車両の報知システム

申请号 JP2015202271 申请日 2015-10-13 公开(公告)号 JP2017074820A 公开(公告)日 2017-04-20
申请人 スズキ株式会社; 发明人 長谷川 慶;
摘要 【課題】車両(自車)の走行状態を、車両(自車)の周囲に存在する他車の搭乗者等に報知する。 【解決手段】車両の報知システム7は、路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6と、車速および 加速 度を検出する車速・加速度検出手段72と、バンク 角 を検出するバンク角検出手段73と、車体の挙動を検出する車体挙動検出手段74と、これらの検出手段による検出結果に基づいて、投影装置6が投影する光のパターンPの投影の態様を変更する投影装置制御手段71と、を有する。 【選択図】図4
权利要求

路面に光のパターンを投影する投影装置と、 車両の走行状態に応じて前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する制御装置と、 を有することを特徴とする車両の報知システム。前記車両の走行状態を検出する検出手段をさらに有し、 前記制御装置は、前記検出手段により検出した走行状態に応じて前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両の報知システム。前記検出手段は、前記車両の車速と加速度の少なくとも一方を検出し、 前記制御装置は、前記検出手段により検出した前記車両の車速と加速度の少なくとも一方に応じて、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項2に記載の車両の報知システム。前記検出手段は、前記車両のバンクを検出し、 前記制御装置は、前記検出手段により検出した前記車両のバンク角に応じて、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項2に記載の車両の報知システム。運転者による前記車両の操作を検出する検出手段をさらに有し、 前記制御装置は、前記検出手段により検出した前記車両の操作に応じて、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両の報知システム。前記検出手段により前記車両の減速操作を検出した場合には、 前記制御装置は、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項5に記載の車両の報知システム。前記検出手段により前記車両の進路変更の操作と方向指示器の操作の少なくとも一方を検出した場合には、 前記制御装置は、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項5に記載の車両の報知システム。前記車両の周囲に存在する他の車両との距離を検出する距離検出手段をさらに有し、 前記制御装置は、前記距離検出手段により検出される前記他の車両との距離に応じて、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両の報知システム。前記制御装置は、前記車両の周囲に存在する前記他の車両との相対速度が閾値以上である場合には、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項8に記載の車両の報知システム。前記制御装置は、前記車両の周囲に存在する前記他の車両との相対速度が閾値以下である場合には、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項8に記載の車両の報知システム。前記制御装置は、前記車両を追い越す他車を検出した場合には、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更することを特徴とする請求項8に記載の車両の報知システム。前記制御装置は、前記投影装置に、前記車両が存在する位置を含み前記車両よりも大きい領域の外縁に光のパターンを投影させることにより、前記領域の外縁を報知することを特徴とする請求項8に記載の車両の報知システム。前記領域の形状は、前記車両の前方に向かうにしたがって幅が広がる台形状であることを特徴とする請求項12に記載の車両の報知システム。前記車両の車速を検出する検出手段をさらに有し、 前記制御装置は、前記検出手段により検出される前記車両の車速に応じて、前記領域の大きさを変更することを特徴とする請求項12または13に記載の車両の報知システム。前記車両のバンク角を検出する検出手段をさらに有し、 前記検出手段により検出される前記車両のバンク角に応じて、前記投影装置による光のパターンの投影方向を変更することを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の車両の報知システム。

说明书全文

本発明は、車両(自車)の存在や走行状態を主に他車の搭乗者に知らせるための車両の報知システムに関する。

自車の存在や走行状態をその周囲に存在する他車の搭乗者等に報知する装置として、テールランプやブレーキランプが挙げられる。ブレーキランプは、ブレーキ操作が行われた場合に点灯することによって、自車の周囲に存在する他車の搭乗者等に対して、ブレーキ操作が行われたことを報知する。しかしながら、自車の周囲に存在する他車の運転者は、自車のテールランプやブレーキランプでは、自車との適正な車間距離や自車の走行状態を正確に把握できないことがある。また、自車の搭乗者等も、他車のテールランプやブレーキランプでは、他車との適正な車間距離を正確に把握できないことがある。例えば、自動二輪車は一般的に四輪車に比較して車体が小さいため、自動二輪車の周囲の車両の搭乗者等は、自動二輪車との車間距離を、適正な車間距離よりも短くしてしまうことがある。また、自車と他車との適正な車間距離は、自車の走行状態に応じて変化する。しかしながら、テールランプやブレーキランプでは、走行状態に応じて変化する適正な車間距離を、自車の周囲に存在する他車の搭乗者等に報知することは困難である。

特許文献1には、ナビゲーション装置により提供されるデータに基づいて、交差点での通行方向を案内する画像を進行方向前方の路面に投影する構成が開示されている。また、特許文献2には、自動二輪車の車体バンクに応じてヘッドライトの照射範囲を変更する構成が開示されている。このように、車両から地面に光を投影することによって、運転者に所定の情報を提供する技術や、運転者の視界を確保する技術がある。しかしながら、これらの特許文献1,2に開示される技術は、自車の運転者に情報提供したり視界を確保したりする技術であり、自車の周囲に存在する他車の運転者に自車の存在や走行状態を報知することは考慮されていない。

特開2005−306337号公報

特開2004−155404号公報

上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、自車の走行状態を、自車の周囲に存在する他車の搭乗者等に報知できる車両の報知システムを提供することである。

前記課題を解決するため、本発明は、路面に光のパターンを投影する投影装置と、車両の走行状態に応じて前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する制御装置と、を有することを特徴とする。

前記車両の走行状態を検出する検出手段をさらに有し、前記制御装置は、前記検出手段により検出した走行状態に応じて前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記検出手段は、前記車両の車速と加速度の少なくとも一方を検出し、前記制御装置は、前記検出手段により検出した前記車両の車速と加速度の少なくとも一方に応じて、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記検出手段は、前記車両のバンク角を検出し、前記制御装置は、前記検出手段により検出した前記車両のバンク角に応じて、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

運転者による前記車両の操作を検出する検出手段をさらに有し、前記制御装置は、前記検出手段により検出した前記車両の操作に応じて、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記検出手段により前記車両の減速操作を検出した場合には、前記制御装置は、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記検出手段により前記車両の進路変更の操作と方向指示器の操作の少なくとも一方を検出した場合には、前記制御装置は、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記車両の周囲に存在する他の車両との距離を検出する距離検出手段をさらに有し、前記制御装置は、前記距離検出手段により検出される前記他の車両との距離に応じて、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記制御装置は、前記車両の周囲に存在する前記他の車両との相対速度が閾値以上である場合には、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記制御装置は、前記車両の周囲に存在する前記他の車両との相対速度が閾値以下である場合には、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記制御装置は、前記車両を追い越す他車を検出した場合には、前記投影装置が投影する光のパターンの投影の態様を変更する構成であってもよい。

前記制御装置は、前記投影装置に、前記車両が存在する位置を含み前記車両よりも大きい領域の外縁に光のパターンを投影させることにより、前記領域の外縁を報知する構成であってもよい。

前記領域の形状は、前記車両の前方に向かうにしたがって幅が広がる台形状である構成であってもよい。

前記車両の車速を検出する検出手段をさらに有し、前記制御装置は、前記検出手段により検出される前記車両の車速に応じて、前記領域の大きさを変更する構成であってもよい。

前記車両のバンク角を検出する検出手段をさらに有し、前記検出手段により検出される前記車両のバンク角に応じて、前記投影装置による光の投影方向を変更する構成であってもよい。

本発明によれば、自動二輪車(自車)の走行状態を、自動二輪車の周囲に存在する他車の運転者等に報知できる。

図1は、報知システムが適用される自動二輪車の構成例を模式的に示す右側面図である。

図2は、投影装置の構成例を模式的に示す図である。

図3は、投影装置の配置位置と、投影装置により路面に投影される光のパターンの例を示す平面図である。

図4は、報知システムの構成例を示すブロック図である。

図5(a)は、第1の動作を模式的に示す側面図であり、図5(b)は第1の動作を模式的に示す平面図であり、図5(c)は第1の動作に用いられるテーブルの内容の例を示す図である。

