音波浮上装置及び音波浮上方法

申请号 JP2012105514 申请日 2012-05-02 公开(公告)号 JP2015131731A 公开(公告)日 2015-07-23
申请人 旭硝子株式会社; 发明人 下宮 修; 安藤 博史;
摘要 【課題】ガラスリボンの損傷を抑制できる音波浮上装置を提供する。 【解決手段】音波浮上装置410は、幅が1〜8mであって幅方向中央部の板厚が0.05〜3mmであるガラスリボン14のうち、 温度 が300〜800℃の部分に音波を放射する上面を有する振動板411と、振動板411の下面から放射される音波を反射する上面を有する反射体450とを備える。振動板411の長手方向は、ガラスリボン14の幅方向と平行である。振動板411の上面の横断面形状は、上に凸状である。 【選択図】図5
权利要求

板ガラス成形装置から連続的に引き出されるガラスリボンを搬送する際に、該ガラスリボンを音波の放射圧で浮上させる音波浮上装置であって、 幅が1〜8mであって幅方向中央部の板厚が0.05〜3mmである前記ガラスリボンのうち、温度が300〜800℃の部分に音波を放射する上面を有する振動板と、 該振動板の下面から放射される音波を反射する上面を有する反射体とを備え、 前記振動板の長手方向は、前記ガラスリボンの幅方向と平行であり、 前記振動板の上面の横断面形状は、上に凸状である音波浮上装置。前記反射体の室温でのヤング率が70GPa以上である請求項1に記載の音波浮上装置。前記反射体の融点が1300℃以上である請求項1又は2記載の音波浮上装置。前記振動板は、ステンレス鋼で形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の音波浮上装置。前記振動板は、アルミニウム又はアルミニウム合金で形成される請求項1〜3のいずれか1項に記載の音波浮上装置。前記ガラスリボンの前記部分を音波の放射圧で浮上させるときの前記振動板の周波数が15〜50kHzである請求項1〜5のいずれか1項に記載の音波浮上装置。前記ガラスリボンの前記部分を音波の放射圧で浮上させるときの前記振動板の振幅が0.25〜50μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の音波浮上装置。前記ガラスリボンを所定方向に搬送する搬送手段をさらに備える請求項1〜7のいずれか1項に記載の音波浮上装置。前記ガラスリボンを下方から支持可能な支持ロールをさらに備え、 前記支持ロールは、前記振動板に対して相対的に昇降可能である請求項8に記載の音波浮上装置。板ガラス成形装置から連続的に引き出されるガラスリボンを搬送する際に、該ガラスリボンを音波の放射圧で浮上させる音波浮上方法であって、 幅が1〜8mであって幅方向中央部の板厚が0.05〜3mmである前記ガラスリボンのうち、温度が300〜800℃の部分を振動板の上面から放射される音波の放射圧で前記振動板から浮上させると共に、前記振動板の下面からの音波を反射体の上面で反射し、 前記振動板の長手方向は、前記ガラスリボンの幅方向と平行であり、 前記振動板の上面の横断面形状は、上に凸状である音波浮上方法。

说明书全文

本発明は、音波浮上装置及び音波浮上方法に関する。

従来から、板ガラス成形装置から連続的に引き出されるガラスリボンを平に搬送する 装置として、複数の搬送ロールが用いられている(例えば、特許文献1参照)。

一方、近年では、物体を非接触で支持する技術として、振動板を励振させて、振動板からの音波の放射圧によって振動板の上方に物体を浮かす技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。

特開2009−155164号公報

特開平7−24415号公報

しかしながら、搬送ロールの外周面に異物又は傷が付いていると、搬送ロールが1回転するたびに、ガラスリボンの下面に傷が付くという問題がある。

一方で、上記特許文献2に記載の技術は、室温の物体を非接触で支持することを前提としており、室温よりも高温の物体を非接触で支持することについて言及がない。

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、ガラスリボンの損傷を抑制できる音波浮上装置及び音波浮上方法の提供を目的とする。

