可逆性ポリマー接着剤組成物

申请号 JP2014100000 申请日 2014-05-13 公开(公告)号 JP6274965B2 公开(公告)日 2018-02-07
申请人 ゼロックス コーポレイション; XEROX CORPORATION; 发明人 ジェームズ・ディー・マヨ;
摘要
权利要求

2つの物体をつなぎ合わせる方法であって、 第1の物体と第2の物体との間に、これらと接触するように接着剤組成物を塗布することと、 接着剤組成物を硬化させ、第1の物体と第2の物体との間に接着剤の結合を作ることとを含み、 接着剤組成物は、マレイミド化合物とフラン化合物とを含み、本質的に、任意要素の安定化剤と、可逆性環化付加反応によって液体状態と固体状態との可逆的な変化が可能であり、冷却すると、2分未満の時間内に、可逆性環化付加反応によって液体状態から固体状態へと変化する可逆性ポリマー材料とからなり、 マレイミド化合物が以下の構造のビスマレイミドであり、フラン化合物が、以下の構造のビスフランであり、 式中、各Rは、連結基であって、1,3−シクロへキシレン基、または1,3−フェニレン基である、方法。接着剤組成物が液体の形態で与えられ、第1の物体の表面に少なくとも塗布される、請求項1に記載の方法。接着剤組成物は、第1の物体の表面上に接着剤組成物をはけ塗り、たたき塗り、バーコーティング、カーテンコーティング、スクリーン印刷、噴霧、浸漬、インクジェット印刷、又は押出成形することによって塗布される、請求項2に記載の方法。接着剤組成物が液体の形態で与えられ、第1の物体と第2の物体を一緒につなぎ合わせる前に、第1の物体の表面と、第2の物体の表面に別個に塗布される、請求項1に記載の方法。第1の物体および第2の物体は、金属、ガラス、プラスチック、ポリマー膜、ゴム、紙、処理されたセルロース、木材、セラミック、および石からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。接着剤組成物は、室温よりも高い温度で塗布され、塗布後に冷却されて、接着剤結合を形成する、請求項1に記載の方法。接着剤組成物は、室温において塗布され、塗布後に加熱され、次いで冷却されて接着剤結合を形成する、請求項1に記載の方法。接着剤組成物は、固体の形態で塗布される、請求項7に記載の方法。2つの物体をつなぎ合わせる方法であって、 第1の物体と第2の物体との間に、これらと接触するように接着剤組成物を塗布することと、 接着剤組成物を硬化させ、第1の物体と第2の物体との間に接着剤の結合を作ることとを含み、 接着剤組成物は、マレイミド化合物とフラン化合物とを含み、本質的に、任意要素の安定化剤と、可逆性環化付加反応によって液体状態と固体状態との可逆的な変化が可能であり、冷却すると、2分未満の時間内に、可逆性環化付加反応によって液体状態から固体状態へと変化する可逆性ポリマー材料とからなり、 マレイミド化合物が以下の構造の三形マレイミドであり、フラン化合物が、以下の構造の三角形フランであり、 式中、各R’は、連結基であって、N(CH2)3−である、方法。接着剤組成物は、ラジカル捕捉剤を安定化剤として含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。接着剤組成物は、60〜140℃での粘度が1〜100cPである、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。2つの物体をつなぎ合わせる方法であって、 第1の物体の表面に接着剤組成物を塗布することと、 第1の物体の表面にある接着剤組成物に、第2の物体の表面を接触させることと、 接着剤組成物を硬化させ、第1の物体と第2の物体との間に接着剤の結合を作ることとを含み、 接着剤組成物は、マレイミド化合物とフラン化合物とを含み、本質的に、任意要素の安定化剤と、可逆性環化付加反応によって液体状態と固体状態との可逆的な変化が可能である可逆性ポリマー材料とからなり、この組成物は、75〜120℃での粘度が2〜20cPであり、冷却すると、2分未満の時間内に、可逆性環化付加反応によって可逆性ポリマー材料が液体状態から固体状態へと変化し、 マレイミド化合物が以下の構造のビスマレイミドであり、フラン化合物が、以下の構造のビスフランであり、 式中、各Rは、連結基であって、1,3−シクロへキシレン基、または1,3−フェニレン基である、 または、 マレイミド化合物が以下の構造の三角形マレイミドであり、フラン化合物が、以下の構造の三角形フランであり、 式中、各R’は、連結基であって、N(CH2)3−である、方法。2つの物体を可逆的につなぎ合わせる方法であって、 請求項1に記載の方法によって2つの物体をつなぎ合わせることと、 接着剤の結合を作る接着剤組成物を加熱し、第1の物体と第2の物体の接着剤の結合を壊すことと、 第2の物体から第1の物体を分離することとを含み、 固体状態から液体状態への接着剤組成物の加熱による可逆的な変化が、環化付加反応が逆行することによるものであり、 接着剤組成物は、マレイミド化合物とフラン化合物とを含み、 マレイミド化合物が以下の構造のビスマレイミドであり、フラン化合物が、以下の構造のビスフランであり、 式中、各Rは、連結基であって、1,3−シクロへキシレン基、または1,3−フェニレン基である、 または、 マレイミド化合物が以下の構造の三角形マレイミドであり、フラン化合物が、以下の構造の三角形フランであり、 式中、各R’は、連結基であって、N(CH2)3−である、方法。

说明书全文

本開示は、一般的に、可逆性環化付加反応によって液体状態と固体状態との可逆的な変化が可能であり、固体状態では硬質ポリマー膜を生成する可逆性ポリマー材料を含む可逆性ポリマー接着剤組成物、および可逆性ポリマー接着剤組成物を用いて物体を一緒に可逆的に接着する方法に関する。

