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Stainless-steel base material with conductive metal layer and its manufacturing method, and hard disk suspension and material thereof

申请号 JP2006037808 申请日 2006-02-15 公开(公告)号 JP2007220785A 公开(公告)日 2007-08-30
申请人 Nippon Steel Materials Co Ltd; 新日鉄マテリアルズ株式会社; 发明人 YAMAZAKI YOSHITO; NAKATSUKA ATSUSHI; NAGASAKI SHUJI; INAGUMA TORU; KUBO YUJI; SUGIURA TSUTOMU;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a stainless-steel base material with a conductive metal layer which can achieve an excellent etching process accuracy while stably securing the adhesiveness between the conductive metal layer formed on the stainless-steel base material and a polyimide-based resin layer, and which uses no environmental load material, and to provide its manufacturing method and a hard disc suspension material using the same. SOLUTION: The stainless-steel base material with the conductive metal layer has the conductive metal layer on a stainless steel sheet. The conductive metal layer has a thickness of 0.1-10 μm and a surface roughness of Ra=0.05 to 1 μm and Rz=1 to 5 μm. The manufacturing method of the stainless-steel base material and the hard disc suspension material using this base material are also provided. COPYRIGHT: (C)2007,JPO&INPIT
权利要求
  • ステンレスの上に導電性金属層を有する導電性金属層付きステンレス基体であって、前記導電性金属層の厚さが0.1〜10μmの範囲であり、前記導電性金属層表面の粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲であることを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体。
  • 前記導電性金属層が、固有電気抵抗が20μΩcm以下である金属の1種以上を主成分とする金属層を少なくとも1層以上有する請求項1記載の導電性金属付きステンレス基体。
  • 前記導電性金属層が、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫又は亜鉛の1種以上を主成分とする金属層を少なくとも1層有する請求項1記載の導電性金属層付きステンレス基体。
  • 前記導電性金属層が、銅を主成分とする金属層を少なくとも1層有する請求項1記載の導電性金属層付きステンレス基体。
  • 前記導電性金属層が、さらに銅以外の導電性金属を主成分とする層を有する請求項4記載の導電性金属層付きステンレス基体。
  • 前記ステンレスが、厚さ100μm以下のステンレス箔である請求項1〜5のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体。
  • ステンレス表面に、めっき後の表面粗度をRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲、導電性金属層の厚さの総計を0.1〜10μmとする少なくとも1種の導電性金属のめっきを行うことを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記めっきが、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫、亜鉛又はこれら金属のいずれかを含む合金から選ばれる1種以上の金属のめっきである請求項7記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記導電性金属が、銅を主成分とする金属である請求項7記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • ステンレス表面に、ストライクめっきを行った後に、めっき後の表面粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲、導電性金属層の厚さの総計が0.1〜10μmとする少なくとも1種の導電性金属のめっきを行うことを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記ストライクめっきが、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫、亜鉛から選ばれる1種以上の金属のストライクめっきである請求項10記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記導電性金属が、銅を主成分とする金属である請求項10記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記めっきが電気めっきである請求項7〜12のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記ステンレスが厚さ100μm以下のステンレス箔である請求項7〜13のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • ステンレス表面に、1種以上の導電性金属箔を、該導電性金属箔の最表面の表面粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲で、かつ、厚さの総計が0.1〜10μmとなるように、クラッド圧延処理することを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記導電性金属箔が、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属箔である請求項15記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記導電性金属箔が、銅を主成分とする箔である請求項15記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 前記ステンレスが、クラッド圧延後の厚みが100μm以下となるステンレス箔である請求項15〜17のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法。
  • 請求項1〜6のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体の導電性金属層上に絶縁体層、金属箔層の順に積層してなる積層構造を有するハードディスクサスペンション材料。
  • 前記絶縁体層が、ポリイミド系樹脂又はポリイミド系樹脂を主要成分とする樹脂の一方又は双方の単一層又は複数層である請求項19記載のハードディスクサスペンション材料。
  • 請求項19又は20に記載のハードディスクサスペンション材料を加工、成形してなるハードディスクサスペンション。
  • 说明书全文

    本発明は、大容量化やアクセス速度の高速化への対応に必要なハードディスクサスペンション及び導電性金属層付きステンレス基体とその製造方法に関する。

    従来、ハードディスクドライブ(以下、HDDと略す)には、筐体内に磁気ディスクの信号読み取り機構のための部材として、磁気ヘッド、ロードビーム、サスペンション等の基幹部材を有している。 この内、ロードビーム、サスペンションにおいては、磁気ヘッドを適正かつ安定的に保持し、更に情報信号の伝達のための電気回路を保持する構造が主流となっている。 具体的には、硬質のステンレス基材にポリイミド等の樹脂絶縁層を形成させた基体に、その上層に銅等の導電性金属箔を形成させた上で電気回路を形成させたものである(非特許文献1等を参照)。

    上記の目的のため一般に知られた方法としては、ステンレス箔表面に絶縁樹脂層を直接積層した基体に用いて、この上にさらに導電性金属を積層したHDD用サスペンション部材がある。 基体の代表的構造の例として、ステンレス箔/ポリイミド系樹脂層が挙げられる(非特許文献2等を参照)。

    しかしながら、HDDの大容量化や、記録情報のアクセス、伝送速度の増大に伴う、サスペンションにおける信号伝達速度も高速化の進展に伴い、従来の基体の構造では使用が困難となりつつある。 即ち、サスペンションにおける信号伝達速度の高速化においては、インピーダンスマッチングと呼ばれる、絶縁体層上層の導電性金属層のみならず、下層のステンレス基体側においても高い電気伝導性を有する特性が必要となり、従来のステンレス/樹脂絶縁層/導電性金属の構造では、この効果が得られない。 従って、前記の対策として、ステンレス基体上に導電性金属層を設け、この上に樹脂絶縁層を形成させる(例えば、特許文献1)等の必要が生じている。

