熱処理装置および熱処理方法

申请号 JP2012524433 申请日 2011-09-13 公开(公告)号 JP5874634B2 公开(公告)日 2016-03-02
申请人 旭硝子株式会社; 发明人 下宮 修; 安藤 博史;
摘要
权利要求

物品を熱処理する熱処理炉と、該熱処理炉の内部に少なくとも一部が配置され、前記物品の搬送方向に沿って、間隔を置いて長手方向が前記熱処理炉の幅方向と平行に複数設置される振動体と、該振動体を励振させる振動子とを備え、 前記振動体の一部が前記熱処理炉の外部に出ており、前記振動子は前記熱処理炉の外部に設けられ、 前記振動体の上側の面は、法線方向が異なる複数の部分を有し、 前記振動体の下方には、前記振動体からの音波を前記振動体に向けて反射する反射体が設けられ、 前記熱処理炉の内部において、前記振動体からの音波の放射圧によって前記振動体の上方に前記物品を浮かす熱処理装置。前記反射体の幅は前記振動体の幅の50%以上である請求項1に記載の熱処理装置。前記反射体のヤング率が70GPa以上である請求項1または2に記載の熱処理装置。前記反射体の融点が1300℃以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱処理装置。前記振動体は、ステンレス鋼またはカーボンで形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱処理装置。前記振動体は、アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成される請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱処理装置。前記振動子によって励振された前記振動体の撓み振動の周波数が15〜50kHzである請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱処理装置。前記振動子によって励振された前記振動体の撓み振動の振幅が0.25〜50μmである請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱処理装置。前記熱処理炉の外部に設けられる断熱ボックスをさらに備え、 前記振動子は、前記断熱ボックス内に配置される請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱処理装置。前記断熱ボックス内を冷却する冷却装置をさらに備える請求項9に記載の熱処理装置。前記熱処理炉の内部にある前記物品を所定方向に搬送する搬送部材をさらに備える請求項1〜10のいずれか1項に記載の熱処理装置。前記熱処理炉の内部に設けられ、前記物品を支持可能な支持ロールをさらに備え、 前記支持ロールは、前記振動体に対して相対的に昇降可能である請求項11に記載の熱処理装置。前記振動体と前記支持ロールは、前記物品の搬送方向に沿って、間隔をおいて交互に配置されている請求項12に記載の熱処理装置。物品を熱処理する熱処理炉の内部において、振動体を励振させ、該振動体からの音波の 放射圧によって前記振動体の上方に前記物品を浮かす、請求項1〜13のいずれか1項に記載の熱処理装置を用いた熱処理方法。

说明书全文

本発明は、熱処理装置および熱処理方法に関する。

従来から、熱処理装置として、物品を熱処理する熱処理炉、および熱処理炉の内部において物品を支持する複数のロールなどを備える装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。物品は、複数のロール上を平に搬送されながら熱処理される。

一方、近年では、物品を非接触で支持する技術として、振動体を励振させて、振動体からの音波の放射圧によって振動体の上方に物品を浮かす技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。

日本国特開2009−155164号公報

日本国特開平7−24415号公報

しかしながら、特許文献1に記載の熱処理装置では、例えばロールの外周面に異物または傷が付いていると、ロールが1回転するたびに、物品の表面に傷が付くという問題がある。この問題は、物品が熱によって軟化している場合に顕著である。

一方で、上記特許文献2に記載の技術は、室温の物品を非接触で支持することを前提としており、室温よりも高温の物品を非接触で支持することについて言及がない。

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、熱処理される物品の損傷を抑えることができる熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。

上記課題を解決するため、本発明の熱処理装置は、 物品を熱処理する熱処理炉と、該熱処理炉の内部に少なくとも一部が配置され、前記物品の搬送方向に沿って、間隔を置いて長手方向が前記熱処理炉の幅方向と平行に複数設置される振動体と、該振動体を励振させる振動子とを備え、 前記振動体の一部が前記熱処理炉の外部に出ており、前記振動子は前記熱処理炉の外部に設けられ、 前記振動体の上側の面は、法線方向が異なる複数の部分を有し、 前記振動体の下方には、前記振動体からの音波を前記振動体に向けて反射する反射体が設けられ、 前記熱処理炉の内部において、前記振動体からの音波の放射圧によって前記振動体の上方に前記物品を浮かす熱処理装置である。 以上

