Method and apparatus for producing calcium fluoride

申请号 JP2012091755 申请日 2012-04-13 公开(公告)号 JP2013220955A 公开(公告)日 2013-10-28
申请人 Central Glass Co Ltd; セントラル硝子株式会社; 发明人 MIYAZAKI TATSUO; TOKUNAGA ATSUSHI; IDE TOSHIHISA; AKAMATSU YOSHINORI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provided a method for producing, from drain water containing hydrosilicofluoric acid, calcium fluoride having a particle size and high purity suitable as a material for producing hydrofluoric acid.SOLUTION: A method for producing calcium fluoride comprises: a step [1] of reacting hydrosilicofluoric acid-containing water with a potassium compound and producing a first reaction product that includes insoluble silica and a potassium fluoride aqueous solution; a step [2] of separating the insoluble silica from the first reaction product; a step [3] of reacting the first reaction product, from which the insoluble silica has been separated, with calcium carbonate and producing a second reaction product that includes calcium fluoride and a potassium carbonate aqueous solution; and a step [4] of separating the potassium carbonate aqueous solution from the second reaction product.
权利要求
  • ケイフッ化水素酸含有水を用いたフッ化カルシウムの製造方法であって、
    ケイフッ化水素酸含有水とカリウム化合物を反応させ、不溶性シリカとフッ化カリウム水溶液を含む第1反応生成物を生成させる工程[1]と、
    前記第1反応生成物から不溶性シリカを分離する工程[2]と、
    不溶性シリカを分離した第1反応生成物と炭酸カルシウムを反応させ、フッ化カルシウムと炭酸カリウム水溶液を含む第2反応生成物を生成させる工程[3]と、
    前記第2反応生成物から炭酸カリウム水溶液を分離する工程[4]を含む、
    フッ化カルシウムの製造方法。
  • さらに、前記工程[4]にて分離した炭酸カリウム水溶液を、前記工程[1]のカリウム化合物原料として再利用する工程[5]を含む、請求項1のフッ化カルシウムの製造方法。
  • 前記工程[5]が、炭酸カリウム水溶液の濃縮処理を含む、請求項2のフッ化カルシウムの製造方法。
  • さらに、前記工程[2]にて分離された不溶性シリカを洗浄し、当該洗浄によって得られた洗浄液を前記工程[1]及び/又は前記工程[3]に導入する、請求項1から請求項3の何れかのフッ化カルシウムの製造方法。
  • さらに、前記工程[3]にて分離されたフッ化カルシウムを洗浄し、当該洗浄によって得られた液を前記工程[1]及び/又は前記工程[3]に導入する、請求項1から請求項4の何れかのフッ化カルシウムの製造方法。
  • 前記工程[3]に用いる炭酸カルシウムの平均粒径が、15〜300μmである、請求項1から請求項5の何れかのフッ化カルシウムの製造方法。
  • 前記工程[1]の反応温度が、40〜100℃である、請求項1から請求項6の何れかのフッ化カルシウムの製造方法。
  • 前記工程[3]の反応温度が、40〜80℃である、請求項1から請求項7の何れかのフッ化カルシウムの製造方法。
  • 前記カリウム化合物が、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酸化カリウム、水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1から請求項8の何れかのフッ化カルシウムの製造方法。
  • ケイフッ化水素酸含有水を用いたフッ化カルシウムの製造装置であって、
    ケイフッ化水素酸含有水とカリウム化合物を反応させ、不溶性シリカとフッ化カリウム水溶液を含む第1反応生成物を生成させる中和分解槽と、
    該中和分解槽に連結され、不溶性シリカを分離した第1反応生成物と炭酸カルシウムを反応させ、フッ化カルシウムと炭酸カリウム水溶液を含む第2反応生成物を生成させるフッ化カルシウム合成槽と、
    該フッ化カルシウム合成槽に連結され、前記第2反応生成物から炭酸カリウム水溶液を分離する分離装置と、を備えた、
    フッ化カルシウムの製造装置。
  • さらに、前記分離装置に連結され、前記第2反応生成物から分離された炭酸カリウム水溶液を貯留するための貯留槽を備え、該貯留槽は、前記中和分解槽と前記貯留槽を結び、前記炭酸カリウム水溶液を前記中和分解槽に送液するための循環配管を有する、請求項10のフッ化カルシウムの製造装置。
  • 说明书全文