    上記の目的のため、ステンレス上に導電性金属層を設けて基体とし、この上に例えばポリイミド系の絶縁樹脂層を設ける場合、即ちステンレス箔/導電性金属層/ポリイミド系樹脂層を基体とする場合、次の様な問題がある。 即ち、ステンレス箔とポリイミド系樹脂層の界面の密着性は、材料同士の親和性が良いため十分な密着性を確保できるのに対し、ポリイミド系樹脂と導電性金属との高い密着性の確保は容易ではない。 これは、ステンレスの表面が鉄、クロム等の金属酸化物被膜で覆われているため、有機樹脂との分子間相互作用により、高い密着性が得られるのに対し、導電性金属層、例えば銅、とポリイミド系樹脂とでは、材料同士の親和性が悪いため、そのままでは密着性を確保することが難しいことによる。

    通常、銅とポリイミド系樹脂の密着性確保のためには、アンカーリング効果を発揮するように銅表面にノジュールを生成させる方法(特許文献2)や、クロメート処理等により親和性を高める方法が知られている。

    しかしながら、ステンレス上に設けられた導電性金属層の厚さが薄いため、アンカーリング効果を発揮できるような銅表面のノジュール生成は困難であった。 また、ノジュールの付与を行った場合でも、その凹凸の大きさからエッチング加工時の加工精度の低下が避けられなかった。

    また、クロメート処理等は、環境負荷物質の使用の問題により事実上使用が制限されつつある。

    このような背景から、ステンレス上に設けられた導電性金属層とポリイミド系樹脂等の樹脂絶縁層との密着性を安定的に確保しつつ、エッチング加工精度の良い、環境負荷物質の使用を伴わないHDD用サスペンション用の導電性金属層付きステンレス基体が切望されていた。

    特開2003−152404号公報

    特開平11−61440号公報

    溝下、FUJITSU、Vol.50、No.1、PP.14-21、1999 下村他、フジクラ技報、第99号、P72−76、2000

    本発明の目的は、大容量化やアクセス速度の高速化への対応に必要なハードディスク用サスペンション及びその基本構成部材及びその製造方法に関し、ステンレス上に設けられた導電性金属層とポリイミド系樹脂などの樹脂絶縁層との密着性を安定的に確保しつつ、エッチング加工精度の良い、環境負荷物質を含まない導電性金属層付きステンレス基体とその製造方法、及び、このステンレス基体を用いたハードディスクサスペンション材料、ハードディスクサスペンションを提供することにある。

    本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、ステンレス基体上に設ける導電性金属層の厚さを最適に制御し、かつその表面粗さを最適な範囲とすること、導電性金属層をメッキ処理、クラッド処理等を最適に用いることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。

    即ち、本発明は、
    (1) ステンレスの上に導電性金属層を有する導電性金属層付きステンレス基体であって、前記導電性金属層の厚さが0.1〜10μmの範囲であり、前記導電性金属層表面の粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲であることを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体、
    (2) 前記導電性金属層が、固有電気抵抗が20μΩcm以下である金属の1種以上を主成分とする金属層を少なくとも1層以上有する(1)記載の導電性金属付きステンレス基体、
    (3) 前記導電性金属層が、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫又は亜鉛の1種以上を主成分とする金属層を少なくとも1層有する(1)記載の導電性金属層付きステンレス基体、
    (4) 前記導電性金属層が、銅を主成分とする金属層を少なくとも1層有する(1)記載の導電性金属層付きステンレス基体、
    (5) 前記導電性金属層が、さらに銅以外の導電性金属を主成分とする層を有する(4)記載の導電性金属層付きステンレス基体、
    (6) 前記ステンレスが、厚さ100μm以下のステンレス箔である(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体、
    (7) ステンレス表面に、めっき後の表面粗度をRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲、導電性金属層の厚さの総計を0.1〜10μmとする少なくとも1種の導電性金属のめっきを行うことを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (8) 前記めっきが、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫、亜鉛又はこれら金属のいずれかを含む合金から選ばれる1種以上の金属のめっきである(7)記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (9) 前記導電性金属が、銅を主成分とする金属である(7)記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (10) ステンレス表面に、ストライクめっきを行った後に、めっき後の表面粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲、導電性金属層の厚さの総計が0.1〜10μmとする少なくとも1種の導電性金属のめっきを行うことを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (11) 前記ストライクめっきが、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫、亜鉛から選ばれる1種以上の金属のストライクめっきである(10)記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (12) 前記導電性金属が、銅を主成分とする金属である(10)記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (13) 前記めっきが電気めっきである(7)〜(12)のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (14) 前記ステンレスが厚さ100μm以下のステンレス箔である(7)〜(13)のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (15) ステンレス表面に、1種以上の導電性金属箔を、該導電性金属箔の最表面の表面粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲で、かつ、厚さの総計が0.1〜10μmとなるように、クラッド圧延処理することを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (16) 前記導電性金属箔が、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属箔である(15)記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (17) 前記導電性金属箔が、銅を主成分とする箔である(15)記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (18) 前記ステンレスが、クラッド圧延後の厚みが100μm以下となるステンレス箔である(15)〜(17)のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法、
    (19) (1)〜(6)のいずれかに記載の導電性金属層付きステンレス基体の導電性金属層上に絶縁体層、金属箔層の順に積層してなる積層構造を有するハードディスクサスペンション材料、
    (20) 前記絶縁体層が、ポリイミド系樹脂又はポリイミド系樹脂を主要成分とする樹脂の一方又は双方の単一層又は複数層である(19)記載のハードディスクサスペンション材料、
    (21) (19)又は(20)に記載のハードディスクサスペンション材料を加工、成形してなるハードディスクサスペンション、
    である。

