動翼及びファン

申请号 JP2012104433 申请日 2012-05-01 公开(公告)号 JP5982999B2 公开(公告)日 2016-08-31
申请人 株式会社IHI; 发明人 室岡 武;
摘要
权利要求

航空機エンジンのファン又は圧縮機に用いられ、強化繊維とマトリックス樹脂との複合材を構成材料とする動翼において、 動翼本体と、 前記動翼本体の基端側に一体形成された動翼根元と、を備え、 前記動翼本体は、強化繊維とマトリックス樹脂とからなる複合材シートを積層してなり、強化繊維の配向の異なる前記複合材シートを含みかつ複数の前記複合材シートを強化繊維の配向角に対応する重ね合わせパターンに基づいて翼厚中心側から背面側に重ね合わせた第1複合材シート群、及び強化繊維の配向角の異なる前記複合材シートを含みかつ複数の前記複合材シートを同じ重ね合わせパターンに基づいて翼厚中心側から腹面側に重ね合わせた第2複合材シート群を、それぞれ翼厚方向に沿って複数有し、 各第1複合材シート群における複数の前記複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向、及び各第2複合材シート群における複数の前記複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向は、スパン方向に対して後縁側に20〜45度それぞれ傾斜するようになっている動翼。航空機エンジンのエンジンケース内に形成されたエンジン流路に空気を取入れるファンにおいて、 前記エンジンケース内に軸心周りに回転可能に設けられ、外周面に複数の嵌合溝が形成されたファンディスクと、 前記ファンディスクの各嵌合溝に嵌合して設けられ、請求項1に記載の動翼と、を備えたファン。

说明书全文

本発明は、航空機エンジンのファン又は圧縮機に用いられる動翼等に関する。

近年、航空機エンジンの分野において、強化繊維とマトリックス樹脂との複合材が軽量で高強度を有する素材として注目されており、強化繊維とマトリックス樹脂との複合材を構成材料とするファン動翼について種々の開発がなされている(特許文献1参照)。また、先行技術に係るファン動翼における動翼本体は、強化繊維とマトリックス樹脂とからなる複合材シートを積層してなるものであって、強化繊維の配向の異なる複数種の複合材シートを有している。

なお、本発明に関連する先行技術として特許文献1に示すものの他に、特許文献2及び特許文献3に示すものがある。

特開2003−254298号公報

特開2010−203435号公報

WO2009/119830号公報

ところで、航空機エンジンの稼働中における動翼本体の先端付近(チップ付近)の捻りを抑えて、ファン動翼の耐フラッタ性を十分に確保するには、ファン動翼の厚みを厚くしたり、ファン動翼のコード長を長くしたりすることによって、ファン動翼の剛性を高くする必要がある。一方、ファン動翼の厚みを厚くしたり、ファン動翼のコード長を長くすると、それに伴い、ファン動翼の重量が増大して、ファン動翼の軽量化を図ることが困難になる。つまり、ファン動翼の軽量化を図りつつ、ファン動翼の耐フラッタ性を十分に確保することが容易でないという問題がある。

なお、前述の問題は、強化繊維とマトリックス樹脂との複合材を構成材料とするファン動翼だけでなく、強化繊維とマトリックス樹脂との複合材を構成材料とする圧縮機動翼についても同様に生じるものである。

そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成な動翼等を提供する。

本願の発明者は、前述の問題を解決するために試行錯誤を繰り返して、新規な知見を見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。本発明の特徴を説明する前に、新規な知見を見出すまでの経緯について説明する。

強化繊維とマトリックス樹脂からなる4枚の複合材シート(プリプレグ)を翼厚中心側から背面側に重ね合わせパターン(重ね合わせの順番)に基づいて重ね合わせかつ強化繊維の配向角の異なる複合材シートを含む第1複合材シート群を翼厚方向に沿って複数有し、4枚の複合材シートが翼厚中心側から腹面側に同じ重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせかつ強化繊維の配向角の異なる複合材シートを含む第2複合材シート群を翼厚方向に沿って複数有した3つの動翼本体100,200,300(図6参照)を解析対象とする。

