Manufacturing methods and devices in the upper space filler of the container

申请号 JP2002082588 申请日 2002-03-25 公开(公告)号 JP4132907B2 公开(公告)日 2008-08-13
申请人 塩野義製薬株式会社; 大成化工株式会社; 发明人 健司 大西; 慎次 平本; 昌宏 由良; 保行 白石;
摘要
权利要求
  • 軸方向一端が閉塞され他端が開放された伸縮性を有する筒状のネットを軸方向全長に渡って柱状の支持体に被せる 第1工程と、
    前記ネットの他端部を支持体の径方向外方へ向けて押し広げつつ軸方向一端側へ巻き返すことによりネットの開放端に巻回部を形成する 第2工程と、
    前記巻回部を軸方向一端側へ向けて転動させることにより、筒状のネットを軸方向全長に渡って巻き取り、該ネットをほぼ塊状乃至球状に構成する 第3工程と、を備える容器の上部空間充填材の製造方法 において、
    ネットの開放端を案内する湾曲部を有する巻き上げ部材を支持体の外周部に配設し、前記第2工程を、巻回部が形成されるようにネットの他端部が湾曲部によって案内されるように、支持体に被せられたネットの他端部に当接する位置にある湾曲部を軸方向一端側に相対移動させることにより行い、前記第3工程を、巻回部が軸方向一端側へ向けて転動するように該巻回部を前記湾曲部によって案内するように、湾曲部をネットの他端側から一端側へ向けて相対移動させることにより行う、ことを特徴とする容器の上部空間充填材の製造方法。
  • 軸方向一端が閉塞され他端が開放された伸縮性を有する筒状のネットが軸方向全長に渡って被せられる柱状の支持体と、該ネットをほぼ塊状乃至球状に巻き上げる巻き上げ手段とを備え、該巻き上げ手段は、前記ネットの他端部を支持体の径方向外方へ向けて押し広げつつ軸方向一端側へ巻き返すことによりネットの開放端に巻回部を形成すると共に、該巻回部を軸方向一端側へ向けて転動させることにより筒状のネットを塊状乃至球状となるように軸方向全長に渡って巻き取るように構成されている容器の上部空間充填材の製造装置 において、
    前記巻き上げ手段は、支持体の外周部に配設されてネットの開放端を案内する湾曲部を有する巻き上げ部材を備え、該部材の湾曲部は、支持体に対して軸方向に相対移動可能であり、支持体に被せられたネットの他端部に当接する位置にある湾曲部を軸方向一端側に相対移動させることにより、巻回部が形成されるようにネットの他端部が湾曲部によって案内されると共に、湾曲部をネットの他端側から一端側に向けて相対移動させることによって、巻回部が軸方向一端側へ向けて転動するように該巻回部を前記湾曲部により案内することを特徴とする容器の上部空間充填材の製造装置。
  • 巻き上げ部材は、支持体の外周部に配設された剛性部材からなり、該剛性部材の軸方向一端側の側面が、湾曲部として機能する凹面であり、剛性部材が支持体に対して軸方向に移動することにより湾曲部が軸方向に移動することを特徴とする請求項 に記載の容器の上部空間充填材の製造装置。
  • 巻き上げ部材は柔軟な紐状部材からなり、該紐状部材の一端は支持体の一端部に固定され、紐状部材は、支持体と該支持体に被せられたネットとの間で軸方向に沿って他端側に延びると共に、ネットの開放端部で折り返されて紐状部材の他端部は軸方向一端側に延び、この折り返し部によって湾曲部が構成され、紐状部材の他端部を軸方向一端側に引き上げることによって湾曲部が軸方向一端側に移動することを特徴とする請求項 に記載の容器の上部空間充填材の製造装置。
  • 複数の巻き上げ部材が、支持体の周方向に配設されていることを特徴とする請求項 乃至 のいずれか1項に記載の容器の上部空間充填材の製造装置。
  • 巻き上げ手段は、ネットをその外周側から支持体に押圧固定する押圧部を備え、該押圧部は、湾曲部の軸方向移動に応じて軸方向に移動することを特徴とする請求項 乃至 のいずれか1項に記載の容器の上部空間充填材の製造装置。
  • 支持体は、軸方向一端側の大径部と、軸方向他端側の小径部と、大径部と小径部との間に位置するテーパー部とを有し、支持体に被せられたネットの他端部は小径部外周に位置することを特徴とする請求項2乃至 のいずれか1項に記載の容器の上部空間充填材の製造装置。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    本発明は、錠剤などの固形物を収容した容器の上部に生じる空間を充填するための上部空間充填材の製造方法および装置に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    錠剤やカプセルなどの固形物は、ガラス瓶や合成樹脂の容器に収容して販売されることが多く、容器の運搬中に容器内で収容物が移動したり破損することなどを防止するために、容器の上部空間に充填材を挿入している。
