導電性パターン形成用組成物および導電性パターンを有する樹脂構造体

申请号 JP2017502151 申请日 2015-08-03 公开(公告)号 JP2017526769A 公开(公告)日 2017-09-14
申请人 エルジー・ケム・リミテッド; 发明人 ハン・ナア・ジョン; ハ・ナ・イ; チョル−ヒ・パク; チー−スン・パク; ジェ・ヒュン・キム; シン・ヒ・ジュン; リュル・イ; ミン・ジ・キム;
摘要 本発明は、各種高分子樹脂製品または樹脂層の変形なく、前記高分子樹脂製品または樹脂層上に単純化された工程で微細な導電性パターンを形成できるようにし、多様な色実現などの当業界の要求をより効果的に満足できるようにする導電性パターン形成用組成物および導電性パターンを有する樹脂構造体に関する。
权利要求

高分子樹脂;および 下記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物を含み、 電磁波照射によって、前記非導電性金属化合物から金属核が形成される電磁波照射による導電性パターン形成用組成物: [化学式1] Cu3−xMxP2O8 前記化学式1において、 Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zn、Nb、Mo、Tc、Pd、Ag、Ta、W、Pt、Mg、Ca、Sr、およびAuからなる群より選択された1種以上の金属であり、xは、0以上3未満の有理数である。前記非導電性金属化合物は、三斜晶系構造を有し、 空間群に属する、請求項1に記載の電磁波照射による導電性パターン形成用組成物。前記非導電性金属化合物は、四平面形のCuO4あるいはMO4;トリゴナルバイピラミッドのCuO5あるいはMO5;および四面体のPO4が酸素を共有しながら3次元的に連結されている立体構造を有する、請求項1に記載の電磁波照射による導電性パターン形成用組成物。前記高分子樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含む、請求項1に記載の電磁波照射による導電性パターン形成用組成物。前記高分子樹脂は、ABS樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリフタルアミド樹脂からなる群より選択された1種以上を含む、請求項4に記載の電磁波照射による導電性パターン形成用組成物。前記非導電性金属化合物は、全体組成物に対して0.1〜15重量%含まれる、請求項1に記載の電磁波照射による導電性パターン形成用組成物。難燃剤、熱安定剤、UV安定剤、滑剤、抗酸化剤、無機充填剤、色添加剤、衝撃補強剤、および機能性補強剤からなる群より選択された1種以上の添加剤をさらに含む、請求項1に記載の電磁波照射による導電性パターン形成用組成物。高分子樹脂基材; 高分子樹脂基材に分散しており、下記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物; 所定領域の高分子樹脂基材の表面に露出した金属核を含む接着活性表面;および 前記接着活性表面上に形成された導電性金属層を含む導電性パターンを有する樹脂構造体: [化学式1] Cu3−xMxP2O8 前記化学式1において、 Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zn、Nb、Mo、Tc、Pd、Ag、Ta、W、Pt、Mg、Ca、Sr、およびAuからなる群より選択された1種以上の金属であり、xは、0以上3未満の有理数である。前記接着活性表面および導電性金属層が形成された所定領域は、前記高分子樹脂基材に電磁波の照射された領域に対応する、請求項8に記載の導電性パターンを有する樹脂構造体。

说明书全文

[関連出願との相互参照] 本出願は、2014年8月4日付の韓国特許出願第10−2014−0100040号および2015年7月31日付の韓国特許出願第10−2015−0109125号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。

本発明は、各種高分子樹脂製品または樹脂層の変形なく、前記高分子樹脂製品または樹脂層上に単純化された工程で微細な導電性パターンを形成できるようにし、多様な色実現などの当業界の要求をより効果的に満足できるようにする導電性パターン形成用組成物および導電性パターンを有する樹脂構造体に関する。

最近、微細電子技術の発展に伴い、各種樹脂製品または樹脂層などの高分子樹脂基材(または製品)の表面に微細な導電性パターンが形成された構造体に対する要求が増大している。このような高分子樹脂基材表面の導電性パターンは、電子機器ケースに一体化されたアンテナ、各種センサ、MEMS構造体、またはRFIDタグなどの多様な対象物を形成するのに適用可能である。

このように、高分子樹脂基材の表面に導電性パターンを形成する技術への関心が増加するにつれ、これに関するいくつかの技術が提案された。しかし、未だかかる技術をより効果的に利用できる方法は提案されていないのが現状である。

