される素材として、コンクリート製品等の固化体に配合される「骨材」を選ぶこともできる。 この時の「骨材」は、
    粒径5 mmφ以下の砂・砕砂からなる「細骨材」と粒径5
    mmφ以上の砂利・砕石からなる「粗骨材」とに分類されている。 本明細書において、「粗骨材」は純粋な増量骨材と位置づけ、粗骨材の採用における効果は当業界における一般常識であり、耐水・耐熱性固化体の本質特性を損なうものでないことから、「粗骨材」の採択は特記なき限り本発明の粉粒体添加素材(K) には組み込まないものとする。

    【0177】本発明においては、本発明の耐水・耐熱性固化体に抗菌、抗黴、防藻等の抗微生物性効果を付加して発揮させるため、3成分混合組成物(CT)からなる水硬性シリカ系バインダーに採択される粉粒体添加素材(K)
    として抗微生物剤(KZ)を挙げることができる。

    【0178】上記の抗微生物剤(KZ)としては、公知・公用の有機化合物ならびに無機化合物から調製される抗微生物剤の中から適宜選択採用することができるが、本発明の耐水・耐熱性固化体においては、亜鉛含有化合物もしくは銅含有化合物でオキシ酸塩等の水との接触によりイオン性の亜鉛もしくは銅を形成できる抗微生物剤が効果であり、これらは抗微生物性を有効に発揮する。

    【0179】特に上記の抗微生物剤としては、下記組成式(7) EO y・aDO x・bH 2 O ・・・・・・・・・・・・・ (7) (式中:E は銀、1価または2価の銅もしくは亜鉛元素、D はカルシウム、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、窒素、リンもしくはイオウ元素、
    a は0.1 ないし3.5 の数、b は零を含む24.0以下の数、
    y は0.5 ないし1.0の数、x は0.5 ないし3.0 の数)で表される粉状の銅もしくは亜鉛のオキシ酸塩化合物の単独ないしは2種以上の組み合わせからなる抗微生物剤(K
    Z)を粉粒体添加素材(K) として好適に挙げることができる。

    【0180】抗微生物剤(KZ)に選ばれる亜鉛のオキシ酸塩化合物は、市販試薬や工業薬品等の中より選ぶことができる。 具体的な例としては、酸化亜鉛[ZnO] 、水酸化亜鉛[Zn(OH) 2 ] 、塩化亜鉛[ZnCl 2 ]、亜硫酸亜鉛[ZnSO 3・2
    H 2 O]、硫酸亜鉛 [ZnSO 4・2H 2 O]、リン酸亜鉛[Zn 3 (PO 4 ) 2・4
    H 2 O]、亜硝酸亜鉛[Zn(NO 2 ) 2・H 2 O]、硝酸亜鉛[Zn(NO 3 ) 2
    ・6H 2 O]、ホウ酸亜鉛[ZnB 4 O 7・4H 2 O] 、酢酸亜鉛[Zn(CH 3 C
    OO) 2・2H 2 O]、シュウ酸亜鉛[Zn(C 2 O 4 )・2H 2 O] 、各種の亜鉛含有固熔体(Mg 0.9 Zn 0.1 O 、3MgO・Al 2 O 3・ZnO等]等の単独もしくは組み合わせの亜鉛化合物を挙げることができる。

    【0181】1価または2価の銅インを含有するキレート化合物を含む各種化合物も抗菌、抗黴、防藻等の抗微生物効果を発揮する有効な抗微生物剤(KZ)であり、具体的には酸化銅[CuO] 、亜酸化銅[Cu 2 O]、炭酸銅[Cu 2 C
    O 3 ]、ホウ酸銅[Cu 2 B 4 O 7・4H 2 O]、ケイ酸銅[CuSiO 3 ]、銅の各種キレート化合物等を好適に挙げることができる。

    【0182】また、他の抗菌填剤(KZ)として、カルシウムやマグネシウムの水酸化物または酸化物に亜鉛イオンやさらには亜鉛イオンと銅イオンや銀イオンを複合させて固溶させた複合酸化物類も挙げることができる。 さらにまた、担持性を有するゼオライトやフェロケイ酸塩からなる粘土鉱物、吸着力を有するリン酸ジルコニウム等、さらには活性炭やシリカゲル等にこれらの亜鉛含有化合物を担持させた素材の単独ないしは組み合わせの抗微生物剤(KZ)も有効である。

    【0183】これらの抗菌填剤(KZ)の亜鉛化合物で特に水可溶性の亜鉛の塩類が本発明の水硬性シリカバインダーに配合採択される時には、該亜鉛の塩類は水硬性シリカバインダー中のシリカ−アルカリ組成物(A) と反応してケイ酸亜鉛を形成し固化体中に固定され、亜鉛イオンをゆっくりと除放して、耐水性のある固化体中で長期に抗菌効果を発揮することから有効であり、好適である。

    【0184】本発明における抗微生物剤(KZ)が混和された上記3成分混合組成物(CT)は、前記シリカ−アルカリ組成物(A) と前記アルミン酸塩組成物(B) との前記2成分混合組成物(CD)100 重量部に対して、上記抗微生物剤
    (KZ)が1 ないし70重量部の量で混和されいる3成分混合組成物(CT)であることが好ましく、抗微生物剤が1 重量部より少ないときは抗微生物性の効果が現れず、またり
    70重量部より多くても格段の効果の向上は認められない。

    【0185】上記3成分混合組成物(CT)100 重量部に対して、水が1 ないし200 重量部の量で混和されて均質分散されることにより、抗微生物性が発揮される4成分混和物(WQ)からなる湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーが調製される。

    【0186】本発明においては、本発明の耐水・耐熱性固化体に各種の多様性ならびに機能性を付与するため、
    3成分混合組成物(CT)からなる水硬性シリカ系バインダーに採択される粉粒体添加素材(K) として、顔料、着色剤、活性剤、充填剤、機能性付与剤等の機能性素材(KF)
    を挙げることができる。

    【0187】上記の機能性素材(KF)としては、一般的にプラッチクス加工、塗料、接着剤、セメント加工等の各分野ならびに当業界で公知・公用で採択されている顔料、着色剤、活性剤、充填剤、機能性付与剤からなる機能性素材(KF)はいずれも好適に採択することができる。

    【0188】これらの機能性素材(KF)は、本発明の耐水・耐熱性固化体製品に求められる物性、機能性、施工性、用途目的等により、また粉末状、繊維状、塊状、粒状、球状、フレーク状、カレット状、特定形状等種々の形状の粉粒体、ならびにこれら粉粒体が予め水等の溶媒によりペースト化されている顔料、活性剤、着色剤、充填剤、機能剤の群より選ぶことができる。 本発明で採用される機能性素材(KF)の好適な例を下記に示すが、本発明で採択される粉粒状添加素材(K) は、ここに示す例に限定されるものではない。

    【0189】顔料としては一般に当業界で公知・公用の各種有色もしくは体質顔料は全て採用することができる。 無機質顔料としては、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、水酸化鉄、弁柄、磁性体、酸化クロム、
    黄鉛、群青、各種金属酸化物等の焼成顔料や無機質有色顔料、さらには金属類、合金、非酸化物、酸化物等、さらにまたシリカ系各種微粉末、ホワイトカーボン、アルミナ、カルシヤ、炭酸カルシウム、マグネシヤ、溶融アルミナ、酸化亜鉛、磁性酸化鉄、窒化ホウ素、炭化ケイ素、各種のケイ酸塩や粘土類粉末等の無機質機能性顔料や体質顔料等から目的に応じて選ぶことができる。

