医療機器包装フィルムからのClO2ガスの放出

申请号 JP2018506605 申请日 2016-08-18 公开(公告)号 JP2018527254A 公开(公告)日 2018-09-20
申请人 ウィスコンシン アルムニ リサーチ ファンデイション; ビーミス カンパニー,インコーポレイティド; 发明人 ニコラス アボット; リシャブ ジャイン; ケビン ネルソン; デイビッド ブッシュ; デイビッド リン;
摘要 多層医療 包装 フィルムが、第一層及び二 酸化 塩素生成層を含む。二酸化塩素生成層は、ポリマー組成物及び複数の亜塩素酸イオンを含む。二酸化塩素生成層は、エネルギー活性化された触媒を実質的に含まず、かつ酸放出化合物を実質的に含まない。しかしながら、フィルムは、UV光及び 水 分に曝されると二酸化塩素を発生させることができる。 【選択図】図1
权利要求

第一層;及び ポリマー組成物と複数の亜塩素酸イオンとを含む二酸化塩素生成層; を含む多層医療包装フィルムであって、該二酸化塩素生成層が、エネルギー活性化された触媒を実質的に含まず、かつ酸放出化合物を実質的に含まない多層医療包装フィルム。前記複数の亜塩素酸イオンが、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム及びそれらの混合物から成る群から選択される塩に存在する、請求項1に記載の多層医療包装フィルム。前記第一層が、酸素バリア層であり、かつ該酸素バリア層が、アルミ箔、金属コーティングされたポリマー、金属酸化物コーティングされたポリマー、又は芳香族ポリアミドポリマーを含む、請求項1に記載の多層医療包装フィルム。前記第一層が、酸素バリア層であり、かつ該酸素バリア層が、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン共重合体、又は脂肪族ポリアミドを含む、請求項1に記載の多層医療包装フィルム。前記二酸化塩素生成層が、15μm未満の厚さを有するコーティングである、請求項1に記載の多層医療包装フィルム。前記ポリマー組成物が、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−α−オレフィン及びポリプロピレンの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の多層医療包装フィルム。前記複数の亜塩素酸イオンが、塩に存在し、かつ該塩が、前記二酸化塩素生成層の総質量に対して0.1質量%〜30質量%の範囲内の量で存在する、請求項5に記載の多層医療包装フィルム。前記複数の亜塩素酸イオンが、塩に存在し、かつ該塩が、前記二酸化塩素生成層の総質量に対して10質量%〜20質量%の範囲内の量で存在する、請求項5に記載の多層医療包装フィルム。前記二酸化塩素生成層が、少なくとも25μmの厚さを有する、請求項1に記載の多層医療包装フィルム。前記ポリマー組成物が、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−α−オレフィン及びポリプロピレンの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の多層医療包装フィルム。前記複数の亜塩素酸イオンが、塩に存在し、かつ該塩が、前記二酸化塩素生成層の総質量に対して0.1質量%〜25質量%の範囲内の量で存在する、請求項9に記載の多層医療包装フィルム。前記複数の亜塩素酸イオンが、塩に存在し、かつ該塩が、前記二酸化塩素生成層の総質量に対して5質量%〜20質量%の範囲内の量で存在する、請求項9に記載の多層医療包装フィルム。前記第一層が、前記二酸化塩素生成層と近接する外層であり、かつ該外層が、ポリエチレンとポリプロピレンの少なくとも一方を含む、請求項1に記載の多層医療包装フィルム。前記第一層が、乱用防止層であり、かつ該乱用防止層が、UV光透過性である、請求項1に記載の多層医療包装フィルム。前記フィルムが、下記順序の層構成: ポリエチレンの層; 前記二酸化塩素生成層; タイ層; 酸素バリア層を含む前記第一層; タイ層;及び 使用頻度の高い層; を有し、かつ任意の追加の層が、上記順序内に配置されることができる、請求項1に記載の多層医療包装フィルム。請求項1に記載の多層医療包装フィルムを含む側壁を含み、かつ該側壁の内面により規定される内部容積を含む医療パッケージ。前記二酸化塩素生成層が、前記側壁の前記内面と近接する、請求項16に記載の医療パッケージ。前記二酸化塩素生成層が、前記側壁の前記内面より小さい表面積を有する、請求項16に記載の医療パッケージ。

说明书全文

関連出願の相互参照 本願は、2015年8月18日に出願された米国特許仮出願第62/206,464号の利益を主張し、米国特許仮出願第62/206,464号の出願は、本願の開示内容と矛盾しない程度まで参照により本明細書に援用される。

分野 本開示内容は、医療機器用包装フィルムからの滅菌ガスの放出に概ね関する。より詳細には、本開示内容は、医療機器用包装からのClO2ガスの制御された放出のための組成物及び方法に関する。

背景 二酸化塩素(ClO2)が、強な酸化剤であり、かつ滅菌剤である。今日では、それは、製紙パルプ産業の漂白プロセスにおいて、また処理用滅菌剤として、主に使用される。また、それは、食物処理、菌・かび燻煙、生体膜処理、さらには、トコムシ及び耐寒性炭疽菌の胞子の処理などの様々な用途において、広範な殺生物剤として有用であることが示された。

したがって、ガス状ClO2を放出できる包装フィルムを生成して、そのフィルムに包まれた医療機器などの製品における微生物の成長を抑制することが好ましいであろう。しかしながら、包装フィルムからのClO2ガス放出のタイミング及び量は、制御が難しいことがある。

ウェリングホフ(Wellinghoff)らは、水分に接触するとClO2ガスを放出するポリマー包装フィルムを考案した(例えば、米国特許第5,360,609号明細書及び米国特許第5,888,528号明細書参照)。米国特許第5,360,609号明細書に記載のシステムにおいて、異なる相(疎水性と親水性)における酸無水物と亜塩素酸塩の混合物は、その無水物が加水分解されて、亜塩素酸塩と反応する酸を生成すると、ClO2を形成することができる。つまり、このシステムは、任意の水源に由来する水分と接触してClO2を生成し、したがって、ClO2生成のタイミングは、制御が難しいことがある。

また、ウェリングホフらは、亜塩素酸アニオンと、露光時にClO2生成を引き起こす光活性化触媒とを含むポリマー組成物を考案した(例えば、米国特許出願公開第2008/0299066号明細書参照)。しかしながら、環境下の可視光への不用意な曝露などを含むポリマーの露光時にはいつでもClO2が生成するので、このシステムにおいてClO2生成のタイミングは、制御が難しい。

より制御されたClO2ガス放出を可能にする医療機器用包装の提供が望まれるであろう。

概要 本明細書において、とりわけ、多層医療機器用包装フィルムに包まれた医療機器を滅菌又は消毒するための制御されたオンデマンドClO2ガス放出を提供する多層医療機器用包装フィルムが、説明される。本明細書において説明される包装は、紫外(UV)光及び水分の両方への曝露時にClO2ガスを放出する。

様々な実施形態では、多層包装フィルムが、本明細書において説明される。多層医療機器包装フィルムは、第一層と二酸化塩素生成層を含む。二酸化塩素生成層は、ポリマー組成物と複数の亜塩素酸イオンを含み、エネルギー活性化された触媒を実質的に含まず、かつ酸放出化合物を実質的に含まない。さらに、本明細書に記載のフィルムは、水分の存在下でのUV露光時に二酸化塩素を放出する。

