射出成形容器のための改善されたガス不透過性

申请号 JP2016021894 申请日 2016-02-08 公开(公告)号 JP6242926B2 公开(公告)日 2017-12-06
申请人 ミラクロン エルエルシー; 发明人 スウェンソン,ポール,エム.;
摘要
权利要求

複数のノズルを用いて複数の多層製品を成形する方法であって、各それぞれのノズルが第1のポリマー材および第2のポリマー材から三層のポリマー材流を形成し、以下の工程: 第1のポリマー材および第2のポリマー材を、複数の少なくとも4つのキャビティを画定しかつ複数の少なくとも4つの得られる多層製品を形成するように構成された金型に射出する工程、ここで、複数のキャビティのそれぞれは複数の得られる多層製品の1つおよび複数のノズルの1つに対応しており、 を含み、 第2のポリマー材は複数の得られる多層製品のそれぞれの内側層と外側層を形成し;および シール可能部分の少なくとも95%に延在する内部層をもつ複数の得られる多層製品のそれぞれを提供するために、第1のポリマー材が共射出の間に金型全体にわたって第1および第2のポリマー材の複合材料の流れのゼロ速度勾配からオフセットされた状態のままであり、第1のポリマー材を複合材料の流れの平均速度より大きい速度で金型の中を流れさせるように、第1のポリマー材が第2のポリマー材とともに共射出される、前記方法。第1のポリマー材と第2のポリマー材が異なる材料を含む、請求項1記載の方法。第1のポリマー材が第2のポリマー材より比較的ガス不透過性である、請求項1記載の方法。第1のポリマー材がエチルビニルアルコールを含む、請求項1記載の方法。前記金型の複数のキャビティのそれぞれが実質的に対称であり、複数の得られる多層製品のそれぞれが対称の形状を有する、請求項1記載の方法。複数の得られる対称型製品のそれぞれが任意の横断面に沿って対称の形状を有する、請求項5記載の方法。複数のキャビティのそれぞれが非対称の形状を有し、複数の得られる多層製品のそれぞれが非対称の形状を有する、請求項1記載の方法。第1のポリマー材が共射出の間に金型全体にわたって第1および第2のポリマー材の複合材料の流れのゼロ速度勾配からオフセットされた状態のままであり、第1のポリマー材を複合材料の流れの平均速度より大きい速度で金型の中を流れさせるような第1および第2のポリマー材の共射出が、シール可能部分の少なくとも99%に延在する内部層をもつ複数の得られる多層製品のそれぞれを提供するために、第1のポリマー材を前記金型全体にわたって流れさせる、請求項1記載の方法。第1のポリマー材を金型に射出する工程が、第2のポリマー材を金型に射出する工程を開始した後で開始する、請求項1記載の方法。共射出成形装置であって、 複数の少なくとも4つのキャビティを画定する金型、ここで、複数のキャビティのそれぞれは複数の得られる多層製品の1つに対応しており; 複数のノズルアセンブリ、ここで、複数のノズルアセンブリのそれぞれは、複数のキャビティの1つに対応しており、また、複数のノズルアセンブリのそれぞれは、複数の得られる多層製品の1つの内部層を形成するために、第1のポリマー材を複数のキャビティの対応する1つに射出するように構成され、複数の得られる多層製品の1つの内側層と外側層を形成するために、第2のポリマー材を複数のキャビティの対応する1つに射出するように構成され、かつ第1および第2のポリマー材の三層の複合流を形成するように構成されており、およびここで、複数のノズルアセンブリのそれぞれは、複合材料の流れのゼロ速度勾配からオフセットされた第1のポリマー材の流れを、複数のキャビティの対応する1つ全体にわたって維持するよう構成され、かつ、第1のポリマー材を複合材料の流れの平均速度より大きい速度で対応するキャビティを通って流れさせるよう構成されている;および 請求項1〜4、8および9のいずれか1項に記載の方法を実施させるための命令を実行するようにプログラムされたプロセッサ; を含む、前記装置。前記複数のキャビティのそれぞれが実質的に対称であり、複数の得られる多層製品のそれぞれが対称の形状を有する、請求項10記載の共射出成形装置。前記複数のキャビティのそれぞれが非対称の形状を有し、複数の得られる多層製品のそれぞれが非対称の形状を有する、請求項10記載の共射出成形装置。

说明书全文

関連出願 本出願は、2010年7月16日出願の米国仮特許出願第61/365,303号に関係し、その優先権を主張するものである。前記出願の全内容は参照により本明細書に組み入れられる。

発明の分野 本発明は、多層射出成形品に関するものである。特に、本発明は、ガス不透過性またはガススカベンジャー特性を有する多層成形品に関するものである。

背景情報 射出成形品はさまざまな目的に使用されている。プラスチック射出成形品は一般的にポリエチレン(PET)またはポリプロピレン(PP)などの材料で作られる。こうした製品は環境劣化に抵抗し、かなり耐久性、防性があり、そして経済的に製造される。

しかしながら、PETやPPといったプラスチック材料はガス(例えば、酸素、窒素など)透過性である。ガス透過性が望ましくない用途、例えば、食品、医薬品、および気体への暴露時に劣化する製品の場合には、バリア材料またはスカベンジャー材料がプラスチック材料と共射出される。一般的には、エチルビニルアルコール(EVOH)のようなバリア材料を、PETまたはPP材料の内側流と外側流の間に内部コア材料流として射出して、PETまたはPPスキン層の内側にEVOH内部層を形成することによって成形品が形成される。有害なガスの透過を防止するためには、暴露される成形品の実質上全体にわたって内部バリア層が延在することが必要である。暴露表面領域のごくわずかなパーセンテージが十分なバリア層を欠く場合でも、有害な量のガス透過が発生する可能性がある。

バリア層を成形品全体に形成させるには、内部層の材料が成形プロセス時に金型キャビティの実質上末端部にまで流れることが必要である。内部層の材料が成形時にキャビティの末端部まで流れない場合には、成形品の対応する「末端部」に不十分なバリア層が存在することになる。一方、内部層の材料があまりに速く流れる場合には、その内部層材料が内側および外側層材料(すなわち、スキン層)のフローフロントまたはリーディングエッジを突き抜けるかまたはブレイクスルーして、望ましくない結果をもたらす可能性がある。したがって、公知の技術は、例えば、射出圧温度、タイミング、射出位置などの射出パラメータを正確に制御しようと試みることによって、内部層材料をブレイクスルーなしに金型キャビティの末端部にまで流れさせようとしている。

