Flow control metering systems, and filtration process control method of liquid-based specimen

申请号 JP2003536725 申请日 2002-10-21 公开(公告)号 JP2005506535A 公开(公告)日 2005-03-03
申请人 モノジェン インコーポレイテッド; 发明人 リュシアン ジェイ. ウルブレフスキー; ノーマン ジェイ. プレスマン; ウィリアム ジェイ. メイヤー;
摘要 容器中の 生物 学的液体検体から、フィルターの捕集部位で、所望濃度の細胞試料を捕集する方法および装置。 検体液体をフィルターを通して移動させ、その間に、フィルターを通過する液体の体積流量をモニターする。 モニターした液体流量を基準値と比較し、所定の比の値に達した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる。 所定の比の値は、好ましくは、検体処理用のプロトコールに応じて決定される。 別の方法および装置では、測定した容器の重量変化率に依拠する。 この変化率を基準値と比較し、変化率が所定の値またはそれ以下まで下がった時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる。
权利要求
  • 粒状物質含有液体検体を濾過して、フィルターの捕集部位で所望濃度の粒状物質を捕集する方法であって、
    検体液体を、実質的に一定の圧力のもとで、フィルターを通して移動させる工程、
    最初の所定容積の液体がフィルターを通過した時点を検出する工程、
    最初の所定容積と等しい次の増加分容積の液体がフィルターを通過するのに要した時間(基準基本時間)を測定する工程、
    最初の所定容積と等しいその後の増加分容積の液体のそれぞれについて、液体がフィルターを通過するのに要した時間(増加分基本時間)を測定する工程、
    各増加分量の基本時間を測定した後、その増加分量の基本時間を基準基本時間と比較し、増加分基本時間の基準基本時間に対する比が所定の比の値に到達または超過した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる工程を含む方法。
  • フィルターを通過した液体の合計容積をモニターし、かつ合計容積が所定の合計値に達した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる工程をさらに含む請求項1記載の方法。
  • 増加分基本時間の基準基本時間に対する比が所定の比の値に到達または超過する前にフィルターを通過する液体の流れが停止した場合に、警告信号を発する工程をさらに含む、請求項2記載の方法。
  • 所定の比の値が、検体処理用のプロトコールによるものである、請求項1、2、または3記載の方法。
  • 細胞診用細胞を捕集するための請求項1、2、または3記載の方法であって、検体中の粒状物質が細胞物質を含む方法。
  • 所定の比の値が、検体処理用のプロトコールによるものである、請求項5記載の方法。
  • 液体の最初の所定容積が、約0.1 ml〜5.0 mlの範囲である、請求項5記載の方法。
  • 液体の最初の所定容積が、約1.0 ml〜2.0 mlの範囲である、請求項7記載の方法。
  • 複数の細胞試料を同一検体から捕集するための請求項8記載の方法であって、所望濃度の細胞試料を第一のフィルター上に捕集し、かつ第一フィルターを通過する液体の流れを停止させた後に、列挙した捕集工程を少なくとも1回繰り返して少なくとも1つの細胞試料を捕集し、その際には、各細胞試料を各試料別のフィルターに捕集する方法。
  • 粒状物質含有液体検体の濾過過程を制御して、フィルターの捕集部位に所望濃度の粒状物質を捕集するための装置であって、
    フィルターを通して液体を移動させる、実質的に一定圧力の圧力源と、
    濾液の液量計と、
    圧力源および液量計と作動可能に連結された制御装置とを備え、
    この制御装置が、
    最初の所定容積の液体がフィルターを通過した時点を検出し、
    最初の所定容積と等しい次の増加分容積の液体がフィルターを通過するのに要した時間(基準基本時間)を測定し、
    最初の所定容積と等しいその後の増加分容積の液体のそれぞれについて、液体がフィルターを通過するのに要した時間(増加分基本時間)を測定し、そして各増加分量の基本時間を測定した後、各増加分量の基本時間を基準基本時間と比較し、増加分基本時間の基準基本時間に対する比が所定の比の値に到達または超過した時点で、フィルターを通過する液体の流れを停止させる、装置。
  • 制御装置が、フィルターを通過した液体の合計容積をモニターし、かつ合計容積が所定の合計値に達した時点で、フィルターを通過する液体の流れを停止させる、請求項10記載の装置。
  • 増加分基本時間の基準基本時間に対する比が所定の比の値に到達または超過する前にフィルターを通過する液体の流れが停止した場合に、制御装置が警告信号を発する、請求項11記載の装置。
  • 所定の比の値が、検体処理用のプロトコールによるものである、請求項10、11、または12記載の装置。
  • 濾液の液量計が、その内部を濾液が通過して液体柱を形成するチューブと、チューブに沿って配置され、制御装置と作動可能に連結された検出素子とを備える、請求項10記載の装置。
  • チューブがセンサーにとって透明であり、検出素子が、液体柱のメニスカスの先端を検出するよう等間隔をおいて配置された光学検出素子を備える、請求項14記載の装置。
  • 各検出素子がLEDセンサーを備える、請求項15記載の装置。
  • 各検出素子がLEDエミッタと光センサーとを備える、請求項15記載の装置。
  • 検出素子が、チューブに沿って配置された一対の平行なコンデンサ電極を備え、電極の一方はチューブ内に、他方の電極はチューブ外に配置される、請求項14記載の装置。
  • 容器内に収納された粒状物質含有液体検体を濾過して、フィルターの捕集部位で所望濃度の粒状物質を捕集する方法であって、
    容器から検体液体を吸引して、フィルターを通過させる工程、
    容器の重量変化率をモニターする工程、
    モニターした容器の重量変化率を、基準値と比較する工程、および容器の重量変化率が所定の変化率の値に低下またはそれよりも低下した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる工程を含む方法。
  • 容器の合計重量変化をモニターし、かつ合計重量変化が所定の合計値に達した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる工程をさらに含む請求項19記載の方法。
  • 容器の重量変化率が所定の変化率値に低下またはそれよりも低下する前にフィルターを通過する液体の流れが停止した場合に、警告信号を発する工程をさらに含む、請求項20記載の方法。
  • 所定の変化率の値が、検体処理用のプロトコールによるものである、請求項19、20、または21記載の方法。
  • 容器内に収納された粒状物質含有液体検体の濾過過程を制御して、フィルターの捕集部位で所望濃度の粒状物質を捕集するための装置であって、
    容器から検体液体を吸引してフィルターを通過させる、実質的に一定圧力の真空源と、
    容器の重量を検知するために配置された荷重センサーと、
    荷重センサーおよび真空源と作動可能に連結された制御装置とを備え、
    この制御装置が、容器の重量変化率をモニターし、かつ容器の重量変化率が所定の変化率の値に低下またはそれよりも低下した時点で、フィルターを通過する液体の流れを停止させる、装置。
  • 制御装置が、容器の合計重量変化をモニターし、かつ合計重量変化が所定の合計値に達した時点で、フィルターを通過する液体の流れを停止させる、請求項23記載の装置。
  • 容器の重量変化率が所定の変化率値に低下またはそれよりも低下する前にフィルターを通過する液体の流れが停止した場合に、制御装置が警告信号を発する、請求項24記載の装置。
  • 所定の変化率の値が、検体処理用のプロトコールによるものである、請求項23、24、または25記載の装置。
  • 所望濃度の細胞試料を、フィルターの捕集部位で、容器中の生物学的液体検体から捕集する方法であって、
    容器から検体液体を、実質的に一定の圧力下で、フィルターを通して移動させる工程、
    フィルターを通過する液体の体積流量をモニターする工程、
    モニターした液体の流量を基準値と比較する工程、
    モニターした液体流量の基準値に対する比が所定の比の値に到達または超過した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる工程を含む方法。
  • フィルターを通過した液体の合計容積をモニターし、かつ合計容積が所定の合計値に達した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる工程をさらに含む、請求項27記載の方法。
  • モニターした液体流量の基準値に対する比が所定の比の値に到達または超過する前にフィルターを通過する液体の流れが停止した場合に、制御装置が警告信号を発する工程をさらに含む、請求項28記載の方法。
  • 所定の比の値が、検体処理用のプロトコールによるものである、請求項27、28、または29記載の方法。
  • 複数の細胞試料を同一の生物学的液体検体から捕集するための請求項27または28記載の方法であって、所望濃度の細胞試料を第一のフィルター上に捕集し、かつ第一フィルターを通過する液体の流れを停止させた後に、列挙した捕集工程を少なくとも1回繰り返して少なくとも1つの細胞試料を捕集し、その際には、各細胞試料を各試料別のフィルターに捕集する方法。
  • 粒状物質含有液体検体の濾過過程を制御して、フィルターの捕集部位に所望濃度の粒状物質を捕集するための装置であって、
    フィルターを通して液体を移動させる、実質的に一定圧力の圧力源と、
    濾液の液量計と、
    圧力源および液量計と作動可能に連結された制御装置とを備え、
    この制御装置が、
    フィルターを通過する液体の体積流量をモニターし、
    モニターした液体の流量を基準値と比較し、
    モニターした液体流量の基準値に対する比が所定の比の値に到達または超過した時点で、フィルターを通過する液体の流れを停止させる、
    装置。
  • 制御装置が、フィルターを通過した液体の合計容積をモニターし、かつ合計容積が所定の合計値に達した時点で、フィルターを通過する液体の流れを停止させる、請求項32記載の装置。
  • モニターした液体流量の基準値に対する比が所定の比の値に到達または超過する前にフィルターを通過する液体の流れが停止した場合に、制御装置が警告信号を発する、請求項33記載の装置。
  • 所定の比の値が、検体処理用のプロトコールによるものである、請求項32、33、または34記載の装置。
  • 说明书全文

    【技術分野】
    【0001】
    関連出願の相互参照本出願は、本出願と出願人が同一である2001年10月19日に出願された米国仮出願第60/330,092号、2002年4月15日に出願された米国仮出願第60/372,080号、および2002年4月19日に出願された米国仮出願第60/373,658号に対して、優先権を主張する。 これらの出願は、参照として本出願に組み入れられる。 本出願は、本出願と出願人が同一である2002年4月15日に出願された米国非仮出願第10/122,151号にも関連している。 これらの出願も、参照として本出願に組み入れられる。
    【0002】
    技術分野本開示は、粒状物を含む液体、たとえば生物学的流体である検体を捕集、処理する装置および方法に関するものであり、粒状物を捕集し、顕微鏡用スライドあるいは他の表面に、観察に適した(たとえば、細胞学のプロトコールの使用に適した)検体由来の粒子(たとえば細胞)の均一な層を堆積させる工程を含む。
    【背景技術】
    【0003】
    背景技術診断細胞学、特に、臨床病理分野において、細胞をはじめとする顕微鏡観察の対象物の検査結果にもとづいて、細胞学的解釈および診断を行う。 スクリーニング処理や診断でどの程度の精度が得られるか、また解釈を行うのに適した試料を検体から調製しうるか否かは、適切な検体および試料の調製にかかっている。 この点で理想的な試料は、細胞が実質的に等間隔に並んだ単層の細胞であり、こうした理想的な試料であれば、細胞技術者、細胞病理学者、その他の医療の専門家であれば、そして細胞像をより明瞭な画像で見ることができる自動スクリーニング装置および診断装置によって、異常をより容易に、正確かつ再現性をもって特定することができる。 免疫細胞化学や細胞画像解析のような新しい方法論は、安全かつ有効で、正確で、精度が高く、再現性があって、安価で、効率がよく、迅速かつ手軽な調製装置および調製方法を必要としている。
    【0004】
    試料の細胞学的検査は、患者から細胞の試料を含む検体を採取するところから始まり、この過程は、通常、頚部の検体の場合のように特定領域の掻き取り、綿棒でのこすり取り、ブラシでの採取を行うことによって、また、体液の採取、たとえば、胸腔部、膀胱、脊柱からの体液の採取を行うことによって、さらには、細針を用いた吸引や細針による生検を行うことによって実施される。 通常の手作業での細胞学的検体の調製では、採取した流体中の細胞を観察するために、直接、または、遠心分離に基づく処理によってガラス製の顕微鏡用スライドに移す。 典型的な自動化された細胞学的検体の調製では、フィルター組立体(assembly)を懸濁液中に配置し、フィルター組立体によって、細胞をフィルターに分散させつつ捕捉する。 その後、フィルターを取り外し、顕微鏡のスライドに接触させる。 こうした試みのいずれにおいても、試料調製プロトコールでの制限要因となっているのは、固形物を、その固形物を担持している流体から適切なかたちで分離する過程であり、固形物をたやすく、かつ効率的に捕集、濃縮して、顕微鏡での検査に使用しやすい形状とする過程である。
    【0005】
    現在、細胞学的検査に供する生物学的検体は、特別の容器を使用することによって採取されている。 こうした容器には、大抵の場合、採取地点から細胞学的診断を行う検査施設までの搬送の間に細胞学的検体を保存するために、保存剤と、搬送用溶液とが入っている。 また、体腔から、綿棒、スパチュラ、またはブラシを使用して採取された細胞学的検体の場合も、細胞をスライドまたは膜上に移して染色または検査を行うまでは、固定液(たとえばアルコールまたはアセトン固定液)の入った特別の容器中で保存される。 検体容器としては、液体ベースの生物学的検体を容器中で直接処理して、容器自体に付随した捕集部位(粒状物質分離チャンバーを規定するフィルターハウジング)上に実質的に均一な細胞の層を得ることのできる容器が公知である。 たとえば、Raouf A. Guirguisの米国特許第5,301,685号、米国特許第5,471,994号、米国特許第6,296,764号、および米国特許第6,309,362号を参照されたい。 なお、これらは、いずれも、参照として本明細書に組み入れられる。
    【0006】
    これらの特許で開示された濾過技術では、確かに、スライド上に細胞の単層を得るという意味では、かなり良い結果が実現されているものの、まだまだ改善の余地がある。 さらに、これらの特許で開示された検体容器類では、特別な形状の穴あきカバーと、このカバー用のアダプターが必要とされ、このアダプターは、フィルターのハウジングに、ならびに液体を容器から吸引してフィルターを通過させるために使用する吸引装置(たとえば、シリンジまたは機械化された真空源)に嵌合するよう設計されている必要がある。 さらに、フィルターを顕微鏡用スライドに押しつけて、捕集された細胞をスライドに転写するためにフィルターを取り出す際には、カバーおよび/またはカバーに付随するアダプターのフィルターと協調する各部品を分解せねばならない。 この操作を自動化装置で行う場合には、こうした分解を行うための特別の取り扱い装置が必要となる。 装置がこのように複雑であるため、実際の細胞学的検査を行う前に必要とされる処理の時間、材料、および労賃がかさむ。
    【0007】
    一般に、これまでに液体ベースの検体を処理するために開発されてきた自動化装置では、癌のスクリーニング、他の細胞学的な医療、分析、スクリーニング、および診断の手順において現在、そして今後にわたって見込まれる必要性の数々を満たすのに十分な一貫性、信頼性、迅速性、自動化度は実現されていない。 本明細書で開示するバイアルを基本とした自動化処理システムは、こうした問題について、安全で洗練された有効な解決方法を提供する。
    【発明の開示】
    【0008】
    発明の概要開示本明細書に開示する検体バイアルは、完結した処理用組立体、典型的には、液体ベースの検体をその内部で撹拌し、検体由来の細胞を均一な細胞層としてその上に捕集するフィルターを保持した処理用組立体を収納している。 検体バイアルは、通常行われるように、液状の保存用溶液を予め梱包し、検体を集める目的で医療現場に送付されることを想定している。
    【0009】
    処理用組立体は、単純で、安価で、脱着可能な結合手段によって、バイアルの簡易カバーに結合させておく。 そのため、医療現場(医師の診察室、診療所、病院など)でカバーを取り外しても、処理用組立体がカバーから外れないので、医療従事者は、容器の内部に簡単にアクセスさせて生物学的検体をバイアルに入れることができる。 検体をバイアルに入れたら、カバーを、処理用組立体に結合させたままバイアルにかぶせて、バイアルを密封する。 密封したバイアルは、検査施設に送って処理を行うことができる。
    【0010】
    バイアルを閉じたままバイアルを簡単な方法で操作すると、処理組立体はカバーから離れて、バイアル中にとどまり、その結果、その後カバーを取り外すと、自動化検査装置または手動の検査装置にアクセスすることが可能となる。 好ましい態様では、カバー中央部に下向きのを加えるだけで、処理組立体をカバーから離脱させることができる。 上述の従来技術の検体バイアルとは異なり、本発明のバイアルは、カバーにそれ以上の相互作用を行う必要はなく、カバーは、カバー取外し簡易装置で取り外して廃棄し、汚染を避けることができる。 処理組立体は、バイアルの内側に設けられたリブによって適正な位置に保持されるので、処理の間のアクセスが可能となる。 この内蔵式バイアルおよび処理組立体により、痰、またはその他の各種検体、たとえば尿、脊椎穿刺液、胃の洗浄液、細針による吸引物、婦人科試料等に含まれる結核菌、または他の病原物質等のバイオハザードに操作者が曝されるのを最小限に抑える。
    【0011】
    本明細書で開示する自動化検体処理装置を、「LBP」装置(液体ベースでの調製用(liquid-based preparation)装置)と称するものであり、この装置は、品質が高く、ばらつきの少ないスライドを製造できるよう設計されている。 LBP装置は、また、細胞レベルでの形態学的、細胞化学的および/または分子的な変化を検出および/または定量を行う装置と組み合わせることもできる。
    【0012】
    この2年間あまり、文献を再評価し、既存のデータを再分析することによって、最も一般的な癌であり、高い感受性および特異性を示す癌でもある癌を検出しうるような一連の分子診断用物質が特定されてきている。 たとえば、本発明と譲受人を同一とする米国特許出願第10/095,297号および米国特許出願第10/095,298号(双方とも2002年3月12日出願)および米国特許出願第第10/241,753号(2002年9月12日出願)を参照のこと。 こうした場合では、細胞を、癌の診断結果と対応するような変化のパターンを識別しうる抗体および/または核酸「プローブ」と反応させることができる。 こうした分子システムは、上記のような腫瘍の異質性に合わせて微調整したアルゴリズムを利用することができる。
    【0013】
