樹脂組成物及び多層構造体 |
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申请号 | JP2011507190 | 申请日 | 2010-03-29 | 公开(公告)号 | JPWO2010113888A1 | 公开(公告)日 | 2012-10-11 |
申请人 | 株式会社クラレ; | 发明人 | 晃太 磯山; 晃太 磯山; 尾下 竜也; 竜也 尾下; 齋藤 秀和; 秀和 齋藤; 小野 弘之; 弘之 小野; | ||||
摘要 | 熱可塑性ポリウレタン(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって;熱可塑性ポリウレタン(A)の原料におけるイソシアネート基含有量(モル)が 水 酸基含有量(モル)よりも大きく、熱可塑性ポリウレタン(B)の原料におけるイソシアネート基含有量(モル)が水酸基含有量(モル)と概ね等しく;かつ熱可塑性ポリウレタン(B)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の質量比(B/C)が70/30〜99/1であり、熱可塑性ポリウレタン(B)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の合計100質量部に対する熱可塑性ポリウレタン(A)の含有量が1〜30質量部である樹脂組成物とする。これにより、熱可塑性ポリウレタン及びエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する、溶融成形性の良好な樹脂組成物が提供される。 | ||||||
权利要求 | 熱可塑性ポリウレタン(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって; 熱可塑性ポリウレタン(A)が、ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンであって、高分子ポリオールが数平均分子量500〜8000のポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールからなり、鎖伸長剤が分子量300以下の低分子ポリオールからなり、かつ下記式(1) 1.02≦PIa/(POHa+CLa)≦1.12 (1) PIa:ポリイソシアネート中のイソシアネート基の含有量(モル) POHa:高分子ポリオール中の水酸基の含有量(モル) CLa:鎖伸長剤中の水酸基の含有量(モル) を満たす熱可塑性ポリウレタンであり; 熱可塑性ポリウレタン(B)が、ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖伸長剤を反応させて得られる熱可塑性ポリウレタンであって、高分子ポリオールが数平均分子量500〜8000のポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールからなり、鎖伸長剤が分子量300以下の低分子ポリオールからなり、かつ下記式(2) PIb/(POHb+CLb)<1.02 (2) PIb:ポリイソシアネート中のイソシアネート基の含有量(モル) POHb:高分子ポリオール中の水酸基の含有量(モル) CLb:鎖伸長剤中の水酸基の含有量(モル) を満たす熱可塑性ポリウレタンであり; エチレン−ビニルアルコール共重合体(C)が、エチレン含有量20〜60モル%、ケン化度90モル%以上であるエチレン−ビニルアルコール共重合体であり;かつ 熱可塑性ポリウレタン(B)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の質量比(B/C)が70/30〜99/1であり、熱可塑性ポリウレタン(B)とエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)の合計100質量部に対する熱可塑性ポリウレタン(A)の含有量が1〜30質量部である樹脂組成物。 熱可塑性ポリウレタン(B)のJIS A硬度が80〜95である請求項1記載の樹脂組成物。 熱可塑性ポリウレタン(B)からなる層及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層をそれぞれ少なくとも1層以上含有する多層構造体から得られるスクラップに、熱可塑性ポリウレタン(A)を配合して溶融混練する請求項1又は2記載の樹脂組成物の製造方法。 請求項1又は2記載の樹脂組成物からなる層、熱可塑性ポリウレタン(B)からなる層及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層をそれぞれ少なくとも1層以上含有する多層構造体。 |
