Motorcycle Engine

申请号 JP2004511673 申请日 2003-06-06 公开(公告)号 JP2005529275A 公开(公告)日 2005-09-29
申请人 ブルムビー・コーポレイション・リミテッド; 发明人 ギュッサニ、アレッサンドロ; ズーター、エスキル; ズーター、サイモン;
摘要 【課題】オートバイエンジン【解決手段】バランスシャフト(460)と係合してバランスシャフトを駆動するクランクシャフト(440)と、ギアボックスインプットシャフト(484)を駆動するバランスシャフトを備え、これらのシャフトはギアボックスインプットシャフトがクランクシャフトよりも緩速回転するように配置されている、オートバイエンジン。
权利要求
  • ギアボックスインプットを駆動するバランスシャフトを駆動するクランクシャフトを具備し、前記バランスシャフトは、前記ギアボックスインプットが前記クランクシャフトよりも緩速回転するように配置されている、オートバイエンジン。
  • 前記バランスシャフトは、このシャフトを駆動する第1のギアと、前記ギアボックスインプットシャフトを駆動する第2のギアとを備え、第1のギアは、第2のギアよりも大きい、請求項1に記載のエンジン。
  • 前記の第2のギアは、n個の歯を備え、前記の第1のギアは、少なくとも1.5n個、好ましくは、少なくとも2n個の歯を備えている、請求項2に記載のエンジン。
  • 前記バランスシャフトは、クラッチを介して前記ギアボックスインプットを駆動する、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のエンジン。
  • オートバイの後輪を駆動するギアボックスアウトプットをさらに具備し、また、前記クランクシャフトは、前記ギアボックスアウトプットとは逆方向に回転する、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
  • 単気筒または単列気筒を備え、前記の単気筒または単列気筒は、エンジン後方へと傾斜している、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
  • 前記バランスシャフトの1個の平衡体は、前記の1個のギアに近接して配置されている、請求項2に記載のエンジン。
  • 前記の1個のギアは、それ自体が平衡体を形成している、請求項2に記載のエンジン。
  • 前記バランスシャフトを介して駆動されるオイルポンプを具備する、前記全ての請求項のいずれか1項に記載のエンジン。
  • 前記オイルポンプは、前記クラッチのプライマリギアを介して駆動される、請求項4もしくは9に記載のエンジン。
  • 前記オイルポンプは、エンジンの油溜めの後方に配置され、また、前記バランスシャフトは、前記クランクシャフトの後方かつ前記油溜めの上方に配置されている、請求項9または10に記載のエンジン。
  • エンジンに潤滑油を供給する潤滑油供給系と、潤滑油供給系から潤滑油を受取り、潤滑油を冷却して前記供給系に戻す潤滑油冷却系と、潤滑油供給系内の潤滑油の圧力が所定の値を越えると潤滑油を潤滑油供給系から潤滑油冷却系に流入させる手段とを具備する、オートバイエンジン潤滑系。
  • 前記手段は、圧力逃がし弁を備える、請求項12に記載の潤滑系。
  • 说明书全文

    本発明はオートバイエンジンに関する。 特に本発明は、3気筒オートバイエンジンにおける一連のシャフトのレイアウトに関する。

    本出願人の名前で、本出願と同一日に提出された以下の関連出願に注目されたい。

    代理人整理番号) (名称)
    24605 ガス流動マネジメント 24606 オートバイ 25241 オートバイ これらの出願の開示内容は参照してここに組み込まれる。

    オートバイにおける3気筒エンジンの使用は公知に属する。 また、この種のエンジンにおいてピストンの慣性に起因する一次はクランクシャフトと同一速度で回転する、適切な不平衡質量を備えたバランスシャフトを使用することによって平衡させることができることも知られている。 しかしながら、クランクケースに追加的なシャフトを収容することはエンジンの重量、複雑性およびコストを増加させることととなる。 本発明はバランスシャフトを付加的な目的に利用することにより、こうした短所を軽減しようとするものである。