    【0003】
    従来は、このような充填材として、合成樹脂フィルムなどを適宜に丸めたものや、容器サイズに合わせて合成樹脂材を成形加工したものが用いられている。
    このような充填材は、輸送中の収容物の移動を防止するために付加的に設けられるものであり、加工費を含めた部材価格は極めて低いものが要求される。
    【0004】
    【発明が解決しようとする課題】
    ところが、樹脂フィルムなどを用いた充填材は、材料価格は安価であるものの開栓時に取り出し難く、その上、丸めたフィルム内に錠剤が入り込んでフィルムの取り出し時に錠剤が飛び出すような不具合があった。
    また、樹脂成形品による専用の充填材は、部材価格が高い上に、容器サイズが異なる容器に共用できず、また、容器サイズが同一でも上部空間容積が異なると充分な充填効果が得られないことがあった。
    【0005】
    本発明は、前記事情に鑑みて提案されるもので、サイズの異なる容器においても上部空間を効果的に充填可能な上部空間充填材を製造するための新規な製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
    【0006】
    【課題を解決するための手段】
    前記目的を達成するために、本発明者らは次の技術的手段を講じた。
    則ち、本発明の上部空間充填材の製造方法は、軸方向一端が閉塞され他端が開放された伸縮性を有する筒状のネットを軸方向全長に渡って柱状の支持体に被せる工程と、ネットの他端部を支持体の径方向外方へ向けて押し広げつつ軸方向一端側へ巻き返すことによりネットの開放端に巻回部を形成する工程と、巻回部を軸方向一端側へ向けて転動させることにより、筒状のネットを軸方向全長に渡って巻き取り、該ネットをほぼ塊状乃至球状に構成する工程とを備えるものである。
    【0007】
    ここで、本発明に採用する筒状のネットは、例えば、合成樹脂材を成形加工して製された伸縮性、可撓性を有する筒状のネットが好適である。 従って、以下の説明では、このような合成樹脂で製された筒状のネットを用いた構成として述べる。
    【0008】
    上記合成樹脂製のネットは、伸縮性、可撓性を有するため、そのままの状態では形状が不安定で巻き上げ加工を施すのは困難であるが、本発明によれば、伸縮性、可撓性を有する筒状のネットを、ネットの定常状態における内径よりも大きい外径を有する支持体に被せることにより、安定した状態に支持して加工性を確保している。
    【0009】
    また、巻回部は、ネットの他端部を支持体の径方向外方へ向けて押し広げつつ軸方向一端側へ巻き返して形成される。 巻回部を形成すると、巻き返されたネットの他端部はネットの外周部に巻き込むように当接して形状が安定する。 そして、形状の安定した巻回部を軸方向一端側へ向けて転動させることにより、ネットを容易に巻き取ることが可能となる。
    【0010】
    また、本発明の上部空間充填材の製造装置は、軸方向一端が閉塞され他端が開放された伸縮性を有する筒状のネットが軸方向全長に渡って被せられる柱状の支持体と、該ネットをほぼ塊状乃至球状に巻き上げる巻き上げ手段とを備え、該巻き上げ手段は、ネットの他端部を支持体の径方向外方へ向けて押し広げつつ軸方向一端側へ巻き返すことによりネットの開放端に巻回部を形成すると共に、該巻回部を軸方向一端側へ向けて転動させることにより筒状のネットを塊状乃至球状となるように軸方向全長に渡って巻き取るように構成されている。
    【0011】
    かかる製造装置は、上記本発明の製造方法に好適に使用することができ、支持体と巻き上げ手段とを備えることにより、ネットを安定な状態に支持して短時間に効率良く巻き上げることが可能である。
    【0012】
    ここで、本発明に用いるネットは、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン系樹脂材などの可撓性を有する合成樹脂材を成形加工して製したものが好適である。 ポリオレフィン系樹脂の中でも、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂は薬品に対する耐性も高く最適である。 合成樹脂製のネットを用いる場合、筒状に成形加工されたネットの軸方向一端を加熱溶着して閉塞したものを用いる。
