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シリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法及び人工皮革様シート成形物

申请号 JP2016563717 申请日 2015-12-09 公开(公告)号 JP6323569B2 公开(公告)日 2018-05-16
申请人 信越化学工業株式会社; 发明人 洪 西宗; ▲黄▼ 伯正; 高 名志; 五十嵐 実;
摘要
权利要求

布基材の少なくとも一方の表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第1の被覆層を形成したのち、該第1の被覆層の外表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第2の被覆層を形成する布基材成形物の製造方法であって、 第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物が、 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物 0.1〜30質量部、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0〜20質量部、 (1−D)補強性シリカ微粉末 0〜100質量部、 (1−E)付加反応触媒 触媒量 を含有してなり、 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物が、 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン 1〜300質量部、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、 (2−D)付加反応触媒 触媒量 を含有してなるものであることを特徴とする布基材成形物の製造方法。剥離紙表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第2の被覆層を形成したのち、該第2の被覆層の外表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、その上から布基材を積層し、前記液状シリコーンゴム組成物を硬化して第1の被覆層を形成する布基材成形物の製造方法であって、 第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物が、 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物 0.1〜30質量部、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0〜20質量部、 (1−D)補強性シリカ微粉末 0〜100質量部、 (1−E)付加反応触媒 触媒量 を含有してなり、 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物が、 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン 1〜300質量部、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、 (2−D)付加反応触媒 触媒量 を含有してなるものであることを特徴とする布基材成形物の製造方法。布基材の少なくとも一方の表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第1の被覆層を形成すると共に、剥離紙表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、上記第1の被覆層上に上記シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物の塗布面を貼り合わせ、次いで該シリコーンゴム組成物を硬化して第1の被覆層上に第2の被覆層を形成する布基材成形物の製造方法であって、 第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物が、 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物 0.1〜30質量部、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0〜20質量部、 (1−D)補強性シリカ微粉末 0〜100質量部、 (1−E)付加反応触媒 触媒量 を含有してなり、 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物が、 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン 1〜300質量部、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、 (2−D)付加反応触媒 触媒量 を含有してなるものであることを特徴とする布基材成形物の製造方法。(1−B)成分が、一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子と、一分子中に少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基と、エポキシ基、アルコキシシリル基、エステル基、アクリル基、メタクリル基、無水カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基及びアミド基から選ばれる1種又は2種以上の官能基とを含有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法。第1の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物が、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法。第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物が、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法。布基材の表面にシリコーンゴム被覆層として第1の被覆層が形成され、この第1の被覆層上に第2の被覆層が積層された人工皮革様シート成形物であって、 第1の被覆層が、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物の硬化物であり、 第2の被覆層が、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物の硬化物である人工皮革様シート成形物であって、 第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物が、 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物 0.1〜30質量部、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0〜20質量部、 (1−D)補強性シリカ微粉末 0〜100質量部、 (1−E)付加反応触媒 触媒量 を含有してなり、 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物が、 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン 1〜300質量部、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、 (2−D)付加反応触媒 触媒量 を含有してなるものであることを特徴とする人工皮革様シート成形物。(1−B)成分が、一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子と、一分子中に少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基と、エポキシ基、アルコキシシリル基、エステル基、アクリル基、メタクリル基、無水カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基及びアミド基から選ばれる1種又は2種以上の官能基とを含有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物である請求項7に記載の人工皮革様シート成形物。第1の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物が、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上である請求項7又は8に記載の人工皮革様シート成形物。第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物が、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上である請求項7〜9のいずれか1項に記載の人工皮革様シート成形物。

说明书全文

本発明は、人工皮革様シート成形物などに好適に適用できるシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法、特には、布基材の表面上にシリコーンゴム被覆層をコーティングすることで塵埃、異物の付着を防止する滑り性付与が可能となり、更に成型品の変形時によく追従し、表面に割れ、クラックを生じず、かつ接着性も良好な硬化塗膜を与えるシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法、及び布基材の表面にシリコーンゴム被覆層が積層された人工皮革様シート成形物に関する。

成型品の表面タック改善には、シリコーンワニスをコーティングする方法があるが、塗膜表面は光沢のある外観を与えその滑り性は十分ではない。また、シリコーンワニスは伸びを殆ど有さないため、成型品、ガスケット、パッキンの変形、伸びに追従できず、表面割れ、クラック等を生じる。特開2010−100667号公報(特許文献1)では、フェニルブロックポリマーに少量のジメチルポリシロキサンを添加した表面滑り性を有する塗膜が提案されているが、同様に割れ、クラックを生じてしまう。

特開平6−248186号公報(特許文献2)では、フェニルブロックポリマーに有機チタン化合物を添加して表面に突起が形成された硬化物を形成し、帯電防止性を有する塗膜を与えることが提案されているが、やはり、同様に割れ、クラックを生じてしまう。

