Plastic card, its production method, plate for hot press, and card production device

申请号 JP2002247578 申请日 2002-08-27 公开(公告)号 JP2003159753A 公开(公告)日 2003-06-03
申请人 Sony Corp; ソニー株式会社; 发明人 KANO KENICHI; NISHIMURA KIMITAKA;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a plastic card such as an IC card or the like which has substantially no distortion or twisting by correctly gathering card configuration sheets and welding them with simple equipment. SOLUTION: A round hole 17 and a slot hole 18 are formed at portions of laminated card constituting sheets 19a to 19d corresponding to the positions of the holes, and a positioning pin 21 is inserted into each hole. The slot hole 18, which has a play against the positioning pin 21, absorbs distortion or twisting of each card constituting sheet and avoids printing shifts or the like to improve appearance and to prevent reduction in the mechanical strength due to residual stresses. COPYRIGHT: (C)2003,JPO
权利要求
  • 【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数のカード構成シートの各シートの複数の対応箇所に2以上の基準孔を形成し、前記基準孔の少なくとも1個に当該基準孔と実質的に形状が同一の第1位置決めピンを貫通させ、残りの基準孔の少なくとも1個に当該基準孔の形状より断面積が小さい第2位置決めピンを貫通させて、前記各カード構成シート相互の位置関係を固定し溶着したことを特徴とするプラスチックカード。 【請求項2】 前記プラスチックカードが、ICチップを埋め込んだICカードであることを特徴とする請求項1に記載のプラスチックカード。 【請求項3】 前記複数の基準孔が、前記第1位置決めピンと同一形状の丸孔と、前記第2位置決めピンより断面積が大きい長孔とを含むことを特徴とする請求項1に記載のプラスチックカード。 【請求項4】 前記複数のカード構成シートを積層した積層シート体に形成された基準孔の周囲に、非熱プレス部を有することを特徴とする請求項1に記載のプラスチックカード。 【請求項5】 複数のカード構成シートの各シートの複数の対応箇所に1個の丸孔と1又は2以上の長孔を形成する工程と、前記丸孔に当該丸孔と実質的に形状が同一の第1位置決めピンを貫通させるとともに、前記長孔に各カード構成シートに歪みが生じないように第2位置決めピンを貫通させる工程と、前記各カード構成シートを溶着し一体化する工程とを有することを特徴とするプラスチックカードの製造方法。 【請求項6】 丁合い積層された複数のカード構成シートを溶着してプラスチックカードを製作する熱プレス用プレートにおいて、上下一対のプレート部材と、前記一対のプレート部材間に設けられ、前記カード構成シートが収容される収容部を画成する環状の密封部材と、 一端が前記収容部に臨み、他端が前記プレート部材の外部に臨む排気通路と、 前記排気通路の他端に接続され、前記収容部への外気の侵入を禁止する逆止弁装置と、 前記収容部内に立設配置され、前記複数のカード構成シートの各々の対応する箇所に形成された2以上の基準孔に対してそれぞれ貫通する2以上の位置決めピンとを備え、 前記位置決めピンが、前記複数の基準孔のうち少なくとも1個の基準孔と実質的に同一の形状の第1位置決めピンと、残りの基準孔の少なくとも1個の基準孔より断面積が小さい第2位置決めピンとを有することを特徴とする熱プレス用プレート。 【請求項7】 前記密封部材が、 前記一対のプレート部材のうち一方側に密着固定されるベース部と、 他方側の前記プレート部材に密着する密封部と、 前記ベース部と前記密封部とを連絡する連結部とを有し、 前記密封部の密着力を、前記連結部の弾性的な曲げ変形の反力によって得ることを特徴とする請求項6に記載の熱プレス用プレート。 【請求項8】 前記一対のプレート部材の狭圧面がそれぞれ鏡面板で被覆されており、このうち下方側のプレート部材の鏡面板には、その互いに対向する縁部に対し、
    前記製作されたプラスチックカードを取り出すための取出し爪を挿入させるためのニゲ部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の熱プレス用プレート。 【請求項9】 前記ニゲ部の形成部位に対応する他方側の前記鏡面板の外周部位には、テープ状部材が貼着されていることを特徴とする請求項8に記載の熱プレス用プレート。 【請求項10】 前記テープ状部材が貼着されない前記他方側の鏡面板の残りの外周部位には、前記テープ状部材よりも厚さの小さい補助テープ状部材が貼着されていることを特徴とする請求項9に記載の熱プレス用プレート。 【請求項11】 前記補助テープ状部材が、各鏡面板間で対となって貼着されていることを特徴とする請求項1
    0に記載の熱プレス用プレート。 【請求項12】 上下一対のプレート部材からなり丁合い積層された複数種のカード構成シートを狭圧する熱プレス用プレートを用いて、前記カード構成シートを積層したプラスチックシートを製作するカード製造装置であって、 前記熱プレス用プレートには、前記一対のプレート部材間に画成される収容部内の真空状態を保持する逆止弁装置が設けられるとともに、 前記熱プレス用プレートの内部には、前記複数のカード構成シートの各々の対応する箇所に形成された2以上の基準孔にそれぞれ貫通し、前記複数の基準孔のうち少なくとも1個の基準孔と実質的に同一の形状の第1位置決めピンと、残りの基準孔の少なくとも1個の基準孔より断面積が小さい第2位置決めピンとが設けられ、 上下二段の搬送路間で前記熱プレス用プレートを循環搬送する搬送手段と、 前記一対のプレート部材間に複数枚のカード構成シートを積層する供給部と、 前記搬送路に沿って直列配置された複数のプレス部からなり、前記熱プレス用プレートをプレス処理して前記プラスチックシートを製作するラミネート部と、 前記熱プレス用プレートから前記プラスチックシートを取り出す取出部とを備えたことを特徴とするカード製造装置。 【請求項13】 前記供給部には、前記基準孔が形成されたカード構成シートをその種類毎に位置決め収容した複数のトレイから、前記プレート部材へ向けて順次、前記第1,第2位置決めピンを基準として、前記カード構成シートを一枚ずつ転送するシート転送手段を備えることを特徴とする請求項12に記載のカード製造装置。 【請求項14】 前記ラミネート部では、前記各プレス部の可動プレス盤が前記熱プレス用プレートの下方側に配置されていることを特徴とする請求項12に記載のカード製造装置。 【請求項15】 前記複数のプレス部の少なくとも1つが、前記カード構成シートを狭圧する上方側の前記プレート部材の代わりとして、プレス盤のプレス面を覆うように湾曲形状の金属板が取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載のカード製造装置。 【請求項16】 前記カード構成シートと前記金属板との間には、前記カード構成シートよりも軟質の樹脂製フィルムが介在されていることを特徴とする請求項15に記載のカード製造装置。 【請求項17】 前記取出部の下流側には、前記一対のプレート部材のそれぞれの狭圧面をクリーニングするクリーニング部が設けられていることを特徴とする請求項12に記載のカード製造装置。 【請求項18】 前記クリーニング部が、 前記狭圧面に付着した異物を削り落とすラッピング機構と、 前記狭圧面に付着した異物を除去する粘着ローラとを有することを特徴とする請求項17に記載のカード製造装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、例えばICカードなどのプラスチックカードを構成する複数のカード構成シートを丁合いのずれを生じさせることなく積層できるようにしたプラスチックカード、プラスチックカードの製造方法、熱プレス用プレートおよびカード製造装置に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、例えば、クレジットカード、ID
    カード、キャッシュカード等のカード状の記憶媒体においては、磁気カードに加えて、カード素材にマイクロプロセッサやRAM(Random Access Memory)、ROM
    (Read Only Memory)等の半導体メモリを含むICモジュールを搭載したICカードが開発されている。 この種のICカードとしては、接触型ICカード、非接触型I
    Cカード、接触型と非接触型との両方の機能を兼ね備えたICカードなどがある。 これら何れのICカードも、
    情報記憶量が非常に大きく、かつ、セキュリティ性を有する点で、他のカード状記憶媒体よりも優れている。 【0003】これらのカードの多くはプラスチック(樹脂)で成形され、製作されたカードには個人名や登録番号等のカード情報が格納され、それらの情報は各種読み取り装置により読み出される。 ICカードを含む各種プラスチックカードは複数のカード構成シートを積層し加熱溶着して製造される。 各カード構成シートの丁合いは、従来より、殆どが手作業で積層順に1枚毎に行われ、熱溶着あるいは超音波溶着でポイント溶着している。 積層丁合いおよび丁合いシートの溶着を自動化するためには、大判の剛性のない50〜250μmの樹脂シートを搬送し、画像処理のための位置決めをし、1枚毎に丁合いおよび溶着をすることが必要で、大型で高価な丁合い設備が必要になるという欠点がある。 【0004】従来のICカード以外のプラスチックカードでは、磁気ストライプおよびデザイン絵柄を有する最外層シート等の全ての積層シートを丁合いし、1回のプレス工程で積層カード化を行っていた。 しかし、ICカードの場合は、カード構成シートの中心部付近に凸状のアンテナ銅パターンと凸状のICチップを内装している。 このICカードを製造する際に、従来のように各カード構成シートを積層しかつ熱プレスすると、熱プレスの過程で内層の凸状のICチップに対して、積層シートが形状追従し、ICチップ近傍の印刷絵柄が著しく乱れ変形して外観品質の致命的な欠点となる。 例えば、IC
    カードの一種として、カード表面に情報を書き込むロイコ印刷層を有するリライトICカードがあり、このカードでは、ICチップ近傍のカード表面の歪みは、情報書き込みのサーマルヘッドとの均一なギャップが保証されないため、ロイコ印刷層に書き込み情報の文字かすれ、
    印字抜け等の致命的な欠点を生じることがある。 【0005】図38を参照して、従来のICカードの積層構造を説明する。 図38に示すように、従来のICカードは積層構造の核となるアンテナ基板1を中心に構成される。 アンテナ基板1の上面のICチップ積層箇所に、接着性を有する異方性導電膜2を貼り付ける。 次いで、この異方性導電膜2の上面に、例えば180〜25
