Production of multivesicular liposome

申请号 JP2010162514 申请日 2010-07-20 公开(公告)号 JP2010285438A 公开(公告)日 2010-12-24
申请人 Pacira Pharmaceuticals Inc; パシラ ファーマシューティカルズ インコーポレーテッド; 发明人 HARTOUNIAN HARTOUN; MEISSNER DAGMAR; PEPPER CLINT B;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide an emulsifying method for preparing pharmaceutical preparations of multivesicular liposomes having characteristics of sustained release, and to provide pharmaceutical preparations produced by using the method. SOLUTION: Multivesicular liposomes are prepared at commercial scales by combining a first w/o emulsion with a second aqueous solution to form a w/o/w emulsion using a static mixer. Solvent is removed from the resulting emulsion to form multivesicular liposome-containing compositions. Further optional process steps include primary filtration and secondary cross-flow filtration. The produced products can be produced through a series of aseptic steps. COPYRIGHT: (C)2011,JPO&INPIT
权利要求
  • 以下の方法により調製される多小胞リポソーム粒子組成物であって、
    a)第一水相と、少なくとも1種の両親媒性脂質および少なくとも1種の中性脂質を含んでなる揮発性水不混和性溶媒相とを、第一水相と該水不混和性溶媒相との容積比0.33〜1.6で混合することによりある容量の第一エマルジョンを得ること、
    b)前記第一エマルジョンと第二水相とを、第一エマルジョンと第二水相との容積比0.01〜0.5でミキサー中で混合し、乳化することにより、連続水相を含んでなるある容量の第二エマルジョンを得ること、
    c)揮発性水不混和性溶媒を第二エマルジョンから除去して、多小胞リポソーム粒子の組成物を形成すること、および
    d)クロスフロー濾過によって多小胞リポソーム粒子組成物を一次濾過することを含んでなり、全ての工程を無菌条件下で行い、かつ全ての溶液を滅菌する上記方法により調製され、かつヒトへの投与に適するものである、上記多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 以下の方法により調製される多小胞リポソーム粒子組成物であって、
    a)第一水相と、少なくとも1種の両親媒性脂質および少なくとも1種の中性脂質を含んでなる揮発性水不混和性溶媒相とを、第一水相と該水不混和性溶媒相との容積比0.33〜1.6で混合することによりある容量の第一エマルジョンを得ること、
    b)前記第一エマルジョンと、ある容量の第二水相とを、第一エマルジョンと第二水相との容積比0.01〜0.5でミキサー中で混合し、乳化して、連続水相を含んでなるある容量の第二エマルジョンを得ること、
    c)揮発性水不混和性溶媒を第二エマルジョンから除去して、ある容量の多小胞リポソーム粒子組成物を形成すること、ここで溶媒除去は、異なるガス流量を有する少なくとも2つのステップにおいて第二エマルジョンと不活性ガス流とを接触させることを含む、および
    d)多小胞リポソーム粒子組成物を一次濾過することを含んでなり、全ての工程を無菌条件下で行い、かつ全ての溶液を滅菌する上記方法により調製され、かつヒトへの投与に適するものである、上記多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 溶媒除去が一連の溶媒除去ステップを含み、異なるステップではガス流が異なるものである、請求項2に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 第一の溶媒除去ステップが、第二ステップよりも少ない不活性ガス流であることを特徴とする、請求項3に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 第一の溶媒除去ステップが、第二ステップよりも多い不活性ガス流であることを特徴とする、請求項3に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 少なくとも1種の両親媒性脂質が、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン、アシルトリメチルアンモニウムプロパン、ジアシルジメチルアンモニウムプロパン、ステアリルアミン、およびエチルホスファチジルコリンからなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 少なくとも1種の中性脂質が、グリセロールエステル、グリコールエステル、トコフェロールエステル、ステロールエステル、アルカンおよびスクアレンからなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 第二水相が少なくとも1種の糖を更に含んでなる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 第二水相が少なくとも1種のアミノ酸を更に含んでなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 一次濾過が、
    a)2〜6倍の濃度増大をもたらす、多小胞リポソーム粒子組成物の第一濃縮、および
    b)多小胞リポソーム粒子組成物のpHを5〜8にするバッファー交換を含んでなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 前記方法が第二濃縮ステップを更に含んでなる、請求項10に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 一次濾過を中空繊維フィルターにより行う、請求項10に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 一次濾過がバックパルス容積および保持物背圧によるバックパルシングを更に含んでなる、請求項12に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 前記方法が濃度調節を更に含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 濃度調節を二次濾過により行う、請求項14に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 濃度調節をデカントにより行う、請求項14に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 生理活性物質をさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 生理活性物質が、抗アンギーナ薬、抗不整脈薬、喘息鎮静薬、抗生物質、抗糖尿病薬、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗寄生虫薬、抗新生物薬、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、強心配糖体、ホルモン、免疫調節剤、モノクロナール抗体、神経伝達物質、核酸、タンパク質、放射線造影剤、放射性核種、鎮静薬、鎮痛薬、ステロイド、トランキライザー、ワクチン、昇圧薬、麻酔薬、ペプチドおよびこれらの製薬上許容される塩からなる群から選択される1以上の成分である、請求項17に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 生理活性物質が、シタラビン、インスリン、パクリタキセル、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、デキサメタゾン、メトトレキセート、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、IgF-1、ブピバカインおよびアミカシンからなる群から選択される、請求項18に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 生理活性物質がブピバカインである、請求項19に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 第一水相が生理活性物質を含む、請求項17〜20のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 溶媒相が生理活性物質を含む、請求項17〜20のいずれか1項に記載の多小胞リポソーム粒子組成物。
  • 说明书全文

    (関連出願の相互参照)
    本出願は、1997年11月14日に出願された米国特許出願第60/065,856号の仮出願の優先権を主張しており、それを参照により本明細書に組み入れる。

    (背景技術)
    本発明は一般に生理学的活性物質のカプセル化方法の分野に関する。 さらに特定すると、本発明は持続放出の特性を有する多小胞リポソームの製剤を調製するための乳化方法、およびそれらの方法により生産される製剤に関する。

    リン脂質と多くの他の両親媒性の脂質は性媒質中で徐々に分散されると、膨潤し、水和し、そして脂質の二重層を区切る水性媒質の層を持った、多重膜で同心円状の二重層小胞を自然に形成する。 これらの系は一般に多重膜リポソームまたは多重膜小胞(MLV)と呼ばれ、通常0.2〜5μmの直径を持つ。 MLVを超音波処理することにより、通常20〜100nmの範囲の直径を持つ単一の脂質二重層で囲まれた、水溶液を含む小さな単膜小胞(SUV)が形成される。 多小胞リポソーム(MVL)は、製造方法、リポソーム内の水分を含むチャンバーのランダムな非同心円状の配置、及びMVLを形成するのに必要な中性脂質を含むことにおいて、MLVやSUVと異なる。

    上記の単膜、多重膜、および多小胞リポソームを含むリポソーム製剤には、鎖長、飽和度及びヘッド基の異なる様々なタイプの脂質が、長い間使われてきた。 多小胞リポソームの製造に使用される中性脂質は、現在まで主としてトリグリセリドに限られてきた。

    様々な形態のリポソームが多様に異なる製法で調製されてきた。 しかしながら、そのようなプロセスのほとんどが実験室規模の調製のみにしか適しておらず、すぐに商業上の製造に見合う処理量に規模を拡大することはできない。 したがって、大規模生産に適したリポソームの調製方法が必要である。 効率がよく効果的な(多小胞)リポソームの大規模製造法を設計する試みの1つとして、効率的な方法で単位作業をまとめることが必要である。 そのような単位作業には以下のものが含まれる。
    1) 第1乳化 2) 第2乳化 3) 溶媒の除去 4) 最初の濾過およびMVLの大規模製造のために必要なその他の補助的な作業 この製法は無菌状態でも実施でき、そのような製法は望ましいと考えられる。

    油中水型(w/o)エマルジョンの流動学(特に粘度に対する体積分率とサイズの影響)は、文献上でかなり研究されてきた。 現在、持続放出性の製剤を得るために、多数のエマルジョン製法が医薬産業において用いられている。 これらの製法は、一般に、高い分散相の体積分率(0.6-0.85)を有するエマルジョンの形成から始まる。 更に処理するのに十分安定性のある高粘度のエマルジョン(連続相の粘度の5-100倍)を得るために、高い剪断混合が一般に使用されている。

    バッチ反応装置でエマルジョンを剪断することは、エマルジョンの液滴サイズの減少をもたらすことが知られている。 ミキサーの剪断が不連続相の液滴の表面張力を超えると、それらの力は液滴を破壊し、平均液滴サイズを下げるように働く。 この液滴サイズの減少はエマルジョンの流動学に重大な影響を及ぼし、エマルジョンの液滴サイズが小さくなるにつれて粘度はより高くなっていく。 混合の時間と速度が増加するにつれて粘度が増すのは、2つの主な要因に起因する。 第1に、液滴が小さくなると表面張力が増してより硬化するため、エマルジョンの粘度が増す。 第2に、液滴サイズが減少すると液滴間の平均分散距離が減るため、液滴間の水力学的相互作用が増加する。 液滴サイズがエマルジョン粘度に与える影響は、液滴サイズが小さくなるにつれて強まる。

    油中水型(w/o)エマルジョンが形成されて、もはや剪断力を受けていない状態でも、エマルジョン内では依然として多くの相互作用がおこっている。 濃厚な分散液において、特に液滴サイズが小さい場合、ブラウン運動が活動を開始する。 ブラウン運動は液滴にランダム化を起こすため、液滴間の衝突が増して凝集塊が形成される。 さらに、液滴の単層膜が液滴から離れる疎水性鎖をもつような脂質から、油中水型エマルジョンが構成される場合、引力のある疎水性相互作用が液滴間でおこり、それが凝集塊の形成を促進する。 凝集塊を含むエマルジョンの粘度を低い剪断速度で測定する場合、粘度は高くなる。 一方、より高い剪断速度では、凝集塊が破壊されて粘度が減少する。 このように、油中水型エマルジョンは剪断により粘度が低下する。

    水中油中水型(w/o/w)エマルジョンは、第2の水相中に油中水型エマルジョンを分散することにより調製されてきた。 さまざまな技術で油相の溶媒を除去すると、結果的にカプセル化された物質になり、それは第2の水相中に存在する。 これらの物質は、食品、化粧品、廃水処理、および医薬品の分野で応用されている。

    そのようなカプセル化(封入)物質を製造するための油相からの溶媒除去は、w/o/wエマルジョンの中に不活性ガスを通すことによりおこなわれてきた。 従来の技術では封入物質に損傷を与え、物質の破壊および第2水相への流出を引き起こすという結果にもなりうることが観察されてきた。 溶媒除去の段階の後、封入物質は第1の濾過段階を受ける必要がある。

    第1の濾過段階にはいくつかの目的がある。 すなわち、生理学的に許容される溶液による第2の水溶液の交換、多小胞脂質ベースの粒子の濃度調整、未カプセル化薬物の除去である。 脂質ベースの粒子の製造においてダイアフィルトレーションの生産性を強化するための従来技術の主な方策は、膜の付着物とゲルの分極化を減らすことである。 隔壁の剪断速度、透過物の流れ、膜貫圧などの基本的な工程のパラメーターは、この目的を達するように最適化されうる。 しかしながら、透過物の流れは第1の濾過工程の間にかなり低下するため、それらを最適化する試みが成功するかは制限される。

    様々な薬剤やその他の活性物質を封入した多小胞リポソームの製造において、実際の工程所要時間のおよそ60%がダイアフィルトレーション工程にかかる。 そのため、製品の質を下げることなく操業コストを減らすために、ダイアフィルトレーション工程にかかる時間を短くすることは経済的に考慮すべき事柄である。 隔壁剪断速度や膜の表面積を増加することで所要時間を減らそうとする従来のクロスフローシステム(cross-flow-system)で用いられるアプローチは、多小胞リポソームが剪断で傷つきやすいため反生産的である。 剪断速度や膜の表面積を増加させることは、ひいてはより大きなポンプの使用を必要とし、結果的に粒子を傷つけ、カプセル化の収率を減少させる。

    第1濾過の滞留量が多すぎて一度の工程では調整できないため、しばしば第1濾過の後、別の濃度調整工程が必要とされる。 このアプローチには多くの問題が生じるが、歴史的には、第1濾過後の物質の上澄みをデカントする方法が使用されてきた。 そのような手順の後には、再び鎮まるまでに長時間おく必要があるだけでなく、無菌ではなくなるという問題がある。 この方法で濃度を調整することは時間がかかり、特に的確というわけではない。

    製品は人間や他の多くの生物に用いるため無菌でなくてはならない。 高圧蒸気殺菌法やガンマ線照射などの従来の最終殺菌技術は、MVLを含む、傷つきやすい製品に損傷を与える。

    そのため、これらの問題があるので、ダイアフィルトレーションの間、所要時間を減らしたり、多小胞粒子などの脂質の粒子にかかる剪断応力を減らすためには、新しくてより良い方法が必要とされる。 また、過度に製品を損傷することなく、確実に無菌の製品を製造しうる方法も必要である。

    (発明の概要)
    MVLを調製するための新しい方法が発明された。 この方法は商業規模での製造に適している。 MVLは無菌で製造されたり、あるいは破壊されることなく最終殺菌を受けることができる。

    1つの態様において、本発明は、両親媒性脂質と中性脂質を含む溶媒相中に分散された水相でできている油中水型(w/o)エマルジョンを提供することで、MVLを製造する方法を提供する。 両親媒性の脂質は、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピン、アシルトリメチルアンモニウムプロパン、ジアシルジメチルアンモニウムプロパン、ステアリルアミン、およびエチルホスファチジルコリンを含む広い群から選びうる。 中性の脂質は、グリセロールエステル、グリコールエステル、トコフェロールエステル、ステロールエステル、アルカンおよびスクアレンから選びうる。 生理活性物質は、水相または溶媒相のいずれかに含めることができ、抗アンギナ薬、不整脈治療薬、抗喘息薬、抗生物質、抗糖尿病薬、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧剤、駆虫剤、抗新生物薬、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、強心性配糖体、ホルモン剤、免疫調節物質、モノクローナル抗体、神経伝達物質、核酸、タンパク質、放射線造影剤、放射性核種、鎮静薬、鎮痛薬、ステロイド、精神安定薬、ワクチン、血管昇圧剤、麻酔薬、ペプチド、プロドラッグ、およびこれらの物質の薬学的に許容される塩、という広い範囲から選びうる。 シタラビン、インスリン、パクリタキセル、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、モルヒネ、ヒドロモルヒネ、デキサメタゾン、メトトレキセート、ブレオマイシン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、IgF-1、ブピバカイン、およびアミカシンのような特定の物質も含まれうる。