非対称型の金型キャビティ(すなわち、非対称型の成形品)では材料の流れが大きく違ってくるため、この共射出法はこれまで、形状が本質的に対称である製品に限定されてきた。しかし、理論的には金型キャビティ全体にわたって対称の流れ特性を有する対称形状でさえも、限られた成功しか収めていない。システムおよびプロセスの変動(例えば、金型キャビティの寸法および表面仕上げの製造上の公差、局所的温度変化、射出圧力の変動、通常生じるストリームラインの変動、採用する計算方法論の制限など)は現在の技術を用いて排除することができず、その結果としてバリア層のカバー範囲にブレイクスルーまたは「間隙」のいずれか(またはその両方)をもたらすことがある。したがって、以前から知られている技術は十分なおよび/または一貫した透過抵抗を提供しない。

したがって、内部層がブレイクスルーすることなくガス透過を適切に防止するように製品全体に十分に延在している、そうした内部層をもつ射出成形品を形成するための方法および装置が必要とされている。さらに、そのような層を含む射出成形品の必要性も存在している。

本明細書に教示される実施形態は、従来技術の上述の欠点に対処するものである。典型的なシステム、方法および非一時的コンピュータ読取可能プログラムが本明細書に教示され、それによって、バリアのカバー範囲(coverage)が全表面領域の95%〜100%に及ぶ成形プラスチック製品をもたらすように、内部コアの材料が流される。典型的なシステム、方法および非一時的コンピュータ読取可能プログラムは、4つ以上のキャビティ(各キャビティは1つの得られる成形品に対応している)を画定する金型を用いて生産成形する際に、さらに一般的な商業上のサイクル時間で動作する際にも、前述のバリアカバー範囲を達成することができる。本明細書に教示される典型的なシステム、方法およびコンピュータ読取可能プログラムは、バリアカバー範囲がその製品のシール可能部分の全表面領域の99%〜100%に及ぶ対称型の成形プラスチック製品と非対称型の成形プラスチック製品を形成する際に用いるのに適している。

いくつかの実施形態では、複数の多層製品が成形方法によって形成され得る。その方法は、複数の少なくとも4つのキャビティを画定する金型に第1の材料を射出することを含み、各キャビティは複数の少なくとも4つの得られる多層製品の1つに対応するように構成される。その方法はさらに、複数の前記製品の内側層と外側層を形成するために、前記金型に第2の材料を射出することを含む。その方法は、第1の材料を金型全体にわたって流れさせて、複数の前記製品のそれぞれのシール可能部分の少なくとも95%に延在する、複数の前記製品のそれぞれの内部層を、内側層と外側層の間に、形成させることを含むことができる。

いくつかの実施形態では、1つの製品が成形方法によって形成され得る。その方法は、1つのキャビティを画定する金型に第1の材料を射出することを含む。その方法はさらに、製品の内側層と外側層を形成するために、前記金型に第2の材料を射出することを含む。その方法は、第1の材料を金型全体にわたって流れさせて、製品のシール可能部分の少なくとも99%に延在する製品の内部層を、内側層と外側層の間に、形成させることを含むことができる。

前記成形方法のそれぞれの実施形態において、1つもしくは複数の金型キャビティおよび/または1つもしくは複数の得られる成形品は対称型であり得る。前記成形方法のそれぞれの実施形態には、第1および第2の材料を金型キャビティに同時に射出することが含まれる。前記方法のそれぞれの実施形態には、第1の材料が第1および第2の材料の複合流のゼロ速度勾配からオフセットされるように、第1の材料を金型に射出することが含まれる。

いくつかの実施形態において、共射出成形装置は金型、複数のノズルアセンブリ、およびプロセッサを含むことができる。金型は複数の少なくとも4つのキャビティを画定し、各キャビティは複数の得られる対称型多層製品の1つに対応するように構成される。複数のノズルアセンブリのそれぞれは、複数の得られる対称型多層製品の1つの内部層を形成するために、第1のポリマー材を複数のキャビティの対応する1つに射出するように構成される。複数のノズルアセンブリのそれぞれはさらに、複数の得られる対称型多層製品の1つの内側層と外側層を形成するために、第2のポリマー材を複数のキャビティの対応する1つに射出するように構成される。プロセッサは、多層製品のシール可能部分の少なくとも95%に延在する内部層をもつ複数の多層製品のそれぞれを提供するために、第1のポリマー材を金型全体にわたって流れさせるための命令を実行するようにプログラムすることができる。

いくつかの実施形態において、共射出成形装置は第1のキャビティを画定する金型、ノズルアセンブリ、およびプロセッサを含むことができる。ノズルアセンブリは、第1の得られる多層製品の内部層を形成するために、第1のポリマー材を第1の金型キャビティに射出するように構成することができる。ノズルはさらに、第1の得られる多層製品の内側層と外側層を形成するために、第2のポリマー材を第1の金型キャビティに射出するように構成することができる。プロセッサは、多層製品のシール可能部分の少なくとも99%に延在する内部層をもつ第1の多層製品を提供するために、第1の材料を第1の金型キャビティ全体にわたって流れさせるための命令を実行するようにプログラムすることができる。

前記装置の金型はさらに、複数のキャビティを画定することができ、各キャビティは複数の得られる対称型多層製品の1つに対応する。前記装置はさらに、複数のノズルアセンブリを含むことができ、各ノズルアセンブリは複数のキャビティの1つに対応する。複数のノズルアセンブリのそれぞれは、複数の得られる対称型多層製品の1つの内部層を形成するために、第1のポリマー材を複数のキャビティの対応する1つに射出するように構成される。複数のノズルアセンブリのそれぞれはさらに、複数の得られる対称型多層製品の1つの内側層と外側層を形成するために、第2のポリマー材を複数のキャビティの対応する1つに射出するように構成される。前記装置のプロセッサはさらに、前記製品のシール可能部分の少なくとも99%に延在する内部層をもつ複数の多層製品のそれぞれを提供するために、第1のポリマー材を複数のキャビティ全体にわたって流れさせるための命令を実行するようにプログラムすることができる。

