Method of manufacturing an optical branching coupler

申请号 JP21964290 申请日 1990-08-20 公开(公告)号 JP2854941B2 公开(公告)日 1999-02-10
申请人 住友電装株式会社; 发明人 YUNOKI ISATO; ITO TAKEJI;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】プラスチックファイバを2本以上準備し、
    予め定めた長さにわたって前記プラスチックファイバを相互に当接させ、さらに超音波加振して、その当接領域で相互に溶着することを特徴とする光分岐結合器の製造方法。
  • 【請求項2】前記プラスチックファイバはコアの外周にクラッドを被覆してなり、前記プラスチックファイバを相互に当接させる前に、前記当接領域にわたってクラッドを除去する請求項1記載の光分岐結合器の製造方法。
  • 【請求項3】前記プラスチックファイバはコアの外周にクラッドを被覆してなる請求項1記載の光分岐結合器の製造方法。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、光の分岐または結合を行う光分岐結合器、特にファイバ溶着型分岐結合器の製造方法に関する。

    (従来の技術とその課題) この種の光分岐結合器としては、例えば特開昭62−15
    3906号公報に記載されたものがある。 第17図は、この光分岐結合器を示す図である。 この光分岐結合器は、コア
    1aの外周にクラッド1bを被覆してなる複数のファイバケーブル1によって形成される。 具体的には、ファイバケーブル1の中間部分2を硫酸に浸漬することによってその中間部分2のクラッドをそれぞれ除去した後、ファイバケーブル1を集束させ、その中間部分2で各ファイバケーブル1のコア1aを相互に熱融着させることによって、この光分岐結合器は製造される。

    ところで、上記従来例は、コア1aが石英等のガラス材料よりなるガラスファイバに適用されたものであり、コア1aがプラスチック材料よりなるプラスチックファイバに直接適用することは困難である。 というのも、上記において説明したように、各ファイバケーブル1のコア1a
    を溶着させるために、中間部分2でコア1aを集束し、さらに加熱しているからである。 すなわち、コア1aがプラスチック材料であるときには、加熱によってその中間部分2のコア1aが熱収縮し、光損失が大きくなるからである。 また、その加熱最中においては、その中間部分2近傍のクラッド1bにも熱が伝わり、クラッド1bが溶けてファイバケーブル1が変形したり、クラッド材料がコア1a
    に拡散して特性の劣化、特に光損失の増大が生じることがある。

    また、上記従来例では、コア1aの熱融着に先立って、
    中間部分2のクラッドを除去する必要があり、光分岐結合器の製造工程が煩雑なものとなっている。

    さらに、光分岐結合器を用いて情報伝送システムを構築する場合、光分岐結合器の分岐比をその配設位置に応じた値に設定する必要がある。 そのため、ユーザ側から光分岐結合器のメーカー側に、それぞれ異なった分岐比をもつ光分岐結合器の供給が要望されている。

    (発明の目的) この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、低損失の光分岐結合器を製造することができる光分岐結合器の製造方法を提供することを第1の目的とする。

    また、この発明は上記第1の目的を達成した上で、さらに製造工程の簡便化を図ることを第2の目的とする。

    (目的を達成するための手段) 請求項1の発明は、上記第1の目的を達成するために、プラスチックファイバを2本以上準備し、予め定めた長さにわたって前記プラスチックファイバを相互に当接させ、さらに超音波加振して、その通節領域で相互に溶着する。

    請求項2の発明は、上記第1の目的を達成するために、コアの外周にクラッドを被覆してなるプラスチックファイバを2本以上準備し、各プラスチックファイバのクラッドを予め定めた長さにわたって除去してコアを露出させた後、前記プラスチックファイバのコアを、相互に当接させ、さらに超音波加振して、相互に溶着する。

    請求項3の発明は、上記第2の目的を達成するために、コアの外周にクラッドを被覆してなるプラスチックファイバを2本以上準備し、予め定めた長さにわたって前記プラスチックファイバを相互に当接させ、さらに超音波加振して、前記プラスチックファイバの各コアを相互に溶着する。

    (作用) 請求項1の発明によれば、複数のプラスチックファイバが予め定めた長さにわたって当接され、さらに超音波加振される。 したがって、各プラスチックファイバは加熱されることなく、その当接領域で相互に溶着される。