    本発明によれば、ステンレス基体上に予め設けられた導電性金属層とポリイミド系樹脂層との密着性を安定的に確保しつつ、エッチング加工精度の良い、環境負荷物質の使用を伴わないHDD用サスペンション用の導電性金属層付きステンレス基体とその製造方法を提供することができる。

    さらに、本発明によれば、大容量化やアクセス速度の高速化への対応に必要なハードディスク用サスペンション材料及びハードディスクサスペンションを提供することが可能となる。

    以下、本発明を詳細に説明する。

    先ず、本発明のハードディスクドライブ用サスペンションに用いられる導電性金属層付きステンレス基体について、その要件を述べる。

    本発明のハードディスクドライブ用サスペンションに用いられる導電性金属層付きステンレス基体は、ステンレス上に導電性金属層を有するものであり、これに単一又は複数層のポリイミド系樹脂層からなる絶縁樹脂層、銅箔等の金属箔層が積層されてサスペンション材料として用いられる。

    このステンレス基体に用いられる積層体の構成要素であるステンレスは、特に制限されるものではないが、主成分としてクロムを12質量%以上含有し、大気中で自然に不動態被膜を形成して、耐食性、耐候性を保つステンレス鋼であり、サスペンションに必要なばね特性や寸法安定性の観点から、好ましくはSUS304あるいはSUS301であり、より好ましくは300℃以上の温度でテンションアニール処理が施されたSUS304あるいはSUS301である。

    本発明の導電性金属層付きステンレス基体において、ステンレスとその上に設けた導電性金属層との密着を強固にし、かつ、その上の絶縁樹脂層との密着を良好に保持するために、該導電性金属層の厚さと表面粗度Ra及びRzが最適な範囲に保たれており、これが本発明の要件となっている。 本発明に用いられるステンレスに形成させる導電性金属層は、銅、銀、その他の導電性金属、金属めっき等が好ましいものとして挙げられ、適用される磁気ヘッド種、記録方式、データ転送速度、プリアンプ、金属箔層の回路長、配線間隔等の回路パターン設計にもよるが、その厚さとして0.1〜10μmの範囲を満たすものである。 導電性金属層の厚さがこの範囲未満では、インピーダンスマッチングに必要な導電性が得られず、この範囲を超えた場合は、部材の総厚が厚くなり設計上問題が生じ得るため、適当ではない。 ここで用いる導電性金属層の厚さとは、ステンレス上に一様に形成される導電性金属層の厚さであり、走査型顕微鏡による部材断面観察により直接的に求められる。 即ち、試料の走査型顕微鏡観察の測定視野で無作為に10点程度の厚み測定を行い、その平均値を導電性金属層の厚さと定義する。 本発明の導電性金属層付きステンレス基体の表面粗度は、Ra=0.05〜1μmかつRz=1〜5μmを満たす。 Raが0.05μm未満又はRzが1μm未満の場合は、ステンレス基体と絶縁樹脂層との良好な密着が得られない。 Raが1μmよりも大きい又はRzが5μmより大きい場合は、樹脂層を設ける際に空隙が内包されたり、樹脂層表面の平滑性が不均一でエッチング加工精度が悪くなる等、良好なハードディスクサスペンション用部材が得られない等の問題が生じる。 ここで用いる表面粗度とは、JIS B0601−1994に定義されるもので、Raが算術平均粗さ、Rzが最大高さである。 Ra及びRzの測定には、触針式、非接触式等、各種の表面粗さ測定装置を用いて求めることができ、例えば、Veeco社製表面粗さ計NT1000、小坂研究所製サーフコーダSE−1700等を用いれば良い。 以上のように、本発明の導電性金属層付きステンレス基体において、ステンレスとその上に設けた導電性金属層との密着を良好にせしめ、かつステンレス基体の上に形成する絶縁樹脂層との密着を良好に保持する要件は、該導電性金属層の厚さと表面粗度Ra及びRzを最適な範囲に保つことにあり、これにより本発明の目的である、大容量化やアクセス速度の高速化への対応に必要なハードディスク用サスペンション及びその基本構成部材及びその製造方法に関し、ステンレス上に設けられた導電性金属層とポリイミド系樹脂等の樹脂絶縁層との密着性を安定的に確保しつつ、エッチング加工精度の良い、環境負荷物質を含まないハードディスクドライブ用サスペンション用のステンレス基体と提供するものである。

    更に、本発明の導電性金属層付きステンレス基体に用いられる導電性金属層は、HDDデータ転送速度の向上に対応したインピーダンスマッチングの効果発現のため、高い電気電導性を有することが重要である。 具体的には、導電性金属層が、固有電気抵抗が20μΩcm以下、好ましくは10μΩcm以下の金属の1種以上を主成分とする金属層を少なくとも1層以上有することが好ましい。 金属の固有電気抵抗の値は、理化学事典、各種便覧等により参照可能な値を用いて、上記の範囲に含まれる導電性金属層が選ばれていれば良い。 導電性金属層に、固有電気抵抗が20μΩcm以下の金属を主成分とする金属層を含まない場合には、HDDサスペンション部材であるステンレス箔表面における、部材面内方向の電気抵抗が大き過ぎるため、インピーダンスマッチングの効果が明確に得られない。

