半導体デバイスの製造方法

申请号 JP2014530853 申请日 2014-03-14 公开(公告)号 JP5610328B1 公开(公告)日 2014-10-22
申请人 富士電機株式会社; 发明人 正明 立岡; 正明 立岡; 中嶋 経宏; 経宏 中嶋;
摘要 1000℃程度の高温プロセスに適用可能な半導体ウエハに支持 基板 を接着する方法を用いた半導体デバイスの製造方法を提供すること。半導体デバイスの製造方法であって、セラミック接着剤層およびマスクを介して、半導体ウエハの裏面に支持基板を接合して接合体とする裏面接合工程と、前記半導体ウエハのおもて面に機能構造を形成する機能構造形成工程と、前記セラミック接着剤層および前記マスクを除去して前記支持基板を前記半導体ウエハから剥離する剥離工程と、前記半導体ウエハの裏面に裏面処理をする裏面処理工程とを少なくとも含む半導体デバイスの製造方法。
权利要求
  • セラミック接着剤層およびマスクを介して、半導体ウエハの裏面に支持基板を接合して接合体とする裏面接合工程と、
    前記半導体ウエハのおもて面に機能構造を形成する機能構造形成工程と、
    前記セラミック接着剤層および前記マスクを除去して前記支持基板を前記半導体ウエハから剥離する剥離工程と、
    前記半導体ウエハの裏面に裏面処理をする裏面処理工程と を含む半導体デバイスの製造方法。
  • 前記剥離工程は、前記半導体ウエハと前記支持基板との前記接合体を水洗して、前記マスクおよび前記セラミック接着剤層を除去する工程である請求項1に記載の半導体デバイスの製造方法。
  • 前記セラミック接着剤が、Al 、SiO 、ZrO 、およびこれらの混合物から選ばれるいずれかの無機酸化物を含む請求項1または2に記載の半導体デバイスの製造方法。
  • 前記裏面処理工程の前に、前記半導体ウエハのおもて面の機能構造を形成しない外周領域に、リング状の支持基板を接合するおもて面接合工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
  • 前記リング状の支持基板の接合を、Al 、SiO 、ZrO 、およびこれらの混合物から選ばれるいずれかの無機酸化物を含むセラミック接着剤で行う請求項4に記載の半導体デバイスの製造方法。
  • 前記セラミック接着剤層の厚さが、50μm〜200μmである請求項1〜5のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
  • 前記半導体ウエハがSiウエハ、SiCウエハ、およびGaNウエハから選ばれるいずれかのウエハである請求項1〜請求項6のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
  • 前記裏面接合工程前の前記半導体ウエハの厚さが6インチ径で300μm未満、8インチ径で400μm未満である請求項1〜請求項7のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
  • 前記支持基板が高耐熱ガラス、Siウエハ、表面にシリコン酸化膜層を有するSiウエハ、およびSiCウエハから選ばれるいずれかの基板である請求項1〜請求項8のいずれかに記載の半導体デバイスの製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、半導体ウエハに支持基板を接着する方法を用いた半導体デバイスの製造方法に関する。

    近年、半導体デバイスの小型化や高密度化が急速に進んでいる。 これに伴い、デバイスに使用される半導体素子の薄膜化が求められており、半導体ウエハの厚さを100μm以下にする必要性が生じている。 半導体ウエハの厚さを100μm以下に研削することや、100μm以下の半導体ウエハを用いてデバイス形成する場合、半導体ウエハの強度が不十分であることにより反りが生じてしまうため、半導体ウエハ単体で、研削することや、デバイス形成することは不可能であった。 そこで、半導体ウエハの強度を補って反りが生じることを防止するため、支持基板を半導体ウエハに貼り合わせ、研削やデバイス形成を行う技術が開発されてきた。

    支持基板を半導体ウエハに貼り合わせる技術としては、例えば、ポリイミドやエポキシ樹脂等の有機系接着剤や、低融点ワックスを用いて、半導体ウエハを支持基板に接着する技術がある(特許文献1、2)。 この技術では、半導体ウエハを有機系接着剤や低融点ワックスによって支持基板に固定し、研削やデバイス形成して薄膜化を行う。 研削後やデバイス形成後は、光照射によって有機系接着剤を分解させたり、熱を印加することでワックスを融解させたりして、支持基板から半導体ウエハを剥離する。

    支持基板を半導体ウエハに貼り合わせる技術としては、上記有機系接着剤や低融点ワックスの他、保護テープにより半導体ウエハを支持基板に固定する技術も挙げられる(特許文献3)。

    図8は、従来技術の一例として、有機系接着剤を用いて支持基板を半導体ウエハに接合する工程を含む半導体デバイスの製造方法のプロセスフローである。 プロセスとしては、半導体ウエハの準備(S201) 、半導体ウエハのおもて面構造の形成(S202) 、半導体ウエハのおもて面に支持基板を接合(S203) 、半導体ウエハの薄化(S204) 、裏面構造の形成(S205) 、支持基板の剥離(S206) 、ダイシング(S207)といった流れとなっている。 半導体ウエハとしては、600μm〜700μmの厚さのものが一般的である。 おもて面構造の形成としては、おもて面へのイオン注入、約1000℃での長時間の拡散、ゲート構造およびおもて面電極の形成を行う。 支持基板の接合は、半導体ウエハと同形状の支持基板を有機系接着剤で貼り合わせることにより行う。 半導体ウエハの薄化は、支持基板を接合後に半導体ウエハの裏面を研削し、エッチングすることにより行う。 薄化後の半導体ウエハは、約100μmの厚さとなる。 裏面構造の形成としては、裏面へのイオン注入、熱処理による不純物活性化、裏面電極の形成を行う。 支持基板の剥離は、半導体ウエハと支持基板とを接合する有機系接着剤の加熱や、有機系接着剤へ紫外線を照射することにより分解して行う。 ダイシングは、これまでの工程により、半導体ウエハに形成された集積回路等を、ダイシングソーで半導体ウエハを切削して切り出し、チップ化する工程である。

