包装容器およびその製造方法

申请号 JP2014153760 申请日 2014-07-29 公开(公告)号 JP2015083495A 公开(公告)日 2015-04-30
申请人 株式会社パックス; 发明人 萩野 順一;
摘要 【課題】 簡易な構成で、 包装 容器に収容される内容物の漏洩を確実に防止でき、しかも加温に伴う容器内部の圧 力 上昇に伴う包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができる包装容器およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 積層フィルム1によって内容物Fが収容された内部空間2が形成され、積層フィルム1の周端部が熱融着処理されて、シール部分3(3a〜3c)が形成され、積層フィルム1には、シール部分3bの一部を横切るように、所定長さの第1スリットSaが形成され、第1スリットSa近傍の所定幅の領域に第2接着層Lbが設けられる。 【選択図】 図1
权利要求

複数の薄層フィルムが積層してなる積層フィルムによって内容物が収容された内部空間が形成され、該積層フィルムの周端部の少なくとも一部が熱融着処理されてシール部分が形成された包装容器であって、 前記積層フィルムが、前記内部空間と接する第1内層と、該第1内層の外側表層に接する第2内層と、を含む少なくとも2以上の薄層フィルムで形成され、かつ該第1内層と第2内層の間に設けられ、第1接着剤が塗布された第1接着層を有し、 前記第1内層に、熱融着処理された前記周端部の融着部分の一部を横切るように、所定長さの第1スリットが形成されるとともに、該第1スリット近傍の所定幅の領域について、前記第1接着剤に代え、該第1接着剤よりも溶融温度の低い第2接着剤が塗布された第2接着層が設けられ、 前記内部空間が加温され、その内圧が上昇した状態で、該加温によってまたは/および加温された蒸気によって、前記第2接着層が溶融し、前記第1スリット近傍の前記第1内層と第2内層との間に空間部が発生し、前記第1スリットにより開口が形成されることを特徴とする包装容器。前記複数の薄層フィルムの一部に非通気性のフィルムを用い、前記内部空間に、前記内容物とともに、不活性ガスまたは該内容物によって予め決められたガスが加圧条件で密封されることを特徴とする請求項1記載の包装容器。前記包装容器が、内容物が収容できる凹部が成形され、一端面に平面状の開口部が成形され、かつ該開口部の外周に所定幅のフランジ部が形成された容器本体と、前記積層フィルムと、を有し、 前記積層フィルムの周端部が前記フランジ部に熱融着処理されて、包装容器におけるシールが形成され、前記内部空間が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の包装容器。前記周端部の融着部分のさらに外周側で、かつ前記第1スリットの一端の外周側に、前記第2接着層を有する第1外周部分が形成され、 前記内部空間が加温され、その内圧が上昇した状態で、該加温によってまたは/および加温された蒸気によって、前記第1スリット近傍の第2接着層が溶融し、前記第1内層と第2内層との間に空間部が発生し、前記第1スリットおよび第1外周部分に開口が形成されるとともに、前記第1スリットおよび第1外周部分に形成された開口から前記積層フィルムを剥離し、前記内部空間から内容物の取り出しが可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の包装容器。前記第1内層に、前記第1スリットと連続的にまたは断続的に接続する1または複数のスリットが形成され、各スリットが、直線状または曲線状に形成され、あるいは該直線または曲線に対して垂直あるいは所定の度を有して複数断続的に形成されるとともに、該スリット近傍の所定幅の領域について、前記第2接着層が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の包装容器。複数の薄層フィルムが積層してなる積層フィルムによって内容物が収容された内部空間が形成され、該積層フィルムの周端部の少なくとも一部が熱融着処理されてシール部分が形成された包装容器の製造方法であって、 以下の工程(1)〜(6)を含むとともに、 (1)前記内部空間と接する第1内層用フィルムと、該第1内層用フィルムの外側表層に接する第2内層用フィルムと、を含む少なくとも2以上の薄層フィルムが各フィルムの原反から供出される工程 (2)前記第1内層用フィルムに、第1スリットを含む、該第1スリットと連続的にまたは断続的に接続する1あるいは複数のスリットが形成される工程 (3)前記第1内層用フィルムと前記第2内層用フィルムの間の第1領域に、前記包装容器の使用時の温度および圧条件において接着性が維持される第1接着剤が塗布されて第1接着層が形成される工程 (4)少なくとも前記第1スリットを含むスリット近傍の所定幅の所定長さの第2領域(第1領域を除く)に、前記第1接着剤よりも溶融温度の低い第2接着剤が塗布されて第2接着層が形成される工程 (5)少なくとも、前記第1内層用フィルムと、前記第2内層用フィルムと、前記第1接着層と、前記第2接着層と、が接合され、前記積層フィルムが作製される工程 (6)前記積層フィルムが、包装容器を構成する所定形状に、かつ前記第1スリットが前記積層フィルムの周端部に形成される融着部分の一部を横切るように、成形される工程 以下の工程(7a),(8a)、または、 (7a)内容物の導入部分を残し、前記内部空間が形成されるように、前記積層フィルムの周端部が熱融着処理されてシール部分が形成される工程 (8a)前記導入部分から前記内部空間に内容物が導入され、該導入部分が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程 以下の工程(7b),(8b)を含むことを特徴とする包装容器の製造方法。 (7b)前記積層フィルムによって形成された内部空間に、内容物が導入される工程 (8b)前記積層フィルムの周端部が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程前記工程(8a)に代え、以下の工程(8c)および(8d)を含み、 (8c)前記導入部分から前記内部空間に内容物が導入されるとともに、不活性ガスまたは該内容物によって予め決められたガスが加圧条件で密封される工程 (8d)前記導入部分が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程 または前記工程(8b)に代え、以下の工程(8e)および(8f)を含むことを特徴とする請求項6記載の包装容器の製造方法。 (8e)不活性ガスまたは前記内容物によって予め決められたガスが加圧条件で密封される工程 (8f)前記積層フィルムの周端部が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程前記工程(2)〜(4)に代え、以下の工程(2a)および(3a)を含むことを特徴とする請求項6または7記載の包装容器の製造方法。 (2a)前記第1スリットを含むスリットが、前記第1内層用フィルムの原反供出方向と平行に、連続的にまたは断続的に形成される工程 (3a)前記第1領域への第1接着剤の塗布および前記第2領域への第2接着剤の塗布を同時に行い、前記第1接着層と第2接着層が同時に形成される工程前記工程(2)〜(5)に代え、以下の工程(2b)〜(5b)を含むことを特徴とする請求項6または7記載の包装容器の製造方法。 (2b)前記工程(3)同様、前記第1接着層が形成される工程 (3b)前記工程(4)同様、前記第2接着層が形成される工程 (4b)前記工程(5)同様、前記積層フィルムが作製される工程 (5b)前記第1スリットを含む、該第1スリットと連続的にまたは断続的に接続する1あるいは複数のスリットが、前記第2接着層が形成された第1内層用フィルムにレーザ加工により形成される工程前記包装容器が、内容物が収容できる凹部が成形され、一端面に平面状の開口部が成形され、かつ該開口部の外周に所定幅のフランジ部が形成された容器本体と、前記積層フィルムと、を有し、 前記積層フィルムの周端部が前記フランジ部に熱融着処理されて、前記工程(7a)におけるシール部分および前記工程(8a)または(8d)におけるシールが形成され、または前記工程(8b)または(8f)におけるシールが形成されることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の包装容器の製造方法。

