ガラス基板、積層基板、およびガラス基板の製造方法

申请号 JP2016573375 申请日 2016-02-02 公开(公告)号 JPWO2016125787A1 公开(公告)日 2017-12-14
申请人 旭硝子株式会社; 发明人 周平 野村; 周平 野村; 和孝 小野; 和孝 小野;
摘要 本発明は、シリコン 基板 とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程において、アルカリイオンが前記シリコン基板に拡散しにくく、前記シリコン基板に発生する残留歪が小さいガラス基板を提供する。本発明のガラス基板は、50℃〜100℃での平均熱膨張係数α50/100が2.70ppm/℃〜3.20ppm/℃であり、200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300が3.45ppm/℃〜3.95ppm/℃であり、200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300を50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100で除した値α200/300/α50/100が、1.20〜1.30であり、アルカリ金属 酸化 物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%である。
权利要求

50℃〜100℃での平均熱膨張係数α50/100が2.70ppm/℃〜3.20ppm/℃であり、 200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300が3.45ppm/℃〜3.95ppm/℃であり、 200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300を50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100で除した値α200/300/α50/100が、1.20〜1.30であり、 アルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%であるガラス基板。200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300が3.55ppm/℃〜3.85ppm/℃である請求項1に記載のガラス基板。酸化物基準のモル百分率表示で、下記の組成である請求項1または2に記載のガラス基板。 SiO2 :50%〜75%、 Al2O3 :6%〜16%、 B2O3 :0%〜15%、 MgO :0%〜15%、 CaO :0%〜13%、 SrO :0%〜11%、 BaO :0%〜9.5%酸化物基準のモル百分率表示で、CaO、SrO、およびBaOの合計含有量が7%以上、かつ(Al2O3の含有量)≧(MgOの含有量)であり、失透粘性が103.8d・Pa・s以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載のガラス基板。100℃〜200℃での平均熱膨張係数α100/200が3.13ppm/℃〜3.63ppm/℃である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス基板。酸化物基準の質量百万分率表示で、Fe2O3の含有量が200ppm以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載のガラス基板。ヤング率が80GPa以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載のガラス基板。厚さが1.0mm以下である請求項1〜7のいずれか一項に記載のガラス基板。面積が0.03m2以上である請求項1〜8のいずれか一項に記載のガラス基板。ガラス基板に含まれる0.5μm以上1mm以下の欠点の密度が、1個/cm2以下である請求項1〜9のいずれか一項に記載のガラス基板。仮想粘度が1011.0d・Pa・s〜1014.1d・Pa・sである請求項1〜10のいずれか一項に記載のガラス基板。0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×(12.3+log1060−log10η)が2.70〜3.20、 0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×(12.3+log1060−log10η)が3.13〜3.63、 0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×(12.3+log1060−log10η)が3.45〜3.95、および 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×(12.3+log1060−log10η)が1.20〜1.30 を満たす請求項1〜11のいずれか一項に記載のガラス基板。 (ここで、SiO2の含有量、Al2O3の含有量、B2O3の含有量、MgOの含有量、CaOの含有量、およびSrOの含有量は、得られたガラスに含有される酸化物基準のモル百分率表示で表した含有量、ηは仮想粘度(単位:d・Pa・s)である。)25℃、5質量%のフッ酸溶液に対する重量減少量が0.05(mg/cm2)/分以上、0.20(mg/cm2)/分以下である請求項1〜12のいずれか一項に記載のガラス基板。光弾性定数が31nm/(MPa・cm)以下である請求項1〜13のいずれか一項に記載のガラス基板。請求項1〜14のいずれか一項に記載のガラス基板と、シリコン基板とが積層された積層基板。ガラス基板とシリコン基板とが積層され、 前記ガラス基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100と、前記シリコン基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数αSi50/100との差Δα50/100(=α50/100−αSi50/100)が、−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃であり、 前記ガラス基板の200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300と、前記シリコン基板の200℃〜300℃の平均熱膨張係数αSi200/300との差Δα200/300(=α200/300−αSi200/300)が、−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃であり、 Δα200/300−Δα50/100が−0.16ppm/℃〜0.16ppm/℃であり、 前記ガラス基板のアルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%である積層基板。前記ガラス基板の100℃〜200℃の平均熱膨張係数α100/200と、前記シリコン基板の100℃〜200℃の平均熱膨張係数αSi100/200との差Δα100/200(=α100/200−αSi100/200)が、−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃である請求項16に記載の積層基板。ガラス原料を加熱して溶融ガラスを得る溶解工程と、 前記溶融ガラスから泡を除く清澄工程と、 前記溶融ガラスを板状にしてガラスリボンを得る成形工程と、 前記ガラスリボンを室温状態まで徐冷する徐冷工程と、を含み、 酸化物基準のモル百分率表示で、得られるガラス基板の組成が下記の組成であり、 SiO2 :50%〜75%、 Al2O3 :6%〜16%、 B2O3 :0%〜15%、 MgO :0%〜15%、 CaO :0%〜13%、 SrO :0%〜11%、 BaO :0%〜9.5%、 アルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%、 前記得られるガラス基板の組成と、前記徐冷工程における前記ガラスリボンの粘度が1013d・Pa・sとなる温度から1014.5d・Pa・sとなる温度になるまでの平均冷却速度R(単位:℃/分)とが、次の条件(1)、条件(2)、条件(3)、および条件(4)を満たすガラス基板の製造方法。 条件(1): 0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×log10Rが2.70〜3.20 条件(2): 0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×log10Rが3.13〜3.63 条件(3): 0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×log10Rが3.45〜3.95 条件(4): 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×log10Rが1.20〜1.30 (ここで、SiO2の含有量、Al2O3の含有量、B2O3の含有量、MgOの含有量、CaOの含有量、SrOの含有量、およびBaOの含有量は、得られたガラスに含有される酸化物基準のモル百分率表示で表した含有量である。)

说明书全文

本発明は、ガラス基板、積層基板、およびガラス基板の製造方法に関する。

チップサイズパッケージ(CSP)等のイメージセンサは、シリコン基板上にガラス基板を貼り付けて保護する方式が知られており、熱膨張による伸び率をガラスと接合されるシリコン基板の熱膨張による伸び率に近づけたシリコン台座用ガラスが提案されている(例えば、特許文献1参照)。

また、これまでの半導体組立工程では、ウェハ状態のシリコン基板とガラス基板とをそれぞれ切断した後に、シリコン基板とガラス基板とを貼り合わせて、ダイボンディング、ワイヤーボンディング、およびモールディングなどの一連の組立工程を行っている。近年、原寸のウェハ状態でシリコン基板とガラス基板とを貼り合わせて組立工程を行った後に切断を行うウェハレベルパッケージ技術が次世代CSP技術として脚光を浴びている。

シリコン基板とガラス基板とを貼り合わせるには、熱処理工程を必要とする。熱処理工程では、例えば、200℃〜400℃の温度でシリコン基板とガラス基板を貼り合わせた積層基板を室温まで降温させる。このとき、シリコン基板とガラス基板の熱膨張係数に差があると、熱膨張係数の違いによりシリコン基板に大きな残留歪(残留変形)が発生する原因となる。

ウェハレベルパッケージ技術では、ウェハ状態でシリコン基板とガラス基板を貼り合わせるため、従来では問題にならなかったような熱膨張係数の差でも、シリコン基板に残留歪が発生しやすい。また、熱処理工程では、アルカリイオンがガラス基板からシリコン基板に拡散しないことが求められる。

日本国特許第3153710号公報

特許文献1には、ガラスの熱膨張による伸び率α1と、ガラスと接合されるシリコン基材の熱膨張による伸び率α2との比率α12が0.8〜1.2の範囲の値であることを特徴とするシリコン台座用ガラスが提案されている。しかし、特許文献1で開示されている実施例のガラスでは、シリコン基板との熱膨張係数の一致性は不十分であり、ウェハレベルパッケージ技術ではシリコン基板に残留歪が発生しやすい。

