Non-contact transport apparatus, a non-contact transfer method and the non-contact transport system

申请号 JP2011513274 申请日 2010-02-24 公开(公告)号 JP5483239B2 公开(公告)日 2014-05-07
申请人 国立大学法人東京工業大学; 发明人 大介 小山; 中村  健太郎;
摘要
权利要求
  • 長尺な平板状に形成されたたわみ振動板と、上記たわみ振動板と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板と、上記たわみ振動板を長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子と、上記複数個の超音波振動子を異なる位相の電気信号により励振する駆動部とを備え、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板と上記反射板により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体を上記たわみ振動板の長手方向に搬送する非接触搬送部を複数連結してなる非接触搬送システムであって、
    たわみ振動板と反射板で挟まれたリング状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送部にたわみ振動板と反射板で挟まれた直線状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送部を複数連結してなり、搬送元から直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部を介して搬入された被搬送微小物体を上記リング状の空間を搬送路とした非接触搬送部を介して搬送先の直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部に選択的に受け渡すことを特徴とする非接触搬送システム。
  • 上記直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部は、
    上記直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部は、互いに対向する矩形形状に形成されたたわみ振動板と反射板を備え、上記たわみ振動板と上記反射板で挟まれた直線状の空間を上記被搬送微小物体の搬送路とし、
    上記駆動部により上記たわみ振動板を長手方向の2箇所において加振する1対の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させ、上記たわみ振動板と上記反射板により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記1対の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御して、上記たわみ振動板を進行波超音波振動させ、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体を上記たわみ振動板の長手方向に搬送する ことを特徴とする請求項1記載の非接触搬送システム。
  • 上記1対の超音波振動子は、上記たわみ振動板の自由振動における腹の位置を上記たわみ振動板を長手方向の2箇所において加振することを特徴とする請求項2記載の非接触搬送システム。
  • 上記1対の超音波振動子は、それぞれ超音波ホーンを介して上記たわみ振動板を長手方向の2箇所において加振することを特徴とする請求項2記載の非接触搬送システム。
  • 上記駆動部は、上記1対の超音波振動子を励振する上記電気信号の周波数を変化させることにより、上記たわみ振動板と上記反射板に挟まれた空間において上記被搬送微小物体を捕捉する上記超音波定在波の節部の位置を制御することを特徴とする請求項2記載の非接触搬送システム。
  • 上記リング状の空間を搬送路とした非接触搬送部は、
    リング形状に形成されたわみ振動板を備え、
    上記駆動部により上記リング形状のたわみ振動板の円周方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御し、上記たわみ振動板と反射板により挟まれた空間に隣接して発生される超音波定在波の節部に上記被搬送微小物体を順次捕捉して上記リング状の搬送路に沿って上記被搬送微小物体を搬送することを特徴とする請求項1記載の非接触搬送システム。
  • 上記リング状の空間を搬送路とした非接触搬送部は、
    上記リング形状のたわみ振動板の円周方向の対向する位置において、上記駆動部により、対をなす超音波振動子を逆位相の電気信号により励振して上記たわみ振動板の進行波超音波振動を周回させ、上記リング状の搬送路に沿って上記被搬送微小物体を搬送することを特徴とする請求項1記載の非接触搬送システム。
  • 長尺な平板状に形成されたたわみ振動板と、上記たわみ振動板と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板と、上記たわみ振動板を長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子と、上記複数個の超音波振動子を異なる位相の電気信号により励振する駆動部とを備え、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板と上記反射板により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体を上記たわみ振動板の長手方向に搬送する非接触搬送部を複数連結してなる非接触搬送システムにおける非接触搬送方法であって、
    たわみ振動板と反射板で挟まれたリング状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送部にたわみ振動板と反射板で挟まれた直線状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送部を複数連結し、
    搬送元から直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部を介して搬入された被搬送微小物体を上記リング状の空間を搬送路とした非接触搬送部を介して搬送先の直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部に選択的に受け渡すことを特徴とする非接触搬送方法。
  • 说明书全文

    本発明は、超音波により微小部品や液滴などの被搬送微小物体を非接触で搬送する非接触搬送装置、非接触搬送方法及び非接触搬送システムに関する。
    本出願は、日本国において2009年5月14日に出願された日本特許出願番号2009−117320、2009年8月12日に出願された日本特許出願番号2009−187475を基礎として優先権を主張するものであり、この出願は参照することにより、本出願に援用される。

    従来、非接触搬送技術としては、圧縮空気により被搬送物体を空間に浮揚させて搬送したり、磁により被搬送物体を空間に浮揚させて搬送したり、あるいは、超音波の放射圧により被搬送物体を空間に浮揚させて搬送する各種浮揚技術を利用した方法が知られている。
    圧搾空気を用いる浮揚技術では、エアコンプレッサやエアホースなどを必要とし、装置は大型化したり煩雑化する。 また、クリーンルームで使用する場合、大量の清浄な空気を必要とし、コストパフォーマンスが低下する。 また、磁力による浮揚技術は、搬送対象物が磁性体に限られ、また、磁気が搬送対象物に影響を与える虞がある。
    超音波の放射圧により被搬送物体を空間に浮揚させて搬送する浮揚技術では、例えば、超音波振動板を超音波振動させて、上記超音波振動板と搬送対象との間に厚さ数10マイクロメートルの薄い空気膜を作ることにより被搬送物体を空間に浮揚させる(例えば、特開平7−137824号公報参照)。
    また、振動子と反射板の間に超音波定在波を発生させ、その音圧節部に、音波に対して十分に小さい物体を捕捉し、振動子により放射される超音波の周波数を変えることにより、捕捉した物体を振動子の中心軸上を移動させるようにしたマニピュレーション方法が提案されている(例えば、特開平9−193055号公報参照)。
    さらに、音軸が一点で交差するように所定の距離を保って同じ度で傾斜させて配置した一対の超音波振動子を所定の電気信号で駆動し、放射される二つの超音波の交差区域に生成する定在波音場の音圧の節で微小物体を捕捉し、供給する電気信号を変化させて、捕捉した微小物体を移動するようにしたマニピュレーション方法が提案されている(例えば、特開平11−262880号公報参照)。