说明书全文

この発明は、包装容器およびその製造方法に関し、詳しくは、その内容物の加熱・加温処理が可能な包装容器およびその製造方法に関する。

密封可能な樹脂製フィルムからなる包装容器は、食品包装容器、各種小物物品用の収容容器等として多用されている。こうした包装容器は、気密性が高く、加圧・加熱殺菌されて衛生的であるため、容器内容物の長期保存が可能である。しかも、使用時には、内容物が収納された状態で湯への浸漬や電子レンジの使用等によって加温が容易であり、内容物が食品等の場合には、その調理も容易に行なうことができる。

そのような包装容器としては、例えば、内容物を収容した容器本体の上面開口部に、酸素遮断性に優れた塩化ビニリデンなどの樹脂を挟んだラミネートフィルムを熱融着して封入したものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。その場合、こうした気密性のある包装容器を加温すると、包装容器が破裂して内容物が飛び出すため、加温前にフォークなどを用いて予め包装容器の数か所に孔を空けることが行われている。また、加温を数回に分けることも行われている。包装容器のトップシール(易開封シール部)を剥離して、内容物を撹拌した後、カバーフィルムで被覆し加温した後、包装容器内の内容物を撹拌し、再度加温することも、しばしば行われている。この場合、包装容器に孔を空ける面倒な作業、更には撹拌作業を必要とし、孔の空け方によっては、内容物が孔から飛び出すこともあり、好ましいものではなかった。

また、孔空け作業を要しないように、加温前に容器のシールを一部剥がしてから加温する包装容器が用いられている。この包装容器は、予めシールの特定箇所を剥がし易いように、易開封処理がなされている。こうした易開封処理は、例えば、容器本体と熱融着しているラミネートフィルムの一端にスリットを予め入れておき、接着剤を兼ねた特殊インクで密閉する方式が採用されている。しかしながら、この方式では、容器本体に収容する内容物が、液状物であったり、ガス置換包装物であったりする場合、消費市場に搬送する途中でスリットから漏洩することがあり、必ずしも好ましいものではなかった。しかも、易開封処理をするため、容器自体の製造コストが上昇するという課題もあった。

特開2000−313480号公報

そこで、本発明の目的は、簡易な構成で、包装容器に収容される内容物が、液状物やガス置換包装物である場合でも、漏洩を確実に防止でき、しかも容器本体ごと内容物を加温する際に、加温に伴う容器内部の圧上昇に伴う包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができる包装容器およびその製造方法を提供することにある。

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す包装容器およびその製造方法によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。

本発明は、複数の薄層フィルムが積層してなる積層フィルムによって内容物が収容された内部空間が形成され、該積層フィルムの周端部の少なくとも一部が熱融着処理されてシール部分が形成された包装容器であって、 前記積層フィルムが、前記内部空間と接する第1内層と、該第1内層の外側表層に接する第2内層と、を含む少なくとも2以上の薄層フィルムで形成され、かつ該第1内層と第2内層の間に設けられ、第1接着剤が塗布された第1接着層を有し、 前記第1内層に、熱融着処理された前記周端部の融着部分の一部を横切るように、所定長さの第1スリットが形成されるとともに、該第1スリット近傍の所定幅の領域について、前記第1接着剤に代え、該第1接着剤よりも溶融温度の低い第2接着剤が塗布された第2接着層が設けられ、 前記内部空間が加温され、その内圧が上昇した状態で、該加温によってまたは/および加温された蒸気によって、前記第2接着層が溶融し、前記第1スリット近傍の前記第1内層と第2内層との間に空間部が発生し、前記第1スリットにより開口が形成されることを特徴とする。

こうした構成によって、包装容器が使用され、加温等のない状態においては、第1,第2接着層を介して積層された複数の薄層フィルムの周端部が熱融着処理されることによって、簡易な構成で高い強度を有する強固なシールが形成され、包装容器に収容される内容物が、液状物やガス置換包装物である場合でも、漏洩を確実に防止できる。さらに、加温に伴う容器内部の圧力が上昇した状態においては、溶融温度の低い第1スリット近傍の第2接着層に形成された開口による容器周端部の融着部分の一部からの内圧の放出が形成されることによって、包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができる。このように、簡易な構成で、高い強度を有する強固なシールが形成され、しかも加温に伴う容器内部の圧力上昇に伴う包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができる包装容器を提供することが可能となった。なお、本発明は、積層フィルムによって内部空間が形成されることを要件とするものであるが、積層フィルム以外の構成要素、例えば後述する容器本体との組合せにより内部空間が形成される構成をも含むものである。

本発明は、前記複数の薄層フィルムの一部に非通気性のフィルムを用い、前記内部空間に、前記内容物とともに、不活性ガスまたは該内容物によって予め決められたガスが加圧条件で密封されることを特徴とする。 従前の包装容器においては、加温されない時のシール性を確保すると加温時の急激な内圧の放出を招来し、逆に加温時の内圧のスローリークを確保すると非加温時に容器内を加圧した場合であっても長期保存状態での内圧低下あるいは外気の混入は避けることができないことから、両者の機能を兼ね備えた包装容器はなかった。本発明に係る包装容器は、上記のように、加温時における内部空間の過剰な圧力上昇を抑えるために積層フィルムの一部に第1スリットが設けられるとともに、該第1スリット部分を含め第1内層と第2内層の間全面に接着層が設けられている。従って、加温時における内圧のスローリークによって包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができるとともに、加温されない状態においては非常に強固なシールが形成することができる。一方、内容物が生鮮食品等の場合にはその生鮮さを維持するために内部空間の雰囲気が不活性ガスであることが好ましい場合がある。また、内容物が果物等密封してから加温して取り出すまでの間に所定のガス雰囲気が好適な場合がある。本発明に係る包装容器は、その特有のシール特性を利用し、内容物が導入された内部空間に不活性ガスあるいは所定のガスを外気よりも加圧された条件で封入され密封されることによって、内容物にとって好適な雰囲気を確保することができるとともに、加温時における内圧のスローリークによって包装容器の破損や内容物の飛散を防止することが可能となった。

