解紙の製造方法

申请号 JP2012223022 申请日 2012-10-05 公开(公告)号 JP5649632B2 公开(公告)日 2015-01-07
申请人 山田 菊夫; 菊夫 山田; 发明人 山田 菊夫; 菊夫 山田;
摘要
权利要求
  • 水分が供給されていない原紙シートを用い、水溶性バインダーが含浸されていない非湿 潤状態にある原紙シートにエンボス加工を施して多数の凹凸体による嵩高部を前記原紙シ ートに形成するエンボス加工工程と、前記エンボス加工工程後に前記原紙シートに対し外 面側から水溶性バインダーを供給してその水溶性バインダーを前記原紙シートに含浸させ るバインダー含浸工程と、前記バインダー含浸工程後に前記原紙シートを乾燥させる乾燥 工程と、前記乾燥工程後に前記原紙シートを折り畳む折り畳み工程と、前記原紙シートに 対し水性薬剤を供給してその水性薬剤を前記原紙シートに含浸させる水性薬剤含浸工程と 、を備えることを特徴とする水解紙の製造方法。
  • 前記水溶性バインダーと架橋反応を起こして前記水溶性バインダーを架橋構造にする架 橋剤が、前記折り畳み工程より前に、前記原紙シートに含浸される請求項1に記載の水解 紙の製造方法。
  • 前記水溶性バインダーと架橋反応を起こして前記水溶性バインダーを架橋構造にする架 橋剤が、前記バインダー含浸工程において前記原紙シートに前記水溶性バインダーが含浸 されるのに引き続いて、前記乾燥工程より前に前記原紙シートに含浸される請求項1又は 2に記載の水解紙の製造方法。
  • 说明书全文

    本発明は、トイレクリーナーなどに用いられる解紙の製造方法に関する。

    従来より水解紙はトイレクリーナーに広く用いられているが、一般にトイレクリーナーに用いられる水解紙は、複数の薄葉紙を重ねて相互に水溶性バインダーを介して接着するとともに、エンボス加工を施して多数の凹凸形態により嵩高構造に形成し、水性薬剤を含浸させてなるものである。 このような基本的構成を備えたトイレ掃除用ペーパータオルは例えば下記特許文献1に示されている。

    実開平2−103397号公報

    特許文献1のトイレ掃除用ペーパータオルは、水溶性の紙を複数枚重ねて、その各紙間を水溶性接着剤で接着するとともに、全体に凹凸状のエンボス加工を施してタオル体を成形し、タオル体に消毒液を含浸させてなるものである。 しかしながら、各紙間に施した接着剤を介して接着一体化するのは作業的に手間を要し、製造コストも高いものとなる。

    一方、原紙シートを複数枚重ねて、水溶性バインダーを原紙シートに吹き付け、その後エンボス加工を施し、水性薬剤を含浸させるという工程によってトイレクリーナーを製造することも行なわれているが、原紙シートが水溶性バインダーを含んだ状態でエンボス加工を行なうと、原紙シートがエンボスロールに付着し、エンボス後の原紙シートのロールからの離れが悪くなるという不具合があった。

    そこで、原紙シートがエンボスロールに付着するのを防止するため、エンボスロールに剥離剤を塗布するか、或いは原紙シートに剥離剤を塗布する必要があり、手間がかかり面倒なものであった。

    また、エンボス加工により付与された突起の頂部に水溶性バインダーを塗布し、水溶性バインダーを介して2層の原紙シートの突起の頂部相互を突き合わせて接合し、水性薬剤を含浸させてなる水解紙も製造されており、この水解紙は紙層の内部にのみ水溶性バインダーが含有されている構造となっている。 この水解紙においては、これを例えばトイレクリーナーとして用い、被清掃部(例えば、便器)を払拭した後、その被清掃部乾燥面に紙粉が残るという問題点があった。

    本発明は上記の点に鑑みなされたもので、水溶性バインダーによる、エンボス加工時のエンボス装置との間の付着の問題がなく、製造が簡単であり製造コストも安価ですむ水解 紙の製造方法を提供することを目的とする。 また本発明は被清掃部を払拭した後、その被清掃部乾燥面に紙粉が残る虞のない水解紙の製造方法を提供することを目的とする。

    本発明は上記課題を解決するため、以下の如く構成してなるものである。 即ち、本発明は、
    (1)水分が供給されていない原紙シートを用い、水溶性バインダーが含浸されていない 非湿潤状態にある原紙シートにエンボス加工を施して多数の凹凸体による嵩高部を前記原 紙シートに形成するエンボス加工工程と、前記エンボス加工工程後に前記原紙シートに対 し外面側から水溶性バインダーを供給してその水溶性バインダーを前記原紙シートに含浸 させるバインダー含浸工程と、前記バインダー含浸工程後に前記原紙シートを乾燥させる 乾燥工程と、前記乾燥工程後に前記原紙シートを折り畳む折り畳み工程と、前記原紙シー トに対し水性薬剤を供給してその水性薬剤を前記原紙シートに含浸させる水性薬剤含浸工 程と、を備えることを特徴とする水解紙の製造方法、
    (2)前記水溶性バインダーと架橋反応を起こして前記水溶性バインダーを架橋構造にす る架橋剤が、前記折り畳み工程より前に、前記原紙シートに含浸される前記(1)に記載 の水解紙の製造方法、
    (3)前記水溶性バインダーと架橋反応を起こして前記水溶性バインダーを架橋構造にす る架橋剤が、前記バインダー含浸工程において前記原紙シートに前記水溶性バインダーが 含浸されるのに引き続いて、前記乾燥工程より前に前記原紙シートに含浸される前記(1 )又は(2)に記載の水解紙の製造方法
    を要旨とする。