共射出成形装置のそれぞれの実施形態において、1つもしくは複数の金型キャビティおよび/または1つもしくは複数の成形品は対称型であり得る。前記成形装置のそれぞれの実施形態では、作動サイクルあたり64もの多くの多層製品またはそれ以上を形成することができる。前記成形装置のそれぞれの実施形態では、32+32キャビティスタックで多層製品を形成することができる。前記成形装置のそれぞれの実施形態は、1つまたは複数の得られる製品のスキン層を形成するために、内側および外側層材料を金型に射出するよう構成することができる。前記成形装置の実施形態はさらに、内部層材料を内側および外側層材料と同時に金型に射出するよう構成することができる。前記成形装置の実施形態は、内部層材料が第1および第2の材料の複合流のゼロ速度勾配からオフセットされるように、内部層材料を射出させるよう構成することができる。

いくつかの実施形態において、成形品は内側層、外側層、および内部層をもつことができ、内部層は該製品のシール可能部分の少なくとも99%に内側層と外側層の間で延在する。いくつかの実施形態において、成形品は、内側プラスチック層、外側プラスチック層、および内部プラスチック層をもつことができ、内部プラスチック層はシールした時に約0.05ppm/日/製品より少ないガス透過度を提供するように内側層と外側層の間で延在する。成形品の実施形態は、シールした時に約0.005ppm/日/製品より少ないガス透過度を、または約0.0005ppm/日/製品より少ないガス透過度さえも、示すことができる。前記製品のどちらの実施形態も対称型であり得る。前記製品のどちらの実施形態も、その側壁に沿って延びる任意の横断面に沿った円形断面をもつことができる。

前記の方法、装置、製品、または非一時的コンピュータ読取可能プログラムの実施形態のいずれにおいても、内部層は成形品の表面の方へオフセットされ得る。内部層は第1の材料とすることができ、そして内側および外側層は異なる材料とすることができる。内部層は内側および外側層の材料と異なる組成を有していてもよい。内側および外側層は射出成形に適したプラスチック材料であり得る。内部層は、内側および外側層材料の透過性に対して実質的にガス不透過性であり得る。内部層は、水分含量の増加が原因で起こるバリア材料の透過度の増加に対抗するために、水分を吸収する乾燥剤を含むガスバリア材料とすることができる。内部層は、内側および外側層材料のスカベンジング能力と比べてガス-スカベンジングであり得る。

さまざまな実施形態の他の目的および利点は、以下の実施形態の詳細な説明および添付の図面から明らかになるであろう。

図1は、バリアカバー率の関数としての酸素透過を示すグラフの概略図である。

図2Aは、本明細書に教示される種々の実施形態に従った典型的な容器の断面図であるが、例示目的のために容器の壁厚が誇張されている。

図2Bは、本明細書に教示される種々の実施形態に従った図2Aの典型的な容器の横断面に沿った断面図である。

図3は、本明細書に教示される種々の実施形態に従った共射出成形システムの概略断面図である。

図4は、本明細書に教示される種々の実施形態に従った典型的な材料流の概略断面図である。

図5は、図1に示されるフランジ部の拡大図である。

図6は、本明細書に教示される種々の実施形態に従った典型的な成形システムの断面図を示す。

図7は、本明細書に教示される例示的な実施形態を実施するのに適した典型的なコンピューティング環境を示す。

図8は、複合ポリマー流が金型キャビティの環状経路に沿って流れるときの、複合ポリマー流のファウンテンフロー(fountain flow)効果の断面図である。

図9Aは、複合ポリマー環状流の速度プロファイル、および複合ポリマー流の流れ勾配にわたる相対的速度差の断面図である。

図9Bは、複合ポリマー環状流の速度プロファイル、および複合ポリマー流の流れ勾配にわたる相対的速度差の断面図である。

図9Cは、プラスチック流について図6のようなノズル内の環状流路にわたって得られた流動率(flow fraction)および速度プロファイルの曲線を示すグラフである。縦座標は、内側および外側流路壁間のアニュラスの半径の関数として流動速度-対-平均速度の比をプロットするものであり、中央の実線の曲線23は前記比をプロットしておりかつ複合流CFのゼロ勾配を示しており、円のマークで指定した曲線は内壁から外壁までの半径と円筒形内壁Tとの間の内側流IFをプロットしており、また、三のマークが付いた曲線は円筒形外壁と環状半径との間の外側流OFをプロットしている。

従来技術の典型的な容器の断面図であり、例示目的のために容器の壁厚が誇張されている。

図11は、本明細書に教示される種々の実施形態に従った典型的な容器の断面図であるが、例示目的のために容器の壁厚が誇張されている。

図12は、本明細書に教示される実施形態を実施するのに適した典型的なノズルアセンブリを示す。

図13は、本明細書に教示される種々の実施形態に従った典型的な複合材料流の断面図を示す。

図1は、成形品のシール可能部分の総露出壁表面領域に対する内部バリアのカバー率の関数としてのプラスチック共射出成形品の壁を介した酸素透過曲線50を概略的に示す。図1はまた、密封容器内部の物質の望ましくない分解(劣化)を防止するための最適な透過を表す目標透過度60を示す。図1のグラフに関連づけられる内部層の材料は、EVOH、MXD6ナイロンまたは他のパッシブバリア材料;EVOH、MXD6ナイロンまたは他のバリア材料であって、そのいずれかが酸素スカベンジング成分を有するもの;あるいは、EVOH、MXD6ナイロンまたは他のバリア材料であって、そのいずれかが乾燥剤成分を有するもの;からなり得る。図1に見られるように、0.005ppm O2/日/容器(容器の液体含有量に基づいて算出されたppm)である、例示された目標透過度60を達成するためには、99%超のカバー率が必要とされる。目標透過度60は(総透過が比率、露出領域、および時間の関数であるため)容器内の特定の物質、容器の形状、および所望の貯蔵寿命に左右されることがあるとはいえ、例示された目標透過度60は従来の食品含有製品に典型的な透過度である。さらに、透過度はまた、暴露条件にも、そしてある程度は、容器の壁厚にも依存しているが、透過曲線50は、好ましくはないにしても一般的な貯蔵条件下で、従来の食品容器に典型的である。試験パラメータの予想された変動は同様の結果をもたらした。