    本発明は、ケイフッ化素酸(H SiF )を含有する排水を分解して、フッ化水素酸製造用の原料として好適なフッ化カルシウムを製造する方法及び装置に関する。

    従来、半導体産業や化学産業等において排出されるケイフッ化水素酸を含有する排水からフッ化カルシウムを合成、回収して、得られたフッ化カルシウムをフッ化水素酸の製造用原料として利用するリサイクル技術が知られている。

    この種のリサイクル技術を利用して、フッ化カルシウムを回収し、下記の反応式(1)に示すように、フッ化カルシウムと硫酸を反応させて、フッ化水素酸の製造が一般的に行われている。

    上記の反応式(1)のような反応を用いてフッ化水素酸を製造する場合、例えば、200℃以上の反応温度で、ローターリーキルン内にて行われる。 この時、原料となるフッ化カルシウム中に水酸化カルシウムや炭酸カルシウムが存在した場合、下記の反応式(2)および反応式(3)に示すように、水を副生する反応が生じてしまう。


    また、SiO

    を含むフッ化カルシウムを使用した場合、下記の反応式(4)に示すように、キルン内で生成したフッ化水素酸との反応により、H

    SiF

    を形成し、合成するフッ化水素酸をロスするばかりか、副生するH

    Oにより、やはり、ロータリーキルンの腐食の原因となってしまう。


    上記の反応式(2)〜(4)のように水が副生した場合、キルン内はフッ酸環境下であるため、キルン装置に通常用いられている鉄系金属材料を腐食させてしまう。 このことにより、フッ酸製造装置の装置寿命が短くなってしまうため、できるだけフッ化カルシウムは純度の高いものが好ましい。

    また、ロータリーキルンでフッ化水素酸を製造する際、原料として使用するフッ化カルシウムは、キルン内で流動可能な大きさにする必要がある。 原料のフッ化カルシウムとしては、一般的に天然に存在するアシッドグレードの蛍石(フッ化カルシウム主成分)が用いられ、この天然の蛍石を、キルン内で流動可能なように、例えば、15〜300μm程度の平均粒径まで粉砕し、使用される。 したがって、リサイクル技術によってフッ化カルシウムを回収する場合には、15〜300μm程度の平均粒径のものが得られると好ましい。

    このような背景のもと、ケイフッ化水素酸などのフッ素含有排水のリサイクル技術を利用して、フッ化カルシウムを回収し、この回収したフッ化カルシウムを用いて、フッ化水素酸の製造を行うには、フッ化カルシウムの粒子径を適度に揃えること、および、不純物を含まない高い純度をもつフッ化カルシウムを用いることが重要な要素となる。

    ケイフッ化水素酸を含有する排水からフッ化カルシウムを回収する技術として、主に、1)ケイフッ化水素酸含有水と炭酸カルシウムとを直接反応させフッ化カルシウムを合成する方法、2)ケイフッ化水素酸含有水に含まれるフッ素を、フッ化物塩を経由させることによってフッ化カルシウムを合成する方法、などが知られている。

    例えば、特許文献1には、下記の反応式(5)のように、ケイフッ化水素酸水と炭酸カルシウムを直接反応させる際に、ケイフッ化水素酸水の濃度と反応中のpHをコントロールすることによって、フッ化カルシウムを直接合成する技術が開示されている。

    また、特許文献2には、下記の反応式(6)のように、ケイフッ化水素酸を含むフッ素含有排水と炭酸ナトリウムなどのナトリウム化合物を混合して、ケイフッ化水素酸を分解し、不溶性のシリカとフッ化ナトリウムの水溶液との混合物を生じさせ、次いで、得られたフッ化ナトリウムの水溶液から、晶析技術などによって、フッ化カルシウムを回収する技術が開示されている。


    米国特許第2780523号明細書

    特開2009−196858号公報

    特許文献1のような、ケイフッ化水素酸水と炭酸カルシウムを直接反応させ、フッ化カルシウムを直接合成する方法では、反応式(5)に示すように、フッ化カルシウムとシリカが同時に析出し混合してしまい、現実的に、高い純度のフッ化カルシウムを回収することが難しい。

    特許文献2に記載のような、フッ化ナトリウムなどのフッ化物塩を経由する方法は、上記の反応式(5)のようにフッ化カルシウムとシリカが同時に析出することがなく、高い純度のフッ化カルシウムを合成、回収する優れた方法である。