例えば、既知の技術によれば、高分子樹脂基材の表面に金属層を形成した後、フォトリソグラフィを適用して導電性パターンを形成したり、導電性ペーストを印刷して導電性パターンを形成する方法などが考慮される。しかし、このような技術により導電性パターンを形成する場合、必要な工程または装備が過度に複雑になったり、良好かつ微細な導電性パターンを形成することが困難になるという欠点がある。

そこで、より単純化された工程で高分子樹脂基材の表面に微細な導電性パターンをより効果的に形成できる技術の開発が以前から要求されてきている。

このような当業界の要求を満足できる技術の一つとして、樹脂内に特殊な無機添加剤を含ませ、導電性パターンを形成する部分にレーザ等電磁波を照射した後、当該電磁波照射領域にメッキなどを進行させて、高分子樹脂基材の表面に導電性パターンを簡単に形成する方法が知られている。

しかし、このような導電性パターン形成方法において、以前に無機添加剤として提案されたものは樹脂本来の物性に影響を及ぼして、得られた高分子樹脂製品あるいは樹脂層の諸物性に劣るか、あるいは多様な色実現が難しいなどの問題があった。これにより、樹脂の変性をもたらすことなく、多様な色実現などといった当業界の様々な要求を満足できる多様な種類の無機添加剤の開発が必要である。

本発明は、各種高分子樹脂製品または樹脂層の変形なく、前記高分子樹脂製品または樹脂層上に単純化された工程で微細な導電性パターンを形成できるようにし、多様な色実現などの当業界の要求をより効果的に満足できるようにする導電性パターン形成用組成物を提供することである。

本発明はまた、前記導電性パターン形成用組成物などから、導電性パターン形成方法により形成された導電性パターンを有する樹脂構造体を提供することである。

発明の一実施形態によれば、高分子樹脂;および下記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物を含み、電磁波照射によって、前記非導電性金属化合物から金属核が形成される電磁波照射による導電性パターン形成用組成物が提供される。 [化学式1] Cu3−xMxP2O8 前記化学式1において、 Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zn、Nb、Mo、Tc、Pd、Ag、Ta、W、Pt、Mg、Ca、Sr、およびAuからなる群より選択された1種以上の金属であり、xは、0以上3未満の有理数である。

このような非導電性金属化合物は、三斜晶系構造を有し、

空間群(space group)に属するものであるとよい。より具体的には、前記非導電性金属化合物は、四平面形のCuO4あるいはMO4;トリゴナルバイピラミッド(trigonal bipyramid)のCuO5あるいはMO5;および四面体のPO4が酸素を共有しながら3次元的に連結されている立体構造を有することができる。

一方、前記導電性パターン形成用組成物において、前記高分子樹脂は、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂になるとよく、そのより具体的な例としては、ABS(Acrylonitile poly−butadiene styrene)樹脂、ポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびポリフタルアミド樹脂からなる群より選択された1種以上が挙げられる。

そして、前記導電性パターン形成用組成物において、前記非導電性金属化合物は、全体組成物に対して約0.1〜15重量%含まれる。

また、前記導電性パターン形成用組成物は、難燃剤、熱安定剤、UV安定剤、滑剤、抗酸化剤、無機充填剤、色添加剤、衝撃補強剤、および機能性補強剤からなる群より選択された1種以上の添加剤をさらに含むことができる。

一方、発明の他の実施形態によれば、上述した導電性パターン形成用組成物を用いて、高分子樹脂基材の表面に導電性金属層(導電性パターン)を形成した樹脂構造体が提供される。このような導電性パターンを有する樹脂構造体は、高分子樹脂基材;高分子樹脂基材に分散しており、下記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物;所定領域の高分子樹脂基材の表面に露出した金属核を含む接着活性表面;および前記接着活性表面上に形成された導電性金属層を含むことができる。 [化学式1] Cu3−xMxP2O8 前記化学式1において、 Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zn、Nb、Mo、Tc、Pd、Ag、Ta、W、Pt、Mg、Ca、Sr、およびAuからなる群より選択された1種以上の金属であり、xは、0以上3未満の有理数である。

このような導電性パターンを有する樹脂構造体において、前記接着活性表面および導電性金属層が形成された所定領域は、前記高分子樹脂基材に電磁波の照射された領域に対応できる。

