回路基板

申请号 JP2016106808 申请日 2016-05-27 公开(公告)号 JP6270913B2 公开(公告)日 2018-01-31
申请人 トッパン・フォームズ株式会社; 发明人 森 昭仁;
摘要
权利要求

基材上に銀層を備え、前記銀層が、粗さ曲線のクルトシスが下記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす表面を有する積層体の前記銀層のうち、粗さ曲線のクルトシスが、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす表面上に、導電性接合部を介して電子部品が搭載された回路基板であって、 前記銀層の表面の粗さ曲線のクルトシスが、前記銀層が温度85℃及び相対湿度85%の条件下で240時間経過した段階で4.2以上であるか、又は前記銀層が温度85℃及び相対湿度85%の条件下で480時間経過した段階で6以上である、回路基板。 (i)温度85℃及び相対湿度85%の条件下で240時間経過後において、クルトシスの変化率が50%以上である。 (ii)温度85℃及び相対湿度85%の条件下で480時間経過後において、クルトシスの変化率が200%以上である。前記導電性接合部が、導電性接着剤を硬化させた接合層、又ははんだ層である、請求項1に記載の回路基板。前記銀層の金属銀の比率が99質量%以上99.9質量%以下である、請求項1又は2に記載の回路基板。

说明书全文

本発明は、銀層を備えた積層体、及び前記積層体に電子部品が搭載された回路基板に関する。 本願は、2013年3月29日に日本に出願された特願2013−072363号、2014年3月20日に日本に出願された特願2014−059150号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

基材上の配線部に導電性接着剤等で外部接続電極等の電子部品が接合された回路基板は、幅広い製品に搭載され、膨大な量が使用されている。 このような回路基板では、通常、高温高湿条件下で、配線部と電子部品との接合が低下し易いという問題点がある。 これに対して、配線部と電子部品との接合力を向上させる手法としては、電子部品の接合部表面を銀等の金属で被覆したり、接合部表面の表面粗さを0.1μm以上10μm未満とする手法が開示されている(特許文献1参照)。

しかし、特許文献1で開示されている手法でも、高温高湿条件下では、配線部と電子部品との十分な接合力が得られないことがあるという問題点があった。なかでも銀で配線部が構成された回路基板では、銀配線(銀層)の表面状態が、銀配線及び電子部品の接合力にどのような影響を及ぼすのか、十分に検討されておらず、回路基板への適用に好適な、支持体上に銀層を備えた新たな積層体の開発が望まれていた。

特開2002−076565号公報

本発明は、高温高湿条件下においても電子部品との高い接合力を維持できる銀層を備えた積層体、及び前記積層体に電子部品が搭載された回路基板を提供することを課題とする。

本発明は、基材上に銀層を備え、前記銀層が、粗さ曲線のクルトシスが下記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす表面を有する積層体の前記銀層のうち、粗さ曲線のクルトシスが、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす表面上に、導電性接合部を介して電子部品が搭載された回路基板であって、前記銀層の表面の粗さ曲線のクルトシスが、前記銀層が温度85℃及び相対湿度85%の条件下で240時間経過した段階で4.2以上であるか、又は前記銀層が温度85℃及び相対湿度85%の条件下で480時間経過した段階で6以上である、回路基板を提供する。 (i)温度85℃及び相対湿度85%の条件下で240時間経過後において、クルトシスの変化率が50%以上である。 (ii)温度85℃及び相対湿度85%の条件下で480時間経過後において、クルトシスの変化率が200%以上である。

本発明の回路基板においては、前記導電性接合部が、導電性接着剤を硬化させた接合層、又ははんだ層であってもよい。 本発明の回路基板においては、前記銀層の金属銀の比率が99質量%以上99.9質量%以下であってもよい。

本発明の積層体は、高温高湿条件下においても電子部品との高い接合力を維持できる銀層を備えており、前記積層体に電子部品を搭載して回路基板とすることができる。

本発明に係る積層体の一例を示す概略断面図である。

本発明に係る、密着層が設けられた積層体の一例を示す概略断面図である。

本発明に係る積層体の製造方法の一例を説明するための概略断面図である。

本発明に係る積層体の製造方法の一例を説明するための概略断面図である。

本発明に係る回路基板と、その実施例における横押しせん断強度試験を説明するための模式図である。

本発明に係る回路基板と、その実施例における横押しせん断強度試験を説明するための模式図である。

本発明の積層体及び回路基板の好ましい例について以下に説明する。ただし、本発明はこれら例のみに限定されることはなく、例えば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、追加、省略、置換、及びその他の変更(量、数、位置、サイズなど)が可能である。

<<積層体>> 本発明に係る積層体は、基材上に銀層を備え、前記銀層が、粗さ曲線のクルトシスが下記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす表面を有する。 (i)温度85℃及び相対湿度85%の条件下で240時間経過後において、クルトシスの変化率が50%以上である。 (ii)温度85℃及び相対湿度85%の条件下で480時間経過後において、クルトシスの変化率が200%以上である。 前記積層体は、銀層が、上記の高温高湿条件下で所定時間経過後の粗さ曲線のクルトシスの変化率が所定の範囲にある表面を有することで、前記表面上において、導電性接合部を介した銀層と電子部品との高い接合力が、高温高湿条件下でも長期間維持される。ここで、「接合力」とは、銀層と電子部品とを一体に接合させる力を意味し、例えば、導電性接着剤を用いて銀層と電子部品とを接着させた場合であれば、導電性接着剤が硬化して形成された接着層が、銀層と電子部品とを接着する力(接着力)が該当する。 本明細書において、粗さ曲線のクルトシスが前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす銀層表面とは、銀層の電子部品との導電性接合部を形成する面である。

図1は、本発明に係る積層体の一例を示す概略断面図である。 ここに示す積層体1は、基材11上に銀層12を備えたものであり、銀層12は、基材11上で所定の形状にパターニングされている。銀層12の表面(一方の主面)12aは、後述する回路基板において、導電性接合部を介して電子部品を搭載する面である。また、銀層12の裏面(他方の主面)12bは、基材11の表面11aとの接触面である。 なお、積層体1においては、例えば、銀層12は基材11の表面11a全面に積層されていてもよい。

本発明に係る積層体は、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、一部構成が適宜変更されたものでもよい。例えば、基材11上に銀層12以外のその他の層が設けられたものでもよく、前記その他の層としては、基材11及び銀層12の密着性を向上させるために、これらの層の間に設けられる密着層が例示できる。

図2は、本発明に係る、密着層が設けられた積層体の一例を示す概略断面図である。なお、図2に示す構成要素のうち、図1に示すものと同じものには、図1の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。これは、以降の図においても同様である。

ここに示す積層体2は、基材11及び銀層12間に密着層13が設けられたものであり、この点以外は、上記の積層体1と同じでものである。 密着層13は、基材11の表面11aの全面に積層され、銀層12は密着層13の表面13aの一部に積層されている。なお、ここでは、基材11の表面11a全面に密着層13が積層されたものを示しているが、積層体2においては、銀層12の裏面12bの全面が密着層13の表面13aと接触していることが好ましい。また、例えば密着層13は、基材11の表面11aの全面ではなく一部のみに積層されていてもよいし、その場合、密着層13はパターニングされていてもよい。

<基材> 基材11は、目的に応じて任意の形状を選択できるが、プレート状、フィルム状又はシート状であることが好ましく、厚さが10〜10000μmであることが好ましく、50〜5000μmであることがより好ましい。

基材11の材質は特に限定されず、目的に応じて選択すればよいが、後述する銀インク組成物の加熱処理による銀層形成時に変質しない耐熱性を有するものが好ましい。 基材11の材質として具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリシクロオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリアクリル酸メチル(PMA)、ポリアクリル酸エチル(PEA)、ポリアクリル酸ブチル(PBA)、AS樹脂、ABS樹脂、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリカーボネート(PC)、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE)、ポリアリレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂等の合成樹脂が例示できる。 また、基材11の材質としては、上記以外にも、ガラス、シリコン等のセラミックス;上質紙、薄葉紙、グラシン紙、硫酸紙等の紙類が例示できる。 また、基材11は、ガラスエポキシ樹脂、ポリマーアロイ等の、二種以上の材質を併用したものでもよい。

基材11は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。基材11が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが異なっていてもよい。そして、複数層が互いに異なる場合、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。ここで、複数層が互いに異なるとは、各層の材質及び厚さの少なくとも一方が互いに異なることを意味する。 なお、基材11が複数層からなる場合には、各層の合計の厚さが、上記の好ましい基材11の厚さとなるようにするとよい。

<銀層> 銀層12は、その露出面のうち、少なくとも導電性接合部を介して電子部品を搭載する部位(図1及び図2では表面12aの所定部位)において、粗さ曲線のクルトシスが、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たすように構成されていればよい。なお、図1及び図2では、銀層12として、表面12a及び裏面12bを繋ぐ側面があるようなプレート状のものを例示しているが、このような側面を有さずに、基板11の表面11a上又は密着層13の表面13a上から、曲面等を介して表面12aを有するような形状の銀層であってもよい。

銀層12は、金属銀からなるもの又は金属銀を主成分とするものである。ここで「金属銀を主成分とする」とは、金属銀の比率が、見かけ上金属銀だけからなるとみなし得る程度に十分に高いことを意味し、例えば、金属銀の比率が95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることが特に好ましい。銀層12の金属銀の比率の上限値は、例えば、100質量%、99.9質量%、99.8質量%、99.7質量%、99.6質量%、99.5質量%、99.4質量%、99.3質量%、99.2質量%及び99.1質量%のいずれかから選択できる。

銀層12は、後述する金属銀の形成材料を用いて形成されたものが好ましい。メッキ等の手法ではなく、金属銀の形成材料を用いることにより、表面12aの粗さ曲線のクルトシスが、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす銀層12を容易に形成できる。

粗さ曲線のクルトシス(Rku)とは、二乗平均平方根高さRqの四乗によって無次元化した基準長さlにおいて、粗さ曲線Z(x)の四乗平均を表す。粗さ曲線のクルトシス(Rku)は、具体的には下記式(I)で求められる。クルトシス(Rku)は、表面の鋭さの尺度である尖度を意味し、高さ分布のとがり(鋭さ)を表す。すなわち、クルトシス(尖度)は、凹凸形状の凸状部分の形状を規定するパラメータであり、この値が大きいほど、凹凸形状の凸状部分の形状は、針のように尖った形状であることを意味する。ここで、粗さ曲線Z(x)は、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)に基づく「表面粗さ」、すなわち算術平均粗さ(Ra)における粗さ曲線y=Z(x)と同じである。