本発明によれば、熱処理される物品の損傷を抑えることができる熱処理装置および熱処理方法を提供することができる。

図1は、本発明の一実施形態による熱処理装置を備える板ガラス製造装置の定常時の側面断面図である。

図2は、板ガラス製造装置100のスタートアップ時の側面断面図である。

図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。

図4は、図1の熱処理炉402の内部構造を示す上面図である。

図5は、図1の熱処理炉402の内部構造を示す側面図である。

図6(A)および図6(B)は、搬送ロールの第1変形例および第2変形例の正面図である。

図7(A)〜図7(F)は、振動体の第1変形例〜第6変形例の断面図である。

図8(G)〜図8(L)は、振動体の第7変形例〜第12変形例の断面図である。

図9(M)〜図9(P)は、振動体の第13変形例〜第16変形例の断面図である。

図10(A)および図10(B)は、反射体の第1変形例および第2変形例の断面図である。

図11(C)および図11(D)は、反射体の第3変形例および第4変形例の正面図である。

図12は、反射体の第5変形例(チルト機構)を示す断面図である。

図13(F)〜図13(J)は、反射体の第6変形例〜第10変形例の断面図である。

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一のまたは対応する構成には、同一のまたは対応する符号を付して説明を省略する。なお、本発明において、“上方”とは鉛直上方を指し、“下方”とは鉛直下方を指す。

なお、本発明は、後述の実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、後述の実施形態に種々の変形および置換を加えることができる。

例えば、後述の実施形態では、板ガラス製造装置用の熱処理装置について説明するが、この熱処理装置を例えばガラス製品(例えば、自動車用窓ガラス)を熱処理する熱処理装置に適用しても良いし、ガラスの代わりに、例えば、セラミックス、樹脂、金属などを熱処理する熱処理装置に適用しても良い。また、熱処理装置400によって熱処理を行う物品の形状は、板状でなくても良い。

図1は、本発明の一実施形態による熱処理装置を備える板ガラス製造装置の定常時の側面断面図である。図2は、板ガラス製造装置100のスタートアップ時の側面断面図である。図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。

板ガラス製造装置100は、図1に示すように、ガラス原料10を加熱し溶解させて、溶融ガラス12を作製する溶解装置200と、溶解装置200で作製された溶融ガラス12を成形して、帯板状の成形ガラス14を作製する成形装置300と、成形装置300で作製された成形ガラス14を熱処理する熱処理装置400とを備える。

(溶解装置) 溶解装置200は、ガラス原料10を溶解して、溶融ガラス12を作製する装置である。溶解装置200は、一般的なものであって良く、原料投入口202および溶解槽204を備えている。原料投入口202から溶解槽204へ投入されたガラス原料10は、バーナー206からの火炎熱などによって加熱され、溶解槽204内に収容される溶融ガラス12に徐々に融け込む。

ガラス原料10は、製品の用途に応じて、複数種類の材料を混ぜて調製される。例えば、液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス基板を製造する場合、アルカリ金属酸化物を実質的に含まない無アルカリガラスとなるようにガラス原料10を調製する。また、プラズマディスプレイ(PDP)用ガラス基板や自動車用窓ガラスを製造する場合、ソーダライムガラスとなるようにガラス原料10を調製する。

(成形装置) 成形装置300は、溶解装置200で作製された溶融ガラス12を成形して、帯板状の成形ガラス14を作製する装置である。成形装置300は、一般的なものであって良く、例えば図1に示すように、フロート成形装置であって良い。フロート成形装置は、浴槽302内の溶融錫304の浴面に溶融ガラス12を連続的に供給して、帯板状に成形する装置である。

なお、成形装置300は、フロート成形装置に限定されることはなく、例えばフュージョン成形装置であっても良い。フュージョン成形装置は、樋の内部に溶融ガラス12を連続的に供給し、樋から左右両側に溢れ出た溶融ガラス12を、樋の下縁で合流させて帯板状に成形する装置である。

(熱処理装置) 熱処理装置400は、成形装置300で成形された成形ガラス14を熱処理する装置である。熱処理装置400は、成形ガラス(本発明の物品に相当)14を熱処理する熱処理炉402と、熱処理炉402の内部に少なくとも一部が配置される振動体404と、振動体404を励振させる振動子406(図3参照)とを備える。

熱処理炉402内には、雰囲気温度や成形ガラス14の温度を精密に制御するため、複数の電気ヒータ402aが設置されている。ヒータ402aの位置や大きさは、熱処理炉402内の熱的なバランスに応じて決定される。例えば、ヒータ402aは、炉内の天井から吊り下げられたり、炉床に設置されたり、炉内の側壁に設置されたりする。ヒータ402aは、図3に示すように熱処理炉402の幅方向(成形ガラス14の幅方向と平行な方向)に延びている。なお、ヒータ402aは、熱処理炉402の幅方向に複数に配置されていてもよい。