本発明によれば、各種高分子樹脂製品または樹脂層などの高分子樹脂基材上に、レーザ等電磁波を照射する非常に単純化された工程で微細な導電性パターンを形成できるようにする導電性パターン形成用組成物と、これから形成された導電性パターンを有する樹脂構造体が提供される。

特に、前記導電性パターン形成用組成物を用いると、樹脂構造体(各種高分子樹脂製品または樹脂層など)の変性をもたらすことなく、多様な色を実現しようとする当業界の要求をより効果的に満足させながらも、このような樹脂構造体上に良好な導電性パターンを容易に形成することができる。

したがって、このような導電性パターン形成用組成物などを用いて、携帯電話やタブレットPCケースなど各種樹脂製品上の導電性パターン、RFIDタグ、各種センサ、MEMS構造体などを非常に効果的に形成することができる。

図1は、発明の一実施形態に係る導電性パターン形成用組成物に含まれるCu

3P

2O

8の構造を模式的に示す図である。

図2は、発明の一実施形態に係る導電性パターン形成用組成物に含まれるCu

3P

2O

8の波長(nm)に応じた吸光度を示すグラフである。吸光度(absorbance)は、Kubelka−Munk方程式により(1−R%*0.01)

2/(2R%*0.01)で計算した値であり、R%は、Uv−Visible spectroscopyで測定可能なdiffuse reflectanceである。

図3は、発明の一実施形態に係る組成物を用いて導電性パターンを形成する方法の一例を工程段階別に簡略化して示す図である。

図4は、実施例1と2で使用された非導電性金属化合物のXRDパターンを示す図である。

図5は、Cu

3P

2O

8とCu

1.5Zn

1.5P

2O

8のXRDパターンを比較したグラフである。

図6は、Cu

3P

2O

8およびmicaにコーティングされたSb doped SnO

2の波長(nm)に応じた吸光度を示すグラフである。

以下、発明の具体的な実施形態に係る導電性パターン形成用組成物と、これから形成された導電性パターンを有する樹脂構造体などについて説明する。

発明の一実施形態によれば、高分子樹脂;および下記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物を含み、電磁波照射によって、前記非導電性金属化合物から金属核が形成される電磁波照射による導電性パターン形成用組成物が提供される。 [化学式1] Cu3−xMxP2O8 前記化学式1において、 Mは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zn、Nb、Mo、Tc、Pd、Ag、Ta、W、Pt、Mg、Ca、Sr、およびAuからなる群より選択された1種以上の金属であり、xは、0以上3未満の有理数である。

一実施形態の導電性パターン形成用組成物は、前記化学式1で表される特定の非導電性金属化合物を含む。

前記化学式1で表される特定の非導電性金属化合物は、7結晶系(7crystal system)のうち最も対称性の少ない三斜晶系(triclinic system)構造を有することができる。三斜晶系構造では、単位胞をなす3つのベクトル長が全て異なるだけでなく(a≠b≠c)、ベクトルのなす角も互いに異なり直角でない(α≠β≠γ≠90)。また、前記非導電性金属化合物は、

空間群(space group)に属するものであるとよい。図1には、このような非導電性金属化合物の三斜晶系構造を模式的に示している。

図1を参照すれば、三斜晶系構造を有する非導電性金属化合物において、CuとMは2種の部位に位置することができる。具体的には、前記非導電性金属化合物は、1個のCuまたはMが4個の酸素によって配位されて四角平面(square planeまたはsquare planar)の局所対称(local symmetry)をなすM1部位(M1 site)と、1個のCuまたはMが5個の酸素によって配位されてトリゴナルバイピラミッド(trigonal bipyramid)の局所対称をなすM2部位に位置することができる。また、非導電性金属化合物は、1個のPが4個の酸素によって配位されて局所対称をなすPO4の四面体(tetrahedron)を含むことができる。このような局所対称をなす部位は、図1のように、酸素を共有しながら3次元的に連結されて三斜晶系構造をなすことができる。具体的には、前記非導電性金属化合物は、図1のように、四角平面形のCuO4あるいはMO4;トリゴナルバイピラミッド(trigonal bipyramid)のCuO5あるいはMO5;および四面体のPO4が酸素を共有しながら3次元的に連結されている立体構造を有することができる。