    請求項2の発明によれば、各プラスチックファイバのクラッドを予め定めた長さにわたって除去してコアを露出させた後、前記複数のプラスチックファイバが相互に当接され、さらに超音波加振される。 したがって、各プラスチックファイバは加熱されることなく、その当接領域で各コアが相互に溶着される。

    請求項3の発明によれば、複数のプラスチックファイバが予め定めた長さにわたって当接され、さらに超音波加振される。 したがって、各プラスチックファイバは加熱されることなく、その当接領域で各コアが相互に溶着される。 また、プラスチックファイバのクラッド除去作業が不要となり、製造工程が簡便となる。

    (実施例) 第1図はこの発明にかかる光分岐結合器の製造方法を適用可能な光分岐結合器の製造装置(以下においては、
    単に「装置」という)を示す図であり、第2A図,第2B図および第3図はそれぞれその実施例を説明するための斜視図である。

    この装置は、コア10a,11aの外周にクラッド10b,11bをそれぞれ被覆してなる2本のプラスチックファイバ10,1
    1を保持するジグ20を備えている。 このジグ20は、第2A
    図(あるいは第2B図)に示すように、下部溶着型21と、
    この下部溶着型21と嵌合可能な形状に仕上げられた上部溶着型22とで構成されている。 なお、上部および下部溶着型22,21は金属製又は樹脂製である。

    この下部溶着型21の上面にはX方向に伸びた溝部21a
    が、また上部溶着型22の下面にもX方向に伸びた溝部22
    aがそれぞれ設けられている。 したがって、X方向に伸びたプラスチックファイバ10,11を一定間隔をもって平行に配置した後、プラスチックファイバ10,11を溝部21
    a,22aに係合させながら下部および上部溶着型21,22をそれぞれ上方および下方に移動させて、下部および上部溶着型21,22を相互に嵌合させると、第3図に示すように、プラスチックファイバ10,11が所定位置で当接保持される。

    なお、23,24はシリコンゴム等の弾性体よりなるスペーサであり、スペーサ23,24が下部および上部溶着型21,
    22間にそれぞれ挿入されて、下部および上部溶着型21,2
    2の相対適な傾きが防止されるとともに、ファイバ10,11
    のずれも防止される。

    また、装置には、第1図に示すように、超音波溶着機構部30が設けられており、超音波溶着機構部30の加振子
    31が上部溶着型22の上面22bに当接されている。 このため、超音波溶着機構部30の作動と同時に、加振子31が上下方向に超音波振動して、その振動エネルギーが上部溶着型22を介してプラスチックファイバ10,11の当接部に与えられる。

    さらに、この装置には、超音波溶着機構部30に上方向から所定の押圧を印加する圧力印加機構部(図示省略)が設けられている。 したがって、圧力印加機構部が作動すると、所定の押圧力が超音波溶着機構部30および上部溶着型22を介してプラスチックファイバ11に与えられて、プラスチックファイバ11がプラスチックファイバ
    10に圧接される。

    A.第1実施例 次に、上記装置により、2本の未架橋ポリメチルメタクリレート系のプラスチックファイバから1つの光分岐結合器を製造する方法について説明する。 まず、オペレータがプラスチックファイバ10,11を所定位置にセットした(第2A図)後、上記装置の操作盤(図示省略)を介して製造開始指令を与えると、上記装置全体を制御する制御部(図示省略)からの指令にしたがって2本のプラスチックファイバ10,11がジグ20により保持される(第3図)。

    その後、圧力印加機構部が作動して、所定の押圧力が超音波溶着機構部30および上部溶着型22を介してプラスチックファイバ11に与えられ、プラスチックファイバ11
    がプラスチックファイバ10に圧接される。 それに続いて、超音波溶着機構部30が作動して、所定の押圧力が圧接部に与えられたままの状態で、その振動エネルギーがプラスチックファイバ10,11の圧接部に与えられる。 すると、その初期段階で、上記圧接部のクラッド10b,11b
    が破壊され、X方向に直交するY方向(第1図)にそれぞれ押しやられる。 そして、それに続いて、コア10a,11
    bが固相溶着する。