特開2004−143331号公報(特許文献3)では、R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化素基を表す)及びSiO4/2単位からなるオルガノシロキサンと官能基含有シリル基で分子鎖末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサンの縮合物をベースにした縮合硬化型組成物が提案されている。しかし、高強度、高伸びの塗膜が得られるものの表面滑り性は発現しない。フェニル基、若しくはポリオキシアルキレン構造といったジメチルシロキサンに溶解しないブリード性を有するシロキサンを添加することで、生物付着防止能は得られるものの、塵埃、成型時バリ、異物は却って付着しやすい方向となる。

また、特開2004−143331号公報の組成物において、ブリード成分に代えて湿式シリカ、乾式シリカ等の充填剤添加による表面凹凸付与、フェニルブロックポリマー添加による表面硬質化、チタン酸エステル添加による表面凹凸化等を検討したが、何れも表面滑り性は得られず、却って表面粘着、クラック発生等の不具合を生じた。

特開2010−100667号公報

特開平6−248186号公報

特開2004−143331号公報

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、得られる硬化塗膜(シリコーンゴム被覆層)が表面滑り性を有するため、塵埃、成型時バリ、異物の付着を防止し、かつ得られる硬化塗膜が伸びを有するため、布基材の変形時に割れ、クラックを生じないシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法、及び布基材の表面にシリコーンゴム被覆層が積層された人工皮革様シート成形物を提供することを目的とする。

本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、布基材の少なくとも一方の表面上に、接着性を向上させるために、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物の硬化物からなる第1の被覆層を形成すると共に、滑り性を付与するために、更に該第1の被覆層の外表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物の硬化物からなる第2の被覆層を積層することにより、硬化塗膜の表面滑り性が飛躍的に向上し、布基材との接着性も良好であり、かつ硬化塗膜は伸びを有するため、割れ、クラックも生じないことを見出し、本発明を完成するに至った。

従って、本発明は、下記に示すシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法及び該製造方法により製造された布基材の表面にシリコーンゴム被覆層が積層された人工皮革様シート成形物を提供する。 〔1〕 布基材の少なくとも一方の表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第1の被覆層を形成したのち、該第1の被覆層の外表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第2の被覆層を形成する布基材成形物の製造方法であって、 第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物が、 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物 0.1〜30質量部、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0〜20質量部、 (1−D)補強性シリカ微粉末 0〜100質量部、 (1−E)付加反応触媒 触媒量 を含有してなり、 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物が、 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン 1〜300質量部、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、 (2−D)付加反応触媒 触媒量 を含有してなるものであることを特徴とする布基材成形物の製造方法。 〔2〕 剥離紙表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第2の被覆層を形成したのち、該第2の被覆層の外表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、その上から布基材を積層し、前記液状シリコーンゴム組成物を硬化して第1の被覆層を形成する布基材成形物の製造方法であって、 第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物が、 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物 0.1〜30質量部、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0〜20質量部、 (1−D)補強性シリカ微粉末 0〜100質量部、 (1−E)付加反応触媒 触媒量 を含有してなり、 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物が、 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン 1〜300質量部、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、 (2−D)付加反応触媒 触媒量 を含有してなるものであることを特徴とする布基材成形物の製造方法。 〔3〕 布基材の少なくとも一方の表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第1の被覆層を形成すると共に、剥離紙表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、上記第1の被覆層上に上記シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物の塗布面を貼り合わせ、次いで該シリコーンゴム組成物を硬化して第1の被覆層上に第2の被覆層を形成する布基材成形物の製造方法であって、 第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物が、 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物 0.1〜30質量部、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0〜20質量部、 (1−D)補強性シリカ微粉末 0〜100質量部、 (1−E)付加反応触媒 触媒量 を含有してなり、 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物が、 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン 1〜300質量部、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、 (2−D)付加反応触媒 触媒量 を含有してなるものであることを特徴とする布基材成形物の製造方法。 〔4〕 (1−B)成分が、一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子と、一分子中に少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基と、エポキシ基、アルコキシシリル基、エステル基、アクリル基、メタクリル基、無水カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基及びアミド基から選ばれる1種又は2種以上の官能基とを含有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法。 〔5〕 第1の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物が、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法。 〔6〕 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物が、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法。 〔7〕 布基材の表面にシリコーンゴム被覆層として第1の被覆層が形成され、この第1の被覆層上に第2の被覆層が積層された人工皮革様シート成形物であって、 第1の被覆層が、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物の硬化物であり、 第2の被覆層が、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物の硬化物である人工皮革様シート成形物であって、 第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物が、 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・sであるオルガノポリシロキサン 100質量部、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物 0.1〜30質量部、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0〜20質量部、 (1−D)補強性シリカ微粉末 0〜100質量部、 (1−E)付加反応触媒 触媒量 を含有してなり、 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物が、 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン 1〜300質量部、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜50質量部、 (2−D)付加反応触媒 触媒量 を含有してなるものであることを特徴とする人工皮革様シート成形物。 〔8〕 (1−B)成分が、一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子と、一分子中に少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基と、エポキシ基、アルコキシシリル基、エステル基、アクリル基、メタクリル基、無水カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基及びアミド基から選ばれる1種又は2種以上の官能基とを含有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物である〔7〕に記載の人工皮革様シート成形物。 〔9〕 第1の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物が、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上である〔7〕又は〔8〕に記載の人工皮革様シート成形物。 〔10〕 第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物が、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上である〔7〕〜〔9〕のいずれかに記載の人工皮革様シート成形物。

