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申请号 JP2006096174 申请日 2006-03-31 公开(公告)号 JP4650893B2 公开(公告)日 2011-03-16
申请人 大同メタル工業株式会社; 发明人 偉星 仲; 友美 奥村; 拓也 田中; 照雄 阿部; 由巳 黒田;
摘要
权利要求
  • 銅系又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層の表面に摺動層を備え、
    前記摺動層は、
    ポリベンゾイミダゾール樹脂を主成分とし、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種からなる組成物に高せん断を加えポリマーアロイ化した樹脂バインダーと、
    25〜75質量%の固体潤滑剤と、
    を含む構成としたことを特徴とするすべり軸受。
  • 前記固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン、黒鉛、二硫化モリブデンの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受。
  • 前記ポリマーアロイ化した樹脂バインダーは、ポリベンゾイミダゾール樹脂と3質量%以上50質量%未満のポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のすべり軸受。
  • 前記ポリマーアロイ化した樹脂バインダーは、少なくとも3〜20質量%のポリアミドイミド樹脂を含むことを特徴とする請求項3記載のすべり軸受。
  • 前記ポリマーアロイ化した樹脂バインダーは、少なくとも3〜30質量%のポリアミド樹脂を含むことを特徴とする請求項3記載のすべり軸受。
  • 前記ポリマーアロイ化した樹脂バインダーは、少なくとも3〜10質量%のエポキシ樹脂を含むことを特徴とする請求項3記載のすべり軸受。
  • 前記摺動層は、表面粗さが、Ra0.5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のすべり軸受。
  • 前記摺動層は、膜厚が2〜30μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のすべり軸受。

  • 说明书全文

    本発明は、銅系又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層の表面に摺動層を備えたすべり軸受に関する。

    従来・自動車エンジン用軸受は・鋼板製の裏金上に銅系軸受合金やアルミニウム系軸受合金を接合したものであった。 この種のすべり軸受においては、例えば、特開平4−83914号公報(特許文献1)や特開平9−79262号公報(特許文献2)等に示されるように、軸受合金層の表面に、ポリアミドイミド樹脂(PAI樹脂)、ポリイミド樹脂 (PI樹脂)、エポキシ樹脂(EP樹脂)等の熱硬化性樹脂に固体潤滑剤等を含有した摺動層を被覆形成することにより、耐摩耗性・非焼付性・初期なじみ性の向上を図ることが行われている。 また、特開2001−343022号公報(特許文献3)に示されるように、保護層を、固体潤滑剤と、極性溶媒に可溶な熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂からなるバインダーにより構成してなじみ性を維持しつつ早期の耐摩耗性の向上を図ることが行われている。

    また、すべり軸受使用時において、潤滑油中でキャビティー(気泡)が発生し、その結果、軸受表面にエロージョンが発生する現象がある。 これは、潤滑油中に発生したキャビティーが高い圧のもとで崩壊し、崩壊時のエネルギーが軸受表面を侵蝕的に破壊させる現象である。 その対策として摺動層の材料強度を上げることにより、耐キャビテーション性を向上させてきた。 例えば、特開2004−19758号公報(特許文献4)には、ポリベンゾイミダゾール樹脂(PBI樹脂)に固体潤滑剤等を含ませた摺動層を設けることにより、耐摩耗性、非焼付性、耐キャビテーション性の向上を図ることが行われている。 更に、特開2003−56566号公報(特許文献5)には、鉛を含む固体潤滑剤とPAI樹脂、PI樹脂、EP樹脂及びPBI樹脂の少なくとも1種からなる樹脂バインダーにより、摺動特性の改善が行われている。

    特開平4−83914号公報

    特開平9−79262号公報

    特開2001−343022号公報(段落0007)

    特開2004−19758号公報

    特開2003−56566号公報

    しかし、上記した特許文献1〜特許文献5に記載される発明においては、近年の内燃機関の高出力及び高回転による高性能化、高荷重化に基くすべり軸受の軸受性能(非焼付性・初期なじみ性・耐キャビテーション性)を充分に充足するものではなかった。 例えば、上記の特許文献5に開示される発明は、PAI樹脂、PI樹脂、EP樹脂及びPBI樹脂を混合し樹脂バインダーとするとの記載があるが、単純なポリマーブレンドであると、樹脂どうしが相溶しておらず、樹脂がクラスター状に分散されているのみである。 そのため、摺動層内において物性のバラツキが発生し、充分な非焼付性、特に耐キャビテーション性が得られないという欠点があった。