    0℃の加熱下、800gの面圧で非接触ICチップ3が接着される。 この際、非接触ICチップ3の3個のバンプのうち一方が異方性導電膜2に接触してアンテナパターン表面の回路を形成する。 他方のバンプは、異方性導電膜2を突き破ってアンテナ基板1の裏面にあるアンテナパターンとの回路を形成する。 そして、重要部品であるこのICチップ3の導通特性を保証するため、ICチップ3の上面を、例えばフィラー10%含有のエポキシ系接着剤を塗布した接着材4aにより封止処理する。 更にこの封止処理したICチップ3を保護するために、接着材4aの上面にステンレス製等の強化板5aを付設して補強保護を行う。 アンテナ基板1の裏面には、接着材4b、ステンレス製等の強化板5bを積層し、これによりアンテナ基板1の積層が完了する。 【0006】積層完了後のアンテナ基板1の上下面には、それぞれ接着シート6a,6bを積層し各接着シート6a,6bのそれぞれに上外装材7aおよび下外装材7bを接着する。 なお、接着シート6a,6bには、I
    Cチップ逃げのための凹部6cが形成されている。 上外装材7aおよび下外装材7bのそれぞれの上面および下面には、磁気ストライプ7eを介して、磁気ストライプ隠蔽層7c,7dを積層する。 更に上方の磁気ストライプ隠蔽層7cの上面および下方の磁気ストライプ隠蔽層7dの下面には、それぞれ印刷インク層8a,8bが積層されている(リライトカードの場合は最外層をロイコ印刷層とし、磁気ストライプ遮蔽層を除く)。 【0007】このような積層構造に、例えば100〜2
    00℃でカード1枚当たり約1トンの熱加圧で各カード構成シートを接着しカード化する。 熱プレスでの積層は、熱加圧で多少積層材が延伸されるため、ICチップを基準化した外形打ち抜きでカード化している。 なお、
    図38では単葉サイズ(1カード)で説明しているが、
    一般的な熱プレスでの積層での積層接着は枚葉サイズ(18カード)の大判(約A3サイズ)の熱プレス積層接着を行っている。 【0008】以上のように構成されるICカードの製造には、従来より、大型の真空多段プレスが用いられている。 真空多段プレス方式では、大型の真空チャンバ内に配置されるプレス盤へ、ICチップを搭載したアンテナ基板や外装材を積層順に丁合いしたカード構成シートを装填し、真空チャンバ内を所定圧にまで真空排気した後、予熱プレス処理、加熱プレス処理および冷却プレス処理の各処理を経て、一度に複数枚のICカードを製造する。 真空多段プレス方式では、真空チャンバ内部における脱気から、プレス盤の昇温、冷却までの1サイクルに多大な時間を要する。 このため、例えばカード18面とりの枚葉サイズ(約A3サイズ)を丁合い積層したカード構成シートを6セットから12セット一度に真空チャンバの内部へ装填し、仕込量を高めて生産性を確保している。 【0009】ところが、上記の真空多段プレス方式では、真空チャンバ内のプレス盤に加熱機能と冷却機能とを担わせ、予熱、加熱および冷却の各工程を連続的に行っているが、カード構成シートの積層接着が完了するまでの製造サイクル時間が長く、生産性、量産性の確保に難点がある。 更に、プレス盤の急速加熱、急速冷却に伴って消費エネルギが莫大となり、経済性に劣るという問題もある。 【0010】このような問題を解消するために、特開2
    000−182014号公報には、図39に示すように上下一対のプレート部材81a,81bで複数枚丁合い積層したカード構成シートCを狭圧し、その狭圧面外周縁部に設けた環状の中空リング部82に対して、脱気装置83に連絡する脱気ホース84を接続した熱プレス用プレート80が記載されている。 この熱プレス用プレート80は、十字形状のアーム部材90の各端部に固定した下プレート部材81bに密封部材85を介して上プレート部材81aを重ねた構造を有し、各熱プレス用プレート80が、図40に示すように、予熱プレス部86、
    加熱プレス部87、冷却プレス部88および、転送機構91によるカード構成シートの供給、排出が行われる待機部89を、アーム部材90の90度毎の分割回転駆動によって順次位置される構成となっている。 【0011】この構成により、空間容積の低い上下のプレート部材81a,81b間の脱気処理だけなので短時間で所望の真空度を得ることができ、また、それぞれ所定温度に維持された各プレス部86〜88へ順次、熱プレス用プレート80を搬送するようにしているので、従来の真空多段プレス方式に比べてカード製造サイクル時間が短縮され、生産性、量産性の向上が図られると同時に、省エネルギ性も向上する。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】さて、図38に示した構成のICカードの各種シート積層接着では、積層または加熱プレス時に横方向のが加わって、複数のカード構成シートのうちの隣接シート間に横方向のずれが生じて正確な丁合いができなくなることがある。 このような欠点を解消するために従来は、各カード構成シートのうち最終的にICカード等を構成しない余白部分に全てのカード構成シートを貫通する2個以上の基準孔を形成して該基準孔のうちの少なくとも2個の基準孔を貫通し閉塞する位置決めピンで各カード構成シートの位置関係を固定しながら熱プレスを行うことにより、前述した文字かすれや印刷のずれを防止している(例えば、特開20
    00−33791号公報)。 【0013】しかしながら、これらの位置決めピンによる複数のカード構成シート相互の固定は、位置決めピンを設置する2点の位置が適切でないとカード構成シートに歪みや捩れが生じ、この状態で熱プレスを行うと、印刷のずれ等が生じて外観が悪化するだけでなく、残留応力によりカードの機械的強度が低下するという問題がある。 【0014】一方、特開2000−182014号公報に記載の熱プレス用プレート80の構成では、プレート部材81bに積層するカード構成シートCの丁合いに関しては、専ら、転送機構91によるシート供給位置の繰り返し精度に委ねられており、高い丁合い精度を得ることは困難である。 一般に、シートサイズが大きくなるほど、シート間の丁合い作業が難しくなるとともに、高い丁合い精度が要求される。 また、従来の熱プレス用プレート80は、中空環状リング82を脱気経路として構成されているため、各プレート部材81a,81bの狭圧面の板厚を1mm程度に薄くして変形による残留空気の逃げを確保しなければならず、従って、高真空化を図った際には上記狭圧面の変形が顕在化して適正な熱プレス作用を行うことができなくなる。 また、狭圧面の変形により、丁合い精度が狂うおそれがある。 【0015】さらに、熱プレス用プレート80内部の真空圧を維持するために、脱気ホース84を当該プレート80の搬送に伴って追従させなければならず、装置設計自由度の制約を余儀なくしているという問題がある。 また、カード製造装置という観点で着目すると、予熱、加熱および冷却の各プレス部86〜88が各々クラスタ状に配置されているため、例えば予熱プレス部の多段化というようなプレス部の増設に対し、迅速な対応がとれず、カード基材構成材料の組み合わせに応じた多彩なプラスチックカードを適切に製作することが非常に困難である。 また、熱プレス用プレート80の搬送経路が平面的であるために、加熱/冷却プレス部を複数組設置し一台の装置の多品種のプラスチックカードを製造することが不可能である。 つまり、現状の製造現場で求められている多品種対応の、小型で安価な導入効果のあるカード製造装置と乖離した構成となっている。 【0016】本発明は上述の問題に鑑みてなされ、複数の位置決めピンを使用してカード構成シート相互の位置関係を固定しながら熱プレスにより溶着してプラスチックカードを製造する際に、歪みや捩れの発生を防止することができるプラスチックカードおよびプラスチックカードの製造方法を提供することを課題とする。 【0017】また、本発明は、製作するプラスチックカードの歪みや捩れを防止しながら、脱気装置と分離した形で内部の真空度を維持することができる熱プレス用プレートを提供することを課題とする。 【0018】さらに、本発明は、プレス部の配置レイアウトの変更、プレス部の増設にフレキシブルに対応し、
    種々のプラスチックカードを適切に製造することができ、一台の装置で多品種のプラスチックカードを製造することができるカード製造装置を提供することを課題とする。 【0019】 【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するに当たり、本発明のプラスチックカードは、複数のカード構成シートの各シートの複数の対応箇所に2以上の基準孔を形成し、これら基準孔の少なくとも1個に当該基準孔と実質的に形状が同一の第1位置決めピンを貫通させ、残りの基準孔の少なくとも1個に当該基準孔の形状より断面積が小さい第2位置決めピンを貫通させて、各カード構成シート相互の位置関係を固定し溶着したことを特徴とする。 【0020】第1位置決めピンの断面形状とほぼ同一形状の基準孔(以下、第1基準孔という)は、複数のカード構成シートを固定(センタリング)し一体化する機能を有する。 また、第2位置決めピンより孔面積の大きい基準孔(以下、第2基準孔という)は、シートの横ずれや伸びを吸収する機能を有する。 これにより、シートの歪みや捩れを生じさせることなく、各カード構成シートを高い丁合い精度で一体化させる。 【0021】このように、本発明によると、第2基準孔のサイズを調節するという極めて簡単な方法でカード構成シートの歪みや捩れを実質的に生じさせることなく、
    カード構成シートを積層してICカード等のプラスチックカードを製造できる。 特に、画像処理により基準孔形成を行うようにすると、位置決めピンで最下層および最上層の印刷絵柄シートを含めた全てのカード構成シートを正確に積層でき、最も離れている最下層および最上層の印刷絵柄シートも容易に丁合いが行える。 また、IC
    チップを搭載するICカードの場合には、カード構成シートがICチップに形状追従し、カード表面まで当該形状追従が及んで表面の印刷絵柄が著しく歪んでしまうことがある。 これを解消するためには、最外層シートを除く内層を丁合いし溶着する一次熱プレスと、溶着した内層に前記最外層シートを丁合いし溶着する二次熱プレスとを分けて行えばよい。 【0022】また、カード表面のロイコ層に情報書き込みを行うリライトカードでは、ロイコ印刷層シートの歪みやヒケが回避でき、情報書き込みのサーマルヘッドとの当たりが改善され、書き込みの文字かすれや文字抜けが回避されて品質向上が達成できる。 さらに、カード構成シートを表裏逆に積層してしまうことを防止するために、上記基準孔を各カード構成シート表面に非対称に配置することが望ましい。 この場合の非対称とは、基準孔の形成位置と基準孔の形状を含み、基準孔の形成位置が対称であっても基準孔の形状が異なれば容易に表裏を識別できる。 【0023】本発明のカード構成シートの材料としては、ポリカーボネート、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)のほか、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PETG(ポリエチレンテレフタレート共重合体)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステルが代表的である。 このほか、ポリスチレン、ポリアミド、ポリメタクリル酸メチル、アクリロニトリル−スチレン共重合体、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等が使用できる。 またこれらをポリマーアロイ化した材料もカード用として適している。 具体的には、ポリカーボネート/P
    ETG、ポリカーボネート/PBT、ポリカーボネート/ABS等が好適である。 【0024】一方、本発明の熱プレス用プレートは、上下一対のプレート部材と、一対のプレート部材間に設けられ、カード構成シートが収容される収容部を画成する環状の密封部材と、一端が収容部に臨み、他端がプレート部材の外部に臨む排気通路と、排気通路の他端に接続され、収容部への外気の侵入を禁止する逆止弁装置と、
    収容部内に立設配置され、複数のカード構成シートの各々の対応する箇所に形成された2以上の基準孔に対してそれぞれ貫通する位置決めピンとを備え、位置決めピンが、複数の基準孔のうち少なくとも1個の基準孔と実質的に同一の形状の第1位置決めピンと、残りの基準孔の少なくとも1個の基準孔より断面積が小さい第2位置決めピンとを有することを特徴とする。 【0025】この構成により、カード構成シートの歪みや捩れを実質的に生じさせることなく各カード構成シートを一体化させることができる。 また、逆止弁装置の機能により収容部の真空度を維持することができるので、
