Light-curing hollow structure and curing method thereof

申请号 JP2001208091 申请日 2001-07-09 公开(公告)号 JP3615161B2 公开(公告)日 2005-01-26
申请人 櫻護謨株式会社; 发明人 哲也 中村;
摘要
权利要求
  • 流体を圧入可能な内袋層と、この内袋層の外周に重合され、かつ光硬化性樹脂を含浸した基材層と、この基材層の外周に重合された透光性を持つ被覆層とからなり、未使用時には可撓性を有し全体が遮光性を有する収納袋或いはケースに収納保管され、使用に際しては収納袋或いはケースから取り出して前記内袋層内に流体を圧入することで全体が膨らみ、そのまま前記被覆層を透過する直射日光または人工の光源光により前記基材層が硬化して所定形状の中空構造成形品となる光硬化性中空構造物において、前記基材層は、光硬化性樹脂を含浸した補強繊維層と、この補強繊維層に重合して設けられ前記光硬化性樹脂の流動を妨げる流動抵抗体とから構成したことを特徴とする光硬化性中空構造物。
  • 流体を圧入可能な内袋層と、この内袋層の外周に重合され、かつ光硬化性樹脂を含浸した基材層と、この基材層の外周に重合された透光性を持つ被覆層とからなり、未使用時には可撓性を有し全体が遮光性を有する収納袋或いはケースに収納保管され、使用に際しては収納袋或いはケースから取り出して前記内袋層内に流体を圧入することで全体が膨らみ、そのまま前記被覆層を透過する直射日光または人工の光源光により前記基材層が硬化して所定形状の中空構造成形品となる光硬化性中空構造物において、前記基材層は、光硬化性樹脂を含浸した補強繊維層と、この補強繊維層に予め硬化した部材を部分的に配置し、前記光硬化性樹脂の流動を妨げることを特徴とする光硬化性中空構造物。
  • 说明书全文

    【0001】
    【発明の属する技術分野】
    この発明は、流体の圧入によって膨らみ、かつ太陽光等の光によって硬化して所定形状の中空構造成形品となる光硬化性中空構造物及びその硬化方法に関する。
    【0002】
    【従来の技術】
    天災や人災等による緊急時の被災者を救済するために、被災地にプレハブ等の簡易ハウスやテントなどを設営する場合、予め工場で製作した支柱やパネル或いは天幕等の多数の設営資材をトラック等によって運搬し、現地でそれらを組み立てて据付を行っている。
    【0003】
    しかし、その簡易ハウスやテントが大掛かりなものになるほど、その設営資材の部品点数が多く且つ支柱やパネル等が大形化して、それらの保管や輸送並びに現地での組み立て据付作業が面倒となる。 特に、山間部や僻地等の交通の不便な場所への資材の輸送は大変である。
    【0004】
    また、その他、例えば公園や遊園地等に設置される各種遊戯具などの屋外据付設備においても、工場で予めその目的の形状に成形した製品をトラック等で現地に運搬して組み立て設置している。 しかしこの種のものでも、やはり大形なものは嵩張り運搬等の据付作業が面倒である。
    【0005】
    そこで、前述のような問題を解決した光硬化性中空構造物が、特許第2916330号(1992年8月31日出願)として登録されている。 これは、未使用時には、予め目的の形状の半製品状態に作られており、基材層に含浸した光硬化性樹脂がゲル状の状態で可撓性を有し、全体的に小さく折り畳んだり或いは小さく丸めたりして収納袋或いはケース内にコンパクトに収納しておけ、そのまま嵩張らずに倉庫等に保管したり非常に楽に輸送したりできる。
    【0006】
    そして、使用に際しては、設置現場において、その光硬化性中空構造物を収納袋或いはケースから取り出し、素早く内袋層内にコンプレッサや適当なガス発生器によりガス或いは等を圧入することで全体を膨ます。 その膨らました状態を維持しながら直射日光又は人工の光源光に晒す。 これでその光が外周の透光性を有する被覆層を透過して基材層の光硬化性樹脂に当たることで、その光硬化性樹脂が硬化して基材層が固化し、全体的に初期の目的に合った所定形状の中空構造成形品となり、そのまま或いは圧入した水等の流体を抜き取って設置使用できるようになる。
    【0007】
    従って、保管や輸送が非常に楽で経費の節減が図れ、使用に際しては、据付現場で非常に簡単な作業により短時間で目的に合った所定形状の中空構造成形品として設置使用できる。
    【0008】