    ところで、圧搾空気を用いる浮揚技術では、エアコンプレッサやエアホースなどを必要とし、装置は大型化したり煩雑化する。 また、クリーンルームで使用する場合、大量の清浄な空気を必要とし、コストパフォーマンスが低下する。 また、磁力による浮揚技術は、搬送対象物が磁性体に限られ、また、磁気が搬送対象物に影響を与える虞がある。
    超音波の放射圧により被搬送物体を空間に浮揚させて搬送する浮揚技術は、圧縮空気や磁力による問題がないのであるが、通常、超音波振動板と搬送対象との間に厚さ数10マイクロメートルの薄い空気膜を作ることにより被搬送物体を空間に浮揚させるので、空気膜を発生しなければならないため微小物体の搬送は難しく、搬送対象が薄い平板に限定され、シリコンウエハや液晶ディスプレイ用ガラス板などの搬送に利用される。
    また、振動子と反射板の間に超音波定在波を発生させ、その音圧節部に、音波に対して十分に小さい物体を捕捉し、振動子により放射される超音波の周波数を変えることにより、捕捉した物体を振動子の中心軸上を移動させるようにしたマニピュレーション方法や、音軸が一点で交差するように所定の距離を保って同じ角度で傾斜させて配置した一対の超音波振動子を所定の電気信号で駆動し、放射される二つの超音波の交差区域に生成する定在波音場の音圧の節で微小物体を捕捉して移動させるようにしたマニピュレーション方法が提案されているが、超音波の媒質中における減衰が問題となり、捕捉した微小物体を長距離に亘り非接触移動させることは難しい。
    そこで、本発明の目的は、超音波定在波により微小部品や液滴などの微小物体を捕捉し、捕捉した微小物体を非接触で長距離に亘って搬送可能な非接触搬送システム及び非接触搬送方法を提供することにある。
    本発明の更に他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下に説明される実施例の説明から一層明らかにされる。
    本発明は、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板と、上記たわみ振動板と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板と、上記たわみ振動板を長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子と、上記複数個の超音波振動子を異なる位相の電気信号により励振する駆動部とを備え、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板と上記反射板により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体を上記たわみ振動板の長手方向に搬送する非接触搬送部を複数連結してなる非接触搬送システムであって、たわみ振動板と反射板で挟まれたリング状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送部にたわみ振動板と反射板で挟まれた直線状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送部を複数連結してなり、搬送元から直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部を介して搬入された被搬送微小物体を上記リング状の空間を搬送路とした非接触搬送部を介して搬送先の直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部に選択的に受け渡すことを特徴とする。
    本発明に係る非接触搬送システムにおいて、上記直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部は、例えば、互いに対向する矩形形状に形成されたたわみ振動板と反射板を備え、上記たわみ振動板と上記反射板で挟まれた直線状の空間を上記被搬送微小物体の搬送路とし、上記駆動部により上記たわみ振動板を長手方向の2箇所において加振する1対の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させ、上記たわみ振動板と上記反射板により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記1対の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御して、上記たわみ振動板を進行波超音波振動させ、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体を上記たわみ振動板の長手方向に搬送するものとすることができる。
    本発明に係る非接触搬送システムにおいて、上記1対の超音波振動子は、例えば、上記たわみ振動板の自由振動における腹の位置を上記たわみ振動板を長手方向の2箇所において加振するものとすることができる。
    また、本発明に係る非接触搬送システムにおいて、上記1対の超音波振動子は、例えば、それぞれ超音波ホーンを介して上記たわみ振動板を長手方向の2箇所において加振するものとすることができる。
    また、本発明に係る非接触搬送システムにおいて、上記駆動部は、例えば、上記1対の超音波振動子を励振する上記電気信号の周波数を変化させることにより、上記たわみ振動板と上記反射板に挟まれた空間において上記被搬送微小物体を捕捉する上記超音波定在波の節部の位置を制御するものとすることができる。
    また、本発明に係る非接触搬送システムにおいて、上記リング状の空間を搬送路とした非接触搬送部は、例えば、リング形状に形成されたわみ振動板を備え、上記駆動部により上記リング形状のたわみ振動板の円周方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御し、上記たわみ振動板と反射板により挟まれた空間に隣接して発生される超音波定在波の節部に上記被搬送微小物体を順次捕捉して上記リング状の搬送路に沿って上記被搬送微小物体を搬送するものとすることができる。
    さらに、本発明に係る非接触搬送システムにおいて、上記リング状の空間を搬送路とした非接触搬送部は、例えば、上記リング形状のたわみ振動板の円周方向の対向する位置において、上記駆動部により、対をなす超音波振動子を逆位相の電気信号により励振して上記たわみ振動板の進行波超音波振動を周回させ、上記リング状の搬送路に沿って上記被搬送微小物体を搬送するものとすることができる。
    本発明は、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板と、上記たわみ振動板と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板と、上記たわみ振動板を長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子と、上記複数個の超音波振動子を異なる位相の電気信号により励振する駆動部とを備え、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板と上記反射板により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体を上記たわみ振動板の長手方向に搬送する非接触搬送部を複数連結してなる非接触搬送システムにおける非接触搬送方法であって、たわみ振動板と反射板で挟まれたリング状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送部にたわみ振動板と反射板で挟まれた直線状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送部を複数連結し搬送元から直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部を介して搬入された被搬送微小物体を上記リング状の空間を搬送路とした非接触搬送部を介して搬送先の直線状の空間を搬送路とした非接触搬送部に選択的に受け渡すことを特徴とする。
    本発明によれば、超音波定在波により微小部品や液滴などの微小物体を捕捉し、捕捉した微小物体を搬送元から目的の搬送先に非接触で長距離に亘って搬送可能な非接触搬送システム及び非接触搬送方法を提供することができる。
    本発明によれば、大きさ1〜数mm程度の物体であれば、特に被搬送物体の種類を選ぶことなく非接触で数10m以上の長距離を搬送可能であり、しかも、数10マイクロメートルオーダーの位置決め精度を確保することができる。 また、被搬送物体は、小型の固体にとどまらず、液体の搬送も可能であることから、バイオテクノロジー分野において、純や試薬などを不純物の混入なく搬送することが可能となる。