本発明の製造方法によれば、得られる硬化塗膜と布基材との接着性が良好であり、また得られる硬化塗膜が表面滑り性を有するため、塵埃、成型時バリ、異物の付着を防止し、更に得られる硬化塗膜が伸びを有するため、成型品、ガスケット、パッキン等の物品表面に塗布、硬化しても、物品変形時に割れ、クラックを生じないシリコーンゴムで被覆された布基材成形物が得られ、これは人工皮革様シート成形物などとして有用である。

以下、本発明について詳細に説明する。 本発明のシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の製造方法は、布基材の少なくとも一方の表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第1の被覆層を形成したのち、該第1の被覆層の外表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第2の被覆層を形成すること、或いは、剥離紙表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第2の被覆層を形成したのち、該第2の被覆層の外表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、その上から布基材を積層し、前記液状シリコーンゴム組成物を硬化して第1の被覆層を形成することを特徴とする。 またこの場合、布基材の少なくとも一方の表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第1の被覆層を形成すると共に、剥離紙表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、上記第1の被覆層上に上記シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物の塗布面を貼り合わせ、次いで該シリコーンゴム組成物を硬化して第1の被覆層上に第2の被覆層を形成してもよい。

第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物は、布基材と第2の被覆層であるシリコーンゴム組成物の硬化物を接着させるための、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物である。第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物としては、以下の(1−A)、(1−B)及び(1−E)成分、必要により(1−C)及び/又は(1−D)成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を用いることができる。特に、接着性付与成分としては、以下の(1−B)成分を用いることが好ましい。 (1−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、 (1−B)一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を有するケイ素原子数1〜100の有機ケイ素化合物、 (1−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン、 (1−D)補強性シリカ微粉末、 (1−E)付加反応触媒。

[(1−A)成分] (1−A)成分は、一分子中に少なくとも平均2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンであり、液状シリコーンゴム組成物の主剤(ベースポリマー)として作用するものであって、下記平均組成式(I)で示されるものを用いることができる。 R1aSiO(4-a)/2 (I) (式中、R1は互いに同一又は異種の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.05の範囲の正数である。)

ここで、上記R1で示されるケイ素原子に結合した非置換又は置換の1価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられるが、全R1の90モル%以上がメチル基であることが好ましい。

また、R1のうち少なくとも2個はアルケニル基(炭素原子数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくはビニル基である。)であることが必要である。 なお、アルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中1.0×10-6〜10.0×10-4mol/g、特に1.0×10-5〜8.0×10-4mol/gとすることが好ましい。アルケニル基の量が1.0×10-6mol/gより少ないとゴム硬度が低すぎてゲル状になってしまう場合があり、また10.0×10-4mol/gより多いと架橋密度が高くなりすぎて、硬度の高いゴムになってしまう場合がある。このアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよい。

このオルガノポリシロキサンの構造は、基本的には、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R13SiO1/2)で封鎖され、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R12SiO2/2)の繰り返しからなる直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状の構造、環状構造などであってもよい。

分子量については、平均重合度(数平均重合度、以下同様)が1,500以下、通常100〜1,500、好ましくは150〜1,000である。100未満では、十分なゴム感が得られない場合があり、1,500より高いと粘度が高くなり、成形が困難になってしまう場合がある。なお、数平均重合度及び数平均分子量は、例えば、トルエンを展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析によるポリスチレン換算値から計算して求めることができる(以下、同じ)。 また、23℃における粘度が0.1〜2,000Pa・s、特に0.5〜500Pa・sであることが好ましい。なお、本発明において、粘度は、回転粘度計(BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)により測定できる(以下、同じ)。

[(1−B)成分] (1−B)成分は、接着性付与成分で、一分子中に少なくとも1個のケイ素原子と結合する水素原子(即ち、SiH基)を有し、かつ少なくとも1個のアリーレン骨格あるいは該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基(通常、2〜4価の芳香族環骨格)を有するケイ素原子数1〜100、好ましくは2〜30の有機ケイ素化合物である。

ここで、アリーレン骨格あるいは該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基として、具体的には、下記に示すものが挙げられる。

上記接着性付与成分としては、一分子中に少なくとも1個、通常1〜100個、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜30個程度のSiH基と、一分子中に少なくとも1個、好ましくは1〜4個程度のアリーレン骨格及び/又は該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基とを有し、更に、任意に、グリシドキシ基等のエポキシ基、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基等のアルコキシシリル基、エステル基、アクリル基、メタクリル基、無水カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基などから選ばれる官能基の1種又は2種以上を含有してもよい、ケイ素原子数1〜100、好ましくは2〜50、特に好ましくは4〜30程度の直鎖状又は環状のオルガノシロキサンオリゴマーやオルガノアルコキシシランなどの有機ケイ素化合物を使用することが好適である。