    また、本発明の導電性金属層付きステンレス基体に用いられる導電性金属層は、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫又は亜鉛の1種以上を主成分とする金属層を少なくとも1層有することが好ましい。 これらの金属は、いずれも固有電気抵抗の値が小さいと共に、めっき等による表面修飾金属層を容易に形成することが知られており、更に、環境負荷も少ないため、本発明の効果が好適に得られる。

    ここで、一定の金属を主成分とする金属層とは、その金属の含有量が50質量%以上の金属層であれば好ましい。

    更に、本発明の導電性金属層付きステンレス基体に用いられる導電性金属層は、銅を主成分とする金属層を少なくとも1層有することが望ましい。 これは、金属としての銅が、汎用性が高く比較的安価であること、かつ電導性等の特性バランスに特に優れているためであり、これを用いることでステンレス基体に高い導電性を賦与することが可能となる。

    加えて、本発明の導電性金属層付きステンレス基体に用いられる導電性金属層は、銅を主成分とする金属層を少なくとも1層有し、かつ銅以外の導電性金属を主成分とする層を有していても良い。 銅以外の導電性金属を主成分とする層を有することにより、銅を主成分とする金属層とステンレス界面の密着性改善、銅金属層の表面性状の制御、導電性の補完、銅及びステンレス界面の劣化抑制等の効果が得られる。 即ち、HDDサスペンション部材として必要なステンレス表面の電気伝導性に加えて、密着性、耐久性改善等の機能を賦与することが可能となる。 ここでいう銅を主成分とする導電性金属の例としては、一般に知られている、厚さ3〜20μmの銅箔、銅合金箔、銅めっきにより生成する金属層等が挙げられるが、サスペンションの剛性設計あるいは回路パターン設計によっても最適な層厚が選定される。 銅合金の場合は、銅とニッケル、シリコン、亜鉛、ベリリウム等の異種の元素からなる合金箔、合金めっき等で、銅含有率50質量%以上のものをいう。

    導電性金属が複数層形成される場合の、本来の要求性能である導電性は、銅が主成分である金属層の導電性と厚みで概ね規定されることとなる。 したがって、導電性金属層において主成分となる金属層は高い導電性を有すると共に、本発明で規定する導電性金属層の厚さ0.1〜10μmの大部分、具体的には50%以上、望ましくは80%以上の割合を占めるべきである。 例えば、ステンレスの上に形成される導電性金属層が銅の層と、ニッケルの層から成る場合、銅の固有電気抵抗が1.68μΩcm、ニッケルの固有電気抵抗が6.99μΩcmであり、本発明の主目的であるインピーダンスマッチングのためには、銅の層が大部分を占めることが望ましい。 この場合、ニッケルの層を使用する主要な目的は導電性発現ではなく、ステンレスと銅の間の密着性発現である。 同様に、導電性金属層が複数の金属層となる場合に、本発明に用い得るが相対的に導電性が低い金属、例えば前述のニッケルや、固有電気抵抗が6.02μΩcmの亜鉛等を用いる場合は、これらの層の厚みをできるだけ薄くすることが望ましい。 更に、これら複数の導電性金属層の界面間に粒子やフィラーの形状を持つ導電性金属により、層間の電気接続が得られる構造があれば、より望ましい。

    また、本発明の導電性金属付きステンレス基体は、構成要素であるステンレスは厚さ100μm以下、更に好ましくは、30μm以下が良い。 ステンレスの厚さが100μmよりも厚いと、HDD及びその部材の小型化、軽量化が困難となり本発明の効果が得られ難いと共に、切断、エッチング、プレス等の部材加工が難しくなるという問題が生じる。 薄い分にはサスペンションの剛性設計、部材強度で問題が生じない限りで問題なく、入手や取扱いの容易さも考えれば10μm以上が良いと考えられるが、特に規定するものではない。

    次に、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法に関し説明する。

    本発明の導電性金属付きステンレス基体は、ステンレスに、1種以上のめっきを行い、厚さが0.1〜10μmの導電性金属層を設け、かつ該めっき面の表面粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲とすることにより得られる。 これは、ステンレスに、最適な厚さのめっきを行い、かつ処理後の表面粗度を最適な範囲に制御することで、前述のステンレス基体を製造することが可能となるものである。 ここで用いるめっきとは、電気めっき、溶融めっき、無電解めっき、加えて蒸着等のドライプロセスをも含めて、材料表面に均一に金属層を形成することが可能な処理を総称するものである。 めっきに用いるステンレス及びめっき装置は、必要に応じて枚様式あるいは連続コイル形式を選択すれば良く、特に規定するものではない。 また、ステンレスの被処理面をめっきとの密着性確保のため、事前処理として脱脂、洗浄及び活性化処理を行うことが好ましく、更に必要に応じて電解脱脂、電解洗浄を行ってもよい。 また、必要に応じてステンレスの導電性金属層を設けない面にめっき用電解液が滲入付着しないように防護用マスクフィルムあるいは防護コーティング処理を行ったり、後にこれを除去したりする工程を用いても良い。

    めっきにより形成された導電性金属層の厚さが0.1μm未満では、インピーダンスマッチングに必要な導電性が得られず、10μmを超えた場合は、部材の総厚が厚くなり設計上問題が生じるため適当ではない。 めっき後の表面粗度が、Raで0.05μm未満又はRzで1μm未満の場合は、絶縁樹脂層との良好な密着が得られない。 また、Raが1μmよりも大きい又はRzが5μmより大きい場合は、めっきにより導電性金属を形成させた場合の表面粗度が大きく、樹脂層を設ける際に空隙が内包されたり、樹脂層表面の平滑性が不均一になり、エッチング加工精度が悪くなる等、良好なハードディスクサスペンション用部材が得られない。 めっき表面の表面粗度の制御方法は、めっき条件の調整により十分制御可能であるが、用いるステンレスの表面粗度にも依存する。 めっき処理前のステンレスについては特に規定しないが、目的の表面粗度と同等又はそれ以下であることが望ましく、かつめっき表面が最適な粗度になるようなステンレス基体の表面粗度を必要に応じて選択することが好ましい。 更に、めっき後の表面に化学的あるいは機械的な表面処理を施して目的の表面粗度を得ても良い。