    上記のようにして、コア10a,10bの部分溶着が完了すると、制御部からの停止指令に応じて、超音波溶着機構部30および圧力印加機構部が停止し、さらにジグ20から上記のようにして形成された光分岐結合器40A(第4
    図)が取り出される。

    次に、上記の製造方法により光分岐結合器40Aを製造した場合に光分岐結合器40Aの特性について具体的に説明する。

    本願発明者は、光分岐結合器40Aの特性評価を行うために、以下の条件で光分岐結合器40Aを上記のようにして製造した。 すなわち、その条件は、 (押圧力)=10kgf (振動周波数)=15kHz (振動振幅)=40μm (振動印加時間)=0.5秒 (分岐結合部分51の長さ)l=20mm である。

    そして、その光分岐結合器40Aと同じ長さのクラッド付プラスチックファイバの一方端に安定化光源の出力が接続されたときには同ファイバの他方端から11.74μW
    の赤色出力が得られる光パワー測定系を用いて、光分岐結合器40Aの特性評価を行った。 具体的には、製造された光分岐結合器40Aの各ファイバ端42〜45を光パワー測定系の光源に接続し、各ファイバ端42〜45に対向するファイバ端の出力値(例えば、ファイバ端42に光源を接続した場合にはファイバ端44,45からの出力値)を測定した。 さらに、それらの値から光損失および分岐比をそれぞれ求めた。 第1表はその結果をまとめたものである。

    例えば、4ch(ファイバ端45)に赤外LED光を入力した場合には、同表からわかるように、1ch,2ch(ファイバ端4


    2,43)からの出力値はそれぞれ4.767μW,5.020μWであり、分岐比は1.0:1.1となる。 また、過剰損失LSは、 である。 この表に示すように、上記製造方法によれば、


    低損失の光分岐結合器40Aを製造することができる。

    以上のように、この第1実施例によれば、以下の効果が得られる。

    (1)この第1実施例では、いわゆる超音波溶着法により光分岐結合器40Aを製造しているので、プラスチックファイバ10,11への熱影響がなく、ファイバ10,11の熱収縮による光損失の劣化はない。 事実、第1表に示すように、この実施例によれば、低損失の光分岐結合器40Aを製造することができた。

    (2)また、上記と同様の理由から、プラスチックファイバ10,11の熱変形やクラッド材料のコア10a,11aへの拡散は生じない。 そのため、光分岐結合器40Aの特性を劣化させることなく、光分岐結合器40Aを製造することができる。

    (3)クラッド10b,11bの除去工程が不要となり、光分岐結合器40Aの製造工程が簡素化される。

    (4)プラスチックファイバ10,11の溶着に要する時間は1秒以内(上記実施例では0.5秒)であり、短時間で光分岐結合器40Aを製造することができる。

    B.第2実施例 次に、上記装置により、2本のポリカーボネート系のプラスチックファイバから1つの光分岐結合器を製造する方法について説明する。 まず、プラスチックファイバ
    10,11のクラッド10b,11bを所定長さにわたって除去する。 クラッド除去は、メタクリル酸メチル等の薬品を用いる化学的手法、あるいは研削等の機械的手法によって行う。 これによって、プラスチックファイバ10,11のコア10a,11aの一部がそれぞれ露出される。 なお、以下の説明の便宜から、その露出した部分を露出コア部10a′,
    11a′と称する。

    そして、上記クラッド除去処理が完了したプラスチックファイバ10,11をオペレータが所定位置にセットした(第2B図)後、上記装置の操作盤(図示省略)を介して製造開始指令を与えると、上記装置全体を制御する制御部(図示省略)からの指令にしたがって2本のプラスチックファイバ10,11がジグ20により保持される(第3
    図)。

    その後、圧力印加機構部が作動して、所定の押圧力が超音波溶着機構部30および凹部溶着型22を介してプラスチックファイバ11に与えられ、露出コア部11a′が露出コア部10a′に圧接される。 それに続いて、超音波溶着機構部30が作動して、所定の押圧力が露光コア部10a′,
    11b′の圧接部に与えられたままの状態で、その振動エネルギーがその圧接部に与えられる。 すると、露出コア部10a′,11b′同士が相互に固相溶着する。