    【0013】
    上記本発明の製造装置において、巻き上げ手段は、支持体の外周部に配設されてネットの開放端を案内する湾曲部を有する巻き上げ部材を備えることができる。 該巻き上げ部材の湾曲部は、支持体に対して軸方向に相対移動可能とすることができる。 また、支持体に被せられたネットの他端部に当接する位置にある湾曲部を軸方向一端側に相対移動させることにより、巻回部が形成されるようにネットの他端部が湾曲部によって案内されるように構成できる。 さらに、湾曲部をネットの他端側から一端側に向けて相対移動させることによって、巻回部が軸方向一端側へ向けて転動するように該巻回部を前記湾曲部により案内する構成とすることができる。
    【0014】
    なお、固定した支持体に対して巻き上げ部材を軸方向に移動させる構成、あるいは、固定した巻き上げ部材に対して支持体を軸方向に移動させる構成のいずれの構成も採用することが可能である。
    【0015】
    かかる構成によれば、巻き上げ部材の湾曲部によってネットの他端部を案内して巻回部を形成し、形成された巻回部を湾曲部によってネットの一端側に向けて転動させるように案内して短時間に効率良く巻き上げることが可能である。
    【0016】
    また、上記本発明の製造装置において、巻き上げ部材は、支持体の外周部に配設された剛性部材からなり、該剛性部材の軸方向一端側の側面が、湾曲部として機能する凹面であり、剛性部材が支持体に対して軸方向に移動することにより湾曲部が軸方向に移動する構成とすることができる。
    【0017】
    これによれば、巻き上げ部材を形成する剛性部材を支持体に対してネットの一端側へ向けて相対移動させると、ネットの他端部は剛性部材の湾曲部に沿って支持体の径方向外方へ向けて押し広げられつつ軸方向一端側へ巻き返される。 これにより、ネットの他端部に巻回部が形成される。 そして、更に剛性部材を移動させると、形成された巻回部は湾曲部によって軸方向一端側へ向けて転動し、ネットを軸方向全長に渡って塊状乃至球状に巻き取ることが可能である。
    【0018】
    ここで、本発明者らは本発明の製造装置において、剛性部材の湾曲部の曲率半径および剛性部材の移動速度を種々に変化させて製造試験を行ったところ、湾曲部の曲率半径が50mmを超えると巻き上げられた充填材の外形寸法が大きくばらつくことが分かった。 また、湾曲部の曲率半径が10mm未満の場合は、ネットの他端部を充分に巻き返すことができず、巻回部の形成が困難であった。
    従って、湾曲部の曲率半径を10mm〜50mmの範囲内に設定することにより、巻き上げた充填材の外形寸法を調節可能である。
    【0019】
    また、試験の結果、剛性部材の移動速度の増加に伴って巻き上げた充填材の高さが増大し、逆に、移動速度を低下すると巻き上げた充填材の高さが減少することが判明した。 また、剛性部材の移動速度を50mm/分〜1250mm/分の範囲に変化させても巻き上げが可能であった。
    従って、前記した剛性部材の湾曲部の曲率半径および剛性部材の移動速度を調整することにより、目的の外径寸法および高さを有する充填材を製造することが可能である。
    【0020】
    上記巻き上げ部材は柔軟な紐状部材からなるものとすることができる。 該紐状部材の一端は支持体の一端部に固定されていてもよい。 紐状部材は、支持体と該支持体に被せられたネットとの間で軸方向に沿って他端側に延びることが好ましい。 さらに、紐状部材は、ネットの開放端部で折り返されて紐状部材の他端部は軸方向一端側に延び、この折り返し部によって湾曲部が構成されたものとすることができる。 そして、紐状部材の他端部を軸方向一端側に引き上げることによって湾曲部が軸方向一端側に移動する構成とすることができる。
    【0021】
    なお、固定した支持体に対して紐状部材の他端部を軸方向に移動させる構成、あるいは、他端部を固定した紐状部材に対して支持体を軸方向に移動させる構成のいずれの構成も採用可能である。
    【0022】
    かかる構成によれば、紐状部材の折り返し部分で形成される湾曲部によってネットの他端部を案内して巻回部を形成し、形成された巻回部を湾曲部によってネットの軸方向一端側に転動させて効率良く巻き上げることが可能である。
    【0023】
