Laminated metal sheet for can excellent in processability after heat treatment

申请号 JP2003144988 申请日 2003-05-22 公开(公告)号 JP2004345232A 公开(公告)日 2004-12-09
申请人 Jfe Steel Kk; Jfeスチール株式会社; 发明人 SUZUKI TAKESHI; IWASA HIROKI; NISHIHARA HIDEKI; CHINO ATSUSHI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a laminated metal sheet for cans excellent in processability after heat treatment which does not produce cracks in a film in processing after heat treatment such as coating or print baking.
SOLUTION: In the laminated metal sheet for cans excellent in processability after heat treatment, a heat-treated polyester resin mainly comprising polyethylene terephthalate is laminated. The half-value breadth of a Raman shift peak caused by the stretching vibration of C=O in the vicinity of 1,730 cm
-1 in a laser Raman spectroscopic method using linearly polarized laser beams of the film surface layer of the metal sheet is 22-25 cm
-1 .
COPYRIGHT: (C)2005,JPO&NCIPI
权利要求
  • 熱処理後のポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル系樹脂をラミネートした缶用ラミネート金属板において、前記缶用ラミネート金属板のフィルム表層の、直線偏光のレーザー光を用いたレーザーラマン分光法における1730cm −1近傍のC=O伸縮振動に起因したラマンシフトピークの半値幅が22cm −1以上25cm −1以下であることを特徴とする熱処理後の加工性に優れた缶用ラミネート金属板。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、塗装や印刷の焼付けなどの熱処理を行った後に、加工を施して成形する金属缶及び缶蓋に用いる、熱処理後の加工性に優れた缶用ラミネート金属板に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    製缶工業においては、近年、熱可塑性樹脂フィルムを金属板にラミネートしたラミネート金属板の適用が検討されている。 特に、耐食性・安全性・耐熱性の観点から、ポリエチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹脂フィルムがバランスのとれた特性を有するとして注目され、ポリエステル系樹脂をラミネートした缶用ラミネート金属板に関する提案がなされている。
    【0003】
    例えば、特許文献1には、フィルムの融点以上の温度で金属板にポリエステルフィルムを熱融着することを必須条件とし、それにより金属板の界面近傍に無定形ポリエステル層を生成させ、この樹脂層により金属板との密着性を向上させる技術が開示されている。
    【0004】
    また、特許文献2及び特許文献3には、金属板の界面近傍の樹脂フィルム層を、複屈折率0.010以下の低配向状態とし、その厚み比を40〜90%に規定することで、加工後の密着性を向上させる技術が開示されている。
    【0005】
    【特許文献1】
    特公昭60−47103号公報【0006】
    【特許文献2】
    特開平10−138389号公報【0007】
    【特許文献3】
    特開平10−138390号公報【0008】
    【発明が解決しようとする課題】
    上記特許文献1〜3に記載されるラミネート金属板は、ラミネート後にそのまま缶体や缶蓋などに加工する場合には優れた加工性を示す。 しかしながら、意匠性付与や、内容物表示、注意書きなどの目的で、主に缶外面に塗装や印刷を行った後に加工しようとすると、塗装や印刷の焼付け工程の熱によりフィルムが脆化し、加工に対してクラックを生じてしまう。
    【0009】
    本発明は、上記問題を考慮し、塗装や印刷の焼付けなどの熱処理を行った後の加工に対しても、フィルムにクラックが生じない、熱処理後の加工性に優れた缶用ラミネート金属板を提供することを目的とする。
    【0010】
    【課題を解決するための手段】
    本発明者らは、鋭意検討した結果、熱処理を行った後の加工に対してもフィルムにクラックが生じない、熱処理後の加工性に優れたラミネートフィルムを提供するためには、熱処理後にフィルム層内に形成される無配向結晶の結晶化度を高度に制御することが有効であり、無配向結晶の結晶化度の指標としてレーザーラマン分光法により得られたピークの半値幅を用い、前記半値幅を規定し、制御することで、熱処理後の加工性に優れたラミネート鋼板が得られることを見出した。