    細胞レベルで分子の変化を識別する方法は、癌を早期の治癒しやすい段階で検出する方法の一つである。 このような分子診断手段は、集団を基礎として癌の発症リスクをもつ個人をスクリーニングする際の使用が正しいものとされるのに必要なだけの感度と特異性とをもって、早期の検出および診断に使用することができる。 こうした分子診断手段は、腫瘍の特性を決定することによって、腫瘍の専門家が患者を層別化し、治療方法を患者に合わせて作成し、患者をモニターして、治療の効果と疾患の縮退、進行、または再発について評価するために使用することもできる。 こうした検査が可能となることで、早期段階における疾患の治療に際しての、新規で、より効果的な治療方法の開発もまた促進される。
    【0014】
    こうした分子診断は、コストと検査性能とのバランスがとれるように設計される。 スクリーニング検査は、高い感受性と特異性とを示す必要があるものの、こうした検査は、リスクは有するが、疾患を裏付ける症状を通常は呈していない多数の個人を対象として行うことを通常意図しているので、コストは常に極めて重要な要因となる。 この点に関しては、本発明のLBP装置は、分子診断手段と組み合わせることによって、個々人の身体に対して、ほとんど、またはまったく介入せずに癌の自動化された診断を行うことのできるシステムを開発することができる。 または、本発明のLBP装置は、LBP装置で製造された個々のスライドの観察を医療の専門家が行う病理観察用のワークステーションと組み合わせることもできる。 得られた診断システムは、自動化された装置であっても、手動の観察装置であっても、特定の目的に特化したソフトウェアとコンピュータ・オペレーティング・システムを基本とする統合データ管理システムとを組み合わせることによって、データの入力、情報の交換、検査施設と病院情報システムとのネットワークを管理することができる。
    【0015】
    本発明のLBP装置では、複数の上述の新型検体バイアルが、各種の処理ステーションを通って逐次搬送されており、スライド上に固定された検体が作製される。 その際、各スライドは、バーコードを付され、データ管理システムによって、バイアルおよび採取元の患者と関連づけられる。 カセットから、新しいスライドが1回に1枚ずつ自動的に取り出され、このスライドは、検体の固定後に同じカセットに返却される。 LBP装置は、複数のスライド用カセットを搭載することができ、前のカセットのスライドがすべて使用されたら、装置は、自動的に、次のカセットから新しいスライドを引き出す。 スライド用カセットは、液体に浸漬することができ、かつカセットからスライドを取り出さなくても染色が可能であるような自動化された染色装置と組み合わせうる形状としておくのが好ましい。 この点からすると、カセットには、液体の排出に使用しうるスロットを設け、かつ他のタイプのスライドホルダーを吊るす目的で染色装置に通常使用されているようなフックと協働するスロットまたは他の手段を設けておくことが好ましい。 このスライド用カセットは、統合システムの一部を構成する自動化された診断装置および他の装置類とも組み合わせうる形状としておく。
    【0016】
    検体バイアルは、手動で搬送手段に搭載することも可能ではあるものの、検体バイアルを自動的に搭載して処理を可能とし、処理が完了したら各検体バイアルを取り除くバイアル取り扱いシステムを必要に応じて使用すると、自動化の利点を十分に生かすことができる。 こうした取り扱いシステムの一態様では、バイアルを、それぞれバイアルを41本まで保持することのできる特別の省スペースのトレーに、最初は、手動でバイアルを搭載する。 LBP装置には、トレーを8枚まで搭載することができ、装置では、トレーからバイアルを1回に1本ずつ取り出し、処理済みの(再度封止した)バイアルをトレーに戻すことによって、それらのすべてを順次処理していく。 トレーは、処理済みのバイアルを保存したり、捕集したりする際にも使用することができる。
    【0017】
    各バイアルは、各バイアルごとのレセプタクル(receptacle)に収納されて、コンピュータによって制御されたコンベヤで、LBP装置を搬送される(本明細書に開示する態様では、コンベヤには、30個のレセプタクルが設けられている)。 バイアルとレセプタクルとは楔止されているので、処理経路を適正な向きのまま移動し、それぞれのレセプタクルと独立に回転することはない。 バイアルは、まず、(データ取得ステーションで)バーコードリーダーを通過し、ここでバイアルのバーコードが読みとられ、その後、LBP装置の以降の処理ステーション、すなわち、キャップ廃棄操作を含むキャップ取外しステーション、一次混合または拡散ステーション、フィルター搭載ステーション、検体取得およびフィルター廃棄ステーション、細胞塗布ステーション、およびキャップ再装着ステーションを順次移動する。 LBP装置は、検体をスライドに転写するために、新しい顕微鏡用スライドが検体取得ステーションに対して呈示されるスライド呈示ステーションも備えている。 各ステーションは、コンベヤによって呈示されるバイアルとは独立に作動するが、コンベヤは、作動しているすべてのステーションが、それぞれの作業を終了するまでは前進しない。
    【0018】
    バイアルキャップ取外しステーションは、バイアルからカバーのねじを緩めて外し、廃棄する回転把持手段を備えている。 ただし、その前に、キャップ取外しヘッドは、カバーの中央を押して、バイアル内部の処理組立体をカバーから脱着させる。 一次撹拌ステーションは、処理組立体を把持してわずかに持ち上げ、各検体に即した撹拌プロトコール(速度および時間)にしたがって移動(たとえば回転)させる拡張式のコレットを備えている。 フィルター搭載ステーションは、処理組立体上部の粒状物質分離チェンバー(マニホルド)に、検体に対応した種類のフィルターを載置する。 検体取得ステーションは、吸引ヘッドを備えており、この吸引ヘッドは、処理組立体の上方のフィルターを封止し、まず、処理組立体を動かして、液体ベースの検体中の粒状物質を徐々に再懸濁させる。 次に、吸引ヘッドは、フィルターに陰圧をかけて液体ベースの検体をバイアルから吸引してフィルターを通過させ、単層の細胞がフィルター底面に残るようにする。 その後、単層検体が新しいスライドに転写され、バイアルはキャップ再装着ステーションへと移動し、ここで、バイアルに金属箔の封止が施される。
    【0019】
    フィルターシステムは改良されているので、極めて高品質の単層検体が確実に生成する。 検体液体は、フィルターを通過して流れるとともに、フィルター前面を実質的に横切る方向にも流れる。 具体的には、検体液体には、フィルター面を横ぎるような二次的な流れ成分がある。 この二次的な流れは、半径方向外側に向かって流れるか、あるいは、実質的に半径方向の流れ成分を含むよう設計されており、その結果、相対的に弱い力で付着している粒状物質の塊を押し流すような剪断作用が生じ、フィルター前面に、分布がより均一の薄い層を形成することが可能となる。 この点に鑑み、本発明のシステムでは、フィルター前面に隣接する領域から検体液体が流れこんで通過することのできる流出口が周囲に設けてある。
    【0020】
    フィルター組立体は、ホルダーと、ホルダーに収納したフリットと、フリットの外面を覆い、フリットと接触するよう配置したメンブレンフィルターとを備えることが好ましい。 フリットは、ホルダーの端部を超えて延在させることができる。 メンブレンフィルターは、ホルダーに固定することができる。 フリットのホルダーを超えて延在している側壁部分は、検体液体が通過しうる領域を形成することとなり、その結果、二次的な流れが形成される。 ホルダーは、フリットの中央部がわずかに外向きに湾曲した形状として、検体転写工程でスライドに圧力を加えたときに、フリットの中央部が平坦となり、メンブレンフィルターがスライドとより均一に接触して、より効果的に転写されるようにする。
    【0021】
    処理組立体の上端に位置するマニホルドは、フィルター組立体を、メンブレンフィルターの側が下向きとなるように収納する。 マニホルドの底部壁は、(処理組立体の、下垂する吸引管部分と連通する)中央流入口から立ち上がる実質的に円錐の形状とするのが好ましい。 フィルター組立体と円錐形状の底部壁は、マニホルドチャンバーを形成しており、このマニホルドチャンバーには、周囲にわずかな隙間が設けてある。 この隙間は、スペーサとして機能する隆起部材または支柱が設けてあるので、周囲流出口を形成している。 支柱の間には、流路が形成されており、検体液体は、この流路を通って、マニホルドチャンバーから流出することができる。
    【0022】
    本明細書では、システムを構成する部品のいくつかについて、各種の好ましい材料や、それらを代替しうる材料について記載する。 ただし、選択しうる材料は、具体的に記載された材料に限定されるものではなく、また、代替材料の選択は、(たとえば、使用者の要求やマーケティングの要請に応えるうえでも、)多くの要因、たとえば、官能性、成形時の精度、耐性、耐薬品性、保存性、コスト、入手容易性、および/または光学的透明性によって左右されると理解されたい。
    【0023】
    請求の範囲に記載した本発明の一局面は、容器に入った生物学的液体検体から、所望濃度の細胞試料をフィルターの捕集部位に捕集する方法に関する。 この方法は、容器から検体液体を、実質的に一定の圧力下で、フィルターを通して移動させる工程と、モニターした液体流量を基準値と比較する工程と、モニターした液体流量の基準値に対する比が所定の比の値に達するか超えた時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる工程とを含んでいる。 この方法を複数回繰り返して、検体から複数の細胞試料を捕集することもできる。
    【0024】
    所定の比の値は、検体の処理用プロトコールに応じて決定することが好ましい。 フィルターを通過した液体の全容積をモニターして、この合計容積が所定の合計値に達した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させてもよい。 モニターした液体流量の基準値に対する比が所定の比の値に達するか超える前に、フィルターを通過する液体の流れが停止した場合は、警告信号を発するようにすることもできる。
    【0025】
    上記の方法を実施するための装置は、実質的に一定の圧力を供給する圧力源、濾過された液体の容積を計量する容積計測装置、および圧力源と容積計測装置とを作動可能に連結した制御装置を備えている。
    【0026】
    請求の範囲に記載した本発明の別の局面は、粒状物質含有液体検体を濾過して、所望濃度の粒状物質を、フィルターの捕集部位に捕集する方法(および装置)に関するものであり、この方法は、検体液体を、実質的に一定の圧力のもとで、フィルターを通して移動させる工程と、最初の所定容積の液体がフィルターを通過した時点を検出する工程と、最初の所定容積と等しい次の増加分容積の液体がフィルターを通過するのに要した時間(基準基本時間)を測定する工程と、最初の所定容積と等しいその後の増加分容積の液体のそれぞれについて、液体がフィルターを通過するのに要した時間(増加分基本時間)を測定する工程と、各増加分量の基本時間を測定した後、その増加分量の基本時間を基準基本時間と比較する工程と、増加分基本時間の基準基本時間に対する比が所定の比の値に達するか超えた時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる工程とを含んでいる。
    【0027】
    請求の範囲に記載した本発明のさらに別の局面としては、測定された容器の重量にもとづいて捕集を行う別の方法(および装置)が挙げられる。 この場合、容器から検体液体が吸引される際の容器の重量変化率をモニターする。 モニターした変化率を基準値と比較し、容器の重量変化率が所定値に低下またはそれよりも低下した時点でフィルターを通過する液体の流れを停止させる。
    【0028】
    開示するシステムおよび発明の好ましい態様を、発明を実施するための最良の形態も含めて以下に詳述する。 これらは、例示の目的で示すものであって、説明に際しては、添付図面に言及する。
    【0029】
    最良の形態の詳細な説明本発明のバイアルを基本とする検体の取扱い・処理システムについての全般的な説明を開始するにあたっては、バイアルそれ自体の説明から開始せねばならない。 このバイアルは、容器、カバー、およびバイアル中に配置された処理組立体(撹拌部材)から構成されている。
    【0030】
    検体バイアル図1、2a、および2bについて説明すると、バイアル10は、容器20、カバー30、および処理組立体40を備えている。 処理組立体40は、撹拌をはじめとするいくつかの機能を実行すべく設計されており、この好ましい回転式の態様については、便宜上撹拌部材と称するものとする。 容器20は、半透明プラスチック、好ましくはポリプロピレンから成形するのが望ましく、容器の長手方向軸線を取り囲むかたちで実質的に円筒形状の壁21を備え、この壁21が、円錐形状の底部壁22に接合されている。 プラスチックとしては、ABSおよびポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、グリコール(イーストマン・コダック社(Eastman Kodak Co.)からEASTAR(登録商標)DN004の名称で市販)をかわりに使用することもできる。 壁21の一部24を平坦とし、この平坦部の外面に、バイアルに入れた検体に関する情報を含む表示、たとえばバーコードのラベルを配置できるようにするのが好ましい。 図には平坦部分が一カ所のみ示されているものの、容器は、平坦部分のない形状とすることも、または、二カ所以上の平坦部分を備えた形状として、それぞれに表示を設けることもできる。 または、表示は、壁21の曲面部に配置することもできる。 平坦部分24の下端には、弓形のノッチ25が設けてあり、このノッチ25は、容器を架台に載せて各種の処理ステーションを移動させるLBP装置によって容器をハンドリングする際に作動して、容器を適正な向きに保持する。 ノッチがLBP装置と適正に嵌合するかぎり、別の形状のノッチ(たとえば、V字形のノッチ)を使用することもできる。 他の適当な嵌合用構造をかわりに使用することも可能である。
    【0031】
    壁21からは、4本の長手方向リブ26が内向きに突出している。 撹拌部材40がカバー30から離脱した際には(図10を参照のこと)、このリブ26の上端27が、撹拌部材40の支えとして機能する。 容器20の頂部は開口部28となっており、標準的な右手方向の螺旋状ねじ29が形成され、このねじ29は、好ましくは、一回半分延在し、カバー30上の同様のねじと嵌合する。 カバーと容器とを結合する形式としては、他の形式を使用することもでき、たとえば、差込式結合、スナップ嵌合の配置などを用いることができる。
    【0032】
    カバー30は、プラスチック成形された市販の単純なねじ付きキャップ31と、キャップ内に保持された新規なライナー32を備えている。 キャップ30は、ポリプロピレンから成形するのが好ましいものの、プラスチック材料としては、他にも、ABSおよびEASTAR(登録商標)DN004を使用することができる。 キャップ31は、平坦で硬い頂部と、そこから張り出した、外面にぎざぎざのついたフランジを含み、このフランジの内面には、容器20のねじ29と嵌合する螺旋状のねじ33が設けられている。 図4について説明すると、ライナー32は、プラスチック材料、好ましくはポリエチレンから成形されており、ライナーが簡単にキャップから外れることがないようキャップ31内のねじ33の奥にちょうど納まる寸法の実質的に平坦な基部34を備えている。 図1からわかるように、ライナー基部34は、キャップ31と容器の壁21のリムとの間で、ガスケット型の封止材の役目を果たしている。
    【0033】
    ライナー基部34は、環状突出部35形状の結合部材を備えており、この環状突出部は、やや円錐形状とするのが好ましく、中央軸線に対して約5°の度で設けることが好ましい。 すなわち、環状結合部材35の内径は、先端より、ライナー基部34に結合している基端で大きめとする。 ライナー基部34は、中央環状ボス36も備えており、このボス36は、基部34からみて環状結合部材35より先まで突出し、後述するように撹拌部材40と相互に作用する。 キャップとは別のライナーを、標準的なキャップと嵌合させて使用することが好ましいものの、カバーを1部品として一体に成形し、環状結合部材35および中央環状ボス36を含むものとすることもできる。 カバーは、こうした1部品のカバー(または、上述したような2部品のカバー)ではなく、容器の壁21のリムの内側に沿って突出し、リムの内側との間で封止が生じるような栓型のシールとして作用する形状とすることもできる。
    【0034】
    図1、3、および5について説明すると、撹拌部材40は、プラスチック、好ましくはポリプロピレンから成形され、中央が傾斜し、中央流入口42の設けられた円形の基部または底部壁41と、管の底部付近に2つの半径方向の両端に位置する吸引口44の設けられた中央に下垂する吸引管43と、外側に向かって延在する羽根45の形状とした分散用(撹拌用)部材とを備えている。 撹拌部材40の上部は、基部41と、上方に立ち上がった環状壁47とによって規定された杯状の粒状物質分離チャンバーまたはマニホルド46を備えている。 壁47の上端は傾斜させ、内縁48は、傾斜をきつめとして、後述するように、マニホルド46内にフィルター組立体Fを配置しやすい形状とするのが好ましい。 撹拌部材に使用しうるプラスチック材料としては、他に、ABSおよびEASTAR(登録商標)DN004が挙げられる。
    【0035】
    環状壁47は、撹拌部材40をキャップのライナー32に着脱可能に結合するための結合部材の役割を果たしているため、環状結合部材35にちょうど納まる寸法とする(図1を参照のこと)。 具体的には、結合部材35と結合部材47とは、摩擦嵌めまたはプレス嵌めで結合されており、閉じたバイアルを通常のかたちで取り扱っても、さらに、(たとえば、生物学的検体を容器に入れる目的で)容器20からカバー30を取り外し、取り外したカバー30を通常のかたちで取り扱っても、撹拌部材がカバーから離れることはない。 結合部材47は、結合部材35に対して、当初の直径方向の干渉が極めてわずか、好ましくは、約0.31 mmとなるような寸法とする。 結合部材47の方が結合部材35より硬いので、撹拌部材をカバーに取り付ける際には、わずかな変形が、主に結合部材35の側に生じ、その結果、摩擦力が生じて撹拌部材がカバーに係合したままとなる。 こうした摩擦による保持力に打ち勝つ外力をバイアルに加えると、撹拌部材40がカバー30から離脱し、重力によって、さらに容器20に落ちる(図10を参照のこと)。
    【0036】
    外部から撹拌部材を離脱させるために加える力は、カバー30の中央部分に加えるのが好ましく(図10の矢印を参照のこと)、この力は、キャップ31とライナー32とを内向きに変形させる。 図1に示すように、ライナー32の中央ボス36は、その先端が、撹拌部材の基部41にちょうど触れるかわずかに触れないくらいの寸法となっている。 そのため、カバーの中央部をくぼませると、中央ボス36は、ライナー32の環状結合部材35より大きく変形し、撹拌部材40が押されて、結合部材35との係合関係が外れる。 また、ライナー32が内向きに変形すると、結合部材35が外向きに広がり、撹拌部材を保持する力が低減し、撹拌部材が離脱しやすくなる。 撹拌部材を離脱させるためにカバー30に加える力は、5〜30ポンドの範囲、好ましくは約12ポンドとする必要がある。
    【0037】