    【0190】有機質顔料としては、例えば、赤色や黄色で一般的に使用されている不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、縮合多環式顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、また、青色や緑色で使用されているシアニンブルー、シアニングリーン等を挙げることができる。 中でもアルカリ性に強い顔料が好適である。 着色剤としては、上記無機質顔料や有機質顔料も使用可能であるが、当業界で汎用されてる公知の有機系着色化合物、
    各色のインキならびに染料等を単独もしくは2種以上の組み合わせより選ぶことによって希望する色相を固化体製品に付与することが可能となる。

    【0191】活性剤としては、ホウ酸含有化合物、鉛含有化合物、クロム酸含有化合物やリン酸含有化合物等の粉末品を選ぶことができる。 これら活性剤を本発明の水硬性シリカバインダーに予め配合することによって、例えば鉄等の金属類が塗付基材に選ばれる時は、そのポリマー組成物による被覆材や結着剤と基材との密着性を向上させ、防食性を期待することができる。 また、酸性塩を選ぶときは、シリカ−アルカリ組成物のアルカリ成分を中和する中和剤としても期待できる。

    【0192】充填剤としては、ステンレス、シリコン、
    亜鉛、アルミニウムや鉄等の金属および合金のフレーク、ペースト、粉末、さらにガラス粉末、ガラスカレット、陶磁器粉末、陶磁器類のカレット、ダイヤモンド粉末、酸化ケイ素(砂粉末、硅石粉末、シリカ粉末、シリカヒューム、溶融シリカ粉等)、マグネシヤ粉、炭酸カルシウム、ジルコンサンド、岩石粉末(蛇紋岩、安山岩、蛭石等)、各種粘土(ベントナイト、スメクタイト、ガイロメ、木節粘土等の精製品)、焼成クレー(ボーキサイト、モンモリロナイト、カオリン等の焼成品)、石こう、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、フッ化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸バリウム、炭酸バリウム、水酸化バリウム、ケイ酸アルミニウム、各種組成内容の釉薬、タルク、マイカ、フライアッシュ等の粒度
    200ミクロン以下の粉末の中から適宜選ぶことができる。

    【0193】機能性付与剤としては、当業界で公知・公用の機能性付与剤ならびにその素材は全て採択することができる。 これら機能性付与剤の具体的な例としては、
    無機質素材もしくは有機質素材からなる各種の防錆剤、
    酸化防止剤、滑り防止剤、ブロッキング材、不燃・難燃剤、紫外・赤外線吸収剤、防曇剤、忌避剤、殺虫剤、夜光性顔料、発光体、光触媒、熱伝導体、導電体、誘電体、電磁波の吸収・遮蔽剤、絶縁性顔料、発熱体、膨張体、吸水剤、弾性体、帯電防止剤、活性剤、吸着材、防臭剤、消臭剤、芳香剤、結露防止剤、各種の肥料、各種植物の種、各種の薬剤等の粉状体を挙げることができる。 上記機能性付与剤が液体である場合は、これらの液状体を特定粉状体に担持させた複合粉状体に予め調製して本発明の機能性素材(KF)として採択することができる。

    【0194】本発明における機能性素材(KF)が混和された上記3成分混合組成物(CT)は、前記シリカ−アルカリ組成物(A) と前記アルミン酸塩組成物(B) との前記2成分混合組成物(CD)100 重量部に対して、上記機能性素材
    (KF)が1 ないし200 重量部の量で混和されている4成分混合組成物(CT)が好ましく、機能性素材(KF)が1 重量部より少ないときは機能性素材(KF)の効果が現れず、またり200 重量部より多くても格段の効果の向上は認められない。

    【0195】本発明においては、本発明の耐水・耐熱性固化体に補強性ならびに充填性を付与するため、3成分混合組成物(CT)からなる水硬性シリカ系バインダーに採択される粉粒体添加素材(K) として、粒径が0.1 mmないし5 mmの範囲にある天然骨材、加工骨材、改良骨材ならびに処理骨材である細骨材(KM)を挙げることができる。

    【0196】またこれら細骨材(KM)において、その形状や粒度構成等はその有姿が尊重されるが、その使用目的ならびに細骨材(KM)の機能性を尊重して、さらにそれぞれ加工・改良・処理・変性されて、それぞれの目的に応じて適宜に加工骨材、改良骨材、処理骨材として採択される。

    【0197】本発明の細骨材(KM)は、一般に「砂」で代表される天然骨材で、その吸水量は0.4ml/g 未満で、粒径が5 mm以下に分級されている。 代表的細骨材(KM)として、粒径が0.2 mmないし10mmのガラス、陶磁器類、セラミックス、酸化ケイ素(硅砂、硅石、海砂、石英、シリカヒュウム、溶融シリカ等)、炭酸カルシウム、ジルコンサンド、各種粘土類(ベントナイト、スメクタイト、
    ガイロメ、木節粘土等の精製品)、焼成クレー(ボーキサイト、カオリン)、石膏、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸バリウム、雲母、アスベスト、マイカ、ロウ石、長石、シャモット、
    ムライト、アルミナ、ドロマイト、マグネシヤ、カルシヤ、ジルコニヤ、各地方の火山灰や火山の溶岩粒、各種組成内容の釉薬、炭素、黒鉛、炭化物、窒化物等の耐熱耐火物等の粉末や顆粒状品;ステンレス、鉛や鉄等の金属および合金のフレークや粉末;ガラス繊維、ロックウール、天然鉱物繊維、カーボン繊維等の無機質繊維;等の群より選ばれた単独もしくは2種以上の組み合わせで適宜採択することができる。

    【0198】これら各種の細骨材(KM)は、前述した各種のアルミン酸塩組成物(B) [粉体組成物(B1)、前駆体組成物(B2)、産廃組成物(B3)、セメン組成物(B4)、改質組成物(B5)、前処理組成物(B6)、炭素含有組成物(B7)、有機含有組成物(B8)、多機能組成物(B9)]100 重量部に対して400 重量部以下の量で添加・混合処理されていることが、本発明の水硬性シリカ系バインダーの性能を目的に応じて有効に発揮させる上で重要である。

    【0199】本発明においては、本発明の耐水・耐熱性固化体に補強性ならびに充填性を付与するため、3成分混合組成物(CT)からなる水硬性シリカ系バインダーに採択される粉粒体添加素材(K) として、粒径が0.1 mmないし5 mmの範囲にある廃棄物の再利用材ならびにリサイクル材である再利用材(KR)を挙げることができる。

    【0200】本発明における再利用材(KR)としては、少なくとも10重量%のケイ酸塩類を含有する各種の一般ならびに産業廃棄物を再利用を目的に加工されている粉状、砂状、柱状、塊状、顆粒状、球体、中空体、フレーク状、繊維状、不特定形状の裁断品、もしくは各種特定形状の固化体、熔融体、ガラス体等である成型加工されている廃棄物の再利用材もしくはリサイクル材の中から適宜目的に応じて選び採択することができる。

    【0201】ここに採択される廃棄物類からなる粒径が
    0.2 mmないし10mmの再利用材(KR)は、ケイ酸塩含有廃棄物である金属製錬所から排出される高炉スラッグ等や銅、アルミニウム赤泥等のスラッジ類;石炭火力発電所から排出されるフライアッシュ;製紙業界から排出されるペーパスラッジ;生ごみの焼却灰や下水道処理から副生する各種焼却灰;石材、粘土類やセラミック類を扱う窯業業界から排出する粉塵粉体;ホタテやカキ等各種の貝類ならびに貝殻の廃棄物;船舶等から排出されるスラッジ;ダムや河川、さらには各種水処理から排出される汚泥や堆積土;水含有の建設系産業廃棄物等のケイ酸塩含有廃棄物物類やその加工骨材・改良骨材・処理骨材を挙げることができる。