本発明は、前記包装容器が、内容物が収容できる凹部が成形され、一端面に平面状の開口部が成形され、かつ該開口部の外周に所定幅のフランジ部が形成された容器本体と、前記積層フィルムと、を有し、前記積層フィルムの周端部が前記フランジ部に熱融着処理されて、包装容器におけるシールが形成され、前記内部空間が形成されることを特徴とする。 例えば食品包装容器では、調理のときに内容物を別の容器に取り出す場合だけではなく、包装容器に収められた状態で加熱等を行う場合があり、特に電子レンジを用いた加温時には包装容器の設置安定性や定形性が要求される。本発明は、包装容器として、開口部およびその外周にフランジ部を備えた定形の容器本体と、上記のような積層フィルムを用いることによって、こうした機能を確保するとともに、簡易な構成で、包装容器に収容される内容物の漏洩を確実に防止でき、しかも容器本体ごと内容物を加温する際に、加温に伴う容器内部の圧力上昇に伴う包装容器の破損や内容物の飛散を防止することを可能とした。

本発明は、上記包装容器であって、前記周端部の融着部分のさらに外周側で、かつ前記第1スリットの一端の外周側に、前記第2接着層を有する第1外周部分が形成され、前記内部空間が加温され、その内圧が上昇した状態で、該加温によってまたは/および加温された蒸気によって、前記第1スリット近傍の第2接着層が溶融し、前記第1内層と第2内層との間に空間部が発生し、前記第1スリットおよび第1外周部分に開口が形成されるとともに、前記第1スリットおよび第1外周部分に形成された開口から前記積層フィルムを剥離し、前記内部空間から内容物の取り出しが可能であることを特徴とする。 こうした構成によって、包装容器から内容物を取り出す場合に必要となる薄層フィルムの破断部あるいは専用の取出口を設けることなく、内容物の取出すための容器内部と繋がる開口を得ることができる。該開口を利用して包装容器から内容物を取り出すことが可能となる。

本発明は、上記包装容器であって、前記第1内層に、前記第1スリットと連続的にまたは断続的に接続する1または複数のスリットが形成され、各スリットが、直線状または曲線状に形成され、あるいは該直線または曲線に対して垂直あるいは所定の度を有して複数断続的に形成されるとともに、該スリット近傍の所定幅の領域について、前記第2接着層が設けられることを特徴とする。 上記のように、本発明における第1スリットおよび第2接着層は、容器内部の圧力上昇に対して重要な機能を果している。一方、包装容器は、内容物の形状や性状(例えば液状体や脱酸素処理が必要等)あるいは取扱い方法によって種々の構造や形状が適用される。本発明は、第1スリットを含む、所定の構成を有する1または複数のスリットを形成することによって、こうした種々の包装容器に適応でき、当該機能の確保を可能にした。

本発明は、複数の薄層フィルムが積層してなる積層フィルムによって内容物が収容された内部空間が形成され、該積層フィルムの周端部の少なくとも一部が熱融着処理されてシール部分が形成された包装容器の製造方法であって、以下の工程(1)〜(6) (1)前記内部空間と接する第1内層用フィルムと、該第1内層用フィルムの外側表層に接する第2内層用フィルムと、を含む少なくとも2以上の薄層フィルムが各フィルムの原反から供出される工程 (2)前記第1内層用フィルムに、第1スリットを含む、該第1スリットと連続的にまたは断続的に接続する1あるいは複数のスリットが形成される工程 (3)前記第1内層用フィルムと前記第2内層用フィルムの間の第1領域に、前記包装容器の使用時の温度および圧力条件において接着性が維持される第1接着剤が塗布されて第1接着層が形成される工程 (4)少なくとも前記第1スリットを含むスリット近傍の所定幅の所定長さの第2領域(第1領域を除く)に、前記第1接着剤よりも溶融温度の低い第2接着剤が塗布されて第2接着層が形成される工程 (5)少なくとも、前記第1内層用フィルムと、前記第2内層用フィルムと、前記第1接着層と、前記第2接着層と、が接合され、前記積層フィルムが作製される工程 (6)前記積層フィルムが、包装容器を構成する所定形状に、かつ前記第1スリットが前記積層フィルムの周端部に形成される融着部分の一部を横切るように、成形される工程 を含むとともに、以下の工程(7a),(8a) (7a)内容物の導入部分を残し、前記内部空間が形成されるように、前記積層フィルムの周端部が熱融着処理されてシール部分が形成される工程 (8a)前記導入部分から前記内部空間に内容物が導入され、該導入部分が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程 または、以下の工程(7b),(8b)を含むことを特徴とする。 (7b)前記積層フィルムによって形成された内部空間に、内容物が導入される工程 (8b)前記積層フィルムの周端部が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程

上記のように、本発明に係る包装容器は、簡易な構成によって、収容される内容物の漏洩を確実に防止でき、しかも加温に伴う容器内部の圧力上昇に伴う包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができる。また、こうした簡易な構成は、複雑な工程を経ずに上記のような包装容器を製造することを可能とした。具体的には、複数の薄層フィルムを原反から供給し、第1内層用フィルムへのスリット加工および第2接着層の形成を行うことによって、その後の積層フィルムの成形・内部空間の形成・内容物の導入・熱融着による内部空間のシールという、簡易な工程によって、上記のような優れた機能を有する包装容器の製造方法を提供することが可能となった。このとき、シールの形成は、内容物の性状等により、内部空間への内容物の導入前後いずれにおいて行うことも可能である。予めシールの一部を形成した後に内部空間への内容物の導入を行うことによって、内部空間の減圧処理が容易に行うことができ、内部空間への内容物の導入後にシールの形成を行なうことによって、一体熱融着処理によるシールの形成が可能となる。

