カーボンナノチューブ繊維の製造装置

申请号 JP2017528565 申请日 2016-07-25 公开(公告)号 JP2018505969A 公开(公告)日 2018-03-01
申请人 エルジー・ケム・リミテッド; 发明人 オ、ユ−チン; イ、ヨン−ホ; キム、チ−ウン; キム、チュ−ハン; チェ、ヨン−チン;
摘要 本発明は、カーボンナノチューブ繊維の製造装置に関する。【選択図】図2
权利要求

反応領域を備えた円筒状の高温反応器本体と、 前記本体の反応領域に紡糸物質およびキャリアガスを注入する流入口と、 前記反応領域を加熱する加熱手段と、 前記本体の下端に設置され、カーボンナノチューブ繊維を排出する排出口と、 前記排出されるカーボンナノチューブ繊維を収集する巻取手段と、 前記排出口と前記巻取手段との間に備えられたガイドと、 前記ガイドに電圧を加える電圧器とを含み、 前記排出されるカーボンナノチューブ繊維に電圧を加えて、カーボンナノチューブ繊維内に含まれている不純物を除去する、カーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記ガイドが、銅電極、タングステン電極、ステンレス電極、金電極および銀電極の中から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記排出口と前記巻取手段との間にガス分離装置をさらに備える、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記ガス分離装置が、槽およびグローブボックスからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項3に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記ガイドが2つ以上である、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記ガイドのうちの少なくとも2つが前記電圧器に連結されている、請求項5に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記ガイドが3つ以上である場合、少なくとも1つのガイドが前記ガス分離装置に含まれている、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記電圧器の電圧が1〜20Vである、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記不純物が非晶質炭素を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記流入口が、前記紡糸物質を供給する紡糸物質供給ユニットと、前記キャリアガスを供給するキャリアガス供給ユニットとをさらに備える、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記巻取手段が、スピンドル、リール、ボビン、ドラムおよびコンベヤーからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記流入口が、前記紡糸物質を注入する噴射ノズル、および前記キャリアガスを注入する分散板を含む、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記加熱手段は、前記反応器本体を囲んでいる加熱炉であり、前記反応領域を1,000乃至3,000℃で加熱する、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記紡糸物質は、液状または気体状のカーボン化合物に触媒前駆体が分散されている、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記液状または気体状のカーボン化合物が、メタン、エチレン、アセチレン、メチルアセチレン、ビニルアセチレン、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン、キシレン、クロロホルム、エチル酢酸、ジエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ギ酸エチル、メシチレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、ヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素およびペンタンよりなる群から選ばれた一つ以上を含む、請求項14に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記触媒前駆体が、フェロセンを含むメタロセン、鉄、ニッケル、コバルト、白金、ルテニウム、モリブデン、バナジウム、およびその酸化物よりなる群から選ばれる1つ以上を含む、請求項14に記載のカーボンナノチューブ繊維製造装置。前記紡糸物質が、触媒活性剤をさらに含む、請求項14に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記触媒前駆体および前記触媒活性剤は、液状のカーボン化合物では液状であり、気体状のカーボン化合物では気体状である、請求項14または17に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。前記キャリアガスが、炭化水素ガス、不活性ガス、還元ガスまたはこれらの混合ガスである、請求項1に記載のカーボンナノチューブ繊維の製造装置。

说明书全文

本出願は、2015年7月24日付の韓国特許出願第10−2015−0105189号および2015年7月24日付の韓国特許出願第10−2015−0105176号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。