    また、支持基板を半導体ウエハに貼り合わせる技術としては、耐熱性接着剤を用いて、半導体ウエハを支持基板に固定する技術も挙げられる(特許文献4)。

    特開2004−64040号公報

    特開平6−29385号公報

    特開2004−140101号公報

    特開2009−295695号公報

    有機系接着剤として用いられるポリイミドの耐熱温度は400℃以下、エポキシ樹脂の耐熱温度は200℃程度である。 また、低融点ワックスの耐熱温度は、100℃以下である。 したがって、拡散温度として1000℃程度の高温プロセスを含む工程を経て半導体デバイスを作製する必要がある場合には、このような有機系接着剤や低融点ワックスは、上記高温プロセスにて半導体ウエハを支持基板に接着したままの状態を保持することができないため、使用することができない。

    一方、保護テープについても、接着剤と同様に耐熱性に問題があり、上記のような高温プロセスを含む半導体デバイスの作製には適していない。 また、保護テープの場合は、保護テープを剥離する際に、その粘着により半導体ウエハに割れや欠けを生じさせるおそれがある。
    また、耐熱性接着剤も検討されているが、接着剤を剥離するためには、特許文献4に記載の方法では、デバイス加工で付加した温度を超える温度での熱処理が必要となる。 しかし、所定の温度で拡散のプロセスを完了した半導体基板に対しては、拡散プロセスの温度以上の熱処理を行うと不純物の濃度プロファイルが変更されてしまうので、拡散プロセスの温度以上の熱処理を行うことができない。

    本発明は、以上説明した点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高温プロセスにおいても半導体ウエハを支持基板に接着したままの状態を保持することが可能な半導体デバイスの製造方法を提供することを目的とする。

    上記の問題を解決するために、本発明者は、高温プロセスに適用可能な、半導体デバイスの製造方法について鋭意検討を行った。 その結果、セラミック接着剤を用いて半導体ウエハに支持基板を接着すれば、高温プロセスに適用可能であることがわかった。 また、接着したセラミック接着剤を剥離することにより、高温プロセスを含む工程を経て半導体デバイスを製造することが可能となることがわかった。 本発明者は、これらの知見を得て、本発明を想到するに至った。

    すなわち、本発明は、半導体デバイスの製造方法であって、セラミック接着剤層およびマスクを介して、半導体ウエハの裏面に支持基板を接合して接合体とする裏面接合工程と、前記半導体ウエハのおもて面に機能構造を形成する機能構造形成工程と、前記セラミック接着剤層および前記マスクを除去して前記支持基板を前記半導体ウエハから剥離する剥離工程と、前記半導体ウエハの裏面に裏面処理をする裏面処理工程とを少なくとも含む半導体デバイスの製造方法、である。

    本発明によれば、1000℃程度の高温プロセスに適用可能な半導体デバイスの製造方法を提供することができる。

    本発明の半導体デバイスの製造方法の一例を示すプロセスフローである。

    裏面接合工程を示す断面図である。

    マスクの斜視図である。

    機能構造形成工程、および剥離工程を示す断面図である。

    機能構造形成工程後の半導体ウエハのおもて面を表す平面図である。

    おもて面接合工程を示す断面図である。

    裏面処理工程、およびおもて面側の支持基板剥離工程を示す断面図である。

    有機系接着剤を用いて支持基板を半導体ウエハに接合する工程を含む半導体デバイスの製造方法のプロセスフローである。

    半導体ウエハの裏面をリング状支持基板と接合する工程を示す断面図である。

    以下に、本発明の実施の形態について、その一態様を説明する。 ただし、本発明は、以下に説明する実施の形態によって限定されるものではない。

    本発明の半導体デバイスの製造方法は、裏面接合工程と、機能構造形成工程と、剥離工程と、裏面処理工程と、を少なくとも含む。
    裏面接合工程は、セラミック接着剤層およびマスクを介して、半導体ウエハの裏面に支持基板を接合して接合体とする工程である。 機能構造を形成する際の高温加熱等により、半導体ウエハに変形や反りが生じないよう、支持基板を接合する。 機能構造を形成する過程においても、半導体ウエハと支持基板との接着性を十分に確保するべく、セラミック接着剤を使用する。 セラミック接着剤は、半導体ウエハおよび支持基板のいずれにも塗付することが可能であり、半導体ウエハと支持基板の両方に塗付することもできる。 この工程では、マスクを用いることにより、半導体ウエハや支持基板へのセラミック接着剤の塗付を容易にし、塗付したセラミック接着剤がセラミック接着剤層の側面からこぼれてしまうのを防止することができる。 また、マスクにより、機能構造形成工程におけるフォトプロセスで焦点ブレが発生しないよう、セラミック接着剤層の厚みを均一にすることができる。 このような効果を得ることが出来れば、マスクの形状は特に限定しないが、接着剤が塗布される領域を囲うような枠形状であることが好ましい。 例えば、図3に示すように、半導体ウエハの裏面の外周部分を被覆するリング状のマスク等が、形状として挙げられる。 前記枠状またはリング状のマスクの断面形状は、円状でも四形状であってもよい。 形状については後述する。 マスクの素材としては、800℃から1200℃までの高温プロセスに適用可能な耐熱性を有する素材であればよく、例えばタングステンやモリブデンが挙げられる。 タングステンやモリブデンは酸化されにくく、高温での耐久性に優れていることから好ましい。 また、石英やアルミナなどのセラミックでもよく、前記セラミック等にタングステンやモリブデンを表面に形成したものでもよい。 なお、セラミック接着剤は、マスクの素材によってはマスクとも接着する。 また、枠状またはリング状のマスクの場合、支持基板またはウエハに接する面に、溝を有してもよい。 この溝は、枠またはリングを内側から外側に貫くように形成されていることが望ましい。 また、枠またはリングの内部を内側から外側に貫通するように設けられていてもよい。 このような溝または貫通穴により、セラミック接着剤の分が排出されやすくなる。 また、支持基板を剥離する際には、温水が接着剤に染み込みやすくなり、剥離が良好に行われる。 また、マスクは分割される形態であってもかまわない。