    そこで、ギアボックスインプットを駆動するバランスシャフトを駆動するクランクシャフトを具備し、前記バランスシャフトは、ギアボックスインプットがクランクシャフトよりも緩速回転するように配置されているオートバイエンジンが提供されている。

    クランクシャフトとギアボックスとの間にバランスシャフトによる減速機構を設けることにより、ギアボックスと終駆動列(これはチェーン伝動、ベルト伝動あるいはシャフト伝動であってよい)とにおいてさらに総減速を行なう必要性は減少する。 特に、チェーン伝動またはベルト伝動における減速の必要性が減少することにより、より小さなリアスプロケットまたはプーリの使用が可能となる。 これはばね下重量を低減させるとともに、チェーン長(したがって時間相関伸張)を減少させ、またリアサスペンションの設計の自由度を拡大させることとなる。

    ここで「ギアボックス」の用語は、ボックスまたはケーシングに収容されているか否かにかかわりなく、あらゆる形の可変比トランスミッションを含むものとして使用されている。

    好ましくは、バランスシャフトは、これを駆動する第1のギアと、ギアボックスインプットを駆動する第2のギアとを備え、第1のギアは第2のギアよりも大きく形成されている。 特に好適な一実施形態において、第2のギアはn個の歯を有し、第1のギアは少なくとも1.5n個、好ましくは少なくとも2n個の歯を有している。

    バランスシャフトはクラッチを介してギアボックスインプットを駆動することができる。

    好適な一連の実施形態において、所要の減速はクランクシャフトに担持された特に小さなギア(これはクランクの行程によって制限されるであろう)あるいは特に大きなクラッチプライマリギア(これはエンジンサイズを増大させるであろう)を必要とすることなく達成することが可能である。

    好ましくは、クランクシャフトは、ギアボックスアウトプットとは反対方向に回転する。 例えば、エンジンは、クランクシャフト、バランスシャフト、ギアボックスインプットシャフトおよびカウンタシャフト(アウトプットシャフト)の4本のシャフトを備えるだけでよい。 クランクシャフトの逆方向回転により、トルク反応によってオートバイ前輪が地面を去る前に加速を増大させることができる。 これはまた、エンジンと車輪とが平行な軸の周りに互いに逆方向に回転することから、オートバイに作用するジャイロ力を減少させることともなる。

    単気筒または単列気筒を備える一連の実施形態において、シリンダまたはシリンダ列は、好ましくはエンジン後方に傾斜させられている。 これによりエンジンをオートバイのさらに前部に配置することが可能である。

    バランスシャフトの平衡体は、前記ギアに隣接して配置することができる。 前記ギアはそれ自体が平衡体を形成することができる。

    エンジンはバランスシャフトを介して駆動されるオイルポンプを含むことができる。 このオイルポンプはクラッチのプライマリギアを介して駆動される。

    好ましくはオイルポンプはエンジンの油溜めの後方に配置され、バランスシャフトはクランクシャフトの後方で、油溜めの上方に配置されている。

    さらなる態様により、潤滑回路と潤滑油冷却用の冷却回路を備え、潤滑回路から冷却回路に供給されるオイル量がエンジン速度に相関して調節されるエンジン潤滑系が提供されている。

    さらなる態様により、エンジンに潤滑油を供給する潤滑油供給系と、潤滑油供給系から潤滑油を受取り、潤滑油を冷却して供給系に戻す潤滑油冷却系と、潤滑油供給系の潤滑油の圧力が所定の値を越えると潤滑油を潤滑油供給系から潤滑油冷却系に流入させる手段とを具備するエンジン潤滑系が提供されている。

    さらなる態様により、エンジンに潤滑油を供給する潤滑油供給系と、潤滑油供給系から潤滑油を受取り、潤滑油を冷却して供給系に戻す潤滑油冷却系とを具備し、前記潤滑油系は圧力逃がし弁を介して潤滑油供給系に接続されているエンジン潤滑系が提供されている。

    さらなる態様により、エンジンに潤滑油を供給するエンジン駆動型潤滑油供給系と、潤滑油供給系から潤滑油を受取り、潤滑油を冷却して供給系に戻す潤滑油冷却系と、エンジン速度が所定の値を越えると潤滑油を潤滑油供給系から潤滑油冷却系に供給する手段とを具備するエンジン潤滑系が提供されている。