    また、上記した特許文献3には、『熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂は溶媒に溶かされると、分子に近い極微細な単位で渾然と混じり合い、・・・・・中間の性質を持つようになる。 』との記載があるが、『渾然と混じり合う』とは溶媒中にて熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂が極微細ではあるが、クラスター状となっていること意味している(マイクロクラスター)。 そのため、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂は相溶しておらず、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を微細な分散を行うことにより、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の中間の性質を実現している。 キャビテーション現象がおこる条件で使用されるすべり軸受の摺動層として用いられる場合には、キャビテーションによる応力が物理的性質の連続しなくなる各樹脂相の界面に集中するため耐キャビテーション性は低下するという欠点があった。

    本発明は、上記した事情に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、銅系合金又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層の表面に摺動層を設けたものにおいて、軸受性能、特に非焼付性、初期なじみ性、耐キャビテーション性を一層向上できるすべり軸受を提供することにある。

    上記した目的を達成するために、請求項1に係る発明においては、銅系又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層の表面に摺動層を備え、前記摺動層は、ポリベンゾイミダゾール樹脂を主成分とし、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種からなる組成物に高せん断を加えポリマーアロイ化した樹脂バインダーと、25〜75質量%の固体潤滑剤と、を含む構成としたことを特徴とする。

    請求項2に係る発明においては、請求項1記載のすべり軸受において、前記固体潤滑剤は、ポリテトラフルオロエチレン、黒鉛、二硫化モリブデンの少なくとも1種からなることを特徴とする。

    請求項3に係る発明においては、請求項1又は請求項2記載のすべり軸受において、前記ポリマーアロイ化した樹脂バインダーは、ポリベンゾイミダゾール樹脂と3質量%以上50質量%未満のポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする。

    請求項4に係る発明においては、請求項3記載のすべり軸受において、前記ポリマーアロイ化した樹脂バインダーは、少なくとも3〜20質量%のポリアミドイミド樹脂を含むことを特徴とする。

    請求項5に係る発明においては、請求項3記載のすべり軸受において、前記ポリマーアロイ化した樹脂バインダーは、少なくとも3〜30質量%のポリアミド樹脂を含むことを特徴とする。

    請求項6に係る発明においては、請求項3記載のすべり軸受において、前記ポリマーアロイ化した樹脂バインダーは、少なくとも3〜10質量%のエポキシ樹脂を含むことを特徴とする。

    請求項7に係る発明においては、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のすべり軸受において、前記摺動層は、表面粗さが、Ra0.5μm以下であることを特徴とする。

    請求項8に係る発明においては、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のすべり軸受において、前記摺動層は、膜厚が2〜30μmであることを特徴とする。

    請求項1に係る発明において、摺動層の主成分となるポリベンゾイミダゾール樹脂(以下、「PBI樹脂」という。)は、ポリアミドイミド樹脂(以下、「PAI樹脂」という。)、ポリアミド樹脂(以下、「PA樹脂」という。)、エポキシ樹脂(以下、「EP樹脂」という。)などに比べて耐熱性に優れていると共に、材料強度が高いので、耐摩耗性を向上できる。 また、高温雰囲気における材料強度の低下や、摺動時の発熱による材料強度の低下も少ないので、高温摺動時でも良好な耐摩耗性を維持できる。 さらにPBI樹脂は、PAI樹脂、PA樹脂、EP樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種を添加し高せん断を加えポリマーアロイ化されることにより、摺動層に靭性、強度が付与され、非焼付性、初期なじみ性、耐キャビテーション性も向上できる。 ポリマーアロイ化する前のPBI樹脂、PAI樹脂、PA樹脂、EP樹脂は、それぞれの樹脂の高分子どうしが絡み合った状態にある。 通常の混合方法では、高分子どうしの絡み合いを、完全にはほぐすことができないので樹脂どうしを完全に相溶させることができない。 高せん断を加えながら混合すると各樹脂の高分子どうしの絡み合いがほぐされて樹脂どうしを均質に相溶させることができる。