ここで説明される包装は、ウェリングホフらにより報告されたもの等の既報の二酸化塩素放出フィルムよりも制御されたClO2ガス放出を提供する。なお、ウェリングホフらにより報告されたもの等のような可視光で活性化された光触媒というよりも、UV光の使用を要することにより、本明細書で説明される医療機器包装フィルムは、周囲の可視光への曝露時に、大量の二酸化塩素を放出しない。したがって、ここで説明されるフィルムは、暗中とは反対に、典型的な照射条件下において製造及び保管されることができ、また二酸化塩素の早産なしで多湿条件下において製造及び保管されることができる。このように、酸放出化合物とエネルギー活性化された触媒の一方又は両方を含み、かつ亜塩素酸イオンを時期尚早に枯渇させ得る既報の塩素発生組成物と比較して、本明細書に記載のフィルムが所望の時間で相当量又は有効量の二酸化塩素を放出するという能力は増強される。

本開示内容の対象の追加的な特徴及び利点は、以下の詳細な説明において説明され、部分的には、当業者にとって、その説明から明白であるか、又は以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び図面を含む本開示内容の対象を実施することにより理解されるであろう。

上述の一般的な説明と後述の詳細な説明の両方が、本開示内容の対象の実施形態を示し、かつ権利請求された本開示内容の対象の性質及び特徴を理解するための概観又は構成を提供することを意図する。添付図面は、本開示内容の対象を更に理解するために含められ、本明細書中に援用され、かつ本明細書の一部分を構成する。図面には、本開示内容の対象の原理及び実施を説明するのに役立つ説明とともに、本開示内容の対象の様々な実施形態が示される。なお、図面及び説明は、単に実例を意味するものであり、いかなる態様においても特許請求の範囲を制限する意図ではない。

同様の構造が同様の参照符号で示される図面とともに、本開示内容の特定の実施形態についての以下の詳細な説明を読むと、以下の詳細を最も良く理解することができる。

図1は、多層包装フィルムの実施形態の略断面図である。

図2は、多層包装フィルムの実施形態の略断面図である。

図3は、医療パッケージの実施形態の略断面図である。

図面は、必ずしも縮尺のとおりではない。図中に使用される同様の数字は、同様の要素、工程などを意味する。しかしながら、所定の図中の要素を意味する数字の使用が、同じ数字の付いた別の図中の要素を限定する意図ではないことを理解されたい。

なお、要素を意味する別々の数字の使用は、異なる数字の付いた要素が、他の数字の付いた要素と同じであったり、類似したりすることを制限する意図ではない。

詳細な説明 ここでは本開示内容の対象の様々な実施形態への言及が詳細に行われ、それらのうちの幾つかの実施形態は図面において示される。

フィルムに包まれた医療機器を滅菌又は消毒するためにClO2ガスの制御されたオンデマンド放出を提供する医療機器用包装が、ここに開示される。ここで説明される包装フィルムは、UV光と水分の両方への曝露時にClO2ガスを放出する。そのフィルム又はそのフィルムから形成されたパッケージは、医療機器が包装される製造ラインの条件下で二酸化塩素を発生させるためにUV露光さえあればよくなるように、十分な水分が、採用される製造プロセス又はそのフィルムが保管される環境条件に起因して、そのフィルムに存在することができる。代替的に又は追加的には、フィルムは、UV露光の後に、又はUV露光中に、二酸化塩素の発生のために追加の水源へ曝されることができる。

包装は、第一層と二酸化塩素生成層を含む多層包装フィルムである。二酸化塩素生成層は、ポリマー組成物と複数の亜塩素酸イオンを含む。二酸化塩素生成層は、エネルギー活性化された触媒を実質的に含まず、かつ酸放出化合物を実質的に含まない。

本明細書で使用されるときには、「エネルギー活性化された触媒」は、可視光などの電磁エネルギーによる触媒化合物の活性化の後に、ClO2−のClO2ガスへの酸化に触媒的に作用することができる化合物である。米国特許出願公開第2008/0299066A1号明細書には、エネルギー活性化された触媒としての多数の化合物と多数の種類が列挙されており、それらのうちの幾つかは、電磁エネルギーによる触媒化合物の活性化の後に、ClO2−のClO2ガスへの酸化に触媒的に作用することが可能である。米国特許出願公開第2008/0299066A1号明細書には、エネルギー活性化された触媒の例として、金属酸化物、金属硫化物、金属カルコゲナイト、金属リン化物、金属ヒ化物、非金属半導体、光活性ホモポリアニオン、光活性ヘテロポリアニオン、及びポリマー半導体が列挙されている。ここに記載のフィルムの二酸化塩素生成層は、電磁エネルギー、詳細には可視光による触媒化合物の活性化の後にClO2−のClO2ガスへの酸化に触媒的に作用することができるそれらの化合物を実質的に含まない。

米国特許出願公開第2008/0299066A1号明細書には、ClO2−のClO2ガスへの酸化に触媒的に作用するエネルギー活性化された触媒として二酸化チタンを使用する例が開示される。幾つかの実施形態では、ここに記載の二酸化塩素生成層又はフィルムは、金属酸化物エネルギー活性化触媒を実質的に含まない。幾つかの実施形態では、ここに記載の二酸化塩素生成層又はフィルムは、二酸化チタンを実質的に含まない。

本明細書で使用されるときには、「酸放出化合物」は、水分の存在下で酸及びヒドロニウムイオンを発生させることができる化合物であってヒドロニウムイオンが亜塩素酸イオンと反応してClO2ガスを形成することができるという化合物である。米国特許第6,605,304号明細書には、多数のガス発生用酸放出化合物が列挙され、カルボン酸、エステル、無水物、ハロゲン化アシル、リン酸、リン酸エステル、トリアルキルシリルリン酸エステル、ジアルキルリン酸、スルホン酸、スルホン酸エステル、スルホン酸塩化物、ホスホシリケート、無水ホスホケイ酸、ポリα−ヒドロキシアルコールのカルボキシレート(例えばモノステアリン酸ソルビタン又はモノステアリン酸ソルビトール)、ホスホシロキサン、及び酸放出ワックス(例えばモノステアリン酸プロピレングリコールの酸放出ワックス)が挙げられる。米国特許第6,605,304号明細書には、酸放出化合物として、ポリリン酸塩などの無機酸放出剤も列挙され、テトラアルキルアンモニウムポリホスフェート、一塩基カリウムホスフェート、カリウムポリメタホスフェート、ナトリウムメタホスフェート、ホウ化リン酸塩、アルミノリン酸塩、ケイリン酸塩、ナトリウムポリホスフェート(例えばナトリウムトリポリホスフェート)、カリウムトリポリホスフェート、ナトリウム・カリウムホスフェート、及び亜鉛などの加水分解性金属カチオンを含む塩が挙げられる。ここに記載の幾つかの実施形態では、ここに記載のClO2ガス発生のための二酸化塩素生成層又はフィルムは、そのような化合物を実質的に含まない。

幾つかの実施形態では、ここに記載の二酸化塩素生成層又はフィルムは、無水物を実質的に含まない。幾つかのそのような実施形態では、二酸化塩素生成層は、アルコール、アミド、又はアルコールとアミドを実質的に含まない。

本明細書で使用されるときには、「酸放出化合物を実質的に含まない」とは、二酸化塩素生成層が、酸放出化合物を含まないか、又は2質量%以下の酸放出化合物を含むことを意味する。幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層は、酸放出化合物を含まないか、又は1質量%以下若しくは0.5質量%以下の酸放出化合物を含む。幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層における酸放出化合物:亜塩素酸イオン源(例えば亜塩素酸イオン塩)の(質量)比は、1以下:10である。例えば、酸放出化合物:亜塩素酸イオン源の比は、1以下:20でよく、例えば、1以下:50又は1以下:100でよい。