食品および所望の貯蔵時間(貯蔵寿命)に応じて、目標透過度60は0.005ppm O2/日/容器より一桁高くまたは低くすることができ、すなわち、0.05または0.0005ppm O2/日/容器であり得る。透過曲線50の傾きは内部層材料の種類および厚さが異なることで違ってくるだろうが、当業者であれば、容器表面領域のバリアカバー率の1%減少ごとに透過度の著しい増加が生じることを理解するであろう。

図2Aを参照すると、容器100は、底部105、底部105の外縁から延在して、開放端107をもつ、この実施形態では一般にカップ状またはU字形をした、チャンバ106を形成する側壁110、および容器の開放端107で側壁110の外縁から延在するフランジ115を有する。図2Aの容器100は左右対称であり、これは任意の横断面(すなわち、図2Aで水平に延びる)に沿った容器100の断面が円形(すなわち、底部105もしくはフランジ115を通して)または環状(すなわち、側壁110を通して)であることを意味する。図2Bは、図2Aの容器100の底部105を通しての、典型的な対称断面を示す。

容器100は、シール可能な表面をもつシールゾーン180を含む。この実施形態では、シールゾーン180とその表面が開放端107のまわりに円周方向に延びている。この実施形態では、シールゾーン180と表面はフランジ115に形成されている。クロージャ120(従来のタイプのものであってよい)は、従来の方法により、例えばヒートシール、クリンピング、スレッディング、および他の公知の方法により、シールゾーン180の表面でフランジ115にシールされ得る。例示的な実施形態はカップ状の形をしたものであるが、本発明では、シールゾーン180を用いて容器の一部をシールすることができる代替の形状または構成をもつ容器が企画されており、当業者であれば、そのことを理解しているはずである。例えば、側壁110がリップをもっている場合、そのリップにもシールゾーンとその表面が含まれるだろう。さらに、図2Aの実施形態にはクロージャ120でシールされる開放端107があるが、異なる開放端をもつ代替の実施形態が企画される。図2の実施形態では、成形品のシール可能部分の表面領域は、底部105の表面領域、側壁110の表面領域、およびクロージャ120のシールゾーン180の下に半径方向に延在するフランジ115の部分の表面領域を含む。代替成形品のシール可能部分の表面領域は、その形状または構成に応じて、また、どこでそれがシールされるかまたはシールすることが意図されるかによって、異なって定義される。例えば、代替容器の実施形態のシール可能部分の表面領域は、フランジにまで延長しないで、代わりに、例えば、側壁のリップのシールゾーンに延長するだけでよい。

容器100は、例えばPETまたはPPなどの第1のプラスチック材料と、例えばEVOHなどの第2のプラスチック材料とを、プラスチック成形品を形成するように構成された金型キャビティ内に共射出することによって、形成することができる。第1のプラスチック材料は内側層130と外側層132を形成し、これらは一緒になって容器または製品の所望の最終形状にほぼ一致し、知られるように製造要件(例えば、熱膨張/収縮)の主要因となる。第2のプラスチック材料は内部コア層150を形成する。内部コア層150はバリア層、ガススカベンジング層、および/または乾燥剤層であり得る。PET、PPおよびEVOHはよく使用される材料であるが、他の適切な材料を用いてもよく、また、さまざまな実施形態が他のポリマー材料と一緒に用いるのに適していることを理解すべきである。

図2Aに見られるように、内部層150は容器100全体にわたって実質上完全に延在しているが、内側層130と外側層132によって実質上完全に囲まれている。内側層130と外側層132はスキン層として知られている。本明細書中で用いる用語「実質的に」または「実質上完全に」とは、容器100の全表面領域にわたる内部層の95%〜100%カバー率を意味する。

内部層150のガスバリア材料は、ガス(例えば酸素)が容器を通って(すなわち、内側から外側へ、またはその逆へ)透過するのを十分に防止する、EVOHまたは他の適切な材料(知られているか、または知られるようになるかもしれない)であり得る。図2Aの特定の実施形態に見られるように、内部層150はフランジ115にまで延在している。

示されるように、図2Aの内部層150はフランジ115の末端部までは延在していない。しかし、当業者であれば、内部層を含まないフランジの露出部分は、容器100の全露出表面領域のきわめて小さい部分であることを理解するにちがいない(図2Aにおけるフランジ115の厚さは、例示目的のために大いに誇張して記載してある)。かくして、高いカバー率(例えば、99%以上)を含めて、所望のカバー率は、フランジ115の外周にまで延在する内部層150なしに得ることが可能である。言い換えれば、カバーの程度は、クロージャ120が容器100にシールされる区域内にある容器100のシール可能部分、例えばシール接触面、に最も関係している。十分なカバー率がシール接触面内で達成される場合(例えば、シール接触面内で99%のカバー率)、所望の透過度が達成され得る。図2Aの例示的な実施形態では、例えば、内部層150はシール接触面の縁(この容器構成では、フランジ115の半径方向内側の縁)にまでまたはそれを越えて延在しており、十分なカバー率はその地点を越えて延在する内部層なしに得られる。それにもかかわらず、本発明を利用して、図2Aに点線で示されるように、シール接触面の縁を越えて、フランジ115の末端部またはその近辺にまで内部層150を提供することも可能である。

内部層150は、内部層材料を内側および外側層材料と共射出することによって作り出すことができる。こうした方法は一般的に知られており、例えば、米国特許第6,908,581号およびそこに引用された文献に記載されており、それらもまた、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。

図3に概略的に示されるように、金型200は金型部分210a、210bを有し、これらの間に金型キャビティ220が形成される。ノズルアセンブリからの複合流300はゲート射出位置140で射出ゲートを通って金型キャビティ220内に射出され、その複合流300(特定の構成では、環状流であり得る)は射出位置140から金型キャビティ220を通って流れる。複合流300はノズルアセンブリにおいて形成される。そのノズルアセンブリは内側材料、外側材料、および内部材料から複合流300を形成する。内側材料は複合流300の内側流を形成し、内部材料は内部流を形成し、そして外側材料は外側流を形成する。複合流300の流れは金型キャビティ220を通って移動するフローフロント330を形成する。金型への流れの特定の時間枠では、複合流300は2(内側および外側)材料または3(内側、外側、および内部)材料で構成され得る。