    【0202】しかし、これら廃棄物、特にケイ酸塩含有廃棄物、例えばペーパースラッジや各種焼却灰、さらには火山灰類は熱履歴を受けており、粒子表面には多くの細孔やポアが形成されており比表面積が大きく、吸水量は0.4ml/g 以上と大きい。 このように比表面積が大きく、吸水量の大きい廃棄物の再利用材(KR)を水硬性シリカ系バインダーで全体を覆い、強固な固化体を形成させることは物理的にも難しい。 この場合は、前述したように含浸溶液(AP)を用いた処理工程を施すことで比表面積を小さくして本発明の再利用材(KR)に採択することが好適である。

    【0203】これら各種の再利用材(KR)は、前記の各種のアルミン酸塩組成物(B) [粉体組成物(B1)、前駆体組成物(B2)、産廃組成物(B3)、セメント組成物(B4)、改質組成物(B5)、前処理組成物(B6)、炭素含有組成物(B7)、
    有機含有組成物(B8)、多機能組成物(B9)]100 重量部に対して400 重量部以下の量で添加・混合処理されていることが、本発明湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーの性能を目的に応じて有効に発揮させる上で重要である。

    【0204】本発明で採択される添加素材(K) を、水硬性シリカ系バインダー中もしくは各原料となるシリカ−
    アルカリ組成物(A) やアルミン酸塩組成物(B) 中に配合・混合する混合処理は、当業界ならびにセメントやコンクリート業界等で公知・公用とされている各種の混合機、混和機、混練機、分散機等から適宜選ぶ採用することによって本発明の目的に応じて有効に配合・混合できることができる。

    【0205】以上の各添加素材(K) は、本発明固化体の使用目的等を考慮して、その粒度構成、形状、細孔容積、比表面積、吸水性、吸油性等の性状に充分配慮して予め乾燥、粉砕、分級、混合、燒結、精製等が施された添加素材(K) を単独もしくは2種以上の組み合わせで使用することが好適である。 また作業性や使用目的等に応じて、これら添加素材(K) は各種のカップリング材や界面活性剤等で予め表面処理して本発明水硬性シリカ系バインダーに採択することも可能である。

    【0206】本発明における粉粒体添加素材(K) が混和された上記3成分混合組成物(CT)は、前記シリカ−アルカリ組成物(A) と前記アルミン酸塩組成物(B) との前記2成分混和物100 重量部に対して、上記の粉粒体添加素材(K) 1 ないし200 重量部の量で混和されていることが一般的に好ましく、粉粒体添加素材(K) が1 重量部より少ないときは粉粒体添加素材(K) の効果が充分に現れず、また200 重量部より多くても格段の効果の向上は認められない。

    【0207】本発明においては、シリカ−アルカリ組成物(A) が粉状である場合は、上記の2成分混合組成物(C
    D)ならびに3成分混合組成物(CT)が、予め粉状でワンパックされた粉粒体混合組成物(CH)として調製しておくことが可能となる。 この粉状でワンパックされている粉粒体混合組成物(CH)は、使用に際して施工現場で水と調合して湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーに調製できるメリットがある。

    【0208】したがって、2成分混合組成物(CD)もしくは3成分混合組成物(CT)の粉粒体混合組成物(CH)を採択する時は、これら製品は水を含まないことから、製品の施行現場への輸送に際して水に輸送費負担を払う必要がない。 しかもバインダー製品が粉状で輸送されることから、液状体輸送に比べて、例えば包装形態を後処理容易な紙袋を採択することができ、液体バインダーを輸送した時に生じる用いた容器の後処理を考慮する必要がなく、容器処理に窮していた問題点を解消できて省力化と簡素化を可能にすることができる。

    【0209】上記の粉粒体混合組成物(CH)は、上記粉状組成物(A2)のシリカ−アルカリ組成物(A) 100 重量部に対して、上記アルミン酸塩組成物(B) が50ないし1000重量部の量で混合されてワンパックされて、そのワンパック品の保存棚寿命性が確保されていることが重要である。

    【0210】本発明における湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーは、原材料となる上記のシリカ−アルカリ組成物(A) と上記のアルミン酸塩組成物(B) で構成される2成分混合組成物(CD)、またさらに必要に応じて上記の添加素材(K) を加えて構成される3成分混合組成物(C
    T)、もしくは粉状のワンパック品に調製される粉粒体混合組成物(CH)に対して、水を所定量配合して均質混和せしめることにより作業性に最適で目的達成に有効な流動性ないしは可塑性の湿式流動体であるバインダーとして調製することができる。

    【0211】この時採択される水は、純粋な水や水道水に限定されるものでなく、井戸水、雨水、河川・湖水の水、工場廃水のリサイクル水等、目的に応じる固化体の性能を損わない範囲で選ぶことができる。 この時の原材料に対する水の配合割合は、選択される2成分混合組成物(CD)もしくは3成分混合組成物(CT)、または粉状ワンパック品である粉粒体混合組成物(CH)の内容、さらに求められる施工作業性、また目的とする各固化体の用途により異なるが、これら原材料100 重量部に対して水を30
    0 重量部以下の量で選択することが一般に好適である。

    【0212】この時選択される原材料が既に水を保有する時は、実質的に配合される水がゼロでも構わない。 しかし、バインダーに流れ性を要求される施工現場では、
    50ないしは100 重量部の範囲であることが好適である。
    一方、バインダーに可塑性が要求される現場では30ないし50重量部の範囲であることが好適である。 また、添加材料(K) に吸水性の高い材料が選ばれている時は、100
    ないし300 重量部の範囲であることが好適である。 何れにしてもこれらの水配合量は簡単な予備実験を行うことによって、容易に決定することができる。

    【0213】湿式流動体のバインダー調製に際して重要なことは、目的とする性能・機能を有する固化体が形成されることにあるが、同時に目的とする固化体を形成させる施工作業が生産性良く達成されることにある。 そのためには、バインダーの作業可使時間に充分な配慮された水配合を行う必要がある。

    【0214】これら本発明の湿式流動体である3成分混和物(WT)もしくは4成分混和物(WQ)からなる水硬性シリカ系バインダーを均質混和物に調製する方法は、公知・
    公用の当業界で常用されている混合機、攪拌機、分散機等を用いて原料を均質混和せしめる方法より選択することにより容易に達成することができる。

    【0215】本発明において重要なことは、上記各条件で予め調製された湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーを少なくとも常温に、必要に応じて5 ないし180 ℃の条件下に解放することにより、水硬性シリカ系バインダー中に共存しているシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) とが水の存在下に反応し、必要に応じて養生工程が加えられ、シロキサン結合を主鎖とする不燃性のシリカポリマーが生成し、同時に副生するアルカリ成分が固定化された水不溶性塩類のゼオライトもしくはゼオライト前駆体からなるアルミノケイ酸塩が生成し、シリカポリマーとアルミノケイ酸塩との複合母体からなる耐水性で耐熱性の固化体が形成されることにある。

    【0216】本発明湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーをシリカポリマーとアルミノケイ酸塩との複合母体からなる耐水・耐熱性固化体に形成せしめるに際して、
    水硬性シリカ系バインダーの解放温度に特別な限定はないが、解放温度を5 ℃以下にしても反応が遅れ複合母体の生成に時間を要し、施工作業性ならびに生産性の上から好ましくない傾向にある。

    【0217】また、解放温度を180 ℃以上にしても特段のメリットはなく、熱エネルギーの無駄な消費を招くだけである。 但し、後述する顆粒体製品の化工に際して、
    顆粒体原料が有機質成分を含有している場合、または生成顆粒体製品の性能を強度等の面で改良したい場合には、さらに高温の900 ℃以下に解放することにより、その目的を達成する上で好適である。