    また、摺動層は固体潤滑剤を含有しているため、摩擦係数を小さくでき、非焼付性を向上できる。 この場合、固体潤滑剤の含有率が25質量%未満では固体潤滑剤による潤滑性向上効果がほとんど得られず、75質量%を超えると、耐キャビテーション性が低下する。 従って、固体潤滑剤の含有率としては、25〜75質量%の範囲が好ましい。

    また、請求項2に係る発明において、固体潤滑剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という。)、黒鉛、二硫化モリブデンの少なくとも一種を用いることが好ましい。

    また、請求項3に係る発明において、添加する樹脂が3質量%以上50質量%未満において、特に初期なじみ性、耐キャビテーション性が一層向上する。

    また、請求項4に係る発明において、PAI樹脂は摺動層の靭性の向上に寄与するため、摺動層にPAI樹脂を添加することにより初期なじみ性が一層向上する。 この場合、樹脂バインダー中のPAI樹脂の添加量が3〜20質量%において、初期なじみ性、耐キャビテーション性が一層向上する。

    また、請求項5に係る発明において、PA樹脂は摺動層の靭性の向上に寄与するため、摺動層にPA樹脂を添加することによりなじみ性、耐キャビテーション性を一層向上できるようになる。 この場合、PA樹脂の添加量が3〜30質量%において、初期なじみ性、耐キャビテーション性が一層向上する。

    また、請求項6に係る発明において、EP樹脂は摺動層の強度の向上に寄与するため、摺動層にEP樹脂を添加することにより耐キャビテーション性を一層向上できるようになる。 この場合、EP樹脂の含有率が3〜10質量%において、より耐キャビテーション性、非焼付性が向上できる。

    また、請求項7に係る発明において、摺動層の摺動層表面粗さが粗いと油膜切れを生じやすく、摺動層表面と相手軸が接触しやすくなり、摩擦による発熱により焼付が発生しやすい。 とくに摺動初期の摺動層表面粗さがRa0.5μm以下では油膜切れを生じた際、摺動層表面と相手軸が接触し、摺動層最表面が直ちに摩耗し、表面粗さが細かくなる。 そのため摺動層表面に油が供給され、油膜が形成しやすくなり、焼付にくくなる。 摺動初期の摺動層表面粗さがRa0.5μmを超える場合、摺動層表面と相手軸が接触し摺動層最表面が摩耗するが、初期の粗さが粗いと摩耗しても摺動層表面の粗さは直ちに細かくならず、摺動層表面に油が供給しにくいままであり、非焼付性が向上しない。

    更に、摺動する際に、相手軸に高荷重が負荷される使用条件では、軸のたわみや相手軸の振動などが起き、摺動層と相手軸は局部的な接触を起こす。 この際、接触部において、摺動層が塑性変形または弾性変形を起こし、または摩耗により局部的な負荷の上昇を緩和し、そのため焼付が発生しにくくなる。 このため、請求項8に係る発明において、摺動層厚は2〜30μm、好ましくは5〜10μmの厚さであると摺動層が塑性変形または弾性変形を起こし、局部的な負荷の上昇を緩和できる。 また摺動層膜厚が2μm未満の場合、塑性変形または弾性変形が充分でないため、局部的な負荷の上昇を緩和できないことにより、焼付性が向上しない。 また摺動層膜厚が30μmを超える場合、熱伝導性が低下するため、非焼付性が向上しない。