以下、より詳細に説明するが、このような非導電性金属化合物を含む導電性パターン形成用組成物を用いて高分子樹脂製品または樹脂層を成形した後、所定領域にレーザ等電磁波を照射すると、前記非導電性金属化合物から金属核が形成される。前記非導電性金属化合物は、一般的な環境では化学的に安定するが、近赤外線波長などの電磁波に露出した領域では、前記金属核がより容易に形成される。

より具体的には、前記化学式1で表される非導電性金属化合物は、図2(横軸:波長(nm)、縦軸:吸光度)のように、可視光線領域(約300nm〜700nm)の吸光度が低く、近赤外線から赤外線領域(約700nm〜3000nm)で高い吸光度を示す。前記非導電性金属化合物の近赤外線領域の強い吸光度の原因は、CuO5のなすトリゴナルバイピラミッド(trigonal bypyramid)の局所対称に起因する。その理由としては、第一、前記トリゴナルバイピラミッドの中心に存在するCu2+は、中心対称性を有しない部位(non−centrosymmetric site)に位置し、Cu2+のd−オービタルでラポルテ許容遷移(Laporte allowed transition)が可能なためである。第二、この結晶構造に起因するエネルギー準位間の遷移は、可視光線領域(約300nm〜700nm)を少なく含み、近赤外線から赤外線領域(約700nm〜3000nm)を相当部分含むからである。したがって、前記非伝導性金属化合物が、可視光線領域の吸光度は低く、かつ近赤外線から赤外線領域の吸光度が高くて、明るい色を有しながらも近赤外線波長の電磁波の刺激によく反応してCu−無電解メッキのための金属核をよく形成することができる。

このように形成された金属核は、電磁波の照射された所定領域で選択的に露出して高分子樹脂基材表面の接着活性表面を形成することができる。以降、金属核などを化学的還元処理するか、これをseedとして導電性金属イオンなどを含むメッキ溶液で無電解メッキすると、前記金属核を含む接着活性表面上に導電性金属層が形成される。特に、上述のように、非導電性金属化合物の構造的特徴によって、前記非導電性金属化合物に近赤外線波長の電磁波が照射されると、低い電磁波パワーでも金属核を容易に形成することができる。また、前記金属核は、還元またはメッキ方法、例えば、Cu−無電解メッキによって導電性パターンを容易に形成することができる。

一方、前記一実施形態の組成物において、前記非導電性金属化合物は、近赤外線領域の電磁波照射前は、非導電性を示すだけでなく、前記高分子樹脂と優れた相溶性を有し、前記還元またはメッキ処理などに使用される溶液に対しても化学的に安定して非導電性を維持する特性を有する。

したがって、このような非導電性金属化合物は、電磁波の照射されない領域では、高分子樹脂基材内に均一に分散した状態で化学的に安定して維持されて非導電性を示すことができる。これに対し、前記近赤外線波長の電磁波が照射された所定領域では、前記非導電性金属化合物からすでに上述した原理で金属核の形成が容易であり、これによって微細な導電性パターンを容易に形成することができる。

したがって、上述した一実施形態の組成物を用いると、各種高分子樹脂製品または樹脂層などの高分子樹脂基材上に、レーザ等電磁波を照射する非常に単純化された工程で微細な導電性パターンを形成することができ、特に、前記導電性パターンの形成を促進する金属核を非常に容易に形成可能なため、既知の同種の組成物に比べてもより良好な導電性パターンを非常に容易に形成することができる。

付加して、スピネル構造を有するCuCr2O4などの化合物は暗黒色(dark black)を呈することによって、このような非導電性金属化合物を含む組成物は、多様な色彩の高分子樹脂製品または樹脂層を実現するのに好適でないことがある。これに対し、前記化学式1で表される化合物の一つであるCu3P2O8は、図2のように可視光線領域(約300nm〜700nm)の吸収率が低いため、相対的に明るい色を呈することができる。これによって、Cu3P2O8は、各種高分子樹脂製品または樹脂層などの色をほとんど着色させない。したがって、これを含む一実施形態の組成物を用いると、相対的に少ない色添加剤の追加でも各種高分子樹脂製品などの多様な色を実現しようとする当業界の要求をより効果的に満足させることができる。また、Cu3P2O8においてCuの一部を他の遷移金属(Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Y、Zn、Nb、Mo、Tc、Pd、Ag、Ta、W、Pt、Mg、Ca、Sr、およびAuなど)に置換しても上記の目的を得ることができる。特にCuの一部をZnに置換すると、Cu3P2O8より色がより明るくなる効果を得ることができる。