    他の態様では、本発明は、正確にまた迅速に、少なくとも10倍に反応をスケールアップする方法を提供する。 最初のエマルジョン(0.2-40リットルでありうる)をミキサーで調製し、そして刃の速度と測定粘度を考慮して、エマルジョンをスケールアップして同じ粒子サイズのエマルジョンをつくることができる。

    w/oエマルジョンは、水中油中水型(w/o/w)エマルジョンを作るために、別の水相に分散される。 この第2の水相は糖およびアミノ酸を含みうる。 溶媒はw/o/wエマルジョンを不活性ガス流と接触させることにより、例えばいくつかの段階において、異なるガス流速で除去される。 前記ガス流速は、時間と共に増加したり減少したりできる。 それらは個々の工程で、または流速に変化をつけることにより変えられる。 最初の流速の2-5倍まで加速でき、またその後で流速を減速しうる。 溶媒を除去した後、MVLが形成される。

    前記段階は無菌で実施してもよく、またはパッケージに充填する前にMVLを殺菌してもよい。 どちらの場合にも、即時に被験者への投与に適するMVL製品が得られる。 w/o/wエマルジョンは、Kenics または Koch型ミキサーのような静的ミキサーで調製しうる。 w/oエマルジョンおよび第2の水相は、そのような静的ミキサーで100-500 cm/minの線速度で混合されうる。 w/oエマルジョンは、0.33-1.6の体積比で水相と溶媒相を混合することにより調製しうる。 w/o/wエマルジョンを作るには、w/oエマルジョン対第2の水相の体積比は0.05-0.5の間で変化しうる。

    MVL組成物の第1濾過も実施され、これは連続した段階で、初期濃度の2-6倍の濃縮、望ましいpH(5-8)に達するまでのバッファーの交換、そして任意的に、他の濃縮段階で実施しうる。 最後の濃縮段階として、MVL組成物の第2の濾過を実施しうる。 濾過段階は、中空糸フィルタを用いて実施しうる。 濾過段階は、0.1-7psiの膜貫圧で実施しうる。 0.5-10分毎におこる周期的なバックパルシングを含めて、どちらの濾過工程のバックパルシングも行うことができ、また0.01-5%の系の体積を含みうる。 背圧は10psiほど高くてよい。

    デカント又は更なるクロスフロー濾過のどちらによってでも、更に濃度調整段階を実施しうる。 そのような濾過のパラメーターは概して前記の通りで、さまざまな製品に必要とされうる適切な濃度を提供するように選択される。

    他の態様では、本発明は前記に概略が説明された製法により生産されるMVL組成物を提供する。

    本明細書および特許請求の範囲で用いる「溶媒球状体」という用語は、水非混和性溶媒(有機溶媒でありうる)の微細な球状液滴を意味し、その中に、水溶液の複数のより小さい液滴が存在する。 溶媒小球は第2水溶液中に懸濁され完全に浸漬している。 「球状体」という用語を用いることは、液滴を厳密にあるいは実質的に球状のものに限定すると解釈されてはならない。 溶媒小球は多様などんな形状もとることができる。

    「中性脂質」という用語は、それ自体では膜形成能を持たず、親水性“ヘッド”基をもたない油脂または脂肪を意味する。

    「両親媒性脂質」という用語は、親水性の“ヘッド”基と疎水性の“テイル”基をもち、膜形成能をもつ分子を意味する。 本明細書中では、両親媒性脂質には、負の実効電荷、正の実効電荷をもつ両親媒性脂質および双性イオン脂質を含む。 「双性イオン脂質」という用語は、pH7.4でゼロの実効電荷をもつ両親媒性脂質を意味する。 「陰イオン脂質」という用語は、pH7.4で負の実効電荷をもつ両親媒性脂質を意味する。 「陽イオン脂質」という用語は、pH7.4で正の実効電荷をもつ両親媒性脂質を意味する。

    「中性脂質」という用語は、それ自体では小胞形成能をもたず、荷電した又は親水性の“ヘッド”基をもたない油脂または脂肪を含む。 中性脂質の例としては、荷電した又は親水性の“ヘッド”基をもたないグリセロールエステル、グリコールエステル、トコフェロールエステル、ステロールエステル、ならびにアルカンおよびスクアレンを含むが、これに限定されない。

    本明細書中で用いるリポソーム製剤の「保存寿命」という用語は、例えば4℃の保存温度で、生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)などの保存液中に存在する未封入物質(「遊離の薬剤」)の濃度に関係する。 一般的に、製造時に封入された薬剤の10%以上が「遊離している」、つまり封入されていないとわかったときに、保存寿命に達している。

    明細書中で、「実験室規模」、「研究室規模」、あるいは「実験台規模」などのさまざまな規模が言及されている。 それらは約1リットル未満(0.025Lや0.2Lなど)の規模の反応および製法をさす。 「商業規模」という用語は、約1リットル(又はタンパク質性調製物に関しては約0.1L)以上から100Lまで(例えば、1L、10L、25L、あるいは75L)の量やバッチで製品を調製することをさす。 引用された量は、名目上、パッケージングの準備ができた製品の最終的な量である。 例えば、「1L規模」の製法は、約0.7-1.2Lの範囲で最終的に適切な投与量を製造するための規模である。 例えば、「25L規模」の製法は、約17.5-30Lの範囲で最終的に適切な投与量を製造するための規模である。 実際の量は、カプセル化される特定の物質次第である。

    本明細書で用いる、「血漿様媒質」という用語は、生理食塩水に加えて、血漿のタンパク質または脂質成分、脳脊髄液(CSF)のような他の生物学的液体の成分、または間質液のうち、少なくともいくつかを含む合成溶液を意味する。 例えば、クエン酸塩添加ヒト血漿又はウシ血清アルブミン(BSA)を含む生理食塩水は、本明細書中で用いられる「血漿様媒質」の例である。

    「in vivo状態」という用語は、生物に実際にMVLを注入したり定置させたことを意味し、また、体温(例えばヒトの場合37℃)での血漿又は血漿様媒質中の、MVLのいわゆる“ex vivo”インキュベーションを含む。

    本明細書中に用いる「静的ミキサー」とは、1以上の流体導管またはパイプと直列で配置されるように意図された装置のことを示し、その装置はミキサを通過する流体を混ぜ合わせるように内部形状が設計されている。 前記静的ミキサーは可動部を持たず、一般的には、適切な条件下で乱流を起こす羽根やバッフル板を設けることによりその機能を果たす。

    特に定義されない限り、本明細書中で用いられるすべての科学技術的用語は、本発明が属する技術の当業者が誰でも共通に理解するのと同じ意味を持つ。 本発明の実施や試験において、本明細書中で記載されているのと同じような又はそれに相当する方法及び材料を用いることができるが、適切な方法及び材料は下記に記載される。 本明細書中で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、そのまま参照により本明細書中に組み入れる。 競合の場合には、定義を含めて、本明細書が支配する。 更に、材料、方法、及び実施例は実例をあげているのみで、制限することを意図するものではない。

    本発明のその他の特徴や利点は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲から明らかになる。

    図1は、本発明方法の、第1の特定の実施形態において用いられる重要な構成要素の概略図である。

    図2は、本発明方法の、第2の特定の実施形態において用いられる重要な構成要素の概略図である。

    図3aは、“高‐低”段階勾配に関するキャリヤーガス流速のプロフィールである。 図3bは、“低‐高‐低”段階勾配に関するキャリヤーガス流速のプロフィールである。

    図4は、バックパルシングのための透過物を用いたダイアフィルトレーションの実験的構成の重要な構成部材の概略図である。

    図5は、バックパルシングのための生理食塩水又は何か他の水溶液を用いたダイアフィルトレーション用の実験的構成の重要な構成部材の概略図である。

    図6は、第2クロスフロー濾過用の実験的構成の重要な構成部材の概略図である。

    図7aは、実施例1に記載のように調製したシタラビンw/oエマルジョンに関する剪断応力対剪断速度のグラフである。 図7bは、実施例1に記載のように調製したシタラビンw/oエマルジョンに関する見かけ粘度対剪断速度のグラフである。

    図8aは、実施例1に記載のように100mL規模で調製したシタラビンw/oエマルジョンの相対粘度に対する混合時間と速度の影響のグラフである。 図8bは、実施例1に記載のように400mL規模で調製したシタラビンw/oエマルジョンの相対粘度に対する混合時間と速度の影響のグラフである。

    図9は、実施例1に記載のように400mL規模で調製したシタラビンw/oエマルジョンのエマルジョン粘度に対する混合温度の影響を示すグラフである。

    図10は、0.1L-20Lまでの規模で調製したシタラビンw/oエマルジョンの単位量ごとにインプットされたエネルギーの自然対数と相対粘度間の線形関係を示すグラフである。

    図11は、遊離モルヒネの割合に及ぼす、375リットル/分及び500リットル/分でのガスストリッピング時間の影響を示すグラフである。

    図12は、17分間で375LPM、余った時間で1000LPM、という異なるガス流速での2つの異なる高剪断エマルジョン状態の溶媒濃縮に及ぼすガスストリッピング時間の影響を示すグラフである。

    図13は、遊離薬剤と粒子サイズの割合を示す、3ロットのモルヒネ含有調製物およびプールした調製物を比較する棒グラフである。

    図14は、さまざまなサイズおよび形状の静的ミキサーにインプットされた標準化された電力が、0.2L規模で調製されたシタラビン含有調製物及びモルヒネ含有調製物の粒子サイズに及ぼす影響を示すグラフである。

    図15は、さまざまなサイズおよび形状の静的ミキサーからの線速度が、0.2L規模で調製されたシタラビン含有調製物の粒子サイズに及ぼす影響を示すグラフである。

    図16は、さまざまなサイズおよび形状の静的ミキサーからの線速度が、0.2L規模で調製されたシタラビン含有調製物のカプセル化効率に及ぼす影響を示すグラフである。

    図17は、16の混合部材を備えた3/16”Kenics静的ミキサーにより処理されたシタラビンの第2エマルジョンの平均粒子サイズに及ぼす温度の影響を示すグラフである。

    図18は、16の混合部材を備えた3/16”Kenics静的ミキサーにより処理されたシタラビンの第2エマルジョンのカプセル化効率に及ぼす温度の影響を示すグラフである。

    図19は、シタラビンMVL調製物の透過物の流れに対する、5分毎に保持物の流れを1体積%バックパルシングすることの影響を示すグラフである。

    図20は、シタラビン調製物の透過物の流れに対する、67mLと135mLのバックパルス量について1-10分までバックパルス時間間隔を変化させることの影響を示すグラフである。

    図21は、シタラビンMVL調製物の透過物の流れに対する、2.5分と5分のバックパルス間隔について0-140mLまでバックパルス量を変化させることの影響を示すグラフである。

    図22は、2つの異なる保持物速度、6 lpm及び8 lpm、での処理時間に対する、膜貫圧の影響を示すグラフである。

    本発明は、多小胞リポソーム(MVL)製剤の大規模製造法を特徴とするものである。 これらのMVLは、生理学的に活性な物質を内包することができ、この場合、MVLによって生理学的に活性な物質の制御放出がもたらされる。 この工程では、重要な製品規格に対してMVLが非常に再現性よく得られる。 本発明はまた、小規模工程を大規模工程へ迅速かつ再現性よくスケールアップする方法を特徴とする。

    多小胞リポソーム(MVL)の製造には複数の工程が必要である。 実験室規模の製造の例は、Sankaramら,米国特許第5,766,627号に記載されている(この特許は、引用により本明細書に含まれるものとする)。 簡単に言うと、実験室規模におけるMVLの調製方法は以下の通りである:少なくとも1種の両親媒性脂質と少なくとも1種の中性脂肪から構成される脂質成分を脂質成分用の1種以上の揮発性水不混和性溶媒に溶解したものへ、不混和性の第一水性成分(任意におよび好ましくは、封入すべき生物学的に活性な物質を含有する)を取り込ませ、そして任意に、脂質成分と第一水性成分のいずれか一方または両方へ、封入した生物学的に活性な物質のMVLからの放出速度をモジュレートするための酸または他の賦形剤を添加することにより、油中水(w/o)型エマルジョンを調製する。 混合物を乳化し、次いで第二不混和性水性成分と混合して、水中油中水(w/o/w)型の第二エマルジョンを形成する。 第二エマルジョンの形成に必要な乱流は、機械的に(例えば、回転子/固定子、ホモジナイザー、もしくは他の高剪断ミキサーによって)、超音波エネルギー、ノズルによる噴霧化等によって、またはこれらを組み合わせて発生させ、第二水性成分に懸濁した溶媒小球を形成する。 溶媒小球には、封入すべき物質を溶解させた複数の水性液滴が含まれている(例えば、Kimら, Biochem. Biophys. Acta (1983) 728:339-48)を参照)。 ULVおよびMLVを調製する各種方法の総合的な概説については、Szokaら, Ann. Rev. Biophys. Bioeng. (1980) 9:465-508を参照されたい。

    本発明は、リポソーム系(liposome-based)の粒子を大量に製造する方法および工程、並びに小規模製造工程からスケールアップのパラメータを導き出す方法を提供するものである。 本発明の工程では、無菌方法も提供される。 剤形として最終的に充填された容器を滅菌することは、ロットの微生物汚染の危険性を確実に最小限に抑えるために医薬品製造において好適な工程であることが多いが、本発明の工程で製造されるMVLは、加圧滅菌やγ線照射などの最終滅菌(terminal sterilization)法に曝した場合、許容できない損傷を受ける可能性がある。 損傷を与えない確実な最終滅菌が存在しないため、本発明のいくつかの実施形態では、慎重に設計された一連の無菌段階に従って生成物を調製する無菌法を利用する。 このような無菌段階は、滅菌を行った成分へ、または中間の工程によって大量の生成物またはその成分から生存可能な微生物を一旦排除した後に、生存可能な微生物が侵入するのを防ぐように設計されている。 無菌的に処理されたと定義される生成物は、無菌の手段によって滅菌された成分からなることができる。 例えば、大量の生成物が濾過できる液体の場合には、濾過滅菌が可能である。 最後に空の容器成分を熱で滅菌すればよい。 ガラス製バイアルの場合には乾熱滅菌を行い、ゴム製シール成分の場合には加圧滅菌を行う。 適切に設計かつ維持管理される確実な充填設備と処理設備に必要な要件は、以下の通りである:生存可能な微生物が存在せず、給気ユニットが有効に維持管理されるように設計された空気環境;十分な装備と予防衣を身につけた作業員の訓練。 管理を行う作業領域に利用し得る既報の標準としては、Federal Standard No. 209B, Clean Room and Work Station Requirements for a Controlled Environment, 1973年4月24日;NASA Standard for Clean Room and Work Stations for Microbially Controlled Environment,刊行物NHB5340.2,1967年8月;およびContamination Control of Aerospace Facilities, US Air Force, TO00-25-203, 1972年12月1日,改定第1版, 1974年10月1日が挙げられる。