    【0218】本発明のシリカポリマーとアルミノケイ酸塩との複合母体で構成される耐水・耐熱性固化体は、それぞれの用途目的に応じて調製される水硬性シリカ系バインダーを選択ならびに加工手段によって、固定体、成型体、付着体、顆粒体ならびに集合硬化体として応用される5種類の応用製品に分類することができる。

    【0219】本発明において重要なことは、本発明の耐水・耐熱性固化体が、固化体生成時に副生するアルカリ成分ならびに含有する重金属成分を水不溶性のゼオライトもしくはゼオライト前駆体として固定し、生成固化体を耐水性にすると共に含有する有害な重金属類の水溶出を阻止した安定して安全な固定体製品を提供することができることにある。

    【0220】したがって本発明によれば、廃棄物が含有する有害な重金属類を少なくとも常温で水不溶性塩類に固定化し、廃棄物からの重金属類による環境汚染を阻止し、廃棄物類を安全に取扱うことが可能となり、廃棄物を資源とする再利用が可能となり、地球環境に負荷を与える環境問題の解消に貢献することができる。

    【0221】本発明では、本発明の水硬性シリカ系バインダーから形成される耐水・耐熱性固化体を、各種のコンクリート二次製品や焼き物窯業製品に見られるような特定形状に成型されている成型体製品として提供することができる。

    【0222】湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーを成型する手段は、当業界ならびにコンクリート二次製品製造業界で一般的に採用されているスラリー体の成型手段・方法の全てを採用することができる。 勿論、成型においては常圧、加圧、減圧、振動、流し込み、押し込み、鋳込み等の各種手段も応用できる。 また養生においても常温養生のみならず加熱養生、蒸気養生、加圧養生、減圧養生、特定ガス置換養生等の各種条件を採用することができる。

    【0223】成型体の用途としては、コンクリート二次製品や加熱条件下で製造される窯業製品として採択されている各種成型体の用途を全て選びことができる。 その例としては、各種ブロック、レンガ、タイル、基礎石、
    インターロッキング、テトラポット、仕切板、間仕切板、外壁材、ポール、柱、踏石、各種建材、U字溝、土管、フューム管、鉢、花壇、飾物、置き物、枕木、ベンチ、机、瓦、磁器・陶器類、衛生陶器類、耐火レンガ、
    漁礁、各種構造体等を挙げることができる。 特に本発明の耐水・耐熱性固化体は、基本的に耐酸性をも有していることから、例えば酸性雨対策用の成型体製品(建材、
    屋根材等)としての採択も好適である。

    【0224】さらにまた、一般的コンクリートのスラリー状ミルク製品が各所の施工現場で構造体の構築に採択されているように、本発明の水硬性シリカバインダーを採択して各所の施工現場での構造体構築に有効に応用することができる。

    【0225】本発明では、本発明の水硬性シリカ系バインダーから形成される耐水・耐熱性固化体を、各種基材の表面や内部に付着せしめて形成される付着体製品として提供することができる。

    【0226】このとき対象となる各種基材としては、コンクリート製品、セメント製品、各種の金属製品、木・
    竹製品、布・不織布・繊維類製品、ガラス・陶器・磁器類製品、各種窯業製品、各種塗膜、ゴム・プラスチックス製品ならびに各種の複合体製品等を挙げることができる。

    【0227】付着体の具体的用途としては、各種の接着剤、結着材、バインダー、目地材、コーキング材、埋め物材、纏め材、固め材、裏打ち材、アンカー材、コーティング材、アンツーカーコート、床材、防水材、被覆材、捨てコン、塗料・塗膜、抗微生物性塗膜、結露防止材・塗膜、各種機能性材・塗膜等ならびに各種の構造物や製品の補修材等を挙げることができる。

    【0228】付着体製品の調製方法としては、どぶ付け、流し塗り、ハケ塗り、スプレー、吹付、ローラー塗り、コテ塗り、浸透法、引き上げ法、ノズル法、巻き取り法、盛り付け法、パッチング法等の当業界常用の方法を採択することができる。

    【0229】本発明では、本発明の水硬性シリカ系バインダーから形成される耐水・耐熱性固化体を、0.1 ないし70mm粒径の砂粒状物や造粒物等の顆粒体ないしは加熱顆粒体製品として提供することができる。

    【0230】顆粒体の顆粒化方法は、本発明水硬性シリカ系バインダーないしはバインダーの配合された素材を、当業界で公知・公用の造粒・顆粒化方法である転動造粒、押し出し造粒、攪拌式造粒、各種のペレタイザー、噴霧式造粒、型流し法造粒、パッキング法造粒等を採択して砂、砂利、砕石さらに球状、柱状、つぶ顆粒状等の形状を有する顆粒体にすることができる。 造粒後は、5 ないし180 ℃の温度条件下に解放して顆粒状の固化体を形成させることができる。

    【0231】さらに本発明においては、水硬性シリカ系バインダーの原材料として採択されるアルミン酸塩組成物(B) に炭素含有組成物(B7)や有機含有組成物(B8)を選択するときは、ここに加工された顆粒体を180 ないし90
    0 ℃の高温に解放することにより、顆粒体が保有していた水分、炭素ならびに有機性成分等を燃焼させて除去する脱水処理ならびに脱炭素処理により、顆粒体成分の燒結等により顆粒体の硬度が向上した高硬度である加熱顆粒体を確保することができる。

    【0232】これらの顆粒体もしくは加熱顆粒体は、
    砂、砂利、砕石等の代替物としての骨材、充填剤、路盤材や埋立材として、また各種機能性を有する顆粒体として、各種の浄化処理剤、気体処理材、液体処理材、水処理材、河川・湖の水処理剤、窒素・リン分等吸着剤、脱臭剤、防音材、保温剤、断熱材、遮蔽材、抗微生物剤、
    緑化基盤材、触媒、建材、上記各種機能材の担持体等として有効に応用される。

    【0233】本発明では、本発明の水硬性シリカ系バインダーから形成される耐水・耐熱性固化体の他の応用態様として、前記の0.1 ないし25mm粒径の顆粒体もしくは加熱顆粒体を骨材に、本発明の水硬性シリカ系バインダーを結着バインダーとして特定の集合形状の粟おこし状に集合成型されている集合硬化体製品を提供することができる。

    【0234】本発明における集合硬化体製品の加工は、
    上記顆粒体の100 重量部に対して、前記水硬性シリカ系バインダーないしは特定される結着バインダーを用いて、これらバインダーが5 ないし65重量部の量で加えられ、該顆粒体の表面が該バインダーで被覆された後、該顆粒体を特定形状の集合体にまとめ、貫通空隙を有する粟おこし状に成型され、ついで少なくとも常温もしくは
    180 ℃の温度範囲でバインダー部分を硬化体に形成させて粟おこし状に一体化された集合硬化体製品として完成させることができる。

    【0235】集合硬化体の具体的用途としては、上記の顆粒体をそれ自身でもしくは各種の基材と共に複合させて、各種の浄化処理剤、建材、防音材、保温材、緑化用床、魚礁、ブロック、各種の構造体等に供することができる。 特に粟おこし状の集合硬化体は、防音材、断熱材、保温材、遮蔽材、ろ過材、水処理材、気体処理材、
    抗微生物材、ブロック、魚礁、昆布やワカメ等の海床、
    草床、河川改修材料、泥状ないし含水土壌の改修材、緑化基盤等て有用であり、耐水性で耐熱性であり、また耐酸性である固化体の特徴を生かした集合硬化体製品として有効である。