図6(a)は、第2の動作を模式的に示す前面図であり、図6(b)は第2の動作に用いられるテーブルの内容の例を示す図である。

図7(a)は、第3の動作を模式的に示す平面図であり、図7(b)は第3の動作に用いられるテーブルの内容の例を示す図である。

図8は、第5の動作を模式的に示す図である。

図9は、第6の動作を模式的に示す平面図である。

図10(a)は、第7の動作を模式的に示す平面図であり、図10(b)は、第7の動作に用いるテーブルの例を示す図である。

以下に、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。以下の説明では、本発明の実施形態に係る車両の報知システムが自動二輪車に適用される構成を例に示す。説明の便宜上、以下の実施形態では、「車両の報知システム」を「報知システム」と略して記すことがある。また、各図面においては、報知システムが適用される自動二輪車の前側を矢印「Fr」で、後側を矢印「Rr」で、上側を矢印「Up」で、下側を矢印「Lw」で、右側を矢印「R」で、左側を矢印「L」で示す。

<自動二輪車の全体構成> まず、報知システム7が適用される自動二輪車1の全体的な構成を、図1を参照して説明する。図1は、報知システム7が適用される自動二輪車1の構成例を模式的に示す右側面図である。本実施形態では、オンロードタイプの自動二輪車を例に示すが、自動二輪車の種類は限定されない。

図1に示すように、自動二輪車1は、車体フレーム110と、エンジンユニット160と、複数のカウルと、その他の所定の装置や部材とを含んで構成される。

自動二輪車1の車体フレーム110は、ステアリングヘッドパイプ111と左右一対のメインフレーム112とを含む。ステアリングヘッドパイプ111は、後傾する管状の構成を有する。左右一対のメインフレーム112は、前端部がステアリングヘッドパイプ111に一体に接合されており、ステアリングヘッドパイプ111から車幅方向に間隔を広げながら後方斜め下側に向かって延伸する。メインフレーム112の後部には、左右一対のシートレール113が取付けられる。左右一対のシートレール113は、搭乗者が着座するシート153を支持する部材であり、車幅方向に所定の間隔をおいて、メインフレーム112の後部から後方斜め上側に向かって延伸する。なお、車体フレーム110の各部は、鉄鋼材料やアルミニウム合金材料などにより形成され、溶接などによって一体に接合される。

車体フレーム110の前側には、ステアリングシャフト(図1においては隠れて見えない)と、左右一対のフロントフォーク121と、前輪122とが設けられる。ステアリングシャフトは、ステアリングヘッドパイプ111に挿通されており、ステアリングヘッドパイプ111によって回転可能に支持される。左右一対のフロントフォーク121は、ブラケットなどを介してステアリングシャフトに連結されており、ステアリングシャフトと一体に回転する。前輪122は、左右一対のフロントフォーク121の下端部に回転可能に支持される。前輪122には、一体に回転するブレーキディスクが取付けられる。左右一対のフロントフォーク121には、前輪122を制動する前輪ブレーキキャリパー123と、前輪122の上側を覆うフロントフェンダ124が取付けられる。

左右一対のフロントフォーク121のそれぞれの上端部には、ハンドル301が設けられる。ハンドル301は、左右のハンドルバー(ハンドルグリップ)を有する。右側のハンドルバーには、前輪ブレーキキャリパー123を操作する前輪ブレーキレバー302が設けられる。左側のハンドルバーには、クラッチを操作するためのクラッチレバーが設けられる。また、左右のハンドルバーのいずれかの近傍には、方向指示器206を操作するための操作レバー(操作スイッチ)が設けられる。また、ハンドル301の前側には、スピードメータなどの各種計器類がユニット化されたメーターユニットが配置される。

車体フレーム110の後部には、スイングアーム141が上下方向(ピッチング方向)に揺動可能に連結される。スイングアーム141の後端部には、後輪142が回転可能に支持される。スイングアーム141には、後輪142を制動する後輪ブレーキキャリパー144が設けられる。後輪142の左側には、後輪142と一体に回転するドリブンスプロケットが取り付けられる。ドリブンスプロケットとエンジンユニット160のドライブスプロケットとには、ドライブチェーン145が巻き掛けられている。そして、エンジンユニット160が出する回転動力は、ドライブスプロケットとドライブチェーン145とを介して後輪142に伝達される。後輪142の右側には、後輪142と一体に回転するブレーキディスクが設けられる。また、車体フレーム110とスイングアーム141との間には、図略のショックアブソーバーが設けられ、このショックアブソーバーによって、後輪142から車体フレーム110に伝わる振動や衝撃が吸収や緩和される。後輪142の上方には、後輪142の上側を覆うリヤフェンダ143が設けられる。また、自動二輪車1の最後部またはその近傍には、テールライト205(ブレーキランプ)が設けられる。

シートレール113の上側には、搭乗者(運転者や同乗者)が着座するシート153が設けられる。シート153の前側であってメインフレーム112の上側には、燃料タンク154が設けられる。シート153の下方であって、メインフレーム112の下部には、搭乗者(運転者)が足を載せる左右のステップ303が設けられる。左右のステップ303は、ヒンジ機構などによってメインフレーム112に結合されており、路面Gに接触した場合などには上方に跳ね上がるように回転できる。右側のステップ303の近傍には、後輪ブレーキキャリパー144を操作する後輪ブレーキレバー304が設けられ、左側のステップ303の近傍には、変速機構を操作するシフトレバーが設けられる。メインフレーム112の下部には、スタンド305が設けられる。スタンド305は、ヒンジ機構などによってメインフレーム112に連結されており、スタンド305を立てることによって自動二輪車1を駐輪できる。なお、ステップ303やスタンド305の構成は特に限定されず、公知の構成が適用できる。

自動二輪車1には、複数のカウルが設けられる。カウルは、自動二輪車1の外装であり、各部を覆うことによって自動二輪車1の外観の意匠を構成する。カウルには、フロントカウル201と、サイドカウル202と、リヤカウル203とが含まれる。フロントカウル201は、自動二輪車1の前部、例えば、フロントフォーク121およびその近傍を覆う。サイドカウル202は、自動二輪車1の左右両側、例えば、エンジンユニット160およびその近傍を覆う。リヤカウル203は、自動二輪車1の後部、例えば、シートレール113およびその近傍を覆う。それぞれのカウルは、例えば合成樹脂などからなる殻状の部材であり、射出成形などによって形成される。そして、それぞれのカウルは、ネジなどによって車体フレーム110に着脱可能に取り付けられる。

フロントカウル201の前端部には、ヘッドライト204が設けられる。ヘッドライト204の左右両側には、方向指示器206が設けられる。また、フロントカウル201の上部には、バックミラー306が設けられる。なお、図1では、テールライト205および方向指示器206がリヤフェンダ143に設けられる構成を示したが、これらはリヤカウル203に設けられる構成であってもよい。

エンジンユニット160は、車体フレーム110の左右一対のメインフレーム112の下側に配置され、複数のエンジンマウントを介して車体フレーム110に懸架される。また、エンジンユニット160は、自動二輪車1の強度部材としての機能も有する。エンジンユニット160は、クランクケース(クランクケースアセンブリと称することもある)と、シリンダブロックと、シリンダヘッドと、シリンダヘッドカバーとを有する。

クランクケースの内部の前寄りにはクランク室が設けられ、内部の後寄りにはミッション室が設けられる。クランク室の内部には、クランクシャフトが回転可能に収容される。ミッション室の内部には、クラッチとシフト機構とが設けられる。クラッチは、クランクシャフトとシフト機構との間で、回転動力の断続を切替える。クラッチには、公知の各種湿式多板クラッチが適用される。シフト機構は、クランクシャフトからクラッチを介して伝達された回転動力を変速し、後輪142に伝達する。シフト機構には、例えば公知の常時噛合式のシフト機構が適用される。

シリンダブロックは、クランクケースの前寄り(すなわち、クランク室が設けられる部分)の上側に設けられる。シリンダブロックの内部には、所定の数のシリンダ(燃焼室)が設けられる。シリンダの内部には、図略のピストンが往復動可能に収容されており、それぞれのピストンは、コネクションロッド(コンロッド)によってクランクシャフトに連結されている。シリンダヘッドは、シリンダブロックの上側に設けられる。シリンダヘッドには、インテークポートと、エグゾーストポートと、吸気バルブと、排気バルブと、バルブ駆動機構とが設けられる。インテークポートは、シリンダのそれぞれの燃料と空気の混合気の通路である。エグゾーストポートは排気の通路である。吸気バルブと排気バルブは、それぞれ、インテークポートとエグゾーストポートを開閉する。バルブ駆動機構は、これらの吸気バルブおよび排気バルブを開閉駆動する。シリンダヘッドカバーは、シリンダヘッドの上側に設けられ、シリンダヘッドに設けられるバルブ駆動機構などを覆う。