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说明书全文 | 本発明は、熱可塑性ポリウレタン及びエチレン−ビニルアルコール共重合体を含有する樹脂組成物に関する。 また、そのような樹脂組成物の製造方法に関する。 さらに、そのような樹脂組成物からなる層を含有する多層構造体に関する。 熱可塑性ポリウレタン(以下、TPUと称することがある)は、その優れた強度、柔軟性、弾性回復性や耐摩耗性などによって広範な分野で使用されている。 例えば、押出成形して製造されるフィルム、シート、ベルト、ホース、チューブなどの成形品や、射出成形により得られる種々の形状の成形品は、その優れた特性によって用途が拡大している。 しかしながら、一般にTPUのガスバリア性は良好ではないので、ガスバリア性が要求される用途では、TPU層とガスバリア性樹脂層とを含む多層構造体が用いられている。 このときのガスバリア性樹脂層として、エチレン−ビニルアルコール共重合体(以下、EVOHと称することがある)を用いることが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。 EVOH層とTPU層を有する多層構造体を製造する際には、共押出成形によって製造された多層フィルムの耳部、共押出ブロー成形で製造する際に副生するトリム屑、さらには成形不良によるロスなど、スクラップの発生が避けられない。 したがって、その再使用を図ることが、製造コスト低減および省資源の点から望ましい。 しかしながら、TPU層とEVOH層を有する多層構造体のスクラップを溶融混練して得られる樹脂組成物は、成形性が不良であることが多く、スクラップの再使用の妨げになっており、その改善が求められていた。 EVOH層を有する多層構造体のスクラップの再使用については以前より種々の検討が行われている。 例えば、特許文献4〜6には、EVOH層とポリオレフィンなどの疎水性樹脂層とを有する多層構造体のスクラップを再使用する方法について記載されている。 しかしながら、EVOH層とTPU層を有する多層構造体のスクラップを再使用する方法については記載されていない。 本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、TPU及びEVOHを含有する、溶融成形性の良好な樹脂組成物を提供することを目的とするものである。 また、そのような樹脂組成物の好適な製造方法を提供することを目的とするものである。 さらに、そのような樹脂組成物からなる層を含有する多層構造体を提供することを目的とするものである。 上記課題は、熱可塑性ポリウレタン(A)、熱可塑性ポリウレタン(B)及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)を含有する樹脂組成物であって; また、上記課題は、熱可塑性ポリウレタン(B)からなる層及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層をそれぞれ少なくとも1層以上含有する多層構造体から得られるスクラップに、熱可塑性ポリウレタン(A)を配合して溶融混練する、前記樹脂組成物の製造方法を提供することによっても解決される。 さらに、上記課題は、前記樹脂組成物からなる層、熱可塑性ポリウレタン(B)からなる層及びエチレン−ビニルアルコール共重合体(C)からなる層をそれぞれ少なくとも1層以上含有する多層構造体を提供することによっても解決される。 本発明の樹脂組成物は、溶融成形性が良好である。 当該樹脂組成物は、TPU層及びEVOH層を有する多層構造体から得られるスクラップを用い、溶融混練することによって製造することができるので、製造コストの低減および省資源の観点から好ましい。 また、本発明の樹脂組成物からなる層を含有する多層構造体は、外観が良好である。 本発明の樹脂組成物は、TPU(A)、TPU(B)及びEVOH(C)を含有する。 TPU(A)は、ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖伸長剤を反応させて得られるTPUであって、高分子ポリオールが数平均分子量500〜8000のポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールからなり、鎖伸長剤が分子量300以下の低分子ポリオールからなり、かつ下記式(1) また、TPU(B)は、ポリイソシアネート、高分子ポリオール及び鎖伸長剤を反応させて得られるTPUであって、高分子ポリオールが数平均分子量500〜8000のポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールからなり、鎖伸長剤が分子量300以下の低分子ポリオールからなり、かつ下記式(2) TPU(A)及びTPU(B)を合成する際に用いられるポリイソシアネートとしては、TPUの製造において一般的に使用されている各種のポリイソシアネートを用いることができる。 ポリイソシアネートとしては、通常ジイソシアネートが用いられるが、熱可塑性に悪影響を与えない範囲であればトリイソシアネートなど、3個以上のイソシアネート基を有する化合物を少量併用しても構わない。 ジイソシアネートとしては、例えば、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、トルイレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネートなどの脂肪族または脂環式ジイソシアネートなどを挙げることができる。 これらのポリイソシアネートは1種類を単独で、または2種以上を併用してもよい。 これらの中でも、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネートを用いるのが好ましい。 TPU(A)及びTPU(B)を合成する際に用いられる高分子ポリオールは、数平均分子量500〜8000のポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールである。 