Substrate material for hdd suspension

申请号 JP2004000475 申请日 2004-01-05 公开(公告)号 JP2005196839A 公开(公告)日 2005-07-21
申请人 Nippon Steel Chem Co Ltd; Nippon Steel Corp; 新日本製鐵株式会社; 新日鐵化学株式会社; 发明人 SHOJI HIROMASA; KUBO YUJI; HAMADA TAKESHI; MIZUNO TAMAMI; OKAMURA KAZUTO; SAWAMURA TAIZO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a substrate material for an HDD suspension exhibiting high adhesion between its stainless foil and an insulating resin layer and capable of maintaining the high etching characteristics of the insulating resin by preventing the diffusion of a metal component in the stainless into the insulating resin layer.
SOLUTION: The substrate material for the HDD suspension prepared by molding a stainless foil has at least a coating layer mainly containing one or both of a metal oxide or metal hydroxide as metal species excluding chrome and an insulating resin layer, both layer being stacked on the surface of at least one side of the stainless foil.
COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI
权利要求
  • ステンレス箔を成型加工してなるHDDサスペンション用基板材料であって、該ステンレス箔の少なくとも片側の表面上に、金属種としてクロムを除く金属酸化物又は金属水酸化物の一方または両方を主とした被膜層と、絶縁性樹脂層を少なくとも積層してなることを特徴とするHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記被膜層の平均膜厚が5μm以下である請求項1記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記被膜層のステンレス箔に対する被覆率が10%以上である請求項1又は2に記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記被膜層がステンレス箔上に島状分布する請求項1〜3のいずれかに記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記被膜層にクラックが存在する請求項1〜4のいずれかに記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記金属種がジルコニウム、チタン、ケイ素から選ばれる1種又は2種以上である請求項1記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記金属種がチタンである請求項1記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記被膜層を有するステンレス箔と絶縁性樹脂層との接着力が0.54kN/m以上である請求項1記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記ステンレス箔の厚みが10〜100μmである請求項1記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記絶縁性樹脂層の厚みが1〜150μmである請求項1記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記絶縁性樹脂層が耐熱性ポリイミド系樹脂である請求項1記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記耐熱性ポリイミド系樹脂層が高熱膨張性ポリイミド/低熱膨張性ポリイミド/高熱膨張性ポリイミドの三層構造を成す請求項11記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記耐熱性ポリイミド系樹脂層の線膨張係数が1×10 -5 〜3×10 -5 /℃の範囲にある請求項12記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • さらに前記絶縁性樹脂層の上に金属層を積層してなる請求項1記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記金属層が金属箔である請求項14記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記金属箔が表面処理された金属箔である請求項15記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記金属箔がステンレス箔又は銅箔である請求項15又は16記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 前記金属層と絶縁性樹脂層との接着力が0.54kN/m以上である請求項14記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • HDDサスペンションを構成するロードビーム用基板材料である請求項1〜18のいずれかに記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • HDDサスペンションを構成するフレクシャーブランク用基板材料である請求項1〜18のいずれかに記載のHDDサスペンション用基板材料。
  • 说明书全文

    本発明は、絶縁性樹脂層との密着性に優れたHDDサスペンション用基板材料に関する。

    ハードディスクドライブ(以下HDD)は、近年のパーソナルコンピュータの普及率増加や、家電やカーナビ等の各種アプリケーションへの新規搭載などに伴い、その生産量が軒並み増加している。 HDDは、今後、大容量化や小型化が進むと予測され、HDDにおいて磁気を読み取るフレクシャーブランクを構成するサスペンション(以下HDDサスペンション)部分についても、また、小型化及び配線の多線化、細線化が進むと考えられる。

    ワイヤレスサスペンションは、金属層(導体層)/絶縁性樹脂層/金属層(支持層)から成る3層材であり、支持層として使用されるステンレス箔の板ばねに、絶縁層を挟んで直接銅配線が形成されている。 高速で回転するディスク上をスキャンする際に、細かな振動と慣性が加わる部材であるため、金属層と絶縁層との密着性が不可欠であり、また、部材の小型化や細線化が進むに従って、より一層の密着性が必要とされるようになる。