シリンダヘッドおよびシリンダヘッドカバーの上方には、エアクリーナーが設けられる。エアクリーナーは、エンジンユニット160が使用する燃焼用の空気を取り入れて浄化する。エアクリーナーとそれぞれのインテークポートとは、吸気経路によって空気が通過可能に連結される。また、それぞれの吸気経路には、燃焼用の空気の流量を制御するスロットルボディが設けられる。このような構成によれば、エアクリーナーに流入した空気は、スロットルボディにおいて流量が制御(調整)され、それぞれのインテークポートからシリンダに流入する。

シリンダヘッドに設けられるエグゾーストポートには、排ガスの通路である排気管151の一端(上流側端)が接続される。排気管151の他方の一端(下流側端)には、消音器152が接続される。消音器152は、例えば、後輪142の側方に配置される。そして、それぞれのシリンダで発生した排ガスは、それぞれのシリンダのエグゾーストポートと排気管151と消音器152とを通じて外部に放出される。

<投影装置の構成> 次に、自動二輪車1に配置される投影装置6の構成例について、図2を参照して説明する。図2は、投影装置6の構成例を模式的に示す図である。なお、図2(a)は、路面Gに直線状の光のパターンPを投影する投影装置6の構成例を示し、図2(b)は、路面GにL字形状の光のパターンPを投影する投影装置6の構成例を示す。図2(a)(b)に示すように、投影装置6は、光源部60と、第1の駆動機構61と、第2の駆動機構62と、第3の駆動機構63とを有する。

光源部60は、所定の光のパターンPを路面Gに投影する。光源部60は、複数の発光素子600を有し、これら複数の発光素子600が、投影する光のパターンPに応じた形状に配列される。路面Gに直線状の光のパターンPを投影する構成であれば、複数の発光素子600が直線状に並べて配列される。路面GにL字形状の光のパターンPを投影する構成であれば、複数の発光素子600がL字形状に並べて配置される。このように、複数の発光素子600の配列を適宜設定することにより、路面Gに投影する光のパターンPの形状を適宜設定できる。発光素子600には、公知の各種発光素子が適用できる。例えば、発光素子600には、各種LEDパッケージが適用できる。他にもレーザーダイオードなどを適用してもよい。発光素子600が発する光の色(波長域)は特に限定されない。また、発光素子600に、多色LEDパッケージなどといった、複数の色の光を発することができる発光素子が適用されてもよい。このような構成によれば、投影する光のパターンPの色を変更できる。

また、光源部60は、投影する光のパターンPに応じた形状の投影レンズ(投射レンズ)、または、導光体を有する構成であってもよい。すなわち、発光素子600の配列によって所定の光のパターンPを投影するのではなく、投影レンズまたは導光体の形状によって所定の光のパターンPを投影する構成であってもよい。一例として、単一の光源から直線状の光のパターンPを投影する、所謂ラインレーザ−の様な構成が適用可能である。さらに、光源部60が路面Gに投影する光のパターンPは、直線状やL字形状に限定されない。光源部60が路面Gに投影する光のパターンPとしては、例えば、円形、円弧形、X字形状など、各種形状の光のパターンPが適用できる。要は、光源部60は、所定の光のパターンPを路面Gに投影できる構成であればよい。

第1の駆動機構61は、光源部60を光軸回りに回転させる(出射する光の方向を中心として回転させる)ことができる。第2の駆動機構62と第3の駆動機構63は、光源部60の光軸Lの方向(すなわち、光を出射する向き)を変更することができる。なお、第2の駆動機構62と第3の駆動機構63とは、光源部60の光軸Lの方向を、互いに90°異なる方向に変更することができる。これら第1〜第3の駆動機構61,62,63は、サーボモータなどのアクチュエータを有し、これらアクチュエータの駆動力によって、光源部60の回転および光軸Lの方向の変更を行う。このような構成であれば、第1の駆動機構61によって、路面Gに投影する光のパターンPの向きを変更すること、すなわち、投影する光のパターンPを回転させることができる。また、第2の駆動機構62と第3の駆動機構63によって、路面Gに投影する光のパターンPの位置、特に、自動二輪車1からの距離を変更することができる。

なお、第1〜第3の駆動機構61,62,63の構成は、特に限定されない。要は、第1〜第3の駆動機構61,62,63は、アクチュエータの駆動力によって、光源部60が路面Gに投影する光のパターンPを回転でき、かつ、光源部60が路面Gに投影する光のパターンPの位置を変更できる構成であればよい。

図3は、投影装置6の配置位置と、投影装置6により路面Gに投影される光のパターンPの例を示す平面図である。なお、図3(a)(c)は、図2(a)に示す投影装置6の配置位置および投影される光のパターンPを示す。図3(b)(d)は、図2(b)に示す投影装置6の配置位置および投影される光のパターンPを示す。図3(a)に示すように、直線状の光のパターンPを投影する投影装置6は、自動二輪車1の前部と左右両側部と後部との計4箇所に配置される。自動二輪車1の前部に配置される投影装置6は、自動二輪車1の前方の路面Gに、自動二輪車1の車幅方向に平行な直線状の光のパターンPを投影する。自動二輪車1の左右両側部に配置される投影装置6のそれぞれは、自動二輪車1の左右両側の路面Gに、自動二輪車1の前後方向に平行な直線状の光のパターンPを投影する。自動二輪車1の後部に配置される投影装置6は、自動二輪車1の後方の路面Gに、自動二輪車1の車幅方向に平行な直線状の光のパターンPを投影する。

図3(b)に示すように、L字形状の光のパターンPを路面Gに投影する投影装置6は、自動二輪車1の右前部と左前部と右後部と左後部のそれぞれに計4基が配置される。そして、これらの4基の投影装置6は、自動二輪車1の右前方と左前方と右後方と左後方の路面Gのそれぞれに、四辺形の四隅部を示すL字形状の光のパターンPを投影する。

このように、4基の投影装置6は、自動二輪車1の周囲の路面Gに、自動二輪車1が存在する位置を含み、かつ、自動二輪車1よりも大きい領域の外縁を投影する。本実施形態では、4基の投影装置6により、四辺形の領域の外縁を路面Gに投影する。すなわち、4基の投影装置6により路面Gに投影される四辺形の光のパターンPが、前述の領域の外縁を示す。4基の投影装置6が投影する四辺形の光のパターンPは、自動二輪車1(自車)と他車との好ましい最低限の距離を示す。このため、他車がこの領域の内側に入り込んでいる場合には、当該他車は、好ましい最低限の距離よりも近い位置に存在することになる。

また、図3(c)(d)に示すように、4基の投影装置6により投影される領域は、自動二輪車1の前方に向かうにしたがって幅が広がる台形状の形状であってもよい。例えば、4基の投影装置6が長方形や正方形の光のパターンPを投影する構成では、自動二輪車1の後方に存在する他車の搭乗者からは、この光のパターンPは先窄まりの台形状に見えることになる。このため、投影された光のパターンPの視認性が低くなる。そこで、図3(c)(d)に示すように、この領域の形状を、自動二輪車1の前方に向かうにしたがって幅が広がる台形状とすれば、自動二輪車1の後方に存在する他車の搭乗者からは、この光のパターンPは長方形または正方形に見える。このため、この光のパターンPの視認性が向上する。

前述のとおり、第1〜第3の駆動機構61,62,63により、投影装置6の光源部60を光軸回りに回転させることと、光源部60の光軸Lの方向を変更することができる。したがって、4基の投影装置6のそれぞれにより投影される光のパターンPの向きや位置を変更することにより、四辺形の領域の位置や大きさを変更できる。なお、4基の投影装置6は互いに独立して制御可能であり、光のパターンPの回転や投影する位置を、別個独立して変更できる。

ここで、投影装置6の配置位置の例について説明する。自動二輪車1の前方の路面Gに直線状の光のパターンPを投影する投影装置6は、自動二輪車1のフロントカウル201の前部、具体的には、ヘッドライト204の近傍に配置される。また、ヘッドライト204に一体に設けられる構成、換言すると、ヘッドライト204とユニット化される構成であってもよい。自動二輪車1の側方の路面Gに直線状の光のパターンPを投影する投影装置6は、サイドカウル202またはリヤカウル203に配置される。特に、出射する光が搭乗者の体に遮られない位置に配置される。自動二輪車1の後方の路面Gに直線状の光のパターンPを投影する投影装置6は、テールライト205やリヤフェンダ143などに取り付けられる。また、自動二輪車1の後方の路面Gに直線状の光のパターンPを投影する投影装置6は、テールライト205に一体に設けられる構成、換言すると、テールライト205にユニット化される構成であってもよい。