これらの高分子ポリオールは1種類を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。 高分子ポリオールの中でも、ポリエステルポリオールを使用するのが好ましい。 ポリエステルポリオールは、例えば、常法に従い、ジカルボン酸またはそのエステル、無水物などのエステル形成性誘導体と低分子ポリオールとを直接エステル化反応もしくはエステル交換反応に付すか、またはラクトンを開環重合することにより製造することができる。 ポリエステルポリオールを構成するジカルボン酸としては、ポリエステルの製造において一般的に使用されているものを使用することができ、具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、メチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、トリメチルアジピン酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸などの炭素数4〜12の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。 これらのジカルボン酸は1種類を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。 これらの中でも、炭素数が6〜12の脂肪族ジカルボン酸を使用するのが好ましく、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸を使用するのがより好ましい。 ポリエステルポリオールを構成する低分子ポリオールとしては、ポリエステルの製造において一般的に使用されているジオールを使用することができる。 その具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなどの炭素数2� ��15の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロオクタンジメタノール、ジメチルシクロオクタンジメタノールなどの脂環式ジオール;1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンなどの芳香族二価アルコールなどが挙げられる。 これらの低分子ポリオールは1種類を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。 これらの中でも、炭素数が2〜6の脂肪族ジオールを使用するのが好ましく、1,4−ブタンジオール又は3−メチル−1,5−ペンタンジオールを使用するのがより好ましい。 更に、上記のジオールと共に、少量の3官能以上の低分子ポリオールを併用することができる。 3官能以上の低分子ポリオールとしては、例えば、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオールなどが挙げられる。 ポリエステルポリオールを、ラクトンを開環重合することにより製造する場合に用いられるラクトンとしては、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトンなどを挙げることができる。 また、ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)などが挙げられる。 これらのポリエーテルポリオールは1種類を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。 これらの中でも、ポリテトラメチレングリコールを用いるのが好ましい。 高分子ポリオールの数平均分子量が500〜8,000の範囲内にあることにより、力学的性能や成形性がより優れたTPUが得られる。 数平均分子量は、好適には700以上であり、5,000以下である。 ここでいう高分子ポリオールの数平均分子量は、いずれもJIS K1577に準拠して測定した水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。 TPU(A)及びTPU(B)を合成する際に用いられる鎖伸長剤は、分子量300以下の低分子ポリオールであり、通常ジオールである。 例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコールなどが挙げられる。 これらの低分子ポリオールは1種類を単独で、または2種以上を混合して使用してもよい。 これらの中でも、炭素数2〜10の脂肪族ジオールを用いるのが好ましく、1,4−ブタンジオールを用いるのがより好ましい。 TPU(A)およびTPU(B)の製造方法としては、前記の高分子ポリオール、ポリイソシアネート及び鎖伸長剤を使用し、公知のウレタン化反応技術を利用して製造することができる。 このとき、プレポリマー法およびワンショット法のいずれで製造することもできる。 また、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、特に多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合が好ましい。 