    【0236】さらにまた、本発明の集合硬化体が常温での施工加工が可能であることに関連して、上記の用途目的に応じて、その施工や使用現場に上記顆粒体を持ち込み、この顆粒体を現場の状況に併せて施工現地で結着バインダー(本発明の水硬性シリカ系バインダー等)を加え、現場状況に適合した形態に吹付、流し込み、加圧等の施工方法により施工加工し、その現場でコンクリートミルの施工する場合と同様の感覚で粟おこし状の集合硬化体を施工・完成させることができる。

    【0237】したがって、粟おこし状の集合硬化体を工場ラインで予め集合硬化体製品として製造する必要はなく、成型製品の現場への輸送に伴う無駄な労力やエネルギーを消費することなく、集合硬化体製品を現場で施工することができ、省力型製品としても採択できるメリットがある。

    【0238】特に土木・建築に係る大型の工事、例えば防音や保温加工、河川やダム等における緑化床の加工完成、浄化処理工程における特定形状の処理剤の加工完成等に省力化タイプの製品として好適に応用することができる。

    【0239】さらに、本発明の粟おこし状の集合硬化体の現地施工型の一例としては、土木工事のダム建設、湾岸工事、河川敷工事、防河工事、道路工事、鉄道工事、
    工場建設、グランド建設、住宅建設、タンク類設置、ポール設置、公園事業、緑化事業、現地施工構造物や建材等を挙げることができ、各種用途に広く応用することができて有効である。

    【0240】

    【実施例】本実施例において、本発明のシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) との2成分混合組成物(CD)、または2成分混合組成物(CD)に必要に応じて添加素材(K) が加えられた3成分混合組成物(CT)について、また混合組成物に水を分散せしめた水硬性シリカ系バインダー[3成分混和物(WD)ならびに4成分混和物
    (WQ)]について、さらに水硬性シリカ系バインダーから形成される耐水・耐熱性固化体について、さらにまた耐水・耐熱性固化体の用途である応用製品[固定体、成型体、付着体、顆粒体、集合硬化体]について、それぞれこれらの具体例を参考例と実施例を以て以下説明する。
    本発明は本実施例に記載の例に限定されるものではない。

    【0241】[参考例1]本参考例において、本発明で採択されるシリカ−アルカリ組成物(A) である液状もしくは粉状の基本標準組成物(A1)について説明する。 基本標準組成物(A1)は、市販工業薬品(JIS製品)ならびに市販試薬から、組成式(1) で示されるM がリチウム、ナトリウム、カリウムで、各モル比を有する粉状ないしは液状の表1に示すケイ酸アルカリを選んだ。 これら基本標準組成物(A1)の組成成分を表1に併せ表示する。

    【0242】

    【0243】[参考例2]本参考例において、本発明で採択されるシリカ−アルカリ組成物(A) の他の態様として、粉状粘土鉱物(E) とアルカリ塩化合物(F) と水との3成分で調製されるスラリー状の粘土変性組成物(A2)について説明する。 粘土変性組成物(A2)の原料となる粉状粘土鉱物(E) には、天然の粘土鉱物であって層状構造のフィロケイ酸塩である三層構造(2:1層)の2−八面体型モンモリロナイト族の酸性白土(E-1) と、三層構造(2:1
    層)の3−八面体型タルク族のタルク(E-2) の2種類を選んだ。 各粘土鉱物(E) は、予め110 ℃で乾燥後、粉砕・分級して100 メッシュ篩を全通させた乾燥粉末品を供試料とした。 粉状粘土鉱物(E) の主たる組成成分[乾燥物基準(%) ]と諸物性を表2に併せ表示する。

    【0244】

    *1:強熱減量 *2: cc/100g

    【0245】粘土変性組成物(A2)の原料となり、粘土鉱物(E) に反応させるアルカリ塩化合物(F) には、市販の工業薬品から水酸化ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、2号ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムの各粉末のアルカリ塩化合物から選んだ。 これらの粘土変性組成物(A2)原料と水の配合割合を表3に併せ表示する。 スラリー状の粘土変性組成物(A2)の調製方法は、上記の天然の粘土鉱物
    (E) とアルカリ塩(F) とさらに水との3成分を表3に示す配合割合で混和後、常温にて8時間攪拌を行い、アルカリ成分とフェロケイ酸塩との反応・養生を完成させて各供試料とした。

    【0246】

    【0247】[参考例3]本参考例において、シリカ−
    アルカリ組成物(A) の他の態様として、緩衝帯形成剤(A
    T)であるホウ素含有化合物(T) 、結晶成長タネ(AS)であるアルミノケイ酸塩(S) 、硬化調整剤(AJ)であるバリウム塩化合物(J) 、粘度改質剤(AG)であるケイ酸カルシウム(G) ならびにこれら複数の化合物で複合されている各複合組成物(ホウ素複合組成物、タネ複合組成物、バリウム複合組成物、ケイカル複合組成物ならびに複数複合組成物)について説明する。

    【0248】本参考例で採択した基本標準組成物(A1)ならびに粘土変性組成物(A2)には、前記参考例1ならびに参考例2において調製した試料番号A1-2、A1-4、A1-5、
    A2-1ならびにA2-5のシリカ−アルカリ組成物(A) から選んだ。 本参考例の複合組成物に採択した緩衝帯形成剤(A
    T)のアルカリ溶液に可溶性のホウ素含有化合物(T) としては、市販試薬のホウ酸ソーダ粉末[Na 2 B 4 O 7・10H 2 O(T
    S)]ならびにホウ酸カリウム粉末[K 2 B 4 O 7・8H 2 O (TP)]
    から選んだ。 本参考例の複合組成物に採択した結晶の成長タネ(AS)のアルミノケイ酸塩(S)としては、Al/Si原子比が4.2 で、環員数が8で、2次粒径が20μ以下の粉末である合成ゼオライトA(SS)を選んだ。

    【0249】本参考例の複合組成物に採択した硬化調整剤(AJ)のバリウム塩化合物(J) としては、下記に示す調製法で調製された簡易型ケイ酸バリウム(JS)を選んだ。
    ケイ酸バリウム(JS)の調製原料として、酸性白土の酸処理品[水澤化学製の商品名シルジホナイト:主成分(%)
    SiO 2 93.0、 Al 2 O 3 1.5、 Fe 2 O 3 0.3、 MgO 0.3、CaO 0.2、
    Ig.Loss 3.7]と工業薬品である結晶性水酸化バリウム[Ba(OH) 2 ]を選んだ。 ケイ酸バリウム(JS)の調製方法は、上記の両原料をSiO 2 /BaOのモル比で1.0になるよう均質混合し、ついで200 ℃×60分間乾燥した後、乾燥品をハンマー衝撃型粉砕機を用いて粉砕し、200 メッシュパスの粉末にして供試料とした。 ここに調製された簡易型ケイ酸バリウムは、X線回析によりケイ酸バリウムを主成分とすることが同定された。 また、ここに調製された簡易型ケイ酸バリウムのアルカリ溶液への可溶分(Ba
    ++ )は、下記に示す方法により測定した結果、800mg/lの値であった。 なお、他のバリウム塩化合物におけるアルカリ溶液への可溶分(Ba ++ )は、市販試薬の粉末水酸化バリウム[Ba(OH) 2 ]では7300mg/lの値であり、粉末酸化バリウム[BaO ]では15000 mg/lの値であった。

    【0250】「バリウム塩化合物のアルカリ溶液への可溶分」の測定方法:粉状バリウム塩化合物試料10 gを25
    ℃の1規定苛性ソーダ溶液 100 ml 中に10分間撹拌分散させた後、試料溶液を濾別して回収した溶液中のバリウムイオンを定量分析し、採取試料中のバリウム元素全量を基準(100) とする1規定苛性ソーダ溶液中に溶出したバリウムイオン(Ba ++ )量(mg/l)を求めて算出した。