    ここで、本発明の半導体デバイスの製造方法にかかる製造工程において、工程に投入する半導体ウエハの厚さが、設計上の仕上がりの厚さより厚い場合は、裏面接合工程後、半導体ウエハの厚さを減じるための薄化工程を設けることができる。 薄化工程は、半導体ウエハの支持基板が接着されていないおもて面を研削や研磨を行って、半導体ウエハの厚さを初期の厚さより薄くするものである。 半導体ウエハの支持基板が接着されていないおもて面は、次の機能構造形成工程で機能構造を形成できるように、平坦に加工される。

    機能構造形成工程は、半導体ウエハのおもて面に機能構造を形成する工程である。 この工程としては、例えば、Pwellや酸化膜を形成するガードリング形成工程、チャネル領域イオン注入および熱処理、酸化膜の除去、トレンチの形成、ゲート酸化膜の形成、ポリシリコン層の形成を行うゲート形成工程、N型不純物イオン注入および熱処理を行うエミッタ形成工程、およびP型不純物イオン注入および熱処理、層間絶縁膜の形成、電極の形成を行うコンタクト形成工程等を含む工程が挙げられる。

    剥離工程は、前記セラミック接着剤層および前記マスクを除去して前記支持基板を前記半導体ウエハから剥離する工程である。 支持基板による半導体ウエハの補強が不要となった場合に、この工程により、半導体ウエハから支持基板を剥離することができる。 ここで、マスクは、セラミック接着剤と接着するものの、半導体ウエハや支持基板とは接着しない。 そのため、セラミック接着剤層を剥離する工程により、マスクも除去することができる。

    裏面処理工程は、半導体ウエハの裏面に裏面処理をする工程である。 この工程としては、イオン注入および熱処理、電極の形成等を含む工程が挙げられる。 また、裏面研磨等をしてもよい。

    本発明の半導体デバイスの製造方法において、前記剥離工程は、前記半導体ウエハと前記支持基板との前記接合体を水洗または水中に浸漬して、前記マスクおよび前記セラミック接着剤層を除去する工程とすることができる。 例えば、水に可溶なアルカリ金属塩またはケイ酸塩などの添加剤を含み、水を主な溶媒とするペースト状のセラミック接着剤を用いてセラミック接着剤層を形成した場合には、接合体を水に浸漬することにより、水中にセラミック接着剤を拡散させることができる。 水に浸漬することにより密着力を低下させ、支持基板をスライドさせるようにして半導体ウエハから剥離することができる。 セラミック接着剤はAl 、SiO 、ZrO 、およびこれらの混合物から選ばれるいずれかの無機酸化物の粒子(セラミック粒子)を、水に可溶なアルカリ金属塩またはケイ酸塩などの添加剤が周囲を覆ったものである。 水分がある場合には、添加剤が溶解し、前記粒子は分離する。 一方、加熱により脱水すると添加剤は析出し、固体化し、前記セラミック粒子同士を結合させる。 よって、水に浸漬させると、添加剤であるアルカリ金属塩およびケイ酸塩が水に溶解し、前記セラミック粒子同士の結合力が弱まり、分離する。 そして前記セラミック粒子は水等に分散する。 剥離は、50℃から100℃、さらに好ましくは80℃から90℃の温水を用いることにより、より容易となる。 また、この際、超音波を付与してもよい。 そして、超音波の振動板と平行に接合面を配することができる。 振動によりセラミック粒子同士が分離し、さらに、温水が染み込みやすくなるからである。 そして、振動板は支持基板と対向するように設置する。 しかし、リング状支持基板の場合には、ウエハの裏面または表面の機能構造部に超音波が直接作用しないように、金属乃至セラミック等の保護板などを設置することが望ましい。 超音波強度を減衰させ、機能構造部にダメージを与えないようにするためには、前記保護板の厚さは1mm以上が好ましい。 また、振動板をマスクの側面に対向するように配置してもよい。 この場合は、セラミック接合部内部への温水の染み込みを促進する働きがある。 なお、超音波は15kHzから数MHzまでの周波数のものを使用することが可能である。 また、セラミック接合部への温水の進入を促進させるために、温水に0.1質量%から5質量%の界面活性剤を添加してもよい。 界面活性剤によりセラミック粒子表面の濡れ性が向上し、温水の進入が容易になるためである。

    本発明の半導体デバイスの製造方法において、セラミック接着剤は、Al 、SiO 、ZrO 、およびこれらの混合物から選ばれるいずれかの無機酸化物を含むことが好ましい。 これらの無機酸化物を含むセラミック接着剤は、半導体ウエハや支持基板への密着性が良好であり、また、800℃から1200℃までの高温プロセスに適用可能な耐熱性を有するからである。

    セラミック接着剤としては、前記無機酸化物粒子および前記無機酸化物粒子の粒子同士の結合を促す役割を持つ添加剤を含むものであり、水を主な溶媒とするペースト状の接着剤が挙げられる。 前記添加剤としては水に可溶な塩ならばよく、アルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩などで、水に可溶なものならば良い。 特に水に可溶なアルカリ金属塩やケイ酸塩はセラミック粒子間の結合性がよく、セラミック粒子の溶媒への拡散性もよいため好ましい。 ペースト状の接着剤の場合、添加剤の含有量は1重量%から30重量%が好ましい。 また、均一に塗布するために、粘性は10000から100000mPa・s(20℃)が好ましい。 そして、前記粘性になるように、適宜水等で希釈して使用することができる。 ただし、半導体ウエハや支持基板への密着性が良好であり、耐熱性を満足するセラミック接着剤であれば、これに限定されない。