    また、これと類似した宇宙構造物の伸展構造が、特許第2728081号(1996年4月15日出願)として登録されている。 宇宙飛行体におけるアンテナ、太陽電池パドル等の宇宙構造物を伸展するもので、宇宙飛行体に固定された伸縮自在な伸展部を備え、宇宙飛行体の打上げ時には当該宇宙飛行体に収納され、打上げ後には宇宙空間における太陽光の熱によって伸長する形状記憶合金からなる。 そして、伸展部の外殻の表面を紫外線硬化樹脂により被覆したものである。
    【0009】
    【発明が解決しようとする課題】
    しかしながら、基材層に封入された光硬化性樹脂が重によって偏るという問題がある。 すなわち、中空構造物を保管中や輸送中に重力によって未硬化の光硬化性樹脂が下側に集ってしまい、特に輸送機からの投下やロケットでの打上げ、あるいは他の天体への着陸など、大きな加速度がかかる輸送手段中にも発生する懸念がある。
    【0010】
    また、硬化反応を太陽光で行なった場合、表裏の温度差によって硬化速度が表裏で差ができるという問題があった。 すなわち、光硬化性樹脂の硬化は、光を当てて硬化させるものであるが、太陽光を用いて野外や宇宙空間で当該樹脂を硬化させた場合、太陽光が均一に当たるケースは少なく、この結果として表と裏で温度差が大きくなる。 光硬化性樹脂の種類によっては、温度によって硬化が促進されるので、光の当たり方の差に加えて温度差による硬化速度の差が加算されてしまって、構造物全体として歪みが生じたりする虞がある。
    【0011】
    この発明は前記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、光硬化性樹脂の重力による偏りを抑制し、目的に合った所定形状の中空構造構造物を構成することができる光硬化性中空構造物を提供することにある。
    【0012】
    また、他の目的は、光硬化性中空構造物の両端部を回転自在に支持し、硬化プロセス中に光硬化性中空構造物を回転させ、直射日光または人工の光源光を被覆層に均一に透過させ、全体に亘って略同一進行で硬化させることができる光硬化性中空構造物の硬化方法を提供することにある。
    【0013】
    【課題を解決するための手段】
    この発明は、前記目的を達成するために、流体を圧入可能な内袋層と、この内袋層の外周に重合され、かつ光硬化性樹脂を含浸した基材層と、この基材層の外周に重合された透光性を持つ被覆層とからなり、未使用時には可撓性を有し全体が遮光性を有する収納袋或いはケースに収納保管され、使用に際しては収納袋或いはケースから取り出して前記内袋層内に流体を圧入することで全体が膨らみ、そのまま前記被覆層を透過する直射日光または人工の光源光により前記基材層が硬化して所定形状の中空構造成形品となる光硬化性中空構造物において、前記基材層は、光硬化性樹脂を含浸した補強繊維層と、この補強繊維層に重合して設けられ前記光硬化性樹脂の流動を妨げる流動抵抗体とから構成したことを特徴とする。
    【0015】
    また、前記基材層は、光硬化性樹脂を含浸した補強繊維層と、この補強繊維層に予め硬化した部材を部分的に配置し、前記光硬化性樹脂の流動を妨げることを特徴とする。
    【0019】
    【発明の実施の形態】
    以下、この発明の各実施の形態を図面に基づいて説明する。
    【0020】
    図1〜図4は第1の実施形態を示し、図1は建築構造物や遊戯具などの屋外設備等の支柱や梁(パイプ)などとして設置使用するのに好適な柱状中空構造成形品を得る目的の光硬化性中空構造物の一部断面した側面図、図2は図1のA部を拡大した断面図、図3は作用説明図、図4(a)は収納袋の斜視図、(b)は収納袋から光硬化性中空構造物を取り出した状態図、(c)は光硬化性中空構造物を膨らまして硬化させた状態図、(d)は大型テントの全体或いは大型枠体全体を光硬化性中空構造物で製作し、これを収納袋に収納した状態及び光硬化性中空構造物を膨らまして硬化させた状態図である。
    【0021】
    光硬化性中空構造物1は、図1及び図2に示すように、内袋層2と、この内袋層2の外周に設けられた基材層3及びこの基材層3の外周に設けられた被覆層4とから構成され、全体が長尺の中空円筒柱状に形成されている。
    【0022】
    内袋層2は、例えば合成ゴム或いはビニール製等の可撓性を有するチューブであって、一端は接続金具5によって閉塞されているか、あるいはコネクタや中心部の流路を通じて別の部材へガスを通じることができるようになっており、他端には外部からガスやエアを圧入可能に注入口6が設けられ、この注入口6を介してガスやエアを圧入することで円筒状に膨らみ、そのまま該注入口6を接続金具7によって封止すれば気密保持して膨らんだ状態を維持する構成である。