自動二輪車1の右前方と左前方にL字形状の光のパターンPを投影する2基の投影装置6は、それぞれ、フロントカウル201の右前部と左前部のそれぞれや、前側の方向指示器206や、左右のバックミラー306などに配置される。例えば、これらの投影装置6は、方向指示器206やバックミラー306にユニット化される構成であってもよい。自動二輪車1の右後方と左後方にL字形状の光のパターンPを投影する投影装置6は、それぞれ、後側の方向指示器206などに配置される。これらの投影装置6は、後側の方向指示器206にユニット化される構成であってもよい。

なお、投影装置6の具体的な配置位置は特に限定されない。また、投影装置6の数も4基に限定されない。要は、図3(a)(b)に示すように、複数の投影装置6が、他車との好ましい最低限の距離を示す長方形状や台形状の四辺形の光のパターンPを、自動二輪車1の周囲の路面Gに投影できる位置に配置されればよい。ただし、自動二輪車1から遠い位置に光のパターンPを投影することができるように、投影装置6は自動二輪車1の車高方向のできるだけ高い位置に配置される構成であることが好ましい。例えば、前述のように、バックミラー306に設けられる構成が好適である。また、自動二輪車1の側方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6は、自動二輪車1の前後方向の中心近傍に設けられる構成であることが好ましい。

<報知システムの構成例> 次に、報知システム7の構成例について、図4を参照して説明する。図4は、報知システム7の構成例を示すブロック図である。図4に示すように、報知システム7は、前述の複数の投影装置6(本実施形態では4基である例を示す)と、所定の検出手段と、記憶手段81と、投影装置制御手段71と、動作スイッチ80a〜80cとを有する。所定の検出手段には、自動二輪車1(自車)の走行状態を検出する検出手段と、自動二輪車1への操作を検出する検出手段と、他車の存在や走行状態を検出する検出手段とが含まれる。自動二輪車1の走行状態を検出する検出手段には、車速・加速度検出手段72と、バンク角検出手段73と、車体挙動検出手段74と、スタンド状態検出手段78と、ステップ状態検出手段79とが含まれる。自動二輪車1への操作を検出する検出手段には、減速操作検出手段75と、指示器操作検出手段76とが含まれる。他車の存在や走行状態を検出する検出手段には、他車検出手段77が含まれる。

車速・加速度検出手段72は、自動二輪車1の車速(走行速度)と加速度を検出(算出)し、その検出結果(算出結果)を投影装置制御手段71に出力する。車速・加速度検出手段72は、車速センサ721と、車速・加速度算出手段722とで構成される。車速センサ721には、例えば、前輪122の回転を検出する回転センサが適用される。車速・加速度算出手段722は、車速センサ721の出力(検出結果)を取得し、この出力を用いて自動二輪車1の車速と加速度を算出する。車速センサ721が自動二輪車1の前輪122の回転を検出する回転センサであれば、車速・加速度算出手段722は、車速センサ721により検出された前輪122の回転数(回転速度)から自動二輪車1の車速を算出する。さらに、算出した車速を時間微分して加速度を算出する。車速・加速度検出手段72は、報知システム7が作動している間(例えば、後述するECU700が起動している間)は、車速と加速度の検出(算出)と、検出結果(算出結果)の投影装置制御手段71への出力とを、継続的に実行する。

バンク角検出手段73は、自動二輪車1のバンク角Bを検出(算出)し、検出結果(算出結果)を投影装置制御手段71に出力する。バンク角検出手段73は、バンク角センサ731とバンク角算出手段732とで構成される。バンク角センサ731には、例えば、圧電振動ジャイロなどといった、角速度センサが適用される。この場合、バンク角センサ731としての角速度センサは、自動二輪車1のバンク方向の速度を検出する。なお、バンク方向とは、自動二輪車1の前面視または後面視において、前輪122および後輪142と地面の接点を回転中心とする回転方向をいうものとする。また、バンク角Bは、路面Gの法線Nと自動二輪車1の車高方向に平行な直線Hとがなす角度をいうものとする(図6(a)参照)。バンク角算出手段732は、バンク角センサ731の出力、すなわち、自動二輪車1のバンク角方向の角速度を用いて、自動二輪車1のバンク角Bを算出する。バンク角Bは、時間をtとし、バンク角方向の角速度をw(t)とし、バンク角の初期値をB0とすると、次の数式(1)に示す計算式により算出される。

バンク角検出手段73は、報知システム7が作動している間は、バンク角Bの検出(算出)と、検出結果(算出結果)の投影装置制御手段71への出力とを、継続的に実行する。

車体挙動検出手段74は、自動二輪車1の挙動を検出(算出)し、その検出結果(算出結果)を投影装置制御手段71に出力する。本実施形態では、自動二輪車1の挙動を示す指標として、自動二輪車1の三軸方向の加速度の時間変動(時間微分)を用いる。車体挙動検出手段74は、加速度センサ741と車体挙動算出手段742とで構成される。三軸方向は、自動二輪車1の前後方向(走行方向)と左右方向(車幅方向)と上下方向(車高方向)をいうものとする。加速度センサ741には、三軸加速度センサが適用され、前述の三軸の加速度を検出する。また、加速度センサ741は、例えば、自動二輪車1の車体フレーム110に取り付けられる。車体挙動算出手段742は、加速度センサ741による各軸方向の加速度の検出結果を取得し、取得した各軸方向の加速度を微分することで、自動二輪車1の挙動を検出(算出)する。車体挙動検出手段74は、報知システム7が作動している間は、車体挙動の検出(算出)と、検出結果(算出結果)の投影装置制御手段71への出力とを、継続的に実行する。

減速操作検出手段75は、搭乗者による自動二輪車1を減速させる操作(減速操作)を検出する。本実施形態では、減速操作として、前輪ブレーキレバー302と後輪ブレーキレバー304のそれぞれの操作を適用する。このため、減速操作検出手段75は、前輪ブレーキレバー302の操作を検出する前輪ブレーキセンサ751と、後輪ブレーキレバー304の操作を検出する後輪ブレーキセンサ752とを有する。前輪ブレーキセンサ751と後輪ブレーキセンサ752には、それぞれ、前輪ブレーキレバー302と後輪ブレーキレバー304の動きに連動して回路の開閉(ON/OFF)が切替わるスイッチが適用される。この場合には、投影装置制御手段71は、前輪ブレーキセンサ751と後輪ブレーキセンサ752であるスイッチの回路の開閉(ON/OFF)を検出する。これにより、投影装置制御手段71は、前輪ブレーキレバー302と後輪ブレーキレバー304のそれぞれが操作されたか否か、すなわち、減速操作が行われたか否かを判断できる。

指示器操作検出手段76は、方向指示器206の操作を検出する。例えば、指示器操作検出手段76には、方向指示器206の操作レバーの動きに連動して回路の開閉(ON/OFF)が切替わるスイッチが適用される。この場合には、投影装置制御手段71は、指示器操作検出手段76であるスイッチの回路の開閉(ON/OFF)を検出する。これにより、投影装置制御手段71は、方向指示器206の操作レバーが右折を示すポジションにあるか、左折を示すポジションにあるか、右折と左折のいずれも示さないポジションにあるかを判断できる。

他車検出手段77は、自動二輪車1(自車)とその周囲に存在する他車との距離の検出と、自動二輪車1と他車との相対速度の検出と、自動二輪車1を追い越そうとしている他車の存在の検出ができる。他車検出手段77は、例えば、距離センサ771と他車状態算出手段772とで構成される。距離センサ771には、レーザー距離センサなどといった、各種非接触の距離センサが適用される。なお、本実施形態では、自動二輪車1の前方と後方と側方のそれぞれに存在する他車との距離とを検出できるように、複数の距離センサ771が自動二輪車1に配置される。例えば、自動二輪車1の前方に存在する他車との距離を検出する距離センサ771は、フロントカウル201の前部に配置される。自動二輪車1の後方に存在する他車との距離を検出する距離センサ771は、テールライト205またはその近傍に配置される。自動二輪車1の側方に存在する他車との距離を検出する距離センサ771は、サイドカウル202やリヤカウル203に配置される。距離センサ771による検出結果は、他車状態算出手段772に出力される。