    上記のようにして、露出コア部10a′,11b′の溶着が完了すると、制御部からの停止指令に応じて、超音波溶着機構部30および圧力印加機構部が停止し、さらにジグ
    20から上記のようにして形成された光分岐結合器40B
    (第4図)が取り出される。

    次に、上記の製造方法により光分岐結合器40Bを製造した場合の光分岐結合器40Bの特性について具体的に説明する。

    本願発明者は、光分岐結合器40Bの特性評価を行うために、以下の条件で光分岐結合器40Bを上記のようにして製造した。 すなわち、その条件は、 (露出コア部の長さ)=20mm (押圧力)=10kgf (振動周波数)=15kHz (振動振幅)=40μm (振動印加時間)=0.5秒 (分岐結合部分41の長さ)l=20mm である。

    そして、光パワー測定系を用いて、光分岐結合器40B
    の特性評価を行った。 具体的には、製造された光分岐結合器40Bのファイバ端42をパワー測定系の光源に接続して波長660nmのLED光(P 42 =13μW)をそのファイバ端4
    2に入力し、それに対向するファイバ端44,45の出力値P
    44 ,P 45をそれぞれ測定した。 その結果、出力値P 44 ,P 45
    はそれぞれ3.95μW,4.55μWであり、分岐比は1.0:1.1
    であった。 また、この場合の過剰損失LSは、

    である。

    また、上記と同様にして、ファイバ端43にLED光(P 43
    =13μW)を入力し、それに対向するファイバ端44,45
    の出力値P 44 ,P 45をそれぞれ求めた結果、出力値P 44 ,P 45
    はそれぞれ3.73μW,4.87μWであり、分岐比は1.0:1.3
    であった。 また、この場合の過剰損失LSは、

    である。

    これらの結果からわかるように、上記製造方法によれば、低損失の光分岐結合器40Bを製造することができる。 また、このようにして製造された光分岐結合器40B
    はほぼ等分配の光受動デバイスとなる。

    以上のように、この第2実施例においても、いわゆる超音波溶着法により光分岐結合器40Bを製造しているので、第1実施例と同様に、ファイバ10,11の熱収縮による光損失の劣化はなく、低損失の光分岐結合器40Bを製造することができた。 また、光分岐結合器40Bの特性を劣化させることなく、光分岐結合器40Bを製造することができる。 しかも、プラスチックファイバ10,11の溶着に要する時間は1秒以内(上記第2実施例でも0.5秒)
    であり、短時間で光分岐結合器40Bを製造することができる。

    さらに、上記第2実施例では、いわゆる耐熱樹脂ファイバとして一般的に知られているポリカーボネート系のプラスチックファイバ10,11より光分岐結合器40Bを製造しているために、比較的高い温度範囲においても光分岐結合器40Bを使用することができるという効果も同時に奏する。

    C.第3実施例 次に、上記装置により、2本の架橋ポリメチルメタクリレート系のプラスチックファイバから1つの光分岐結合器の製造する方法について説明する。 具体的な製造方法は、第2実施例と同様である。 したがって、ここでは、その詳細な説明は省略する。

    次に、第2実施例と同様の製造方法により光分岐結合器40Cを製造した場合の光分岐結合器40Cの特性について具体的に説明する。

    本願発明者は、光分岐結合器40Cの特性評価を行うために、以下の条件で光分岐結合器40Cを上記のようにして3つサンプルを製造した。 すなわち、その条件は、 (露出コア部の長さ)=20mm (押圧力)=10kgf (振動周波数)=15kHz (振動振幅)=40μm (振動印加時間)=0.5秒 (分岐結合部分41の長さ)l=20mm である。

    そして、光パワー測定系を用いて、各光分岐係合器40
    Cの特性評価を行った。 具体的には、製造された光分岐結合器40Cの各ファイバ端42,43を光パワー測定系の光源に接続して赤色LED光(=17μW)を入力する一方、各ファイバ端42,43に対向するファイバ端44,45の出力値を測定した。 さらに、それらの値から過剰損失LSおよび分岐比をそれぞれ求めた。 第2表ないし第4表は各光分岐結合器40Cの結果をまとめたものである。