本明細書で使用されるときには、「エネルギー活性化された触媒を実質的に含まない」とは、二酸化塩素生成層が、エネルギー活性化された触媒を含まないか、又は二酸化塩素生成層の総質量を基準として10質量%未満のエネルギー活性化された触媒を含むことを意味する。幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層は、その層の総質量を基準として5質量%未満、例えば2質量%未満のエネルギー活性化された触媒を含む。幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層におけるエネルギー活性化された触媒:亜塩素酸イオン源(例えば亜塩素酸イオン塩)の(質量)比が、1以下:2である。例えば、エネルギー活性化された触媒:亜塩素酸イオン源の比は、1以下:5でよく、例えば、1以下:10又は1以下:20でよい。

単数又は複数の二酸化塩素生成層以外のフィルムの1つ以上の層が、二酸化塩素生成層よりも多い量でエネルギー活性化された触媒と酸放出化合物の一方又は両方を含んでよい。また、単数又は複数の二酸化塩素生成層以外のフィルムの1つ以上の層は、エネルギー活性化された触媒と酸放出化合物の一方又は両方を実質的に含まなくてよい。

好ましくは、ここに記載の多層医療機器包装フィルムは、フィルムに包まれた医療機器を滅菌又は消毒するのに十分な時間に亘って或る量の二酸化塩素を放出する。好ましくは、そのフィルムは、フィルムに包まれた医療機器を消毒するのに十分な時間に亘って或る量の二酸化塩素を放出する。

本明細書で使用されるときには、「滅菌する」とは、生きた細菌の数を減らすことを意味する。物品が滅菌されているかどうかを決定するために、ClO2ガスへの曝露などの滅菌処理を受けた物品を、滅菌処理を受けなかった対照物品と比較して、細菌負荷が減少したかどうかを決定することができ、もしもそうであるならば、その製品は、滅菌されたことが分かるであろう。代替的には、或る製品の細菌負荷を、その製品が滅菌されたかどうかを決定するための処理の前後で比較してよい。ここに記載の医療機器包装フィルムは、その包装フィルムから形成された包装内に配置された医療機器を滅菌するために任意の適切な量のClO2ガスを放出してよい。例えば、フィルムが、10百万分率(ppm)以上のClO2ガスを、少なくとも部分的にはそのフィルムから形成されたパッケージにより画定される内部容積中へ放出してよい。典型的には、そのフィルムは、医療機器を滅菌するために、50ppm以上のClO2ガスを放出してよい。二酸化塩素の濃度は、パッケージがシールされているならば、追加の二酸化塩素がフィルムから放出されるので、経時的に増加し得る。医療機器を効果的に滅菌するのに必要なClO2ガス量は、一部分においては、機器の性質に応じて決まり得る。なお、医療機器がClO2ガスに曝される時間は、医療機器を滅菌するClO2ガスの能力に影響し得る。幾つかの実施形態では、フィルムは、医療機器を100ppm.時間以上(100ppm/時間以上)のClO2ガスへ曝して医療機器を滅菌するのに十分な時間に亘って或る量のClO2ガスを放出する。例えば、フィルムは、医療機器を滅菌するために、150ppm.時間以上のClO2ガス、又は200ppm.時間以上のClO2ガスを放出してよい。

本明細書で使用されるときには、「消毒する」とは、菌又は他の生物を含まなくさせることを意味する。ここに記載の多層医療機器包装フィルムは、そのフィルムにより形成されたパッケージ内に配置された医療機器を消毒するために任意の適切な量のClO2ガスを放出してよい。例えば、そのフィルムは、200百万分率(ppm)以上のClO2ガスを、少なくとも部分的にはそのフィルムから形成されたパッケージにより画定される内部容積中へ放出してよい。典型的には、組成物が、医療機器を消毒するために500ppm以上のClO2ガスを放出してよい。医療機器を効果的に消毒するのに必要なClO2ガス量は、一部分においては、機器の性質に応じて決まり得る。なお、医療機器がClO2ガスに曝される時間は、その機器を消毒するClO2ガスの能力に影響し得る。幾つかの実施形態では、フィルムは、医療機器を1000ppm.時間以上(1000ppm/時間以上)のClO2ガスに曝してその機器を消毒するのに十分な時間に亘って或る量のClO2ガスを放出する。例えば、フィルムは、医療機器を消毒するために、1500ppm.時間以上のClO2ガス、又は2000ppm.時間以上のClO2ガスを放出してよい。

包装フィルム

多層医療機器包装フィルムは、第一層と二酸化塩素生成層を含む。第一層は、酸素バリア層でよい。

多くの実施形態では、包装フィルムの最内層は、二酸化塩素生成層である。幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層は、フィルムの最内層に最も近く、フィルムの最内層は、最内層を通じた二酸化塩素の送達を可能にする。二酸化塩素生成層のUV照射及び水分への曝露時に、ClO2ガスが放出されて、包装フィルムにより形成されたパッケージ内の医療機器と接触することができる。包装に存在する亜塩素酸イオンの量、包装のUV露光の時間及び量、並びに包装が曝露される水分の時間及び量は、ClO2ガス発生量に影響することがあり、したがって、医療機器がどの程度滅菌されるか、又は医療機器が消毒されるかどうかに影響することがある。

包装フィルムは、任意の適切な数の層を含んでよい。例えば、包装フィルムは、シール層、バリア層、乱用防止外層、中間層、タイ(tie)層などを1つ以上含んでよい。フィルムは、1つ以上の二酸化塩素生成層を含んでよい。

二酸化塩素生成層

二酸化塩素生成層は、複数の亜塩素酸イオンと、ポリマー組成物とを含む。亜塩素酸イオンは、その層に塩の形態で存在してよい。その層は、任意の適切な亜塩素酸塩を含んでよい。亜塩素酸塩は、亜塩素酸アニオンとカチオンの両方を含む。そのカチオンは、無機カチオン又は有機カチオンでよい。例えば、カチオンは、本分野において亜塩素酸塩を形成できることが知られている任意のカチオンでよく、限定されるものではないが、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類イオン、遷移金属イオン、プロトン化した1級アミン、プロトン化した2級アミン、プロトン化した3級アミン、4級アミン、又はそれらの混合物が挙げられる。幾つかの実施形態では、亜塩素酸塩は、亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸カリウムから選択される。二酸化塩素生成層は、1つ以上の亜塩素酸塩を含んでよい。例えば、二酸化塩素生成層は、亜塩素酸ナトリウム及び亜塩素酸カリウムを含んでよい。

二酸化塩素生成層は、任意の適切な量の亜塩素酸塩を含んでよい。亜塩素酸塩の量は、ClO2発生量の制御に役立つように変えることができる。非限定的な例では、亜塩素酸塩の質量%は、例えば、組成物の0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%若しくは70%、又はそれらの間の任意の量である。幾つかの実施形態では、亜塩素酸塩の質量の下限の範囲は、例えば、組成物の質量の0.1%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%又は65%でよく、亜塩素酸塩の質量の上限の範囲は、組成物の質量の15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%又は70%でよい。本開示内容は、これらの下限及び上限の境界値の任意の組み合わせにより規定される全ての質量割合の範囲を伴うものとする。

二酸化塩素生成層は、任意の適切なポリマー組成物を含んでよい。幾つかの実施形態では、その層は、1つ以上のポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体又はポリプロピレンを含む。