    更に、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、前記めっきが、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫、亜鉛又はこれら金属のいずれかを含む合金から選ばれる1種以上の金属のめっきであることが望ましい。 これらの金属のめっきは、様々な用途向けに広く普及していると共に、環境負荷の観点からも本発明に容易に用いることができる。

    また、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、前記導電性金属が、銅を主成分とする金属であることが好ましい。 これは、導電性金属層が銅を主成分とすることで、高い導電性を発現することができると共に、安価な導電性金属層を構成し得ることができるためである。 銅を主成分とするめっきは、様々な用途向けに広く普及していると共に、環境負荷の観点からも本発明に容易に用いることができる。 以下に、めっきの金属として銅を用い、導電性金属層に銅を形成させる場合を例に具体的に説明する。 銅めっき浴としては、酸性浴(硫酸銅浴、ホウ弗化銅浴等)あるいはアルカリ浴(シアン化銅浴、ピロリン酸銅浴等)が用いられ、必要なめっき厚や生産性に応じて選択してよいが、やけ等のメッキ不良を除き、光沢剤の類は添加しないようにするのが望ましい。 銅メッキ時の印加電流密度は10〜30A/cm 2程度で、生産性を考慮し適宜選択、所定時間のメッキ処理を行い、銅メッキ厚さ及び銅メッキ表面の粗度を前述のように最適な範囲となるよう調整すれば良い。

    また、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、ステンレス表面に、ストライクめっきを行った後に、表面粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲となるように導電性金属のめっきを少なくとも1種行い、導電性金属層の厚さの総計が0.1〜10μmとすることを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法であっても良い。 これは、前述の本発明の製造方法の要件に加えて、導電性金属層とステンレス基体の間の密着性向上を目的として、中間層としてストライクめっきを施すものである。 これにより、ステンレスに所定厚みの導電性金属層を設け、かつ、密着性を発現させることで、本発明の効果が、導電性金属層の剥離等の問題を防止しつつ得られる。

    更に、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、前記ストライクめっきが、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウム、錫、亜鉛から選ばれる1種以上の金属のストライクめっきである導電性金属層付きステンレス基体の製造方法であればなお良い。 ここに挙げた金属を用いたストライクめっきを行うことで、高い導電性と高い密着性を発現し、本発明の効果が好適に得られる。 ニッケルのストライクめっきを用いた場合の例では、ニッケルメッキ浴としてはワット浴あるいはスルファミン酸浴、又は両方を併用して用いることができ。 めっき厚は0.05〜0.3μm程度で必要とされる密着が得られる厚さを選択してよい。 同様に、ステンレスに所定量の導電性金属層を設ける際に、密着性を発現させる目的で中間層を形成させることで高い密着性を得る手法として、前述の金属を用いたストライクめっきを用いて本発明の効果が得られる。

    加えて、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、ステンレス表面に、ストライクめっきを行った後に、表面粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲となるように導電性金属のめっきを少なくとも1種行い、導電性金属層の厚さの総計が0.1〜10μmとすることを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法であって、かつ前記導電性金属が、銅を主成分とする金属である導電性金属層付きステンレス基体の製造方法であっても良い。 即ち、ストライクメッキを行った後、導電性金属として銅を主成分とする金属を形成させ、その表面粗度、導電性金属層の厚さを好適に制御することで、簡易に、比較的安価に、かつ電導性等の特性バランスの発現が容易にでき、本発明の効果である導電性金属層の製造が可能となる。

    また、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、前述したいずれかの製造方法において、めっきが電気めっきであっても良い。 電気めっきを用いることにより、導電性金属層の金属を形成させる際に、電流制御に基づく付着量の定量的制御を高い再現性をもって実施できると共に、反応時間と電流の制御バランスに基づく表面粗度の制御等が可能になり、本発明の効果がより容易に得ることができる。 既に、めっきの金属として銅を用い、導電性金属層に銅を形成させる場合の例を前述した。

    更に、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、前述したいずれかの製造方法において、前記ステンレスが厚さ100μm以下のステンレス箔である導電性金属層付きステンレス基体の製造方法であっても良い。 前述のように本発明の導電性金属付きステンレス基体の構成要素としてのステンレスは厚さ100μm以下が望ましい。 したがって、この範囲の厚みを満足するステンレスを用いることで本発明の効果が容易に得られる。