具体的には、下記に示すような化合物を例示することができる。

(nは1〜4である。)

から選ばれる基であり、Rw,Rxは非置換又は置換の1価炭化水素基である。q=1〜50、h=0〜100、好ましくはq=1〜20、h=1〜50である。)で示される基、R''は

(Rw,Rxは上記と同様であり、y=0〜100である。)から選ばれる基であり、Y’は

(Rw,Rx,q,hは上記と同様である。)である。z=1〜10である。〕

更に、上記化合物に、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基などのアルコキシシリル基、アクリル基、メタクリル基、エステル基、無水カルボキシ基、イソシアネート基、アミノ基、アミド基等を含有させた有機ケイ素化合物も使用することができる。

なお、上記Rw,Rxの非置換又は置換の1価炭化水素基としては、炭素原子数1〜12、特に1〜8のものが好ましく、アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基等、R1で例示したものと同様のものが挙げられるほか、置換1価炭化水素基としてアルコキシ基、アクリル基、メタクリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、アルキルアミノ基等で置換したものも挙げられる。

なお、SiH基の含有量は、有機ケイ素化合物中0.001〜0.02mol/g、特に0.002〜0.01mol/gとすることが好ましい。SiH基の量が少なすぎても、また多すぎても接着が低下する場合がある。

(1−B)成分の配合量は、(1−A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部であり、好ましくは0.2〜20質量部であり、より好ましくは0.3〜10質量部である。配合量が0.1質量部未満では十分な接着性が得られない場合があり、30質量部を超えると物性低下を引き起こす可能性がある。

[(1−C)成分] (1−C)成分は、一分子中に少なくとも2個、好ましくは3個以上のケイ素原子と結合した水素原子(SiH基)を含有し、アリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しない(即ち、(1−B)成分とは異なる)オルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、下記平均組成式(II)で示される従来から公知のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが適用可能である。 R2bHcSiO(4-b-c)/2 (II)

ここで、R2は炭素原子数1〜8の非置換又は置換の1価炭化水素基で、好ましくは脂肪族不飽和結合を有さないものである。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、フェニル基等のアリール基、ベンジル基等のアラルキル基等の非置換の1価炭化水素基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、シアノメチル基等の上記1価炭化水素基の水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子やシアノ基などで置換された置換アルキル基等の置換の1価炭化水素基である。 bは0.7〜2.1、cは0.01〜1.0、かつb+cは0.8〜3.0、好ましくはbは0.8〜2.0、cは0.10〜1.0、より好ましくは0.18〜1.0、更に好ましくは0.2〜1.0、かつb+cは1.0〜2.5を満足する正数で示される。

また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、一分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は2〜300個、特に4〜200個程度の室温で液状のものが好適に用いられる。なお、ケイ素原子に結合する水素原子(SiH基)は分子鎖末端にあっても側鎖(分子鎖途中)にあっても、その両方にあってもよく、一分子中に少なくとも2個(通常2〜300個)、好ましくは3個以上(例えば3〜200個)、より好ましくは4〜150個程度含有するものが使用される。

なお、SiH基の含有量は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中0.001〜0.020mol/g、特に0.002〜0.017mol/gとすることが好ましい。SiH基の量が少なすぎると架橋が不十分となってしまう場合があり、また多すぎると物性が不安定となる場合がある。

このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH3)2HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C6H5)SiO3/2単位とからなる共重合体等や上記各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基やフェニル基等のアリール基で置換されたもの等が挙げられる。

また、このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、具体的に、下記構造式の化合物を例示することができる。

(式中、kは2〜10の整数、s及びtは0〜10の整数である。)

このオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、23℃における粘度が0.5〜10,000mPa・s、特に1〜300mPa・sであることが好ましい。粘度が低すぎると得られる組成物の粘度が低くなる場合があり、高すぎると配合が困難となる場合がある。

(1−C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(1−A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0〜20質量部であり、0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜10質量部であり、更に好ましくは0.3〜10質量部である。また、この(1−C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを添加する場合には、(1−A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基に対する(1−B)成分と(1−C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)の合計とのモル比が0.5〜10モル/モル、好ましくは0.8〜6モル/モル、より好ましくは1〜5モル/モルとなる量で配合することが望ましい。0.5モル/モル未満だと架橋が十分でなく、十分な機械的強度が得られない場合があり、また10モル/モルを超えると硬化後の物理特性が低下し、特に耐熱性と圧縮永久歪性が著しく劣化する場合がある。