    一方、積層体を構成する絶縁性樹脂層の形状加工においては、ウェットエッチング加工法とドライエッチング加工法が用いられているが、絶縁性樹脂層へ金属層から金属成分が拡散することにより、樹脂の変性が起こる場合があり、エッチング加工速度の著しい低下を招くため、問題となっている。 特に、形状加工法の内で最も一般的なプラズマ法によるドライエッチング加工は、ランニングコストが高く加工費が割高となるため、エッチング速度低下による損害は大きい。

    以上のような背景のもと、特許文献1では、圧延後の洗浄においてフッ化物イオン濃度0.5〜3mol/m 3 、pH2〜4.2の溶液により洗浄することを特徴とする、ポリイミド樹脂密着性に優れたステンレス箔圧延材の製造方法が報告されている。 この技術により、圧延材の表面に残った圧延油や疎水性大気生成被膜等を化学処理によって効率的に除去することができ、密着性不良部を低減し、ステンレス箔とポリイミド樹脂の密着性が確保できるとされている。 しかし、この密着性は十分ではなく、また金属成分の拡散抑制効果は全く期待できない。

    以上に述べたように、絶縁層との密着性を高度に満足し、かつ金属成分の拡散抑制に効果のあるステンレス箔の表面処理は未だ開発されておらず、早急な開発が望まれていた。

    特開2001-207194号公報

    本発明は、このような状況に鑑みたものであり、その目的は、ステンレス箔と絶縁性樹脂層との優れた密着性を有し、且つ、ステンレス中の金属成分の絶縁性樹脂層への拡散を防ぐことにより、絶縁性樹脂の高いエッチング性能を保持するHDDサスペンション用基板材料を提供することである。

    本発明者らは、前記課題を解決する手段を鋭意検討した結果、ステンレス箔の少なくとも片側の表面上に、金属種としてクロムを除く金属酸化物又は金属水酸化物の一方または両方を主とした被膜層と、絶縁性樹脂層とを少なくとも積層してなることを特徴とするHDDサスペンション用基板材料が、ステンレス箔と絶縁性樹脂層との優れた密着性を有することを見出し、さらには一般的なエッチャントによる絶縁性樹脂のエッチングにおいて、その速度が低下しないことを見出し、本発明に至った。

    本発明の趣旨とするところは、以下のとおりである。
    (1) ステンレス箔を成型加工してなるHDDサスペンション用基板材料であって、該ステンレス箔の少なくとも片側の表面上に、金属種としてクロムを除く金属酸化物又は金属水酸化物の一方または両方を主とした被膜層と、絶縁性樹脂層を少なくとも積層してなることを特徴とするHDDサスペンション用基板材料。
    (2) 前記被膜層の平均膜厚が5μm以下である前記(1)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (3) 前記被膜層のステンレス箔に対する被覆率が10%以上である前記(1)又は(2)に記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (4) 前記被膜層がステンレス箔上に島状分布する前記(1)〜(3)のいずれかに記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (5) 前記被膜層にクラックが存在する前記(1)〜(4)のいずれかに記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (6) 前記金属種がジルコニウム、チタン、ケイ素から選ばれる1種又は2種以上である前記(1)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (7) 前記金属種がチタンである前記(1)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (8) 前記被膜層を有するステンレス箔と絶縁性樹脂層との接着力が0.54kN/m以上である前記(1)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (9) 前記ステンレス箔の厚みが10〜100μmである前記(1)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (10) 前記絶縁性樹脂層の厚みが1〜150μmである前記(1)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (11) 前記絶縁性樹脂層が耐熱性のポリイミド系樹脂である前記(1)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (12) 前記耐熱性ポリイミド系樹脂層が高熱膨張性ポリイミド/低熱膨張性ポリイミド/高熱膨張性ポリイミドの三層構造を成す前記(11)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (13) 前記耐熱性ポリイミド系樹脂層の線膨張係数が1×10 -5 〜3×10 -5 /℃の範囲にある前記(12)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (14) さらに前記絶縁性樹脂層の上に金属層を積層してなる前記(1)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (15) 前記金属層が金属箔である前記(14)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (16) 前記金属箔が表面処理された金属箔である前記(15)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (17) 前記金属箔がステンレス箔又は銅箔である前記(15)又は(16)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (18) 前記金属層と絶縁性樹脂層との接着力が0.54kN/m以上である前記(14)記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (19) HDDサスペンションを構成するロードビーム用基板材料である前記(1)〜(18)のいずれかに記載のHDDサスペンション用基板材料。
    (20) HDDサスペンションを構成するフレクシャーブランク用基板材料である前記(1)〜(18)のいずれかに記載のHDDサスペンション用基板材料。