    脱気装置と分離した状態で熱プレス用プレートを搬送することが可能となる。 【0026】さらに、本発明のカード製造装置は、上記構成の熱プレス用プレートと、上下二段の搬送路間で熱プレス用プレートを循環搬送する搬送手段と、一対のプレート部材間に複数枚のカード構成シートを積層する供給部と、搬送路に沿って直列配置された複数のプレス部からなり熱プレス用プレートをプレス処理してプラスチックシートを製作するラミネート部と、熱プレス用プレートから前記プラスチックシートを取り出す取出部とを備えている。 【0027】本発明のカード製造装置によれば、上記の熱プレス用プレートの作用効果に加え、熱プレス用プレートの循環搬送経路を立体的に形成することにより、上記供給部やラミネート部、取出部を任意に配置できる自由度を高め、一台の装置で多品種のカードを製造することが可能となる。 【0028】 【発明の実施の形態】以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。 【0029】(第1の実施の形態)図1aは本発明に係るプラスチックカードを構成するカード構成シートの加工前の一例を示す斜視図、図1bは図1aのカード構成シートに1個の丸孔(第1基準孔)と2個の長孔(第2
    基準孔)を形成した状態を示す斜視図、図1cは図1b
    のカード構成シートに3本の磁気ストライプを形成した状態を示す斜視図である。 【0030】図1aに示す通り、カード構成シート11
    は長方形の形状を有し、長辺側の2辺に沿って各3個、
    計6個のサイトマーク12a〜12fが印刷されている。 このカード構成シート11に複数の基準孔を形成する方法は特に限定されないが、当該カード構成シート1
    1の一長辺側の3個のサイトマーク12a〜12cを読み取り、当該3個のサイトマークのうち中央のサイトマーク12bの位置に丸孔13bを、両側のサイトマーク12a及び12cに長孔(長円孔)13a及び13cをそれぞれ形成する。 なお、これらの基準孔が形成されている箇所は最終的にはカードから除かれる。 図1cに示す磁気ストライプ14の埋め込みは図1bの孔形成に続いて行う必要はないが、上記複数の基準孔を利用して行うとより簡単かつ正確に行える。 【0031】次に、図2a〜図2c及び図3d〜図3g
    に基づいて、上記カード構成シートを使用するICカードの製造工程を説明する。 まず、図2aに示す通り、I
    Cチップ(IC基板)を貼り込んだアンテナ基板(図3
    8参照)を含む複数のカード構成シートを積層し、かつサイトマークの画像処理を行って丸孔と長孔から成る基準孔を打ち抜く(積層シート前加工工程)。 次いで、図2bに示すように、複数のカード構成シートの丸孔と長孔に位置決めピンを貫通させ(一次丁合い工程)、これにより各カード構成シートが互いに歪みや捩れを生じさせることなく、積層させることができる。 続いて図2c
    に示すように、真空引きを行いながら、予熱プレス1−
    予熱プレス2−熱プレス−徐冷プレス−冷却プレスの各ステップを行う(一次ラミネート工程)。 【0032】次いで、必要に応じて図3dに示すようにプレートを開き、基準孔を用いて図3eに示すように二次丁合いを行い、更に図3fに示すように熱プレスと冷却プレスから成る二次ラミネート工程を行い、最後に図3eに示すように得られた複数枚付けのプラスチックカードを例えば3×3枚のICカードに打ち抜いて、製品とする(図3g)。 このようにして製造されたプラスチックカードは、上記基準孔により、複数のカード構成シート間の歪みや捩れが吸収されるため、特にICチップを格納してあっても当該ICチップに付随する歪みが吸収されるため、隣接するカード構成シート同士が隙間なく密着して変形や残留応力のないプラスチックカードを提供できる。 【0033】次いで、各工程をより詳細に説明する。 形成される基準孔は、図1a及びbに示すように長辺に沿った3個のサイトマークの中央を丸孔13bにし、両側を長孔13a及び13cにして対称に配置する以外に、
    図4aに示すように中央を丸孔15aにし、左側を孔15bに、右側を長孔15cにしたり、また、図4bに示すように、中央と右側を丸孔15aにし、左側を長孔15cにして、基準孔が非対称に配置されるようにしても良く、基準孔の2個以上に位置決めピン16を貫通させて位置関係を固定する。 【0034】このような複数のカード構成シートの丁合いの要領を図5に示す。 カード構成シートのサイトマークを画像処理し、或いは積層シート外形突き当て基準で中央の丸孔17と両側の長孔18を形成したカード構成シート19a,19b,19c及び19dを丁合いプレスして下プレート部材20に順次積層し、かつ位置決めピン21で丁合いを行う。 この時に両長孔18に位置決めピン21に対して遊びがあるため、各カード構成シート19a,19b,19c及び19dに長孔形成位置に若干のずれがあっても上記遊びのためこのずれを吸収して各カード構成シートに歪みを生じさせずに積層できる。 最後に最上段のカード構成シート19d上に上プレート部材22を積層して、積層シート23とする。 ここで、丸孔17を貫通する位置決めピン21が本発明の「第1位置決めピン」に対応し、長孔18を貫通する位置決めピン21が本発明の「第2位置決めピン」に対応する。 【0035】続いて、この積層シートを熱プレスにより溶着してプラスチックカードとする工程を説明する。 従来のICカード以外のプラスチックカードは、印刷絵柄の最外層シートを含めた積層用カード構成シート全てを丁合いし、一次熱プレスのみでプラスチックカードを製造するプロセスを採用している。 しかし、ICチップを搭載したICカードを一次熱プレスのみで溶着しようとすると、積層中心に位置するICチップの凸部に形状追従して最外層の印刷絵柄シートも変形して印刷絵柄が著しく歪むという欠点がある。 【0036】この対策として、例えば、ICチップ形状追従での影響のない内層シートを丁合いし熱プレスしてICチップの形状に追従した平滑な白カード材を熱プレスする(一次熱プレス)。 このようにして製作した白カード(図38中「C1」で符示。)に最外層の印刷絵柄シートを丁合いして熱プレス(二次熱プレス)することにより印刷絵柄の歪みがないプラスチックカードを提供できる。 つまり、図6に示すように、一次丁合いプレス積層シート24を平滑シート(白カードC1)として製作し、このシート24上に最外層印刷絵柄シート25を二次丁合いし、熱プレスすることにより印刷絵柄に歪みのないプラスチックカードが提供できる。 【0037】次に、これらの熱プレス工程について説明する。 図7aに示すように、位置決めピン16に丁合いが行われた一次丁合いプレス積層シートを上下一対のプレート部材26間に挟んで例えば約120℃×1トンで一次予熱プレスを行い、更に図7bに示すように例えば120〜180℃×9トンの一次熱プレスを行う。 この時点で丁合い積層シートは熱プレスによって積層シート面が熱融着し、積層構造が形成される。 次に、図7cに示すように、熱プレスされた積層シートを例えば5〜1
    5℃×9トンで徐冷、冷却が行われ、これにより一次丁合いシートの一次熱プレス(一次ラミネート)が完了する。 【0038】この一次熱プレスにおいて、位置決めピンあるいは基準孔の近傍の積層シートの変形を回避することが望ましく、これにより最外層シートの二次丁合いでの丁合い精度を確保できる。 これは具体的には例えば図8および図9に示すように行う。 図8は前述の一次丁合いプレス積層シート24を使用する積層構造の変形例を示す斜視図、図9は図8のA−A'線縦断面図である。
    この例では、図4bの積層シート24と同様に、2個の丸孔15aと1個の長孔15cを有し、この長孔15c
    と外側の丸孔15aに位置決めピン16が挿入されている。 上記積層シート24は、下プレート部材20上に形成された厚さ約0.5mmの熱伝導性ゴムシート27およびステンレス製鏡面板28上に設置され、図9に示す通り、丸孔15aおよび長孔15cを含む幅約5〜25
    mmの部分には熱伝導性ゴムシート27及び鏡面板28
    は形成されていない。 また、上記積層シート24上には、同一構成のステンレス製鏡面板28および熱伝導性ゴムシート27がこの順に積層され、更にその上には上プレート部材22が積層され、積層シート24の丸孔1
    5aおよび長孔15cを含む幅約5〜25mmの部分に非熱プレス部29が形成される。 【0039】このような構成から成る積層構造に前述のプレスプレートを使用して熱プレスを行うと、非熱プレス部29は、その上下に存在する空間のため、下プレート部材20および上プレート部材22には接触せず、従って熱プレスが行われない。 これにより前述した通り、
    最外層シートの二次丁合いでの丁合い精度を確保できる。 【0040】図10は、図8および図9とは別の基準孔近傍の加熱による変形を防止するための積層構造を示す斜視図であり、積層シートおよび図9における熱伝導性ゴムシート及び鏡面板を変形した状態で示している。 この例では、熱伝導性ゴムシート27aおよび鏡面板28
    aのサイズをプレート部材と同一にし、上記2個の丸孔15aと1個の長孔15cの周囲に対応する箇所に円弧状に切欠き30を形成し、その上に積層シート24を積層している。 この例でも切欠き30に対応する積層シート24の扇状の非熱プレス部31は、その上下に存在する空間のため、両プレート部材には接触せず、従って熱プレスが行われず、最外層シートの二次丁合いでの丁合い精度を確保できる。 【0041】図11は、更に他の変形防止用積層構造を示す斜視図であり、この例では図10の円弧状の切欠きの代わりに、熱伝導性ゴムシート27bおよび鏡面板2
    8bの丸孔15aと長孔15cの周囲に対応する箇所に四角形の切欠き32を形成し、その上に積層シート24
    を積層している。 この例でも切欠き32に対応する積層シート24の四角形の非熱プレス部33は、その上下に存在する空間のため、両プレート部材には接触せず、従って熱プレスが行われず、最外層シートの二次丁合いでの丁合い精度を確保できる。 【0042】図12は図11の一次丁合いプレス積層シート24に、最外層のシート34、例えばデザイン柄シート、印刷積層シート、磁気ストライプ隠蔽層または熱転写シートを二次丁合いする要領を示す斜視図である。
    図示の通り、四角形の切欠き32の対応箇所に非熱プレス部33を形成した積層シート24に、最外層シート3
    4を、上方から接近させて最外層シート34の中央の丸孔15aを積層シート24の中央の丸孔15aに挿入した位置決めピン16に挿入してセンタリングを行う。 次いでこのセンタリングされた中央の丸孔15aを基準にして両側の長孔15cに位置決めピン16を締着する。
    これにより一次丁合いプレス積層シート24に最外層シート34が二次丁合いされる。 【0043】この丁合いされた一次丁合いプレス積層シート24および最外層シート34に熱プレスを行うと、
    図13に示すように9枚付けのプラスチックカードを有するプラスチックシート35(図38における符号C2
    に相当。 )が製造される。 次いでこのプラスチックシート35を図14に示す要領で個々のICカードに打ち抜く。 二次丁合い及び二次熱プレス(二次ラミネート)が完了したプラスチックシート35は丁合い用に使用した丸孔および長孔を利用して打ち抜きを行うことができる。 【0044】カード送り装置36に装着した一対の丁合いピン37間のピッチは、上述の丸孔15aまたは長孔15cのいずれかの基準孔間のピッチと等しくしてあり、図示の例では一対の丁合いピン37はプラスチックシート35の中央の丸孔15aと左側の長孔15cに挿入固定される。 このプラスチックシート35は、カード送り装置36により、上金型38と下金型39から成る打抜き装置40の両金型間に供給され、かつ図示の矢印41に示すピッチで前進するようにしてある。 図14に示すように、これにより1回の打ち抜きで3枚の所望のICカードが製造される。 【0045】以上、本実施の形態によれば、複数のカード構成シートを丁合いしかつ溶着してICカード等のプラスチックカードを製造する際に、カード構成シートに形成される複数の基準孔のうちの一部を当該基準孔に挿入されるピンが比較的自由に位置修正できるように構成することで、各カード構成シートに実質的に歪みや捩れを生じさせることなく丁合いし溶着でき、従って歪みや捩れを有しないプラスチックカードが製作できる。 これにより、印刷ずれ等を回避して外観を良好にし、残留応力による機械的強度の低下も防止できる。 更に、ICチップを搭載したICカードの場合は、ICチップの外形に追従して最外層シートが変形して印刷絵柄が歪んでしまうことがあるが、このような場合には丁合い及び熱プレスを一次および二次に分け、最外層シートの丁合い及び熱プレスを別個に行うことで対応できる。 更に、カード構成シートに形成する複数の基準孔を非対称に形成することにより、丁合いの表裏面の誤認を防止できる。 【0046】(第2の実施の形態)以下、本発明の第2