    【0023】
    前記基材層3は、補強繊維層としての繊維製不織布或いは織布などのマット状基布に液状の光硬化性樹脂8を含浸してゲル状化した複合部材9である。 さらに、この複合部材9の外周には複合材9を囲撓するように格子状のネット10が複合部材9に重合して設けられている。
    【0024】
    このネット10は、図3に示すように、例えば合成繊維糸を格子状に織成したものであり、光硬化性樹脂8の流動を妨げる流動抵抗体として機能するものである。 ネット10の格子のメッシュサイズは、10mm〜50mm程度であり、光硬化性中空構造物1の大きさによって決定され、メッシュの方向は、0度/90度方向でもよいし、45度/−45度方向でもよい。
    【0025】
    前記基材層3の光硬化性樹脂8は、ポリエステル樹脂等に予め光硬化剤、例えば市販品;ベンゾインのようなものや、フォスフィンオキサイド(例:BASF社Lucirin TPO)を混入したもの、或いはエポキシ樹脂等に光カチオン開始剤(例:GEシリコーン社UV−9380C)を予め混入したもので、直射日光や人工の光源光(主に紫外線)に一定時間以上晒すと硬化する特性を有する。
    【0026】
    前記被覆層4は、透明なゴム或いはビニール製等の可撓性並びに透光性を有するチューブであって、前記基材層3の外周を被覆するよう設けられ、基布に含浸し硬化する前のゲル状態の光硬化性樹脂8の保護の役目をなすと共に、使用に際し該光硬化性樹脂8が硬化するための光を外部から透過させる役目をなしている。 なお、この被覆層4は裏面に繊維等を接着して補強してもよい。
    【0027】
    こうした光硬化性中空構造物1は、支柱や梁(パイプ)などとして利用する場合、光硬化性中空構造物1相互或いは他の部材と連結する場合には連結金具5,7を介して連結することができる。
    【0028】
    また、こうした光硬化性中空構造物1は、未使用時には、前述までの半製品の状態に作られた時点で、基材層3の光硬化性樹脂8が光に当たって硬化しないように、図4(a)に示す遮光性を有する収納袋11(遮光性を有するものであれば箱などのケースでも可)に収納して梱包・保管されている。 この際、内袋層2と基材層3並びに被覆層4が全て可撓性を有するので、全体的に小さく折り畳んだり或いは小さく丸めたりして収納袋11或いはケース内にコンパクトに収納して保管されている。
    【0029】
    こうした構成の光硬化性中空構造物1であれば、未使用時には、前述の予め目的の形状の半製品の状態に作られ、基材層3に含浸した光硬化性樹脂8がゲル状の状態で可撓性を有しているので、全体的に小さく丸めたり折り畳んだりして収納袋11或いはケース内にコンパクトに収納しておけ、そのまま嵩張らずに倉庫等に保管できると共に、そのコンパクト化したまま使用現場に非常に楽に輸送できるようになる。
    【0030】
    この保管・輸送中には収納袋11或いはケースが遮光性を有するものであるから、光の侵入がなく、基材層3の光硬化性樹脂8が硬化せずにゲル状態を維持する。 この光硬化性樹脂8がゲル状態であっても、この内周に内袋層2があり、外周に被覆層4があるので、折り畳んだり丸めたりした際の接触部が付着し合う不都合がないと共に、収納袋11或いはケースに対しても付着してしまう不都合がない。
    【0031】
    そして、使用に際しては、使用現場に搬送した後、そこで収納袋11を開封して光硬化性中空構造物1を取り出して図4(b)に示すように引伸ばし、この状態で素早く内袋層2内にこの注入口6から図示しないコンプレッサや適当なガス発生器(高圧タンク(ボンベ)、自動車のエアバックのような触媒を利用した装置など)によりエア或いはガスを圧入して、該内袋層2と共に全体を図4(c)に示すように円筒柱状に膨ます。
    【0032】
    この膨らました状態を維持しながら直射日光又は人工の光源光に一定時間以上晒す。 これでその光が外周の透光性を有する被覆層4を透過して基材層3の光硬化性樹脂8に当たることで、その光硬化性樹脂8が硬化して基材層3が固化し、図1に示すように、全体的に初期の目的に合った所定の円筒柱状の光硬化性中空構造物1となる。 この状態で目的に応じ支柱や梁(パイプ)などとして設置使用する。
    【0033】