上記課題を解決するため、本発明の一態様は、 板ガラス成形装置から連続的に引き出されるガラスリボンを搬送する際に、該ガラスリボンを音波の放射圧で浮上させる音波浮上装置であって、 幅が1〜8mであって幅方向中央部の板厚が0.05〜3mmである前記ガラスリボンのうち、温度が300〜800℃の部分に音波を放射する上面を有する振動板と、 該振動板の下面から放射される音波を反射する上面を有する反射体とを備え、 前記振動板の長手方向は、前記ガラスリボンの幅方向と平行であり、 前記振動板の上面の横断面形状は、上に凸状である。

また、本発明の他の一態様は、 板ガラス成形装置から連続的に引き出されるガラスリボンを搬送する際に、該ガラスリボンを音波の放射圧で浮上させる音波浮上方法であって、 幅が1〜8mであって幅方向中央部の板厚が0.05〜3mmである前記ガラスリボンのうち、温度が300〜800℃の部分を振動板の上面から放射される音波の放射圧で前記振動板から浮上させると共に、前記振動板の下面からの音波を反射体の上面で反射し、 前記振動板の長手方向は、前記ガラスリボンの幅方向と平行であり、 前記振動板の上面の横断面形状は、上に凸状である。

本発明によれば、ガラスリボンの損傷を抑制できる音波浮上装置及び音波浮上方法が提供される。

本発明の一実施形態による音波浮上装置を備える板ガラス製造装置の定常時の側面断面図

板ガラス製造装置100のスタートアップ時の側面断面図

図1のIII−III線に沿った断面図

振動板及び支持ロールの配列を示す上面図

図1の要部を示す拡大図

図5の変形例1を示す断面図

図5の変形例2を示す断面図

図5の変形例3を示す断面図

図5の変形例4を示す断面図

図5の変形例5を示す断面図

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。尚、各図面において同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。

図1は、本発明の一実施形態による音波浮上装置を備える板ガラス製造装置の定常時の側面断面図である。図2は、板ガラス製造装置100のスタートアップ時の側面断面図である。図3は、図1のIII−III線に沿った断面図である。図4は、振動板及び支持ロールの配列を示す上面図である。図5は、図1の要部を示す拡大図である。図5では、ガラスリボンの撓み、振動板の曲率等を実際よりも誇張して図示している。

板ガラス製造装置100は、図1に示すように、ガラス原料10を溶解し溶融ガラス12を得る溶解装置200、溶解装置200で得られた溶融ガラス12を成形し帯板状のガラスリボン14を得る成形装置300を備える。また、板ガラス製造装置100は、成形装置300で成形されたガラスリボン14を徐冷する徐冷装置400と、成形装置300から徐冷装置400にガラスリボン14を搬送するリフトアウト装置500とを備える。リフトアウト装置500は、成形装置300と徐冷装置400との間に設けられる。

溶解装置200は、ガラス原料10を溶解し溶融ガラス12を得る。溶解装置200は、溶融ガラス12を収容する溶解槽204と、溶解槽204内に収容される溶融ガラス12の上方に火炎を形成するバーナ206とを備える。溶解槽204へ投入されたガラス原料10は、バーナ206が形成する火炎からの輻射熱によって溶融ガラス12に徐々に融け込む。溶融ガラス12は、溶解槽204から成形装置300に連続的に供給される。

成形装置300は、溶解装置200で得られた溶融ガラス12を成形して、帯板状のガラスリボン14を作製する装置である。成形装置300は、例えばフロート成形装置であってよい。フロート成形装置は、浴槽302内の溶融スズ304の浴面に溶融ガラス12を連続的に供給して、帯板状に成形する。成形されたガラスリボン14は、リフトアウト装置500によって溶融スズ304の浴面から引き上げられ、徐冷装置400に搬送される。

尚、成形装置300は、フロート成形装置に限定されることはなく、例えばフュージョン成形装置であってもよい。フュージョン成形装置は、樋の内部に溶融ガラス12を連続的に供給し、樋から左右両側に溢れ出た溶融ガラス12を、樋の下縁で合流させて帯板状に成形する。