[(1−D)成分] (1−D)成分は、補強性シリカ微粉末であり、該補強性シリカ微粉末はシリカの種類に特に限定はなく、通常ゴムの補強材として使用されるものであればよい。その補強性シリカ微粉末としては、従来のシリコーンゴム組成物に使用されているものを使用できるが、特にはBET法による比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ微粉末を用いる。特にBET法による比表面積が50〜400m2/gの沈澱シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカなどが好適に使用される。ゴム強度を向上するには、ヒュームドシリカが好適である。

また、上記補強性シリカ微粉末は、表面処理されたシリカ微粉末であってもよい。その場合、これらのシリカ微粉末は、予め粉体の状態で直接処理されたものでもよい。通常の処理法として一般的周知の技術により処理でき、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記未処理のシリカ微粉末と処理剤を入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において室温あるいは熱処理にて混合処理する。場合により触媒を使用して処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより処理シリカ微粉末を製造し得る。 また、上記補強性シリカ微粉末(1−D)の表面疎水化処理は、液状シリコーンゴム組成物を調製する途中の工程において、(1−A)成分のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン(ベースポリマー)と表面未処理の補強性シリカ微粉末とを表面処理剤と共に加熱下に均一に混合することによって、該組成物の調製と同時に(in situ)表面疎水化処理を行ってもよい。

処理剤として、具体的には、へキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン及びクロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられ、これらで表面処理し、疎水性シリカ微粉末として用いる。処理剤としては、特にシラン系カップリング剤又はシラザン類が好ましい。 処理剤の配合量は、その処理剤の被覆面積から計算される量以上であればよい。

(1−D)成分の配合量は、(1−A)成分100質量部に対して0〜100質量部、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜50質量部である。本成分は添加しなくても差し支えないが、その場合、硬化ゴムの機械的強度が弱くなり被膜強度に問題が生じる場合がある。100質量部を超えると充填が困難となり、作業性、加工性が悪くなる場合がある。

[(1−E)成分] (1−E)成分は付加反応触媒であり、該付加反応触媒としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等の白金族金属触媒が挙げられる。 この付加反応触媒の添加量は触媒量であり、通常(1−A)成分に対して白金、パラジウム又はロジウム金属等の白金族金属の質量換算として0.1〜1,000ppm、特に1〜200ppmである。

本発明の第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物には、上述した成分以外に、目的に応じて各種の添加剤、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マンガン等の金属酸化物及びその複合物、石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、カーボン、中空ガラス、中空樹脂、金、銀、銅などの導電性を有する無機粉末、メッキ粉末等の無機充填剤を添加することができ、また目的とする特性を損なわない限り、顔料、耐熱剤、難燃剤、可塑剤、反応制御剤等を添加してもよい。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。

本発明の第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物は、上述した(1−A)、(1−B)及び(1−E)成分、必要により(1−C)、(1−D)成分あるいは任意成分を常温で均一に混合するだけで得ることが可能であり、通常、23℃の粘度が50〜20,000Pa・s、特に100〜5,000Pa・s程度のものが好適に使用できる。

なお、第1の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物は、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上(通常、50〜80)、特に50〜60程度であることが好ましい。硬度が低すぎると得られる皮革のこしが弱い場合がある。なお、上記硬度範囲とするためには、上記第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物において、(1−A)成分のアルケニル基含有量及び添加量、(1−B)成分及び(1−C)成分のSiH基含有量及び添加量、補強性シリカ微粉末の比表面積及び添加量等を適宜調整することにより達成できる。

<第2の被覆層> 第2の被覆層は、布基材表面上にコート、形成した第1の被覆層の外表面上にコートされる成分であり、この第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物には、シリコーンレジン成分(三次元網状構造のシリコーン樹脂成分)を含有するシリコーンゴム組成物が用いられる。第2の被覆層の目的は、表面タックを無くし、表面に滑り性を付与することを目的に使用される。第2の被覆層としては、以下に示される(2−A)〜(2−D)成分を含有してなるシリコーンゴム組成物を用いることができる。 (2−A)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、 (2−B)R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及びRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル有していてもよいシリコーンレジン、 (2−C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、 (2−D)付加反応触媒。

[(2−A)成分] (2−A)成分は、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンであり、第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物の(1−A)成分と同様なオルガノポリシロキサンとすることができる。

[(2−B)成分] (2−B)成分は、R3SiO1/2単位(式中、Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜6の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位からなり、SiO4/2単位1モルに対するR3SiO1/2単位のモル数が0.5〜1.5モルであり、更にR2SiO2/2単位及び/又はRSiO3/2単位(前記各式中、Rは前記のとおり)を、SiO4/2単位1モルに対し、それぞれ0〜1.0モル、好ましくは0〜0.5モル、より好ましくは0〜0.3モル有していてもよい、シリコーンレジン(三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサン)である。

SiO4/2単位(Q単位)に対するR3SiO1/2単位(M単位)のモル比が0.5より小さいと、第2の被覆層に用いるシリコーンゴム組成物中の他の成分との相溶性が悪化してしまう場合があり、1.5よりも大きいと第2の被覆層に用いるシリコーンゴム組成物の硬化物(第2のシリコーン被覆層)の硬さが低下してしまう場合がある。従ってQ単位に対するM単位のモル比は0.5〜1.5の範囲であり、好ましくは0.7〜1.2の範囲である。