    本発明者らは、本発明の製造装置においても、紐状部材の湾曲部の曲率半径および紐状部材の引き上げ速度を種々に変化させて製造試験を行った。 試験の結果、湾曲部の曲率半径が略10mmの状態でネットを巻き上げると、ネットの他端部に巻回部を安定して形成でき、しかも、巻き上げ後の外形寸法がばらつかないことが分かった。
    【0024】
    また、試験の結果、紐状部材の引き上げ速度の増加に伴って巻き上げた充填材の高さが増大し、逆に、引き上げ速度を低下すると巻き上げた充填材の高さが減少する結果が得られた。 また、湾曲部の移動速度が50mm/分〜1250mm/分の範囲で変化させても巻き上げが可能であった。
    従って、紐状部材で形成される湾曲部の曲率半径を略10mmに設定すると共に、紐状部材の引き上げに伴う湾曲部の移動速度を調整することにより、目的の外径および高さを有する充填材を製造可能である。
    【0025】
    さらに、上記複数の巻き上げ部材を、支持体の周方向に配設することができる。 上記したように、合成樹脂で製されたネットは可撓性、伸縮性を有する。 このため、巻き上げ部材の配設数が少ない場合は、巻き上げ部材が配設されない周方向の部位においてネットの他端側が巻き返され難く、ネットの周方向全周に渡って均一な巻回部を形成することが困難である。 しかし、本発明によれば、支持体の周方向に複数の巻き上げ部材を配設するので、巻き上げ部材同士の間隔を狭めることができ、ネットの他端側を周方向全周に渡って均一に巻き返して安定して巻回部を形成可能となる。
    【0026】
    上記巻き上げ手段は、ネットをその外周側から支持体に押圧固定する押圧部を備えていてもよく、該押圧部は、湾曲部の軸方向移動に応じて軸方向に移動するものであってよい。 これによれば、押圧部によってネットの外周部を支持体に向けて押圧することにより、巻き上げ部材の移動によって軸方向一端側へ向かうがネットに加わった場合でも、ネットが支持体に対してずれることがなく安定した巻き上げ加工が可能となる。
    【0027】
    押圧部を設ける位置は、湾曲部の軸方向一端側であって湾曲部の近傍が良い。 押圧部が湾曲部から離れすぎると、ネットの有する可撓性によって巻き上げ時に撓みが生じ易く、安定した巻き上げが困難になる。 また、押圧部は、支持体の径方向に移動可能な押圧パッドを設けた構成や、押圧ローラを設けた構成など種々の態様を採ることができる。 押圧パッドを設ける場合には、湾曲部の所定長さの移動毎に、押圧パッドの位置を順次軸方向一端側へずらせて押圧する構成を採ることができる。 また、押圧ローラを設ける場合には、湾曲部の移動に伴って、湾曲部と押圧ローラとの距離を一定に保つように押圧ローラも追随して軸方向一端側へ回転移動させる構成を採ることができる。
    【0028】
    ところで、ネットのずれを抑えるためには、合成樹脂製のネットとの間に生じる摩擦力が大きい材質で支持体を形成すれば良い。 合成樹脂に対する摩擦力の大きい素材としては、例えば、シリコーンゴムやウレタンゴムが挙げられる。 また、これらのゴムは、ロックウェル硬さ試験で示されるHRC20〜HRC90の範囲の硬度を有するものが良く、HRC50〜HRC60の硬度範囲が最適である。 このような硬度を有するゴム素材を支持体(表面)に展張することにより、合成樹脂製のネットとの間に生じる摩擦力が増大し、押圧部による押圧と相まって支持体に対するネットのずれが確実に防止される。 これにより、安定した巻き取り加工を行うことが可能となる。
    【0029】
    また、上記支持体は、軸方向一端側の大径部と、軸方向他端側の小径部と、大径部と小径部との間に位置するテーパー部とを有し、支持体に被せられたネットの他端部は小径部外周に位置する構成とすることができる。 これによれば、テーパー部に位置するネットは、テーパー部の外周面に沿って軸方向一端側へ広がるように傾斜する。 従って、巻き上げ部材によって巻き返されたネットの他端部は、テーパー部を設けない場合に比べて、ネットの外周部位に巻き込むように当接する。 これにより、テーパー部を設けない場合に比べて巻回部が安定して形成され、効率の良い巻き上げを行うことが可能となる。
    【0030】
    本発明者らは、本発明の製造装置における支持体各部の外径および長さを種々に変化させて製造試験を行った。 その結果、ネットを巻き上げ可能な支持体の外径は、ネットの材質、線径あるいは巻回部の直径に応じて異なるが、特に、巻回部の直径の影響が大きい結果を得た。 試験の結果、支持体の外径が巻回部の直径の2/5〜4/5の範囲で巻き上げ可能であり、支持体の外径が巻回部の直径の略1/3のときに最も安定した巻き上げが行われることを確認した。
    【0031】