    【0011】
    本発明の要旨は以下の通りである。
    [1]熱処理後のポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル系樹脂をラミネートした缶用ラミネート金属板において、前記缶用ラミネート金属板のフィルム表層の、直線偏光のレーザー光を用いたレーザーラマン分光法における1730cm −1近傍のC=O伸縮振動に起因したラマンシフトピークの半値幅が22cm −1以上25cm −1以下であることを特徴とする熱処理後の加工性に優れた缶用ラミネート金属板。
    【0012】
    【発明の実施の形態】
    以下、本発明について詳細に説明する。
    【0013】
    本発明者らは、種々の検討を行った結果、まず、塗装焼付けなどの熱処理によって、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称す)を主体とするポリエステル系樹脂をラミネートした金属板のフィルム加工性が低下し、フィルムにクラックが発生しやすくなるのは、熱処理によってラミネートフィルム内に無配向結晶が生成するためである事を見出し、熱処理時の無配向結晶の生成を適正範囲内に制御できれば、クラックの発生を抑制できる可能性があるという考えに至った。
    ここで、一般的に、例えば無配向結晶の生成程度を示す体積分率結晶化度(以下、結晶化度と称す)と金属板にラミネ−トする樹脂の密度の間には下記式(1)の関係のあることが知られている(高分子の固体構造II(共立出版、1974)、305)。
    【0014】
    体積分率結晶化度(%)=(ρ−ρa)/(ρc−ρa)×100 …(1)
    但し、ρは密度の実測値、ρcおよびρaは、それぞれ完全結晶および完全非晶の密度である。
    そこで、上記知見と樹脂の密度と結晶化度の関係を踏まえてさらに検討した。 得られた結果を図1に示す。 図1はPET樹脂におけるラマンシフト、強度および密度との関係を示したものである。 図1に示すように、PET樹脂の密度が変化すると、ラマンシフトが1730cm −1近傍のC=O伸縮振動に起因したピーク(以下、ピークと称す)の半値幅が大きく変化することがわかる。 そこで、密度が既知のPET樹脂について、直線偏光のレーザー光を用いたレーザーラマン分光法により、ラマンスペクトルを測定し、密度とピークの半値幅の関係を調査した。 得られた結果を図2に示す。 なお、半値幅は、分光器の波数分解能にある程度依存するので、正確を期するため、波数分解能10.4cm −1に設定した。 図2より密度とピークの半値幅の間には直線性を示す相関関係があることが分かる。
    以上の結果より、ピークの半値幅と鋼板にラミネ−トする樹脂の結晶化度の間には一定の相関があることになる。 よって、密度が既知のPET樹脂を用いて得られた半値幅は無配向結晶の結晶化度の指標として使用することができ、ピークの半値幅を、適切な範囲に規定、制御することによって、熱処理によるフィルム内の無配向結晶形成を制御し、フィルムの熱処理後の加工性劣化を防止できる可能性が出てきた。
    そこで、次に、クラックの発生と無配向結晶の結晶化度の指標として用いた半値幅(すなわち結晶化度)との関係について調査した。 180℃で15分間熱処理を行った後、デュポン衝撃加工によりクラックが発生したラミネート金属板とクラックが発生しなかったラミネート金属板を準備した。 また、熱処理を行わずラミネ−トしたままの金属板についても準備した。 それぞれの金属板について、樹脂層断面に対し、直線偏光の偏光方向をフィルム面に垂直の条件で測定した、ピークの半値幅について調査した。 結果を図3、図4に示す。 なお、図3はフィルムにクラックが発生したラミネート金属板の調査結果であり、図4はクラックが発生しなかったラミネート金属板の調査結果である。 ここで、本発明において、直線偏光の偏光方向をフィルム面に垂直の条件で、樹脂層断面のラマンスペクトルを測定したのは、この条件が、無配向結晶の評価に最も適しているからであり、偏光方向をフィルム面に平行にしたときは配向結晶の結晶化度が、偏光方向をフィルム面に垂直にしたときは無配向結晶の結晶化度が評価可能となるためである。
    図3、図4より、熱処理を行わずラミネートしたままの金属板の半値幅は厚み方向で25cm −1付近でほぼ一定の値を示しているが、熱処理後の表層付近の半値幅は図3においては21.2cm −1 、図4においては22.9cm −1であり、クラックを発生したラミネ−ト金属板は熱処理後の表層における無配向結晶の結晶化度が高く、クラックを発生しなかったラミネ−ト金属板は熱処理後の表層における無配向結晶の結晶化度が低いことがわかる。
    従って、熱処理後の無配向結晶の結晶化度の増加が熱処理後の加工時のクラック発生の原因となっており、また、熱処理後の無配向結晶の結晶化度はフィルム表層における半値幅に依存していることがわかる。
    次に、熱処理条件を変更し、上記と同じ条件で測定したフィルム表層のピークの半値幅と、デュポン衝撃加工によるフィルムクラック発生との関係を調べた。 その結果、熱処理後のフィルム表層の半値幅が22cm −1以上であればクラックの発生を抑制でき、22cm −1未満になるとクラックが発生することが判明した。 すなわち、温度条件、熱処理時間等の熱処理条件にも拘わらず、熱処理後のフィルム表層の半値幅が、22cm −1以上であれば、熱処理後の加工性に優れた缶用ラミネート金属板が得られることになる。