ここで、図7(a)に示すように、1つ目の解析対象として動翼本体100は、第1複合材シート群及び第2複合材シート群(複合材シート群)における複数の複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向CDがスパン方向SDに対して前縁側に45度傾斜するようになっている。また、図7(b)に示すように、2つ目の解析対象としての動翼本体200は、複合材シート群における複数の複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向CDがスパン方向SDに対して平行になっている。更に、図7(c)に示すように、3つ目の解析対象としての動翼本体300は、複合材シート群における複数の複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向CDがスパン方向SDに対して後縁側に45度傾斜するようになっている。なお、図7において、ベクトル線は、4枚の複合材シートの強化繊維の配向方向、「S1〜S4」は、複合材シートの重ね合わせの順番、「FF」は、前方向(上流方向)又は前縁側、「FR」は、後方向(下流方向)又は後縁側をそれぞれ示している。

そして、航空機エンジンの稼動状態において動翼本体100,200,300が振動した際のファン回転方向側の最大変位量について振動モード解析を行い、その結果をまとめると、図8に示すようになる。なお、図8中の数値は、動翼本体100,200,300のファン回転方向側の最大変位量を無次元化したものである。

即ち、図8(a)(b)に示すように、動翼本体100,200の場合には、先端付近(チップ端付近)の前縁側の最大変位量と後縁側の最大変位量との差が大きくなっており、先端付近の捻りが生じ易くなっていることが判明した。これに対して、図8(c)に示すように、動翼本体300の場合には、先端付近の前縁側の最大変位量と後縁側の最大変位量との差が小さくなって、先端付近の捻りが抑制されていることが判明した。なお、図示は省略するが、航空機エンジンの稼動状態における動翼本体100,200,300のファン回転方向の反対側の最大変位量についても同様の解析結果を得ることができた。また、複合材シート群における複数の複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向CDがスパン方向SDに対して後縁側に20度傾斜するようになっている場合にも、動翼本体300の場合と同様の解析結果を得ることができた。

つまり、本願の発明者は、前述の解析結果から、所定の積層条件を満たした上で、複合材シート群における複数の複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向CDがスパン方向SDに対して後縁側に傾斜している場合には、航空機エンジンの稼働中における動翼本体の先端付近の前縁側の最大変位量と後縁側の最大変位量との差を小さくして、動翼本体の先端付近の捻りを抑えることができるという、新規な知見を得ることができた。ここで、所定の積層条件とは、動翼本体が複数の複合材シートを翼厚中心側から背面側に重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせかつ強化繊維の配向角の異なる複合材シートを含む第1複合材シート群を翼厚方向に沿って複数有し、かつ複数の複合材シート翼厚中心側から腹面側に同じ重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせかつ強化繊維の配向角の異なる複合材シートを含む第2複合材シート群を翼厚方向に沿って複数有していることをいう。

本発明の第1の態様は、航空機エンジンのファン又は圧縮機に用いられ、強化繊維とマトリックス樹脂との複合材を構成材料とする動翼において、動翼本体と、前記動翼本体の基端側(ハブ端側)に一体形成された動翼根元と、を備え、前記動翼本体は、強化繊維(強化繊維の束)とマトリックス樹脂とからなる複合材シートを積層してなり、強化繊維の配向角の異なる前記複合材シートを含みかつ複数の前記複合材シートを強化繊維の配向角に対応する重ね合わせパターン(重ね合わせの順番)に基づいて翼厚中心側から背面側に重ね合わせた第1複合材シート群、及び強化繊維の配向角の異なる前記複合材シートを含みかつ複数の前記複合材シートを同じ重ね合わせパターンに基づいて翼厚中心側から腹面側に重ね合わせた第2複合材シート群を、それぞれ翼厚方向に沿って複数有し、第1複合材シート群おける複数の前記複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向、及び各第2複合材シート群における複数の前記複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向は、スパン方向に対して後縁側に20〜45度それぞれ傾斜するようになっていることである。

ここで、本願の明細書及び特許請求の範囲において、「動翼」とは、ファンに用いられるファン動翼と、圧縮機に用いられる圧縮機動翼を含む意である。また、「スパン方向」とは、前記動翼本体の基端側(ハブ端側)から先端側(チップ端側)に向かう方向のことをいい、「配向角」とは、スパン方向に対する強化繊維の鋭角側の傾斜角のことをいい、前記動翼本体の前縁側に傾斜している場合には正の配向角となり、前記動翼本体の後縁側に傾斜している場合には負の配向角となる。