銀層が前記条件(i)を満たすとは、銀層を温度85℃及び相対湿度85%の条件下で240時間経過させる試験を行ったときに、その表面の粗さ曲線が下記式(i)−1の関係を満たすことを意味する。 (Rku240−Rku0)/Rku0×100≧50 ・・・・(i)−1 (式中、Rku0は試験前の粗さ曲線のクルトシスであり;Rku240は試験後(240時間経過後)の粗さ曲線のクルトシスである。)

同様に、銀層が前記条件(ii)を満たすとは、銀層を温度85℃及び相対湿度85%の条件下で480時間経過させる試験を行ったときに、その表面の粗さ曲線が下記式(ii)−1の関係を満たすことを意味する。 (Rku480−Rku0)/Rku0×100≧200 ・・・・(ii)−1 (式中、Rku0は試験前の粗さ曲線のクルトシスであり;Rku480は試験後(480時間経過後)の粗さ曲線のクルトシスである。)

本発明において、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たすとは、銀層を温度85℃及び相対湿度85%という高温高湿条件下に、240時間又は480時間置いたときに、表面の粗さ曲線のクルトシスが所定の値よりも大きく変化することを意味する。これは、すなわち、銀層の表面状態が大きく変化することを意味する。銀層12を、高温高湿条件下においても電子部品との高い接合力を維持できるものとするためには、例えば、銀層12の表面粗さを所定の範囲としたり、銀層12の表面粗さの変化率を所定の範囲とするだけでは不十分であり、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす必要がある。ここで、「表面粗さ」とは、JIS B0601:2001(ISO4287:1997)に基づくものであり、算術平均粗さ(Ra)を意味し、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さlだけを抜き取り、この抜取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にY軸を取り、粗さ曲線をy=Z(x)で表したときに、以下の式(II)によって求められた値をナノメートル(nm)単位で表示したものである。

銀層12表面の粗さ曲線のクルトシスは、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たせばよいが、前記条件(i)及び(ii)を共に満たすことが好ましい。

銀層12表面の粗さ曲線のクルトシスは、銀層12を所定の条件で経時させる前の初期段階(すなわち経過時間0時間)で、1.8以上であることが好ましく、2以上であることがより好ましく、6以下であることが好ましい。 銀層12表面の粗さ曲線のクルトシスは、銀層12が温度85℃及び相対湿度85%の条件下で240時間経過した段階で、3.8以上であることが好ましく、4.2以上であることがより好ましく、45以下であることが好ましい。 銀層12表面の粗さ曲線のクルトシスは、銀層12が温度85℃及び相対湿度85%の条件下で480時間経過した段階で、5以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、430以下であることが好ましい。

銀層12表面の粗さ曲線のクルトシスは、銀層12の表面形状を、この表面の上方から測定して求めることができる。このときの測定対象の表面は、上述の銀層12の表面12a(後述する回路基板における、導電性接合部を介して電子部品を搭載する面)であってもよいし、銀層12を切断又は切削して新たに露出させた断面であってもよい。銀層12を切断した場合には、異なる二つの面の間で(例えば、銀層12の表面12aと裏面12bとの間で)前記断面が露出される。銀層12を切削した場合には、面から深さ方向の一部の領域(例えば、銀層12の表面12aから銀層12の厚さ方向の一部の領域)で前記断面が露出される。銀層12を切断又は切削する方向は特に限定されない。銀層12の断面としては、例えば、図1に示すような、銀層12の表面12a又は基材11の表面11aに対して垂直な方向における断面、銀層12の表面12a又は基材11の表面11aに対して平行な方向における断面、銀層12の表面12a又は基材11の表面11aに対して0°及び90°以外の度をなす方向における銀層12の断面のいずれであってもよい。そして、断面の外形は特に限定されず、例えば、図1に示すように四角形であってもよいし、直方体の角部を切断したとき等に見られる三角形であってもよい。銀層12の形状を測定する表面は、温度85℃及び相対湿度85%の条件下で積層体1又は2を保存するときに、露出されている銀層12の面であればよい。 銀層12の表面形状は、例えば、形状測定レーザマイクロスコープ等の顕微鏡を用いる方法等、公知の方法で測定できる。

基材11の表面11aに対して垂直な方向での銀層12の断面は、例えば、液体窒素等の冷媒を用いて、銀層12を極めて低い温度に冷却した状態で切断したり、ミクロトーム等の試験片を切り出す装置を用いて、銀層12を切断することで、露出させることができる。ミクロトームを用いれば、切削によって銀層12の断面を露出させることもできる。

銀層12の形状は特に限定されず、例えば、基材11の表面11aを上方から見下ろすように、積層体1を平面視したときの、銀層12の形状は、目的に応じて任意に設定できる。

銀層12の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜3μmであることがより好ましい。銀層12の厚さが前記下限値以上であることで、導電性をより向上させることができ、さらに、銀層12の構造をより安定して維持できる。また、銀層12の厚さが前記上限値以下であることで、積層体1をより薄層化できる。

銀層12は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。銀層12が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、基材11の場合と同様に構成できる。例えば、複数層からなる導電層12は、各層の合計の厚さが、上記の好ましい導電層12の厚さとなるようにするとよい。

<密着層> 密着層13の材質は、基材11の種類に応じて適宜調節すればよく、特に限定されないが、各種樹脂であるか、又はシランカップリング剤を用いて形成されたものが好ましい。 また、密着層13の材質は、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、目的に応じて任意に調節できる。

なかでも、密着層13の材質は、各種樹脂である場合、ウレタンアクリレート樹脂を用いて形成されたものが好ましく、ウレタンアクリレート樹脂を重合して形成されたものがより好ましい。

密着層13の形成に用いる前記ウレタンアクリレート樹脂は、ポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート樹脂(以下、「ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート樹脂」と記載することがある)であることが好ましい。

また、密着層13の材質は、シランカップリング剤を用いて形成されたものである場合、前記シランカップリング剤は、下記一般式(3)で表される化合物(以下、「化合物(3)」と略記することがある)であることが好ましい。

(式中、R11は炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシアルキル基又はアルキルカルボニル基であり;R12は炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基であり;R13は炭素数1〜10のアルキレン基であり;R14は炭素数1〜5のアルキレン基であり、前記アルキレン基中の1個以上のメチレン基はカルボニル基で置換されていてもよく;Zはアミノ基、メルカプト基又は炭素数6〜12のアリール基であり;m1は2又は3であり、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよく;m2及びm3はそれぞれ独立に0又は1であり、ただし、Zがアミノ基である場合には、m2及びm3の少なくとも一方は1である。)

(化合物(3)) 化合物(3)は、前記一般式(3)で表される。 式中、R11は炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシアルキル基又はアルキルカルボニル基である。 R11における前記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよい。 直鎖状又は分枝鎖状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基が例示できる。 環状のアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基が例示できる。 R11における前記アルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状であることが好ましく、炭素数が1〜3であることが好ましい。

R11における前記アルコキシアルキル基としては、これを構成するアルコキシ基が、R11としての前記アルキル基が酸素原子に結合してなる1価の基であり、前記アルコキシ基が結合しているアルキレン基が、R11としての前記アルキル基から1個の素原子を除いてなる基であるものが例示できる。ただし、前記アルコキシ基及びアルキレン基の合計の炭素数(前記アルコキシアルキル基の炭素数)は2〜5である。 R11における前記アルコキシアルキル基は、直鎖状又は分枝鎖状であることが好ましく、炭素数が3以下であることが好ましく、メトキシメチル基又は2−メトキシエチル基であることがより好ましい。

R11における前記アルキルカルボニル基としては、R11としての前記アルキル基がカルボニル基(−C(=O)−)の炭素原子に結合してなる1価の基が例示できる。ただし、カルボニル基の炭素原子に結合しているアルキル基の炭素数は1〜4(前記アルキルカルボニル基の炭素数は2〜5)である。 R11における前記アルキルカルボニル基は、直鎖状又は分枝鎖状であることが好ましく、炭素数が3以下であることが好ましく、メチルカルボニル基(アセチル基)又はエチルカルボニル基であることがより好ましい。

式中、R12は炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基である。 R12における前記アルキル基としては、R11における前記アルキル基と同じのものが例示でき、R11と互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。

R12における前記アリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、o−トルイル基、m−トルイル基、p−トルイル基、キシリル基(ジメチルフェニル基)等が例示できる。また、これらアリール基の、1個以上の水素原子がアルキル基及び/又はアルコキシ基で置換されたものでもよい。ここで、水素原子が置換される前記アルキル基としては、R11における前記アルキル基と同じのものが例示でき、水素原子が置換される前記アルコキシ基としては、R11における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる1価の基が例示できる。そして、これらアルキル基及び/又はアルコキシ基で置換されている場合、前記アリール基は、これらアルキル基及び/又はアルコキシ基も含めて、炭素数が12以下である。 R12における前記アリール基は、単環状であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。

式中、R13は炭素数1〜10のアルキレン基であり、本発明において前記「アルキレン基」は、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。 R13における前記アルキレン基としては、炭素数1〜10のアルキル基から1個の水素原子を除いてなる2価の基が例示でき、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、n−ヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、n−ヘプチル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、3−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。

R13における前記アルキレン基は、炭素数が1〜7であることが好ましく、炭素数が1〜5であることがより好ましく、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(メチルエチレン基)、トリメチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、1,2−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、1−エチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、1−メチル−2−エチルエチレン基、n−プロピルエチレン基等が例示できる。

式中、R14は炭素数1〜5のアルキレン基であり、R13における前記アルキレン基のうち、炭素数が1〜5のものと同じであり、炭素数が1〜3であることが好ましい。 また、R14における前記アルキレン基は、メチレン基であるか、又はメチレン基が2〜5個連結して構成されるが、アルキレン基を構成するこれらメチレン基(−CH2−)のうちの1個以上は、カルボニル基(−C(=O)−)で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されるメチレン基の数は、前記アルキレン基中のメチレン基の総数に依存し、特に限定されず、例えば、R14はカルボニル基のみで構成されていてもよいし、カルボニル基であってもよく、1個以上のアルキレン基と1個以上のカルボニル基とが混在したものでもよい。そして、通常は、R14中のカルボニル基の数は、2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。

式中、Zはアミノ基(−NH2)、メルカプト基(−SH)又は炭素数6〜12のアリール基である。 Zにおける前記アリール基としては、R12における前記アリール基と同じものが例示でき、R12と互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。

式中、m1は2又は3であり、複数個のR11は互いに同一でも異なっていてもよい。 また、m2及びm3はそれぞれ独立に0又は1である。ただし、Zがアミノ基である場合には、m2及びm3の少なくとも一方は1である(m2及びm3が共に0になることはない)。