    また、本発明において、ピークの半値幅の上限値は25cm −1以下とする。 完全非晶状態でのPET樹脂の半値幅が約25cm −1であることから、半値幅25cm −1が実質的に結晶を含まない状態であると考えられるからである。 したがって、フィルム表層のピ−クの半値幅の範囲は、半値幅25cm −1の無配向結晶が存在しない状態から、半値幅22cm −1で規定される無配向結晶の結晶化度の状態までとする。 なお、この時の測定条件としては、樹脂層断面のラマンスペクトルをその偏光方向がフィルム面に垂直で、波数分解能10.4cm− の分光器を用いることとする。
    本発明のPETを主体とするポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート単体(ホモポリエチレンテレフタレート)、イソフタル酸の濃度を変化させたポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体、また、それらと、プロピレングリコール、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオール類との共重合体など、ポリエチレンテレフタレートを主体として含む樹脂を広く使用できる。 また、それらの樹脂を単層として用いることも可能だが、2層以上の異なる成分からなる複層樹脂であっても良い。
    また、本発明で使用する金属板としては、各種表面処理鋼板、アルミニウムや銅及びそれら合金等の軽金属板が挙げられる。 表面処理鋼板としては、冷延鋼板を焼鈍後二次冷間圧延し、亜鉛系めっき、錫めっき、ニッケルめっき、クロムめっき、錫/クロムの二層めっき、電解クロム酸処理、クロム酸処理、りん酸処理等の表面処理の一種または二種以上行ったものを用いることができる。 軽金属板としては、純アルミニウム板、アルミニウム合金板、銅合金等を広く使用できる。 ポリエステル樹脂の厚み(総厚み)は、特に制限されないが、5〜50μmの範囲内が望ましい。 厚みが5μm未満になると、ラミネート作業性が著しく低下するとともに、充分な加工耐食性が得られず、一方、50μm超えとなると、製缶分野で広く使用されているエポキシ系塗料と比較しても経済的でない。
    また、美観性を向上させるために顔料、染料などの着色剤、滑り性を付与させるために無機滑剤および帯電防止剤などを樹脂フィルム内に添加配合させてもよい。
    このような金属板表面に樹脂フィルムを熱圧着被覆する方法については、特に制限されるものではない。 一般的には、図5に示す熱融着型のラミネート装置を用い、加熱帯1において加熱された金属帯2を一対のラミネートロール4で挟み、所定のラミロール押し付けを付与して、金属帯2の片面あるいは両面に樹脂フィルム3を連続的にラミネートする。 その際、フィルムと金属板の間に接着剤の層を設け、接着剤を介してラミネートすることも可能である。
    【0015】
    樹脂フィルム圧着後は、急冷することが望ましい。 急冷を行わないと、フィルム内に無配向結晶が形成されやすく、熱処理を行わなくとも加工性が阻害される場合がある。 ラミネート工程で無配向結晶の形成を防ぐには、5秒以内にフィルムのガラス転移点以下にすることが好ましい。
    【0016】
    【実施例】
    以下に本発明の実施例を比較例とともに示す。 表1に示す各種の金属板に対し、同じく表1に示す各種のポリエステル樹脂を、図5に示すラミネート装置にて、ラミネート条件(金属帯加熱温度・ラミネートロール温度・ポリエステル樹脂フィルム熱圧着後の冷却条件他)を調整することにより製造した。 次いで、表1に示す熱処理条件で熱処理を行い、サンプルとした。
    得られた熱処理後のサンプルの断面をバフ研磨し、直線偏光のレーザー光を用いたレーザーラマン分光法により、その偏光方向がフィルム面に垂直の条件で樹脂層のラマンスペクトルを測定し、ラマンシフトが1730cm −1近傍のC=O伸縮振動に起因したピークの半値幅を調査した。
    ラマンスペクトルの測定には、市販の日本分光(株)製NRS−2000レーザーラマン分光装置を用いた。 測定条件を以下に記す。
    入射光にはAr レーザー(波長514.5nm)を用い、レーザー光をレンズ(×100)により試料表面上で約1μmに集光して測定を行なった。 レーザー強度は試料表面上で2mWとした。 スリットは、スリット1を200μm、スリット3および5を400μmに設定し、波数分解能を10.4cm −1に設定した。 測定時間は1測定点当たり5秒×2とし、アパーチャーは200μmとした。 測定は厚み方向に対し、1μmピッチで行い、フィルム表層から3点の平均値を求め、フィルム表層の半値幅とした。 レーザー発振器を出たレーザー光は純度の高い直線偏光であるため、今回の測定では偏光子は用いなかった。
    【0017】
    また、熱処理後の加工性評価は下記のように行った。 熱処理を行ったサンプルに対し、対象とするラミネート面を下向きにしてデュポン衝撃試験(ポンチ先端径:1/4インチ、おもり荷重:1.0kg、おもり落下高さ:300mm)を行い、その結果生じた凸加工部分のみを、0.5%食塩に浸し、食塩水中の電極とラミネート金属板に6.2Vの電圧を印加させ、10秒後の漏れ電流値を読み取った。 漏れ電流値が0.1mA未満のものを良好とした。 得られた結果を表1及び図6に示す。
    【0018】
    【表1】

