アルカリ金属および遷移金属フルオロ硫酸塩の調製方法

申请号 JP2013510653 申请日 2011-05-11 公开(公告)号 JP5840680B2 公开(公告)日 2016-01-06
申请人 サントル ナスィオナル ド ラ ルシェルシュ スィアンティフィク; 发明人 ジャン−マリー・タラスコン; モハメッド・アティ; ミッシェル・アルマン; ナディ・ルシャム;
摘要
权利要求

タボライトタイプの構造を有し、式(A1-aA’a)x(Z1-bZ’b)z(SO4)sFf(I)(式中、Aは、LiまたはNaを表し;A’は、空またはAとは異なるアルカリ金属、アルカリ土類金属および3d金属から選択される少なくとも1種のドーピング元素を表し;Zは、Fe、Co、およびNiから選択される少なくとも1種の3d元素を表し;Z’は、空または前記アルカリ金属、Mn、Mg、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Zn、Al、Ga、Sn、Zr、NbおよびTaから、これらの酸化状態の少なくとも1種で選択される少なくとも1種のドーピング元素を表し;下付き文字a、b、x、z、sおよびfは、化合物の電気的中性を確保するように選択され、a≧0、b≧0、x≧0、z>0、s>0、f>0であり;ドーパントA’およびZ’の「a」および「b」のそれぞれの量は、前記タボライトタイプの構造が保存されるような量である)に対応する化合物の粒子からなる材料を調製する方法であって: −前記1種以上の元素Zの硫酸塩を含有する前駆体、前記1種以上の元素Aのフッ化物、前記1種以上の元素Z’の前駆体(b>0の場合)および前記1種以上の元素A’の前駆体(a>0の場合)の混合物を調製することからなる第1の工程(ここで、前記A’の前駆体は、アニオンがF-、SO42-またはF以外のハロゲン化物である化合物から選択され、前記Z’の前駆体は、Z’の硫酸塩およびZ’のハロゲン化物から選択される); −前記第1の工程において得られた前記混合物を固体基質と接触させることからなる第2の工程; −前記第2の工程の終了時に得られた前記混合物を、前記1種以上の元素Zの水和硫酸塩を含む前記前駆体の反応温度までとし、前記反応の終了まで前記温度を維持することからなる第3の工程; −前記固体基質を除去することからなる第4の工程 を含み、 前記固体基質が、室温において固体であり、前記前駆体の前記反応温度未満の融点を有し、少なくとも前記前駆体の前記反応温度まで安定である反応基質ポリマーであり、前記反応基質ポリマーは有機溶媒中で溶解性であることを特徴とする方法。前記反応基質ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレン(PEO)、ポリスチレン(PS)またはポリ(メチルメタクリレート)PMMAであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。a<0.25であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。b<0.25であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記第2の工程の終了時に得られる混合物中の前記前駆体の全体量が、「前駆体+反応基質ポリマー」の前記全重量に対して10から50重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。フッ化アンモニウム、イミダゾリウムフッ化物またはピリジニウムフッ化物から選択されるフッ化物を、前記第1の工程からの混合物中に導入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。Zの前記前駆体が、ZがFe、Co、Niである化合物ZSO4.H2Oまたは固溶状態にあるこれらの化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。A’の前記硫酸塩、およびA’の前記ハロゲン化物から選択されるA’の前駆体を、前記第1の工程からの混合物中に導入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記第1の工程からの混合物が、酸H2SO4、およびこのアンモニウム、アミン、イミダゾールまたはピリジン塩から選択されるSO42-アニオンの前駆体を含有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記第3の工程が、前記反応基質ポリマーを30から160℃の間の温度において融解させる第1の段階、および化合物(I)の前記前駆体を230から300℃の間の温度において反応させる第2の段階を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。前記第3の工程を、不活性雰囲気下で大気圧において実施することを特徴とする、請求項1に記載の方法。

说明书全文

本発明は、電極活性材料として使用可能なフッ素化材料を調製する方法および得られる材料に関する。

正極の作動の基礎としてリチウムイオン挿入化合物を使用するリチウム電池が公知である。

公知の挿入化合物のうち、本発明者らが特に挙げるものとして、純粋形態またはニッケル、マンガンおよびアルミニウムとの固溶体で使用されるリチウム遷移金属酸化物、例えばLixCoO2(0.4≦x≦1)がある。このタイプの電気化学物質の一般的適用に対する主な障害は、コバルトの希少性および遷移金属酸化物の過剰な正電位であり、結果的に電池についての安全性の問題が生じる。

本発明者らは、化合物LixTMMXO4(式中、TMは、1から5の間の原子価を有する1種以上の元素により場合により部分的に置き換えられているFe、MnおよびCoから選択される少なくとも1種の金属を表す。)も挙げることができる。これらの化合物は、リチウムを交換するにすぎず、極めて低い電子およびイオン電導性を有するにすぎない。これらのハンディキャップは、微細粒子(例えばナノ粒子)を使用することにより、および有機化合物の熱分解により炭素被覆を堆積させることにより克服することができる。ナノ粒子の使用に伴う欠点は、比エネルギーの損失に反映される不十分な緊密性であり、この問題は炭素の堆積により悪化する。さらに、炭素堆積は還元条件下で高温において実施される。実際、2超の酸化状態の元素を使用することは困難である。それというのも、これらの元素は還元されるからである。このことは、イオンまたは電子導電率の増加に有用なドーパントであるFeIII、MnIII、CrIII、VIII、VIVにあてはまる。