    このとき、光硬化性中空構造物1は、保管中、輸送中或いは光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が重力によって下方へ流動しようとする。 つまり、光硬化性中空構造物1を接続金具5を下にして垂直に立てた場合には基材層3内の光硬化性樹脂8が重力によって徐々に縦方向に下がろうとし、光硬化性中空構造物1を横に寝かした場合には基材層3内の光硬化性樹脂8が重力によって徐々に周方向に回って下側へ移動しようとする。 しかし、基材層3には光硬化性樹脂8の流動を妨げる流動抵抗体として機能する格子状のネット10が重合して設けられているため、図3に示すように、光硬化性樹脂8がネット10に引っ掛かり、光硬化性樹脂8の移動が妨げられる。
    【0034】
    従って、光硬化性中空構造物1の保管中、輸送中或いは光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が偏ることはなく、光硬化性中空構造物1内の光硬化性樹脂8が均一に硬化し、全体に亘って強度のバラツキがなく、建築構造物や遊戯具などの屋外設備等の支柱や梁(パイプ)などとして設置使用するのに適している。
    【0035】
    なお、本実施形態では、光硬化性中空構造物1の内袋層2内にこの注入口6からコンプレッサや適当なガス発生器によりエア或いはガスを圧入して全体を膨ますと述べたが、そのエア或いはガスに代えて水をポンプ等により圧入するようにしても良く、この場合、光硬化性中空構造物1が膨らんで光により硬化した後は、該水等の流体は抜き出してしまう。
    【0036】
    図5は第2の実施形態を示し、(a)は光硬化性中空構造物のB−B線に沿う断面図、(b)は側面図であり、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。 光硬化性中空構造物1の補強繊維層としての基材層3を製造する際に、例えば合成繊維糸からなる複数本の太い縦糸12を同時に配置したものであり、太い縦糸12は基材層3の周方向に等間隔に配置されている。
    【0037】
    本実施形態によれば、光硬化性中空構造物1は、保管中、輸送中或いは光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が重力によって下方へ流動しようとする。 つまり、光硬化性中空構造物1を横に寝かした場合には基材層3内の光硬化性樹脂8が重力によって徐々に周方向に回って下側へ移動しようとする。 しかし、基材層3には光硬化性樹脂8の流動を妨げる流動抵抗体として機能する太い縦糸12が基材層3に設けられているため、光硬化性樹脂8が太い縦糸12に引っ掛かり、光硬化性樹脂8の移動が妨げられる。
    【0038】
    従って、光硬化性中空構造物1の保管中、輸送中或いは光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が偏ることはなく、光硬化性中空構造物1内の光硬化性樹脂8が均一に硬化し、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
    【0039】
    図6は第3の実施形態を示し、図6(a)は光硬化性中空構造物の一部断面した側面図、(b)はC部を拡大した断面図であり、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。 光硬化性中空構造物1の補強繊維層としての基材層3を製造する際に、予め硬化させた例えばリング状の硬化部材13を基材層2の内部に散在配置したものであり、硬化部材13は基材層3の内部に例えば千鳥状に配置されている。
    【0040】
    なお、前記硬化部材13は、光硬化性中空構造部材を遮光性の収納袋に入れる前に、硬化させたい部分のみ、例えばリング状に紫外線を所定量だけ照射して硬化させておくことにより構成することができる。
    【0041】
    本実施形態によれば、光硬化性中空構造物1は、保管中、輸送中或いは光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が重力によって下方へ流動しようとする。 つまり、光硬化性中空構造物1を(a)に示すように縦方向に配置した場合には基材層3内の光硬化性樹脂8が重力によって徐々に下方向に移動しようとする。 しかし、基材層3には光硬化性樹脂8の流動を妨げる流動抵抗体として機能する硬化部材13が基材層3に散在配置されているため、光硬化性樹脂8が硬化部材13に引っ掛かり、光硬化性樹脂8の移動が妨げられる。
    【0042】