    また、セラミック接着剤に含まれる無機酸化物は、平均粒子径(D50)がマスクの厚さ(d)より小さいものが有用である。 具体的には、1/10d<D50<dの条件を満たす平均粒子径を有する無機酸化物であることが好ましい。 粒子径が大きいと密着性が低下し、粒子径が小さすぎると剥離する際に温水が進入し難くなるため、好ましくない。
    上記水を主な溶媒とするペースト状のセラミック接着剤の使用例としては、塗付に適した粘度となるように水で希釈したセラミック接着剤を半導体ウエハに塗付し、支持基板を貼り合わせたうえで加熱処理により水分を蒸発させて接着剤を硬化させる、という使用例が挙げられる。 前記セラミック粒子の周囲にあるアルカリ金属塩などの添加剤はイオン性結晶のため、水が残っている状態では、少なくとも一部は水に溶解し、イオンとして存在する。 しかし水が蒸発した後は前記セラミック粒子の周囲に析出する。 これが近接するセラミック粒子同士に共有され、セラミック粒同士の結合に寄与する。 Siウエハについても同様で、Siウエハ表面とセラミック粒子の間に析出したアルカリ金属塩などの添加剤によって結合される。 なお、この際の加熱温度は80℃から200℃が好ましい。 このようにして得られたセラミックの接着層には、空孔が存在する場合がある。 空孔の存在率は、セラミックの粒子径や水の希釈率や加熱温度等の条件を調整することによって変えられる。 密着性と剥離性を加味すると、空孔の存在率は20体積%以上であることが望ましい。

    本発明の半導体デバイスの製造方法において、前記裏面処理工程の前に、前記半導体ウエハのおもて面の機能構造を形成しない外周領域に、リング状の支持基板を接合するおもて面接合工程を含むことができる。 この工程により、裏面処理によって生じるおそれのある半導体ウエハの変形や反りを防止することができる。 半導体ウエハのおもて面には機能構造が形成されている領域があり、この領域に支持基板を接合すると、機能構造が破壊されるおそれがある。 そこで、半導体ウエハの機能構造を形成しない外周領域に、リング状の支持基板を接合することで、半導体ウエハを補強する。

    上記おもて面接合工程において、前記リング状の支持基板の接合を、Al 、SiO 、ZrO 、およびこれらの混合物から選ばれるいずれかの無機酸化物を含むセラミック接着剤で行うことができる。 セラミック接着剤であれば、裏面処理の過程においても、半導体ウエハと支持基板との接着性を十分に確保することができる。 セラミック接着剤は、半導体ウエハおよび支持基板のいずれにも塗付することが可能であり、半導体ウエハと支持基板の両方に塗付することもできる。 また、上記裏面接合工程のように、マスクを使用してセラミック接着剤を塗布することができる。 また、おもて面側の支持基板の接着には、裏面構造を形成する工程で用いる温度や薬品に耐えられれば、樹脂等の有機系接着剤を用いることができる。

    本発明の半導体デバイスの製造方法において、セラミック接着剤層の厚さは、50μm〜200μmであることが好ましい。 セラミック接着剤層等を介することなく、半導体ウエハと支持基板をじかに接合する際には、半導体ウエハおよび支持基板の表面粗さが原子レベルで平坦であることが必要となる。 そのため、半導体ウエハと支持基板は、表面を平坦化するために、接合する前に原子ビームなどの精密研磨プロセスを経ることとなる。 しかしながら、セラミック接着剤層を介することにより、セラミック接着剤層にある程度の厚さがあることで、半導体ウエハのおもて面や裏面、または支持基板のおもて面等に若干の凹凸があり、均一な平坦面ではない場合であっても、セラミック接着剤層に厚みがあることにより、フォトプロセスで焦点ブレが発生しないよう、半導体ウエハのおもて面等が水平となるように接着することができるからである。 セラミック接着剤層の厚さが100μm前後であれば、凹凸のある半導体ウエハと支持基板とを貼り合わせても、半導体ウエハのおもて面を十分に水平とすることができる。 セラミック接着剤層の厚さは、マスクの厚みを調整することにより設定可能である。 例えば、マスクの厚さを100μmとすることにより、セラミック接着剤層の厚さも100μmとすることができる。 マスクを用いない場合には、セラミック接着剤層の塗付量により厚さを調整することができる。

    本発明の半導体デバイスの製造方法において、半導体ウエハとしては、Siウエハに限定されることなく、SiCウエハ、およびGaNウエハを採用することができる。

    本発明の半導体デバイスの製造方法において、前記裏面接合工程前の半導体ウエハの厚さは6インチ径で300μm未満、8インチ径で400μm未満である半導体ウエハを使用することができる。 これまでは、機能構造の形成により半導体ウエハに変形や反りが生じることを防止するべく、600μm〜700μmの厚さの半導体ウエハが一般的に使用されてきた。 本発明の製造方法では、半導体ウエハに支持基板を接合して補強することから、上記したような従来よりも薄い半導体デバイスを使用することができる。 半導体ウエハの厚さが6インチ径で300μm未満、8インチ径で400μm未満であれば、ウエハを薄くするために化学機械研磨等により過剰に研磨する必要が無いため、ウエハのコストを充分に低減することができる。 また、半導体デバイスの仕上がり時点での半導体ウエハの厚さは、半導体デバイスの所望の特性に対応して選択することができる。 例えば、数10μm〜200μmである。

    本発明の半導体デバイスの製造方法では、支持基板が高耐熱ガラス、Siウエハ、表面にシリコン酸化膜層を有するSiウエハ、およびSiCウエハから選ばれるいずれかの基板であることが好ましい。 これらの基板であれば、セラミック接着剤との接合性が良好であり、また、半導体ウエハの強度を十分に補うことができるからである。 また、裏面接合に用いられる支持基板の形状は特に限定しない。 ウエハが円盤状である場合には、この形状に応じて円盤状やリング状などの形状の支持基板を用いることができる。 また、おもて面接合の場合は、支持基板の形状は、リング状が望ましい。 これは、おもて面に形成された機能構造部分に影響を与えないようにすることができるからである。 また、支持基板の厚みは、厚い方が半導体ウエハの強度を補うことができるが、過剰に厚い支持基板は製造装置間の搬送や製造装置内での取り扱いの支障となることがある。 したがって、半導体ウエハと支持基板の貼り合わせ後の接合体の厚さが、一般的な半導体ウエハの投入時の厚さ(例えば600μm〜700μm)となるものを使用することができる。 また、支持基板は、半導体ウエハの補強に繰り返し用いることができる。