他の化合物、特に一般式AaMb(SO4)cZd(式中、Aは、少なくとも1種のアルカリ金属を表し、Zは、FおよびOHから選択される少なくとも1種の元素を表し、Mは、少なくとも1種の二価または三価の金属カチオンを表す。)に対応する化合物が提案されている。これらの化合物は、特にフルオロ硫酸塩を含む。L.Sebastian,et al.[J.Mater.Chem.2002,374−377]は、セラミック経路によるLiMgSO4Fの調製を記載している。さらに、米国特許出願公開第2005/0163699号明細書は、リチウムおよびM(Mは、Ni、Fe、Co、Mn、(MnMg)、(FeZn)、または(FeCo)である。)のフルオロ硫酸塩化合物のセラミック経路による調製を記載している。これらの化合物は、Li前駆体LiFおよび1種以上の元素Mの硫酸塩から出発するセラミック経路により調製される。これらの化合物のうち、最も興味深いものは、Feを含有するものである。それというのも、これらの相対的に低いコストに加え、これらの化合物は構造または化学的考察(特に結合のイオン性共有性(ionocovalency))に基づき高容量用途のための信頼性のある使用を保証するために望ましい電位範囲において興味深い電気化学特性を示す可能性が高いからである。誘導効果を理由として、硫酸塩は一般にこれらの構造にかかわらずリン酸塩よりも高い電位を有する。種々の金属元素を含有する化合物の調製の例は、上記米国特許出願公開第2005/0163699号明細書に記載されている。したがって、実施例2は、不均一化合物を生じさせる600℃、次いで赤黒色化合物を生成させる500℃、または赤色化合物を生成させる空気中での400℃におけるセラミック法による化合物LiFeSO4Fの調製を記載している。この方法により、SO42-+2Fe2+⇒SO2+2O2-+2Fe3+に従う、酸素の不存在下でのFe2+によるSO42-基の還元を許容することができる。異なる温度において得られた化合物に見出される赤色は、例えば酸化物Fe2O3の形態の結晶格子中のO2-/Fe3+会合に起因する。さらに、FeIIの化合物が、200℃から出発する空気中で酸化し、FeIIIを生じさせることが公知であり、空気中での400℃における実施例2の調製がこのことを裏付けている。したがって、米国特許出願公開第2005/0163699号明細書によりLiFおよび硫酸鉄からセラミック経路により調製される鉄含有化合物は、LiFeSO4Fからなるものではない。さらに、MがCoまたはNiである化合物は、セラミック経路による推奨される調製の間に用いられる温度において安定でないと考えられる。したがって、米国特許出願公開第2005/0163699号明細書に記載の化合物が実際に得られたとは考えにくい。

セラミック経路によるアルカリ金属および遷移金属フルオロ硫酸塩化合物の調製方法は一般に安価であるが、これらの方法は極めて緩慢な反応速度論を有する。

仏国特許第2937970号明細書は、反応基質として疎性イオン液体を使用する、水和遷移金属硫酸塩およびフッ化リチウムからのリチウムおよび遷移金属硫酸塩の調製を記載している。フルオロ硫酸塩の前駆体がイオン液体媒体中の溶液または懸濁液状態である方法は、より速い反応速度を有し、これらの方法により、得られる化合物の結晶構造を制御することが可能となる。それというのも、前記イオン液体が硫酸アニオンおよびFeの前駆体として使用される水和硫酸塩分子を封入する効果を有するからである。しかしながら、イオン液体の使用により、イオン液体のコストのためにこの方法が高価になり、基質が液体であるのでむしろ実用的でない。

米国特許出願公開第2005/0163699号明細書

仏国特許第2937970号明細書

L.Sebastian,et al.[J.Mater.Chem.2002,374−377]

本発明の目的は、アルカリイオンの交換により作動する電気化学電池における電極材料として特に有用なアルカリ金属および遷移金属フルオロ硫酸塩を確実に、迅速に、および経済的に生成することを可能とする方法を提供することである。

本発明の一般的定義 本発明の方法は、タボライトタイプの構造を有し、式(A1-aA’a)x(Z1-bZ’b)z(SO4)sFf(I)(式中、Aは、LiまたはNaを表し;A’は、空または少なくとも1種のドーピング元素を表し;Zは、Fe、Co、およびNiから選択される少なくとも1種の3d元素を表し;Z’は、空または少なくとも1種のドーピング元素を表し;下付き文字a、b、x、z、sおよびfは、化合物の電気的中性を確保するように選択され、a≧0、b≧0、x≧0、z>0、s>0、f>0であり;ドーパントAおよびZ’のaおよびbのそれぞれの量は、前記タボライトタイプの構造が保存されるような量である。)に対応する化合物の粒子からなる材料を生成することが意図される。本方法は: −1種以上の元素Zの水和硫酸塩を含有する前駆体、1種以上の元素Aのフッ化物、1種以上の元素Z’の前駆体(a>0の場合)および1種以上の元素A’の前駆体(b>0の場合)の混合物を調製することからなる第1の工程; −前記第1の工程において得られた混合物を固体基質と接触させることからなる第2の工程; −前記第2の工程の終了時に得られた混合物を、前記第1の工程の間に混合された前駆体の反応温度とし、反応の終了まで前記温度を維持することからなる第3の工程; −前記固体基質を除去することからなる第4の工程 を含み、 前記方法は、前記固体基質が、ポリマーであり、該ポリマーは、室温において固体であり、前記前駆体の前記反応温度未満の融点を有し、少なくとも前記前駆体の前記反応温度まで安定であるポリマーであり、前記ポリマーは非極性非プロトン性有機溶媒中で溶解性であることを特徴とする。