リフトアウト装置500は、成形装置300と徐冷装置400との間に配設される断熱構造体502と、断熱構造体502の内部空間に配設されるリフトアウトロール504とを備える。断熱構造体502は、ガラスリボン14の搬送経路を囲繞する。断熱構造体502の内部には、ガラスリボン14の温度を調節するため、ヒータやクーラが設けられてもよい。リフトアウトロール504は、図示されない回転モータによって回転され、ガラスリボン14を溶融スズ304の浴面から引き上げ、徐冷装置400に搬送する。

徐冷装置400は、成形装置300で成形されたガラスリボン14を徐冷する。徐冷装置400は、徐冷炉402と、音波浮上装置410とを備える。尚、音波浮上装置410は、徐冷装置400、及びリフトアウト装置500のいずれに設けられてもよく、両方にまたがって設けられてもよい。

徐冷炉402は、複数のヒータ402aを内部に有する。ヒータ402aは、図3に示すようにガラスリボン14の幅方向と平行に延びている。尚、ヒータ402aは、徐冷炉402の幅方向に複数に分割されていてもよい。ガラスリボン14は、徐冷炉402内を水平に搬送されながら徐冷され、徐冷炉402の出口から搬出される。その後、ガラスリボン14は、所望の寸法形状に切断され、製品である板ガラスとなる。

音波浮上装置410は、徐冷炉402内を水平に搬送されるガラスリボン14を音波の放射圧で浮上させ、ガラスリボン14を非接触で支持する。

音波浮上装置410は、ガラスリボン14を浮上させる音波を放射する振動板411、及び振動板411の下面からの音波を反射する反射体450を備える。幅W0(図3、図4参照)が1〜8mであって幅方向中央部の板厚が0.05〜3mmであるガラスリボン14のうち、温度が300〜800℃(好ましくは500〜800℃、より好ましくは600〜800℃)の部分は、振動板411から放射される音波の放射圧で浮上される。ガラスリボン14の上記部分は、柔らかく、傷付きやすいので、振動板411からの音波の放射圧によって非接触で支持することが好ましい。尚、振動板411は、ガラスリボン14のうち、温度が300℃未満の部分を音波の放射圧で浮上させるために用いられてもよい。

ガラスリボン14の幅W0は、好ましくは2〜6mである。ガラスリボン14の幅方向中央部の板厚は、好ましくは0.1mm以上である。また、ガラスリボン14の幅方向中央部の板厚は、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.7mm以下である。

(振動板) 振動板411は、振動子412によって励振され、上下方向に撓み振動して、上下方向に音波を放射する。振動板411から上方に放射された音波の放射圧で、ガラスリボン14が振動板411の上方に浮上する。

振動板411の撓み振動によって形成される音波は、定在波であることが望ましい。進行波であると、振動板411からの音波の放射圧によってガラスリボン14が意図しない方向に搬送されることがある。尚、振動板411の形状や配置を最適化することで、振動板411からの音波の放射圧を利用して、ガラスリボン14を所望の方向に搬送することも可能である。

振動板411の撓み振動の周波数は、15〜50kHzであると好ましい。周波数が15kHzを下回ると、周波数が人間の可聴域になり、音が作業の障害となる。50kHzを超える振動発生は電源や振動子412の性質上、困難である。周波数は、より好ましくは18〜30kHzであり、さらに好ましくは19〜25kHz、特に好ましくは19〜21kHzである。

振動板411の撓み振動の振幅は、0.25〜50μmであると好ましい。ここで、「振幅」とは、振動中心からの最大変位量をいう。振幅が0.25μm以上であると、ガラスリボン14が十分に浮上し、振幅が50μm以下であると振動板411等の破損が抑制できる。