特に好ましい化合物(3)としては、R11及びR12が炭素数1〜3のアルキル基であり、R13が炭素数1〜5のアルキレン基であり、R14が炭素数1〜3のアルキレン基又はカルボニル基であり、Zがアミノ基、メルカプト基又はフェニル基であるものが例示できる。このような化合物(3)としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン((CH3O)3Si(CH2)3NH(CH2)2NH2)、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン((CH3O)2Si(CH3)(CH2)3NH(CH2)2NH2)、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン((CH3CH2O)3Si(CH2)3NHC(=O)NH2)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン((CH3O)3Si(CH2)3NHC6H5)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン((CH3O)3Si(CH2)3SH)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン((CH3O)2Si(CH3)(CH2)3SH)が例示できる。

化合物(3)は、シランカップリング剤であるが、市販品を用いてもよいし、公知の手法で合成したものを用いてもよい。

密着層13の形成に用いる化合物(3)は、一種のみでもよいし二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は特に限定されない。

密着層13の厚さは、目的に応じて任意に設定できるが、0.5〜10μmであることが好ましく、0.5〜4μmであることがより好ましい。密着層13の厚さが前記下限値以上であることで、基材11及び銀層12の密着性がより向上する。また、密着層13の厚さが前記上限値以下であることで、積層体2をより薄層化できる。

密着層13は、単層からなるものでもよいし、二層以上の複数層からなるものでもよい。密着層13が複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、基材11の場合と同様に構成できる。例えば、複数層からなる密着層13は、各層の合計の厚さが、上記の好ましい密着層13の厚さとなるようにするとよい。

<<積層体の製造方法>> 本発明に係る積層体は、例えば、基材上に銀層を形成する工程を有する製造方法で製造できる。 図3A及び図3Bは、図1に示す積層体1の製造方法の一例を説明するための概略断面図である。

[基材上に銀層を形成する工程] 積層体1を製造するためには、図3A及び図3Bに示すように、基材11の表面(一方の主面)11a上に銀層12を形成する。 銀層12は、例えば、金属銀の形成材料が配合されてなる銀インク組成物を調製し、これを基材11の表面11a上の所望の箇所に付着させ、必要に応じて乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで形成することが好ましい。加熱処理は、乾燥処理を兼ねて行ってもよい。 また、銀インク組成物を基材11の表面11a上の所定の箇所又は全面に付着させ、必要に応じて乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理を適宜選択して行うことで銀層(パターニング前の銀層、図示略)を形成した後、エッチング等の公知の手法でこの銀層を所望の形状となるようにパターニングすることで、銀層12を形成できる。 銀インク組成物としては、液状のものが好ましく、金属銀の形成材料が溶解又は均一に分散されたものが好ましい。

<金属銀の形成材料> 前記金属銀の形成材料は、銀原子(銀元素)を有し、分解等の構造変化によって金属銀を生じるものであればよく、銀塩、銀錯体、有機銀化合物等が例示できる。前記銀塩及び銀錯体は、有機基を有する銀化合物及び有機基を有しない銀化合物のいずれでもよい。なかでも金属銀の形成材料は、銀塩又は銀錯体であることが好ましい。 また、金属銀の形成材料は、加熱によって分解し、金属銀を形成するものが好ましい。 金属銀の形成材料を用いることで、前記材料から金属銀が生じ、この金属銀を含む銀層が形成される。 本発明において、金属銀の形成材料は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

[カルボン酸銀] 金属銀の形成材料としては、式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀が例示できる。 前記カルボン酸銀は、式「−COOAg」で表される基を有していれば特に限定されない。例えば、式「−COOAg」で表される基の数は1個のみでもよいし、2個以上でもよい。また、カルボン酸銀中の式「−COOAg」で表される基の位置も特に限定されない。

前記カルボン酸銀は、下記一般式(1)で表わされるβ−ケトカルボン酸銀(以下、「β−ケトカルボン酸銀(1)」と略記することがある)及び下記一般式(4)で表されるカルボン酸銀(以下、「カルボン酸銀(4)」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上であることが好ましい。 なお、本明細書においては、単なる「カルボン酸銀」との記載は、特に断りの無い限り、「β−ケトカルボン酸銀(1)」及び「カルボン酸銀(4)」だけではなく、これらを包括する、「式「−COOAg」で表される基を有するカルボン酸銀」を意味するものとする。

(式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY2−」、「CY3−」、「R1−CHY−」、「R2O−」、「R5R4N−」、「(R3O)2CY−」若しくは「R6−C(=O)−CY2−」で表される基であり; Yはそれぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子であり;R1は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基であり;R2は炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり;R3は炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり;R4及びR5はそれぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基であり;R6は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり; Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基であり; R7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基である。)

(式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基又は式「−C(=O)−OAg」で表される基であり、前記脂肪族炭化水素基がメチレン基を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。)

(β−ケトカルボン酸銀(1)) β−ケトカルボン酸銀(1)は、前記一般式(1)で表される。 式中、Rは1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基若しくはフェニル基、水酸基、アミノ基、又は一般式「R1−CY2−」、「CY3−」、「R1−CHY−」、「R2O−」、「R5R4N−」、「(R3O)2CY−」若しくは「R6−C(=O)−CY2−」で表される基である。

Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状(脂肪族環式基)のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。また、前記脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基及び不飽和脂肪族炭化水素基のいずれでもよい。そして、前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。Rにおける好ましい前記脂肪族炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が例示できる。

Rにおける直鎖状又は分枝鎖状の前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、n−ヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、3−エチルブチル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1,1−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2,4−ジメチルペンチル基、3,3−ジメチルペンチル基、4,4−ジメチルペンチル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、4−エチルペンチル基、2,2,3−トリメチルブチル基、1−プロピルブチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、4−エチルヘキシル基、5−エチルヘキシル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2,2−ジメチルヘキシル基、3,3−ジメチルヘキシル基、4,4−ジメチルヘキシル基、5,5−ジメチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基が例示できる。 Rにおける環状の前記アルキル基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、トリシクロデシル基が例示できる。

Rにおける前記アルケニル基としては、ビニル基(エテニル基、−CH=CH2)、アリル基(2−プロペニル基、−CH2−CH=CH2)、1−プロペニル基(−CH=CH−CH3)、イソプロペニル基(−C(CH3)=CH2)、1−ブテニル基(−CH=CH−CH2−CH3)、2−ブテニル基(−CH2−CH=CH−CH3)、3−ブテニル基(−CH2−CH2−CH=CH2)、シクロヘキセニル基、シクロペンテニル基等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が二重結合(C=C)に置換された基が例示できる。 Rにおける前記アルキニル基としては、エチニル基(−C≡CH)、プロパルギル基(−CH2−C≡CH)等の、Rにおける前記アルキル基の炭素原子間の1個の単結合(C−C)が三重結合(C≡C)に置換された基が例示できる。

Rにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が例示できる。また、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、すべての置換基が同一であってもよいし、すべての置換基が異なっていてもよく、一部の置換基のみが異なっていてもよい。

Rにおけるフェニル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基(−OH)、シアノ基(−C≡N)、フェノキシ基(−O−C6H5)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。 置換基である前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。

RにおけるYは、それぞれ独立にフッ素原子、塩素原子、臭素原子又は水素原子である。そして、一般式「R1−CY2−」、「CY3−」及び「R6−C(=O)−CY2−」においては、それぞれ複数個のYは、互いに同一でも異なっていてもよい。

RにおけるR1は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基又はフェニル基(C6H5−)であり、R1における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。 RにおけるR2は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基であり、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。 RにおけるR3は、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基であり、炭素数が1〜16である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。 RにおけるR4及びR5は、それぞれ独立に炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である。すなわち、R4及びR5は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素数が1〜18である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。 RにおけるR6は、炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であり、R6における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。

Rは、上記の中でも、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、一般式「R6−C(=O)−CY2−」で表される基、水酸基又はフェニル基であることが好ましい。そして、R6は、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、水酸基又は式「AgO−」で表される基であることが好ましい。

一般式(1)において、Xはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはベンジル基(C6H5−CH2−)、シアノ基、N−フタロイル−3−アミノプロピル基、2−エトキシビニル基(C2H5−O−CH=CH−)、又は一般式「R7O−」、「R7S−」、「R7−C(=O)−」若しくは「R7−C(=O)−O−」で表される基である。 Xにおける炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。

Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。 Xにおけるフェニル基及びベンジル基は、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよく、好ましい前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ニトロ基(−NO2)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。

XにおけるR7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、チエニル基(C4H3S−)、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基若しくはジフェニル基(ビフェニル基、C6H5−C6H4−)である。R7における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜10である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。また、R7におけるフェニル基及びジフェニル基の前記置換基としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等が例示でき、置換基の数及び位置は特に限定されない。そして、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。 R7がチエニル基又はジフェニル基である場合、これらの、Xにおいて隣接する基又は原子(酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、カルボニルオキシ基)との結合位置は、特に限定されない。例えば、チエニル基は、2−チエニル基及び3−チエニル基のいずれでもよい。

一般式(1)において、2個のXは、2個のカルボニル基で挟まれた炭素原子と二重結合を介して1個の基として結合していてもよく、このようなものとしては式「=CH−C6H4−NO2」で表される基が例示できる。

Xは、上記の中でも、水素原子、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルキル基、ベンジル基、又は一般式「R7−C(=O)−」で表される基であることが好ましく、少なくとも一方のXが水素原子であることが好ましい。

β−ケトカルボン酸銀(1)は、2−メチルアセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH(CH3)−C(=O)−OAg)、アセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、2−エチルアセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH(CH2CH3)−C(=O)−OAg)、プロピオニル酢酸銀(CH3CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、イソブチリル酢酸銀((CH3)2CH−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、ピバロイル酢酸銀((CH3)3C−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、2−n−ブチルアセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH(CH2CH2CH2CH3)−C(=O)−OAg)、2−ベンジルアセト酢酸銀(CH3−C(=O)−CH(CH2C6H5)−C(=O)−OAg)、ベンゾイル酢酸銀(C6H5−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、ピバロイルアセト酢酸銀((CH3)3C−C(=O)−CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、イソブチリルアセト酢酸銀((CH3)2CH−C(=O)−CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)、2−アセチルピバロイル酢酸銀((CH3)3C−C(=O)−CH(−C(=O)−CH3)−C(=O)−OAg)、2−アセチルイソブチリル酢酸銀((CH3)2CH−C(=O)−CH(−C(=O)−CH3)−C(=O)−OAg)、又はアセトンジカルボン酸銀(AgO−C(=O)−CH2−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)であることが好ましく、2−メチルアセト酢酸銀、アセト酢酸銀、2−エチルアセト酢酸銀、プロピオニル酢酸銀、イソブチリル酢酸銀、ピバロイル酢酸銀、2−n−ブチルアセト酢酸銀、2−ベンジルアセト酢酸銀、ベンゾイル酢酸銀、ピバロイルアセト酢酸銀、イソブチリルアセト酢酸銀、又はアセトンジカルボン酸銀であることがより好ましい。

