テープカセット

申请号 JP2016254642 申请日 2016-12-28 公开(公告)号 JP2018103545A 公开(公告)日 2018-07-05
申请人 ブラザー工業株式会社; 发明人 佐藤 紀章; 乗松 隆広; 鈴木 雄一郎;
摘要 【課題】インクリボンからインクがフィルムに良好に転写されるテープカセットを提供する。 【解決手段】テープカセットは、サーマルヘッドを備えたテープ印刷装置に装着可能である。テープカセットは、インクリボンとフィルムテープを含む。インクリボンのリボン基材161には、剥離層163、インク層164、及び接着層165が順に積層される。フィルムテープ59のフィルム基材171には、易接着層172が積層される。発熱したサーマルヘッド10が、リボン基材に対して剥離層163とは反対側から 接触 すると、剥離層163はリボン基材161から剥離する。これにより、インクリボン60の接着層165は、フィルムテープ59の易接着層172に転写接着される。易接着層172と接着層165は、いずれも帯電防止剤を含む。帯電防止剤は、例えばアルキルホスホニウム塩である。 【選択図】図6
权利要求

サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能な樹脂製の筐体と、 前記筐体に収容され、前記サーマルヘッドに接触する印刷位置まで搬送されるインクリボンと、 前記筐体に収容され、前記インクリボンに対して前記サーマルヘッドとは反対側から接触する前記印刷位置まで搬送されるフィルムと を備えたテープカセットであって、 前記インクリボンは、 前記印刷位置にて前記サーマルヘッド側を向く第一面と、前記第一面とは反対の第二面を有するリボン基材と、 前記リボン基材の前記第二面に剥離可能に設けられ、色材を含むインク層と、 前記リボン基材とは反対側の前記インク層の片面に設けられ、前記フィルムに転写接着可能な接着層と を備え、 前記フィルムは、 前記印刷位置にて前記インクリボン側を向くフィルム片面を有し、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成されたフィルム基材と、 前記フィルム基材の前記フィルム片面に設けられ、ポリエステルを主成分として形成され、前記接着層が転写接着可能な易接着層と を備え、 前記易接着層と前記接着層は、いずれも、帯電防止剤を含むことを特徴とするテープカセット。前記帯電防止剤は、アルキルホスホニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載のテープカセット。前記易接着層における前記帯電防止剤の濃度と、前記接着層における前記帯電防止剤の濃度は、いずれも、0.05%以上且つ2%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のテープカセット。前記易接着層は、界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のテープカセット。サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能な樹脂製の筐体と、 前記筐体に収容され、前記サーマルヘッドに接触する印刷位置まで搬送されるインクリボンと、 前記筐体に収容され、前記インクリボンに対して前記サーマルヘッドとは反対側から接触する前記印刷位置まで搬送されるフィルムと を備えたテープカセットであって、 前記インクリボンは、 前記印刷位置にて前記サーマルヘッド側を向く第一面と、前記第一面とは反対の第二面を有するリボン基材と、 前記リボン基材の前記第二面に剥離可能に設けられ、色材を含むインク層と、 前記リボン基材とは反対側の前記インク層の片面に設けられ、前記フィルムに転写接着可能な接着層と を備え、 前記フィルムは、 前記印刷位置にて前記インクリボン側を向くフィルム片面を有し、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成されたフィルム基材と、 前記フィルム基材の前記フィルム片面に設けられ、ポリエステルを主成分として形成され、前記接着層が転写接着可能な易接着層と を備え、 前記易接着層は、帯電防止剤を含むことを特徴とするテープカセット。前記帯電防止剤は、アルキルホスホニウム塩であることを特徴とする請求項5に記載のテープカセット。

サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能な樹脂製の筐体と、 前記筐体に収容され、前記サーマルヘッドに接触する印刷位置まで搬送されるインクリボンと、 前記筐体に収容され、前記インクリボンに対して前記サーマルヘッドとは反対側から接触する前記印刷位置まで搬送されるフィルムと を備えたテープカセットであって、 前記インクリボンは、 前記印刷位置にて前記サーマルヘッド側を向く第一面と、前記第一面とは反対の第二面を有するリボン基材と、 前記リボン基材の前記第二面に剥離可能に設けられ、色材を含むインク層と、 前記リボン基材とは反対側の前記インク層の片面に設けられ、前記フィルムに転写接着可能な接着層と を備え、 前記フィルムは、 前記印刷位置にて前記インクリボン側を向くフィルム片面を有し、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成されたフィルム基材と、 前記フィルム基材の前記フィルム片面に設けられ、ポリエステルを主成分として形成され、前記接着層が転写接着可能な易接着層と を備え、 前記易接着層と前記接着層は、いずれも、帯電防止剤を含むことを特徴とするテープカセット。前記帯電防止剤は、アルキルホスホニウム塩であることを特徴とする請求項1に記載のテープカセット。前記易接着層における前記帯電防止剤の濃度と、前記接着層における前記帯電防止剤の濃度は、いずれも、0.05%以上且つ2%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のテープカセット。前記易接着層は、界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のテープカセット。サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能な樹脂製の筐体と、 前記筐体に収容され、前記サーマルヘッドに接触する印刷位置まで搬送されるインクリボンと、 前記筐体に収容され、前記インクリボンに対して前記サーマルヘッドとは反対側から接触する前記印刷位置まで搬送されるフィルムと を備えたテープカセットであって、 前記インクリボンは、 前記印刷位置にて前記サーマルヘッド側を向く第一面と、前記第一面とは反対の第二面を有するリボン基材と、 前記リボン基材の前記第二面に剥離可能に設けられ、色材を含むインク層と、 前記リボン基材とは反対側の前記インク層の片面に設けられ、前記フィルムに転写接着可能な接着層と を備え、 前記フィルムは、 前記印刷位置にて前記インクリボン側を向くフィルム片面を有し、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成されたフィルム基材と、 前記フィルム基材の前記フィルム片面に設けられ、ポリエステルを主成分として形成され、前記接着層が転写接着可能な易接着層と を備え、 前記易接着層は、帯電防止剤を含むことを特徴とするテープカセット。前記帯電防止剤は、アルキルホスホニウム塩であることを特徴とする請求項5に記載のテープカセット。サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能な樹脂製の筐体と、 前記筐体に収容され、前記サーマルヘッドに接触する印刷位置まで搬送されるインクリボンと、 前記筐体に収容され、前記インクリボンに対して前記サーマルヘッドとは反対側から接触する前記印刷位置まで搬送されるフィルムと を備えたテープカセットであって、 前記インクリボンは、 前記印刷位置にて前記サーマルヘッド側を向く第一面と、前記第一面とは反対の第二面を有するリボン基材と、 前記リボン基材の前記第二面に剥離可能に設けられ、色材を含むインク層と、 前記リボン基材とは反対側の前記インク層の片面に設けられ、前記フィルムに転写接着可能な接着層と を備え、 前記フィルムは、 前記印刷位置にて前記インクリボン側を向くフィルム片面を有し、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成されたフィルム基材と、 前記フィルム基材の前記フィルム片面に設けられ、ポリエステルを主成分として形成され、前記接着層が転写接着可能な易接着層と を備え、 前記接着層は、帯電防止剤を含むことを特徴とするテープカセット。