複合流300を形成する内側流対外側流の体積流量比は、複合流300のゼロ速度勾配340(Vmax)からオフセットされたストリームラインに沿って、しかし平均流速(Vave)360より大きい速度をもつストリームラインで、内部層流を流れさせるように選択される。これは、内部層材料の流れ150aがフローフロント330を突き破るのを防止する。それどころか、図4に示すように、内部層材料の流れ150aは折り重なって、フローフロント330の背後にフォールドオーバー(fold over)部150bを形成して、複合流300の内側流と外側流によって包み込まれたままである。ゼロ速度勾配からオフセットされた内部層材料の流れ150aを開始することによって、または内部層材料の流れ150aをゼロ速度勾配から、より遅く移動するストリームライン(平均速度より大きい速度をもつ)にシフトすることによって、内部層はファウンテンフローに「追いつき」かつ折り重なって、得られるプラスチック成形品のシール可能部分全体にわたって延在し、かつ95%〜100%のカバー範囲、さらには99%〜100%のカバー範囲にわたってバリアまたはスカベンジャー保護を提供する、バリアまたはスカベンジャー層を作り出すことができる。内部層はゼロ速度勾配の位置の内側または外側のいずれに配置されてもよく、それぞれ、その部分の内側または外側に向かってフォールドオーバーを形成する。

本発明者は、そうしたフォールドオーバー技術が、意外にも、対称の共射出製品にさえ存在して悪影響を及ぼす上記のシステムおよびプロセスの変動を軽減するために使用できることを見いだした。例えば、以前から知られている技術は、内部層材料150がフローフロント330に遅れないように内部層材料150の射出パラメータ(例えば、射出タイミング、位置、圧力など)を制御することによって、バリア層中に「間隙」(例えば、内部層材料150が金型キャビティの末端部を流れないことに起因する)が生じないようにするものである。しかし、先に述べたように、また、上記の米国特許第6,908,581号に記載されるように、この技術では、内部層材料の流れ150aがフローフロント330を突き破る可能性がある。逆に言えば、従来の技術は、内部層材料の流れ150aがフローフロント330に追いつく(そして突き破る)のを防止する射出パラメータを利用することによって、ブレイクスルーを回避しようとするものである。この技術は、しかし、内部層材料の流れ150aをフローフロント330のはるか後方に遅れさせる可能性があり、結果的に不十分なバリアカバー範囲となる。システムおよびプロセスの固有の変動は、このバランスが以前から知られている技術によって達成されるのを事実上妨げており、ブレイクスルー、流れの遅滞、またはその両方を生じさせる。

フォールドオーバー法の実施はこれらの問題を軽減することができる。フォールドオーバー法を用いると、内部層材料の流れ150aが金型キャビティの末端部(例えば、キャビティのフランジ形成部分)に、結果として、得られる成形品の実質上全体に、ブレイクスルーの心配なしに到達するように、射出パラメータを制御することができる。

図5に示すように、フローフロント330がキャビティのフランジ形成部分の遠位端225に近づくにつれて、内部層材料の流れ150aは、余剰の内部層材料の流れ150aを収容するのに必要な程度に、単にフローフロント330の背後でフォールドオーバー150bを形成し続けるだろう。このようにして、対称の幾何学的形状では99%を超える、十分なバリアカバー率を有する成形品を得ることができる。

図6は、例示的な実施形態を実施するのに適した典型的なシステムを示す。共射出成形システム1000は、金型キャビティ内に少なくとも2つの材料を射出するように構成される。本発明で用いるのに適した材料としては、ポリマー系材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、MXD6ナイロン、ポリプロピレン(PP)、およびポリカーボネート(PC)が挙げられる。共射出成形システム1000には、第1の材料供給源1200、第2の材料供給源1400、およびマニホールド1600が含まれる。マニホールド1600は各ポリマー材料のための個別のマニホールドからなり得る。共射出成形システム1000にはさらに、ノズルアセンブリ18A、18B、18C、18Dおよび金型2400が含まれる。金型2400はゲート20A、20B、20C、20Dおよびキャビティ22A、22B、22C、22Dを備えている。図6では、各ノズルアセンブリ(18A、18B、18C、および18D)が対応するゲートとキャビティをもつ。例えば、ノズルアセンブリ18Aはゲート20Aおよびキャビティ22Aに対応している。

第1のポリマー材は第1の材料供給源1200から、そして第2のポリマー材は第2の材料供給源1400からマニホールド1600に押し出され、ノズル18A〜18D内で組み合わされてから金型キャビティ22A、22B、22C、22Dに射出される。第1および第2のポリマー流は環状複合ポリマー流を形成するために組み合わされるが、第1のポリマー材が複合ポリマー流の内部コア流を形成する一方で、第2のポリマー材が複合流の内側流と外側流を形成するように組み合わされる。環状複合ポリマー流がノズルから射出されるとき、内側流と外側流は内部コア流を包み込む。

図7は、本明細書に教示される例示的な実施形態を実施するのに適した典型的なコンピューティング環境を示す。その環境は、共射出システム1000に有線で、無線で、または有線と無線の混線で接続された共射出制御装置900を含むことができる。共射出制御装置900は、本明細書に教示されるような対称型容器または対称型キャップの表面領域の95%〜100%あるいは99%〜100%もの範囲にわたるカバーを提供する、バリア層および/またはスカベンジャー層を形成するための実行可能なバリアカバレッジコード(Barrier Coverage Code)950を実行するようにプログラム可能である。共射出制御装置900は、例示的な実施形態を実施するための1つ以上のコンピュータ実行可能命令またはソフトウェアを格納するための1つ以上のコンピュータ読取可能媒体を含む。コンピュータ読取可能媒体には、1つ以上のタイプのハードウェアメモリ、非一時的な有形の媒体などが含まれるが、これらに限定されない。例えば、共射出制御装置900に内蔵されるメモリ906は、コンピュータ実行可能命令またはソフトウェア、例えば実行可能なバリアカバレッジコード950のあらゆるモジュールを実行して処理するための命令、を格納することができる。共射出制御装置900にはさらに、メモリ906に格納されたソフトウェアを実行するための、また、システムのハードウェアを制御するための他のプログラムを実行するための、プロセッサ902および1つ以上のプロセッサ902’も含まれる。プロセッサ902および1つ以上のプロセッサ902’はそれぞれ、シングルコアプロセッサまたはマルチコア(904および904’)プロセッサとすることができる。