    図1は、本発明を適用した非接触搬送装置の構成を模式的に示す図である。

    図2は、上記非接触搬送装置において、たわみ振動板と反射板により挟まれた直線状の空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉して搬送している状態を模式的に示す図である。

    図3は、上記非接触搬送装置を1つの搬送ユニットとして、複数の搬送ユニットを連結することにより構築した任意の搬送路長の非接触搬送装置の構成を模式的に示す図である。

    図4は、被搬送微小物体の捕捉位置を二次元方向に制御することができるようにした非接触搬送装置の構成を模式的に示す図である。

    図5は、リング状の搬送路に沿って被搬送微小物体を搬送するようにした非接触搬送装置の構成を模式的に示す図である。

    図6は、上記非接触搬送装置において、たわみ振動板と反射板により挟まれたリング状の空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉して搬送している状態を模式的に示す図である。

    図7は、リング状の搬送路に沿って被搬送微小物体を搬送するようにした非接触搬送装置の他の構成例を模式的に示す図である。

    図8は、円板の振動モードを有限要素解析(FEA)したモーダル解析による計算結果を示す図である。

    図9A及び図9Bは、本発明に係る非接触搬送装置のプロトタイプの構造を模式的に示す図である。

    図10A乃至図10Cは、上記非接触搬送装置のプロトタイプにおけるリング状の圧電素子の駆動状況及び振動振幅分布の計算結果を模式的に示す図である。

    図11A乃至図11Cは、プロトタイプの非接触搬送装置により被搬送微小物体としてポリスチレン粒子を5個捕捉した様子を撮影した画像を示す図である。

    図12は、上記プロトタイプの非接触搬送装置において1個のポリスチレン粒子を捕捉してリング状の搬送路に沿って逆時計回り方向に非接触搬送する状態を撮影し重ね合わせた画像を示す図である。

    図13A及び図13Bは、リング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部に直線状の非接触搬送路を有する非接触搬送部を複数連結した非接触搬送システムの構成例を模式的に示す図である。

    図14は、上記非接触搬送システムにおける搬送路入口部分及び搬送路出口部分の構造を模式的に示す図である。

    図15は、リング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部と直線状の非接触搬送路を有する非接触搬送部をそれぞれ複数組み合わせて連結した非接触搬送システムの構成例を模式的に示す図である。