本発明は、上記包装容器の製造方法であって、前記工程(8a)に代え、以下の工程(8c)および(8d)を含み、 (8c)前記導入部分から前記内部空間に内容物が導入されるとともに、不活性ガスまたは該内容物によって予め決められたガスが加圧条件で密封される工程 (8d)前記導入部分が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程 または前記工程(8b)に代え、以下の工程(8e)および(8f)を含むことを特徴とする。 (8e)不活性ガスまたは前記内容物によって予め決められたガスが加圧条件で密封される工程 (8f)前記積層フィルムの周端部が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程 こうした構成によって、内容物が充填された内部空間を、内容物にとって好適な雰囲気にすることができる。具体的には、後述するような不活性ガスや内容物固有の特性に適応したガスが封入される。

本発明は、上記包装容器の製造方法であって、前記工程(2)〜(4)に代え、以下の工程(2a)および(3a)を含むことを特徴とする。 (2a)前記第1スリットを含むスリットが、前記第1内層用フィルムの原反供出方向と平行に、連続的にまたは断続的に形成される工程 (3a)前記第1領域への第1接着剤の塗布および前記第2領域への第2接着剤の塗布を同時に行い、前記第1接着層と第2接着層が同時に形成される工程 こうした構成によって、第1スリットを含むスリットの形成工程および接着層の形成工程が、簡便かつ迅速に行うことができ、高い加工精度を確保することができる。

本発明は、上記包装容器の製造方法であって、前記工程(2)〜(5)に代え、以下の工程(2b)〜(5b)を含むことを特徴とする。 (2b)前記工程(3)同様、前記第1接着層が形成される工程 (3b)前記工程(4)同様、前記第2接着層が形成される工程 (4b)前記工程(5)同様、前記積層フィルムが作製される工程 (5b)前記第1スリットを含む、該第1スリットと連続的にまたは断続的に接続する1あるいは複数のスリットが、前記第2接着層が形成された第1内層用フィルムにレーザ加工により形成される工程 第1スリットを含むスリットの形成は、作製された積層フィルムの1つの表層を構成する第1内層用フィルムの厚みに相当する深さを切断すればよい。一方、予め第1内層用フィルムにスリットを形成すると、包装容器の組立てが煩雑化する場合がある。また、スリットが直線等の単純な形状でない場合には、予め第1内層用フィルムにスリットを形成するよりも、作製された積層フィルムの表面から第1内層に対して加工することが好ましい場合がある。本発明は、作製された積層フィルムの第1内層に対して、深さ方向で第2接着層に到達するまでの数〜数10μmに相当する距離を、精緻な加工が可能なレーザ加工技術を用いて加工することによって、所望のスリット形状やスリット幅に応じたスリットを形成することが可能となる。

本発明は、上記包装容器の製造方法であって、前記包装容器が、内容物が収容できる凹部が成形され、一端面に平面状の開口部が成形され、かつ該開口部の外周に所定幅のフランジ部が形成された容器本体と、前記積層フィルムと、を有し、前記積層フィルムの周端部が前記フランジ部に熱融着処理されて、前記工程(7a)におけるシール部分および前記工程(8a)または(8d)におけるシールが形成され、または前記工程(8b)または(8f)におけるシールが形成されることを特徴とする。 この構成によれば、設置安定性や定形性という包装容器に要求される機能を確保した包装容器の製造方法を提供することができる。

本発明に係る包装容器の基本的な構成を例示する概略図

本発明に係る積層フィルム1の実施形態を例示する概略図

加温状態での第1スリットおよび第2接着層の機能を説明する参照図

本発明に係る包装容器の開封機能を説明する参照図

本発明に係る包装容器の第2構成例を示す概略図

本発明に係る包装容器の第3構成例を示す概略図

本発明に係る包装容器の第4構成例を示す概略図

本発明に係る積層フィルムの製造装置の一部を例示する概略図

本発明に係る包装容器の製造工程の一部を例示する概略図

本発明に係る包装容器(以下「本容器」という)は、複数の薄層フィルムが積層してなる積層フィルムによって内容物が収容された内部空間が形成され、該積層フィルムの周端部の少なくとも一部が熱融着処理されてシール部分が形成される。このとき、積層フィルムが、それ以外の構成要素、例えば定形性のある容器本体との組合せにより内部空間が形成される構成をも含む。また、該積層フィルムは、内部空間と接する第1内層と、該第1内層の外側表層に接する第2内層と、を含む少なくとも2以上の薄層フィルムで形成され、かつ該第1内層と第2内層の間に設けられ、第1接着剤が塗布された第1接着層を有する。第1内層には、熱融着処理された周端部の融着部分の一部を横切るように、所定長さの第1スリットが形成されるとともに、該第1スリット近傍の所定幅の領域について、第1接着剤に代え、該第1接着剤よりも溶融温度の低い第2接着剤が塗布された第2接着層が設けられる。簡易な構成で、高い強度を有する強固なシールが形成され、しかも加温に伴う容器内部の圧力上昇に伴う包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができる。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

<本発明に係る包装容器の基本構成例> 図1は、本容器の基本構成例(第1構成例)を示す概略図である。本容器は、積層フィルム1によって内容物Fが収容された内部空間2が形成される。積層フィルム1の周端部が熱融着処理されて、シール部分3(3a〜3c)が形成される。積層フィルム1は、少なくとも第1内層用フィルムおよび第2内層用フィルムから構成される(後述)。内部空間2と接する第1内層用フィルム(第1内層)には、シール部分3bの一部を横切るように、所定長さの第1スリットSa(図では実線で示す)が形成され、第1スリットSa近傍の所定幅の領域(第2領域)に第2接着層Lbが設けられる。ここでは、1枚の積層フィルム1を折り曲げて、その周端部が熱融着処理されて、シール部分3として3つのシール部分3a〜3cによって内部空間2が形成される例を示す。シール部分3a〜3cは、全て熱融着処理されることによって強固なシールを確保することができるが、一部分が熱融着処理され、他の部分が接着処理等他のシール処理される構成も可能である。なお、所望の内容積を有する内部空間2が形成できれば、シール部分3a〜3cの配置は限定されるものではない。また、積層フィルム1を複数用い、3ヶ所を超えるシール部分3において熱融着処理されてシールを形成する構成も、本容器に含まれる。