β−ケトカルボン酸銀(1)は、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。原料や不純物が少ない程、例えば、形成された金属銀同士の接触が良好となり、導通が容易となり、抵抗率が低下する。

β−ケトカルボン酸銀(1)は、後述するように、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、好ましくは60〜210℃、より好ましくは60〜200℃という低温で分解し、金属銀を形成することが可能である。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。

本発明において、β−ケトカルボン酸銀(1)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

(カルボン酸銀(4)) カルボン酸銀(4)は、前記一般式(4)で表される。 式中、R8は炭素数1〜19の脂肪族炭化水素基、カルボキシ基(−COOH)又は式「−C(=O)−OAg」で表される基である。 R8における前記脂肪族炭化水素基としては、炭素数が1〜19である点以外は、Rにおける前記脂肪族炭化水素基と同様のものが例示できる。ただし、R8における前記脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜15であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。

R8における前記脂肪族炭化水素基がメチレン基(−CH2−)を有する場合、1個以上の前記メチレン基はカルボニル基で置換されていてもよい。カルボニル基で置換されていてもよいメチレン基の数及び位置は特に限定されず、すべてのメチレン基がカルボニル基で置換されていてもよい。ここで「メチレン基」とは、単独の式「−CH2−」で表される基だけでなく、式「−CH2−」で表される基が複数個連なったアルキレン基中の1個の式「−CH2−」で表される基も含むものとする。

カルボン酸銀(4)は、ピルビン酸銀(CH3−C(=O)−C(=O)−OAg)、酢酸銀(CH3−C(=O)−OAg)、酪酸銀(CH3−(CH2)2−C(=O)−OAg)、イソ酪酸銀((CH3)2CH−C(=O)−OAg)、2−エチルへキサン酸銀(CH3−(CH2)3−CH(CH2CH3)−C(=O)−OAg)、ネオデカン酸銀(CH3−(CH2)5−C(CH3)2−C(=O)−OAg)、シュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)、又はマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)であることが好ましい。また、上記のシュウ酸銀(AgO−C(=O)−C(=O)−OAg)及びマロン酸銀(AgO−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)の2個の式「−COOAg」で表される基のうち、1個が式「−COOH」で表される基となったもの(HO−C(=O)−C(=O)−OAg、HO−C(=O)−CH2−C(=O)−OAg)も好ましい。

カルボン酸銀(4)も、β−ケトカルボン酸銀(1)と同様に、乾燥処理や加熱(焼成)処理等の後処理により形成された導電体(金属銀)において、残存する原料や不純物の濃度をより低減できる。そして、還元剤と併用することで、より低温で分解して金属銀を形成する。

本発明において、カルボン酸銀(4)は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

銀インク組成物において、金属銀の形成材料に由来する銀の含有量は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。このような範囲であることで、形成された銀層(金属銀)は品質により優れたものとなる。前記銀の含有量の上限値は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると25質量%であることが好ましい。 なお、本明細書において、「金属銀の形成材料に由来する銀」とは、特に断りの無い限り、銀インク組成物の製造時に配合された金属銀の形成材料中の銀を意味し、配合後に引き続き金属銀の形成材料を構成している銀と、配合後に金属銀の形成材料が分解して生じた分解物中の銀及び銀自体と、の両方を含む概念とする。

[含窒素化合物] 前記銀インク組成物は、特に金属銀の形成材料が前記カルボン酸銀である場合、金属銀の形成材料以外に、さらに、炭素数25以下のアミン化合物及び第4級アンモニウム塩、アンモニア、並びに前記アミン化合物又はアンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩からなる群から選択される一種以上の含窒素化合物(以下、単に「含窒素化合物」と略記することがある)が配合されてなるものが好ましい。 以下、炭素数25以下のアミン化合物を「アミン化合物」、炭素数25以下の第4級アンモニウム塩を「第4級アンモニウム塩」、炭素数25以下のアミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩を「アミン化合物由来のアンモニウム塩」、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩を「アンモニア由来のアンモニウム塩」と略記することがある。

(アミン化合物、第4級アンモニウム塩) 前記アミン化合物は、炭素数が1〜25であり、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンのいずれでもよい。また、前記第4級アンモニウム塩は、炭素数が4〜25である。前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、鎖状及び環状のいずれでもよい。また、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子(例えば、第1級アミンのアミノ基(−NH2)を構成する窒素原子)の数は1個でもよいし、2個以上でもよい。

前記第1級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいモノアルキルアミン、モノアリールアミン、モノ(ヘテロアリール)アミン、ジアミン等が例示できる。

前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示でき、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。 好ましい前記モノアルキルアミンとして、具体的には、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミンが例示できる。

前記モノアリールアミンを構成するアリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が例示でき、炭素数が6〜10であることが好ましい。

前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、芳香族環骨格を構成する原子として、ヘテロ原子を有するものであり、前記ヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ホウ素原子が例示できる。また、芳香族環骨格を構成する前記へテロ原子の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよい。2個以上である場合、これらへテロ原子は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、これらへテロ原子は、すべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけ異なっていてもよい。 前記ヘテロアリール基は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されないが、3〜12員環であることが好ましい。

前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜4個有する単環状のものとしては、ピロリル基、ピロリニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、ピペリジニル基、ピラゾリジニル基、ピペラジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。 前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1個有する単環状のものとしては、フラニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。 前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1個有する単環状のものとしては、チエニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。 前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサジアゾリル基、モルホリニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。 前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する単環状のものとしては、チアゾリル基、チアジアゾリル基、チアゾリジニル基が例示でき、3〜8員環であることが好ましく、5〜6員環であることがより好ましい。 前記ヘテロアリール基で、窒素原子を1〜5個有する多環状のものとしては、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、ベンズイミダゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、インダゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、テトラゾロピリジル基、テトラゾロピリダジニル基、ジヒドロトリアゾロピリダジニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。 前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ジチアナフタレニル基、ベンゾチオフェニル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。 前記ヘテロアリール基で、酸素原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。 前記ヘテロアリール基で、硫黄原子を1〜2個及び窒素原子を1〜3個有する多環状のものとしては、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基が例示でき、7〜12員環であることが好ましく、9〜10員環であることがより好ましい。

前記ジアミンは、アミノ基を2個有していればよく、2個のアミノ基の位置関係は特に限定されない。好ましい前記ジアミンとしては、前記モノアルキルアミン、モノアリールアミン又はモノ(ヘテロアリール)アミンにおいて、アミノ基(−NH2)を構成する水素原子以外の1個の水素原子が、アミノ基で置換されたものが例示できる。 前記ジアミンは炭素数が1〜10であることが好ましく、より好ましいものとしてはエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタンが例示できる。

前記第2級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいジアルキルアミン、ジアリールアミン、ジ(ヘテロアリール)アミン等が例示できる。

前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。 好ましい前記ジアルキルアミンとして、具体的には、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミンが例示できる。

前記ジアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。また、ジアリールアミン一分子中の2個のアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。

前記ジ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基は、前記モノ(ヘテロアリール)アミンを構成するヘテロアリール基と同様であり、6〜12員環であることが好ましい。また、ジ(ヘテロアリール)アミン一分子中の2個のヘテロアリール基は、互いに同一でも異なっていてもよい。

前記第3級アミンとしては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいトリアルキルアミン、ジアルキルモノアリールアミン等が例示できる。

前記トリアルキルアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、トリアルキルアミン一分子中の3個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、3個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。 好ましい前記トリアルキルアミンとして、具体的には、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。

前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数が3〜7の環状のアルキル基であることが好ましい。また、ジアルキルモノアリールアミン一分子中の2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。 前記ジアルキルモノアリールアミンを構成するアリール基は、前記モノアリールアミンを構成するアリール基と同様であり、炭素数が6〜10であることが好ましい。

本発明において、前記第4級アンモニウム塩としては、1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいハロゲン化テトラアルキルアンモニウム等が例示できる。 前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するアルキル基は、前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基と同様であり、炭素数が1〜19であることが好ましい。また、ハロゲン化テトラアルキルアンモニウム一分子中の4個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、4個のアルキル基は、すべてが同じでもよいし、すべてが異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。 前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムを構成するハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が例示できる。 好ましい前記ハロゲン化テトラアルキルアンモニウムとして、具体的には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミドが例示できる。

ここまでは、主に鎖状のアミン化合物及び第4級有機アンモニウム塩について説明したが、前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩は、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子が環骨格構造(複素環骨格構造)の一部であるようなヘテロ環化合物であってもよい。すなわち、前記アミン化合物は環状アミンでもよく、前記第4級アンモニウム塩は環状アンモニウム塩でもよい。この時の環(アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子を含む環)構造は、単環状及び多環状のいずれでもよく、その環員数(環骨格を構成する原子の数)も特に限定されず、脂肪族環及び芳香族環のいずれでもよい。 環状アミンであれば、好ましいものとして、ピリジンが例示できる。

前記第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン及び第4級アンモニウム塩において、「置換基で置換されていてもよい水素原子」とは、アミン部位又はアンモニウム塩部位を構成する窒素原子に結合している水素原子以外の水素原子である。この時の置換基の数は特に限定されず、1個でもよいし、2個以上でもよく、前記水素原子のすべてが置換基で置換されていてもよい。置換基の数が複数の場合には、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。すなわち、複数個の置換基はすべて同じでもよいし、すべて異なっていてもよく、一部だけが異なっていてもよい。また、置換基の位置も特に限定されない。

前記アミン化合物及び第4級アンモニウム塩における前記置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、水酸基、トリフルオロメチル基(−CF3)等が例示できる。ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。

前記モノアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基としてアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は置換基として好ましくは炭素数が1〜5のアルキル基を有する、炭素数が3〜7の環状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するモノアルキルアミンとして、具体的には、2−フェニルエチルアミン、ベンジルアミン、2,3−ジメチルシクロヘキシルアミンが例示できる。 また、置換基である前記アリール基及びアルキル基は、さらに1個以上の水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、このようなハロゲン原子で置換された置換基を有するモノアルキルアミンとしては、2−ブロモベンジルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。

前記モノアリールアミンを構成するアリール基が置換基を有する場合、前記アリール基は、置換基としてハロゲン原子を有する、炭素数が6〜10のアリール基が好ましく、このような置換基を有するモノアリールアミンとして、具体的には、ブロモフェニルアミンが例示できる。ここで、前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示できる。

前記ジアルキルアミンを構成するアルキル基が置換基を有する場合、前記アルキル基は、置換基として水酸基又はアリール基を有する、炭素数が1〜9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、このような置換基を有するジアルキルアミンとして、具体的には、ジエタノールアミン、N−メチルベンジルアミンが例示できる。