    図16は、本発明を適用した非接触搬送装置の他の構成例を模式的に示す図である。

    図17は、図16に示した構成の非接触搬送装置におけるたわみ振動板の振動分布の測定結果を示す図である、

    図18は、図16に示した構成の非接触搬送装置におけるたわみ振動板と反射板との間の音圧分布の測定結果を示す図である。

    図19は、図18中の各場所A1〜A3における搬送方向の音圧の位相分布を示す図である。

    図20は、図18中の場所A4の垂直方向の位相分布を示す図である。

    図21は、図16に示した構成の非接触搬送装置における粒子の搬送軌跡を音圧分布とともに示す図である。

    図22は、図21より求めた粒子の搬送速度の時間変化を示す図である。

    以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。 なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能であることは言うまでもない。
    本発明は、例えば図1に示すように、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板10を長手方向の2箇所において加振する1対の超音波振動子30A,30Bを電気信号により励振して、上記たわみ振動板10を進行波超音波振動させて、上記たわみ振動板10上の被搬送微小物体50を上記たわみ振動板10の長手方向に搬送する非接触搬送装置100に適用される。
    この非接触搬送装置100には、上記たわみ振動板10と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に反射板20が設置されている。 上記たわみ振動板10と上記反射板20は、互いに対向する矩形形状に形成されている。
    また、この非接触搬送装置100は、上記1対の超音波振動子30A,30Bを電気信号により励振する駆動部40を備える。
    この非接触搬送装置100において、たわみ振動板10は、例えば、幅60mm、長さ600mm、厚み3mmのジュラルミン製の振動板であって、その長手方向の両端部分にそれぞれ超音波ホーン31A,31Bを介して連結板35に設けられた1対の超音波振動子30A,30Bが接続されている。 上記超音波ホーン31A,31Bは、上記たわみ振動板10に対してその長手方向両端部において長手方向と直交する状態で取付けられている。
    上記1対の超音波振動子30A,30Bは、例えば、それぞれ図示しないボルトによって締め付け固定されるリング状のピエゾ素子を備えた所謂ボルト締めランジュバン型振動子が使用されており、駆動用の電気信号が駆動部40からピエゾ素子に印加されることにより励振されるようになっている。
    上記駆動部40は、駆動用の電気信号として、周波数が20〜50kHz程度の2相の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ))を発生する信号発生器41と、上記第1の駆動信号cos(ωt)と第2の駆動信号cos(ωt+θ)を増幅して上記1対の超音波振動子30A,30Bに供給する2つの電力増幅器42A,42Bと、上記第2の駆動信号cos(ωt+θ)の位相θを可変制御する位相制御部43からなる。
    この非接触搬送装置100では、駆動用の電気信号として、周波数が20〜50kHz程度の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ))が駆動部40から上記1対の超音波振動子30A,30Bに供給されることにより励振される上記1対の超音波振動子30A,30Bの超音波振動がそれぞれ超音波ホーン31A,31Bにより増幅されて上記たわみ振動板10に印加される。 これにより、いくつかの共振周波数で上記たわみ振動板10にたわみ振動を励振することができる。
    ここで、上記1対の超音波振動子30A,30Bは、上記たわみ振動板10の自由振動における腹の位置を上記たわみ振動板10を長手方向の2箇所において加振するようにすると、効率よく上記たわみ振動板10にたわみ振動を励振することができる。
    そして、この非接触搬送装置100では、上記たわみ振動板10と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に反射板20が設置されているので、上記駆動部40により上記1対の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板10を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板10と上記反射板20により挟まれた空間に超音波定在波が形成され、図2に示すように、この超音波定在波の節部に被搬送微小物体50を捕捉することができる。 また、上記駆動部40により上記1対の超音波振動子を励振させる電気信号、すなわち、周波数が20〜50kHz程度の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ))の位相差を制御することにより、上記たわみ振動板10を伝搬するたわみ波の進む方向やその強さを制御することができ、この非接触搬送装置100では、上記第2の駆動信号cos(ωt+θ)の位相θを位相制御部43により可変制御することにより、上記たわみ振動板10と上記反射板20により挟まれた空間に形成される超音波定在波の節の位置を上記反射板20の長手方向の一次元上で任意の位置及び方向に変化させ、上記超音波定在波の節部に捕捉されている被搬送微小物体50の空間位置を制御することができ、上記位相制御部43により上記第2の駆動信号cos(ωt+θ)の位相θを連続的に変化させることにより、上記たわみ振動板10を進行波超音波振動させ、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体50を上記たわみ振動板10の長手方向に非接触搬送することができる。 上記たわみ振動板10と上記反射板20で挟まれた直線状の空間が上記被搬送微小物体50の搬送路となっている。
    この非接触搬送装置100では、1対の超音波振動子30A,30Bを電気信号により励振して、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板10を長手方向の2箇所において加振することにより超音波振動させ、上記たわみ振動板10と反射板20により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体50を捕捉し、上記1対の超音波振動子30A,30Bを励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記たわみ振動板10を進行波超音波振動させ、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体50を上記たわみ振動板10の長手方向に搬送する。
    すなわち、この非接触搬送装置100は、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板10と、上記たわみ振動板10と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板20と、上記たわみ振動板10を長手方向の2箇所において加振する1対の超音波振動子30A,30Bと、上記1対の超音波振動子を電気信号により励振する駆動部40を備え、上記駆動部40により上記1対の超音波振動子30A,30Bを励振して上記たわみ振動板10を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板10と上記反射板20により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体50を捕捉し、上記駆動部40により上記1対の超音波振動子30A,30Bを励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記たわみ振動板10を進行波超音波振動させ、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体50を上記たわみ振動板10の長手方向に搬送するようになっている。