    の実施の形態について説明する。 本実施の形態では、第1の実施の形態で説明した熱プレス工程を具現化するためのカード製造装置およびこれに用いられる熱プレス用プレートの一具体例について説明する。 【0047】<装置全体構成>図15は、本実施の形態に適用されるカード製造装置の全体を概要的に示す斜視図である。 カード製造装置100は、図38を参照して説明したような非接触ICカードが9面とれる枚葉サイズ(約A4サイズ)の長方形状の各種カード構成シート(以下、一括してカード構成シートCとする。)を溶着し一体化するためのラミネート装置である。 カード製造装置100は、カード構成シートCを狭圧する上下一対のプレート部材111,112からなるキャリアプレート(熱プレス用プレート)101を、上下二段の搬送路間を循環させながら各種処理を行う複数のステーションを有している。 キャリアプレート101は、ステーション毎の送り動作で下流側へ搬送されるようになっている。 【0048】各ステーションは、カード構成シートの供給部121と、第1予熱プレス部122、第2予熱プレス部123、加熱プレス部124、第1冷却プレス部1
    25および第2冷却プレス部126からなる一次ラミネート部と、二次ラミネートシート供給部127と、二次加熱プレス部128および二次冷却プレス部129からなる二次ラミネート部と、シート取出部130と、クリーニング部131などから構成されている。 これらの詳細については、後述する。 【0049】キャリアプレート101を循環搬送する搬送経路は、キャリアプレート101をそれぞれ一方向へ搬送する上下二段の直線的な搬送レール102A,10
    2Cを備えている。 各段の搬送レール102A,102
    Cは左右一対のレール部で構成されている。 各レール部には、キャリアプレート101の両側端部を支持するローラコンベヤ106(図21)が配置されている。 ローラコンベヤ106の各ローラは図示せずともチェーン駆動によって同期回転し、キャリアプレート101を搬送レール102A,102Cに沿って図中矢印F1,F2
    で示す方向へ搬送する(図15)。 【0050】上段側の搬送レール102Aと下段側の搬送レール102Cとの間のキャリアプレート101の転送は、各搬送レール102A,102Cの端部間を連絡する昇降ユニット102B,102Cによって行われる。 各昇降ユニット102B,102Cはそれぞれ同一の構成を有し、キャリアプレート101の下面を支持する一対の支持アーム103と、支持アーム103を昇降させる電動アクチュエータ104とを備えている。 【0051】なお、搬送レール102A,102Cおよび昇降ユニット102B,102Dは、図では簡略して示している架台105のフレーム各部に据え付けられている。 【0052】<キャリアプレートの構成>次に、キャリアプレート101の構成の詳細について図16〜図18
    を参照して説明する。 ここで、図16はキャリアプレート101を構成する上プレート部材111と下プレート部材112とを分離して示した斜視図、図17は下プレート部材112の狭圧面に丁合い積層されるカード構成シートCの斜視図、図18はキャリアプレート101の側断面図であり、図18Aは上プレート部材111と下プレート部材112とが分離した状態を示し、図18B
    は上プレート部材111と下プレート部材112とが重ね合わされた状態を示している。 【0053】キャリアプレート101は、例えば銅や真鍮、アルミニウム合金等の熱伝導性の良い金属材料からなる上下一対のプレート部材111,112で構成されている。 上プレート部材111と下プレート部材112
    との間には、シート収容部113を画成する環状の密封部材114が装着されている。 密封部材114は、上プレート部材111および下プレート部材112のうち何れに装着されてもよいが、本実施の形態では下プレート部材112側に装着されている。 なお、密封部材114
    の詳細については後述する。 【0054】シート収容部113は、上プレート部材1
    11の狭圧面と下プレート部材112の狭圧面と密封部材114との間で画成され、カード構成シートCが収容される領域である。 このシート収容部113に対応する下プレート部材112の狭圧面上には、各々のカード構成シートCを丁合いするための3本の位置決めピン11
    5が立設されている。 【0055】各カード構成シートCは、図17に示すように、これら位置決めピン115が貫通する3個の基準孔116a〜116cが設けられている。 本実施の形態では、図1aを参照して説明した上述の第1の実施の形態のように、中央の基準孔116aは基準ピン115と実質的に同一の形状の丸孔とされ、両側の基準孔116
    b,116cは長孔とされる。 この丸孔116aに貫通する位置決めピン115は本発明の「第1位置決めピン」に対応し、長孔116b,116cに貫通する位置決めピン115は本発明の「第2位置決めピン」に対応する。 【0056】下プレート部材112上のシート収容部1
    13内であってカード構成シートCで被覆されない領域には、脱気孔117が形成されている。 この脱気孔11
    7は、下プレート部材112の内部に形成された排気通路118の一端に連絡している。 排気通路118の他端には、シート収容部113への外気の侵入を禁止する逆止弁装置119が接続されている(図18)。 【0057】逆止弁装置119は、排気通路118の一端(脱気孔117)側から他端側への空気の流れは許容し、その逆の流れは禁止する機能を有しているが、外部からの機械的、電気的な操作に基づいて弁体の着座状態を解除することによって、あるいは、リリース弁を開放することによって、シート収容部113側への空気の流れを許容する機能(リリース機能)を備えている。 本実施の形態では、機械的に弁座を押動して開弁させる方式の逆止弁装置が用いられ、具体的には、SMC株式会社製セルフロックカプラー(商品名)IN−334−79
    が用いられている。 【0058】キャリアプレート101は、プレス処理前およびプレス処理後における内部の真空排気および真空解除がこの逆止弁装置119を介して行われる。 本実施の形態では、図15に示すように、供給部121、二次ラミネートシート供給部127およびシート取出部13
    0のそれぞれの対応する位置に、逆止弁装置119との接続によりキャリアプレート101内の真空排気/真空解除を行うノズル動作シリンダ107A〜107Cが配置されている。 このうち、ノズル動作シリンダ107A
    は真空排気作用のみ、ノズル動作シリンダ107Bは真空排気作用および真空解除作用の双方、そして、ノズル動作シリンダ107Cは真空解除作用のみ、それぞれ行い得るようになっている。 【0059】図18Aおよび図18Bを参照して、カード構成シートCの狭圧面を構成する上プレート部材11
    1および下プレート部材112のそれぞれの内面には、
    鏡面板111a,112aが取り付けられている。 これら鏡面板111a,112aを各プレート部材111,
    112の内面側に取り付けるためのビス111b,11
    2bは、互いにオフセットした位置に設けられ、また、
    それぞれの頭部の高さがカード構成シートCの狭圧時における各鏡面板111a,112a間の隙間の大きさよりも小さくなるように設定されている。 また、上プレート部材111の内面側には、下プレート部材112との重ね合わせ時、下プレート部材112の内面に立設された位置決めピン115が進入するニゲ孔111cが設けられている。 【0060】図19A,Bは、密封部材114の詳細を示している。 ここで、図19Aは密封部材114の断面構造を示す斜視図、図19Bは下プレート部材112に対する密封部材114の取付状態を示す斜視図である。 【0061】密封部材114は、下プレート部材112
    の内面側に密着固定されるベース部114aと、上プレート部材111の内面側に密着する密封部114bと、
    ベース部114aと密封部114bとを連絡する連結部114cとを有している。 本実施の形態の密封部材11
    4は、例えば、ゴム硬度が45°〜50°程度のシリコーンゴムで構成されている。 【0062】ベース部114aは、下プレート部材11
    2の内面側に形成された環状溝112cに対して嵌着され、互いに係合関係を構成して抜け止め防止を図っている。 密封部114bは、ベース部114aの外方側へ延出しており、その上端部が上プレート部材111の内面に弾接するようになっている。 連結部114cは、上プレート部材111と下プレート部材112との重ね合わせ時における密封部114bの密着力が、連結部114
    cの弾性的な曲げ変形の反力によって得られるように構成されている。 【0063】<カード構成シート供給系>続いて、カード製造装置100に対するカード構成シートCの供給系の詳細について説明する。 図20は、カード製造装置1
    00のカード構成シートCの供給部の構成を示している。 【0064】キャリアプレート101に対してカード構成シートCが供給される供給部121は、搬送レール1
    02Aの始端部に対応する、昇降ユニット102Dの上限位置で行われる。 この位置では、下プレート部材11
    2がその狭圧面を開放した状態で待機されており、これと対となる上プレート部材111は、当該下プレート部材112の上方においてプレート保持装置134Aによって保持されている。 プレート保持装置134Aは、上プレート部材111の上面を真空吸着する吸着部148
    を備えている。 【0065】搬送レール102Aの始端部は、図21に示すように、1ステーション分に相当する範囲が独立した可変ピッチレール部135で構成されており、昇降ユニット102Dによるキャリアプレート101の上昇動作の際にレール間距離が伸縮し、キャリアプレート10
    1をレールの上面に移載できるようになっている。 なお、この上段側の搬送レール102Aの終端側であって、昇降ユニット102Bに対してキャリアプレート1
    01を転送する領域のレール部も、上記と同様な可変ピッチレール部で構成されているものとする。 【0066】プレート保持装置134Aは、上プレート部材111を吸着し、上方へリフトさせておく。 下プレート部材112は、可変ピッチレール部135上でプレートストッパ133によって位置決めされている。 プレートストッパ133は、例えばエアシリンダを駆動源としてキャリアプレート101に当接する位置に上方移動するようになっている。 また、プレートストッパ133
    は図21に示すようにキャリアプレート101の前面左右に当接する位置に配置する場合に限らず、キャリアプレート101の前面中央に当接する位置に1つだけ配置してもよい。 【0067】供給部121には、開放された下プレート部材112の狭圧面のシート収容部113に対し、ラミネートすべきカード構成シートCを転送し積層するシート転送装置136Aが設けられている(図20)。 シート転送装置136Aは、積層するべきカード構成シートCが位置するシートピックアップ部137から下プレート部材112のシート収容部113上へカード構成シートCを搬送するシート吸着部143を備えている。 【0068】シートピックアップ部137では、トレイラック138から引き出されたトレイ139が位置決め固定されるようになっている。 トレイラック138には、ラミネートされる各種カード構成シートCを収容したトレイ139がシート積層順に縦方向に収納されている。 ひとつのトレイ139には同一種類のシートCが収容され、各トレイ139間で同一枚数のシートCが収容されている。 トレイラック138内の各トレイ139
    は、積層順にシートピックアップ部137へ引き出され、シート転送装置136AによってシートCが一枚ずつ吸着されて下プレート部材112へ転送されるようになっている。 【0069】トレイラック138は、カード製造装置1