前記アミン化合物は、n−プロピルアミン、n−ブチルアミン、n−へキシルアミン、n−オクチルアミン、n−ドデシルアミン、n−オクタデシルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、3−アミノペンタン、3−メチルブチルアミン、2−アミノオクタン、2−エチルヘキシルアミン、2−フェニルエチルアミン、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、N−メチル−n−ヘキシルアミン、ジイソブチルアミン、N−メチルベンジルアミン、ジ(2−エチルへキシル)アミン、1,2−ジメチル−n−プロピルアミン、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン又はN,N−ジメチルシクロヘキシルアミンであることが好ましい。 また、後述するように、二酸化炭素を供給して銀インク組成物を調製する場合には、二酸化炭素供給時において、銀インク組成物(第二の混合物)中の成分がより均一に分散して、品質が安定することから、前記アミン化合物は分岐鎖状のアルキル基を有するものが好ましい。

(アミン化合物由来のアンモニウム塩) 本発明において、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩は、前記アミン化合物が酸と反応してなるアンモニウム塩であり、前記酸は、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸でもよいし、酢酸等の有機酸でもよく、酸の種類は特に限定されない。 前記アミン化合物由来のアンモニウム塩としては、n−プロピルアミン塩酸塩、N−メチル−n−ヘキシルアミン塩酸塩、N,N−ジメチル−n−オクタデシルアミン塩酸塩等が例示できるが、これらに限定されない。

(アンモニア由来のアンモニウム塩) 本発明において、前記アンモニア由来のアンモニウム塩は、アンモニアが酸と反応してなるアンモニウム塩であり、ここで酸としては、前記アミン化合物由来のアンモニウム塩の場合と同じものが例示できる。 前記アンモニア由来のアンモニウム塩としては、塩化アンモニウム等が例示できるが、これに限定されない。

本発明においては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩は、それぞれ一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。 そして、前記含窒素化合物としては、前記アミン化合物、第4級アンモニウム塩、アミン化合物由来のアンモニウム塩及びアンモニア由来のアンモニウム塩からなる群から選択される一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

銀インク組成物において、前記含窒素化合物の配合量は、前記カルボン酸銀の配合量1モルあたり0.2〜15モルであることが好ましく、0.3〜5モルであることがより好ましい。 前記含窒素化合物の配合量を上記のように規定することで、銀インク組成物は安定性がより向上し、銀層(金属銀)の品質がより向上する。さらに、高温による加熱処理を行わなくても、より安定して導電層を形成できる。

[還元剤] 銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらに還元剤が配合されてなるものが好ましい。還元剤を配合することで、前記銀インク組成物は、金属銀をより形成し易くなり、例えば、低温での加熱処理でも十分な導電性を有する銀層(金属銀)を形成できる。

前記還元剤は、シュウ酸、ヒドラジン及び下記一般式(5)で表される化合物(以下、「化合物(5)」と略記することがある)からなる群から選択される一種以上の還元性化合物(以下、単に「還元性化合物」と略記することがある)であることが好ましい。 H−C(=O)−R21 ・・・・(5) (式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。)

(還元性化合物) 前記還元性化合物は、シュウ酸(HOOC−COOH)、ヒドラジン(H2N−NH2)及び前記一般式(5)で表される化合物(化合物(5))からなる群から選択される一種以上である。すなわち、配合される還元性化合物は、一種のみでよいし、二種以上でもよく、二種以上を併用する場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

式中、R21は、炭素数20以下のアルキル基、アルコキシ基若しくはN,N−ジアルキルアミノ基、水酸基又はアミノ基である。 R21における炭素数20以下のアルキル基は、炭素数が1〜20であり、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。

R21における炭素数20以下のアルコキシ基は、炭素数が1〜20であり、R21における前記アルキル基が酸素原子に結合してなる一価の基が例示できる。

R21における炭素数20以下のN,N−ジアルキルアミノ基は、炭素数が2〜20であり、窒素原子に結合している2個のアルキル基は、互いに同一でも異なっていてもよく、前記アルキル基はそれぞれ炭素数が1〜19である。ただし、これら2個のアルキル基の炭素数の合計値が2〜20である。 窒素原子に結合している前記アルキル基は、それぞれ直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、炭素数が1〜19である点以外は、前記一般式(1)のRにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。

前記還元性化合物として、ヒドラジンは、一水和物(H2N−NH2・H2O)を用いてもよい。

前記還元性化合物は、ギ酸(H−C(=O)−OH)、ギ酸メチル(H−C(=O)−OCH3)、ギ酸エチル(H−C(=O)−OCH2CH3)、ギ酸ブチル(H−C(=O)−O(CH2)3CH3)、プロパナール(H−C(=O)−CH2CH3)、ブタナール(H−C(=O)−(CH2)2CH3)、ヘキサナール(H−C(=O)−(CH2)4CH3)、ホルムアミド(H−C(=O)−NH2)、N,N−ジメチルホルムアミド(H−C(=O)−N(CH3)2)又はシュウ酸であることが好ましい。

銀インク組成物において、還元剤の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.04〜3.5モルであることが好ましく、0.06〜2.5モルであることがより好ましい。このように規定することで、銀インク組成物は、より容易に、より安定して銀層を形成できる。

[アルコール] 銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料以外に、さらにアルコールが配合されてなるものが好ましい。

前記アルコールは、下記一般式(2)で表されるアセチレンアルコール類(以下、「アセチレンアルコール(2)」と略記することがある)であることが好ましい。

(式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。)

(アセチレンアルコール(2)) アセチレンアルコール(2)は、前記一般式(2)で表される。 式中、R’及びR’’は、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、又は1個以上の水素原子が置換基で置換されていてもよいフェニル基である。 R’及びR’’における炭素数1〜20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状のいずれでもよく、環状である場合、単環状及び多環状のいずれでもよい。R’及びR’’における前記アルキル基としては、Rにおける前記アルキル基と同様のものが例示できる。

R’及びR’’におけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基としては、炭素数が1〜16の飽和又は不飽和の一価の脂肪族炭化水素基、前記脂肪族炭化水素基が酸素原子に結合してなる一価の基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、水酸基、シアノ基、フェノキシ基等が例示でき、Rにおけるフェニル基の水素原子が置換されていてもよい前記置換基と同様である。そして、置換基の数及び位置は特に限定されず、置換基の数が複数である場合、これら複数個の置換基は互いに同一でも異なっていてもよい。

R’及びR’’は、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることがより好ましい。

好ましいアセチレンアルコール(2)としては、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オールが例示できる。

アセチレンアルコール(2)を用いる場合、銀インク組成物において、アセチレンアルコール(2)の配合量は、前記金属銀の形成材料の配合量1モルあたり0.03〜0.7モルであることが好ましく、0.05〜0.3モルであることがより好ましい。このような範囲とすることで、銀インク組成物の安定性がより向上する。

前記アルコールは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤及びアルコール以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。 銀インク組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されず、好ましいものとしては、アルコール以外の溶媒が例示でき、配合成分の種類や量に応じて任意に選択できる。 銀インク組成物における前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。 銀インク組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。

銀インク組成物中の成分は、すべて溶解していてもよいし、一部又はすべてが溶解していなくてもよいが、溶解していない成分は、均一に分散されていることが好ましい。

銀インク組成物は、前記金属銀の形成材料、及び前記金属銀の形成材料以外の成分を配合することで得られる。 各成分の配合時には、すべての成分を添加してからこれらを混合してもよいし、一部の成分を順次添加しながら混合してもよく、すべての成分を順次添加しながら混合してもよい。 混合方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法、ミキサーを使用して混合する方法、超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。

配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。 また、配合時間(混合時間)も、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、5分〜5時間であることが好ましい。

[二酸化炭素] 銀インク組成物は、さらに二酸化炭素が供給されてなるものでもよい。このような銀インク組成物は高粘度となり、例えば、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等の、インクを厚盛りすることが必要な印刷法への適用に好適である。

二酸化炭素は、銀インク組成物製造時のいずれの時期に供給してもよい。 そして、本発明においては、例えば、前記金属銀の形成材料及び含窒素化合物が配合されてなる第一の混合物に、二酸化炭素を供給して第二の混合物とし、必要に応じて前記第二の混合物に、さらに、前記還元剤を配合して、銀インク組成物を製造することが好ましい。また、前記アルコール又はその他の成分を配合する場合、これらは、第一の混合物及び第二の混合物のいずれか一方又は両方の製造時に配合でき、目的に応じて任意に選択できる。

前記第一の混合物は、配合成分が異なる点以外は、上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。

第一の混合物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。

第一の混合物製造時の配合温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜30℃であることが好ましい。また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。

第一の混合物に供給される二酸化炭素(CO2)は、ガス状及び固形状(ドライアイス)のいずれでもよく、ガス状及び固形状の両方でもよい。二酸化炭素が供給されることにより、この二酸化炭素が第一の混合物に溶け込み、第一の混合物中の成分に作用することで、得られる第二の混合物の粘度が上昇すると推測される。

二酸化炭素ガスの供給は、液体中にガスを吹き込む公知の各種方法で行えばよく、適した供給方法を適宜選択すればよい。例えば、配管の一端を第一の混合物中に浸漬し、他端を二酸化炭素ガスの供給源に接続して、この配管を通じて二酸化炭素ガスを第一の混合物に供給する方法が例示できる。この時、配管の端部から直接二酸化炭素ガスを供給してもよいが、例えば、多孔質性のものなど、ガスの流路となり得る空隙部が多数設けられ、導入されたガスを拡散させて微小な気泡として放出することが可能なガス拡散部材を配管の端部に接続し、このガス拡散部材を介して二酸化炭素ガスを供給してもよい。また、第一の混合物の製造時と同様の方法で、第一の混合物を撹拌しながら二酸化炭素ガスを供給してもよい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。

二酸化炭素ガスの供給量は、供給先の第一の混合物の量や、目的とする銀インク組成物又は第二の混合物の粘度に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、20〜25℃における粘度が5Pa・s以上である銀インク組成物を100〜1000g程度得るためには、二酸化炭素ガスを100L以上供給することが好ましく、200L以上供給することがより好ましい。なお、ここでは銀インク組成物の20〜25℃における粘度について説明したが、銀インク組成物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。

二酸化炭素ガスの流量は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量を考慮して適宜調節すればよいが、第一の混合物1gあたり0.5mL/分以上であることが好ましく、1mL/分以上であることがより好ましい。流量の上限値は特に限定されないが、取り扱い性等を考慮すると、混合物1gあたり40mL/分であることが好ましい。 そして、二酸化炭素ガスの供給時間は、必要とされる二酸化炭素ガスの供給量や、流量を考慮して適宜調節すればよい。

二酸化炭素ガス供給時の第一の混合物の温度は、5〜70℃であることが好ましく、7〜60℃であることがより好ましく、10〜50℃であることが特に好ましい。前記温度が前記下限値以上であることで、より効率的に二酸化炭素を供給でき、前記温度が前記上限値以下であることで、不純物が少ないより良好な品質の銀インク組成物が得られる。