说明书全文

本発明は、サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能なテープカセットに関する。

従来、サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能なテープカセットが知られている。例えば、特許文献1に開示のテープカセットは、テープ印刷装置に装着される。テープカセットには、インクリボンとフィルムテープが夫々巻回された状態で収容される。テープ印刷装置が駆動すると、フィルムテープとインクリボンは、夫々、繰り出されて搬送される。搬送されるフィルムテープとインクリボンは、テープ印刷装置が有するサーマルヘッドとプラテンローラとの間で重ね合わせられる。サーマルヘッドとプラテンローラは、フィルムテープとインクリボンを挟む。サーマルヘッドが発熱すると、インクリボンはフィルムテープに転写される。

特開2011−56756号公報

上記テープ印刷装置では、搬送されるフィルムテープとインクリボンが帯電する可能性がある。帯電したフィルムテープは、インクリボンに重ね合わせにくくなる場合がある。また、帯電したまま搬送されるインクリボンは、不必要にシワがよる場合がある。これらの場合、インクリボンがフィルムテープに良好に転写されない可能性がある。

本発明の目的は、インクリボンからインクがフィルムに良好に転写されるテープカセットを提供することである。

本発明の第一実施態様のテープカセットは、サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能な樹脂製の筐体と、前記筐体に収容され、前記サーマルヘッドに接触する印刷位置まで搬送されるインクリボンと、前記筐体に収容され、前記インクリボンに対して前記サーマルヘッドとは反対側から接触する前記印刷位置まで搬送されるフィルムとを備えたテープカセットであって、前記インクリボンは、前記印刷位置にて前記サーマルヘッド側を向く第一面と、前記第一面とは反対の第二面を有するリボン基材と、前記リボン基材の前記第二面に剥離可能に設けられ、色材を含むインク層と、前記リボン基材とは反対側の前記インク層の片面に設けられ、前記フィルムに転写接着可能な接着層とを備え、前記フィルムは、前記印刷位置にて前記インクリボン側を向くフィルム片面を有し、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成されたフィルム基材と、前記フィルム基材の前記フィルム片面に設けられ、ポリエステルを主成分として形成され、前記接着層が転写接着可能な易接着層とを備え、前記易接着層と前記接着層は、いずれも、帯電防止剤を含むことを特徴とする。

上記構成によれば、搬送されるフィルムとインクリボンはいずれも帯電しにくくなる。従って、搬送されるインクリボンは過度な屈曲による折れ曲がりを起こしにくく、且つ、フィルムとインクリボンは互いに接触し易い。よって、インクリボンからインクがフィルムに良好に転写される印刷装置が実現される。

本発明の第二実施態様のテープカセットは、サーマルヘッドを備えた印刷装置に装着可能な樹脂製の筐体と、前記筐体に収容され、前記サーマルヘッドに接触する印刷位置まで搬送されるインクリボンと、前記筐体に収容され、前記インクリボンに対して前記サーマルヘッドとは反対側から接触する前記印刷位置まで搬送されるフィルムとを備えたテープカセットであって、前記インクリボンは、前記印刷位置にて前記サーマルヘッド側を向く第一面と、前記第一面とは反対の第二面を有するリボン基材と、前記リボン基材の前記第二面に剥離可能に設けられ、色材を含むインク層と、前記リボン基材とは反対側の前記インク層の片面に設けられ、前記フィルムに転写接着可能な接着層とを備え、前記フィルムは、前記印刷位置にて前記インクリボン側を向くフィルム片面を有し、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成されたフィルム基材と、前記フィルム基材の前記フィルム片面に設けられ、ポリエステルを主成分として形成され、前記接着層が転写接着可能な易接着層とを備え、前記易接着層は、帯電防止剤を含むことを特徴とする。

上記構成によれば、搬送されるフィルムは帯電しにくくなる。従って、フィルムとインクリボンは互いに接触し易い。よって、インクリボンからインクがフィルムに良好に転写されるテープカセットが実現される。