積層フィルム1は、図2に例示するように、少なくとも第1内層用フィルム(第1内層1a)および第2内層用フィルム(第2内層1b)を含む2以上の薄層フィルムで形成される。熱融着処理に適した素材として、ポリプロピレンフィルム,ポリエチレンフィルムやポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等を挙げることができる。図2(A)は、第1接着層Laと第2接着層Lbによって接合された、第1内層1aと第2内層1bを含む積層フィルム1を例示する。第1内層1aは内部空間2に接し、第1内層1aの外側表層に第2内層1bが接する。以下、基本的な積層フィルム1として、第1内層1aと第2内層1bからなる構成に基づき説明するが、本容器は、図2(B)のように、第2内層1bの外層として、複数種の薄層フィルム1c,1d,・・1nが積層されたラミネートフィルムが用いられる。薄層フィルム1a〜1nの一部に、内容物の保護のために酸素遮断性の高い遮蔽層や遮光性の高い遮光層等の種々の機能性を有する薄層フィルム(機能性フィルム)を有することが好ましい。機能性フィルムとして、例えば、最外層には印刷性のよいポリスチレンフィルム等が用いられることがある。また、内容物がレトルト食品等の場合には、電子レンジでの調理可能なポリエチレンフィルムやPETフィルム等の材料が用いられることがある。いずれも、熱融着処理によって所定の耐圧性を有するシールを形成できる素材であることが要求される。また、酸素遮断性の高いフィルムとして塩化ビニリデンフィルム等、遮光性の高いフィルムとしてアルミラミネートフィルム等、印刷性のよいフィルムとしてナイロンフィルム,PETフィルム,二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等を挙げることができる。積層フィルム1は、用途に応じて、こうした素材を組合せた多機能フィルムを構成することが好ましい。

積層フィルム1を構成する第1内層1aには、図1に示すような所定長さの第1スリットSaが形成される。第1スリットSaは、作製された包装容器において、積層フィルム1の周端部の融着部分(シール部3a〜3c)の一部(本構成例においては、シール部3b)を横切るように設けられる。また、第1内層1aと第2内層1bの間には、図2(A)に示すように、第1接着剤が塗布された第1接着層Laと、該第1接着剤よりも溶融温度の低い第2接着剤が塗布された第2接着層Lbが設けられる。第2接着層Lbは、第1スリットSa近傍の所定幅の領域(第2領域)について設けられる。加温されない状態において、第1,第2接着層を介して積層された複数の薄層フィルムおよび熱融着処理されたその周端部によって、簡易な構成で高い強度を有する強固なシールが形成される。加温に伴う容器内部の圧力が上昇した状態において、溶融温度の低い第1スリット近傍の第2接着層に形成された開口による容器周端部の融着部分の一部からの内圧の放出が形成される。

本容器が加温された場合における第1スリットSaおよび第2接着層Lbの機能を、図3(A)〜(D)に例示する。図3(A)に示すように、積層フィルム1と11の周端が合掌された状態で、熱融着処理されたシール部3に、第1スリットSaおよび第2接着層Lbが設けられた場合を示す。ここで、例えばレトルト食品における電子レンジ等による加温の場合には、約60〜120℃に加温される。内部空間2の加温に伴い、内部圧力が上昇する。この状態で、積層フィルム1に設けられた第1スリットSaを介して加温によってまたは/および加温された蒸気によって、図3(B)に示すように、第1スリットSa近傍の第2接着層Lbに塗布された第2接着剤が溶融する(Pb)。溶融部分Pbは、次第に拡大し、図3(C)に示すように、内部空間2の圧力上昇に伴う押圧により第2接着層Lbに空間部Pcが発生するとともに、第1スリットSaにおいて、幅方向に拡がりが生じる。空間部Pcは、シール部3を横切る領域にも次第に拡大し、図3(D)に示すように、第1スリットSaおよび第2接着層Lbを介して、内部空間2から外部への開口Paが形成される。容器内部の気体成分(蒸気)の一部が、開口Paから排出されることによって、内部空間2の圧力上昇が抑えられ、内容物Fおよび包装容器の破損を防止することができる。

第1接着層Laに塗布される第1接着剤は、例えば各種穀物澱粉,ガラクトマンナンなどの天然物由来の各種多糖類,コーンプロティン,アルブミン,ゼラチン等の蛋白質,天然ガム質,シェラック,グリセリンまたはこれらを適宜配合した混合物等の可食性の粘着剤を使用することができる。これらは、例えば変成アルコールで希釈して塗布することができる。第2接着層Lbに塗布された第2接着剤は、内部空間2の加温時に、第1接着剤よりも早く溶融するように、第1接着剤よりも溶融温度の低い接着剤(インキ)が用いられる。具体的には、例えばセルロース系インキまたはリシール可能型インキを使用することができる。メチルセルロースを主成分とするインキでは溶液として塗布することができる。

本容器において、薄層フィルム1a〜1nの一部に非通気性のフィルムを用い、内部空間2に、内容物Fとともに、不活性ガスまたは該内容物Fによって予め決められたガス(ここでは「封入ガス」という)が加圧条件で密封されることが好ましい。例えば内容物Fが生鮮食品等の場合にはその生鮮さを維持するために内部空間2の雰囲気が不活性ガス(例えば窒素や二酸化炭素等)であれば、食品の酸化による劣化や変質等を防止することができる。特に、冷凍食品等のように、長期保存を目的とした容器については、冷凍技術とともに非酸化処理が有用である。また、封入ガスは不活性ガスだけではなく、内容物Fが果物等密封してから加温して取り出すまでの間に所定のガス雰囲気が好適な場合がある。例えば、粥等含水穀類については所定量の酸素の存在によって風味を維持することができることが知られている(例えば特許第2986243号公報参照)。こうした場合には、内容物F(例えば粥等)が導入された内部空間2の雰囲気を微量の酸素を含む窒素ガスとすることによって、長期保管後であっても開封時の新鮮な風味を味わうことができる包装容器を作製することができる。あるいは、バナナやリンゴあるいはキウイ等の果物についてはエチレン雰囲気によって熟成度を上げることができることが知られている。こうした果物を含む加工食品の封入容器に、例えば所定濃度のエチレンを封入することによって、果物の甘みを維持あるいは加増する効果を得ることができる。