この熱処理装置400は、熱処理炉402の内部において、振動体404からの音波の放射圧によって振動体404の上方に成形ガラス14を浮かす。これによって、成形ガラス14を非接触で支持することができ、成形ガラス14の損傷を抑えることができる。

(熱処理炉) 熱処理炉402は、成形ガラス14を室温よりも高温で熱処理する炉である。熱処理炉402としては、例えば電気炉、ガス炉などが用いられる。熱処理炉402はその内部温度が入口408から出口410に行くほど低温になるように設定しても高温になるように設定してもよい。徐々に低温になる熱処理炉としては徐冷炉が挙げられる。

成形ガラス14は、熱処理炉402の入口408から出口410に搬送されて、徐冷された後、所望の寸法形状に切断され、製品である板ガラスとなる。成形ガラス14の幅方向両端部16(図3参照)は、通常、切断工程で切除される部分であって、製品とならない部分である。

なお、熱処理炉402内の温度分布は、熱処理装置400の用途に応じて適宜設定して良い。

(振動体) 振動体404は、図3に示すように、熱処理炉402の内部に少なくとも一部が配置される。振動体404は、例えば帯板状に形成され、略水平に配置される。なお、振動体404の形状や配置は、特に制限はなく、成形ガラス14の形状や配置などに応じて適宜設定して良い。

振動体404の長手方向一端部は、ホーン414やブースター416などの振動伝達部材を介して振動子406に接続されている。振動子406の振動は、振動伝達部材によって振動体404の長手方向一端部に伝達される。なお、振動伝達部材はなくても良く、この場合、振動体404と振動子406とが直接に接続される。

一方、振動体404の長手方向他端部は、自由端部となっている。なお、振動体404の長手方向他端部は、固定端部であっても良いし、振動体404の長手方向一端部と同様に、振動伝達部材を介して振動子406に接続されても良い。

振動体404の一部は、熱処理炉402の外部に出ている。例えば図3に示すように、振動体404は熱処理炉402を幅方向に貫通して、振動体404の長手方向両端部が熱処理炉402の外部に出ている。

このように、振動体404の一部を熱処理炉402の外部に出すことによって、熱処理炉402の外部に振動子406を設けることが可能となる。また、振動子406を昇降可能に支持する第1の昇降装置460などを、熱処理炉402の外部に設けることが可能となる。

振動体404は、例えば、図1に示すように、熱処理炉402の全域にわたって、成形ガラス14の搬送方向に沿って、間隔をおいて複数設置されている。振動体404の設置位置に特に制限はないが、少なくとも熱処理炉402内の温度の高い領域(例えば、熱処理炉402の入口408付近)には振動体404が設置されていることが望ましい。温度の高い領域では、成形ガラス14が軟化しているので、傷が付きやすいからである。

振動体404は、熱処理炉402の内部温度などに応じた材料で形成される。振動体404の材料としては、例えばステンレス鋼、カーボン、アルミニウムもしくはアルミニウム合金、チタンもしくはチタン合金、又はニッケルもしくはニッケル合金などが用いられる。ステンレス鋼やカーボンは比較的高い融点を有するので耐熱性に優れており、アルニウムやアルミニウム合金は靱性に優れている。振動体404の材料としてカーボンを用いる場合、振動体404の酸化を防ぐため、熱処理炉402内を窒素雰囲気などの不活性雰囲気にすることが好ましい。また、振動体404の材料としては、セラミックスやマンガン鋼、鋳鉄などを用いることも可能である。

振動体404は、耐食性や耐酸化性を向上するため、基材を表面コーティングしたものであってよい。コーディング方法としては、例えば溶射法、メッキ法、蒸着法(PVD法及びCVD法を含む)などが用いられる。溶射法で形成されるコーディング層は、例えば炭化タングステンなどの超硬材、セラミックス、又はNi系合金やCr系合金などの耐熱合金からなる。メッキ法で形成されるコーディング層は、例えばCr系合金、又はNi系合金からなる。蒸着法で形成されるコーディング層は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる。

なお、本実施形態では、振動体404の長手方向両端部を熱処理炉402の外部に出すとしたが、振動体404の長手方向一端部のみを熱処理炉402の外部に出しても良い。この場合も、熱処理炉402の外部に振動子406などを設けることが可能である。

なお、本実施形態では、振動体404の長手方向は、熱処理炉402の幅方向と平行であるとしたが、垂直または斜めであるとしても良い。

(振動子) 振動子406は、図3に示すように、熱処理炉402の炉壁又は炉床に対して直接的又は間接的に(例えば昇降装置を介して)固定されている。振動子406は、振動体404を励振させるものであって、振動体404毎に設けられる。複数の振動子406は、同じ位相で振動しても良いし、異なる位相で振動しても良い。