カセットカバー6が閉じられたテープ印刷装置1の斜視図である。

カセットカバー6が開けられたテープ印刷装置1の斜視図である。

プラテンホルダ12が待機位置にある場合の、テープカセット30が装着されたカセット装着部8の模式的な平面図である。

プラテンホルダ12が圧接位置にある場合の、テープカセット30が装着されたカセット装着部8の模式的な平面図である。

テープカセット30の斜視図である。

サーマルヘッド10、インクリボン60、フィルムテープ59の模式的な平面図である。

検証結果を示す図である。

サーマルヘッド10、インクリボン61、フィルムテープ59の模式的な平面図である。

サーマルヘッド10、インクリボン60、フィルムテープ69の模式的な平面図である。

以下、本発明を具体化した実施形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、単なる説明例である。

本実施形態に係るテープ印刷装置1およびテープカセット30について、図面を参照して以下に詳述する。本実施形態の説明では、図1の左下側をテープ印刷装置1の前側とし、図1の右上側をテープ印刷装置1の後側とし、図1の右下側をテープ印刷装置1の右側とし、図1の左上側をテープ印刷装置1の左側とする。また、図5の下側をテープカセット30の下側とし、図5の上側をテープカセット30の上側とし、図5の右側をテープカセット30の右側とし、図5の左側をテープカセット30の左側とする。

なお、以下の説明で使用される図3および図4において、カセット装着部8の周囲を形成する壁が図示されている場合、これらの図はあくまでも模式図であるため、図中に示す壁は、実際よりも厚く描かれている。また、図3および図4において、カセット装着部8に装着された状態で図示されているテープカセット30は、その上半分が取り除かれた状態のものである。

<1.テープ印刷装置1の概略構成> 図1および図2に示すように、テープ印刷装置1は、平面視長方形状の本体カバー2を備えている。本体カバー2の前側には、文字、記号、および数字等の文字キーや、種々の機能キー等を含むキーボード3が配設されている。キーボード3の後側には、入した文字や記号を表示可能なディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5の後側には、テープカセット30(図5参照)の交換時に開閉されるカセットカバー6が設けられている。また、本体カバー2の左側面後方には、印刷済みのテープを外部に排出するための排出スリット111が設けられており、カセットカバー6の左側面には、カセットカバー6を閉じた状態で排出スリット111を外部に露出させる排出窓112が形成されている。

次に、図2〜図4を参照して、カセットカバー6に対応する本体カバー2の内部構造について説明する。図2に示すように、カセットカバー6に対応する本体カバー2の内部には、テープカセット30(図5参照)が着脱自在な領域であるカセット装着部8が設けられている。カセット装着部8は、テープカセット30が装着された場合に、カセットケース31(図5参照)の底面の形状と略対応するように凹設されている。

カセット装着部8には、テープカセット30から各種テープを引き出して搬送する搬送機構や、テープの表面に文字等を印刷する印刷機構等が設けられている。図2〜図4に示すように、カセット装着部8には、リボンスプール42から引き出されて文字等の印刷に使用された後のインクリボン60を巻取るためのリボン巻取軸95が立設されている。リボン巻取軸95の左前方には、正面視で略矩形状のヘッドホルダ74が立設されている。ヘッドホルダ74の左方には、印刷済テープ50を送り駆動するためのテープ駆動軸100が立設されている。

図3および図4に示すように、ヘッドホルダ74の前面には、フィルムテープ59に文字等を印刷するサーマルヘッド10が取り付けられている。また、ヘッドホルダ74の前側には、アーム状のプラテンホルダ12が軸支部121を中心に揺動可能に軸支されている。プラテンホルダ12の先端側には、サーマルヘッド10に相対して接離可能に設けられたプラテンローラ15と、テープ駆動軸100が嵌挿されるテープ駆動ローラ46に相対して接離可能に設けられた可動搬送ローラ14とが共に回転可能に軸支されている。

プラテンホルダ12には、カセットカバー6の開閉に連動して左右方向に移動する図示しないリリースレバーが連結されている。カセットカバー6が開放されると、リリースレバーが右方向に移動して、プラテンホルダ12が図3に示す待機位置に向けて移動する。図3に示す待機位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8から離間する方向に移動するので、テープカセット30をカセット装着部8に着脱することができる。なお、プラテンホルダ12は、図示しない巻きバネにより待機位置に向けて付勢されている。

一方、カセットカバー6が閉鎖されると、リリースレバーが左方向に移動して、プラテンホルダ12が図4に示す圧接位置に向けて移動する。図4に示す圧接位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8に近接する方向に移動する。そして、カセット装着部8にテープカセット30が装着されていれば、プラテンローラ15がフィルムテープ59とインクリボン60とを介してサーマルヘッド10を押圧するとともに、可動搬送ローラ14が両面粘着テープ58とフィルムテープ59とを介してテープ駆動ローラ46を押圧する。これによって、図4に示す圧接位置では、カセット装着部8に装着されたテープカセット30を使用して印刷を行うことが可能となる。

また、図3および図4に示すように、テープカセット30のテープ排出部49からテープ印刷装置1の排出スリット111(図2参照)までの間には、印刷済テープ50が搬送される搬送経路が設けられている。この搬送経路には、印刷済テープ50を所定位置で切断するカット機構17が設けられている。カット機構17は、固定刃18と、固定刃18に対向して前後方向(図3に示す上下方向)に移動可能に支持された移動刃19とで構成されている。なお、移動刃19は、カッターモータ(図示せず)によって前後方向に移動される。

<2.テープカセット30の概略構成> 次に、図3〜図5を参照して、本実施形態に係るラミネートタイプのテープカセット30の構造について説明する。テープカセット30はテープ印刷装置1のカセット装着部8に装着可能である。図5に示すように、テープカセット30は、カセットケース31を備える。カセットケース31は、全体としては平面視で丸みを帯びた部を有する樹脂製の筐体である。カセットケース31には、後述する第一テープスプール40、第二テープスプール41、リボンスプール42およびリボン巻取スプール44(図3および図4参照)を回転可能に支持する支持孔65、66、67、68が設けられている。