振動板411の長手方向は、ガラスリボン14の幅方向と平行である。振動板411の幅方向は、ガラスリボン14の幅方向、及び上下方向に対して垂直である。

振動板411の長手方向一端部は、ホーン414やブースター416等の振動伝達部材を介して振動子412に接続されている。振動子412の振動は、振動伝達部材によって振動板411の長手方向一端部に伝達される。尚、振動伝達部材はなくてもよく、この場合、振動板411と振動子412とが直接に接続される。

一方、振動板411の長手方向他端部は、自由端部となっている。尚、振動板411の長手方向他端部は、固定端部であってもよいし、振動板411の長手方向一端部と同様に、振動伝達部材を介して振動子412に接続されてもよい。

振動板411は、例えば、図5に示すように、ガラスリボン14の搬送方向に間隔をおいて複数設置されている。振動板411のピッチP(図5参照)は、好ましくは200〜700mmである。ピッチPが200mm以下であると、設備レイアウト上、後述の支持ロール490が設置出来ない。一方、ピッチPが700mm以上であると、非接触で浮上させることが困難となる。振動板411のピッチPは、より好ましくは300〜500mmである。

ところで、複数の振動板411が間隔をおいて配列されているので、ガラスリボン14が重で僅かに撓み変形する。ガラスリボン14は、振動板411から遠くなるほど、重力で垂れ下がりやすい。

そこで、振動板411の上面の横断面形状は、図5に示すように上に凸状である。ここで、「上に凸」とは、両端の間の部分が、両端を結ぶ線分よりも上方にあることを意味する。これにより、次の効果が得られる。(1)振動板411の上面のうち、音波のほとんど放射されない幅方向両端部が幅方向中央部よりも下方に位置し、重力で撓むガラスリボン14と、振動板411の幅方向両端部との接触を防止できる。(2)振動板411の上面からガラスリボン14に向かう音波が振動板411の幅方向外側に広がるので、重力で撓むガラスリボン14と、振動板411の幅方向両端部との接触を防止できる。

振動板411の上面は、図5に示すように横断面視で、水平な直線状部分と、直線状部分の両端から延びる曲線状部分とを有する。曲線状部分は、幅方向(図において左右方向)外側に行くほど下方に向かうように、上に凸の形状を有する。曲線状部分の曲率半径r11は、例えば150〜1000mmである。曲線状部分の幅(図において左右方向寸法)W12は、振動板411の幅W11の5〜30%である。

振動板411の下面の横断面形状は、水平な直線状であってよい。

振動板411は、平板の上面を研削して容易に得られる。

振動板411の幅(上方から見たときに振動板411が四形の場合、振動板411の短辺長)W11は、好ましくは50〜200mmである。幅W11が50mmよりも小さいと、振動板411の音波放射面の面積が小さすぎ、振動板411からのガラスリボン14の浮上が困難である。幅W11が200mmを超えると、振動板411の振動モードが縞モードになりにくく、音波の放射圧が小さくなる。振動板411の幅W11は、より好ましくは70〜150mm、さらに好ましくは80〜120mmである。

振動板411の幅W11は、好ましくは反射体450の幅W21の50〜150%である。W11がW21の50%未満であると、反射体450とガラスリボン14が接触しやすい。一方、W11がW21の150%を超えると、振動板411が反射体450から浮上しにくい。

振動板411の長さL1(図3参照)は、好ましくはガラスリボン14の幅W0の95〜200%である。L1がW0の95%未満であると、振動板411の端がガラスリボン14と接触しキズが発生する。一方、L1がW0の200%を超えると、設備レイアウト上設置が困難となる。L1はW0の100〜200%であることがより好ましい。

振動板411の長さL1(図3参照)は、好ましくは反射体450の長さL2の50〜120%である。L1がL2の50%未満であると、振動板411が下に凸に撓み、振動板411の長手方向中央部が下方に垂れる。一方、L1がL2の120%を超えると、設備レイアウト上設置が困難となる。

