メタロセンポリプロピレン樹脂におけるスリップブルームを向上させるための核生成の使用

申请号 JP2018521580 申请日 2016-10-14 公开(公告)号 JP2018535298A 公开(公告)日 2018-11-29
申请人 フイナ・テクノロジー・インコーポレーテツド; FINA TECHNOLOGY, INCORPORATED; 发明人 リランド,マーク; カーティス,ルディ・エル;
摘要 方法は、メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と合わせて組成物を調製し、そして組成物からキャストフィルムを作製することを含む。スリップ剤は、キャストフィルム中に核剤が存在せず、他の点では同じキャストフィルム中においてスリップ剤が示すスリップブルーム速度より向上したスリップブルーム速度をキャストフィルム中で示すことができる。キャストフィルムは、キャストフィルム中に核剤が存在せず、他の点では同じキャストフィルムの摩擦係数より低い摩擦係数を示すことができる。 【選択図】図1
权利要求

メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と合わせて組成物を調製し;そして組成物からキャストフィルムを作製する ことを含んでなる方法。メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と合わせることが、メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と溶融配合することを含む、請求項1の方法。組成物からのキャストフィルムの作製が、組成物を溶融状態で1個もしくはそれより多いオリフィスを有するスロット又はダイを介して押出すことを含み、ここで溶融状態における組成物を溶融プラークとしてスロット又はダイを介して出し、チルローラー上に取り上げながら一軸延伸し、冷却してキャストフィルムを作製する、請求項1の方法。メタロセン触媒ポリプロピレンがホモポリマーである、請求項1の方法。メタロセン触媒ポリプロピレンが組成物の合計重量に基づいて80重量パーセント〜99.9重量パーセントの範囲の量で組成物中に存在する、請求項1の方法。核剤が、カルボン酸塩、タルク、シリカ、酸化亜鉛、ホスフェート、金属性シリケート和物、ジベンジリデンソルビトールの有機誘導体、ソルビトールアセタール、有機ホスフェート塩あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項1の方法。核剤が2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウムを含むか;あるいは化学構造: を有する、請求項1の方法。核剤が、組成物の合計重量に基づいて0.05重量パーセント〜10重量パーセントの範囲の量で組成物中に存在する、請求項1の方法。スリップ剤が、ステアレート、ステアラミド、オレアミド、ベヘナミド、エルカミド又はそれらの組み合わせを含む、請求項1の方法。スリップ剤がシス−13−ドコセノアミドを含む、請求項1の方法。スリップ剤が、組成物の合計重量に基づいて0.05重量パーセント〜10重量パーセントの範囲の量で組成物中に存在する、請求項1の方法。キャストフィルム中におけるスリップ剤のスリップブルーム速度を向上させるため、ならびにキャストフィルムの摩擦係数を低下させるための方法であって、 メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と合わせて組成物を調製し; 組成物からキャストフィルムを作製する ことを含んでなり; ここでスリップ剤は、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルム中でスリップ剤が示すスリップブルーム速度より向上したスリップブルーム速度をキャストフィルム中で示し;且つ キャストフィルムは、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルムの摩擦係数より低い摩擦係数を示す、 方法。メタロセン触媒ポリプロピレン; スリップ剤;及び 核剤 を含んでなるキャストフィルム。メタロセン触媒ポリプロピレンがホモポリマーである、請求項13のキャストフィルム。メタロセン触媒ポリプロピレンが、キャストフィルムの合計重量に基づいて80重量パーセント〜99.9重量パーセントの範囲の量でキャストフィルム中に存在する、請求項13のキャストフィルム。核剤が、カルボン酸塩、タルク、シリカ、酸化亜鉛、ホスフェート、金属性シリケート水和物、ジベンジリデンソルビトールの有機誘導体、ソルビトールアセタール、有機ホスフェート塩あるいはそれらの組み合わせを含む請求項13のキャストフィルム。核剤が、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウムを含むか;あるいは化学構造: を有する、請求項13のキャストフィルム。核剤が、キャストフィルムの合計重量に基づいて0.05重量パーセント〜10重量パーセントの範囲の量でキャストフィルム中に存在する、請求項13のキャストフィルム。スリップ剤が、ステアレート、ステアラミド、オレアミド、ベヘナミド、エルカミド又はそれらの組み合わせを含む、請求項13のキャストフィルム。スリップ剤がシス−13−ドコセノアミドを含む、請求項13のキャストフィルム。スリップ剤が、キャストフィルムの合計重量に基づいて0.05重量パーセント〜10重量パーセントの範囲の量でキャストフィルム中に存在する、請求項13のキャストフィルム。キャストフィルムが1.0より低い摩擦係数を示す、請求項13のキャストフィルム。メタロセン触媒ポリプロピレン; スリップ剤; 核剤 を含んでなり、 ここでスリップ剤は、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルム中でスリップ剤が示すスリップブルーム速度より向上したスリップブルーム速度をキャストフィルム中で示し;且つ キャストフィルムは、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルムの摩擦係数より低い摩擦係数を示す キャストフィルム。