    また、安定した巻き上げを行う条件として、ネットを支持体に被せた状態で、ネットの他端側から100mmまでの範囲は大径部外径の3/5以下の外径に設定するのが良く、テーパー部の長さは80mm以上に設定するのが良いことも判明した。
    【0032】
    【発明の実施の形態】
    以下に、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
    (第1実施形態)
    図1は本発明の第1実施形態に係る製造装置1を示す斜視図、図2は製造装置1に採用する巻き上げ部材を示す拡大斜視図、図3は本発明の製造方法を製造装置1を用いて行う工程を示す説明図、図4は図3の製造工程における巻回部の形成過程を詳細に示す拡大図、図5は巻き上げ部材の変形例を示す斜視図である。 また、図6は製造装置1で製造された上部空間充填材を示す斜視図、図7は図6の上部空間充填材を薬容器に装着した状態を示す断面図である。
    【0033】
    ここで、本実施形態の製造装置1を用いて加工するネットNは、ポリエチレン樹脂材を成形加工して筒状に網材に形成したもので、伸縮性および可撓性を有する。 ネットNの軸方向一端には、図3(a)の様に、加熱溶着により閉塞されて閉塞端Naが形成され、軸方向他端は開放されて開放端Nbを形成している。 また、ネットNの定常状態における内径は後述する支持体の外径よりも小さい。
    【0034】
    一方、本実施形態の製造装置1は、図1(a)の様に、円柱状の支持体10と巻き上げ手段11を備えている。
    【0035】
    支持体10は、上部の大径部10aと下部の小径部10cと、これらの間に位置するテーパー部10bとを有し、上端部10dは半球形である。
    本実施例では、支持体10のテーパー部10bの長さを80mmとし、大径部10aに対して小径部10cの外径寸法を略2/5としている。 支持体10にネットNを軸方向全長に渡って被せると、図4(a)の様に、ネットNの開放端Nbは小径部10cの外周部に位置する。 そして、ネットの開放端Nbから軸方向一端側(閉塞端Na側)へ向けて100mmの部位の支持体10の外径は、大径部10aの略3/5となるようにテーパー部10bおよび小径部10cの外径および長さを調整している。
    また、支持体10の表面にはロックウェル硬度HRC20のウレタンゴム(不図示)を展張してネットNの滑り止めを図っている。
    【0036】
    巻き上げ手段11は、巻き上げ部材(剛性部材)12と押圧ローラ(押圧部)13で構成される。
    剛性部材12は、図2の様に、所定厚さを有する方形材の一部を円弧状に切り欠いた部材であり、切り欠き部位の凹面は湾曲部12aとして機能する。 また、湾曲部12aの端部に位置する湾曲部下縁12bと湾曲部上縁12cは楔状に尖っており、湾曲部下縁12bに隣接する内側面12dは平面である。
    この剛性部材12は、内側面12dが支持体10の外周面に近接するように、則ち、剛性部材12の軸方向一端側の内側面12に湾曲部12aが位置するようにして支持体10の周方向に放射状に6個配設されている。
    【0037】
    これらの剛性部材12は、支持体10の外径に応じて径方向へ移動しつつ軸方向へ移動可能な機構構造を有する。 則ち、各々の剛性部材12は、図1(a)の様に、支持体10の小径部10cから軸方向へ向けて上昇し、テーパー部10bに差し掛かると互いに径方向へ広がりつつ外周面に沿って上昇する。 そして、大径部10aに至ると、図1(b)の様に、径方向への広がりを停止して外周面に沿って上昇する構造とされている。
    【0038】
    また、押圧ローラ13は支持体10の中心軸と直交する中心軸を有した円柱形のローラで、支持体10の周方向に放射状に3個配設されている。 この押圧ローラ13は、剛性部材12から所定長さだけ上方に位置し、剛性部材12との間に所定長さを保ちつつ剛性部材12の移動に追随して移動する。 また、剛性部材12が支持体10の下端に位置するときは、押圧ローラ13は支持体10の外周面から離れ、剛性部材12が軸方向一端側へ向けて移動時には支持体10の外周面を押圧するように付勢される構成とされている。
    【0039】
    次に、この構成の製造装置1を用いた本発明の製造方法を、図3,図4を参照して説明する。
    剛性部材12を支持体10の下端まで下げると、図3(a),図4(a)の様に、押圧ローラ13は支持体10の外周面から離れる。 この状態でネットNを開放端Nb側から軸方向全長に渡って支持体10に被せると、開放端Nbは支持体10の小径部10cに至り、巻き上げ部材12の湾曲部下縁12bに近接する。