振動板411は、例えばステンレス鋼、カーボン、アルミニウムもしくはアルミニウム合金、チタンもしくはチタン合金、又はニッケルもしくはニッケル合金等で形成される。ステンレス鋼やカーボンは耐熱性に優れ、アルニウムやアルミニウム合金は靱性に優れる。カーボンを用いる場合、徐冷炉402内の雰囲気を窒素雰囲気等の不活性雰囲気にしてよい。また、振動板411は、セラミックスやマンガン鋼、鋳鉄等で形成されてもよい。振動板411の材料としては、ステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましく、ステンレス鋼がより好ましい。振動板411の材料がステンレス鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金の場合、振動板411の厚さは例えば0.5〜5mm、好ましくは1〜4mmである。

振動板411は、耐食性や耐酸化性を向上するため、表面コーティングしたものであってよい。コーディング方法としては、例えば溶射法、メッキ法、蒸着法(PVD法及びCVD法を含む)等が挙げられる。溶射法で形成されるコーディング層は、例えば炭化タングステン等の超硬材、セラミックス、又はNi系合金やCr系合金等の耐熱合金を含む。メッキ法で形成されるコーディング層は、例えばCr系合金、又はNi系合金を含む。蒸着法で形成されるコーディング層は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)を含む。

振動板411の一部は、徐冷炉402の外部に出ている。例えば図3に示すように、振動板411は徐冷炉402を貫通して、振動板411の長手方向両端部が徐冷炉402の外部に出ている。徐冷炉402の外部に、振動子412や振動子412を昇降可能に支持する第1の昇降装置460等が配設可能となる。

(振動子) 振動子412は、振動板411を励振させるものであって、振動板411毎に設けられる。複数の振動子412は、同じ位相で振動してもよいし、異なる位相で振動してもよい。

振動子412は、超音波振動子であってよく、例えば圧電素子又は磁歪素子等で構成される。振動子412は、コンピュータ等の制御装置による制御下で、縦振動する。この縦振動が振動板411に伝達すると、振動板411が上下方向に撓み振動して、振動板411から上下方向に音波が発振される。

振動子412は、熱による劣化を抑制するため、図3に示すように徐冷炉402の外部に設置されている。徐冷炉402の外部には、振動子412等を収容する断熱ボックス430が設けられ、断熱ボックス430内の温度は冷却器440で所望の温度範囲に保たれる。

(断熱ボックス) 断熱ボックス430は、複数設けられてよい。一方の断熱ボックス430内には、振動子412、第1の昇降装置460等が配置される。他方の断熱ボックス430内には、第2の昇降装置470等が配置される。

断熱ボックス430は、例えば筐体432及び筐体432の内壁面に貼り付けられる断熱材434等からなる。筐体432は、例えばSS材等の耐熱鋼等で構成され、振動子412等で生じる騒音を遮る遮音部材として機能する。断熱材434は、例えばグラスウール、石膏ボード等で構成され、振動子412等で生じる騒音を吸収する吸音材としても機能する。

断熱ボックス430は、徐冷炉402に接触するように固定してもよいが、徐冷炉402からの熱伝達を制限するため、例えば図3に示すように、徐冷炉402に対して離間して固定してもよい。

(冷却器) 冷却器440は、断熱ボックス430内の温度を所望の温度範囲に保つためのものである。冷却器440は、断熱ボックス430毎に設けられ、断熱ボックス430に固定されている。

冷却器440は、例えば、断熱ボックス430内に冷却ガスを吹き込むことで、又は、断熱ボックス430の外壁を冷却することで、断熱ボックス430の内部を所望の温度範囲に保つ。

(反射体) 反射体450は、振動板411の下面から放射される音波を振動板411に向けて反射する上面を有する。その反射波の放射圧によって、反射体450の上方に振動板411が浮上し、振動板411の自重変形が低減する。この効果は、振動板411の長手方向他端部が自由端部である場合に顕著である。

反射体450は、断面2次モーメントを高めるため、例えば略四角環状、逆U字状、I字状、T字状、逆L字状、又はZ字状(図では略四角環状)の断面形状を有する。尚、反射体450は、板状であってもよい。反射体450の剛性を考慮すると、反射体450の断面形状は略四角環状が好ましい。

