Recovery method of platinum group metals from waste

申请号 JP2007036166 申请日 2007-02-16 公开(公告)号 JP5021331B2 公开(公告)日 2012-09-05
申请人 田中貴金属工業株式会社; 发明人 孝俊 太田; 研滋 後藤; 鎗田  聡明;
摘要
权利要求
  • イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウムの少なくともいずれかの白金族金属を含む廃棄物より、前記白金族金属を回収する方法であって、
    75〜90mol%の塩化ナトリウムと、10〜25mol%の塩化カリウムからなる溶融塩中で、前記廃棄物に含まれる前記白金族金属と塩素とを反応させ、水に易溶性の白金族金属の塩化物を生成した後、
    反応後の前記溶融塩を水に混合し、固液分離して前記白金族金属の水溶液を得る工程を含む白金族金属の回収方法。
  • 溶融塩の温度を750〜850℃とする 請求項1に記載の白金族金属の回収方法。
  • 塩素を塩素ガスとして供給し、塩素ガスと廃棄物とが直接接触するようにする 請求項1又は請求項2に記載の白金族金属の回収方法。
  • 回収したろ液を濃縮及び乾固した後、水素還元して白金族金属とする 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の白金族金属の回収方法。
  • 说明书全文

    本発明は、ルテニウム、イリジウム等の白金族金属を含むスクラップ等の廃棄物から、白金族金属を再利用可能な状態で回収するための方法に関する。

    ルテニウム、イリジウム等の白金族金属は、高耐熱性、高耐食性を有することから各種無機材料融解用のるつぼ等の構造材料の他、電気的特性にも優れることから電子部品の電極材料等にも使用されている。

    一方、これら白金族金属は、希少性が高く高価な金属であることから、無駄のない有効な利用・消費が必要であり、リサイクル技術の発展が求められる。 白金族金属を含む固体状態の廃棄物からのルテニウム等の回収方法としては種々の工夫されたものが知られている。 その中で本願出願人は、溶融塩による処理技術を利用し、下記リサイクル方法を開示している。

    特開2004−99975号公報

    本出願人による、上記廃棄物からの白金族金属リサイクル法は、白金族金属(ルテニウム、イリジウム)を含む廃棄物を、少なくともセシウム塩を含むアルカリ金属塩化物とからなる溶融塩中に溶解させ、廃棄物中の白金族金属を、に難溶性の塩化イリジウム酸塩セシウム(塩化ルテニウム酸塩セシウム)とし、反応後の溶融塩と水とを混合して塩化イリジウム酸塩セシウム(塩化ルテニウム酸塩セシウム)を分離回収する工程を含むものである。 この溶融塩を用いた技術は、比較的少工程で白金族金属を回収することができる。

    ところで、白金族金属を含む廃棄物には、その使用履歴により種々の元素が含まれている。 そして、各種廃棄物から白金族金属を回収するためには、それに含まれている不純物元素に応じたプロセスを適用させることが好ましい。

    この観点からみると、上記従来のリサイクル方法は、Fe、Ni、Co等の金属元素を不純物とする廃棄物のリサイクルに好適である。 これら金属は、溶融塩中で塩化物を生成し易く、また、これらの塩化物は水溶性を有することから、反応後の溶融塩を水に混合することで回収目的の白金族金属化合物と容易に分離することができるからである。

    しかし、廃棄物中には上記の金属だけが含まれているわけではない。 これは、白金族金属がるつぼ材料や電子部品の電極材料として使用されていることから当然に予測され、このような使用履歴を有する廃棄物は、C、Si等の半金属を含むことが多い。 そして、C、Siは、溶融塩中においても、塩化物を生成し難く、上記方法では分離回収が困難である。

    本発明は、以上のような背景の下になされたものであり、イリジウム、ルテニウム等の白金族金属を含有する廃棄物から白金族金属を回収する方法について、従来法では除去が困難であったC、Si等の半金属又は水溶性の塩化物を生成し難い元素を不純物として含む廃棄物を処理対象とすることができるものを提供とすることを目的とする。