    本発明の水解紙の製造方法は、水分が供給されていない原紙シートを用い、水溶性バイ ンダーが含浸されていない非湿潤状態にある原紙シートにエンボス加工を施して、多数の凹凸体による嵩高部を形成するものであるから、エンボス加工に当って、水溶性バインダーによるエンボス装置との間の付着の問題がなく、製造容易である。 また、水溶性バインダーは原紙シートの外面側から含浸しているので、水解紙の表面にも水溶性バインダーが含浸されており、そのため水解紙表面に必要な強度が付与される結果、 本発明により製造 される水解紙を用いて被清掃部を払拭した後、その乾燥面に紙粉が残る虞がなく、紙粉発生を防止できる。 更に、水溶性バインダーは架橋構造を有しているので、湿潤状態におけ る水解紙の強度が高く、使用感に優れたものである。

    本発明の水解紙の製造方法は、 水分が供給されていない原紙シートを用い、水溶性バイ ンダーが含浸されていない非湿潤状態にある原紙シートにエンボス加工を施すので、 原紙 シートがエンボス装置に付着する虞がなく、従って、エンボス装置に剥離剤を塗布したり、或いは原紙シートに剥離剤を塗布したりする必要がなく、エンボス工程を簡略化でき、製造効率を向上できる。 その結果、本発明によれば製造が簡単となり、製造コストの低減を図ることができる。

    本発明の水解紙を製造する一例を示す工程図である。

    本発明の水解紙の一例を示す部分平面図である。

    図2におけるA−A線に沿う縦断面図である。

    本発明は、水解性を有する紙材料から水解紙を製造する。 本発明は、原料シートとしての原紙シートに複数工程による加工を施して水解紙を製造するものであり、ここにおいて原紙シートの材料としては、種々の原料パルプを用いることができる。 本発明において用いることができる原料パルプとして例えば、木材パルプ、合成パルプ、古紙パルプなどが挙げられる。 またパルプなどの天然繊維に限られず、レーヨンなどの半合成繊維なども用いることができる。 更に、本発明は原料パルプとして、トイレットペーパー材料を用いることができ、この場合、針葉樹晒クラフトパルプと広葉樹晒クラフトパルプを配合してなるものを用いることが好ましい。 また本発明における原紙シートの材料として、ケナフ、竹繊維、藁、綿、繭糸などを用いることができる。

    本発明においてエンボス加工は、原紙シートに多数の凹凸を賦形して嵩高構造とすることにより、強度を高めると共に、清掃機能(特に拭き取り機能)を高める意味を持つものである。

    本発明において用いる水溶性バインダーとしては、所定の接着を有し且つ水解紙に所定の強度を付与できるものであればよく、種々のものを用いることができる。

    本発明において用いる水溶性バインダーとして、多糖誘導体、天然多糖類、合成高分子などが挙げられる。 多糖誘導体として、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチル化デンプン又はその塩、デンプン、メチルセルロース、エチルセルロースなどが挙げられる。 天然多糖類として、グアーガム、トラントガム、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、アラビアゴム、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。 また、合成高分子としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール誘導体、不飽和カルボン酸の重合体又は共重合体の塩などが挙げられ、該不飽和カルボン酸としてアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸などが挙げられる。 上記のうち、特にカルボキシメチルセルロースを用いることが好ましい。

    水溶性バインダーを含浸した原紙シートには更に水性薬剤が含浸される。 水性薬剤は水解紙に清掃機能を付与する薬剤が含まれる他、他の目的のために配合される薬剤を含んでいる。 水性薬剤としては、水、架橋剤、水溶性有機溶剤を配合してなる水系組成のものが用いられ、これらに必要に応じて界面活性剤、殺菌剤、防腐剤、消臭剤、漂白剤、キレート剤、香料などを配合することができる。

    架橋剤は水溶性バインダーと架橋反応を起こして、水溶性バインダーを架橋構造とし、それにより物理的強度を向上させるものである。 水溶性バインダーとしてカルボキシメチルセルロースなどのカルボキシル基を有する水溶性バインダーを用いる場合には、架橋剤としては、多価金属イオンを用いることが好ましく、この多価金属イオンとしては、亜鉛、アルカリ土類金属、マンガン、ニッケル、コバルトなどの金属イオンが挙げられる。 具体的には、亜鉛、カルシウム、バリウム、コバルト、ニッケルのイオンが好適に用いられ、これらは十分な湿潤強度を付与する上で好ましい。