    また、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、ステンレス表面に、1種以上の導電性金属箔を、該導電性金属箔の最表面の表面粗度がRa=0.05〜1μm、Rz=1〜5μmの範囲で、かつ、厚さの総計が0.1〜10μmとなるように、クラッド圧延処理することを特徴とする導電性金属層付きステンレス基体の製造方法であっても良い。 これは、ステンレスに、最適な厚さのクラッド圧延処理を行い、かつ処理後の表面粗度を最適な範囲に制御することで前述のステンレス基体を製造することが可能となるものである。 ここで用いるクラッド圧延処理とは、複数層の金属箔を貼り合わせると同時に導電性金属層の厚さの総計を所定の範囲にする処理であり、クラッド圧延機での処理の後、冷間圧延機による圧延を組み合わせた処理も、これに含まれる。 クラッド圧延処理で形成された導電性金属層の厚さが、0.1μm未満ではインピーダンスマッチングに必要な導電性が得られず、10μmを超えた場合は、部材の総厚が厚くなり設計上問題が生じるため適当ではない。 クラッド圧延処理後の表面粗度が、Raで0.05μm未満又はRzで1μm未満の場合は、絶縁樹脂層との良好な密着が得られない。 また、Raが1μmよりも大きい又はRzが5μmより大きい場合は、導電性金属層を形成させた場合の表面粗度が大きく、樹脂層を設ける際に空隙が内包されたり、樹脂層表面の平滑性が不均一になりエッチング加工精度が悪くなる等、良好なハードディスクサスペンション用部材が得られない。 クラッド圧延処理表面の表面粗度の制御方法は、クラッド圧延条件や用いる原料金属を最適化することで可能である。 加えて、クラッド圧延処理後の表面に化学的あるいは機械的な表面処理を施して目的の表面粗度を得ても良い。

    加えて、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、前記のクラッド圧延処理で用いる導電性金属箔が、銅、ニッケル、銀、金、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属箔であることが好ましい。 これらの金属箔は、汎用的な工業材料として入手が容易かつ、高い導電性を有するため、本発明の効果を簡易にかつ確実に得られるものである。

    さらに、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、前記のクラッド圧延処理で用いる導電性金属箔が、銅を主成分とする箔であることが良い。 これは、導電性金属層が銅を主成分とすることで、高い導電性を発現することができると共に、安価な導電性金属層を構成し得ることができるためである。

    また、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法は、前記のクラッド圧延処理を用いた製造方法において、前記ステンレスが厚さ100μm以下のステンレス箔を用いる導電性金属層付きステンレス基体の製造方法であっても良い。 前述のように、本発明の導電性金属付きステンレス基体の構成要素としてのステンレスは、厚さ100μm以下が望ましい。 クラッド圧延によりステンレスの厚さが若干薄くなることが懸念されるが、導電性金属箔に比べてステンレスが高硬度で変形し難いため、その影響は少なく、かつ若干の変形による厚みの減少があっても、製造したステンレス基体の構成要素としてのステンレスの厚さは100μm以下となることは自明であり、したがって、厚さ100μm以下のステンレスを用いることで、本発明の効果が容易に得られる。

    以上が、本発明の導電性金属層付きステンレス基体の製造方法の詳細説明であるが、この他にも気相プロセスを用いてステンレスに導電性金属を形成させる方法や接着剤等の接着によりステンレス上に導電性金属箔を付ける方法等が有る。 そもそもの目的としては、ステンレス上に所定の厚さの導電性金属を付けてその表面を所定の表面粗度に至らしめることであることから、この目的に添った製造方法であれば用いることが可能である。

    次に、本発明のハードディスクサスペンション材料に関し説明する。

    本発明のハードディスクサスペンション材料は、先に述べた導電性金属層付きステンレス基体の導電性金属層上に、絶縁体層、金属箔層の順に積層してなる積層構造を有するハードディスクサスペンション材料である。 これにより本発明の目的である、大容量化やアクセス速度の高速化への対応に必要なハードディスク用サスペンション及びその基本構成部材及びその製造方法に関し、ステンレス上に設けられた導電性金属層とポリイミド系樹脂等の樹脂絶縁層との密着性を安定的に確保しつつ、エッチング加工精度の良い、環境負荷物質を含まないハードディスクドライブ用サスペンション部材が得られる。 本発明のハードディスクサスペンション材料において、絶縁体層である樹脂層と金属箔層との接着力及び樹脂層とステンレスとの接着力は、何れも0.5kN/m以上であることが好ましく、さらに好ましくは1.0〜4.0kN/mの範囲であることがよい。 ここで、接着力とは、常温(25℃)における180°ピール強度で表される数値を表す。 接着力が0.5kN/mに満たないと、サスペンションの製造工程で金属箔と樹脂との剥がれ等が発生し易くなる。 また、製造時の接着力のバラツキが見込まれるため、1.0kN/m以上あると安定的に0.5kN/m以上を確保し易くなる。

    加えて、本発明のハードディスクサスペンション材料は、前記絶縁体層が、ポリイミド系樹脂又はポリイミド系樹脂を主要成分とする樹脂の一方又は双方の単一層又は複数層であることが望ましい。 ポリイミド及びポリイミド系樹脂は、高絶縁性、高耐熱性、高寸法安定性等の優れた特性を有し、かつエッチング加工が容易のため、ハードディスクサスペンション材料の絶縁体層に適している。 樹脂層の好ましい厚さ範囲は4〜50μmであり、更に好ましくは、4〜30μmであるが、サスペンションの剛性設計によってステンレス基体並びに導電性金属層、銅箔、銅合金箔との兼ね合いで最適な層厚が選定されるので、特に規定されるものではない。 例えば、ポリイミド系樹脂を用いる場合は、予め準備した多層もしくは単一層ポリイミドフィルムを用い、熱圧着によって積層体とする場合や、ポリイミド系樹脂溶液を塗工法により塗布、乾燥させ、熱処理後に加熱圧着して積層体とする場合等があり、いずれも所要の膜厚、良好な密着性が得られ、用いることができる。 例えば、導電性金属層付きステンレス基体上に、ポリイミド系樹脂層を形成する方法は、ポリイミド系樹脂溶液を塗布、乾燥を繰り返した後、200℃以上の高温で熱処理を行い、その後金属箔を加熱圧着する方法がある。 ここで、絶縁体層のポリイミド系樹脂の含有率が50質量%以上であれば、他の樹脂との複合化、アロイ化によるフィルムや、他の樹脂フィルムとの積層化等を行っても、本発明の効果が得られる。