反射体450は、ガラスリボン14の搬送方向に間隔をおいて複数設置される。反射体450は振動板411毎に設けられ、反射体450の長手方向はガラスリボン14の幅方向と平行である。反射体450の幅方向はガラスリボン14の幅方向及び上下方向に対して垂直である。

反射体450の上面は、振動板411の下面から放射される音波を振動板411に向けて反射する。反射体450の上面の横断面形状は、水平な直線状であってよい。反射体450の作製(加工)が容易である。

反射体450と振動板411との間の間隙の平均値は、振動板411が振動している状態で、好ましくは30〜120μmである。反射体450と振動板411との間の間隙の平均値が30μm未満であると、振動板411と反射体450とが接触しやすい。一方、反射体450と振動板411との間の間隙の平均値が120μmを超えるということは、振動板411の振幅が大きすぎることを意味し、振動板411が破損しやすいことを意味する。反射体450と振動板411との間の間隙の平均値は、振動板411が振動している状態で、より好ましくは50〜100μmである。

反射体450の幅W21は、好ましくは50〜200mmである。反射体450の幅W21が50mmよりも小さいと、反射体450の反射面の面積が小さすぎ、反射体450からの振動板411の浮上が困難である。一方、反射体450の幅W21が200mmを超えると、反射体450と後述の支持ロール490とを交互に並べることが困難である。反射体450の幅W21は、より好ましくは70〜150mm、さらに好ましくは80〜120mmである。

反射体450の室温(25℃)でのヤング率は、70GPa以上であることが好ましい。70GPa以上とすることで、反射体450の自重変形を十分に抑えることができる。より好ましい範囲は190GPa以上であり、さらに好ましい範囲は210GPa以上である。

反射体450の融点は、1300℃以上であることが好ましい。1300℃以上とすることで、反射体450の軟化を十分に抑えることができる。より好ましい範囲は1500℃以上であり、さらに好ましい範囲は1700℃以上である。

反射体450は、例えばステンレス鋼等の耐熱鋼やシリカ等のセラミックで形成される。ステンレス鋼としては、例えばSUS310S等が挙げられる。

反射体450の一部は、徐冷炉402の外部に出ている。例えば図3に示すように、反射体450は徐冷炉402を貫通して、反射体450の長手方向両端部が徐冷炉402の外部に出ている。よって、徐冷炉402の外部に、反射体450を昇降可能に支持する第1及び第2の昇降装置460、470が設置できる。

(第1の昇降装置) 第1の昇降装置460は、例えば油圧ジャッキ等で構成され、振動子412を介して振動板411の一端部を昇降可能に支持する。振動板411が徐冷炉402の炉床に対して昇降することで、ガラスリボン14との位置関係を最適化できる。第1の昇降装置460は、振動板411毎に設けられる。

また、第1の昇降装置460は、反射体450の一端部を昇降可能に支持する。振動板411及び反射体450は、その位置関係が調節可能となるように、それぞれ独立に昇降可能となっている。

(第2の昇降装置) 第2の昇降装置470は、例えば油圧ジャッキ等で構成され、反射体450の他端部を昇降可能に支持する。第2の昇降装置470は、第1の昇降装置460と同期して、反射体450を徐冷炉402の炉床に対して昇降させる。第2の昇降装置470は、反射体450毎に設けられる。

尚、第1の昇降装置460及び第2の昇降装置470の間に、反射体450を昇降可能に支持する昇降装置が1つ以上設けられてもよい。反射体450の撓みが低減され、振動板411の浮上が安定化できる。

(搬送ロール) 搬送ロール480は、ガラスリボン14の搬送方向に間隔をおいて複数設けられている。搬送ロール480は、回転モータで駆動され、ガラスリボン14を水平に搬送する。