そこで、本発明は、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程において、アルカリイオンがシリコン基板に拡散しにくく、シリコン基板に発生する残留歪が小さいガラス基板およびガラス基板の製造方法を提供する。または、本発明は、当該ガラス基板を用いた積層基板を提供する。

本発明のガラス基板は、50℃〜100℃での平均熱膨張係数α50/100が2.70ppm/℃〜3.20ppm/℃であり、 200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300が3.45ppm/℃〜3.95ppm/℃であり、 200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300を50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100で除した値α200/30050/100が、1.20〜1.30であり、 アルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%であることを特徴とする。

本発明の積層基板は、上記のガラス基板と、シリコン基板とが積層されたことを特徴とする。 また本発明の積層基板は、ガラス基板とシリコン基板とが積層され、前記ガラス基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100と、前記シリコン基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数αSi50/100との差Δα50/100(=α50/100−αSi50/100)が、−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃であり、 前記ガラス基板の200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300と、前記シリコン基板の200℃〜300℃の平均熱膨張係数αSi200/300との差Δα200/300(=α200/300−αSi200/300)が、−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃であり、 前記Δα200/300−前記Δα50/100が、−0.16ppm/℃〜0.16ppm/℃であり、 前記ガラス基板のアルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%であることを特徴とする。

本発明のガラス基板の製造方法は、 ガラス原料を加熱して溶融ガラスを得る溶解工程と、 前記溶融ガラスから泡を除く清澄工程と、 前記溶融ガラスを板状にしてガラスリボンを得る成形工程と、 前記ガラスリボンを室温状態まで徐冷する徐冷工程と、を含み、 酸化物基準のモル百分率表示で、得られるガラス基板の組成が下記の組成であり、 SiO2 :50%〜75%、 Al2O3 :6%〜16%、 B2O3 :0%〜15%、 MgO :0%〜15%、 CaO :0%〜13%、 SrO :0%〜11%、 BaO :0%〜9.5%、 アルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%、 前記得られるガラス基板の組成と、前記徐冷工程における前記ガラスリボンの粘度が1013d・Pa・sとなる温度から1014.5d・Pa・sとなる温度になるまでの平均冷却速度R(単位:℃/分)とが、次の条件(1)、条件(2)、条件(3)、および条件(4)を満たすガラス基板の製造方法。 条件(1): 0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×log10Rが2.70〜3.20 条件(2): 0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×log10Rが3.13〜3.63 条件(3): 0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×log10Rが3.45〜3.95 条件(4): 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×log10Rが1.20〜1.30 ここで、SiO2の含有量、Al2O3の含有量、B2O3の含有量、MgOの含有量、CaOの含有量、SrOの含有量、およびBaOの含有量は、得られたガラスに含有される酸化物基準のモル百分率表示で表した含有量である。 なお、本明細書において、特に明記しない限りは、ガラス基板およびその製造方法における各成分の含有量は酸化物基準のモル百分率で表す。

本発明は、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程において、アルカリイオンがシリコン基板に拡散しにくく、シリコン基板に発生する残留歪が小さいガラス基板およびガラス基板の製造方法が提供できる。または、本発明は、当該ガラス基板を用いた積層基板が提供できる。

図1(A),(B)は、シリコン基板と貼り合わせる本発明の一実施形態に係るガラス基板を表し、図1(A)は貼り合わせ前の断面図、図1(B)は貼り合わせ後の断面図である。

図2は、アルカリ金属酸化物の含有量の影響を表すSIMS測定結果を示す図である。

以下、本発明の一実施形態について説明する。 図1(A),図1(B)は、シリコン基板と貼り合わせる本発明の一実施形態に係るガラス基板を表す。図1(A)に表される本発明により得られるガラス基板G1は、シリコン基板10と、樹脂20を間に挟み、例えば、200℃〜400℃の温度で貼り合わされ、図1(B)に表される積層基板30が得られる。シリコン基板10として、例えば、原寸のウェハが用いられる。樹脂20は、200℃〜400℃の温度に耐えられるものであれば何でもよい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、シリコン基板との熱膨張係数の差が小さいため、シリコン基板と貼り合わせる熱処理工程やその後の熱処理工程において、熱膨張係数の差に起因する残留歪の発生を抑制することができる。そのため、ウェハレベルパッケージによる素子の小型化が有効なMEMS、CMOS、CIS等のイメージセンサ用のガラス基板として好適である。

また、プロジェクション用途のディスプレイデバイス用のカバーガラス、例えばLCOS(Liquid Cristyal ON Silicon)のカバーガラスとして好適である。例えばLCOSやイメージセンサでは、シリコン基板上に電子回路を形成した後、接着材として樹脂やガラスフリットを用いて、シリコン基板にカバーガラスが接着される。シリコン基板とカバーガラスの熱膨張係数が一致または極めて近ければ、デバイス製造時や使用時に温度が変化した際に接着界面に生じる応が低減される。これにより、光弾性変形に起因する色ムラの低減や、長期信頼性の向上が期待できる。

さらに、ガラスインターポーザ(GIP)の穴開け基板や、半導体バックグラインド用のサポートガラスとして好適である。本発明の一実施形態のガラス基板は、シリコン基板と貼り合わせて使うガラス基板用途であれば好適に使用できる。

本発明の一実施形態のガラス基板は、50℃〜100℃での平均熱膨張係数α50/100が、2.70ppm/℃〜3.20ppm/℃である。α50/100は2.80ppm/℃以上が好ましく、2.90ppm/℃以上がより好ましく、2.91ppm/℃以上がさらに好ましく、2.92ppm/℃以上が特に好ましい。また、α50/100は、3.10ppm/℃以下が好ましく、3.00ppm/℃以下がより好ましく、2.96ppm/℃以下がさらに好ましく、2.94ppm/℃以下が特に好ましい。

α50/100が上記範囲であれば、シリコン基板との熱膨張係数の差が小さいため、プロセスマージンは確保しつつ、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪を小さくすることができる。

ここで、50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100とは、JIS R3102(1995年)で規定されている方法で測定した、熱膨張係数を測定する温度範囲が50℃〜100℃である平均熱膨張係数である。

上記した数値範囲を示す「〜」とは、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含む意味で使用され、特段の定めがない限り、以下本明細書において「〜」は、同様の意味をもって使用される。

本発明の一実施形態のガラス基板は、200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300が3.45ppm/℃〜3.95ppm/℃である。α200/300は3.55ppm/℃以上が好ましく、3.65ppm/℃以上がより好ましく、3.66ppm/℃以上が特に好ましく、3.68ppm/℃以上が最も好ましい。またα200/300は3.85ppm/℃以下が好ましく、3.75ppm/℃以下がより好ましく、3.73ppm/℃以下が特に好ましく、3.71ppm/℃以下が最も好ましい。

α200/300が上記範囲であれば、本発明の一実施形態のガラス基板をシリコン基板と貼り合わせる際のプロセスマージンは確保しつつ、シリコン基板との熱膨張係数の差が小さいため、シリコン基板との熱膨張係数差に起因する残留歪の発生などの不良を有意に抑制することができる。

また、α200/300が3.55ppm/℃〜3.85ppm/℃であれば、シリコン基板との熱膨張係数の差が十分に小さくなるため、熱膨張係数の差に起因する不良をより抑制することができる。

ここで、200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300とは、JIS R3102(1995年)で規定されている方法で測定した、熱膨張係数を測定する温度範囲が200℃〜300℃である平均熱膨張係数である。