    撹拌部材40は、カバー30から離脱すると、リブ26の上端27で受け止められる。 図10を参照のこと。 このようにして、粒状物質分離チャンバー(マニホルド)46は、容器開口部付近で安定したかたちで支えられ、LBP処理ヘッドが容易にアクセスし、撹拌部材を操作することによって検体を直接容器中で処理することが可能となる。 撹拌部材を安定的に支えるためには、少なくとも3本のリブ26が必要であるが、リブは4本設ける方が撹拌に際して粒状物質が液体中でよりよく分散するようであり、好ましい。 医療現場において、撹拌部材が不注意にもカバーから離脱してしまった場合には、医師または補助者は、単に、撹拌部材をバイアル中に軽く置いて、検体中に撹拌部材が沈むようにすればよく、その後、普段と同様にして、カバーを回し締めすればよい。 この過程は、困難ではない。 というのも、バイアル中にリブが設けられているために撹拌部材を一方向にしか挿入できないからである。 検体の入ったバイアルが一度閉じられると、撹拌部材は、処理の過程を通じてバイアル中に保持され、バイアルのキャップを締め直す際にもバイアル中に封止されている。
    【0038】
    患者の検体には、ごく一部ではあるが、婦人科のパパニコロー塗抹検査や他の種類の検体のように、大きな細胞塊、人工物、および/または細胞や細胞以外の破片の含まれるものがある。 こうした大型の混雑物には、捕集されてスライド上に載せられた場合に、診断対象である細胞の視認を困難とし、結果的に、スライドの試料についての解釈や診断の正確さを損なうものも含まれている。 こうした混雑物の大半は診断上重要ではないので、一般的には、試料から取り除いておくことが望ましい。 そのためには、撹拌部材の吸引管43の側面吸引口44を設けずに(図10aを参照のこと)、吸引管43の底部と、容器20の底部壁22中央に設けた小型の突起23との間の境界面で細かい制御を行うことが望ましい。 この境界面は、効果的に計量バルブを形成しており、その形状(オリフィス)23aは、撹拌部材40が容器20のリブ26に受け止められる際にかたちづくられる(図10を参照のこと)。 環状の流入オリフィス23aを適正な寸法としておくことで、大型混雑物が吸引管43に入ることを防止しつつ、診断上有用な可能性のある小型成分は通過させることができる。 オリフィス23aに設けられているのは、細い通過セクションと小型の計量領域であるが、径が大きいために、詰まりが問題になることはない。 環状オリフィス23aは、外径を0.105インチ程度、内径を0.071インチ程度とするのが好ましく、この場合には、通路の幅は、0.017インチ程度となる。 オリフィスのこの寸法は、婦人科の検体について最適化したものである。
    【0039】
    フィルターシステム図6および8に、本発明のフィルター組立体Fの一態様を示す。 図3および6に、本発明の(撹拌部材40中の)マニホルド46の一態様を示す。 フィルターシステムは、フィルター組立体Fと、マニホルド46とを含む。
    【0040】
    図6および8について説明すると、フィルター組立体Fは、フィルターのハウジングまたはホルダー200、多孔質のフリット202、および多孔質メンブレンフィルター205を含む構成となっている。 図8に、これらの構成部分を、拡大図でより明瞭に示す。 ホルダー200は、フリット202を納めるくぼみまたは凹部206、およびフリット202とホルダー200との間に規定されたチャンバー207を備えた杯形状または容器形状とすることができる。 フリット202およびメンブレンフィルター205は、上掲のGuirguisの特許、すなわち米国特許第5,301,685号および米国特許第5,471,994号に開示された材料から製造することができる。 なお、これらの開示については、参照として本発明に組み入れられる。
    【0041】
    本フィルター組立体Fでは、メンブレンフィルター205、フリット202、およびホルダー200を一緒に組み立てて、ユニットとする。 円筒形状のフリット202を、まず、ホルダー200内に配置する。 次に、メンブレンフィルター205を、ホルダー200に、恒久的に固定、接着、結合、または融着する。 図示した態様では、メンブレンフィルター205の外周または外延が、ホルダー200に融着されている。 この点に関しては、ホルダー200の外周コーナー部に、斜角面または傾斜面208が形成されている。 この傾斜面208は、通常の結合技術、たとえば、超音波溶接を使用することによってメンブレンフィルター205を付着することのできる、角度のついた表面となっている。 ホルダー200とメンブレンフィルター205は、互いに融着する材料から形成する必要がある。 双方をポリカーボネートから形成するのが好ましいが、ABS製のホルダーであれば、ポリカーボネート製のメンブレンフィルターとともに使用することができる。 メンブレンフィルターが同一材料から形成されているのであれば、熱可塑性ポリエステルをホルダーに使用することも可能である。 フリット202は、ポリエチレン製のものが好ましい。
    【0042】
    図8について説明すると、ホルダー200は、円筒形とするのが好ましく、底部壁または基部210と、基部210から実質的にまっすぐ立ち上がってリム21laまで延在している円筒状の側壁211とを含む実質的に杯形状の胴部を備えている。 側壁211には、半径方向内側に中央に向かって延在する環状の肩部212が設けられている。 肩部212は、フリット202を正確に位置決めする受け部の役割を果たす。 フリット202は、フリット背面の周囲部分が肩部212と当接した際に、フリットの外面またはリム21laが前面213にとってとるに足る(リム21laを超えて前面213がさらに延在する)ような寸法とする。
    【0043】
    側壁211の内径は、フリット202を摩擦によって所定の位置に係合して保持するような寸法とすることができる。 この点については、フリットの外径を、側壁211の内径と実質的に対応するものとして、機械的に、すなわち摩擦によってフリット202を所定の位置に保持することができる。 しかし、メンブレンフィルター205がフリット202を覆っているので、フリットは、摩擦によってホルダーに保持しなくてもよい。 すなわち、フリット202は、ホルダー中に余裕を持って納めてもよい。 しかし、フリット202を摩擦によってホルダー200に載置すると、フリット202が所定の位置に保たれ、メンブレンフィルター205の付着を、離れた位置にて行うことが可能となる。 また、フリット202を摩擦によってホルダー200に載置すると、ホルダー200とフリット202とを結合させて準組立体を製造し、この準組立体を保存しておいて、その後、メンブレンフィルター205を取り付けることができるので、フィルター組立体の大量生産をより単純かつ低コストで実施することが可能となる。
    【0044】
    フリット202をホルダー200に載置した後、図6にわかりやすく示すように、メンブレンフィルター205を、フリット外面213と、フリット側壁215の、ホルダー200を超えて延在する露出部214とに覆い被せ、傾斜面208に付着させる。 フリットの露出した外部側壁部分214は、検体の液体が通過して流れることのできる環状の表面領域となっており、この部分を検体液体が通過することで、図7aに模式的に示すように、二方向の流路が形成される。
    【0045】
    フィルター組立体Fには、コードを付して、特定の処理プロトコールで必要とされる可能性のある各種の孔径および孔密度(単位断面積あたりの孔の数)を記載することができる。 フィルター組立体には、色でコードを付すことが好ましいが、機械による検出が可能であれば、任意のコード、たとえば、触知基部のセンサーによる認識が可能な小型ニップルのような識別用突起を付すこともできる。 LBP装置には、色または他のコードを識別しうるセンサーを設け、適正なフィルターを確実に選ぶ。 フィルター組立体には、LBP装置に挿入しやすいよう、紙製の支持体入りとすることもできる。
    【0046】
    図8について再度説明すると、ホルダーの底部壁210には、中央開口部204が設けてあり、この開口部204を通して真空を引き、検体液体を吸引することができる。 ホルダー200には、さらに、底部壁210からホルダー内部に向かって延在する中央突出部または突起216が設けてある。 この中央突起216は、開口部204と同心的に配置しされ、フリットの内面218、底部壁210の内面219、側壁211の内側220によって規定されるチャンバ207の内部に位置している。 突起216は、実質的に中空で、複数の側面開口部221を備えており、この側面開口部221によって、チャンバー207が減圧され、チャンバーを通過する実質的に対称な流れが創出される。 メンブレンフィルター205とフリット202を通して吸引された検体液体は、チャンバー207を満たし、その後、側面開口部221と中央開口部204を通ってチャンバー207を出る。
    【0047】
    突起216は、ホルダーの開口面に向かって延在する当接面217を備えている。 この当接面217は、フリットの背面218と当接する形状を有する。 具体的には、当接面217は、環状肩部212よりわずかに先に存在している。 すなわち、当接面217は、環状肩部212のレベルよりわずかに上側または先に存在しているので、フリットをホルダーに装着すると、フリットの外面213が、わずかに外向きに湾曲することになる。 たとえば、当接面217は、環状肩部212の高さより、約0.002インチ先まで延在させることができる。 その結果、突起がフリット202の中央部を外向きに押し出して、フリット202の中央部がわずかに湾曲することとなり、このわずかな湾曲が存在しているために、メンブレンフィルター205の中央部がスライドと確実に接触することになる。 押圧転写の間にスライドに加えられる圧力によって、フリットの前面213が平坦となり、メンブレンフィルター205がスライドと十分に接触し、捕集された粒状物質がスライドに効果的に転写され、堆積の欠損箇所が低減する。 こうしたわずかに湾曲した形状が望ましい場合には、フリット202は、上述したように、摩擦によってホルダー200にしっかり納めることが好ましい。
    【0048】
    フリットが湾曲形状をしているので、メンブレンフィルター205は、張りつめた状態でなくてもよい。 このことにより、製造過程が簡素化され、コストが削減され、検品での棄却率も低減する。 フィルターは、めだった皺さえなければ、有効に作動する。 前述したように、フリット202は、わずかに変形可能とするのが好ましく、そうすると、吸引後にフリットのコンプライアンスによってフリットが変形してスライドに対して平らとなり、目的とする細胞や他の構成成分をフィルターからスライドに転写することが可能となる。 こうしたことを可能にするためには、フリットは、8ポンドの力を加えると、0.0016インチ変形して、平らに押しつぶされうるような弾性を有している必要がある。 良好なフリット材料としては、焼結ポリエチレンおよび焼結ポリエステルが挙げられる。 フリット202は、孔径が通常約50 μm〜70 μmの範囲の孔が空間的にランダムに配置された多孔質材料とすることができる。 この材料の顕著な特性として、薄層のメンブレンフィルター205(通常は孔径約5 μm〜8 μm)の材料と比べて、流れが妨害されにくいことが挙げられる。 すなわち、圧力降下は、メンブレンフィルター205を通過する場合と比べてフリット202でははるかに低い。 したがって、フィルターを通過した流体は、フリットを自由に流下する。 フリット202は、また、ランダムに配置された孔ではなく、多数の小内径(たとえば、50 μm〜70 μm)の流路が平行に延在し、その内部を吸引された流体と粒状物質が通過する構造を有した材料から製造することもできる。 こうした平行な流路の配置は、見かけ上流れの妨害が少ない内部流体通過性メジュームとして機能する。 実際、検体捕集ステーションには、孔の有無にかかわらず、流れが適正な程度に妨害されにくく、変形/弾性特性を有する材料や素子であれば、任意のものを使用することができる。
    【0049】
    検体液体を実質的に軸線方向、すなわち、メンブレンフィルターと垂直方向に流すと、特に、必要以上の時間にわたってメンブレンフィルターを通して真空を引いた場合には、図7bに模式的に示すように、粒状物質の層または塊が蓄積する可能性があることがわかっている。 こうした状態は、流れが二方向に生じ、半径方向の二次的な流れ構成成分がある程度生じるGuirguisのデザインの場合であっても生じることがある。 たとえば、Guirguisの米国特許第5,471,994号および米国特許第5,301,685号の図4および12を参照のこと。 この形状によって形成される二次的な流れは、メンブレンフィルターを横断して押し流したり、剪断したりする効果を生じるには不十分なようである。 Guirguisのさらに以前の特許、すなわち米国特許第5,137,031号には、漏斗または円錐形状のマニホルドが開示されている。 この構成では、周囲に、二次的な半径方向外向きの流れは存在しない。 フィルターそのものを通過して直接流れる流れ以外には流れが存在しないので、実質的な半径方向の流れの成分は存在していない。 したがって、検体液体は、実質的にメンブレンフィルターに垂直な方向にのみ流れる。
    【0050】
    図6について説明すると、撹拌部材40の頂部に位置するマニホルド46の縦壁47の内径は、フィルター組立体Fの外径、すなわちホルダーの側壁211の外径よりわずかに大きめの寸法としてあるので、図示するように、マニホルド46は、メンブレンフィルター205が下向きとなるようにフィルター組立体Fを受け止め、収納することができる。 フィルター組立体Fは、マニホルド46に余裕をもって納めることができる。 フィルター組立体Fをマニホルド46に納めると、メンブレンフィルター205の外周端が、底部壁41に受け止められる。 底部壁41は、くぼみまたは凹部を備えた形状となっているので、フィルター組立体Fをマニホルド46に納めた際にマニホルドチャンバーMが形成される。 このように、チャンバーMは、メンブレンフィルター205の外面と、底部壁41の上面41Sによって規定されている。
    【0051】
    本発明の流れが二方向に生じる構成は、メンブレンフィルターの表面に粒状物質が堆積または蓄積するという問題を解決する。 この構成では、粒状物質を脇に押し流し、堆積したり積層したりすることを防止するのに十分な剪断力または剪断作用が、メンブレンフィルターの前面を横切るように発生する。 堆積または積層した粒状物質は、メンブレンフィルター205の孔が粒状物質で覆われるにしたがって吸引力が低減するので、堆積していくにしたがって下層に対する結合力が弱くなる。 剪断力は、接線方向または実質的に半径方向の流れ成分を、メンブレンフィルター205の前面を横切るように、検体液体に対して付与することによって生成される。 この流れ成分は、メンブレンフィルターの前面と実質的に平行、すなわち、層の堆積方向と垂直であり、粒状物質を、半径方向外向きに、メンブレンフィルターの前面から遠ざかる方向に押し流す。
    【0052】
    二次的なまたは半径方向の流路を確保するために、マニホルド46は、メンブレンフィルター205の前面と底部壁41の上面41Sの間に形成されるマニホルドチャンバーMの周囲にわずかな空間または隙間G(図6を参照のこと)ができる形状とし、押し流された粒状物質が、メンブレンフィルターの前面から離れてマニホルドチャンバーMを出るようにする。 隙間Gは、粒状物質が詰まることのないよう、十分な幅をとる。 つまり、もし隙間が濾過を行っている粒状物質に対して狭すぎると、隙間Gが詰まり、二次的な流れが途絶えてしまうことになる。 隙間の最小寸法は、最終的には、粒状物質の粒径、検体液体の粘度、検体液体の温度によって決まる。 隙間Gは、細胞粒状物質が詰まらないようにするうえでは、少なくとも0.004インチは必要がある。
    【0053】
    図3および6について説明すると、マニホルド46の底部壁41には、流出ノズルを形成する隙間Gを形成するために、マニホルド46の周囲に、複数の互いに間隔をおいて配置された支柱または隆起リブ48aが設けてある。 リブ48a間の空間49は、検体液体がチャンバーMから出る際の流路となる。 図示した好ましい態様では、マニホルド46の内径は23.4 mmで、36本のリブ48aが10°の間隔をおいて配置されている。 リブは、高さ0.150 mmで、図示するように、湾曲しつつ周囲の肩部に続いており、半径Rが0.63 mmである。 本発明では、互いに間隔をおいて配置されたリブまたは支柱の形状として、他の形状も想定しており、このリブまたは支柱によって、フィルター組立体を底部壁41から厳密に離して配置して、厳密な流出領域を創出する。 リブまたは支柱の数と太さに応じて、流出領域の合計面積は、流入領域と比較して、50%まで減らすことができる。
    【0054】
    上記で言及したGuirguis型のフィルター構成では、半径方向外側に向かって移動する検体液体が失速することが観察された。 本発明の流れが二方向に生じるフィルターシステムでは、検体液体が流下する実質的に円錐形状の浅い面を設けることによって、速度の低下を補う。 この面は、メンブレンフィルター205と対向する実質的に円錐形状の分配用マニホルドチャンバーMを形成している。 本発明のチャンバーMは、空間49経由での環状の半径方向出口Oを備えており、この出口Oは、中央流入口Iの最大面積にほぼ等しいか、それより狭い面積を有している。 図9について説明すると、半径方向の環状の流路の「正面」領域は、円筒状で、任意の所定の半径R 1 、R x 、Ry、...、R 2にて、メンブレンフィルター205の前面とマニホルドの円錐面41Sとによって規定されて(領域が定められて)いる。 検体液体が外側に向かって移動するにつれて、半径が増大し、その一方で、マニホルドの高さは低減する。 マニホルドチャンバーMは、高さH 1 、H x 、H y 、...、H 2が、環状流路の正面領域がマニホルド流入口Iから外周流出口Oまで実質的に一定に保たれるような割合で低減し、メンブレンフィルター205の正面に沿った半径方向流速が実質的にリニアとなるような形状とすることができる。
    【0055】
    この点については、図9についてさらに説明すると、円形のマニホルド流入口Iの理論上の半径方向の最大流れ面積は、周囲の長さ(2πR 1 )にマニホルドチャンバーの高さH 1を乗じたものとして定義することができる。 この場合、2πR 1 H 1は、マニホルド流入口Iの最大周囲面積を定義する。 マニホルド流出口Oの最大周囲面積は、2πR 2 H 2として定義することができる。 流出口の流れの面積が、流入口の流れの面積と同じである場合には、流入口の面積と流出口の面積は、下記のように表すことができる。
    2πR 1 H 1 = 2πR 2 H 2
    R 1 H 1 = R 2 H 2
    この式を使用すると、高さ、たとえば、H x 、H yを、流入口Iから流出口Oまでの所定の半径、たとえば、たとえば、R x 、R yで定義することができる。 流入口から流出口までの高さH 1 、...、H x ,、...、H y 、...H 2をプロットしたとすると、得られる表面41Sは、直線的でなく局面となる。 しかし、マニホルドの下面が有意に湾曲していると、直線的な表面41Sほどは効果的に機能しないことが観察されている。 したがって、現時点で好ましい態様では、流入口から流出口まで延在する直線状または実質的あるいはほぼ直線状の(わずかに湾曲していてもよい)表面41Sを想定している。 また、検体液体が効果的に流れるためには、最低限の高さH 2として約0.006インチの隙間が必要である。 この要件にもとづいて、最低のR 1は、0.006R 2 /H 1インチとして定義することができる。 こうした形状とすると、検体液体がフィルターを通して吸引されるのにつれて、検体液体がメンブレンフィルター205の前面を横切って、メンブレンフィルターの前面と実質的に平行または、ほぼ平行な方向に移動し、所望の剪断作用が創出される。
    【0056】