    以下、本発明の実施の形態を説明する。 図1は、本発明の実施の形態を模式的に示すすべり軸受の断面図である。 すべり軸受は、裏金3の表面に接合された銅系合金又はアルミニウム系合金からなる軸受合金層1の表面に、摺動層2を設けた構成である。 本実施形態において、摺動層2は、樹脂バインダーとなるPBI樹脂を主成分とし、PAI樹脂、PA樹脂、EP樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種からなるポリマーアロイ化した樹脂バインダーと固体潤滑剤を含有する摺動層であり、固体潤滑剤としては、二硫化モリブデン(MoS 2 )、グラファイト(Gr)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、二硫化タングステン(WS 2 )、窒化棚素(BN)等が用いられる。 さらに必要に応じて、摺動層に硬質粒子、軟質金属等を含有することができる。 硬質粒子として、窒化珪素(Si 34 )等の窒化物、酸化アルミニウム(Al 23 )、酸化珪素(SiO 2 )、酸化チタン(TiO 2 )等の酸化物・炭化珪素(SiC)等の炭化物を用いることができ、軟質金属として、銅、銀、金、アルミニウム、錫、亜鉛、ビスマス等、及びこれらの合金を用いることができる。

    次に、本実施例による摺動層を設けた実施例品と従来の摺動層を設けた比較例品について非焼付試験、耐キャビテーション試験を実施し、その結果を表1に示す。 実施例品は、裏金となる鋼板上に銅系軸受合金層を接合して、これを平板形状に加工後、脱脂処理し、続いて軸受合金層の表面をブラスト加工により粗面化する。 さらに酸洗・湯洗、乾燥後、表1の実施例1〜15に示す組成物を有機溶剤(N−メチル―2−ピロリドン)で希釈し、ホモジナイザーにより組成物に高せん断力を長時間(1時間以上)加え、相溶および均一化を行った組成物を上記軸受合金層表面にエアースプレーで吹付けて塗布した。 その後、有機溶剤を乾燥除去し、250℃で60分間焼成する。 ここで摺動層の厚さは、焼付試験用、耐キャビテーション試験用共に5μmとした。 なお、ホモジナイザーにより、組成物に高せん断を加え、ポリマーアロイ化している。

    一方、比較例品は、裏金となる鋼板上に銅系軸受合金層を接合して、これを平板形状に加工後、脱脂処理し、続いて軸受合金層の表面をブラスト加工により粗面化する。 さらに酸洗・湯洗、乾燥後、表1の比較例1〜5に示す組成物を有機溶剤(N−メチル―2−ピロリドン)で希釈し、ホモジナイザーにより希釈した組成物に高せん断力を加え、相溶および均一化を行った組成物を上記軸受合金層表面にエアースプレーで吹付けて塗布した。 その後、有機溶剤を乾燥除去し、250℃で60分間焼成する。 ここで摺動層の厚さは、焼付試験用、耐キャビテーション試験用共に5μmとした。 なお、比較例2及び5は、ホモジナイザーにより、組成物に高せん断を加え、ポリマーアロイ化している。 また、比較例6は実施例5と同等の組成物を超音波攪拌機で混合攪拌し、上記軸受合金層表面にエアースプレーで吹付けて塗布した。 その後、有機溶剤を乾燥除去し、250℃で60分間焼成する。 ここで摺動層の厚さは、焼付試験用、耐キャビテーション試験用共に5μmとした。

    焼付試験は、スラスト型摩擦摩耗試験機を用い、表2に示す試験条件で行ない、軸受面圧を30分毎に3MPaずつ増加させながら、摩擦トルクと焼付荷重を測定した。 累積面圧を増加させた直後は、摩擦トルクは増大する。 その時摺動層が塑性変形または弾性変形を起こすことにより、局部的な負荷の上昇を緩和して、摩擦トルクを減少させ定常摩耗状態となり安定する。 ここで、摩擦トルクの変化量が少ないほど、初期なじみ性が良好である。 そこで、摩擦トルク変化量を測定し、初期なじみ性として評価した。 また、軸受の背面温度が200℃を越えるか、または摩擦トルクが392N・m以上を示した時の面圧を焼付荷重とした。 耐キャビテーション試験は、超音波を利用した試験機を用い、表3に示す試験条件で行ない摺動層の重量減量を測定し、これを体積換算し、体積減量とした。