    ここで、上記反射板20は、音波を十分に反射する材質であればよく、厚さ1mm程度の一般的なアルミニウム板やアクリル板などを使用することができる。 また、被搬送微小物体50は、音波の波長よりも十分小さいものであれば、比重の小さい材質ほど捕捉しやすい。 また、非接触搬送可能な被搬送微小物体50の重量は、上記1対の超音波振動子30A,30Bを励振させる電気信号の電力によって決定される。 さらに、非接触搬送される被搬送微小物体50は、固体に限られることなく液体であってもよい。
    この非接触搬送装置100では、上記たわみ振動板10と上記反射板20で挟まれた直線状の空間を搬送路として上記被搬送微小物体50を非接触搬送することができる。
    上記非接触搬送装置100では、上記たわみ振動板10と上記反射板20で挟まれた長さ600mmの直線状の搬送路を全長に亘って、被搬送微小物体50として粒径が3mm程度の発砲スチロール粒子を非接触搬送することができた。
    ここで、上記たわみ振動板10と上記反射板20と上記1対の超音波振動子30A,30Bと上記駆動部40とからなる搬送ユニットを複数連結することにより、数10mに亘る長距離の非接触搬送も可能である。
    例えば、上記非接触搬送装置100を1つの搬送ユニットとして、図3に示すように、複数の搬送ユニット100A,100B・・・を連結することにより、任意の搬送路長の非接触搬送装置1000を構築することができる。
    また、上記非接触搬送装置100では、上記駆動部40の位相制御部43により第2の駆動信号cos(ωt+θ)の位相θを可変制御することにより、上記たわみ振動板10と上記反射板20により挟まれた空間に形成される超音波定在波の節の位置を上記たわみ振動板10の長手方向の一次元上で任意の位置及び方向に変化させ、上記超音波定在波の節部に捕捉されている被搬送微小物体50の空間位置を制御するようにしたが、図4に示す非接触搬送装置200のように、上記信号発生器41で発生する上記高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ))の周波数を可変制御する周波数制御部44を駆動部40に設けて、第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ)の周波数も制御するようにしてもよい。 なお、この非接触搬送装置200において、駆動部40の周波数制御部44以外の構成要素については、上記非接触搬送装置100と同じなので、図4中に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
    この非接触搬送装置200では、上記第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ)の周波数を変化させることにより、上記たわみ振動板10と上記反射板20に挟まれた空間において、上記たわみ振動板10の長手方向(X方向)と直交するY方向で上記被搬送微小物体50を捕捉する上記超音波定在波の節部の位置を制御することができ、上記超音波定在波の節部に捕捉されている被搬送微小物体50の空間位置を、上記位相制御部43による第2の駆動信号cos(ωt+θ)の位相θの制御によりX方向で変化させ、また、上記周波数制御部44による第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+θ)の周波数の制御によりY方向で変化させ、二次元方向に制御することができる。
    また、上記非接触搬送装置100では、上記たわみ振動板10と上記反射板20で挟まれた直線状の空間を搬送路として上記被搬送微小物体50を非接触搬送するようにしたが、例えば、図5に示す非接触搬送装置300のように、たわみ振動板310をリング形状に形成し、上記たわみ振動板310と円盤状の反射板320で挟まれたリング状の空間を被搬送微小物体350の搬送路とし、上記リング形状のたわみ振動板310の円周方向の対向する位置において、駆動部340により対をなす超音波振動子331A・331B、332A・332Bを逆位相の電気信号により励振して上記たわみ振動板310の進行波超音波振動を周回させ、上記リング状の搬送路に沿って上記被搬送微小物体350を搬送するように構成することもできる。
    この非接触搬送装置300は、対をなす超音波振動子331A・331B、332A・332Bとして、それぞれ所謂ボルト締めランジュバン型振動子を使用した二対の超音波振動子を備える。 上記駆動部340は、周波数が20〜50kHz程度の4相の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+π)、第3の駆動信号sin(ωt)、第4の駆動信号sin(ωt+π))を駆動用の電気信号とし、上記リング形状のたわみ振動板310の円周方向の対向する位置において、超音波振動子331A・331Bを逆位相の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+π))にて励振するとともに、超音波振動子332A・332Bを逆位相の高周波信号(第3の駆動信号sin(ωt)、第4の駆動信号sin(ωt+π))にて励振することにより、図6に示すように、上記たわみ振動板310の進行波超音波振動を周回させ、上記リング状の搬送路に沿って上記被搬送微小物体350を搬送する。
    なお、図7に示す非接触搬送装置300Aのように、円周方向に四分割した各領域に電極パターン331a・331、332a・332bを形成してなるリング形状の圧電素子330を二対の超音波振動子331A・331B、332A・332Bとして用い、上記円周方向に四分割した各領域に形成した電極パターン331a・331、332a・332bに駆動部340から逆位相の高周波信号(第1の駆動信号cos(ωt)、第2の駆動信号cos(ωt+π))と逆位相の高周波信号(第3の駆動信号sin(ωt)、第4の駆動信号sin(ωt+π))を供給して、上記二対の超音波振動子331A・331B、332A・332Bを励振することにより、上記非接触搬送装置300と同様に、上記たわみ振動板310の進行波超音波振動を周回させ、上記リング状の搬送路に沿って上記被搬送微小物体350を搬送することもできる。 なお、この非接触搬送装置300Aにおいて、駆動部40の超音波振動子331A・331B、332A・332Bの構造、すなわち、上記二対の超音波振動子331A・331B、332A・332Bとして、ボルト締めランジュバン型振動子に替えて、電極パターン331a・331、332a・332bを形成したリング形状の圧電素子330を上記リング形状のたわみ振動板310に直接貼り付けた構造以外は、上記非接触搬送装置300と同じなので、共通構成要素については、図7中に同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
    なお、直線搬送を行う非接触搬送装置においても、超音波振動子として、ボルト締めランジュバン型振動子に替えて、電極パターンを形成した圧電素子をたわみ振動板に直接貼り付けた構造を採用することもでき、また、複数個の超音波振動子によりたわみ振動板を長手方向の複数箇所において加振することにより上記たわみ振動板を超音波振動させ、上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、たわみ振動板と反射板により挟まれた空間に隣接して発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を順次捕捉して上記たわみ振動板の長手方向に搬送することができる。