振動子406は、超音波振動子であって良く、例えば圧電素子または磁歪素子などで構成される。振動子406は、コンピュータなどの制御装置による制御下で、縦振動する。この縦振動が振動体404に伝達すると、振動体404が上下方向に撓み振動して、振動体404から上下方向に音波が発振される。

振動体404の撓み振動によって形成される波形は、定在波であることが望ましい。進行波であると、振動体404からの音波の放射圧によって成形ガラス14が意図しない方向に搬送されることがある。なお、振動体404の形状や配置を最適化することで、振動体404からの音波の放射圧を利用して、成形ガラス14を所望の方向に搬送することも可能である。

振動体404の撓み振動の周波数は、例えば振動体404の形状や寸法などに応じて適宜設定されるが、15〜50kHzであると好ましい。15kHzを下回ると人間の可聴域になり、作業を行うにあたって障害となる。また50kHzを超える振動発生は電源や振動子406の性質上、困難である。前記周波数は、より好ましくは18〜30kHzであり、さらに好ましくは19.5kHz程度である。

また、振動体404の撓み振動の振幅は、0.25〜50μmであると好ましい。ここで、「振幅」とは、振動中心からの最大変位量をいう。前記振幅は、0.25μm以上になると成形ガラス14を十分に浮上させることができ、かつ50μm以下であると振動体404などの破損の発生を抑制できる。

振動子406は、図3に示すように、熱処理炉402の外部に設置されている。これによって、振動子406の熱劣化を低減することができる。振動子406の熱劣化をさらに低減することを目的として、振動子406を熱処理炉402の外部に設けられる断熱ボックス430内に配置しても良く、その場合、冷却装置440によって断熱ボックス430内を冷却することが望ましい。

(その他の構成) 熱処理装置400は、図3などに示すように、断熱ボックス430、冷却装置440、反射体450、第1および第2の昇降装置460、470、搬送部材である搬送ロール480(図1参照)、ならびに支持ロール490(図1参照)をさらに備えている。以下、各構成について説明する。

(断熱ボックス) 断熱ボックス430は、図3に示すように、熱処理炉402の外部に設置されている。断熱ボックス430は、少なくとも振動子406側に設けるが、両側に設けてもよい。断熱ボックス430(振動子406側)の内部には、振動子406、第1の昇降装置460などが配置される。断熱ボックス430が両側に設けられている場合、他方の断熱ボックス430内には、第2の昇降装置470などが配置される。これによって、振動子406、第1および第2の昇降装置460、470などの熱劣化を抑制することができる。

断熱ボックス430は、例えば筐体432および筐体432の内壁面に貼り付けられる断熱材434などからなる。筐体432は、例えばSS材などの耐熱鋼などで構成され、振動子406などで生じる騒音を遮る遮音部材として機能する。断熱材434は、例えばグラスウール、石膏ボードなどで構成され、振動子406などで生じる騒音を吸収する吸音材としても機能する。

断熱ボックス430は、熱処理炉402に接触するように固定しても良いが、熱処理炉402からの熱伝達を制限するため、例えば図3に示すように、熱処理炉402に対して離間して固定しても良い。

(冷却装置) 冷却装置440は、図3に示すように、断熱ボックス430内を冷却する装置である。冷却装置440は、断熱ボックス430毎に設けられ、断熱ボックス430に固定されている。

冷却装置440は、例えば、断熱ボックス430内に冷却ガスを吹き込むことで、または、断熱ボックス430の外壁を冷却することで、断熱ボックス430内を冷却する。これによって、断熱ボックス430内に配置される振動子406、第1および第2の昇降装置460、470などの熱劣化をさらに抑制することができる。

(反射体) 反射体450は、図3に示すように、振動体404の下方に設けられ、振動体404からの音波を振動体404に向けて反射する。その反射波の放射圧によって、反射体450の上方に振動体404を浮かすことができ、振動体404の自重変形を抑えることができる。この効果は、振動体404の長手方向他端部が自由端部である場合に顕著である。

反射体450は、振動体404毎に設けられても良いし、複数の振動体404が一つの反射体を共用する構成であっても良い。また反射体450は、熱処理炉402の炉壁又は炉床に対して直接的又は間接的に(例えば昇降装置を介して)固定されている。反射体450は、振動体404と平行に設置されており、その上面が水平面となっている。 なお、反射体450の形状や配置は、特に制限はなく、振動体404の形状や配置などに応じて適宜設定して良い。