    更に、本発明は、前記いずれかのハードディスクサスペンション材料を加工、成形してなるハードディスクサスペンションである。 即ち、前記の本発明のハードディスクサスペンション材料は、これを用いてハードディスクサスペンションとしてハードディスクドライブの主要部品として応用される。 ハードディスクサスペンション材料の加工、成形とは、エッチングによる部品形状の形成、電気回路の形成、電気的接続、機械的接続、容器へのセット、固定、各種安全処理、防錆処理等の必要に応じたすべての処理を総称するものである。 これにより生成されたハードディスクサスペンションは、本発明の目的である、大容量化やアクセス速度の高速化への対応に必要な特性をすべて備えている。

    以上の如く、本発明によって、大容量化やアクセス速度の高速化への対応に必要なハードディスク用サスペンション及びその基本構成部材及びその製造方法に関し、ステンレス上に設けられた導電性金属層とポリイミド系樹脂等の樹脂絶縁層との密着性を安定的に確保しつつ、エッチング加工精度の良い、環境負荷物質を含まないハードディスクドライブ用サスペンション用のステンレス基体、更に基体上に金属箔層を有するハードディスク用サスペンション用の部材、及びその製造方法が提供されるに至った。

    以下、実施例に基づき本発明を更に具体的に説明する。

    本実施例中の導電性金属層の厚さは、試料をエポキシ樹脂に埋め込んだ後に研磨して、断面を走査型顕微鏡(SEM)により直接観察した。 得られた顕微鏡写真から各積層構造体の厚さを求めた。 一つの試料について、異なる視野で厚さの測定を10回行い、その平均値を求めた。

    実施例中の表面粗度Ra、Rzは、Veeco社製NT1000を用いて求めた。

    (実施例1)
    ステンレス箔にニッケルストライクめっきを施した後、導電性金属層として純銅を電気めっき法により設けて、導電性金属層付きステンレス基体を製造した。 得られた導電性金属層付きステンレス基体の銅表面の外観SEM観察写真を図1に示す。

    導電性金属層の電気めっきは、SUS304、厚さ20μm、幅220mm、Raが0.12μm、Rzが0.8μmのステンレス箔コイルを基材に用いて、脱脂洗浄、ニッケルストライクめっき、銅めっき、洗浄、乾燥の各工程を順次行った。 ニッケルストライクは、50℃のめっき浴にワット浴及びスルファミン浴を、また銅めっき浴には光沢剤を添加していない常温の硫酸銅浴を用いた。 また、銅めっき工程での電流密度は20A/dm 2とした。

    得られたステンレス基体の導電性金属層の厚さは、ニッケルめっき層が0.05μm、銅めっき層が2.5μmであった。 また、得られた導電性金属層付きステンレス基体の表面粗度はRa=0.22μm、Rz=2.42μmであった。

    このステンレス基体を用いて、ポリイミド中間層(無接着剤型、厚さ10μm)及び銅合金箔(厚さ18μm)を積層し、積層体を製造し、ハードディスクサスペンション材料を得た。

    この積層体の導電性金属層とポリイミド中間層との間の接着力は、1.7kN/mであった。 また、この材料をさらに恒温恒湿オーブン内(温度80℃、湿度80%)にて14日間保持したところ、保持後の接着力は0.9kN/mであった。 接着力はいずれも0.5kN/mを上回っており、充分なものであった。 即ち、ここで得られたハードディスク材料は、積層体として必要な密着強度を有し、かつ中間に導電性金属層を有することから、新規なハードディスクサスペンション材料、高容量・高伝送対応のハードディスクドライブに求められる特性をすべて備えているものであった。

    (実施例2)
    ステンレス箔にニッケルストライクめっきを施した後、導電性金属層として銀を電気めっき法により設けて、導電性金属層付きステンレス基体を製造した。

    導電性金属層の電気めっきは、実施例1で用いたステンレス箔コイルを基材に用いて、脱脂洗浄、ニッケルストライクめっき、銀めっき、水洗浄、乾燥の各工程を順次行った。 ニッケルストライクは、50℃のめっき浴にワット浴及びスルファミン浴を、また銀めっき浴には光沢剤を添加していない常温の硝酸銀浴を用いた。 また、銀めっき工程での電流密度は2A/dm 2とした。

    得られたステンレス基体の導電性金属層の厚さは、ニッケルめっき層が0.05μm、銀めっき層が1.4μmであった。 また、得られた導電性金属層付きステンレス基体の表面粗度は、Ra=0.55μm、Rz=2.98μmであった。

    このステンレス基体を用いて、ポリイミド中間層(無接着剤型、厚さ10μm)及び銅合金箔(厚さ18μm)を積層し、積層体を製造し、ハードディスクサスペンション材料を得た。

    この積層体の導電性金属層とポリイミド中間層との間の接着力は、1.0kN/mであった。 また、この材料をさらに恒温恒湿オーブン内(温度80℃、湿度80%)にて14日間保持したところ、保持後の接着力は0.7kN/mであった。 接着力はいずれも0.5kN/mを上回っており、充分なものであった。 即ち、ここで得られたハードディスク材料は、積層体として必要な密着強度を有し、かつ中間に導電性金属層を有することから、新規なハードディスクサスペンション材料、高容量・高伝送対応のハードディスクドライブに求められる特性をすべて備えているものであった。