可逆性ディールスアルダーに基づくポリマーが一般的に知られており、固体インク印刷に使用するために研究されてきた。これらのポリマーは、例えば、米国特許第5,844,020号、第5,952,402号および第6,042,227号に開示されている。インクジェット装置は、物質の配置を正確に画像の様式で制御することができ、したがって、可逆性の接着性と固体から液体への変換特性を有する正確な硬質ポリマー膜を製造することができるため、これらの可逆性ディールスアルダーに基づくポリマーは、インクジェット用途に特に有用であると考えられる。しかし、これまでに研究されてきたディールスアルダーに基づくポリマーは、基材の上に堆積させた後の長い固化時間が問題となっている。例えば、従来のディールスアルダーに基づくポリマーの多くは、固化時間が数時間程度であることがわかっており、ほとんどの印刷用途で使用するのに適していない。長い固化時間は、印刷した物質が液体状態または半液体状態のままである間に、画像が歪むことがあり、画質が劣化することがあり、印刷した画像は、互いの上部に積み重ねることができず、大きな空間を必要とするか、またはスループットが低くなるため、ほとんどの印刷用途で不適切である。したがって、可逆性重合特性を示すが、商業的なプロセスで効率的かつ経済的に使用することができる短い固化時間を有する改良された材料が必要である。エポキシ系接着剤、アクリレート系接着剤などを含む多種多様な接着材料も知られている。このような材料は、非常に強い結合特性を付与することが示されてきた。しかし、これらの接着材料の多くは不可逆性である。すなわち、一緒に結合した物体は、簡単に分離することができず、物体が破損したり、また壊れたりすることなく分離することができない。可逆性接着剤の概念はすでに記載されている。例えば、このような可逆性接着剤系の1つが、Luo、X.ら、Polymer 2010、51、1169−75;Aubert,J.H.、J.Adhesion 2003、79、609−616;Wouters,M.ら、Prog.Org.Coatings 2011、72、152−158;米国特許第6,825,315号に記載されており、これらの開示内容全体が本明細書に参考として組み込まれる。この記載されている系は、エポキシ材料またはアクリレート材料と、ディールスアルダー材料との組み合わせを使用する。上述の記載されている系では、不可逆性のエポキシまたはアクリレートの化学を接着として使用しており、一方、ディールスアルダー化学物質のみが可逆性の手段を付与している。ディールスアルダー材料が存在するため、基材を加熱し、冷却すると、剥離または再接着が起こるだろう。しかし、これらの例では、エポキシ基が固定されてしまうと、表面は不可逆的に変わってしまう。表面の全体的な復元または洗浄には、エポキシ残基を機械的に除去することが必要であり、この場合には、基材が損傷する可能性があり、もっと重要なことに、材料の再接着は阻まれるだろう。したがって、当該技術分野では、被接着物体を永久的に変えてしまったり、損傷してしまったりすることなく、物体の可逆性接着を可能にする改良された接着剤が依然として必要である。

本開示は、いくつかの実施形態では、硬質ポリマー膜であり、液体状態から固体状態へと変化することが可能な可逆性ポリマー材料を含む接着剤組成物を提供することによって上述の必要性および他の必要性に対処する。本開示は、さらに、その接着剤組成物を用い、2つの物体を一緒に接着する(いくつかの実施形態では、可逆的に接着する)方法も提供する。

さらに具体的には、本開示は、 第1の物体と第2の物体との間に、これらと接触するように接着剤組成物を塗布することと、 接着剤組成物を硬化させ、第1の物体と第2の物体との間に接着剤の結合を作ることとを含み、 この接着剤組成物は、本質的に、任意要素の安定化剤と、可逆性環化付加反応によって液体状態と固体状態との可逆的な変化が可能であり、冷却すると、約2分未満の時間内に、可逆性環化付加反応によって可逆性ポリマー材料が液体状態から固体状態へと変化する可逆性ポリマー材料とからなる、2つの物体をつなぎ合わせる方法を提供する。

別の実施形態では、本開示は、 第1の物体の表面に接着剤組成物を塗布することと、 第1の物体の表面にある接着剤組成物に、第2の物体の表面を接触させることと、 接着剤組成物を硬化させ、第1の物体と第2の物体との間に接着剤の結合を作ることとを含み、 接着剤組成物は、本質的に、任意要素の安定化剤と、可逆性環化付加反応によって液体状態と固体状態との可逆的な変化が可能である可逆性ポリマー材料とからなり、この組成物は、約75〜約120℃での粘度が約2〜約20cPであり、冷却すると、約2分未満の時間内に、可逆性環化付加反応によって可逆性ポリマー材料が液体状態から固体状態へと変化する、2つの物体をつなぎ合わせる方法を提供する。

別の実施形態では、本開示は、 請求項1に記載の方法によって2つの物体をつなぎ合わせることと、 接着剤の結合を作る接着剤組成物を加熱し、第1の物体と第2の物体の接着剤の結合を壊すことと、 第2の物体から第1の物体を分離することとを含み、 固体状態から液体状態への接着剤組成物の加熱による可逆的な変化が、環化付加反応が逆行することによるものである、2つの物体を可逆的につなぎ合わせる方法を提供する。

図1Aは、実施例のコーティングの粘度特性を示す。

図1Bは、実施例のコーティングの粘度特性を示す。

図2は、実施例の接着剤組成物の引張破壊強さを示す。

本開示は、可逆性ポリマー材料を含む接着剤組成物を提供する。この組成物は、ディールスアルダー化学に基づく構成物質から作られ、可逆性環化付加反応によって液体の非接着状態または非粘着状態と、固体の接着状態または粘着状態との迅速な可逆的な変化を可能にする可逆性ポリマー材料を含む。この組成物は、接着剤の結合(例えば、2つの物体または基材の間の可逆性接着剤の結合)を作るのが望ましい種々の用途で使用することができる。さらに、本願発明者らは、この組成物が、多くの基材(アルミニウム、ガラス、ステンレスを含む)に対し、優れた予測できない接着性を示すことを発見した。

加熱した液体状態では、組成物は、いくつかの実施形態では、種々のコーティング方法(例えば、噴霧、コーティング、インク吐出など)によって簡単に塗布することが可能な低粘度液体である。冷却すると、この組成物は、すばやく可逆性環化付加反応を受け、液体組成物が、2つの物体または基材を一緒に接着する硬化したポリマー膜に変化する。したがって、液体状態では、実施形態の接着剤組成物は、非接着性であり、非粘着性であるが、固体状態では接着性であり、粘着性である。