本発明はカーボンナノチューブ繊維の製造装置に関する。

炭素同素体の一種であるカーボンナノチューブ(CarbonNanotube、CNT)は、数乃至数十nmの直径および数百μm乃至数mmの長さを有する物質であって、1991年Iijima博士によってNature誌に報告されて以来、優れた熱的、電気的、物理的性質と高いアスペクト比のため、様々な分野で研究が進められてきた。このようなカーボンナノチューブの固有の特性は、炭素のsp2結合に起因し、鉄よりも強く、アルミよりも軽く、金属に準ずる電気伝導性を示す。カーボンナノチューブの種類は、ナノチューブの壁の数によって単層カーボンナノチューブ(Single−Wall Carbon Nanotube、SWNT)、二層カーボンナノチューブ(Double−Wall Carbon Nanotube、DWNT)、多層カーボンナノチューブ(Multi−Wall Carbon Nanotube、MWNT)に大別され、非対称性/キラリティー(chirality)によってジグザグ(zigzag)、アームチェア(armchair)、キラル(chiral)構造に大別される。

カーボンナノチューブ(CNT)繊維を作製する方法にはフォレスト紡糸と直接紡糸がある。前記フォレスト紡糸は、基板に触媒を蒸着した後、基板に対して垂直な方向にCNTフォレストを合成し、基板の端側のCNTをピンセットやテープなどで引っ張ると、CNT間のファンデルワールス引によってCNT連結された形態で付いてきてCNT繊維を紡糸する方法である。この方法は、連続工程が不可能であって生産量を向上させることができないという欠点がある。

一方、カーボンナノチューブ(CNT)の繊維には複数の種類の不純物を含む。その中でも最も多く存在する不純物は、気相分解されて繊維の内・外部に形成される非晶質炭素である。このような不純物は、繊維の品質を低下させるので、必ずしも除去されなければならない。

一般に、非晶質炭素は、400〜500℃の温度酸化するため、除去が可能である。それ故に、現在までは、非晶質炭素除去方法として、ファーネスなどの熱源の内部に繊維を通過させて除去する方法がある。ところが、このような方法は、高価なファーネスを使用しなければならないため、経済的ではないという問題点がある。これに加えて、ファーネスには長さの制約があるから、繊維の滞留時間を増やすためにはファーネスを複数設置しなければならない非経済的であるという問題がある。他の方法としては、反応器内を通る繊維の移動速度を下げる方法があるが、これも生産性を低下させる問題がある。よって、新規な不純物除去方法が求められている。

従来技術のカーボンナノチューブ(Carbonenanotube、CNT)繊維から不純物を除去する装置は、非経済的であるという問題がある。さらに、生産性を低下させる問題点もある。

そこで、本発明は、不純物の容易な除去が可能であり、装置も簡素化されて経済的なカーボンナノチューブ繊維の製造装置を提供することを目的とする。

上記目的を達成するために、本発明は、反応領域を備えた円筒状の高温反応器本体と、前記本体の反応領域に紡糸物質およびキャリアガスを注入する流入口と、前記反応領域を加熱する加熱手段と、前記本体の下端に設置され、カーボンナノチューブ繊維を排出する排出口と、前記排出されるカーボンナノチューブ繊維を収集する巻取手段と、前記排出口と前記巻取手段との間に備えられたガイド(guide)と、前記ガイドに電圧を加える電圧器とを含み、前記排出されるカーボンナノチューブ繊維に電圧を加えて、カーボンナノチューブ繊維内に含まれている不純物を除去する、カーボンナノチューブ繊維の製造装置を提供する。

本発明の好適な一実施形態によれば、前記流入口は、紡糸物質を注入する噴射ノズルと、キャリアガスを注入する分散板とを含むことができる。また、前記紡糸物質は液状または気体状のカーボン化合物に触媒前駆体が分散したものであり、前記紡糸物質は触媒活性剤をさらに含むことができる。本発明の好適な一実施形態によれば、前記キャリアガスは、炭化素ガス、不活性ガス、還元ガスまたはこれらの混合ガスであり得る。

本発明は、カーボンナノチューブ繊維にジュール加熱(joule heating)を施すことにより、簡単に非晶質炭素の除去が可能なカーボンナノチューブ繊維の製造装置を提供することができる。また、本発明のカーボンナノチューブ繊維の製造装置は、簡素化して経済性にも優れている。