上記Rは独立に非置換又は置換の炭素原子数1〜8、特に1〜6の1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基;クロロメチル基、3−クロロプロピル基、1−クロロ−2−メチルプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等が挙げられ、中でもメチル基、ビニル基、フェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。

上記(2−B)成分のオルガノポリシロキサンの数平均分子量は、500〜100,000、特に1,000〜50,000であることが好ましい。数平均分子量が小さすぎると第2のシリコーン被覆層表面の滑り性が低くなる場合があり、大きすぎると粘度が高くなったり、溶解性が悪化する場合がある。

また、上記オルガノポリシロキサン中にアルケニル基を含有する場合、そのアルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中0.0001〜0.05mol/g、特に0.001〜0.01mol/gであることが好ましい。アルケニル基の量が少なすぎると第2のシリコーン被覆層の硬度が低くなり、表面の滑り性が低くなる場合があり、また多すぎると表面層が脆くなる場合がある。

上記(2−B)成分のオルガノポリシロキサン自体は、公知の方法により、上記各単位に対応するアルコキシ基含有シラン化合物を有機溶媒中で共加水分解し、縮合させて得ることができる。例えば、R3SiOMeとSi(OMe)4とを、所望により、R2Si(OMe)2及び/又はRSi(OMe)3とともに有機溶媒中で共加水分解し、縮合させればよい(なお、前記各式中、Rは独立に上記のとおりであり、Meはメチル基を表す)。 上記有機溶媒としては、共加水分解・縮合反応により生成するオルガノポリシロキサンを溶解することのできるものが好ましく、典型的には、トルエン、キシレン、ナフサミネラルスピリット等を挙げることができる。上記(2−B)成分に係る各単位の含有モル比については、例えば、各単位に対応するシラン化合物の仕込み量(モル比)を調整することによって適宜設定することができる。

(2−B)成分の配合量は、(2−A)成分100質量部に対して1〜300質量部であり、好ましくは10〜200質量部であり、より好ましくは20〜150質量部である。(2−B)成分の配合量が少なすぎると、第2の被覆層の表面タック性を低減させることができない場合があり、(2−B)成分の配合量が多すぎると、組成物が増粘して均一に配合することが困難になったり、作業性が劣って均一な塗布が困難になったりする場合がある。

[(2−C)成分] (2−C)成分は、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物の(1−C)成分と同様な(即ち、分子中にアリーレン骨格及び該アリーレン骨格から水素原子が1〜2個脱離した3〜4価の基を含有しない)オルガノハイドロジェンポリシロキサンとすることができる。

(2−C)成分の配合量は、(2−A)成分100質量部に対して0.1〜50質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.2〜15質量部である。また、(2−A)及び(2−B)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基の合計に対する(2−C)成分中のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)のモル比が0.5〜10モル/モル、好ましくは0.8〜6モル/モル、より好ましくは1〜5モル/モルとなる量で配合することが望ましい。0.5モル/モル未満だと架橋が十分でなく、十分な機械的強度が得られなかったり、表面タック性の抑制が不十分になる場合があり、また10モル/モルを超えると硬化後の物理特性が低下し、特に耐熱性と圧縮永久歪性が著しく劣化する場合がある。

[(2−D)成分] (2−D)成分は、付加反応触媒であり、第1の被覆層に用いられる液状シリコーンゴム組成物の(1−E)成分と同様な付加反応触媒とすることができる。 (2−D)成分の添加量は、触媒量であり、通常、(2−A)成分に対して白金、パラジウム又はロジウム金属等の白金族金属の質量換算として0.1〜1,000ppm、特に1〜200ppmである。

本発明の第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物には、上述した成分以外に、目的に応じて各種の添加剤、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マンガン等の金属酸化物及びその複合物、石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、カーボン、中空ガラス、中空樹脂、金、銀、銅などの導電性を有する無機粉末、メッキ粉末等の無機充填剤を添加することができ、また目的とする特性を損なわない限り、顔料、耐熱剤、難燃剤、可塑剤、反応制御剤等を添加してもよい。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。

本発明の第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物は、上述した(2−A)〜(2−D)成分、及び必要により任意成分を常温で均一に混合するだけで得ることが可能であり、通常、23℃の粘度が10〜1,000Pa・s、特に20〜500Pa・s程度のものが好適に使用できる。

なお、第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物の硬化物は、JIS K6249に基づいて測定したデュロメーターA硬度計による硬度が50以上(通常、50〜90)、特に60〜85程度であることが好ましい。硬度が低すぎると表面の滑り性が低下してしまう場合がある。なお、上記硬度範囲とするためには、シリコーンゴム組成物においてシリコーンレジン成分(三次元網状構造のシリコーン樹脂成分)を所定量で含有させることにより達成される。