本発明の実施形態において反応基質として使用されるあるポリマーの安定性を、熱重量分析により検証した結果を示す。

本発明の実施形態において反応基質として使用されるあるポリマーの安定性を、熱重量分析により検証した結果を示す。

本発明の実施形態において反応基質として使用されるあるポリマーの安定性を、熱重量分析により検証した結果を示す。

本発明の第1の実施形態において得られた化合物のX線回折ターンを示す。

本発明の第1の実施形態において得られた生成物をX線回折分析に供した結果を示す。

2つの異なる倍率のSEM顕微鏡写真であり、本発明の第1の実施形態において得られたLiFeSO

4F材料の形態を示す。

2つの異なる倍率のSEM顕微鏡写真であり、本発明の第1の実施形態において得られたLiFeSO

4F材料の形態を示す。

本発明の第1の実施形態において、EDX元素分析を種々の粒子に対して実施した結果を示す。

本発明の第1の実施形態において得られた生成物の性能を示す。

本発明の第1の実施形態において得られた生成物の性能を示す。

本発明の第2の実施形態において得られた生成物のX線回折パターンを示す。

本発明の第3の実施形態において得られた生成物のX線回折パターンを示す。

本発明の第4の実施形態において粉末の形態で得られた生成物の回折パターンを示す。

本発明の第6の実施形態において粉末の形態で得られた生成物の回折パターンを示す。

本発明の第7の実施形態において粉末の形態で得られた生成物の回折パターンを示す。

本発明の第8の実施形態において粉末の形態で得られた生成物の回折パターンを示す。

本発明の第9の実施形態において粉末の形態で得られた生成物の回折パターンを示す。

本発明の第10の実施形態において得られた生成物の回折パターンを示す。

本発明の第11の実施形態において得られた生成物のX線回折パターンを示す。

本発明の第12の実施形態において粉末として得られた生成物の回折パターンを示す。

PE−ブロック−PEG1400コポリマー中で得られた生成物のX線回折パターンを示す。

反応の基質ポリマーは、好ましくは、単相を生じさせる完全な反応を可能とするために十分な時間にわたり反応温度において安定であるポリマーから選択される。溶媒は、ニトリル(例えばアセトニトリル)、ケトン(例えばアセトン)、1から6個の炭素原子を有するクロロアルカン(例えばジクロロメタン)、1から3個の炭素原子を有するアルコール、酢酸エチルおよびTHFから選択することができる。

ポリマーは、特に、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレン(PEO)、ポリスチレン(PS)またはポリ(メチルメタクリレート)PMMAであり得る。それぞれの特定の調製例のため、ポリマーは、この安定性の範囲、この粘度およびこの融点(この分子量に依存する。)に応じて選択される。同様の性能のため、PEOよりも低い分子量を有するPEGを使用することができる。

反応基質ポリマーがポリエチレングリコール(PEG)である場合、このポリマーは、唯一のOH末端基を有するPEG、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル(PEGDAE)およびポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(PEGMAE)から選択することができる。高分子量のPEGDAEはより低分子量のPEGDAEよりも安定であり、PEGDAEは同等の分子量のポリエチレングリコールモノアルキルエーテル(PEGMAE)よりも安定である。例えば、分子量2000のポリエチレングリコールジメチルエーテル(PEGDME)は、800の分子量を有するPEGDME、分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(PEGMME)または酸末端基および600の分子量を有するポリエチレングリコールとは対照的に295℃において少なくとも24時間安定である。

基質ポリマーがポリエーテルである場合、このポリマーは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)またはエチレンオキシドおよびある種のコモノマー(例えばプロピレンオキシド)のコポリマーから選択することができる。5800の分子量および2個のOH末端基を有するエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマーは、前駆体間の完全な反応および単相生成物の生成を可能とするために十分な熱安定性を有する。逆に、1400a.u.の分子量および単一のOH末端基を有する同一性質のポリマーは、十分な安定性を有さない。

使用される前駆体が反応する温度は、当業者に公知である。これらの温度は一般に300℃未満であり、24時間の反応時間が単相を得るために一般に十分である。例えば: −LiFおよびFeSO4.H2Oは、少なくとも230℃に等しい温度において反応する。295℃において、24時間の反応時間が単相LiFeSO4Fを得るために十分であり; −NaFおよびFeSO4.H2Oは、少なくとも230℃に等しい温度において反応する。290℃において、24時間の反応時間が単相NaFeSO4Fを得るために十分であり; −LiFおよびCoSO4.H2Oは、少なくとも230℃に等しい温度において反応する。270℃において、24時間の反応時間が単相LiCoSO4Fを得るために十分であり; −LiFおよびNiSO4.H2Oは、少なくとも230℃に等しい温度において反応する。270℃において、24時間の反応時間が単相LiNiSO4Fを得るために十分であり; −NaFおよびCoSO4.H2Oは、少なくとも250℃に等しい温度において反応する。290℃において、24時間の反応時間が単相NaCoSO4Fを得るために十分である。

本発明の方法により得られるフルオロ硫酸塩(I)は、タボライト構造を有する。タボライト構造は、遷移金属M(M=Fe、Co、Ni、Mn、Mgなど)を中心とし、c軸に沿って鎖を形成する頂点のフッ素原子により一緒に結合しているMO4F28面体を含む。8面体は全てトランス位にF原子を有するが、これらは2種の異なるタイプに区分される。鎖は、単離されたSO44面体により一緒に結合しており、こうして3次元構造が作出され、[100]、[010]および[101]軸に沿ってトンネルが定められる。

本発明による化合物(I)は歪んだタボライト構造を有する。それというのも、元素A1-aA’aが前記トンネル中に留まっているからである(3D拡散)。AがLiである場合、歪タボライトタイプの構造の化合物(I)は、P−1空間群に結晶化する三斜格子を有する。AがNaである場合、歪タボライトタイプの構造の化合物(I)は、P21/C空間群に結晶化する単斜格子を有する。