二酸化塩素生成層は、任意の適切な形態で存在してよい。例えば、その層は、コーティング層又はフィルム層の形態でよい。二酸化塩素生成層がフィルム層の形態であるならば、フィルム層は、フィルムの1つ以上の他の層と、共押し出しされるか、積層されるか、さもなければ結合されることができる。

二酸化塩素生成層は、任意の適切な厚さを有してよい。幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層がフィルム層の形態であるとき、その層は、25μm以上の厚さを有する。二酸化塩素生成フィルム層が、その層中に、任意の適切な量、例えば上述の量の亜塩素酸イオンを有してよい。幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成フィルム層は、その層の総質量に対して0.1質量%〜25質量%の範囲内の量の亜塩素酸塩を含む。例えば、二酸化塩素生成フィルム層は、その層の総質量に対して5質量%〜20質量%の範囲内の量の亜塩素酸塩を含んでよい。

幾つかの実施形態では、亜塩素酸イオンを含むコーティングを基材層に配置して、基材層に二酸化塩素生成層を形成する。コーティングを、基材層の全面にわたって配置してよく、又は基材層の1つ以上の部分に配置してよい。ClO2ガス発生をClO2ガス発生が望まれる領域のみに導くために、亜塩素酸イオンを含むコーティングは、有利には、基材層の特定の部分へ適用されることができる。そのように導かれたコーティング及びガス発生は、ガス発生が不必要又は好ましくない領域を含む全面に適用されたコーティングと比べて、コストを節約できる。

基材層をコーティングするために、任意の適切なコーティング組成物を使用してよい。例えば、コーティング組成物は、1つ以上の亜塩素酸塩、1つ以上の他の適切なコーティング成分、及び1つ以上の適切な溶媒又は希釈剤を含んでよい。幾つかの実施形態では、1つ以上のコーティング成分は、水溶性又は水分散性である。

適切なコーティング成分は、その品物を基材層にコーティングした後に基材層上に亜塩素酸イオンを保持する材料を含んでよい。幾つかの実施形態では、コーティング組成物は、被コーティング基材層と親和性があるポリマー又は樹脂を含む。コーティングの乾燥又は硬化時に、コーティングは、好ましくは、基材層に付着する。

コーティング組成物は、任意の適切なポリマーを含んでよい。幾つかの実施形態では、コーティング組成物は、1つ以上のポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、又はポリプロピレンを含む。

コーティング組成物は、任意の適切な量、例えば上述の量の亜塩素酸イオンを含んでよい。幾つかの実施形態では、亜塩素酸イオンは、塩に存在し、その塩は、二酸化塩素生成層の総質量に対して0.1質量%〜30質量%の範囲内の量で存在する。例えば、その塩は、二酸化塩素生成層の総質量に対して10質量%〜20質量%の範囲内の量で存在してよい。

コーティング組成物を任意の適切な態様で適用してよい。例えば、被コーティング基材層をコーティング組成物にディッピングしてよく、又は基材層の表面にコーティング組成物をスプレーするか、圧延するか、印刷するか、若しくは堆積させてよい。幾つかの実施形態では、基材層の表面の特定の部分をコーティングするために、又は未コーティング基材層の特定部分を残すために、コーティングをパターン塗工する。

ヒートシール層

ここに記載のフィルムは、ヒートシール層を含んでよい。用語「ヒートシール層」及び「シール層」は、相互変換的に使用されるものであり、フィルム品位を損なうことなく、隣接するフィルム接触面への伝導、及びそれらの間の付着界面の形成のために、少なくとも1つのフィルム接触面上に十分な熱を発生させる従来の非接触加熱手段により融着可能な層を意味する。隣接する複数の内層の間の付着界面は、好ましくは、包装プロセス及びその後の取り扱いに耐えるのに十分な物理的強度を有する。

幾つかの実施形態では、ヒートシール層は、ポリオレフィンを含む。「ポリオレフィン」は、ここでは広い意味で使用されており、ポリマー類、例えば、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体(EAO)、ポリプロピレン、ポリブテン、過半数の質量のエチレンとより少量のコモノマー(例えば酢酸ビニル)が重合したエチレン系共重合体、及び「オレフィン」分類に属する他の高分子樹脂を含む。ポリオレフィンは、単一、多段又は逐次反応器を用いるバッチ又は連続法;スラリー、溶液及び流動床法;並びに1つ以上の触媒、例えば、不均質系及び均質系、チーグラー、フィリップス及びメタロセン、異なる性質の組み合わせを有するポリマーを生成するシングルサイト及びジオメトリ拘束型触媒などを含む本分野で周知の様々な方法により形成されることができる。そのようなポリマーは、高度に分岐するか、又は実質的に線状でよく、その分岐度、分散度及び平均分子量は、ポリマー分野の教示に従ってそれらの製造のために選択されるパラメータ及びプロセスに応じて、変えることができる。

幾つかの実施形態では、ヒートシール層は、環状オレフィンコポリマー(COC)、例えば、エチレン−ノルボルネン共重合体を含む。

幾つかの実施形態では、ヒートシール層は、1つ以上のポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、又はポリプロピレンを含む。

幾つかの実施形態では、シール層は、適切な又は所望の性質を得るために、複数のポリマーのブレンドを含む。

様々な実施形態では、シール層は、ヒートシール時に密封されたパッケージの形成を促進することができる。

幾つかの実施形態では、シール層は、フィルムをUV光及び水分に曝すときにClO2ガスを発生させることができる二酸化塩素生成層である。シール層は、パッケージの最内層を形成することができ、したがって、ClO2ガス発生のために亜塩素酸イオンを、フィルムに包まれた物品又はフィルムに包まれることになる物品と近接させて、有利に配置することができる。シール層は、任意の適切な量の亜塩素酸イオンを含んでよい。しかしながら、亜塩素酸イオンの量が、例えば亜塩素酸塩の形態で、増加することは、その層のシール能力を阻害することがある。典型的には、ヒートシール層は、約70質量%未満、例えば50%以下、30%以下、20%以下又は10%以下の亜塩素酸塩を含み得る。幾つかの実施形態では、ヒートシール層は、その層の総質量に対して0.1質量%〜25質量%の範囲内の量の亜塩素酸塩を含む。例えば、ヒートシール層は、その層の総質量に対して5質量%〜20質量%の範囲内の量の亜塩素酸塩を含む。

シール層は、任意の適切な厚さを有してよい。幾つかの実施形態では、シール層は、25μm以上の厚さを有する。

亜塩素酸イオンがシール層又は別の層に分配されるのであれば、層を形成する単数又は複数のポリマーは、好ましくは、UV照射光を透過する(例えば、UV光の少なくとも50%が、シール層を形成するポリマーを透過することができる)。しかしながら、ポリマーが特にUV光透過性ではないならば、レーザーで曝露するUV放射の強度を増やして、亜塩素酸イオンを十分なUV放射線に曝すことができる。追加的に又は代替的に、層厚を減らして、十分な放射線が通過し、かつ/又は層中の亜塩素酸イオン濃度が増加できる層厚の割合を増やしてよい。

幾つかの実施形態では、亜塩素酸イオンを含むコーティングをヒートシール層に配置して、ヒートシール層に二酸化塩素生成層を形成する。コーティングは、シール層の全面にわたって配置されることができ、又はシール層の1つ以上の部分に配置されることができる。例えば、コーティングを、ヒートシールに関与しないシール層部分に適用してよい。したがって、亜塩素酸イオンの存在は、例えば亜塩素酸塩の形態では、ヒートシール層のヒートシール性に悪影響を及ぼさないであろう。