(組成物) 組成物は、必須構成要素として可逆性ポリマー材料を含み、この材料は、可逆性環化付加反応による液体状態と固体状態との可逆的な変化が可能である。いくつかの実施形態では、可逆性ポリマーは、ディールスアルダー化学に基づく構成物質から作られる。これらの材料は、「硬化性」であり、液体状態で基材の上に堆積させることができ、噴霧、コーティング、インクジェット印刷などの堆積方法に適している。この材料は、ディールスアルダー環化付加に適した末端基を有し、非常に低粘度の液体として、溶融した状態または液体状態で一緒に存在する。しかし、材料が冷えるにつれて環化付加が起こり、優れた膜形成特徴および付着特徴を有する硬質ポリマーが得られる。したがって、可逆性ポリマー材料は、非接着性の溶融状態の間、容易に塗布することができるが、固化すると短時間で硬質接着ポリマーを生成するため、商業用途に特に有用である。この反応の可逆性という性質によって、塗布デバイス中、基材に塗布する前に組成物を繰り返し加熱し、冷却することができ、必要な場合、異なる時間に所定量の組成物を塗布することができ、基材に塗布したとき、基材を繰り返し接着し、除去する(例えば、積層し、剥離する)ことができる。

逆ディールスアルダーに基づくポリマーが一般的に知られており、例えば、米国特許第5,844,020号、第5,952,402号および第6,042,227号に例示するように、固体インク印刷に使用するために研究されてきた。しかし、すでに研究されたディールスアルダーに基づくポリマーは、基材に堆積した後、長い固化時間が問題であった。例えば、従来のディールスアルダーに基づくポリマーの多くは、数時間程度の固化時間を有しており、ほとんどの印刷用途で使用するのに不適切であることがわかった。長い固化時間は、印刷した材料が液体状態または半液体状態のままである間に、画像が歪むことがあり、画質が劣化することがあり、印刷した画像は、互いの上部に積み重ねることができず、大きな空間を必要とするか、またはスループットが低くなるため、不適切である。従来の物質が硬化したときに接着特性を有している場合であっても、硬化時間が非常に長いため、接着剤用途でこの物質を合理的に使用することはできなかった。

対照的に、本開示の可逆性ポリマー材料は、数秒から数分程度の固化時間を有し、接着剤用途で使用するのにもっと適している。より迅速な固化時間に起因して、堆積させた接着材料は、塗布した形状を良好に保持し(基材全体に、または基材全体を覆うように流れることなく)、したがって、基材の迅速な接着を達成することができる。したがって、いくつかの実施形態では、可逆性ポリマー材料の固化時間は、約2分未満、約1分未満、約30秒未満、約15秒未満、約10秒未満、約5秒未満、または約3秒未満である。例えば、迅速に硬化する接着剤の場合、可逆性ポリマー材料の固化時間は、約0.01秒または約0.05秒または約0.1秒から、約0.5秒、または約1秒、または約5秒であってもよく、ゆっくりと硬化する接着剤の場合、固化時間は、約5秒、または約10秒、または約20秒から、約30秒、または約1分、または約2分であってもよい。ここで、「固化」とは、サンプルが硬化し、スパチュラで叩いたとき、聞き取れるクリック音を発することを意味する。例えば、サンプルを、厚みが5mmを超えない膜として調製し、この膜をほぼ室温で基材に塗布するとき、冷却速度はきわめてすばやく、それぞれのサンプルの固化時間に何らかの役割をはたさない。これらのサンプルでは、固化時間は、周囲温度または室温まで迅速に冷却した後にかかる時間であるとされる。重合度は、1H NMR分光法を用いても測定することができるが、重合度は、固化時間と必ずしも相関関係にはないことがわかっている。

これらの迅速な固化時間を達成するために、本開示の実施形態は、マレイミドおよびフランから種々の接続化学を用いて作られる可逆性ポリマー材料を利用する。マレイミドおよびフランは、任意の形態であってもよく、例えば、ビスマレイミドおよびビスフラン、三形マレイミドおよび三角形フランなどであってもよい。連結基は、さまざまな長さおよび化学であってもよく、例えば、直鎖または分枝鎖のアルキル基、環状アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、アルキレンジオキシ基などを含んでいてもよく、これらは、すべて、置換または非置換であってもよい。限定されないが、連結基の大きさが増すにつれて、固化時間は長くなると考えられる。例えば、連結基中の炭素原子の数が増すにつれて、または、連結基中の(例えば、アルキレンオキシ基中の)酸素原子の数の数が増すにつれて、固化時間も長くなる傾向がある。もちろん、例えば、迅速な固化時間を有する他の材料と組み合わせて使用する場合、その他のもっと遅い固化時間を有する化合物を使用することも可能であろう。

例えば、適切なビスマレイミドおよびビスフランは、以下の構造

によってあらわされ、式中、Rは連結基である。例えば、Rは、アルキル基、例えば、1個または約2個〜約20個の炭素原子、約3〜約15個の炭素原子、または約4個または約5個または約6個の炭素原子〜約8個または約10個または約12個の炭素原子を含む直鎖アルキル基;環状アルキル基、例えば、約5個または約6個の炭素原子〜約8個または約10個の炭素原子を含む環状アルキル基;アリール基、例えば、フェニル基またはナフチル基;1個または約2個〜約20個の炭素原子、または約2〜約10個の炭素原子、または約3〜約8個の炭素原子を含むアルキレンジオキシ基、例えば、エチレンジオキシ基などであってもよい。

他の実施形態では、三角形の構造を使用することができる。例えば、適切な三角形マレイミドおよび三角形フランは、以下の構造

によってあらわされ、式中、R’はNR3であり、各Rは、同じであるか、または異なっており、上に定義したような連結基である。R’がN(CH2)3−である三角形マレイミドおよび三角形フランの具体的な実施形態は、以下の構造によってあらわされる。

さらに他の実施形態では、他の形態のマレイミドおよびフランを使用することができ、本開示がビス−構造またはトリス−構造に限定されないことが理解されるだろう。

マレイミドおよびフランは、望ましい連結基を組み込むために明らかなように改変した当該技術分野で既知の反応によって製造することができる。例えば、ビスマレイミドは、無マレイン酸と、適切な反応剤(例えばジアミノ化合物)とを反応させることによって簡単に調製することができる。同様の様式で、ビスフランは、2−フロイルクロリドと、適切な反応剤(例えば、ジアミノ化合物)とを反応させることによって簡単に調製することができる。一実施形態では、ジアミノ化合物がジアミノアルカン(例えば、ジアミノオクタン)である場合、ビスマレイミドおよびビスフランを以下のように調製することができ、