他車検出手段77の他車状態算出手段772は、距離センサ771による検出結果を用いて、自動二輪車1の前方と後方と側方のそれぞれに存在する他車との距離を算出する。さらに、算出した距離の時間微分を算出することにより、自動二輪車1と他車との相対速度を算出する。また、他車状態算出手段772は、自動二輪車1の後方に存在する他車が自動二輪車1を追い越そうとしているか否かを判断する。具体的には、他車状態算出手段772は、自動二輪車1の斜め後方に存在する他車が自動二輪車1に接近している場合には、当該他車が自動二輪車1を追い越そうとしていると判断する。

他車検出手段77は、自動二輪車1と他車との距離および相対速度の検出(算出)と、自動二輪車1を追い越そうとしている他車の存在の検出(判断)と、これらの検出結果(算出結果)の投影装置制御手段71への出力とを実行する。そして、他車検出手段77は、報知システム7が作動している間は、この一連の処理を継続的に実行する。なお、他車が自動二輪車1を追い越そうとしているか否かの判断(追い越そうとしている他車の存在の検出)は、投影装置制御手段71が行ってもよい。

このほか、距離センサ771として撮像装置(カメラ)が適用される構成であってもよい。この場合には、他車状態算出手段772は、距離センサ771としての撮像装置が撮像した画像に対して画像認識処理を実行して自動二輪車1の周囲に存在する他車の存在を認識するとともに、認識した他車との距離および相対速度を算出する。

動作スイッチ80a〜80cは、投影装置6の動作のON/OFFを切替えるスイッチである。動作スイッチ80a〜80cには、搭乗者が操作する動作スイッチ80aと、自動二輪車1の所定の部材の状態に応じてON/OFFが切替わる動作スイッチ80b,80cとが含まれる。

搭乗者が操作する動作スイッチ80aは、例えば、ハンドル301やメーターユニット、または、その近傍に配置される。搭乗者は、この動作スイッチ80aを操作することにより、投影装置6の光源部60の動作(すなわち、発光)のON/OFFを切替えることができる。したがって、搭乗者は、自己の判断で、投影装置6による光のパターンPの投影のON/OFFを切替えることができる。

自動二輪車1の所定の部材の動きに応じてON/OFFが切替わる動作スイッチ80b,80cには、スタンド305の状態に応じてON/OFFが切替わる動作スイッチ80bと、ステップ303の状態に応じてON/OFFが切替わる動作スイッチ80cが含まれる。スタンド305の状態に応じてON/OFFが切替わる動作スイッチ80bは、スタンド305が使用されていない場合にはONとなり、スタンド305が使用されている場合にはOFFとなる。投影装置制御手段71は、この動作スイッチ80bがOFFである場合には、自動二輪車1が駐輪中であると判断し、投影装置6の光源部60の発光素子600を消灯する制御を行う。ステップ303の状態に応じてON/OFFが切替わる動作スイッチ80cは、例えば、ステップ303が跳ね上がっていない状態でONとなり、ステップ303が跳ね上がった状態でOFFとなる。ステップ303は、一般的には、バンク角Bが大きくなってステップ303の先端が路面Gに接触した場合に跳ね上がる。そこで、投影装置制御手段71は、この動作スイッチ80cがOFFである場合には、自動二輪車1のバンク角Bが過大であり、自動二輪車1が転倒していると判断する。そしてこの場合には、投影装置6の光源部60の発光素子600を消灯する。これにより、投影装置6の光源部60から、光のパターンPを投影すべき路面Gとは異なる方向に光が照射されることを防止する。

このように、投影装置制御手段71は、動作スイッチ80a〜80cがOFFである場合には、投影装置6の光源部60の発光素子600を消灯する(点灯しない)。一方、投影装置制御手段71は、動作スイッチ80a〜80cがONである場合には、後述するように、それぞれの検出手段による検出結果に応じて投影装置6を作動させる。なお、動作スイッチ80a〜80cは、投影装置制御手段71によりON/OFF(回路の開閉)を検出できる構成のスイッチであればよく、公知の各種回路スイッチが適用できる。

記憶手段81には、投影装置制御手段71が投影装置6の制御に用いる各種テーブルがあらかじめ格納されている。記憶手段81に格納されているテーブルについては後述する。

投影装置制御手段71は、車速・加速度検出手段72と、バンク角検出手段73と、車体挙動検出手段74と、減速操作検出手段75と、指示器操作検出手段76のそれぞれによる検出結果と、記憶手段81に格納されているテーブルとを用いて、複数の投影装置6のそれぞれを制御する。なお、投影装置制御手段71は、複数の投影装置6を、別個独立して制御できる。

ここで、報知システム7のハードウェア構成の例について説明する。報知システム7は、ECU700(電子制御装置)を有する。そして、ECU700には、車速センサ721と、バンク角センサ731と、加速度センサ741と、距離センサ771とが接続されており、ECU700はこれらのセンサの出力を取得できる。また、ECU700には、減速操作検出手段75として機能するスイッチと、指示器操作検出手段76として機能するスイッチと、動作スイッチ80a〜80cとが接続されている。そして、ECU700は、これらのスイッチのON/OFFを検出(判断できる)。さらに、ECU700には、所定の数(本実施形態では4基の例を示す)の投影装置6が接続されている。

ECU700は、CPUとROMとRAMとを有するコンピュータを有する。このコンピュータのROMには、投影装置6を制御するためのコンピュータプログラムと、後述する各種のテーブルとが、あらかじめ格納されている。CPUは、ROMに格納されているコンピュータプログラムを読み出し、RAMをワークエリアに用いて実行する。この際、CPUは、ROMに格納されている各種のテーブルを参照する。これにより、ECU700のコンピュータは、投影装置制御手段71と、車速・加速度検出手段72と、バンク角検出手段73と、他車検出手段77と、記憶手段81として機能し、後述する動作が実現する。

<報知システムの動作> 次に、報知システム7の動作の例について説明する。報知システム7が作動している間(例えば、ECU700が起動している間)の基本的な動作として、投影装置制御手段71は、複数の投影装置6を別個独立して制御する。そして、図3に示すような、自動二輪車1が存在する位置を含み自動二輪車1よりも大きい領域の外縁を示す光のパターンPを路面Gに投影する。この際、自動二輪車1の走行状態や、自動二輪車1に対する特定の操作や、自動二輪車1と他車との関係に変化がない場合には、投影装置制御手段71は、光のパターンPの投影の態様を変更せず、図3に示す光のパターンPの路面Gへの投影を継続する。

(第1の動作) 第1の動作は、自動二輪車1の走行状態に応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作の例である。図5(a)は、第1の動作を模式的に示す側面図であり、図5(b)は第1の動作を模式的に示す平面図であり、図5(c)は第1の動作に用いられるテーブルの内容の例を示す図である。第1の動作は、路面Gに投影する光のパターンPの自動二輪車1からの距離を、自動二輪車1の車速に応じて変更する動作である。自動二輪車1と他車との好ましい最低限の距離は、自動二輪車1の車速に応じて異なり、特に車速が高くなるにしたがって好ましい最低限の距離も大きくなる。そこで、第1の動作では、路面Gに投影する光のパターンPの自動二輪車1からの距離を、車速に応じて変更する。特に、車速が低くなるにしたがって、路面Gに投影する光のパターンPの自動二輪車1からの距離を小さくし、車速が高くなるにしたがって距離を大きくする。

第1の動作に用いられるテーブルは、あらかじめ記憶手段81に格納されている。図5(c)に示すように、このテーブルには、それぞれの投影装置6について、路面Gに投影する光のパターンPと自動二輪車1との距離が、車速に応じて規定されている。路面Gに投影する光のパターンPと自動二輪車1との距離は、車速が低くなるにしたがって小さくなり、車速が高くなるにしたがって大きくなるように規定される。ただし、具体的な数値は限定されるものではなく、適宜設定される。投影装置制御手段71は、車速・加速度検出手段72による自動二輪車1の車速の検出結果を取得し、取得した自動二輪車1の車速をこのテーブルに当てはめる。これにより、それぞれの投影装置6について、路面Gに投影する光のパターンPと自動二輪車1との距離を決定する。そして、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6が路面Gに投影する光のパターンPと自動二輪車1との距離が、このテーブルを用いて決定した距離となるように、それぞれの投影装置6の第1〜第3の駆動機構61,62,63を制御する。