バリア層

ここに記載の包装フィルムは、1つ以上のバリア層を含んでよい。含まれるのであれば、バリア層は、好ましくは、ガスバリア層と防湿バリア層の両方として機能するが、これらの機能は、個別の層により提供されてもよい。ガスバリア層は、好ましくは、酸素バリア層であり、好ましくは、表層同士の間に位置して保護されるコア層である。例えば、酸素バリア層は、第一表層及び接着層と接することができ、又は2つのタイ層間、2つの表層間、若しくはタイ層と表層の間に挟まれることができる。

好ましくは、二酸化塩素バリア又は酸素バリアなどのガスバリアが、望ましくない劣化又は例えば酸化的プロセスから、シール包装に入れられた医療機器を保護するために、十分に減らしたガス透過性を提供するように選択される。例えば、フィルムが、そのフィルムに包まれることになる医療機器の酸化を抑制するのに十分なほど低い酸素透過性を有する酸素バリアを含んでよい。幾つかの実施形態では、多層包装フィルムは、1atm及び23℃で150cm3/m2/24時間未満の酸素透過速度(O2TR)、例えば、1atmで24時間当たり10cm3/m2未満を有し得る。酸素感受性物品を酸素接触に由来する劣化から経時的に防ぐために、フィルムは、1atm及び23℃で24時間当たり、1cm3/m2未満、例えば、0.1cm3/m2未満、0.01cm3/m2未満、又は0.001cm3/m2未満のO2TRを有してよい。

好ましくは、防湿バリアが、望ましくない劣化から、シール包装に入れられた物品を防ぐために、十分に減らした透湿性を提供するように選択される。例えば、フィルムが、医療機器などの包装物品への悪影響を抑制するほど十分に低い透湿性を有する水バリアを含んでよい。様々な実施形態に係る好ましいフィルムが、38℃及び90%RHで24時間当たり15g/m2未満の水蒸気透過速度(WVTR)を有し得る。幾つかの実施形態では、フィルムが、38℃及び90%RHで24時間当たり、1g/m2未満、0.1g/m2未満、又は0.01g/m2未満のWVTRを有する。

バリア層が、任意の適切な材料を含んでよく、任意の適切な厚さを有してよい。ガスバリア層が、当業者にとって既知のとおり、ポリビニルアルコール(PVOH)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアミド、ポリエステル、ポリアルキレンカーボネート、ポリアクリロニトリル、ナノコンポジット、金属化フィルム(例えばアルミニウム蒸着ポリオレフィン)などを含むことができる。適切な防湿バリア層は、当業者にとって既知のとおり、アルミ箔、PVDC、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)のようなフルオロポリマー、ポリオレフィン(例えば、HDPE、LLDPE及び環状オレフィンコポリマー(COC)など)、及び金属化フィルム(例えば、アルミニウム蒸着ポリオレフィンなど)を含む。バリア層の厚さは、例えば、酸素透過性、水蒸気透過性、耐剥離性などについて、要求される性能品質の好ましい組み合わせを提供するように選択されることが好ましい。

剛性若しくはヒートシール性などの追加の機能性を提供するために、又は機械特性、経済性、可撓性、バリア性などを改良するために、バルク層を提供してよい。好ましいバルク層は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体(EAO)、ポリプロピレン、ポリブテン、過半数の質量のエチレンとより少量のコモノマー(例えば酢酸ビニル)が重合したエチレン系共重合体、及び「オレフィン」分類に属する他の高分子樹脂を1つ以上含む。バルク層は、任意の適切な厚さでよく、さらには特定の用途において省略されることができる。

フィルムが防湿バリアを含むならば、フィルムの二酸化塩素生成層(例えば、亜塩素酸イオン含有シール層又はコーティング層)が、ClO2ガス放出に十分な水分に曝されることができるように注意を要することがある。幾つかの実施形態では、包装製造ラインの雰囲気は、亜塩素酸塩含有層が水分に十分に曝されるように制御されることができる。幾つかの実施形態では、包装は、三辺の閉じたバッグの形態でよく、物品(例えば、食品、医薬製品、医療機器、又は他の製品)が、そのバック内の物品をシールするための第四辺の最終シールの前にバッグ内に入れられる。三辺の閉じたバッグ内に製品がある間、バッグをフラッシュするために、及び最終シール前にClO2ガス発生のために十分な水分を提供するために、湿った気体、例えば窒素含有スチーム又は熱水の流れを使用してよい。幾つかの実施形態では、包装フィルムを、包装のために稼働させる前に多湿環境に保管してよい。

乱用防止外層

ここに記載のフィルムは、外層を含んでよい。使用者/消費者にとって明らかであることから、単層と多層の両方の実施形態では、好ましくは、フィルムの外面は、所望の光学特性を有し、高光沢でよい。また、それは、好ましくは、鋭利な物体との接触に耐え、耐摩耗性を提供し、このような理由から、乱用防止層と呼ばれることがある。また、この外側の乱用防止層は、ヒートシール性層としての使用又は不使用を問わず、したがって、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの適切なヒートシールポリマーを1つ以上含んでよい。フィルムの外面層として、この層は、常用され、また任意のパッケージ、バッグ、袋又は他のフィルム製容器の外層でよく、したがって、例えば、包装中の設備、並びに輸送及び保管中の他の容器、輸送容器及び保管棚との摩擦などに由来する取り扱い及び乱用に供される。

外面層は、機械加工し易いものである(すなわち、例えば、搬送、包装、印刷のために、又はフィルム若しくはバッグ製造プロセスの一部として、機械を通り易く、かつ機械で操作され易いものである)。また、適切な剛性、可撓性、曲げ割れ耐性、弾性、引張強度、摩擦係数、印刷性、及び光学特性が、適切な材料選定によって外層中へ頻繁に設計される。また、この層は、例えばインパルスシール機による燃焼に耐性を有し得る所望のヒートシールを作り出すために適した特徴を有するように選択されることができ、又は例えば、オーバーラップシールを用いる特定のパッケージの実施形態において、ヒートシール面として使用されることができる。

適切な外面層は、紙、配向ポリエステル、非晶質ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、キャスト若しくは配向ナイロン、ポリプロピレン、又は共重合体、又はそれらのブレンドを含んでよい。この層又は他の層の配向フィルムは、単軸又は二軸配向のいずれかでよい。外層の厚さは、典型的には0.5〜2.0ミルである。より薄い層は、乱用防止にとってそれほど有効ではないかもしれないが、より厚い層は、より高価であるにもかかわらず、独特な高い突刺耐性及び/又は乱用耐性を有するフィルムの製造に有利に使用されることができる。

幾つかの実施形態では、乱用防止層は、UV透過性である。

中間層

ここに記載の包装フィルムは、中間層を含んでよい。中間層は、外層と内層の間の任意の層であり、酸素バリア層、タイ層、又はフィルム構造及びその用途に有用な機能属性を有する層を含んでよい。中間層は、多数の特徴:例えば、トラップ印刷構造体のための印刷性、機械加工性、引張性、可撓性、剛性、弾性、剥離設計、易開封性、引き裂き性、強度、伸長、光学性、防湿バリア、酸素若しくは他のガスのバリア、放射選択、又は例えば紫外波長に対するバリアなどを向上、付与又は改良するために使用されることができる。適切な中間層は、接着剤、接着ポリマー、紙、配向ポリエステル、非晶質ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ナイロン、ポリプロピレン、又は共重合体、又はそれらのブレンドを含んでよい。適切なポリオレフィンは、ポリエチレン、エチレン−α−オレフィン共重合体(EAO)、ポリプロピレン、ポリブテン、過半数の質量のエチレンとより少量のコモノマー(例えば酢酸ビニル)が重合したエチレン系共重合体、及び「オレフィン」分類に属する他の高分子樹脂、例えばLDPE、HDPE、LLDPE、EAO、アイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、変性ポリオレフィン(例えば、グラフト化エチレンポリマー無水物)などを含んでよい。