    ここで、直径30mmで厚さ0.5mmの2枚のアルミニウム円板をたわみ振動板と反射板として5mmの距離で平行に設けたプロトタイプの非接触搬送装置において、上記反射板と上記振動板と間の空気中で音響定在波を発生させるために、円板の振動モードを有限要素解析(FEA)することにより得られた18〜100kHzまでFEAのモーダル解析による計算結果を図8に示す。 図8において、m及びnは各共振振動モードにおける節線及び節円の数を示す。
    そして、図9Aに示すように、上記非接触搬送装置300Aのプロトタイプとして、直径30mmで厚さ0.5mmのアルミニウム円板を上記たわみ振動板310として使用し、上記リング状の圧電素子330として厚さ0.5mmの圧電ジルコン酸チタン酸塩(PZT)のリングをエポキシ化合物によって上記たわみ振動板310に付けるとともに、上記たわみ振動板310のセンターに支持ロッドを付け、上記直径30mmで厚さ0.5mmのアルミニウム円板を用いた反射板320を上記たわみ振動板310と5mmの距離で平行に設けたものを作成したところ、数ミリメートルの直径によるポリスチレン粒子を一定の間隔で定在波の節線で捕獲することができ、上記たわみ振動板310と反射板320により挟まれた空間に隣接して発生される超音波定在波の節部に上記被搬送微小物体350としてポリスチレン粒子を順次捕捉して上記リング状の搬送路に沿って上記被搬送微小物体350を非接触搬送することすることができた。
    上記非接触搬送装置300Aのプロトタイプでは、上記有限要素解析(FEA)による計算結果から、リング状の圧電素子330の電極は、47.8kHzの共振周波数で1つの節円及び4つの節線でたわみの振動モードを生み出すために、図9Bに示すように、24の部分に分けた。
    そして、プロトタイプの非接触搬送装置300AについてのFEAによる計算結果では、半波長が円周方向で45度と一致する(1、4)たわみモードの定在波が発生したので、リング状の圧電素子330の駆動信号を制御することによって円周方向で捕獲粒子の位置を制御するの(1、4)たわみモードの定在波を用いた。
    上記リング状の圧電素子330の駆動状況及び振動振幅分布の計算結果を図10A,図10B,図10Cに示す。 図10A,図10B,図10Cでは、分割された電極がV=cosωtと−cosωtの入力電圧で励起されたことを意味する「+」及び「-」により駆動状況が示され、たわみ振動板310は、電気的に接地されている。
    すなわち、図10Aに示すように、「+」及び「−」の入力電圧は、45度、各々の3つの電極に印加した駆動状態(ここでは、この駆動状態を3−3ドライブと呼ぶ)から、図10Bに示すように、電極の入力駆動信号のうちの1つ「−」の入力電圧を「+」の入力電圧に変えた駆動状態(ここでは、この駆動状態を4−2ドライブと呼ぶ)としたときに、(1、4)モードが現れ、節線が逆時計回り方向で7.5度回転し、さらに、図10Cに示すように、電極の入力駆動信号のうちの1つ「+」の入力電圧を「−」の入力電圧に変えて再度3−3ドライブの駆動状態としたときに、(1、4)モードが現れ、節線が逆時計回り方向でさらに7.5度回転し、全体で15度回転する。
    上記プロトタイプの非接触搬送装置300では、上記リング状の圧電素子330の駆動状態を3-3ドライブの駆動状態と4−2ドライブの駆動状態に交互に切り換えることにより、上記たわみ振動板310と反射板320により挟まれた空間に隣接して発生される超音波定在波の節部に上記被搬送微小物体350としてポリスチレン粒子を順次捕捉し、駆動状態を1回切り換える毎に逆時計回り方向で7.5度ずつ、上記リング状の搬送路に沿って逆時計回り方向に上記被搬送微小物体350を非接触搬送することができる。
    ここで、上記プロトタイプの非接触搬送装置300Aにおいて、反射板320に透明なアクリル板を用いて、上記たわみ振動板310と反射板320により挟まれた空間に隣接して発生される超音波定在波の節部に上記被搬送微小物体350としてポリスチレン粒子を5個捕捉した様子を撮影した画像を図11A、図11Bに示すように、5個のポリスチレン粒子を円板のまわりで上記たわみ振動板310のたわみ振動の半波長と一致した一定の間隔で捕獲することができた。 また、ポリスチレン粒子を捕獲することができる位置は、図11Cに示すように、スキャンLDVを使った観察によりFEAで予測した位置と一致することが確認された。
    また、上記プロトタイプの非接触搬送装置300Aにより、上記被搬送微小物体350として1個のポリスチレン粒子を捕捉し、上記リング状の圧電素子330の駆動状態を3-3ドライブの駆動状態と4−2ドライブの駆動状態に交互に切り換えることにより、上記たわみ振動板310と反射板320により挟まれた空間に隣接して発生される超音波定在波の節部に上記ポリスチレン粒子を順次捕捉し、上記リング状の搬送路に沿って逆時計回り方向に非接触搬送する状態を撮影し重ね合わせた画像を図12に示す。
    上述の如きたわみ振動板と反射板で挟まれた直線状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした本発明に係る非接触搬送装置は、複数連結することにより、長距離の非接触搬送システムを構築することができ、また、たわみ振動板と反射板で挟まれたリング状の空間を被搬送微小物体の搬送路とした非接触搬送装置と組み合わせることにより、例えば、図13に示すように、搬送元や搬送先を切り換えることのできる非接触搬送システム500を構築することができる。
    この非接触搬送システム500は、図13Aに示すように、リング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部510に、それぞれ直線状の非接触搬送路を有する3個の非接触搬送部520A,520B,520Cを連結してなる。
    上記第1の非接触搬送部520Aは、長尺な平板状に形成され直線状のたわみ振動板521Aと、上記たわみ振動板521Aと対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板522Aと、上記たわみ振動板521Aを長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子と、上記複数個の超音波振動子を異なる位相の電気信号により励振する駆動部とを備え、上記たわみ振動板521Aと反射板522Aで挟まれた直線状の空間を被搬送微小物体の非接触搬送路としたもので、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板521Aを超音波振動させることにより、上記たわみ振動板521Aと上記反射板522Aにより挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体を上記たわみ振動板521Aの長手方向に搬送する。 上記第1の非接触搬送部520Aには、図14に示すように、この非接触搬送システム500における被搬送微小物体550の搬送元となる上記たわみ振動板521Aと反射板522Aで挟まれた直線状の非接触搬送路の搬送路入口部分において、被搬送微小物体550を捕捉する超音波定在波の節部の上方に位置し、被搬送微小物体550を超音波定在波の節部に落下させて捕捉させるための複数の搬入管530が設けられている。 上記搬入管530の先端位置は、搬送対象が捕捉される位置、すなわち空気中の音響定在波節線上に近い位置とすればよく、また、複数の搬入管530は、搬送方向の定在波の波長の間隔をもって設けられる。
    上記搬入管530を通って第1の非接触搬送部520Aに投入された被搬送微小物体550は、自動的に音響定在波の節の位置に捕捉され、直線状の搬送路に沿って非接触搬送される。
    そして、上記第1の非接触搬送部520Aは、搬送元から搬入された被搬送微小物体550を非接触搬送して上記リング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部510に渡す。