说明书全文

関連出願へのクロスリファレンス 本出願は、2015年11月5日に申請された米国特許出願第14/933,026号明細書からの優先権を主張し、その特許出願の記載事項の全体は引用することにより本明細書の内容となる。

分野 本開示の態様は一般的にポリプロピレンのキャストフィルムに関する。さらに特定的に、態様は核生成メタロセン触媒ポリプロピレンのキャストフィルムに関する。

背景 キャストフィルムを含む多様な完成物品を作製するために、多様な製品が種々の製造方法でポリオレフィン材料を使用している。キャストフィルムは、典型的には商業目的の種々の製品のラッピング又は包装において用いられる。多くの他のものの中でも包装、延伸フィルム(stretch film)、おむつの裏材料、ラベル、剥離ライナー、おもちゃ、ゲーム、スポーツ用品、医療機器及び食品容器のような多くの型の用途においてキャストフィルムを用いることができる。

最終的なフィルムの摩擦係数を改変するために、キャストフィルムの製造においてスリップ剤(slip agents)を用いることができる。典型的には、メタロセン触媒ポリプロピレンを用いて製造されるキャストフィルムは、キャストフィルムが同じ型及び量のスリップ剤を含有する時を含んで、チーグラー−ナッタ(Ziegler−Natta)触媒ポリプロピレンを用いて製造されるキャストフィルムより高い摩擦係数を示す。

概略 本開示はある方法を提供する。その方法は、メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤(nucleator)及びスリップ剤と合わせて組成物を調製することを含む。その方法は、組成物からキャストフィルムを作製することを含む。

本開示は、キャストフィルムにおけるスリップ剤のスリップブルーム速度(slip bloom rate)を向上させるため、ならびにキャストフィルムの摩擦係数を低下させるための方法を提供する。方法は、メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と合わせて組成物を調製することを含む。方法は、組成物からキャストフィルムを作製することを含む。スリップ剤は、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルム中でスリップ剤が示すスリップブルーム速度より向上したスリップブルーム速度をキャストフィルム中で示す。キャストフィルムは、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルムの摩擦係数より低い摩擦係数を示す。

本開示はキャストフィルムを提供する。キャストフィルムはメタロセン触媒ポリプロピレン、スリップ剤及び核剤を含む。

本開示はキャストフィルムを提供する。キャストフィルムはメタロセン触媒ポリプロピレン、スリップ剤及び核剤を含む。スリップ剤は、キャストフィルム中に核剤が存在しな いが、他の点では同じキャストフィルム中でスリップ剤が示すスリップブルーム速度より向上したスリップブルーム速度をキャストフィルム中で示す。キャストフィルムは、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルムの摩擦係数より低い摩擦係数を示す。

図面の簡単な記述 付随する図と一緒に読むと、以下の詳細な記述から本開示を理解することができる。

実施例に従う摩擦係数対時間のグラフである。

詳細な記述 ここで詳細な記述を提供する。以下の開示は特定の態様、変形及び実施例を含むが、開示はこれらの態様、変形又は実施例に制限されず、これらの態様、変形又は実施例は、本出願中の情報が利用可能な情報及び技術と組み合わされた時に、当該技術分野における通常の熟練者が開示を作り且つ利用できるようにするために含まれる。

本明細書で用いられる種々の用語を下記に示す。請求項中で用いられる用語が下記で定義されない限りにおいては、印刷出版物及び発行された特許において反映される通り、それは関連する技術分野における熟練者がその用語に与えてきた最も広範囲の定義を与えられるべきである。さらに、他のように特定されなければ、本明細書に記載されるすべての化合物は置換されているか又は置換されていないことができ、化合物のリストはその誘導体を含む。