反射体450は、断面2次モーメントを高めるため、例えば図1に示すように断面形状が四環状に形成される。尚、図13(F)から図13(J)に示す反射体450F〜450Jのように、断面形状は逆U字状、I字状、T字状、逆L字状、Z字状などであってもよい。

反射体450の一部は、熱処理炉402の外部に出ている。例えば図3に示すように、反射体450は熱処理炉402を幅方向に貫通して、反射体450の長手方向両端部が熱処理炉402の外部に出ている。

このように、反射体450の一部を熱処理炉402の外部に出すことによって、反射体450を昇降可能に支持する第1および第2の昇降装置460、470の少なくとも一方を、熱処理炉402の外部に設けることが可能となる。

反射体450の幅W1(図5参照)は、反射体450が振動体404毎に設けられる場合、振動体404の幅W2の50%以上であることが好ましい。50%以上とすることで、反射体450からの音波の放射圧を十分に高めることができ、振動体404を非接触で十分に支持することができる。より好ましい範囲は80%以上である。

一方、反射体450の幅W1が振動体404の幅W2の150%を超えると、反射体450からの音波の放射圧が飽和するようになり、また、反射体450の設置スペースが過大となる。従って、反射体450の幅W1は、振動体404の幅W2の150%以下であることが好ましい。

反射体450のヤング率は、70GPa以上であることが好ましい。70GPa以上とすることで、反射体450の自重変形を十分に抑えることができる。より好ましい範囲は190GPa以上であり、さらに好ましい範囲は210GPa以上である。

反射体450の融点は、1300℃以上であることが好ましい。1300℃以上とすることで、反射体450の軟化を十分に抑えることができる。より好ましい範囲は1500℃以上であり、さらに好ましい範囲は1700℃以上である。

反射体450の材料は、特に限定されないが、ステンレス鋼などの耐熱鋼やシリカなどのセラミックス材料であって良い。ステンレス鋼としては、例えばSUS310Sなどが用いられる。

(第1の昇降装置) 第1の昇降装置460は、図3に示すように、熱処理炉402の炉床に対して振動子406(ひいては、振動体404)を昇降可能に支持する装置である。第1の昇降装置460は、一般的な構成であって良く、油圧ジャッキなどで構成される。これによって、振動体404と成形ガラス14との位置関係を最適化することができる。第1の昇降装置460は、振動体404毎に設けられる。

第1の昇降装置460は、熱処理炉402の外部に設けられている。これによって、第1の昇降装置460の熱劣化を抑えることができる。第1の昇降装置460の熱劣化をさらに抑えることを目的として、第1の昇降装置460を断熱ボックス430内に配置しても良く、その場合、冷却装置440によって断熱ボックス430内を冷却することが望ましい。

第1の昇降装置460は、熱処理炉402の炉床に対して、振動体404を昇降可能に支持する機能に加えて、反射体450の長手方向一端部を昇降可能に支持する機能を有している。振動体404および反射体450は、それぞれ独立に昇降可能であることが望ましい。これによって、反射体450と振動体404との位置関係を最適化することができる。

(第2の昇降装置) 第2の昇降装置470は、熱処理炉402の炉床に対して、反射体450の長手方向他端部を昇降可能に支持する装置である。第2の昇降装置470は、第1の昇降装置460と同様に、一般的な構成であって良い。第2の昇降装置470は、反射体450毎に設けられる。

第2の昇降装置470は、図3に示すように、熱処理炉402の外部に設けられている。これによって、第2の昇降装置470の熱劣化を抑えることができる。第2の昇降装置470は、第1の昇降装置460と同様に、断熱ボックス430内に配置しても良く、その場合、冷却装置440によって断熱ボックス430内を冷却することが望ましい。

なお、第1の昇降装置460及び第2の昇降装置470に加え、第3の昇降装置として、反射体450の長手方向中央又はその近傍を支持するように、1つ以上の昇降装置を設けても良い。反射体450が長尺になると自重によりその中央がたわんで振動体404の浮上が不安定になることがあるが、第3の昇降装置が反射体450の長手方向中央又はその近傍を支持することによりたわみを抑制できるため、振動体404の浮上を安定化できる。

(搬送ロール) 搬送ロール480は、図1に示すように、熱処理炉402の内部にある成形ガラス14を所定方向に搬送する。これによって、熱処理炉402内の温度分布を利用して、成形ガラス14の温度を経時変化させることができる。