本発明に係るカーボンナノチューブ繊維の製造装置を用いると、不純物の除去された強度および弾性に優れたカーボンナノチューブ繊維を得ることができる。よって、多機能複合材料の強化材、安定的かつ反復的なピエゾ抵抗効果を用いた変形および損傷感知器、高伝導を用いた送電線、高い比表面積、優れた機械的特性および電気伝導度を用いた電気化学的機器、例えば、生体物質の感知のためのマイクロ電極材料、スーパーキャパシタおよびアクチュエータなどの様々な分野に適用することができるものと期待される。

従来の不純物除去装置を備えた巻取手段の模式図である。

本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ繊維の製造装置を示すものである。

実施例1のカーボンナノチューブ繊維のSEM写真である。

比較例1のカーボンナノチューブ繊維のSEM写真である。

比較例2のカーボンナノチューブ繊維のSEM写真である。

以下、本発明を詳細に説明する。下記の具体的説明は本発明の一実施形態についての説明なので、たとえ限定的表現があっても、特許請求の範囲から定められる権利範囲を制限するものではない。

各図面において、同様の参照符号は同様の構成要素に対して使用した。

「および/または」という用語は、複数の記載された項目のうちのいずれか一つまたはこれらの組み合わせを含む。

ある構成要素が他の構成要素に「連結」または「接続」されていると記載されたときは、他の構成要素に直接連結または接続されていることもあり、それらの構成要素の間に別の構成要素が存在していることもあると理解すべきである。

単数の表現は、特に明示しない限り、複数の表現を含む。

「含む」、「備える」または「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを示すものであり、記載されていない他の特徴、数値、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在或いは付加できる可能性を排除するものではない。

本明細書において、「カーボンナノチューブ繊維」という用語は、カーボンナノチューブが繊維形態で成長して形成されたものや、複数のカーボンナノチューブが繊維形態で融合して形成されたものをすべて指す。

カーボンナノチューブ繊維を製造する技術としては、溶液紡糸、アレイ紡糸、エアロゲル紡糸、および/またはフィルムのツイストまたはローリング(rolling)法などがある。本発明は、これらの中で化学蒸着法(CVD、chemical vapor deposition)を用いて、反応器内で紡糸物質の投入直後に形成されるカーボンナノチューブエアロゲルからカーボンナノチューブ繊維またはリボンを直接紡糸する工程を採用する。

前記直接紡糸法(direct spinning)は、炭素源に触媒を添加してキャリアガスと一緒に垂直の高温加熱炉(vertical furnace)に一定の速度で注入してカーボンナノチューブを加熱炉内で合成し、純粋にカーボンナノチューブのみからなるカーボンナノチューブ繊維を連続的に製造する工程である。

本発明の触媒前駆体は、触媒反応の系内で、それ自体は触媒サイクル中に含まれないが、活性な触媒に変化する(或いは活性な触媒を生成する)物質であり、本発明では、触媒前駆体が触媒を形成した後、CNTを合成する。

図1は従来の不純物除去装置を備えた巻取手段を示すものであり、従来技術のカーボンナノチューブ(Carbonenanotube、CNT)繊維の製造装置は、ファーネスなどの熱源の内部に繊維を通過させて不純物を除去する方式である。しかし、このような方式は、高価なファーネスを使用しなければならないため、経済的ではないという問題点がある。

そこで、本発明者らは、鋭意努力したところ、ジュール加熱(Joule heating)を利用するカーボンナノチューブ繊維の製造装置を製造することにより、その問題点を解決した。

つまり、反応領域を備えた円筒状の高温反応器本体と、前記本体の反応領域に紡糸物質およびキャリアガスを注入する流入口と、前記反応領域を加熱する加熱手段と、前記本体の下端に設置され、カーボンナノチューブ繊維を排出する排出口と、前記排出されるカーボンナノチューブ繊維を収集する巻取手段と、前記排出口と前記巻取手段との間に備えられたガイド(guide)と、前記ガイドに電圧を加える電圧器とを含み、前記排出されるカーボンナノチューブ繊維に電圧を加えて、カーボンナノチューブ繊維内に含まれている不純物を除去するカーボンナノチューブ繊維の製造装置を提供する。前記不純物は非晶質炭素であり得る。