図3および図4に示すように、カセットケース31内には、第一テープスプール40に巻回された両面粘着テープ58、第二テープスプール41に巻回された透明なフィルムテープ59、および、リボンスプール42に巻回されたインクリボン60の3種類のテープロールが収容されている。両面粘着テープ58は一面に剥離紙が貼着された両面テープであり、印刷済みのフィルムテープ59の印刷面側に貼り合わされる。尚、フィルムテープ59及びインクリボン60の詳細な構成については、後述する。

両面粘着テープ58の剥離紙を外側に向けて巻回した第一テープスプール40は、カセットケース31内の左側後部において、前述の支持孔65を介して回転可能に配置されている。フィルムテープ59が巻回された第二テープスプール41は、カセットケース31内の右側後部において、前述の支持孔66を介して回転可能に配置されている。リボンスプール42に巻回されたインクリボン60は、カセットケース31内の右側前部において、前述の支持孔67を介して回転可能に配置されている。

カセットケース31内における第一テープスプール40とリボンスプール42との間には、リボンスプール42からインクリボン60を引き出すとともに、文字等の印刷にて使用されたインクリボン60を巻き取るリボン巻取スプール44が、前述の支持孔68を介して回転可能に配置されている。

図5に示すように、カセットケース31は、支持孔67の左前方から左方に延びるアーム部34が設けられる。アーム部34の左端部には、左方に向けて開口する排出口341が形成されている。排出口341は、インクリボン60とフィルムテープ59が通過可能な開口部である。

図3および図4に示すように、カセットケース31内では、第二テープスプール41から引き出されたフィルムテープ59と、リボンスプール42から引き出されたインクリボン60とが、排出口341に到る所定の搬送経路に沿って配置されている。排出口341よりも上流側に配置されたフィルムテープ59は、カセットケース31内部で、案内部材151〜153に接触している。案内部材151〜153は、カセットケース31と一体の樹脂製である。案内部材151は、リボンスプール42の右前方で立設されている。案内部材151に接触するフィルムテープ59の部位は、右前方に突出するよう屈曲している。案内部材152は、案内部材151の左方で立設されている。案内部材152に接触するフィルムテープ59の部位は、後方に突出するよう湾曲している。案内部材153は、案内部材152と排出口341との間で立設されている。案内部材153と接触するフィルムテープ59の部位は、前方に突出するよう湾曲している。排出口341よりも上流側に配置されたインクリボン60は、カセットケース31内部で、案内部材131に接触している。案内部材131は、カセットケース31と一体の樹脂製である。案内部材131は、リボンスプール42の左前方で立設されている。案内部材131に接触するインクリボン60の部位は、右前方に突出するよう屈曲している。案内部材151〜153に接触するフィルムテープ59と、案内部材131に接触するインクリボン60は、排出口341近傍にて、互いに対向する。

アーム部34の後方には、ヘッド挿入部39が形成される。ヘッド挿入部39は、テープカセット30を上下方向に貫通する。ヘッド挿入部39は、テープカセット30の前面に設けられた開口部77によって、テープカセット30の外部とつながっている。ヘッド挿入部39には、テープ印刷装置1のサーマルヘッド10を支持するヘッドホルダ74が挿入される。

開口部77では、アーム部34の排出口341から排出されたフィルムテープ59の一面が前方に露出され、且つその他面が後方のサーマルヘッド10に対向する。本実施形態では、フィルムテープ59の他面がインクリボン60を挟んでサーマルヘッド10に対向している。そして、開口部77では、サーマルヘッド10によるフィルムテープ59への印刷が、インクリボン60を使用して行われる。プラテンホルダ12が圧接位置にある場合、プラテンローラ15は、フィルムテープ59とインクリボン60をサーマルヘッド10に向けて押圧する。以下、フィルムテープ59とインクリボン60が、サーマルヘッド10に向けて押圧される位置を、印刷位置P(図4参照)という。印刷位置Pは、フィルムテープ59とインクリボン60の夫々の搬送経路上の位置である。印刷位置Pでは、インクリボン60がサーマルヘッド10に接触し、フィルムテープ59はインクリボン60に対してサーマルヘッド10とは反対側から接触する。

図3および図4に示すように、アーム部34の排出口341からテープ排出部49までのフィルムテープ59およびインクリボン60の搬送方向において、ヘッド挿入部39の下流側にはテープ駆動ローラ46が回転可能に軸支されている。テープ駆動ローラ46は、その内部に挿嵌されるテープ駆動軸100によって回転駆動される。そして、テープ駆動ローラ46と、テープ駆動ローラ46に対向するプラテンホルダ12の可動搬送ローラ14とが協働して、排出口341からフィルムテープ59を引き出すとともに、第一テープスプール40から両面粘着テープ58を引き出し、フィルムテープ59の印刷面にガイドして接着させる。

図3〜図5に示すように、テープ駆動ローラ46の上流側には、上下一対の規制部材361、362が設けられている。規制部材361、362の基部は、サーマルヘッド10の下流側にて、印刷後のフィルムテープ59を上下方向(テープ幅方向)に規制してテープ排出部49に向かって案内するとともに、フィルムテープ59と両面粘着テープ58との間に位置ズレを生じることなく適正に接着させる。規制部材361、362の近傍には、ヘッド挿入部39を経由して搬送された使用済みのインクリボン60をフィルムテープ59から離間させ、リボン巻取スプール44に向かって案内するための案内壁47が立設されている。案内壁47とリボン巻取スプール44との間には、案内壁47に沿って案内される使用済みのインクリボン60と、第一テープスプール40に巻回して支持された両面粘着テープ58とが互いに接触するのを防止するための分離壁48が立設されている。