二酸化炭素ガスの流量及び供給時間、並びに二酸化炭素ガス供給時の前記温度は、それぞれの値を相互に考慮しながら適した範囲に調節すればよい。例えば、前記温度を低めに設定しても、二酸化炭素ガスの流量を多めに設定するか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。また、二酸化炭素ガスの流量を少なめに設定しても、前記温度を高めにするか、二酸化炭素ガスの供給時間を長めに設定することで、あるいはこの両方を行うことで、効率的に二酸化炭素を供給できる。すなわち、二酸化炭素ガスの流量、二酸化炭素ガス供給時の前記温度として例示した上記数値範囲の中の数値を、二酸化炭素ガスの供給時間も考慮しつつ柔軟に組み合わせることで、良好な品質の銀インク組成物が効率的に得られる。

二酸化炭素ガスの供給は、第一の混合物を撹拌しながら行うことが好ましい。このようにすることで、供給した二酸化炭素ガスがより均一に第一の混合物中に拡散し、より効率的に二酸化炭素を供給できる。 この時の撹拌方法は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時における前記混合方法の場合と同様でよい。

ドライアイス(固形状二酸化炭素)の供給は、第一の混合物中にドライアイスを添加することで行えばよい。ドライアイスは、全量を一括して添加してもよいし、分割して段階的に(添加を行わない時間帯を挟んで連続的に)添加してもよい。 ドライアイスの使用量は、上記の二酸化炭素ガスの供給量を考慮して調節すればよい。 ドライアイスの添加中及び添加後は、第一の混合物を撹拌することが好ましく、例えば、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物の製造時と同様の方法で撹拌することが好ましい。このようにすることで、効率的に二酸化炭素を供給できる。 撹拌時の温度は、二酸化炭素ガス供給時と同様でよい。また、撹拌時間は、撹拌温度に応じて適宜調節すればよい。

第二の混合物の粘度は、銀インク組成物又は第二の混合物の取り扱い方法など、目的に応じて適宜調節すればよく、特に限定されない。例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、第二の混合物の20〜25℃における粘度は、3Pa・s以上であることが好ましい。なお、ここでは第二の混合物の20〜25℃における粘度について説明したが、第二の混合物の使用時の温度は、20〜25℃に限定されるものではなく、任意に選択できる。

前記第二の混合物には、さらに、必要に応じて前記還元剤、アルコール及びその他の成分からなる群から選択される一種以上を配合して、銀インク組成物とすることができる。 このときの銀インク組成物は、配合成分が異なる点以外は、二酸化炭素を用いない上記の銀インク組成物と同様の方法で製造できる。そして、得られた銀インク組成物は、配合成分がすべて溶解していてもよいし、一部の成分が溶解せずに分散した状態であってもよいが、配合成分がすべて溶解していることが好ましく、溶解していない成分は均一に分散していることが好ましい。

前記還元剤配合時の温度は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されないが、−5〜60℃であることが好ましい。また、配合時間は、配合成分の種類や配合時の温度に応じて適宜調節すればよいが、例えば、0.5〜12時間であることが好ましい。

前記その他の成分は、先に説明したように、前記第一の混合物及び第二の混合物のいずれかの製造時に配合されてもよく、両方の製造時に配合されてもよい。すなわち、第一の混合物及び第二の混合物を経て銀インク組成物を製造する過程において、二酸化炭素以外の配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合([その他の成分(質量)]/[金属銀の形成材料、含窒素化合物、還元剤、アルコール、及びその他の成分(質量)]×100)は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量、すなわちその他の成分を配合しなくても、銀インク組成物は十分にその効果を発現する。

例えば、還元剤の配合時には、得られる配合物(銀インク組成物)は比較的発熱し易い。そして、還元剤の配合時の温度が高い場合、この配合物は、後述する銀インク組成物の加熱処理時と同様の状態になるため、還元剤による前記カルボン酸銀の分解促進作用によって、前記カルボン酸銀の少なくとも一部において金属銀の形成が開始されることがあると推測される。このような金属銀を含有する銀インク組成物は、銀層形成時において、金属銀を含有しない銀インク組成物よりも温和な条件で後処理を行うことにより、銀層を形成できることがある。また、還元剤の配合量が十分に多い場合にも、同様に温和な条件で後処理を行うことにより、銀層を形成できることがある。このように、前記カルボン酸銀の分解を促進する条件を採用することで、後処理として、より低温での加熱処理で、あるいは加熱処理を行わずに常温での乾燥処理のみで、銀層を形成できることがある。また、このような金属銀を含有する銀インク組成物は、金属銀を含有しない銀インク組成物と同様に取り扱うことができ、特に取り扱い性が劣ることもない。

本発明においては、還元剤を滴下しながら配合することが好ましく、さらに滴下速度の変動を抑制することで、銀層の表面粗さをより低減できる傾向にある。

二酸化炭素が供給されてなる銀インク組成物は、例えば、銀インク組成物をスクリーン印刷法、フレキソ印刷法等の高粘度インクを使用する印刷法へ適用する場合には、20〜25℃における粘度が、1Pa・s以上であることが好ましい。

銀インク組成物は、例えば、印刷法、塗布法、浸漬法等の公知の方法で基材上に付着させることができる。 前記印刷法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ディップ式印刷法、インクジェット式印刷法、ディスペンサー式印刷法、グラビア印刷法、グラビアオフセット印刷法、パッド印刷法等が例示できる。 前記塗布法としては、スピンコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、グラビアコーター等の各種コーターや、ワイヤーバー等を用いる方法が例示できる。

上記の銀層を形成する工程においては、基材11上に付着させる銀インク組成物の量、又は銀インク組成物における前記金属銀の形成材料の配合量を調節することで、銀層12の厚さを調節できる。

基材11上に付着させた銀インク組成物を乾燥処理する場合には、公知の方法で行えばよく、例えば、常圧下、減圧下及び送風条件下のいずれで行ってもよく、大気下及び不活性ガス雰囲気下のいずれでおこなってもよい。そして、乾燥温度も特に限定されず、加熱乾燥及び常温乾燥のいずれでもよい。加熱処理が不要な場合の好ましい乾燥方法としては、18〜30℃で大気下において乾燥させる方法が例示できる。

基材11上に付着させた銀インク組成物を加熱(焼成)処理する場合、その条件は、銀インク組成物の配合成分の種類に応じて適宜調節すればよい。通常は、加熱温度が60〜200℃であることが好ましく、70〜180℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱温度に応じて調節すればよいが、通常は、0.2〜12時間であることが好ましく、0.4〜10時間であることがより好ましい。前記カルボン酸銀の中でもβ−ケトカルボン酸銀(1)は、例えば、酸化銀等の金属銀形成材料とは異なり、当該分野で公知の還元剤等を使用しなくても、低温で分解する。そして、このような分解温度を反映して、前記銀インク組成物は、上記のように、従来のものより極めて低温で金属銀を形成できる。

銀インク組成物の加熱処理の方法は特に限定されず、例えば、電気炉による加熱、感熱方式の熱ヘッドによる加熱、遠赤外線照射による加熱等で行うことができる。また、銀インク組成物の加熱処理は、大気下で行ってもよいし、不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。そして、常圧下及び減圧下のいずれで行ってもよい。

銀インク組成物を用いた場合の銀層12は、銀インク組成物の前記後処理により形成された導電体からなる層で、金属銀を主成分とする。

本発明に係る積層体が、基材及び銀層間に密着層が設けられたもの(例えば、図2に示す積層体2)である場合、前記積層体は、例えば、基材上に密着層を形成する工程と、密着層上に銀層を形成する工程と、を有する製造方法で製造できる。

[基材上に密着層を形成する工程] 密着層は、例えば、密着層を形成するための組成物(以下、「密着層用組成物」と略記することがある)を調製し、これを基材上に付着させ、必要に応じて後処理を行うことにより形成できる。

密着層用組成物中の密着層を形成する材料(以下、「密着層形成材料」と略記することがある)は、一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

密着層形成材料は、樹脂の形成材料(モノマー又はベース樹脂)である場合、上記のようにウレタンアクリレート樹脂であることが好ましく、ポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート樹脂であることがより好ましい。

密着層形成材料が前記樹脂の形成材料である場合、密着層用組成物は、樹脂の形成材料、開始剤(重合開始剤)及び溶媒が配合されてなるものが好ましい。 前記開始剤は、樹脂の形成材料の種類に応じて、公知のものから適宜選択すればよく、特に限定されない。 前記溶媒は、重合反応を阻害しないものであればよく、シクロヘキサノン、1,2−ジメトキシエタン(ジメチルセロソルブ)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等、公知のものから適宜選択すればよい。前記溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

密着層形成材料は、シランカップリング剤である場合、上記のように化合物(3)であることが好ましい。

密着層形成材料がシランカップリング剤である場合、密着層用組成物は、シランカップリング剤及び溶媒が配合されてなるものが好ましい。 前記溶媒は、シランカップリング剤を著しく劣化させない限り、特に限定されず、好ましいものとしては、エタノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)等の炭素数が2以上のアルコールが例示できる。前記溶媒は、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。

密着層用組成物は、前記樹脂の形成材料、及び必要に応じて前記樹脂の形成材料以外の成分(密着層形成材料として前記樹脂の形成材料を用いる場合には、開始剤、溶媒等)を配合することで得られる。 各成分の配合方法及び配合条件は、配合成分が異なる点以外は、銀インク組成物の場合と同様とすることができる。

例えば、密着層用組成物として、前記樹脂の形成材料、開始剤及び溶媒が配合されてなるものを用いる場合、配合成分の総量に対する前記樹脂の形成材料の配合量の割合は、25〜75質量%であることが好ましく、35〜65質量%であることがより好ましい。 また、密着層用組成物において、開始剤の配合量は、樹脂の形成材料の配合量に対して0.01〜0.1質量倍であることが好ましく、0.02〜0.08質量倍であることがより好ましい。 また、密着層用組成物において、溶媒の配合量は、樹脂の形成材料の配合量に対して0.1〜3質量倍であることが好ましく、0.5〜1.5質量倍であることがより好ましい。

一方、密着層用組成物として、シランカップリング剤及び溶媒が配合されてなるものを用いる場合、配合成分の総量に対するシランカップリング剤の配合量の割合は、1〜50質量%であることが好ましく、3〜30質量%であることがより好ましい。下限値以上であることで、密着層をより効率的に形成でき、上限値以下であることで、密着層用組成物の取り扱い性がより向上する。