本発明の一実施形態のガラス基板は、200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300を50℃〜100℃での平均熱膨張係数α50/100で除した値α200/30050/100が1.20〜1.30である。α200/30050/100が1.20〜1.30であれば、シリコン基板との熱膨張係数の差が小さいため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。α200/30050/100は、1.24〜1.27が好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、アルカリ金属酸化物の含有量が0%〜0.1%である。ここで、アルカリ金属酸化物は、Li2O、Na2O、K2Oなどである。アルカリ金属酸化物の含有量が0.1%以下であれば、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程において、アルカリイオンがシリコン基板に拡散しにくい。アルカリ金属酸化物の含有量は、0.05%以下がより好ましく、0.02%以下がさらに好ましく、実質的に含まないことが特に好ましい。ここで、アルカリ金属酸化物を実質的に含まないとは、アルカリ金属酸化物を全く含まないこと、またはアルカリ金属酸化物を製造上不可避的に混入した不純物として含んでいてもよいことを意味する。

本発明の一実施形態のガラス基板は、下記の組成であることが好ましい。 SiO2 :50%〜75%、 Al2O3 :6%〜16%、 B2O3 :0%〜15%、 MgO :0%〜15%、 CaO :0%〜13%、 SrO :0%〜11%、 BaO :0%〜9.5%

SiO2はガラスの骨格を形成する成分である。SiO2の含有量が50%以上であれば、耐熱性、化学的耐久性、耐候性が良好となる。SiO2の含有量が75%以下であれば、ガラス溶解時の粘性が高くなり過ぎずに溶融性が良好となる。SiO2の含有量は、60%以上が好ましく、64%以上がより好ましい。またSiO2の含有量は、70%以下が好ましく、68%以下がより好ましい。

Al2O3の含有量が6%以上であれば、耐候性、耐熱性、化学的耐久性が良好となり、ヤング率が高くなる。Al2O3の含有量が16%以下であれば、ガラス溶解時の粘性が高くなり過ぎずに溶融性が良好となり、失透しにくくなる。Al2O3の含有量は、8%以上が好ましく、11%以上がより好ましい。またAl2O3の含有量は14%以下が好ましい。

B2O3は必須成分ではないが、含有することによりガラス溶解時の粘性が高くなり過ぎずに溶融性が良好となり、失透しにくくなる。B2O3の含有量が15%以下であれば、ガラス転移温度を高くすることができ、ヤング率が高くなる。B2O3の含有量は、3%以上がより好ましい。また、B2O3の含有量は、12%以下が好ましく、6%以下がより好ましい。

MgOは必須成分ではないが、含有することによりガラス溶解時の粘性が高くなり過ぎずに溶融性が良好となり、耐候性が向上し、ヤング率が高くなる。MgOの含有量が、15%以下であれば、失透しにくくなる。MgOの含有量は、4%以上が好ましく、6%以上がより好ましい。また、MgOの含有量は、10%以下が好ましく、9.5%以下がより好ましく、9%以下がさらに好ましい。

CaOは必須成分ではないが、含有することによりガラス溶解時の粘性が高くなり過ぎずに溶融性が良好となり、耐候性が向上する。CaOの含有量が13%以下であれば、失透しにくくなる。CaOの含有量は、4%以上が好ましい。また、CaOの含有量は、10%以下が好ましく、8%以下がより好ましい。

SrOは必須成分ではないが、含有することによりガラス溶解時の粘性が高くなり過ぎずに溶融性が良好となり、耐候性が向上する。SrOの含有量が11%以下であれば、失透しにくくなる。SrOの含有量は、0.5%以上が好ましい。また、SrOの含有量は、8%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。

BaOは必須成分ではないが、含有することによりガラス溶解時の粘性が高くなり過ぎずに溶融性が良好となり、耐候性が向上する。BaOの含有量が9.5%以下であれば、失透しにくくなる。BaOの含有量は、3%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、CaO、SrO、およびBaOの合計含有量が、7%以上が好ましい。CaO、SrO、およびBaOの合計含有量が7%以上であれば、失透しにくくなる。CaO、SrO、およびBaOの合計含有量は7.5%以上がより好ましく、8.0%以上がさらに好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、(Al2O3の含有量)≧(MgO)の含有量が好ましい。(Al2O3の含有量)≧(MgOの含有量)であれば、ガラス基板の平均熱膨張係数をシリコン基板の平均熱膨張係数に合わせやすく、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、失透粘性(ηTL)が、103.8d・Pa・s以上が好ましい。失透粘性が103.8d・Pa・s以上であれば、安定して成形をすることができる。失透粘性は104.0d・Pa・s以上がより好ましく、104.2d・Pa・s以上がさらに好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、CMOSセンサーのカバーガラスとして用いる場合に可視光を吸収しにくくするためには、酸化物基準の質量百万分率表示で、Fe2O3の含有量が、200ppm以下が好ましい。Fe2O3の含有量は、150ppm以下がより好ましく、100ppm以下がさらに好ましく、50ppm以下が特に好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、熱伝導率を高くし、溶融性を良好とするためには、酸化物基準の質量百万分率表示で、Fe2O3を、200ppmを超えて1000ppm以下含有することが好ましい。Fe2O3の含有量が200ppmを超えていれば、ガラス基板の熱伝導率を高くし、溶融性を良好とすることができる。Fe2O3の含有量が1000ppm以下であれば、可視光の吸収が強くなり過ぎない。

Fe2O3の含有量は300ppm以上がより好ましく、400ppm以上がさらに好ましく、500ppm以上が特に好ましい。Fe2O3の含有量は800ppm以下がより好ましく、700ppm以下がさらに好ましく、600ppm以下が特に好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、清澄剤として、例えば、SnO2、SO3、Cl、およびFなどを含有させてもよい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、耐候性、溶解性、失透性、紫外線遮蔽、赤外線遮蔽、紫外線透過、赤外線透過等の改善のために、例えば、ZnO、Li2O、WO3、Nb2O5、V2O5、Bi2O3、MoO3、P2O5、Ga2O3、I2O5、In2O5、Ge2O5等を含有させてもよい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、ガラスの化学的耐久性向上のため、ガラス中にZrO2、Y2O3、La2O3、TiO2、SnO2を合量で2%以下含有させてもよく、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下で含有させる。これらのうちY2O3、La2O3およびTiO2は、ガラスのヤング率向上にも寄与する。

本発明の一実施形態のガラス基板は、環境負荷を考慮すると、As2O3、Sb2O3を実質的に含有しないことが好ましい。また、安定してフロート成形することを考慮すると、ZnOを実質的に含有しないことが好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、100℃〜200℃での平均熱膨張係数α100/200は3.13ppm/℃〜3.63ppm/℃が好ましく、3.23ppm/℃〜3.53ppm/℃がより好ましい。α100/200が上記範囲であれば、シリコン基板との熱膨張係数の差が小さいため、プロセスマージンは確保しつつ、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪を小さくすることができる。

α100/200は3.33ppm/℃以上がさらに好ましく、3.34ppm/℃以上が特に好ましく、3.35ppm/℃以上が最も好ましい。また、α100/200は3.43ppm/℃以下がさらに好ましく、3.41ppm/℃以下が特に好ましく、3.38ppm/℃以下が最も好ましい。

ここで、100℃〜200℃の平均熱膨張係数α100/200とは、JIS R3102(1995年)で規定されている方法で測定した、熱膨張係数を測定する温度範囲が100℃〜200℃である平均熱膨張係数である。

本発明の一実施形態のガラス基板は、ヤング率が、80GPa以上が好ましい。ヤング率が80GPa以上であれば、ガラス基板を製造する際の徐冷工程において発生するガラス基板の反りや割れを抑制することができる。また、シリコン基板や周辺部材等との接触による破損を抑制することができる。ヤング率は81GPa以上がより好ましく、82GPa以上がさらに好ましく、84GPa以上が特に好ましい。

また、ヤング率は、100GPa以下が好ましい。ヤング率が100GPa以下であれば、ガラスが脆くなる事を抑制し、ガラス基板の切削、ダイシング時の欠けを抑えることができる。ヤング率は90GPa以下がより好ましく、87GPa以下がさらに好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、厚さが、1.0mm以下が好ましい。厚さが1.0mm以下であれば、イメージセンサを小型にすることができる。厚さは、0.8mm以下がより好ましく、0.7mm以下がさらに好ましく、0.5mm以下が特に好ましい。