式中、Rは、上に記載したような連結基である。同様の反応スキームを用い、三角形マレイミドおよび三角形フランを調製することができる。

ディールスアルダー環化付加反応を進めることができるように、可逆性ポリマー材料は、いくつかの実施形態では、マレイミドモノマー単位またはマレイミドモノマー種と、フランモノマー単位またはフランモノマー種の混合物を含む。固体マレイミド/フラン混合物をその融点より高い温度まで加熱すると、非常に低粘度の液体が得られる。しかし、この混合物を冷却すると、ディールスアルダーカップリングが促進され、ポリマーが生成する。構成要素であるマレイミド種およびフラン種の融点より高い温度までポリマーを加熱すると、このプロセスが逆行し、低粘度の液体が再生する。この材料のモノマー単位またはモノマー種からポリマーへの可逆性の変化は、1セットの材料に関する以下の反応スキームによって例示される。

この可逆性の加熱−冷却プロセスによって、硬質ポリマー膜と液体混合物との変化が生じるだけではなく、表面をつなぐように結合する接着剤膜と、つなぎ合わせた表面の間の接着を離す非接着性または非粘着性の液体混合物との変化も生じることも発見された。すなわち、組成物が、2つのつなぎ合わせる表面の間に配置される場合、加熱/冷却によって、表面の積層/剥離が起こり、この事象は、さらなる加熱/冷却サイクルによって可逆的に起こる。

マレイミドモノマー単位またはマレイミドモノマー種と、フランモノマー単位またはフランモノマー種との混合物の作成において、いくつかの実施形態では、この材料は、官能基がほぼ等モル量であることが望ましい。したがって、例えば、混合物が、2個の反応性官能基を含むビスマレイミドと、2個の反応性官能基を含むビスフランとから作られる場合、ビスマレイミドおよびビスフランは、望ましくは、約1:1、例えば、約1.5:1〜約1:1.5、または約1.3:1〜約1:1.3、約1.2:1〜約1:1.2、または約1.1:1〜約1:1.1のモル比で存在する。同様に、混合物が、3個の反応性官能基を含む三角形マレイミドと、3個の反応性官能基を含む三角形フランとから作られる場合、三角形マレイミドおよび三角形フランは、望ましくは、約1:1、例えば、約1.5:1〜約1:1.5、または約1.3:1〜約1:1.3、約1.2:1〜約1:1.2、または約1.1:1〜約1:1.1のモル比で存在する。しかし、混合物が、2個の反応性官能基を含むビスマレイミドと、3個の反応性官能基を含む三角形フラン、または3個の反応性官能基を含む三角形マレイミドと、2個の反応性官能基を含むビスフランとから作られる場合、マレイミドおよびフランは、望ましくは、三角形材料とビス材料のモル比が約2:3、例えば、約2.5:3〜約2:2.5、または約2.3:3〜約2:2.7、約2.2:3〜約2:2.8、または約2.1:3〜約2:2.9で存在する。他の比率の材料を使用してもよいが、可逆性ポリマー材料は、この材料の比率が等モル量から離れすぎると、残留する液体材料が多くなりすぎるだろう。すなわち、この比率のバランスが悪くなるにつれて、他の材料と反応し、固体状態の可逆性ポリマーを作成する1つの構成材料が多くなりすぎるだろう。したがって、過剰な未反応材料は、カップリングした可逆性ポリマーを希釈し、その機械的一体性を悪化させるようにしか機能しないだろう。

必要ではないが、いくつかの実施形態では、混合物を作成するために用いられる材料が同じ連結基を有するか、または少なくとも同じ一般型の連結基を含むことも望ましい。この混合物が、上に示すマレイミドおよびフランから作られる場合、マレイミドおよびフランが同じ連結基Rを含むか、または少なくとも同じ種類の連結基Rを含むことが望ましい。したがって、例えば、マレイミドおよびフランの連結基は、いくつかの実施形態では、それぞれアルキル基、例えば、それぞれ、同じ鎖長の直鎖アルキル基であり、それぞれ、環状アルキル基、例えば、それぞれ、同じ構造および同じ炭素原子数を有する環状アルキル基であり、それぞれ、アリール基、例えば、それぞれフェニル基であり、それぞれ、アルキレンジオキシ基、例えば、それぞれ、エチレンジオキシ基などである。異なるスペーサー基の混合物を調整することができ、但し、スペーサー基それぞれの化学物質は、互いに相溶性であり、その結果、2種類の化合物が互いに混和する。例えば、非常に異なる極性を有する混合物は、2種類の試薬が不安定であり、相分離を受けるため、適切ではないだろう。もちろん、望ましい場合、異なる連結基をこの材料で使用することができる。

同様に、いくつかの実施形態では、混合物を作成するために用いられる材料が、1形態のマレイミドと、1形態のフランであることが望ましい。これにより、材料の対となる官能基が、混合物中で互いにもっと近い位置に配置されるため、ディールスアルダー反応をもっと迅速に進めることができる。しかし、所望な場合、混合物の作成に1種類より多いマレイミドおよび/または1種類より多いフランを使用することができる。したがって、例えば、1種類のマレイミドと1種類のフランとから混合物を作成することができ、または、1種類、2種類、3種類またはそれより多い異なるマレイミドと、1種類、2種類、3種類またはそれより多い異なるフランとから作成し、液体混合物と固体可逆性ポリマー両方の望ましい特性を与えることができる。