    【0251】本参考例の粘度改質剤(AG)に採択したケイ酸カルシウム(G) としては、天然産のウオラストナイト鉱物で粒径が10μ以下の微粉末ケイ酸カルシウム(GW)、
    ならびに合成の粒径が10μ以下の微粉末ケイ酸カルシウム(GS)から選んだ。 以上の内容と配合割合を表4に併せ表示する。

    【0252】

    なお、表5中において、各略記号は下記の通りである。 (A1):基本標準組成物、 (A2):粘土変性組成物、


    (T) :ホウ素含有化合物 (S) :アルミノケイ酸塩、(J) :バリウム塩化合物、


    (G) :ケイ酸カルシウム

    【0253】[参考例4]本参考例において、本発明で採択されるアルミン酸塩組成物(B) であるアルミノ粉体
    (B1)ならびに前駆体組成物(B2)について説明する。 アルミノ粉体(B1)としては、市販工業薬品の中から組成式
    (2) で示される粉状のアルカリ土類金属のアルミン酸塩を選んだ。 また、前駆体組成物(B2)としては、組成式
    (6) で示される水酸化アルミニウム(BH)とアルカリ土類金属のケイ酸塩(BC)とを原料として均質混合調製された粉状のアルミン酸塩の前駆体化合物(B2)を選んだ。 このときのアルカリ土類金属のケイ酸塩(BC)としては、3CaO
    ・SiO 2のケイ酸カルシウム(BC-3CS)や2CaO・SiO 2のケイ酸カルシウム(BC-2CS)、さらにケイ酸マグネシウム(BC-
    2MS)]を選んだ。 以上の内容、主成分、比表面積と配合割合を表5に併せ表示する。

    【0254】

    【0255】[参考例5]本参考例において、アルミン酸塩組成物(B) の他の態様である廃棄物粉体(B3)ならびにセメント粉体(B4)について説明する。 廃棄物粉体(B3)
    としては、フライアッシュ、高炉スラッグ、生ゴミ焼却灰の産業廃棄物類より選んだ。 また、セメント粉体(B4)
    は、JIS 規格品のポルトランドセメントとアルミナセメントより選んだ。 セメント粉体(B4)としては、市販のポルトランドセメントならびにアルミナセメントを選んだ。 以上のの内容と配合割合を表6に併せ表示する。

    【0256】

    【0257】[参考例6]本実施例において、アルミン酸塩組成物の(B) の他の態様である比表面積の大きいアルミン酸塩の軽量粉体(BL)が含浸溶液(AP)を用いて改質されている改質組成物(B5)、もしくはリンのオキシ酸含有粉体(BP)がカルシウム塩を用いて前処理されている前処理組成物(B6)について説明する。

    【0258】軽量粉体(BL)としては、産業廃棄物であるペーパースラッジの焼却灰(PS焼却灰:BL-P)、粘土鉱物であるモンモリロナイト(BL-M)、普賢岳の火山灰(B
    LV)を選んだ。 含浸改質剤である含浸溶液(AP)としては、参考例1で選んだ液状組成物(A3)の3号ケイ酸ナトリウム(A3-2)を選んだ。 改質組成物(B5)の調製方法は、
    下記の仕様で行った。 各軽量粉体(BL)90重量部に対しケイ酸ナトリウム(A3-2)の含浸溶液(AP)10重量部と水30重量部とを加え、全体が濡れた状態を維持して混和せしめた後、60ないし80℃で乾燥し、粉末状態の改質組成物(B
    5-1)、(B5-2)ならびに(B5-3)を調製した。

    【0259】

    【0260】リンのオキシ酸含有粉体(BP)としては、産業廃棄物である某都市下水道汚泥の焼却灰(BP-U)を選んだ。 前処理剤であるカルシウム塩(GC)としては、工業薬品として市販されている消石灰を選んだ。 前処理組成物
    (B6)の調製は下記の仕様で行った。 リンのオキシ酸含有粉体(BP)70重量部に対し消石灰のカルシウム塩(GC)30重量部と水40重量部とを加え、全体が濡れた状態を維持して良く混和せしめた後、60ないし80℃で乾燥し、粉末状態の前処理組成物(B6-1)を調製した。 以上、軽量粉体(B
    L)およびリンのオキシ酸含有粉体(BP)を原料として、それぞれ含浸改質された改質組成物(B5)もしくは前処理された前処理組成物(B6)の主たる組成ならびに比表面積を表7に併せ表示する。

    【0261】[参考例7]本実施例において、アルミン酸塩組成物(B) の他の態様である有機化合物(BC)を含有している有機含有組成物(B7)について説明する。 有機化合物(BC)を含有している有機含有組成物(B7)としては、
    産業廃棄物であるペーパースラッジの含水ケーキの乾燥品(B7-1)と油脂類の脱色精製で副生した廃白土(B7-2)と焼酎製造で副生する発酵残渣(B7-2)の3種類を選んだ。
    これら主たる組成ならびに比表面積を表8に併せ表示する。

    【0262】

    【0263】[参考例8]本実施例において、アルミン酸塩組成物(B) の他の態様である炭素含有組成物(B8)について説明する。 炭素含有組成物(B8)としては、製紙業界から排出されるパルプ類を含有しているペーパースラッジケーキを原料にして、このペーパースラッジケーキを乾留工程に付して調製された炭素ーアルミナーシリカ複合体[ペーパースラッジ乾留品(B8-1)]、ならびに油脂精製業界から副生される廃油を含有している廃白土を原料にして、この廃白土を乾留工程に付して調製された炭素ーアルミナーシリカ複合体[廃白土乾留品(B8-2)]
    の2種類を選んだ。 これら主たる組成ならびに比表面積を表9に併せ表示する。

    【0264】

    【0265】[参考例9]本実施例において、アルミン酸塩組成物(B) の他の態様である数種のアルミン酸塩組成物(B) を2種以上組み合わせて混合された多機能組成物(B9)について説明する。 多機能組成物(B9)としては、
    8種類のアルミン酸塩組成物(B) [アルミノ粉体(B1);
    前駆体組成物(B2);廃棄物粉体(B3);セメント粉体(B
    4);改質組成物(B5);前処理組成物(B6);有機含有組成物(B7);炭素含有組成物(B8)]より表10に示される混合割合で混合複合させて5種類の多機能組成物を選んだ。
    これら多機能組成物(B9)の主たる成分組成を表10に併せ表示する。

    【0266】

    【0267】[参考例10]本参考例において、本実施例で採択した粉粒体の添加素材(K) である抗微生物剤(K
    Z)、機能性素材(KF)、細骨材(KM)ならびに再利用材(KR)
    について説明する。 抗微生物剤(KZ)としては、前記の組成式(7) で表される粉状の1価または2価の銅もしくは亜鉛のオキシ酸塩化合物を市販試薬の中から選んだ。 さらに銅のキレート化合物ならびに複合抗微生物剤は、市販品より選んだ。

    【0268】機能性素材(KF)としては、市販の工業薬品、試薬、特注品の顔料、活性剤、着色剤、充填剤、機能性付与剤から選んだ。 細骨材(KM)としては、代表して天然骨材である川砂より選んだ。 再利用材(KR)としては、廃棄された陶磁器等の破砕・分級品ならびに廃棄ガラス瓶等の破砕・分級品、さらに生ゴミ等の焼却灰を12
    00℃以上の高温で熔融してスラッグ化した顆粒状スラッグの3種類を選んだ。 以上の各添加素材(K) の代表的な性状等を表11に併せ表示する。

    【0269】

    【0270】以下、本実施例で採用する物性評価の試験方法を下記に示す。 なお、シリカ系バインダーの評価は、バインダー施工時における作業可能な流動性ないしは可塑性を有する湿式流動体が確保されている時間を可使時間として評価すると共に、硬化体形成時の固化体物性により評価した。