    これらの結果からわかるように、上記製造方法によれば、低損失の光分岐結合器40Cを製造することができる。

    以上のように、この第3実施例においても、第2実施例と同様の効果が得られる。

    D.変形例 上記第1ないし第3実施例においては、コアの外周にクラッドを被覆してなるプラスチックファイバ10,11を準備し、それらの2本のプラスチップファイバ10,11より光分岐結合器40A〜40Cを製造する場合についてそれぞれ説明したが、3本以上のプラスチックファイバより光分岐結合器を製造する場合にもこの製造方法を適用することができる。

    また、クラッドが被覆されていないプラスチックファイバを複数本準備し、上記と同様の方法によって光分岐結合器を製造することも可能である。

    例えば、ベンゾイルパーオキサイドを開始剤とし、メチルメタクリレートを母剤とし、エチレングリコールジメタクリレート(=重量濃度1.0%)を架橋剤とした混合モノマーを、内径1.0mmのテフロンチューブに封入した後、脱酸素雰囲気下で加熱重合することによってコアのみからなる熱硬化性樹脂ファイバが得られる。 こうして製造されたファイバを2本準備し、第1実施例と同様に予め定めた長さにわたってそれらファイバを相互に所定の押圧力をもって圧接させ、さらに超音波加振すると、その圧接領域で各コアが相互に溶着されて、光分岐結合器が形成される。 なお、ファイバからの光の漏れを防止するために、分岐結合部分および各コアの外周部に、コアよりも低い屈折率を有する樹脂、例えばプレポリマをコーティングする。

    実際に上記のようにして製造した光分岐結合器の特性を、上記と同様の手段によって求めると、過剰損失は3d
    B程度であり、分岐比は1.0:1.5程度であった。 したがって、上述した変形例によっても光損失が少ない良好な光分岐結合器が得られる。

    また、上記実施例において、押圧力を調整することによって分岐比を適当な値に変更することが可能である。
    例えば、押圧力を5kgfないし10kgfの範囲内でそれぞれ変化させながら(但し、それ以外の製造条件は上記と同一である)、上記のようにして光分岐結合器40Aを製造した場合、その分岐比を8:1から1:1の範囲内で変化させることができる。

    E.分岐結合部分41の補強 ところで、従来より、分岐結合部分41の強度を補強するために、光分岐結合器40A〜40Cの分岐結合部分41の樹脂をモールドしている。 この樹脂モールド処理は、単に分岐結合部分41の強度を高めるためにだけの目的で行われているわけではなく、光分岐結合器40A〜40Cの1ch,2c
    hとなるファイバ端42,43と分岐結合部分41との度関係を、また3ch,4chとなるファイバ端44,45と分岐結合部分
    41とのそれをそれぞれ固定するという目的も有している。 したがって、分岐結合部分41の樹脂モールド処理は重要な意義を有する。

    しかしながら、上記のようにして製造された光分岐結合器40A〜40Cの分岐結合部分41を樹脂モールドした場合には、光損失が増大する。 例えば、光分岐結合器40Aの分岐結合部分41をエポキシ樹脂によりモールドした後、
    上記と同様にして、光損失を求めると、第5表に示す結果が得られた。

    また、第1表および第5表から損失の平均値を求めると、樹脂モールドを行わない場合および行った場合の平均値はそれぞれ0.88(dB),1.41(dB)であり、樹脂モールド処理を行うことにより、損失が0.53(dB)だけ増加したことがわかる。 この原因は、樹脂モールド処理を行わない場合においては伝搬モードで伝搬していた光の一部が、樹脂モールド処理を行うと放射モードに変換されることに起因する。

    すなわち、樹脂モールド処理を行わない場合、光分岐結合器40A〜40Cの分岐結合部分41では、第5図に示すように、ある入射角度で入射された光L 1は空気層(屈折率
    n 0 =1)とクラッド41b(屈折率n 1 >n 0 )との界面で全反射されながら、伝搬される。 しかしながら、樹脂モールド処理を行った場合、光L 1は、第6図に示すように、
    クラッド41bとエポキシ樹脂50との界面を透過してエポキシ樹脂50内に入射されてしまう。 この現象は、一般的にエポキシ樹脂50の屈折率n 2が空気層に屈折率n 0よりも大きいために生じる。 したがって、屈折率n 2が屈折率n 0
    よりも大きくなるにしたがって、伝搬モードから放射モードに変換される光の割り合いが多くなり、樹脂モールド処理による光損失が増加する。