    無菌処理では、最も重要な実験室管理の一つは、環境モニタリングプログラムの確立である。 成分と生成物を環境に曝露する領域(例えば、混合室や成分調製領域)からサンプルを回収する。 無菌処理領域の微生物学的な質をモニターし、充填および密封作業時に無菌条件が維持されているか否かを判定する。 部屋の空気、床、壁、および機材表面のルーチンでのサンプリングと検査を行う。 このプログラムによって、機材と生成物との接触表面を清浄かつ消毒(sanitizing)する際の有効性が確立され、潜在的な汚染物質が許容レベルに確実に保たれる。 消毒薬は、通常の微生物叢に対してその効力が確実に維持されているか検査する。 サンプリングの場所や頻度といったサンプリングのスケジュールを維持管理する。 沈降プレート(settling plate)(ペトリ皿)等の受動的な空気サンプラーも同様に使用する。

    微生物増殖用の栄養培地を使用して滅菌生成物の充填操作をシミュレーションすることで、無菌アセンブリー操作を確認する。 この操作は「滅菌培地充填」として知られている。 栄養培地を操作し、作業者、機材、表面および環境条件に曝露して、生成物自体が受けるのと同じ曝露を厳密にシミュレーションする。 次いで、培地を充填した密封薬剤生成物容器をインキュベートして微生物の増殖を検出し、結果を評価して、実際の充填および密封作業時に薬剤生成物の所定単位が汚染される確率を求める。 培地の充填は、包括的な環境モニタリングと組み合わせて、滅菌した溶液、懸濁液、および粉末の無菌処理を確認する際に特に有用であり得る。 粉末処理の確認の一環として液体培地を充填するためには、ルーチンでの粉末操作には付随しない機材および/または処理段階の使用が必要になる可能性がある。

    現場浄化(clean-in-place;CIP)および現場滅菌(sterilize-in-place;SIP)の手法を利用する。 これらの手法は、通常当該技術分野で公知である。 しかしながら、蒸気トラップの温度をモニタリングすることは本発明の一部である。 この手法によれば、蒸気を容器へ侵入させて管路を蒸気で満たして滅菌を行うため、細菌の死滅が確実となるまで出口ポイントの温度をモニターする。 この時点ではシールは閉じており、系をさらなる使用のために滅菌する。

    最終生成物の品質管理検査として、ロットを製造した直後に生成物ロットの無菌検査を行う。 検査は、米国薬局方(USP)およびFDA規制に見られる各種手法に従って行う。

    このような生成物の大規模製造の個々の工程段階を、以下さらに詳述する。

    第一エマルジョン
    本発明の実施においては、2つの不混和性溶液の高剪断混合によって第一エマルジョンを形成する。 通常、一方の溶液は、水不混和性溶媒(有機溶媒であってよい)に溶解したリポソーム形成脂質および/または油を含んでなり、もう一方の溶液は、第一水性配合物を含んでなる。 多くの場合、生理学的に活性な化合物を少なくとも一方の溶液へ添加し、最も典型的には、少なくとも第一水相へ添加する。 第一水相には、pH緩衝剤、浸透圧剤、放出改良化合物等も含まれることが多い。 同時係属出願である米国特許出願第08/792,566号に詳述されているように、各種酸が第一水相に含まれていてもよい。 同時係属出願である米国特許出願第60/101,855号(この出願は、引用により本明細書に含まれるものとする)に詳述されているように、水不混和性溶媒相には、生分解性ポリマーまたはコポリマーが含まれていてもよい。 第一エマルジョンは、所望の液滴サイズに達するまで機械的手段、超音波、ノズルによる噴霧化等によって混合する。 静的混合(後ほど詳述)をこの段階で使用して第一w/oエマルジョンを形成することも可能である。

    一般に、多小胞リポソームを調製するには、少なくとも1種の両親媒性脂質と少なくとも1種の中性脂肪が脂質成分に含まれることが必要である。 両親媒性脂質は、両性イオン性、アニオン性、またはカチオン性の脂質であってもよい。 両性イオン性の両親媒性脂質の例は、リン脂質、例えば、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴミエリン、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミンおよび同様の物質である。 アニオン性の両親媒性脂質の例は、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジン酸、カルジオリピンおよび同様の物質である。 カチオン性の両親媒性脂質の例は、アシルトリメチルアンモニウムプロパン、ジアシルジメチルアンモニウムプロパン、ステアリルアミン、およびエチルホスファチジルコリンである。 中性脂肪の例は、トリグリセリド、プロピレングリコールエステル、エチレングリコールエステル、およびスクアレンである。 有用なトリグリセリドの例は、トリオレインとトリパルミトレイン(tripalmitolein)、トリミリストレイン(trimyristolein)、トリリノレイン(trilinolein)、トリブチリン(tributyrin)、トリカプリリン(tricaprylin)、トリカプロイン(tricaproin)およびトリカプリンを含むものである。 本発明に有用なトリグリセリドの脂肪鎖は、全て同一であってもよく、また、全てが同一ではなくてもよい(混合鎖トリグリセリド)。 例えば、全部異なっていてもよい。 飽和および不飽和(多重不飽和を含む)の脂肪鎖は双方とも本発明に有用である。 プロピレングリコールエステルはカプリル酸とカプリン酸の混合ジエステルであってもよい。

    本明細書中、用語「中性脂肪成分」とは、多小胞リポソームの製造に使用する中性脂肪、または中性脂肪の混合物を意味する。

    中性脂肪成分は単一の中性脂肪を含んでいてもよく、また、中性脂肪成分は、徐放性中性脂肪(slow release neutral lipid)と速放性中性脂肪(fast release neutral lipid)を約1:1〜1:100、例えば、約1:4〜1:18のモル比で含む混合物を含んでいてもよい。 この場合、徐放性中性脂肪の速放性中性脂肪に対するモル比が増加すると、生物学的に活性な化合物の放出速度は低下する。 便宜上、徐放性中性脂肪の速放性中性脂肪に対するモル比を本明細書中では「除:速中性脂肪モル比」と呼ぶ。

    「徐放性中性脂肪」は、約14〜18個の炭素をアシル鎖に含むモノ不飽和脂肪酸エステル基を有する一般に分子量が約725〜885のトリグリセリド、約10〜12個の炭素をアシル鎖に含む飽和脂肪酸エステル基を有する一般に分子量が約725〜885のトリグリセリド、およびこれらの混合物から選択することができる。 オレイン酸コレステロール等のコレステロールエステルおよびプロピレングリコールのエステルを使用することもできる。 本発明の方法に使用するための典型的な徐放性中性脂肪としては、トリオレイン、トリパルミトレイン、トリミリストレイン、トリラウリン、およびトリカプリンが挙げられ、トリオレインまたはトリパルミトレインが最も好適である。

    「速放性中性脂肪」は、約6〜8個の炭素をアシル鎖に含むモノ不飽和脂肪酸エステル基を有する分子量が約387〜471のトリグリセリド、およびその混合物から選択することができる。 しかしながら、6個以下の炭素からなるアシル鎖を有する中性脂肪を1種以上含有する中性脂肪成分をMVLに用いる(特に、唯一の中性脂肪としてトリカプロインを用いる)と、in vivo環境に接触した際に封入化合物が急速に放出されてしまう。 従って、6個以下の炭素からなるアシル鎖を有する中性脂肪は、より長鎖のアシル基を有する中性脂肪の1種以上と組み合わせる場合に限って使用すべきである。 典型的な速放性中性脂肪としては、トリカプリリン、およびトリカプリリンとトリカプロインの混合物、または混合鎖C 6 〜C 8トリグリセリドが挙げられる。 炭素数8または10のアシル基を有するプロピレングリコールジエステル、オレイン酸コレステロール、およびオクタン酸コレステロールも中性脂肪として使用できる。

    第一エマルジョンには、調味成分もしくは芳香成分、化粧品、屑材料、または医薬品材料(例えば、生理学的に活性な材料)等の多くの有用な物質を含ませることができる。 これらの物質は、水相または溶媒相のいずれかへ導入することができる。 ある好適な実施形態では、第一エマルジョンには、少なくとも1種の生理学的に活性な物質を含めることができる。 この場合、MVLを含んでなる医薬組成物が得られる。 生理学的に活性な物質は、生物の望ましくない症状を診断、予防または治療するために生理学的な工程をモジュレートするのに有用な天然、合成、または遺伝子工学的に作製された化学的もしくは生物学的な化合物または物質である。 生理学的に活性な物質としては、薬剤、例えば、抗アンギナ薬、抗不整脈薬、喘息鎮静薬、抗生物質、抗糖尿病薬、抗真菌薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗寄生虫薬、抗新生物薬、抗腫瘍薬、抗ウイルス薬、強心配糖体、ホルモン、免疫調節剤、モノクローナル抗体、神経伝達物質、核酸、タンパク質、放射線造影剤、放射性核種、鎮静薬、鎮痛薬、ステロイド、トランキサイザー、ワクチン、昇圧薬、麻酔薬、ペプチド等が挙げられる。 細胞内媒質(intracellular medium)、細胞または組織との局所的な相互作用によって前記生理学的に活性な物質を形成するプロドラッグも、本発明に用いることができる。 製薬上許容される塩を形成可能な特定の生理学的に活性な物質の、製薬上許容される塩も、本発明において有用であると考えられ、このような塩としては、ハロゲン化物塩、リン酸塩、酢酸塩、および他の塩が挙げられる。

    あるいは、生理学的に活性な物質は疎水性であってもよく、この場合、第一乳化段階で水不混和性溶媒相へ導入する。 両親媒性の生理学的に活性な物質は、その溶解度に応じて水相または溶媒相のいずれへ導入してもよい。

    特に興味深いのは、アミカシン等の半合成アミノグリコシド抗生物質;抗糖尿病薬;インスリン等のペプチド;パクリタキセル等の抗腫瘍薬;シタラビン、5-フルオロウラシルおよびフロクスウリジン等の抗新生物薬;モルヒネおよびヒドロモルヒネ(hydromorphine)等のアルカロイドオピエート鎮痛薬;ブピバカイン等の局所麻酔薬;デキサメタゾン等の合成抗炎症副腎皮質ステロイド;メトトレキセート等の代謝拮抗物質;ブレオマイシン等のグリコペプチド抗生物質;ビンクリスチンおよびビンブラスチン等のビンカロイコブラスチンおよび分裂運動停止性腫瘍崩壊薬;ホルモン、血漿タンパク質、サイトカイン、増殖因子、多様な生物に由来するDNAおよびRNA、並びにアンチセンスオリゴヌクレオチドである。

    医薬組成物に含まれる生理学的に活性な物質の量が、生物の望ましくない症状の診断、予防、または治療を行うのに十分な範囲であれば、生理学的に活性な物質を単独でまたは組み合わせて使用してもよい。 医薬組成物は、例えば、筋肉内、関節内、硬膜外、腹腔内、皮下、静脈内、リンパ管内(intralymphatic)、経口、粘膜下、経皮、直腸、膣、鼻腔内、眼内等の任意の所望の経路によって、並びに気管支上皮、胃腸上皮、尿生殖上皮、および身体の各種粘膜等の様々な上皮下への埋込みによって生物へ投与できる。 通常、投与量は年齢、体調、性別、および患者の望ましくない症状の程度に応じて変わり、当業者であれば決定することができる。 ヒトでの使用に適切な投与量の範囲には、表面積1平方メートル当たり生理学的に活性な物質として0.1〜6,000mgの範囲が含まれる。 別の投与量範囲は、表面積の代わりに体重を基準とするものであってもよい。

    本発明の工程に使用する重要な構成要素の概略図を示す図1を参照すると、連続相と分散相を2つの別々の容器、即ち、連続相容器(1)と分散相容器(2)に収容する。 本工程では、連続相が水相であり、分散相が水不混和性の揮発溶媒相である。 封入すべき生理学的に活性な任意の物質は、いずれかの容器に内包させることが可能である。 好ましくは、このような物質は水相中に含ませる。 これらの溶液を同時に、順番に、または交互に、濾過滅菌を行うフィルター(4)を通して第一乳化容器(3)へ移す。 高剪断ミキサー(5)またはそれに相当する装置を使用して乳化を行い、第一エマルジョン(w/o)を調製する。 あるいは、静的混合(後ほど詳述)を使用して第一エマルジョンを製造することもできる。

    本発明の一実施形態で想定しているように、無菌工程には、MVLの製造工程へ導入する全ての流体を濾過滅菌することが必須である。 濾過膜の孔径の定格(rating)は、特定の株で代表される大きさの微生物を保持する膜の能力を反映する公称定格に基づいており、平均孔径の測定や孔径分布の表示に基づくものではない。 滅菌用の濾過膜は、30psi以上の圧力下で膜表面1平方cm当たり、10 7個のPseudomonas diminuta(ATCC 19146)株培養物を100%保持可能なものである。 このような濾過膜の公称定格は、製造業者にもよるが通常0.22μmまたは0.2μmである。 大型の微生物(例えば、Serratia marcescens (ATCC 14756))のみを保持できる細菌濾過膜は、0.45μmの公称定格が表示されている。 本工程に使用する濾過膜は0.2μmタイプのものであり、液体溶液やガスの貯蔵タンクから容器へ原料を供給する全ての管路および生成物の製造に使用する移送管路で使用する。

    混合時には、剪断力が表面張力を超えるまで剪断が作用するため、不連続相の液滴が変形する。 この時点で、液滴は破壊されてより小さな液滴となる。 所与の水性および水不混和性溶媒系では、各相の体積分率(fraction)、温度、混合速度および混合時間によってエマルジョンの質を制御する。 さらに、容器と剪断装置の選択も、同様にエマルジョンに影響を与えるものである。

    w/oエマルジョン段階の特徴は、重力場における相分離、液滴の粒径分布、エマルジョンの粘度、および連続相の導電率によって判定できる。 高剪断速度では毛管粘度計を使用してエマルジョンの独立粘度(independent viscosity)を測定することができる。 毛管粘度計は、圧力計とバルブを装備し得る毛管である。 毛管からの流れを測定し、ハーゲン・ポアズイユの式:
    Q=(πR 4 ΔP)/8μL
    (式中、Qは毛管を流れる体積流量であり、Rは毛管の半径であり、ΔPは毛管に沿った圧力降下であり、μは規定の剪断速度における溶液の粘度であり、Lは毛管の長さである)に従って粘度を計算する。