接着性混合物を作成する場合、この混合物は、可逆性ポリマー材料、例えば、マレイミドモノマー単位またはマレイミドモノマー種と、フランモノマー単位またはフランモノマー種の混合物を少なくとも含む。モノマーがディールスアルダー環化付加反応によって一緒に反応する能力は、互いに容易に接触する材料に依存し、可能な限り少ないさらなる成分が混合物に含まれることが望ましい。したがって、例えば、一実施形態では、この混合物は、完全に、マレイミドモノマー単位またはマレイミドモノマー種と、フランモノマー単位またはフランモノマー種のみからなり、他の実施形態では、この混合物は、マレイミドモノマー単位またはマレイミドモノマー種と、フランモノマー単位またはフランモノマー種と、このモノマーが反応して可逆性ポリマー材料を作成する能力を妨害しないさらなる材料とから本質的になる。さらに他の実施形態では、さらなる構成要素が、他の意図する目的のために含まれていてもよい。もちろん、これらそれぞれの改変体において、この混合物が、付随的な不純物なども含んでいてもよいことが理解されるだろう。マレイミドおよびフランに加え、さらなる材料が混合物に含まれる場合、マレイミドおよびフランが、大部分の量で、例えば、混合物を含む組成物の合計重量を基準として、約50、約60、約70、または約80〜約90、約95、または約100重量%の量で混合物中に一緒に存在していてもよく、または、マレイミドおよびフランが、混合物中に少量、例えば、約1、約5、約10、または約20〜約30、約40、または約50重量%の量で一緒に存在していてもよい。

所望な場合、組成物が、他の添加剤の従来の目的のために他の添加剤を含んでいてもよい。例えば、組成物は、光安定化剤、UV吸収剤(入射UV光を吸収し、これを熱エネルギーに変換し、最終的に散逸する)、酸化防止剤、蛍光増白剤(画像の外観を改良し、黄色化を抑えることができる)、チクソトロピック剤、濡れ防止剤、すべり剤、発泡剤、発泡防止剤、流動剤、ワックス、油、可塑剤、バインダー、電気伝導剤性、有機および/または無機のフィラー粒子、レベリング剤(異なる光沢度を作り出すか、または減らす薬剤)、乳白剤、帯電防止剤、分散剤、着色剤(例えば、顔料および染料)、殺生物剤、防腐剤などのうち1つ以上を含んでいてもよい。しかし、添加剤は、可逆性環化付加反応の速度および程度に悪影響を与えることがあり、そのため、任意要素の添加剤を用いて組成物を配合するとき、注意をはらわなければならない。

例えば、ある実施形態では、組成物中にラジカル捕捉剤を含むことが助けになる場合がある。ある種の可逆性ポリマー混合物について、溶融した液体の長期間にわたる加熱によって、UV光にさらされたとき、マレイミド化合物が2+2環化付加反応を受ける傾向に起因して、混合物の不可逆的な硬化が生じることがあることがわかっている。環化付加反応の結果として、材料の不可逆的な重合または硬化を起こす場合があり、ある種の使用(例えば、固体インクジェットプリンタ)に望ましくない組成物となることがある。したがって、これらの組成物にラジカル捕捉剤を加えると、環化付加反応を防ぐか、または顕著に遅らせることができ、それによって、不可逆的な重合が起こるのを防ぎ、溶融した液体が長期間にわたってその低い溶融粘度を維持することができる。

ラジカル捕捉剤が含まれることになっている場合、任意の適切なラジカル捕捉剤を使用することができる。適切なラジカル捕捉剤としては、例えば、ソルビトール、メチルエーテルヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、ヒドロキノン、2,5−ジ−1−ブチルヒドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(またはブチルヒドロキシトルエン、つまりBHT)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メトキシフェノール、ニトロキシド、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、プロピルエステル 3,4,5−トリヒドロキシ−安息香酸、2−(1,1−ジメチルエチル)−1,4−ベンゼンジオール、ジフェニルピクリルヒドラジル、4−tert−ブチルカテコール、N−メチルアニリン、p−メトキシジフェニルアミン、ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、p−ヒドロキシジフェニルアミン、フェノール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ピロピオネート、テトラキス(メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート)メタン、フェノチアジン、アルキルアミドノイソウレア、チオジエチレンビス(3,5,−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナメート、1,2,−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジン、トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、環状ネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、オキサリルビス(ベンジリデンヒドラジド)および天然に生じる酸化防止剤、例えば、未加工種子油、小麦胚芽油、トコフェロールおよびガム、およびこれらの混合物が挙げられる。適切なニトロキシドとしては、例えば、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエチル−1−ピペリジニルオキシ、2,2,6−トリメチル−6−エチル−1−ピペリジニルオキシ、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロリジニルオキシ(PROXYL)、ジアルキルニトロキシドラジカル、例えば、ジ−t−ブチルニトロキシド、ジフェニルニトロキシド、t−ブチル−t−アミルニトロキシド、4,4−ジメチル−1−オキサゾリジニルオキシ(DOXYL)、2,5−ジメチル−3,4−ジカルボン酸−ピロール、2,5−ジメチル−3,4−ジエチルエステル−ピロール、2,3,4,5−テトラフェニル−ピロール、3−シアノ−ピロリン−3−カルバモイル−ピロリン、3−カルボン酸−ピロリン、1,1,3,3−テトラメチルイソインドリン−2−イルオキシル、1,1,3,3−テトラエチルイソインドリン−2−イルオキシル、ポルフィレキシドニトロキシルラジカル、例えば、5−シクロヘキシルポルフィレキシドニトロキシルおよび2,2,4,5,5−ペンタメチル−D3−イミダゾリン−3−オキシド−1−オキシルなど、ガルビンオキシルなど、1,3,3A トリメチル−2−アザビシクロ[2,2,2]オクタン−5−オキシド−2−オキシド、1A アザビシクロ[3,3,1]ノナン−2−オキシドなどが挙げられる。これらのラジカル捕捉剤の置換改変体、例えば、4−ヒドロキシ−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、4−ベンゾキシルオキシ−TEMPO、4−メトキシ−TEMPO、4−カルボン酸−4−アミノ−TEMPO、4−クロロ−TEMPO、4−ヒドロキシルイミン−TEMPO、4−オキソ−TEMPO、4−オキソ−TEMPO−エチレンケタール、4−アミノ−TEMPO、3−カルボキシル−PROXYL、3−カルバモイル−PROXYL、2,2−ジメチル−4,5−シクロヘキシル−PROXYL、3−オキソ−PROXYL、3−ヒドロキシルイミン−PROXYL、3−アミノメチル−PROXYL、3−メトキシ−PROXYL、3−t−ブチル−PROXYL、3−マレイミド−PROXYL、3,4−ジ−t−ブチル−PROXYL、3’−カルボン酸−PROXYL、2−ジ−t−ブチル−DOXYL、5−デカン−DOXYL、2−シクロヘキサン−DOXYLなども使用することができる。