    従って、光硬化性中空構造物1の保管中、輸送中或いは光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が偏ることはなく、光硬化性中空構造物1内の光硬化性樹脂8が均一に硬化し、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
    【0043】
    なお、硬化部材13は、リング状に限定されるものではなく、三形、四角形等でもよく、またサイズは同一のものに限定されず、大小異なるサイズを散在させてもよい。 あるいは、図6(c)に示すように、基材層3の内部に光硬化性樹脂8の流動を妨げるリング状の硬化部材13を光硬化性中空構造物1の周面に沿って、かつ長手方向に適宜間隔を存して配置してもよく、また、リング状の硬化部材13は全周に一体のものに限らず、部分的に切れ目を有した硬化部材13aとすることにより、輸送中や未使用時の折り畳み収納が容易となる。
    【0044】
    図7〜図9は第4の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。 図7はノード部材に対して複数本のトラス部材を連結した構造の一部を断面した側面図、図8(a)(b)は回転機構の斜視図、図9(a)(b)は作用説明図である。
    【0045】
    トラス部材14は、第1の実施形態の光硬化性中空構造物1と基本的に同一構造であり、内袋層2と、この内袋層2の外周に設けられた基材層3及びこの基材層3の外周に設けられた被覆層4とから構成され、全体が長尺の中空円筒柱状に形成されている。 さらに、トラス部材14の軸方向の両端部には細径筒状の連結部15が設けられている。 また、トラス部材14が固定されるノード部材16には連結部15と同一径の細径筒状の連結部17が設けられている。
    【0046】
    前記連結部15,17は両端面を突き合わせた状態で、スイベル継手18によって互いに回転自在に連結されている。 このスイベル継手18を挟んで連結部15,17には後述する回転機構19,20が設けられ、一方の回転機構19はノード部材16に固定され、他方の回転機構20はトラス部材14に固定されている。 さらに、両回転機構19,20相互間にはテフロン(登録商標)等の摩擦係数の少ないシート18aが介在されている。
    【0047】
    回転機構19,20は同一構造であり、図8に示すように構成されている。 すなわち、左右一対の円環状部材21,22間には複数個の熱変形部材としての熱膨張部材23が周方向に等間隔に放射状に配置されている。 そして、図8(a)に示すように、矢印方向からのみ太陽光線等の熱が加わったとき、その矢印方向の熱膨張部材23が膨張し、矢印方向と反対側の熱膨張部材23は膨張しないため、図8(b)に示すように、一方の円環状部材22が他方の円環状部材21に対して傾斜するようになっている。
    【0048】
    従って、図9に示すように、スイベル継手18を挟んで連結部15,17に一対の回転機構19,20を、円環状部材22相互を接合した状態に設けることにより、図9(a)に示すように、矢印方向からのみ太陽光線等の熱が加わったとき、その矢印方向の熱膨張部材23が膨張し、矢印方向と反対側の熱膨張部材23は膨張しないため、図9(b)に示すように、一方の円環状部材22が他方の円環状部材21に対して傾斜し、トラス部材14がその軸心を中心として矢印方向に180°回転する。 従って、今まで太陽光線が当たらなかった部分が太陽光線(矢印方向)に対向することになる。
    【0049】
    このようにトラス部材14が軸心を中心として回転することにより、光硬化性中空構造物1からなるトラス部材14の光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が偏ることはなく、光硬化性中空構造物1内の光硬化性樹脂8が略等しい速度で硬化するという効果がある。
    【0050】
    なお、第4の実施形態において、熱変形部材としての熱膨張部材23は、熱膨張する流体が封入されたベローズ、熱膨張率の高い固体あるいは形状記憶合金、形状記憶樹脂でもよい。
    【0051】
    図10は第5の実施形態を示し、第1及び第4の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。 図10はノード部材に対して複数本のトラス部材を連結した構造の一部を断面した側面図である。
    【0052】