    上記表1において、摺動層の各成分の数字は、それぞれ質量百分率(質量%)である。 まず、摺動層のベース樹脂をPBI樹脂のみで構成したもの(比較例4)では、ベース樹脂がPBI樹脂のみであるのに対し、実施例1,2,5,6では、PBI樹脂とPAI樹脂又はPA樹脂がポリマーアロイとなっていることが異なる。 試験結果を見ると、トルク変化量、焼付荷重、耐キャビテーション性について実施例1,2,5,6の方が優れている。 これは、PBI樹脂にPAI樹脂、又はPA樹脂が添加されポリマーアロイ化されたことにより、靭性が付与されたため初期なじみ性、非焼付性が向上し、またキャビテーションによるエロ一ジョンの発生が抑制されてきたことによるものである。

    また、摺動層のベース樹脂をPBI樹脂のみで構成した比較例4に対し、実施例3,4では、PBI樹脂にEP樹脂が添加されていることが異なるのみであり、試験結果を見ると、摩擦トルク変化量、焼付荷重はほぼ同じであるが、体積減量について実施例3,4の方が優れている。 これは、PBI樹脂にEP樹脂が添加されたことにより、PBI樹脂がポリマーアロイ化され、摺動層の強度が向上されたためキャビテーションによるエロ一ジョンの発生が抑制されてきたことによるものである。

    また、比較例5と実施例13を比較してみると、摩擦トルク変化量についてはほぼ同じであるが、焼付荷重、体積減量については、実施例13の方が優れている。 これは、比較例5の固体潤滑剤の添加量が70重量%より多いため、摺動層の強度の低下により、焼付荷重、耐キャビテーション性の低下が起こったことによるものである。

    また、比較例2と実施例7を比較してみると、体積減量についてはほぼ同じであるが、摩擦トルク変化量、焼付荷重については、実施例7の方が優れている。 これは、比較例3の固体潤滑剤の添加量が25重量%より少ないため、摺動特性が充分でなく、また摺動層の靭性が不十分なことにより、初期なじみが起こりにくいことによるものである。 従って固体潤滑剤の添加量は25〜75重量%が望ましい。

    また、比較例6と実施例5を比較してみると、摩擦トルク変化量についてはほぼ同じであるが、焼付荷重、体積減量については、実施例5の方が優れている。 これは、比較例6が、樹脂が溶媒に溶かされ、分子に近い極微細な単位で混合攪拌されてはいるが、均一物質ではなく、マイクロクラスター状となっているため、キャビテーションによる応力が物理的性質の連続しなくなる(または、強度が弱い)各樹脂相の界面に集中するため耐キャビテーション性の低下が起こったものである。

    これに対し、実施例5では混合時に高せん断を加え、PBI樹脂とPAI樹脂を単分子どうしで存在させることによりポリマーアロイ化することができ、樹脂どうしを相溶させ、単一物質となるため、樹脂バインダー内において、不連続部が発生しないため、耐キャビテーション性が向上している。

    また、実施例1,5をみるとポリマーアロイ化した樹脂バインダー中のPAI樹脂の添加量が3〜20質量%において、非焼付性がとくに良好であることがわかる。

    また、実施例2,10,11をみるとポリマーアロイ化した樹脂バインダー中のPA樹脂の添加量が3〜30質量%であり、非焼付性がとくに良好であることがわかる。

    実施例3,7をみるとポリマーアロイ化した樹脂バインダー中のEP樹脂の添加量が3〜10%において、非焼付性がとくに良好であることがわかる。

    本発明は上記しかつ図面に示した実施例にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。 樹脂組成物に高せん断を加える装置としては、ホモジナイザーに限らず、高圧ジェット撹拌混合機等でも良い。 軸受合金層の表面を粗面化する方法としては、ブラスト加工に限らず、エッチング、溶射、化成処理等でも良い。 樹脂表面層及び接着層の塗布方法は、エアスプレー法に限らず、パッド印刷法、スクリーン印刷法、ロールコート法等でも良い。 なお、軸受合金層1上に摺動層2を設けた後に、すべり軸受形状に加工してすべり軸受を製造することもできる。 本発明のすべり軸受は、自動車のエンジン用以外の用途、たとえばコンプレッサーなどへの用途にも用いることができる。 更に、本発明のすべり軸受は、流体潤滑下での使用以外に、境界潤滑下、無潤滑下でも使用することができる。

    本発明に係る実施形態におけるすべり軸受の断面図である。

    符号の説明

    1 軸受合金層 2 摺動層 3 裏金

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