    しかしながら、特許文献2に記載の方法では、フッ化ナトリウムは水に対する溶解度が低いため、十分な量のフッ化ナトリウム水溶液を形成させるためには、反応系を大きくする必要がある。 その結果、回収装置等が大型で煩雑なものになりやすく、装置の製作や維持などのランニングコストが高くなる問題点があった。

    このように、ケイフッ化水素酸などのフッ素含有排水からフッ化カルシウムを回収し再利用する種々の技術について開示されているが、回収したフッ化カルシウムの粒径、純度、回収装置のコストなどの問題点があり、回収物の再利用技術が未だ確立されていないのが現状である。

    本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ケイフッ化水素酸を含有する排水からフッ化水素酸製造用の原料として好適なフッ化カルシウムを製造する簡便な方法を提供することを目的とする。

    本発明者らは、上記問題点を解決するために、鋭意検討した結果、ケイフッ化水素酸水のフッ素をフッ化カルシウムに変換する際に経由させるフッ化物塩の水に対する溶解度に着目し、水に対する溶解度の大きいカリウム化合物をケイフッ化水素酸水と反応させることによって、フッ化水素酸製造用の原料として好適な高い純度と粒径のフッ化カルシウムを製造できることを見出し、本発明に至った。

    すなわち、本発明は、ケイフッ化水素酸含有水を用いたフッ化カルシウムの製造方法であって、ケイフッ化水素酸含有水とカリウム化合物を反応させ、不溶性シリカとフッ化カリウム水溶液を含む第1反応生成物を生成させる工程[1]と、前記第1反応生成物から不溶性シリカを分離する工程[2]と、不溶性シリカを分離した第1反応生成物と炭酸カルシウムを反応させ、フッ化カルシウムと炭酸カリウム水溶液を含む第2反応生成物を生成させる工程[3]と、前記第2反応生成物から炭酸カリウム水溶液を分離する工程[4]を含むフッ化カルシウムの製造方法である。

    また、本発明において、さらに、前記工程[4]にて分離した炭酸カリウム水溶液を、前記工程[1]のカリウム化合物原料として再利用する工程[5]を含むようにしてもよい。

    本構成によれば、分離した炭酸カリウム水溶液を、カリウム化合物原料として、再利用することができるため、本工程にて使用するカリウム化合物の使用量を低減させることができ製造コスト低減のメリットが得られる。

    本発明によれば、ケイフッ化水素酸水のフッ素をフッ化カルシウムに変換する際に経由させるフッ化物塩は、水に対する十分な溶解度を有している。 そのため、フッ化カルシウムの製造工程において、装置を大型化することなく、より簡便な装置構成にて、フッ化水素酸製造用の原料として好適な高い純度と粒径のフッ化カルシウムを提供することが可能となる。

    本発明に係るフッ化カルシウムの製造方法の工程概略図である。

    本発明に係るフッ化カルシウムの製造装置の一例を示す概略図である。

    本発明に係るフッ化カルシウム合成槽近傍の詳細図である。

    実施例1にて得られたフッ化カルシウムのX線回折パターンである。

    実施例1にて得られた沈降成分のX線回折パターンである。

    以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。 まず、図2、3を参照して、本発明の実施の形態に適用可能なフッ化カルシウムの製造装置100の一例について説明する。

    本発明のフッ化カルシウムの製造装置100は、ケイフッ化水素酸含有水とカリウム化合物を反応させ、中和分解によって不溶性シリカとフッ化カリウム水溶液を含む第1反応生成物を生成させる中和分解槽60と、不溶性シリカを分離した第1反応生成物と炭酸カルシウムを反応させ、フッ化カルシウムと炭酸カリウム水溶液を含む第2反応生成物を生成させるフッ化カルシウム合成槽10と、合成したフッ化カルシウムを含むスラリー液を固液分離操作によって脱水する脱水装置30と、を備える。

    中和分解槽60には、供給ポンプ60aを介して、ケイフッ化水素酸含有水を含む排水を中和分解槽60に導入する原水供給配管61と、中和分解反応を進行させるカリウム化合物等のアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給部62と、反応液の上澄み液としてのシリカ分離水(不溶性シリカを分離した第1反応生成物)を排出するシリカ分離水排出配管63が排出ポンプ60bを介して接続されている。 さらに、中和分解槽60の底部には、沈殿した不溶性シリカスラリーを排出する第1スラリー排出配管64が排出ポンプ67aを介して接続されている。 なお、中和分解槽60内には、モーター65を介して攪拌機66と、中和分解槽60内の反応溶液のpHを測定するpH測定器(図示せず)を設置するようにしてもよい。 また、必要に応じて、中和分解槽60内に希釈水を供給する希釈水供給部(図示せず)を設けてもよい。 希釈水供給部の好適な一例として、アルカリ剤の溶解、中和反応の促進のために、希釈水の代わりに水蒸気を用いて熱源を確保するようにしてもよい。