    トラス部材14とノード部材16との連結部15,17は両端面を突き合わせた状態で、スイベル継手18によって互いに回転自在に連結されている。 このスイベル継手18を跨ぐように連結部15,17には回転機構として、形状記憶合金あるいは熱収縮性の合成樹脂または熱膨張性の流体を封入した樹脂製のチューブなどの熱変形部材からなる螺旋状体24が巻装されている。 さらに、螺旋状体24はトラス部材14の両端部では逆巻(鏡像対称)に形成されているとともに、この螺旋状体24は数回または数十回巻回され、その一端はトラス部材14に、他端はノード部材16にそれぞれ固定されている。
    【0053】
    従って、図10に示すように、矢印方向からのみ太陽光線等の熱が加わったとき、螺旋状体24が熱収縮しながら捻られるためトラス部材14がその軸心を中心として矢印方向に180°あるいはそれ以上の180°とは限らない角度を回転する。 このときの回転の角度は、螺旋状体24の巻回数及びその光を受けたときに発生する力などを設計・製造時に調節することによって予め設定することができる。
    【0054】
    このようにトラス部材14が軸心を中心として回転することにより、光硬化性中空構造物1からなるトラス部材14の光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が偏ることはなく、光硬化性中空構造物1内の光硬化性樹脂8が均一に硬化し、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
    【0055】
    図11は第6の実施形態を示し、第1及び第4,5の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。 図11はノード部材に対して複数本のトラス部材を連結した構造の一部を断面した側面図である。
    【0056】
    トラス部材14とノード部材16との連結部15,17は両端面を突き合わせた状態で、スイベル継手18によって互いに回転自在に連結されている。 連結部15と17にはスイベル継手18方向に突出して互いに対向するブラケット25,26が固定されている。 この一対のブラケット25と26との間には圧力によって伸縮するベローズ27が設けられている。 このベローズ27にはトラス部材14及びノード部材16の内圧をベローズ27に導く管路28が接続されている。
    【0057】
    従って、トラス部材14及びノード部材16の内圧が上昇すると管路28を介してベローズ27の内圧が上昇するため、ベローズ27が伸長する。 従って、ブラケット25と26が互いに離反されるため、トラス部材14がその軸心を中心として回転し、トラス部材14及びノード部材16の内圧が下降すると管路28を介してベローズ27の内圧が下降するため、ベローズ27が収縮する。 従って、ブラケット25と26が互いに接近するため、トラス部材14がその軸心を中心として逆方向に回転する。 従って、トラス部材14及びノード部材16の内圧によってトラス部材14が正逆回転し、内圧を故意に上昇或いは下降することにより、トラス部材14を正逆回転させることができる。
    【0058】
    このようにトラス部材14が軸心を中心として回転することにより、光硬化性中空構造物1からなるトラス部材14の光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が偏ることはなく、光硬化性中空構造物1内の光硬化性樹脂8が均一に硬化し、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
    【0059】
    なお、第6の実施形態において、ベローズ27に代わってシリンダとピストンによりブラケット25と26との間隔を増減することによりトラス部材14を正逆回転させることができる。
    【0060】
    なお、第4、第5、第6の実施形態において、トラス部材14がその軸心を中心として回転する機構を説明したが、構造全体が光による硬化を完了した時点で、このような回転の仕組みは不要となる。 このため、第4、第5、第6の実施形態におけるスイベル機構18の一部に遅硬化性の光硬化性の接着剤を予め塗布しておいたり、第4の実施形態では、熱膨張部材23の容器に光硬化性樹脂を塗布しておいたりして、構造全体が硬化を完了した後、トラス部材14が正逆回転する機能を固定してしまうことも考えられる。
    【0061】
    図12は第7の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。 図12はノード部材に対してトラス部材を連結した構造の側面図である。
    【0062】