前記樹脂の形成材料を用いた密着層用組成物は、前記樹脂の形成材料、開始剤及び溶媒以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。 同様に、シランカップリング剤を用いた密着層用組成物は、シランカップリング剤及び溶媒以外の、その他の成分が配合されてなるものでもよい。 前記樹脂の形成材料及びシランカップリング剤のいずれを用いた場合でも、密着層用組成物における前記その他の成分は、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。そして、前記その他の成分は、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。二種以上を併用する場合で、その組み合わせ及び比率は、任意に調節できる。 前記樹脂の形成材料及びシランカップリング剤のいずれを用いた場合でも、密着層用組成物において、配合成分の総量に対する前記その他の成分の配合量の割合は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。

密着層用組成物は、銀インク組成物と同様の方法で、基材11上の所望の箇所に付着させることができる。

上記の基材上に密着層を形成する工程においては、基材11上の所望の箇所に付着させる密着層用組成物の量、又は密着層用組成物における密着層形成材料の配合量を調節することで、密着層13の厚さを調節できる。

密着層形成時の前記後処理は、密着層用組成物の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、密着層形成材料が前記樹脂の形成材料である場合には、紫外線照射処理や加熱処理を行えばよく、密着層形成材料がシランカップリング剤である場合には、加熱処理を行えばよい。

[密着層上に銀層を形成する工程] 基材上に密着層を形成する工程の後は、例えば、図3A及び図3Bに示す基材11のような、密着層が形成されていない基材に代えて、密着層が形成された基材を用いること以外は、図3A及び図3Bを参照して説明した、基材上に銀層を形成する工程と同様の方法で、密着層上に銀層を形成できる。

<<回路基板>> 本発明に係る回路基板は、前記積層体の前記銀層のうち、粗さ曲線のクルトシスが、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たす表面上に、導電性接合部を介して電子部品が搭載され、前記積層体の銀層を配線部とするものである。 前記回路基板は、銀層として、表面の粗さ曲線のクルトシスが、前記条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たすものを備えたこと以外は、従来のものと同じ積層体を用いて構成できる。

例えば、導電性接合部としては、導電性接着剤を硬化させたもの、はんだで構成したもの等が例示できるが、導電性接着剤を硬化させたものが好ましい。導電性接着剤としては、紫外線硬化性のもの等、公知のものが適宜使用できる。 また、前記電子部品としては、回路基板の用途に応じて任意のものが選択できる。

前記回路基板は、前記積層体を用いたことで、高温高湿条件下においても銀層と電子部品との高い接合力を維持できる。これはおもに、高温高湿条件下において、少なくとも接合層(導電性接合部)と銀層との界面、好ましくは接合層(導電性接合部)と銀層との界面、及び接合層(導電性接合部)と電子部品との界面の双方において、界面破壊が抑制されることによる。

例えば、銀層を温度85℃及び相対湿度85%の条件下で480時間経過させる試験を行ったときに、銀層と電子部品との接合力の変化率が−50%以上であることが好ましく、−20%以上であることがより好ましい。これは、下記式(iii)−1の関係を満たすことが好ましく、下記式(iii)−2の関係を満たすことがより好ましいことを意味する。 (F480−F0)/F0×100≧−50 ・・・・(iii)−1 (F480−F0)/F0×100≧−20 ・・・・(iii)−2 (式中、F0は試験前の銀層と電子部品との接合力であり;F480は試験後(480時間経過後)の銀層と電子部品との接合力である。)

ここで、「接合力」としては、例えば、JEITA ET−7409−102に準拠して、表面実装部品の横押しせん断強度試験を行ったときに観測される、実装された部品が剥離したときのせん断力を採用できる。

前記回路基板は、高温高湿条件下でも電子部品を安定して搭載できるので、長期に渡って安定した性能を維持することが可能である。

以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。

[実施例1] <積層体及び回路基板の製造> (銀インク組成物の製造) 液温が50℃以下となるように、2−エチルヘキシルアミン(後述する2−メチルアセト酢酸銀に対して1倍モル量)に2−メチルアセト酢酸銀を添加して、15分間撹拌することにより、液状物を得た。この液状物に、反応液の温度が50℃以下となるように、ギ酸(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.8倍モル量)を30分間かけて滴下した。ギ酸の滴下終了後、25℃にて反応液をさらに1.5時間撹拌することにより、銀インク組成物(I−1)を得た。各成分の配合比を表1に示す。表1中、「含窒素化合物(モル比)」とは、カルボン酸銀の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[カルボン酸銀のモル数])を意味する。「還元剤(モル比)」も同様に、カルボン酸銀の配合量1モルあたりの還元剤の配合量(モル数)([還元剤のモル数]/[カルボン酸銀のモル数])を意味する。

(密着層用組成物の製造) 表2に示す配合量となるように、紫外線硬化性のポリカーボネート骨格含有ウレタンアクリレート樹脂(日本合成社製「UV3310B」、粘度:40000〜70000(60℃)(mPa・s)、官能基数:2、重量平均分子量:5000、推奨UV照射量:800(mJ/cm2))、シクロヘキサノン(和光純薬社製)、及び光開始剤(BASF社製「イルガキュア127」)を添加し、室温(25℃)で10分間撹拌して、密着層用組成物を調製した。なお、表2中において質量%単位で表示している配合量は、配合成分の総量に対する各配合成分の割合を意味する。

(積層体の製造) バーコーター(#01)を用いて、上記で得られた密着層用組成物をポリカーボネート(PC)/ABS樹脂アロイからなる基材(厚さ2mm)の一方の主面(表面)上に塗布し、オーブン内で80℃、5分間の条件で乾燥させた後、オゾンレス高圧水銀ランプを用いて乾燥させた塗膜に対して、100mJ/cm2の線量で紫外線を照射し、基材表面に密着層(厚さ3〜4μm)を形成した。

次いで、密着層上にスクリーン印刷法により、上記で得られた銀インク組成物を塗布した後、これを80℃で2時間、オーブン内で加熱(焼成)処理することにより、導電層として銀層(厚さ1μm)を密着層の表面に形成して、積層体を得た。

(回路基板の製造) 以下の手順により、図4A及び図4Bに示す構造を有する回路基板を製造した。 すなわち、前記積層体の銀層表面の所定箇所に導電性接着剤(ヘンケル社製「QMI516IE」)0.07mgを塗布し、電子部品として0Ω1608チップ(両端の端子部表面が金メッキされたもの)の端子部を前記導電性接着剤に接触させ、前記導電性接着剤をその標準硬化条件で硬化させて前記チップを固定することで、前記積層体の銀層上に導電性接着剤から形成された接合層を介して前記チップが搭載された回路基板を得た。このような回路基板を複数個製造し、以下の評価に供した。なお、用いた導電性接着剤の特性を表3に示す。

<回路基板の評価> (クルトシスの変化率の算出) 上記で得られた回路基板を、温度85℃及び相対湿度85%の条件下で静置保存し、保存開始前と、保存開始から240時間後、480時間後及び720時間後において、それぞれ回路基板の銀層表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)を算出し、保存開始前に対する所定時間保存後のクルトシスの変化率を算出した。結果を表4に示す。なお、粗さ曲線のクルトシスは、以下の方法で算出した。すなわち、形状測定レーザマイクロスコープ(キーエンス社製「VK−X100」)を用いて、銀層の表面のうち、接合層が形成されていない露出面の形状を、この露出面の上方から測定し(測定モード:表面形状、測定サイズ:2048×1536、測定品質:高精度)、基材の傾き補正を行った後、得られた断面曲線に高域フィルタ(カットオフ値λC:0.08mm)を適用して、粗さ曲線を得た。そして、得られた粗さ曲線のプロファイルから、50×50μmの測定範囲で、粗さ曲線のクルトシス(Rku)を算出した。

(接合力の評価) 以下の手順により、JEITA ET−7409−102に準拠して、図4A及び図4Bに示すように、横押しせん断強度試験を行った。図4Aは、試験に用いた本発明に係る回路基板と、その横押しせん断強度試験を模式的に説明するための平面図であり、図4Bは側面図である。 すなわち、上記の保存開始前及び所定時間保存後の回路基板30を用い、回路基板30のチップ14(前記チップ)のうち、両端の端子部14a及び14b間の本体部14c側面に押し治具9の先端部を当接させた。このときの、押し治具9の下面9aの、銀層12の表面12aからの高さ(せん断高さ)hを0.1mmとした。そして、銀層12表面に対して並行で、かつチップ14の本体部14cの長手方向(前記端子部14a及び14bを繋ぐ方向)に対して垂直な方向(矢印A方向)に、せん断速度0.5mm/分で押し治具9を押し込むことにより、チップ14にせん断力を加え、チップ14が積層体3から剥離したときのせん断力(N)を接合力とした。結果を表4に示す。なお、図4A及び図4Bにおいて、符号15は、導電性接着剤が硬化して形成された接合(接着)層であり、上述の導電性接合部に該当する。

[実施例2〜4、比較例1〜2] <積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価> 表4に示すように、積層体及びチップの少なくとも一方を変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体及び回路基板を製造し、回路基板を評価した。結果を表4に示す。 なお、表4中の「銀インク組成物(I−2)」は、配合成分及び配合量を表1に示すとおりとしたこと以外は、実施例1における銀インク組成物(I−1)と同じ方法で製造したものである。 また、実施例3及び4で用いたチップは、実施例1及び2で用いたチップにおいて、両端の端子部表面が金メッキに代えてスズメッキされたものである。 また、比較例1及び2で用いた比較用の積層体は、厚さ100μmのSUS304製基材の表面に、厚さ1μmの銀メッキ層を形成したものである。

[実施例5〜8、比較例3〜4] <積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価> 導電性接着剤として、ヘンケル社製「QMI516IE」に代えて、表3に示すAGF社製「CA−110」を用いたこと以外は、実施例1〜4及び比較例1〜2と同じ方法で積層体及び回路基板を製造し、回路基板を評価した。結果を表5に示す。 なお、表5中の比較例3及び4で用いた比較用の積層体は、比較例1及び2で用いたものと同じである。

[実施例9〜12、比較例5〜6] <積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価> 導電性接着剤として、ヘンケル社製「QMI516IE」に代えて、表3に示すAGF社製「CA−100」を用いたこと以外は、実施例1〜4及び比較例1〜2と同じ方法で積層体及び回路基板を製造し、回路基板を評価した。結果を表6に示す。 なお、表6中の比較例5及び6で用いた比較用の積層体は、比較例1及び2で用いたものと同じである。

上記結果から明らかなように、実施例1〜9及び11の積層体は、銀層表面の粗さ曲線のクルトシスが、条件(i)及び(ii)を共に満たしており、高温高湿条件下で長時間保存しても、銀層及び電子部品の高い接合(接着)力が維持されていた。これら実施例でせん断力(接合力)測定後の回路基板における、チップの剥離部位を観察したところ、いずれの実施例においても、保存開始前、保存後によらず、チップの剥離は、導電性接着剤が硬化して形成された接合(接着)層の凝集破壊によって生じたことを確認できた。すなわち、これら回路基板では、接合層と銀層との界面、及び接合層と電子部品との界面のいずれにおいても、界面破壊が生じていなかった。