    上記課題を解決する本発明は、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウムの少なくともいずれかの白金族金属を含む廃棄物より、前記白金族金属を回収する方法であって、塩化ナトリウムからなる溶融塩中、又は、塩化ナトリウムと塩化カリウムとからなる溶融塩中で、前記廃棄物に含まれる前記白金族金属と塩素とを反応させ、水に易溶性の白金族金属の塩化物を生成した後、反応後の前記溶融塩を水に混合し、固液分離して前記白金族金属の水溶液を得る工程を含む白金族金属の回収方法である。

    本発明は、従来の回収法が溶融塩中で白金族金属を難溶性の塩化物にするのとは逆に、廃棄物中の白金族金属を水に易溶性の塩化物とする。 そして、反応後の溶融塩と水とを混合することで、C、Si等のような不溶性の不純物を固体状態で分離し、回収目的の白金族金属を水溶液の状態で回収するものである。 そのために本発明では、廃棄物の溶媒となる溶融塩の構成として、セシウムを含まないアルカリ金属塩を適用している。 これは、従来技術についての検討から、セシウムは溶融塩中で白金族金属と反応すると難溶性のセシウム塩を生成するため、白金族金属とC、Si等の不溶性の不純物との分離を困難とするからである。

    以下、本発明について詳細に説明する。 本発明においては、まず、溶融塩を溶媒とし、この溶媒中で処理対象となる廃棄物を塩素と反応させつつ溶解させる。 処理対象となる廃棄物は、回収目的となる白金族金属を含むスクラップ等となるが、その含有量は特に限定されない。 但し、後述のように、溶融塩中の白金族金属量は、反応速度に影響を与える。

    溶融塩による塩素との反応工程において、溶媒となる溶融塩は、塩化ナトリウムからなる溶融塩、又は、塩化カリウムと塩化ナトリウムの2種のアルカリ金属塩化物を混合した溶融塩とする。 特許文献1記載の溶融塩は、塩化カリウムと塩化ナトリウムに加えて塩化セシウムを含む、K−Na−Cs系3種混合塩が適用されているが、上記のように、セシウムは白金族金属に対し難溶性の塩化物を生成することから、本発明においてはセシウム塩の適用は除外される。

    溶融塩を構成するカリウム、ナトリウムは、処理対象となる白金族金属に対し、それぞれ別種の塩化物を生成することとなる。 ナトリウムは、ナトリウム塩化物(塩化イリジウム酸ナトリウム、塩化ルテニウム酸ナトリウム等)を生成し、カリウムは、カリウム塩化物(塩化イリジウム酸カリウム、塩化ルテニウム酸カリウム等)を生成する。 各アルカリ金属を含む白金族金属塩化物は、その生成速度(白金族貴金属との反応速度)及び水に対する溶解度が異なる。 本発明者等によれば、生成速度については、カリウム塩化物がナトリウム塩化物よりも生成速度が高い一方、水溶性に関していえば、ナトリウム塩化物の方がカリウム塩よりも溶解度が高い。

    特に、塩化ナトリウムと塩化カリウムとを混合した溶融塩を適用する場合、その組成は、廃棄物中の白金族金属の溶解速度と、反応後の溶融塩の水溶性に影響を及ぼす。 例えば、カリウム塩の割合を増加させると、白金族金属の溶解速度を高くすることができるものの、反応後の溶融塩(中の白金族金属塩)の溶解度を低下させることとなる。 この点について、作業効率(溶解速度)と、白金族金属回収率(溶解度)との観点からみれば、溶融塩の組成は、塩化ナトリウム濃度が50mol%以上のものが好ましく、75〜90mol%の塩化ナトリウムと、10〜25mol%の塩化カリウムからなる溶融塩がより好ましい。

    また、同じ組成の溶融塩中においては、白金族金属の反応速度は、溶融塩中の白金族金属量(廃棄物中の白金族金属量)によっても変化し、白金族金属量の増大により反応速度が上昇する。 これは、反応面積の増大に伴うものと考えられる。 そこで、反応させる白金族金属のモル量を、溶媒となる溶融塩のモル量に対して、15〜80モル%とすることが好ましく、30〜60モル%が特に好ましい。 この範囲未満の白金族金属では反応速度が低下し、十分に経済的な量の白金族金属を溶解するための時間を要し、この範囲を超える白金族金属を溶解しようとしても、実際には反応に寄与しない白金族金属を過剰に保有することになり、経済的に不利であるからである。 尚、ここで好ましいとする範囲は白金族金属の重量であって、廃棄物全体の重量ではない。 従って、白金族金属濃度の推測が容易でない廃棄物については、処理前にICP等で白金族金属濃度を分析するし濃度既知の状態にしておくことが好ましい。