本発明においては、TPU(A)が、下記式(1) 溶融成形に用いられる一般的なTPUにおける比[PIa/(POHa+CLa)]は、通常1.02未満であることが多いが、このようなTPUとEVOHとからなる樹脂組成物の溶融成形性は必ずしも良好でなかった。 例えば、当該樹脂組成物を用いてフィルムを成形する場合などには、穴あきや膜面荒れなどが発生しやすく、外観の良好な成形品を得ることが容易ではなかった。 この点は、TPU層とEVOH層を有する多層構造体のスクラップを再使用して溶融成形するような場合に特に問題であった。 これに対し本発明者らは、比[PIa/(POHa+CLa)]が1.02未満のTPUに加えて、比[PIa/(POHa+CLa)]が1.02以上のTPUを併用することによって、EVOHを含む樹脂組成物の溶融成形性が良好になることを見出し、本発明を完成した。 そのメカニズムは必ずしも明らかではないが、吸湿に由来する溶融成形時のTPUの分子量低下が、イソシアネート比の高いTPUを配合することによって効果的に抑制されるためではないかと考えられる。 TPU(A)は、下記式(1) TPU(B)は、下記式(2) また、TPU(B)のJIS A硬度は80〜95の範囲内であることが好ましい。 JIS A硬度が80より低い場合または95より高い場合は、TPU層とEVOH層を有する多層構造体の耐疲労性や柔軟性などが悪化する。 JIS A硬度のより好適な下限値は85である。 ここで、TPUのJIS A硬度は、JIS K7311に準拠して測定した値である。 一方、TPU(A)のJIS A硬度についても、TPU(B)と同程度のJIS A硬度であることが好ましい。 TPU(A)の対数粘度は、N,N−ジメチルホルムアミドにTPU(A)を濃度0.5g/dlになるように溶解し、得られた溶液を用いて30℃で測定した時に0.85dl/g以上であることが好ましく、1.0dl/g以上であることがより好ましく、1.1dl/g以上であることがさらに好ましい。 上記の対数粘度より低いTPU(A)を用いた場合、TPU(A)、TPU(B)及びEVOH(C)を溶融混練する際に十分なせん断力がかからず、TPU(A)に含まれるイソシアネート基の反応が進行しにくくなるおそれがある。 TPU(A)の対数粘度は、通常1.5dl/g以下である。 一方、TPU(B)の対数粘度は、N,N−ジメチルホルムアミドにTPU(B)を濃度0.5g/dlになるように溶解し、得られた溶液を用いて30℃で測定した時に0.85dl/g以上であることが好ましく、1.0dl/g以上であることがより好ましく、1.1dl/g以上であることがさらに好ましい。 上記の対数粘度を有するTPUを用いることにより、より残留歪みの少ない成形品が得られる。 TPU(B)の対数粘度は、通常1.2dl/g以下である。 本発明で用いるEVOH(C)は、エチレンと、酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステルとの共重合体を、アルカリ触媒などを用いてケン化して得られる。 EVOH(C)のエチレン含有量は20〜60モル%である。 エチレン含有量が20モル%未満では、高湿度下でのガスバリア性が低下し溶融成形性も悪化する。 エチレン含有量は好適には25モル%以上である。 一方、エチレン含有量が60モル%を超えたのでは、十分なガスバリア性が得られない。 エチレン含有量は好適には50モル%以下であり、より好適には45モル%以下である。 EVOH(C)のケン化度は90モル%以上であり、好適には95モル%以上、より好適には98モル%以上である。 ケン化度が90モル%未満では、高湿度時のガスバリア性が低下するだけでなく、EVOH(C)の熱安定性が悪化し、成形物にゲル・ブツが発生しやすくなる。 EVOH(C)のエチレン含有量およびケン化度は、核磁気共鳴(NMR)法により求めることができる。 EVOH(C)には、本発明の目的が阻害されない範囲で他の単量体を少量共重合することもできる。 共重合できる単量体の例としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン;イタコン酸、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、その塩、その部分または完全エステル、そのニトリル、そのアミド、その無水物;不飽和スルホン酸またはその塩;アルキルチオール類;ビニルピロリドン類などが挙げられる。 その共重合量は、通常10モル%以下であり、好適には5モル%以下である。 なお、EVOH(C)が、共重合成分としてビニルシラン化合物0.0002〜0.2モル%を含有してもよい。 この場合には、共押し出しする際の基材樹脂との溶融粘性の整合性が改善され、均質な共押出多層フィルムの製造が可能になるだけでなく、他の樹脂とブレンドする場合に分散性が改善されることがある。 したがって、溶融成形性の改善の面から有効である。 ここで、ビニルシラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルメトキシシランなどが挙げられる。 なかでも、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが好適に用いられる。 EVOH(C)がホウ素化合物を含有してもよい。 その場合には、溶融粘性が改善され、TPU(A)及びTPU(B)との混合に際して分散性が改善されるとともに、均質な共押出多層フィルムの成形が可能になることがある。 