    そこで、光損失を増加させることなく、分岐結合部分
    41の強度を高めると同時にファイバ端の角度関係を固定するために、以下の方法が考えられる。

    第7図および第8図は、それぞれ上記目的を達成するために発明者が考案した中空カバーを示す斜視図である。 この中空カバー60は、一体化可能な一対のエポキシ樹脂製のカバー部材61,62により構成されている。 また、カバー部材61の上面およびカバー部材62の下面はそれぞれ光分岐結合器40A(40B,40C)に対応した形状に成形されている。 したがって、光分岐結合器40A(40B,40
    C)を所定位置に配置した後、カバー部材61,62をそれぞれ上方および下方に移動させて、一体化させると、第8
    図に示すように、光分岐結合器40A(40B,40C)全体がカバー部材61,62に包まれ、保護される。 このため、光分岐結合器40A(40B,40C)に外力が加わったとしても、この中空カバー60によって分岐結合部分61への外力印加が防止される。 また同時に、保持用シース63に覆われた各ファイバ端がカバー部材61,62に挟持固定される。 その結果、各ファイバ端の角度関係が一定に固定される。

    一方、分岐結合部分41は、第9図に示すように、空気層に覆われた状態に保持される。 このため、光損失の変化は原理的には生じない。 このことを検証するために、
    上記のようにして製造された光分岐結合器40Aを中空カバー60によって保護した後、上記と同様にして、光損失を求めた。 第6表はその結果を示すものである。

    同表から損失の平均値を求めると、その平均値は0.88


    (dB)であり、中空カバー60で光分岐結合器40Aの分岐結合部分41を覆ったとしても、その光分岐結合器40Aの特性は変化しないことがわかる。

    なお、上記においては、カバー部材61,62をエポキシ樹脂製としたが、カバー部材61,62の材質はこれに限定されるものではない。

    F.分岐比の調整 以上のように、上記第1ないし第3実施例によれば、
    押圧力を調整することによって分岐比を変更することが可能である。 しかしながら、押圧力を高めるにしたがって溶着型との当接部分でプラスチックファイバがダメージを受けて光損失が大きくなる。 例えば、第1実施例においては、下部溶着型21とプラスチックファイ10とが、
    また上部溶着型22とプラスチックファイバ11とがそれぞれ当接している。 したがって、この状態で押圧力を高めると、各当接部分でクラッド10b,11bがそれぞれ傷つき、その部分で光の散乱が生じる。 その結果、光損失が大きくなってしまう。

    そこで、本願発明者は、押圧力を変化させることなく、分岐比を簡便に変更することができる技術をさらに発明した。

    <第1の分岐比調整技術> 第10図は、分岐結合部分41での光の伝搬の様子を示す模式図である。 ただし、同図(a)における分岐結合部分41の長さl=l 1であり、同図(b)におけるその長さl=l 2 (>l 1 )である。 いま、例えば同図に示すように、ファイバ端42にある入射角度で入射されて、プラスチックファイバ内で全反射されながら分岐結合部分41に伝搬される光L 10に着目する。 この光L 10は、同図(a),(b)の光路で示されるように、分岐結合部分
    41の長さに応じて、長さlがl 1のときにはファイバ端44
    に伝搬される一方、長さlがl 2のときにはファイバ端45
    に伝搬される。 このことから、分岐結合部分41の長さl
    を変化を変化させると光の伝搬経路が変化して、ファイバ端44,45からの出力される光の割り合い、つまり分岐比が変化することが推測される。

    そこで、分岐結合部分41の長さlと分岐比との関係を調べるために、分岐結合部分41の長さlを10mm,15mm,20
    mmに設定し(但し、それ以外の製造条件は上記第1実施例と同一である)、光分岐結合器40A(第4図を参照)
    を製造した。 そして、光パワー測定系を用いてそれら3
    種類の光分岐結合器40Aの分岐比をそれぞれ求めた。 具体的には、各ファイバ端42,43を光パワー測定系の光源に接続して赤色LED光(=13.74μW)を入力する一方、
    各ファイバ端42,43に対向するファイバ端44,45の出力値を測定した。 さらに、それらの値から過剰損失LSおよび分岐比をそれぞれ求めた。 第7表ないし第9表はその結果をまとめたものであり、この順序で分岐結合部分41の長さlが10mm,15mm,20mmである光分岐結合器40Aの結果をそれぞれ示している。