また、厚さは、0.1mm以上が好ましい。厚さが0.1mm以上であれば、シリコン基板や周辺部材等との接触による破損を抑制することができる。また、ガラス基板の自重たわみを抑えることができる。厚さは、0.2mm以上がより好ましく、0.3mm以上がさらに好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、面積が、0.03m2以上が好ましい。面積が0.03m2以上であれば、大面積のシリコン基板を用いることができ、一枚の積層基板から多数のイメージセンサを製造することができる。面積は0.04m2以上がより好ましく、0.05m2以上がさらに好ましい。

また、本発明の一実施形態のガラス基板は、α200/300が3.45ppm/℃〜3.95ppm/℃であり、α200/30050/100が、1.20〜1.30であるため、面積が0.03m2以上であってもシリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。面積は、0.1m2以下が好ましい。面積が0.1m2以下であればガラス基板の取り扱いが容易になり、シリコン基板や周辺部材等との接触による破損を抑制することができる。面積は、0.08m2以下がより好ましく、0.06m2以下がさらに好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、密度が2.60g/cm3以下が好ましい。密度が2.60g/cm3以下であれば、ガラス基板が軽量である。また、ガラス基板の自重によるたわみを低減する事ができる。密度は2.55g/cm3以下がより好ましく、2.50g/cm3以下がさらに好ましい。

また、密度は、2.20g/cm3以上が好ましい。密度が2.20g/cm3以上であれば、ガラスのビッカース硬度が高くなり、ガラス表面に傷をつき難くすることができる。密度は2.30g/cm3以上がより好ましく、2.40g/cm3以上がさらに好ましく、2.45g/cm3以上が特に好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、ガラス基板に含まれる欠点の密度が1個/cm2以下が好ましい。ガラス基板に含まれる欠点とは、ガラス基板の表面や内部に存在する泡、キズ、白金等の金属異物、および未溶融原料などであり、大きさが1mm以下、0.5μm以上のものを指す。欠点が1mmより大きければ、目視で容易に判別でき、欠点を有する基板の除外は容易である。欠点が0.5μmより小さければ、欠点が十分に小さいため、CMOSセンサーやLCOSのカバーガラスとして適用した場合でも素子の特性に影響を及ぼす恐れが無い。

従来の半導体組立工程では、ガラス基板を切断した後に組立工程を行っていたため、ガラス基板に欠点があった場合、組立工程の初期で欠点がある基板を除外できた。一方でウェハレベルパッケージでは、組立工程の最後に積層基板の個片化を行うため、ガラス基板に欠点があった場合、欠点があるガラス基板を除外できるのは組立工程の最後となる。このようにウェハレベルパッケージでは、ガラス基板の欠点の密度が増加した場合のコスト増加が大きくなるため、高品質の欠点管理が求められる。欠点の密度は0.1個/cm2以下がより好ましく、0.01個/cm2以下がさらに好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板の形状は、円形であっても楕円形であっても矩形であっても何でもよい。貼り合わせるシリコン基板の形に合わせるために、ガラス基板の端にノッチがあってもよいし、ガラス基板が円形の場合、ガラス基板の外周の一部が直線であってもよい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、ガラス転移点(Tgとも記す)が、700℃以上が好ましい。Tgが700℃以上であれば、熱処理工程でガラス基板の寸法変化を少なく抑えることができる。Tgは720℃以上がより好ましく、740℃以上がさらに好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、仮想粘度が、1011.0d・Pa・s〜1014.1d・Pa・sが好ましい。ガラス基板の仮想粘度を1011.0d・Pa・s〜1014.1d・Pa・sとするためには、ガラス基板の成形後の冷却速度を、1℃/分〜1200℃/分相当とする必要がある。仮想粘度が1011.0d・Pa・s〜1014.1d・Pa・sであれば、ガラス基板の平均熱膨張係数をシリコン基板の平均熱膨張係数に近くなり、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。ガラス基板の仮想粘度は1012.1d・Pa・s〜1013.1d・Pa・s(冷却速度10℃/分〜100℃/分相当)が好ましい。

ガラスの仮想粘度(η)は下記(式4)(G.W.Scherer,Relaxation in Glass and Composites,Wiley,New York(1986),p.159)にて算出することができる。

ここで、ηの単位はd・Pa・s、qは想定冷却速度で単位は℃/sである。 想定冷却速度qは、次の方法によりガラス基板から求められる。厚さ1mm以下の一枚のガラス基板から複数のガラス板小片を切り出す。たとえばガラス板小片として1センチメートルの小片を切り出す。切り出した複数のガラス板小片を、それぞれ、様々な冷却速度Vにて熱処理、冷却し、それぞれのガラス板個片の物性値を測定する。冷却開始温度は冷却速度の影響を受けない十分高い温度が好ましい。典型的にはTg+50℃〜+150℃程度が好ましい。

測定を実施する物性値は、特に制限はないが、密度や、密度と密接な関係にある物性値(例えば屈折率)などが好ましい。x軸に冷却速度(log10V)をとって、y軸にそれぞれの熱処理を施したガラス板個片の物性値をとり検量線Aを作成する。熱処理を実施していないガラス板個片の物性値から、作成した検量線Aにより、そのガラス基板の想定冷却速度qが求められる。

本発明の一実施形態のガラス基板は、粘度が102d・Pa・sとなる温度(T2とも記す)が、1800℃以下が好ましい。T2は、1750℃以下がより好ましく、1700℃以下がさらに好ましく、1650℃以下が特に好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、粘度が104d・Pa・sとなる温度(T4とも記す)が、1350℃以下が好ましい。T4は、1300℃以下がより好ましく、1275℃以下がさらに好ましく、1250℃以下が特に好ましい。なお、他の物性確保の容易性を考慮すると、T4は1100℃以上である。

本発明の一実施形態のガラス基板は、ガラス失透温度が、1325℃以下が好ましい。1300℃以下がより好ましく、1275℃以下がさらに好ましく、1250℃以下が特に好ましい。ガラス失透温度とは、白金製の皿に粉砕されたガラス粒子を入れ、一定温度に制御された電気炉中で17時間熱処理を行い、熱処理後の光学顕微鏡観察によって、ガラスの内部に結晶が析出する最高温度と結晶が析出しない最低温度との平均値である。

本発明の一実施形態のガラス基板は、 0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×(12.3+log1060−log10η)が2.70〜3.20、 0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×(12.3+log1060−log10η)が3.13〜3.63、 0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×(12.3+log1060−log10η)が3.45〜3.95、および 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×(12.3+log1060−log10η)が1.20〜1.30を満たすことが好ましい。

ここで、SiO2の含有量、Al2O3の含有量、B2O3の含有量、MgOの含有量、CaOの含有量、SrOの含有量、およびBaOの含有量は、得られたガラスに含有される各成分の含有量、ηは仮想粘度(単位:d・Pa・s)である。

これらを満たせば、プロセスマージンは確保しつつ、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪を小さくしやすい。

0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×(12.3+log1060−log10η)は、2.80以上がより好ましく、2.90以上がさらに好ましく、2.91以上が特に好ましく、2.92以上が最も好ましい。

また、0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×(12.3+log1060−log10η)は、3.10以下がより好ましく、3.00以下がさらに好ましく、2.96以下が特に好ましく、2.94以下が最も好ましい。

0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×(12.3+log1060−log10η)は、3.23以上がより好ましく、3.33以上がさらに好ましく、3.34以上が特に好ましく、3.35以上が最も好ましい。

また、0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×(12.3+log1060−log10η)は、3.53以下がより好ましく、3.43以下がさらに好ましく、3.41以下が特に好ましく、3.38以下が最も好ましい。