ホウ素化合物の含有量は好ましくはホウ素元素換算で20〜2000ppm、より好ましくは50〜1000ppmである。 ここでホウ素化合物としては、ホウ酸類、ホウ酸エステル、ホウ酸塩、水素化ホウ素類などが挙げられる。 具体的には、ホウ酸類としては、オルトホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸などが挙げられ、ホウ酸エステルとしてはホウ酸トリエチル、ホウ酸トリメチルなどが挙げられ、ホウ酸塩としては上記の各種ホウ酸類のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホウ砂などが挙げられる。 これらの化合物の中でもオルトホウ酸、NaBH 4が好ましい。 EVOH(C)が、アルカリ金属塩をアルカリ金属元素換算で5〜5000ppm含有してもよい。 この場合、層間接着性や相溶性が改善されることがある。 アルカリ金属塩のより好適な含有量はアルカリ金属元素換算で20〜1000ppm、さらには30〜500ppmである。 ここでアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウムなどがあげられ、アルカリ金属塩としては、一価金属の脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン酸塩、リン酸塩、金属錯体などが挙げられる。 例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、エチレンジアミン四酢酸のナトリウム塩などが挙げられる。 中でも酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、リン酸ナトリウムが好適である。 EVOH(C)が、リン化合物をリン元素換算で2〜200ppm、より好適には3〜150ppm、最適には5〜100ppm含有してもよい。 EVOH(C)中のリン濃度が2ppmより少ない場合や200ppmより多い場合には、溶融成形性や熱安定性に問題を生じる場合がある。 特に、長時間にわたる溶融成形を行なう際のゲル状ブツの発生や着色の問題が発生しやすくなることがある。 EVOH(C)に配合されるリン化合物の種類は特に限定されず、リン酸、亜リン酸などの各種の酸やその塩などを用いることができる。 リン酸塩としては第1リン酸塩、第2リン酸塩、第3リン酸塩のいずれの形で含まれていても良く、そのカチオン種も特に限定されないが、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩であることが好ましい。 中でも、リン酸2水素ナトリウム、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウムの形でリン化合物を添加することが好ましい。 EVOH(C)の好適なメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下、ASTM D1238に基づく)は、0.1〜100g/10分、より好適には0.5〜50g/10分である。 本発明の樹脂組成物における、TPU(B)とEVOH(C)の質量比(B/C)は、70/30〜99/1である。 質量比(B/C)が70/30未満の場合、TPU(B)とEVOH(C)が架橋しやすくなり、樹脂組成物の溶融成形性が悪化する。 質量比(B/C)は、好適には75/25以上であり、より好適には80/20以上である。 一方、質量比(B/C)が99/1を超える場合、TPU(A)を配合しなくても溶融成形性悪化の問題は発生しにくく、本発明の樹脂組成物を採用する利益が小さい。 質量比(B/C)は、好適には98/2以下であり、より好適には95/5以下である。 また本発明の樹脂組成物における、TPU(B)とEVOH(C)の合計100質量部に対するTPU(A)の含有量は1〜30質量部である。 TPU(A)の含有量が1質量部未満の場合、得られる樹脂組成物における溶融粘度低下の防止効果が不十分である。 TPU(A)の含有量は、好適には2質量部以上である。 一方、TPU(A)の含有量が30質量部を超える場合、得られる樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎて溶融成形することが困難となる。 TPU(A)の含有量は、好適には20質量部以下である。 本発明の樹脂組成物の製造方法は、TPU(A)、TPU(B)及びEVOH(C)を溶融混練する方法であればよく、特に限定されない。 押出機、ブラベンダーなど、公知の混練方法を採用することができる。 溶融混練して得られた樹脂組成物をそのまま成形してもよいし、一旦ペレットを製造してから、別の成形機で成形しても構わない。 本発明の樹脂組成物は、多層構造体のスクラップを原料として製造することが好ましい。 すなわち、本発明の樹脂組成物の好適な製造方法は、TPU(B)からなる層及びEVOH(C)からなる層をそれぞれ少なくとも1層以上含有する多層構造体から得られるスクラップに、TPU(A)を配合して溶融混練する方法である。 本発明の樹脂組成物は、スクラップを原料として得られたものであっても溶融成形性が良好なので、スクラップの再使用が容易になり、省資源の観点から好ましい。 スクラップとしては、共押出成形によって製造された多層フィルムの耳部、共押出ブロー成形で製造する際に副生するトリム屑、熱成形した際のバリ、さらには成形不良による廃棄品などを用いることができる。 