コンピューティングデバイスのインフラとリソースを動的に共有できるように、共射出制御装置900では仮想化(virtualization)を用いることが可能である。仮想化されたプロセッサはまた、ストレージ916内の実行可能なバリアカバレッジコード950および他のソフトウェアと共に使用することもできる。複数のプロセッサ上で動作しているプロセスを処理するために仮想マシン914を設けることができ、その結果、そのプロセスは複数ではなくただ1つのコンピューティングリソースを使っているように見える。複数の仮想マシンを1つのプロセッサと共に使用することも可能である。

メモリ906はコンピュータシステムメモリまたはランダムアクセスメモリ、例えばDRAM、SRAM、EDO RAMなどを含むことができる。メモリ906は他のタイプのメモリまたはそれらの組合せを含んでもよい。

ユーザは、ユーザインターフェース924または他の任意のインターフェースを表示しうる、コンピュータモニタなどの、視覚的表示装置922を介して共射出制御装置900と相互作用することができる。視覚的表示装置922はまた、例示的な実施形態の他の側面または要素、例えばデータベース、登録フォーム、医薬品ガイドなどを表示することもできる。共射出制御装置900は、ユーザからの入力を受信するための、他のI/Oデバイス、例えばキーボードまたはマルチポイントタッチインターフェース908、およびポインティングデバイス910、例えばマウス、を含むことができる。キーボード908とポインティングデバイス910は視覚的表示装置922に接続され得る。共射出制御装置900は他の適切な従来のI/O周辺機器を含んでもよい。共射出制御装置900はさらに、オペレーティングシステム918と他の関連ソフトウェアを格納するための、および実行可能なバリアカバレッジコード950を格納するための、ストレージデバイス916、例えばハードドライブ、CD-ROM、または他の非一時的コンピュータ読取可能媒体を含んでもよい。

共射出制御装置900は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)またはインターネットにさまざまな接続手段を介して接続するためのネットワークインターフェース912を含むことができ、かかる接続手段としては、限定するものではないが、標準的な電話回線、LANもしくはWANリンク(例:802.11、T1、T3、56kb、X.25)、ブロードバンド接続(例:ISDN、フレームリレー、ATM)、ワイヤレス接続、コントローラエリアネットワーク(CAN)、または上記のいずれかまたは全部の組合せが挙げられる。ネットワークインターフェース912は、内蔵型ネットワークアダプタ、ネットワークインターフェースカード、PCMCIAネットワークカード、カードバスネットワークアダプタ、ワイアレスネットワークアダプタ、USBネットワークアダプタ、モデム、または通信が可能な任意のタイプのネットワークに認可コンピューティングデバイス900を接続しかつ本明細書に記載の操作を実行するのに適した他のいずれかのデバイスを含むことができる。さらに、共射出制御装置900は、通信が可能でありかつ本明細書に記載の操作を実行するのに十分なプロセッサパワーとメモリ容量がある、ワークステーション、デスクトップコンピュータ、サーバー、ラップトップ、ハンドヘルドコンピュータ、または他の形態のコンピューティングもしくはテレコミュニケーションデバイスなどの任意のコンピュータシステムであり得る。

共射出制御装置900は、以下のようなオペレーティングシステムを実行することが可能である:Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)オペレーティングシステムのバージョンのいずれか、UnixおよびLinuxオペレーティングシステムの異なるリリース、Macintoshコンピュータ用のMacOS(登録商標)の任意のバージョン、任意の組み込みオペレーティングシステム、任意のリアルタイムオペレーティングシステム、任意のオープンソースオペレーティングシステム、任意のプロプライエタリオペレーティングシステム、モバイルコンピューティングデバイス用の任意のオペレーティングシステム、またはコンピューティングデバイス上で動作しかつ本明細書に記載の操作を実行することが可能な他のいずれかのオペレーティングシステム。オペレーティングシステムはネイティブモードまたはエミュレーションモードで動作可能である。

バリアカバレッジコード950は、共射出システム1000を制御するための、プロセッサ902によって実行可能な実行コードを含んでおり、その結果として、本明細書に教示されるように、内側および外側ポリマー流の体積流量を選択的に制御し、複合ポリマー流の速度フローフロントに対する内部コア材料の流れ150aの位置を制御し、そして内側および外側ポリマー流の押出開始時間に対する内部コア流の押出開始時間を制御する。すなわち、バリアカバレッジコード950は、内部コア材料の流れ150aを、複合環状流300の平均速度より大きい速度をもつストリームライン上に配置するように共射出システム1000を制御するための、プロセッサ902によって実行可能な実行コードを含んでいる。かくして、内部層材料の流れ150aはファウンテンフローに「追いつき」かつ折り重なって、シール可能部分の95%〜100%の範囲、または99%〜100%もの範囲で、バリア層またはスカベンジャー層のカバーを、得られる成形品中に生成することができる。プロセッサ902によってバリアカバレッジコード950を実行すると、共射出システム1000は、内部層材料の流れ150aをゼロ速度勾配の位置の内側または外側のいずれかに配置して、それぞれ、得られる製品の内側または外側に向かってフォールドオーバーを生成することができる。本明細書に教示される方法および共射出システムは食品または飲料容器の共射出成形を容易にするものであり、それによって、内部コア流は、内部コア層を内側層または外側層に固定する構造要素を形成して、得られるプラスチック成形品の層間剥離を防止し、かつプラスチック成形品の形成に用いられるポリマー材料に接着剤を配合する必要性なしに、得られるプラスチック成形品の視覚的効果を生み出す。

図8はファウンテンフロー効果を示し、この場合に、フローフロント23の上流の材料流は、流速がポリマー流の中心で最も速くなり、ポリマー流と金型キャビティの流路壁との接触面またはその付近で最も遅くなるような、速度勾配350を有する。