一方、上述した一実施形態の導電性パターン形成用組成物において、前記高分子樹脂としては、多様な高分子樹脂製品または樹脂層を形成可能な任意の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を特別な制限なく使用することができる。特に、上述した特定の非導電性金属化合物は、多様な高分子樹脂と優れた相溶性および均一な分散性を示すことができ、一実施形態の組成物は、多様な高分子樹脂を含むことで様々な樹脂製品または樹脂層に成形される。このような高分子樹脂の具体的な例としては、ABS(Acrylonitile poly−butadiene styrene)樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、またはポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリアルキレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはポリフタルアミド樹脂などが挙げられ、その他にも多様な高分子樹脂を含むことができる。

また、前記導電性パターン形成用組成物において、前記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物は、全体組成物に対して約0.1〜15重量%、あるいは約1〜10重量%含まれ、残りの含有量の高分子樹脂が含まれる。当該含有量範囲により、前記組成物から形成された高分子樹脂製品または樹脂層の機械的物性などの基本的な物性を適切に維持しながらも、電磁波照射によって一定領域に導電性パターンを形成する特性を好ましく示すことができる。

そして、前記導電性パターン形成用組成物は、上述した高分子樹脂および所定の非導電性金属化合物のほか、難燃剤、熱安定剤、UV安定剤、滑剤、抗酸化剤、無機充填剤、色添加剤、衝撃補強剤、および機能性補強剤からなる群より選択された1種以上の添加剤をさらに含んでもよい。これら添加剤の付加により、一実施形態の組成物から得られた樹脂構造体の物性を適切に補強することができる。これら添加剤のうち、前記色添加剤、例えば、顔料などの場合には、約0.1〜10重量%の含有量で含まれ、前記樹脂構造体に所望の色を付与することができる。

このような顔料等色添加剤の代表的な例としては、ZnO、ZnS、Talc、TiO2、SnO2、またはBaSO4などの白色顔料があり、その他にも以前から高分子樹脂組成物に使用可能と知られた多様な種類および色の顔料等色添加剤を使用できることはもちろんである。

前記難燃剤は、リン系難燃剤および無機難燃剤を含むものであるとよい。より具体的には、前記リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート(triphenyl phosphate、TPP)、トリキシレニルホスフェート(trixylenyl phosphate、TXP)、トリクレシルホスフェート(tricresyl phosphate、TCP)、またはトリイソフェニルホスフェート(triisophenyl phosphate、REOFOS)などを含むリン酸エステル系難燃剤;芳香族ポリホスフェート(aromatic polyphosphate)系難燃剤;ポリリン酸塩系難燃剤;または赤リン系難燃剤などを使用することができ、その他にも樹脂組成物に使用可能と知られた多様なリン系難燃剤を特別な制限なく全て使用することができる。また、前記無機難燃剤としては、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸化物(MoO3)、モリブデン過酸化物塩(Mo2O72−)、カルシウム−亜鉛−モリブデン酸塩、三酸化アンチモン(Sb2O3)、または五酸化アンチモン(Sb2O5)などが挙げられる。ただし、無機難燃剤の例がこれに限定されるものではなく、その他樹脂組成物に使用可能と知られた多様な無機難燃剤を特別な制限なく全て使用することができる。

また、衝撃補強剤、熱安定剤、UV安定剤、滑剤、または抗酸化剤などの場合、約0.01〜5重量%、あるいは約0.05〜3重量%の含有量で含まれ、前記樹脂構造体に所望の物性を適切に発現させることができる。

一方、以下、上述した一実施形態の導電性パターン形成用組成物を用いて、樹脂製品または樹脂層などの高分子樹脂基材上に、電磁波の直接照射によって導電性パターンを形成する方法を具体的に説明する。このような導電性パターンの形成方法は、上述した導電性パターン形成用組成物を樹脂製品に成形するか、他の製品に塗布して樹脂層を形成する段階と、前記樹脂製品または樹脂層の所定領域に電磁波を照射して、前記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物粒子から金属核を発生させる段階と、前記金属核を発生させた領域を化学的に還元またはメッキさせて、導電性金属層を形成する段階とを含むことができる。