    本発明によると、ステンレス箔と絶縁性樹脂層との優れた密着性を有するHDDサスペンション用基板材料の提供が可能となる。 さらに、ロードビームやフレクシャーブランク等のHDDサスペンション材料への形状加工において、歩留まりや品質安定性が向上する。

    以下に、本発明を詳しく説明する。
    本発明は、ステンレス箔を成型加工してなるHDDサスペンション用基板材料であり、該ステンレス箔の少なくとも片側の表面上に、金属種としてクロムを除く金属酸化物又は金属水酸化物の一方又は両方を主とした被膜層と、絶縁性樹脂層を少なくとも積層したものである。

    本件の発明者らが鋭意検討した結果、ステンレス箔表面に金属酸化物又は金属水酸化物の一方又は両方を主とした被膜層を有することで、全くこのような処理を施さない場合よりも絶縁性樹脂との密着性が向上することを見出した。 この機構については明確ではないが、金属酸化物と金属水酸化物がその上に形成される絶縁性樹脂と強固な化学結合を有することが原因ではないかと考えられる。 さらに、金属酸化物又は金属水酸化物の一方又は両方を主とした被膜層の被覆率が10%以上の場合、より密着性が向上することを見出した。 この機構についても明確ではないが、いわゆるアンカー効果に類似の作用により向上したのではないかと考えられる。 ここで、被覆率とは、ステンレス箔の表面積に対する被覆層面積の割合である。 対象となる状態としては、低成膜量の場合によく見られる島状析出や、充分な成膜量であるが被膜に下地まで達するクラックが存在することによるもの、島状析出部分にクラックが存在する場合等である。 このような状態の場合、表面積増大やクラックへの樹脂食い込みによるアンカー効果発現、及び化学結合に関与する面積増大のために、密着性が向上するものと考えられる。 被覆率10%未満では、これらの効果が十分に発現しない。 更に、この被膜層の被覆率が10%以上の場合には、絶縁性樹脂のエッチング速度の低下が抑制されていることを確認した。 これは、基材からの金属成分の拡散抑制によるものと考えられる。

    金属酸化物又は金属水酸化物の一方又は両方を主とした被覆層の平均厚さは、5μm以下が好ましい。 5μm超では密着性が飽和し経済的でなく、場合によっては性能が低下することがある。 平均厚さの下限値は、被覆されていない部分があっても被覆されている部分の厚さが少なくとも単分子層あればよい。

    積層する絶縁性樹脂層の厚さは1〜150μmであるのが好ましい。 1μm未満では、電気的絶縁の信頼性が低下すると同時に、誘電特性が悪くなる可能性がある。 150μmを超えると、高精度のパターニングが行い難いという問題が生じる。 積層する絶縁性樹脂層の厚さは、より好ましくは3〜20μmである。

    本発明のステンレス箔の上に形成される金属酸化物又は金属水酸化物の金属種は、クロムを除いて特に限定するものではないが、鉄、マグネシウム、ニオブ、タンタル、アルミニウム、ニッケル、コバルト、チタン、ジルコニウム、ケイ素等が挙げられる。 この被覆層は、1種類の金属種で構成されても良いし、2種類以上の複合系、混合系や積層でも良い。 特に好適な金属は、チタン、ジルコニウム、ケイ素である。 これは、チタン、ジルコニウム、ケイ素の酸化物及び水酸化物が有機物と良好な結合を形成するためと考えている。 また、クロムの酸化物又は水酸化物も密着性等への効果は確認しているが、成膜時に経由する可能性があるクロムイオンと被膜に残存する可能性があるクロムイオンの環境負荷への影響を考慮して、金属種としてクロムを除いた。 ステンレス箔上に金属酸化物と金属水酸化物の一方又は両方を形成する方法は、特に限定するものではなく、一般に公知の方法を適用することができる。 例えば、金属のフルオロ錯イオン等のふっ化物イオンを用いる液相析出法やゾルゲル法等の液相法、スパッタリング法やCVD法等の乾式法等を挙げることができる。