    経験的には、直線的な円錐面41Sに関しては、流出口Oの面積は、好ましくは、流入口Iの最大面積以下とする必要があり、すなわち、R 1 H 1 R 2 H 2とする必要がある。 一例を挙げると、マニホルドは、以下の寸法(ここでの単位はすべてmm)、すなわち、R 1 = 1.24、H 1 = 1.32、R 2 = 10.00、H 2 = G = 0.15を有することができる。 この場合、最大流入口面積は、3.27π mm 2となり、流出口面積は、3.00π mm 2となって、これは最大流入口面積よりわずかに少ないものの、最大流入口面積(1.64π mm 2 )の50%として定義することのできる平均流入口面積よりは大きい。 このように、流出口面積は、最大流入口面積と平均流入口面積の間となる。 別の例では、マニホルドは、以下の寸法(単位は、すべてインチ)、すなわち、R 1 = 0.040、H 1 = 0.060、R 2 = 0.400、H 2 = 0.006を有することができる。 この場合、最大流入口面積は、0.0048πin 2となり、これは、流出口面積と等しい。
    【0057】
    まとめると、実質的に平坦なメンブレンフィルターと対向するマニホルドチャンバーMは、浅い漏斗状の形状とし、周囲に流出口を設けて、メンブレンフィルターの外面に沿った実質的に半径方向の流れを創出する必要がある。 半径方向の流れは、相対的に弱い力で結合した粒状物質を洗い流し、または、押し流して、メンブレンフィルターの表面に、粒状物質の極めて薄い層、すなわち単層を残す。
    【0058】
    LBP装置および方法図11〜57には、本発明のLBP装置の好ましい態様を示す。 LBP装置は、観察、画像診断、または光学的分析を行うスライドを調製するための自動化機械である。 LBP装置は、上述の流れが二方向に生じる濾過システム(図6、7a、9)を使用して、細胞の単層または薄層を捕集し、それらをスライドに転写する。
    【0059】
    図11について説明すると、この図に図示した態様のLBP装置は、少なくとも6つの別々の処理ステーション、すなわち、データ取得ステーション(バーコードリーダー)230、キャップ取外しステーション400、一次撹拌ステーション500、フィルター載置ステーション600、検体取得ステーション700、およびキャップ再装着ステーション800に分かれている。 これらの6つのステーションは、平行処理を行いうる構造となっており、すなわち、これらの6つのステーションは、いずれも、他のステーションと同時かつ独立して作動しうる。 LBP装置は、これらとは別に、データ読み出しステーション、スライド呈示ステーション、スライド取り扱いステーション、およびカセット取り扱いステーションを備えており、これらはいずれも、統合システム900として設置することができる。 LBP装置は、さらに、検体容器を各種の操作ステーションへと移動するための搬送機構240を備えている。 LBP装置は、さらに、検体バイアルを搬送機構に自動的に搭載、脱搭載する自動搭載機構300も備えている。 いずれのステーションも、コンピュータによって制御されている。 図1laは、LBP装置の操作シーケンスを示す。 この図は、オペレーティングソフトウェアを構成した際に最重要となる表である。
    【0060】
    図12は、LBP装置の基本的な構成要素を示す。 こうした構成要素としては、好ましくは押し出しアルミニウムから形成され、好ましくは移動しやすいようにキャスター(図示せず)上に載置されたフレーム260と、フレームによって支えられ、作動機構の主要部がその上に装着された機械加工アルミニウム製基板262とがある。 また、基板の下には、いくつかの構成部品の動力源として圧縮空気を供給する圧縮器264;各種構成部品の真空源となる真空ポンプ(図示せず);自動搭載機構300で使用されるバイアルトレーを支えるステンレススチール製の棚;ならびに電源供給・制御装置、および多岐にわたる機器を含む電気部品が配置されている。 空気を動力源とする作動装置でなく、電気を動力源とする作動装置を使用する場合には、圧縮器は不要である。 ユーザ・インタフェース、たとえば、タッチセンシティブなLCD表示部(図示せず)を、搬送機構240の左側に装着しすると、技術者は、マシンにおける通常の自動化処理プロトコールを超えた作業を制御することも可能となる。 ユーザ・インタフェースに現れうるログイン画面(上側の図)およびナビゲーション画面(下側の図)の例を示す図25を参照のこと。 利用者が、ユーザ・インタフェースと対話する際には、もちろん、他の画面も呈示される。
    【0061】
    LBP装置の「低価格」版は、一度に処理する検体の数が限定された卓上式のモデルとすることができる。 こうしたモデルでは、いくつかの構成要素、たとえば、フレーム260および自動搭載機構300を省きつつ、他の構成要素のスケール、たとえばフィルター載置ステーション600の容積を減らすことがことができる。 外部の真空源および圧縮空気源を使用して当該装置を駆動し、他の構成要素(電源、制御装置、等)は、改変した機械の基板に隣接した、または当該機械上の1つ以上のモジュールに再配置すればよい。 当業者であれば、こうした改変を実施する各種の方法を容易に思いつくはずである。
    【0062】
    搬送機構図11について説明すると、搬送機構240は、ステッパモーター(図示せず)で、高精度のスプロケット242、244の周囲に駆動されたエンドレスなリンクベルトコンベヤ242を備えている。 このコンベヤは、ピン248によって連結された複数のレセプタクルまたは支持体246を備えており、このレセプタクルが、対応する数の検体バイアルを受け止める。 図11に図示した態様では、1〜30の番号を付した30個のレセプタクルを備えている。 試料バイアルの寸法と、コンベヤの長さに応じて、LBP装置では、30個より少ない、または多いレセプタクルを、必要に応じて使用することができ、コンベヤは、すべての処理を一列のラインで完了するのに十分な長さを有している。
    【0063】
    リンクベルトコンベヤのレセプタクル246は、軌道を形成する一対の誘導レール250によって、スプロケットの間に誘導されており、通常の位置補正システム(図示せず)を備えているので、レセプタクルは正確に位置決めされる。 LBP装置は、各レセプタクルの位置を追跡し、かつそれらのレセプタクルを、通常の方法でステップ駆動または割出し駆動することができる。 たとえば、LBP装置の各リンク上に、直動位置センサー、たとえば光学センサーまたはフォトインタラプタを設けて、この直動位置センサーによって、制御装置に位置を送り込んで支持体の位置を登録し、各支持体を、処理パス上の各処理ステーションで正確に割出し駆動することができる。 正確な整列化や位置決めが期されるようにコンベヤを運転する方法は通常の技術なので、ここにこれ以上記載することはしない。
    【0064】
    Z軸およびY軸方向に軌道を形成している誘導レール250は、レセプタクルの側面に機械加工されたスロットと係合している。 たとえば、図29、33、37、および43を参照のこと。 機械的軌道と駆動スプロケットは、外部から潤滑剤を加えなくても作動するように、自己潤滑性プラスチックから構成することができる。 レセプタクル246には、それぞれ、窓247を設けて(図12を参照のこと)、検体容器のバーコードを、レーザで、すなわち光学的に走査できるようにする。 コンベヤは、清浄しやすいようにPTFE7を含浸させたhard-coated-alminum(登録商標)とすることができる。 リンクピン248は、精密に研削して硬化させることができる。 リンクピンは、非回転リンク孔に、軸線方向に固定して位置させることができる。 回転リンク孔は、潤滑剤をさらに追加しなくても作動しうる適当なベアリング材料を用いて装備することができる。 操作者の安全のために、コンベヤの作動は、機械のカバーと連動式にしておくこともできる。 (図示せず)。
    【0065】
    レセプタクル246は、検体バイアルを特定の向きに受け入れ、または受け止めるような形状としてある。 すなわち、検体バイアルとレセプタクルとは、バイアルが特定の向きにのみレセプタクルに納まるよう相補的な形状とし、つまり楔止する。 たとえば、バイアルは、「D」字形として、平坦な側面を含むような形状とすることができ(図2a、2bを参照のこと)、レセプタクルも「D」字形として、平坦な側同士が並列するようにする。 こうすると、バイアルは、レセプタクルに対して回転することがなくなる一方、レセプタクルに対する縦方向の動きは制限されずに確保される。 D字形以外にも、各バイアルに底部ノッチ25を設け(図2aを参照のこと)、レセプタクルに、ノッチ25と嵌合して楔止するペグまたはスタッド(図示せず)を設けることができる。 図示したノッチおよびペグは、弓形であるが、相互に嵌合する他の形状(たとえば、V字形の形状)とすることもできる。
    【0066】
    バイアルの搭載/取り出し機構図12、13、および14は、バイアルの自動搭載/取り出し機構機構300を示す。 縦方向(Y軸)の縦型スタンダード310の頂部に設けられた親ねじ(lead screw)モーター308によって駆動されるエレベータ・キャリッジ306には、枢動型ピック&プレース・アーム304が、装着されている。 このアーム304は、通常の電気または空気によって操作される顎型の把持手段312を備えており、この把持手段312は、検体バイアル10を三方向の自由度で移動させることができる。 アームは、エレベータ・キャリッジ306のクレバス型ブラケット316に枢動可能に装着された横方向の親ねじモーター314によって平面内を移動する。 図示した顎型把持手段のかわりに、ピック&プレース・アームには、図15に示すような、通常の空気によって操作される吸引ヘッド型の把持手段を設けてもよい。 こうした把持手段は、シリコーンゴム製のベローズ318を備えており、このベローズ318は、カバーの上に載置して吸引ライン320を通して吸引すると、バイアルのカバー30に対してシールを形成する。 把持手段は、機械的に操作するにせよ、空気で操作するにせよ、把持手段の操作は、当業者であれば理解しうるように、機械的にプログラムされた操作によって行う。
    【0067】
    図17〜20について説明すると、検体バイアル10は、機械の棚320に摺動して入る、特別に射出成形したプラスチック製のバイアルトレー330に保存する(図12を参照のこと)。 混乱をさけるうえでは、図13〜15に示すトレーは異なった種類(スタンピングした鋼製)であることを指摘しておかねばならないが、トレーを回転させる機構の操作は、その構成にかかわらず、同一である。 プラスチック製のバイアルトレー330が好ましく、ポリプロピレンとするのが好ましい。 「トレー」という用語は、本発明で使用する場合には、図示した態様に限られるものではなく、一般的には、平坦な別個の物体を、おおむね本明細書に記載するような方法で支え、移動させるようなものであれば、リムのあるものもないものも含め、任意の種類の支持体を包含するものと理解されたい。
    【0068】
    各トレー330には、検体バイアル10を一方向にのみ受け止める寸法および形状とした円形の凹部332が41個設けてある。 各凹部332の上端は、好ましくは、傾斜端333として、バイアルを滑らかに挿入できるようにしておく。 凹部は、4本の同心の列が密集した配置とし、好ましくは、一番外側の列が16個の凹部、次の列が8個の凹部、3番目の列が、9個の凹部、最も内側の列が、8個の凹部となるように配置する。 隣合った列のレセプタクルは、場所の節約上、互いにずらして配置する。 2列目のレセプタクルは、4列目(最も内側)のレセプタクルと、半径方向に一致した位置に配置されている。 最も外側の列のレセプタクルは、レセプタクル中央で測定して18°の間隔をおいて配置されている。 他の列の各レセプタクルは、レセプタクル中央で測定して36°の間隔をおいて配置されている。 もちろん、レセプタクルは、ピック&プレース・アーム304がすべてのバイアルにアクセス可能であれば、さらなる他の並び方で配置してしてもよい。 各レセプタクルは、独自に指定可能な位置を有しており、そのため、どのバイアルにも、随意に任意の順番でアクセスすることができる。
    【0069】
    上述したように、処理を行う間に検体バイアルがどちらを向いているかは極めて重要であり、これらのトレーに保存されているバイアルが適正な向きに配置されていることで、ピック&プレース・アーム304が、各バイアルをコンベヤのレセプタクル246の適正な位置に配置することが可能となる。 そのため、各凹部332の底部には(図19を参照のこと)、固定された指標ペグ(indexing peg)334が設けてあり、このペグ334は、バイアルのノッチ25に嵌合するような寸法を有している。 ペグ334は、たとえば接着剤で、凹部332の底部に隣接してトレーに成形された溝335内に納められている。 ペグのいくつかは説明の目的から図19に記載していない。
    【0070】
    ペグ334は、トレー330のメジアン平面に対して特定の角度で配置して、トレーから取り出された各バイアルが搬送用レセプタクルに送達された際に、ノッチがレセプタクル中の嵌合相手のペグと、あるい嵌合相手のペグがノッチと整列するようにする。 これらの各角度は、特定の凹部332中のバイアルにピック&プレース・アーム304がアクセスする時点でのトレー330の位置と、バイアルをつまみ上げる地点からコンベヤのレセプタクル246にバイアルを載置する地点までのピック&プレース・アームの回転角度とによって決まる。 こうした角度の決定は、当業者の能力の範囲内であると考えられる。
    【0071】
    トレー330には、3本の直立する誘導ポスト336が設けてあり、それぞれには、ばねを担持したボール338が配置されている。 誘導ポスト336は、各棚302の上に設けられた誘導部(図示せず)と協働して、トレーを機械に挿入する際にトレーを誘導する役目を果たして、確実に適正な向きとなるようにする。 誘導ポスト336は、保存に際してトレーを積み重ねる際の積み重ね用のポストの役目も果たし(図20を参照のこと)、ボール338は、上側のトレーの底部に設けられたくぼみ339(図19を参照のこと)と係合する。
    【0072】
    トレー330は、大きな裾広がりのノッチ340を備えており、このノッチ340は、このトレーが棚302に挿入されるときには機械の方を向いている。 ノッチ340の最奥部には、対向するキー溝342が設けられており、後述する浮動キーと係合するようになっている。 キー溝は、好ましくは、ミリングした真鍮製のハブ挿入部343に形成されており、このハブ挿入部343は、トレーの上面のくぼみに、トレーの上面と面一となるように、ねじ止めされている。
    【0073】
    図14、15、および15aについて説明すると、外側の回転スピンドル350の上部と下部が、ベアリング352、354で、それぞれ回転自在に軸支されている。 外側のスピンドル350は、1回に1枚のみのトレーと係合して、そのトレーを回転させるので、ピック&プレース・アーム304は、基板262に設けられた開口部266を通過し、任意の利用されていないトレーの定位置に位置あわせされたノッチ340を通過して下向きに移動することにより、バイアルにアクセスすることができる。 図14は、トレーの定位置を破線で示し、ここで、トレーのノッチ340は位置あわせされており、外側スピンドル350を包持している。 外側のスピンドル350は、コンピュータ制御された回転ステッピングモーター(stepper motor)356とタイミング歯車360、362と係合したタイミングベルト358によって、底部から、高精度で回転される。 下向きの光学回転位置センサー363が、位置あわせされたトレーのノッチの上方に配置されており、この回転位置センサー363が、トレーがいつ、どのように定位置から回転したのかを検出し、そしてステッピングモーター356の回転を制御するためのフィードバックを提供する。
    【0074】
    外側のスピンドル350の内部には、内側のスピンドル364が設けられ、この内側のスピンドル364には、各トレーに関して1対ずつ、8対の対向するキー365が設けられている。 キー365は、外側のスピンドル350から、外側のスピンドルに設けられた対向するスロット366を通して突出している(スピンドルと、一番下のトレー2枚の中央部の断面図である図15aを参照のこと)。 内側のスピンドル364は、内側の親ねじ372によって、外側のスピンドル350の内部を上下に移動する。 親ねじ372は、タイミングベルト376およびタイミング歯車378、380を介して、親ねじステッピングモーター374によって回転される。 内側のスピンドル364の頂部には、キー「定位置(home)」センサー382が設けられており(図15を参照のこと)、基準点を提供している。 すなわち、機械の始動時には、内側のスピンドルがキー「定位置」センサー382まで戻り、その後、その位置からの内側のスピンドルの動きが参照される。
    【0075】
    図15に示すように、キーの各組は、縦方向に均一間隔をおいて配置されている。 この間隔またはピッチは、全数の搭載トレー330のキー溝342のピッチとは異なる。 したがって、キーがどのキー溝と係合するかは、内側のスピンドルの上下方向の位置によって決まり、どの時点でも、係合しているのは1対のキー溝(トレー)だけである。 図15aの拡大図では、一番下のトレー330-1のキー溝342は、キー365と係合しているが、下から二番目のトレー330-2のキー溝は、どのキーとも係合していない。 内側のスピンドル364が、ピッチ差の1/8動くと、それまで係合していたトレーが外れて、すぐ隣のトレーが係合する。 棚302によって規定されるトレースロットに1枚以上のトレーが不在であっても、搭載および取り出し機構の動作は影響をうけない。
    【0076】
    ピック&プレース・アーム304が、(コンピュータの制御装置によって決定された)特定のトレーにアクセスする場合には、親ねじモーター374によって、内側のスピンドルが適当な距離だけ移動され、適当なキーが、その特定のトレーのキー溝と係合する。 次に、アーム304が特定の凹部332にアクセスできるよう、回転モーター356が、楔止されたトレーを適正な角位置まで回転させる。 トレーが積層して配置され、積層されたトレーの裾広がりのノッチ340を通して把持手段312が特定のトレーにアクセスし、各トレーに凹部332が密集して配置されているので、LBP装置のコンパクトな基部に容易に組み込むことができ、極めてコンパクトで、容量が大きく、効率的なバイアル取り扱いシステムが実現されている。
    【0077】
    図示した態様では、LBP装置は、それぞれ検体バイアル41本を保持するトレーを8枚まで収納することができる。 この41本分の凹所のうちの1箇所を清浄用のバイアルのために確保し、このバイアルに清浄液を入れておいて、検体液と通常接触する装置の各部が清浄化されるようにすることができる。 または、この41本目のバイアルには、較正(calibration)用の代表的な対照検体を入れておくこともできる。 このように、LBP装置は、処理を行うべき検体の入ったバイアルを、少なくとも320本まで収納することができる。 したがって、本装置は、長時間にわたって連続的に無人操作を行うことが可能であり、少なくとも8時間は連続無人操作を行うことができるので、検査施設の人員が通常は不在であるような、たとえば夜の時間帯であっても、検体の処理を行うことができる。
    【0078】
    トレー330にバーコードを付すか、他のかたちで機械で読みとり可能な識別用データのラベルを付した場合には、指令を受けた場合に特定のトレーにアクセスすることができるような自動保存装置でトレーを使用することができる。 トレーの識別データは、統合データ管理システムに入力して、トレーに保存したすべての検体バイアルの位置を容易に確認できるようにしておく。
    【0079】
    トレーを利用した検体バイアルの保存に関しては、ライナー型のシステムをトレー330とともに使用することによって費用を低減することができる。 たとえば、バイアルを、トレー330と合致させ、凹所332に容易に褶動して納まるような薄いシート状のライナー(図示せず)で保持して保存することができる。 ライナーは、バイアルを最大限に搭載しても自立性が保たれるような堅さを有しており、積層が可能で、移動しやすいよう台車付きワゴンに収納することもできる。