本発明のシリコーンゴムで被覆された布基材成形物の第1の製造方法は、布基材の少なくとも一方の表面上に、接着性を向上させるために、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、硬化して、該組成物の硬化物からなる第1の被覆層を形成したのち、滑り性を付与するために、該第1の被覆層の外表面上に、更にシリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、硬化して、該組成物の硬化物からなる第2の被覆層を形成することにより、布基材表面を第1の被覆層及び第2の被覆層で積層する方法である。 或いは、第2の製造方法として、剥離紙表面上に、シリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物を塗布し、該組成物を硬化して第2の被覆層を形成したのち、該第2の被覆層の外表面上に、接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物を塗布し、その上から布基材を積層し、前記液状シリコーンゴム組成物を硬化して第1の被覆層を形成する方法を採用し得る。 これにより硬化塗膜の表面滑り性が飛躍的に向上し、布基材との接着性も良好であり、かつ硬化塗膜は伸びを有するため、割れ、クラックも生じない積層された布基材成形物を得ることができる。上記方法により製造された布基材成形物は、表面にシリコーンゴム被覆層が積層された人工皮革様シート成形物などとして好適に使用し得る。

第1の被覆層に用いられる接着性付与成分を含有する液状シリコーンゴム組成物は、第1の製造方法では、布基材上に塗布し、硬化して使用される。また、第2の製造方法では、第2の被覆層上に塗布し、その上に布基材を載置し、積層した後、硬化して使用される。 ここで、液状シリコーンゴム組成物の塗布方法は、刷毛塗り、スプレー、ディップ等、業界公知の塗布方法で塗布することができる。塗布するコーティング層の厚さは任意であるが、通常、1〜1,000μm程度の厚さとなるように塗布される。

塗布後の硬化条件としては、50〜200℃で、1〜20分程度加熱することにより行われる。硬化温度は温度が低いと硬化に時間がかかり、温度が高すぎると布基材が熱による劣化を受ける場合があるため、100〜150℃が好ましい。

第2の被覆層に用いられるシリコーンレジンを含有するシリコーンゴム組成物は、表面に滑り性を発現させるものであり、第1の被覆層の上に積層される。 ここで、シリコーンゴム組成物の塗布、積層方法は任意であるが、第3の製造方法として、剥離紙の上に第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物を塗布した後に、これを第1の被覆層が積層された布の上に貼り合わせた後に硬化させる方法等も好適に用いられる。

第2の被覆層に用いられるシリコーンゴム組成物のコーティング厚さは任意であるが、通常、1〜1,000μm程度の厚さとなるように塗布される。 貼り合わせた後の硬化条件は任意であるが、第1の被覆層の硬化と同様な条件が選択され、50〜200℃、特に100〜150℃で、1〜20分程度加熱することにより行われる。

本発明で使用される布基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ナイロン、ポリアミド、ポリオレフィン等の合成繊維、セルロース等の天然繊維からなるものが使用できる。 また、剥離紙としては、紙とポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレートと等が用いられる。なお、剥離紙は、使用時には剥離、除去される。

以下、本発明を実施例及び比較例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、各成分の重合度、分子量は、GPC分析におけるポリスチレン換算の重量平均値であり、粘度は回転粘度計により測定した値である。また、下記例において、部は質量部である。

[実施例1] PET繊維からなる布基材の表面に、下記の接着性付与成分を含有する第1の液状シリコーンゴム組成物を、厚さが100μmとなる量塗布した後、120℃/5分間の乾燥機中で加熱硬化した。 次いで、下記のシリコーンレジンを含有する第2のシリコーンゴム組成物を、離型紙上に50μmの厚さとなるように塗布した。この離型紙に塗布された第2のシリコーンゴム組成物層と、前記の布基材上に第1の液状シリコーンゴム組成物を塗布、加熱硬化した面とを貼り合わせた。貼り合わせたものを乾燥機中で120℃/5分間硬化させて、シリコーンゴムが積層されたPET繊維布基材を得た。

〔第1の液状シリコーンゴム組成物〕 分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された23℃の粘度が30Pa・s(平均重合度約750)であるジメチルポリシロキサン(1−A1)[ビニル基含有量3×10-5mol/g]84部、分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された平均重合度が約230であり、側鎖(分子鎖途中)に5モル%のビニルメチルシロキサン単位を含有するジメチルポリシロキサン(1−A2)[ビニル基含有量6.5×10-4mol/g]5部、BET比表面積が300m2/gである表面未処理のヒュームドシリカ(1−D1)(日本アエロジル(株)製、アエロジル300)40部、表面疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン8部、水2部を室温(25℃)で30分間混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続けた後、冷却し、ヒュームドシリカの表面疎水化処理を行うと共にシリコーンゴムベースを得た。 このシリコーンゴムベース129部、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された23℃の粘度が30Pa・s(平均重合度約750)であるジメチルポリシロキサン(1−A1)[ビニル基含有量3×10-5mol/g]40部、架橋剤として側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(1−C1)[25℃における粘度0.010Pa・s、一分子当たりのSiH基数34個(SiH基量0.0050mol/g)の両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体]2.4部、下記式(1)で示されるフェニレン骨格を有する接着性付与成分(1−B1)(SiH基量0.0066mol/g)2.0部[(1−C1)及び(1−B1)中の合計SiH基/(1−A1)及び(1−A2)中の合計ビニル基=2.8モル/モル]、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.10部、及び白金触媒(1−E1)(Pt濃度1質量%)0.2部を均一に約30分間混合し、液状シリコーンゴム組成物(23℃の粘度;400Pa・s)を得た。