<3.インクリボン60の構成の詳細> 図6(a)を参照して、インクリボン60の構成の詳細を説明する。図6は、サーマルヘッド10、インクリボン60、フィルムテープ59を上方から見た模式的な図である(図8、図9も同様)。尚、図示の都合、印刷位置Pは、サーマルヘッド10の前面上に図示している。以下の説明では、印刷位置Pにあるインクリボン60の姿勢を基準にして、構成の詳細を説明する。

インクリボン60は、リボン基材161、背面層162、剥離層163、インク層164、及び接着層165を備える。リボン基材161は、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成される基材である。リボン基材161の厚さは、一例として4.0〜6.5μmである。リボン基材161は、サーマルヘッド10側(即ち後側)を向く第一面161Aと、サーマルヘッド10側とは反対側(即ち前側)を向く第二面161Bを有する。背面層162は、リボン基材161の第一面161Aに設けられる。背面層162は、サーマルヘッド10と接触可能である。背面層162は耐熱コーティングされている。背面層162の厚さは、一例として0.1〜0.3μmである。

剥離層163は、リボン基材161の第二面161Bに剥離可能に設けられる。剥離層163の厚さは、一例として0.5〜1.0μmである。剥離層163は、ワックスと熱溶解樹脂を含む。ワックスには、天然ワックス、石油ワックス、及び合成ワックスの少なくとも一つが採用される。天然ワックスは、蜜蝋(動物ワックス)、カルナバワックス、キャンデリラワックス、木蝋、ライスワックス(植物ワックス)、モンタンワックス、オゾケライトワックス、又はセシレンワックス(鉱物ワックス)であり、好ましくは、カルバナワックスである。石油ワックスは、パラフィンワックス、又はマイクロクリスタリンワックスであり、好ましくは、パラフィンワックスである。合成ワックスは、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス(炭化素系合成ワックス)、高級脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、ケトン、アミン類、又は水素硬化油であり、好ましくは、ポリエチレンワックスである。

熱溶解樹脂は、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、石油系樹脂、フェノール系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリブテン、オレフィン系共重合樹脂、又はエラストマー類の少なくも一つが採用される。オレフィン系共重合樹脂は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はエチレン−アクリル酸エステル共重合体である。エラストマー類は、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、又はクロロプレンゴムである。本実施形態では、エラストマー類が熱溶解樹脂として採用される。

インク層164は、リボン基材161とは反対側の剥離層163の片面に設けられる。インク層164の厚さは、一例として0.3〜2.0μmである。インク層164は、インクである色材、上述のワックス、及び上述の熱溶解樹脂を含む。色材は、例えば顔料又は染料であり、本実施形態では顔料である。尚、インク層164に含まれるワックスと熱溶解樹脂の比率と、剥離層163に含まれるワックスと熱溶解樹脂の比率は、互いに異なる。

接着層165は、剥離層163とは反対側のインク層164の片面に設けられる。接着層165の厚さは、一例として0.1〜0.3μmである。接着層165は、フィルムテープ59に転写接着可能である。接着層165は、レジン、上述のワックス、帯電防止剤、及び界面活性剤を含む。帯電防止剤は、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル、アルキルジエタノールアマイド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルベタイン、ルキルイミダソリウムベタイン、又はアルキルホスホニウム塩である。帯電防止剤は、好ましくは、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、又はアルキルホスフェートであり、特に好ましくはアルキルホスホニウム塩のテトラ−n−ブチルホスホニウム塩である。本実施形態では、帯電防止剤としてアルキルホスホニウム塩のテトラ−n−ブチルホスホニウム塩が採用される。本実施形態では、接着層165における帯電防止剤の濃度(即ち成分比率)は、0.05%以上且つ2%以下である。

<4.フィルムテープ59の構成の詳細> 図6(a)を参照して、印刷位置Pにある姿勢を基準にして、フィルムテープ59の構成の詳細を説明する。フィルムテープ59は、フィルム基材171と易接着層172を含む。フィルム基材171は、ポリエチレンテレフタラートを主成分として形成される。フィルム基材171の厚さは、一例として25〜50μmである。フィルム基材171は、インクリボン60側を向くフィルム片面171Aを有する。易接着層172は、フィルム片面171Aに設けられる。易接着層172は、ポリエステルを主成分として形成される。易接着層172には、インクリボン60の接着層165が転写接着可能である。易接着層172の厚さは、一例として10〜20μmである。易接着層172は、上述の帯電防止剤と、界面活性剤を含む。本実施形態では、帯電防止剤として、アルキルホスホニウム塩のテトラ−n−ブチルホスホニウム塩が採用される。易接着層172における帯電防止剤の濃度(即ち成分比率)は、0.05%以上且つ2%以下である。

<5.印刷動作> 図3、図4、及び図6を参照し、テープ印刷装置1によるテープ印刷動作を説明する。テープカセット30がカセット装着部8に装着される。カセットカバー6(図2参照)が閉じられることで、プラテンホルダ12は圧接位置まで移動する(図4参照)。これにより、フィルムテープ59とインクリボン60は、サーマルヘッド10の前面に向けて変位する(図6(a)の矢印K)。結果、フィルムテープ59とインクリボン60は、印刷位置Pにてサーマルヘッド10へ押圧される(図6(b)参照)。