    【0271】[物性評価試験方法] 1. 湿式流動体の可使時間 30℃に保たれた供試料より調製された湿式流動体(3成分もしくは4成分混和物)供試体を30±2 ℃の恒温槽中に放置して、供試体に外圧を加えた時に変形を生じなくなるまでの時間を測定し、その時間を可使時間として表示した。

    【0272】なお、本発明シリカ系バインダーにおけるスラリー状湿式流動体の一般的施工作業可能な粘性限界を、シリカ系バインダー調製10分後の粘性が8,000 cPを越えない範囲とし、一方作業可能な可使時間を1 時間と想定した。 したがって、1時間の範囲でシリカ系バインダーの粘性が10,000 cP を越えない粘性を作業性良好な可使粘性を有するシリカ系バインダーとして「合格」とした。 但し、本発明シリカ系バインダーを可塑性湿式流動体として盛付や接着・目地等に用いる時は、バインダー粘性が10,000 cP を越えても施工作業性を損なうものではない。

    【0273】2. 保存棚寿命性 粉状のワンパック品において、供試料を4層からなる紙袋に封じ込め、温度25±5 ℃で関係湿度80±10%に維持された部屋に6ヶ月間保存し、6ヶ月後における保存粉状ワンパック品を湿式流動体に調製した時の可使時間で評価し、この時の可使時間ならびに後述する固化体の一軸圧縮強度に大きな異常変動のない場合を保存棚寿命性「あり」と評価した。

    【0274】3. 円柱状または顆粒状供試体の調製方法 一軸方向圧縮破壊強度試験評価においては、各供試料から調製された湿式流動体をφ60×90 mm の円筒状の型に注入し、室温(約25℃)で所定時間(28日間)養生固化した円柱状供試体を用いた。 その他の試験評価においては、湿式流動体を、約2 〜6 mmの顆粒状に成型し、室温(約25℃)で所定時間(48時間)養生固化した顆粒状供試体を用いた。

    【0275】4. 一軸圧縮強度試験 調製した軸圧縮強度測定用円筒型の供試体(n 数=3)
    を圧縮強度試験機により一軸方向の圧縮破壊強度試験に付し、その強度を測定し、Kg/cm 2で表示した。 なお、本発明の供試体の一軸圧縮強度が28日養生で200 Kg/cm 2以上の強度を示す場合を一つの目安として「合格」とした。 しかし、固化体の使用目的等によっては、この目安強度値に拘束されるものでない。

    【0276】5. 固化体強度の評価 顆粒体で調製した固化体の強度は、約5 mm型の顆粒(n
    数=5)を選び、2枚の鉄板の間に挟み、上部に50kgの分銅を静かに載せて、このとき顆粒が「潰れなかった」
    ときを固化体強度「あり」と評価した。

    【0277】6. 耐熱性の評価 調製した顆粒状供試体を、650 ℃に保たれた電気オーブン中で24時間暴露し、暴露後の供試体の圧縮強度を確認し、暴露前の圧縮強度に対して暴露後の圧縮強度が60%
    以上確保されている場合を耐熱性「あり」と評価した。

    【0278】7. 耐水性の評価 調製した顆粒状供試体を、約20℃に保たれた水中に7日間浸漬放置し、放置後の供試体が浸漬放置前の状態と大差のない顆粒状固化体強度を示す場合を耐水性「あり」
    とした。

    【0279】8. 重金属類の水溶出試験 調製した顆粒状供試体を、JIS K 0102の規定に準拠し、
    環境庁告示第13号に定める方法により、重金属類の水溶出試験を行った。 なお、有害重金属としては6価クロム、カドミニウム、鉛、全シアン、ひ素、総水銀があるが、本実施例ではこれら重金属の代表として鉛元素を選び測定した。 結果の表示に際し、水溶出試験における重金属の濃度検出限界以下を「ND」として表示した。

    【0280】9. 付着力試験 JIS K 6852記載の方法に準拠して、基材鋼板と厚さ0.5
    mmのアスベスト板を30×25cmの長方形に試験板に切断し、鋼板との接着面に当たる部分は240 番の練磨紙を用いて金属光沢が出るまで磨き上げ、ついでトリクロルエチレンで表面をきれいに洗浄して乾燥する。 ついで調製された供試料のシリカ系バインダーを、長方形アスベスト試験板の25×25cm面積の上に約2 mm厚に塗布し、その上に長方形鋼板の試験片の25×25cm面積を対応させる状態で接着させ、このとき接着されていない 5×25cm部分が相互に反対部分で一直線上に状ではみ出すようにセットする。 接着セットされた試験片を、約20℃の室温に7日間放置後、圧縮破壊試験機を用いて、試験片の耳状部分を立てて剪断破壊力を加重強度(Kg/cm 2 )で測定して付着力を評価した。

    【0281】10. 処理水の抗菌効果試験とpH測定 大腸菌混入温水の浄化試験 菌液の作成:滅菌精製水1,100 ccに大腸菌(Ec-3)の栄養としてNB培地(ブイヨン)を1/50濃度(試験標準濃度の10倍)を加え、27℃、16時間振盪培養した大腸菌を最終1/10,000となるように添加、pH7に調整する。 処理水作成:上記大腸菌液 150ccを三角フラスコに分注後密栓してブランク液(BL)とする。 上記大腸菌液に所定量濃度(1g/150ccと0.5g/150ccの2水準)の供試料を投入し、密栓して試験処理水とする。 試験条件 :試験処理水を40℃、恒温槽中で所定時間
    (72 時間 )培養して菌数を測定する。 処理水のpH測定 上記の試験処理水(1g/150cc濃度)のpHをpHメターで測定する。

    【0282】[実施例1]本実施例において、各種の液状シリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物
    (B) からなる2成分混合組成物(CD)、さらに必要に応じて加えられる添加素材(K) からなる3成分混合組成物(C
    T)に水が加えられて調製される湿式流動体の3成分混和物(WT)または4成分混和物(WQ)である水硬性シリカ系バインダー(試料番号C シリーズ)、さらにこの水硬性シリカ系バインダーを用いて硬化させた固化体について説明する。

    【0283】水硬性シリカ系バインダーを構成するシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) 、さらに添加素材(K) を表12に示す各種類で選び、これらと水を表12に示す配合割合で均質混和して各水硬性シリカ系バインダーを調製した。 調製した水硬性シリカ系バインダーは可使時間を測定し、一方供試体調製方法に準拠してそれぞれ供試体を作成し、耐熱性ならびに耐水性を評価し、また28日養生後の一軸圧縮強度を測定し、さらに重金属類の水溶出試験を鉛で行い、それらの結果を表
    13に併せ表示する。

    【0284】なお、本実施例における効果を明確にするために4種類の比較例を用意した。 常温における不焼成で形成される固化体として、ポルトランドセメント(HC
    1)、(H-C2)と酸硬化型の水ガラス系バインダー(H-S1)、
    (H-S2)を選んだ。 これらの供試体について上記と同様の評価試験を行いその結果を表13に併せ表示する。 ポルトランドセメント系の供試体はつぎの調製法により調製した。 表12に示す市販のポルトランドセメントと川砂の場合(H-C1)、生ゴミの焼却灰の場合(H-C2)の2種類をそれぞれ配合・混練してセメントモルタルとした後、所定の円筒型枠(φ60×90mm) に流し込み、常温で28日養生して供試体とした。