    金属板表面上に形成した金属酸化物又は金属水酸化物の被覆率制御やクラック形成方法は、特に限定するものではないが、例えば、研磨紙等による機械的な研削、急冷等のヒートショック、酸性水溶液、アルカリ性水溶液、ふっ化物イオン含有水溶液による化学的エッチング等を挙げることができる。 勿論、成膜方法や成膜条件によっては、自ずとクラックが発生することもある。

    本発明に適用できるステンレス箔は、特に制限されるものではないが、サスペンションに必要なばね特性や寸法安定性の観点から、SUS304が好ましい。 ステンレス箔の好ましい厚さ範囲は10〜100μmである。 10μm未満では、積層体の反りが大きくなり易く、HDDサスペンション用基板材料における支持体としての信頼性が損なわれる。 100μm超では、剛性が大きく、HDDサスペンション用基板材料としては適さない。

    本発明の絶縁性樹脂種は、特に限定されるものではない。 例えば、ポリイミド、ポリエチレン、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フッ素樹脂等である。 耐熱性、難燃性、寸法安定性、耐薬品性等を考慮すると、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のイミド結合を構造中に有するポリマーからなるポリイミド系樹脂等が好ましい。 勿論、ポリイミド系樹脂種も限定されない。 絶縁性樹脂層の積層方法もまた限定されない。 樹脂層の構造についても限定されず、単層であっても複数種のポリイミド系からなる多層構造であってもよいが、好ましくは三層構造をなし、ステンレス箔或いは金属層と接する層(以下、接着層)のポリイミド系樹脂として高熱膨張性ポリイミドを、ステンレス箔或いは金属層と接しない層(以下、コア層)のポリイミド系樹脂として低熱膨張性ポリイミドを用いた、高熱膨張性ポリイミド樹脂層/低熱膨張性ポリイミド樹脂層/高熱膨張性ポリイミド樹脂層という三層構造がよい。 この理由としては、接着層は、ステンレス箔或いは金属層との化学結合の促進やアンカー効果による接着力発現のために、加熱時に可塑性を有する事が必要である一方で、コア層は、樹脂層の寸法変化や加工後の反りを抑制するために、低熱膨張性であることが必要であることが挙げられる。 なお、二層の接着層の樹脂種は、互いに同一であっても異なっていても良い。 三層の厚みは限定されない。 金属酸化物又は金属水酸化物の一方又は両方を主とした被覆層の形状として、島状析出したものや下地まで達するクラックを有するものがあるが、接着層がこの形状の高低差以上の厚みを有することが、樹脂の食い込みに起因する接着性を十分に発現させるために好ましい。 ただし、接着層樹脂は、高熱膨張性樹脂であり、ポリイミド樹脂層の寸法変化を増大させる因子となるため、必要以上に厚いことは好ましくない。 三層としての線膨張係数は1×10 -5 〜3×10 -5 /℃が好ましい。 このように、ポリイミド系樹脂層を、低熱膨張性ポリイミド樹脂層と高熱膨張性ポリイミド樹脂層とを組み合わせて、多層構造とすることによって、材料特性として低熱膨張性と高接着性の両方を満足する樹脂層を形成することが可能となる。

    また、必要に応じて、絶縁性樹脂層の上に、さらに金属層を積層しても良い。 絶縁性樹脂層上に積層する金属層は、特に限定されるものではない。 銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられる。 また、金属箔であれば、ステンレス箔、銅箔、銅合金箔、アルミニウム箔、アルミニウム合金箔等が挙げられる。 これら金属箔については、接着力等の改良を目的として、化学的あるいは機械的な表面処理を施してもよい。

    上記被覆層を有するステンレス箔又は上記金属層と上記絶縁性樹脂層との接着力は、0.54kN/m以上であるのが好ましい。 0.54kN/m未満では、HDDサスペンション用基板材料の製造工程であるエッチング等の処理において剥がれを生じる場合があり、また、使用環境下においては高速で回転するディスク上をスキャンする際の細かな振動や慣性力により不具合を生じやすくなる。