    上記の多価金属イオンは、硫酸塩、塩化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩などの水溶性金属塩の形で用いられる。 架橋剤は水性薬剤を構成する配合成分の1つであるが、後述するように水性薬剤と分離して単独で用いてもよい。

    水溶性有機溶剤としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールなどの一価アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類、これらグリコール類とメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの低級アルコールとのモノエーテル又はジエーテル、前記グリコール類と低級脂肪酸とのエステル、グリセリンやソルビトールなどの多価アルコールなどを用いることができる。

    水性薬剤中に必要に応じて配合される界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、特に、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤を用いることが好ましい。

    次に、図1に示す工程図に基づき本発明の水解紙の製造方法の実施形態を説明する。 同図において1は長尺な原紙シート2を巻回した送りロールで、原紙シート2はピンチロール3により矢印Y方向に送り出される。 原紙シート2としては、トイレットペーパーなどの薄葉紙1枚からなる単層構造のものを用いても或いは薄葉紙を2枚以上の複数枚重ねて多層構造としたものを用いてもよい。

    連続して送り出される原紙シート2は上下一対のエンボスロール4、4に通されて、ここでエンボス加工が施される。 エンボスロール4、4はロール周面にエンボス加工用の多数の突起を突設してなるもので、従来公知のエンボスロールを用いることができる。 エンボス加工による凹凸賦形は、原紙シート2の片面のみに形成しても或いはその表裏両面に形成してもよい。 原紙シート2の表裏両面にエンボスを施す場合は、ロール周面にエンボス加工用の多数の突起を突設してなる上下一対の金属製ロールからなるエンボスロールが用いられる。 また原紙シート2の片面のみにエンボスを施す場合は、周面にエンボス加工用の多数の突起を突設してなる金属製ロールと、このロールと上下一対をなすゴム製の抑えロールとからなるエンボスロールが用いられる。

    水分が供給されていない原紙シートを用い、水溶性バインダーが含浸されていない非湿潤状態にある原紙シート2にエンボス加工が施される。 ここにおいて、非湿潤状態とは、原紙シート2に水を吹き付けるなどして原紙シート2に水分を供給した態様を含まないという意味である。 通常、紙材料は気温、湿度条件に相応した湿気(水分)を含んでいるが、この湿気(水分)は外部から積極的に供給した水分ではないから、かかる湿気(水分)を含んでいても本発明にいう非湿潤状態に相当する。 従って、気温、湿度条件によって原紙シート2に含まれる湿気(水分)の含有率も変化するが、その含有率がどのような数値であろうとも、本発明にいう非湿潤状態に相当するものといえる。

    上記したように本発明は、原紙シート2に外部から水を供給することなく、大気下において通常の乾燥した状態で原紙シート2にエンボス加工を施すものである。 従ってまた、本発明は水溶性バインダーが含浸されている状態でエンボス加工を施すものではないから、原紙シート2がエンボスロール4、4に付着する虞はなく、そのためエンボスロール4、4に剥離剤を塗布したり或いは原紙シート2に剥離剤を塗布したりする必要はない。 エンボス加工の際、エンボスロール4、4を加熱せずに行なうこともできるが、エンボスロール4、4を所定温度に加熱した状態でエンボス加工を行なってもよい。 後者の場合、エンボスロール4、4の加熱温度は、60℃〜150℃が好ましい。

    エンボス加工により図2、図3に示すように、原紙シート2に多数の凸部13と凹部14とからなる凹凸体12が形成され、多数の凹凸体12により嵩高部17が形成される。 ここにおいて、本発明は非湿潤状態にある原紙シート2にエンボス加工を施すので、加工時の延び性が乏しいため、エンボス深さによっては加工負荷力に追従できず、繊維間結合の一部に破壊が生じる。 エンボス深さが小さい場合にはこのような繊維間結合破壊は生じないが、エンボス深さが大きいと繊維間結合破壊が生じる。 例えば、エンボス深さが1mm〜5mmの場合には繊維間結合破壊が生じ易い。 本発明において繊維間結合破壊が生じることは、後述するようにむしろ好ましい実施態様といえる。

    多数の凹凸体12による嵩高部17が形成された原紙シート2には次工程において、水溶性バインダーが供給される。 水溶性バインダーとしては、例えばカルボキシメチルセルロースが用いられる。 この水溶性バインダーの供給手段としては、噴霧装置のノズルから水溶性バインダー溶液5を原紙シート2の表面に噴霧することにより行なわれる。 このように原紙シート2には、原紙シート2の外面側から水溶性バインダーが供給され、含浸される。 この場合、水溶性バインダー溶液5を原紙シート2の片面にのみ噴霧しても或いは表裏両面に噴霧してもよい。 噴霧に用いる噴霧ノズルとして、加圧した水溶性バインダー溶液5を単独で噴射させる一流体方式のノズル、或いは圧搾空気と水溶性バインダー溶液5を混合し、圧搾空気の圧力を利用して水溶性バインダー溶液5を霧状に噴射させる二流体方式のノズルのいずれのノズルも用いることができる。