場合により、遊離ラジカルを捕捉することによって、多くの市販の酸化防止安定化剤は機能し、したがって、これをラジカル捕捉剤として使用してもよい。例えば、IRGASTAB(登録商標)UV 10はニトロキシドであり、適切に使用されてもよい。他の適切な化合物としては、例えば、Crompton Corporation(ミドルベリー、コネチカット)から市販されるNAUGARD(登録商標)524、NAUGARD(登録商標)635、NAUGARD(登録商標)A、NAUGARD(登録商標)1−403およびNAUGARD(登録商標)959;Uniroyal Chemical Companyによって市販されるNAUGARD(登録商標)76、NAUGARD(登録商標)445およびNAUGARD(登録商標)512;Ciba Specialty Chemicalsによって市販されるIRGANOX(登録商標)1010およびIRGASTAB(登録商標)UV 10;Rahn A G(チューリッヒ、スイス国)から市販されるGENORAD(商標) 16およびGENORAD(商標) 40など、およびこれらの混合物を挙げることができる。

ラジカル捕捉剤は、組成物中に任意の有効な量で存在していてもよい。例えば、組成物の約0.01重量%〜約15重量%、例えば、組成物の約0.05重量%〜約12重量%、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、または組成物の約1重量%〜約8重量%または約2重量%〜約5重量%の量で存在していてもよい。

溶融した状態で、組成物を、逆ポリマー材料の融点より高い温度まで加熱すると、この組成物は、非常に低粘度の液体である。例えば、液体組成物は、逆ポリマー材料の融点より高い温度での粘度が約1〜約100cP、例えば、約1〜約50cP、約2または約5〜約10または約15cPである。例えば、一実施形態では、インクジェット印刷装置を使用するために、液体組成物が、約60〜約140℃、例えば、約65または約70〜約125または約130℃、例えば、約75〜約120℃の温度で約1〜約100cP、例えば、約1〜約50cP、約1または約2〜約30または約40cP、または約2〜約20cPの粘度を有することが望ましい。しかし、組成物が冷えるにつれて環化付加が起こり、優れた膜形成特徴および接着特徴を有する硬質ポリマーが得られる。

実施形態の接着剤組成物は、他の添加剤の既知の用途のために他の添加剤を含んでいてもよいが、いくつかの実施形態では、組成物の接着特性が、マレイミドモノマー単位またはマレイミドモノマー種と、フランモノマー単位またはフランモノマー種とからのみ誘導されることが望ましい。したがって、例えば、接着剤組成物は、いくつかの実施形態では、接着効果を付与する任意のエポキシ化合物、アクリレート化合物などをまったく含まないか、または実質的に含まない。例えば、このようなさらなる接着材料は、基材自体と不可逆的に相互作用し、接着が望ましくない場合に、接着剤組成物を簡単に除去するのが阻まれるため、このようなさらなる接着材料は除外される。

本開示の組成物を、硬質ポリマー膜を介する接着剤の結合を形成することが望ましい多種多様な用途で使用することができる。この結合は、金属(例えば、アルミニウム、ステンレスなど);ガラス;プラスチック;ポリマー膜;ゴム;普通紙、コーティング紙、厚紙などを含む紙;処理されたセルロース;木材;セラミック;石などの種々の材料のつなぎ合わせる表面または物体の間に作ることができる。いくつかの実施形態では、2つのつなぎ合わせる表面は、同じ種類の材料から作られていてもよく、または異なる種類の材料から作られていてもよい。

特に限定されないが、任意の適切な方法によって接着剤組成物を被結合基材に塗布することができ、接着剤組成物は、基材の間に、基材と接するように配置される。例えば、接着剤組成物を、はけ塗り、たたくこと、バーコーティング、カーテンコーティング、スクリーン印刷、噴霧、浸漬、押出成型、インクジェット印刷などによって塗布することができる。つなぎ合わせる表面の片方のみに組成物を塗布してもよく、または、所望な場合、つなぎあわせる両方の表面に組成物を塗布してもよい。

接着剤組成物は、液体、ゲル、ペースト、固体などのような任意の適切な形態で与えられてもよい。ある実施形態では、第1の基材および/または第2の基材に接着剤組成物を液体の形態で塗布し、接着剤組成物の上に他の基材を塗布してもよい。その後、接着剤組成物を冷却し、ディールスアルダー反応を起こさせ、望ましい接着剤の結合を作る。例えば、これらの実施形態では、接着剤組成物を室温より高い温度で液体の形態で塗布してもよく、その後、冷却してディールスアルダー反応を受けてもよく、または、液体接着剤組成物を室温で液体の形態で塗布し、その後、加熱し、次いで冷却し、ディールスアルダー反応を受けてもよい。しかし、他の実施形態では、接着剤組成物を固体の形態で基材に塗布してもよい。これらの実施形態では、例えば、接着剤組成物が、例えば、第1の基材にシート形態または別個の形状で塗布することによって、第1の基材と第2の基材の間に挟まれてもよい。その後、組成物を液体状態になるまで加熱し、次いで、冷却し、ディールスアルダー反応を起こさせ、望ましい接着剤の結合を作ってもよい。

ある実施形態では、一緒に結合する基材に依存して、接着剤組成物は、液体状態の組成物の低粘度特性によって、組成物をインクジェット印刷に合うように修正することができるため、デジタル画像処理用途(例えば、インクジェット印刷)で特に有用である。これによって、例えば、製造プロセス中に、デジタル印刷プロセスに基づいて接着剤組成物を基材の望ましい領域に正確に塗布することができ、印刷した液体組成物が固まるか、または硬化して望ましい接着剤の結合を形成する。

この組成物をデジタルインクジェット印刷を用いて基材に塗布する場合、任意の望ましい厚みおよび量で塗布することができる。基材の上を少なくとも1回通過させてこの組成物を塗布することができるか、または、基材の上を少なくとも部分的に複数回通過させて塗布することができる。