タイ層

ここに記載のフィルムが、本分野では「タイ層」としても知られる接着層を1つ以上含んでよく、タイ層は、多層フィルムにおいて隣接する複数の層を互いに接着させることを促進するために、及び望ましくない剥離を抑制するために選択されることができる。好ましくは、多機能層が、その層中の材料の第一及び第二層への親和性のために、個別の接着剤を使用する必要なく、1つの層を別の層に接着させるのに役立つように配合される。幾つかの実施形態では、接着層は、第一及び第二層の両方にある材料を含む。接着層は、適切には、多層フィルムの全厚の10%未満、好ましくは2%〜10%でよい。

多層フィルムが、任意の適切な組成物から成る任意の適切な数のタイ又は接着層を含むことができる。様々な接着層が、タイ層と接する層の組成に従って、フィルムの特定の複数の層の間に、所望の接着性の水準を提供するために配合及び配置される。

内層、外層、中間層又はタイ層は、任意の適切な熱可塑性材料、例えば、ポリアミド、ポリスチレン、スチレン系共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン共重合体)、ポリオレフィン、より詳細には、ポリエチレン類の一種(例えば、LLDPE、VLDPE、HDPE、LDPE、COC、エチレン−ビニルエステル共重合体若しくはエチレン−アルキルアクリレート共重合体)、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、アイオノマー、ポリブチレン、α−オレフィン共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド、無水物変性ポリマー、アクリレート変性ポリマー、ポリ乳酸ポリマー、又はこれらの材料の2つ以上の様々なブレンドで形成されることができる。

層への任意の添加剤

外層、内層、中間層又はタイ層を含む包装のうちで、これらの層の1つ以上に利用されるポリマーには、様々な添加剤を含有させてよい。例えば、粘着防止パウダーで層をコーティングしてよい。また、従来の酸化防止剤、粘着防止添加剤、高分子可塑剤、酸、水分若しくはガス(例えば酸素)補足剤、スリップ剤、着色剤、染料、顔料、感覚刺激剤等を、フィルムの1つ以上の層に添加してよく、又はそのような添加成分を含まなくてよい。

反射層

包装フィルムは、UV光を反射する層を1つ以上含んでよい。そのような層に適切な材料の例としては、金属油、又は真空で金属化された若しくはスパッタリングされた層のような堆積物が挙げられる。反射層は、金属フレークのような反射性粒子がポリマー結着剤に分散しているコーティングとして適用され得る。そのフィルムは、UV露光時に二酸化塩素生成層が反射層とUV源の間に位置するように構成されることができる。幾つかのそのような実施形態では、単数又は複数の反射層が、ポリマーフィルムと接触する。反射層は、フィルム内に分散した(例えば、シール層、又はシール層上に配置されたコーティング内に分散した)亜塩素酸塩のUV露光を増やすことにより収率を最大化するように、光学的に設計されることができる。

フィルムの1つ以上の層のポリマー又は添加剤がUV光を透過させない(例えば、UV光の50%超の送達遮断)か、又はUV光を反射しない場合には、ClO2ガス発生のために十分な量のUV放射に二酸化塩素生成層(例えば、シール層、又はシール層上に配置されたコーティング)を曝すことができるように注意を要することがある。幾つかの実施形態では、ClO2ガス発生のために十分なUV放射に二酸化塩素生成層を確実に供するために、包装の最終シール前に、包装フィルムをUV露光させる。例えば、包装製造ラインは、二酸化塩素生成層のインラインUV照射を可能にするために適切なUV放射源を備えることができる。

製造方法

ここに記載の包装フィルムは、任意の適切な態様で、例えば従来法によって、形成されることができる。フレキシブルフィルムの製造方法は、例えば、キャスト若しくはインフレーションフィルム法、又は押出法を含んでよい。

パッケージが、任意の適切な態様でフィルムから形成されることができる。幾つかの実施形態では、パッケージは、フィルムそのものをヒートシールすることにより、又はそのフィルムを別の適切なフィルムとヒートシールすることにより形成される。幾つかの実施形態では、袋などのパッケージを熱成形する。幾つかの実施形態では、フィルムは、容器の開口を横切ってヒートシールされる。

フィルム厚

ここに記載の包装フィルムは、任意の適切な厚さを有してよい。幾つかの実施形態では、包装フィルムは、約50ミル未満の全厚を有し、より好ましくは、フィルムは、約1.0〜10ミル(25〜250ミクロン(μm))の全厚を有し、例えば、約1〜5ミル、又は約2〜3.5ミルの全厚を有する。例えば、多層フィルム全体又は多層フィルムの任意の単一層が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10若しくは50ミル、又はそれらの間の0.1若しくは0.01ミル刻みの任意の増分などを含む任意の適切な厚さを有することができる。

幾つかの実施形態では、包装フィルムは、50ミル(1270ミクロン)以上と同程度に厚いか、又は1ミル(25.4ミクロン)以下と同程度に薄い。様々な実施形態では、包装フィルムは、約2〜4ミル(51〜102ミクロン)の厚さを有する。

引き裂き補助要素又は引き裂き開始部品

シール包装内に物品を含む包装物品は、ノッチなどの引き裂き補助要素又は引き裂き開始部品を含んでよい。引き裂き補助要素又は引き裂き開始部品の例としては、ノッチ、スリット、ミシン目、粗面化部などである。そのような引き裂き開始部品は、袋のようなパッケージの単数又は複数の端において使用されることができる。

有利には、開封を促進する引き裂き用ラインを形成するために、引き裂き開始部品は、折目付けによって、例えば、1つ以上の層の、好ましくは他の乱用防止層の機械又はレーザー折目付けによって使用されることができる。

多層フィルムの実施形態の例

幾つかの実施形態では、多層医療包装フィルムは、第一層と、二酸化塩素生成層とを含む。二酸化塩素生成層は、ポリマー組成物と、複数の亜塩素酸イオンとを含む。二酸化塩素生成層は、エネルギー活性化された触媒を実質的に含まず、かつ酸放出化合物を実質的に含まない。幾つかの実施形態では、複数の亜塩素酸イオンは、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム、及びそれらの混合物から成る群から選択される塩に存在する。幾つかの実施形態では、第一層は、アルミ箔、金属コーティングされたポリマー、金属酸化物コーティングされたポリマー、又は芳香族ポリアミドポリマーを含む酸素バリア層である。幾つかの実施形態では、第一層は、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン共重合体、又は脂肪族ポリアミドを含む酸素バリア層である。幾つかの実施形態では、第一層は、二酸化塩素生成層と近接する外層であり、その外層は、ポリエチレンとポリプロピレンの少なくとも一方を含む。幾つかの実施形態では、第一層は、乱用防止層であり、その乱用防止層は、UV光透過性である。

幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層は、15μm未満の厚さを有するコーティングである。幾つかの実施形態では、コーティングは、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−α−オレフィン、及びポリプロピレンの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、コーティングは、二酸化塩素生成層の総質量に対して0.1質量%〜30質量%の範囲内の量の亜塩素酸塩を含む。例えば、コーティングは、二酸化塩素生成層の総質量に対して10質量%〜20質量%の範囲内の量の亜塩素酸塩を含む。

幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層は、少なくとも25μmの厚さを有する。そのような実施形態では、ポリマー組成物は、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−α−オレフィン、及びポリプロピレンの少なくとも1つを含んでよい。上記の複数の亜塩素酸イオンは、塩に存在してよく、その塩は、二酸化塩素生成層の総質量に対して0.1質量%〜25質量%の範囲内の量、例えば、二酸化塩素生成層の総質量に対して5質量%〜20質量%の範囲内の量で存在してよい。

幾つかの実施形態では、医療パッケージは、多層医療包装フィルムを含む側壁を含む。医療パッケージは、側壁の内面により規定される内部容積を含む。幾つかの実施形態では、二酸化塩素生成層は、側壁の内面に近接する。

幾つかの実施形態では、多層医療包装フィルムは、下記の順序の層構成: (i)ポリエチレンの層; (ii)二酸化塩素生成層; (iii)タイ層; (iv)酸素バリア層を含む第一層; (v)タイ層;及び (vi)使用頻度の高い層(abuse layer) を有する。そのフィルムは、所望により、上記順序内に配置される追加の層を有してもよい。

図1を参照すると、多層医療包装フィルム100が示される。フィルム100は、第一層10を含み、第一層10は、(図示されるとおり)外層でよいが、内層又は内外層間にある層になることもできる。また、フィルム100は、ポリマー組成物と亜塩素酸イオンを含む二酸化塩素生成層20を含む。二酸化塩素生成層20は、フィルム層又はコーティング層でよい。図示されたフィルム100は、任意的な介在層32、34、36及び38を含む。

図2を参照すると、多層医療包装フィルム100が示される。フィルム100は、下記順序で: ポリエチレンの層60; 二酸化塩素生成層20; タイ層50; 酸素バリア層を含む第一層10; タイ層30;及び 使用頻度の高い層40 を含む。フィルム100は、任意の介在層(図示せず)を含んでよい

図3を参照すると、医療パッケージ200が示される。図示されたパッケージ200は、パッケージの内部容積210を少なくとも部分的に規定する第一側壁222、第二側壁224、第三側壁226、及び第四側壁228を含む。第一側壁222は、二酸化塩素生成層を含む多層包装フィルム100を含む。他の側壁224、226及び228は、二酸化塩素生成層を有する多層包装フィルムの含有の有無を問わない。

包装製品

任意の適切な医療機器は、ここに記載の多層包装フィルムを含むパッケージ内に配置されることができる。例えば、カテーテル、例示すると、バルーン拡張カテーテル、ガイドカテーテル、吸引カテーテル、及び診断カテーテル;バキュテイナー(vacutainers);ヤンカウアー(yankauers);経腸栄養法キット;ドレッシングガウン及びドレープ; 冠状動脈ステント;手術ツール及び設備;又はこれらの類似品などが、ここに記載のシールされたパッケージ内に配置されることができる。好ましくは、包装は、UV光及び水分への曝露後に医療機器を消毒するのに十分な時間に亘って十分な量のClO2ガスを発生させる。

ガス発生

ここに記載のフィルム、パッケージ又は包装製品は、任意の適切な態様でUV放射及び水分へ曝されて、(単数又は複数の)二酸化塩素生成層から二酸化塩素を発生させることができる。そのフィルムは、ClO2を放出するために、最初に水分へ次にUV光へ、最初にUV光へ次に水分へ、又は同時にUV光と水分へ曝されることができる。十分な水分は、例えば、フィルムを生産するために使用される製造プロセス、又は環境条件のために、フィルム又はパッケージがClO2を生成するにはUV光に曝されさえすればよくなるように、フィルム内に又はフィルムから形成されたパッケージ内に存在してよい。

幾つかの実施形態では、フィルム、パッケージ又は包装製品は、最初にUV光へ曝され、その後に水分へ曝されて、二酸化塩素を発生させる。事前にUV露光されたフィルム、パッケージ又は包装された医療機器は、二酸化塩素を発生させるために、任意の適切な水分源へ曝されることができる。例えば、そのフィルム、パッケージ又は包装製品は、水蒸気又は加湿ガスへ曝されることができる。

ここに記載のフィルムから発生したClO2の量は、例えば、紫外光の波長及び露光時間、存在する水蒸気(水分)の量、組成物中の亜塩素酸塩の濃度、又は貯蔵期間の長さを変えることにより、調節されることができる。

幾つかの実施形態では、UV光は、約200nm〜400nmの範囲内の波長を有する。幾つかのそのような実施形態では、UV光は、約230nm〜320nmの範囲内の波長を有する。幾つかのそのような実施形態では、UV光は、約240nm〜280nmの範囲内の波長を有する。好ましくは、UV光は、254nmの波長を有する光を含む。

幾つかの実施形態では、包装機器、パッケージ又はフィルムは、10ミリ秒以上の期間に亘ってUV光へ曝される。幾つかのそのような実施形態では、包装機器、パッケージ又はフィルムは、10秒以上の期間に亘ってUV光へ曝される。幾つかのそのような実施形態では、包装機器、パッケージ又はフィルムは、10分以上の期間に亘ってUV光へ曝される。

幾つかの実施形態では、包装機器、パッケージ又はフィルムを紫外光へ曝露する工程は、1回以上繰り返されることができ、その後に包装機器、パッケージ又はフィルムを水分と接触させてClO2ガスを発生させる工程を行うことができる。

幾つかの実施形態では、包装機器、パッケージ又はフィルムは、加湿ガスへ曝される。加湿ガスは、任意の適切な相対湿度を有してよい。例えば、加湿ガスの相対湿度は、約1%〜100%の範囲内でよい。幾つかのそのような実施形態では、加湿ガスの相対湿度は、約20%〜100%の範囲内でよい。幾つかのそのような実施形態では、加湿ガスの相対湿度は、約60%〜100%の範囲内でよい。幾つかのそのような実施形態では、加湿ガスの相対湿度は、約75%〜100%の範囲内でよい。

幾つかの実施形態では、(a)二酸化塩素生成層を含む包装機器、パッケージ又はフィルムをUV光へ曝露する工程;及び(b)その後に包装機器、パッケージ又はフィルムを水分と接触させる工程が、介在する保管時間によって区別される。幾つかのそのような実施形態では、介在する保管時間は、約1分〜約2日の範囲内である。幾つかのそのような実施形態では、保管時間は、約1時間〜約1日の範囲内である。

幾つかの実施形態では、上記の方法は、包装機器、パッケージ又はフィルムのUV露光前に、二酸化塩素生成層を含む包装機器、パッケージ又はフィルムを乾燥させる工程をさらに含む。幾つかのそのような実施形態では、包装機器又はフィルムを乾燥させる工程は、包装機器、パッケージ又はフィルムを乾性ガスと接触させるか、又は乾燥機器に供することにより行われる。

幾つかの実施形態では、上記の方法は、包装機器、パッケージ又はフィルムを加熱する工程をさらに含む。

幾つかの実施形態では、ClO2ガスの発生方法は、(a)二酸化塩素生成層を含む包装機器、パッケージ又はフィルムを紫外(UV)光へ曝露する工程;及び(b)その後に包装機器、パッケージ又はフィルムを水分へ曝露して、それによりClO2ガスを発生させる工程を含む。代替的には、上記の方法は、(a)二酸化塩素生成層を含む包装機器、パッケージ又はフィルムを水分へ曝露する工程;及び(b)その後に包装機器、パッケージ又はフィルムを紫外(UV)光へ曝露する工程を含む。所望により、これらの工程を1回以上繰り返して、追加量のClO2ガスを発生させてよい。