搬送ロール480は、ガラスリボン14に傷を付けないように、ガラスリボン14の温度の低い領域に配設される。例えば、搬送ロール480は、図1に示すように徐冷炉402よりも下流に設けられることが好ましい。

尚、搬送ロール480は、徐冷炉402の内部に設けられてもよい。この場合、搬送ロール480とガラスリボン14との接触圧が低くなるよう、搬送ロール480と振動板411とが交互に配列されてよい。

(支持ロール) 支持ロール490は、徐冷炉402の内部に設けられ、ガラスリボン14を下方から支持可能なものである。支持ロール490は、ガラスリボン14の搬送方向に間隔をおいて複数設けられている。

隣り合う支持ロール490の間には、振動板411が1つずつ配置されており、支持ロール490と振動板411とが交互に繰り返し並んでいる。尚、支持ロール490と振動板411との配列順序は、多種多様であってよい。

支持ロール490と、振動板411とは相対的に昇降可能である。例えば、支持ロール490が徐冷炉402の炉床に対して昇降可能となっており、詳しくは後述するが、状況に応じて、ガラスリボン14を下方から支持する位置(図2参照)と、ガラスリボン14から離間する退避位置(図1参照)との間で移動される。

尚、本実施形態では、支持ロール490が昇降するが、振動板411が昇降してもよい。振動板411が昇降することで、支持ロール490がガラスリボン14を下方から支持したり、ガラスリボン14から離間したりできる。

(支持ロールの使用方法) 例えば、板ガラス製造装置100のスタートアップ時には、ガラスリボン14の厚さや形状が不均一になったりする。そのため、振動板411からの音波の放射圧だけでは、振動板411の上方にガラスリボン14を浮上させることが困難なことがある。

そこで、板ガラス製造装置100のスタートアップ時には、図2に示すように、支持ロール490がガラスリボン14を下方から支持し、ガラスリボン14と振動板411との接触を防止する。支持ロール490は、回転モータによって回転され、ガラスリボン14を所定方向に搬送する。

一方、板ガラス製造装置100の定常時(板ガラス製造時)には、図1に示すように、支持ロール490がガラスリボン14から離間され、振動板411からの音波の放射圧で、振動板411の上方にガラスリボン14が浮上される。支持ロール490とガラスリボン14とが接触しないので、ガラスリボン14の損傷を防止できる。支持ロール490がガラスリボン14から離間された後、支持ロール490を回転させる回転モータが停止される。

尚、複数の振動板411を密に配置することで、支持ロール490を用いないことも可能である。

以上、本発明の一実施形態及びその変形例について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。

例えば、図6に示すように、振動板411は貫通孔411aを複数有してよい。この振動板411の下方には角筒状の反射体450が配置され、反射体450の上部には反射体450の内側空間に供給されるガスを外部に噴出する噴出孔450aが複数形成されている。噴出孔450aから噴き出したガスは、振動板411の貫通孔411aを通って、ガラスリボン14の下面に吹き付けられ、ガラスリボン14を浮上させる。また、徐冷炉402内にガスが供給されるので、徐冷炉402内の温度を調節できる。また、噴出孔450aから噴出するガスは、SO2ガスであってよい。SO2ガスは、ガラスリボン14の下面に防傷膜を形成できる。

また、図7の音波浮上装置410Aは、振動板411A、及び反射体450を有する。振動板411Aの上面は、横断面視で、水平な直線状部分と、該直線状部分の両端から斜め下方向に延びる傾斜部分とを有する。傾斜部分は、幅方向(図において左右方向)外側に行くほど下方に向かうように形成される。傾斜部分と水平方向とのなす角θは例えば15〜60°である。傾斜部分の幅(図において左右方向寸法)W12は、例えば振動板411Aの幅W11の5〜30%である。このように、振動板411Aの上面の横断面形状は、上に凸状になっている。従って、本変形例でも、上記実施形態と同様に、上記(1)〜(2)の効果が得られる。尚、振動板411Aの下面の横断面形状は、水平な直線状である。