    00内部のトレイ供給ユニット140にセットされている。 トレイラック138は、昇降機141によって上下移動可能とされており、シートピックアップ部137へトレイ139を導くガイドレール部142の設置レベルに、トレイ139を収納する各段が順に送り駆動されるようになっている。 なお、トレイラック138からシートピックアップ部137へのトレイ139の引出しは、
    トレイ139の両側部を係止してガイドレール部142
    上へ引き込むトレイ引込手段(図示略)によって行われる。 【0070】<カード構成シート>図22は、トレイラック138の各段に収納されるトレイ139の構成および、トレイ139に収容されるカード構成シートCの前処理工程を示している。 カード構成シートCはカード9
    面とりの枚葉サイズ(約A4サイズ)の大きさで、トレイ139はこのシートCを上下方向に整列させた状態で収容できる大きさに構成されている。 各種カード構成シートCは、開梱後、それぞれ専用のトレイ139に例えば100枚収容される。 ICカードの基本積層構成を例えば7層とすると、専用のトレイ139は7個になる。
    トレイラック138に対するトレイ139の収納は、下プレート部材112上へのカード構成シートCの積層順とされる。 【0071】カード構成シートCは、図17に示した丸孔および長孔からなる3個の基準孔116a〜116c
    が基準孔打抜き装置145によって形成される。 基準孔116a〜116cが各々のカード構成シートCのそれぞれ対応する箇所に形成されることにより、これらの基準孔に下プレート部材112の位置決めピン115を貫通させてシートCの丁合いを行う結果、各シートCの積層方向における相対的な位置決めがなされ、所望とする丁合い精度が得られることになる。 【0072】以上のように構成されるトレイラック13
    8は、専用の台車146の上に載せられてカード製造装置100の供給ユニット140へ搬入される(図2
    0)。 台車146の前面に立設された2本のガイドロッド147A,147Bを、供給ユニット140外壁面に形成されたガイド孔149A,149Bへ挿通した後、
    トレイラック138は、供給ユニット140に引き込まれて昇降機141にセットされる。 2本のガイドロッド147A,147Bのうち、一方のガイドロッド147
    Aは台車146を装置100に結合させて一体化させるためのものであり、他方のガイドロッド147Bは台車146と装置100との間の高精度な位置決めを行うためのものである。 なお、空のトレイ139を収納したトレイラック138の装置外部への搬出時は、上記搬入側とは反対側の外壁面にセットされた台車146の上へ移載されるようになっている。 【0073】<一次ラミネート部>図15を参照して、
    本実施の形態におけるカード製造装置100は、一次ラミネート部を構成する各プレス部としては、第1予熱部122、第2予熱部123、加熱プレス部124、第1
    冷却プレス部125および第2冷却プレス部126を備えている。 【0074】第1予熱プレス部122および第2予熱プレス部123は、後段の加熱プレス部124におけるプレス温度近傍にまでキャリアプレート101を昇温する。 加熱プレス部124は、キャリアプレート101を例えば120℃〜190℃でカード一枚当たり800k
    g〜1500kgのプレス圧で加熱プレスする。 第1冷却プレス部125は、加熱プレス後のキャリアプレート101を急冷または徐冷するためのプレス部で、第2冷却プレス部126はキャリアプレート101を室温付近まで冷却する。 【0075】予熱プレス部122,123および加熱プレス部124はそれぞれ同様な構成を有している。 例えば図23は、加熱プレス部124の構成を示す斜視図である。 加熱プレス部124は、ヒータを内蔵した上下一対の熱盤151A,151Bを有し、キャリアプレート101がこれら熱盤151A,151Bの間に搬送されるように搬送レール102Aが延在している。 【0076】上方側の熱盤151Aは、断熱板を介して固定支持板152に固定されており、下方側の熱盤15
    1Bは、断熱板を介して、固定支持板152に対して上下方向へ相対移動可能な可動支持板153に固定されている。 可動支持板153の上下移動は、4本のガイド軸154にガイドされる。 ガイド軸154の上端は固定支持板152に固定され、ガイド軸154の下端はプレス駆動部155を支持する支持板156に固定されている。 固定支持板152および支持板156は、それぞれ装置架台105(図15)のフレーム各部に据え付けられている。 【0077】本実施の形態では、プレス駆動部155が下方の熱盤151B側に配置されている。 プレス駆動部155の駆動により熱盤151Bが上昇してキャリアプレート101を上方へリフトさせ、熱盤151Bの更なる上昇により、キャリアプレート101を上下の熱盤1
    51A,151Bの間で狭圧するようになっている。 なお、プレス駆動部155の駆動源157として、本実施の形態では、空圧−液圧変換ブースタ(エア・オーバ・
    ハイドロブースタ)が用いられており、駆動源の小型化・省スペース化、制御の容易化等を図るようにしている。 【0078】一方、図24は冷却プレス部125,12
    6の構造を模式的に示している。 固定支持板152および可動支持板153にはそれぞれ冷却盤161A,16
    1Bが固定されており、これらの冷却盤161A,16
    1Bの間に熱プレス用プレート101が搬送されるようになっている。 各々の冷却盤161A,161Bには、
    冷却の循環通路162A,162Bが埋設されており、循環ポンプ163A,163Bを内蔵した冷却ユニット164A,164Bによって15℃〜20℃の冷却水を循環させるようにしている。 【0079】熱プレス部122〜124および冷却プレス部125,126は、それぞれ独立したプレス駆動部155を備えており、各プレス部がそれぞれ独立して動作するようになっている。 また、プレス駆動部155の駆動力を可動支持板153へ伝達する駆動ロッド158
    の先端部158aは、図24に示すように曲面形状を呈している。 これは、プレス作動時に可動支持板153をガイド軸154との干渉を低減して円滑に上下移動できるようにするためである。 【0080】<二次ラミネート部>二次ラミネート部は、図25に示すように、二次加熱プレス部128と二次冷却プレス部129とで構成されている。 二次ラミネート部では、一次ラミネート部で製作されたカード構成シートCの積層シート体C1に最外層のカード構成シートをラミネートする工程が行われる。 なお、積層シートC1は、図38で符示した積層シートC1に厳密には対応しないが、一次ラミネート処理で製作した積層シートと同義である。 後述する二次ラミネート処理で製作した積層シートC2に関しても同様とする。 【0081】二次ラミネート用のカード構成シート(以下、二次ラミネートシートという)Cは、例えば印刷インクシートや磁気ストライプ、磁気ストライプ隠蔽シート等が該当する。 二次ラミネートシートCは、二次ラミネートシート供給部127において積層シート体C1に丁合いされる。 二次ラミネートシート供給部127には、キャリアプレート101の上プレート部材111を保持して上方へリフトさせておくプレート保持装置13
    4Bが設置されている。 プレート保持装置134Bは、
    供給部121に設置されたプレート保持装置134Aと同様な構成を備えている。 【0082】二次加熱プレス部128では、上プレート部材111が下プレート部材112から取り外された状態で二次ラミネートシートCを加熱プレス処理する。 図26Aは、二次加熱プレス部128の構成を模式的に示す側断面図である。 二次加熱プレス部128は、上プレート部材111の代わりに、図26Aに示すように上方側の熱盤171Aの下面を覆うように取り付けられた湾曲プレス板172を用いている。 【0083】湾曲プレス板172は、例えば厚さ1mm
    程度のステンレス板を湾曲させてなるもので、その両端が熱盤171Aの両側に固定されている。 加熱プレス時、下方側の熱盤171Bが上昇すると、湾曲プレス板172は、下プレート部材112上の二次ラミネートシートCとの接触により、図26B〜Dに段階的に示すように弾性変形し、その平坦化されたプレス面で二次ラミネートシートCをプレスするようになっている。 【0084】湾曲プレス板172と二次ラミネートシートCとの間には、樹脂フィルム173を介在させている。 この樹脂フィルム173は、巻出しローラ174から繰り出され、ガイドローラ176a、湾曲プレス板1
    72の下面およびガイドローラ176bを介して巻取りローラ175に巻き取られる。 巻出しローラ174とガイドローラ176aとの間には、樹脂フィルム173を湾曲プレス板172の下面へ向けて送り出す送りローラ177が設置され、この送りローラ177に接触するように2本の粘着ローラ178a,178bが配置されている。 粘着ローラ178a,178bは、二次ラミネートシートCに対向する側の樹脂フィルム173表面に付着した塵埃を除去する目的で設けられている。 【0085】樹脂フィルム173は、二次ラミネートシートCよりも軟質の合成樹脂材料で構成され、二次加熱プレス後のシート表面の光沢を向上させたり、シート表面にゴミ等の異物が存在していた場合に樹脂フィルム1
    73側に当該異物を没入させてシート表面の打痕発生を抑制する等の、表面仕上げの良好なシート積層体を製作する目的で利用されている。 なお、樹脂フィルム173
    としては、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムや延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)フィルム等が適用可能である。 【0086】図25を参照して、二次冷却プレス部12
    9は、一次ラミネート部における第1,第2冷却プレス部125,126と同様な構成を有している。 この二次冷却プレス部129には、下プレート部材112上に上プレート部材111が重ね合わされた状態で供給される。 つまり、一次加熱プレス部128におけるプレス処理の終了後、下プレート部材112は上流側の二次ラミネートシート供給部127まで戻る。 そこで、下プレート部材112は、プレート保持装置134Bに保持されていた上プレート部材111と重ね合わされた後、ノズル動作シリンダ107Bを介して内部が真空排気され、
    一次加熱プレス部128を通過して二次冷却プレス部1
    29へ搬送されるようになっている。 【0087】<シート取出部>二次ラミネート処理を経て製作された積層シートC2は、シート取出部130で装置外部へ取り出される。 シート取出部130は、本実施の形態では上段側の搬送レール102Aの後端に設置されている。 【0088】シート取出部130には、図25に示すように、キャリアプレート101の上プレート部材111
    を下プレート部材112から取り外して上方へリフトさせておくプレート保持装置134Cと、下プレート部材112上の積層シートC2を真空吸着し、系外に設置された専用トレイ182へ転送するシート転送装置136
    Bとが設けられている。 プレート保持装置134Cおよびシート転送装置136Bは、供給部121に設置されたプレート保持装置134Aおよびシート転送装置13
    6Aとそれぞれ同様な構成を備えている。 【0089】シート取出部130にて積層シートC2が取り出された下プレート部材112は、上プレート部材111とともに昇降ユニット102Bにより下段の搬送レール102Cへ送られる。 搬送レール102C上には、下プレート部材112に重ねられた上プレート部材111を把持し、その狭圧面を上方へ向けるように反転させるためのプレート反転装置185Aが設けられている。 【0090】プレート反転装置185Aは、図27に示すように、上プレート部材111の一短辺部を把持する把持部186を有し、この把持部186が、回転駆動ユニット187および直線駆動ユニット188からの駆動力を受けるように構成されている。 また、把持部186
    は、これらのユニットを支持する支持部材189に沿って上下移動できるようになっている。 上プレート部材1