    【0040】
    剛性部材12を支持体10に対して所定速度で上昇させると、図4(b)の様に、ネットNの開放端Nbは剛性部材12の湾曲部下縁12bから湾曲部12aに沿って径方向外方へ押し広げられるように案内される。 一方、剛性部材12の上昇に伴い、押圧ローラ13が支持体10の外周面へ向けて付勢され、ネットNを支持体10に押圧しつつ剛性部材12に追随して上昇する。
    【0041】
    剛性部材12の湾曲部下縁12bが支持体10のテーパー部10bに差し掛かるまで上昇すると、図4(c)の様に、ネットNの開放端Nb側は湾曲部12aに沿って巻き返され、巻き返された開放端NbがネットNの外周面に達する。 このとき、巻き返されたネットNの開放端Nbは伸長した状態から縮もうとするため、開放端Nbは下方へ僅かに反り返る。 更に、ネットNの外周部は支持体10のテーパー部10bに沿って傾斜しているので、ネットNの開放端NbはネットNの外周面に巻き込むように近接する。
    【0042】
    剛性部材12の湾曲部下縁12bがテーパー部10bの中央に差し掛かるまで上昇すると、図4(d),図3(b)の様に、ネットNの開放端NbがネットNの外周面に巻き込むように当接し、巻き返された部分が略円形となって巻回部Ncが形成される。
    【0043】
    以降は、図3(c),(d)の様に、形成された巻回部Ncは巻き上げ部材12の上昇に伴って湾曲部12aにより転動されてネットNが軸方向全長に渡って巻き上げられる。 そして、巻き上げが終了すると、図3(e)の様に、押圧ローラ13は径方向外方へ退動し、巻き上げられた充填材3を支持体10から取り外す。
    【0044】
    このように、本実施形態の製造装置1によれば、本発明の製造方法を効果的に実施可能であり、充填材3を短時間に効率良く製造することが可能となる。
    このようにして巻き上げられた充填材3は、図6の様にほぼ球形であり、上部中央には閉塞端Naが突出する。
    また、充填材3は筒状のネットNを巻き上げたものであり、外周部はネットNの編み目が広がった状態で積層されている。 これにより、充填材3に外力を加えると、編み目が収縮するだけでしわが生じることがなく自在に変形可能であり、上下方向および径方向に対して極めて高い弾力性を有する。
    【0045】
    本実施形態で製された上部空間充填材3は、例えば、図7の様に、錠剤Tを収容した薬瓶30の容器本体31の上部に生じる空間31aに挿入される。 充填材3は、閉塞端Naを掴んで容器本体31内に容易に挿入でき、栓32を開いて充填材3の閉塞端Naを掴んで容易に取り出すことができる。
    特に、本実施形態の充填材3は、前記したように、極めて高い弾力性を有するので、内径の異なる容器や同一内径の容器でも上部空間容積が異なる場合にも優れた充填効果を発揮する。 また、変形時にしわが生じないので、上部空間31aへ充填時に充填材3の内部に錠剤Tが入り込むことがなく、充填材3の取り出し時に錠剤Tが付着してが飛び出すような不具合が生じない。
    【0046】
    尚、上記製造装置1では、固定された支持体10の外周面に沿って軸方向に剛性部材(巻き上げ部材)12および押圧ローラ13が移動する構成として述べたが、本発明はこのような構成に限られるものではない。
    例えば、支持体10を軸方向に移動させ、押圧ローラ13を支持体10の外周面に押圧しつつ、支持体10の外径寸法に合わせて剛性部材12を径方向へ移動させる構成を採ることも可能である。
    【0047】
    また、上記製造装置1では剛性部材12として、図2に示した方形材の一部を円弧状に切り欠いたものを用いた。 しかし、例えば、図5の様に、上面視略扇形を有する部材の上部内周側を切り欠いて湾曲部15aを形成した剛性部材15を用いても良い。 この剛性部材15は、内周面15dを支持体10の小径部10cの曲率に略一致させ、湾曲部15aをネットNで形成される巻回部Ncの外周部に沿うように形成することにより、巻回部Ncの形成を一層促進させることが可能となる。
    【0048】
    また、上記製造装置1では、支持体10の周囲に6個の剛性部材12と3個の押圧ローラ13を配設した構成としたが、ネットNの材質や巻き上げ径に応じて適宜の数の剛性部材12および押圧ローラを配設することができる。
    【0049】