0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×(12.3+log1060−log10η)は、3.55以上がより好ましく、3.65以上がさらに好ましく、3.66以上が特に好ましく、3.68以上が最も好ましい。

また、0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×(12.3+log1060−log10η)は、3.85以下がより好ましく、3.73以下がさらに好ましく、3.65以下が特に好ましく、3.71以下が最も好ましい。

さらに、0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×(12.3+log1060−log10η)は、1.24以上がより好ましい。

また、0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×(12.3+log1060−log10η)は、1.27以下がより好ましい。

本発明の一実施形態のガラス基板は、フッ酸溶液(HF)に対する重量減少量(以下、HF重量減少量とも記す)が0.05(mg/cm2)/分以上、0.20(mg/cm2)/分以下が好ましい。ここで、HF重量減少量とは、ガラス基板を25℃、5質量%フッ酸水溶液に浸漬した際の、単位面積および単位時間当たりの減少量((mg/cm2)/分)である。

本発明の一実施形態のガラス基板は、シリコン基板と貼り合わせた後、そのままデバイスの一部として組み込まれる場合がある。例えば、ガラス基板は、カバーガラスとしてデバイスの中に組み込まれる。このような場合、デバイスを小型化するために、ガラス基板をスリミングすることが好ましい。そのため、本発明の一実施形態のガラス基板は、スリミングレートが高い方が好ましい。ガラス基板のスリミングレートの指標として、HF重量減少量を用いることができる。

HF重量減少量が0.05(mg/cm2)/分以上であれば、スリミング工程の生産性が良好になり好ましい。HF重量減少量が0.20(mg/cm2)/分以下であれば、スリミング工程でガラス基板に生じる、エッチング深さが不均一となってガラス基板表面の平滑性が損なわれるなどの不良を防止できるため好ましい。

HF重量減少量は、0.07(mg/cm2)/分以上がより好ましく、0.09(mg/cm2)/分以上がさらに好ましく、0.11(mg/cm2)/分以上が特に好ましい。また、HF重量減少量は、0.18(mg/cm2)/分以下がより好ましく、0.16(mg/cm2)/分以下がさらに好ましく、0.14(mg/cm2)/分以下が特に好ましい。

また、本発明の一実施形態のガラス基板は、プロジェクション用途のディスプレイデバイス、例えばLCOSのカバーガラスとして適用できる。このような場合に、ガラス基板の光弾性定数が高いと、デバイスのパッケージング工程やデバイス使用時に発生する応力によってガラス基板が複屈折性を有してしまう。その結果、デバイスに入射した光に色変化が生じ、色ムラなどの画質不良が生じる恐れがある。

このような画質不良を防ぐため、本発明の一実施形態のガラス基板は、光弾性定数が31nm/(MPa・cm)以下が好ましく、30.5nm/(MPa・cm)以下がより好ましく、30nm/(MPa・cm)以下がさらに好ましく、29.5nm/(MPa・cm)以下が特に好ましい。

また、本発明の一実施形態のガラス基板のα線放出量は、0.5C/cm2・h以下が好ましく、0.3C/cm2・h以下がより好ましく、0.1C/cm2・h以下が特に好ましく、0.05C/cm2・h以下が最も好ましい。なお、単位のCはカウント数の意味である。

例えば、本発明の一実施形態のガラス基板をイメージセンサなどの素子のカバーガラスに適用する。この場合、ガラス基板から発生するα線がイメージセンサなどの素子に入射すると、α線のエネルギーによって正孔−電子対が誘起され、これが原因となって瞬間的に画像に輝点や白点が生じるソフトエラーが起こるおそれがある。そこで、α線放出量の少ないガラス基板を用いることで、このような不具合を防止しやすくなる。なお、ガラス基板の原料として、放射性同位元素の含有量が少なく、α線放出量の少ない高純度原料を使用すれば、α線放出量を低減することができる。また、ガラスの溶融・清澄工程において、放射性同位元素がガラス製造設備の炉材などから溶融ガラス中に混入しないようにすれば、α線放出量を効果的に低減することができる。また、「α線放出量」は、ガスフロー比例計数管測定装置等で測定することができる。

シリコン基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数αSi50/100は、2.91ppm/℃〜2.97ppm/℃が好ましい。αSi50/100が2.91ppm/℃〜2.97ppm/℃であれば、本発明のガラス基板との貼り合わせが容易となる。αSi50/100は2.92ppm/℃以上がより好ましく、2.93ppm/℃以上がさらに好ましい。また、αSi50/100は2.94ppm/℃以下であることがより好ましい。

シリコン基板の100℃〜200℃の平均熱膨張係数αSi100/200は3.34ppm/℃〜3.40ppm/℃が好ましい。αSi100/200が3.34ppm/℃〜3.40ppm/℃であれば、本発明のガラス基板との貼り合わせが容易となる。αSi100/200は3.36ppm/℃以上がより好ましく、3.37ppm/℃以上がさらに好ましい。また、αSi100/200は3.38ppm/℃以下であることがより好ましい。

シリコン基板の200℃〜300℃での平均熱膨張係数αSi200/300は3.66ppm/℃〜3.72ppm/℃が好ましい。αSi200/300が3.66ppm/℃〜3.72ppm/℃でれば、本発明のガラス基板との貼り合わせが容易となる。αSi200/300は3.68ppm/℃以上がより好ましく、3.69ppm/℃以上がさらに好ましい。また、αSi200/300は3.70ppm/℃以下であることがより好ましい。

本発明の一実施形態の積層基板は、上記ガラス基板と、シリコン基板とが積層されて形成される。シリコン基板とガラス基板との熱膨張係数の差が小さいため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。また、積層基板は、例えば樹脂を間に挟んで、ガラス基板とシリコン基板を貼り合わせることで得られる。

このとき、樹脂の厚さや樹脂の熱膨張係数、貼り合わせ時の熱処理温度などが積層基板全体の反りに影響し得る。本発明の一実施形態の積層基板は、上述したような本発明の一実施形態のガラス基板のように熱膨張係数をコントロールすることで積層基板全体の反りを低減できるため、樹脂の厚さや樹脂の熱膨張係数、貼り合わせ時の熱処理温度などのプロセスマージンを広げることができる。本発明の一実施形態の積層基板には、上述した本発明の一実施形態のガラス基板を適用できる。

本発明の一実施形態の積層基板は、ガラス基板とシリコン基板とが積層されて形成され、ガラス基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100と、シリコン基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数αSi50/100との差Δα50/100(=α50/100−αSi50/100)が、−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃である。

また、ガラス基板の200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300と、シリコン基板の200℃〜300℃の平均熱膨張係数αSi200/300との差Δα200/300(=α200/300−αSi200/300)が、−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃である。シリコン基板とガラス基板との熱膨張係数の差が小さいため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。

Δα50/100は、−0.15ppm/℃以上がより好ましく、−0.10ppm/℃以上がさらに好ましく、−0.05ppm/℃以上が特に好ましく、−0.03ppm/℃以上が最も好ましい。Δα50/100は、0.15ppm/℃以下がより好ましく、0.10ppm/℃以下がさらに好ましく、0.05ppm/℃以下が特に好ましく、0.03ppm/℃以下が最も好ましい。

Δα200/300は、−0.15ppm/℃以上がより好ましく、−0.10ppm/℃以上がさらに好ましく、−0.05ppm/℃以上が特に好ましく、−0.03ppm/℃以上が最も好ましい。Δα200/300は、0.15ppm/℃以下がより好ましく、0.10ppm/℃以下がさらに好ましく、0.05ppm/℃以下が特に好ましく、0.03ppm/℃以下が最も好ましい。

本発明の一実施形態の積層基板は、ガラス基板の100℃〜200℃の平均熱膨張係数α100/200と、シリコン基板の100℃〜200℃の平均熱膨張係数αSi100/200との差Δα100/200(=α100/200−αSi100/200)が、−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃が好ましい。Δα100/200が−0.25ppm/℃〜0.25ppm/℃であれば、シリコン基板とガラス基板との熱膨張係数の差が小さいため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。