    次いで、本発明の半導体デバイスの製造方法の実施の形態について、図面を参照してさらに具体的に説明する。 この場合において、本発明は図面を参照した実施形態に限定されるものではない。

    〈第1実施形態〉
    図1は、本発明の半導体デバイスの製造方法の一例を示すプロセスフローである。 図1のステップS101において、半導体ウエハを製造工程に投入する。 この半導体ウエハは、Si製のウエハであり、その厚さは、6インチ径で厚さ500μmである。 次のステップS102の裏面接合工程で半導体ウエハに支持基板を貼り合わせるため、製造工程への投入時の半導体ウエハの厚さは500μmより薄くすることができる。 例えば300μm程度の厚さの半導体ウエハを投入することができる。 このように、製造工程への投入時の厚さが薄い半導体ウエハを用いることで、後述する薄化工程で除去するSiの量を減らすことができる。

    次にステップS102の裏面接合工程において、セラミック接着剤層およびマスクを介して、半導体ウエハの裏面に支持基板を接合して接合体とする。 機能構造を形成する際の高温加熱等により、半導体ウエハに変形や反りが生じないよう、支持基板を接合する。

    次に、ステップS103の薄化工程において、半導体ウエハを薄化する。 半導体ウエハに半導体デバイスが形成された仕上がり時点の半導体ウエハの厚さは、半導体デバイスの耐圧に応じて40μm〜120μm程度である。 ここで、半導体ウエハの厚さは、製造工程への投入時の半導体ウエハの厚さより薄くする(薄化する)必要がある。 薄化工程では、製造工程への投入時の半導体ウエハの厚さを所定の厚さへ薄くするための加工を行う。 加工方法としては、半導体ウエハの支持基板が接着されていない面に砥石を当てて研削してもよいし、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)を用いてもよい。 ただし、半導体ウエハの支持基板が接着されていない面は、次の工程で機能構造を形成できるように平坦に加工する必要がある。

    次に、ステップS104の機能構造形成工程において、半導体ウエハのおもて面に機能構造を形成する。 この工程としては、例えば、深い拡散層を形成する工程がある。 例えば、半導体デバイスとしてIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を形成する場合、半導体ウエハのおもて面側にp型の拡散層(pベース領域)を形成する。 このような拡散層の形成領域に選択的に不純物イオンの注入を行い、続いて1000℃,数時間の熱処理を行って不純物を拡散させる。 このp型の拡散層は、半導体ウエハのおもて面側の表面から10μm程度の深さまで拡散する必要があり、高温・長時間の熱処理が必要となる。

    本発明では、薄化した半導体ウエハをセラミック接着剤で支持基板に固定しているため、イオン注入や熱処理の際、各製造装置間を搬送する場合にも、半導体ウエハが破損する等の問題はない。 また、セラミック接着剤は耐熱性があるため、1000℃を超える熱処理を行っても、半導体ウエハが剥離することはない。

    ステップS104の機能構造形成工程では、ほかに、チャネル領域を形成するためのイオン注入および熱処理や、トレンチの形成、ゲート酸化膜の形成、n型不純物イオン注入および熱処理によるエミッタ領域の形成、層間絶縁膜の形成、電極の形成等の工程が挙げられる。

    半導体ウエハのおもて面側に機能構造が形成されると、次に半導体ウエハの裏面の工程に進むのであるが、その前に、ステップS105の剥離工程では、セラミック接着剤層およびマスクを除去することにより、半導体ウエハから支持基板を剥離する。 セラミック接着剤層を剥離する方法は、例えば、無機酸化物およびアルカリ金属塩を含む水を主な溶媒とするペースト状のセラミック接着剤を用いてセラミック接着剤層を形成した場合には、支持基板が接着した半導体ウエハを水浸漬することにより、水中にセラミック接着剤を拡散させる。

    半導体ウエハと支持基板との間にはセラミック接着剤層が形成されているが、半導体ウエハの外周部分はマスクが介在しているため、マスクと半導体ウエハとの間、ならびにマスクと支持基板との間には接着剤層がない。 このため、マスクと半導体ウエハとの間、ならびにマスクと支持基板との間から、水が浸入し、容易に密着力を低下させることができる。 支持基板をスライドさせるようにして半導体ウエハから剥離することができる。 剥離は、50℃から100℃、さらに好ましくは80℃から90℃の温水を用いることにより、より容易となる。

    次に、ステップS106のおもて面接合工程において、半導体ウエハのおもて面側に裏面とは異なる支持基板を貼り合わせて接合する。 このおもて面側の支持基板は、後述の工程で裏面構造を形成する際に、半導体ウエハのおもて面を製造装置に固定するにあたり、すでに形成済みのおもて面側の機能構造の損傷を防ぐためのものである。 おもて面側の支持基板は、裏面構造を形成する工程に耐えられる素材を用いればよい。 また、おもて面側の支持基板の接着には、裏面構造を形成する工程で用いる温度や薬品に耐えられれば、樹脂等の有機系接着剤を用いることができる。

    次に、ステップS107の裏面処理工程において、裏面構造を形成する。 裏面構造を形成する工程としては、裏面の半導体領域(例えばコレクタ領域)を形成するためのイオン注入および熱処理や、電極の形成等の工程が挙げられる。 裏面の半導体領域の形成でおもて面側に深い拡散層を形成するときのような高温・長時間のプロセスを行わない場合は、半導体ウエハのおもて面に支持部材を接着する際に樹脂等の有機系接着剤を用いることができる。 また、裏面構造を形成する前に研磨等をしてもかまわない。

    次に、ステップS108のおもて面側の支持基板剥離工程において、おもて面側の支持基板を剥離する。 例えば、紫外線の照射によって粘着力を除去できる接着剤や、加熱によって粘着力を除去できる接着剤を用いることができる。