別の実施形態では、特に、接着剤組成物が室温で固体である場合、例えば、ホットメルトグルー銃の先端から放出させることによって接着剤組成物を同様に塗布することができる。ここで、接着剤組成物は、固体スティックの形態で与えられてもよく、この場合、スティックの末端がグルー銃の先端で溶融し、その後、接着剤が液体形態で塗布される。

接着剤組成物のさらなる特徴は、接着プロセスが可逆性なことである。例えば、接着剤組成物を室温より高い温度まで加熱し、接着剤組成物を非接着性の液体状態に戻すことができる。この加熱によって、環化付加反応が逆行し、物体間の接着が元に戻る。次いで、接着した表面を損傷することなく、物体を簡単に分離することができる。次いで、接着剤組成物を再び冷却することによって表面を再びつなぎ合わせることができ、接着/分離を繰り返すことができる。または、場合により、接着剤組成物を拭き取ってきれいな損傷していない表面を与えることによって、表面を分離した状態のままにしてもよい。

磁気攪拌棒を取り付けた500mL RBF(丸底フラスコ)中、無水マレイン酸(10.5当量)を75mLのDMF(ジメチルホルムアミド)に溶解した。得られた溶液を氷で冷却し、1,8−オクタンジアミン(5当量)をDMF(75mL)に溶解したものを約20分かけて滴下した。氷浴をはずし、酢酸ナトリウム(1当量)および無水酢酸(11当量)を一度に加え、混合物を50℃で一晩攪拌した。混合物は、NaOCaおよびAc2Oを加えてから30分以内に暗褐色に変わった。DMFを減圧蒸留(60℃)によって除去し、この暗褐色混合物にDCM(ジクロロメタン)(150mL)を加えた。有機層をNaHCO3で抽出し(100mL×5回)、MgSO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。得られた混合物をカラムクロマトグラフィーで精製した。

1,1’−(オクタン−1,8−ジイル)ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)(M1で示される):無水マレイン酸(14.27g、146mmol)、1,8−オクタンジアミン(10.0g、69.3mmol)、酢酸ナトリウム(1.14g、13.9mmol)および無水酢酸(15.57g、153mmol)を用い、一般的な手順を行った。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(98:2 DCM:EtOAc)によって精製し、生成物を白色固体として得た(5.2g/25%)。

1,1’−(シクロヘキサン−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)(M2で示される):無水マレイン酸(20.59g、210mmol)、1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)(14.22g、100mmol)、酢酸ナトリウム(1.64g、20mmol)および無水酢酸(22.46g、220mmol)を用い、一般的な手順を行った。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(98:2 DCM:EtOAc)によって精製し、生成物を白色固体として得た(3.55g/12%)。

1,1’−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)(M3で示される):無水マレイン酸(20.59g、210mmol)、m−キシリレンジアミン(13.62g、100mmol)、酢酸ナトリウム(1.64g、20mmol)および無水酢酸(22.46g、220mmol)を用い、一般的な手順を行った。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(97:3 DCM:EtOAc)によって精製し、生成物を白色固体として得た(6.51g/22%)。

1,1’−((エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ビス(エタン−2,1−ジイル))ビス(1H−ピロール−2,5−ジオン)(M4で示される):無水マレイン酸(13.23g、135mmol)、2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(10.0g、67.5mmol)、酢酸ナトリウム(1.11g、13.5mmol)および無水酢酸(15.15g、148mmol)を用い、一般的な手順を行った。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(95:5 DCM:EtOAc)によって精製し、生成物を白色固体として得た(4.5g/22%)。

1,1’,1”−(ニトリロトリス(エタン−2,1−ジイル))トリス(1H−ピロール−2,5−ジオン)(M5で示される):500mL丸底フラスコ中、アルゴン下で、無水マレイン酸(20.1g、205eq)を75mLのDMFに溶解した。得られた溶液を氷で冷やし、次いで、トリス(2−アミノエチル)アミン(10.0g、68.4mmol)をDMF(75mL)に溶解したものを約20分かけて滴下した。氷浴をはずし、酢酸ナトリウム(1.68g、20.52mmol)および無水酢酸(23.04g、226mmol)を一度に加え、混合物を50℃で一晩攪拌した。この混合物は、NaOAcおよびAc2Oを加えてから30分以内に暗褐色に変わった。DMFを減圧蒸留(60℃)によって除去し、DCM(150mL)をこの暗褐色混合物に加えた。有機層をNaHCO3で抽出し(100mL×5回)、MgSO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(95:5 DCM:EtOAc)によって精製し、淡黄色固体を得た(8.0g、30%)。

500mL RBFに磁気攪拌棒を取り付け、これに1,8−オクタンジアミン(47.9当量)、トリエチルアミン(95.7当量)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)(1当量)およびDCM(200mL)を加えた。この溶液を氷で冷やし、次いで、塩化フロイル(100当量)をDCM(50mL)に溶解したものを滴下した。氷浴をはずし、混合物を室温で一晩攪拌した。有機層をNaHCO3で抽出し(100mL×5回)、MgSO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。得られた化合物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。

N,N’−(オクタン−1,8−ジイル)ビス(フラン−2−カルボキサミド)(F1で示される):1,8−オクタンジアミン(10.0g、69.3mmol)、トリエチルアミン(14.2g、141mmol)、DMAP(0.17g、1.35mmol)および塩化フロイル(19.0g、146mmol)を用い、一般的な手順を行った。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(98:2 DCM:EtOAc)によって精製し、生成物を白色固体として得た(21.5g/92%)。

N,N’−(シクロヘキサン−1,3−ジイルビス(メチレン))ビス(フラン−2−カルボキサミド)(F2で示される):1,3−シクロヘキサンビス(メチルアミン)(10.0g、70.3mmol)、トリエチルアミン(14.2g、141mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.17g、1.41mmol)および塩化フロイル(19.0g、146mmol)を用い、一般的な手順を行った。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(95:5 DCM:EtOAc)によって精製し、生成物を白色固体として得た(3.5g/15%)。

N,N’−(1,3−フェニレンビス(メチレン))ビス(フラン−2−カルボキサミド)(F3で示される):m−キシリレンジアミン(10.0g、73.4mmol)、トリエチルアミン(14.9g、147mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.17g、1.41mmol)および塩化フロイル(20.13g、154mmol)を用い、一般的な手順を行った。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(95:5 DCM:EtOAc)によって精製し、生成物を白色固体として得た(21.8g/92%)。