    そして、溶融塩中で白金族金属塩を反応させる温度は、溶融塩を構成する塩化ナトリウムと塩化カリウムとの混合塩を溶融させることを前提としてその設定が必要である。 この点、塩化ナトリウムの融点は、約800℃であり、塩化カリウムの融点は約776℃であり、両者の比率が等しい(50%:50%)混合塩の融点は約658℃となるが、この組成から外れると融点が上昇する。 本発明者等によれば、溶融塩の温度は、750〜850℃とすることが好ましい。 かかる温度範囲を好ましい範囲とするのは、この温度範囲において溶融塩の流動性が十分に得られ、塩素ガスを吹き込んだ場合にその気泡による攪拌効果を期待できるからである。 また、溶融塩中での反応速度、及び、生成した白金族金属塩化物の溶解速度が十分なものとなるからである。

    本発明においては、溶融塩にできるだけ多くの(高濃度の)白金族金属を溶解させることが好ましいといえる。 本発明では、その後の処理において、溶融塩を水に混合し白金族金属塩水溶液を得るものであるが、効率的に白金族金属を回収するには、白金族金属塩水溶液の濃度、つまり、溶融塩中の白金族金属量が多いことが好ましいからである。 この反応後の溶融塩中の白金族金属濃度の目標値としては、投入時のアルカリ金属溶融塩モル量と溶解した白金族金属モル量との合計モル量を基準として、5〜30モル%に設定するのが好ましい。 5%未満では回収効率が悪化し処理コストの低下の要因となる。 また、30%を超える白金族金属を含む溶融塩を製造するのは理論的にも困難であり、溶融塩中の白金族金属の溶解速度も低下し経済的に不利である。

    そして、この目標値に対する反応時間は、8〜40時間、好ましくは10〜35時間、より好ましくは14〜24時間とするのが好ましい。

    尚、本発明では、溶融塩中で白金族金属と塩素を反応させることから、反応中、溶融塩に塩素を供給する必要がある。 この塩素の供給は、溶融塩に塩素ガスを吹き込むことによるのが好ましい。 そして、塩素ガスの吹き込みは、塩素ガスが廃棄物に直接接触するように行なうのが好ましい。 具体的には、塩素ガス供給のためのノズルを、その先端部が廃棄物表面近傍に位置するように設置するのが好ましい。 また、塩素ガスの供給量としては、0.5〜10L/minとするのが好ましい。

    以上説明した溶融塩中における白金族金属と塩素との反応により、溶融塩中には水溶性の白金族金属塩(塩化イリジウム酸カリウム、塩化ルテニウム酸ナトリウム等)が生成される。 そして、この溶融塩を冷却後、水に混合することで、白金族金属塩は水溶液となる一方、不溶性のC、Si等の不純物が固体として水溶液中に分散・沈澱する。 水溶液の固液分離は、ろ過によるのが好ましい。

    溶融塩と水との混合においては、溶液中の白金族金属濃度が10〜100g/L、好ましくは20〜80g/Lとなるように、水の量を調整して混合することが好ましい。 白金族金属濃度が薄すぎると回収効率が悪化し、濃すぎると沈澱(溶解残渣)の発生が懸念されるからである。 尚、前記のように、水溶液化における水の混合量は、製造後の水溶液の白金族貴金属濃度を目安・目標にすることから、水溶液化の前において、溶融塩中の白金族金属量、又は、濃度を測定しておくことが好ましい。

    以上の工程により得られる水溶液中の白金族金属塩(塩化イリジウム酸ナトリウム、塩化イリジウム酸カリウム等)は、それ自体、利用価値がある。 この水溶液は、イオン交換、電解、濃縮等を行なうことで、より高純度の白金族金属塩溶液又は白金族金属塩結晶とすることができ、そのまま利用可能な状態とすることができる。