    【0080】
    データの受け入れと検体の管理各検体バイアルと、各検体バイアルから製造された検体スライドについては、常時所在を確認しておくことがもちろん重要である。 したがって、LBP装置は、通常、受け入れステーション102または他のコンピュータを介して、統合データ管理システム(DMS)104と通信している。 図21には、検体バイアルの取り扱いと、LBP装置の操作に統合されるデータの流れを模式的に示す。 LBP装置とDMSとの通信リンクは、直接的なピア・ツウ・ピア(peer-to-peer)の接続を使用するイーサネットや他のプロトコールを介して、または、サーバーを基本としたネットワークを介して構成することができる。
    【0081】
    検体処理操作は、ラベルを付した検体バイアルから、データを、たとえば、データ入力端末または受け入れステーションに設けたバーコードリーダーを経由して、DMSに回収または移動するところから開始し、この過程は、直接接続することによっても、ネットワークを介して行うこともできる。 検体追跡データは、たとえば、患者の氏名、検査の識別(ID)番号、患者についてのデータ、任意の特別な処理上の指示事項を含むことができる。 たとえば、バーコードを付した検体バイアルは、当初は紙の申込用紙の様式、そしてその後はデータベース中の個別に割り当てた番号形式のIDによって、患者についての情報と関連づけることができる。 好ましい態様では、バイアルのバーコードを含む患者と検査についての情報を、医療現場(たとえば、医師の診察室)で、ネットワークに繋いだDMSデータベースに入力することにより、紙の申し込み様式を完全に不要とすることができる。 アキュメド・インターナショナル社(AccuMed International、Inc.)(現在のモレキュラー・ダイアグノスティック社(Molecular Diagnostics、Inc.)、すなわちMDI)に譲渡された米国特許第5,963,368号(本明細書に参照として組み入れられる)には、生物学的検体分析用のコンピュータ-制御機器(顕微鏡)に適用した類似の概念と、各分析で得られたデータを保存することが開示されている。 この米国特許第5,963,368号は、液体ベースの細胞診断の分野モノジェン社(MonoGen、Inc.、この出願の所有者)に対して、非蛍光に基づく画像解析素子、方法、システムおよび/または機器と組み合わせて、あるいはそれらとともに使用するべく排他的に認可されている。 モノジェンの市販の病理ワークステーションおよびデータ管理システムは、米国特許第5,963,368号に開示された概念を実現したものである。
    【0082】
    各検体バイアルは、識別用(ID)の記号またはラベル(たとえば、バーコード)および/または保存された情報ラベルまたは記号、たとえば、ホログラムまたはメモリーチップまたは素子を備えている。 本態様は、IDラベルを光学読みとり装置、たとえばバーコードリーダーで読みとり、この光学読みとり装置から情報をDMSに送って、同一または異なった場所、たとえば検査施設、医師の診察室、病院、または他の患者の看護に置かれた別々のワークステーションまたは機器の間で情報を共有することを念頭に置いている。 図21aは、DMSを拡張し、検体データ/患者データをサーバーを通じて各種の検体処理装置および/またはコンピュータ化したワークステーションと関連づけて、完全に統合された検体の管理を実現した検査システムの全体を図示したものである。
    【0083】
    別のバーコードリーダー230(図11を参照のこと)が、LBP機械自体に装着されおり、このバーコードリーダー230が、処理を行う前に、すべての検体バイアルを、各搬送用レセプタクル246に設けられたスリットを通して走査する。 各搬送用レセプタクル246は、こうした通常の光学読みとり装置で読みとり可能な記号またはコード、たとえばバーコードを使用して追跡する。 LBP装置で使用するバーコードリーダーは、任意の市販の型式、たとえば、キーエンス(Keyence)のBL-600のような、最低限、BCR対象コードとして、物流用の標準バーコード(Interleaved 2 of 5)、コード128c、またはEAN128を読みとることのできるものとすることができる。 操作者を保護するうえでは、バーコードリーダーは、液密な格納容器に封止されているのが好ましい。 検体バイアル/搬送用レセプタクルのIDを読みとった後、データを、ホストデータベースまたはワークステーションのDMSに送ると、ホストデータベースまたはローカルワークステーションは、LBP装置に、その個別の検体で実施すべき具体的な処理プロトコールを送り返してくる。
    【0084】
    データ管理システム(DMS)の最も重要な機能としては、たとえば、以下のものがある。
    受け入れの間に患者と検体についてのデータを得、必要に応じて各装置にこのデータを提供して、処理パラメータを設定し、医療データをスライドの観察者に提供する。
    検体およびスライドについての物証保管の継続性を維持し、データ保全を確実に行う。
    データをコンパイルし、規制、法令順守、検査管理報告書として必要とされる様式を印刷する。
    医学報告書を作成し、保護されたデジタル電子署名を使用してデータ保全を確実に行う。
    機器について、「使用回ごとの」料金の請求書作成発送を管理する。
    各処理に関して最適な処理プロトコールを蓄積し、検体の種類および/または利用者の要求にしたがって、装置に最適の処理プロトコールを供給する。
    遠隔診断および修理を可能とし、利用者のマニュアルおよびトラブルシューティングの手引書を提供する。
    図21bは、これらの作業を遂行する際に使用することのできるリレーショナル(relational)データベース表の例を示す。
    【0085】
    DMSは、細胞診断処理の各種の段階で、紙を必要としないデータの流れを実現することができるので、有意な量の人員の時間および費用を節約し、転記ミスを減らし、正確さを向上し、紙の記録を保存するのに必要な空間を不要とすることができる。 データの取得、保存、検索を自動化して管理することによって、検体に対する応答時間が有意に短縮され、各操作の効率が上がる。 較正が自動的に実施され、機械的に照合確認されるので、潜在的な問題が早い段階で特定され、検体の質が向上する。 また、多文化環境にある検査施設の場合には、世界規模での販売にむけて外国語に関して自在に支援を受けることができる。
    【0086】
    DMSは、共通のユーザ・インタフェースを提供し、このユーザ・インタフェースは、連結された各検査装置およびワークステーションの操作についての詳細な情報を提供し、かつオンラインの利用者マニュアルや訓練補助プログラムを使用できるので、使用が容易となり、訓練が低減される。 DMSは、備え付けのソフトウェア・インタフェースを通じて、患者や検体に関するすべての関連データの、利用者自身のLIS(または他のデータ管理システム)との交換を取り扱う。 その上、離れた場所にある機器で診断を行うことができるので、中断のない最大限の操作を確実に行うことができる。 ペーパーワークが減り、他の機器および既存のコンピュータネットワークとの相互互換性が高まり、他の中央病院または検査情報システムとの統合が可能となると、利用者の便益も有意に高まる。
    【0087】
    通常の操作では、検査施設は、(1)健康管理の提供者から、申込用紙を、バーコードを予め付した検体バイアルとともに受取り、(2)検体に個別のID番号(受け入れ番号)を割り当て、(3)申込用紙の情報にもとづいて、具体的なLBP検査IDを入力して、使用する処理を具体的に指定する。 図23は、技術者に呈示され、バイアルのバーコード、受け入れ番号、LBP処理コードが入力される受け入れ(データ入力)画面の例を示す。 処理を行うために検体バイアルをLBP装置に搭載する際には、LBP装置は、自動的に検体バイアル上のバーコードを読みとり、バーコードの番号(106)をDMSに送り、DMSは、選択された検査と、作成すべきスライドの数についての処理パラメータを送り返す。 LBP装置は、受取通知(108)を送り返し、検体を処理して、DMSを介して指示された1枚または2枚以上のスライドを作成する。 LBP装置が、検体バイアルから濾過によって得られた材料を検体スライドに押圧転写する直前に、LBP装置は、検体試料を載置する予めバーコードを付しておいたスライドからバーコードを読みとる。 LBP装置は、各スライドのバーコード(110)と、関連したバイアルのバーコードをDMSに送り、DMSは、患者データベースにスライドのバーコード番号を記録してデータベースをアップデートし、スライドのバーコード番号を正しいバイアル番号と関連づけ、LBP装置に処理命令信号(112)を送る。 すると、LBP装置は、検体から得た細胞診断用試料を1枚以上のスライドに押圧転写し、オンボード・データのログを、次に処理を行う検体に備えさせる。 図24に図示してあるのは、バイアル番号、スライド番号、および患者のデータを含む、この時点でDMSデータベースに関連づけられているデータ項目を示すDMSのメニュー画面の例である。 DMSは、スライドのID番号と、関連するバイアルのID番号、患者のデータ、および処理プロトコールが列挙された印刷可能な報告書を生成することができる。
    【0088】
    最低でも、プロトコールの変数は、検体混合時間(撹拌速度および時間)およびフィルターの選択を含む。 通常、初期撹拌速度は、500 rpm〜3,000 rpmの範囲で50 rpmきざみで選択可能とする。 撹拌間隔は、5〜120秒の範囲で5秒ずつ選択可能とする。 フィルター型の選択は、平均孔径を基準とし、選択した検査プロトコールに応じて、5ミクロン(赤色のハウジング)(たとえば、痰検体のような非婦人科検体の場合)としたり、または8ミクロン(白色のハウジング)(たとえば、婦人科検体の場合)としたりする。
    【0089】
    LBP装置は、試料の入り交じったかたちでの運転(すなわち各種の検体の入ったバイアルが混在するかたちでの運転)を互換的に行うこともでき、さらに同種の検体ごとにバッチ処理を行う必要がない。 検体の処理に際しては、少なくとも100種の異なった処理プロトコールを実施することができ、こうした処理プロトコールは、DMS内に、利用者がアクセス可能なかたちで存在している。 予め定義しておいた手順コード(検査ID)、たとえば下記のようなコードを使用して、操作者の入力を簡略化し、どのプロトコールを使用するのかを特定することができる。
    1 乳房嚢胞、左
    2 乳房嚢胞、右
    3 気管支のブラッシング液
    4 気管支洗浄液
    5 気管支肺胞洗浄液
    6 脳脊髄液
    7 結腸のブラッシング液/洗浄液
    8 食道のブラッシング液/洗浄液
    9 胃のブラッシング液/洗浄液
    10 歯肉(頬側)の掻き取り液
    11 婦人科のパパニコロー塗抹検査検体
    12 小腸ブラッシング液/洗浄液
    13 乳頭分泌液、左
    14 乳頭分泌液、右
    15 卵巣嚢胞、左
    16 卵巣嚢胞、右
    17 膜液
    18 腹水
    19 胸水
    20 直腸ブラッシング液/洗浄液
    21 痰(誘導)
    22 痰(自発)
    23 尿(導尿)
    24 尿(随時尿)
    【0090】
    各検体は、新しいフィルターで処理して、相互汚染の可能性を防止する。 本態様では、2種以上の異なった型のフィルターのいずれかを特定して使用することができるので、多岐にわたる選択肢の検査を行うことができる(本装置は、8本のフィルターチューブを備えているので、8種までの異なった型のフィルターを使用することが可能である)。 各種の検体ごとの処理パラメータは、前もって遠隔操作で決定しておいて、鍵となる識別子として検体バイアルのバーコードを使用することにより、双方向通信リンクを通じて処理装置に通信することができる。 LBP装置は、デフォルトの(DMSに予め搭載しておいた)処理プロトコールを使用することも、DMSに利用者が加えることのできる検査施設で生成した処理プロトコールを使用することもできる。
    【0091】
    バーコードリーダー230の地点、あるいはそのすぐ下流に、充填量が過剰なバイアルを検出する装置(図示せず)を設けて、各半透明バイアルに過剰量の流体が入っていないかどうかを検出することもできる。 充填量過剰バイアルを開いて処理すると、生物学的流体がこぼれたり、射出したりして危険なことがある。 したがって、充填量過剰バイアルが検出された場合には、DMSにその旨の通知がなされ、そのバイアルについての全LBP処理プロトコールがキャンセルされ、充填量過剰バイアルの蓋は開かれぬまま、処理経路をまわることが可能となる。 あるいは、充填量過剰状態を、バイアル搭載機構300によってバイアルが搭載されるコンベヤホルダー246で検出することもできる。 充填量過剰バイアルがこの地点で検出された場合には、DMSにその旨の通知がなされ、搭載機構は、たたちに、充填量過剰バイアルをそのトレー330に戻すよう指示される。
    【0092】
    各バイアルのコンベヤへの搭載時に検出された他の異常に対処する際も、同様のアプローチをとることができる。 たとえば、センサー(図示せず)を使用して、バイアル上のバーコードが読めない場合や、ホルダー246内でのバイアルの位置が適正でない場合を検知することができる。 そうした状態が検出された場合には、DMSにその旨の通知がなされ、搭載機構は、ただちに、充填量過剰バイアルをそのトレー330に戻すよう指示される。
    【0093】
    図22は、DMSを稼働する際に使用することのできる、汎用コンピュータシステムまたはワークステーション270の構成部品を示すブロック図である。 コンピュータシステム270は、通常、中央処理装置(CPU)272とシステムメモリー274とを備えている。 システムメモリー274は、通常、オペレーティングシステム276、BIOSのドライバー278、および応用プログラム271、たとえば、DMSを含む。 また、コンピュータシステム270は、入力装置273、たとえば、マウス、キーボード、マイク、ジョイスティック、光学読みとり装置またはバーコードリーダーなどと、出力装置、たとえばプリンター275Pおよび表示画面275Mを含むものとすることもできる。
    【0094】
    コンピュータシステムまたはワークステーションは、電子ネットワーク280、たとえばコンピュータネットワークに接続することができる。 コンピュータネットワーク280は、公的ネットワーク、たとえばインターネットまたはメトロポリタンネットワーク(Metropolitan Area Network、MAN)、または他の私的ネットワーク、たとえば会社の構内ネットワーク(Local Area Network、LAN)または広域ネットワーク(Wide Area Network、WAN)、または仮想専用網とすることができる。 この点に鑑み、コンピュータシステム270は、電子ネットワーク280との通信に使用しうる通信インターフェース277、たとえばイーサネット、USB、またはファイアワイヤを含むものとすることができる。 他のコンピュータシステム279、たとえば、リモート・ホスト・データベース、他種のワークステーション、たとえば自動分析装置、および病院、検査施設、または他の医療機関のコンピュータまたはデータベース(たとえば、LIS)も、電子ネットワーク280につなぐことができる。 他のLBP装置、および別のタイプの検体処理装置(たとえば、自動スライド染色装置およびカバーガラス載置装置)279aも、ネットワークを介して相互に、そしてDMSと接続することが可能である。
    【0095】
    当業者であれば、上述のシステムが、電子ネットワークに接続された汎用コンピュータシステムの代表的な構成部品を含むものであることに気づくはずである。 LBP装置およびその処理に際しては、他の多くの同様の構成も使用することができる。 さらに、本明細書に開示するコンピュータシステムおよびネットワークは、当業者であれば、本明細書に記載した方法、システム、およびソフトウェアを実施し、かつ本発明を実施するうえで必要とされるコンピュータデータおよび電子シグナルを提供するために、プログラミングし、構成することができることを理解されたい。
    【0096】
    また、当業者であれば、本明細書に記載した「コンピュータ」によって実現された発明が、コンピュータ自体ではない構成部品も含みうるものであり、本発明に記載した機能の1種以上を実現するために使用することのできるインターネット機器およびプログラム可能制御装置(PLC)のような装置も含みうることを理解できるはずである。 また、「電子」ネットワークは、本発明の処理現場間を接続する通信ネットワーク一般を称するべく使用しているが、当業者であれば、光学技術または他の同等の技術を使用することによってこうしたネットワークを実現しうることが理解できるはずである。 当業者であれば、別のシステムの構成やデータ構造を用いることによって本発明の機能を実現しうることも理解できるはずである。 こうした構成およびデータ構造は、すべて本発明の範囲内であると理解されたい。 こうした文脈では、本発明が、ネットワークを通じて電子データを送付する際に使用される公知のセキュリティ手段および情報処理手段も利用するものであることについても理解されたい。 したがって、公的ネットワークおよび私的なネットワークの双方を通じて電子データを送る際に使用される暗号化、認証、検証、圧縮をはじめとするセキュリティ手段および情報処理手段も、等量者には周知の技術を使用することによって、必要に応じて提供される。
    【0097】
    キャップ取外しステーション本発明のバイアルを基本とするLBP装置およびシステムが有する利点の一つとしては、操作者が、潜在的なバイオハザード物質を含む可能性のある検体と接触する可能性が低減している点があげられる。 図26〜31について説明すると、LBP装置は、まず、バイアル中の撹拌部材40をカバー30から自動的に離脱させ、次に、カバーを取り外して廃棄するキャップ取外し機構400を備えており、こうした過程は、いずれも、操作者が介入することなく行われる。 カバー30の取り外し後に、撹拌部材がバイアルのリブ26上に受け止められている状態を図示した図26を参照されたい。
    【0098】
    搬送用レセプタクル246に入ったままキャップ取外しステーションに到着した閉鎖状態の検体バイアル10は、キャップ取外しヘッド402と遭遇し、このキャップ取外しヘッド402は、検体バイアルのカバー30まで降下する。 図27および28を参照のこと。 キャップ取外しヘッド402は、テーパーのついた脚部404を4本を備えており、この4本の脚部404が、テーパーのついた把持用の凹所を形成しており、この凹所は、ヘッド402が降下するにしたがってカバー30が徐々に締めつけられるような間隔および寸法を有する、たがね状の内側エッジ406を備えている。 脚部がカバーにしっかりと係合したところで、中央スピンドルまたはプランジャ408が降下してカバー30と接触すると、プランジャによってカバーに下向きの力が加えられ、上述したように撹拌部材40がカバー30からはずれて、バイアル中でリブ26に落ちる。 次に、プランジャを後退させ、キャップ取外しヘッド402を反時計回り(図28)に回して、カバー30のねじをゆるめて容器20から取り外す。 その後、キャップ取外しヘッドと、ヘッドの把持部材内の取り外したカバーは、図29および11に破線410で示した位置まで横方向に移動し、プランジャ408が再度下降して、今度はカバー30を射出し、カバー30は、キャップ取外しヘッドの下方に配置された廃棄物シュートまたは貯蔵所に落ちる(図示せず)。 または、移動可能な廃棄物シュートをキャップ取外しヘッドの下方に移動して、射出されたカバーを受け止め、キャップ取外しヘッドの横方向の移動を不要とすることもできる。 相互汚染の可能性を排除するため、カバーは再使用しない。