    トラス部材14を構成する光硬化性中空構造物1の基材層3に炭素繊維や金属細線等の熱伝導性の優れた材料からなるリング状の熱伝導部材30を円周方向に、かつ軸方向に所定間隔を存して配置したものである。
    【0063】
    従って、図12に示すように、矢印方向からのみ太陽光線等の熱が加わったとき、熱伝導部材30は太陽光線が照射される側が熱せられるが、熱伝導部材30の熱伝導作用によって太陽光線が照射されない側に熱伝導される。 従って、今まで太陽光線が当たらなかった部分においても熱伝導によって熱せられるため、光硬化性中空構造物1からなるトラス部材14の光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が偏ることはなく、光硬化性中空構造物1内の光硬化性樹脂8が均一に硬化し、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
    【0064】
    図13は第8の実施形態を示し、第1の実施形態と同一構成部分は同一番号を付して説明を省略する。 図13はノード部材に対してトラス部材を連結した構造の断面図である。
    【0065】
    トラス部材14を構成する光硬化性中空構造物1の内袋層を透明フィルム31によって形成し、矢印方向からのみ太陽光線が照射されたとき、その太陽光線は光硬化性中空構造物1の中空部を透過して反対側の基材層3に至るようにしたものである。
    【0066】
    太陽光線が照射される側の光硬化性樹脂8が主として熱せられるが、太陽光線は透明フィルム31を透過し、さらに光硬化性中空構造物1の中空部を透過して反対側の光硬化性樹脂8に至る。 従って、今まで太陽光線が当たらなかった部分においても熱伝導によって熱せられるため、光硬化性中空構造物1からなるトラス部材14の光硬化性樹脂8の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂8が偏ることはなく、光硬化性中空構造物1内の光硬化性樹脂8が均一に硬化し、第4の実施形態と同様の効果が得られる。
    【0067】
    【発明の効果】
    以上説明したように、この発明によれば、光硬化性樹脂の重力による偏りを抑制し、目的に合った所定形状の中空構造構造物を構成することができる。
    【0068】
    また、この発明は、光硬化性樹脂の硬化中に、未硬化の光硬化性樹脂が偏ることはなく、光硬化性中空構造物内の光硬化性樹脂が略等しい速度で硬化するという効果がある【図面の簡単な説明】
    【図1】この発明の第1の実施形態を示し、光硬化性中空構造物の一部断面した側面図。
    【図2】同実施形態を示し、図1のA部を拡大した断面図。
    【図3】同実施形態を示す作用説明図。
    【図4】同実施形態を示し、(a)は収納袋の斜視図、(b)は収納袋から光硬化性中空構造物を取り出した状態図、(c)は光硬化性中空構造物を膨らまして硬化させた状態図、(d)は大型の光硬化性中空構造物を収納袋に収納した状態及び光硬化性中空構造物を膨らまして硬化させた状態図。
    【図5】この発明の第2の実施形態を示し、(a)は光硬化性中空構造物のB−B線に沿う断面図、(b)は側面図。
    【図6】この発明の第3の実施形態を示し、(a)は光硬化性中空構造物の一部断面した側面図、(b)はC部を拡大した断面図、(c)は光硬化性中空構造物の斜視図。
    【図7】この発明の第4の実施形態を示し、ノード部材に対して複数本のトラス部材を連結した構造の一部を断面した側面図。
    【図8】同実施形態を示し、(a)(b)は回転機構の斜視図。
    【図9】同実施形態を示し、(a)(b)は作用説明図。
    【図10】この発明の第5の実施形態を示し、ノード部材に対して複数本のトラス部材を連結した構造の一部を断面した側面図。
    【図11】この発明の第6の実施形態を示し、ノード部材に対して複数本のトラス部材を連結した構造の一部を断面した側面図。
    【図12】この発明の第7の実施形態を示し、ノード部材に対してトラス部材を連結した構造の側面図。
    【図13】この発明の第8の実施形態を示し、ノード部材に対してトラス部材を連結した構造の縦断側面図。
    【符号の説明】
    1…光硬化性中空構造物2…内袋層3…光硬化性樹脂を含浸した基材層4…透光性を持つ被覆層9…複合部材(補強繊維層)
    10…ネット

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