    水溶性バインダー溶液5の供給手段としては、上記した噴霧に限定されるものではなく、例えば、水溶性バインダー溶液5を原紙シート2の表面に滴下する方法や、塗布する方法などを採用してもよい。 また、本発明は後述するように、嵩高部17を有する原紙シート2に水性薬剤を含浸させる工程及び水性薬剤の配合成分である架橋剤を前記原紙シート2に含浸させる工程を有するが、水性薬剤含浸工程においては水性薬剤溶液を、架橋剤含浸工程においては架橋剤溶液を、それぞれ原紙シート2に供給するものであり、ここにおいてそれら水性薬剤溶液、架橋剤溶液の供給手段として、前記した水溶性バインダー溶液の供給手段と同様、噴霧方法、滴下方法、塗布方法など任意の手段を採用できる。 以下の説明においては、それらの供給手段として噴霧方法を例にとり記述する。

    水溶性バインダーの原紙シート2への供給量(添加量)は、原紙シート2の重量に対して50重量%〜100重量%となる量が好ましく、また水溶性バインダー溶液5の濃度は1%〜20%が好ましい。

    上記した水溶性バインダーの供給によって、原紙シート2に水溶性バインダーが含浸される。 ここにおいて本発明の製造方法は、エンボス加工時に原紙シート2において繊維間結合の一部に破壊が生じる態様を含んでいる。 このように原紙シート2に繊維間結合破壊が生じている場合には、その繊維間結合破壊箇所が水溶性バインダーの浸透し易い部位となり、それにより全体的に水溶性バインダーの浸透速度が大きくなり、従って、繊維間結合破壊が生じていない場合に比べて水溶性バインダーの浸透速度が大きく、水溶性バインダーを効率よく浸透させることができる。 また繊維間結合破壊箇所に水溶性バインダーが入り込むことにより、繊維同士は水溶性バインダーを介して結合される形となり、繊維間の結合は強固となる。 即ち、水溶性バインダーが乾燥して膜化したときに、このバインダー膜の強度は繊維の持つ強度よりも大きいものであり、それ故、水解紙の強度向上を図れる。 更に、後述する架橋が行われたときは、バインダー膜の強度は一段と大きくなる。

    原紙シート2の外面側から水溶性バインダーが供給されるので、原紙シート2の表面にも水溶性バインダーが含浸される。 従ってまた、最終的に製造される水解紙において、水解紙の表面に水溶性バインダーが含浸されている状態となる。 水溶性バインダーは原紙シート2の一方の面(供給面)から厚み方向反対面に亘って(即ち、厚み方向全層に亘って)含浸される場合と、前記反対面にまで至らず途中まで(即ち、厚み方向の途中まで)含浸される場合があるが、前者のように厚み方向全層に亘って含浸した場合には、水解紙の一方の面と厚み方向反対面において、それらの表面に水溶性バインダーが含浸されている状態となる。

    上記した水溶性バインダーを供給含浸するに当たって、水溶性バインダーの他に水性薬剤の配合成分である架橋剤を供給含浸するようにしてもよい。 即ち、本発明において水溶性バインダー含浸工程は、水溶性バインダーと架橋剤を共に含浸させる工程を含むものである。 この実施形態における第1の態様としては、まず最初に嵩高部17を有する原紙シート2に水溶性バインダー溶液5を原紙シート2の外面側から噴霧して水溶性バインダーを含浸させ、次いで、架橋剤溶液を噴霧して架橋剤を原紙シート2に含浸させるものである。 第2の態様としては、まず最初に前記原紙シート2に架橋剤溶液を原紙シート2の外面側から噴霧して架橋剤を含浸させ、次いで、水溶性バインダー溶液5を噴霧して水溶性バインダーを原紙シート2に含浸させるものである。 また第3の態様としては、前記原紙シート2にその外面側から水溶性バインダー溶液5を噴霧すると共に、これと同時に架橋剤溶液を噴霧して、水溶性バインダーと架橋剤を同時に含浸させるものである。 これらの各実施態様において、架橋剤は水溶性バインダーとの架橋反応形成のために必要な量の全量を含浸させてもよく或いはそのうちの一部の量を含浸させてもよい。

    上記したように、水溶性バインダー含浸工程において、水溶性バインダーと架橋剤を共に含浸させるようにすれば、水溶性バインダーとの架橋反応が早期に起こり、エンボスにより形成された凹凸体12に速やかに所定の強度を与えることができる。

    水溶性バインダーが含浸された原紙シート2は、乾燥機6に送られ、ここで乾燥が行われる。 乾燥手段としては、電磁波乾燥、通気乾燥(熱風乾燥)、赤外線乾燥、熱ロール乾燥などが挙げられるが、電磁波乾燥が好ましい。 電磁波乾燥は、電磁波を利用して乾燥を行うもので、これに用いる電磁波乾燥機としては電子レンジと同様の機構、構造を備えた装置を用いることができる。 本発明による電磁波乾燥はマイクロ波加熱により乾燥を行うもので、マイクロ波を照射すると、極性を持つ水分子を繋ぐ振動子がマイクロ波を吸収して振動、回転し、温度が上がり、この温度上昇により水を蒸発して乾燥を行うという原理に基づくものである。