    ロードビームやフレクシャー等のHDDサスペンション構成部材への加工も、特に限定されない。 これらは、例えば、金属部分や絶縁性樹脂層部分をエッチングすることで加工される。

    以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。

    [金属材料]
    基板材料として、各種厚みのステンレス箔(SUS304)を用いた。
    また、Al箔、Cu箔等も必要に応じて用いた。

    [基板材料への被覆層の形成方法]
    基板材料への金属酸化物及び金属水酸化物の付与は、液相析出法とスパッタ法によった。 液相析出法の処理液としては、(1) 0.1mol/Lヘキサフルオロケイ酸アンモニウム水溶液、(2) 0.1mol/Lヘキサフルオロチタン酸アンモニウム水溶液、(3) 0.1mol/Lヘキサフルオロジルコン酸アンモニウム水溶液をそれぞれ用いた。 ステンレス箔を上記処理液へ浸漬し、アルミニウムを対極としたカソード電解により、金属酸化物及び金属水酸化物をステンレス箔上に成膜した。 成膜条件は、電流密度を100mA/cm 2に制御して、室温で1〜10分間の電解とし、成膜後、水洗し、乾燥した。
    また、スパッタ法は、Si、Ti、Zrをターゲットとし、下地金属板上に金属酸化物を成膜した。
    成膜した被覆層について、X線光電子分光法と赤外線分光法により、金属酸化物及び金属水酸化物の生成を確認した。

    [絶縁性樹脂]
    絶縁性樹脂は、以下の手法によりそれぞれ作製した。
    まず、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン292.3g(1mol)を5Lのセパラブルフラスコ中で攪拌しながら、3690.0gのN,N-ジメチルアセトアミドを溶解させた。 この溶液を氷浴で冷却しながら、窒素気流中で3,4,3',4'-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物358.3g(1mol)を加えた。 この溶液を室温に戻して、3時間攪拌を続けて重合させて、ポリイミド前駆体溶液Aを得た。

    次に、4,4'-ジアミノ-2'-メトキシベンズアニリド154.4g(0.6mol)と4,4'-ジアミノジフェニルエーテル80.1g(0.4mol)を5Lのセパラブルフラスコ中で攪拌しながら、2560.0gのN,N-ジメチルアセトアミドを溶解させた。 この溶液を氷浴で冷却しながら、窒素気流中でピロメリット酸二無水物218.1g(1mol)を加えた。 この溶液を室温に戻して、3時間攪拌を続けて重合させて、ポリイミド前駆体溶液Bを得た。

    さらに、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン292.3g(1mol)を5Lのセパラブルフラスコ中で攪拌しながら、3530.0gのN,N-ジメチルアセトアミドを溶解させた。 この溶液を氷浴で冷却しながら、窒素気流中で3,4,3',4'-ジフェニルスルフォンテトラカルボン酸二無水物286.6g(0.8mol)とピロメリット酸二無水物43.6g(0.2mol)を加えた。 この溶液を室温に戻して、3時間攪拌を続けて重合させて、ポリイミド前駆体溶液Cを得た。

    [作製試料の評価方法]
    (1) 密着性評価 目的とする界面の密着性評価は、目的とする界面を構成する金属材料に、幅3.2mmの直線状のパターニングを施し、測定用サンプルを作成した後、ポリイミド樹脂層側を固定板に貼り付け、目的とする界面のみが剥離するように引張試験機(東陽精機株式会社製、ストログラフーMI)を用いて、目的とする界面を構成する金属材料を90°方向に引き剥がした際の接着力を測定することで行った。 評価基準は、0.54kN/m以上を○、0.54kN/m未満を×とした。

    (2) 被覆層の被覆率測定 基板材料上に形成した被覆層の被覆率は、次のようにして求めた。 走査型電子顕微鏡を用いて、倍率10000倍で観察後、画像処理により下地金属と被覆層を区別して、その比率を求め、これを任意の5箇所について行い、その平均を被覆率とした。