    更に、上記製造装置1では、支持体10の表面にウレタンゴムを展張してネットNの滑り止めを行う構成とした。 しかし、このような構成に限らず、例えば、支持体10の外周面に軸方向に沿って長尺のゴムベルトを展張しても同様の効果を奏することが可能である。 この場合には、複数のゴムベルト(例えば4本)を周方向に等間隔で配置するのが好ましい。 このゴムベルトは支持体10の全長にわたって設けてもよいが、少なくとも大径部10aの全長にわたって設けられていればよく、テーパー部10bや小径部10cにおいては滑り止めを行う必要はない。 また、金属製の支持体10の表面全体に滑り止め剤を塗布や蒸着等等により表面被覆してもよい。
    【0050】
    (第2実施形態)
    次に、本発明の第2実施形態に係る製造装置2を図を参照して説明する。
    尚、製造装置2に採用する支持体は、前記第1実施形態で示したものと同一である。 従って、同一部分には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
    図8は本実施形態の製造装置2を示す斜視図、図9は製造装置2を用いて本発明の製造方法を実施するときの製造工程を示す説明図、図10は図9に示す製造工程における巻回部の形成過程を詳細に示す拡大図である。
    【0051】
    本実施形態の製造装置2は、図8の様に、支持体10と巻き上げ手段20を備えて構成される。
    支持体10は、前記した製造装置1に用いたものと同一である。 また、巻き上げ手段20は巻き上げ部材(紐状部材)21と押圧パッド(押圧部)13で構成される。
    【0052】
    紐状部材21は柔軟性を有した紐であり、一端が支持体10の上端部10dに固定され、他端は支持体10の軸方向に沿って下方(軸方向他端側)に伸び、途中で折り返されて再度上方(軸方向一端側)に伸びている。 この紐状部材21は、支持体10の周方向に放射状に6本配設されている。
    これらの紐状部材21は、他端側を一斉に軸方向に移動可能な機構を備えており、各紐状部材21の折り返し部位で形成される湾曲部21aが支持体10の外周面に沿って軸方向へ同時に移動可能である。
    【0053】
    押圧パッド22は方形平板材で成り、支持体10の外周に沿う各紐状部材21の径方向外方に放射状に6個配設されている。 この押圧パッド22は、紐状部材21の湾曲部21aの上方に位置し、湾曲部21aの軸方向への移動に伴って追随して移動する。
    則ち、予め、湾曲部21aと押圧パッド22との最小距離aおよび最大距離bを定めておき、湾曲部21aの移動に伴い押圧パッド22との距離が最小距離aとなれば、一旦、湾曲部21aの移動を停止し、湾曲部21aとの距離が最大距離bとなるように押圧パッド22を軸方向へ移動させる。 この後に、湾曲部21aの移動を再開する動作を繰り返す。
    また、紐状部材21の湾曲部21aが支持体10の下端に位置するときは、押圧パッド22は支持体10の外周面から離れ、湾曲部21aが軸方向一端側へ移動時には支持体10の外周面を押圧するように付勢される構成とされている。
    【0054】
    次に、製造装置2を用いた本発明の製造方法を、図9,図10を参照して説明する。
    紐状部材21の他端側を軸方向へ移動させて湾曲部21aを支持体10の下端まで下降させると、図9(a),図10(a)の様に、押圧パッド22は支持体10の外周面から離れる。 この状態で、ネットNを開放端Nb側から軸方向全長に渡って支持体10に被せると、開放端Nbは支持体10の小径部10cに位置し、紐状部材21の湾曲部21aと近接する。
    【0055】
    紐状部材21の他端側を所定速度で軸方向一端側へ向けて上昇させると、図10(b)の様に、ネットNの開放端Nbは紐状部材21の湾曲部12aに沿って径方向外方へ向けて押し広げられるように案内される。 一方、押圧パッド22は支持体10の外周面へ向けて付勢され、ネットNを紐状部材21と共に支持体10に押圧する。
    【0056】
    湾曲部21aがテーパー部10bに近づくと、図10(c)の様に、ネットNの開放端Nb側は湾曲部21aに沿って巻き返され、巻き返された開放端NbがネットNの外周面に近接する。 このとき、巻き返されたネットNの開放端Nbは伸長した状態から縮もうとするため、開放端Nbは僅かに下方へ反り返る。 更に、ネットNの外周部は支持体10のテーパー部10bに沿って傾斜しているので、ネットNの開放端NbはネットNの外周部に巻き込むように近接する。
    【0057】
    湾曲部21aが上昇してテーパー部10bに差し掛かると、図9(b),図10(d)の様に、ネットNの開放端NbがネットNの外周部に巻き込むように当接し、巻き返された部分が略円形となって巻回部Ncが形成される。