    電磁波乾燥は短時間で乾燥を行える利点があり、また電磁波の透過能力は高く、原紙シート2の内部にまで透過して加熱することにより均一に加熱でき、従って均一に乾燥を行うことができる。 更に電磁波乾燥においては、電磁波エネルギーが直接負荷され、エネルギーの二次消耗はないので、赤外線加熱に比べてエネルギーを少なくとも30%節約することができ、エネルギー消費量を減少できるので製造コストの低減に寄与できる。 本発明に用いる電磁波乾燥機として例えば、電力1kW当り、1kgの水を1時間で乾燥できる能力を持つものが好ましい。 また、連続製造設備に設置する電磁波乾燥機としては、乾燥機内部に連続して原紙シート2を通すことができるトンネル式電磁波乾燥機を用いることが、連続生産に適していて好ましい。

    電磁波乾燥は通気乾燥(熱風乾燥)と異なり、風の圧力でエンボスによる凹凸体12の凹凸形態が潰れる虞がなく、また熱ロール乾燥と異なり機械的圧力により前記凹凸形態が潰れる虞がない。

    更に電磁波乾燥は通気乾燥、赤外線乾燥、熱ロール乾燥に比べて乾燥効率が優れ、短時間で乾燥できるため、エンボスの高低差が減少するエンボス戻りの虞がないという利点がある。 このエンボス戻りの防止は本発明において重要な意味を持つ。 即ち、本発明はエンボス加工後に原紙シート2に水溶性バインダーを供給して含浸させるものであるため、水溶性バインダーの含浸によりエンボスによる歪がとれて凹凸体12の凹凸形態が崩れるいわゆるエンボス戻りの問題がある。 この問題の解決のためには乾燥手段の選択が重要である。 乾燥手段として電磁波乾燥を採用すれば、他の乾燥手段に比べて乾燥時間を大幅に短縮できるので、前記エンボス戻りの原因となる水分を速やかに除去でき、その結果、前記歪解除による凹凸形態の崩れを抑制し、凹凸形態の形状保持を維持できるものであり、エンボス戻りを抑制できる効果がある。 電磁波乾燥においては前記したように、電磁波が原紙シート2の内部にまで透過して加熱するので、原紙シート2は表面のみならず内部まで均一に且つ短時間で加熱乾燥されるのであり、このことが上記したエンボス戻りの抑制効果に大きく作用しているものである。

    水溶性バインダーが含浸された原紙シート2を乾燥する手段として、赤外線乾燥も好適に用いることができる。 赤外線は、波長帯が0.75μm〜1000μmにあり、マイクロ波より短い波長の電磁波である。 赤外線は波長によって、近赤外線(波長0.7μm〜2.5μm)と遠赤外線(波長4μm〜1000μm)に分けられるが、近赤外線は物体に吸収されにくく加熱効率が低いことから、本発明においては、物体に吸収されやすく加熱効率が高い遠赤外線を用いることが好ましい。 本発明において、遠赤外線の波長帯4μm〜1000μmのうち、波長4μm〜50μmの遠赤外線を用いることが好ましい。 波長4μm〜50μmの遠赤外線は、水に対する吸光度が高く、水分を多く含んだ物体の場合、その表面から内部への深さが比較的浅い部分で遠赤外線の多くが吸収される。 そのため、遠赤外線乾燥を本発明に適用した場合、エンボスの型崩れを防止できるという作用効果を生じる。 即ち、水溶性バインダーが含浸された原紙シート2に遠赤外線が放射されたとき、遠赤外線は上記原紙シート2の表面から比較的浅い内部領域に多く吸収され、そのため表面付近を速やかに加温し、乾燥する。 それによりエンボス表面の乾燥が短時間で進行し、その結果、水分を含むことによるエンボスの型崩れを防止できるものである。 また、このエンボスの型崩れ防止により、エンボスの高低差が減少するエンボス戻りをも防止できる。 このように遠赤外線乾燥によれば、エンボス表面の速やかな乾燥を行なえるので、確実にエンボス戻りを防止でき、従って、乾燥工程に要する時間を短縮できる利点がある。

    遠赤外線乾燥は、空気を暖めて被乾燥体を乾燥する方式ではなく、遠赤外線による熱線により直接、被乾燥体に熱を伝えて乾燥する方式であり、いわゆる輻射熱による乾燥である。 従って、被乾燥体を効率よく加温できるので乾燥時間も短くて済む。 また、反射板などにより特定の方向に熱線を反射させて、所定の位置に集中させて加熱乾燥を行なうことも可能であり、このような乾燥方法を採用すれば、乾燥のためのエネルギー効率を向上でき、乾燥工程コストを低減できる。

    遠赤外線乾燥機としては、遠赤外線を発生する発熱体を備えたものであればどのような構造のものでも使用でき、この場合、発熱体の温度を200℃以上に保持できるものが好ましい。 発熱体の温度を200℃以上に保持することにより、遠赤外線を効率よく発生することができる。 また、サーモスタットなどにより間欠的に通電させれば、省電力運転が可能となる。 遠赤外線乾燥においては、通気乾燥(熱風乾燥)のように風圧による負荷がなく、また熱ロール乾燥のように機械的圧力による負荷がないため、エンボスの凹凸形態の潰れや原紙シート2の歪みなどが発生する虞がない。