スクラップは適当な寸法に裁断され、必要に応じて乾燥されてから、TPU(A)と混合される。 本発明の樹脂組成物を成形する方法は特に限定されず、押出成形、射出成形などの各種の溶融成形方法が採用される。 本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形品は特に限定されず、該樹脂組成物のみからなる成形品であっても構わないが、該樹脂組成物からなる層を有する多層構造体であることが好ましい。 好適な実施態様は、本発明の樹脂組成物からなる層、TPU(B)からなる層及びEVOH(C)からなる層をそれぞれ少なくとも1層以上含有する多層構造体である。 TPU(B)からなる層をB、EVOH(C)からなる層をC、本発明の樹脂組成物からなる層をRとした場合、R/B/C/B/R、R/B/C/B、B/R/C/R/B、B/R/C/Bなどの層構成が例示される。 TPU(B)層とEVOH(C)層とは、接着性樹脂を介さなくても相互に接着することが可能であるが、本発明の樹脂組成物からなる層も、接着性樹脂を介さなくても両者と接着することが可能である。 本発明の樹脂組成物からなる層が多層構造体のスクラップを原料として製造された樹脂組成物の層であることが好ましい。 本発明の樹脂組成物からなる層を有する多層構造体の成形方法は特に限定されず、共押出成形法、共射出成形法などが採用されるが、製造が容易である点や経済的である点などから共押出成形法が好適である。 共押出成形法としては、共押出シート成形法、共押出インフレ成形法、共押出ブロー成形法、共押出ラミネート法などを挙げることができる。 共押出成形法あるいは共射出成形法によって成形する場合には、それぞれの層を形成する樹脂の溶融粘度が同程度であることが望ましい。 それぞれの層を形成する樹脂の溶融粘度が大きく異なる場合、膜面荒れや穴あきが発生する原因となる。 したがって、多層構造体中において、樹脂組成物とTPU(B)との溶融粘度の差を小さくすることが重要である。 このようにして得られた多層構造体のシート、フィルム、パリソンなどを再加熱して、一軸、あるいは二軸延伸することによって延伸された成形品を得ることもできる。 その場合の成形方法としては、熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレ延伸法、ブロー成形法などが例示される。 こうして得られた成形品は、ガスバリア性や柔軟性などが要求される各種の用途に用いられる。 以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明する。 (1)TPU(A)の合成 原料として、以下の2種のポリエステルポリオール、ジイソシアネート、鎖伸長剤を使用した。 ポリエステルポリオールとしては、上記ポリエステルポリオール(1)とポリエステルポリオール(2)の98/2(モル比)の混合物を用いた。 当該混合物の1分子当たりの水酸基数は2.02である。 当該混合物とMDIとBDの仕込み比が表1の合成例1〜4に示された値になるように混合し、多軸スクリュー型押出機(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200℃)を用いて連続的に溶融混練し、TPU(A−1)〜(A−4)のペレットを得た。 得られたTPU(A−1)〜(A−4)の対数粘度は、全て1.20dl/g(N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、濃度0.5g/dl、30℃で測定)であった。 また、得られたペレットにつき、ASTM D1238に基づき、200℃、2160g荷重の条件でメルトフローレートを測定したところ、それぞれ1.6g/10分、2.0g/10分、2.1g/10分、1.6g/10分であった。 TPU(A−1)〜(A−4)の合成例を表1に示す。 (2)TPU(B)の合成 ポリエステルポリオール(1)61.78質量%、MDI32.21質量%、BD6.02質量%の混合物を、多軸スクリュー型押出機(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200℃)を用いて連続的に溶融混練し、TPU(B−1)のペレットを得た。 得られたTPU(B−1)の対数粘度は、1.15dl/g(N,N−ジメチルホルムアミド溶媒、濃度0.5g/dl、30℃で測定)であった。 得られたサンプルにつき、ASTM D1238に基づき、200℃、2160g荷重の条件でメルトフローレートを測定したところ、1.6g/10分であった。 TPU(B−1)の合成例を表1に示す。 (3)EVOH(C) 実施例1 [製膜試験] 実施例2〜9、比較例1〜3 実施例10 得られた樹脂組成物(R−1)と、TPU(B−1)、EVOH(C−1)とを使用し、3種5層共押出装置を用いて、下記共押出成形条件で5層シート(R−1/B−1/C−1/B−1/R−1)を作製した。 得られた5層シートは表面荒れがなく、各層とも厚みの乱れが見られなかった。 評価結果を表3に示す。 得られた多層シートにおいて、表面荒れがなく、各層とも厚みの乱れが見られない場合をA、多層シートは得られたが表面荒れや厚みの乱れが見られた場合をB、表面荒れや穴あきにより多層シートが得られない場合をCとした。 共押出成形条件は以下のとおりである。 実施例11、12、比較例4〜6 |