    【0099】
    プランジャ408は、キャップ取外しヘッドの頂部のL字形のブラケット415に装着された空気圧シリンダー412によって駆動され、この空気圧シリンダー412は、カバーに約30ポンド以下の力を加えることができる。 シリンダー412の動作を停止させると、コイルばね413が、プランジャをその後退位置まで戻す。 ヘッド402は、約10ポンド-フィート以下のキャップ取外しトルクを、把持用の脚部を介して加えることができ、このトルクは、カバーを緩めるのに十分である。 把持用脚部は自己賦勢型として、カバーとの精密な心合わせや、カバーの形状のわずかな変形によって、把持に支障をきたすことのないようにすることができる。
    【0100】
    キャップ取外し機構は、装着フレーム414を備えており、この装着フレーム414は、レール418上処理経路を横方向に褶動するブロック416上に支持されている。 Y軸ステッピングモーター420と親ねじ422は、横方向の動きを行う。 キャップ取外しヘッド402は、軸受ブロック424内に回転可能に装着されている。 軸受ブロック424は、装着フレーム414上を縦方向に褶動可能なC形フレーム426に固定されている。 C形フレーム426、すなわちキャップ取外しヘッド402の縦方向の動きは、Z軸ステッピングモーター428および親ねじ430によって生じる。 親ねじ430は、カバー30のねじが緩められるのにしたがって、カバー30の上向きの動きに応従することができる。 しかし、ステッピングモーター428は、キャップ取外しの過程では、ヘッド402が、緩められつつあるカバーとほぼ同じ速度であってカバーより速くはない速度で上昇するよう作動させることが好ましい。 キャップ取外しヘッド402は、キャップ取外しモーター432によって、ギヤ減速ユニット433、タイミングベルト434、およびタイミング滑車436、438を介して回転可能に駆動される。
    【0101】
    上述したキャップ取外しヘッドは、容器とカバーが通常の「押してから回す」差込み方式で結合されているバイアルでも作動する。 プランジャ408によって加えられる下向きの力は、結合の内部回転防止ロックを緩めるのに十分であり、把持手段は、カバーを回転させて取り外すことができる。 取り外す際に回転を必要としないカバー、たとえば、スナップ・オン式のカバーを有するバイアルの場合は、カバーの結合形式に応じた、設計の異なるキャップ取外しヘッドが必要となる。
    【0102】
    カバーを付されたバイアルに必要な外力を加えて撹拌部材をカバーから離脱させるにあたっては、上述のプランジャ408のかわりとなるものを、キャップ取外しステーションまたはその上流で用いることもできる。 たとえば、カム、レバーアームなどの可動機械要素を接触させて、カバーを下向きに押圧することができる。 または、唐突な上向きの外力をバイアルに加えて、結合部材35および47の間の摩擦による保持力を超えるような加速力を得て、撹拌部材をカバーとの係合状態から効果的に引き離すこともできる。 唐突な外力による離脱は、たとえば、閉じたバイアルを急激に下向きに移動させて、容器20の底部を、硬めの表面に軽く打ちつけることによって、たとえば、機械的および/または空気によって、閉じたバイアルを、その後の処理工程の間バイアルを保持することになる搬送用支持体246に押し込んだり、または、バイアルを、シュートを通して支持体内まで、撹拌部材を離脱させるのに十分な距離だけ落としこんだりすることによって行うことができる。 バイアルに対して唐突な上向きの力加える別の方法としては、容器20の底部を、打撃部材で打つ方法が挙げられる。 この方法は、たとえば、容器20を架台に載せ、容器の底部を打撃部材で瞬間的に叩くことによって、たとえば、バイアルの支持体246に設けた開口部を通して、空気および/または機械的手段によって容器の底部を叩くことによって実施することができる。 こうした機構や、こうした作業を実施するうえで適当な他の自動化機構を設計することは、当業者の理解の範囲内である。
    【0103】
    予備処理(一次撹拌)ステーションキャップ取り外しの完了後、検体容器は、搬送機構によって、予備処理が行われるステーションまで割出し駆動される。 予備処理ステーションは、予備処理作業、たとえば、容器および容器に入った検体が検体取得ステーションに移動する前に、容器内で検体を分散させておく作業が行われる位置である。 予備処理ステーションでは、通常、分散作業を行う。 好ましい態様では、機械的混合手段によって分散作業が行われ、この混合装置は、検体容器内で一定速度で一定時間回転する。 この例では、混合手段は、大型の粒状物質と微細な粒状物質、たとえばヒトの細胞を、液体ベースの検体内で、検体を均一化することによって分散させる。 あるいは、検体は、細胞以下の大きさのの物体、たとえば、結晶または他の高次構造を有する分子を含む場合もある。 こうした場合には、機械的撹拌を行わなくても、予備処理ステーションで検体に化学物質を導入して、たとえば、特定の結晶構造を溶解させて、分子を化学的過程によって液体ベースの検体全体に分散させることができる。 この例では、予備化学処理ステーションにおいて、分散剤が予備処理ヘッドを通して導入される。
    【0104】
    図示した好ましい態様では、予備処理は一次撹拌ステーション500で行われ、一次撹拌ステーション500では、所定の、または指示された撹拌プロトコールを使用して、容器中で、必要に応じて撹拌部材40を使用して、所定の速度(rpm)にて所定の時間にわたって検体を撹拌する。 撹拌プロトコールは、上述したように、主に検体に応じて決定され、通常、粘膜材料および/または検体液体中の他の粒状物質を解離して分散することを意図している。
    【0105】
    図32〜35について説明すると、一次撹拌ステーション500は、拡径可能な鋼製のコレット形状の撹拌ヘッド502を備えている。 このコレットは、軸503の下端に形成されたおり、6本の等間隔に配置されたスリット506によって規定された6本の可撓性の指状部材504に分かれる。 軸503は、軸受ブロック508内で回転可能に保持されており、軸受ブロック508は、装着フレーム512上を縦方向に褶動可能なC形フレーム510に固定されている。 C形フレーム510の縦方向の動き、すなわち、撹拌ヘッド502の縦方向の動きは、Z軸ステッピングモーター514と親ねじ516とによって駆動されている。 撹拌ヘッド502は、撹拌モーター518によって、タイミングベルト520およびタイミング滑車522、524を用いて回転可能に駆動される。
    【0106】
    コレット指状部材504の内面は、コレットの下端に向かって均一に内向きに傾斜している。 中央のプランジャ526は、ブラケット530の頂部に設けられた空気シリンダー528によって上下方向に可動であり、プランジャ526が下降して、傾斜のついた指状部材と遭遇すると、プランジャ526が指状部材504を外向きに拡げる。 その結果、プランジャ526の下降時には、撹拌ヘッド(collet)502の下端の直径が拡大する。 この端部は、コレットの非拡径時に、撹拌部材40の頂部の環状壁47の内側に緩く、しかし近接して嵌るようなサイズとしてある。 プランジャ526が下降すると、指状部材504が外側に拡がって、マニホルドM内で壁47の内側に楔止され、撹拌部材としっかり係合する。
    【0107】
    作動時には、撹拌ヘッド502をまず降下させて、コレットがマニホルドM内まで入るようにする。 図33および34のモーターとブラケットの破線は、下降時の位置を示す。 次に、プランジャ526が下降して、撹拌ヘッドを撹拌部材に固定する。 次に、ステッピングモーター514を作動させて、撹拌ヘッドとヘッドに接続した撹拌部材40をわずかに上昇させる。 この上下方向の動きは、ごくわずか、たとえば、0.050インチで十分であり、この操作により、撹拌部材をリブ26から自在として、撹拌の間に容器とぶつかることを避ける。 次に、DC撹拌モーター518を、検体に固有の撹拌プロトコールにしたがって作動させる。 撹拌速度は変化させることができ、通常、約500 rpm〜約3,000 rpmの範囲とする。 撹拌時間は、約5秒〜約90秒の間で変化させることができる。 撹拌部材の基部または底部壁41が水切りとして作用して、撹拌部材に沿って容器の壁に向かって上昇する液体を押し戻し、容器から液体が溢れ出るのを防止する。 コレットからプランジャ526を後退させると、撹拌部材40がコレット502から解放されるので、検体容器は、次のステーションに移動可能となる。
    【0108】
    拡径するコレット502ではなく、縮径するコレットを使用することも可能である。 この場合、コレットの指状部材は環状壁47の外側に嵌り、指状部材を取り囲むスリーブが下降することによって指状部材が絞られて、壁部が締め付けられる。
    【0109】
    フィルター載置ステーションフィルター載置ステーション600では、撹拌部材40の頂部の解放したマニホルドMに、適当なフィルター組立体F(図5を参照のこと)が搭載される。 フィルター組立体は、異なったフィルター形状のものを使用することができ、それを自動的に機械で認識する。 たとえば、一組のフィルター組立体を赤色とし(5 μm)、別の一組を白色として(8 μm)、それぞれ異なった濾過特性を有するものとし、色センサーが前面に位置しているのがどの型のフィルターなのかを検出して、適正なフィルターが搭載されるようにする。 フィルター組立体は、複数のフィルターチューブを備えたマガジンから、押し込み手段によって供給される。
    【0110】
    図36〜40は、フィルター載置ステーションの構造と操作を示す。 図37および40について説明すると、フィルター供給ヘッド610には、フィルターマガジンが、スピンドル614上でステッピングモーター616によって回転可能な旋回台612として設けられている。 上下方向に延在するポスト611が、旋回台を主に支えている。 旋回台612は、頂部支持板618をを備えており、この頂部支持板618の外周の近くには8個の穴620が等間隔に配置され、各穴620は、スロット622で、板618の縁を貫いて開いている。 スピンドル614上の底部誘導板624にも同様の穴が設けられており、この穴は、頂部支持板の穴およびスロットと同心に配置されている。
    【0111】
    穴620と、下方の同心に配置された穴によって、8本の上下方向に延在する鋼製のフィルターチューブ626が支持され、各フィルターチューブ626に設けられた上部支持肩部628が、頂部支持板618に受け止められている。 各フィルターチューブ626には、全長にわたって延在するスロット630が設けられ、フィルターチューブ626の下端部分は、スロット634によって、4本のばね状の指状部材632に分かれている。 指状部材632の下端部分のすぐ上は、内向きに湾曲しており、湾曲形状の内側肩部636が形成され、フィルター組立体Fは、この内側肩部636に受け止められている。 フィルターチューブの寸法は、積み重ねられた全フィルター組立体Fがチューブから抜け落ちることのないように、肩部636でフィルター組立体を保持することができ、しかも、積み重ねられたフィルター組立体が下向きに押された場合には変形して、フィルター組立体に損傷を加えることなくフィルター組立体を通過させることのできるようなものとする。 すなわち、指状部材632は、ばね状の絞り部を形成している。
    【0112】
    図39は、フィルターマガジン612の位置を、処理経路ならびに隣接した処理ステーション、すなわち、左側の一次撹拌ステーション500および右側の検体取得ステーション700との関係で示す。 これらは、いずれも、誘導レール250によって規定される処理経路の片側に位置している。 処理経路の反対側で、フィルターマガジン612と対向する位置には、押し込みアーム640を支持して駆動する組立体が配置されている。 この組立体は、ステッピングモーター(図示せず)によって駆動されるZ軸方向の親ねじ644を支持する支持ポスト642を備え、このステッピングモーター(図示せず)が、押し込みアーム640を搬送するシャトル646を移動させる。 底部誘導板624と対向する位置に配置されたフィルター検出手段650が、検体容器の方を向いた(すなわち検体容器の直上の)フィルターチューブ内での一番下のフィルター組立体Fの通過(落下)をモニターしている。 センサー650は、フィルターチューブが空となった場合も検出する。 第二のセンサー651が、フィルターの種類をモニターする。
    【0113】
    フィルター組立体は、各チューブ内で、メンブレンフィルターの側(傾斜端部の側)が下向きとなるように、同種のものを適正な向きで積み重ねる。 たとえば、各チューブに54個のフィルター組立体を収納し、マガジンに総計で432個のフィルター組立体を搭載することができる。 54個のフィルター組立体は、積み重ねた状態で予め包装しておくことができ、フィルターチューブに、包装状態のまま、包装材のタブがスロット630から突出するように挿入しておいて、タブを外向きに引っ張ることによって包装を解くことができる。 または、同種のフィルター組立体を、幾何形状によってフィルター組立体の向きを認識することのできる振動供給装置に投入して適正な向きに揃えてから、フィルター組立体をチューブに供給することもできる。 こうした供給装置の数台を、フィルター組立体の各種について1台ずつ使用することができる。
    【0114】
    運転時には、押し込みアーム640が、図38に破線で示したシャトルの輪郭によって示される定位置(頂部)に位置した状態で、フィルターマガジン612が、ステッピングモーター616によって、センサー650が、センサー650前方のフィルターチューブ中に所定のタイプのフィルター組立体の存在を検出するまで回転される。 その後、シャトル646が下向きに移動し、その際には、押し込みアーム640もスロット630内を移動して、チューブ内の積み重ねられたフィルター組立体を、一番下のフィルター組立体が、チューブから、撹拌部材40のマニホルドMに落ちるまで下向きに押す。 フィルターの落下が検出されたら、シャトル646は、押し込アーム640とともに前進を停止する。 別の構成では、重量センサーを使用して、積み重ねられたフィルター組立体の重量をモニターし、重量変化によって、フィルター組立体が、積み重ねられたフィルター組立体から落下した時点およびフィルターチューブが空になった時点を検出する。
    【0115】
    マガジン612で8本のフィルターチューブ626が使用されていることにより、バイアル自動搭載装置300のトレーに収納された全検体を無人処理することが可能となる。 上述したような型式の卓上式のモデルの場合には、処理経路の上方の固定した位置に支持された1本のフィルターチューブによって、同種のフィルターを必要とする処理検体にフィルターが供給されることになる。
    【0116】
    検体取得および細胞堆積ステーション図41について説明すると、検体取得ステーション700は、吸引ヘッド702を備えており、この吸引ヘッド702は、降下して撹拌部材40の上側部分と係合する。 フィルター組立体Fを通して検体を減圧する前に、吸引ヘッドが、撹拌部材40を把持し、わずかに引き上げ、一次撹拌ステーションよりは低速で回転させて(通常、5秒間隔で、500 rpm以下)、検体液体で中で粒状物質を再度懸濁させる。 この再撹拌モーターは、マクソン(Maxon)の24ボルトDC衛星歯車減速型とすることができる。 次に、吸引ライン750を通して吸引を行い、検体液体を、容器20から吸引管43を経て粒状物質分離チャンバー(マニホルド)46まで吸引し、さらにフィルター組立体Fを通過させて、単層、すなわち薄層の均一に堆積した細胞が上述のフィルターの底面に残るようにする。 検体液体を吸引する間も撹拌部材をゆっくり回転することも可能である。
    【0117】
    図6には、吸引ヘッドが、どのように、撹拌部材のマニホルドの環状壁47と、その内部に収納されたフィルター組立体Fと協働するかが示されている。 吸引ヘッドの外側部分704が、壁47を包み込み、この外側部分704は、壁47の外側に対して封止を行うOリング760を備えている。 吸引ヘッドの内側部分706は、フィルターホルダー200の上側に対して封止を行う2本の同心のOリング762、764を備えている。 開口部750から加えられた吸引力によって、中央開口部204の周囲とフィルターホルダー200内に真空状態が創出され、この真空状態によって、液体がマニホルド46内に吸引され、さらにフィルター202を通して吸引される。 吸引ヘッドの内側部分と外側部分との間には、Oリング766が配置されている。
    【0118】
    図42について説明すると、検体の吸引が完了したら、吸引ヘッド702を上昇させる。 同時に、吸引ヘッドの内側部分706が、吸引ヘッドの上方に装着した空気シリンダー(図示せず)の作用よって伸張する。 吸引ヘッド702が上昇するにしたがって、外側部分704は撹拌部材40から離脱するが、Oリング762および764の間の環状空間に吸引ライン752を通して真空を引くことによって、フィルター組立体Fは、内側部分706上に保持される。 したがって、吸引ヘッド702によって、フィルター組立体Fが撹拌部材から取り除かれ、吸引ヘッド702は、さらに、吸引ライン750を経て、フィルターを通して軽い吸引力を加え続けて、フィルター上の細胞物質水分を所望の程度に制御することもできる。
    【0119】
    次に、吸引ヘッド702は、縦軸のまわりを90°枢動することによって横方向に移動して搬送コンベヤから離れ、図46に示す細胞転写位置「P」まで移動し、フィルター組立体Fを、スライド呈示ステーション900のスライドカセットから供給された顕微鏡用のスライドSの上に位置させる。 吸引ヘッド702のこの枢動運動は、図11および39でも看取することができる。 次に、吸引ヘッド702の内側部分706が下向きに移動して、フィルターをスライドSに4〜8ポンドの範囲の突き固め力で、押しつけて、細胞の単層をスライドに転写する。 図42の細線は、この吸引ヘッド702の位置の変化と、フィルターのスライドSとの接触を示す。 吸引ヘッド702は、枢動可能に装着するのではなく、吸引ヘッド702がスライドSの呈示される転写位置、たとえば処理経路の上方まで、直進運動で前進して後退するよう装着することもできる。
    【0120】
    図43〜46について説明すると、吸引ヘッド702は、ブーム716に回転可能に装着されており、ブーム716は、タイミングベルト720を介して吸引ヘッド702を回転させる再撹拌モーター718も担持している。 ブーム716は、スライド722上の縦軸721のまわりを枢動可能に支持されており、このスライド722は、Z軸ステッピングモーター726と親ねじ728とによって、フレーム支持部材724に沿って上下方向に可動である。 したがって、モーター726は、吸引ヘッド全体を上下方向に移動させる。 ブーム716の枢動は、歯車列(図示せず)によって操作されるステッピングモーター717によっている。 吸引ヘッドの内側部分706の上下方向の動きは、吸引ヘッドの上方でL字型ブラケット719に装着した空気シリンダーと戻しばね(図示せず)によって操作され、この機構は、キャップ取外しヘッド402のプランジャ408を動かす際に使用した配置412、413、415(図29を参照のこと)と実質的に同一である。
    【0121】
    フレーム支持部材724は、搬送路を横断する方向に可動となるよう、スライド730上に装着されている。 Y軸ステッピングモーター732と親ねじ734とが、この動きを可能としている。 スライドへの転写が終了したら、吸引ヘッドをZ軸のモーターで上昇させると、Y軸ステッピングモーター732が、組立体全体を、図43に破線で示す位置「X」まで前進させる。 次に、吸引ヘッドが枢動して、搬送路を横切ってもとの向きに戻る(図46の「S」の位置)。 次に、Y軸のステッピングモーター732が、組立体全体を、もとの位置(図43の実線)に引き戻す。 吸引ヘッド702が(図43では右側)に移動するのにしたがって、保持されたままとなっていたフィルター組立体Fが、上端が解放した使用済みフィルター(廃棄)チューブ738の端部736によって、吸引ヘッドから「剥が」される(図11および39も参照のこと)。 その結果、吸引ヘッド702は、新たなフィルター組立体と自由に係合しうる状態となる。