搬送ロール480は、成形ガラス14の搬送方向に沿って、間隔をおいて複数設けられている。複数の搬送ロール480は、それぞれの中心軸の周りに回転駆動され、その外周面に接触する成形ガラス14を搬送する。各搬送ロール480の周速度は、成形ガラス14の搬送速度と略同一になっている。各搬送ロール480は、例えば円柱状であって、中空構造を有して良い。

搬送ロール480は、成形ガラス14の損傷を抑えるため、温度の低い領域に設置されることが好ましい。例えば、搬送ロール480は、図1に示すように熱処理炉402外の出口410付近に設置されても良いし、熱処理炉402内の出口410付近や中央付近に設置されても良い。

なお、搬送ロール480は、熱処理炉402内の入口408付近に設置されても良い。この場合も、振動体404からの音波の放射圧によって、搬送ロール480と成形ガラス14との接触圧が軽減されるので、成形ガラス14の損傷を抑えることができる。

(搬送ロールの変形例) 図6(A)および図6(B)は、搬送ロールの第1変形例および第2変形例の正面図である。図6(A)および図6(B)に示す搬送ロール480Aおよび480Bは、図1に示す搬送ロール480に代えて用いることができる。

図6(A)に示す搬送ロール480Aは、成形ガラス14の幅方向両端部16に接触する回転可能な回転部482A、482Aと、回転部482A、482A同士を同軸的に連結する回転軸部484Aとで構成される。回転軸部484Aの外径は回転部482Aの外径よりも小さく、搬送ロール480Aは成形ガラス14の幅方向両端部16のみに接触する。成形ガラス14の幅方向両端部16は、板ガラスの製造工程の途中で切除される部分であって、製品とならない部分である。よって、搬送ロール480Aによる成形ガラス14の損傷が問題とならなくなる。

図6(B)に示す搬送ロール480Bは、成形ガラス14の幅方向両端部16に接触する回転可能な回転部482B、482Bと、回転部482B、482B同士を同軸的に連結する回転軸部484Bと、回転軸部484Bから径方向外方に突出する円環状の突出部486Bとで構成される。突出部486Bの外周面が成形ガラス14の切断予定部に接触する。切断予定部は、成形ガラス14を複数の板ガラスに切断する予定の部分である。切断予定部は、切断後に板ガラスの外縁部となる。板ガラスがディスプレイ用のガラス基板である場合、ガラス基板の外縁部は、薄膜トランジスタ(TFT)やカラーフィルター(CF)などが形成されない部分であるので、傷付いても問題とならない。

(支持ロール) 支持ロール490は、例えば図2に示すように、熱処理炉402の内部に設けられ、成形ガラス14を支持可能なものである。支持ロール490は、成形ガラス14の搬送方向に沿って、間隔をおいて複数設けられている。複数の支持ロール490は、それぞれの中心軸の周りに回転駆動され、その外周面に接触する成形ガラス14を搬送する。各支持ロール490の周速度は、成形ガラス14の搬送速度と略同一になっている。各支持ロール490は、例えば円柱状であるが、図6(A)および図6(B)に示す搬送ロール480Aおよび480Bと同様の形状であってもよい。また、各支持ロール490は、中空構造を有して良い。

隣り合う支持ロール490の間には、図4および図5に示すように、振動体404が1つずつ配置されている。即ち、支持ロール490と振動体404とが、成形ガラス14の搬送方向に沿って、間隔をおいて交互に繰り返し並んでいる。振動体404による搬送は成形ガラス14に傷が付きにくく、支持ロール490による搬送は安定して成形ガラス14を搬送できる。前述のように両者を交互に配置して適宜切り替えることにより、状況に応じてそれぞれの長所を活かすことができる。ただし、支持ロール490と振動体404との配列順序は、特に制限はなく、用途に応じて適宜設定して良い。

支持ロール490は、振動体404に対して相対的に昇降可能である。即ち、支持ロール490および振動体404の少なくとも一方が、熱処理炉402の炉床に対して昇降可能である。これによって、必要に応じて、図1に示すように、支持ロール490を成形ガラス14から離間させることができる。

なお、本実施形態の支持ロール490は、熱処理炉402の全域にわたって設置されているが、その設置位置に制限はない。例えば、支持ロール490は、熱処理炉402内の温度の高い領域(例えば、熱処理炉402内の入口408付近)にのみ設置されても良い。

(支持ロールの使用方法) 例えば、板ガラス製造装置100のスタートアップ時には、成形ガラス14が厚くなったり、厚さや形状が不均一になる傾向があるので、振動体404からの音波の放射圧によって振動体404の上方に成形ガラス14を浮上させることが困難な場合がある。このような場合、図2に示すように、支持ロール490を成形ガラス14に接触させて成形ガラス14を支持すると共に、支持ロール490を回転駆動して成形ガラス14を所定方向に搬送する。