    水溶性バインダーが含浸された原紙シート2を乾燥機6により乾燥するに当り、本発明は1つの乾燥機により乾燥する場合に限定されず、複数の乾燥機を設置して順次、各乾燥機に前記原紙シート2を送りながら乾燥するようにしてもよい。 即ち、例えばベルトコンベアにより移送される前記原紙シート2を第1の乾燥機に送って乾燥を行なった後、第2の乾燥機に送り、ここで2回目の乾燥を行うようにしてもよい。 この場合、第1段乾燥と第2段乾燥とで乾燥の度合いを異ならせることもできる。 このような多段乾燥は特に、電磁波乾燥や赤外線乾燥において有益である。 本発明は電磁波乾燥と赤外線乾燥を組み合わせることもできる。 即ち、電磁波乾燥機と赤外線乾燥機をそれぞれ設置し、例えば最初に前記原紙シート2を電磁波乾燥機に送って電磁波乾燥を行い、次いで前記原紙シート2を赤外線乾燥機に送って赤外線乾燥を行うようにしてもよく、或いはその順番を逆にして最初に赤外線乾燥を行い、次いで電磁波乾燥を行うようにしてもよい。 更には、第1段乾燥の電磁波乾燥(又は赤外線乾燥)と第2段乾燥の赤外線乾燥(又は電磁波乾燥)とを交互に何回か繰り返し行うようにしてもよい。 また、1つの乾燥機内に電磁波加熱機構と赤外線加熱機構を設け、かかる構造の乾燥機に前記原紙シート2を送り、ここで電磁波による加熱を施すとともに同時に赤外線による加熱を施し、電磁波による乾燥と赤外線による乾燥とを同時に行なうようにすることもできる。

    乾燥機6によって乾燥された原紙シート2は、折り畳み工程、切断工程、水性薬剤含浸工程に順次送られる。

    ここにおいて、本発明の他の実施形態として、嵩高部17を有する原紙シート2に水溶性バインダーを含浸させた後、この水溶性バインダーを含浸してなる原紙シート2を上記したように乾燥機6により乾燥(電磁波乾燥、遠赤外線乾燥等)し、次いで乾燥後の原紙シート2に架橋剤を含浸させ、この架橋剤を含浸してなる原紙シート2を更に別の乾燥機に通して、ここで弱い乾燥を行い、次いで折り畳み工程に送るようにしてもよい。 乾燥機6により原紙シート2を完全乾燥した状態で折り畳みを行うと、折り目にひび割れが生じる虞があるが、本実施形態によれば、折り畳み工程の直前に行う乾燥は完全乾燥ではなく弱い乾燥(例えば、半乾燥)なので、折り畳み時に折り目にひび割れが生じる虞はない。

    本発明において、乾燥機6による乾燥の程度を調整すれば、上記のひび割れの問題は生じないものであり、原紙シート2を乾燥機6によって乾燥した後、折り畳みを施すことは何ら問題がない。 上記したように、乾燥された原紙シート2は、折り畳み工程、切断工程、水性薬剤含浸工程に順次送られる。 水性薬剤含浸工程は、水、架橋剤、水溶性有機溶剤、界面活性剤などを含む組成溶液を原紙シート2の折り畳み体に供給して含浸させるものであるが、本発明の他の実施形態として、水性薬剤の配合成分である架橋剤を水性薬剤の他の配合成分と切り離し、架橋剤のみを折り畳み工程の前の段階で原紙シート2に供給し含浸させるようにしてもよい。 以下、この実施形態につき説明する。

    乾燥工程を終了した原紙シート2に対して架橋剤溶液7が噴霧されて供給される。 架橋剤溶液7として例えば、硫酸亜鉛水溶液が用いられる。

    架橋剤溶液7の原紙シート2への供給量(添加量)は、金属イオン(例えば、亜鉛イオン)が、原紙シート2中に含浸されている水溶性バインダーにおけるカルボキシル基と十分な架橋反応を起こすに必要な量ということになるが、本発明において前記カルボキシル基1モルに対して1/3モル以上の添加量とすることが好ましく、1/2モル以上の添加量とすることが更に好ましい。

    原紙シート2への架橋剤溶液7の噴霧により 原紙シート2に架橋剤が含浸し、原紙シート2中の水溶性バインダーとの間で架橋反応が起こり、水溶性バインダーが架橋構造となることにより原紙シート2の強度が向上する。

    架橋剤含浸工程終了後、原紙シート2は折り機8に案内され、所定の折回数で折り畳まれる。 例えば、中心から2つ折りし、所定間隔毎にミシン目を入れ、この2つ折り体をミシン目を中心にして更に2つ折りして4つ折り体とし、この4つ折り体を更に中心から2つ折りして8つ折り体とする。 別の折り方法として、原紙シート2を長手方向に沿って連続して折り線が形成されるように、互い違いに連続して折り畳み且つ所定間隔毎にミシン目を入れるようにしてもよい。