本容器は、第1内層1aと第2内層1bの間全面に接着層が設けられ、非常に強固なシールが形成されている。従って、非加温状態においては、封入ガスを長期的にも安定な加圧状態で密封することができる。具体的には、上記第1構成例において、第1接着剤として穀物澱粉、第2接着剤としてセルロース系インキを用い、約8mm幅の第2接着層Lbを設けた本容器の耐圧試験を行ったところ、ガス圧2.5kg/m2以上の耐圧性を有するとの検証結果を得た。一方、第1内層1aと第2内層1bの間に設けられた第1スリットSaおよびその近傍の溶融温度の低い第2接着層Lbによって、融着部分Pbの一部からの開口Paが確保されている。従って、加温時においては、内圧の放出(スローリーク)によって包装容器の破損や内容物Fの飛散を防止することができる。つまり、非加温時の加圧の密封状態を維持することができる強固なシール性と加温時の内圧の放出という、従前できなかった相反する機能を兼ね備えた本容器によって、不活性ガスまたは内容物Fによって予め決められた自在のガスを封入することが可能となった。

本容器には、図4(A)に例示するように、シール部3bの端部に、開封を容易にするための切欠部4a,4bが設けられる。切欠部4a(または4b)から切欠部4b(または4a)方向に開封することによって、加温された内部空間2から内容物Fを取り出すことができる。このとき、切欠部4a,4bを、シール部3bの内部空間2の端面(4a−4bを結ぶ線上)に沿う位置に設けることによって、容易に開封することができる。さらに、カット性(特定方向に破断あるいは引き裂きが容易な特性)を有する積層フィルム1(例えば1軸延伸フィルム等)を用い、切り裂き容易な方向に切欠部4a,4bを配設することによって、さらに容易に開封することができる。さらに、図4(B)に例示するように、切欠部4a,4bが設けられた4a−4bを結ぶ線上に第1スリットSaおよび第2接着層Lbを設けることによって、第1スリットSaの切断部および加温時の第2接着層Lbに発生する開口を利用し、容易に開封することができる。

〔本容器の第2構成例〕 図5(A),(B)は、本容器の第2構成例を示す概略図である。本容器は、第1構成例における積層フィルム1を、定形性のある容器本体5と組み合せることによって、内部空間2が形成される。内容物Fが収容できる凹部5aが成形され、一端面に平面状の開口部5bが成形され、かつ開口部5bの外周に所定幅のフランジ部5cが形成された容器本体5と、開口部5bに積層フィルム1が被覆されるように配設された構成を有する。積層フィルム1の周端部がフランジ部5cに熱融着処理されて、シール部3によってシールが形成され、内部空間2が形成される。積層フィルム1には、シール部3の一部を横切るように、所定長さの第1スリットSaが形成され、第1スリットSa近傍の所定幅の領域(第2領域)に第2接着層Lbが設けられる。設置安定性や定形性という包装容器に要求される機能を確保し、簡易な構成で、高い強度を有する強固なシールが形成され、しかも加温に伴う容器内部の圧力上昇に伴う包装容器の破損や内容物Fの飛散を防止することができる。

容器本体5は、ポリプロピレンのような樹脂からなっており、ブロー成形法等によって製造される。ただし、容器本体5の成形方法は特に限定されない。内容物Fが収容できる凹部5aを有し、積層フィルム1によって内容物Fを密封状態で、内部空間2が形成される。このとき、容器本体5と積層フィルム1のシールが形成できるフランジ部5cを有することが好ましい。なお、ここでは、容器本体5を、開口部5bの周囲にフランジ部5cを有し、凹部5aの一部が角錐形状の容器として例示したが、むろん形状はこれに限定されるものではない。凹部5aが、直方体(立方体を含む)形状あるいは円錐形状の一部やこれらの組合せあるいは任意の曲線形状を有する容器、あるいはフランジ部5cではなく凹部5aの一部と積層フィルム1の周端部が熱融着処理されて、シール部3が形成可能な容器等、積層フィルム1の周端部が熱融着処理されて、シール部3が形成可能な、あらゆる形状が適用可能である。

本容器が加温された場合における第1スリットSaおよび第2接着層Lbの機能を、図5(C)〜(E)に例示する。内部空間2の加温に伴い、容器本体5は殆ど変形せずに、内部圧力が上昇する。この状態で、第1スリットSaを介して加温によってまたは/および加温された蒸気によって、図5(C)に示すように、第1スリットSa近傍の第2接着層Lbに塗布された第2接着剤が溶融する。溶融部分Pbは次第に拡大し、図5(D)に示すように、内部空間2の圧力上昇に伴う押圧により第2接着層Lbに空間部Pcが発生するとともに、第1スリットSaが幅方向に拡がりが生じる。空間部Pcはシール部3を横切る領域にも次第に拡大し、図5(E)に示すように、第1スリットSaおよび第2接着層Lbを介して内部空間2から外部への開口Paが形成される。

本容器の開封を容易にするために、フランジ部5cの一部に、積層フィルム1の切り裂きあるいはシール部3の破断が可能な開封部6が設けられることが好ましい。例えば開封部6を上方あるいは下方に押しつぶし、積層フィルム1をフランジ部5cから剥離してシール部3の破断することによって、開口部5bの一部が開封され、加温された内部空間2から内容物Fを取り出すことができる。このとき、図5(F)に例示するように、第1スリットSaおよび第2接着層Lbを、開封部6に近接させ、シール部3の内部空間2の端面2e−2eと平行に設けることによって、容易に開封することができる。第1スリットSaの切断部および加温時の第2接着層Lbに発生する開口Paを利用し、容易に開封することができる。

〔本容器の第3構成例〕 図6(A),(B)は、本容器の第3構成例を示す概略図である。図6(A)は、本容器の第1構成例における実施態様、図6(B)は、本容器の第2構成例における実施態様を示す。本容器は、シール部3のさらに外周側で、かつ第1スリットSaの外側に、第2接着層Lbを有する第1外周部分7を有する。本容器が加温された場合における第1スリットSaおよび第2接着層Lbの機能を、図6(C)〜(E)に例示する。内部空間2の加温に伴い、その内圧が上昇した状態で、第1スリットSaを介して加温によってまたは/および加温された蒸気によって、図6(C)に示すように、第1スリットSa近傍の第2接着層Lbに塗布された第2接着剤が溶融する。溶融部分Pbは次第に拡大し、第1外周部分7にある第2接着層Lbに塗布された第2接着剤が溶融する。第2接着層Lbの溶融に伴い、図6(D)に示すように、内部空間2の圧力上昇に伴う押圧により第2接着層Lbに空間部Pcが発生するとともに、第1スリットSaが幅方向に拡がりが生じる。空間部Pcはシール部3を横切る領域および第1外周部分7にある第2接着層Lbにも次第に拡大する。空間部Pcの発生に伴い、図6(E)に示すように、第1スリットSaおよび第2接着層Lbを介して内部空間2から、融着部分−第1外周部分7−外部への開口Paが形成される。