なお、第1の動作で用いられるテーブルは、投影される光のパターンPと自動二輪車1との距離を規定するものでなくてもよい。例えば、このテーブルは、それぞれの投影装置6の光軸Lの方向を車速に応じて規定するものであってもよい。この場合には、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6の光源部60の光軸Lの方向が、このテーブルに規定される方向となるように、それぞれの投影装置6の第1〜第3の駆動機構61,62,63を制御する。なお、光軸Lの方向は、例えば、車幅方向視における光軸Lと路面Gの法線Nとがなす角度θにより規定される。このほか、このテーブルは、それぞれの投影装置6の光源部60の初期位置からの回転方向と回転角度を、車速に応じて規定するものであってもよい。この場合には、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6の第1〜第3の駆動機構61,62,63を制御する際に、光源部60の初期位置からの回転方向と回転角度として、このテーブルを用いて決定した回転方向および回転角度を用いる。

また、第1の動作は、テーブルを用いる構成に限定されない。例えば、投影される光のパターンPと自動二輪車1との距離を、車速に基づいて算出してもよい。この場合には、ROMには、それぞれの投影装置6が投影する光のパターンPと自動二輪車1との距離を速度に応じて算出するための計算式があらかじめ格納されている。投影装置制御手段71は、車速・加速度検出手段72により検出された車速をこの計算式に代入することにより、それぞれの投影装置6が投影する光のパターンPと自動二輪車1との距離を算出する。そして、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6が投影する光のパターンPと自動二輪車1との距離が、計算式を用いて算出した距離となるように、それぞれの投影装置6の第1〜第3の駆動機構61,62,63を制御する。

(第2の動作) 第2の動作は、自動二輪車1の走行状態に応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作の例である。図6(a)は、第2の動作を模式的に示す平面図であり、図6(b)は第2の動作に用いられるテーブルの内容の例を示す図である。第2の動作は、光のパターンPの投影方向を、自動二輪車1のバンク角Bに応じて変更する動作であり、換言すると、自動二輪車1のバンク角Bに応じて光のパターンPを投影する位置を補正する動作である。図6(a)に示すように、自動二輪車1の車幅方向の側方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6について、光のパターンPの投影方向(すなわち光軸L)と車高方向に平行な直線Hとがなす角度θIIOIの絶対値が左右で同じであるとする。この場合、自動二輪車1がバンクすると、バンクの内側の路面Gに投影される光のパターンPと自動二輪車1との距離MII(ここでは、車幅中心からの距離を示す)は小さくなり、バンクの外側の路面Gに投影される光のパターンPと自動二輪車1との距離MOIは大きくなる。このように、自動二輪車1がバンクした場合には、自動二輪車1の側方の路面Gに投影される光のパターンPと自動二輪車1との距離が変動する。さらに、バンクの内側と外側とで、これらの光のパターンPと自動二輪車1との距離MII,MOIが相違する。このため、他車との好ましい最低限の距離を正確に示さなくなる。

第2の動作では、バンクの内側に位置する投影装置6については、自動二輪車1の前後方向視において、光のパターンPの投影方向(光軸L)と車高方向に平行な直線Hとがなす角度θIAを、バンクしていない場合の角度θIIと比較して大きくする。一方、バンクの外側に位置する投影装置6については、自動二輪車1の前後方向視において、光のパターンPの投影方向(光軸L)と車高方向に平行な直線Hとがなす角度θOAを、バンクしていない場合の角度θOIと比較して小さくする。これにより、自動二輪車1がバンクした場合において、自動二輪車1と投影された光のパターンPとの距離が変動することを防止し、他車との好ましい最低限の距離を正確に示すことができる。

第2の動作に用いられるテーブルは、あらかじめ記憶手段81に格納されている。図6(b)に示すように、第2の動作に用いられるテーブルには、それぞれの投影装置6について、光のパターンPの投影方向がバンク角Bに応じて規定されている。なお、光のパターンPの投影方向は、例えば、自動二輪車1の前後方向視における、投影装置6の光軸Lと車高方向に平行な直線Hとのなす角度θIAOAとして規定される。このテーブルにおいては、投影装置6がバンクの内側に位置する場合には、この角度θIAは、バンク角Bが大きくなるにしたがって大きくなるように規定される。一方、投影装置6がバンクの外側に位置する場合には、この角度θOAは、バンク角Bが大きくなるにしたがって小さくなるように規定される。ただし、具体的な数値は限定されるものではなく、自動二輪車1の仕様や投影装置6の配置位置などに応じて適宜設定される。

投影装置制御手段71は、バンク角検出手段73による自動二輪車1のバンク角Bの検出結果(算出結果)を取得し、取得したバンク角Bをこのテーブルに当てはめる。これにより、車幅方向の側方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6について、光のパターンPの投影方向を決定する。そして、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6の光のパターンPの投影方向が、テーブルを用いて決定した方向となるように、これらの投影装置6の第1〜第3の駆動機構61,62,63を制御する。

さらに、投影装置制御手段71は、バンク角Bが閾値以上である場合には、自動二輪車1が転倒したと判断し、投影装置6の光源部60の発光素子600を消灯する。この閾値の具体的な値は特に限定されないが、例えば70°が適用される。このような動作によれば、自動二輪車1が転倒した場合に、決定した位置ではない位置に光のパターンPが投影されることが防止される。

なお、第2の動作は、テーブルを用いる構成に限定されない。例えば、検出したバンク角Bに基づいて光のパターンPの投影方向を算出する構成であってもよい。この場合には、ROMには、それぞれの投影装置6について、光のパターンPを投影する方向をバンク角Bの方向と大きさに応じて算出する計算式が格納されている。投影装置制御手段71は、バンク角検出手段73により検出されたバンク角Bをこの計算式に代入することにより、それぞれの投影装置6について、光のパターンPの投影方向を算出する。そして、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6による光のパターンPの投影方向が、計算式を用いて算出した方向となるように、それぞれの投影装置6の第1〜第3の駆動機構61,62,63を制御する。

(第3の動作) 第3の動作は、自動二輪車1の走行状態に応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作の例である。図7(a)は、第3の動作を模式的に示す平面図であり、図7(b)は第3の動作に用いられるテーブルの内容の例を示す図である。第3の動作は、路面Gに投影する光のパターンPの回転角度を、自動二輪車1のバンク角Bに応じて変更する動作である。自動二輪車1がバンクした場合、自動二輪車1の前方と後方に光のパターンPを投影する投影装置6と路面Gとの距離は、バンクの内側においては小さくなり、バンクの外側においては大きくなる。このため、路面Gに投影する光のパターンPを光軸回りに回転させることができないと、図7(a)に示すように、自動二輪車1の前方と後方の路面Gに投影される光のパターンPは、バンクの内側においては自動二輪車1に近くなり、バンクの外側においては自動二輪車1から遠くなる。具体的には、直線状の光のパターンPを投影する場合には、これらの直線状の光のパターンPが車幅方向に対して傾斜する。このため、四辺形の領域が変形し、他車との好ましい最低限の距離を正確に示すことができなくなる。

そこで、第3の動作においては、自動二輪車1がバンクした場合には、自動二輪車1の前方と後方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6については、投影する光のパターンPを光軸回りの方向に回転させる。これにより、自動二輪車1がバンクした場合であっても、四辺形の領域の形状の変形を防止し、他車との好ましい最低限の距離を正確に示すことができる。

第3の動作に用いられるテーブルは、あらかじめ記憶手段81に格納されている。図7(b)に示すように、このテーブルは、前方の路面Gと後方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6について、路面Gに投影する光のパターンPの光軸回りの回転方向と回転の大きさとを、バンク角Bの方向と大きさに応じて規定する。例えば、このテーブルは、光源部60の所定の回転角度を初期角度とし、この初期角度からの回転方向を、バンク角Bに応じて規定する。この初期角度としては、自動二輪車が直進している場合の光源部60の回転角度、換言すると、バンク角Bが0である場合に、車幅方向に平行となる光のパターンPを投影できる回転角度が適用できる。

このテーブルは、自動二輪車1が左側にバンクした場合には、自動二輪車1の前方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6については、投影する光のパターンPを時計回りの方向に回転させるように規定する。かつ、自動二輪車1の後方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6については、投影する光のパターンPを反時計回りの方向に回転させるように規定する。一方、自動二輪車1が左側にバンクした場合には、自動二輪車1の前方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6については、投影する光のパターンPを反時計回りの方向に回転させるように規定する。かつ、自動二輪車1の後方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6については、投影する光のパターンPを時計回りの方向に回転させるように規定する。また、いずれの場合においても、バンク角Bが大きくなるにしたがって、回転角度が大きくなるように規定する。