    これらの結果からわかるように、分岐結合部分41の長さlを変更することによって、分岐比を調整することができる。 なお、溶着型のサイズを変更することによって、分岐結合部分41の長さlを容易に所定値に設定することができる。 したがって、適当なジグ20を用いて、上記実施例にしたがって光分岐結合器を製造すれば、押圧力を変化させることなく、所望の分岐比を有する光分岐結合器を製造することができる。

    <第2の分岐比調整技術> 第11図は、分岐結合部分41での光の伝搬の様子を示す模式図である。 ただし、同図(a),(b)はそれぞれファイバ角度θをθ=0゜とした場合および0゜<θ<
    90゜内の所定の角度とした場合の光の伝搬の様子を示している。 ここで、『ファイバ角度θ』とは、第12図に示すように、光分岐結合器40の長手方向Xに対するファイバ端のなす角度を意味する。

    いま、例えば第11図に示すように、ファイバ端42にある入射角度で入射されて、プラスチックファイバ内で全反射されながら分岐結合部分41に伝搬される光L 20に着目する。 この光L 20は、ファイバ角度θ=0゜のときには、同図(a)の光路で示されるようにファイバ端44に伝搬される一方、0゜<θ<90゜内の所定の角度の場合には、同図(b)の光路で示されるようにファイバ端45
    に伝搬される。 このことから、ファイバ角度θを変化させると、光の伝搬経路が変化して、分岐比が変化することが推測される。

    そこで、ファイバ角度θと分岐比との関係を調べるために、ファイバ角度θを10゜に設定し(但し、それ以外の製造条件は上記第1実施例と同一である)、光分岐結合器40A′を製造した後、先の実施例と同様にしてそれらの分岐比を求めた。 第10表はその結果をまとめたものである。

    ところで、上記のようにして製造された光分岐結合器40


    A′の分岐結合部分41の長さlは20mmである。 したがって、先に説明した光分岐結合器40Aのうち、分岐結合部分41の長さが20mmであるもの(第9表に示す特性を有する)と比較することによってファイバ角度θが分岐比に及す効果を検証することができる。 すなわち、第10表はファイバ角度θが10゜である場合の結果を示し、第9表はゼロである場合の結果を示している。 これらの表からわかるように、ファイバ角度θを変化させることによって分岐比が大きく変化している。 したがって、ファイバ角度θを変更することによっても、分岐比を容易に変更することができる。

    <その他> 以上説明したように、(i)分岐結合部分41の長さl
    を変更する、あるいは(ii)ファイバ角度θを変更することによって、分岐比を変更することができるが、両者を同時に調整することによっても分岐比を変更することができる。 ただし、ファイバ角度θの分岐比への影響は、後述するように、分岐結合部分41の長さlによって大きく異なっている。

    そこで、本願発明者は、分岐比へのファイバ角度θおよび分岐結合部分41の長さlの影響を調べるため、以下のコンピュータ・シミュレーションを行った。 第12図は、このシミュレーション条件を説明するための図である。 このコンピュータ・シミュレーションでは、 (a)ファイバ端42に光L 30が入射される、 (b)プラスチックファイバ11の中心軸に対する光L 30
    の角度φは、−20゜〜20゜の範囲である、と仮定している。 そして、ファイバ角度θを種々の値に設定した場合、光L 30がどのような割り合いでファイバ端44,45に伝搬されるかを演算している。

    そして、分岐結合部分41の長さlを10mm,15mm,20mmとし、上記コンピュータ・シミュレーションをそれぞれ行って、ファイバ角度θと分岐比との関係を求めた。 第13
    図ないし第15図はそれぞれそのシミュレーション結果を示すグラフである。 これらの図に示すように、分岐結合部分41の長さlおよびファイバ角度θの変化にともなって分岐比を変化している。