図9Aおよび9Bは、複合流がポイント「A」で最も速くなり、ポイント「B」または「C」でより遅くなる、速度勾配350を示す。ゼロ速度勾配340は流れの速度が最大となるポイントで発生する。ゼロ速度勾配ストリームラインでの流速はフローフロントの平均速度より大きいため、ゼロ速度勾配ポイントでまたはその付近で射出された内部材料は、たとえ内部材料の射出が内側層と外側層(PET、PCまたはPP)の射出後に始まる場合でも、いくつかの状況下では、フローフロントに「追いつき」かつそれを通り越して、スキン層を突き破ることがある。内部コア材料の流れは、その内部材料がポリマー流のフローフロントに到達するとき、ブレイクスルーを起こすであろう。

図9Bは、最初にポイントA、BおよびCにある粒子がそれぞれ下流に移動するにつれて、それらの粒子が速度勾配350のために互いに遠く離れて移動することを示している。第1の時間経過後に、粒子はそれぞれA1、B1およびC1と指定された新しい位置に移動しているだろう。第2の時間経過後に、粒子はA1、B1およびC1と指定された位置からそれぞれA2、B2およびC2と指定された新しい位置に移動しているだろう。連続的な時間での粒子の相対位置は経時的な速度勾配350の効果を示す。ポイントAでの流速はポイントBでの速度より大きいので、ポイントAで出発する粒子は、ポイントBで出発する粒子より時間の経過につれてより遠くに移動するであろう。同様に、ポイントBでの流速はポイントCでの速度より大きいので、ポイントBで出発する粒子は、ポイントCで出発する粒子より時間の経過につれてより遠くに移動するであろう。

図9Cは、n=0.8(ここでnは流体の流れの非ニュートンべき乗則モデルのパラメータである)の場合の流体に関する正規化された速度プロファイル350および内側と外側の体積分率を示す。斜線の領域は、平均速度より大きくかつゼロ速度勾配340からはずれている、内部層の配置のための許容可能な位置を示す。この領域は内部層をその部分の内側に巻き付けるであろう。このグラフから、我々は内側層の流れ分率を0.1〜0.45の範囲にし得ることが見てとれる。外側層の流れ分率は0.9〜0.55とすることができる。内部層の厚さは流動層の厚さの約25%の厚さとすることができ、これは流れ分率0.1〜0.45の約35%である。

図10は、内部層のリーディングエッジ151が従来技術によって一般的に達成される位置にある、容器500の断面図である。内部層150のリーディングエッジ151は進展部分151cと遅滞部分151dを有する。内部層150のリーディングエッジ151は成形容器500のシール領域の部分に到達せず、このことは重大であり得る。4つ以上のキャビティを画定する金型におけるような、一般的な製造条件下で形成された従来技術の容器500の内部層150は、その容器のシール可能部分の表面領域の95%にまで延在することがなく、多くの場合は95%よりはるかに少ない。容器500のシール可能部分には、底部105、側壁110、およびフランジ115内のシールゾーンが含まれる。従来技術の容器500の表面全体を考慮する場合は、内部層を欠く表面領域の部分がさらに大きくなる。従来技術における最高の内部層カバー率は、例えば、より長いサイクル時間で動作する単一の対称型キャビティを画定する金型の使用を含めて、最高の条件下で達成されたにすぎない。しかし、最高の条件下で形成された従来技術の容器500の内部層150のカバー率をもってしても、本明細書に教示される実施形態に従う容器のカバー率に依然としてかなわない。図1に示されるように、従来技術の容器の内部層150の典型的な位置では、シールされた容器への高い透過が生じるであろう。

経済的な容器は、高速サイクル時間で動作するマルチキャビティ金型の使用を必要とする。生産成形方法およびシステムでは、約5〜10秒のサイクル時間で動作する4キャビティから32+32キャビティスタック(合計64キャビティ)までの範囲の金型が使用される。ほとんどのシステムのサイクル時間は、部品の壁厚に応じて5〜7秒である。従来技術では、ポリマー材料の温度、ホットランナーの温度と寸法、金型キャビティの温度と寸法、および他の要因によって金型キャビティへの均一な複合ポリマー流の流れが妨害され、その結果、内部層150のリーディングエッジ151の位置が不均一になる。

図11は、内部層150のリーディングエッジ151の位置が本明細書に教示される実施形態に一致している、容器501の断面図である。図11は、従来技術に関して説明したのと同じ不均一性を有する部品を成形するときに、フォールドオーバー151bを生成するために本明細書に教示される実施形態に従ってオフセットを用いることの有益な効果を示している。内部層150を複合流のゼロ勾配からオフセットすることによって、内部層リーディングエッジ151のより進展した部分151cは、フローフロントを突き破ることなく、フォールドオーバーを形成し始めるだろう。内部層リーディングエッジの進展部分151cのこのフォールドオーバー151bは、遅滞部分151dをフランジに到達させ、そしてクロージャ120のシール領域に対して内部層150の十分な半径方向カバー範囲を提供するだろう。

マルチキャビティ成形システムを用いて生産成形する際には、他のキャビティに対するあるキャビティにおける不均一性の合計が異なっており、結果的に、内部層のリーディングエッジの進展部分と遅滞部分の異なるレベルをもたらす。本明細書に教示される実施形態は、最も遅れているキャビティ内の内部層リーディングエッジの遅滞部分がクロージャ120に対して必要な半径方向位置に到達するように、いずれか1つのキャビティ内で多かれ少なかれフォールドオーバーを生成することによって、異なる不均一性の合計の問題を克服する。本明細書に教示される実施形態では、4キャビティ以上を含む金型を用いて、単層成形と実質的に同じ速さのサイクル時間で、例えば食品容器に、目標パーセンテージのバリアカバー範囲を提供するのに必要な内部層リーディングエッジの位置を達成しながら、生産することが可能である。

図12は、本明細書に教示される実施形態を実施するのに適した典型的なノズルアセンブリを示す。ノズルアセンブリ18には、内側組合せ手段30、中央組合せ手段32、および外側組合せ手段34が含まれる。ノズルアセンブリ18にはさらに、ノズル本体36とノズルチップ38が含まれる。内側組合せ手段30、中央組合せ手段32、外側組合せ手段34、ノズル本体36、およびノズルチップ38は協同的に組み合わさって、ノズルアセンブリ18内にいくつかの円錐形、環状、および軸方向の通路ならびに流路を形成する。ノズルアセンブリ18は、2層以上を有するプラスチック物品を形成するための共射出システム、例えばシステム1000、で用いるのに都合よくできている。