    【0122】
    吸引ヘッド702と連通している真空源は、わずかな真空、たとえば、3インチ〜10インチHgの範囲の(制御装置で調節可能な)真空を吸引ライン750を経由で引いて検体液体を吸引し、検体液体をフィルター組立体Fに通過させる。 フィルター組立体を吸引ヘッド702に保持するために、これとは別に制御した真空を、吸引ライン752を経て引くが、この真空は20インチHg程度と、真空度がさらに高い。
    【0123】
    顕微鏡用のスライド上に高品質の検体を形成しうるか否かは、所定濃度(すなわち、単位面積あたりの細胞の数)の単層の細胞をスライドと接触するフィルター表面に堆積できるかどうかに臨界的に依存しており、その成否は、さらに、吸引速度および/または吸引された流体の容積に臨界的に依存している。 フィルター表面上の細胞の濃度は、検体液体に懸濁していた固形物によってブロッキングされたフィルターの孔の数に応じて決まるので、フィルターの最大開口状態からの流量減少率が、フィルターのブロッキング率またはフィルター上の堆積量と相関していることになる。 生体検体は、その性質上、固形粒子濃度が、処理中にも可変であり、この点についても考慮する必要がある。 また、他の処理操作のためにも、即時(real time)を基本とし、濾過した材料の総量を特定しておくことが重要である。
    【0124】
    したがって、検体取得ステーションは、流量および/または吸引容積をモニターすることによって、液体吸引用の真空適用時間を制御する堆積制御システムをさらに備えている。 モニターした流量または吸引容積は、真空の切断および/または吸引ヘッドの後退の信号を発するために使用することができる、この信号は、メンブレンフィルターの表面に捕集された細胞の所定濃度と相関している。 所定容積の流体が吸引されるまでに、所定の濃度係数が達成されない場合にも、システムは、後退信号を発することができる。
    【0125】
    こうした目的には、各種の堆積制御システムまたはモジュールを使用することができる。 図47に、こうしたシステムの一つを模式的に示す。 このシステムは、液柱にそって配置したデジタル水面検出装置の形態の計測装置を備えている。 この「バブル・フロー」システムは、センサーとして、液柱の長さ方向に沿って配置した複数のLED発光体と対応する数の光センサー、たとえばオムロンのセンサーEE-SPX613 GaAs赤外LEDを使用することができる。 他の任意の種類のセンサーを使用することもできる。 あるいは、LEDセンサー、たとえば上述のオムロンのセンサーは、ガラスチューブのちょうど端部に配置した場合には、対応する発光体なしで使用することができる。 チューブ内の液体のメニスカスの先端が、チューブを通過する光を回折し、上昇中のメニスカスの先端がセンサーに到達すると、センサーは、シフトした光のパターンを検出する。
    【0126】
    液柱は、上下方向に延在する透明のチューブまたはシリンダー770、たとえば、パイレックス(Pyrex)ガラス製で直径9 mm、肉厚1 mmのチューブの内部に形成される。 吸引された検体流体は、シリンダーの頂部と接続された真空源772によって、検体容器から、メンブレンフィルターを通して吸い上げられ、吸引ライン750と三方弁778を経て、ガラスシリンダー770に入る。 複数のセンサー774は、シリンダー770に沿って等間隔に、好ましくは、容積で1.5 mlの間隔をおいて配置されており、制御装置またはマイクロプロセッサ776と接続されている。
    【0127】
    運転時には、正常な状態では、センサー中継ライン(sensor relay line)は、チューブ770に流体が入っていない状態で「低」である。 真空によって、フィルターを通してのチューブへの流体の吸引がはじまり、制御装置が、吸引作業の開始を記録する。 流体が最初のセンサーに達すると、最初のセンサーのリレーラインが「高」となる。 制御装置が、流体が最初のセンサーに達するのに要した時間を記録し、この値は、流体がほぼ自由に流れる状態と、検査での流体の相対粘度を示唆する。 チューブに次の1.5 mlの流体が吸引されると、二番目のセンサーのリレーラインが「高」となる。 最初の1.5 mlの流体に要した時間間隔(最初のセンサーと二番目のセンサーの時間間隔)を制御装置で記録し、この値を、基準基本時間とする。 さらに1.5 mlの流体がシステムに吸引され(そのことが、以降のセンサーによって検出され)るごとに、その増加分の基本時間が計算される。 増加分の基本時間が、当初の(基準)基本時間に対して経験的に得られている率(たとえば、120%)に達したら、制御装置が、細胞の捕集が完了したことを指示し、停止信号が送られ、好ましくは検体容器のマニホルドから吸引ヘッド702が後退する。 上述の経験的に得られた値は、プロトコールによって可変であり、検体試料の細胞充実度(cellurality)を制御する。
    【0128】
    流体が自由に流れる状態の最良の近似は、流体が最初のセンサー774に到達するのに要する時間が、現実的に最低となる場合に得られる。 この状態は、最初のセンサーを、図47aに模式的に示すように、吸引ヘッド自体に組み込むことによって実現することができる。 この態様では、吸引ヘッドの内側部分706に、発光体774aと、対向するセンサー774bとが設けてあり、このセンサー774bが、フィルター組立体Fに極めて近い位置で液柱の先端を検出する。 タイミングベルト720(図示せず)と係合した歯775の設けられた外側部分704は、内側部分706の周囲を回転することができるので(間に配置されたベアリング773に注意のこと)、吸引を行う前に撹拌部材(図示せず)を回転させて検体を撹拌することができる。
    【0129】
    検体吸引操作の間、制御装置は、累積吸引容積、すなわち合計吸引容積を記録する。 基準流量と比較して所定の流量減少幅まで達する前に、累積容積が所定レベルに達してしまった場合にも、制御装置は停止信号を発し、また、発せられた停止信号が、所望の流量減少が達せられた結果としてではなく、液体吸引最大限度量に達したために発せられたものである旨を表示するフラグを発する。 フラグ発行状態で形成されたスライドは、細胞量が不足した状態となりがちである。 制御装置は、スライドへの押圧転写を行い、なおかつ、DMSに対して、細胞量不足状態が存在する可能性が相当程度存在することを報告する。 したがって、フラグが発行された状態が存在する場合には、制御装置は、シリンダー770中の液体を排出して、2回目の吸引を開始する旨の信号を発行する。 シリンダーは、試料採取の各回ごとに、液体の全量を排出する。
    【0130】
    図48について説明すると、堆積制御システムには、空気抜き弁を設けて、吸引サイクルが完了したら、制御装置776によって発せされた停止信号が、空気抜き弁を開いて、真空供給ラインを大気に開放して、シリンダー770中に残っている液体を廃液容器に排出させることができる。 シリンダー770は、陰圧に保つことが可能である。 この段階で、システムは、次のサイクルの準備が完了している。 具体的には、システムは、吸引ラインに一方780が大気に開放した二方電磁弁V-3を設けることができる。 シリンダー770の底部は、2つの電磁弁V-2、V-4を備えた弁マニホルド782に接続されている。 電磁弁は、真空システムで使用するために設計されたLFシリーズ、二方弁LFVA 2450110H、ヴァイトン(viton)シール、24ボルト、および三方弁、LFRX 0500300B、ヴァイトンシール、24ボルトとすることができる。 二方弁V-4は、検体液体をバブルフローシリンダー770、または、真空バイパスに通すことができる。 二方弁V-2は、フィルター脱水用真空源を制御することができる。 図49は、バルブのロジックを示す。
    【0131】
    堆積制御システムは、デジタルのセンサー774のかわりにアナログの液面計を使用することもできる。 アナログの液面計は、吸引した液体の静電容量を検知する。 その違いは、シリンダー770中の液体の容積と充填速度を検知する方法のみの違いである。 この場合、2つの間隔をおいて配置した電極を使用し、すなわち、一方の電極を、シリンダー770の外周をとりまくように配置し、もう一方の電極を、シリンダーの中央部の下方に、吸引した液体とは誘電体で分離して配置する。 電極に、高周波数、たとえば、10 kHzの低電圧電流を印加する。 このシステムの静電容量を、アナログで回路の静電容量を示すブリッジ回路で測定する。 カラムに流体が充填されるにしたがって、回路の静電容量が上昇する。 このシステムでは、直接静電容量で10倍の差を容易に得ることができる。 静電容量は、即時を基本として示され、サンプリングシステムの制御を行うのに十分な頻度で試料とすることができる。 この配置でも、最初の2つと同じく、コンピュータまたはマイクロプロセッサとバブルフロー技術を使用して、即時に流量と合計流体容積を計測する。 こうした構成に用いる所定の容積増加分は、約0.1 ml〜5.0 mlの範囲、好ましくは約1.0〜2.0 mlの範囲とすることができる。
    【0132】
    別のシステムでは、チューブを通過する流体の動きを測定するのに、超音波インジケータを使用することができる。 この超音波システムは、移動中の液体を通しての超音波の伝搬を利用する。 この点では、この3つめのシステムは、液体吸引チューブ(吸引ライン750)の両側にクランプ止めされ、フィルター組立体Fの先端で作動する超音波発生器と超音波検出器を使用する。 このシステムは、チューブ内の流体の流れをデジタルに表示し、チューブを通して吸引された流体の合計容積を、流れの間隔を計算することによって算出する。 このシステムでは、流速を測定するにあたって、超音波発生源から検出器までの位相変位を測定する。
    【0133】
    吸引された流体の量を計測し、検体吸引時間を制御する別の方法としては、検体バイアルの重量変化を検出する方法もある。 この方法は、吸引対象検体の入ったバイアルの重量または質量を高精度で測定するセンサーを使用することによって実施することができる。 バイアルの重量または質量を繰り返し高頻度で測定して、バイアルの重量または質量の変化率を正確に判定する。 検体の吸引は、重量または質量の変化率が、当初の変化率より所定量または所定率低減した時点で完了させる。 重量センサーは、たとえば、各搬送用レセプタクル246の内部に配置したロードセルとすることも、コンベヤの検体取得ヘッド地点の下方に設けられ、上昇して、上方の容器と係合する単一のロードセルとすることもできる。 いずれの場合でも、検体取得ヘッドは、吸引の間にわずかに上昇させて容器を脱装填し、ロードセルが、容器と容器内に残っている検体の合計重量のみを測定できるようにする。
    【0134】
    検体の取得は、(真空を使用して)吸引することによって実施することが好ましいものの、容器の頂部を封止する適当なヘッドを通して容器20に圧力を加え、検体液体に正の空気圧を加えることによって、検体液体をチューブ43とフィルター組立体を通して上昇させることによって検体を取得することもできる。 上述の流体の容積制御スキームおよび機構は、こうした加圧による検体取得システムでも、有効に用いることができるはずである。
    【0135】
    細胞濃度は、流れの制御のカットオフ値を定義することによって、低度から高度までの細胞濃度より選択することができる。 細胞充実度を低度とするには、通常、上述の基準値120%に対してカットオフ値を80%とすることができ、細胞充実度を高度とするには、カットオフ値を、基準値の60%に設定することができる。 このカットオフ値は、5%きざみで設定することができる。 検体あたりのスライドの数は、1枚〜3枚とすることができる。 デフォルトのプロトコールのいくつかは、以下の通りである。
    婦人科検体(GYN): 1,000 RPMで撹拌。 30秒の間隔をおく。 8 μmのフィルター。 60% - 高度の細胞充実度。 スライド1枚。
    尿: 1,000 RPM で撹拌。 20秒の間隔をおく。 5 μmのフィルター。 70% - 中度の細胞充実度。 スライド1枚。
    肺の痰: 3,000 RPMで撹拌。 120秒の間隔をおく。 5 μmのフィルター。 80% - 高度の細胞充実度。 スライド2枚。
    【0136】
    キャップ再装着ステーション検体処理サイクルを完了したら、撹拌部材を容器中に残したまま、検体容器を再封止する。 ロールの形態で入手が可能な、ポリプロピレンでコーティングした薄いアルミニウム箔を使用して、新たなキャップを形成することが好ましい。 箔を、検体容器の開放端を横切るように引き出し、約365°Fの封止温度にて、約3秒間3ポンドの封止力をかけて容器に熱で接着し、ロールから切り離す。 もちろん、バイアルの材料と適合性で、安全かつ信頼性の高い封止を行うことができるのであれば、他の任意の再キャップ材料を使用することが可能である。 たとえば、熱可塑性樹脂接着剤で裏打ちした箔を使用することもできるし、裏面に粘着剤を塗布した箔を使用すれば、封止に際して熱が不要となり、また、プラスチックの封止材を超音波によって容器に接着することもできる。 無人運転を可能とするうえでは、封止材の新しいロールをキャップ再装着機構に装填する自動装填器を設けておくことができる。 ピールオフ・タブを有する予め打ち抜いておいた閉鎖手段をロールにマウントして、キャップ再装着機構に供給する場合には、ロールからキャップを切り取る工程を省略することができる。
    【0137】
    図50および52について説明すると、キャップ再装着機構800は、機械の基板に固定された側面支持板802を備えている。 この側面支持板は、スロット814、816と2枚の側面板818、820とが設けられた主フレーム810を備えている。 駆動巻き上げ機822が側面板818、820に支承されている。 ブラケット826に装着された箔前進モーター824が、巻き上げ機を駆動する。 主フレーム810には、圧力ローラー828が枢動可能に装着されており、この加圧ローラー828が、巻き上げ機に、ばね830の作用で弾力的に係合している。 巻き上げ機822と加圧ローラー828の間には、箔が通過する喉部が規定されており、この巻き上げ機822と加圧ローラー828は、弾性表面を備えているので、箔が把持され、きちんと供給される。 喉部は、ハンドル832で手動で開くことができるので、箔の端部を、スロット814をまず通過させてから、喉部に供給することができる。 支持板802によって担持されるスピンドル804が、箔の交換ロールを支持している。
    【0138】
    図51は、喉部を通過する箔の経路834を示す。 L字型のカッター836の肘部は、主フレーム810の後ろ側に対して枢動する。 単動で空気式のカッター駆動用シリンダー838の一端が、ブラケット840に装着されており、シリンダーの他端は、カッター836の上側脚部842に接続している。 カッターの下側脚部は、ブレード844を備えており、このブレード844は、通常、箔の経路の喉部の下流側の上方に載置されており、上側脚部842と支持板802との間に張られたばね845によって、この位置に保持されている。
    【0139】
    後方ポスト850が、主フレーム810に向かって延在するアーム852を枢動可能に支持している。 アーム852は、加熱した圧盤(platen)854と、喉部に向かって延在する歯を2本備えた箔誘導フォーク856とを担持しており、この2本の歯は、間隔を置いて配置されているので、圧盤854がその間を通過することができる。 アーム852は、ばね858によって、図51に示す休息位置まで上昇したまま保持されている。 キャップ再装着操作の間は、単動空気式シリンダー860が、アーム852を下方に引っ張って、圧盤854と誘導フォーク856を下降させている。 圧盤854の下方の搬送用レセプタクル(図示せず)に入った容器20の位置に留意のこと。
    【0140】
    操作時には、箔前進モーターが、巻き上げ機822を回転させて、測定された長さの箔を、カッターブレード844を経てフォーク856、そしてさらに図51に破線で示す位置まで供給する。 光電管862が、箔の先端を検知し、モーターに停止の信号を送る。 次に、シリンダー838が作動して箔を切断し、シリンダー860も作動して、アーム852を封止位置まで下方に引っ張る。 切断された所定長さの箔は、圧盤854と容器20との間に挟まれ、容器が封止される。 約3秒後に、シリンダー860が停止し、アーム852が上昇して、もとの休息位置に戻る。 封止に先だって、切断した箔を圧盤上の所定位置に保持するにあたっては、必要に応じて、陰圧を利用することもできる(図示せず)。
    【0141】
    キャップ再装着機構によって装着される箔キャップは、ほぼ矩形の形状である。 箔キャップの各頂点は、バイアルの縁からさらに延在することとなり、トレー330に返却されるキャップ再装着済みのバイアルとぶつかる可能性がある。 したがって、各箔キャップの縁と頂点を、容器の側面に沿って折り下げる箔折りリング870(図51の細線参照)を設けることが好ましい。 箔折りリング870は、キャップ再装着機構のすぐ下流側の搬送位置、すなわち図51の「FF」の位置に対して作動するように搭載することが好ましく、キャップ再装着機構自体、たとえば、主フレーム810に装着して、シリンダー860を作動させると、ある容器に箔キャップが装着され、それと同時に、一つ前の(下流側の)容器の箔キャップの縁と頂点が折り下げられるようにすることもできる。 また、箔折りリングまたは同等の箔折り機構は、キャップ再装着機構のさらに下流に、キャップ再装着機構とは独立に搭載することも可能である。
    【0142】
    箔折りリング870は、容器20のねじ部の外径よりわずかの大きめの内径を有する金属製のリングである。 リング870は、アーム(図示せず)に装着されており、このアームは、作動時に下降して、リング870を、容器の上端よりもさらに下降させる。 リングが容器の周囲を取り囲むと、箔キャップの張り出し部分872が、リングによって、容器の側面に沿って折り下げられる。 箔を折り下げた後にリングが上昇しても、板ばね(図示せず)に取り付けられ、リング870の中央に位置するピン(図示せず)によって、容器は、搬送レセプタクル中の所定の位置に保持される。 この板ばねは、リングを保持するアームに取り付けられているので、アームとリングが完全に後退するまで、箔キャップの中央がピンによって弾力的に押さえられる。
    【0143】
    処理済み容器に付された箔による封止は、注射器またはピペットで容易に穿刺して、追加の液体検体試料を得ることができる。 しかし、この封止は耐性が極めて高く、荒っぽい取り扱いにも耐え、周囲圧力が低い条件、たとえば、40,000フィートもの高さで航行中の航空機中でも、漏れが防止される。 また、箔による封止という外観は、未処理のバイアルのカバーとは一目で見分けがつき、不慣れな操作者であっても間違える余地がない。 不用意に箔による封止を穿刺してしまう潜在的な可能性を防止するには、再封止した容器に、目立つ色の未使用のねじ込み式カバーで蓋をすることもできる。
    【0144】
    スライドの取り扱いと呈示