    第1スラリー排出配管64の下流には、排出ポンプ67aを介して、排出された不溶性シリカスラリーの脱水を行う脱水装置67が接続されている。 さらに、脱水装置67には、脱水によって分離された脱離水を中和分解槽60に戻す循環配管68を接続するようにしてもよい。 循環配管68を経由して回収される脱離水は、カリウム化合物に由来するアルカリ成分を含むため、中和分解反応の原料液として再利用することができる。 なお、分離されたシリカケーキ(含水率を低くしたシリカスラリー)は別途回収される。 また、同様に、循環配管69を経由して回収される脱離水を廃液貯留槽70に接続して、脱離水を原料液として再利用するようにしてもよい。

    シリカ分離水排出配管63の経路には、必要に応じて、分離しきれなかった不溶性シリカ成分を沈殿させるための凝集剤を添加する貯留槽(図示せず)を設けるようにしてもよい。 使用する凝集剤としては、無機系、高分子系などの一般的に公知のものを用いることができる。 例えば、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸鉄(II)、塩素化緑バン、カゼイン酸ナトリウム、ゼラチン、アラビアゴム、デキストリン、デンプンなどを挙げることができる。

    さらに、シリカ分離水排出配管63の下流には、排出ポンプ60bを介して、フッ化カルシウム合成槽10が接続されており、フッ化カルシウム合成槽10には、炭酸カルシウムをフッ化カルシウム合成槽10に導入する炭酸カルシウム導入装置40と、合成フッ化カルシウムと炭酸カリウム成分を含むスラリー液(第2反応生成物)を排出する第2スラリー排出配管14が排出ポンプ20bを介して接続されている。

    図3に示すように、第2スラリー液排出配管22の下流には、排出ポンプ20bを介して脱水装置30が接続されている。 脱水装置30には、必要に応じて、第2スラリー液排出管22を介して送液されたスラリー液を洗浄するための洗浄液を供給する洗浄液供給配管31が供給ポンプ30aを介して接続される。 なお、洗浄液としては、水やエタノールなどの有機溶媒を使用することができ、例えば、残留塩素成分の観点から、塩素成分が10mg/L以下の純水を用いるとよい。

    また、脱水装置30には、フッ化カルシウムの回収配管32が設けられ、この配管32によって、脱水、洗浄後の合成フッ化カルシウム50が回収される。 脱水装置30としては、通常、遠心分離機をすればよいが、その他の方式として、例えば、フィルタプレス脱水装置、ろ過式脱水装置(不織布フィルター型)を使用してもよい。

    フッ化カルシウム合成槽10の外周には、熱媒等を流通可能な外部ジャケット12が周設されており、フッ化カリウム水溶液と炭酸カルシウムの反応を促進させるために内部の温度が調整される。 外部ジャケット12の方式は、特に限定されないが、例えば、ペルチェ素子などを利用した電気的ヒータを使用してもよい。 また、フッ化カルシウム合成槽10内には、モーター15を介して攪拌機13を設置して内部を攪拌するようにしてもよい。 外部ジャケットを使用しない場合は、熱源として加熱水蒸気を直接、フッ化カルシウム合成槽10の内部に投入するようにしてもよい。

    フッ化カルシウム合成槽10の材質は特に限定されないが、長期耐久性から、例えば、PFA、PTFEなどのフッ素樹脂やFRPなどの樹脂あるいはゴム製のライニング槽を使用するとよい。

    炭酸カルシウム導入装置40は、粒状の炭酸カルシウムの受入ポッパー41と、炭酸カルシウムを供給するためのスクリューフィーダ42と、を備えており、スクリューフィーダ42によって炭酸カルシウムの供給量(供給速度)が調整される。 なお、炭酸カルシウムの供給速度は、反応状況により適宜調整される。