    【0058】
    以降は、図9(c),(d)の様に、湾曲部21aの上昇に伴って、巻回部Ncが湾曲部21aによって転動してネットNが巻き上げられる。 巻き上げが終了すると、図9(e)の様に、押圧パッド22は径方向外方へ退動し、巻き上げられた充填材3を支持体10から取り外す。
    【0059】
    このように、本実施形態の製造装置2によれば、本発明の製造方法を効果的に実施することができ、充填材3を短時間に効率良く製造することが可能となる。 製造装置2で巻き上げられた充填材3は、前記図6に示したものと同一の形状を有し、優れた充填効果を発揮する。
    【0060】
    尚、本実施形態の製造装置2では、固定した支持体10に対して紐状部材21および押圧パッド22を移動させる構成として述べたが、本発明はこのような構成に限られるものではない。 例えば、紐状部材21の他端側を固定し、支持体10を軸方向下方へ移動させ、支持体10の移動に合わせて押圧パッド22を移動させつつ押圧しながら巻き上げる構成を採ることも可能である。
    【0061】
    また、本実施形態の製造装置2では、紐状部材21の折り返し部位で形成される湾曲部21aによってネットNの開放端Nbを巻き返すため、紐状部材21やネットNの材質によっては、巻回部Ncが形成され難く、その半径を規制することも困難な場合がある。
    この場合は、紐状部材21の形成する湾曲部21aの形状を調整するために、例えば、湾曲部21aの上方近傍に、紐状部材21の移動方向を偏向させるガイド部材を配設し、このガイド部材と湾曲部21aとの距離を保ちつつ移動する構成を採ることができる。
    この構成によれば、湾曲部21a近傍では紐状部材21の移動方向がガイド部材23によって支持体10の外周面へ向かう方向に偏向される。 これにより、半径を規制した巻回部Ncを安定して形成させることが可能である。
    【0062】
    また、上記製造装置2では、支持体10の周囲に6本の紐状部材21と6個の押圧パッド22を配設した構成としたが、ネットNの材質や巻き上げ径に応じて適宜の数の紐状部材21および押圧パッド22を配設することができる。
    また、上記製造装置2において、押圧パッド22に代えて、前記第1実施形態の製造装置1に採用した押圧ローラ13を設けることも可能である。
    また、前記第1実施形態で述べた製造装置1において、押圧ローラ13に代えて、製造装置2で述べた押圧パッド22を採用することも可能である。
    【0063】
    【発明の効果】
    本発明によれば、サイズの異なる容器であっても上部空間を効果的に充填でき、しかも、挿入や取り出しが容易で収容物が付着しない優れた充填材を効率良く低コストで製造することが可能となる。
    【図面の簡単な説明】
    【図1】(a),(b)は、本発明の実施形態に係る上部空間充填材の製造装置を示す斜視図である。
    【図2】図1の製造装置に採用する巻き上げ部材を示す斜視図である。
    【図3】(a)〜(f)は、図1に示す製造装置を用いて本発明の製造方法を実施する製造工程を示す説明図である。
    【図4】(a)〜(d)は、図3に示した製造工程における巻回部の形成過程を示す拡大図である。
    【図5】図1に示す製造装置に採用可能な別の巻き上げ部材を示す斜視図である。
    【図6】図1に示す製造装置によって製造された上部空間充填材を示す斜視図である。
    【図7】図6に示す上部空間充填材を容器に挿入した状態を示す断面図である。
    【図8】本発明の別の実施形態に係る上部空間充填材の製造装置を示す斜視図である。
    【図9】(a)〜(f)は、図8に示す製造装置を用いて本発明の製造方法を実施する製造工程を示す説明図である。
    【図10】(a)〜(d)は、図9に示した製造工程における巻回部の形成過程を示す拡大図である。
    【符号の説明】
    N 筒状のネットNa ネットの一端(ネットの閉塞端部)
    Nb ネットの他端部(ネットの開放端部)
    Nc 巻回部1,2 上部空間充填材の製造装置10 支持体10a 支持体の大径部10b 支持体のテーパー部10c 支持体の小径部11 巻き上げ手段12 巻き上げ部材(剛性部材)
    12a 湾曲部13 押圧部(押圧ローラ)
    21 巻き上げ部材(紐状部材)
    21a 湾曲部22 押圧部(押圧パッド)

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