    また、上記非接触搬送部510は、長尺な平板状に形成されたリング状のたわみ振動板511と、上記たわみ振動板511と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板512と、上記たわみ振動板511を長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子と、上記複数個の超音波振動子を異なる位相の電気信号により励振する駆動部とを備え、上記たわみ振動板511と反射板512で挟まれたリング状の空間を被搬送微小物体の非接触搬送路としたもので、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板511を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板511と上記反射板512により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体550を捕捉し、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体550を上記たわみ振動板511の長手方向すなわち上記たわみ振動板511の円周方向に搬送する。 この非接触搬送部510は、図13Bに示すよう、上記搬送元から搬入され上記第1の非接触搬送部520Aを介して受け渡された被搬送微小物体を非接触搬送して、第2の非接触搬送部520B、又は、第3の非接触搬送部520Cに渡す。
    この第1の非接触搬送部520Aは、搬送元から搬入された被搬送微小物体550を非接触搬送して上記リング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部510に渡す。
    上記第1の非接触搬送部520Aから非接触搬送部510に被搬送微小物体550を確実に受け渡すために、この非接触搬送システム500では、上記第1の非接触搬送部520Aの振動板521A及び反射板522Aと上記非接触搬送部510の振動板511及び反射板512の一部を重ねて配置してある。 この場合、上記第1の非接触搬送部520Aにおける超音波の周波数と上記非接触搬送部510における超音波の周波数とに差を持たせることにより、各々の振動板521A,511と反射板522A,512間の距離に差が生じ、振動板521A,511と反射板522A,512を重ね合わせる配置とすることができる。
    上記第1の非接触搬送部520Aの直線状の搬送路を通って運ばれてきた被搬送微小物体550は、上記非接触搬送部510に超音波定在波によって捕捉されることにより受け渡され、上記非接触搬送部510のリング状の搬送路に沿って非接触搬送され、上記非接触搬送部510から第2又は第3の非接触搬送部520B,520Cに受け渡される。
    すなわち、上記リング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部510は、被搬送微小物体550の搬送先を切り替える進路切替部として機能する。
    上記第2の非接触搬送部520Bは、長尺な平板状に形成され直線状のたわみ振動板521Bと、上記たわみ振動板521Bと対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板522Bと、上記たわみ振動板521Bを長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子と、上記複数個の超音波振動子を異なる位相の電気信号により励振する駆動部とを備え、上記たわみ振動板521Bと反射板522Bで挟まれた直線状の空間を被搬送微小物体550の非接触搬送路としたもので、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板521Bを超音波振動させることにより、上記たわみ振動板521Bと上記反射板522Bにより挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体550を上記たわみ振動板521Bの長手方向に搬送する。 この第2の非接触搬送部520Bは、上記非接触搬送部510から受け渡された被搬送微小物体550を第1の搬送先まで非接触搬送する。
    ここで、上記第2の非接触搬送部520Bには、図14に示すように、この非接触搬送システム500における被搬送微小物体550の第1の搬送先となる上記たわみ振動板521Bと反射板522Bで挟まれた直線状の非接触搬送路の搬送路出口部分において、被搬送微小物体550を捕捉する超音波定在波の節部の下方に位置し、被搬送微小物体550を超音波定在波の節部から落下させて取り出すための複数の搬出管540が設けられている。 そして、上記第2の非接触搬送部520Bを介して第1の搬送先に非接触搬送された被搬送微小物体550は、上記非接触搬送路の搬送路出口部分において、当該被搬送微小物体550を節部に捕捉している超音波定在波の発生を停止させて捕捉をとくことにより、節部の下方に落下させて上記搬出管540を介して搬出される。
    また、上記第3の非接触搬送部520Cは、長尺な平板状に形成され直線状のたわみ振動板521Cと、上記たわみ振動板521Cと対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板522Cと、上記たわみ振動板521Cを長手方向の複数箇所において加振する複数個の超音波振動子と、上記複数個の超音波振動子を異なる位相の電気信号により励振する駆動部とを備え、上記たわみ振動板521Cと反射板522Cで挟まれた直線状の空間を被搬送微小物体550の非接触搬送路としたもので、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振して上記たわみ振動板を超音波振動させることにより、上記たわみ振動板521Cと上記反射板522Cにより挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記駆動部により上記複数個の超音波振動子を励振させる電気信号の位相を制御することにより、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体550を上記たわみ振動板521Cの長手方向に搬送する。 この第3の非接触搬送部520Cは、上記非接触搬送部510から受け渡された被搬送微小物体550を第2の搬送先まで非接触搬送する。
    なお、上記第3の非接触搬送部520Cでは、上記第2の非接触搬送部520Bと同様に、上記第3の非接触搬送部520Cを介して第2の搬送先に非接触搬送された被搬送微小物体550は、上記非接触搬送路の搬送路出口部分において、当該被搬送微小物体550を節部に捕捉している超音波定在波の発生を停止させて捕捉をとくことにより、節部の下方に落下させて搬出管を介して搬出される。
    この非接触搬送システム500では、搬送元から搬入された被搬送微小物体550を直線状の非接触搬送路を有する第1の非接触搬送部520Aを介してリング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部510まで搬送し、被搬送微小物体を上記非接触搬送部510から第2又は第3の非接触搬送部520B,520Cを介して第1の搬送先又は第2の搬送先に搬送することができる。
    なお、この非接触搬送システム500では、上記第2及び第3の非接触搬送部520B、52Cに備えられた上記たわみ振動板521B、521Cと反射板522B、522Bを上記第1の非接触搬送部520とは上下を反転した配置とし、上方側に位置する反射板522B、522Cに搬出管540を設けるようにしたが、上下を反転せずに、上方側に位置するたわみ振動板521B、521Cに搬出管540を設けるようにしてもよい。
    また、上記非接触搬送システム500では、リング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部510に、それぞれ直線状の非接触搬送路を有する3個の非接触搬送部520A,520B,520Cを連結したが、上記リング状の非接触搬送路を有する非接触搬送部510には、最大で上記リング状の非接触搬送路において同時に捕捉することのできる被搬送微小物体550の数に等しい数だけ、それぞれ直線状の非接触搬送路を有する非接触搬送部を連結することができ、また、複数の搬送元を有するものとすることもできる。