    以下、添付図面を参照し、純然たる例示によって特定の実施形態を説明する。

    (外側概略図)
    図1Aないし図1Eは、好適な一実施形態の5つの外観図を示したものであり、各図はエンジンのそれぞれ右側面図、左側面図、正面図、背面図および平面図である。

    エンジンは総じて、それぞれ88mmと49.3mmのボア径とストロークを有した、直列配置された3本のシリンダ80a、80b、80cを備える4サイクルエンジン20である。 このオーバスクエア形状はエンジンをより高速で回転させることができる。

    先ずロード使用を意図した一実施形態において、各々のシリンダの(シリンダヘッドとピストンクラウンとの形状によって形成される、好ましくは、ほぼ半球状の)燃焼室は、圧縮比を12:1ないし13:1もしくはそれ以上に引き上げることのできる寸法を有している。 レーシング例えば世界スーパーバイク選手権を意図したさらなる態様において、圧縮比は、13:1ないし14:1もしくはそれ以上である。

    エンジンは、エンジンケーシング22と、シリンダヘッド60に着脱式に配置されたシリンダヘッドカバー40とを有している。 シリンダヘッド60は、(公知の製品および路上走行オートバイとは異なり)その前面62に配置された吸気口70a、70b、70cを備えている。 吸気口70には、それぞれ吸気ホーン120a、120b、120cを有したそれぞれのスロットルボディ100a、100b、100cが(好適な実施形態において弾性式に)取付けられている。 各々の吸気口70、スロットルボディ100およびホーン120は、さらに以下に述べるようにしてそれぞれのシリンダ80に給気を行なう。 シリンダヘッド60の背面64には、3個の排気口200a、200b、200cが配置され、これらの排気口にそれぞれ排気路(不図示)が接続されている。 排気口200には、燃焼室82からさらに以下に述べるようにして1気筒ごとに2本の排気ポート(不図示)を介して排気が供給される。

    エンジンの前面に吸気口、背面に排気口を有することにより、吸気系と排気系とを互いに引き離して配置することができ、これにより、双方のシステムが互いに近接しているために吸気が排気によって加熱されるという公知のエンジンの問題を克服または軽減することができる。 さらに、排気系は冷却と潤滑油ラジエータ(以下に記述)から離れており、そのため排気系からラジエータへの伝熱が減少する。 シリンダは垂直面から後方に15°傾斜させられている。 その他の一連の実施形態において、この傾斜度は13.5°ないし16.5°であり、さらにその他の一連の実施形態において12°ないし18°である。 さらなる一連の実施形態においてこの角度は20°または25°までに達している。 結果として吸気ホーン120はいっそう上方を向くこととなる。 また、さらなる結果として、エンジンを公知のオートバイよりもさらに前方に配置することが可能となり、重心の配置により大きなフレキシビリティが得られることとなる。

    シリンダヘッド60は、1気筒あたり2つの吸気バルブと2つの排気バルブを駆動する2本のカムシャフト240a、240bを収容している。 バルブトレーンについては以下にさらに詳細に説明する。

    各々のシリンダは、それぞれ取外し可能なシリンダライナによってライニングが施されている。 別体のライナの使用によって、ゆがみの可能性は減少するとともに、この種のライナは互いに、またシリンダヘッド/エンジンブロックから独立に製作、取外しおよび交換が可能であり、より信頼性の高い解決法を供することができる。 さらに、ライナは取外しが可能であり、エンジンブロックは再使用が可能である。

    シリンダブロック24の右側には、エンジン周りに冷却水を送出するウォータポンプ300が取付けられている。

    エンジンケーシング22は、取外し可能なクランクシャフトケーシング320と、取外し可能なクラッチケーシング340と、取外し可能な封止式ギアボックスマガジン420用の開口部とを備えている。