さらに種々の範囲及び/又は数量的限界が下記で明らかに記載され得る。他にことわらなければ、末端(endpoints)は互換性であるべきことが意図されていると認識されるべきである。数量的範囲又は限界が明白に記載される場合、そのような明白な範囲又は限界は、明らかに記載される範囲又は限界内に含まれる同様の大きさの反復範囲又は限界を含むと理解されるべきである(例えば約1〜約10は2、3、4などを含み;0.10より大きいは0.11、0.12、0.13などを含む)。

本開示のある態様は方法に関する。その方法は、メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と合わせて組成物を調製することを含む。合わせることは、メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と配合することを含み得る。配合は、メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と溶融配合することを含み得る。いくつかの態様において、一軸もしくは二軸スクリュー押出機のような押出機における組成物の溶融押出により、溶融配合を行うことができる。メタロセン触媒ポリプロピレン、核剤及びスリップ剤をいずれの順序で合わせることもできる。例えば制限ではなく、核剤及びスリップ剤を最初に合わせ、続いてメタロセン触媒ポリプロピレンと合わせることができる。メタロセン触媒ポリプロピレンを最初に核剤と合わせ、続いてスリップ剤と合わせることができる。メタロセン触媒ポリプロピレンを最初にスリップ剤と合わせ、続いて核剤と合わせることができる。また、メタロセン触媒ポリプロピレンを核剤及びスリップ剤と同時に合わせることができる。

方法は、組成物からキャストフィルムを作製することを含み得る。キャストフィルムの作製は、組成物を溶融状態で1個もしくはそれより多いオリフィスを有するスロット又はダイを介して押出すことを含み得る。組成物を溶融プラークとしてスロット又はダイを介して出し、チルローラー上に取り上げながら一軸延伸し、冷却してキャストフィルムを作製することができる。チルローラーは冷されているか、クロムメッキされているか、又 は両方であることができる。いくつかの態様において、エアナイフ又は真空ボックス(vacuum box)からの空気をチルローラー上で溶融ブラークと接触させ、溶融プラークを冷却又はクエンチングすることができる。例えば150℃〜350℃、180℃〜350℃、160℃〜275℃、175℃〜225℃、190℃〜280℃、200℃〜250℃又は200℃〜215℃の範囲の温度で溶融組成物の押出を行うことができる。

いくつかの態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンは押出機に加えられる時にポリマーペレット又はフラフ(fluff)の形態にある。いくつかの態様において、メタロセン触媒ポリプロピレン、核剤及びスリップ剤は、キャストフィルムの押出が行われると同じ押出機において合される。

いくつかの態様において、方法は1つより多い層を押出す複数の押出機の使用を含み、1つより多い層を押出の後に一緒に接触させて多層フィルムを作製し、それらを集合的にチルローラー上に取り上げ、そこでそれを冷却して多層キャストフィルムを作製することができる。多層キャストフィルムの層の間に接着層又は接着剤を用いることができる。いくつかの態様において、多層キャストフィルムの層の上に接着層又は接着剤を用いない。

メタロセン触媒ポリプロピレンは、すべて組成物の合計重量に基づいて80〜99.9重量パーセント、85〜98重量パーセント又は90〜95重量パーセントの範囲の量で組成物中に存在することができる。

メタロセン触媒ポリプロピレンは、メタロセン触媒ポリプロピレンの合計重量に対して、少なくとも50重量パーセント、又は、少なくとも60重量パーセント、又は、少なくとも70重量パーセント、又は、少なくとも75重量パーセント、又は、少なくとも80重量パーセント、又は、少なくとも85重量パーセント、又は、少なくとも90重量パーセント、又は、少なくとも95重量パーセント、又は、少なくとも99重量パーセント、又は、100重量パーセントのプロピレンを有することができる。

メタロセン触媒ポリプロピレンはプロピレンホモポリマー、プロピレンランダムコポリマー又はプロピレン耐衝撃性コポリマーであることができる。いくつかの態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンは「ミニ−ランダム」ポリプロピレンであることができる。ミニ−ランダムポリプロピレンは、約1.0重量パーセントより少ないコモノマーを有する。