    11は、このプレート反転装置185Aによって鏡面板111aが上向きとなるように反転されるようになっている。 【0091】<クリーニング部>搬送レール102Cには、上プレート部材111および下プレート部材112
    のそれぞれの狭圧面を清浄化するためのクリーニング部131が配置されている。 クリーニング部131は、ラッピング装置191と、クリーニングローラ装置192
    とを備えている。 【0092】ラッピング装置191は、図28に示すように、搬送レール102C上の下プレート部材112の鏡面板112aに付着した異物を削り落とすためのラッピングテープ194と、このラッピングテープ194によって削り落とされた異物を吸引除去する集塵機195
    とを有している。 ラッピングテープ194は、巻出軸1
    96と巻取軸197との間のテープパス経路に配置された押圧ローラ198の外周に巻回されており、この押圧ローラ198の径方向に作用する押圧力でもって鏡面板112aに押し付けられる。 巻出軸196および巻取軸197は共通の支持部材199に支持されている。 支持部材199は、第1,第2駆動部200A,200Bの駆動によってそれぞれ搬送レール102Cの延在方向およびこれに直交する方向に移動可能とされる。 【0093】クリーニングローラ装置195は、図29
    に示すように、粘着ローラ201と、粘着ローラ201
    に接する補助ローラ202とを備えている。 粘着ローラ201は、下プレート部材112の鏡面板112a上のゴミ、樹脂カス等の異物を除去する。 補助ローラ202
    は、粘着ローラ201の表面に付着した異物を除去し、
    粘着ローラ201を清浄化する。 粘着ローラ201および補助ローラ202はそれぞれ共通の支持部材203に支持され、駆動部204の駆動により、下プレート部材112の長手方向へ移動可能とされる。 【0094】図20に示すように、ラッピング装置19
    1およびクリーニングローラ装置192の下流側には、
    上プレート部材111をその狭圧面が下向きとなるように反転させるプレート反転装置185Bが設けられている。 プレート反転装置185Bは、上流側のプレート反転装置185Aと同様な構成を有している(図27)。
    プレート反転装置185Bは、上プレート部材111を反転させた後、下プレート部材112の上に重ねる作用を行う。 【0095】次に、以上のように構成される本実施の形態のカード製造装置100の作用について説明する。 図30および図31は、本実施の形態の作用を説明する工程フローである。 【0096】<カード構成シート準備工程>図22に示したように、先ず、カード構成シートCに丁合い用の基準孔116a〜116cが打抜き装置145によって形成される(ステップS1)。 本実施の形態では、図17
    を参照して説明したように、中央の基準孔116aを下プレート部材112の位置決めピン115と実質的に形状が同一の丸孔とし、両側の基準孔116b,116c
    を位置決めピン115の断面積より大きな開口面積の長孔としている。 基準孔116a〜116cの打ち抜きは、シート一枚ずつ行ってもよいし、複数枚重ねて同時に行うようにしてもよい。 【0097】次に、基準孔116a〜116cを形成したカード構成シートCをその種類毎に専用のトレイ13
    9に収容するとともに、これらのトレイ139をカード積層順にトレイラック138に収納する(ステップS
    2)。 本実施の形態では、製造するプラスチックカードが7層構造を有し、従って7種類のカード構成シートC
    が用いられている。 トレイラック138に対するトレイ139の収納方向は、トレイ139に収容されるカード構成シートCの基準孔116a〜116cが手前側となる向きとされる。 【0098】続いて、トレイラック139をカード製造装置100の供給ユニット140へ装填する工程が行われる(ステップS3)。 この工程では、図20に示したように、トレイラック138が載せられた台車146
    を、そのガイドロッド147A,147Bを装置100
    側のガイド孔149A,149Bに挿通させて位置決め固定した後、トレイラック139を供給ユニット140
    の内部へ装填する。 供給ユニット140に装填されたトレイラック139は、昇降機141によって最上方へ移動される。 【0099】<シート供給工程>次に、トレイラック1
    38から順にトレイ139をガイドレール142へ引き出して、搬送レール102Aの始端に位置決め待機された下プレート部材112へ向けてシート転送装置136
    Aによるカード構成シートCの転送工程が行われる(ステップS4)。 トレイ139の引出しは、シートの積層順に行われる。 本実施の形態では、トレイラック138
    の最下段から順に行われる。 引き出されたトレイ139
    はシートピックアップ部137へ導かれ、ここで上方のシート転送装置136Aによってカード構成シートCが一枚吸着され、下プレート部材112へ搬送される。 【0100】シート転送装置136Aに吸着保持されたカード構成シートCは、供給部121(搬送レール10
    2Aの始端)で位置決め待機された下プレート部材11
    2に向けて搬送され、下プレート部材112の狭圧面上に計7種のカード構成シートCが積層される(ステップS5)。 下プレート部材112に対するカード構成シートCの積層は、図21に示したように、カード構成シートCの各々の基準孔116a〜116cに対し、下プレート部材112に立設された3本の位置決めピン115
    を貫通させるようにして行うことにより、全てのシートCを高い丁合い精度で積層することができる。 【0101】本実施の形態によれば、基準孔116b,
    116cの長孔に位置決めピン115に対して遊びをもたせているため、各カード構成シートCの長孔形成位置に若干のずれがあっても上記遊びのためにこのずれを吸収して、各シートCに歪みを生じさせずに積層することができる。 【0102】<一次ラミネート工程>次に、プレート保持装置134Aに保持されている上プレート部材111
    を下プレート部材112に被せ、キャリアプレート10
    1内部のシート収容部113の真空排気を行う(ステップS6)。 シート収容部113の真空排気は、逆止弁装置119に接続されたノズル動作シリンダ107Aを介しての図示しない真空ポンプ等の脱気装置によって行われる(図21)。 【0103】このとき、図18Bに示したように、密封部材114のベース部114aが下プレート部材112
    (環状溝112c)に密着するとともに、密封部114
    bが上プレート部材111の内面に密着することによって、シート収容部113が所定圧にまで減圧される。 真空圧の上昇に伴って、両プレート部材111,112間の隙間が小さくなり、密封部材114の密封部114b
    は下プレート部材112側への変形量が大きくなる。 このときの弾性力が密封部114bの密着力に変換され、
    シート収容部113のシール性が得られる。 また、大気圧が密封部114bの下面側に作用し、これによっても密封部114bによる密封作用の向上が図られる。 【0104】本実施の形態の密封部材114は、ベース部114aと環状溝112cとの間の抜け止め構造によって、真空排気時およびプレス処理時における密封部材114の位置ずれを防止することができる。 また、上プレート部材111に密着する密封部114bが薄肉形状で、かつ、ベース部114aに対し外周側に形成されているので、従来の断面円形または角形のシールリングに比べて、弾性変形が容易である。 したがって、シート収容部113の排気時間の短縮を図ることができる。 また、従来の断面円形または角形のシールリングはその断面全域で圧縮変形を受ける構造であったが、本実施の形態の密封部材114は、ベース部114aと密封部11
    4bとの間を連絡する連結部114cが主として変形荷重を受ける構成であるので、当該密封部材114の繰り返し変形による「へたり」が低減され、従来のシールリングよりも耐久性の飛躍的な向上が図れる。 【0105】また、逆止弁装置119の逆止機能によりシート収容部113への外気の侵入が禁止されるため、
    シート収容部113の所定の真空圧が維持される。 したがって、キャリアプレート101の搬送の際に、真空ポンプとの接続状態を絶つことができる。 さらに、排気通路118が下プレート部材112の内部に形成されているため、キャリアプレート101の小型化、携帯性の向上が図られるとともに、逆止弁装置119を下プレート部材112の側面に取り付けたコンパクトな構成とすることができる。 【0106】続いて、キャリアプレート101を第1予熱プレス部122、第2予熱プレス部123、加熱プレス部124、第1冷却プレス部125および第2冷却プレス部126へ順次搬送し、キャリアプレート101内部のカード構成シートCに対して一次ラミネート処理を行う(ステップS7)。 【0107】各プレス部において、キャリアプレート1
    01は搬送レール102A上で位置決め停止され、プレス駆動部155の駆動により上昇した可動支持板153
    上の熱盤151Bまたは冷却盤161Bによって搬送レール102Aからリフトされて、上方の熱盤151Aまたは冷却盤161Aに押し付けられる(図23,図2
    4)。 これにより、キャリアプレート101は、一対の熱盤151A,151Bまたは一対の冷却盤161A,
    161Bに狭圧され、内部のカード構成シートCに対してプレス処理が行われる。 【0108】本実施の形態によれば、キャリアプレート101の内部で積層されているカード構成シートCが、
    それぞれ位置決めピン115によって位置決めされているので、プレス工程中におけるカード構成シートCの位置ずれを回避することができる。 また、位置決めピン1
    15に貫通される基準孔が1個の丸孔116aと2個の長孔116b,116cで構成されているので、プレス時の横ずれによるカード構成シートCの歪みや捩れを防止して、適正なプレス処理を行うことができる。 【0109】また、本実施の形態では、一次ラミネート部を構成する予熱プレス部122,123、加熱プレス部124および冷却プレス部125,126をそれぞれ直列的に配置しているので、設置面積を小さくしながら、予熱プレス処理および冷却プレス処理の多段化を図ることができ、プレス部の増設が容易である。 これにより、カード構成シートCの構成材料の組み合わせに応じた種々のプレス処理が実現可能となる。 【0110】さらに、本実施の形態では、プレス駆動部155を下方の熱盤151Bまたは冷却盤161B側に配置しているので、プレス駆動部155側から発生する塵埃がプレス処理に対して影響を及ぼすことはない。 【0111】<二次ラミネート工程>次に、一次ラミネート処理が完了したキャリアプレート101は、二次ラミネートシート供給部127へ搬送された後、キャリアプレート101内部の真空が解除され、プレート保持装置134Bにより上プレート部材111が取り外される(ステップS8、図27)。 キャリアプレート101内部の真空解除動作は、搬送レール102Aの近傍に配置されたノズル動作シリンダ107Bを逆止弁装置119
    に接続し、逆止弁を機械的に開弁させてシート収容部1
    13内へ空気を導入することによって行われる。 【0112】以上の工程を経て製作された積層シートC
    1は、製品としてそのままの形態で完成体とされるか、
    あるいは、更に積層シートC1の表面に二次ラミネートシートして磁気ストライプ、磁気ストライプ隠蔽シート、最外層印刷シート等が丁合い積層された後、再度、
    各プレート部材111,112を重ね合わせて後段の二次ラミネート部へ供給され、積層シートC2とされる。
    本実施の形態では、後者の例を採用し、以下説明する。 【0113】積層シートC1に対する二次ラミネートシートCの丁合い積層は、図示しないシート転送装置を用いて、当該二次ラミネートシートCに形成された基準孔に対して下プレート部材112の位置決めピン115を貫通させることによって行われる(ステップS8)。 二次ラミネートシートCが積層された下プレート部材11