ここで、第1スリットSaおよび開口Paから積層フィルム1を剥離し、内部空間2を開封することによって、内容物Fの取り出しができる。具体的には、第1スリットSa−融着部分−第1外周部分7の第2接着層Lbに開口Paが形成されると、第2内層1bの第2接着層Lbと接する部分は、開口Paにおいて第1内層1aと乖離した状態となり、第1外周部分7の開口Pa端部の第2内層1bを(またはこれを含む外層1c,1d、・・とともに)第1内層1aから剥離することによって、第1外周部分7−融着部分−第1スリットSaに形成された開口Paを拡張することができる。内容物Fが取り出せるように第1スリットSaに形成された開口Paを拡げることによって、破断部や専用の取出口を設けることなく、包装容器の内部空間2から内容物Fの取り出しが可能となる。

〔本容器の第4構成例〕 図7(A),(B)は、本容器の第4構成例を示す概略図である。本容器は、第1内層1aに、第1スリットSaだけではなく、これと連続的にまたは断続的に接続するスリットSb,Sc,Sd,Se,・・Snが形成され、各スリットSa〜Snが、直線状または曲線状に形成され、あるいは該直線または曲線に対して垂直あるいは所定の角度を有して複数断続的に形成される。と同時に、スリットSa〜Sn近傍の所定幅の領域(第2領域)について、第2接着層Lbが設けられる。複数のスリットSa〜Snを設けることによって、内容物Fの形状や性状(液状体や脱酸素処理が必要等)あるいは取扱い方法に起因する種々の構造や形状に適応できる機能を確保した。

具体的には、図7(A)のように、第1スリットSaに対して連続的にまたは断続的に接続する複数のスリットSb〜Snは、内部空間2と接する第2接着層Lbの面積を拡大することができ、第2接着層Lbの溶融を促進させ、溶融部分の拡張によって、第1スリットSaによる開口を促すための補助的機能を果すことができる。また、図7(B)のように、第1スリットSaをシール部3と交差角度を設定することによって、第1スリットSaがシール部3を横切る距離を設定し、開口する圧力や開口までの時間を調整することができる。第1スリットSaと連続的にまたは断続的に接続する複数のスリットSb〜Snは、内部空間2と接する第2接着層Lbの面積を拡大することができ、第2接着層Lbの溶融を促進させ、溶融部分の拡張によって、第1スリットSaによる開口を促すための補助的機能を果すことができる。

<本容器の製造方法> 次に、本容器を作製する基本的なプロセス(以下「第1製造方法」という)について詳述する。第1製造方法は、以下の工程(1)〜(6)を含む。 (1)薄層フィルムが供出される工程 (2)スリットが形成される工程 (3)第1接着層が形成される工程 (4)第2接着層が形成される工程 (5)積層フィルムが作製される工程 (6)積層フィルムが成形される工程 また、第1製造方法は、以下の工程(7a),(8a)を含む。 (7a)シール部分の一部が形成される工程 (8a)内容物が導入され、包装容器のシールが形成される工程 または、以下の工程(7b),(8b)を含む。 (7b)内部空間に内容物が導入される工程 (8b)包装容器のシールが形成される工程

第1製造方法の工程の詳細を、図8に例示する製造装置の一部に基づき説明する。 (1)薄層フィルム1a〜1nが供出される工程 第1内層用フィルム1aと、第1内層用フィルム1aの外側表層に接する第2内層用フィルム1bと、を含む少なくとも2以上の薄層フィルム1a〜1nが各フィルムの原反(図示せず)から供出される。 (2)スリットが形成される工程 スリット作製部12によって、第1内層用フィルム1aに、第1スリットSaを含む複数のスリットが形成される。図8では、第1スリットSaおよびこれと連続的に接続するスリット(S)を設けた場合を示す。スリット作製部12を随時移動し、同一直線状に断続的に設けることおよび非直線状(曲線状)のスリットを形成することも可能である。このとき、第1スリットSaを含むスリットが、上記工程(1)における第1内層用フィルム1aの原反供出方向と平行に、連続的にまたは断続的に形成されることが好ましい(工程(2a))。スリットの形成工程が、簡便かつ迅速に行うことができ、高い加工精度を確保することができる。 (3)第1接着層Laが形成される工程 第1内層用フィルム1aと第2内層用フィルム1bの間の第1領域(第2接着層Lb以外の領域)に、既述のいずれかの第1接着剤が塗布されて第1接着層Laが形成される。図8では、第2内層用フィルム1bの1面(第1内層用フィルム1aとの接合面)に第1接着剤が塗布された場合を例示するが、第1領域への第1接着剤の塗布および第2領域への第2接着剤の塗布を同時に行い、第1接着層Laと第2接着層Lbが同時に形成されることが好ましい(工程(3a))。第1内層用フィルム1aと第2内層用フィルム1bのいずれかに第2接着剤とともに塗布すること、あるいは後工程(5)において、第1内層用フィルム1aと第2内層用フィルム1bを接合する直前に、第2接着剤とともに塗布することも可能である。接着層の形成工程が、簡便かつ迅速に行うことができ、高い加工精度を確保することができる。 (4)第2接着層が形成される工程 少なくとも第1スリットSaを含むスリット近傍の所定幅の所定長さの第2領域(第1領域を除く)に、第1接着剤よりも溶融温度の低い第2接着剤が塗布されて第2接着層Lbが形成される。図8では、第1内層用フィルム1aの1面(内部空間2側)に第2接着剤が塗布された場合を例示するが、上記工程(3)同様、第1内層用フィルム1aと第2内層用フィルム1bのいずれかに第1接着剤とともに塗布すること、あるいは後工程(5)において、第1内層用フィルム1aと第2内層用フィルム1bを接合する直前に、第1接着剤とともに塗布することも可能である。 (5)積層フィルム1が作製される工程 図8のように、少なくとも第1内層用フィルム1aと、第2内層用フィルム1bと、第1接着層Laと、第2接着層Lbと、がローラRaとRbによって接合され、所定の長さに切断されて積層フィルム1が作製される。さらに、複数種の薄層フィルム1c,1d,・・1nが積層される場合には、各フィルムの間に第1接着剤あるいは各フィルムの材質や機能に適合した接着剤によって接合され、所定の長さに切断されて積層フィルム1が作製される。