A’がドーピング元素である場合、A’は、Aとは異なるアルカリ金属、アルカリ土類金属または3d金属、特にTi、V、Cr、Mn、Fe、Mn、CoまたはCuであり得る。一般に、ドーパントA’の含有率「a」は、好ましくは、0.25%未満、すなわちa<0.25である。

Z’がドーピング元素である場合、Z’は、アルカリ金属、Mn、Mg、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Zn、Al、Ga、Sn、Zr、NbおよびTaから、これらの酸化状態の少なくとも1種で選択される金属であり得る。一般に、ドーパントZ’の含有率「b」は、好ましくは、25%未満、すなわちb<0.25である。特に有用なドーパントZ’は、Mn、Mg、Zn、Ti、およびAlである。

特に好ましい本発明による化合物は、式Li(Z1-bZ’b)SO4FおよびNa(Z1-bZ’b)zSO4F、特にLiFeSO4F、LiCoSO4F、LiNiSO4Fおよびこれらの固溶体、NaFeSO4F、NaCoSO4F、NaNiSO4Fおよびこれらの固溶体、ならびに固溶体Li(Z1-bMnb)SO4FおよびNa(Z1-bMnb)SO4F(式中、Zは、Fe、CoまたはNiであり、b≦0.2である。)に対応する化合物である。

特定のカテゴリーの化合物(I)は、基(Z1-bZ’b)が1種超の元素を表す化合物を含む。これらの化合物は、ZがFe、CoおよびNiから選択される1種超の元素を表す化合物、ならびにb≠0である化合物であり、これら2種の実例を組み合わせることができる。

本発明による化合物は、100μmよりも小さい、またはさらには100nmよりも小さい粒子の形態である。

本方法の第1の工程において、前駆体は、化学量論量で、または過剰のアルカリ金属Aのフッ化物を用いて、好ましくは10%未満で使用する。

第2の工程の終了時に得られる混合物中の前駆体の量は、全重量「前駆体+ポリマー基質」に対して好ましくは10から50重量%、より好ましくは15から25重量%である。

アルカリ金属Aの前駆体はAのフッ化物、この場合LiFまたはNaFである。この前駆体は、Fの前駆体としても作用する。

化合物(I)がA’を含有する場合、元素A’は、アニオンがF-もしくはSO42-である化合物の形態で、または選択的溶解によりアニオン除去が容易である化合物の形態で、例えばF以外のハロゲン化物の形態で導入する。

フッ化物から選択されるA’またはZ’の前駆体は、Fの追加の前駆体として作用することもできる。さらに、Fの追加の前駆体は、カチオン除去が容易であるフッ化物、例えばフッ化アンモニウム、イミダゾリウムまたはピリジニウム(例えばNH4F、nHFまたはC3H5N2F、nHF、またはC5H6NF、nHF(nは5以下である。))から選択することができる。

Zの前駆体は、Zの水和硫酸塩である。硫酸塩一水和物の使用は、歪タボライト構造を有する単相の形態の化合物(I)を得るために特に好ましい。一水和物ZSO4.H2Oは、ZSO4.7H2Oから、150℃から450℃の間の温度(例えば200℃)において真空下で加熱することにより得ることができる。または、ポリエチレングリコール(PEG)中に導入されたFeSO4.7H2Oを200から240℃の間の温度において2時間加熱することにより、PEGを除去し、乾燥させた後、緑白色[得られた生成物が少量のFeSO4.4H2O(1から5%)を含有する場合]から灰白色[得られた生成物が微量の無水FeSO4(1%)を含有する場合]に変化する色を有する粉末の形態の化合物FeSO4.H2Oを得ることが可能となる。使用されるPEGの分子量は、広範に、例えば500から20000a.u.(g/mol)の間で変動し得る。

元素Z’の前駆体は、好ましくは、硫酸塩(この場合、前駆体は硫酸アニオンの必要な補完物を供給する。)である。さらに、この前駆体はZ’のフッ化物(この場合、フッ化物はFの前駆体としても作用する。)または最終化合物(I)を汚染しないようにアニオン除去が容易である化合物(例えばフッ化物以外のハロゲン化物)であり得る。

好ましい実施形態において、1種以上の元素ZおよびZ’の前駆体は、水和物形態、特に一水和物の形態の固溶体の形態である。前駆体Z1bZ’bSO4.H2Oは、特に以下の工程を含む方法により調製することができる: −1−bモルのZSO4.7H2OおよびbモルのZ’SO4.7H2Oを、アルゴンまたは窒素により事前に脱ガスした水中で溶解させてFe(II)の酸化を防止すること(bは、好ましくは0.3未満である。); −アルコール(例えばエタノールまたはイソプロパノール)を添加してZ1-bZ’bSO4.7H2Oの沈殿をもたらすこと; −形成された粉末を回収(例えば、遠心分離により)すること、 −アルコールにより洗浄し、次いで150から250℃の間の温度において(例えば200℃において)真空下で1時間加熱すること。

ZがFeおよびCoまたはFeおよびNiを表す前駆体は、FeSO4.7H2OおよびCoSO4.7H2Oから、またはFeSO4.7H2OおよびNiSO4.7H2Oから同一手法において調製することができ、bは1未満である。

さらに、化合物Z1-bZ’bSO4.H2Oは、Z1-bZ’bSO4.7H2Oから、化合物ZSO4.H2Oを化合物ZSO4.7H2Oから得るための上記方法と同様の方法により得ることができる。

必然的に硫酸塩である元素Zの前駆体は、結果的に、硫酸アニオンの前駆体としても作用する。追加の硫酸塩前駆体は、元素Z’および/またはA’の硫酸塩から、ならびに除去容易であるカチオンの硫酸塩、特に酸H2SO4、およびこの熱不安定アンモニウム、アミン、イミダゾールまたはピリジン塩、例えばNH4HSO4、(NH4)2SO4、(C3H5N2)HSO4、(C5H6N)2SO4、(C3H5N2)2SO4および(C5H6N)HSO4から選択することができる。