Δα100/200は、−0.15ppm/℃以上がより好ましく、−0.10ppm/℃以上がさらに好ましく、−0.05ppm/℃以上が特に好ましく、−0.03ppm/℃以上が最も好ましい。Δα100/200は、0.15ppm/℃以下がより好ましく、0.10ppm/℃以下がさらに好ましく、0.05ppm/℃以下が特に好ましく、0.03ppm/℃以下が最も好ましい。

本発明の一実施形態の積層基板は、Δα200/300とΔα50/100の差(Δα200/300−Δα50/100)が、−0.16ppm/℃〜0.16ppm/℃である。Δα200/300−Δα50/100が−0.16ppm/℃〜0.16ppm/℃であると、シリコン基板との熱膨張係数の差が小さいため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程で、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。Δα200/300−Δα50/100は−0.12ppm/℃以上が好ましく、−0.08ppm/℃以上がより好ましい。また、Δα50/100−Δα200/300は0.12ppm/℃以下が好ましく、0.08ppm/℃以下がより好ましい。

次に、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法について説明する。 本発明の一実施形態のガラス基板を製造する場合、ガラス原料を加熱して溶融ガラスを得る溶解工程、溶融ガラスから泡を除く清澄工程、溶融ガラスを板状にしてガラスリボンを得る成形工程、およびガラスリボンを室温状態まで徐冷する徐冷工程を経る。

溶解工程は、得られるガラス板の組成となるように原料を調製し、原料を溶解炉に連続的に投入し、好ましくは1450℃〜1650℃程度に加熱して溶融ガラスを得る。

原料には酸化物、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、塩化物などのハロゲン化物なども使用できる。溶解や清澄工程で溶融ガラスが白金と接触する工程がある場合、微小な白金粒子が溶融ガラス中に溶出し、得られるガラス板中に異物として混入してしまう場合があるが、硝酸塩原料の使用はこの白金異物の溶出を防止する効果がある。

硝酸塩としては、硝酸ストロンチウム、硝酸バリウム、硝酸マグネシウム、硝酸カルシウムなどを使用できる。硝酸ストロンチウムを使用することがより好ましい。原料粒度も溶け残りが生じない程度の数百ミクロンの大きな粒径の原料から、原料搬送時の飛散が生じない、二次粒子として凝集しない程度の数ミクロン程度の小さな粒径の原料まで適宜使用できる。造粒体の使用も可能である。原料の飛散を防ぐために原料含水量も適宜調整可能である。β−OH、Feの酸化還元度またはレドックス[Fe2+/(Fe2++Fe3+)]などの溶解条件も適宜調整、使用できる。

次に、清澄工程は、上記溶解工程で得られた溶融ガラスから泡を除く工程である。清澄工程としては、減圧による脱泡法を適用してもよい。また、本発明におけるガラス基板は、清澄剤としてSO3やSnO2を用いることができる。SO3源としては、Al、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素の硫酸塩が好ましく、アルカリ土類金属の硫酸塩がより好ましく、中でも、CaSO4・2H2O、SrSO4、およびBaSO4が、泡を大きくする作用が著しく、特に好ましい。

減圧による脱泡法における清澄剤としてはClやFなどのハロゲンを使用するのが好ましい。Cl源としては、Al、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種の元素の塩化物が好ましく、アルカリ土類金属の塩化物がより好ましく、中でも、SrCl2・6H2O、およびBaCl2・2H2Oが、泡を大きくする作用が著しく、かつ潮解性が小さいため、特に好ましい。F源としては、Al、Mg、Ca、SrおよびBaから選ばれた少なくとも1種の元素のフッ化物が好ましく、アルカリ土類金属のフッ化物がより好ましく、中でも、CaF2がガラス原料の溶解性を大きくする作用が著しく、より好ましい。

次に、成形工程は、上記清澄工程で泡を除いた溶融ガラスを板状にしてガラスリボンを得る工程である。成形工程としては、溶融ガラスを溶融金属上に流して板状にしてガラスリボンを得るフロート法が適用される。

次に、徐冷工程は、上記成形工程で得られたガラスリボンを室温状態まで徐冷する工程である。徐冷工程としては、ガラスリボンを、粘度が1013d・Pa・sとなる温度から1014.5d・Pa・sとなる温度になるまでの平均冷却速度がRとなるように室温状態まで徐冷する。徐冷したガラスリボンを切断後、ガラス基板を得る。

本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法では、得られるガラス基板の組成は、酸化物基準のモル百分率表示で、下記の組成である。 SiO2 :50%〜75%、 Al2O3 :6%〜16%、 B2O3 :0%〜15%、 MgO :0%〜15%、 CaO :0%〜13%、 SrO :0%〜11%、 BaO :0%〜9.5% アルカリ金属酸化物の含有量が0%〜0.1%以下。

また、本発明の一実施形態のガラス基板の製造方法では、得られるガラス基板の組成と、徐冷工程におけるガラスリボンの粘度が1013d・Pa・sとなる温度から1014.5d・Pa・sとなる温度になるまでの平均冷却速度R(単位:℃/分)とが、次の条件(1)〜条件(4)を満たす。

条件(1): 0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×log10Rが2.70〜3.20

条件(2): 0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×log10Rが3.13〜3.63

条件(3): 0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×log10Rが3.45〜3.95

条件(4) 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×log10Rが1.20〜1.30

好ましくは、次の条件(1)〜条件(4)を満たす。 条件(1): 0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×log10Rが2.80〜3.10

条件(2): 0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×log10Rが3.23〜3.53

条件(3): 0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×log10Rが3.55〜3.85 条件(4) 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×log10Rが1.24〜1.27

ここで、SiO2の含有量、Al2O3の含有量、B2O3の含有量、MgOの含有量、CaOの含有量、SrOの含有量、およびBaOの含有量は、得られたガラスに含有される各成分の含有量である。条件(1)〜条件(4)を満たすことで、熱処理工程でシリコン基板に発生する残留歪を小さくすることができるガラス基板を製造することができる。

以上説明した本実施形態のガラス基板にあっては、アルカリ金属酸化物の含有量が0.1%以下であるため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程において、アルカリイオンがシリコン基板に拡散しにくい。また、50℃〜100℃での平均熱膨張係数α50/100が2.70ppm/℃〜3.20ppm/℃であり、200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300が3.45ppm/℃〜3.95ppm/℃であり、200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300を50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100で除した値α200/30050/100が、1.20〜1.30であるため、シリコン基板との熱膨張係数の差が小さく、シリコン基板に発生する残留歪が小さい。

本発明は上記実施形態に限定されない。本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良等は本発明に含まれる。

例えば、本発明の一実施形態のガラス基板を製造する場合、成形工程で、フュージョン法やプレス成形法などを適用して溶融ガラスを板状にしてもよい。

また、本発明の一実施形態のガラス基板を製造する場合、白金坩堝を用いてもよい。白金坩堝を用いた場合、溶解工程は、得られるガラス基板の組成となるように原料を調製し、原料を入れた白金坩堝を電気炉に投入し、好ましくは1450℃〜1650℃程度に加熱して白金スターラーを挿入し1時間〜3時間撹拌し溶融ガラスを得る。

成形工程は、溶融ガラスを例えばカーボン板状に流し出し板状にする。徐冷工程は、板状のガラスを室温状態まで徐冷し、切断後、ガラス基板を得る。

また、切断して得られたガラス基板を、例えばTg+50℃程度となるように加熱した後、室温状態まで徐冷してもよい。このようにすることで、仮想粘度ηを調節することができる。 なお、本実施形態には、以下の態様も含まれる。

(付記1) 50℃〜100℃での平均熱膨張係数α50/100が2.80ppm/℃〜3.10ppm/℃であり、 200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300が3.55ppm/℃〜3.85ppm/℃であり、 200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300を50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100で除した値α200/30050/100が、1.20〜1.30であり、 アルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%であるガラス基板。