    次に、ステップS109のダイシングにおいて、ダイシングソー等により半導体ウエハを切断して、半導体デバイスを個片化する。

    上記第1実施形態により、従来と比べて半導体ウエハ投入時のウエハの厚さが薄い半導体ウエハを使用することができるため、薄化工程等の研削による半導体ウエハ材料の廃棄量を低減することができる。 また、ウエハ厚さの薄い半導体ウエハを用いても、支持基板の補強効果により、おもて面の拡散工程の熱処理温度に耐えることができ、半導体ウエハの変形や反りを防止することができる。

    〈第2実施形態〉
    第2実施形態は、第1実施形態と同様に、図1のプロセスフローにより半導体デバイスを製造する形態である。 しかし、ステップS106のおもて面接合工程およびステップS108のおもて面側の支持基板剥離工程が、第1実施形態とは異なる。

    ステップS106のおもて面接合工程では、例えばリング状の支持基板(例えば、耐熱ガラス製)にセラミック接着剤を塗布し、機能構造が形成された半導体ウエハのおもて面側に支持基板を接着する。 裏面構造を形成する際に高温・長時間のプロセスを伴い、有機系接着剤を用いることができない場合には、セラミック接着剤を用いることができる。 リング状の支持基板の外径は、半導体ウエハの外径と同じである。 半導体ウエハのおもて面には、デバイス形成領域の外周にデバイスが形成されない外周領域があり、リング状の支持基板のリング状の接着面の幅は、デバイスに影響しないよう、この外周領域の幅と同程度とする。 また、リング状の支持基板の厚さは、半導体ウエハの強度を保てる程度の厚さであればよく、例えば300μmである。

    セラミック接着剤を介して、リング状の支持基板を半導体ウエハのおもて面に接合し、100℃で2時間の加熱処理をしてセラミック接着剤層の水分を除去することで、セラミック接着剤を硬化させた。 接着剤は、アルミナ(Al )を主成分とするセラミック接着剤やシリカ(SiO )を主成分とするセラミック接着剤やジルコニア(ZrO )を主成分とするセラミック接着剤を適用することができる。 リング状の支持基板は、半導体ウエハのデバイスが形成されない外周領域に接合されるので、リング状の支持基板の接着によって、すでに形成されているおもて面側の機能構造を損傷することはない。

    ステップS108のおもて面側の支持基板剥離工程において、半導体ウエハのおもて面に接合したリング状の支持部材を剥離する。 第1実施形態のステップS105の剥離工程と同様に、例えば、無機酸化物およびアルカリ金属塩を含む水を主な溶媒とするペースト状のセラミック接着剤を用いてセラミック接着剤層を形成した場合には、支持基板が接着した半導体ウエハを水に浸漬することにより、水中にセラミック接着剤を拡散させる。 半導体ウエハと支持基板との間にはセラミック接着剤層が形成されているが、リング状の支持部材の外周側ならびに内周側から水が浸入し、容易に密着力を低下させることができる。 剥離は、50℃から100℃、さらに好ましくは80℃から90℃の温水を用いることにより、より容易となる。

    〈第3実施形態〉
    リング状の支持基板を用いる実施形態として、例えば次のような実施形態にも適用することができる。

    ここでは、図1のステップS101において、おもて面側が鏡面研磨処理された半導体ウエハを製造工程に投入する。 この半導体ウエハは、Si製のウエハであり、その厚さは、6インチ径で300μmである。 おもて面側が鏡面研磨処理されているので、製造工程へ投入後、直ちにおもて面側のプロセスを開始することができる。 なお、おもて面側に薄化工程を施したり、鏡面研磨処理してもかまわない。

    ステップS102の裏面接合工程において半導体ウエハに支持基板を貼り合わせるため、製造工程への投入時の半導体ウエハの厚さを薄くすることができる。 このように、製造工程への投入時の厚さが薄い半導体ウエハを用いることで、薄化工程を省いたり、薄化工程で除去するSiの量を減らすことができる。

    次に、半導体ウエハの裏面を支持基板と接合する。 第1実施形態のステップS102の裏面接合工程で説明した工程により接合してもよいが、半導体ウエハのおもて面側がすでに鏡面研磨処理されているので、これを損傷しないために、リング状支持基板にリング状および円盤状のマスクを載置し、セラミック接着剤を支持基板に塗布したのちに半導体ウエハの裏面をセラミック接着剤層上に載置することができる。 この場合について、図9を用いて説明する。 リング状支持基板4cの中心側には円盤状乃至はリング状のマスク(中心用マスク2a)を載置する。 また、リング状支持基板の外側には、リング状のマスク(外周用マスク2b)を設置する。 そして、中心用マスク2aと外周用マスク2bの間にセラミック接着剤8を塗布し、所定の厚さの接着剤層を形成し、ウエハを接着する。 その後、加熱し、接着剤を硬化させる。 マスクを利用して接着剤層を形成することにより、接着剤の厚さを均一にすることができるので好ましい。 これにより、ウエハの形状を平坦に保つことができ、おもて面1aの薄化工程ないし機能構造形成工程を良好に行うことができる。 ウエハの形状を平坦に保つこと、およびウエハのハンドリングが容易であることから、少なくとも中心用マスク2aは、ウエハとリング状支持基板と共におもて面1aの薄化工程ないし機能構造形成工程をおこなうことが好ましい。
    また、リング状の支持基板4cを使用する場合には、半導体ウエハ1の裏面1bにマスクを使ってリング状支持基板の形状に対応したセラミック接着剤8を塗布することもできる。 この場合、ウエハの中心側には円盤状乃至はリング状のマスク(中心用マスク2a)を載置する。 また、ウエハの外側には、リング状のマスク(外周用マスク2b)を設置する。 そして、中心用マスク2aと外周用マスク2bの間にセラミック接着剤を塗布し、リング状支持基板4cと接合する。 この場合にも接着剤の厚さを均一にすることができ、ウエハの形状を平坦に保つことができる。 そして、少なくとも中心用マスクと半導体ウエハと支持基板とが一体となり、薄化工程ないし機能構造形成工程をおこなうことが好ましい。