特定の実施形態において、第3の工程は2つの連続段階を含む。第1の段階は、反応基質ポリマーを融解させることを目的とし、前記ポリマーはこの融点が化合物(I)の前駆体が互いに反応する温度未満になるように選択される。この第1の段階の温度は、一般に30から160℃の間である。第2の段階は、化合物(I)の前駆体を反応させることを目的とする。この段階は、一般に230から300℃の間の温度において実施する。

第3の工程は、好ましくは不活性雰囲気下で大気圧において実施する。 加熱は、種々の手段により、特に炉中加熱により、またはマイクロ波加熱により実施することができる。この加熱は、液体基質ポリマーおよび前駆体を含む反応混合物が、反応の完了を可能とする滞留時間で循環する加熱した閉鎖容器中で連続的に実施することができる。

加熱時間は、一般に10分間から200時間、好ましくは3から30時間で変動する。

第4の工程の間の化合物(I)の分離は、例えば、基質ポリマーをポリマーが溶解性である非極性非プロトン性有機溶媒により抽出し、いかなる副生物も除去することにより実施することができる。

分離後、化合物(I)を同一タイプの極性非プロトン性有機溶媒(例えばアセトン、アセトニトリル、酢酸エチルなど)により洗浄し、次いで追加精製することなく使用することができる。

化合物(I)は、これを構成する元素に応じて種々の用途において使用することができる。例として、本発明の化合物(I)は、電池およびエレクトロクロミックシステムにおける電極の製造用活性材料として、セラミックとして、データ保存用磁性材料として、顔料として、または光起電セルにおいて慣用的に使用されるTiO2により得られたものよりも良好な結果を有する光吸収材料として使用することができる。

本発明による化合物を電極材料として使用する場合、電極は、本発明の化合物および電子導電剤(例えばカーボンブラック)を含む混合物を混合することにより、手作業で粉砕することにより、または機械的に粉砕することにより(例えば、SPEX1800タイプ粉砕ミルを使用して約10分間粉砕することにより)得られた複合材料を電流コレクタ上に堆積させることにより調製することができる。複合材料「化合物(I)+炭素」に対する化合物(I)の重量百分率は、50から99%、さらに特定すると80から95%であり得る。

電流コレクタ上に堆積される材料の量は、好ましくは、本発明による化合物の量が1cm2当たり0.1から200mgの間、好ましくは1から50mgであるような量である。電流コレクタは、アルミニウム、チタン、グラファイトペーパーまたはステンレス鋼のグリッドまたはシートからなっていてよい。

本発明による電極は、電解質により分離されている正極および負極を含む電気化学セルにおいて使用することができる。本発明による電極は、正極を構成する。

負極は、金属リチウムもしくはこの合金、酸化リチウム中のナノメートル分散液の還元により形成された遷移金属酸化物、またはリチウムおよび遷移金属の二重窒化物からなっていてよい。さらに、負極は、1.6V未満の電位におけるLi+イオンの可逆的挿入が可能な材料からなっていてよい。このような材料の例として、一般式Li1+y+x/3Ti2-x/3O4(0≦x≦1、0≦y≦1)、Li4+x'Ti5O12(0≦x’≦3)を有する低電位を有する酸化物、有機材料の熱分解から得られる炭素および炭素含有生成物、ならびにジカルボン酸塩を挙げることができる。

電解質は、有利には、極性非プロトン性液体溶媒、液体溶媒もしくはイオン液体により場合により可塑化されている溶媒和ポリマー、または溶媒和もしくは非溶媒和ポリマーの添加によりゲル化された液体溶媒からなるゲル中で溶液状態である少なくとも1種のリチウムまたはナトリウム塩を含む。

本発明を以下の実施例により説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。 以下の製品を使用した: −Fisher Scientific社により供給されるFeSO4.7H2O −Acros Organic社により供給されるCoSO4.7H2O −Acros Organic社により供給されるNiSO4.7H2O −Alfa Aesar社により供給される分子量20000a.u.のポリエチレングリコール(PEG20000)(融点TM=62.4℃、分解温度TD=351℃); −Alfa Aesar社により供給される分子量1000a.u.のPEGモノメチルエーテル(TM=52−56℃、TD>300℃); −Alfa Aesar社により供給される分子量2000a.u.のPEGモノメチルエーテル(TM=52−56℃、TD>300℃); −Alfa Aesar社により供給される分子量2000a.u.のPEGジメチルエーテル(TM=49−53℃、TD>300℃); −Alfa Aesar社により供給される分子量8000a.u.のポリエチレングリコール(PEG8000)(TM=62.4℃、TD=256℃); −Alfa Aesarにより供給される分子量>5000000a.u.のポリ(エチレンオキシド)(PEO>5000000)(TM=62.4℃、TD=326℃); −Acros Organicにより供給される分子量38000a.u.のポリメチルメタクリレート(PMMA38000)(TM=120℃、TD=303℃) −Alfa Aesarにより供給される分子量25000a.u.のポリスチレン(TM=150℃、TD>400℃); −Aldrichにより市販されている600a.u.の分子量を有するPEG600二酸(TM=室温、TD=>280℃) −Aldrich Sigma社により名称Pluronic PE10300として市販されており、以下の式に対応するPEG−PPO−PEGコポリマー、分子量Mw=5800a.u.、TM=60℃、TD>300℃