以下、このような導電性パターンの形成方法を、添付した図面を参照して各段階別に説明する。参照として、図3では、前記導電性パターン形成方法の一例を工程段階別に簡略化して示している。

前記導電性パターン形成方法では、まず、上述した導電性パターン形成用組成物を樹脂製品に成形するか、他の製品に塗布して樹脂層を形成することができる。このような樹脂製品の成形または樹脂層の形成においては、通常の高分子樹脂組成物を用いた製品成形方法または樹脂層形成方法が特別な制限なく適用可能である。例えば、前記組成物を用いて樹脂製品を成形するに際しては、前記導電性パターン形成用組成物を押出および冷却した後、ペレットまたは粒子状に形成し、これを所望の形態に射出成形して多様な高分子樹脂製品を製造することができる。

このように形成された高分子樹脂製品または樹脂層は、前記高分子樹脂から形成された樹脂基材上に、上述した特定の非導電性金属化合物が均一に分散した形態を有することができる。特に、前記化学式1の化合物を含む非導電性金属化合物は、多様な高分子樹脂と優れた相溶性および化学的安定性を有するため、前記樹脂基材上の全領域にわたって均一に分散して非導電性を有する状態に維持できる。

このような高分子樹脂製品または樹脂層を形成した後には、図3の1番目の図に示されているように、導電性パターンを形成しようとする前記樹脂製品または樹脂層の所定領域に、レーザ等電磁波を照射することができる。このような電磁波を照射すると、前記非導電性金属化合物から金属やそのイオンが放出され、これを含む金属核を発生させることができる(図3の2番目の図を参照)。

より具体的には、前記電磁波照射による金属核発生段階を進行させると、前記化学式1の化合物を含む非導電性金属化合物の一部が前記樹脂製品または樹脂層の所定領域の表面に露出しながらこれから金属核が発生し、より高い接着性を有するように活性化した接着活性表面を形成することができる。このような接着活性表面が電磁波の照射された一定領域でのみ選択的に形成されることによって、後述するメッキ段階などを進行させると、前記金属核および接着活性表面に含まれている導電性金属イオンなどの化学的還元、および/またはこれに対する無電解メッキによって前記導電性金属イオンが化学的還元されることによって、前記導電性金属層が所定領域の高分子樹脂基材上に選択的に形成される。より具体的には、前記無電解メッキ時には、前記金属核が一種のseedとして作用して、メッキ溶液に含まれている導電性金属イオンが化学的に還元される時、これと強い結合を形成することができる。その結果、前記導電性金属層がより容易に選択的に形成される。

一方、上述した金属核発生段階においては、電磁波の中でも、レーザ電磁波が照射され、例えば、約755nm、約1064nm、約1550nm、または約2940nmの近赤外線(NIR)領域の波長を有するレーザ電磁波が照射される。他の例において、赤外線(IR)領域の波長を有するレーザ電磁波が照射される。また、前記レーザ電磁波は、通常の条件やパワー下で照射される。

このようなレーザの照射によって、より効果的に前記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物から金属核が発生することができ、これを含む接着活性表面を所定領域に選択的に発生および露出させることができる。

一方、上述した金属核発生段階を進行させた後には、図3の3番目の図に示されているように、前記金属核を発生させた領域を化学的に還元またはメッキさせて、導電性金属層を形成する段階を進行させることができる。このような還元またはメッキ段階を進行させた結果、前記金属核および接着活性表面の露出した所定領域で選択的に導電性金属層が形成され、残りの領域では化学的に安定した非導電性金属化合物がそのまま非導電性を維持することができる。これによって、高分子樹脂基材上の所定領域にのみ選択的に微細な導電性パターンが形成される。

より具体的には、前記導電性金属層の形成段階は、無電解メッキによって行われ、これによって前記接着活性表面上に良好な導電性金属層が形成される。特に、前記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物から形成された接着活性表面は、Cu−無電解メッキによって効果的に微細な導電性パターンを形成させることができる。