    (3) エッチング性能評価 ステンレス箔上に形成したポリイミド樹脂層のエッチング性能を評価した。 試料を50℃の100%水加ヒドラジンに浸漬して、ポリイミド樹脂層のエッチング速度の比較をした。 無処理のステンレス箔上に形成したポリイミド樹脂層のエッチング速度を基準とし、これよりエッチング速度が速い場合を○、同等の場合を△、遅い場合を×とした。

    (実施例1)
    厚さ10μmのステンレス箔上に、表1に示す条件で各種被覆層を形成した。 また、比較材として、無処理のステンレス箔も用いた。

    次に、これら試料の表面に各種厚みのポリイミド樹脂層を形成した。 樹脂層の合計厚みを10μmとする場合の形成方法は、試料表面に、硬化後の膜厚が1μmとなるように、上述のポリイミド前駆体溶液Aを塗布して、130℃、4分間乾燥した。 次に、この上に、上述のポリイミド前駆体溶液Bを硬化後の二層膜厚が9μmとなるように塗布して、130℃、8分間乾燥した。 さらに、上述のポリイミド前駆体溶液Cを硬化後の三層膜厚が10μmとなるように塗布して、130℃、4分間乾燥した。 このように、ポリイミド樹脂層を三層積層した試料を、窒素気流中で最高到達温度が360℃となる条件で熱処理を行い、樹脂層の硬化を完了させた。

    このようにして得られた各種試料について、上述の評価試験を行った。 結果を表1に示す。

    被覆層の成膜方法によらず、被覆層を形成したステンレス箔は、何れも無処理のステンレス箔よりも絶縁性樹脂層との密着性に優れていた。 また、樹脂層のエッチング性能も無処理ステンレス箔と同等以上であった。

    (実施例2)
    厚さ10μmの銅箔の表面に各種厚みのポリイミド樹脂層を形成した。 樹脂層の合計厚みを10μmとする場合の形成方法は、試料表面に硬化後の膜厚が1μmとなるように、上述のポリイミド前駆体溶液Aを塗布して、130℃、4分間乾燥した。 次に、この上に上述のポリイミド前駆体溶液Bを硬化後の二層膜厚が9μmとなるように塗布して、130℃、8分間乾燥した。 さらに、上述のポリイミド前駆体溶液Cを硬化後の二層膜厚が10μmとなるように塗布して、130℃、4分間乾燥した。 このように、ポリイミド樹脂層を3層積層した試料を、窒素気流中で最高到達温度が360℃となる条件で熱処理を行い、樹脂層の硬化を完了させた。

    一方、厚さ100μmのステンレス箔上に、表2に示す条件で各種被覆層を形成した。 また、比較材として、無処理のステンレス箔も準備した。
    上記銅箔上に形成した樹脂層とステンレス箔の処理面が向き合うように重ね合わせた後、真空プレス機を用いて面圧100kg/cm 2 、温度320℃、プレス時間60分間の条件で加熱圧着した。

    このようにして得られた各種試料について、上述の評価試験を行った。 結果を表2に示す。

    被覆層の成膜方法によらず、被覆層を形成したステンレス箔は、何れも無処理のステンレス箔よりも絶縁性樹脂層との密着性に優れていた。

    さらに、No.35〜64のサンプルについて、ロードビームやフレクシャーの形状にエッチング加工して、外観を確認した。 その結果、全てのサンプルについて、精度良く加工可能であることが確認された。

    (実施例3)
    表1のNo.10と同条件で処理した厚さ10μmのポリイミド層を有する10μmステンレス箔に対して、表3で示す条件で、ポリイミド樹脂表面上に金属層を形成した。 10μm厚さのAl箔(No.71)、Cu箔(No.75)の表面処理方法の詳細は、それぞれ、表1のNo.10、20と同じ酸化物層形成条件で行った。

    このようにして得られた各種試料について、上述の評価試験を行った。 結果を表3に示す。

    いずれも積層体形成が確認された。 また、表面処理した金属箔においては、絶縁性樹脂層との密着性に優れていた。

    さらに、No.73〜75のサンプルについて、ロードビームやフレクシャーの形状にエッチング加工して、外観を確認した。 その結果、全てのサンプルについて、精度良く加工可能であることが確認された。

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