(付記2) 酸化物基準のモル百分率表示で、下記の組成である付記1に記載のガラス基板。 SiO2 :50%〜75%、 Al2O3 :6%〜16%、 B2O3 :0%〜15%、 MgO :0%〜15%、 CaO :0%〜13%、 SrO :0%〜11%、 BaO :0%〜9.5%

(付記3) 酸化物基準のモル百分率表示で、CaO、SrO、およびBaOの合計含有量が7%以上、かつ(Al2O3の含有量)≧(MgOの含有量)であり、失透粘性が103.8d・Pa・s以上である付記1または2に記載のガラス基板。

(付記4) 100℃〜200℃での平均熱膨張係数α100/200が3.23ppm/℃〜3.53ppm/℃である、付記1〜3のいずれか一に記載のガラス基板。

(付記5) 酸化物基準の質量百万分率表示で、Fe2O3の含有量が200ppm以下である付記1〜4のいずれか一に記載のガラス基板。

(付記6) ヤング率が80GPa以上である付記1〜5のいずれか一に記載のガラス基板。

(付記7) 厚さが1.0mm以下である付記1〜6のいずれか一に記載のガラス基板。

(付記8) 面積が0.03m2以上である付記1〜7のいずれか一に記載のガラス基板。

(付記9) 仮想粘度が1011.0〜1014.1d・Pa・sである付記1〜8のいずれか一に記載のガラス基板。

(付記10) 0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×(12.3+log1060−log10η)が2.80〜3.10、 0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×(12.3+log1060−log10η)が3.23〜3.53、 0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×(12.3+log1060−log10η)が3.55〜3.85、および、 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×(12.3+log1060−log10η)が1.24〜1.27 を満たす付記1〜10のいずれか一に記載のガラス基板。 ここで、SiO2の含有量、Al2O3の含有量、B2O3の含有量、MgOの含有量、CaOの含有量、およびSrOの含有量は、得られたガラスに含有される酸化物基準のモル百分率表示で表した含有量、ηは仮想粘度(単位:d・Pa・s)である。

(付記11) 付記1〜10のいずれか一に記載のガラス基板と、シリコン基板とが積層された積層基板。

(付記12) ガラス基板とシリコン基板とが積層され、前記ガラス基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数α50/100と、前記シリコン基板の50℃〜100℃の平均熱膨張係数αSi50/100との差Δα50/100(=α50/100−αSi50/100)が、−0.15ppm/℃〜0.15ppm/℃であり、 前記ガラス基板の200℃〜300℃の平均熱膨張係数α200/300と、前記シリコン基板の200℃〜300℃の平均熱膨張係数αSi200/300との差Δα200/300(=α200/300−αSi200/300)が、−0.15ppm/℃〜0.15ppm/℃であり、 Δα200/300−Δα50/100が−0.12ppm/℃〜0.12ppm/℃であり、 前記ガラス基板のアルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%である積層基板。

(付記13) 前記ガラス基板の100℃〜200℃の平均熱膨張係数α100/200と、前記シリコン基板の100℃〜200℃の平均熱膨張係数αSi100/200との差Δα100/200(=α100/200−αSi100/200)が、−0.15ppm/℃〜0.15ppm/℃である付記12に記載の積層基板。

(付記14) ガラス原料を加熱して溶融ガラスを得る溶解工程と、 前記溶融ガラスから泡を除く清澄工程と、 前記溶融ガラスを板状にしてガラスリボンを得る成形工程と、 前記ガラスリボンを室温状態まで徐冷する徐冷工程と、を含み、 酸化物基準のモル百分率表示で、得られるガラス基板の組成が下記の組成であり、 SiO2 :50%〜75%、 Al2O3 :6%〜16%、 B2O3 :0%〜15%、 MgO :0%〜15%、 CaO :0%〜13%、 SrO :0%〜11%、 BaO :0%〜9.5%、 アルカリ金属酸化物の含有量が酸化物基準のモル百分率表示で0%〜0.1%、 前記得られるガラス基板の組成と、前記徐冷工程における前記ガラスリボンの粘度が1013d・Pa・sとなる温度から1014.5d・Pa・sとなる温度になるまでの平均冷却速度R(単位:℃/分)とが、次の条件(1)、条件(2)、条件(3)、および条件(4)を満たすガラス基板の製造方法。 条件(1): 0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×log10Rが2.80〜3.10 条件(2): 0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×log10Rが3.23〜3.53 条件(3): 0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×log10Rが3.55〜3.85 条件(4): 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×log10Rが1.24〜1.27

ここで、SiO2の含有量、Al2O3の含有量、B2O3の含有量、MgOの含有量、CaOの含有量、SrOの含有量、およびBaOの含有量は、得られたガラスに含有される各成分の含有量である。

付記に記載したガラス基板、ガラス基板の製造方法で得られるガラス基板、およびガラス基板を用いた積層基板は、ガラス基板とシリコン基板との熱膨張係数の差が十分に小さいため、熱膨張係数の差に起因する不良をより抑制することができる。

以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されない。

表1〜7に示すガラス組成となるように珪砂等の各種のガラス原料を調合し、該目標組成の原料100%に対し、酸化物基準の質量百分率表示で、硫酸塩をSO3換算で0.1%〜1%、Fを0.16%、Clを1%添加し、白金坩堝を用いて1550℃〜1650℃の温度で3時間加熱し溶融した。溶融にあたっては、白金スターラーを挿入し1時間攪拌しガラスの均質化を行った。次いで溶融ガラスを流し出し、板状に成形後、板状のガラスをTg+50℃程度の温度の電気炉に入れ、冷却速度R(℃/分)で電気炉を降温させ、ガラスが室温になるまで冷却した。

得られたガラスの密度(単位:g/cm3)、平均熱膨張係数(単位:ppm/℃)、ガラス転移点Tg(単位:℃)、ヤング率(単位:GPa)、T2(単位:℃)、T4(単位:℃)、失透温度(単位:℃)、失透粘性log10ηTL(単位:dPa・sec)、および仮想粘度log10η(単位:dPa・sec)を測定し、表1〜7に示した。また、表1〜7に示した(1)〜(4)は、 (1):0.0177×(SiO2の含有量)−0.0173×(Al2O3の含有量)+0.0377×(B2O3の含有量)+0.0771×(MgOの含有量)+0.1543×(CaOの含有量)+0.1808×(SrOの含有量)+0.2082×(BaOの含有量)+0.0344×(12.3+log1060−log10η) (2):0.0181×(SiO2の含有量)+0.0004×(Al2O3の含有量)+0.0387×(B2O3の含有量)+0.0913×(MgOの含有量)+0.1621×(CaOの含有量)+0.1900×(SrOの含有量)+0.2180×(BaOの含有量)+0.0391×(12.3+log1060−log10η) (3):0.0177×(SiO2の含有量)+0.0195×(Al2O3の含有量)+0.0323×(B2O3の含有量)+0.1015×(MgOの含有量)+0.1686×(CaOの含有量)+0.1990×(SrOの含有量)+0.2179×(BaOの含有量)+0.0312×(12.3+log1060−log10η) (4) 0.0111×(SiO2の含有量)+0.0250×(Al2O3の含有量)+0.0078×(B2O3の含有量)+0.0144×(MgOの含有量)+0.0053×(CaOの含有量)+0.0052×(SrOの含有量)+0.0013×(BaOの含有量)−0.0041×(12.3+log1060−log10η)である。

なお、表中のかっこ書きした値は、計算により求めたものである。ガラス中のFe2O3残存量は酸化物基準の質量百万分率表示で50ppm〜200ppm、SO3残存量は酸化物基準の質量百万分率表示で10ppm〜100ppmであった。以下に各物性の測定方法を示す。