一方、板ガラス製造装置100の定常時には、図1に示すように、支持ロール490を成形ガラス14から離間させる。これによって、支持ロール490による成形ガラス14の損傷を防止することができる。なお、支持ロール490を成形ガラス14から離間させた後、支持ロール490の回転を停止して良い。 なお、複数の振動体404を密に配置することで、支持ロール490を用いないことも可能である。

(振動体の変形例) 図7(A)〜図7(F)、図8(G)〜図8(L)、および図9(M)〜図9(P)は、振動体の第1変形例〜第16変形例の断面図である。断面は、振動体の長手方向(延びる方向)と垂直な断面である。振動体の長手方向は水平方向である。図7(A)〜図7(F)、図8(G)〜図8(L)、および図9(M)〜図9(P)中の左右方向は、振動体の長手方向、および上下方向の両方向に対して垂直な方向である。図9(P)は、振動体404Pと、振動体404Pからの音波を振動体404Pに向けて反射する反射体450Pとを示す。

図7(A)〜図7(F)および図8(G)〜図8(L)に示す振動体404A〜404Lの上側の面は、振動体から成形ガラスに向かう音波の放射圧を分散、集中するため、法線方向が異なる複数の部分を有する。

例えば、図7(A)〜図7(F)および図8(G)に示す振動体404A〜404Gの上側の面は、振動体から成形ガラスに向かう音波の放射圧を左右方向に拡散するため、左右方向両端部が左右方向中央部よりも下方に位置するよう構成されている。振動体の上側の面は、曲面、複数の平面、または曲面と平面の組合せなどで構成される。例えば、振動体の上側の面は、図7(A)に示すように円弧面、図7(B)に示すように水平な平面と該平面の左右方向両端部から下方に延びる円弧面との組合せ、図7(C)〜7(E)に示すように上に凸の曲面、図7(F)に示すように2つの平面からなる逆V字面、図8(G)に示すように水平な平面と該平面の左右方向両端部から下方に斜めに延びる傾斜面との組合せなどで構成される。振動体は、中実であっても中空であってもよく、振動体の下側の面の構成は特に限定されない。

また、図8(H)〜図8(J)に示す振動体404H〜404Jの上側の面は、振動体から成形ガラスに向かう音波の放射圧を左右方向に集中するため、左右方向両端部が左右方向中央部よりも下方に位置するよう構成されている。振動体の上側の面は、曲面、複数の平面、または曲面と平面の組合せなどで構成される。例えば、振動体の上側の面は、図8(H)に示すように下に凸の曲面、図8(I)〜図8(J)に示すように水平な平面と該平面の左右方向両端部から上方に斜めに延びる傾斜面との組合せなどで構成される。振動体は、中実であっても中空であってもよく、振動体の下側の面の構成は特に限定されない。

さらに図8(K)および図8(L)に示す振動体404Kおよび404Lの上側の面は、振動体から成形ガラスに向かう音波の放射圧を左右方向に集中したり、拡散したりするため、左右方向に沿って凹凸を有する。振動体の上側の面は、曲面、複数の平面、または曲面と平面の組合せなどで構成される。振動体は、中実であっても中空であってもよく、振動体の下側の面の構成は特に限定されない。

図9(M)および図9(N)に示す振動体404Mおよび404Nは、振動体の剛性を高めるため、図9(M)に示すように断面形状が四角環状、図9(N)に示すように逆U字状に形成されている。なお、図7(A)〜図7(E)に示す振動体404A〜404Eも比較的高い剛性を有する。

図9(O)に示す振動体404Oは、断面形状が櫛歯状に形成されている。上下方向寸法が長い部分は上下方向に振動し難く、上下方向寸法が短い部分は上下方向に振動し易い。そのため、振動体404Oを幅方向に複数の領域に分割して振動させることができ、振動体404Oの幅方向における振動ムラを抑えることができる。断面形状がT字状の場合も同様の効果が得られる。

図9(P)に示す振動体404Pは、板状であって、板厚方向に貫通する貫通孔404Paを複数有している。この振動体404Pの下方には角筒状の反射体450Pが配置され、反射体450Pの上部には反射体450Pの内側空間に供給されるガスを外部に噴出する噴出孔450Paが複数形成されている。噴出孔450Paから噴き出したガスは、振動体404Pに形成される貫通孔404Paを通って、成形ガラスの下側の面に吹き付けられる。ガスの風圧によって、成形ガラスの浮上を支援することができる。また、ガスが熱を運搬することによって、温度分布を調節することができる。