本発明の第1の態様によると、前記動翼本体が複数の前記複合材シートを翼厚中心側から背面側に設定した重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせかつ強化繊維の配向角の異なる複合材シートを含む前記第1複合材シート群を翼厚方向に沿って複数有し、かつ複数の前記複合材シートを翼厚中心側から腹面側に同じ重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせかつ強化繊維の配向角の異なる複合材シートを含む前記第2複合材シート群を翼厚方向に沿って複数有しているため、前述の所定の積層条件を満たしている。そして、所定の積層条件を満たした上で、前記第1複合材シート群及び前記第2複合材シート群における複数の前記複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向がスパン方向に対して後縁側に傾斜するようになっているため、前述の新規な知見を適用すると、前記航空機エンジンの稼働中における前記動翼本体の先端付近の前縁側の最大変位量と後縁側の最大変位量の差を小さくして、前記動翼本体の先端付近の捻りを抑えることができる。換言すれば、前記動翼の厚みを厚くしたり、前記動翼のコード長を長くしたりしなくても、前記航空機エンジンの稼働中における前記動翼本体の先端付近の捻りを抑えることができる。

本発明の第2の態様は、航空機エンジンのエンジンケース内に形成されたエンジン流路に空気を取入れるファンにおいて、前記エンジンケース内に軸心周りに回転可能に設けられ、外周面に複数の嵌合溝が形成されたファンディスクと、前記ファンディスクの各嵌合溝に嵌合して設けられ、第1の態様からなる動翼と、を備えたことである。

第2の態様によると、第1の態様による作用を奏する他に、前記航空機エンジンの稼動によって前記ファンディスクを回転させることにより、複数の前記ファン動翼を前記ファンディスクと一体的に回転させて、前記エンジンケース内に空気を取入れることができる。

本発明によれば、前記動翼の厚みを厚くしたり、前記動翼のコード長を長くしたりしなくても、前記航空機エンジンの稼働中における前記動翼本体の先端付近の捻りを抑えることができるため、前記動翼の軽量化を図りつつ、前記動翼の耐フラッタ性を十分に確保することができる。

図1は、図5におけるI-I線に沿った拡大断面図である。図1の斜線は複合材シートの層の違いを表しており、強化繊維の方向を表すものではない。

図2は、複数の第1複合材シート群と複数の第2複合材シート群を示す模式的な斜視図である。

図3は、本発明の実施形態に係るファン動翼において、第1複合材シート群及び第2複合材シート群における複数の複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向を説明する図であって、本発明の実施形態に係るファン動翼及び複合材シート群を模式的に示している。

図4(a)は、強化繊維の配向角が−45度の複合材シートを示す図、図4(b)は、強化繊維の配向角が0度の複合材シートを示す図、図4(c)は、強化繊維の配向角が−90度の複合材シートを示す図である。

図5は、本発明の実施形態に係るファン動翼の側面図である。

図6は、本発明の実施形態に係る航空機エンジンの前側部分の半側断面図である。

図7(a)(b)(c)は、解析対象としての動翼本体において、第1複合材シート群及び第2複合材シート群における複数の複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向を説明する図であって、解析対象としての動翼本体及び複合材シート群を模式的に示している。

図8(a)(b)(c)は、航空機エンジンの稼動状態における動翼本体のファン回転方向側の最大変位量について振動モード解析した結果を示す図である

本発明の実施形態について図1から図5を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向(上流方向)又は前縁側、「FR」は、後方向(下流方向)又は後縁側をそれぞれ指している。

図6に示すように、本発明の実施形態に係るファン1は、航空機エンジンにおけるエンジンケース3内に形成されたエンジン流路5に空気を取入れるものである。ここで、エンジンケース3は、筒状のコアカウル7と、筒状のコアカウル7の外側に複数(1つのみ図示)のストラット9を介して囲むように設けられた筒状のファンケース11等とからなっている。また、エンジン流路5は、途中から、コアカウル7の内側に形成された環状(筒状)のコア流路(主流路)13と、ファンケース11の内周面とコアカウル7の外周面との間に形成された環状(筒状)のバイパス流路15とに分岐してある。そして、本発明の実施形態に係るファン1の構成等について簡単に説明すると、次のようになる。

コアカウル7の前部には、ファンディスク17がベアリング19等を介して回転可能に設けられており、このファンディスク17は、ファン1の後方に配設された低圧タービン(図示省略)の複数段の低圧タービンロータ(図示省略)に同軸状に一体的に連結されている。また、ファンディスク17の外周面には、複数の嵌合溝(嵌合切欠)21が等間隔に形成されている。