    所与の「実験室規模」または「ベンチスケール」の工程条件下では、実験より求めた粘度が大規模工程の場合の目標になるであろう。 後述するように、粘度はw/oエマルジョンの粒径の指標となる。 一連の「法則」に従って、同一の粘度、従って同一の粒径をスケールアップ時に達成することができる。 例えば、剪断羽根(blade)の直径と容器の直径との比を一定に維持することにより、「実験室規模」(約0.1〜約3リットル)での粘度を大規模(「実験室規模」の最大50倍まで)においてもほぼ達成することができる。 羽根の速度はπ×羽根の直径×羽根の毎分回転数(rpm)と定義されるため、小規模工程では既定の粘度を有するエマルジョンを調製する。 大規模で同一速度を達成するために容器を選択する。 容器の直径によって羽根の直径が決まり、羽根の速度は2つの規模の間で同一であることが望ましい。 これにより、適切な羽根のrpmを決定することができる。 大規模と小規模の場合の粘度を比較する。 ずれを最小限にするために、大規模で「実験室規模」の粘度を達成するさらなる方法を実行することができる。 エマルジョン系に投入したエネルギーとエマルジョンの独立粘度との間には相関関係が存在する。 この相関は、幾何学的に類似する混合系の場合には、規模と無関係であることが判明している。

    エマルジョンに投入されたエネルギーは、式1のように定義される:
    E/V=n 35 t/V (1)
    (式中、Eは理論上の投入エネルギー、nは剪断プレート(plate)のrpm、Dは剪断プレートの直径、tは時間、Vは溶液の体積である)。 体積当たりの投入エネルギーは規模に依存しない。 (Diaz, M.ら, “Mixing Power, External Convection, and Effectiveness in Bioreactors”, Biotechnology and Bioengineering, Vol.51, 1996, pp.131-140)。 このrpmを大規模へ適用すると、規模が違っても同一の粘度、従って、同一の粒径が得られる。 これは、単純かつ迅速で信頼性の高い乳化のスケールアップ方法である。 当然のことながら、同様の手順を使用して大規模での乳化をスケールダウンすることもできるが、実際にはスケールアップが望ましい場合の方が多い。

    第一乳化の場合、連続相に対する分散相の体積分率は約1.6〜約0.33の範囲であり得、好ましくは約6/4〜約4/6である。 第一乳化の場合、羽根車の速度は、規模に応じて約2000rpm〜約16,000rpmまで変動し得る。 例えば、ベンチスケールで行った乳化では羽根車の速度は約8000〜約16,000rpmであり得、工業規模で行った乳化では約2000〜約5000rpmである。 第一乳化の場合、混合時間は約5〜約100分まで変動し得る。 好適な混合時間は、約10〜約60分の範囲である。

    典型的には、反応容器の温度は水ジャケットによって制御する。 第一乳化の場合、混合温度は約15℃〜約40℃の範囲とすることができる。 好適な混合温度は約20℃〜約32℃である。

    第一エマルジョンに含まれる液滴の粒径は、投入エネルギー、使用する成分、水溶液と有機溶液の体積分率、所望の安定性と放出プロフィールに応じて変動するであろうが、一般には約0.05〜約3μm、好ましくは約0.1〜約1μmの範囲となるであろう。 液滴の粒径は、(例えば、顕微鏡によって)直接測定することができ、また、例えば混合時間や混合物の粘度に基づいて間接的に求めることもできる。 乳化方法を変えたり(例えば、機械的な乳化の場合には羽根車の速度を調節したり)、温度を変えることによって、異なる液滴の粒径が得られる。

    第二エマルジョン
    次に第一エマルジョンを第二水溶液と混合し、乳化して、第二水性成分中に懸濁された溶媒球状体を含んでなるw/o/wエマルジョンを生成する。

    第二水溶液はpH緩衝剤、浸透剤、糖、アミノ酸、電解質、防腐剤、および半固体剤型の分野で知られているその他の賦形剤を含んでもよい。 このような成分の例として、リシン、デキストロース、およびグルコースが挙げられる。

    混合および乳化は高せん断型装置、ローター/ステーターおよびホモジナイザー、超音波、ノズル噴霧、せん断型ミキサー、静的ミキサー、羽根車、多孔質パイプ、またはw/o/wエマルジョンを生成することが知られているその他の手段を含む機械手段により行い得る。

    再度図1を参照すると、第一エマルジョンは第一乳化容器3から第二乳化容器7に移される。 この容器は、第二水相容器6中の貯蔵器からインライン滅菌フィルター8を通って移された第二水相を既に含んでもよい。 また、第一エマルジョンおよび第二水相は同時に導入でき、または第一エマルジョンを最初に導入してもよい。 本発明の方法の1実施形態では、せん断装置を用いることにより第二水溶液中にw/oエマルジョンを分散して溶媒球状体を含んでなるw/o/wエマルジョンを形成する。 溶媒球状体サイズは第一エマルジョンの性質、第二水相、および第二水相中のw/oエマルジョンの容積分率に依存する。 加えて、プロセスパラメーター、例えば、混合速度、時間、温度および混合装置の形状寸法がw/o/wエマルジョンに影響するであろう。 w/o/wエマルジョンの溶媒球状体は不安定なプロセス中間体であり、溶媒除去工程に迅速に進むことが必要である。

    せん断型ミキサー中で行なわれる第二乳化の混合時間は約1分〜約10分変動する。 第二乳化容器の温度は約20℃から約50℃までの範囲である。 高温が本発明の幾つかの実施形態で溶媒除去を補助し得る。

    また、第二乳化は第一エマルジョンおよび第二水溶液を静的ミキサーに通すことにより同時に行われる。 この工程に示唆される特別なプロセススキームが図2に示される。

    図2を参照すると、第一エマルジョンは第一エマルジョン容器1に含まれ、それが第二水相と混合され、第二水性容器3に含まれるまで第一エマルジョン流量調整器2を通り供給ラインにより供給される。 第二水相の流れは流量計によりモニターされ、第二水相流動手段4(これはメーター、制御弁またはポンプであってもよい)により調節される。 次に混合された流れは静的ミキサー5に導入され、これが第二エマルジョン容器6に流出する。

    静的ミキサーは種々のサイズおよびデザインで入手し得る。 しかしながら、所望の粒子サイズ(および粒度分布)を有するエマルジョンを材料の所望の処理量で与えることができるものを選択することはルーチン実験の問題である。 更に、ミキサー直径を増大させ、または幾つかの静的ミキサーを並列で使用して処理量を増大することができ、または直列で使用して粒子サイズを低下させることができる。 直列または並列に配置された静的ミキサーは静的ミキサーの間の溶媒除去手段などのその他の構成成分とともに使用し得る。 その他の構成成分はその方法のこの段階に導入し得る。 例えば、薄膜エバポレーターを初期溶媒除去工程として使用し得る。 静的ミキサーとして、Koch製のものおよびKenics製のもの、または以下に更に説明されるようなこれらの一般デザイン型の静的ミキサーが挙げられる。

    静的ミキサーはエマルジョンの調製のための高せん断バッチミキサーの非常に魅力的な代替物である。 攪拌タンクと較べた場合の静的ミキサーの幾つかの利点は、資本費が低いこと、複雑さが低いこと(可動部品を含まない)、維持費が低いことおよび必要スペース要件が小さいことである。 更に、静的ミキサーの構造のために、より均一な混合レジメが可能である。 何となれば、「デッド」領域がないからである。 静的ミキサーの利用により既存のプロセス機器の融通性が増大する。 何となれば、バッチサイズを容易に変化させることができ、ミキサーを容易に連続方法に適合することができるからである。 この概念は、異なる方法が同じ型のプロセス機器を利用するパイロットプラントで特に興味深い。 静的ミキサーは分散液およびエマルジョンの調製のために化学工業および食品工業で使用されていたが、MVLの調製にそれらを用いることは報告されていなかった。

    静的ミキサーは内部パイプに挿入された混合部材を有する管である。 これらのインサートは拘束および衝突を引き起こして高せん断環境が生じる。 二つの流れ、すなわち液体および/またはガスが静的ミキサーを通過した場合、種々の程度の混合が得られる。 二つの流れの混和性およびその結合速度に応じて、均一な溶液、分散液、またはエマルジョンを製造することができる。

    静的ミキサー中の種々の混合部材により異なる型の混合が生じる。 3種の異なる混合作用が静的ミキサーで観察される:1) 2 x 2(two-by-two)スプリット、2)ラジアル(radial)混合、および3)逆混合。 これらの混合作用の二つまたは三つの組み合わせが同時に起こり、その程度は静的ミキサーデザインに依存する。

    Kenicsミキサーは、独特のらせん形態を有する混合部材を含み、この部材は材料の流れをパイプ壁に対して半径方向に向けさせ、そして前記部材の後ろに向けさせる。 部材を交互のらせん方向に組み合わせることにより、ラジアル混合の運動量は、各混合部材にて反転される。 Kochミキサー部材は、開水路を形成するように互いに溶接された波形シートである。 種々の部材は互いに90°になるように位置決めすることにより挿入し得る。

    所定のミキサーデザインについて、混合作用は静的ミキサー中の速度および液体流に適用されるせん断速度に依存する。 エマルジョンの調製のために、液滴は伸びおよび分割により更に小さい液滴に分解される。 本発明の方法の静的ミキサー中の線速度は約100cm/分から約500cm/分までの範囲であり得る。 好ましい線速度は220cm/分から約400cm/分までである。

    静的ミキサーを使用する2種の不混和性液体の乳化または分散は種々の因子、例えば、w/oエマルジョンの粘度、水相対水不混和性溶媒相の比およびミキサー表面に依存する。 第一エマルジョン対第二水相の容積分率は約0.01から約0.5までの範囲であり得る。

    溶媒除去
    第二エマルジョンが一旦調製されると、揮発性水不混和性溶媒が除去されて、MVLが形成される。 再度図1を参照すると、溶媒除去は、第二エマルジョン容器7(その容器はスパージング容器として役立つが、必ずしも第二乳化を行うために設けられる必要はない)中で、または上記のように、直接に静的ミキサー中で行い得る。 これはガス送出手段9、例えば、スパージリング(sparge ring)または同様の装置を使用して不活性キャリヤーガスを溶液中に吹き込むことにより行なわれる。 ガス送出手段は一般にガスを第二エマルジョンに導入する幾つかの穴を有する。 穴の数は約10から約10,000以上までの範囲であり得る。 穴は約0.001インチから約0.1インチまでの範囲であり得る特定の直径を有する。

    別法として、キャリヤーガスを、例えば、充填カラム上を流れる第二エマルジョンの薄層フィルムの流れに対向して不活性ガスを流すことにより、溶液の薄い層の表面を横切ってスウィープして溶媒を除去する。 溶媒除去率は最適の生成物を得るのに重要である。 溶媒除去率の変化が生成物を最適化するのに重要であることがわかった。

    溶媒除去工程中に臨界点があり、その点で、懸濁液の光学的外観が有意に変化し、例えば、溶媒がクロロホルムである場合に、それがミルク状外観から更に半透明の外観に変化する。 この点の前に、多小胞粒子は破損およびその他の損傷を非常に受けやすいことがわかった。 それ故、この重要な工程中の転移はできるだけ短いことが必要である。 スパージセットアップを使用する場合、高いキャリヤーガス流量で溶媒を迅速に除去した後、低流量で残留溶媒をゆっくりと除去(図3aのような)することによりプロセス収率が改良された。 過度の発泡を低減するために、その重要な工程の前までの初期の低速度がその重要な工程中の転移への高い流れまで傾斜し、次に残留溶媒を除去するための低速流れは別の特性である(図3b)。 その後の段階における発泡は1Lスケールの如き低生産スケールで大きな考慮事項であるかもしれない。 25Lスケールの如き高生産スケールはその後の段階で低ガス流量の使用を必要としないかもしれない。 特別な組成物はその他の組成物よりも発泡を受けやすいかもしれない。 例えば、モルヒネを含むMVLは、そのスケールにかかわらず、若干低い初期流量を必要とするかもしれない。 それぞれの工程の流量、工程の数および期間はそれぞれの生成物およびスケールについて実験で決める必要がある。

    一般に、25Lスケールのガス送出手段から飛散する気泡の線速度は1Lスケールについての線速度よりも小さいか、または同様であるべきである。 溶媒除去に使用される不活性ガス気泡についての線速度は約20インチ/秒から約1000インチ/秒まで、好ましくは約50インチ/秒から約800インチ/秒まで変化し得る。

    一般に、25Lスケールについて、多種の溶媒除去工程、不活性ガス流量およびシーケンスが利用され得る。 例えば、約3分から約30分まで(好ましくは約6分から約20分まで)にわたって500lpm未満の不活性ガス流(好ましくは約400lpm未満)、続いて約2分から約10分まで(好ましくは約3分から約8分まで)にわたって少なくとも約700lpm(好ましくは少なくとも約1000lpm)の不活性ガス流、続いて約100lpmから約400lpmまで(好ましくは約150lpmから約350lpmまで)の不活性ガス流を使用する初期溶媒除去工程により許容される結果が得られるであろう。 また、低ガス流量における最後の流れ工程は許容される生成物に必要とされないかもしれない。 このような場合、少なくとも700lpmの不活性ガス流が約2分から約90分まで(好ましくは約5分から約60分まで)にわたって続けられ得る。 1Lスケールについての流量は約25倍低く、例えば、10倍から40倍低い。 いずれにしても、ガス流はMVLの製造を不必要に阻害しない速度で溶媒を除去するのに充分である必要がある。

    溶媒除去(ストリッピング)は窒素またはアルゴンの如き不活性ガスをスパージまたはブローダウンすることにより行い得る。 例えば、容器の下部に設けられたスパージ管またはフリット(スケールが比較的小さい場合)から窒素をエマルジョンに吹き込むことができる。