    脱水装置30には、排出ポンプ70aを介して、脱水装置30の固液分離操作によって得られた脱離水(炭酸カリウム水溶液)を排出するための脱離水排出配管71が接続されており、脱離水排出配管71の下流には、脱離水を貯留する廃液貯留槽70が設けられている。 さらに、廃液貯留槽70には、貯留した脱離水を中和分解槽60に戻すための循環配管72が接続されており、炭酸カリウムの濃度が調整された脱離水をアルカリ成分の原料として、中和分解槽60に再利用することができる。 廃液貯留槽70にて、貯留された脱離水の炭酸カリウム濃度を調整する(例えば、濃縮するなど)には、天日干し、膜分離による方法を用いることができる。

    次に、フッ化カルシウムの製造方法(工程[1]〜[5])について説明する。 図1は、本発明に係るフッ化カルシウムの製造方法の工程概略図である。

    まず、本発明の工程[1]について説明する。 工程[1]は、ケイフッ化水素酸含有水とカリウム化合物を反応させ、不溶性シリカとフッ化カリウム水溶液を含む第1反応生成物を生成させる工程[1]である。

    具体的には、図2に示すように、ケイフッ化水素酸を含有した排水などを貯留したタンクから、ケイフッ化水素酸含有水が、原水供給配管61を介して中和分解槽60に供給される。 次いで、アルカリ剤供給部62から、炭酸カリウムなどのカリウム化合物を添加し、下記の反応式(7)に示すように、ケイフッ化水素酸を中和分解し、不溶性シリカとフッ化カリウム水溶液を含む第1反応生成物を生成させる。

    反応式(7)の反応条件は、pHが7〜14、反応温度は、40〜100℃、より好ましくは、50〜80℃、反応時間は、少なくとも1時間以上、の範囲で行うことが好ましい。 また、投入するカリウム化合物の量は、ケイフッ化水素酸との反応に必要な量の1.1〜10当量に調整することが好ましい。 なお、反応を行う際の圧は特に制限はなく、常圧にて行うとよい。

    pHが7より小さい場合は、反応式(7)が進行しにくく、反応式(8)に示すようなカリウム酸塩(K SiF )が生成する反応が進行してしまうため好ましくない。 反応温度が40℃より低い場合は、下記の反応式(7)の十分な反応が進行せず、反応式(8)が進行してしまうため好ましくなく、一方、100℃より高い場合は、水分の揮発量が大きくなる、あるいは沸騰をまねく恐れがあるため反応温度としては適さない。 反応時間は、1時間より少なくなると、反応が完了しない場合があるので好ましくない。

    カリウム化合物は、カリウムイオンの水和エネルギーが高いため水に対する溶解性が非常に高く、例えば、フッ化カリウム(KF)の溶解度は、常温で約920g/1000g−H

    Oである。 本発明の工程にて経由するフッ化物塩(フッ化カリウム)は、特開2009−196858(特許文献2)にて開示されるフッ化物塩である、フッ化ナトリウム(溶解度:40g/1000g−H

    O)に比べて溶解度が極めて大きい。 そのため、フッ化カリウムの場合、溶解度の低さに起因するフッ化ナトリウムのような結晶析出(沈降)が起こりにくく、より少量の水で、より多くのフッ素源を水溶液中に存在させることができ、反応系を大型化する必要がない。 また、特許文献2のような析出したフッ化ナトリウム結晶を溶解するための希釈水配管などを別途設置する必要がなく、製造設備を簡便化することができる。 さらに、本発明によれば、フッ化物塩の濃度を高くできるため、より純度の高いフッ化カルシウムを合成することが可能となる。

    カリウム化合物としては、水に対する溶解度が十分なものであれば特に制限されないが、例えば、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酸化カリウム、水酸化カリウムなどの一般的なものを使用することができる。 これらの化合物は少なくとも1種もしくはこれらの2種以上の混合物として使用することも可能である。 中でも、炭酸カリウムは、化学的安定性、入手し易さなどの観点から、特に好適である。

    次に、本発明における工程[2]について説明する。 工程[2]は、工程[1]で得られた第1反応生成物から、不溶性シリカを分離する工程であり、第1反応生成物から、フッ化カリウム含有液を、沈降分離操作によって上澄み液として分離する。 分離された上澄み液は、シリカ分離水排出配管63から排出され、排出ポンプ60bを介して、フッ化カルシウム合成槽10に送液される。 なお、沈降分離操作の方法は、特に限定はされないが、例えば、第1反応生成物を所定時間静止させる操作(デカンテーションなど)によって行うことができる。

    次に、本発明における工程[3]について説明する。 工程[3]は、工程[2]で得られた不溶性シリカを分離した第1反応生成物(フッ化カリウム含有液)と、炭酸カルシウムを反応させ、フッ化カルシウムと炭酸カリウム水溶液を含む第2反応生成物を生成させる工程である。 フッ化カルシウムの合成は、下記の反応式(9)のように反応が進行する。