    オイルポンプ360は、エンジンケーシング部の内部に取付けられている。 オイルポンプは、油溜め380からオイルを吸引する。 オイルフィルタ400が設けられている。 潤滑系については以下にさらに詳しく説明する。

    (クランクシャフトとバランスシャフト)
    エンジン20は、クランクシャフト440(図2、3、4および5Aないし5C参照)を備える。 エンジンは、一様なファイアリングオーダーを有し、クランクシャフト440の3本のクランクピン448a、448b、448cは、往復運動する部品の加速に起因する力が公知の方法で、互いにまたはクランクシャフトの(好適な一実施形態において重金属インサートを備える)延長ウェブ442によって大幅に平衡させられるように、等しく離間させられている。 しかしながら、外側の2つのシリンダ80a、80cは、往復動するピストン質量によっても、延長ウェブ442の回転質量によってもキャンセルされない付加的なトルクをクランクシャフトに与える。

    このトルクを打ち消すために、エンジン20は、バランスシャフト460を備えている。 このバランスシャフトは、バランスシャフト460のギア464とクランクシャフト440のギア444とが係合することによって駆動される。 これらバランスシャフト駆動ギア444、464は、バランスシャフト460がクランクシャフト440と同速回転するように同一の寸法(歯数38)を有している。

    前記バランスシャフトは、2個の平衡体を備えている。 第1の平衡体466は、ギア464に隣接しており、第2の平衡体468(これは高密度材料のインサート470を含んでよい)は、ギア464から離れたバランスシャフトの端部に近接している。 バランスシャフトがクラッチを介してギアボックスインプットシャフトを駆動するのに使用される特に好適な一実施形態において、第2の平衡体468は、バランスシャフトのプライマリギア472に隣接している。 バランスシャフトプライマリギア472は、(図6に関連して以下に説明するように)クラッチプライマリギアと係合するように形成されている。

    (例えば図5Bで)わかるように、第1と第2の平衡体466、468は、バランスシャフト460の互いに対向する側に配置されている。 第1と第2の平衡体466、468の効果に加えて、さらに別の平衡体が、ギア464、472によって設けられている。 これらのギアはギアの重心を回転軸から偏心させる1個以上の空洞または内腔(例えばギア464の474)を有している。

    好適な一実施形態において、クランクシャフトのウェブは、クランクシャフトの遠心力を50%まで平衡させるように設計された質量を有している。 これにより、安価に製造できるとともに慣性の小さい小形軽量クランクシャフトの使用が可能となる。 この実施形態の好適な一連の改良形態において、クランクシャフトは、少なくとも2つの非対称ウェブを有している。 さらに別の好適な一実施形態において、これらのウェブは、遠心力を100%平衡させる質量を有している。

    (一連の図に示したような)特に好適な一実施形態において、バランスシャフト460は、バランスシャフトを使用し、バランスシャフトがクランクシャフトの前方に配置されかつオイルポンプが油溜め上方に配置されている公知のシステムとは異なり、油溜め上方に配置されている。 こうした配置によりエンジン長を短縮することができる。

    特に好適な一実施形態において、バランスシャフトに取り付けられたバランスシャフト駆動ギア464は、もう1個のギア472(この歯数は26である)よりも大きな半径を有している。

    さらに、第2の平衡体468の半径は、もう1個のギア472の半径よりも大きく(しかも特に、第2の平衡体468の半径はバランスシャフトプライマリギア472の歯元円の半径よりも大きい)。 これは、例えばバランスシャフト460を集成体として形成することによって達成することができる。

    上述したように、バランスシャフト460のバランスシャフトプライマリギア472は、クラッチプライマリギア482と係合する。 このため、かつ好適な実施形態においてギアボックス420はクランクシャフト440の後方に位置していることから、バランスシャフト460は、クランクシャフト440の後方かつ高い位置にある。 エンジンケーシング22は、容易な組み立ておよび分解を可能とするため、これらのシャフトとほぼ同じ高さ位置に1本の割線(不図示)を有している。