    機能構造形成工程において、第3実施形態では、半導体ウエハのおもて面が当初から鏡面研磨処理されているため、支持基板を接着した後、機能構造を形成する。 機能構造形成工程としては、図1のステップS104と同様であるので、重複する説明は省略する。

    半導体ウエハのおもて面側に機能構造を形成後、半導体ウエハの裏面処理工程に進むのであるが、その前に、剥離工程により半導体ウエハから支持基板を剥離する。 剥離工程は、ステップS105と同様であるので重複する説明は省略する。

    剥離工程後、おもて面接合工程により、半導体ウエハのおもて面にリング状の支持部材を接合する。 この工程は、第2実施形態のステップS106のおもて面接合工程と同様の工程である。

    おもて面接合工程により、半導体ウエハのおもて面にリング状の支持部材を接着して半導体ウエハを補強した後、半導体ウエハを所望の厚さに薄化する。 第1実施形態では、半導体ウエハのおもて面側から薄化したが、第3実施形態では、半導体ウエハの裏面側から薄化する。 半導体ウエハの薄化工程では、製造工程への投入時の半導体ウエハの厚さを所定の厚さへ薄くするための加工を行う。 加工方法としては、半導体ウエハの支持基板が接着されていない面に砥石を当てて研削してもよいし、CMPを用いてもよい。 半導体ウエハに半導体デバイスが形成された仕上がり時点の半導体ウエハの厚さは、半導体デバイスの耐圧に応じて40μm〜120μm程度である。

    なお、半導体ウエハのおもて面側は、外周領域にリング状の支持基板が接合している状態である。 つまり、機能構造等が形成されているチップ形成領域の部分は半導体ウエハの厚さであり、外周領域は半導体ウエハの厚さに支持基板の厚さを加えた厚さとなる。 この状態では、半導体ウエハのおもて面側を吸着固定して裏面の薄化を行うことが難しいので、支持基板の厚さによって生じる段差部に剥離可能な樹脂を充填して、おもて面側全面を平坦にしてから吸着固定する。 あるいは、支持基板の厚さによって生じる段差と同形状の段差を有するステージに半導体ウエハを吸着してもよい。

    次に、第1実施形態のステップS107の裏面処理工程により、裏面構造を形成する。 そして、第2実施形態のステップS108のおもて面側に支持基板剥離工程により、支持基板を剥離する。 最後に、第1実施形態のステップS109のダイシングにより、半導体デバイスを個片化する。

    〈第4実施形態〉
    第3実施形態で説明したリング状の支持基板を用いる実施形態として、さらに次のような実施形態にも適用することができる。

    第3実施形態では、半導体ウエハのおもて面側が鏡面研磨処理された半導体ウエハを製造工程に投入したが、第4実施形態では、図1のステップS101において、このような鏡面研磨処理前の半導体ウエハを投入してもよい。 第3実施形態のように、半導体ウエハの裏面に支持基板を接合した後、半導体ウエハのおもて面を研磨する研磨工程を追加すればよい。 このように研磨工程を追加することで、鏡面研磨前の安価な半導体ウエハを適用することができる。

    図2〜図7を参照して、本発明の半導体デバイスの製造方法の第2実施形態について説明する。 図2は、本発明の製造方法のうち、裏面接合工程を示す断面図である。 半導体ウエハ1のおもて面1aを下、裏面1bを上とし(図2a)、半導体ウエハ1の裏面1bの外周部分にリング状のマスク2を載置する(図2b)。 続いて、セラミック接着剤を半導体ウエハ1の裏面1bに塗付し、スキージを用いて余分なセラミック接着剤を除去し、マスク2と同じ高さのセラミック接着剤層3を形成する(図2c)。 そして、支持基板4aをセラミック接着剤層3の上に載置する(図2d)。 その後、加熱処理によりセラミック接着剤層3の水分を蒸発させ、セラミック接着剤を硬化させることにより、半導体ウエハ1に支持基板4aを接着することができる。

    図3は、マスク2の斜視図である。 マスク2の外径は半導体ウエハの外径と同じであり、例えば外径が6インチの半導体ウエハには、外径が6インチのマスク2を用いることが好ましい。 半導体ウエハと接合する面およびこれとは反対側の面は平坦であり、幅aは約2mm〜5mmとすることができる。 また、マスク2の高さに応じて、セラミック接着剤層3の厚みが決まる。 例えばマスク2の高さが100μmである場合には、セラミック接着剤層3の厚みも100μmとなる。

    なお、図2の例では、半導体ウエハ1の裏面1bの外周部分にリング状のマスク2を載置し、セラミック接着剤を半導体ウエハ1の裏面1bに塗付した。 これとは異なる手順として、支持基板4aにリング状のマスク2を載置し、セラミック接着剤を支持基板4aに塗布したのちに半導体ウエハ1の裏面1bをセラミック接着剤層3上に載置するようにしてもよい。 このようにすると、半導体ウエハ1のおもて面1aへのダストの付着や傷の発生を防ぐことができるため、おもて面1aを清浄に保つことができる。

    図4は、本発明の製造方法のうち、機能構造形成工程、および剥離工程を示す断面図である。 図2の工程により支持基板4aを接着した半導体ウエハ1に対し(図4(a))、ガードリング形成工程、ゲート形成工程、エミッタ形成工程、およびコンタクト形成工程等を経て、おもて面側機能構造5を形成する(図4(b))。 おもて面側機能構造5を形成した後、温水の入った水槽6へ浸漬することにより(図4(c))、セラミック接着剤の密着力を低下させ、マスク2、および支持基板4aを半導体ウエハ1から剥離する(図4(d))。 これらの工程により、半導体ウエハ1のおもて面1aを加工することができる。

    図5は、機能構造形成工程後の半導体ウエハのおもて面を表す平面図である。 半導体ウエハ1のおもて面1aは、機能構造を形成する領域となる機能構造形成領域1cと、機能構造が形成されない外周領域1dに分類することができる。 おもて面機能構造5は、機能構造形成領域1cに形成される。 マスクの幅aは、外周領域の幅bと同程度であることが好ましい。