    反応式(9)の反応条件は、反応温度は、40〜80℃、より好ましくは50〜70℃、反応時間は、少なくとも3時間以上、の範囲で行うことが好ましい。 また、フッ化カリウムは、投入する炭酸カルシウムとの反応に必要な量の1.1〜10当量になるように調整することが好ましい。 なお、反応を行う際の圧力は特に制限はなく、常圧にて行うとよい。 また、反応条件におけるpHは、特に制限はないが、中和処理剤などの処理上の負担が掛からない範囲(例えば、pHが7〜10程度)で適宜設定するとよい。

    反応温度が40℃より低い場合は、上記の反応式(9)の十分な反応が進行しないため、好ましくなく、一方、80℃より高い場合は、合成する際にフッ化カルシウムが崩れてしまい微粒子状のフッ化カルシウムが生成してしまうため、フッ化水素酸製造用の原料として好適な平均粒径(15〜300μm)のフッ化カルシウムが得られなくなるため好ましくない。 反応時間は、3時間より少なくなると、反応が完了しない場合があるので好ましくない。

    なお、本明細書において、「平均粒径」とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%(メジアン径)での粒子径を意味する。 また、平均粒径の詳細な測定方法は、後述の実施例1にて説明する。

    具体的には、図3に示すように、フッ化カルシウム合成槽10に送液された不溶性シリカを分離した第1反応生成物(フッ化カリウム水溶液)に受入ホッパー41に収容された粒状の炭酸カルシウムが、スクリューフィーダ42を介して供給量を調整しながらフッ化カルシウム合成槽10に投入される。

    なお、本発明において、炭酸カルシウムの導入方法は上記の方法に限定されるものではなく、適宜設定されるものである。 また、工程[3]は、炭酸カルシウムからフッ化カルシウムの転化反応を完全に進行させるために、十分な反応時間を確保しやすいバッチプロセスを用いるとよい。

    炭酸カルシウム導入装置40としては、粒状の炭酸カルシウムを直接投入する方式以外に、別途調整槽を設け、炭酸カルシウムのスラリー溶液を調整し、フッ化カルシウム合成槽10に炭酸カルシウムスラリー溶液を投入する方式も採用可能であるが、本発明においては、粒状の炭酸カルシウムを直接投入方式がより好ましい。

    その理由としては、炭酸カルシウムのスラリー溶液を投入する場合、別途、スラリー溶液を調整する調整槽を設けたり、フッ化カルシウム合成槽10の容積を大きくする必要があり装置が煩雑になる。 加えて、スラリー液を供給する配管の液詰まりが懸念されるため10wt%程度のスラリー液にする必要がある。 また、10wt%程度の濃度の薄いスラリー液を用いた場合、フッ化カルシウム合成槽10の反応溶液の濃度調整がしにくくなるためである。

    炭酸カルシウムの平均粒子径は、15μm以上、300μm以下、とすることが好ましい。 さらには、30μm以上、150μm以下とすることが特に好ましい。 その理由としては、300μmより大きくなると、炭酸カルシウムからフッ化カルシウムへの転化率が減少し、効率的でない。 また、合成後のフッ化カルシウムの粒径が、15μmより小さくなると、ローターリーキルンを使用してフッ化水素製造の原料として投入した場合、流動性に問題点が生じやすいため好ましくない。 ロータリーキルンによるフッ化水素製造用原料として使用するには、30μm以上、150μm以下の炭酸カルシウムの粒径が特に好適である。 この範囲にすることによって、好適な大きさのフッ化カルシウムを合成することができる。

    工程[3]は、従来、公知のフッ酸含有液と塩化カルシウム水溶液からの晶析技術を駆使してフッ化カルシウムの結晶を成長させる工程(例えば、特許文献2)と異なり、反応溶液を比較的大きな塩酸酸性条件化にする必要がなく、中和するための過酸化水素など薬剤の大量使用や装置の腐食などの処理上の負担や装置の負担が少ない。

    また、工程[3]は、塩化カルシウムなどの塩素を含有した化合物を使用することがないため、塩化カルシウムに由来する微量の塩素成分がフッ化カルシウムに混入する恐れがない。 特に、微量の塩素成分が混入したフッ化カルシウムを使用してフッ化水素酸を製造した場合、製造したフッ化水素酸中に塩酸成分が混入してしまい品質の悪化が懸念される。 そのため、工程[3]によれば、不純物の懸念が少ない、より高純度なフッ化カルシウムを合成することが可能となる。