投影装置制御手段71は、バンク角検出手段73による自動二輪車1のバンク角Bの方向と大きさの検出結果(算出結果)を取得し、取得したバンク角の方向と大きさを図7(b)に示すテーブルに当てはめる。これにより、それぞれの投影装置6が路面Gに投影する光のパターンPの回転方向と回転角度の大きさとを決定する。そして、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6の第1の駆動機構61を制御し、光源部60を光軸回りに回転させることによって、路面Gに投影する光のパターンPを回転させる。これにより、自動二輪車1の前方と後方のそれぞれに投影される光のパターンPを、自動二輪車1の車幅方向に平行にできる。したがって、自動二輪車1がバンクした場合であっても、他車との好ましい最低限の距離を正確に示すことができる。

なお、第3の動作は、テーブルを用いる構成に限定されない。例えば、バンク角検出手段73によるバンク角Bの方向と大きさの検出結果に基づいて、光のパターンPの回転方向と回転角度を算出する構成であってもよい。この場合には、ROMには、それぞれの投影装置6の光のパターンPの回転方向および回転角度をバンク角Bの方向と大きさに応じて算出する計算式が格納されている。投影装置制御手段71は、バンク角検出手段73により検出されたバンク角Bの方向と大きさをこの計算式に代入することにより、それぞれの投影装置6が投影する光のパターンPの回転方向と回転角度を算出する。そして、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6が投影する光のパターンPの回転方向と回転角度が、計算式を用いて算出した回転方向と回転角度となるように、それぞれの投影装置6の第1の駆動機構61を制御する。

(第4の動作) 第4の動作は、自動二輪車1の走行状態に応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作の例である。第4の動作は、自動二輪車1の挙動に応じて、投影装置6による光のパターンPの投影のON/OFFを切替える動作である。自動二輪車1が激しく振動したり、自動二輪車1が急激に左右に揺れたりした場合には、第1〜第3の駆動機構61,62,63による光のパターンPの投影位置の変更の動作が追い付かないことがある。そうすると、投影装置6により路面Gに投影される光のパターンPの位置が急激に変動したり、本来投影すべき位置とは異なる位置に投影されたりする。このように、自動二輪車1の挙動が急激に変動すると、路面Gに投影される光のパターンPが、本来の機能を果たさなくなることがある。第4の動作は、このような事態の発生を防止する動作であり、自動二輪車1の挙動が不安定になった場合には、投影装置6による路面Gへの光のパターンPの投影を停止する動作である。

自動二輪車1が激しく振動したり、急激に揺れたりした場合には、自動二輪車1にかかる加速度の時間変動(加速度の時間微分値)が大きくなる。そこで、第4の動作では、自動二輪車1の加速度の時間変動を、自動二輪車1の挙動を示す指標として用いる。具体的には、自動二輪車1にかかる加速度の時間変動が小さいほど、自動二輪車1の挙動が安定していると見做し(0である場合には最も安定していると見做し)、この加速度の時間変動が大きくなるにしたがって、挙動の不安定さが増していくものと見做す。そして、加速度の時間変動が閾値以上になった場合には、投影装置6による光のパターンPの路面Gへの投影を停止する。

車体挙動検出手段74の車体挙動算出手段742は、加速度センサ741の出力(三軸の加速度)を取得し、取得した加速度の時間変動(時間微分値)を算出する。投影装置制御手段71は、車体挙動検出手段74から取得した三軸の加速度の時間変動が、あらかじめ設定された閾値以上であるか閾値未満であるかを判断する。この閾値の具体的な値は限定されるものではなく、適宜設定される。そして、三軸の加速度のいずれかの時間変動が閾値以上である場合には、投影装置制御手段71は、車体挙動が不安定になったと判断し、発光素子600を消灯して光のパターンPの投影を停止する。なお、閾値未満である場合には、投影装置制御手段71は、発光素子600を消灯せず、投影装置6による光のパターンPの投影を継続する。また、投影装置制御手段71は、投影装置6による光のパターンPの投影を停止した後に、加速度の時間変動が再び閾値未満になった場合には、発光素子600を点灯して光のパターンPの投影を再開する。

(第5の動作) 第5の動作は、自動二輪車1に対する操作に応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作と、自動二輪車1の走行状態に応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作の組み合わせの例である。第5の動作は、搭乗者が減速操作した場合と自動二輪車1が減速した場合の少なくとも一方の場合に、自動二輪車1の後方の路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する動作である。自動二輪車1が減速した場合には、自動二輪車1の後方に存在する他車が自動二輪車に接近し、自動二輪車1と他車との距離が、好ましい距離の最低限未満の距離になるおそれがある。そこで、自動二輪車1が減速した場合に、自動二輪車1の後方の路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更することにより、自動二輪車1の後方に存在する他車の搭乗者に注意を促す。

投影装置制御手段71は、報知システム7が作動している間に、次の(1)(2)の2つの動作を継続して実行する。(1)減速操作検出手段75の検出結果に基づいて、減速操作(本実施形態では、ブレーキを掛ける操作)が行われたか否かを判断する。(2)車速・加速度検出手段72から自動二輪車1の加速度の検出結果を取得し、加速度が負値であるか否かと、加速度の絶対値があらかじめ設定された閾値以上であるか否かを判断する。なお、この閾値の具体的な数値は特に限定されるものではなく、適宜設定される。

図8は、第5の動作を模式的に示す平面図である。投影装置制御手段71は、減速操作が行われたと判断した場合と、加速度が負値でその絶対値が閾値以上である場合との、少なくとも一方である場合には、自動二輪車1の後方の路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する。例えば、図8(a)に示すように、投影装置制御手段71は、自動二輪車1の後方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6の光源部60の発光素子600を点滅させる。これにより、自動二輪車1の後方の路面Gに投影する光のパターンPを点滅させる。他の例として、図8(b)に示すように、自動二輪車1の後方の路面Gに投影する光のパターンPを通常投影位置に較べて後方へと移動させる。光のパターンPの後方への移動長さLxは、例えば自動二輪車1の車速Vの大きさによって投影位置が遠くなる様に定められてもよいし、あるいはその時点での車速Vと車両減速度gとの積で定められてもよい。後者の場合、自動二輪車1が高速(V:大)ではLxが大きくなって投影位置が遠くなり、自動二輪車1が低速であっても急減速状態(g:大)にあるときはLxが大きくなってこの場合も投影位置が遠くなる。また、自動二輪車1の後部に、図8(c)に示すように、X字状の光のパターンPを投影できる投影装置6を配置しておき、投影装置制御手段71は、この投影装置6を制御して自動二輪車1の後方の路面GにX字状の光のパターンPを投影する。このような動作によれば、自動二輪車1の後方に存在する他車の搭乗者に、注意を喚起することができる。

(第6の動作) 第6の動作は、自動二輪車1に対する操作に応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作の例である。第6の動作は、進路変更する場合に、自動二輪車1の周囲に存在する他車の搭乗者に、進路変更を報知する。なお、ここでいう進路変更とは、右折、左折、旋回、車線変更などをいうものとする。投影装置制御手段71は、報知システム7が作動している間に、次の(1)(2)の2つの動作を継続して実行する。(1)指示器操作検出手段76による検出結果を取得し、方向指示器206が右折を示す状態か、左折を示す状態か、右折と左折のいずれも示さない状態かを判断する。(2)車体挙動検出手段74から車幅方向の加速度の検出結果を取得し、自動二輪車1の車幅方向にかかる加速度の向きから自動二輪車1の旋回方向を判断するとともに、加速度があらかじめ設定されている閾値以上であるか否かを判断する。

投影装置制御手段71は、方向指示器206が操作された場合には、指示器操作検出手段76による検出結果に基づいて、右折を示す操作であるか左折を示す操作であるかを判断する。また、投影装置制御手段71は、車幅方向の加速度が閾値以上である場合には、進路変更の最中であると判断する。この場合には、投影装置制御手段71は、加速度の向きによって右側に向かって進路を変更しているか、左側に向かって進路を変更しているかを判断する。そして、投影装置制御手段71は、方向指示器206に対して右折を示す操作または左折を示す操作が行われたと判断した場合と、車幅方向にかかる加速度が閾値以上である場合との、少なくともいずれかである場合には、これから進路変更する、または、進路変更の途中であると判断する。そして、投影装置制御手段71は、進路変更の方向に応じて、自動二輪車1の後方あるいは側方の路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する。なお、指示器操作検出手段76による検出結果と車体挙動検出手段74による検出結果とが矛盾する場合には、いずれか一方の検出結果を優先すればよい。