一例において、このような還元またはメッキ段階では、前記金属核を発生させた所定領域の樹脂製品または樹脂層を還元剤を含む酸性または塩基性溶液で処理することができ、このような溶液は、還元剤として、ホルムアルデヒド、次亜リン酸塩、ジメチルアミノボラン(DMAB)、ジエチルアミノボラン(DEAB)、およびヒドラジンからなる群より選択された1種以上を含むことができる。また、前記還元またはメッキ段階では、上述した還元剤および導電性金属イオンを含む無電解メッキ溶液などで処理して、前記無電解メッキによって導電性金属層を形成することができる。

このような還元またはメッキ段階の進行により、前記金属核が形成された領域でこれをseedとして前記無電解メッキ溶液に含まれている導電性金属イオンが化学的還元され、所定領域に選択的に良好な導電性パターンが形成される。この時、前記金属核および接着活性表面は、前記化学的に還元される導電性金属イオンと強い結合を形成することができ、その結果、所定領域に選択的に導電性パターンがより容易に形成される。

また、このような導電性パターンが形成されていない残りの領域で、前記樹脂構造体には、前記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物が均一に分散している。

一方、発明の他の実施形態によれば、上述した導電性パターン形成用組成物および導電性パターン形成方法によって得られた導電性パターンを有する樹脂構造体が提供される。このような樹脂構造体は、高分子樹脂基材;高分子樹脂基材に分散しており、前記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物;所定領域の高分子樹脂基材の表面に露出した銅金属または銅イオンを含む金属核を含む接着活性表面;および前記接着活性表面上に形成された導電性金属層を含むことができる。

このような樹脂構造体において、前記接着活性表面および導電性金属層が形成された所定領域は、前記高分子樹脂基材に電磁波の照射された領域に対応できる。また、前記接着活性表面の金属核に含まれている金属やそのイオンは、前記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物由来であるとよい。一方、前記導電性金属層は、前記化学式1で表される化合物を含む非導電性金属化合物に含まれている金属由来であるか、無電解メッキ溶液に含まれている導電性金属イオン由来であるとよい。

また、前記樹脂構造体は、前記非導電性金属化合物由来の残留物をさらに含むことができる。このような残留物は、前記非導電性金属化合物に含まれている金属中の少なくとも一部が放出され、そのサイトの少なくとも一部にvacancyが形成された構造を有することができる。

上述した樹脂構造体は、アンテナ用導電性パターンを有する携帯電話またはタブレットPCケースなど各種樹脂製品または樹脂層になるか、その他RFIDタグ、各種センサまたはMEMS構造体などの導電性パターンを有する多様な樹脂製品または樹脂層になるとよい。

上述のように、発明の実施形態によれば、レーザ等電磁波を照射し、還元またはメッキする非常に単純化された方法で、各種微細導電性パターンを有する多様な樹脂製品を良好かつ容易に形成することができる。

以下、発明の具体的な実施例により発明の作用、効果をより具体的に説明する。ただし、これは発明の例として提示されたもので、これによって発明の権利範囲がいかなる意味でも限定されない。

[実施例1] CuOと(NH4)2HPO4を3:2のモル比で混合した混合物を、1000℃で10時間熱処理する固相反応方法により、三斜晶系構造を有するCu3P2O8を合成した。そして、その結晶特性を示すXRD(X−ray Diffraction)パターンを、図4に示した。

基本樹脂のポリカーボネート樹脂と、非導電性金属化合物として前記製造したCu3P2O8を使用し、工程および安定化のための添加剤を共に使用して、電磁波照射による導電性パターン形成用組成物を製造した。

これらの添加剤としては、熱安定化剤(IR1076、PEP36)、UV安定剤(UV329)、滑剤(EP184)、衝撃補強剤(S2001)を使用した。

前記ポリカーボネート樹脂を90重量%、Cu3P2O8を5重量%、その他添加剤を5重量%で混合して組成物を得、これを260〜280℃の温度で押出機により押出した。押出されたペレット状の組成物を、約260〜270℃で直径100mm、厚さ2mmの基板およびASTM規格のアイゾッドバー形態に射出成形した。

前記射出成形された試験片に対して、40kHz、7Wの条件下、1064nm波長のレーザを照射して表面を活性化させ、次のように無電解メッキ工程を実施した。

メッキ溶液(以下、PA溶液)は、硫酸銅3g、ロッシェル塩14g、水酸化ナトリウム4gを、100mlの脱イオン水に溶解して製造した。製造されたPA溶液40mlに、還元剤としてホルムアルデヒド1.6mlを添加した。レーザで表面が活性化した樹脂構造体を4〜5時間メッキ溶液に担持させた後、蒸留水で洗浄した。