−以下の式に対応するPE−ブロック−PEGコポリマー、分子量Mw=1400a.u.、TM=60℃、TD=260℃

X線回折分析を、Bruker D8−Advantage粉末回折計を使用してCu−Kα放射線(λ1=1.5405Å、λ2=1.5443Å)を用いて実施した。

反応基質として使用されるあるポリマーの安定性は、Netzsch社により市販されているSTA 449C Jupiter Thermal Analyzerを使用して熱重量分析により検証した。計測は、500℃までの5℃/分の温度傾斜でアルゴン下で実施した。線図を図1から3に示す。これらの図面のそれぞれにおいて、「a」により示される曲線は、温度の関数としてのポリマーの分子量の変動を示す。

図1は、ポリマーPEG20000に対応し、62.4℃の融点を有するこのポリマーが350℃まで熱安定であることを示す。

図2は、ポリマーPEO>5000000に対応し、64.1℃の融点を有するこのポリマーが326℃まで熱安定であることを示す。

図3は、ポリマーPMMA38000に対応し、このポリマーの熱安定性がPEG20000またはPEO50000の熱安定性よりも小さいが、フルオロ硫酸塩(A1-aA’a)x(Z1-bZ’b)z(SO4)sFf、特にLiFeSO4Fを形成させるための作動温度範囲内に依然として留まることを示す。

PEG20000中でのLiFeSO4Fの調製 FeSO4.H2Oの調製 予備工程において、FeSO4.7H2OをPEG2000中で150℃において2時間熱処理に供した。形成された一水和物FeSO4.H2Oを遠心分離により回収し、酢酸エチルにより洗浄し、次いで室温において真空下で乾燥させた。得られた化合物をX線回折分析に供した。回折パターンを図4に示す。この回折パターンは、無機質ゾモルノクカイト(FeSO4.H2O)に特徴的な線を示す。

LiFeSO4Fの調製 0.85gのFeSO4.H2Oおよび0.1297gのLiF(1/1のモル比に対応する。)を、1cm直径ステンレス鋼ボールを収容するSPEXタイプボール粉砕機中で混合し、粉砕セルをアルゴン下で密封し、次いで混合物を10分間粉砕する。

Teflon(登録商標)が裏打ちされているオートクレーブに、3gのPEG20000を入れ、次いで粉砕後に得られたLiFおよびFeSO4.H2Oの混合物を入れ、この混合物を追加の3gのPEG20000により被覆する。次いで、オートクレーブをアルゴン下で密封し、このオートクレーブを150℃に予熱したオーブン中に置き、以下の工程を含む熱処理を実施した: −150℃において40分間保持してPEG20000を融解させる工程、 −1℃/分の速度において260℃に加熱する工程 −0.2℃/分の速度において295℃に加熱する工程、 −295℃において24時間保持する工程(この温度は前駆体の反応温度である。)。

反応混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルを添加し、次いで得られたフルオロ硫酸塩を遠心分離により酢酸エチル中のポリマーの溶液から粉末の形態で分離した。次いで、遠心分離後に得られた粉末を20mLの酢酸エチルにより3回洗浄し、次いで窯中で50℃において3時間乾燥させた。 得られた生成物は、砂色粉末の形態である。

XRDによる特性決定 得られた生成物をX線回折分析に供した。線図を図5に示し、この図は得られた生成物がタボライト構造P−1を有する単相のLiFeSO4Fであることを示す。

SEMによる特性決定 得られた生成物を、画質を低下させ得る電子の帯電のいかなる効果も回避するために低真空下で20kV電子ビームを用いて「FEI Quanta F200P」走査型電子顕微鏡を使用してSEMにより特性決定した。元素分析もいくつかの単離粒子に対して実施して、得られた生成物が均質な組成を有することを検証した。

図6aおよび6bは、2つの異なる倍率のSEM顕微鏡写真であり、得られたLiFeSO4F材料の形態を示す。

元素分析 EDX元素分析を種々の粒子に対して実施した。得られた結果を図7に示し、パルス数Cを縦座標上に示し、エネルギーE(keV)を横座標上に示す。

EDX線図は、軽量すぎて使用された技術により検出することができない元素であるリチウムの存在を示さない。

電気化学的特性決定 得られた生成物を、以下の通り組み立てた電気化学セル中で試験した。 上記方法に従って得られたLiFeSO4FおよびSuper Pカーボンブラックの混合物を80/20の重量比で調製し、この混合物を10mm直径ボールを収容するSpex−800粉砕ミル中でアルゴン下で5分間粉砕した。

慣用のSwagelok(登録商標)タイプの2個のセルを、それぞれのセルについて、アノードとしてのリチウムフィルム、炭酸エチル/炭酸ジメチル1/1重量比の混合物(EC)中のLiPF6の溶液1が含浸しているWhatman GF/Dホウケイ酸塩ガラス繊維の2枚のディスク、および電流コレクタとしてのアルミニウムプランジャー上のLiFeSO4Fのフィルムからなるカソードを使用して構築し、LiFeSO4Fの量は8mg.cm-2であった。

セルをMacPile制御装置(Claix,France)を20℃において使用する定電流モードにおける充電および放電の一連のサイクルに供した。サイクリングをセルの一方についてはC/15の速度で、他方のセルについてはC/10の速度でLi+/Liに対して2.5から4.2Vの間で慣用的に実施した(それぞれ15時間および10時間で交換される1個のLi+に対応する。)。