    【0019】


    表1及び図6より、フィルム表層の半値幅の値が22cm

    −1を境界に、加工部からの漏れ電流の挙動が大きく変化することがわかる。 比較例に当たるフィルム表層の半値幅の値が22cm

    −1未満では、急激に加工部からの漏れ電流値が大きくなり、加工性が低下している。 逆に、本発明例に当たるフィルム表層の半値幅の値が22cm

    −1以上では漏れ電流値が小さく、加工性が良好であることがわかる。


    【0020】


    【発明の効果】


    以上、本発明によれば、熱処理後の加工性に優れた缶用ラミネート金属板を得ることができる。 また、本発明のポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル系樹脂をラミネートした金属板は、熱処理後の加工性に優れているため、塗装や印刷の焼付けなどの熱処理を行った後に、加工を施して成形する金属缶及び缶蓋用材料として好適である。


    【図面の簡単な説明】


    【図1】ポリエステル樹脂におけるラマンシフト、強度及び密度との関係を示す図である。


    【図2】密度とピークの半値幅との関係を示す図である。


    【図3】熱処理後にフィルムにクラックが発生したラミネート金属板樹脂層断面のピ−クの半値幅調査結果を示す図である。


    【図4】熱処理後にフィルムにクラックが発生しなかったラミネート金属板樹脂層断面のピークの半値幅調査結果を示す図である。


    【図5】熱融着型のラミネート装置の一実施態様を示す図である。


    【図6】フィルム表層における半値幅と漏れ電流値との関係を示す図である。


    【符号の説明】


    1 加熱帯2 金属帯3 樹脂フィルム4 ラミネートロール

    QQ群二维码
    意见反馈