テープ駆動軸100を介して回転駆動されるテープ駆動ローラ46が、可動搬送ローラ14との協働によって、第二テープスプール41からフィルムテープ59を引き出す。排出口341よりも上流側にあったフィルムテープ59は、案内部材151〜153に対して摺動しながら、排出口341から排出される。また、リボン巻取軸95を介して回転駆動されるリボン巻取スプール44が、印刷スピードと同期してリボンスプール42から未使用のインクリボン60を引き出す。排出口341よりも上流側にあったインクリボン60は、案内部材131に摺動しながら、排出口341から排出される。よって、フィルムテープ59とインクリボン60は、印刷位置Pを通過して下流側に搬送される(図6(b)の矢印L)。

図6(b)で示されるサーマルヘッド10が発熱することで、印刷位置Pにあるインクリボン60の剥離層163が、リボン基材161からフィルムテープ59に向けて剥離する。これにより、インクリボン60の接着層165は、フィルムテープ59の易接着層172に転写接着する。インクリボン60の接着層165と、フィルムテープ59の易接着層172は、いずれも、帯電防止剤を含む。従って、インクリボン60とフィルムテープ59には、いずれも、静電気が生じにくい。よって、インクリボン60は折れ曲がりにくく、シワがインクリボン60に生じにくい。よって、接着層165は易接着層172に転写接着し易い。インク層164が、接着層165を介してフィルムテープ59に転写接着されるので、フィルムテープ59には、文字等が印刷される。印刷位置Pを通過するフィルムテープ59には順次、印刷がなされる。尚、図6(b)では、剥離層163のリボン基材161側の片面が、リボン基材161の第二面161Bから剥離する図を示すが、これに限定されない。例えば、剥離層163は、その一部を残して、第二面161Bから剥離してもよい。

図4で示される、サーマルヘッド10よりも下流側にあるインクリボン60は、使用済みのインクリボン60である。使用済みのインクリボン60の剥離層163(図6参照)は、リボン基材161(図6参照)から剥離している。使用済みのインクリボン60は、案内壁47にて印刷済みのフィルムテープ59から剥がされ、リボン巻取スプール44に巻き取られる。一方、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との協働によって、第一テープスプール40から両面粘着テープ58が引き出される。この両面粘着テープ58は、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との間にガイドされて巻き込まれながら、印刷済みのフィルムテープ59の印刷面に重ねられて貼着される。両面粘着テープ58が貼着された印刷済みのフィルムテープ59(つまり、印刷済テープ50)は、さらにテープ排出部49に向かって搬送され、テープ排出部49から排出された後、カット機構17によって切断される。

<6.各種検証> 本発明がなされる過程で、接着層165と易接着層172に帯電防止剤が添加されることによる、インクリボン60のフィルムテープ59への転写性の影響が検証された。以下、図6(a)、図7を参照して、検証の詳細を説明する。

<6−1.検証用に試作したフィルムテープ59とインクリボン60> 本検証では、易接着層172の種類が異なるフィルムテープ59が、以下の表1で示す通り計8種試作された。これら8種の易接着層172の厚さは、いずれも、0.01μm〜0.02μmとなるように調整された。尚、易接着層172は、フィルム基材171のフィルム片面171Aに塗布されることで形成される。

添加剤:帯電防止剤 添加量:易接着層172における帯電防止剤の濃度(成分比率) A:アルカンスルホン酸ナトリウム B:ステアリルジエタノールアミン C:テトラ−n−ブチルホスホニウムナトリウム(アルキルホスホニウム塩)

表1におけるNO.1に対応するフィルムテープ59では、易接着層172に帯電防止剤が添加されない。NO.2、NO.3に対応するフィルムテープ59では、アルキルホスホニウム塩とは異なる帯電防止剤が易接着層172に添加された。NO.4〜NO.8に対応するフィルムテープ59では、帯電防止剤として添加されたアルキルホスホニウム塩の濃度が互いに異なる。尚、NO.2〜NO.8に対応する易接着層172には、夫々、帯電防止剤が分散し易くなるように界面活性剤が添加された。

検証で試作されたインクリボン60を説明する。本検証では、接着層165の種類が異なるインクリボン60が、以下の表2で示す通り計8種試作された。

添加剤:帯電防止剤 添加量:接着層165における帯電防止剤の濃度(成分比率) A:アルカンスルホン酸ナトリウム B:ステアリルジエタノールアミン C:テトラ−n−ブチルホスホニウムナトリウム(アルキルホスホニウム塩)

表2におけるNO.1に対応するインクリボン60では、接着層165に帯電防止剤が添加されてない。NO.2、NO.3に対応するインクリボン60では、アルキルホスホニウム塩とは異なる帯電防止剤が接着層165に添加された。NO.4〜NO.8に対応するインクリボン60では、帯電防止剤として添加されたアルキルホスホニウム塩の濃度が互いに異なる。尚、NO.2〜NO.8に対応する接着層165には、夫々、帯電防止剤が分散し易くなるように界面活性剤が添加された。尚、NO.2〜No.8のインクリボン60の剥離層163には、接着層165と同種の帯電防止剤が添加された。更に剥離層163は、0.6±0.2g/m2となるように、調整された。

<6−2.検証方法と検証結果> 図7における「PET−NO.」は、表1で示されるフィルムテープ59の「NO.」に対応する。図7における「インク−NO.」は、表2で示されるインクリボン60の「NO.」に対応する。図7の各列にて示される組合せで、フィルムテープ59とインクリボン60はテープ印刷装置1に装着された。その後、サーマルヘッド10は、所定の文字をフィルムテープ59に印刷した。