    一次濾過
    得られたMVL生成物を、例えば、ダイアフィルトレーションまたはクロスフロー濾過により一次濾過する。 一次濾過工程は幾つかの目的を有する:等張溶液による第二水溶液の交換、多小胞脂質をベースとする粒子の濃縮、封入されなかった薬物の除去。 また、ダイアフィルトレーションとして知られている一次濾過はMVLの物理的特性により複雑な混合物からのMVLの精製および分離に使用される方法である。 例えば、使用される最も普通の物理的特性はサイズである。 この濾過は、デッドエンド濾過とは反対に、クロスフロー濾過を伴う。 クロスフロー濾過では、懸濁液は加圧下でフィルターと接触して循環し、その結果、透過物(フィルターを通過する物質)がその系を去り、また保持物(フィルターを通過しない物質)が後に残される。 次に懸濁液がフィルターを通過しない物質で濃縮されるようになる。 第一溶液が第二溶液と交換される方法では、透過物が次第に第二溶液からなるまで、第二溶液がフィルターの保持物側に導入される。 この時点まで、第一溶液が懸濁液からフラッシュされた。

    図1に示されるように、一次濾過中に、多小胞粒子の懸濁液が保持物容器10に移され、保持物ポンプ12を使用して一次濾過フィルター11中に再循環される。 また、例えば、不活性ガス由来の圧力を濾過を行うのに使用し得る。 一次濾過フィルターは種々の形態およびサイズのもの、例えば、中空繊維フィルター、プレートフィルターおよびフレームフィルターであり得る。 好ましいフィルターは中空繊維フィルターである。 これらは種々の材料からつくられ得る。 ポリスルホン製のもの、例えば、A/G Technology Corp. (Needham, MA)により市販されるものを使用し得る。 その他の有益なフィルターは酢酸セルロース、再生セルロースまたはポリプロピレンから製造される。 有益な膜として、0.07μmから0.45μmまでの等級の膜が挙げられる。 好ましい膜は約0.1μmから0.2μmまでである。

    ポンプは種々の型のもの、例えば、蠕動ポンプまたは回転ローブ容積式ポンプ(rotary lobe positive displacement pump)であってもよい。 透過物13は保持物容器中で初期設定重量に達するまで連続的に除去される。 透過物は弁またはポンプを使用して調節でき、またはそれは自由に流してもよい。 保持物容器中で設定重量に達する時、交換溶液がポンピング手段15(これは蠕動ポンプまたは透過物が除去されるのと同じ速度の等価物であり得る)を使用して貯蔵タンク14から加えられる。 また、その方法は圧力、例えば、不活性ガス圧力により誘導し得る。 交換溶液を添加する速度は透過物流量を釣り合わせることにより、または保持物容器中で一定重量を維持することにより調節し得る。 何回かの容積交換後、または保持物が一旦目標pH値に達すると、交換溶液の添加が停止される。 この時点で、保持物が最終目標重量に濃縮される。

    膜間圧力(保持物の入口の圧力と保持物の出口の圧力の合計を2で割り算し、それから透過物の圧力を引き算したもの)は約0.1psiから約7psiまでの範囲であり得る。 保持物背圧は0psiから約10psiまでの範囲であり得る。

    ダイアフィルトレーション工程を最適化するための主たる戦略は膜の汚損およびゲル分極(polarization)を低減することである。 基本的プロセスパラメーター、例えば、壁せん断速度、透過物フラックスおよび膜間圧力がこの目標に達するために最適化し得る。 しかしながら、その成功は制限される。 何となれば、透過物フラックスがダイアフィルトレーションプロセス中に著しく低下し得るからである。

    フラックス回収を増進し、かつ膜ゲル分極および汚損を低減するために、透過物バックパルシングが一次濾過プロセス中に使用し得る。 バックパルシングは、ゲル分極層を破壊し、粒子を保持物流に戻すための、透過物流の間欠的な、例えば周期的な反転である。 また、バックパルシングは、一次濾過膜をフラッシュするために別の向流プロセス流を利用し得る。 バックパルスが完了した後に、透過物フラックスが初期値まで回復する。 この方法は平均透過物フラックスの有意な増大をもたらし、こうして脂質をベースとする粒子についての一次濾過プロセス時間を短縮する。 プロセス時間の短縮はせん断感受性物質についてのプロセス収率を増大し得る。 加えて、この方法の使用は半連続製造を可能にする。 何となれば、膜の洗浄が必要とされる前に、多数のバッチを行い得るからである。 こうして、本発明の方法により、MVLの如き脂質をベースとする粒子の製剤化についての能力ならびにプロセス時間および収率が増大し得る。

    以下のこの節には多小胞脂質をベースとする粒子の一次濾過に対する透過物におけるバックパルシング技術の適用による時間、能力、および収率に関する一次濾過プロセスの改良を記載する。 提案されたセットアップは一次濾過膜上のゲル分極層を除去するための透過物流の間欠的反転を含む。 バックパルスに使用される溶液は生理食塩溶液または透過物の如き任意の水溶液であり得る。 最適化するための重要なプロセスパラメーターはバックパルシング中の膜間圧力(TMP)、頻度および容積、ならびに処理時間である。

    透過物を使用するバックパルスについての製造セットアップの例を図4に示す。 一次濾過プロセス中に、一定重量を維持するための手段2、例えば、スケールまたはロードセルの上に配置された保持物容器1中の懸濁液はクロスフローモジュール3を通って再循環される。 これらのモジュールは、製造業者が膜の逆加圧の可能性を推奨する場合には任意の形態のものであり得る。 再循環は蠕動ポンプ型または回転ローブポンプ等の容積式ポンプ型の保持物ポンプ4を使用して得られる。 所望により保持物弁6を調節することにより背圧が保持物戻りライン5で生じる。 この操作中の膜間圧力は、圧力Pを有する保持物入口7、保持物戻りライン5および透過物ライン8における圧力の読み取り値(P)20、21、22に基いてモニターし得る。 バッファー交換溶液は蠕動型またはその他の型のポンプ10を使用して保持容器9から供給される。 順方向で透過物を用いる通常の操作中、透過物流量は、流量計11によりモニターされ、調節弁12、例えば、ニードル弁または流れを調節するためのその他の等価な手段を使用して調節される。 透過物は、計量装置14、例えば、スケールまたはその他の等価な装置を使用して重量をモニターして廃棄容器13中に回収され得る。 逆方向の透過物によるバックパルス中、透過物流は透過物弁15で遮断される。 透過物側の不活性ガス弁16が開けられて保持物圧力(P)20、21より大きい圧力でインライン透過物リザーバ17を加圧する。 これが透過物を逆方向に流れるように強制する。 バックパルス中の流量は不活性ガスリザーバ19から供給された不活性ガスライン18の圧力Pにより調節し得る。 予め決めた時間の後に、または予め決めた容積のバックパルス溶液が導入されるまで、通常の濾過プロセスが再開される。

    バックパルスのための生理食塩液またはその他の水溶液を使用するためのセットアップは透過物によるバックパルスに使用されたセットアップと同様である(図5)。 実際の一次濾過のためのセットアップは図4(項目1-15)と同じである。 しかしながら、そのセットアップはバックパルス溶液をクロスフローモジュールに導入する方法において異なる。 バックパルス溶液は、不活性ガス供給19からの正圧(P)23下にある容器17Aに貯蔵される。 透過物以外の水溶液を使用するバックパルス中、透過物弁15が遮断され、バックパルス弁16Aが開けられる。 これがバックパルス溶液を逆方向に流れさせる。 予め決めた時間の後、または予め決めた容積のバックパルス溶液が導入されるまで、通常の一次濾過プロセスが再開される。

    バックパルス容積は約0.05%系容積から約2%系容積までの範囲であり得るが、約0.1%系容積〜約0.5%系容積であることが好ましい。 バックパルス間の間隔は約10秒から約10分までの範囲であり得るが、約1分〜約5分であることが好ましい。 “系容積”は溶媒除去工程から得た物質の容積と定義され、流量が与えられると、バックパルス時間およびバックパルス間の周期から容易に計算し得る。

    図1に戻って、一次濾過工程の完了後に、最終生成物が貯蔵容器16に移される。 多小胞粒子の懸濁液は一次濾過工程の完結後にその最終薬物効力に調節することを必要とし得る。 この段階における操作は、その物質が希薄すぎるか、または濃厚すぎるかに応じて異なるであろう。

    物質が希薄すぎる場合、濃縮は、一次濾過系よりも小さい系を使用して付加的なマイクロフィルトレーション工程で行い得る。 また、上澄みは長時間沈降させた後にデカントして除去できる。 デカントについて、上澄みが沈降時間(これは少なくとも約24時間であるが、少なくとも約48時間であることが好ましい)後に一次濾過後の物質から除去される。 これは浸漬管を無菌バルクに挿入し、ペレットが実質的に分離されるまで上澄みを無菌的にポンプ輸送して除くことを含む。
    次に物質は攪拌プレートまたは等価装置を使用して15分間にわたって再度懸濁され、無菌ピペットをバルクに挿入することによりサンプリングされる。 無菌という要件のために、この操作はClass 100環境中で行なわれる。 次に分析結果が得られるまで、調節されたバルクは2-8℃で貯蔵される。 デカント後、効力が低い場合、沈降期間を含む操作を再度繰り返し得る。 また、二次クロスフロー濾過工程(以下に詳しく説明される)を行い得る。

    物質が濃厚すぎる場合、等張溶液を加えることによりそれを目標濃度に希釈し得る。 生理活性物質の効力は広範囲にわたって変化し得る。 例えば、タンパク質を含むMVL組成物の効力はμg/mLのオーダーであり得るものであり、一方、その他の化合物について、その効力範囲は更に高くあり得る。 例えば、シタラビンを含むMVL効力は約5mg/mLから約15mg/mLまで、好ましくは約8mg/mLから約12mg/mLまで、最も好ましくは約9mg/mLから約11mg/mLまでの範囲であり得る。 例えば、モルヒネを含むMVL効力は約5mg/mLから約15mg/mLまで、好ましくは約8mg/mLから約12mg/mLまでの範囲であり得る。 正確な薬物効力に一旦達すると、無菌充填操作を使用して、物質を充填し得る。 適当な無菌充填操作は当業者に明らかになるであろう。

    二次クロスフロー濾過
    二次クロスフロー濾過は生理活性物質を含むMVL調製物のバルクの効力の調節のためのデカントの別法である。 更に、前記一次濾過工程は、「ホールドアップ」容積またはデッド容積が多すぎるので、容積を所望の値に有効に減少させることができない。 二次クロスフロー濾過の別の主な利点はデカント工程の省略であり、それにより滅菌違反のリスクが有意に低減されるとともに操作時間が節減される。 更に、二次クロスフロー濾過の使用により生成物収率を有意に改良し得る。 また、二次クロスフロー濾過工程は、多重生成物バッチのプールを可能にすることにより効率を最大にするのに使用し得る。

    典型的なプロセスセットアップを図6に示す。 図6を参照すると、保持物容器1が示され、これは上記一次濾過工程の生成物を含む。 粒子のこの懸濁液がポンプ手段2(これは蠕動ポンプ、または当業界で知られているその他のポンプであり得る)により供給ラインを通って二次クロスフロー濾過モジュール3の入口にポンプ輸送される。 これは中空繊維型モジュールであり得る。 入口圧力モニター4がモジュールの入口に存在し、出口圧力モニター5がモジュールの出口に存在する。 透過物は抜き取られて廃棄または分析されるが、透過物圧力モニター6を通過する。 保持物出口は逆に保持物容器に通じ、これは二次クロスフロー濾過工程の進行のモニタリングを可能にする計量手段7の上にある。 目標濃度に達するまで、保持物はクロスフロー濾過モジュール中を循環する。 目標濃度は重量と線形の相関関係があることがわかり、その結果、目標重量が計算し得る。

    二次クロスフロー濾過を一般に本発明の方法に用いることにより、容積は、を一次濾過工程から得られた容積からこの得られた容積の約10%〜約90%まで減少する。

    二次クロスフロー濾過に関する膜間圧力は約0.1psiから約7psiまでの範囲であり得る。 保持物背圧は0psiから約10psiまでの範囲であり得る。

    1Lスケールプロセスまたは25Lスケールプロセスに従って調製された医薬活性を含む生成物について、最終粒子サイズは約13ミクロンから約18ミクロンまでの範囲である。 遊離薬物%は約0.3%から約2.0%までの範囲である。 第一水溶液に導入された合計量活性から計算して、全プロセスから得られた封入された活性%は約17%から約50%までの範囲である。 このような収率は特別な生成物に依存し、スケールにはほとんど依存しない。 しかしながら、本発明の方法の所定の生成物内で、収率は高度に再現性がある。

    本発明の方法により製造された医薬活性を含むMVLは単独で使用でき、またはその他の医薬活性物質と組み合わせて使用でき、ただし、この場合、医薬活性を含むMVL中のその物質の量が生物中の望ましくない既存の状態の診断、予防、または治療を可能にするのに十分であるという制限付である。 一般に、投薬量は患者の年齢、症状、性別、および望ましくない状態の程度により変動し、当業者により決定され得る。 ヒト用に適した投薬量範囲は生体の表面積1平方メートル当り生理活性物質0.1mgから6,000mgまでの範囲を含む。

    本発明の医薬活性を含むMVLは注射によって、または経時的な漸進的注入により非経口投与し得る。 組成物は静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、または経皮で投与し得る。 その他の投与方法は当業者には知られているであろう。 皮下投与の如き幾つかの適用については必要とされる用量はかなり少量であり得るが、腹腔内投与の如きその他の適用については必要とされる用量はかなり大量であり得る。 以上の投薬量範囲外の用量が与えられてもよいが、この範囲には実際に全ての生理活性物質についての使用の幅を包含する。

    滅菌、確認および環境コントロールに関して、メディア充填確認プログラム(media fill validation program)(Aseptic Assembly OperationsをカバーするFDAガイドライン, 1987年6月, 22頁)を、滅菌保証が工業許容標準内にあり、またはその標準を超えるという高度の信頼をもたらす基準を使用して、規則的に行った。

    調製された全てのバッチを細菌内毒素試験(また、カブトガニ細胞分解産物試験(limulus amoebacyte lysate test)-LALとしても知られている)、成長促進試験、ならびにUSPに詳述されたような静菌作用および静真菌作用試験にかけた。 いずれの場合にも、バッチはこれらの試験に不合格ではなかった。

    本発明を以下の実施例で更に説明するが、これらの実施例は特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。

    以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を示すことにより本発明を更に説明するために示され、当業者には指針として利用され、本発明を限定するものと見なされるべきではない。 全ての製品が製造業者らの指示に従って使用される。

    粒子分粒を、特に示されない限り、標準様式で使用されるHoriba LA910粒子分粒器で行った。 粒子分粒のためのサンプル(生成物およびサンプル濃度に応じて、50μL〜400μLの容積を有する)を生理食塩水10 mL中で希釈した。