以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。

図2は本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブ繊維の製造装置を示すものである。つまり、反応領域を備えた円筒状の高温反応器本体11と、前記本体の反応領域に紡糸物質およびキャリアガスを注入する流入口10と、前記反応領域を加熱する加熱手段13と、前記本体の下端に設置され、カーボンナノチューブ繊維を排出する排出口14と、前記排出口に連結されている巻取手段16と、前記排出口と前記巻取手段との間に備えられたガイド15a、15b、15cと、前記ガイドの一部に電圧を加える電圧器17とを含む、カーボンナノチューブ繊維の製造装置である。

本発明のカーボンナノチューブ繊維の製造装置は、前記流入口10に、反応器本体11へ紡糸物質を供給する紡糸物質供給ユニットと、キャリアガスを供給するキャリアガス供給ユニットとをさらに備えることができる。また、前記紡糸物質供給ユニットは、気体状または液状のカーボン化合物に触媒前駆体を分散させる混合部と、混合部で形成された紡糸物質を紡糸物質噴射ノズルへ供給する運搬ポンプとを含むものであり得る。前記キャリアガスは、ガスタンクおよび流量調節手段を備えたキャリアガス供給ユニットから流入口10を介して反応器本体11内に流入できる。前記流入口10は、紡糸物質を注入する噴射ノズルと、キャリアガスを注入する分散板とを含むことができる。そして、前記流入口は噴射ノズルであってもよく、これに限定されるものではない。

本発明において、前記加熱手段は、前記反応器本体を囲んでいる加熱炉であってもよく、反応領域12を1,000乃至3,000℃で加熱することができる。反応器の高温領域は、好ましくは1,000乃至2,000℃、1,000乃至1,500℃または1000〜1300℃の温度を維持することができ、さらに好ましくは1,100乃至1,200℃である。反応器の高温領域の温度は、触媒内への炭素の拡散(diffusion)速度に影響を与えてカーボンナノチューブの成長率(growth rate)を調節する。化学蒸着法を用いてカーボンナノチューブを合成する場合、一般に、合成温度が高いほどカーボンナノチューブの成長速度が速くなることにより、結晶性と強度が増加する。

本発明の好適な一実施形態によれば、前記排出口14は、前記円筒状の高温反応器本体の下端から排出される不純物を含むカーボンナノチューブ繊維を巻き取って収集する巻取手段16に連結されていることができる。本発明の好適な一実施形態によれば、前記巻取手段16は、スピンドル、リール、ボビン(bobbin)、ドラムおよびコンベヤーの中から選ばれる1種以上を含むことができ、好ましくはボビン(bobbin)である。しかし、これに限定されず、排出されるカーボンナノチューブ繊維を安定的に巻き取ることが可能な任意の手段を使用することができる。巻き取り(winding)速度は、繊維内のカーボンナノチューブが繊維軸方向に配向されることに影響を与え、カーボンナノチューブ繊維の熱的、電気的および/または物理的性質を決定する。好ましくは、5〜100rpmの範囲で巻き取ることができる。

前記巻取手段は1つ以上であってもよく、好ましくは1つである。そして、前記ガイドは、前記排出口と前記巻取手段との間に備えられ得る。本発明の好適な一実施形態によれば、前記ガイドは、銅電極、タングステン電極、ステンレス電極、金電極および銀電極の中から選ばれる1種以上を含むことができ、好ましくは銅電極である。前記ガイドは2つ以上であってもよく、好ましくは2つ、さらに好ましくは3つである。また、本発明の好適な一実施形態によれば、排出口と巻取手段との間にガス分離装置をさらに備えることができる。前記ガス分離装置は、カーボンナノチューブ繊維内に残存するガスを分離する役割をする。前記ガス分離装置は、水槽およびグローブボックスの中から選ばれる1種以上を含むことができる。本発明の好適な一実施形態によれば、前記ガイドのうちの少なくとも2つは電圧器に連結されていてもよい。そして、前記ガイドが3つ以上である場合、その中の少なくとも1つのガイドはガス分離装置に含まれていてもよい。