    【0285】水ガラス系バインダーの供試体はつぎの調製法により調製した。 (H-S1)の酸硬化型では表10に示す配合割合で市販JIS 3号品の液状水ガラスと酸硬化剤のリン酸アルミ二ウムの配合の場合(H-S1)、および3号品の液状水ガラスに本発明のアルミン酸塩組成物(B) に代えて水酸化アルミニウムを配合した場合(H-S2)をそれぞれ水を加えて配合・混練してモルタル状とした後、所定の型枠(φ60×90 mm)に流し込み、常温で28日養生して供試体とした。

    【0286】

    *1:リン酸アルミニウム :水酸化アルミニウム

    【0287】

    【0288】[実施例2]本実施例において、各種の液状シリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物
    (B) との2成分混合組成物(CD)に水の加えられて調製される湿式流動体の3成分混和物(WT)である水硬性シリカ系バインダー、さらにこれらの水硬性シリカ系バインダーを用いて顆粒状で硬化させた顆粒体について説明する。

    【0289】水硬性シリカ系バインダーを構成するシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) の種類とこれに加える水を含めた配合割合を表14に示す。 これら3成分を均質混和して各水硬性シリカ系バインダーを調製した。 調製した水硬性シリカ系バインダーは可使時間を測定した後、前述した顆粒状供試体の調製方法に準拠して顆粒体供試体を作成し、それぞれ耐熱性ならびに耐水性を評価し、また28日養生後の固化体強度を評価し、重金属類の水溶出試験を鉛で行い、それらの結果を表15に併せ表示する。

    【0290】

    【0291】

    【0292】[実施例3]本実施例において、液状シリカ−アルカリ組成物(A) と各種のアルミン酸塩組成物
    (B) との2成分混合組成物(CD)に水の加えられて調製される湿式流動体の3成分混和物(WT)である水硬性シリカ系バインダー、さらにこれらの水硬性シリカ系バインダーを用いて顆粒状で硬化させた顆粒体について説明する。

    【0293】水硬性シリカ系バインダーを構成するシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) の種類とこれに加える水を含めた配合割合を表16に示す。 これら3成分を均質混和して各水硬性シリカ系バインダーを調製した。 調製した水硬性シリカ系バインダーは可使時間を測定した後、前述した顆粒状供試体の調製方法に準拠して顆粒体供試体を作成し、それぞれ耐熱性ならびに耐水性を評価し、また28日養生後の固化体強度を評価し、重金属類の水溶出試験を鉛で行い、それらの結果を表17に併せ表示する。

    【0294】

    【0295】

    【0296】[実施例4]本実施例において、粉状のシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) とで予め混合されている粉状ワンパック品の粉粒体混合組成物(CH)に水が加えて調製される湿式流動体の水硬性シリカ系バインダー、さらにこれらの水硬性シリカ系バインダーを型を用いて加圧成型させた後硬化させた成型体について説明する。

    【0297】水硬性シリカ系バインダーを構成する粉状のシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物
    (B) 、さらに必要に応じて加えられる添加素材(K) の種類とその配合割合を表18に示す。 これら2成分もしくは3成分を予め混合機で均質混合して各粉粒体混合組成物
    (CH)を調製した。 ここの調製した各粉粒体混合組成物(C
    H)は前述した保存棚寿命性を評価して表18に併せ表示する。

    【0298】各粉粒体混合組成物(CH)には、水を表18に示す量割合を加え混和して各水硬性シリカ系バインダーを調製した。 調製された各水硬性シリカ系バインダーは、可使時間を測定し、一方前述した円柱状供試体調製方法に準拠して円柱状供試体を作成し、耐熱性ならびに耐水性を評価し、また28日養生後の一軸方向圧縮破壊強度試験により固化体強度を評価し、重金属類の水溶出試験を鉛で行い、それらの結果を表19に併せ表示する。

    【0299】

    【0300】

    【0301】[実施例5]本実施例において、シリカ−
    アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) と添加素材(K) からなる3成分混合組成物(CT)において、添加素材(K) が抗菌性等の機能を有する抗微生物剤(KZ)であり、この3成分混合組成物(CT)に水が加えられる湿式流動体の4成分混和物(WQ)である水硬性シリカ系バインダー、さらにこの水硬性シリカ系バインダーを用いて硬化させた固化体について説明する。

    【0302】水硬性シリカ系バインダーを構成するシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) と抗微生物剤(KZ)の種類と、これらに加える水を含めた配合割合を表20に示す。 これら4成分を均質混和して4成分混和物(WQ)である各水硬性シリカ系バインダーを調製した。 調製した水硬性シリカ系バインダーは可使時間を測定した後、前述した顆粒状供試体の調製方法に準拠して顆粒体供試体を作成し、それぞれ耐熱性と耐水性を評価し、また28日養生後の固化体強度を評価し、さらに前述した処理水の抗菌効果試験に付して抗微生物性を評価した。 これらの結果を表21に併せ表示する。

    【0303】

    【0304】

    【0305】[実施例6]本実施例において、シリカ−
    アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) からなる2成分混合組成物(CD)、さらに必要に応じて加えられる添加素材(K) からなる3成分混合組成物(CT)に水が加えられて調製される湿式流動体の3成分混和物(WT)または4成分混和物(WQ)である水硬性シリカ系バインダー、さらにこの水硬性シリカ系バインダーを用いて硬化させた付着体について説明する。

    【0306】水硬性シリカ系バインダーを構成するシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) と、
    必要に応じて添加素材(K) の種類と、これらに加えられる水を含めた配合割合を表22に示す。 これら3成分もしくは4成分を均質混和して3成分混和物(WT)もしくは4
    成分混和物(WQ)である水硬性シリカ系バインダーを調製した。

    【0307】調製した水硬性シリカ系バインダーは可使時間を測定し、前述した付着力試験の評価方法に準拠して鋼板とアスベスト板を基材とし、各バインダーの付着力を剪断破壊力測定により評価した。 なお、付着力試験用の試験片を水中に24時間浸漬後に、また250 ℃の乾燥器に24時間暴露後に、それぞれの試験片の剪断破壊力を測定し、それぞれ付着体の耐水性ならびに耐熱性を評価した。 それらの結果を表23に併せ表示する。

    【0308】

    【0309】

    【0310】[実施例8]本実施例において、液状のシリカ−アルカリ組成物(A) とアルミン酸塩組成物(B) と水との3成分で調製される湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーから生成させた顆粒体を原料として、貫通空隙を有する粟おこし状集合硬化体を調製し、不燃性防音材(板)として応用する場合について説明する。

    【0311】本実施例で採択した顆粒体は、実施例2で調製した試料No.C-22 [A7-2: 20部+B3-1: 80部]の顆粒体で1 ないし5 mmφに整粒された顆粒体を選んだ。 顆粒体を一体化させるバインダーには、実施例2における試料No.C-22 で調製した顆粒体と同質の湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーを選んだ。 防音板の製造加工は、整粒された顆粒体100 Kgに約10Kgの水加えて顆粒体表面をぬらした後、湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーの15Kgを加え混合し、顆粒体表面にバインダーを均質に行きわたらせ、ついで厚み30mmで300 ×300 mmの型枠に流し込む、常温に少なくとも24時間放置して初期硬度を発現させた後、脱型する。 ついで、80℃に1 時間放置して固化を完成させ、防音材板製品とする。 製造された防音材板製品の防音効果を下記表24に示す規格(代表的項目)に従い、JIS A 1416に準拠して測定し、そのた結果を表24に併せ表示する。

    【0312】

    【0313】

    【発明の効果】本発明によれば、不焼成で製造できる耐水・耐熱性で重金属類の封じ込め可能な無機質固化体を固定体、成型体、付着体、顆粒体、集合硬化体として供給することができる。 したがって、大量エネルギーを用いることなく省エネで無機質固化体の製造が可能となり、しかも有害物質を含有する産業廃棄物等の処理処分とリサイクル再利用を可能にすることができる。

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