    また、この水溶液から白金族金属を純金属の形態で回収することも可能である。 純金属回収の方法としては、水溶液を濃縮して得られる白金族金属塩を水素雰囲気で還元することによるのが好ましい。 この水素還元の温度条件としては、300〜650℃の範囲とするのが好ましい。 尚、水素還元後の白金族金属は、純水で洗浄して塩化ナトリウム、塩化カリウムを除去し、再度、水素還元(二次水素還元処理)することで更に高純度のものとすることができる。

    以上説明したように本発明によれば、ルテニウム、イリジウム等の白金族金属を含むスクラップ等の廃棄物から白金族金属を効率的に回収することができる。 本発明に係る方法は、不純物としてC、Si等の半金属を含む廃棄物のリサイクル処理を可能とする。 本発明を中心としたリサイクルシステムによれば、資源の有効利用を図ると共に白金族金属を使用する製品のコスト低下を図ることができる。

    本発明は、ルテニウム、イリジウムの回収において特に有用である。 白金については、塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合塩を用いた場合において、溶融塩中に白金を反応させこれを水溶液中に溶解させて回収することが困難となる。 白金は塩化カリウムとの反応において溶融塩に溶解し難い塩化物を生成するからである。 但し、このことは白金と他の白金族金属(ルテニウム、イリジウム等)を含む廃棄物から、白金を分離する技術として有効なものとなる。 とりわけ、近年では、各種の白金合金(白金−イリジウム合金、白金−ロジウム合金等)が使用されることが多いことから、これらの合金を含む廃棄物から白金を分離しつつ、イリジウム等を回収する場合において本発明は有用である。

    第1実施形態 :ここでは、イリジウムの溶融塩処理、水溶液化、水素還元を行い、廃棄物から金属イリジウムを回収した。

    A:溶融塩による処理
    図1は、本実施形態で使用した溶融塩処理装置の概略図である。 この溶融塩処理装置は、溶融塩100の容器となるグラファイト製のるつぼ10と、るつぼ10を収容する蓋付チャンバー(本体21は石英製、蓋22はテフロン(登録商標)製)、るつぼから蓋にかけて設置される複数枚の遮蔽版30(グラファイト製、石英製、パイレックス(登録商標)製)、そして、塩素を導入するためのノズル40を備える。 ノズル40の先端部は、るつぼ10内の廃棄物50の表面に近接するようになっており、廃棄物50に塩素ガスが直接接触するようになっている。

    この溶融塩処理装置1を使用し、イリジウムの回収・精製を行った。 まず、溶媒塩となる塩化ナトリウム1989g、塩化カリウム2537gを石英製の容器に入れた。 更に、イリジウム含有量2001gのカーボン混在スクラップを投入した。

    そして、混合塩を820℃まで加熱し溶融させた。 次に、この溶融塩に100%塩素ガスを2L/minの流量で吹き込み、14.2時間(851分間)反応させた。 反応後の溶融塩を一部採取し、ICP分析を行なったところ、溶融塩中のイリジウム濃度は26.5重量%であった。

    上記と同様の工程にて、組成を変化させた溶融塩での処理を行った結果を表1に示す。 ここでは、比較として塩化ナトリウムのみからなる溶融塩による処理の結果も示している。

    各実施例の結果から以下の点がわかる。 まず、溶媒となる溶融塩の組成に関して、Ir投入量と反応時間が近似している実施例1と実施例2との比較から、溶媒塩の塩化カリウム濃度が上昇することで、反応速度が上昇することがわかる。 また、溶融塩組成と反応時間が同じ、実施例2と実施例4との対比から、投入するイリジウム量が多いほど反応速度が高くなる傾向がある。 尚、塩化ナトリウムのみからなる溶融塩(実施例6)を用いても、イリジウムの回収は可能ではあるが、反応速度が他の組成の場合よりも低いことから、反応速度のみを重視するのであれば、溶媒塩に塩化カリウムを添加・混合するのがより好ましいことがわかる。