(反射体の変形例) 図10(A)および図10(B)は反射体の第1変形例および第2変形例の断面図である。断面は、反射体の長手方向(延びる方向)と垂直な断面である。反射体の長手方向は、水平方向であって、振動体の長手方向と略平行である。図10(A)および図10(B)中の左右方向は、反射体の長手方向、および上下方向の両方向に対して垂直な方向である。

図10(A)および図10(B)に示す反射体450Aおよび450Bの上側の面は、振動体の下側の面に沿う曲面である。

例えば、図10(A)に示す反射体450Aの上側の面は、左右方向両端部から左右方向中央部に行くほど上方に向かう凸曲面である。この凸曲面は、例えば図7(C)、図7(F)および図9(N)に示す振動体404C、404Fおよび404Nなどに適用される。

また、図10(B)に示す反射体450Bの上側の面は、左右方向両端部から左右方向中央部に行くほど下方に向かう凹曲面である。この凹曲面は、例えば図7(A)、図7(D)、図8(H)および図8(I)に示す振動体404A、404D、404Hおよび404Iなどに適用される。

図11(C)および図11(D)は反射体の第3変形例および第4変形例の正面図である。図11(C)および図11(D)は、反射体450C、450D、振動体404および成形ガラス14を示す。図11(C)および図11(D)中の左右方向は、成形ガラス14の幅方向と平行な方向である。

例えば、図11(C)に示す反射体450Cの上側の面は、左右方向両端部から左右方向中央部に行くほど上方に向かう凸曲面である。この場合、反射体450Cからの反射波の放射圧によって、振動体404の上側の面は、左右方向両端部から左右方向中央部に行くほど上方に向かう凸曲面となる。よって、振動体404からの音波の放射圧が成形ガラス14を幅方向外方に引き伸ばすように作用するので、成形ガラス14のシワが取り除かれる。このとき、重も成形ガラス14のシワを取り除くのに貢献する。

また、図11(D)に示す反射体450Dの上側の面は、左右方向両端部から左右方向中央部に行くほど下方に向かう凹曲面である。この場合、反射体450Dからの反射波の放射圧によって、振動体404の上側の面は、左右方向両端部から左右方向中央部に行くほど下方に向かう凹曲面となる。よって、振動体404からの音波の放射圧が成形ガラス14を幅方向内方に寄せるように作用するので、成形ガラス14がその長手方向に搬送されるとき幅方向にずれるのを制限することができる。

なお、図示されない上述の第3の昇降装置によって、図3に示す反射体450の長手方向中央部を昇降することで、反射体450の上側の面の状態を、図11(C)に示す状態と、図11(D)に示す状態との間で切り替えることが可能である。

(チルト機構) 図12は、チルト機構を備えた反射体示す側面である。図12において、実線は反射体450Eが回動範囲の左端位置にあるときの状態を示し、2点鎖線は反射体450Eが回動範囲の右端位置にあるときの状態を示す。

熱処理装置400は、反射体450Eの長手方向(水平方向)と平行な軸線を中心に反射体450Eを回動させるチルト機構を有してよい。チルト機構は、反射体450Eの円弧状の下側の面452Eを回動可能に支持する円弧状の支持面454Eなどで構成される。支持面454Eの曲率中心が、反射体450Eの回動軸線となる。この回動軸線は、成形ガラスの板厚方向中心又はその近傍に位置するように設定される。

反射体450Eがモータなどによって回動されると、反射体450Eからの反射波の放射圧の向きが変わる。その結果、振動体404の姿勢が変わるので、振動体404からの音波の放射圧の向きを調節することができる。振動体404からの音波の放射圧のムラを低減するため、反射体450Eの正逆回動を繰り返し行ってもよい。

なお、熱処理装置400は、熱処理炉402の幅方向および/または長手方向に反射体450をスライドさせるスライド機構、熱処理炉402の長手方向と平行な軸線を中心に反射体450を回動させる別のチルト機構をさらに有してもよい。

本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の範囲と精神を逸脱することなく、様々な修正や変更を加えることができることは、当業者にとって明らかである。 本出願は、2010年11月8日出願の日本特許出願2010−250170に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

10 ガラス原料 12 溶融ガラス 14 成形ガラス(物品) 100 板ガラス製造装置 200 溶解装置 300 成形装置 400 熱処理装置 402 熱処理炉 404 振動体 406 振動子 430 断熱ボックス 440 冷却装置 450 反射体 460 第1の昇降装置 470 第2の昇降装置 480 搬送ロール(搬送部材) 490 支持ロール

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