(平均熱膨張係数) JIS R3102(1995年)に規定されている方法に従い、示差熱膨張計(TMA)を用いて測定した。α50/100は測定温度範囲が50℃〜100℃、α100/200は100℃〜200℃、およびα200/300は200℃〜300℃である。

(シリコン基板との平均熱膨張係数の差) シリコン基板(信越化学工業製)の平均熱膨張係数αSi50/100、αSi100/200、およびαSi200/300を測定し、それぞれのガラス基板の平均熱膨張係数との差Δα50/100、Δα100/200、Δα200/300を求めた。ここで、 Δα50/10050/100−αSi50/100 Δα100/200100/200−αSi100/200 Δα200/300200/300−αSi200/300 である。シリコン基板の平均熱膨張係数αSi50/100は2.94ppm/℃、αSi100/200は3.37ppm/℃、αSi200/300は3.69ppm/℃であった。

(ガラス転移点Tg) JIS R3103−3(2001年)に規定されている方法に従い、TMAを用いて測定した。

(密度) 泡を含まない約20gのガラス塊をアルキメデス法によって測定した。

(ヤング率) 厚さ0.5mm〜10mmのガラスについて、超音波パルス法により測定した。

(T2) 回転粘度計を用いて粘度を測定し、102d・Pa・sとなるときの温度T2(℃)を測定した。

(T4) 回転粘度計を用いて粘度を測定し、104d・Pa・sとなるときの温度T4(℃)を測定した。

(ガラス失透温度) ガラス失透温度は、白金製皿に粉砕されたガラス粒子を入れ、一定温度に制御された電気炉中で17時間熱処理を行い、熱処理後の光学顕微鏡観察によって、ガラスの内部に結晶が析出する最高温度と結晶が析出しない最低温度との平均値である。

(失透粘性) 溶融ガラスの高温(1000℃〜1600℃)における回転粘度計を用いたガラス粘度の測定結果から、フルチャーの式の係数を求め、該係数を用いたフルチャーの式により、ガラス失透温度におけるガラス粘度を求めた。

(HF重量減少量) HF重量減少量は、次の様にして測定した。上述のようにして得られたガラス板を切断し、両面を鏡面研磨して、40mm四方、厚さ1mmのガラスサンプルを得た。このガラスサンプルを洗浄後、乾燥させ、重量を測定した。次いで、ガラスサンプルを25℃に保持した5質量%フッ酸に20分間浸漬し、洗浄、乾燥させ、浸漬後の重量を測定し、浸漬前からの重量減少量を算出した。浸漬中に薬液を撹拌するとエッチング速度が変動するため、撹拌は実施しなかった。サンプル寸法から表面積を算出し、重量減少量を表面積で割ったのち、さらに浸漬時間で割ることで、単位面積および単位時間当たりの重量減少量(HF重量減少量)を求めた。

(光弾性定数) 円板圧縮法(「円板圧縮法による化学強化用ガラスの光弾性定数の測定」、横田良助、窯業協会誌、87[10]、1979年、p.519−522)により測定した。

例1〜60、66〜87は実施例であり、例61〜65は比較例である。 実施例である例1〜60、66〜87の本発明のガラス基板は、アルカリ金属酸化物の含有量が0.1%以下であるため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程において、アルカリイオンがシリコン基板に拡散しない。また、50℃〜100℃での平均熱膨張係数α50/100が2.70ppm/℃〜3.20ppm/℃であり、200℃〜300℃での平均熱膨張係数α200/300が3.45ppm/℃〜3.95ppm/℃であり、α200/300をα50/100で除した値α200/30050/100が、1.20〜1.30であるため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程において、シリコン基板に発生する残留歪が小さくなりやすい。

比較例である例61〜65のガラス基板は、α50/100、α200/300、または、α200/30050/100のいずれか一以上の範囲が本願発明の一実施形態のガラス基板に関する範囲を逸脱する。または、例61〜65のガラス基板は、Δα50/100、Δα200/300、または、Δα200/300−Δα50/100のいずれか一以上の範囲が本願発明の一実施形態のガラス基板に関する範囲を逸脱する。または、例61〜65のガラス基板は、得られるガラス基板の組成、(1)〜(4)のいずれか一以上の範囲が本願発明の一実施形態のガラス基板に関する範囲を逸脱する。そのため、シリコン基板とガラス基板を貼り合わせる熱処理工程において、シリコン基板に発生する残留歪が大きくなりやすい。

次に、図2に、例88のガラス基板および例89のガラス基板それぞれについて、シリコン基板を接触させて熱処理をさせた際の、シリコン基板へのアルカリ金属酸化物の拡散量を、二次イオン質量分析法(SIMS)で測定を行った結果を示す。例88のガラス基板はアルカリ金属酸化物(Na2O)の含有量が0.1%以下であり、例89のガラス基板はアルカリ金属酸化物の含有量が0.1%よりも多い。なお、図2中に、参照用に未処理のシリコン基板のSIMS測定結果も示す。

SIMS測定には、アルバック・ファイ社のADEPT1010を用いた。SIMS分析の一次イオンにはCsイオンを用いた。二次イオン種としては、28Si+23Na+の測定を行った。ガラス基板と接触させたシリコン基板の熱処理は、室温から200℃まで10分で昇温し、200℃で1時間保持した後、室温まで10分で冷却を行った。例88、89の組成を表8に示す。

例88は例6にアルカリ金属酸化物であるNa2Oを0.03%外割で添加したものであり、実施例である。例89は例61にアルカリ金属酸化物であるNa2Oを0.32%外割で添加したものであり、比較例である。図2の横軸は、シリコン基板の内、ガラス基板と接触していた側の表面からの深さを示しており、縦軸は、一秒間における23Na+の検出数を28Si+で除した値を示している。

図2から、アルカリ金属酸化物の含有量が0.1%よりも多い例89のガラス基板と接触していたシリコン基板からは、表層から100nm付近までNaイオンが拡散していることが分かる。なお、参照用のシリコン基板の測定結果は、例88のプロットとほぼ重なっている。アルカリイオンは電荷を有する為、シリコン基板中でキャリアとして働き、半導体特性を変化させてしまう。それに対して、アルカリ金属酸化物の含有量が0.1%以下である例88のガラス基板と接触していたシリコン基板は、未処理のシリコン基板と同様にNaイオンは検出されず、ガラス基板からシリコン基板へのNaイオンの拡散が生じていないことを示している。

本発明に係るガラス基板は、シリコン基板との熱膨張係数の差が小さいため、シリコン基板と貼り合わせる熱処理工程やその後の熱処理工程において、熱膨張係数の差に起因する残留歪の発生を抑制することができる。そのため、ウェハレベルパッケージによる素子の小型化が有効なMEMS、CMOS、CIS等のイメージセンサ用のガラス基板として好適である。

また、プロジェクション用途のディスプレイデバイス用のカバーガラス、例えばLCOS(Liquid Cristyal ON Silicon)のカバーガラスとして好適である。例えばLCOSやイメージセンサでは、シリコン基板上に電子回路を形成した後、接着材として樹脂やガラスフリットを用いて、シリコン基板にカバーガラスが接着される。発明に係るガラス基板はシリコン基板とカバーガラスの熱膨張係数の差が小さいので、デバイス製造時や使用時に温度が変化した際に接着界面に生じる応力が低減される。これにより、光弾性変形に起因する色ムラの低減や、長期信頼性の向上が期待できる。

さらに、本発明に係るガラス基板は、ガラスインターポーザ(GIP)の穴開け基板や、半導体バックグラインド用のサポートガラスとして好適である。また、本発明のガラス基板は、シリコン基板と貼り合わせて使うガラス基板用途であれば好適に使用できる。

本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2015年2月6日付で出願された日本特許出願(特願2015−022719)、および2015年12月10日付で出願された日本特許出願(特願2015−241303)に基づいており、その全体が引用により援用される。

10 シリコン基板 20 樹脂 30 積層基板 G1 ガラス基板

QQ群二维码
意见反馈