    2は、上プレート部材111が被せられることなく二次加熱プレス部128へ搬送されて二次加熱プレス処理が行われる(ステップS9)。 【0114】二次加熱プレス部128では、図26Aに模式的に示したように、下プレート部材112上の二次ラミネートシートCに対し、湾曲プレス板172による樹脂製フィルム173を介しての熱プレス処理が行われる。 熱盤171Bの上昇動作により、下プレート部材1
    12上の二次ラミネートシートCが湾曲プレス板172
    に当接し、熱盤171Bの更なる上昇により、湾曲プレス板172が図26B〜26Dに示すように弾性変形しながら二次ラミネートシートCを狭圧する。 【0115】この二次加熱プレス処理において、二次ラミネートシートCは、当該二次ラミネートシートCよりも軟質の樹脂製フィルム173を介してプレスされる結果、二次ラミネートシートCの表面に付着していたゴミ等の異物がプレス時に樹脂フィルム173側へ没入し、
    これにより、二次ラミネートシートC表面への打痕または圧痕を発生させないようにしている。 また、樹脂フィルム173の平滑な面が二次ラミネートシートCの表面に転写されるので、シート表面に光沢を付与したり、表面性状の改善を図ることができる。 【0116】一方、湾曲プレス板172は、プレス時、
    図26B〜図26Dに示すように、二次ラミネートシートCの表面中央部から外周側に向かって徐々に変形し、
    最終的にシートのほぼ全ての領域をプレスするようにしている。 これは、二次ラミネートシートCの表面と樹脂製フィルム173との間に存在する空気を、シート表面中央部から外周側へ押し逃がす作用を行い、これによって、気泡等を発生させずに二次ラミネートシートCを積層シートC1表面に溶着することができる。 【0117】図25を参照して、二次加熱プレス処理の終了後、下プレート部材112は二次ラミネートシート供給部127へ戻る。 そして、プレート保持装置134
    Bに保持されていた上プレート部材111が下プレート部材112へ被せられた後、ノズル動作シリンダ107
    Bの作動により、逆止弁装置119を介してキャリアプレート101の内部のシート収容部113が真空排気される(ステップS10)。 【0118】キャリアプレート101の内部が所定圧にまで真空排気された後、キャリアプレート101は二次加熱プレス部128を通過して二次冷却プレス部129
    へ搬送され、ここで二次冷却プレス処理が行われる(ステップS11)。 【0119】二次冷却プレス処理の終了後、キャリアプレート101はシート取出部130へ搬送される。 ここで、キャリアプレート101は、ノズル動作シリンダ1
    07Cの作動によりキャリアプレート101内部の真空状態が解除され、その後、プレート保持装置134Cによって上プレート部材111が取り外される(ステップS12)。 【0120】シート取出部130では、上プレート部材111が取り外されて二次ラミネートが完了した積層シートC2が、シート転送装置136Bを介して外部の専用トレイ182へ移載される。 専用トレイ182内の積層シートC2は、例えば図14を参照して説明したカード打抜き装置40等によってカード一枚サイズに打ち抜かれ、プラスチックカードが完成する。 【0121】積層シートC2が取り出された後、下プレート部材112には上プレート部材111が被せられる(ステップS13)。 これら上プレート部材111および下プレート部材112は互いに重ね合わされた状態で昇降ユニット102Bを介して下段側の搬送レール10
    2Cへ移載される。 そして、クリーニング部131へ向けて搬送される。 【0122】<クリーニング工程>キャリアプレート1
    01は、クリーニング部131へ搬送される途中で、下プレート部材112に被せられた上プレート部材111
    が、図27に示したようにプレート反転装置185Aによって取り外された後、鏡面板111aが上方を向くように180度反転されて、搬送レール102C上へ載置される(ステップS14)。 【0123】プレート反転装置185Aの作用により、
    鏡面板112a,111aを上方に向けて1ステーション分隔てられて併走される下プレート部材112および上プレート部材111は、順次、ラッピング装置191
    およびクリーニングローラ装置192によって鏡面板1
    12a,111aのクリーニング処理が行われる(ステップS15)。 【0124】ラッピング装置191は、図28に示したように、押圧ローラ198に巻回されているラッピングテープ194を下プレート部材112の鏡面板112a
    に押し付け、第1,第2駆動部200A,200Bによる送り動作によって鏡面板112aに付着した樹脂カス等の異物をラッピング除去する。 削り落とされた異物は、集塵機195が吸引する。 【0125】一方、クリーニングローラ装置192は、
    図29に示したように、粘着ローラ201を鏡面板11
    2aに沿って転動させることにより異物を払拭する。 粘着ローラ201のローラ面に付着した異物は補助ローラ202で除去され、粘着ローラ201は常に清浄な面で鏡面板112a上を転動する。 【0126】以上のクリーニング処理は、上プレート部材111の鏡面板111aに対しても同様にして行われる。 図20を参照して、クリーニング済みの上プレート部材111は、その搬送途上でプレート反転装置185
    Bに把持され、鏡面板111aが下向きとなるように1
    80度反転された後、下プレート部材112上に被せられる(ステップS16)。 【0127】両プレート部材111,112が重ね合わされたキャリアプレート101は、昇降ユニット102
    Dを介して再び搬送レール102Aの始端部(供給部1
    21)へ搬送される。 そして、プレート保持装置134
    Aによって上プレート部材111が上方へリフトされ、
    次なるカード構成シートCが下プレート部材112上に積層される(ステップS17,S5)。 【0128】以上のように、本実施の形態によれば、上述の第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。 また、本実施の形態によれば、キャリアプレート1
    01の搬送経路を上下二段の搬送レール102A,10
    2Cで構成したので、装置の設置占有体積の最小化を図って装置の小型化に大きく貢献することができるとともに、供給部121、ラミネート部(一次、二次)、シート取出部130を任意の位置に設けることができる。 【0129】(第3の実施の形態)図32〜図36は、
    本発明の第3の実施の形態を示している。 本実施の形態では、熱プレス用プレートとしてのキャリアプレートを構成する上下一対のプレート部材の構成が、上述した第2の実施の形態と異なっている。 図32は本実施の形態における上プレート部材211をその狭圧面側から見た平面図、図33は本実施の形態における下プレート部材212をその狭圧面側から見た平面図である。 【0130】上プレート部材211は長方形状で、金属材料、例えばアルミニウム合金でなり、その狭圧面には例えばステンレス鋼製の鏡面板211aがビス211b
    を介して取り付けられている。 鏡面板211の面内領域には、下プレート部材212の位置決めピン215の立設位置に対応してニゲ孔211cが形成されている。 また、鏡面板211aの外方位置には、密封部材を装着するための環状溝211dが形成されている。 【0131】上プレート部材211の短辺側の両側面には、例えば上述の第2の実施の形態で説明した搬送レールローラコンベヤに支持される支持ブロック211eが各々一対ずつ設けられている。 また、一対の支持ブロック211eの間には、上述の第2の実施の形態で説明したプレート反転装置の把持部が進入するための凹所21
    1fが形成されている。 さらに、上プレート部材211
    の長辺側の両側面のほぼ中央部には、上記搬送レール上における位置決め用のプレートストッパに当接するガイドブロック211gがそれぞれ設けられている。 【0132】一方、下プレート部材212も同様に長方形状で、例えばアルミニウム合金でなり、その狭圧面には例えばステンレス鋼製の鏡面板212aがビス212
    bを介して取り付けられている。 下プレート部材212
    の短辺側の両側面には、例えば上述の第2の実施の形態で説明した搬送レールのローラコンベヤに支持される支持ブロック212eが各々一対ずつ設けられている。 また、一対の支持ブロック212eの間には逆止弁装置2
    19がそれぞれ設けられており、プレート内部に形成された排気通路を介して脱気孔217に連絡している。 さらに、下プレート部材212の長辺側の両側面のほぼ中央部には、上記搬送レール上における位置決め用のプレートストッパに当接するガイドブロック212gがそれぞれ設けられている。 【0133】これら上プレート部材211および下プレート部材212は、そのプレート本体と鏡面板211
    a,212aとの間に、熱伝導性を調整するためのクッション材としてゴムシートや紙パッド、フェルトシート等が介在されていてもよい。 【0134】下プレート部材212の鏡面板212a
    は、その長辺側の2辺に切欠き212sが形成されており、一方側の切欠き212s内にシート丁合い用の位置決めピン215が3本立設されている。 切欠き212s
    の形成部位に対応する上プレート部材211の鏡面板2
    11a上には、例えば厚さ1mm程度のステンレス製の金属テープ231がそれぞれ設けられている。 【0135】本実施の形態における下プレート部材21
    2は、上述の第2の実施の形態で説明したカード製造装置100におけるシート取出部130において(図2
    5)、シート転送装置136Bのシート吸着部143による積層シートC2の取出し作業の改善を図る目的で構成されている。 すなわち、二次ラミネート工程を経て製作された積層シートC2(図33において二点鎖線で示す)は、圧着作用により下プレート部材の鏡面板に密着して、シート吸着部143のみによる積層シートC2の取り出しが容易でない場合がある。 【0136】そこで、本実施の形態の下プレート部材2
    12においては、鏡面板212aに切欠き212sを設けて、ラミネート処理後、切欠き212sの形成部位において積層シートC2と下プレート部材212との間に隙間が形成されるようにしている。 そして、図34に示すように、シート吸着部143の本体220の下面に積層シートC2を吸着する複数の吸着パッド221と、鏡面板212aの切欠き212sに進入する複数の取出し爪222を設けている。 取出し爪222は、本体220
    の下面に取り付けられたリニアガイド223に沿って図中矢印Hで示す方向へ移動可能に構成されている。 特に、位置決めピン215が立設される側の切欠き212
    sに設けられる取出し爪222は、当該位置決めピン2
    15の近傍に配置されるのがよい。 【0137】以上の構成により、下プレート部材212
    上の積層シートC2は、図34において矢印Vで示す下方向へ移動してきたシート吸着部143の複数の吸着パッド221に上面が吸着されるとともに、取出し爪22
    2がニゲ部としての切欠き212s内に進入して積層シートC2と下プレート部材212との間に位置する。 そして、シート吸着部143が上方向へ移動することによって、取出し爪222が積層シートC2の縁部下面を持ち上げる。 これにより、積層シートC2を鏡面板212
    aから剥がし取ることができ、下プレート部材212からの積層シートC2の取り出しを容易に行うことができる。 その後、吸着パッド221の吸着作用によって積層シートC2を吸着保持し、所定の専用トレイ182(図25)へ搬送する。 なお、取出し爪222の配置の仕方によっては、吸着パッド221を要せずに積層シートC
    2の取出しが可能である。 【0138】一方、切欠き212sの形成により、これら切欠き212sの直上方位置に対応する積層シートC
    2の領域が圧力不足となり、当該領域で溶着不良によるシート剥離や、シート面内部におけるシート構成材料の流動化によって厚さバラツキが発生するおそれがある。 【0139】その対策として、本実施の形態では、上述したように上プレート部材211側の狭圧面に金属テープ231を貼り付けており、これにより、切欠き212
    sの形成部位における圧力不足を補うようにしている。