    さらに、各非接触搬送部の反射板は、振動板と同形状である必要はなく、搬送路一式上に1枚存在する構造でもよく、例えば図15に示すように、1枚の大型反射板630を用いることができ、さらに、リング状の非接触搬送路を有する複数の非接触搬送部610A,610Bと直線状の非接触搬送路を有する複数の非接触搬送部620A〜620Fを組み合わせて連結した非接触搬送システム600を構築することもできる。
    また、上記非接触搬送装置100、200、300では、複数個の超音波振動子により、たわみ振動板を長手方向の複数箇所において加振してたわみ振動板を超音波振動させるようにしたが、図16に示す非接触搬送装置700のように、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板710と、上記たわみ振動板710と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板720とにより挟まれた空間を被搬送微小物体760の搬送路とし、上記たわみ振動板710を長手方向の一端において超音波振動子730により加振することにより、上記たわみ振動板710を超音波振動させ、上記たわみ振動板710を長手方向の他端に取り付けられた超音波吸収材740A,740Bからなる超音波吸収部740により上記たわみ振動板710の超音波振動を吸収することによって、上記たわみ振動板710を進行波超音波振動させ、上記たわみ振動板710と反射板720により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体760を捕捉し、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体760を上記たわみ振動板710の長手方向に搬送することもできる。
    この非接触搬送装置700では、超音波振動子730には、1本のエクスポーネンシャルホーン付ボルト締めランジュバン振動子を用いた。 また、長さ400mm、幅30mm、厚さ1mmのアルミニウム製板をたわみ振動板710とし、その一端から30mmの位置に超音波振動子730をネジ締結し、もう片端に超音波吸収材740A,740Bとして鉛板(長さ4mm、幅30mm、厚さ1mm)を表裏両面に万力で固定して超音波吸収部740を設けた。 そして、たわみ振動板710と反射板720の間の空中に、垂直方向(z方向)に音圧の節が2つの空中音場が励振されるようにたわみ振動板710から13.5mmの位置に平行にアルミニウム製板(長さ220mm、幅60mm、厚さ3mm)を反射板720として設置した。
    なお、上記超音波吸収部740は、鉛以外の金属やプラスチックなど超音波吸収材740A,740Bを用いて構成することもできる。
    そして、駆動部750により上記超音波振動子730を励振して、上記たわみ振動板710を長手方向の一端において加振することにより、上記たわみ振動板710を超音波振動させ、上記たわみ振動板710の長手方向の他端に設けられた超音波吸収部740により上記たわみ振動板710の超音波振動を吸収することによって、上記たわみ振動板710を進行波超音波振動させ、上記たわみ振動板710と上記反射板720により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体760を捕捉し、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体760を上記たわみ振動板710の長手方向に搬送する。
    この非接触搬送装置700では、超音波振動子730の縦振動がたわみ振動板710のたわみ進行波に変換されて超音波吸収部740によって吸収される。
    このような構成の非接触搬送装置700では、駆動周波数31.6kHzでたわみ振動板710を超音波振動させると、振動板幅方向中央部の長手方向(x方向)の振動分布をLDV(CLV-1000&700,PI Polytec)で測定した結果を図17に示すように、定在波比はおよそ3であり、たわみ振動板710に沿って伝播速度約570m/sのたわみ進行波が発生する。
    また、たわみ振動板710と反射板720との間の音圧分布をプローブマイクロホン(Type 5935,Bruel &Kjar)を使い測定した結果を図18に示す。 さらに、上記図18中の各場所A1〜A3における搬送方向の音圧の位相分布を図19に示すとともに、場所A4の垂直方向の位相分布を図20に示す。
    図19に示すように、搬送方向へは位相が直線的に変化しており、波長19.0mmの進行波が伝搬している。 また、図20に示すように、垂直方向へは節数2の定在波となっている。
    したがって、たわみ振動板710のたわみ振動の伝播速度、空気中の音速からたわみ振動板710と反射板720の間の距離は上記の値とすることによって、垂直方向の定在波により被搬送微小物体760を浮揚し、水平方向の進行波により搬送することができる。
    上記非接触搬送装置700において、たわみ振動板710と反射板720の間に上述の進行波音場を発生することで被搬送微小物体760として直径2mmのポリスチレン粒子を用いて距離約100mm非接触直線搬送することができた。 粒子の搬送軌跡を音圧分布とともに図21に示す。
    図21は、0.1秒毎の粒子の位置を表している。 粒子は音圧分布の節線に沿って移動していることがわかる。 また、搬送方向に進むにつれて粒子の搬送軌跡が節線から上下にあばれている。
    ここで、図21より求めた粒子の搬送速度の時間変化を図22示す。
    粒子にはx正方向の搬送力とそれと逆向きの速度と比例する空気抵抗が作用すると考えると、粒子の搬送速度v(t)はv(t)=v (1−exp(−t/τ))で表される。
    ここで、v は終端速度であり、τは時定数である。 およそ0.2秒後に終端速度410mm/秒に達している。 図22の時刻t=0.08秒における加速度は、速度の傾きより11.7m/秒と算出される。 よって、ポリスチレン粒子(0.3mg)を押す搬送方向への力は9.0×10 −7 Nと見積もられる。 節線から上下方向への位置ずれは音場分布の乱れによるものと思われる。
    上記非接触搬送装置700にように、たわみ振動板710と反射板720の間に、垂直方向へは超音波定在波を、水平方向(搬送方向)へは超音波進行波を用いることにより被搬送微小物体760を非接触で秒速数百ミリメートル程度の高速で長距離に亘って直線搬送できる。
    また、上記非接触搬送装置700を1つの搬送ユニットとして、複数の搬送ユニットを連結することにより、任意の搬送路長の非接触搬送システムを構築してもよい。
    すなわち、長尺な平板状に形成されたたわみ振動板と、上記たわみ振動板と対向して空気中における音波の半波長の整数倍と等しい所定の間隔を保持した状態に設置された反射板と、上記たわみ振動板を長手方向の一端において加振する超音波振動子と、上記超音波振動子を電気信号により励振する駆動部と、上記たわみ振動板を長手方向の他端に取り付けられた超音波吸収材とを備え、上記駆動部により上記超音波振動子を励振して、上記たわみ振動板を長手方向の一端において加振することにより、上記たわみ振動板を超音波振動させ、上記たわみ振動板を長手方向の他端に取り付けられた超音波吸収材により上記たわみ振動板の超音波振動を吸収することによって、上記たわみ振動板を進行波超音波振動させ、上記たわみ振動板と上記反射板により挟まれた空間に発生される超音波定在波の節部に被搬送微小物体を捕捉し、上記超音波定在波の節部に捕捉した被搬送微小物体を上記たわみ振動板の長手方向に搬送する非接触搬送部を複数連結してなる非接触搬送システムを構築することもできる。
    上記非接触搬送装置700を1つの搬送ユニットとして、複数の搬送ユニットを連結してなる非接触搬送システムでは、1つの搬送ユニットにより連続的に高速で非接触搬送された被搬送物体は、慣性により次の搬送ユニットに順次移動する。

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