N,N’−((エタン−1,2−ジイルビス(オキシ))ビス(エタン−2,1−ジイル))ビス(フラン−2−カルボキサミド)(F4で示される):2,2’−(エチレンジオキシ)ビス(エチルアミン)(10.0g、67.5mmol)、トリエチルアミン(13.66g、135mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.17g、1.41mmol)および塩化フロイル(18.5g、142mmol)を用い、一般的な手順を行った。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(95:5 DCM:EtOAc)によって精製し、生成物を白色固体として得た(10.9g/48%)。

N,N’,N”−(ニトリロトリス(エタン−2,1−ジイル))トリス(フラン−2−カルボキサミド)(F5で示される):500mL RBFに、アルゴン下、1,8−オクタンジアミン(10.0g、68.4mmol)、トリエチルアミン(20.76g、205mmol)、DMAP(0.68g、20.5mmol)およびDCM(350mL)を加えた。溶液を氷で冷やし、次いで、塩化フロイル(27.7g、212mmol)をDCM(150mL)に溶かしたものを滴下した。氷浴をはずし、混合物を室温で一晩攪拌した。有機層をNaHCO3で抽出し(100mL×5回)、MgSO4で乾燥させ、減圧下で溶媒を除去した。得られた化合物をカラムクロマトグラフィー(99:1 DCM:EtOAc)によって精製し、白色固体を得た(16.1g、82%)。

以下の構造であらわされる上のように調製したビスマレイミドM1〜M4およびビスフランF1〜F4を作成し、ここで、Rの連結基Rは、以下に示されるように変えられる。

三角形マレイミドM5および三角形フランF5は、以下の構造によってあらわされる。

(実施例1) マレイミドM1とフランF1の対の混合物を、マレイミドおよびフランをモル基準で約1:1で混合することによって作成した。このサンプルを以下の試験および分析で使用した。

(実施例2〜5) 実施例1と同様に、マレイミドとフランの対の混合物(M2およびF2、M3およびF3、M4およびF4、M5およびF5)を、マレイミドおよびそれぞれのフランをモル基準で約1:1で混合することによって作成した。このサンプルを以下の試験および分析で使用した。

(分析) この試験から、固体マレイミド/フラン混合物をその融点より高い温度まで加熱すると、非常に低粘度の液体が得られるが、この混合物を冷却すると、ディールスアルダーカップリングが生じ、ポリマーが生成することが示された。ポリマーを構成要素であるマレイミド/フランの融点より高い温度まで加熱すると、このプロセスが逆行し、低粘度液体が再生する。プロセスの可逆性を1H NMR分光法およびDSCによって確認した。

次いで、混合物をその融点より高い温度まで加熱し、混合物の粘度挙動を測定した。実施例1の混合物(M1およびF1の混合物)を120℃まで加熱し、実施例2の混合物(M2およびF2の混合物)を190℃まで加熱し、実施例3の混合物(M3およびF3の混合物)を150℃まで加熱し、実施例4の混合物(M4およびF4の混合物)を90℃まで加熱した。TA Instrumentsによって入手可能なAR 2000粘度計を用いて粘度を測定した。25mmプレートアセンブリを用い、ギャップ幅を200μmに設定し、100s−1で25分間かけて測定を行った。結果を図1Aおよび図1Bに示し、図1Bは、図1Aの一部の拡大図である。実施例3および実施例4の混合物のダイラタント挙動は、溶融に必要な温度より高い温度およびこれらの特定の混合物の粘度測定に起因するものであると考えられ、不可逆な架橋反応を生じた。

接着剤の引張強度を測定するために用いられるAmerican Society for Testing and Materials(ASTM)法D2095に基づく技術を用い、実施例の組成物によって与えられる接着剤を定量した。制御された量のそれぞれの混合物を、2個のあらかじめ加熱したステンレスドエルの間で溶融し、冷却した後、Instron 3367を用い、接着剤の引張強度を試験した。測定した破壊強度の結果を図2に示す。比較の目的で、図2には、ポリエチレングリコール(PEG)から作られるポリマー膜、Xerox COLORQUBE(登録商標)プリンタで使用される固体インク、および、Xerox DC700機のような従来の複写機およびプリンタで使用されるトナー粒子を作成するために用いられるポリエステル樹脂の測定も含まれる。

ある範囲の値を観察し、実施例1の混合物を室温まで冷却した後、ドエルを取り扱うときにまったくうまく行かず、一方、もっと脆い実施例2および実施例3のポリマーは、ドエルの中でうまく硬化したが、もっと可撓性が高い実施例4のポリマーよりも接着剤の強度が低かった。この試験では、従来のエポキシ接着剤およびアクリレート接着剤は、これらの市販の接着剤が接着剤の強度という観点でかなり優れていることが理解されるため、試験しなかった。とは言っても、実施例のポリマー組成物は、ディールスアルダー化学を用い、典型的な膜形成ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG、Mn=14,000))または従来のポリエステルトナー樹脂よりもかなり高い接着性を示す。さらに、実施例の接着剤組成物は、可逆性の接着特性を有し、組成物を加熱して材料を再び溶融させることによって元に戻すことができる。

固化時間は、材料のスペーサーの化学に依存することもわかった。固化時間を測定しようとする試みは、Time Resolved Optical Microscopy(TROM)を用いて行われたが、これらの試みは、実施例1の膜のみがある程度の結晶度を示し、一方、残りの3種類の膜はすべてアモルファスであり、したがって、TROM技術で用いられる光学的な方法によって見ることができないため、うまくいかなかった。その代わりに、スパチュラを用いて膜を単純にたたくことを利用し、聞き取れるクリック音が、ポリマーが完全に固化していることを示していた。この試験では、実施例1および実施例4の膜は、両方とも完全に硬化するのに数時間かかり、一方、実施例2および実施例3の膜は、数秒で固化した。この材料の組み合わせについて固化時間も試験し、実施例4と実施例3の80:20混合物が、数分以内に硬化し、透明で割れのない膜を生じることがわかった。

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