    リポクリットは懸濁液の全容積に対する固体ペレット(遠心分離後)の容積比の目安である。 ヘマトクリット管(Baxter B4416-1)にサンプルを充填し、続いてIEC Centra-4B遠心分離機では2200 rpmで、またはSorvall 6000D中では2000 rpmで10分間にわたって遠心分離することにより測定を行った。

    溶媒ストリッピングまたは一次濾過後の懸濁液中の生理活性物質の封入の程度または封入効率(封入%)をUV分光分析方法、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により測定した。 サンプルを全薬物濃度および上澄み薬物濃度の両方について試験した。 遊離薬物の%を遊離%=(1-リポクリット)(C sup )/(C total )(式中、C supは上澄み中の薬物濃度であり、C totalは全薬物濃度であり、リポクリットはペレットの容積%である)として計算した。 封入の程度は100%-遊離%である。

    毛細管粘度計を使用して、粘度測定値を測定した。 毛細管粘度計は加圧容器ならびに毛細管の入口に配置されたデジタル圧力ゲージおよび弁に取り付けられたシラン処理されたステンレス鋼管(内径1.08mm、長さ50cm、または内径0.55mm、長さ50cm; Alltech)である。 その管からの流れをメスシリンダー中に回収した。 20℃で9.178 cPおよび18.78 cPの粘度を有するCanon鉱油標準物質を使用して、粘度計を較正した。 温度効果を調べない限り、第一エマルジョン容器を混合中に20℃に保った。 サンプルの温度を毛細管の出口で記録した。 その温度は+/-5℃より大きく変化せず、20.78℃の平均および0.85℃の標準偏差であった。 第二エマルジョン容器を一般に高温、例えば、40℃に保った。

    溶媒除去の測定のために、溶媒除去された溶媒球状体含有組成物からサンプルを5分毎に採取し、ルーチンクロマトグラフィー分析にかけた。

    示された全てのグラフについて、データ点にあわせた線は実験データに対する最良フィットを示すものである。

    実施例1. 第一乳化におけるスケールアップ手段としての粘度
    第一エマルジョンプロセスは設定した時間にわたってせん断プレートを使用して特定の羽根速度で2種の無菌濾過された非混和性溶液を混合することを含むものであった。 第一溶液は揮発性水非混和性溶媒に溶解された極性脂質および非極性脂質の集まりであった。 第二溶液は水溶液中に活性薬物を含んでいた。 原料の量を直接に量った。 第一エマルジョンがスケール間で不変であることを確実にするために、スケール非依存性である依存変数:粘度を選んだ。 図8aおよび8bに記載されたように、第一エマルジョンの粘度と混合時間との関係が成立する。

    第一エマルジョンの粘度を1Lスケールで測定した後(12.8 cP)、このスケールにおける攪拌器のrpmを測定した。 1Lスケールおよび25Lスケールの両方におけるせん断プレートの同じ羽根速度を一定に保った。 羽根速度は羽根車直径πと羽根rpmの積に等しい。 羽根車直径対容器直径の比をスケールを変えても一定に保った。 容器直径を直接に量った。 それ故、スケール因子がわかると、スケールアップrpmが算出された。 このアプローチはこのスケールアップrpmで11.1 cPの溶液粘度を生じた。 データを見直してみると、算出したrpmでは所望の粘度(12.8cP)を得るのに充分なせん断をエマルジョンに与えていないことがわかった。 次の段階は単位容積当りのエネルギー入力を使用して、粘度を11.1cPから12.8cPに増大するのに更にどれだけの出力が必要であるのかを測定することであった。 単位容積当りのこのエネルギー入力は式1で定義される:
    E/V=n 3 D 5 t/ V (1)
    (式中、Eは理論エネルギー入力であり、nはせん断プレートrpmであり、Dはせん断プレート直径であり、tは時間であり、かつVは溶液容積である)。 容積当りのエネルギー入力はスケール非依存性であると仮定される(Diaz,M.ら,“Mixing Power, External Convection, and Effectiveness in Bioreactors”, Biotechnology and Bioengineering, Vol. 51, 1996, pp. 131-140)。 スケールダウンされた系の粘度を11.1cPから12.8cPに上昇するのに必要とされる容積当りの追加のエネルギーを計算した。 この値を使用してスケールアップされた系について新しいrpmを決定した。 次に粘度を25Lスケールで時間に対して測定した。

    第一エマルジョンを20 mLから50 Lまでの範囲の4種の異なるスケールで生成した。 全てのミキサーは高せん断分散型羽根、例えば、せん断プレートを使用した。 また、スロット付ケージ(slotted cage)と混合コーン(mixing cones)の組み合わせを高スケール(10 L〜25 L)で使用することができた。 攪拌の混合速度および混合時間が可変パラメーターであった。

    w/oエマルジョンをモルヒネ硫酸塩(Mallinckrodt Pharmaceuticals, Chesterfield MO) 470 g、10%塩酸(Spectrum) 85.8 g、および注射用の水22.6 kgを含む水溶液の高せん断混合により調製した。 水非混和性溶媒相は下記の界面活性剤:ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG, Avanti Polar Lipids, Alabaster, AL) 32.0 g、ジオレオイルホスファチジルコリンDOPC (Avanti) 2123 g、およびコレステロール(Spectrum) 114 gを含んでいた。 また、トリオレイン(Avanti) 3.25 gおよびトリカプリリン(Avanti) 10.5 gを水非混和性溶媒相(クロロホルム22.9 kg)に溶解した。

    第一乳化を4.5”混合ケージを備えた第一エマルジョン容器中で3600 rpmで、25℃で960秒で3psigのヘッドスペース圧力で行った。

    w/oエマルジョンのレオロジー特性決定を、広範なせん断速度にわたってその相対粘度を測定することにより得た。 w/oエマルジョンは擬似塑性であることがわかり、対数−対数スケールでプロットした時にせん断応力とせん断速度の間に一次関係が得られた(図7a)。 濃縮されたw/oエマルジョンの擬似塑性は低せん断速度での凝集(これらは高せん断速度では破壊され、もはや存在しない)の存在のためであると考えられる。

    図7bにより相対粘度(測定粘度/連続相粘度)対せん断速度をプロットしてエマルジョンの擬似塑性が確認された。 粘度はせん断速度に関して指数的に減衰した。 エマルジョン粘度を適切に比較するために、実験結果は2500s -1およびそれ以上の平衡領域内でのみ測定した。

    w/oエマルジョンを幾つかの混合速度および時間で調製した。 混合パラメーターを変化させると、非依存性粘度が変化するエマルジョンが得られた(図8a)。 これらの結果により、一定の混合速度で混合時間を増大することによる相対粘度の特異な対数的増大が実証された。 エマルジョンを4倍のスケールにした場合、混合時間と粘度との間に同様の対数的関係が見られた(図8b)。

    幾つかのw/oエマルジョンを22℃から32℃までの範囲の温度で調製した。 エマルジョン粘度に関する生成温度の効果が図9に特性決定され、エマルジョン生成温度がエマルジョン粘度に関して直接の線形効果を有することを示した。 高温では、脂質膜が展性になり、液滴が容易に破壊された。 この様式では、高温でつくられたエマルジョンはサイズの小さい平均液滴を有し、それ故、高い見掛粘度を有していた。

    壁効果が存在するかどうかを測定するために、より小さい直径の毛細管を使用する毛細管粘度計で更に粘度測定を行った。 両方の測定値が重複したという事実により毛細管粘度計中の壁効果が本発明者らの目的に重要ではないことが確認された。 壁効果が存在したならば、本発明者らは小さい直径の管で大きい壁効果、低粘度が観測されると予想したであろう。

    粘度とエネルギー入力の関係をより良く利用するために、エネルギーを対数スケールでプロットすることによりグラフを直線にした(図10)。 更に、2つの大きなスケールでのデータを加えた。 w/oエマルジョン粘度とエマルジョンへのエネルギー入力との線形関係が200倍のスケール増大にわたって証明された。 この様式では、所望のエマルジョン粘度を選ぶことができ、相当する必要なエネルギー入力が図10からわかる。 所定のスケールで、混合速度および時間を変化して必要とされるエネルギー入力を得ることができる。

    実施例2. 第二乳化におけるスケールアップ手段としての粒子サイズ
    第一エマルジョンを大量の第二水溶液とブレンドすることにより水−油−水エマルジョンを生成した。 最終粒子直径およびサイズ分布は羽根車形態、rpmおよび混合時間の関数であった。 粒子サイズ分析装置(Horiba,型式910)を使用して、粒子サイズおよび分布を測定した。 第一エマルジョン系で使用した操作に従って、せん断プレート直径およびrpmを1L系を参考に調節した。

    第二水溶液はデキストロース21.88 kg、リシン503 g、および注射用の水382 kgからなった。 25Lスケールにおける実施例1のモルヒネ含有製剤の第二エマルジョンについての初期スケールアップ計算によると500rpmにおいて9.0インチのせん断プレートが使用されるべきであることが示された。 しかしながら、これらの混合条件下では、溶液が十分に混合されなかった。 低rpmでは稠密な第一エマルジョンと第二水溶液とを充分にブレンドしなかった。 更に、反応器内の高密度領域が溶媒ストリッピング(stripping)プロセスを無効にした。 これらの条件下で発生した粒子は10μm〜12μmであった。 この生成物についての粒子サイズ仕様は13μm〜18μmである。

    攪拌速度が第一エマルジョン中でブレンドするのに増大される必要があった。 観察により、1000rpmが充分と判明した。 より高いrpmでは、粒子サイズが更に小さくなるであろう。 羽根車直径を9.0インチから4.5インチに減少することにより、容積当りのエネルギー入力は維持された。 せん断プレートを4.5”スロット付きケージと交換した。混合時間は40℃で1000rpmで300秒であった。

    このプロセスは14〜16ミクロンの粒子を生じた。 また、溶媒ストリッピングプロセスが著しく改良された。 なぜならば、この改良された混合によりせん断タンクの下部に残存し得る高濃度のクロロホルムを充分に分散し、それを不活性ガス流により更に有効に除去することが可能になるからである。

    9.0インチのせん断プレートを4.5インチのスロット付きケージと交換した場合、粒子サイズ標準偏差が6.2μmから4.5μmに減少した。 粒子サイズ標準偏差のこの有意な減少にはおそらく二つの理由がある。 第一に、高いrpmでは、多くの溶液がせん断縁部に接触する。 接触の増大により全体のサイズ変動が減少した。 第二に、スロット付きケージがそれを通過する全ての粒子に一様のせん断を付与した。 せん断プレートからのせん断接触は均一ではなかった。

    実施例3. 溶媒除去
    実施例2の第二乳化工程で生じたw/o/wエマルジョンはこの時点で依然として溶媒を含んでいた。 溶媒をガススパージング(sparging)によりエマルジョンから除去した。 溶媒除去の速度を調節することが重要であった。 ストリッピング中に、定期的にサンプルを採取して溶媒濃度を測定し、薬物封入をモニターした。 遊離薬物の濃度がストリッピング中に増大し始める場合、粒子損傷が生じている。 初期ガス流量を25倍に増加して容積増大と釣り合わせた。 溶媒ストリッピングに関する処理時間を初めはスケール間で一定に保った。 溶媒が一旦除去されると、粒子が硬質かつ安定になった。

    1Lプロセスを基準として、25Lのモルヒネ含有溶媒球状体系の初期スパージングプロフィールでは3種の異なる流量を使用した。 第一段階は流量を17分間にわたって375リットル/分(lpm)に設定した。 次に溶液に5分間で1000lpm、続いて28分間で250lpmでスパージした。 1Lスケールで第一段階および最後の段階の流量を減少する理由は発泡(これはモルヒネ含有製剤について最初の10-20分間中に懸念されることである)を減少するためであった。 25Lプロセスでは、比較的高くかつ狭い形状の容器を使用したので、発泡は後の段階で重大な問題ではないことがわかった。 この容器が使用されず、かつ初期スパージ速度が500lpmより高い場合、発泡トラップの容量の限界に達する。 また、短いずんぐりした容器中で500lpmでは、“遊離薬物(free drug)”(封入されなかった生理活性物質)の%がかなり増大することが認められ、粒子破壊を示した。 これが図11に示される。

    375lpmでは、“遊離薬物%”が1Lスケールで見られたものと同様であった。 全ての25L実験では、1000lpmでのスパージングは17分後に封入効率に影響せず、また付加的な発泡がごくわずかであった。 溶媒が100ppmの特定濃度未満で一貫して除去されることを証明するために、4つの同じ第二エマルジョンから同じ条件下で溶媒をストリッピングした。 データにより375lpmで17分間のスパージング続いて1000lpmで25分間のスパージングが溶媒濃度を100ppm未満に減少するのに充分であることが示された。 溶媒濃度は溶媒除去の60分以内に機械的に1ppm未満にされた。 4つの同じバッチにより溶媒除去プロセスは再現性を有することが示された。

    1250 Lpmの最大可能流量でスパージすることにより、最小可能ストリッピング時間を測定した。 この実験は、最善の状態で、9分だけ本処理時間から節減し得ることを示す。 これを図12に示す。 これらの条件下で、発泡トラップは完全に充満され、遊離%は50%より上であった。 これらの理由のために、42分の本処理時間が許容されると考えられた。

    実施例4. バッファー交換及び濃縮のスケールアップ
    実施例4からの粒子の溶媒ストリッピング後に、粒子を、一般に注射に適しない溶液中に懸濁させた。 こうして、モルヒネ含有懸濁液をクロスフロー濾過スキッド(skid)に移し、そこでそれを濃縮し、第二水溶液を生理食塩水またはその他の生理学的溶液に交換した。 クロスフロー中に検討したパラメーターは、処理時間、透過物(permeate)流量、工程収率、および最終生成物安定性である。 スケールを変化させても、接線流フィルター中の線速度は一定に保った。 フィルター面積を増大して所望の透過物流量を得た。 設計では、クロスフロー系の妨害を最小にした。

    この生成物は低温貯蔵中で2年にわたって化学的に安定であった。 加速安定性プロトコルを確立してデータを回収するのに要する時間を短縮した。 現在、モルヒネに関する放出仕様は、溶液中の遊離薬物の%が37℃で21日目までに全封入薬物の10%を超えないことを必要とする。 最終生成物をバイアルに入れ、37℃で貯蔵した。 サンプルを時間を追って規則的に採取し、遊離薬物%について分析した。

    クロスフロー濾過系の初期のエンジニアリング設計はプロセス開発についての要求を低減した。 最初の実験から、濃縮およびバッファー交換は予想どおりうまく実行された。 透過物流量は5.0 LPMでプロセス中一定であった。 処理時間は2.5時間で1Lプロセスと比較的一致していた。 クロスフロー濾過に関する工程収率は85%であった。 全体の封入効率は41%であり、これは1L製造スケールの収率と一致した。