    B:白金族金属塩水溶液の生成
    次に、実施例1,3,5,6の反応終了後の溶融塩を水に混合し、溶融塩からイリジウムをイリジウム塩水溶液の形態で回収した。 ここでは、溶融塩中のイリジウム濃度を基に、水溶液中のイリジウム濃度が20〜80%になるように水の量を変化させて混合した。 そして、水を混合した後の水溶液の分析を行ない、イリジウム等の濃度を測定すると共に、溶解残物の有無を検討した。 表2にその結果を示す。

    基本的に、溶液中イリジウム濃度の目標値によらず、高純度のイリジウム塩水溶液が製造できた。 但し、全体的な傾向として、目標値が高くなると溶解残物が生じ、実際の水溶液中の濃度とのズレが大きくなる傾向も見られる。 この点について、塩化カリウムを50%とした実施例1では、溶融塩処理の段階では好適な結果(溶解速度等)を示していたが、水溶液化の段階で溶解残物が比較的多く、また、水溶液の目標濃度と実際の濃度とのズレが大きくなる傾向がある。 一方、実施例6の塩化ナトリウムのみからなる溶融塩を適用した場合においては、溶解残物や濃度値のズレが少なくなっている。 これは、上記で述べたように、塩化カリウムは、塩化ナトリウムと比してイリジウム塩の生成速度は高いものの、その水に対する溶解度が低いことによるものと考えられる。

    第2実施形態 :ここでは、本発明に係る方法について、廃棄物中の白金の分離操作への適用可能性を検討した。 上記第1実施形態の実施例5、6において、水溶液化した後の水溶液中の白金濃度を分析したときの結果を表3に示す。

    表3から、実施例5においては、目標イリジウム濃度を80g/Lとすることで、溶液中の白金濃度を検出限界以下とし、白金を分離することができたことがわかる。 これは、溶液化の目標濃度を高くすると、溶解残渣が発生し易くなるものの、白金がイリジウムよりも溶解残渣中に残留する傾向にあるため、溶液中への白金の同伴が抑制されたためと予測される。

    尚、実施例6(溶融塩組成を塩化ナトリウム100%とする)において、目標イリジウム濃度20g/Lの溶液中の白金濃度が検出限界以下となっているのは、白金濃度が低いというよりも、イリジウムを含めた貴金属全体の重量が少な過ぎたことによると考えられる。 これは、実施例6において、目標イリジウム濃度を高くしても白金濃度(白金重量/(イリジウム重量+白金重量))が殆ど変化していないことから予測される。 そして、実施例5と実施例6との対比から、本実施形態においては、白金を完全に分離することを主題とする場合には、溶融塩組成として、塩化カリウムを混合させることが好ましいと考えられる。

    次に、この検討結果を確認するため、白金を5.0%含有するスクラップ金属について、第1実施形態と同様の装置、条件により、溶融塩への溶解及び水溶液化を行った。

    この実施例7においても、イリジウム塩水溶液中の白金濃度は極めて低くなっており、イリジウム回収と同時に白金との分離を効率的に行なうことができることが確認できた。

    第3実施形態 :ここでは、ルテニウムを含むスクラップを対象に、溶融塩による処理を行なった。 第1実施形態と同じ溶融塩処理装置を用い、溶融塩の組成を変えて処理を行なった。 ここでの処理条件は、溶融塩温度を820℃とし、塩素を流量2L/minで吹き込んだ。 尚、処理対象であるスクラップは、3%のカーボンを含むルテニウムのスクラップである。 表5はその結果を示す。

    この結果、ルテニウムを含むスクラップに対しても、ルテニウムの回収が可能であることが確認された。 また、本実施形態でも、塩化カリウムを比較的多く(45mol%)含む実施例8は溶解速度等において優れていた。

    上記実施例9でルテニウムを溶解させた溶融塩を水溶液化し(水溶液化の際の目標Ru濃度は、50g/Lとした)、得られたルテニウム塩水溶液をエバポレーターで濃縮してルテニウム塩とし、これを水素雰囲気下で加熱して還元処理した。 この還元処理は、まず一次処理としてルテニウム塩を600℃で6時間加熱した。 そして、得られた金属ルテニウムを純水で洗浄し、700℃で6時間加熱する二次水素還元処理を行なった。 処理後のルテニウム粉末の純度は、99.97%と高純度のものであった。

    本実施形態で使用した溶融塩処理装置の構造を示す図。

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