    図6は、エンジン20を起点とするパワートレーンの概略を示したものである。 シリンダ80は、クランクシャフト440を回転させ、このクランクシャフトは、係合ギア444、464を介してバランスシャフトを駆動する。 このバランスシャフトは、バランスシャフトプライマリギア472とクラッチプライマリギア482を備えるプライマリドライブを駆動する。 こうした配置は、スプロケット422を正しい回転方向に回転させるために、クランクシャフトは、クランクシャフトとギアボックスアウトプットシャフトとが同一回転方向に回転する公知のオートバイとは異なり、オートバイの車輪の回転方向とは逆方向に回転しなければならないことを意味している。 こうした配置により、慣性に抗するクランクシャフトの回転が、オートバイ前輪への下向きの力を(公知のオートバイのようにそれを減ずるのではなく)増大させることに寄与し、こうしてオートバイ前輪タイヤが地面を去る前に高速に加速することができるという利点がもたらされることとなる。 重量が各車輪にほぼ50%で配分されている特に好適な一実施形態において、前記の効果は前輪荷重にほぼ1.5kgの実効質量が加えられるということであり、これはほぼ3ないし4%の荷重増加に相当し、これに相当する、前輪が地面を去る前の加速能力の増大を生ずることとなる。

    図2Aは、エンジン内の一連のシャフトの端面を示したものである。 また、図2Bは、図2Aに示したシャフト配置の断面を示したものである。 前述したように、バランスシャフトを駆動するギア(これらはクランクシャフト440のギア444とバランスシャフト460のギア464である)は、図2に示した実施形態において同一の歯数38を有している。 クランクシャフトと後輪との間の回転速度の所要の減速を部分的に達成するため、バランスシャフトに取り付けられたプライマリギア472はバランスシャフトを駆動するギア464よりも小さく、図示した実施形態においてその歯数は26である。 このギア472は、(歯数53の)クラッチプライマリギア482と係合する。 こうしてギアボックスインプットシャフト484は、クランクシャフト回転速度の半分よりも僅かに低い速度で駆動される。 クラッチがクランクシャフトによって直接に駆動される場合に同じ減速を達成するにはクラッチプライマリギアはここに示した実施形態の場合のほぼ2倍の直径を有することになることは触れておく価値があろう。 最終減速はアウトプットスプロケットと後輪スプロケットとの間の寸法差によって達成される。

    (潤滑)
    以下、図7を参照して潤滑系を説明する。

    潤滑系600は、潤滑回路620とオイル冷却回路640を備えている。

    オイルは、オイルポンプ622(好ましくは容積式ポンプ)によってオイル油溜め380から吸引されてエンジン内の潤滑回路620に送出される。 このオイルポンプ622は、クラッチプライマリ(インプット)ギアによって駆動されるギアを担持する駆動軸を備えている。 このオイルポンプは、オイルフィルタを介して潤滑回路にオイルを送出する。 オイルフィルタからオイルは、メインギャラリ630に流入し、同所からクランクシャフトおよび、ピストン裏面にオイルを噴射するオイルジェットの潤滑が行なわれる。 メインギャラリは、またシリンダヘッドと第2のギャラリ632にも供給を行い、第2のギャラリからバランスシャフトの潤滑が行なわれる。 オイルは、(ギアボックスインプットシャフト484を貫く縦方向孔1400によって形成される流路を介して)クラッチプライマリギアとクラッチ(不図示)に送出される。 オイルジェット、シリンダヘッドおよびクラッチプライマリギアの上流には、油圧と流速を制限するために、レストリクタが設けられている。 さまざまな潤滑面からのオイルは、最終的にオイル油溜め380に還流する。

    圧力逃がし弁624が、潤滑回路内でオイルポンプ622の近くに配置されている。 この圧力逃がし弁は、潤滑系の油圧が規定された閾値を超えないように適合化されている。 好適な一連の実施形態において、閾値は、3ないし6bar(3×10 Paないし6×10 Pa)の範囲内にある。 特に好適な一連の実施形態において、閾値は、4ないし5bar(4×10 Paないし5×10 Pa)の範囲内にある。 前記圧力逃がし弁624は、流路626(これは例えばこの好適な実施形態において管である)を介してオイル冷却回路640に接続された逃がし口と、閉ポジションから開ポジションへ移動可能であって、開ポジションにおいてオイルをオリフィスを介して逃がし口へと逃がすことのできるばね予圧式ピストンとを有している。