    このスケールで製造された物質は非常に安定であった。 安定性データは遊離薬物%が37℃で38日目まで最大10%を越えないことを示した。 現在の安定性基準は許容製品がこの温度で21日を越えることを指示する。 同様の許容される結果をシタラビン製剤から得た。

    実施例5. 多バッチ処理
    決まりきった手順による製薬では、現場洗浄(CIP)プロセスおよび現場滅菌(SIP)プロセスが処理時間の大部分を消費する。 こうして、通常のプロセスでは、その時間の約30%のみが製造工程に向けられるように費やされ、残りが次のバッチのための洗浄および滅菌である。

    本発明は多バッチ処理を提供する。 多バッチ処理は同じバッチの製造、および更に下流の処理のためのバッチのその後または連続の溜めを伴い、こうしてCIPおよびSIPサイクリング中の“停止時間”の使用を更に有効にする。

    1Lスケールでは、モルヒネ含有製剤、生成物の3ロットを製造し、溶媒除去工程およびSIP後に、洗浄前に溜めた。 それぞれのロットおよび溜められた組成物を遊離モルヒネ%、および粒子サイズについて分析した。 データを図13に示す。

    連続ロット間の優れた一致が予想されたように得られた。 最も重大な関心事がクロスフロー濾過工程に関して生じ、この工程は延長された使用により汚損されるようになり得るフィルターを利用する。 バックパルス(back pulse)を第二ロットの一部、そして第三ロットの殆どについてこの系に適用した。 バックパルスは製品品質に影響しなかった。 25L系を特別にデザインしてこの多バッチ処理を使用して75Lで運転した。

    実施例6. 静的混合
    下記の物質を静的ミキサーによる試験のために調製した。 25Lスケールでの、モルヒネ含有製剤、静的ミキサープロセスに関して、化学成分および量は実施例1および2にリスト挙げたとおりであった。

    シタラビン製剤を30 g/Lシタラビンおよび51.31 g/L HCl (10% w/v)の第一水相、クロロホルム中の2.06 mg/mL DPPG、2.15 mg/mL トリオレイン、7.66 mg/mL コレステロール、10.34 mg/mL DOPC、および0.76 mL/mL注射用の水(WFI)の揮発性水非混和性溶媒相、ならびに70.6 g/L デキストロース(50%)、および6.29 g/L L-リシンの第二水相でつくった。 シタラビンを10Lスケールで調製した。

    モルヒネ製剤を21.32 g/L モルヒネ硫酸塩、および3.84 g/L HCl (10% w/v)の第一水相、クロロホルム中の2.081 mg/mL DPPG、0.211 mg/mL トリオレイン、7.72 mg/mL コレステロール、9.58 mg/mL DOPC、0.683 mg/mL トリカプリリン、および0.764 mg/mL WFIの水非混和性溶媒相、ならびに152 g/L デキストロース(50%)、および1.59 g/L L-リシンの第二水相でつくった。 モルヒネ製剤を1Lスケール、10Lスケールおよび25Lスケールでつくった。

    インスリン様成長因子(IgF-1)製剤を5%蔗糖/20 mMクエン酸塩中の14.5 g/L IgF-1の第一水相、クロロホルム中の2.08 mg/mL DPPG、1.79 mg/mL トリオレイン、7.68 mg/mL DEPC、および1.492 mg/mL WFIの水非混和性溶媒相、ならびに1.49% グリシン、0.041 N NH 4 OH、および329.2 g/L L-リシンの第二水相でつくった。

    アミカシン製剤を168 g/L 硫酸(pH 8)中の80 g/L アミカシン遊離塩基、または50.9 g/L 硫酸(pH 9)中の60 g/L アミカシン遊離塩基の第一水相、クロロホルム中の2.07 mg/mL DPPG、2.16 mg/mL トリオレイン、7.69 mg/mL コレステロール、10.4 mg/mL DOPC、および0.78 mL/L WFIの水非混和性溶媒相、ならびに95.84 g/L 蔗糖、および6.56 g/L L-リシンの第二水相でつくった。

    所望の粒子サイズに達するまで、高せん断攪拌タンク(100 mL、400 mL、2000 mLおよび40 L)を使用して、それぞれの製剤の第一エマルジョンを調製した。 生理食塩水10 mL中で希釈した50μLまたは400μLのサンプルを使用し、Horiba LA910粒径測定器を使用して粒子サイズを測定した。

    第一エマルジョン供給流対第二水相供給流の容積比はそれぞれのプロセスについて特異であったが、一般に0.075から0.35まで変化された。 供給流を駆動力として回転ローブポンプまたは窒素加圧容器を使用して静的ミキサーに供給した。 下記のKenics(商標) Static Mixersを使用した:27、16、または9部材を備えた、3/16” OD; 21部材を備えた、1/4” OD; 21部材を備えた、1/2” OD; および24部材を備えた、1.5” OD。 下記のKoch静的ミキサーを使用した:5部材を備えた、SMV-DYミキサー、1/4”。下記のポンプを使用した:Watson Marlowポンプ型式#604S; Cole Parmerポンプ型式#7523-20;およびG+H回転ローブポンプ、型式#GHPD322。

    静的ミキサーの直前の受器への第一エマルジョンの流量をインライン流量計(Flowメーター、EG&G、型式#FT6-871W-LEGA1)によりモニターし、加圧容器出口の弁により調節した。 流量はスケール依存性であり、それ故、スケールアップには有益ではない。 線速度が更に有用であり、これらは使用した特別な静的ミキサーの断面積により流量を割ることにより測定される。

    第一エマルジョンを25℃で供給し、一方、第二水溶液を35℃で供給した。 流量は静的ミキサーのサイズに依存するが、線速度を異なる静的ミキサーのサイズについて一定に保った。 代表的な線速度を図15に示す。 それ故、1/2” OD Kenicsミキサー(表面積0.11平方インチ)を4.9lpmで運転した場合、1.5” OD Kenicsミキサー(表面積1.48平方インチ)は66lpmで運転されるであろう。 受器は得られる第二エマルジョンを35℃に維持した。 次に溶媒除去を行った。 N 2を吹き込み(100 mLスケール)またはN 2でスパージする(更に大きいスケール)ことによりクロロホルムを除去した。 50 mLのサンプルを37℃にセットした回転水浴中の1Lの三フラスコに入れることにより吹き込みを行った。 フラスコを1つのN 2供給ラインならびにN 2およびCHCl 3用の排気ライン以外はシールした。 窒素を15分間にわたって55-75 SCFHの速度で供給した。

    0.2μmのポリスルホン中空繊維膜(A/G Technology, CFP-2-E-5A, 0.2μmの細孔サイズ)を使用して、得られる懸濁液をクロスフロー濾過により濃縮した。 スパージした物質を3つの工程で処理した:初期濃縮、一次濾過、および最終濃縮。 初期濃縮では物質を初期容積の半分に濃縮した。 ダイアフィルトレーションを使用して第二水溶液を酸性にした生理食塩液と交換した。 最終濃縮工程を使用して生成物をその仕様容積にした。

    全薬物および遊離薬物の生成物分析を以下のように行った。 全シタラビンの測定のために、第二エマルジョンサンプル0.5 mLを希釈し、粒子をイソプロピルアルコール(IPA) 0.5 mLで溶解した。 次にこれらのサンプルを数秒攪拌した。 次に、攪拌サンプル100 mLを0.1 N HClで10 mLに希釈した。 UVスペクトロフォトメーター(Cecil)を280 nmで使用して、サンプルの吸光度を読み取った。 上澄み(遊離)シタラビンの測定のために、第二エマルジョンサンプル1 mLをピペットでEppendorfバイアルに入れ、8.5の設定で2.5分間にわたってEppendorf遠心分離機中で遠心分離した。 次にこの上澄み100μLのアリコートを0.1 N HClで10 mLに希釈した。 次にUVスペクトロフォトメーターを280 nmで使用して、サンプルの吸光度を読み取った。

    全モルヒネの測定のために、第二エマルジョンサンプル250μLを希釈し、粒子をIPA 750μLで溶解した。 次にこれらのサンプルを15秒攪拌した。 次に、攪拌サンプルを2%水酸化ナトリウム/0.8%通常の生理食塩溶液で1:10に希釈し、攪拌した。 280 nmおよび340 nmでUVスペクトロフォトメーター(Cecil)を使用して、サンプルの吸光度を読み取った。 上澄み(遊離)モルヒネの測定のために、第二エマルジョンサンプル1.0 mLを8.3の設定で2.5分間にわたってEppendorf遠心分離機を使用して遠心分離した。 次にこの上澄み100μLのアリコートを水酸化ナトリウム/通常の生理食塩溶液10 mL中で希釈し、15秒攪拌した。 次にUVスペクトロフォトメーターを280 nmおよび340 nmで使用して、サンプルの吸光度を読み取った。

    全IgF-1の測定のために、第二エマルジョンサンプル100μLを87.5% IPA/12.5% 2N HCl 900μL中で希釈し、攪拌した。 氷の上で45分後に、1M Tris溶液、pH 9 200μLを添加し、再度攪拌した。 サンプルを14,000 rpmで2分間にわたってマイクロ遠心分離し、サンプル200μLをHPLCバイアル中の10%アセトニトリル(ACN)/0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)800μLに添加し、HPLCで実験した。 HPLCはガードカラム、P/N WAT054225を備えたWaters Symmetry C 18 (P/N WAT054205)であった。 実験時間は9分の後時間と17分であった(オーブン温度45℃)。 初期流量は167μLのドロー速度で100μLの注入容積で0.8 mL/分であった。 DAD検出器を使用し、0.16秒毎にサンプリングし、A214およびA275をモニターした。 10%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸および90%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸の勾配を使用した。 ピーク調節スペクトルデータを190-400 nmで取り込んで。 100 mM酢酸中のIgF-1保存物質の連続希釈を標準として使用した(1.875 mg/mL〜0.029 mg/mL)。

    ペレットにしたIgF-1の調製は以下のとおりであった。 懸濁液のアリコート100μLを2000 rpmで10分間にわたって遠心分離した。 87.5% IPA/12.5% 2N HCl 1.00 mLをペレットに添加し、氷の上で45分間インキュベートした。 1M Tris溶液、pH 9 200μLを添加し、その混合物を再度攪拌した。 サンプルを1,4000 rpmで2分間にわたってマイクロ遠心分離した。 サンプル200μLをHPLCバイアル中の10%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸800μLに添加し、HPLCカラムに入れた。 10%アセトニトリル/0.2%トリフルオロ酢酸を使用して、ペレットからの上澄みを5倍または10倍に希釈し、HPLCバイアルに入れ、HPLCカラムに入れた。

    上澄み中の遊離アミカシンの測定のために、Sorvall RT-6000Bを使用して、懸濁液を800gで3分間遠心分離した。 上澄み40μLを通常の生理食塩水30μLおよびIPA150μLに添加し、軽く攪拌し、55℃で1時間インキュベートした。 懸濁液中の全アミカシンの測定のために、サンプルを通常の生理食塩水中で1:10に希釈し、充分に攪拌した。 この溶液をIPA中で1:4に希釈し、軽く攪拌し、次に55℃で1時間インキュベートした。 蔗糖−リシン中の吹き込まれた第二エマルジョンのサンプルを生理食塩水中で洗浄し、粒子濃度蛍光イムノアッセイ(PCFIA)を使用して分析した。 123 mMリン酸バッファー、pH 7.4 1 mLをそれぞれのサンプル製剤に添加し、充分に攪拌した。 次にそれぞれのサンプル15μLを123 mMリン酸バッファー、pH 7.4 3 mLを含むガラス培養管に添加した。 ポリスチレンビーズを抗アミカシン抗体(The Binding Site, San Diego, CA)で被覆し、蛍光標識アミカシン(The Binding Site)およびアミカシンを含む分析物の組み合わせとともにインキュベートした。 ビーズに結合された蛍光標識アミカシンの量を485/535 nmシグナル、および590/620 nmリファレンスシグナルで蛍光濃度アナライザー(FCA)で測定した。

    静的ミキサーへの入力(kg m 3 /s)は線速度x圧力降下として表し得る。

    入力=(ミキサー中の線形流量)*(ミキサーを横切る圧力降下) (2)
    正規化パワー(Normalized Power)は入力を静的ミキサーパイプの断面積で割ることにより得られる。 静的ミキサーへの正規化パワーによる得られるシタラビンを含む粒子サイズおよびモルヒネを含む粒子サイズの変化を図14にグラフで示す。 図14に示されるように、シタラビン生成物に関する線の傾斜はモルヒネ製剤に関する傾斜よりも急勾配である。 これはシタラビン製剤についての粒子形成に対する増大されたバリヤーを反映する。 対照的に、モルヒネ製剤は粒子形成について低い活性化エネルギーを示す。 この傾向が静的ミキサーの長さにかかわらず観察された。 第一エマルジョン対第二水相の容積比の変化は粒子サイズまたは封入効率に重大な効果を有しなかった。

    エマルジョン系に関する粒子サイズ−正規化パワー相関関係は静的ミキサーのスケールアップに非常に有益な手段である。 所定の粒子サイズについて、図14から正規化パワーを得ることができる。 次に、所定の流量について、式2に示された入力に関する式を使用して種々の静的ミキサー直径について圧力降下を計算することができる。 粒子サイズ−入力相関関係は特別なエマルジョン系について特異的であることが図14から明らかである。 同じサイズの粒子について、少ない入力がシタラビンを含む製剤よりもモルヒネ含有製剤を乳化するのに必要とされる。

    Kochミキサーを選択してKenics(商標)ミキサーと比較した。 Kochミキサーは一緒に溶接された波形ステンレス鋼シート製の硬質混合部材を含む。 1つの部材を次の部材から90°ずらして挿入する。 ここで使用したKochミキサーは5部材および9.5mmの内径を有していた。 大きい断面積のために、Kenics(商標)ミキサーを使用して得られる線速度と釣り合わせるのに高流量が必要であった。 線速度を増大させると数および容積加重粒子サイズが減少した。 データはKochミキサーがKenics(商標)ミキサーよりも有効に混合することを示唆した。 なぜならば、低い線速度および圧力降下で同じサイズの粒子を生じたからである。 しかしながら、両方のミキサーは封入効率に関して同様のエマルジョンを生じた。