例えば、図2に示すように、1つのガイド15aは水槽中に備えられており、水槽の外には2つのガイド15b、15cおよび一つの巻取手段16が順次備えられている。具体的に説明すると、前記排出口から排出されるカーボンナノチューブ繊維が水槽中のガイドによって水槽を通過して、水槽の外にあるガイドへ移動する。この際、円筒状のカーボンナノチューブの連続集合体であるカーボンナノチューブ繊維が水槽を通過しながら収縮してより糸のように細い形状に変わることがある。水槽を通過する不純物を含むカーボンナノチューブ繊維19は、電圧器に連結されたガイド15b、15cへ移動して電圧が加えられる。つまり、本発明では、排出口から排出される不純物を含むカーボンナノチューブ繊維19は、ガイドの案内に従って摺動しながら、ジュール加熱されたカーボンナノチューブ繊維20になる。前記不純物は非晶質炭素を含み、前記不純物を含むカーボンナノチューブ繊維は、繊維自体にジュール加熱(Joul heating)が発生して前記非晶質炭素が除去される。したがって、最終的に不純物の除去されたカーボンナノチューブ繊維21を巻き取る。一方、前記非晶質炭素は、300〜600℃の温度で酸化して除去が可能である。このため、前記電圧は、1〜20V、好ましくは9〜11Vであり得る。もし前記電圧が1V未満である場合には、カーボンナノチューブ繊維の表面の非晶質炭素が除去されない問題があり、もし前記電圧が20Vを超える場合には、結晶性炭素であるカーボンナノチューブが酸化して除去される問題があるおそれがある。

具体的には、本発明に係るカーボンナノチューブ繊維の製造装置内の反応を説明すると、前記紡糸物質およびキャリアガスが流入口を介して反応器に流入する。そして、紡糸物質内に含まれている触媒前駆体が反応器へ供給されるとき、触媒を形成する。形成された触媒は、反応器の上端から下端の方向へ流動しながら反応領域12内でカーボンナノチューブが合成される。合成されたカーボンナノチューブが成長または融合して連続的に集合され、円筒状のカーボンナノチューブ繊維が形成される。この際、CNTが成長した触媒粒子は下端へ移動し、形成されたCNT繊維は反応器本体および加熱炉の下端から排出口14を介して排出される。そうすると、巻取手段16によって、前記カーボンナノチューブ繊維を捕集して高温領域の外に取り出して巻き取る。巻取手段に備えられたガイドの案内に従って摺動する。これと同時に、電圧器によってガイドに電圧を加えることにより、カーボンナノチューブ繊維内に含まれている不純物を除去する。また、キャリアガスおよび/または未反応紡糸物質を含む未反応ガスは排気口18を介して排出される。触媒はCNTが成長するためCNTと一緒に排出され、微量の未反応触媒も同様にCNTに付着して排出される。反応領域内に残存する前記未反応ガス排気口は、前記加熱手段と排出口との間、またはCNT繊維排出口の後端に備えられていてもよい。前記未反応ガスは未反応紡糸物質およびキャリアガスを含むことができる。

一方、前記紡糸物質は、液状だけでなく、気体状のカーボン化合物を含むことができる。前記液状または気体状のカーボン化合物は、炭素源として触媒に拡散することによりカーボンナノチューブに合成され、分子量分布度、濃度、粘度、表面張力、比誘電率および使用溶媒の性質を考慮して利用する。