    折り畳み工程後、所定寸法に切断され、原紙シート2の折り畳み体9が得られる。 次いで、折り畳み体9に架橋剤を含まない水性薬剤溶液10が噴霧され、折り畳み体9に架橋剤を含まない水性薬剤(以下、架橋剤を含まない水性薬剤を架橋剤不含水性薬剤という)が含浸される。 架橋剤不含水性薬剤として、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、殺菌剤、防腐剤、消臭剤、香料などを配合してなるものが用いられる。

    架橋剤不含水性薬剤は、折り畳み体9における原紙シート2の重量に対して50重量%〜200重量%、好ましくは130重量%〜150重量%含浸されるように供給することが十分な清掃機能を発揮する上で好ましい。

    このようにして、水性薬剤を含浸してなる水解紙が得られる。 本発明により製造される水解紙とは、折り畳まれた形状のもの(折り畳み体)を意味するだけでなく、展開状態の平らなシート体をも意味する概念である。 折り畳まれた水解紙はその複数束が密封袋に袋詰めされ、かくしてトイレクリーナーやおしり拭きなどに用いられる製品11が得られる。

    上記実施形態において、折り畳み体9を袋詰めする前の段階で架橋剤不含水性薬剤を含浸させることに限定されず、折り畳み体9を一旦密封袋に収納し、この収納状態において袋入口の開口部を通して架橋剤不含水性薬剤溶液を噴霧して供給し、折り畳み体9に架橋剤不含水性薬剤を含浸するようにしてもよい。

    前記した実施形態は、原紙シートに水性薬剤を含浸させる工程として、原紙シートに水性薬剤の配合成分である架橋剤を含浸させる工程と、原紙シートに架橋剤を含まない水性薬剤を含浸させる工程とに分けて行うようにしたが、本発明の他の実施形態として、折り畳み工程の前の段階で架橋剤含浸を行なわず、折り畳み工程後に、架橋剤含浸を行うようにしてもよい。 この場合は、架橋剤を含む水性薬剤溶液を折り畳み体9に噴霧して架橋剤を含む水性薬剤を折り畳み体9に含浸させる。

    この架橋剤を含む水性薬剤を折り畳み体9に含浸させる実施形態において、折り畳み体9に対する架橋剤の供給量及び架橋剤成分以外の水性薬剤組成成分の供給量は、前記実施形態(折り畳み工程前の架橋剤の含浸及び折り畳み工程後の架橋剤不含水性薬剤の含浸)の場合と同様であることが好ましい。

    本発明において、上記2つの実施形態のうち、折り畳み工程前の段階で架橋剤を原紙シート2に含浸させる実施形態が好ましい。 その理由は次の通りである。

    即ち、折り畳み工程後に折り畳み体9に架橋剤を含む水性薬剤を含浸させる実施形態においては、折り畳み体9の複数を起立姿勢で並べ、この状態において上方から水性薬剤溶液を噴霧して供給するものである。 そのため、噴霧により供給された水性薬剤は折り畳み体9の周辺部から含浸され、次第に中心部に向けて含浸分布が広がっていく。 このように含浸の進行に差があるため、まず最初に周辺部から架橋反応が起こり、水性薬剤の配合成分である架橋剤は周辺部における架橋反応に優先的に消費される。 そのため、水性薬剤が中心部に向けて含浸される過程で次第に架橋剤濃度が低くなり、このことから中心部においては、架橋剤濃度が低く、架橋度も小さくなるという現象が生じる。 その結果、中心部における架橋度は周辺部における架橋度よりも小さいという状態となり、中心部における物理的強度が周辺部における物理的強度よりも小さいという強度のばらつきが生じる。

    これに対し、折り畳み工程前に原紙シート2に架橋剤溶液7を噴霧して含浸させる実施形態においては、原紙シート2の表面に向けて上方から架橋剤溶液7を噴霧して供給するものである。 従って、架橋剤溶液7をシート面に均一に噴霧でき、原紙シート2の厚み方向への架橋剤の含浸も均一に行なわれる。 その結果、上記したような周辺部と中心部とで架橋度が異なるという、いわゆる架橋ばらつきが起こらず、原紙シート2全体に亘って均一な架橋度が得られ、シート全体に亘って均一な物理的強度が得られるという利点がある。 従って、この原紙シート2を折り畳んで得られる折り畳み体9においても均一な物理的強度を有するということになる。 このような理由から、折り畳み工程前の架橋剤含浸という実施形態が好ましいといえる。

    折り畳み工程前に原紙シート2に架橋剤を含浸させず、折り畳み工程後に折り畳み体9に架橋剤を含む水性薬剤を含浸させる場合には、起立姿勢にある折り畳み体9の上方から架橋剤を含む水性薬剤溶液を噴霧し、次いでこの起立姿勢を反転させて逆向きの姿勢に並べ、この状態で再び上方から前記水性薬剤溶液を噴霧するという供給方法を採用することが好ましい。 また他の供給方法として、起立姿勢にある折り畳み体9の左右両方向から前記水性薬剤溶液を噴霧するようにしてもよい。 これらの供給方法によれば、架橋剤を含む水性薬剤を均一に含浸することができ、架橋ばらつきを防止することができる。