    LBP装置は、標準的な25 mm x 75 mm x 1 mm、すなわち1 x 3 x 0.040インチのスライドを収納することのできる30および40枚用のプラスチック製のスライドマガジン(カセット)を使用することができる。 メートル法およびインチ基準のスライドは、互換的に使用することができる。 図52〜55は、LBP装置での使用に適したスライド40枚用のカセットCを示す。 このスライドカセットは、いくつかの点で、米国特許第5,690,892号(参照として本明細書に組み入れられる)に開示されたカセットと類似しているが、他の装置、たとえば、自動染色装置、自動画像解析装置、病理ワークステーションでの使用にも特に適合させてあるので、こうした装置で使用する際に、スライドを取り出して、別のマガジンに装填しなおさなくてもすむ。 カセットには、機械で読みとり可能な表示、たとえばバーコードまたは埋設したマイクロチップが設けてあるので、このカセット情報を、DMSによって、カセット内のスライド上のバーコードと関連づけて、任意のカセットと、そのカセットに入っている任意のスライドについての位置と状態を、検査システムで追跡することができる。 カセットは、保存時に場所をとらず、取り出しやすいように、積み重ね可能となっている。
    【0145】
    具体的には、スライドカセットは、プラスチックから成形され、ほぼ矩形の形状を有しており、開放した前面902、背部壁904、頂部壁906、底部壁908、側壁910を備えている。 頂部壁906には、バーコード化された情報909が表示されている。 誘導フランジ912が、各側壁から外に向かって横方向に延在している。 背部壁904には、矩形の中央開口部914が設けられ、この中央開口部914を、スライド・シャトルが通過して(後述)、1回に1枚ずつ、スライドを取り出して戻すことができる。 中央開口部の周囲に設けられた内向きに突出する凸部916が、カセットにスライドが挿入された際にスライドが当接する停止部材として機能する。 カセットの材料として好ましいものは、ABSプラスチックであり、場合によっては、ポリウレタン、熱可塑性ポリエステル、ポリプロピレンとすることもできる。 開放した前面は、別の同様のカセットの背面を受け止める寸法となっているので、積み重ねが可能である。
    【0146】
    スライドは、カセットの両側に設けられた棚918で支持されている。 例示した態様では、41組の左側および右側の棚が設けられており、各組(一番上の一組を除く)が、棚の間の空間に延在する1枚のスライドを支持している。 図53の詳細な図について説明すると、各棚(一番上と一番上の棚を除く)には、スライドが載置される頂面側の隆起した縁920と、下面側のビームばね922を備えており、このビームばね922は、スライドを挟んで、スライドをその直下の頂面側の縁との間で摩擦によって拘束するための力を加える。 この構成によって、たとえカセットが正面側を下にして保持された場合でも、スライドがカセットからずり落ちることが防止され、しかも、各スライドを、後述のスライド呈示装置によって、スライドにマウントした検体をブロックしたり、擦り傷をつけたり、損傷したりすることなく、カセットから取り出して、また戻すことが可能となる。 各棚918には、スライドをカセットに挿入する間にスライドを誘導する導入斜面924も設けてある。 各棚918(ばね922を含む)は、カセットと一体に成形し、背部壁904と側壁910の双方に固着することが好ましい。 しかし、棚の間には、別途形成したばね、プラスチック、または金属を挿入することもできる。
    【0147】
    各側壁には、染色浴から取り出した後に、染色液がカセットから排出される複数の排出口926が設けられている。 各側の一番端の(一番上と一番下の)排出口923は、カセットを、ある染色浴から別の染色浴へと移動する際の染色装置の吊り下げ組立体とも協働する。 染色作業の間は、カセットは、通常横向きとなっており、上側となった側の一番端の2つの排出口で吊り下げられている。 カセット全体がプラスチックから構成されているので、カセットは、酸浴をはじめとする各種の染色浴の組成と適合性である。
    【0148】
    図54について説明すると、背部壁904には、2列の穴927が設けられ、この2列の穴927は、一体に成形された2本の歯車用ラック928を形成している。 この2本の歯車用ラック928は、ピニオン歯車936(下記を参照のこと)と係合して、カセットを長手方向に移動するので、スライド・シャトルによる各スライドへのアクセスが可能となっている。 2本の間隔をおいて平行に配置されたラックと2個のピニオン歯車が設けられているので、ラックが1本とピニオン歯車が1個の場合と比べて、動きが滑らかになり、正確な位置決めが可能となる。 背部壁には、カセットの位置を検出するための40個のスロット929の列も一体に成形されており、このスロット929は、背部壁を貫通し、スライドの位置と対応しているので、各スライドを光学的に検出することが可能となっている。 また、背部壁904には、40個の非貫通凹所925(これらの凹所は、背部壁を貫通していない)の列も形成されているので、歯車用ラック928による駆動時に、カセットの位置を正確に検出することができる。
    【0149】
    成形されたカセットは、スライドを収納した状態で、封止したビニールに梱包して供給することが清浄な状態を保つうえで好ましい。 したがって、このカセットは、輸送に適しており、比較的低コストであり、廃棄可能であるとともに再使用も可能である。 このカセットは、また、収納力が高く、積み重ねが可能であるので、検体試料を高密度で保管することができる。
    【0150】
    スライドの充填されたスライドカセットは、フィルター搭載ステーション600と検体取得ステーション700との背後に位置する高架供給トラック930(図11を参照のこと)経由で手動で、LBP装置に装填される。 カセットをシステムに導入する際には、ラッチでの係止は不要である。 LBP装置には、一度に10個までの未処理のカセットを装填することができるが、方向は一方向のみである。 カセットには、どちらが上かを示す表示を付すことができ、逆の向きや上下逆に装填された場合には、そのカセットは搭載しない。 カセットは、図11に示すように、開放された前面が右向きとなるように装填し、その際には、鉛直方向のレール932の間に、先頭のカセットが来るようにする。
    【0151】
    先端カセットは、検体の押圧転写のために新たなカセットを取り出すたびに、少しずつ下降する。 この動作は、カセットC(図54を参照のこと)の背面に設けられたラック928と係合するピニオン歯車936を駆動するステッピングモーター(図示せず)によってなされる。 カセット中の全スライドの処理を終えたら、カセットは、取り出しトラック940まで一挙に下降し、ステッピングモーター/親ねじ押し込み手段938が、カセットを、右方向に、取り出しトラック940へと移動させ、カセットを後退させる。 次に、供給トラック930上の次のカセットが、モーター/親ねじ押し込み手段(図示せず)によって鉛直方向のレール932の間の正面位置まで前進させられ、カセットは、ここで、ピニオン歯車936と係合して、最初の(一番下の)スライドが抽出位置に来るまで下降する。 供給トラックは、それぞれ、定位置センサーと、カセット満杯センサーを備えるものとすることができ、定位置センサーは、オムロン(Omron)の内蔵式のシャッター型とし、カセット満杯センサーは、キーエンス(Keyence)の光ファイバーとすることができる。
    【0152】
    図11、56、および57は、スライド呈示システムを示す。 このシステムでは、スライド・シャトル供給システム960、たとえばAMパート番号5000-1を使用して、カセットからX軸に沿ってスライドを1回に1枚ずつ引き出し、Y軸ハンドラー上に載置する。 Y軸ハンドラーは、スライドを呈示(押圧転写)位置まで移動させる。 上掲の米国特許第5,690,892号には、病理ワークステーション(顕微鏡)で使用される、これと類似したスライドカセットとシャトルの配置が開示されている。 Y軸ハンドラー962は、従動子966、967に固定されたスライド圧盤964を備えている。 ハンドラーは、ステッピングモーター970とレール968に沿って誘導される親ねじ972とによって駆動される。 スライドは、図56に示すように、固定肩部974と、ばねで反時計回り方向に賦勢された枢動アーム978の下方で(ばね976に対して)圧盤上に保持される。
    【0153】
    ハンドラー962が左に向かって移動すると、アーム978が、調整式の止め980を移動させて外し、スライドの上方で回転する。 Y軸の全長(図57に「T」で表示)を褶動して移動すると、スライドの中央が、押圧転写位置「P」に来る(図56のスライドとハンドラーの破線の位置に注意のこと)。 押圧転写位置への移動中に、スライド上のバーコード番号が、バーコードリーダー982によって読みとられ、ホストデータベースへと送られる。 押圧転写位置に達したら、軸721を囲む弧「A」に沿って枢動してきた吸引ヘッド702によってフィルター組立体Fが降下し、上述したようにスライドと接触し、検体を、スライド上に堆積(押圧転写)する。 押圧転写サイクルの間を通じて、フィルターへの真空の適用を継続し、試料の水分過剰と、意図しないしたたりを防止する。
    【0154】
    押圧転写の後、スライドは右方向に移動して戻り、固定液分注ヘッド984の下で休止する。 ここで、ソレノイドで駆動したポンプ(図示せず)、たとえばLee LPL X 050AA、(24 V、20マイクロリットル/パルス〜12マイクロリットル/パルス(最大で2パルス/秒))によって、固定液を検体に適用する。 固定液の総量は、ソレノイドサイクル数によって決定すればよい。 この固定液の分注容積は、20マイクロリットル単位でプログラムすることができる。 固定液は、0.030インチのオリフィスを備えた分注サファイアジェットノズルに、可撓性の接続を行うことができる。 液体は、貯槽からポンプに重力で供給すればよい。 貯槽は、タンクとすることができ、オペレーティングシステムと接続した「低水量」センサーを設けることができる。 2つ以上の固定液分注器を用いて、処理プロトコールに応じて決定される別の固定液を用いることもできる。
    【0155】
    検体が固定されたら、完成したスライドは、右側まで完全に戻り、スライドは、スライドシャトル機構によって、カセットのもとの位置に戻される。 カセットの処理がすべて終わったら、上述したように、カセット全体が、排出トラック940に放出される。
    【0156】
    完結した検査システム本発明のLBP装置は、検体を装置への搭載前に前処理しておく必要がなく、スライド作製過程の全工程を自動化することができる。 さらに、本装置では、操作者は、検体容器を開く必要が一切なく、この点は、操作者の安全という観点から重要な特徴である。 本LBP装置は、粘膜を含有する婦人科および非婦人科検体をはじめとするあらゆる種類の検体から、一体に組み込んだ、高速で剪断力が高く、粘膜を解離しうるような撹拌ステーションを使用することによって、高い品質の細胞診用スライドを自動的に作製することができる。 また、二方向流路のフィルターシステムが組み込んであるので、細胞の分離の程度、細胞の濃度、細胞の分散が最適化され、抗原、DNA、形態学的特徴が最適化され、そのため、その後の検査成績が向上する。 それぞれ40枚以下のスライドを収納することのできるスライドカセットは、その後の検査用処理装置で使用することができるので、スライドをさらに処理する際に、スライドを別のラックに移すという労働集約的な作業を行わなくてもすむ。 患者についてのデータ、検体、バイアル、カセット、スライドは、DMSソフトウェアのインターフェースを通じて利用者のネットワークから自動的にLISに移すことができる。
    【0157】
    本発明のLBP装置は、8時間の無人操作時間を行うことができる。 したがって、操作者が、職場を離れる前に再装填を行えば、交替勤務制でない検査施設でも、人件費や装置のコストを余分に支払うことなく、1日あたり2交代分の処理量を実現することができる。 本発明のLBP装置はは、年間処理量がスライド160,000枚を超え、検査1回あたりのコストも、現在の最先端のLBPシステムより、有意に低い。
    【0158】
    本LBP装置は、現在および将来の分子診断検査、たとえば、定量的DNA分析、マーカーやプローブを利用する検査に備えて検体を処理する能力も備えている。 装置に組み込まれた特性としては、複数の固定液分注装置を用いて、特別な分子診断検査で必要とされる所定以外の固定液も使用することができる点も挙げられる。
    【0159】
    たとえば図21aに図示した完結した検査システムは、病理学的再検討用のステーションを含むものであり、この病理学的再検討ステーションは、専門家が検体のスライドを再検討して、細胞診の場合については署名して送り出す、コンピュータ支援顕微鏡観察作業ステーションである。 検査システムのすべての構成部分と同じく、この病理学的再検討ステーションは、患者のデータや検体の処理についての情報に迅速にアクセスできるよう、DMSとともにネットワークを構成しており、したがって、システム上の他のすべての装置とともにネットワークを構成している。 病理学的再検討ステーションは、スライドカセットを受け取ると自動的に搭載し、検体スライドの検討を行う。 コンピュータ化され、完全に自動化された画像分析装置が、DNAの定量的分析と分子診断検査を行い、その際には、操作指示を受取り、その結果を検体バーコードを介して、一体化されたDMSを使用して報告する。 たとえば、アキュメド(AccuMed)/MDI、米国特許第5,963,368号、米国特許第6,091,842号、および米国特許第6、148,096号を参照されたい。 なお、これらは、いずれも、参照として本明細書に組み入れられる。
    【0160】
    本検査システムは、たとえば、DMSによって制御され、本発明のLBP装置と同じスライドカセットを利用するスライド自動染色装置および自動カバーガラス載置装置(および/または自動染色/カバーガラス載置装置の組み合わせ)も含む。 処理済みのスライドを収納したカセットは、スライドを一度取り外してから別のラックに搭載しなおさなくても、直接、これらの追加の装置で使用することができる。
    【0161】
    このように、検査システムを構成する各処理や各分析装置が相互に接続され、高度に自動化されているので、高品質かつ高処理量の検体の処理および分析を比較的低コストにて実施することが可能となる。
    【0162】
    産業上の利用の可能性以上では、液体ベースの細胞検体を捕集し、取り扱い、処理する際に使用することのできる、安全で、有効で、正確で、精度が高く、再現性があり、安価で、効率が良く、迅速かつ簡便なバイアルを基本とするシステムおよび装置を開示してきた。 こうした開示によって、完結した細胞診断検査システムにおいて、検体と情報とが完全に一体化した管理を行うことが可能となる。
    【図面の簡単な説明】
    【0163】
    【図1】LBP装置とともに使用する検体バイアルの縦断面図であり、カバーと結合された処理組立体(撹拌部材)がバイアル中に収納されている状態を示す。
    【図2A】バイアルの容器部分の正面図である。
    【図2B】撹拌部材を取り外した状態での容器の上面図である。
    【図3】撹拌部材の上面図である。
    【図4】カバーと嵌合するライナーの底面図である。
    【図5】撹拌部材、およびこの撹拌部材とともに使用するのに適したフィルター組立体の拡大縦断面図である。
    【図6】撹拌部材の上側部分の縦断面図であり、フィルター組立体を粒状物質分離チャンバーの所定位置に載置した状態を示す。
    【図7A】図6に示した構成の部分模式図であり、液体、および液体から分離する粒状物質の流れを示す。
    【図7B】図7aと同様の図であり、従来技術のフィルターシステムでの液体の流れを示す。
    【図8】フィルター組立体の拡大断面図である。
    【図9】流体マニホルドの寸法形状を示す模式図である。
    【図10】図1と同様の検体バイアルの、撹拌部材からカバーを取り外した状態での縦断面図である。
    【図10A】図10と同様の部分縦断面図であり、撹拌部材の改変例を示す。
    【図11】LBP装置の上面図である。
    【図11A】LBP装置の操作順序を示す模式図である。
    【図12】LBP装置の前面斜視図であり、見やすいように、一部を取り除いてある。
    【図13】LBP装置の背面斜視図であり、自動搭載/取り出し機構を示す。
    【図14】自動搭載/取り出し機構の上面図である。
    【図15】自動搭載/取り出し機構の正面図である。
    【図15A】図14の線15a-15aに沿って見たときの詳細な断面図である。
    【図16】自動搭載/取り出し機構の把持手段の別の態様の正面図である。
    【図17】自動搭載/取り出し機構に使用する検体バイアルトレーの斜視図である。
    【図18】図17の円18部分の拡大詳細図である。
    【図19】図17の検体バイアルトレーの底面斜視図である。
    【図20】検体バイアルトレー3枚を積み重ねた状態の斜視図である。
    【図21】検体バイアルの取り扱いとデータのフローを示すブロック図である。
    【図21A】LBP装置が組み込まれた検査システムの全体を示す図である。
    【図21B】リレーショナルデータベースの表である。
    【図22】コンピュータまたはワークステーションを示すブロック図である。
    【図23】コンピュータ画面の模写図である。
    【図24】別のコンピュータ画面の模写図である。
    【図25】2台のコンピュータ画面の模写図である。
    【図26】キャップを取り外した検体バイアルの縦断面図である。
    【図27】LBP装置のキャップ取外しヘッドと係合されたの検体バイアルの部分断面正面図である。
    【図28】図27の線28-28に沿って見たときのキャップ取外しヘッドの上面図である。
    【図29】LBP装置キャップ取外しステーションの側面図である。
    【図30】図29の線30-30に沿って見たときの断面図である。
    【図31】図29のキャップ取外しステーションの上面図である。
    【図32】一次撹拌ヘッドを係合させた状態の、検体容器の縦断面図である。
    【図33】LBP装置の一次撹拌ステーションの側面図である。
    【図34】一次撹拌ステーションの正面図である。
    【図35】一次撹拌ステーションの上面図である。
    【図36】フィルターを搭載する間の検体容器縦断面図である。
    【図37】LBP装置のフィルター搭載ステーションのマガジン部分の側面図である。
    【図38】フィルター搭載ステーションの押し込み手段部分の正面図である。
    【図39】フィルター搭載ステーションの押し込み手段部分の上面図である。
    【図40】フィルター搭載ステーションのマガジン部分の上面図である。
    【図41】検体を取得する間の検体容器の縦断面図である。
    【図42】スライドに検体を移す間の検体容器の縦断面図である。
    【図43】LBP装置の検体取得ステーションの側面図である。
    【図44】検体取得ステーションの下側部分の正面図である。
    【図45】図43の線45-45に沿って見たときの取得ステーションの部分断面上面図である。
    【図46】検体取得ステーションの上面図である。
    【図47】検体取得ステーションで使用する泡流量計の模式図である。
    【図47A】図47の流量計の改変例の模式図である。
    【図48】検体取得ステーションで使用される真空システムの模式図である。
    【図49】図48の真空システムの操作図である。
    【図50】LBP装置のキャップ再装着ステーションの前面斜視図である。
    【図51】キャップ再装着ステーションの側面図である。
    【図52】LBP装置で使用されるスライドカセットの前面斜視図である。
    【図53】図52のスライドカセットの詳細な斜視図である。
    【図54】スライドカセットの背面斜視図である。
    【図55】スライドカセット側面図である。
    【図56】LBP装置のスライド呈示システムの上面図である。
    【図57】スライド呈示システムの側面図である。

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