〔第2のシリコーンゴム組成物〕 分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された23℃の粘度が30Pa・s(平均重合度約750)であるジメチルポリシロキサン(2−A1)[ビニル基含有量3×10-5mol/g]84部、(CH3)3SiO1/2単位、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位、SiO4/2単位からなり、モル比:(CH3)3SiO1/2/(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2/SiO4/2が40/10/50であって、ビニル基含有量が0.00054mol/gである三次元網状構造のオルガノポリシロキサン樹脂(数平均分子量30,000)(2−B1)84部、架橋剤として側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(2−C1)[23℃における粘度20mPa・s、一分子当たりのSiH基数40個(SiH基含有量0.016mol/g)の両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン]14.5部[(2−C1)中のSiH基/(2−A1)及び(2−B1)中の合計ビニル基=3.5モル/モル]、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.10部、及び白金触媒(Pt濃度1質量%)0.2部を均一に約30分間混合し、シリコーンゴム組成物(23℃の粘度;35Pa・s)を得た。

[実施例2] 第2のシリコーンゴム組成物において、オルガノポリシロキサン樹脂(2−B1)に代えて、(CH3)3SiO1/2単位、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位、SiO4/2単位からなり、モル比:(CH3)3SiO1/2/(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2/SiO4/2が40/5/55である三次元網状構造のオルガノポリシロキサン樹脂(2−B2)[数平均分子量5,000、ビニル基含有量;0.00027mol/g]100部[(2−C1)中のSiH基/(2−A1)及び(2−B2)中の合計ビニル基=6.9モル/モル]を用いた以外は、実施例1と同様な方法により、シリコーンゴムが積層されたPET繊維布基材を得た。

[比較例1] 第1の液状シリコーンゴム組成物中のフェニレン骨格を有する接着性付与成分(1−B1)を含有しない[(1−C1)中のSiH基/(1−A1)及び(1−A2)中の合計ビニル基=1.8モル/モル]以外は、実施例1と同様な方法により、シリコーンゴムが積層されたPET繊維布基材を得た。

[比較例2] 第2のシリコーンゴム組成物中のオルガノポリシロキサン樹脂(2−B1)の代わりに、分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された23℃の粘度が30Pa・s(平均重合度約750)であるジメチルポリシロキサン(2−A1)[ビニル基含有量3×10-5mol/g]を更に84部(合計で168部)、架橋剤として側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(2−C1)[23℃における粘度20mPa・s、一分子当たりのSiH基数40個(SiH基含有量0.016mol/g)の両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン]0.56部[(2−C1)中のSiH基/(2−A1)中のビニル基=3.0モル/モル]を用いた他は、実施例1と同様な方法により、シリコーンゴムが積層されたPET繊維布基材を得た。

上記シリコーンレジンを含有する第2のシリコーンゴム組成物の硬化物について、硬化物性(硬さ、引張強さ、切断時伸び)をJIS K6249に基づいて測定した。なお、シリコーンゴム組成物の硬化物は、120℃/10分のプレス成型により作製した。 また、得られたPET繊維布基材について、布基材との接着性及び表面滑り性を下記評価方法により測定し、下記評価基準により評価した。結果を表1に併記する。 なお、第1のシリコーンゴム組成物の硬化物の硬度は、いずれの実施例、比較例の場合もデュロメータータイプAで52であった。 〔布基材との接着性〕 接着性試験は、以下の条件にてスコット揉み試験機を用いて行った。即ち、上記のゴムコーティングした布基材について、押し圧力5kgfで10回の揉み試験を行った後、コーティング部分の破壊状況を目視で確認し、シリコーンゴムコーティング層が布基材から剥離していない場合を合格(○:接着)と評価し、剥離している場合を不合格(×:剥離)と評価した。 〈評価〉 ○:接着 ×:剥離(シリコーン層と基布の間で剥離)

〔表面滑り性〕 表面の滑り性は、以下の条件にて動摩擦係数を測定することにより評価した。即ち、ASTM D1894に準拠して、表面性測定機TYPE:14FW(新東科学(株)製)を用い、荷重100gf、引張速度500mm/分の条件で動摩擦係数を測定し、動摩擦係数が0.5以下のものは滑り性良好(○)と評価し、動摩擦係数が0.5を超えるものは滑り性不良(×)と評価した。 〈評価〉 ○:表面の滑り性が良好 ×:表面の滑り性が不良

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