    次に、本発明の工程[4]について説明する。 工程[4]は、工程[3]を経た第2反応生成物から炭酸カリウム溶液を分離して、上記反応式(9)の反応にて得られた合成フッ化カルシウムを回収する工程である。

    具体的には、工程[3]にて得られた合成フッ化カルシウムと炭酸カリウム成分を含むスラリー液が、排出ポンプ20bによって、第2スラリー液排出配管22を介して、脱水装置30に送液され、遠心分離機などの固液分離操作によって脱水される。 さらに、脱水された合成フッ化カルシウム50は、水やエタノールなどの洗浄液によって洗浄されて合成フッ化カルシウムは回収される。 なお、脱水と洗浄は、必要に応じて適宜繰り返し行うようにしてもよい。 例えば、スラリー液を脱水して大部分の脱水を行い、次いで、水やエタノールなどの洗浄液で洗浄し、さらに、脱水操作を行い、完全に脱水処理を施すようにしてもよい。

    上記工程[1]〜[4]にて、フッ化カルシウムの製造および回収を行うと、フッ化水素酸製造用の原料として好適な、平均粒径が、15μm以上、300μm以下、であって、純度が95%wt以上の高品質なフッ化カルシウムを得ることができる。

    さらに、本発明の工程[5]について説明する。 工程[5]は、工程[4]にて分離した炭酸カリウム水溶液を、工程[1]におけるカリウム化合物原料として再利用する工程である。

    具体的には、脱離水(炭酸カリウム水溶液)が、排出ポンプ70aによって、脱離水排出配管71を介して、廃液貯留槽70に送液され貯留される。 次いで、必要に応じて、廃液貯留槽70にて、脱離水(炭酸カリウム水溶液)の炭酸カリウム濃度が調整される。 さらに、排出ポンプ70bによって、循環配管72を介して送液され、カルシウム化合物原料として再利用される。 なお、濃度を調整方法(濃縮する方法)は、特に限定されないが、天日干し、膜分離などを使用して水分を除去することができる。

    さらに、上記工程[1]〜[4]に加えて、工程[2]にて分離された不溶性シリカを洗浄し、当該洗浄によって得られた洗浄液を工程[1]及び/又は工程[3]に導入するようにしてもよい。 同様に、工程[3]にて分離されたフッ化カルシウムを洗浄し、当該洗浄によって得られた洗浄液を工程[1]及び/又は工程[3]に導入するようにしてもよい。

    上記の構成によれば、本発明に係る工程において得られる脱離水を効率的に使用することができるため、本工程にて使用するカリウム化合物の使用量をさらに低減させることができ、製造コストの低減が期待できる。

    本発明にて得られたフッ化カルシウムは、フッ化水素酸製造用の原料として好適に使用することができる。 なお、製造されるフッ化水素酸または無水フッ化水素酸は、さまざまなフッ素化合物の出発原料として使用される。

    以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。

    図2に示す本発明に係るフッ化カルシウムの製造装置100を用いてフッ化カルシウムの製造を行った。 製造して回収したフッ化カルシウムの評価として、フッ化カルシウムの純度とフッ化カルシウムの含有不純物濃度の測定を行った。

    [実施例1]
    図2に示すフッ化カルシウム製造装置100として、PTFE攪拌機を内部に設置した容積2LのPTFE製反応容器(中和分解槽60)にダイヤフラムタイプの供給ポンプを用いて、まず、ケイフッ化水素酸濃度10wt%に調整した原水を0.72kg供給した。 さらに、カリウム化合物として炭酸カリウムを0.4kg投入し、反応式(7)に示すように、ケイフッ化水素酸を炭酸カリウムで中和分解して、フッ化カリウム水溶液と不溶性シリカを生成させた。 以下に、反応条件について示す。 なお、反応条件のpHは、反応終了時の値を示す。 また、投入する炭酸カリウムの量は、ケイフッ化水素酸との反応に必要な量の2当量となるように調整した。


    <反応条件>−反応式(7)
    反応温度 : 70℃
    反応時間 : 3時間 pH : 10
    炭酸カリウム添加量: 2当量

    次いで、沈降分離処理した上澄み液(フッ化カリウム水溶液)を採取して、フッ化カルシウムの合成を行った。 反応槽として、反応器内部の温度調整が可能な外部ジャケット(熱媒体にはシリコンオイルを使用)を周設した容積2LのPFAライニング合成反応容器(フッ化カルシウム合成槽10)を使用した。