シール部3の一部を形成し、内容物Fを導入後、シール部3を形成する場合には、以下の工程(6)を経て、工程(7a),(8a)を含む製造方法を適用することが好ましい。 (6)積層フィルム1が成形される工程 積層フィルム1が、包装容器を構成する所定形状に、成形される。例えば上記第1構成例によれば、図9(A)のように、完成時にシール部3a〜3cが形成可能な形状とし、かつ第1スリットSaが積層フィルム1の周端部に形成されるシール部3bの一部を横切るように、成形される。また、上記第2構成例によれば、図9(B)のように、容器本体5のフランジ部5cにシール部3が形成可能な形状とし、かつ第1スリットSaが積層フィルム1の周端部に形成されるシール部3の一部を横切るように、成形される。 (7a)シール部分の一部が形成される工程 内容物Fの導入部分を残し、内部空間2が形成されるように、積層フィルム1の周端部が熱融着処理されてシール部分が形成される。例えば上記第1構成例によれば、図9(A)において、完成時のシール部3bおよび3cが形成され、内容物Fの導入可能なシール部3aに対応する部分は開放状態とされる。また、上記第2構成例によれば、図9(B)において、第1スリットSaが横切る積層フィルム1の端辺部が熱融着処理されて、シール部分が形成され、他の端辺部(積層フィルム1の周端部)は、内容物Fの導入が可能なように開放状態とされる。 (8a)内容物Fが導入され、包装容器のシールが形成される工程 開放状態の部分から内部空間2に内容物Fが導入され、該開放状態の部分が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される。

内容物Fを導入後、1つの工程でシール部3を形成する場合には、以下の工程(6)を経て、工程(7b),(8b)を含む製造方法を適用することが好ましい。 (6)積層フィルム1が成形される工程 積層フィルム1が、包装容器を構成する所定形状に、成形される。例えば、上記第1構成例によれば、図9(A)のように、完成時にシール部3a〜3cが形成可能な形状とし、かつ第1スリットSaが積層フィルム1の周端部に形成されるシール部3bの一部を横切るように、成形される。また、上記第2構成例によれば、図9(B)のように、容器本体5のフランジ部5cにシール部3が形成可能な形状とし、かつ第1スリットSaが積層フィルム1の周端部に形成されるシール部3の一部を横切るように、成形される。 (7b)内部空間2に内容物Fが導入される工程 積層フィルム1によって形成された内部空間2に、内容物Fが導入される。例えば上記第1構成例によれば、図9(A)において、完成時のシール部3a〜3cが形成されるように積層フィルム1が組立てられ、内部空間2が形成され、内容物Fが導入される。また、上記第2構成例によれば、図9(B)において、容器本体5に内容物Fが導入される。 (8b)包装容器のシールが形成される工程 積層フィルム1の周端部が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される。例えば上記第1構成例によれば、図9(A)において、内容物Fが導入された内部空間2が形成されるように、シール部3a〜3cが形成される。また、上記第2構成例によれば、図9(B)において、積層フィルム1の全端辺部が熱融着処理されて、シール部分が形成される。

このような簡易な工程によって、複雑な工程を経ずに、収容される内容物の漏洩を確実に防止でき、しかも加温に伴う容器内部の圧力上昇に伴う包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができるという優れた機能を有する包装容器を製造することができる。このとき、シールの形成は、内容物の性状等により、内部空間への内容物の導入前後いずれにおいて行うことができる。予めシールの一部を形成した後に内部空間への内容物の導入を行うことによって、内部空間の減圧処理が容易に行うことができ、内部空間への内容物の導入後にシールの形成を行なうことによって、一体熱融着処理によるシールの形成ができる。

また、上記製造工程において、容器内部に内容物とともに、不活性ガスまたは該内容物によって予め決められたガス(封入ガス)が加圧条件で密封されることが好ましい場合がある。つまり、既述のように、内容物が生鮮食品等の場合には不活性ガスを封入することによって、その生鮮さを維持することができ、内容物が粥や果物等の場合には酸素やエチレン等を封入することによって、その風味を維持あるいは加増することができる。具体的には、 (i)シールの一部を形成した後内容物の導入し、その後にシールを完成する包装容器については、上記工程(8a)に代え、 (8c)包装容器の内部空間に内容物が導入されるとともに、封入ガスが加圧条件で密封される工程 (8d)内容物(および封入ガス)の導入部分が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程 を含むことによって、封入ガスの確実なシール性を確保した (ii)内容物導入後にシールを形成する包装容器については、上記工程(8b)に代え、 (8e)封入ガスが加圧条件で密封される工程 (8f)積層フィルムの周端部が熱融着処理されて、包装容器のシールが形成される工程 を含むことによって、封入ガスの確実なシール性を確保した。

〔本容器の第2製造方法〕 本容器の製造方法において、上記工程(2)〜(5)に代え、以下の工程(2b)〜(5b)を含むことができる。 (2b)上記工程(3)同様、第1接着層Laが形成される工程 (3b)上記工程(4)同様、第2接着層Lbが形成される工程 (4b)上記工程(5)同様、積層フィルム1が作製される工程 (5b)第1内層用フィルム1aにスリットが形成される工程 第1スリットSaを含む1あるいは複数のスリットが、第1内層用フィルム1aにレーザ加工により形成される。予め第1内層用フィルム1aにスリットを形成せずに、積層フィルム1完成後あるいは包装容器完成直前に、精緻な加工が可能なレーザ加工技術を用いることによって、所望のスリット形状やスリット幅に応じたスリットを精度よく形成することができる。その後、上記工程(6)〜(8)を行うことによって、複雑な工程を経ずに、簡易な工程によって収容される内容物の漏洩を確実に防止でき、しかも加温に伴う容器内部の圧力上昇に伴う包装容器の破損や内容物の飛散を防止することができるという優れた機能を有する包装容器を製造することができる。

1 積層フィルム 1a 第1内層 1b 第2内層 2 内部空間 3(3a〜3c) シール部分 4a,4b 切欠部 5 容器本体 F 内容物 La 第1接着層 Lb 第2接着層 Sa 第1スリット

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