性能を図8aおよび8bに示し、電位P(Li+/Liに対するV)を縦座標上に挙げ、LixFeSO4F中のリチウムの比率xを座標上に挙げる。これらの図面は、相LiFeSO4FがLiに関して電気化学的に活性であることを裏付ける。サイクリング速度C/15(15時間でのLi+の抽出)またはC/10(10時間でのLi+の抽出)に応じて式単位当たり0.8個超のLiを抽出することができ、このことは130mAh/gの可逆容量を生じさせる。これらの曲線は、Liの挿入が多数のサイクルにわたり可逆的であることも示す。電極の処方は最適化されないが電極の分極が低く、LiFeSO4Fの粒子はナノメートルサイズでもなく炭素により被覆もされなかったことに留意されたい。したがって、化合物LiFeSO4Fは、炭素により被覆されていないマイクロメートル粒子の形態で本発明実施例のサイクリング条件と同一のサイクリング条件で得ることができる90mAh/g超の容量を許容しないLiFePO4に比べて特に有利である。

PEO>5000000中でのLiFeSO4Fの調製 実施例1の手順を繰り返したが、PEG20000を、融点が64.1℃であり、熱分解の温度が使用される合成温度よりもはるかに高いPEO>5000000により置き換え、以下の熱処理を適用した: −150℃において40分間保持してポリマーを融解させること、 −1℃/分の速度において260℃に加熱すること、 −260℃において1.5時間保持すること、 −0.2℃/分の速度において295℃に加熱すること、 −295℃において24時間保持すること(この温度は前駆体の反応温度である。)。

得られた生成物のX線回折パターンを図9に示す。この図は、得られた化合物が100%の純度を有するタボライト構造のLiFeSO4Fであることを再度示す。

PEGモノメチルエーテル1000中でのLiFeSO4Fの調製 実施例1の手順を繰り返したが、PEG20000を分子量1000a.u.のPEGモノメチルエーテルにより置き換えた。

得られた生成物のX線回折パターンを図10に示す。この図は、この生成物が100%の純度を有する単相のタボライトLiFeSO4Fであることを示す。

PEGモノメチルエーテル2000中でのLiFeSO4Fの調製 実施例1の手順を繰り返し、PEG20000を分子量2000a.u.のPEGモノメチルエーテルにより置き換え、0.13gのLiFおよび0.8gのFeSO4.H2Oを使用した。図11に示される、粉末の形態で得られた生成物の回折パターンはこの生成物が単相のLiFeSO4Fであることを示す。

PEG8000中でのLiFeSO4Fの調製 実施例1の手順を繰り返したが、PEG20000に変えてPEG8000を使用した。得られた生成物は80%のLiFeSO4Fを含有するにすぎない。それというのも、このポリマーは反応終了前に分解するからである。

PEG20000中でのNaFeSO4Fの調製 実施例1の手順を繰り返したが、0.1297gのLiFに代えて0.23gのNaFを使用し、反応混合物を295℃に代えて290℃において保持した。粉末の形態で得られた生成物の回折パターンは、この生成物が単相のNaFeSO4Fであることを示す。この回折パターンを図12に示す。

PEG20000中でのLiCoSO4Fの調製 CoSO4.H2Oを、FeSO4.H2Oについての実施例1に記載の方法に従ってCoSO4.7H2Oから調製した。

実施例1の手順を繰り返したが、0.1297gのLiFに代えて0.13gのLiFを使用し、FeSO4.H2Oに代えて0.8gのCoSO4.H2Oを使用し、反応混合物を295℃に代えて270℃において保持した。粉末の形態で得られた生成物の回折パターンは、この生成物が単相のLiCoSO4Fであることを示す。この回折パターンを図13に示す。

LiNiSO4Fの調製 実施例1の手順を繰り返したが、0.1297gのLiFを使用し、FeSO4.H2Oに代えて0.85gのNiSO4.H2Oを使用し、反応混合物を295℃に代えて270℃において保持した。粉末の形態で得られた生成物の回折パターンは、この生成物が単相のLiNiSO4Fであることを示す。この回折パターンを図14に示す。

PEG−PPO−PEGコポリマー(Mw5800)中でのLiFeSO4Fの調製 実施例1の手順を繰り返し、0.13gのLiF、0.85gのFeSO4.H2Oを使用し、PEG20000をPEG−PPO−PEGコポリマー(Mw5800)Pluronic PE10300により置き換え、反応混合物を295℃に代えて280℃において保持した。粉末の形態で得られた生成物の回折パターンは、この生成物が単相のLiFeSO4Fであることを示す。この回折パターンを図15に示す。

PMMA38000中でのLiFeSO4Fの調製 0.85gのFeSO4.H2Oおよび0.1297gのLiF(1/1のモル比に対応する。)を、1cmの直径を有する鋼ボールを収容するSPEXタイプボール粉砕機中で混合し、粉砕ミルをアルゴン下で密封し、次いで混合物を10分間粉砕する。

Teflon(登録商標)が裏打ちされているオートクレーブに、3gのPMMA38000を入れ、次いで粉砕後に得られたLiFおよびFeSO4.H2Oの混合物を入れ、この混合物を追加の3gのPMMA38000により被覆する。次いで、オートクレーブをアルゴン下で密封し、このオートクレーブを150℃に予熱したオーブン中に置き、以下の工程を含む熱処理を実施した: −150℃において1時間保持してポリマーを融解させる工程、 −1.9時間で265℃に加熱する工程、 −1時間で295℃に加熱する工程、 −295℃において24時間保持する工程(この温度は前駆体の反応温度である。)。

反応混合物を室温に冷却した後、酢酸エチルを添加し、次いで粉末の形態で得られたフルオロ硫酸塩を遠心分離により酢酸エチル中のポリマーの溶液から分離した。次いで、遠心分離後に得られた粉末を20mLのジクロロメタンにより3回洗浄し、次いで窯中で60℃において乾燥させた。

得られたフルオロ硫酸塩は、暗緑色粉末の形態である。

得られた生成物の回折パターンを図16に示す。この図は、生成物が、*(相FeSO4に対応)および・(相Fe3O4に対応)の印を付した極めて低い強度のいくつかのピークとは別に事実上純粋であるタボライト構造を有する相LiFeSO4Fであることを示す。これらの不純物は約5%の量に相当する。