    炭酸カルシウムの導入手段(炭酸カルシウム導入装置)としては、平均粒子径60μmの炭酸カルシウムを受入ホッパーに導入し、スクリューフィーダにて供給量を調整しながら、合計0.1kg投入した。 また、反応容器の内部には、PTFE攪拌機を設置して攪拌しながら反応を行った。 以下に、反応条件について示す。 なお、反応条件のpHは、反応終了時の値を示す。 また、投入する炭酸カルシウムの量は、フッ化カリウムとの反応に必要な量の0.6当量となるように調整した。


    <反応条件>−反応式(9)
    反応温度 : 50℃
    反応時間 : 7時間 pH : 7
    炭酸カルシウム添加量: 0.6当量

    粒状の炭酸カルシウム投入後、7時間の反応時間を経た後、攪拌を止め、合成反応容器に接続された排出配管(第2スラリー配管14)より反応後のスラリー液を引き抜き、遠心分離機(脱水装置30)に送液し脱水を行い、さらに純粋で合成フッ化カルシウムを洗浄し不純物を除去した。 得られたサンプルは、100℃で乾燥処理を施し、X線回折測定および粒度分布測定を実施した。

    なお、粉体の平均粒径の測定は、島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD2200を用いて測定を実施した。 レーザー回折式粒度分布測定装置では、センサで検出した粒子による回折/散乱光の光強度分布のデータから粒度分布を計算する。 平均粒子径は測定される粒子径の値に相対粒子量(差分%)を掛けて、相対粒子量の合計(100%)で割って求められる。 なお、平均粒子径は粒子の平均直径である。 本実施例および明細書において、「平均粒子径」とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%(メジアン径)での粒径を意味する。

    X線回折測定の際には、粉体サンプルを十分に乳鉢で磨り潰し、結晶内部の炭酸カルシウムについても検出できるようにした。 また、合成したフッ化カルシウムの純度および不純物として含まれる炭酸カルシウムの濃度の分析については、予め、フッ化カルシウムおよび炭酸カルシウムの標準試薬を所定濃度で混合し、すり鉢上十分に混合し、X線回折測定を行うことで検量線を作成した。 この作成した検量線によって、合成したフッ化カルシウムの純度および不純物として含まれる炭酸カルシウムの濃度について算出した。

    以上の方法で、合成したフッ化カルシウムの純度および平均粒子径を測定したところ、フッ化カルシウムの純度は、98wt%以上であり、平均粒子径は55μmであった。 またフッ化カルシウム中の塩素含有量を、蛍光X線分析装置(型番:SYSTEM3270、株式会社リガク製)を用いて、分析したところ100ppm未満と十分に低い値であった。

    また、合成したフッ化カルシウムのX線回折パターンを図4に示す。 得られた回折パターンより、炭酸カルシウム(CaCO )のピークは観測されず、フッ化カルシウム(CaF)のピークのみ観測された。 したがって、実施例1にて製造したフッ化カルシウムの純度は高いことがわかる。 また、反応式(7)で沈降分離した際の沈降成分のXRD回折パターンを図5に示す。 K SiF のピークは確認されず、非晶質なシリカと考えられるピークのみであり、これにより反応式(8)は進行しておらず、反応式(7)のみが生じていることが確認できた。

    [比較例1]
    カリウム化合物(炭酸カリウム)を加えない、とする以外は、実施例1と同様なフッ化カルシウムの製造装置および運転条件にて、フッ化カルシウムの製造を行った。 その結果、ケイフッ化水素酸とフッ化カルシウムを直接反応させるだけでは、フッ化カルシウムの純度は55wt%であり、十分な純度のフッ化カルシウムを得ることができなかった。

    [比較例2]
    実施例1と同じ装置を用い、炭酸カリウムから炭酸ナトリウムに原料を変更して反応を行った。 反応(7)を行った後の沈降成分をXRD分析したところ、SiO 以外にNaF成分が確認された。 したがって、溶液中にNaFが溶解しきれずに析出してしまっていること確認された。

    100 フッ化カルシウムの製造装置 10 フッ化カルシウム合成槽 30 脱水装置 40 炭酸カルシウム導入装置 50 フッ化カルシウム 60 中和分解槽 70 廃液貯留槽

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