内側組合せ手段30は、第1のポリマー材64、例えばスキン材(すなわち、内側層と外側層の材料)を受け取るための第1の流入口46と、第2のポリマー材66、例えばコア材(すなわち、内部層の材料)を受け取るための第2の流入口44を含む。内側組合せ手段30はさらに、バルブピン42を受け取るように構成された貫通孔40を含む。貫通孔40は中央組合せ手段32を通って、さらに外側組合せ手段34の一部を通って延びており、バルブピン42がノズルアセンブリ18の縦軸に沿って軸方向に移動することを可能にする。貫通孔40はノズルアセンブリ18の中心縦軸に沿って変化する内壁径を有する。バルブピン42はノズルアセンブリ18の中心縦軸に沿って軸方向に移動可能であり、第1のポリマー材64と第2のポリマー材66のノズルアセンブリ18から金型24への流れを制御するのに役立つ。

中央組合せ手段32は内側組合せ手段30と協同的に係合して、ノズルアセンブリ18の複数の環状流路の一部を形成する。中央組合せ手段32は流路37から第1のポリマー材64を受け取り、また、流路41から第2のポリマー材66を受け取って、複数の環状流体運搬通路または流路を通るポリマー材のそれぞれの流れを操作する。中央組合せ手段32によって実施される流れの操作は、外側材料流58と内側材料流56(これらの流れが一緒になって内部材料流60を包み込む)を生じさせる。

中央組合せ手段32は、内側組合せ手段30と一体になったとき、貫通孔40およびバルブピン42のまわりに円周方向に延在するラップ・コートハンガーダイ(wrapped-coat-hanger die)31を形成する。ラップ・コートハンガーダイ31は、環状流体流路48に第1のポリマー材64の均一な溶融分布を提供する。環状流体流路48は内側材料流56の環状流をオリフィスから流れ組合せエリア54に向かわせる。

外側組合せ手段34は中央組合せ手段32と協同的に係合して、得られるプラスチック物品の内部層を形成する第2のポリマー材66を操作するための1つ以上の流体運搬通路または流路を形成する。外側組合せ手段34は、中央組合せ手段32と一体になったとき、内側材料流56、貫通孔40およびバルブピン42のまわりに円周方向に延在するラップ・コートハンガーダイ33を形成する。ラップ・コートハンガーダイ33は、円錐流体流路52に第2のポリマー材66の均一な溶融分布を提供する。円錐流路52は第2のポリマー材66の環状流を別のオリフィスから流れ組合せエリア54に供給する。

外側組合せ手段34はノズル本体36と協同的に係合する。外側組合せ手段34は、ノズル本体36と一体になったとき、内部層流52、内側層流56、貫通孔40、およびバルブピン42のまわりに円周方向に延在するラップ・コートハンガーダイ35を形成する。ラップ・コートハンガーダイ35は、半径方向流体流路50に第1のポリマー材64の均一な溶融分布を提供する。半径方向流体流路50はオリフィスからの第1のポリマー材64の流れを流れ組合せエリア54に供給する。オリフィスから流れ組合せエリア54に供給された第1のポリマー材64は、得られる成形品の外側層を形成する。

流体流路48、50および52は、流れ組合せエリア54に、外側材料流58、内側材料流56、および内部材料流60を供給する。ノズルチップ38の一部、外側組合せ手段34の一部、中央組合せ手段32の一部、およびバルブピン42の一部は、組み合わさって、流れ組合せエリア54を形成する。流れ組合せエリア54は約6.7mm〜約17.2mmの内側通路径を有する。流れ組合せエリア54は、流体流路50から受け取った外側材料流58と、流体流路48から受け取った内側材料流56と、流体流路52から受け取った内部材料流60とを同時にまたはほぼ同時に組み合わせて、環状出力流を形成する。

内側組合せ手段30、中央組合せ手段32および外側組合せ手段34の流路、孔および通路、より具体的にはノズルアセンブリ18における内側および外側層材料の形成と流れに関連した流路、孔および通路は、上で説明したような所望の体積流量比を制御するまたは生じさせるために、サイズを決定し、画定し、適合させ、そして構成することができる。こうして、バルブピン42は固定位置にとどまることができ、特定の体積流量比を制御または形成するために移動させる必要がない。言い換えれば、ノズルアセンブリ18は、関連するコントローラまたはマイクロプロセッサを必要とすることなく、所望のまたは所定の体積流量比を出力するための流路構成および構造を備えている。いくつかの例示的な実施形態では、体積流量比を制御するために、バルブピン42をコントローラまたはマイクロプロセッサで制御してもよい。

環状出力流49は流れ組合せエリア54から流体流路62を経てノズルアセンブリ18の出力部39へと流れる。流体流路62は、貫通孔40のまわりに半径方向に延在しかつ流れ組合せエリア54から出力部39まで軸方向に延在する環状内側通路を有する。出力部39は金型のゲート、例えばゲート20A〜20Dのうちの1つ、と連通している。

流れ組合せエリア54で形成された環状出力流49は、第1のポリマー材64から形成された外側環状スキン層および内側環状スキン層と、第2のポリマー材66から形成された内部またはコア環状層とを有する。第1のポリマー材64の内側および外側スキン層はそれぞれ、これらの材料が流体流路62を通って出力部39へ流れるとき、実質的に同じ断面積を有する。第1のポリマー材64の内側および外側スキン層は、得られるプラスチック物品のコア部を形成する第2のポリマー材66の内部層を包み込んでいる。

ノズルアセンブリ18からの射出時に、複合ポリマー流49は、図13に示すように、内側53および外側51のポリマー流の間の同心または環状ストリームラインに沿って流れる内部コア流55を含む。

本明細書の教示に基づいて当業者には認識されるように、本開示の上記および他の実施形態に対して、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神から逸脱することなく、多くの変更および修飾をおこなうことが可能である。したがって、この実施形態の詳細な説明は、限定的な意味とは対照的に、例示的な意味で解釈されるべきである。

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