    ところで、この種の光分岐結合器では、一般的に、分岐比がより1:1に近いものとなるように設計製造することが望まれている。 したがって、上記シミュレーション結果から好適な分岐結合部分41の長さlとファイバ角度θとの関係を求めることができる。 例えば、長さlを10
    mmとした場合には、分岐比を1:1にするのに好適なファイバ角度θは約3.5゜であり、これらを満足するように光分岐結合器を製造すれば、分岐比がほぼ1:1のものが得られる。

    また、分岐比が1:1から0.5(dB)程度ずれたとしても、1:1の分岐比を持つ光分岐結合器として実使用に十分に耐える。 なお、上記のように分岐比を単位(dB)で評価する場合には、次の式に基づいて行う。

    分岐比(dB)=−10・log(P 3 /P 2 ) ただし、P 2 ,P 3は、あるファイバ端に光信号を入力したとき、それに対向する2つのファイバ端から出力される強度である。

    したがって、例えば長さlを10mmとした場合には、好適なファイバ角度θは2゜(第13図の黒丸印)から4.5
    ゜(同図の白丸印)の範囲内となる。 上記と同様にして、各長さl(=12.5,15,17.5,20,22.5,25mm)に対する好適なファイバ角度θの範囲を順次求め、グラフにプロットすることによって、第16図に示す関係が得られる。 同図において、黒丸および白丸印はそれぞれ分岐比を1:1にするのに好適なファイバ角度θの範囲の上限および下限を示している。 また、直線L Lは分岐結合部分41
    の長さlと好適なファイバ角度θの下限値θ との関係を示すものであり、次式の関係を有している。

    θ =0.60l−2.08 一方、直線L Uは長さlと好適なファイバ角度θの上限値θ との関係を示すものであり、次式の関係を有している。

    θ =0.63l−0.39 したがって、上記のようにして製造された光分岐結合器のファイバ角度θと分岐結合部分41の長さlとが、次の不等式 0.60l−2.08≦θ≦0.63l−0.39 を満足するように設定すれば、分岐比はほぼ1:1となると予想される。

    (発明の効果) 以上のように、請求項1の発明によれば、予め定めた長さにわたって複数のプラスチックファイバを相互に当接させ、さらに超音波加振して、その当接領域で各コアを相互に溶着するようにしているので、各プラスチックファイバは熱影響を受けることなく、所定領域で溶着する。 したがって、低損失の光分岐結合器を製造することができる。

    請求項2の発明によれば、各プラスチックファイバのクラッドを予め定めた長さにわたって除去してコアを露出させた後、前記複数のプラスチックファイバを相互に当接させ、さらに超音波加振して、その当接領域で各コアを相互に溶着しているので、上記請求項1の発明の同様の効果を得ることができる。

    請求項3の発明によれば、複数のプラスチックファイバを予め定めた長さにわたって当接させ、さらに超音波加振して、その通節領域で各コアが相互に溶着しているので、上記請求項1の発明の同様の効果を得ることができる。 しかも、プラスチックファイバのクラッド除去作業が不要となり、製造工程が簡便となる。

    【図面の簡単な説明】

    第1図はこの発明にかかる光分岐結合器の製造方法を適用可能な光分岐結合器の製造装置を示す図、第2A図,第
    2B図および第3図はそれぞれその実施例を説明するための斜視図、第4図は上記実施例により製造された光分岐結合器の模式図、第5図および第6図はそれぞれ分岐結合部分における光の伝搬のようすを模式的に示す図、第7図および第8図はそれぞれ中空カバーの斜視図、第9
    図はその斜視断面図、第10図および第11図は、それぞれ分岐結合部分での光の伝搬の様子を示す模式図、第12図はシミュレーション条件を説明するための図、第13図ないし第15図はそれぞれそのシミュレーション結果を示すグラフ、第16図は分岐結合部分の長さlとファイバ角度θとの関係を示すグラフ、第17図は従来の光分岐結合器の製造方法を説明するための図である。 10,11……プラスチックファイバ、 10a,11a……コア、 10b,11b……クラッド、 l……長さ、θ……ファイバ角度

    フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平2−208345 (32)優先日 平2(1990)8月6日 (33)優先権主張国 日本(JP) (58)調査した分野(Int.Cl. 6 ,DB名) G02B 6/28 JICSTファイル(JOIS)

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