    潤滑回路620内の油圧が規定された閾値を超えると、圧力逃がし弁624が開き、これによって一定量のオイルが逃がし口を介して流路626に流れ込み、同所からさらにオイル冷却回路640に流入する。 これは潤滑回路620内の油圧を低減させる効果を有している。 潤滑回路内の油圧が規定された閾値以下に低下すると、圧力逃がし弁は閉じ、オイル冷却回路にそれ以上のオイルが逃げ出すのを防止する。

    好適な一実施形態において、オイル冷却回路640は、オートバイのエンジン近傍に取り付けられた熱交換器またはラジエータを有している。 このオイル冷却回路640を貫流するオイルは、冷やされて油溜め380に還流し、同所からオイルポンプ622によって再び潤滑回路に送出される。 オイル冷却回路は油溜めに対して開かれているので、オイル冷却回路内の油圧は低圧である。

    前記オイルポンプ622は、クラッチプライマリギア(図6の482)によって駆動され、これによって送出されるオイル量はエンジン速度に比例している。 所与のオイル温度において、ポンプによって発生させられる油圧は、ポンプによって発生させられる流れに対するポンプ下流側潤滑回路の抵抗に依存している。 エンジン速度が低速の場合(例えば約1000回転/分のアイドリング速度時)には、オイルポンプは、オイルが圧力逃がし弁を介してオイル冷却回路に逃げ出すのに十分な油圧を発生しない。 しかしながら、エンジン速度が低速の場合にはエンジンが発生する熱も僅かであり、したがってオイルも相対的に冷えていることから、これによって問題が生ずることはない。

    エンジン速度が高まると、エンジンおよびオイルの温度も一般に上昇するであろう。 エンジンがひとたび圧力逃がし弁624の閾値以上に油圧が高まるのに十分な速度(ほぼ4000回転/分)に達すると、圧力逃がし弁が開き、一定量のオイルがオイル冷却回路640に流入して冷却されることとなる。

    このようにして、オイル冷却系は、必要な場合にのみ使用される。 エンジン速度が高まると、オイルポンプはより多量のオイルを送出し、こうして油圧が上昇する。 オイル冷却回路に供給されるオイル量は、オイルポンプによって発生させられる油圧によって決定され、したがってエンジン速度と相関している。 エンジン速度は、またエンジンの温度(したがってオイルの温度)も部分的に決定することから、オイルの温度とオイル冷却回路を貫流するオイル量との間には間接的な関係が存在する。 これによってオイル温度がエンジン速度に応じて自動的に調節される潤滑系が実現される。

    オイル冷却回路は、圧力逃がし弁によって潤滑回路から分離されているため、オイル冷却回路内の油圧も潤滑回路内の油圧より常に著しく低い。 このことは、総じて露出している潤滑系部品に損傷が生じても突発的なオイル損失が生ずることはないということを意味し得る。 例えば、オートバイの前輪によって路面から跳ね上げられた石などの瓦礫がオイル冷却ラジエータに穴を開けることがある。 もしも、ラジエータ内のオイルが高圧であれば、オイルは全てたちまちにして失われ、オートバイは即座に走行不能となる。 これに対して、低圧下での緩慢な漏れは、搭乗者にそのまま目的地まで行くかそれともオイルが全て漏れ出る前に修理工場に向かうかする十分な時間を与えることになる。

    次に、エンジン16の簡略化した輪郭との関連で潤滑系の部品配置を示した図8を参照し、潤滑系の部品配置をさらに詳細に説明する。

    オイルポンプが油溜めの真上に配置されていることが多い従来のオートバイエンジンとは異なり、好適な一実施形態において、オイルポンプ622はギアボックスの下方かつ油溜め380の後方に配置されている。 これによりバランスシャフト(例えば、図6の460)を他の箇所で説明したように油溜めの上方に配置することができる。