    実施例7. 安定性の検討
    貯蔵寿命を測定するために、安定性の検討を通常の貯蔵条件(4℃)および高温条件(37℃)で行った。 本発明の方法を評価するためのパラメーターとして37℃の温度を使用して不安定化を加速した。 加速化安定性研究の目的は、低温見込まれるのよりもタイムリーな方法でプロセスパラメーターを評価することであった。 ダイアフィルトレーションおよび生成物の特定濃度への調節後の最終物質をそれぞれ2 mLまたは5 mLのバイアルに入れた。 これらのバイアルの半分を4℃に保ち、半分を37℃に保った。 それぞれの温度からのバイアルを周期的に取り出してリポクリット(Lipocrit)、全薬物濃度および遊離薬物濃度について分析した。 37℃における加速化保存寿命は、初期に封入された全薬物の90%のみが封入されて残るまでの時間の期間である。 ゼロ時の典型的な封入されなかった薬物濃度は約0.01%〜約2.00%である。

    実施例8. 粒子サイズおよび封入効率に関するミキサー長さ、ミキサーサイズおよび線速度の効果
    粒子サイズおよび封入効率を静的ミキサー長さおよび線速度の関数として測定した。 図15は種々の長さを有する3/16” Kenics静的ミキサーおよび1/4” Kenicsミキサーで生じたシタラビンを含む粒子のサイズに関する線速度の効果を示す。 線速度を増大させると粒子サイズの減少を引き起こすことがわかる。 データは平均粒子サイズに対してミキサー長さ影響することを示唆し、すなわち、短い9部材ミキサーは16部材ミキサーに等しいか、または大きい粒子を生じ、一方、27部材ミキサーでつくられた粒子は約1-2μm小さい。 この効果は静的ミキサー中の乳化工程がまだ平衡に達していないことを示している可能性があり、ミキサー中のエマルジョン滞留時間の関数であると思われる。 部材の数の増大は滞留時間の増大をもたらす。 所定の線速度で滞留時間を延長することにより平衡粒子サイズに到達するかもしれない。

    シタラビン製剤における粒子サイズおよび第二エマルジョン混合の封入効率に関する種々の線速度でのミキサー直径の効果を測定してそのプロセスのスケールアップ可能性を評価した。 図16は上記粒子サイズ測定について記載されたような1/4” Kenicsミキサー、および種々の長さの3/16”ミキサーを使用する種々の線速度の封入効率に関する効果についてのデータを示す。 封入効率は全ての3つのミキサーについて70%〜80%の間で変化する。 全てのミキサーに関する平均封入%は3.4%の標準偏差で約74.8%である。 個々のKenics(商標)ミキサーに関する封入効率を表1に要約する。 封入効率を吹き込み後にサンプル中で測定した。

    データは、封入効率は同じミキサーデザインの線速度およびミキサー長さとは無関係であることを示唆する。

    実施例9. 第二エマルジョン混合に関する温度の効果
    測定を行って実施例1に記載されたシタラビン製剤の第二エマルジョン混合に関する温度の効果を研究した。 研究した温度範囲は25℃〜47℃であった。 実験のこの組について、16混合部材を含む3/16” Kenicsミキサーを使用した。1740 mL/分の全一定流量で容量形(positive displacement)ポンプを使用して、グルコース−リシン溶液を供給した。第二エマルジョンサンプルを吹き込みおよび分析のために除去した。図17は数加重平均粒子サイズに関する温度の効果が重要ではなく、それが非常にわずかであることを示す。図18は封入効率に関して温度の変化の効果がないことを示す。

    実施例10. 静的ミキサーを使用する第二エマルジョンの再現性
    静的ミキサーを使用する実施例1に記載されたシタラビン製剤の第二エマルジョンの再現性を評価した。 ベンチスケール(100 mL)系からのシタラビン第一エマルジョンを、約1750 mL/分の流量を使用して3/16” Kenics静的ミキサー(16部材)を使用して実施例2に上記されたグルコース−リシン第二水溶液で乳化した。流量は約330 cm/秒の線速度に相当する。グルコース−リシン温度を40℃で一定に保ち、その流れの容積比は1:5.67(第一エマルジョン:グルコース−リシン)であった。サンプルを吹き込み、粒子サイズ(数加重平均)および封入効率について分析した。個々の実験に関するデータを表2に示す。

    このデータは粒子サイズおよび封入%の両方について再現性が優れていることを実証する。

    前記の再現性の検討を、実施例5で上述したようにして調製されたモルヒネ含有第一エマルジョンを使用して繰り返した。 数加重平均粒子サイズはミキサー線速度により変化し(相関関係R 2 =0.857)、シタラビンによるよりも小さい粒子サイズをもたらした(約9.5μm、vs. 350 cm/秒でシタラビンでは約15μm)。 封入効率は78%〜87%の間で変化し、線速度とは無関係であった。

    静的ミキサーを使用して、モルヒネ含有MVLの4種のバッチを第二乳化について1Lスケールで調製した。 第一エマルジョンを上記のようにして調製した。 1/4”静的ミキサーを使用して1種のバッチを調製した。しかしながら、モルヒネ含有製剤に必要とされる低い線速度とすると、10分以上のプロセス時間をもたらし、そのため1/2” ODミキサーを残りの3種のバッチについて使用した。 結果を下記の表3に示す。

    この結果により、スパージ後の平均粒子サイズおよび封入効率は、2つのミキサーについて同等であることが実証された。 全てのバッチが5μm以下の粒子が0%であり、クロスフロー後の粒子サイズ仕様を満足した。 こうして、静的ミキサーは商用スケールで高度に再現性の生成物を与える。 1/2”ミキサーを通過した3種のサンプルの促進安定性は全てのバッチが37℃で少なくとも20日にわたって安定であり、幾つかのサンプルが27日を越えて安定であることを示した。

    実施例11. 一次濾過中の透過物バックパルシング
    透過物の逆方向パルシングは中空繊維フィルターによるダイアフィルトレーション中のゲル偏り層を減少または破壊するための方法である。 これは透過物フラックス(flux)、全膜表面積およびプロセス時間に関してクロスフロー濾過系の効率を増大し得る。 クロスフローを行うことにより更に迅速なバッチの方向転換(turn-around)、更に多くの複製、および物質消費の低減が可能になった。 プロセスパラメーターを大スケールプロセスから20倍スケールダウンした。 この実施例に使用したダイアフィルトレーションは3工程からなった:初期濃縮、バッファー濃縮、および最終濃縮。 保持物の流れを初期濃縮およびバッファー交換中に一定に保つ。 最終濃縮中に、流れを40%減少する。 フラックス対する影響はクロスフローのこの段階における急激な低下である。 この通常かつ予想された変化はMVL粒子に対する小さいせん断力を可能にする。 全ての透過物フラックスデータを20℃に修正した。 スケールダウンデータの比較により両方のスケールでの透過物フラックスプロフィールが良く一致し、対照として使用されることが示された。

    バックパルシングの効果を以下のようにして測定した。 透過物ポンプによらないクロスフロー濾過中に、透過物フラックスは典型的にはプロセスの開始直後に減少する。 この減少は2つの効果の組み合わせにより生じられる:ゲル偏り層の発生および膜汚損。 透過物流を透過物またはあらゆるその他の水溶液によるバックパルスに周期的に反転することにより、透過物フラックスはその初期レベルに回復する。 これが平均透過物フラックスを増大させ、それ故、総合プロセス時間を有意に減少する。 バックパルスによるバッチについての約60分の時点での透過物フラックスの低下は保持物(retentate)速度の低下のためである。 これらの効果を図19に示す。 この測定のために、約4-5 psig背圧をクロスフロー濾過中に保持物ラインに適用した。 バックパルスをバックパルスラインで10-12 psigで行った。

    2種のバックパルス容積、67 mLおよび135 mL (0.2x系)についてパルス間の間隔を変えることにより、ダイアフィルトレーションを更に評価した。 結果を図20に示す。 バックパルス容積は一定の膜貫通圧(TMP)でバックパルスの持続期間に直接比例する。 パルス間の時間間隔を10分間から減少すると、約3分間隔に達するまで平均フラックスを増大する。 約2.5分間より大きい間隔では、バックパルシングの利点よりも、余分な体積を除去するという欠点の方が上回ってしまう。 更に短い間隔では、バックパルス容積が反復してポンプ輸送されるので、平均フラックスが減少する。

    プロセス時間に関するバックパルス容積の効果を2.5分間および5分間の一定間隔で評価した。 図21はそれぞれの間隔について最適バックパルス容積2.7 mLおよび27 mLがあることを示す。 最適未満のバックパルス容積では、急激な減少があり、バックパルス容積がゲル偏り層を完全に取り去るのに不十分であることを示す。 バックパルス容積を使用しないが、透過物弁が2秒間(バックパルス67 mLをバックパルスするのに必要とされる平均時間)にわたって閉じるバックパルス実験を行った。 フラックス回収が不十分であり、透過物流の間欠的中断ではなく、液体のバックパルスがゲル層を除去することを実証した。 最適よりも高い容積では、フラックスが過度のバックパルス容積のためにほぼ線形で減少する。

    表4は種々のバックパルス容積を使用する、パルス間の種々の間隔についてのプロセス時間に関するダイアフィルトレーションの効果を示す。

    これらのデータは、バックパルス間の長い間隔および少ないバックパルス持続期間(すなわち、小さいバックパルス容積)は、結果として不十分な透過物フラックス回収となることを示す。 更に、透過物フラックスを最大にし、それによりダイアフィルトレーションプロセスのプロセス時間を減少するのに最適のバックパルス間の間隔およびバックパルス容積がある。 試験した系について、バックパルシングを使用して得られた最大時間節減は44%であった。

    実施例12. 自動化バックパルシングダイアフィルトレーション
    専用コンピュータプログラムに応答する特別な装置をバックパルス実験の自動化のために設置した。 自動化は小さいバックパルス容積(0.1%容積バックパルス流、または2.7 mLまでの低下)および種々のバックパルス間隔(1分程度に短い)を可能にした。 また、バックパルスプロセスの自動化により、バックパルス容積を増加する工程での精度が向上した。 なぜならば、容積はミリ秒時間スケールで測定され、弁が調節されるまでの人間の反応時間を含まないからである。 自動化プロセスの一部として、流量計を設置し、コンピュータに結合した。 流量計は人の手によるバックパルシングの場合のような分当りの平均ではなく、流量を瞬時に表示した。

    試験されたプロセスパラメーターの全ての組について自動化を使用して、プロセス時間が有意に減少されることが一貫してわかった。 例えば、2分間隔を2.5%容積バックパルスとともに使用した場合、人の手による平均プロセス時間は85.9分であった(標準偏差6.7分、6回の測定)。 相当する自動化実験は60分で完結した。 バックパルシングプロセスを自動化することの付加的な利点はゲル層形成および除去の一層正確な表示がグラフ化し得ることである。

    実施例13. 二次クロスフロー濾過
    シタラビン製剤からの予め調節したバルク材料を上記標準操作に従って10Lスケールで調製した。 10L装置を使用して下記のサイクルを行って非滅菌バッチをつくった:第一エマルジョン、第二エマルジョン、スパージ、開始工程を含むクロスフローダイアフィルトレーション、ならびに現場洗浄(CIP)回路AおよびB。

    二次クロスフロー濾過系を使用して、実施例1に上記されたシタラビン製剤からの後一次濾過物質(約32kg)を更に濃縮した。 クロスフローモジュールは0.2μAGTモジュール(A/G Technology)、カタログ#CFP-2-E-55であった。 そのバルクは10L生成物容器に含まれていた。 床スケール(floor scale)を使用して保持物重量をモニターしながら、700シリーズWatson Marlowポンプを使用して、保持物を循環した。 透過物を手動及びEG&Gタービン流量計でモニターした。 保持物入口圧力、保持物出口圧力および透過物圧力をモニターして膜貫通圧(TMP)を測定した。 幾つかの実験では、背圧を戻りラインに適用して入口圧力の圧力増加をモニターした。

    プロセス時間および収率に関する壁せん断速度(すなわち、保持物速度)、膜貫通圧、および初期透過物速度の効果を測定した。 5種のバッチを正確に同じ条件下で実験して変動を測定した。 二次クロスフロー濾過後の全シタラビン濃度と物質の最終容積の線形相関関係を見出した。 こうして、膜を通過するシタラビンの量はわずかである。

    合わせた全てのバッチの平均濃度は10.4 mg/mL (標準偏差0.6 mg/mL)であった。 二次クロスフロー濾過による調節工程の収率は96.9%(2.7%の標準偏差)であり、一方、デカントによる調節工程の収率は92.8%(標準偏差3.4%)であった。 従って、調節工程としての二次クロスフロー濾過の使用に関連する総合収率において8.4%改良された。

    実施例14. プロセス時間および収率に関する保持物(retentate)速度の効果
    プロセス時間および収率に対する二次濾過における保持物速度の効果を6Lpm〜10Lpmの保持物速度について測定し、表5に示す。

    背圧を保持物流に適用せず、透過物フラックスを調節しなかった。 表5は、これらの値の間の保持物速度の変化から生じるプロセスパラメーターに対する効果は、事実上ないことを示す。

    実施例15. プロセスパラメーターに関する膜貫通圧の効果
    プロセス時間および収率に関する二次濾過における膜貫通圧(TMP)の効果を2種の異なる保持物速度、8 lpmおよび6 lpmで評価した。 背圧を保持物ラインに適用しない場合、初期TMPは約0.7psi〜約0.9psiである。 このTMPを約1psiの増加と比較した。 表6中のデータはプロセス収率がTMPの変化により影響されなかったことを示唆する。

    しかしながら、図22に示されるように両方の保持物速度についてプロセス時間の有意な減少がある。 プロセス時間は3psigの入口圧力増加に相当する1.5〜1.6 psi TMPを適用することにより約50分から約35分程度に低くまで減少し得る。

    実施例16. 二次クロスフロー濾過の放出仕様
    一定のプロセスパラメーターで調製された5種のバッチ、および2種のその他のバッチを放出仕様について広範に試験した。 生成物試験は脂質内容物in vitro放出試験および2-8℃貯蔵寿命であった。 その結論としては、二次クロスフロー濾過で調製された生成物中の微粉(これらはデカントプロセス工程で生成物から除去される)の存在がin vitroの生成物の性質に悪影響しないということである。

    実施例17.1L対25Lスケール製造仕様比較
    本発明の1Lプロセスおよび25Lプロセスの両方により製造されたモルヒネ含有生成物を比較した。 二次乳化を実施例2で特定されたせん断ミキサーで行った。
    生成物仕様結果を表7に示す。

    その他の実施形態
    本発明がその詳細な説明に関して記載されたが、以上の記載は説明することを目的とするものであり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきであり、本発明の範囲は特許請求の範囲により特定される。 その他の態様、利点、および変更が特許請求の範囲内にある。

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