ファンディスク17の各嵌合溝21には、ファン動翼23が嵌合して設けられており、各ファン動翼23は、強化繊維とマトリックス樹脂との複合材を構成材料としている。また、ファンディスク17の各嵌合溝21の底面とファン動翼23の間には、複数のスペーサ25が設けられている。そして、ファンディスク17の前側には、複数のファン動翼23を前方から保持する環状のフロントリテーナ27が一体的に設けられており、ファンディスク17の後側には、複数のファン動翼23を後方から保持する環状のリアリテーナ29が一体的に設けられている。なお、フロントリテーナ27は、空気を案内するノーズコーン31に一体的に連結されており、リアリテーナ29は、ファン1の後側に配設された低圧圧縮機33における低圧圧縮機ロータ35に同軸状に一体的に連結されている。

従って、航空機エンジンの稼働によりファンディスク17を回転させることにより、複数のファン動翼23をファンディスク17と一体的に回転させて、エンジン流路5(コア流路13及びバイパス流路15)に空気を取入れることができる。

続いて、本発明の実施形態に係るファン動翼23の全体構成について説明する。

図5に示すように、ファン動翼23は、前述のように、ファン1に用いられるものであって、動翼本体37を備えており、この動翼本体37は、一側に、背面(負圧面)39を有してあって、他側に、正圧面(腹面)41を有している。また、動翼本体37は、炭素繊維,アラミド繊維,又はガラス繊維等の強化繊維とマトリックス樹脂との複合材により構成されている。ここで、マトリックス樹脂とは、エポキシ樹脂,フェノール樹脂,又はポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、又はポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルファイド等の熱可塑性樹脂のことである。

動翼本体37の基端側(ハブ端側)には、動翼根元43が一体形成されており、この動翼根元43は、ファンディスク17に嵌合可能なダブテール45を有している。また、動翼根元43は、動翼本体37と同様に、炭素繊維,アラミド繊維,又はガラス繊維等の強化繊維とマトリックス樹脂との複合材により構成されている。なお、動翼本体37と動翼根元43の境界部は、エンジン流路5の流路面5fに位置している。

動翼本体37の前縁側には、動翼本体37の前縁側を保護するシース47が設けられており、このシース47は、チタン合金等の金属により構成されている。

続いて、本発明の実施形態にファン動翼23の特徴部分について説明する。

図1、図2、図4、及び図5に示すように、動翼本体37は、炭素繊維,アラミド繊維,又はガラス繊維等の強化繊維(強化繊維の束)とマトリックス樹脂とからなる複合材シート49を積層してなるものである。ここで、本発明の実施形態にあっては、複合材シート49として、強化繊維の配向角の異なる3種類の複合材シート49A,49B,49Cが用いられており、複合材シート49Aの強化繊維の配向角αは−45度(図4(a)参照)、複合材シート49Bの強化繊維の配向角αは0度(図4(b)参照)、複合材シート49Cの強化繊維の配向角αは−90度(図4(c)参照)にそれぞれ設定されている。

動翼本体37は、複数(本発明の実施形態にあっては、4枚)の複合材シート49を翼厚中心TC側から背面39側に設定した重ね合わせパターン(重ね合わせの順番)に基づいて重ね合わせた第1複合材シート群51を翼厚方向TDに沿って複数有している。また、動翼本体37は、複数(本発明の実施形態にあっては、4枚)の複合材シート49を翼厚中心TC側から腹面41側に同じ重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせた第2複合材シート群53を翼厚方向TDに沿って複数有している。ここで、第1複合材シート群51及び第2複合材シート群53は、強化繊維の配向角の異なる3種類の複合材シート49A,49B,49Cを含んでおり、各第1複合材シート群51及び各第2複合材シート群53の重ね合わせパターンは、複合材シート49A、複合材シート49B、複合材シート49A、複合材シート49Cの順に設定されている。

図3に示すように、第1複合材シート群51及び第2複合材シート群53における複数の複合材シート49の強化繊維の配向方向を合成した方向(強化繊維の合成方向)CDは、スパン方向SDに対して後縁側に20〜45度傾斜するようになっている。換言すれば、第1複合材シート群51及び第2複合材シート群53における複数の複合材シート49の強化繊維の配向角を合成した角(強化繊維の合成配向角)βは、−20〜−45度に設定されている。第1複合材シート群51及び第2複合材シート群53における強化繊維の合成配向角βを−20度以上に設定されるようにしたのは、強化繊維の合成配向角βが−20度未満であると、航空機エンジンの稼働中における動翼本体37の先端付近の捻りを十分に抑えることが困難になるからである。一方、第1複合材シート群51及び第2複合材シート群53における強化繊維の合成配向角βを−45度以下に設定されるようにしたのは、強化繊維の合成配向角βが−45度を超えると、動翼本体37の剛性を十分に確保することが困難になるからである。