本発明の好適な一実施形態によれば、前記液状または気体状のカーボン化合物は、メタン、エチレン、アセチレン、メチルアセチレン、ビニルアセチレン、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン、キシレン、クロロホルム、エチル酢酸、ジエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ギ酸エチル、メシチレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、ヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素、およびペンタンよりなる群から選ばれた一つ以上を含むことができる。具体的には、前記液状のカーボン化合物は、エタノール、メタノール、プロパノール、アセトン、キシレン、クロロホルム、エチル酢酸、ジエチルエーテル、ポリエチレングリコール、ギ酸エチル、メシチレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、ヘキサン、ベンゼン、四塩化炭素、およびペンタンよりなる群から選ばれた一つ以上を含むことができる。好ましくは、エタノール(C2H5OH)、キシレン(C8H10)、ジエチルエーテル[(C2H5)2O]、ポリエチレングリコール[−(CH2−CH2−O9]、1−プロパノール(CH3CH2CH2OH)、アセトン(CH3OCH3)、ギ酸エチル(CH3CH2COOH)、ベンゼン(C6H6)、ヘキサン(C6H14)およびメシチレン[C6H3(CH3)3]よりなる群から選ばれたいずれか一つ以上を含むことができる。前記気体状のカーボン化合物は、メタン、エチレン、アセチレン、メチルアセチレンおよびビニルアセチレンよりなる群から選ばれる1種以上を含むことができる。

本発明の好適な一実施形態によれば、前記紡糸物質は、液状または気体状のカーボン化合物に触媒前駆体を分散させたものであり得る。前記紡糸物質は、液状または気体状のカーボン化合物に対して触媒前駆体が0.5〜5重量%、好ましくは1〜5重量%、または1.5〜4重量%混合できる。もし前記紡糸物質の液状または気体状のカーボン化合物に比べて過剰の触媒前駆体を使用する場合、触媒が不純物として作用して高純度のカーボンナノチューブ繊維を得ることが難しい。また、カーボンナノチューブ繊維の熱的、電気的および/または物理的特性を阻害する要因になれる。本発明において、前記触媒前駆体は、フェロセンを含むメタロセン、鉄、ニッケル、コバルト、白金、ルテニウム、モリブデン、バナジウムおよびその酸化物よりなる群から選ばれる1つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではではない。また、触媒前駆体はナノ粒子形態であり得る。好ましくは、鉄、ニッケル、コバルトなどが含有された化合物であるフェロセン(Ferrocene)などのメタロセン形態;塩化鉄(FeCl2)などの鉄;コバルト;およびニッケル原子;の中から選ばれる1種以上が含まれている触媒前駆体を使用することができる。

本発明の好適な一実施形態によれば、前記紡糸物質は触媒活性剤をさらに含むことができる。通常、カーボンナノチューブの合成は、触媒が溶融した状態で炭素が触媒に拡散した後、析出しながら行われるが、前記触媒活性剤は、カーボンナノチューブの合成の際にプロモーターとして使用されて炭素拡散率(diffusion rate)を増加させて短時間内にカーボンナノチューブが合成されるようにする。前記触媒活性剤の例としては、チオフェン(thiophene、C4H4S)を用いることができる。チオフェンは、触媒の融点を減少させ、非晶質炭素を除去して低い温度で高純度のカーボンナノチューブを合成することができるようにする。触媒活性剤の含量は、カーボンナノチューブの構造にも影響を及ぼす可能性があるが、例えば、前記カーボン化合物であるエタノールに対してチオフェンを1〜5重量%で混合する場合、多層カーボンナノチューブ繊維を得ることができ、エタノールに対してチオフェンを0.5重量%以下で混合する場合、単層カーボンナノチューブ繊維を得ることができる。本発明の好適な一実施形態によれば、前記触媒前駆体および触媒活性剤は、液状のカーボン化合物では液状であり、気体状のカーボン化合物では気体状であり得る。よって、液状のカーボン化合物には触媒前駆体または触媒活性剤を溶かして注入可能であり、気体状のカーボン化合物には気化させてガスとしても注入可能である。

本発明の好適な一実施形態によれば、前記キャリアガスは、炭化水素ガス、不活性ガス、還元ガスまたはこれらの混合ガスであり得る。前記不活性ガスはアルゴン、窒素またはこれらの混合ガスであり、前記還元ガスは水素、アンモニアまたはこれらの混合ガスであり得る。