図9は、第6の動作を模式的に示す平面図である。図9(a)に示すように、自動二輪車1の後方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6は、光が進行方向(進路の変更方向)に向かって流れるような光のパターンPに変更する。すなわち、図9(a)に示すように、投影装置制御手段71は、右側に向かって進路を変更する場合には、左側から右側に向かって光が流れるように光のパターンPを変更する。左側に向かって進路を変更する場合には、右側から左側に向かって光が流れるように光のパターンPを変更する。他の例として、図9(b)に示すように、自動二輪車1の側方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6は、左右のうち進行方向(進路の変更方向)側の光のパターンPを点滅させる。すなわち、図9(b)に示すように、投影装置制御手段71は、右側に向かって進路を変更する場合には、右側の光のパターンPを点滅させる。左側に向かって進路を変更する場合には、左側の光のパターンPを点滅させる。

(第7の動作) 第7の動作は、自動二輪車1の周囲に存在する他車との関係に応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作の例である。第7の動作は、自動二輪車1とその周囲に存在する他車との距離が、あらかじめ設定された閾値以下である場合に、路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する動作である。自動二輪車1の走行中は、自動二輪車1と周囲に存在する他車と距離を、好ましい最低限の距離以上に維持することが好ましい。そこで、第7の動作では、自動二輪車1と他車との距離が好ましい最低限の距離未満となる可能性が高まった場合には、路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する。例えば、光のパターンPの点滅や、光のパターンPの色を変更が適用できる。これにより、自動二輪車1の搭乗者や他車の搭乗者に注意を喚起する。

図10(a)は、第7の動作を模式的に示す平面図である。ここでは、自動二輪車1の後方の路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する場合を例に説明する。投影装置制御手段71は、他車検出手段77による検出結果を取得し、自動二輪車1の後方に存在する他車との距離が、あらかじめ設定された閾値以下であるか否かを判断する。なお、投影装置制御手段71は、報知システム7が作動している間において、この一連の処理を継続して実行する。なお、この閾値は、好ましい最低限の距離よりも大きい距離に設定される。

そして、投影装置制御手段71は、他車検出手段77により検出された他車との距離が閾値以下である場合には、自動二輪車1の後方の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6の光源部60を制御し、投影する光のパターンPの投影の態様を変更する。例えば、図10(a)に示すように、自動二輪車1の後方の路面Gに投影する光のパターンPを点滅させる。これにより、自動二輪車1の後方に存在する他車の搭乗者に、好ましい最低限の距離未満に接近するおそれがあることを報知できる。

なお、図10(a)では、自動二輪車1の後方の路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する例を示したが、自動二輪車1の側方や前方に投影する光のパターンPの投影の態様も、同様に変更できる。ただし、自動二輪車1の前方の路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する動作は、主に自動二輪車1の搭乗者に対して報知することになる。また、自動二輪車1の側方の路面Gに投影される光のパターンPの投影の態様を変更する動作であれば、自動二輪車1の搭乗者と自動二輪車1の側方に存在する他車の搭乗者の両方に対して報知できる。

図10(b)は、第7の動作に用いるテーブルの例を示す。自動二輪車1と他車との好ましい最低限の距離は、自動二輪車1の車速に応じて異なる。このため、前述の閾値も、自動二輪車1の車速に応じて異なる。そこで、第7の動作においては、投影装置制御手段71は、前述の閾値を車速に応じて規定するテーブルを用いて、投影装置6の光源部60を制御する。図10(b)に示すように、第7の動作に用いられるテーブルには、それぞれの投影装置6について、前述の閾値(すなわち、光のパターンPの投影の態様の変更を開始する距離)が、車速に応じて規定されている。これらの閾値は、好ましい最低限の距離よりも大きい値となるように規定されるとともに、車速が低くなるにしたがって小さくなり、車速が高くなるにしたがって大きくなるように規定される。ただし、これらの閾値の具体的な数値は限定されるものではなく、適宜設定される。

投影装置制御手段71は、車速・加速度検出手段72による自動二輪車1の車速の検出結果を取得し、取得した自動二輪車1の車速をこのテーブルに当てはめることにより、閾値を決定する。そして、投影装置制御手段71は、他車との距離がこの閾値以下である場合には、投影装置6が路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する。なお、投影装置制御手段71は、光のパターンPの投影の態様の変更を開始した後に、他車との距離が閾値より大きくなった場合には、光のパターンPの投影の態様の変更を停止する。

なお、第7の動作は、図10(b)に示すテーブルを用いない構成であってもよい。例えば、計算式を用いて閾値を算出する構成であってもよい。この場合には、記憶手段81には、車速に応じた閾値を算出するための計算式が格納されている。投影装置制御手段71は、他車検出手段77による他車との距離の検出結果をこの計算式に当てはめることにより閾値を算出する。そして、投影装置制御手段71は、自動二輪車1と他車との距離が計算した閾値以下であるか否かを判断し、閾値以下である場合には、該当する方向の路面Gに光のパターンPを投影する投影装置6の光源部60を制御し、路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する。

(第8の動作) 第8の動作は、自動二輪車1の走行状態と、自動二輪車1の周囲に存在する他車との関係との組み合わせに応じて光のパターンPの投影の態様を変更する動作の例である。第8の動作は、渋滞時などにおいて、投影装置6の光源部60の発光素子600を減光または消灯する動作である。渋滞時などにおいては、一般的に、自動二輪車1が低速走行するとともに、自動二輪車1の周囲に他車が接近した状態が継続する。このため、他車の搭乗者等は、投影装置6が投影する光のパターンPや、投影装置6から出射される光を眩しく感じるおそれがある。そこで、第8の動作においては、渋滞時などにおいて、投影装置6の光源部60の発光素子600を減光または消灯する。

投影装置制御手段71は、報知システム7が作動している間には、次の(1)(2)の動作を継続して実行する。(1)車速・加速度検出手段72による車速の検出結果を取得し、取得した車速があらかじめ設定された閾値以下であるか否かを判断する。(2)他車検出手段77による他車との距離の検出結果を取得し、自動二輪車1の前方と後方に存在する他車と自動二輪車1との距離があらかじめ設定された閾値以下であるか否かを判断する。なお、車速の閾値と距離の閾値の具体的な数値は特に限定されるものではなく、適宜設定される。投影装置制御手段71は、車速が閾値以下であり、かつ、自動二輪車1の前後に存在する他車との距離が閾値以下である場合には、渋滞に巻き込まれていると判断する。この場合には、投影装置制御手段71は、それぞれの投影装置6の光源部60の発光素子600を減光または消灯する。

なお、減光するか消灯するかは、あらかじめまたはその時々において、搭乗者等が設定できる構成であってもよい。また、車速の閾値と他車との距離の閾値をそれぞれ2段階に設定される構成であってもよい。この場合には、投影装置制御手段71は、車速または他車との距離が第1段階目の閾値以下になった場合には減光し、第1段階目の閾値よりも値が小さい第2段階目の閾値以下になった場合には消灯するという動作であってもよい。

以上説明したとおり、本発明の実施形態によれば、投影装置制御手段71が、自動二輪車1の走行状態と、自動二輪車1に対する操作と、自動二輪車1の周囲に存在する他車の状態とに応じて、路面Gに投影する光のパターンPの投影の態様を変更する。このような構成によれば、搭乗者が投影装置6を操作しなくても、自動二輪車1の走行状態などを周囲に存在する他車の搭乗者に報知できる。

以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明したが、前記実施形態は、本発明の実施にあたっての具体例を示したに過ぎない。本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれる。

例えば、前記実施形態では、報知システムが適用される車両として自動二輪車を示したが、適用される車両は自動二輪車に限定されない。鞍乗型の三輪車や四輪車などにも適用できる。また、報知システムが4基の投影装置を有する構成を示したが、報知システムが有する投影装置の数は4基に限定されない。

本発明は、車両の報知システムに有効な技術である。本発明によれば、搭乗者が投影装置を操作しなくても、自動二輪車の走行状態などを周囲に存在する他車の搭乗者に報知できる。

7:報知システム 700:電子制御装置(ECU) 71:投光装置制御手段 72:車速・加速度検出手段 721:車速センサ 722:車速・加速度算出手段 73:バンク角検出手段 731:バンク角センサ 732:バンク角算出手段 74:車体挙動検出手段 741:加速度センサ 742:車体挙動算出手段 75:減速操作検出手段 751:前輪ブレーキセンサ 752:後輪ブレーキセンサ 76:指示器操作検出手段 77:他車検出手段 771:距離センサ 772:他車状態算出手段 78:スタンド状態検出手段 79:ステップ状態検出手段 80a〜80c:動作スイッチ 81:記憶手段

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