これに対し、比較例1〜6の積層体は、銀層表面の粗さ曲線のクルトシスが、条件(i)及び(ii)を共に満たしておらず、高温高湿条件下で保存することにより、銀層及び電子部品の接合力が低下した。上記実施例の場合と同様に、せん断力(接合力)測定後の回路基板における、チップの剥離部位を観察したところ、いずれの比較例においても、チップの剥離は、保存開始前は上記実施例の場合と同様に、接合(接着)層の凝集破壊によって生じていたが、保存後は、接合層と銀層との界面における界面破壊によって生じたことを確認できた。ただし、保存後も、接合層と電子部品との界面においては、界面破壊が生じていなかった。

なお、銀層表面の粗さ曲線のクルトシス(Rku)の変化率に代えて、表面粗さ(算術平均粗さ(Ra))の変化率を算出した場合、上記の実施例と比較例とでは、明確な差は認められなかった。

上記結果に示した粗さ曲線のクルトシスの算出値及び変化率は、銀層表面のうち、接合層が形成されていない露出面のものであるが、接合層が形成されている面(接合層との界面)についても、クルトシスの算出値及び変化率を確認した結果、露出面と同様の値であり、銀層表面は露出の有無よらず、粗さ曲線のクルトシスについて同じ傾向を示した。

以上のように、銀層表面の粗さ曲線のクルトシスの変化率が、銀層と導電性接合部との接合力に影響を及ぼしていることを確認できた。 そして、本発明によれば、接合層(導電性接合部)の種類によらず、また、チップの端子部表面のメッキ(電子部品の接合部)の種類によらず、銀層は高温高湿条件下においても電子部品との高い接合力を維持できることを確認できた。

[実施例13] <積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価> (銀インク組成物の製造) 2−メチルアセト酢酸銀、2−エチルヘキシルアミン(2−メチルアセト酢酸銀に対して2.25倍モル量)、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール(エアープロダクツジャパン社製「サーフィノール61」)(2−メチルアセト酢酸銀に対して0.1倍モル量)を配合し、室温下(25℃)で60分間撹拌することにより、銀インク組成物(I−3)を得た。各成分の配合比を表7に示す。表7中、「含窒素化合物(モル比)」とは、カルボン酸銀の配合量1モルあたりの含窒素化合物の配合量(モル数)([含窒素化合物のモル数]/[カルボン酸銀のモル数])を意味する。「アルコール(モル比)」も同様に、カルボン酸銀の配合量1モルあたりのアルコールの配合量(モル数)([アルコールのモル数]/[カルボン酸銀のモル数])を意味する。

(密着層用組成物の製造) 化合物(3)としてN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン((CH3O)3Si(CH2)3NH(CH2)2NH2、信越シリコーン社製「KBM603」)、2−プロパノールを、配合成分の総量に対する配合量の割合がそれぞれ20質量%、80質量%となるように配合し、室温下(25℃)で60分間撹拌することにより、密着層用組成物を得た。

(積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価) ポリエチレンナフタレート(PEN)製の基材(厚さ0.25mm)上に、アプリケーターを用いて、上記で得られた密着層用組成物を塗布し、オーブンを用いて120℃で10分間加熱処理することにより、基材上に密着層(厚さ0.5〜1μm)を形成した。 以降、実施例1と同じ方法で、銀層(厚さ1μm)を密着層の表面に形成して、積層体及び回路基板を製造し、回路基板を評価した。結果を表8に示す。

[実施例14] <積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価> 実施例13と同じ方法で、ポリエチレンナフタレート製の基材(厚さ0.25mm)上に、密着層(厚さ0.5〜1μm)を形成した。 次いで、密着層上にスクリーン印刷法により、銀錯体が配合されてなる銀インク組成物(II−1)(Inktec社製「TEC−IJ−010」、銀濃度15質量%)を塗布した後、これを150℃で1時間、オーブン内で加熱(焼成)処理することにより、導電層として銀層(厚さ1μm)を密着層の表面に形成して、積層体を得た。 次いで、この積層体を用いて、実施例1と同じ方法で回路基板を製造及び評価した。結果を表8に示す。

[比較例7] <積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価> 実施例1と同じ方法で、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイからなる基材(厚さ2mm)の表面に、密着層(厚さ3〜4μm)を形成した。 次いで、密着層上にスクリーン印刷法により、銀錯体及び銀粒子が配合されてなる銀インク組成物(II−2)(Inktec社製「TEC−PA−010」、銀濃度55質量%、バインダー不使用)を塗布した後、これを80℃で2時間、オーブン内で加熱(焼成)処理することにより、導電層として銀層(厚さ1μm)を密着層の表面に形成して、積層体を得た。 次いで、この積層体を用いて、実施例1と同じ方法で回路基板を製造及び評価した。結果を表8に示す。

[比較例8] <積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価> 実施例1と同じ方法で、ポリカーボネート/ABS樹脂アロイからなる基材(厚さ2mm)の表面に、密着層(厚さ3〜4μm)を形成した。 次いで、密着層上にスクリーン印刷法により、銀粒子が配合されてなる銀インク組成物(II−3)(トーヨーケム社製「RA RS 056」、銀濃度66質量%、合成樹脂含有量1〜10質量%)を塗布した後、これを80℃で2時間、オーブン内で加熱(焼成)処理することにより、導電層として銀層(厚さ1μm)を密着層の表面に形成して、積層体を得た。 次いで、この積層体を用いて、実施例1と同じ方法で回路基板を製造及び評価した。結果を表8に示す。

[比較例9] <銀板の評価> 厚さ0.1mmの銀板について、実施例1と同じ方法で、銀層(銀板)表面の粗さ曲線のクルトシスとその変化率を算出した。結果を表8に示す。

上記結果から明らかなように、実施例13〜14の積層体は、銀層表面の粗さ曲線のクルトシスが、条件(i)及び(ii)を共に満たしており、高温高湿条件下で長時間保存しても、銀層及び電子部品の高い接合(接着)力が維持されていた。これら実施例でせん断力(接合力)測定後の回路基板における、チップの剥離部位を観察したところ、いずれの実施例においても、保存開始前、保存後によらず、チップの剥離は、導電性接着剤が硬化して形成された接合(接着)層の凝集破壊によって生じたことを確認できた。すなわち、これら回路基板では、接合層と銀層との界面、及び接合層と電子部品との界面のいずれにおいても、界面破壊が生じていなかった。 これに対し、比較例7〜8の積層体、及び比較例9における銀板は、いずれも銀層表面の粗さ曲線のクルトシスが、条件(i)及び(ii)を共に満たしていなかった。

上記結果に示した粗さ曲線のクルトシスの算出値及び変化率は、銀層表面のうち、接合層が形成されていない露出面のものであるが、接合層が形成されている面(接合層との界面)についても、クルトシスの算出値及び変化率を確認した結果、露出面と同様の値であり、銀層表面は露出の有無によらず、粗さ曲線のクルトシスについて同じ傾向を示した。

[実施例15〜16] <積層体及び回路基板の製造、並びに回路基板の評価> 導電性接着剤として、ヘンケル社製「QMI516IE」に代えて、AGF社製「CA−110」を用いたこと以外は、実施例13〜14と同じ方法で積層体及び回路基板を製造し、回路基板を評価した。結果を表9に示す。

実施例15〜16の積層体は、実施例13〜14の積層体と同じものであり、先に説明したように、銀層表面の粗さ曲線のクルトシスが、条件(i)及び(ii)を共に満たす。そして、上記結果から明らかなように、実施例15〜16の回路基板は、高温高湿条件下で長時間保存しても、銀層及び電子部品の高い接合(接着)力が維持されていた。これら実施例でせん断力(接合力)測定後の回路基板における、チップの剥離部位を観察したところ、いずれの実施例においても、保存開始前、保存後によらず、チップの剥離は、導電性接着剤が硬化して形成された接合(接着)層の凝集破壊によって生じたことを確認できた。すなわち、これら回路基板では、接合層と銀層との界面、及び接合層と電子部品との界面のいずれにおいても、界面破壊が生じていなかった。

<積層体の評価> 実施例1及び2の積層体、比較例7及び8の積層体、並びに比較例9における銀板について、さらに下記方法で評価を行った。 すなわち、実施例1及び2の積層体、並びに比較例7及び8の積層体については、液体窒素を用いて冷却し、切断することで、図1に示すものと同様な断面を露出させた。また、比較例9における銀板については、ミクロトームを用いて切断することで、断面を露出させた。 次いで、この断面を有する積層体(切断積層体)又は銀板(切断銀板)を、実施例1と同じ条件下(温度85℃及び相対湿度85%の条件下)で静置保存し、保存開始前と、保存開始から240時間後及び480時間後において、銀層の前記断面(すなわち温度85℃及び相対湿度85%の条件下での露出面)の粗さ曲線のクルトシス(Rku)を算出し、保存開始前に対する所定時間保存後のクルトシスの変化率を算出した。結果を表10に示す。なお、粗さ曲線のクルトシスは、以下の方法で算出した。すなわち、形状測定レーザマイクロスコープ(キーエンス社製「VK−X100」)を用いて、銀層の前記断面の形状を測定し、得られた断面曲線に高域フィルタ(カットオフ値λC:0.08mm)を適用して、粗さ曲線を得た。そして、得られた粗さ曲線のプロファイルから、粗さ曲線のクルトシス(Rku)を算出した。

実施例1〜2の積層体は、先に説明したように、高温高湿条件下で長時間保存しても、銀層及び電子部品の高い接合(接着)力が維持されたものである。そして、上記結果から明らかなように、実施例1〜2の積層体は、銀層断面の粗さ曲線のクルトシスが、条件(i)及び(ii)を共に満たしており、導電性接合部を介して電子部品を搭載する面と、前記断面とで、粗さ曲線のクルトシスとその変化率は、同様の傾向を示した。すなわち、銀層断面の粗さ曲線のクルトシスの変化率が、条件(i)及び(ii)の少なくとも一方を満たすことで、銀層は高温高湿条件下においても電子部品との高い接合力を維持できることを確認できた。 これに対し、比較例7〜8の積層体、比較例9における銀板は、いずれも銀層表面の粗さ曲線のクルトシスが、条件(i)及び(ii)を共に満たしていなかった。

本発明は、基材上に銀配線及び電子部品を備えた回路基板に利用可能である。

1,2,3 積層体 11 基材 11a 基材の表面 12 銀層 12a 銀層の表面 12b 銀層の裏面 13 密着層 13a 密着層の表面 14 チップ(電子部品) 14a,14b チップの端子部 14c チップの本体部 15 接合層(接着層) 30 回路基板

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