本評価では、比較例1〜3、実施例1〜11の計14パターンの各組合せで、印刷動作は実行された。比較例1は、フィルムテープ59とインクリボン60のいずれにも帯電防止剤が添加されていない組合せを示す。比較例2は、フィルムテープ59とインクリボン60とのうちで、フィルムテープ59にのみアルキルホスホニウム塩とは異なる帯電防止剤が添加された組合せを示す。比較例3は、フィルムテープ59にのみアルキルホスホニウム塩が添加された組合せを示す。実施例1〜11は、フィルムテープ59とインクリボン60のいずれにも、帯電防止剤が添加された組合せを示す。

本検証では、印刷時におけるインクリボン60のシワの度合いが検証された。インクリボン60の過度な屈曲による折れ曲がりは、搬送されるインクリボン60に静電気が生じることに伴って、生じ易い。例えば、インクリボン60が案内部材131(図4参照)に対して摺動することで、インクリボン60には静電気が生じる場合がある。また、テープカセット30が比較的湿度の低い環境下に配置されると、インクリボン60には静電気が生じる場合がある。これらの場合、印刷位置Pに向けて搬送されるインクリボン60の一部は、その厚さ方向の一方側に向けて凸になるように屈曲する。屈曲の度合いが大きいと、インクリボン60は折れ曲がり、シワがインクリボン60に生じる。尚、印刷動作の開始時においては、静止していたインクリボン60が動きはじめるので、インクリボン60に作用する搬送負荷は、大きくなり易い。従って、印刷動作の開始時においては、インクリボン60は更に過度な屈曲を起こし易い。よって、印刷動作の開始時において、インクリボン60が静電気を帯びていると、インクリボン60にはシワが更に発生し易い。

印刷時におけるインクリボン60の折れ曲がりによって生じるシワは、5段階に分けて評価された。図7の「シワ」における「A」は、使用済みのインクリボン60の表面に、10cm以上の長さのシワが生じたことを示す。「B」は、使用済みのインクリボン60の表面に、3cm以上且つ10cm未満の長さのシワが生じたことを示す。「C」は、使用済みのインクリボン60の表面に、3cm未満の僅かなシワが生じたことを示す。「D」は、印刷動作の開始時にのみ、使用済みのインクリボン60の表面に、3cm未満の僅かなシワが生じたことを示す。「E」は、使用済みのインクリボン60の表面にシワが生じなかったことを示す。つまり、図7の「シワ」の欄では、「A」、「B」、「C」、「D」、及び「E」の順に、インクリボン60にはシワが生じにくく、且つ、インクリボン60の転写性が良好になることを示す。

本検証では、インクリボン60のシワの度合いの他に、カスレの度合いが検証された。インクリボン60とフィルムテープ59の少なくとも一方が、静電気を帯びると、印刷位置Pにあるインクリボン60とフィルムテープ59は、互いに接触しにくくなる。従って、インクリボン60の接着層165が、フィルムテープ59の易接着層172に適切に転写接着されない結果、フィルムテープ59に印刷されたキャラクタにカスレが生じる。

文字のカスレは、4段階に分けて評価された。図7の「カスレ」における「B」は、印刷された文字の少なくとも一部に欠けが生じたことを示す。「C」は、印刷された文字が全体に亘って細いことを示す。「D」は、印刷された文字が僅かに細いことを示す。「E」は、印刷された文字に問題がなかったことを示す。つまり、図7の「カスレ」の欄では、「B」、「C」、「D」、及び「E」の順に、文字のカスレは生じにくく、且つ、インクリボン60の転写性が良好になることを示す。

検証結果を説明する。比較例1〜3と、実施例4〜11との検証結果を比較することで、易接着層172と剥離層163に帯電防止剤が添加されると、インクリボン60が過度な屈曲による折れ曲がりを起こしにくくなり、シワがインクリボン60に生じにくくなることが判った。更に、文字のカスレが生じにくくなることも判った。従って、フィルムテープ59とインクリボン60に帯電防止剤が添加されると、インクリボン60のフィルムテープ59への転写性が向上することが判った。

比較例1、実施例1〜3の検証結果を比較することで、インクリボン60の接着層165に帯電防止剤が添加されると、インクリボン60は折れ曲がりにくく且つ文字のカスレが生じにくくなることが判った。

実施例5〜7の検証結果を比較することで、帯電防止剤がアルキルホスホニウム塩であることで、インクリボン60が更に折れ曲がりにくく且つ文字のカスレが更に生じにくくなることが判った。従って、アルキルホスホニウム塩が、アルカンスルホン酸ナトリウムとステアリルジエタノールアミンよりも、帯電防止剤として好適であることが判った。

実施例7〜11の検証結果を比較することで、易接着層172における帯電防止剤の濃度と、接着層165における帯電防止剤の濃度が、いずれも、0.05%未満であると(実施例8)、インクリボン60とフィルムテープ59の十分な除電効果は発揮されず、インクリボン60は折れ曲がり易いことが判った。また、易接着層172における帯電防止剤の濃度と、接着層165における帯電防止剤の濃度が、いずれも、2.0%を超えた場合(実施例11)、インクリボン60の接着層165に含まれるワックスの成分比率が相対的に少なくなることで、接着層165が易接着層172に定着しにくくなり、文字のカスレが生じ易くなることが判った。従って、易接着層172における帯電防止剤の濃度と、接着層165における帯電防止剤の濃度が、いずれも、0.05%以上且つ2.0%未満である方が、好適であることが判った。

<7.本発明の効果の例示> 以上、説明したように、帯電防止剤は、フィルムテープ59の易接着層172と、インクリボン60の接着層165に添加される。これにより、印刷位置Pに向けて搬送されるフィルムテープ59とインクリボン60は、いずれも帯電しにくくなる。従って、搬送されるインクリボン60は過度な屈曲による折れ曲がりを起こしにくく、且つ、フィルムテープ59とインクリボン60は、印刷位置Pにて互いに接触し易い。よって、インクリボン60がフィルムテープ59に良好に転写されるテープ印刷装置1が実現される。また、帯電防止剤としてアルキルホスホニウム塩が採用されることによって、フィルムテープ59とインクリボン60は更に帯電しにくくなる。よって、インクリボン60がフィルムテープ59に更に良好に転写され易くなる。