前記7Wのレーザパワーを照射した樹脂構造体は、Cu−無電解メッキにより金属核を含む接着活性表面に良好な導電性パターン(銅金属層)を形成した。

[実施例2] 前記実施例1の導電性パターン形成用組成物に、顔料として5重量%のTiO2を追加的に添加したことを除いて、実施例1と同様の方法で導電性パターンが形成された樹脂構造体を形成した。実施例2では、実施例1より明るい色の樹脂構造体が形成され、実施例1と同様に良好な導電性パターン(銅金属層)が形成された。

[実施例3] CuO;ZnO;および(NH4)2HPO4を1.5:1.5:2のモル比で混合した混合物を、950℃で10時間熱処理する固相反応方法により、三斜晶系構造を有するCu1.5Zn1.5P2O8を合成し、その結晶特性を示すXRD(X−ray Diffraction)パターンを、図5に示した。図5に示されるように、Cu1.5Zn1.5P2O8は、置換されたZnによって単位胞の3つのベクトルとその角度が変化してpeakの移動が観察されるものの、大体Cu3P2O8のXRDパターンと類似のXRDパターンを示す。前記XRDパターンから、Cu1.5Zn1.5P2O8もtriclinic構造の

空間群を有することが確認される。

前記実施例1において、非導電性金属化合物としてCu3P2O8の代わりに前記Cu1.5Zn1.5P2O8を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で導電性パターンが形成された樹脂構造体を製造した。

[比較例1] 前記実施例2において、非導電性金属化合物としてCu3P2O8の代わりにmicaにコーティングされたSb doped SnO2を使用することを除いて、実施例2と同様の方法で導電性パターン形成用組成物を製造し、これを用いて実施例2と同じ条件で射出成形された試験片を製造した。

しかし、前記射出成形された試験片に、実施例2と同じ条件のレーザを照射しても、レーザに露出した領域に金属核または接着活性表面がきちんと形成されなかった。これによって、Cu−無電解メッキにより形成された導電性パターンの接着が良好でない結果を得た。

これは、図6に示されるように、実施例1と2で使用されたCu3P2O8より、比較例1で使用されたmicaにコーティングされたSb doped SnO2の吸光度が低くて、比較例1では、実施例に比べて容易に接着活性表面が形成されないことが予測される。

そこで、前記射出成形された試験片に13Wのレーザを照射して表面を活性化させ、実施例1と同様に無電解メッキ工程を実施した。

このような結果から、吸光度の高い本発明の一実施形態に係る非導電性金属化合物の場合、低いレーザ照射パワーでも銅金属または銅イオンを含む金属核または接着活性表面の形成が効果的であることが確認される。

[比較例2] 前記実施例1において、非導電性金属化合物としてCu3P2O8の代わりにCu2(OH)PO4を使用したことを除いて、実施例1と同様の方法で導電性パターンが形成された樹脂構造体を製造した。

[試験例] 前記実施例および比較例で使用した非導電性金属化合物が高分子樹脂の安定性に影響を及ぼすか否かを確認するために、非導電性金属化合物が添加されていないポリカーボネート樹脂基板の溶融指数と、実施例および比較例で製造した樹脂構造体の溶融指数とを比較した。

具体的には、溶融指数(MI:melt index)は、ASTM D1238により、300℃の温度および2.16kgの荷重下で測定した。

前記表1を参照すれば、実施例1の樹脂構造体は、非導電性金属化合物を添加しないポリカーボネート樹脂基板の溶融指数に非常に近接した溶融指数を示した。これによって、実施例1で使用した非導電性金属化合物は、高分子樹脂の変性をもたらさないことが確認される。したがって、前記実施例1では、本発明の一実施形態に係る非導電性金属化合物を用いて、優れた熱安定性を有する樹脂構造体を提供できることが確認される。

反面、比較例1および2の樹脂構造体は、非導電性金属化合物を添加しないポリカーボネート樹脂基板対比非常に高い溶融指数を示した。つまり、比較例1で使用したmicaにコーティングされたSb doped SnO2および比較例2で使用したCu2(OH)PO4は、樹脂の変性をもたらすことによって、これらを用いて樹脂構造体を製造する場合、劣悪な熱安定性を示すことが確認される。

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