また、図8の音波浮上装置410Bは、振動板411B、及び反射体450を有する。振動板411Bの上面の横断面形状は、上に凸の曲線状である。従って、本変形例でも、上記実施形態と同様に、上記(1)〜(2)の効果が得られる。加えて、本変形例では、(3)重力で撓むガラスリボン14と振動板411Bとの間に均一な間隙が形成され、振動板411Bの上面の大部分から放射される音波がガラスリボン14の浮上に寄与し、十分な浮上力が得られる。間隙が広すぎると十分な浮上力が得られず、間隙が狭すぎるとガラスリボン14と振動板411Bが接触してしまう。

振動板411Bの上面の曲率半径R11は、それぞれ、150〜10000mmである。振動板411Bの上面の曲率半径R11が150mm未満であると、重力で撓むガラスリボン14と振動板411Bとの間に形成される間隙が不均一となり、振動板411Bの上面の大部分から放射される音波によってガラスリボン14が浮上しにくく、浮上力が弱くなる。一方、振動板411Bの上面の曲率半径R11が10000mmを超えると、重力で撓むガラスリボン14と、振動板411Bの幅方向両端部とが接触しやすい。振動板411Bの上面の曲率半径R11は、好ましくは300〜8000mm、より好ましくは500〜7000mmである。尚、振動板411Bの下面の横断面形状は、水平な直線状である。

また、図9の音波浮上装置410Cは、振動板411C、及び反射体450Cを有する。振動板411Cの上面の横断面形状は、上に凸の曲線状である。従って、本変形例でも、図8の変形例と同様に、上記(1)〜(3)の効果が得られる。加えて、本変形例では、振動板411Cの下面の横断面形状が上に凸(下に凹)の曲線状である。振動板411Cの下面の曲率半径R12は、振動板411Cの上面の曲率半径R11よりも、振動板411Cの板厚分小さくてよい。振動板411Cは、平板を曲げ加工して容易に得られる。尚、振動板411Cは、平板を研削して作製されてもよい。

振動板411Cの下面の横断面形状が上に凸の曲線状の場合、反射体450Cの上面の横断面形状が上に凸の曲線状であると、振動板411Cと反射体450Cとの間に均一な間隙が形成され、反射体450Cの上面の大部分から反射される音波が振動板411Cの浮上に寄与し、十分な浮上力が得られる。

反射体450Cの上面の曲率半径R21は、反射体450Cと振動板411Cとの間に均一な間隙が形成されるように、振動板411Cの下面の曲率半径R12の90〜110%(好ましくは90〜100%)であることが好ましい。反射体450Cの上面の曲率半径R21は、振動板411Cの下面の曲率半径R12よりも、反射体450Cと振動板411Cとの間の間隙分小さいことがより好ましい。

また、図10の音波浮上装置410Dは、図9の振動板411C、及び図8の反射体450を有する。従って、本変形例でも、図8の変形例と同様に、上記(1)〜(3)の効果が得られる。加えて、本変形例では、図9の例と同様に振動板411Cの作製(加工)が容易であり、振動板411Cの加工コスト及び加工精度が良い。また、本変形例では、図5〜図8の例と同様に反射体450の作製(加工)が容易であり、反射体450の加工コスト及び加工精度が良い。ここで、振動板411Cの上面の曲率半径R11、及び振動板411Cの下面の曲率半径R12が500mm以上であると、振動板411Cと反射体450との間の間隙が均一に近づき、反射体450の上面の大部分から反射される音波が振動板411Cの浮上に寄与し、有効な浮上力が得られるため、特に好ましい。

10 ガラス原料 12 溶融ガラス 14 ガラスリボン 100 板ガラス製造装置 200 溶解装置 300 成形装置 400 徐冷装置 402 徐冷炉 410 音波浮上装置 411 振動板 412 振動子 430 断熱ボックス 440 冷却器 450 反射体 460 第1の昇降装置 470 第2の昇降装置 480 搬送ロール(搬送手段) 490 支持ロール 500 リフトアウト装置

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