本明細書及び特許請求の範囲において使用されるときに、他の内容を明確に言及しない限り、単数形は複数形を含むものである。同様に、用語「単数(1つ)」、「1つ以上」及び「少なくとも1つ」は、本明細書では使用されるときに相互変換可能である。用語「含む」、「備える」及び「有する」は、相互変換可能である。

特に言及しない限り、本明細書で使用される技術及び科学用語の全ては、本発明の属する分野の当業者にとって通常理解されるような同じ意味を有する。本明細書で具体的に言及される刊行物及び特許の全ては、あらゆる目的で参照により援用される。

以下の実施例は、説明を目的として提供されるものにすぎず、本発明の範囲を多少なりとも限定する意図ではない。実際に、ここで示されて記載されたものに加えて、本発明の様々な改良が、前述の説明及び後述の実施例から当業者にとって明らかになり得るし、特許請求の範囲内に属し得る。

エネルギー活性化された触媒量の変更

等量の二酸化チタン(99.1%のTiO2;シグマ−アルドリッチ社、ミズーリ州、セント・ルイス)と亜塩素酸ナトリウム(工業銘柄;80%のNaClO2;シグマ−アルドリッチ社、ミズーリ州、セント・ルイス)を混合して水に懸濁させ、その後、大半の水が蒸発するまで、蓋の開いた容器に残した。可視又はUV光源へ曝露することなく、完全な暗所において、それらの試料を蒸発濃縮させた(しかしながら乾燥させなかった)。類似する複数のブレンドを、亜塩素酸ナトリウム:二酸化チタンの比が2:1、10:1、20:1、及び65:1であるように作製した。試験のために、それらのブレンドの個別の試料を体積20mLの小型ガラス製瓶に置き、密封した。密封後、それらの瓶をコンパクト蛍光灯源へ約4.5時間に亘って曝露した。ClO2検出器(PortaSensII、アナリティカル・テクノロジー社、ペンシルベニア州、カレッジビル)を使用して、発生したガスの濃度を測定した(表1の結果参照)。その後、それらの試料をUV光源(254nm、スペクトロリンカー(Spectrolinker))へ15秒間曝露した。再び、それらの瓶中のClO2濃度を測定して、表1に示す。

自己消毒袋 例1

亜塩素酸ナトリウム(工業銘柄;80%のNaClO2;シグマ−アルドリッチ社、ミズーリ州、セント・ルイス)35質量%水溶液を調製し、50mm共回転二軸押出機を用いて、ExxonMobil EXACT(登録商標)3040(エチレン−ヘキセン共重合体;密度=0.900g/cm3;メルトインデックス=17dg/分; エクソンモービル・ケミカル社、テキサス州、ベイタウン)の樹脂ペレット中へ調合した。得られた樹脂は、7.4質量%の亜塩素酸ナトリウム含有量であった。

3層フラットダイ押出装置を用いて、溶融押出プロセスを介して、亜塩素酸ナトリウム含有樹脂をキャストしてフィルムにした。EVOH層とLDPE層を下記のように調整して、それらの層を同時に共押出プロセスにおいて亜塩素酸ナトリウム含有樹脂とともに押し出して、25cm幅の3層シートを形成した: 1.5ミルLDPE/1.5ミルEVOH/1ミルLLDPE亜塩素酸ナトリウム また、EVA(デュポンElvax(登録商標)3124EVA)の単層フィルムを複数調製した。これらには、亜塩素酸ナトリウムが含まれなかった。

内側に亜塩素酸ナトリウム含有樹脂層を有するように折り畳まれたフィルム試料(30cm長、15cm幅)の2つの端部をヒートシールすることにより上記フィルムから複数の自己消毒袋を形成した。1.3×106の細菌胞子(Bacillus atrophaeus)を含むセルフコンテインドBI(SCBI)(NAMSA社、オハイオ州、ノースウッド)を袋に入れ、ヒートシールして、密封パッケージを完成させた。幾つかの袋には、追加の水分を提供するために0.2mlの水が含まれた。幾つかのSCBIをアルミ箔で覆って、それらをUV光から保護した。袋の幾つかを低RH環境下で調節して、フィルムから残留水分を除去した。カールフィッシャー反応(ヨウ素と水の反応)を用いるプラスチック中の水分の電量及び体積決定についてASTM法D6869−03(2011)標準試験方法を用いて、フィルムが、残留水分の除去前に4,000ppm超の水分量を、残留水分の除去後には500ppm未満の水分量を有することを確認した。箔の有無に関する変化から、UV光そのものは、SCBI中の細菌胞子に影響していないことが検証された。各袋をスペクトロリンカー(Spectrolinker)XL−1500(6つのPhillips G15T8低圧水銀ランプ内蔵;0.66W/cm/電球;スペクトロニクス(Spectronics)社、ニューヨーク州、ウェストバリー)内で180秒(各面90秒ずつ)に亘ってUV露光することによって、SCBIを含む複数の袋を計675μJ/cm2のUV放射(λ:254nm)へ曝露した。それらの袋をラミナーフード内で夜間に培養した。SCBIを取り出し、それらの蓋を押すことにより「活性化」し、それにより、内部の培養器含有アンプルを壊した。それらを35℃で培養して、48時間後に緑色から黄色への変色について評価した。黄色への変色は、生存している細菌胞子の成長により起きるpH変化を示す。緑色は、細菌胞子が生存していないことを示す。表2に、試験された試料と結果をまとめる。

自己消毒袋 例2

自己消毒袋の例1に記載のものと同じ手順を用いて、亜塩素酸ナトリウム含有樹脂及びフィルムを作製した。得られたフィルムは、1.5ミルLDPE/1.5ミルEVOH/1.5ミル亜塩素酸ナトリウム(16質量%)含有LLDPEの構造を有した。

内側に亜塩素酸ナトリウム含有樹脂層を有するように折り畳まれたフィルム試料(30cm長、15cm幅)の2つの端部をヒートシールすることにより上記フィルムから複数の自己消毒袋を形成した。これらの袋を高湿環境(35℃、80%RH)下に約12時間置いた。セルフコンテインドBI(SCBI)をバキュテイナー(患者から所定量の血液を採取するために使用される硬質プラスチック製小型機器)とともに対象の袋に入れ、ヒートシールして、密封パッケージを完成させた。袋を254nmのUVへ180秒間に亘って曝露した。袋の切開時に、ClO2ガス警報検出器を使用して、なんらかのClO2がパッケージ内に残っているかどうかを判別した。

UVと水分への曝露後、アンプル破壊と培養の後に緑色を呈したので、バキュテイナーを含む袋内のSCBIが(3回の再現で)消毒された。また、24時間後に(バキュテイナーの有無にかかわらず)全ての袋を開けたときに、残存ClO2を測定したところ、(バキュテイナーの有無にかかわらず)全ての袋において約0.14ppmであった。

本明細書で特に言及された刊行物及び特許は、いかなる目的においても参照により援用される。当業者は、もはや反復実験を用いることなく、ここに記載の特定の材料及び方法に対する多数の均等物及び均等方法を理解又は確認し得る。そのような均等は、本発明の範囲内にあると見なされ、かつ特許請求の範囲に包含される。

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