    (実施例3)
    ステンレス箔に金めっきを施し、導電性金属層付きステンレス基体を製造した。

    導電性金属層の電気めっきは、SUS304、厚さ20μm、幅100mm、長さ100mm、Raが0.12μm、Rzが0.8μmのステンレス箔板を基材に用いて、脱脂洗浄、金めっき、水洗浄、乾燥の各工程を順次行った。 金めっき浴には、光沢剤を添加していない常温の硝酸/塩酸金溶液浴を用いた。 また、金めっきでの電流密度は1A/dm 2とした。

    得られたステンレス基体の導電性金属層の厚さは、金めっき層が0.15μmであった。 また、得られた導電性金属層付きステンレス基体の表面粗度は、Ra=0.88μm、Rz=4.48μmであった。

    このステンレス基体を用いて、ポリイミド中間層(無接着剤型、厚さ10μm)及び銅合金箔(厚さ18μm)を積層し、積層体を製造し、ハードディスクサスペンション材料を得た。

    この積層体の導電性金属層とポリイミド中間層との間の接着力は、0.8kN/mであった。 また、この材料をさらに恒温恒湿オーブン内(温度80℃、湿度80%)にて14日間保持したところ、保持後の接着力は0.6kN/mであった。 接着力はいずれも0.5kN/mを上回っており、充分なものであった。 即ち、ここで得られたハードディスク材料は、積層体として必要な密着強度を有し、かつ中間に導電性金属層を有することから、新規なハードディスクサスペンション材料、高容量・高伝送対応のハードディスクドライブに求められる特性をすべて備えているものであった。

    (実施例4)
    ステンレス箔と銅箔をクラッド圧延し、更に表面粗化処理を行って、導電性金属層付きステンレス基体を製造した。

    クラッド圧延は、SUS304、厚さ20μm、幅100mm、長さ100mmのステンレス箔、及び厚さ5μmの銅箔(幅と長さはステンレス箔と同じ)を材料に用いて、行った。 このクラッド圧延後のサンプルに、粗化処理を行った。 粗化処理は、日立化成工業(株)製の黒化還元剤HT−100に常温で5分保持した後、洗浄、乾燥を行った。

    得られたステンレス基体の導電性金属層の厚さは4.2μmであった。 また、得られた導電性金属層付きステンレス基体の表面粗度は、Ra=0.35μm、Rz=2.98μmであった。

    このステンレス基体を用いて、ポリイミド中間層(無接着剤型、厚さ10μm)及び銅合金箔(厚さ18μm)を積層し、積層体を製造し、ハードディスクサスペンション材料を得た。

    この積層体の導電性金属層とポリイミド中間層との間の接着力は、1.6kN/mであった。 また、この材料をさらに恒温恒湿オーブン内(温度80℃、湿度80%)にて14日間保持したところ、保持後の接着力は1.0kN/mであった。 接着力はいずれも0.5kN/mを上回っており、充分なものであった。 即ち、ここで得られたハードディスク材料は、積層体として必要な密着強度を有し、かつ中間に導電性金属層を有することから、新規なハードディスクサスペンション材料、高容量・高伝送対応のハードディスクドライブに求められる特性をすべて備えているものであった。

    (比較例1)
    実施例1と同様の方法にて積層構成を持つ積層体を製造した。 但し、ニッケルストライクめっきは行わず、銅めっき工程での電流密度は1A/dm 2とした。

    得られたステンレス基体の導電性金属層の厚さは、銅メッキ層が0.07μmであった。 また、ステンレス基体の表面粗度はRa=0.20μm、Rz=2.22μmであった。

    このステンレス基体を用いて、ポリイミド中間層(無接着剤型、厚さ10μm)及び銅合金箔(厚さ18μm)を積層し、積層体を製造し、ハードディスクサスペンション材料を得た。

    この積層体の導電性金属層とポリイミド中間層との間の接着力は極めて弱く、評価できなかった。

    (比較例2)
    実施例1と同様の方法にて積層構成を持つ積層体を製造した。 このときの導電性金属層としての純銅の電気めっき条件は、銅めっき浴に硫酸銅浴を用い、同硫酸銅浴には光沢剤を添加したことを除いて他の条件は全て同一であった。 光沢剤としては日本化学産業株式会社製ニュークッペライト1000及び3000を各々0.05質量%、0.1質量%ほど添加した。 本比較例で製造した銅めっき付きステンレス基体の銅表面の外観SEM観察写真を図2に示す。

    得られたステンレス基体の導電性金属層の厚さは、ニッケルめっき層が0.05μm、銅めっき層が2.5μmであった。 また、得られた導電性金属層付きステンレス基体の表面粗度は、Ra=0.03μm、Rz=0.67μmであった。

    このステンレス基体を用いて、ポリイミド中間層(無接着剤型、厚さ10μm)及び銅合金箔(厚さ18μm)を積層し、積層体を製造し、ハードディスクサスペンション材料を得た。 導電性金属層としての純銅とポリイミド中間層との間の接着力は、0.7〜1.4kN/mとばらつきが多かった。 同一サンプルをさらに恒温恒湿オーブン内(温度80℃、湿度80%)にて14日間経過後の接着力は0.3〜0.5kN/mに低下した。

    以上のように、比較例1においては、本発明で必要な導電性金属層の厚みを満たさないこと、比較例2においては、本発明の要件である表面粗度を満たさないために、実施例1〜4で認められた、本発明の優れた効果が得られなかった。

    本発明の実施例により製造した銅めっき表面の外観SEM観察写真

    本発明の比較例により製造した銅メッキ表面の外観SEM観察写真

    本発明の実施例における主要4層からなる積層体の構成を示す断面図

    符号の説明

    1 金属箔層 2 ポリイミド系樹脂層 3 銅めっき層 4 ニッケルめっき下地層 5 ステンレス基体

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