    すなわち、図36Eに示すように、切欠き212sの直上方に位置する積層シートC2の領域は、上プレート部材の鏡面板211aに貼着された金属テープ231の厚さに相当する大きさだけ圧力が増大され、これにより適正な溶着を実現できる。 また、シート構成材料の流動化をも抑えて、シート面内部における厚さバラツキを抑制できる。 なお、金属テープ231による圧力調整は、当該補助テープ231の厚さだけでなく、金属テープ23
    1の貼着位置、すなわち図36Eに示すように、金属テープ231による増圧幅WEの調整によっても行うことができる。 【0140】また、金属テープ231が鏡面板211a
    の外周長辺領域にだけ貼着されることによって、鏡面板211aの外周短辺領域における積層シートC2の圧力不足が顕在する場合には、当該短辺領域に対しても同様な金属テープを貼着することで対処が可能である。 【0141】図35は、上プレート部材211の鏡面板211aの短辺領域に対して、金属テープ231と同種の補助テープ232を貼着した例を示している。 補助テープ232は、例えばステンレス鋼製で、金属テープ2
    31よりも薄く構成されている。 補助テープ232は、
    鏡面板211aの外周短辺領域であって、2本の金属テープ231の各端部同士を連絡する位置に貼着されている。 【0142】図36Aおよび図36Bは、積層シートC
    2に対する補助テープ232の作用を示す要部の断面図である。 補助テープ232は、シート短辺側縁部を増圧する作用を行う。 これにより、シート短辺側における圧力不足を解消してラミネート工程の適正化を図ることができる。 なお、図36Bは、図36Aに示した例よりも補助テープ232をシート面内側へ貼着した例を示し、
    これにより図36Aに示した補助テープ232の増圧幅WAよりも大きな増圧幅WBを得ることができる。 【0143】なおまた、補助テープ232は、上プレート部材の狭圧面211a側に貼着する構成例だけに限らず、図36Cおよび図36Dに示すように、上プレート部材の狭圧面211aと下プレート部材の狭圧面212
    aの双方に互いに対向させるように補助テープ232A
    および232Bを貼着するようにしてもよい。 この場合でも、補助テープ232A,232Bが協働してシート短辺領域の増圧を図ることができる。 ここで、図36D
    に示すように、補助テープ232Aと補助テープ232
    Bとを互いにずらして貼着すれば、図36Cに示した場合の増圧幅WCよりも大きな増圧幅WDを得ることができる。 【0144】以上、本発明の各実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることなく、
    本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。 【0145】例えば以上の第2の実施の形態では、キャリアプレート101に対して排気通路118および逆止弁装置119を下プレート部材112側に設けたが、これに限らず、上プレート部材111側に設けてもよい。 【0146】また、以上の第1,第2の実施の形態では、プラスチックカードとしてICカードを製造するプロセスについて説明したが、これに限らず、磁気カード等の他のカード状記憶媒体の製造プロセスにも本発明は適用可能である。 【0147】また、逆止弁装置119は、図37A,B
    に模式的に示す構成のものも採用可能である。 図37
    A,Bに示す逆止弁装置119'は、部材51Aおよび部材51Bを気密に螺着接合してなるケーシング51
    と、ケーシング51の内壁面に対して気密に摺動する可動部材52と、可動部材52に形成される弁座53と、
    弁座53に離着座可能な弁体54と、弁体54を弁座5
    3の方向へ付勢する弁ばね55と、弁ばね55の一端を支持するリテーナ56と、可動部材52をリテーナ56
    側へ付勢するスプリング部材57とから構成される。 以上のように構成される逆止弁装置119'は、下プレート部材112に対して気密に螺着接合されている。 ノズル動作シリンダ107Aは、ケーシング51の開口部5
    1Hを介して接続され、リテーナ56がノズル動作シリンダ107Aに押動されることにより可動部材52が図中左方へ移動される。 弁ばね55の付勢を受けて弁座5
    3へ着座している弁体54は、可動部材52とともに所定距離だけ移動するが、ケーシング51の突出部51P
    に弁体54の軸部54aが当接することにより、これ以上の弁体54の移動が規制される。 したがって、可動部材52の更なる移動により遂には弁座53から弁体54
    が離座し、逆止弁装置119'が開弁する。 この状態で、排気通路118を介してのキャリアプレート内部の真空排気が行われる。 一方、キャリアプレートの真空解除操作も上記と同様な方法で行われ、逆止弁装置11
    9'を開弁することによって外部から大気を導入し、プレート内部を大気に開放する。 【0148】 【発明の効果】以上述べたように、本発明のプラスチックカードによれば、印刷歪みや文字かすれ等をなくし、
    外観品質の向上を図ることができる。 また、本発明のプラスチックカードの製造方法によれば、歪めや捩れを生じさせることなくカード構成シートを高い丁合い精度で積層でき、印刷歪みや文字かすれ等のない外観品質の優れたプラスチックカードを製造することができる。 【0149】また、本発明の熱プレス用プレートによれば、カード構成シートの歪みや捩れを実質的に生じさせることなく各カード構成シートを一体化させることができる。 また、脱気装置と分離した状態で搬送することができる。 さらに、本発明のカード製造装置によれば、上記の効果に加えて、供給部やラミネート部、取出部を任意に配置でき、一台の装置で多品種のカードを製造することができる。

    【図面の簡単な説明】 【図1】図1aはカード構成シートの加工前の一例を示す斜視図、図1bはカード構成シートに丸孔と長孔を形成した状態を示す斜視図、図1cはカード構成シートに磁気ストライプを形成した状態を示す斜視図である。 【図2】図2a〜図2cは、図1のカード構成シートを使用するICカードの製造工程の前段を示す斜視図である。 【図3】図3d〜図3gは、図1のカード構成シートを使用するICカードの製造工程の後段を示す斜視図である。 【図4】図4a及び図4bは、それぞれ基準孔の形成状況を示す斜視図である。 【図5】複数のカード構成シートの丁合いの状態を示す断面図である。 【図6】最外層シートの丁合いおよび熱プレスを別に行う状況を例示する斜視図である。 【図7】一次予熱プレス(a)、一次熱プレス(b)および一次冷却プレス(c)からなる熱プレス工程を示す斜視図である。 【図8】一次丁合いプレス積層シートを使用する積層構造の変形例を示す斜視図である。 【図9】図8のA−A'線縦断面図である。 【図10】図8及び図9とは別の積層構造を示す斜視図である。 【図11】更に別の積層構造を示す斜視図である。 【図12】図11の一次丁合いプレス積層シートに、最外層シートを二次丁合いする要領を示す斜視図である。 【図13】9枚付けのプラスチックカードを有するプラスチックシートを示す斜視図である。 【図14】プラスチックシートを個々のICカードに打ち抜く要領を示す斜視図である。 【図15】本発明の第2の実施の形態によるカード製造装置100の全体を示す斜視図である。 【図16】熱プレス用プレートとしてのキャリアプレート101の構成を示す斜視図であり、上プレート部材1
    11と下プレート部材112とを分離した状態を示している。 【図17】下プレート部材の狭圧面に対する各種カード構成シートの丁合い積層工程を説明する斜視図である。 【図18】キャリアプレート101の構成を示す縦断面図であり、Aは下プレート部材112に対して上プレート部材111が取り外された状態を示し、Bは下プレート部材112に対して上プレート部材111が被せられた状態を示す。 【図19】下プレート部材に装着される密封部材の構成を示す斜視図であり、Aは密封部材の断面斜視図、Bは下プレート部材に装着された状態の密封部材の断面斜視図である。 【図20】カード製造装置100の供給部121の周辺を示す斜視図である。 【図21】供給部121を示す斜視図である。 【図22】カード構成シートCの準備工程を説明する斜視図である。 【図23】一次加熱プレス部の構成を示す斜視図である。 【図24】一次冷却プレス部の構成を模式的に示す縦断面図である。 【図25】カード製造装置100の二次ラミネート部およびシート取出部130の構成を示す斜視図である。 【図26】二次加熱プレス部128の作用を説明するための断面図である。 【図27】プレート反転装置185A(185B)の構成を示す斜視図である。 【図28】クリーニング部におけるラッピング装置19
    1の構成を示す斜視図である。 【図29】クリーニング部におけるクリーニングローラ装置192の構成を示す斜視図である。 【図30】カード製造装置100の作用を説明する工程フローである。 【図31】カード製造装置100の作用を説明する工程フローである。 【図32】本発明の第3の実施の形態による上プレート部材211を狭圧面側から見た平面図である。 【図33】本発明の第3の実施の形態による下プレート部材212を狭圧面側から見た平面図である。 【図34】下プレート部材212上の積層シートC2を外部へ取り出すためのシート吸着部143の構成を説明する断面図である。 【図35】上プレート部材211の狭圧面の構成の変形例を示す平面図である。 【図36】上プレート部材および下プレート部材の狭圧面に貼着された金属テープ231および補助テープ23
    2の作用を説明する断面図である。 【図37】逆止弁装置119の構成の一例を示す断面図であり、Aは閉弁状態を示し、Bは開弁状態を示している。 【図38】非接触ICカードの構成の一例を示す分解斜視図である。 【図39】従来の熱プレス用プレートの構成を示す斜視図である。 【図40】従来の熱プレス装置あるいはカード製造装置を示す平面図である。 【符号の説明】 11,19a〜19d,C…カード構成シート、13a
    〜13f,116a〜116c…基準孔、15a,17
    …丸孔、15b…角孔、15c,18…長孔、16,2
    1,115,215…位置決めピン、20,112,2
    12…下プレート部材、22,111,211…上プレート部材、24,C1…一次丁合い積層シート、27…
    熱伝導性ゴムシート、28,111a,112a,21
    1a,212a…鏡面板、29,31…非熱プレス部、
    34…最外層シート、35…プラスチックシート、10
    0…カード製造装置、101…キャリアプレート、10
    2A,102C…搬送レール、102B,102D…昇降ユニット、113…シート収容部、114…密封部材、114a…ベース部、114b…密封部、114c
    …連結部、117…脱気孔、118…排気通路、119
    …逆止弁装置、121…供給部、122…第1予熱プレス部、123…第2予熱プレス部、124…加熱プレス部、125…第1冷却プレス部、126…第2冷却プレス部、127…二次ラミネートシート供給部、128…
    二次加熱プレス部、129…二次冷却プレス部、130
    …シート取出部、131…クリーニング部、138…トレイラック、139…トレイ、172…湾曲プレス板、
    173…樹脂製フィルム、191…ラッピング装置、1
    92…クリーニングローラ装置、212s…切欠き、2
    22…取出し爪、231…金属テープ、232…補助テープ、C2…二次丁合い積層シート。

    フロントページの続き (51)Int.Cl. 7識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29L 7:00 B29L 9:00 9:00 G06K 19/00 K Fターム(参考) 2C005 LA03 MA13 NA08 NA09 4F211 AA13 AA24 AA28 AD08 AD24 AG02 AG03 AH37 TA01 TC02 TC20 TD11 TH02 TH06 TH20 TJ22 TJ30 TN07 TQ04 5B035 AA04 AA08 BA03 BA05 BB09 CA01 CA03

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