図1及び図2に示すように、第1複合材シート群51の個数と第2複合材シート群53の個数は同じであって、換言すれば、動翼本体37は、強化繊維の配向角の異なる3種類の複合材シート49A,49B,49Cが翼厚中心TCを基準に対称的に積層(配置)されている。また、いずれかの隣接する第1複合材シート群51の間には、動翼本体37の厚みを調節するための調節用第1複合材シート群(図示省略)が局所的に介在されており、調節用第1複合材シート群は、第1複合材シート群51と同様に、複合材シート49を翼厚中心TC側から背面39側に重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせてある。更に、いずれかの隣接する第2複合材シート群53の間には、動翼本体37の厚みを調節するための調節用第2複合材シート群(図示省略)が局所的に介在されており、調節用第2複合材シート群は、第2複合材シート群53と同様に、複合材シート49を翼厚中心TC側から背面41側に重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせてある。なお、最も翼厚中心TC側に位置する第1複合材シート群51と最も翼厚中心TC側に位置する第2複合材シート53の間に別の複合材シート(図示省略)が介在されるようにしても構わない。なお、図2中の「TCF」は、翼厚中心TCを含む翼厚中心面である。

続いて、本発明の実施形態の作用及び効果について説明する。

動翼本体37が複数の複合材シート49を翼厚中心TC側から背面39側に設定した重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせかつ強化繊維の配向角の異なる複数種の複合材シート49A,49B,49Cを含む第1複合材シート群51を翼厚方向TDに沿って複数有し、かつ複数の複合材シート49を翼厚中心TC側から腹面側に同じ重ね合わせパターンに基づいて重ね合わせかつ強化繊維の配向角の異なる複数種の複合材シート49A,49B,49Cを含む第2複合材シート群53を翼厚方向TDに沿って複数有しているため、前述の所定の積層条件(段落[0013]参照)を満たしている。そして、所定の積層条件を満たした上で、第1複合材シート群51及び第2複合材シート群53における複数の複合材シート49の強化繊維の合成方向CDがスパン方向SDに対して後縁側20〜45度に傾斜するようになっているため、前述の新規な知見を適用すると、航空機エンジンの稼働中における動翼本体37の先端付近の前縁側の最大変位量と後縁側の最大変位量の差を小さくして、動翼本体37の先端付近の捻りを抑えることができる。換言すれば、ファン動翼23の厚みを厚くしたり、ファン動翼23のコード長を長くしたりしなくても、動翼本体37の剛性を十分に確保した上で、航空機エンジンの稼働中における動翼本体37の先端付近の捻りを抑えることができる。

従って、本発明の実施形態によれば、前記動翼の軽量化を図りつつ、前記動翼の耐フラッタ性を十分に確保することができる。

本発明は、前述の実施形態の説明に限られるものではなく、例えば、次のように種々の態様で実施可能である。

即ち、第1複合材シート群51及び第2複合材シート群53における複合材シート49の枚数を変更したり、第1複合材シート群51の個数を第2複合材シート群53の個数と異なるようにしたりしても構わない。また、第1複合材シート群51及び第2複合材シート群53における複数の複合材シート49の重ね合わせパターンを変更したり、複数の複合材シート49A,49B,49Cの強化繊維の配向角を変更したりしても構わない。更に、ファン動翼23に適用した本発明の構成を低圧圧縮機ロータ35における低圧圧縮機動翼55(図5参照)に適用しても構わない。

なお、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。

SD スパン方向 TC 翼厚中心 TD 翼厚方向 CD 複数の複合材シートの強化繊維の配向方向を合成した方向 1 ファン 3 エンジンケース 5 エンジン流路 7 コアカウル 11 ファンケース 13 コア流路 15 バイパス流路 17 ファンディスク 21 嵌合溝 23 ファン動翼 33 低圧圧縮機 35 低圧圧縮機ロータ 37 動翼本体 39 背面 41 腹面 43 動翼根元 45 ダブテール 47 シース 49 複合材シート 49A 強化繊維の配向角が−45度の複合材シート 49B 強化繊維の配向角が0度の複合材シート 49C 強化繊維の配向角が−90度の複合材シート 51 第1複合材シート群 53 第2複合材シート群 100 解析対象としての動翼本体 200 解析対象としての動翼本体 300 解析対象としての動翼本体

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