これらの不純物の存在は、PMMAが合成温度付近の温度において分解し始めるという事実に起因すると考えられる。

ポリスチレン中でのLiFeSO4Fの調製 実施例10の手順を繰り返し、ポリマーPMMAを分子量25000のポリスチレンにより置き換えた。

得られた生成物のX線回折パターンを図17に示す。この図は、事実上純粋なタボライト構造の相LiFeSO4Fが得られることを示す。*の印を付した極めて低い強度の2個のピークは、相FeSO4に対応する。

PEGジメチルエーテル2000中でのLiFeSO4Fの調製 実施例1の手順を繰り返し、PEG20000を分子量2000a.u.のPEGジメチルエーテルにより置き換え、0.13gのLiFおよび0.85gのFeSO4.H2Oを使用した。粉末として得られた生成物の回折パターンを図18に示し、この図はこの生成物が単相LiFeSO4Fであることを示す。

比較例 実施例10の手順を繰り返し、使用した基質ポリマーはPEG600二酸、次いでPE−ブロック−PEG1400コポリマーであった。

PE−ブロック−PEGコポリマー中での調製 PE−ブロック−PEG1400コポリマー中で得られた生成物のX線回折パターンを図19に示す。この図は、相FeSO4.H2Oおよび他の相、例えば特にFeSO4.H2O、Fe3O4、およびFeF3の同時存在を示す。相LiFeSO4Fは形成されない。

PEG600二酸中での調製 形成された生成物は、30%のLiFeSO4Fおよび70%のFeSO4.H2Oを含有する。

両方の場合、化合物LiFeSO4Fの形成の不存在または低い割合は、反応基質として使用したポリマーの安定性の欠落に起因する。 本発明は一側面において以下の発明を包含する。 (発明1) タボライトタイプの構造を有し、式(A1-aA’a)x(Z1-bZ’b)z(SO4)sFf(I)(式中、Aは、LiまたはNaを表し;A’は、空または少なくとも1種のドーピング元素を表し;Zは、Fe、Co、およびNiから選択される少なくとも1種の3d元素を表し;Z’は、空または少なくとも1種のドーピング元素を表し;下付き文字a、b、x、z、sおよびfは、化合物の電気的中性を確保するように選択され、a≧0、b≧0、x≧0、z>0、s>0、f>0であり;ドーパントAおよびZ’の「a」および「b」のそれぞれの量は、前記タボライトタイプの構造が保存されるような量である)に対応する化合物の粒子からなる材料を調製する方法であって: −前記1種以上の元素Zの水和硫酸塩を含有する前駆体、前記1種以上の元素Aのフッ化物、前記1種以上の元素Z’の前駆体(a>0の場合)および前記1種以上の元素A’の前駆体(b>0の場合)の混合物を調製することからなる第1の工程; −前記第1の工程において得られた前記混合物を固体基質と接触させることからなる第2の工程; −前記第2の工程の終了時に得られた前記混合物を、前記第1の工程の間に混合された前記前駆体の反応温度までとし、前記反応の終了まで前記温度を維持することからなる第3の工程; −前記固体基質を除去することからなる第4の工程 を含み、 前記固体基質が、室温において固体であり、前記前駆体の前記反応温度未満の融点を有し、少なくとも前記前駆体の前記反応温度まで安定であるポリマーであり、前記ポリマーは有機溶媒中で溶解性であることを特徴とする方法。 (発明2) 前記反応基質ポリマーが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリオキシエチレン(PEO)、ポリスチレン(PS)またはポリ(メチルメタクリレート)PMMAであることを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明3) A’が、Aとは異なるアルカリ金属、アルカリ土類金属および3d金属から選択されるドーピング元素であり、a<0.25であることを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明4) Z’が、前記アルカリ金属、Mn、Mg、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Zn、Al、Ga、Sn、Zr、NbおよびTaから、これらの酸化状態の少なくとも1種で選択されるドーピング元素であり、b<0.25であることを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明5) 本方法の前記第1の工程において、前記前駆体を、化学量論量で、または過剰のアルカリ金属フッ化物Aを用いて使用することを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明6) 前記第2の工程の終了時に得られる混合物中の前記前駆体の量が、「前駆体+ポリマー基質」の前記全重量に対して10から50重量%であることを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明7) アニオンがF-、SO42-またはF以外のハロゲン化物である化合物から選択されるA’の前駆体を、前記第1の工程からの混合物中に導入することを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明8) フッ化アンモニウム、イミダゾリウムまたはピリジニウムから選択されるフッ化物を、前記第1の工程からの混合物中に導入することを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明9) Zの前記前駆体が、ZがFe、Co、Niである化合物ZSO4.H2Oまたはこれらの化合物の固溶体であることを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明10) A’の前記硫酸塩、およびA’の前記ハロゲン化物から選択されるA’の前駆体を、前記第1の工程からの混合物中に導入することを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明11) Z’の前記硫酸塩およびZ’の前記ハロゲン化物から選択されるZ’の前駆体を、前記第1の工程からの混合物中に導入することを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明12) 前記第1の工程からの混合物が、前記酸H2SO4、およびこのアンモニウム、アミン、イミダゾールまたはピリジン塩から選択される前記SO42-アニオンの前駆体を含有することを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明13) 前記第3の工程が、前記反応基質ポリマーを30から160℃の間の温度において融解させる第1の段階、および化合物(I)の前記前駆体を230から300℃の間の温度において反応させる第2の段階を含むことを特徴とする、発明1に記載の方法。 (発明14) 前記第3の工程を、不活性雰囲気下で大気圧において実施することを特徴とする、発明1に記載の方法。

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