    図6は、本発明の製造方法のうち、おもて面接合工程を示す断面図である。 半導体ウエハ1の裏面1bを下、おもて面1aを上とし(図6a)、半導体ウエハ1のおもて面1aの外周領域1dにセラミック接着剤層3を形成する(図6b)。 続いて、リング状の支持基板4bをセラミック接着剤層3の上に載置する(図6c)。 その後、加熱処理によりセラミック接着剤層3の水分を蒸発させ、セラミック接着剤を硬化させることにより、半導体ウエハ1に支持基板4bを接着することができる。 支持基板4bは、図3に示すマスク2と同様に、半導体ウエハと接合する面およびこれとは反対側の面は平坦であり、その幅は外周領域の幅bにあわせて約2mm〜5mmとすることができる。 また、支持基板4bの外径は半導体ウエハの外径と同じであり、例えば外径が6インチの半導体ウエハには、外径が6インチの支持基板4bを用いることが好ましい。 支持基板4bの厚さは、半導体ウエハに変形や反りが生じないよう補強可能な程度に強度を付与できる厚さであればよく、例えば300μmとすることができる。 リング状の支持基板4bは、半導体ウエハ1の外周領域1dの領域において半導体ウエハと接合する。 そのため、支持基板4bの接合によって、すでに形成されているおもて面機能構造5が損傷することはない。

    図7は、本発明の製造方法の裏面処理工程、およびおもて面側の支持基板剥離工程を示す断面図である。 図4の工程により半導体ウエハ1のおもて面1aを加工し、その後、図6の工程により支持基板4bを接合した半導体ウエハ1に対し(図7(a))、イオン注入および熱処理、電極の形成等を含む工程を経て、裏面構造7を形成する(図7(b))。 また、前記裏面構造7を形成する前に研磨等をしてもかまわない。 裏面構造7を形成した後、温水の入った水槽6へ浸漬することにより(図7(c))、セラミック接着剤の密着力を低下させ、支持基板4bを半導体ウエハ1から剥離する(図7(d))。 これらの工程により、半導体ウエハ1の裏面1bを加工することができる。

    以上の図2〜図7にて説明した方法により、半導体デバイスを製造することができる。 この方法によれば、おもて面側機能構造5や裏面構造7を形成する際に、拡散温度として1000℃程度の高温プロセスを含む場合であっても、問題なく半導体デバイスを製造することができる。

    以下、本発明を実施例に基づき説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。

    〈支持基板の接着〉
    [実施例1]
    6インチ径で厚さ500μmのSiウエハを半導体ウエハとし、この半導体ウエハの裏面の外周にリング状マスク(モリブデン製、外径6インチ、幅3mm、高さ100μm)を載置する。 そして、アルミナ(Al )を主成分とするセラミック粒子および、添加剤として水に可溶なアルカリ金属塩を含み、粘度が50000mPa・s(20℃)のセラミック接着剤をよく撹拌し、半導体ウエハの裏面に塗付し、スキージを用いて余分なセラミック接着剤を除去して、マスクと同じ高さ100μmのセラミック接着剤層を形成した。 その後、支持基板(高耐熱ガラス製、外径6インチ、厚さ300μm)を、セラミック接着剤層を介して半導体ウエハの裏面に貼り合わせ、100℃で2時間の熱処理してセラミック接着剤層の水分を除去し、セラミック接着剤を硬化させた。

    [実施例2]
    セラミック粒子をシリカ(SiO )を主成分とすセラミック接着剤を用いる他は、実施例1と同様の方法により、半導体ウエハの裏面に支持基板を接着させた。

    [実施例3]
    セラミック粒子をジルコニア(ZrO )を主成分とするセラミック接着剤を用いる他は、実施例1と同様の方法により、半導体ウエハの裏面に支持基板を接着させた。

    〈耐熱性試験〉
    実施例1、実施例2、および実施例3の支持基板を接着した半導体ウエハが、1000℃の高温プロセスへ適用可能であるか確認するべく、耐熱性試験およびヒートサイクル試験を実施した。 耐熱性試験は、実施例1、実施例2、および実施例3の半導体ウエハを、1100℃条件下において2時間曝露する条件により行い、セラミック接着剤の接着性および半導体ウエハの異常の有無について評価した。 結果として、実施例1、実施例2、および実施例3のいずれの半導体ウエハについても、セラミック接着剤の接着性および半導体ウエハに異常はみられなかった。

    〈ヒートサイクル試験〉
    ヒートサイクル試験は、上記耐熱性試験を実施した後の実施例1、実施例2、および実施例3の半導体ウエハを高温・低温環境下に繰り返しさらすことで、温度変化に対する半導体ウエハの機械的・物理的特性の変化を観測した。 温度条件は、−40℃、30分→25℃、30分→150℃、30分を1サイクルとして、10サイクル実施した。 実施例1、実施例2および実施例3のいずれの半導体ウエハについても、セラミック接着剤の接着性および半導体ウエハに異常はみられなかった。

    以上説明した実施例によれば、本発明によれば、1000℃程度の高温プロセスに適用可能な半導体ウエハに支持基板を接着する方法、および半導体デバイスの製造方法を提供することができる。

    1 半導体ウエハ1a 半導体ウエハのおもて面1b 半導体ウエハの裏面1c 機能構造形成領域1d 外周領域2 マスク2a 中心用マスク2b 外周用マスク3 セラミック接着剤層4a、4b 支持基板4c リング状支持基板5 おもて面側機能構造6 水槽7 裏面構造8 セラミック接着剤a マスクの幅b 外周領域の幅S101 半導体ウエハ投入S102 裏面接合工程S103 薄化工程S104 機能構造形成工程S105 剥離工程S106 おもて面接合工程S107 裏面処理工程S108 おもて面側の支持基板剥離工程S109 ダイシング
    S201 半導体ウエハ投入
    S202 機能構造形成
    S203 おもて面に支持基板を接合
    S204 半導体ウエハの薄化
    S205 裏面構造形成
    S206 支持基板剥離
    S207 ダイシング

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