また、易接着層172における帯電防止剤の濃度と、接着層165における帯電防止剤の濃度は、いずれも、0.05%以上且つ2%以下である。これにより、フィルムテープ59とインクリボン60は更に帯電しにくくなる。また、易接着層172は界面活性剤を含む。これにより、易接着層172の表面は滑らかになる。よって、フィルムテープ59は良好に搬送され易い。

以上説明にて、カセットケース31は本発明の「筐体」の一例である。フィルムテープ59は本発明の「フィルム」の一例である。

<8.変形例の説明>

インクリボン60は、リボン基材161、剥離層163、インク層164、及び接着層165を備える所謂3層構造のインクリボンであるが、これに限定されない。例えばインクリボン60は、リボン基材161、インク層164、及び接着層165を備える所謂2層構造のインクリボンであってもよい。この場合、インク層164は、剥離層163に相当する成分を含み、リボン基材161の第二面161Bに対して剥離可能である。

図8を参照し、テープカセット30の第一変形例であるテープカセット32を説明する。尚、以下の説明では、テープカセット32の構成のうち、テープカセット30と同じ構成については、上記実施例と同じ符号を用いて図示し、詳細な説明を省略する。テープカセット32は、インクリボン60に代えてインクリボン61を備える。インクリボン61は、接着層165に代えて接着層169を含む。接着層169は、帯電防止剤を含まない。

第一変形例において、プラテンホルダ12の圧接位置(図4参照)への移動に伴い、フィルムテープ59とインクリボン61はサーマルヘッド10に向けて移動する(図8(a)の矢印K)。その後、フィルムテープ59とインクリボン61は、搬送される(図8(b)の矢印L)。フィルムテープ59の易接着層172に帯電防止剤が含まれているので、フィルムテープ59は帯電しにくい。尚、帯電防止剤が添加されていないインクリボン61が帯電する場合が考えられる。この場合であっても、易接着層172に帯電防止剤が添加されていない場合に比べて、印刷位置Pにあるインクリボン61とフィルムテープ59は、互いが電荷的に反発されにくい。よって、インクリボン61がフィルムテープ59に良好に転写されるテープカセット32が実現される。また、帯電防止剤としてアルキルホスホニウム塩が採用されているので、フィルムテープ59は更に帯電しにくい。

図9を参照し、テープカセット30の第二変形例であるテープカセット33を説明する。テープカセット33は、フィルムテープ59に代えて、フィルムテープ69を含む。フィルムテープ59は、易接着層172に代えて易接着層173を含む。易接着層173は帯電防止剤を含まない。テープ印刷装置1が印刷動作を実行する場合、インクリボン60の接着層165に帯電防止剤が添加されているので、インクリボン60とフィルムテープ59との互いの接着は阻害されにくい。

なお、第二変形例では、インクリボン60の上下方向幅は、フィルムテープ69の上下方向幅よりも広くすることが望ましい(テープカセット32,33も同様)。なぜなら、厚みがあるフィルムテープ69は、その上下方向幅が狭くとも丈夫であるのに対し、インクリボン60は、薄いためフィルムテープ69と同等の上下方向幅にすると、ある幅寸法以下では弱くて切れやすくなってしまうためである。テープカセット33では、印刷位置Pにあるインクリボン60の接着層165は、プラテンローラ15に直接的に接触できる。よって、テープカセット33は、プラテンローラ15とインクリボン60との間の帯電を生じにくくできる。

以上説明した、フィルムテープ59とインクリボン60の夫々に帯電防止剤が添加されるテープカセット30,フィルムテープ59にのみ帯電防止剤が添加されるテープカセット32,インクリボン60にのみ帯電防止剤が添加される33のうち、フィルムテープ59とインクリボン60の夫々に帯電防止剤が添加されるテープカセット30が、最も顕著な帯電防止効果を発揮する。

また、フィルムテープ59とインクリボン60の何れか一方にのみ帯電防止剤が添加されるテープカセット32,33の帯電防止効果は、テープカセット30の帯電防止効果には劣るものの、インクリボン60から色材がフィルムテープ59に良好に転写される程度の十分な帯電防止効果となる。更に、フィルムテープ59とインクリボン60の一方にしか帯電防止剤が添加されない分、テープカセット32,33を低コスト化できるので、費用対効果にも優れる。

また、フィルムテープ59にのみ帯電防止剤が添加されるテープカセット32は、インクリボン60にのみ帯電防止剤が添加されるテープカセット33に比べ、低コスト化できる。さらに、帯電した場合のフィルムテープ59の帯電量は、帯電した場合のインクリボン60の帯電量よりも大きい。従って、帯電防止剤がフィルムテープ59に添加されることで、テープカセット32は、帯電防止剤が添加されることによる費用対効果を向上できる。また、フィルムテープ59に帯電防止剤が添加されることで、フィルムテープ59の易接着層172に異物が付着しにくくなる。よって、テープカセット32は、印刷済テープ50の印刷された文字等のキャラクタを明瞭にできる。

1 テープ印刷装置 10 サーマルヘッド 30,32 テープカセット 31 カセットケース 59 フィルムテープ 60,61 インクリボン 161 リボン基材 161A 第一面 161B 第二面 164 インク層 165,169 接着層 171 フィルム基材 171A フィルム片面 172 易接着層 P 印刷位置

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