    上記したように、原紙シートに水性薬剤を含浸させる工程として、折り畳み工程前に原紙シートに、水性薬剤の配合成分である架橋剤を含浸させる工程(以下、A工程という)と、折り畳み工程後に原紙シートに、架橋剤成分以外の他の成分組成からなる水性薬剤(架橋剤不含水性薬剤)を含浸させる工程(以下、B工程という)とに分けて行なうようにした実施形態が、本発明の好ましい実施形態であるが、この実施形態において、折り畳み工程前に原紙シートに架橋剤溶液を供給するに当たり、架橋剤溶液に、架橋剤成分以外の他の成分組成からなる水性薬剤溶液(架橋剤不含水性薬剤溶液)を混合した混合溶液を原紙シートに供給するようにしてもよい。 この場合、架橋剤溶液における架橋剤量は、A工程において用いられる架橋剤全量のうちの一部の量(例えば全量の80%の量)を用い、また架橋剤不含水性薬剤溶液における架橋剤不含水性薬剤量は、B工程において用いられる水性薬剤全量のうちの一部の量(例えば全量の20%の量)を用いる。 そして、折り畳み工程後のB工程において、原紙シートに、架橋剤不含水性薬剤溶液を供給するに当り、架橋剤不含水性薬剤溶液に架橋剤溶液を混合した混合溶液を原紙シートに供給する。 この場合、架橋剤不含水性薬剤溶液における架橋剤不含水性薬剤量は、B工程において用いられる架橋剤不含水性薬剤全量のうちの残部の量(例えば全量の80%の量)を用い、架橋剤溶液における架橋剤量はA工程において用いられる架橋剤全量のうちの残部の量(例えば全量の20%の量)を用いる。

    また前記の実施形態において、A工程において、架橋剤量を全量(100%)用い、架橋剤不含水性薬剤量をB工程において用いる架橋剤不含水性薬剤全量のうちの一部の量(例えば全量の20%の量)を用い、これら架橋剤溶液と架橋剤不含水性薬剤溶液の混合溶液を原紙シートに供給する。 一方、B工程において、架橋剤不含水性薬剤量をB工程において用いる架橋剤不含水性薬剤全量のうちの残部の量(例えば全量の80%の量)を用い、この架橋剤不含水性薬剤溶液を原紙シートに供給するようにしてもよい。 更に、A工程において、架橋剤量をA工程において用いる架橋剤全量のうちの一部の量(例えば全量の80%の量)を用い、この架橋剤溶液を原紙シートに供給し、B工程において、架橋剤不含水性薬剤量を全量(100%)用い、架橋剤量をA工程において用いる架橋剤全量のうちの残部の量(例えば全量の20%の量)を用い、これら架橋剤不含水性薬剤溶液と架橋剤溶液の混合溶液を原紙シートに供給するようにしてもよい。

    上記の如くして製造された水解紙は、図2、図3に示す如く、その全面に亘ってエンボス加工による多数の凸部13と凹部14とからなる凹凸体12が均一に形成されており、そしてこの凹凸体12により嵩高部17が形成されており、これにより水解紙は嵩高紙として構成されている。 多数の凸部13は製造工程における原紙シート2の搬送方向(図2においてZ方向)に沿って直線的に並んでおり、これにより凸部列15が形成されており、また多数の凹部14は前記Z方向に沿って直線的に並んでおり、これによって凹部列16が形成されている。 そして、これらの凸部列15と凹部列16は、Z方向と直交する方向に沿って交互に繰り返し配置されるパターンで構成されている。

    本発明により製造される水解紙において、凹凸体12における凸部13と凹部14の形状は任意であり、図2に示すような円形に限定されず、楕円形、三形、四角形、菱形などであってもよく、また不定形図柄や花柄模様などの模様図柄であってもよい。

    本発明により製造される水解紙は架橋構造を有する水溶性バインダーを含有している。 製造工程において電磁波乾燥が行われた場合は、 水解紙は電磁波乾燥処理が施された水溶性バインダーを含有する形態となる。 また、製造工程において遠赤外線乾燥が行われた場合は、 水解紙は遠赤外線乾燥処理が施された水溶性バインダーを含有する形態となる。 本発明において、水溶性バインダーは原紙シートの外面側から供給されるので、水溶性バインダーの含浸領域には水解紙の表面も含まれる。 従って、水解紙の表面にも水溶性バインダーが含浸されており、それにより水解紙表面に必要な強度が付与されるため、本発明水解紙を用いて被清掃部を払拭した場合において、払拭した後、その乾燥面に紙粉が残る虞がなく、紙粉発生を防止できるものである。

    本発明により製造される水解紙は、トイレにおける便器やトイレ周りの清掃を行うための清掃用品、或いはおしり拭き用品などに用いることができる。 本発明により製造される 水解紙は、湿潤状態で所定の強度を有し、使用時に破れを生じることがなく、使用感に優れ、また使用後は便器に流すことにより速やかに水解し、下水管を詰まらせる虞がなく、このように強度と水解性共に優れているものである。

    2 原紙シート 5 水溶性バインダー溶液 10 水性薬剤溶液 12 凹凸体 17 嵩高部

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