本発明の他の態様は、本発明に係るカーボンナノチューブ繊維の製造装置を用いてカーボンナノチューブ繊維を製造する方法を提供する。つまり、(a)紡糸物質とキャリアガスとが反応して、カーボンナノチューブの連続集合体であるカーボンナノチューブ繊維を形成する工程と、(b)前記カーボンナノチューブ繊維を巻き取る工程とを含み、前記(a)工程と(b)工程との間、(b)工程の後、または(b)工程の途中で前記カーボンナノチューブ繊維に電圧を加えて、前記カーボンナノチューブ繊維に含まれている不純物を除去するカーボンナノチューブ繊維の製造方法を提供する。好ましくは、前記(a)工程で形成されたカーボンナノチューブ繊維は、水槽を通過した後、電圧を加えることができる。そして、前記(b)工程で巻き取ることができる。前記カーボンナノチューブ繊維は、水槽の中を通過しながら収縮してより糸のような細い形状に変わり得る。前記構成は上述したものと同様である。

[実施例] 以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、それらの変更および修正も添付された特許請求の範囲に属するのは当たり前である。

<実施例1> アセトン(液状のカーボン化合物)97.6重量%にフェロセン触媒前駆体1.6重量%とチオフェン(thiophene)0.8重量%とを混合した紡糸溶液を準備した。そして、キャリアガスである水素を準備した。前記紡糸溶液を10ml/hrの速度で、キャリアガスは2L/minの速度で1173℃の円筒状反応器の上端に流入させた。反応器の下端の排出口から排出されるカーボンナノチューブ繊維を、2つのボビン(bobbin)からなる巻取手段によって巻き取った。前記2つのボビン(bobbin)の間に2つの銅電極を備え、前記銅電極に電圧器を連結した。電圧器によって10Vをカーボンナノチューブ繊維の両端に加え、480℃のジュール加熱を発生させた。

<比較例1> 電圧を加えていない以外は、実施例1と同様にして行った。

<比較例2> 電圧を16V加えた以外は、実施例1と同様にして行った。

<実験例1> 実施例1、比較例1および比較例2で製造したカーボンナノチューブ繊維をSEM−EDS測定し、その結果を表1および図3〜図5に示した。

図3は実施例1、図4は比較例1、図5は比較例2のSEM写真をそれぞれ示す。

図面および表1を参照して具体的に説明すると、実施例1は、CNT繊維の温度が480℃に維持されて非晶質炭素が除去され、結晶性の高いCNTは除去されずに残っている。そして、CNTの表面には鉄触媒の不純物である酸化鉄のみ残っていることが観察された。よって、実施例1では最終的に非晶質炭素の除去されたカーボンナノチューブ繊維が巻き取られたことが分かる。

比較例1は、EDS分析の結果、酸化していないチオフェン触媒内の成分である硫黄(S)が残っていた。そして、CNT繊維の表面に非晶質炭素、および鉄触媒の不純物である酸化鉄がそのまま残っていることが分かる。これは、非晶質炭素が除去されていないため、相対的に炭素の量が多かった。よって、酸化鉄の量が少なく残っているように見えるが、結論的には不純物が遥かに多いことが分かる。

比較例2は、CNT繊維の温度が700℃以上になり、非晶質炭素だけでなく、結晶性炭素物質であるCNTまで酸化して除去された。燃え残った繊維を調べたところ、酸化鉄のような赤色の物質があるが、これは、SEM写真およびEDS分析の結果によれば酸化鉄として推定することができる。CNTはほとんどが酸化したが、一部のCNTが観察される。

10 流入口 11 反応器本体 12 反応領域 13 加熱手段 14 排出口 15a、15b、15c ガイド 16 巻取手段 17 電圧器 18 排気口 19 不純物の含まれたカーボンナノチューブ繊維 20 ジュール加熱されたカーボンナノチューブ繊維 21 不純物の除去されたカーボンナノチューブ繊維

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