    好適な一実施形態において、オイルポンプ622は、ストレーナ382を通して油溜め380からオイルを吸引する。

    特別な一実施形態において、油溜め380とエンジンケーシングのオイルポンプ部360との間には、邪魔板662が配置されている。 この油溜め自体は、比較的深く形成されている。 邪魔板と組み合わされた深い油溜めは、加速時およびオートバイの前部が地面から浮き上がりエンジンが図示したような通常の直立姿勢から一定の角度をなして傾斜するような場合にも、オイルが油溜めから流れ出るのを防止もしくは阻止することができる。 これにより、こうした状況下にあっても、潤滑回路に送出される十分な量のオイルが油溜めに残存するようにすることができる。 特に好適な一実施形態において、邪魔板はエンジンケーシングの内壁と一体となって、エンジンが後方に傾斜してもオイルで満たされているような、前方に向いた開口を有した(エンジンケーシング内に包容された)キャビティを形成している。

    さらに、その他の一連の実施形態において、減速時にオイルが油溜めから流出するのを防止もしくは阻止するために、油溜めの前方に向かって追加/別途の邪魔板が設けられている。

    さらに別の好適な一実施形態において、一般に油溜め内におけるオイルの運動を阻止するように配置された複数枚の邪魔板が油溜め内に設けられている。

    また、それぞれのピストンの下降行程時に、シリンダ底部から追い出されるガスが、直接油溜め内に侵入して油溜め内のオイルを排除しもしくは気泡が発生するのを防止するため、さらに別の邪魔板663が設けられている。

    さらに別の好適な一実施形態において、油溜めの深さと形状とは図1と2に示したものとほぼ同様に形成されている。

    好適な一実施形態において、上述した潤滑系はギアボックスを除く全てのエンジン部品の潤滑を行なう。 ギアボックスは、図6に示したように、別個に潤滑される独立型のユニットである。

    エンジン20(バランスシャフト460とバランスシャフトプライマリギア472を含む)とクラッチプライマリギア482とは、前述した潤滑系600によって潤滑される。

    ギアボックスインプットシャフト484の従動端を除いて、ギアボックスは、ギアボックスケーシングによって完全に包容されている。 ギアボックス420内には油浴が設けられている。 油浴中へのギアの浸漬運動はオイルミストを発生させ、これがギアボックス全体に行き渡り、本来公知のように、ギアボックス内の部品の十分な潤滑を保証する。

    ギアボックスは取出し可能な常時噛み合い式マガジンとして配置されている。 ギアボックスは、クラッチ480によって駆動されるインプットシャフト484(またはメインシャフト)とアウトプットシャフト486(またはカウンタシャフト)とを備えている。

    本願明細書(この用語は特許請求の範囲を含んでいる)に開示されたおよび/または一連の図面に示された各々の特徴は、開示および/または図示されたその他の一連の特徴とは独立して本発明に組み込まれることとする。

    本願明細書中の「発明の目的」なる言明は本発明の好適な一連の実施形態に関するものであり、必ずしも本願特許請求の範囲に該当する本発明の全ての実施形態に関するものではない。

    図面を参照して行なった本発明の説明は純然たる例示である。

    エンジンの右側面図である。

    図1Aに示したエンジンの左側面図である。

    図1Aと1Bに示したエンジンの正面図である。

    図1Aないし1Cに示したエンジンの背面図である。

    図1Aないし1Dに示したエンジンの平面図である。

    エンジン(ギアボックスを含む)内のシャフトの端面図である。

    図2Aに示した配置の断面図である。

    エンジンのクランクシャフトとバランスシャフトを示す図である。

    エンジンクランクシャフトがバランスシャフトを駆動するためのギアを示す図である。

    バランスシャフトを駆動するギアを示す、エンジンバランスシャフトの被駆動端の側面図である。

    エンジンバランスシャフトの縦断面図である。

    図5Bに示したバランスシャフトの斜視図である。

    オートバイのパワートレーンを模式化した図である。

    エンジン潤滑系を模式化した図である。

    エンジンに対する潤滑系の部品の位置を示す図である。

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