いくつかの態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンはシンジオタクチックポリプロピレン、アイソタクチックポリプロピレン又はアタクチックポリプロピレンである。本明細書で用いられる場合、「アイソタクチックポリプロピレン」という用語は、すべての置換基がポリマー鎖の同じ側上に位置するポリプロピレンを指す。本明細書で用いられる場合、「シンジオタクチックポリプロピレン」という用語は、置換基がポリマー鎖に沿って交互の位置を有するポリプロピレンを指す。本明細書で用いられる場合、「アタクチックポリプロピレン」という用語は、置換基がポリマー鎖に沿った位置において無作為に分布するポリプロピレンを指す。

本明細書で用いられる場合、「メタロセン触媒ポリプロピレン」は、メタロセン触媒の存在下で触媒されたポリプロピレンを指す。メタロセン触媒は、π結合を介して遷移金属と配位している1個もしくはそれより多いシクロペンタジエニル(Cp)基が導入された配位化合物として特徴付けられ得る。Cp基は置換されていることができるか又は置換されていないことができる。置換されたCp基の場合、各置換基は同じか又は異なることができる。Cp基上の置換基は直鎖状、分枝鎖状又は環状ヒドロカルビル基であることができる。環状ヒドロカルビル基はさらにインデニル、アズレニル及びフルオレニル基を含む がこれらに限られない他の連続環構造を形成することができる。これらの連続環構造はさらにC1〜C20ヒドロカルビル基のようなヒドロカルビル基により置換されているか又は置換されていないことができる。メタロセン触媒は、多くの場合に非担持又は均一触媒として用いられるが、それらを担持触媒成分において用いることもできる。メタロセン触媒を助触媒又は活性化剤としてのアルミノキサン、例えばメチルアルミノキサン(MAO)と一緒に用いることができる。いくつかの態様において、Cp基はハフニウム、ランタノイドならびにIVA、VA及びVIA族の遷移金属から選ばれる金属に結合していることができる。

Lumicene(登録商標) M3661は、ある態様に従うメタロセン触媒ポリプロピレンの1つの例である。Lumicene(登録商標) M3661はメタロセン触媒アイソタクチックプロピレンホモポリマーである。Lumicene(登録商標) M3661はTotal Petrochemicals & Refining USA,Incから入手可能である。表1は、Lumicene(登録商標) M3661のいくつかの典型的な性質を挙げている。

表1において、破断点引張強さ、破断点伸び、1%割線モジュラス、曇り度及び45°光沢度(gloss 45°)は2ミル(50μm)の非配向フィルム上で決定された。

態様において、メタロセン触媒ポリプロピレンは、ASTM D1505に従って決定される0.895g/cc〜0.920g/cc、0.900g/cc〜0.915g/cc、0.905g/cc〜0.915g/cc又は0.9g/ccの密度;示差走査熱量計により決定される145℃〜170℃、150℃〜168℃、160℃〜165℃又は150℃の融点;ならびにASTM D1238条件“L”(2.16kg,230℃)に従って決定される0.5g/10分〜50g/10分、又は、1.0g/10分〜25g/10分、又は、1.5g/10分〜15.0g/10分、又は、14g/10分の メルトフローレートを有することができる。

核剤は、それぞれ組成物の合計重量に基づいて0.05〜10重量パーセント、0.05〜5重量パーセント、0.8〜4重量パーセント又は1.0〜3.5重量パーセント又は0.06重量パーセントの範囲の量で組成物中に存在することができる。

核剤は、安息香酸ナトリウムを含むカルボン酸塩;タルク;シリカ;酸化亜鉛;ホスフェート;金属性シリケート水和物;ジベンジリデンソルビトールの有機誘導体;ソルビトールアセタール;有機ホスフェート塩;あるいはそれらの組み合わせであることができる。例えば制限ではないが、核剤はAmfine Chemicalから商業的に入手可能なAMFINE(登録商標) Na−11(登録商標);あるいはMilliken Chemicalから商業的に入手可能なHYPERFORM(登録商標) HPN−68L;あるいはそれらの組み合わせであることができる。Na−11は2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウムであるか又はそれを含有する。HYPERFORM(登録商標) HPN−68Lは化学構造(I):

であるか又はそれを含有する。

いくつかの態様において、核剤は2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウムである。いくつかの態様において、核剤は化学構造(I)を有する。用いられ得る商業的に入手可能な核剤の他の例には:それぞれMilliken Chemicalsから入手可能なMillad(登録商標) 3988(1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール)、Millad(登録商標) 3940(1,3−2,4−ジ−(4−トリリデン)−D−ソルビトール)、Millad(登録商標) 3905(1,3−2,4−ジ−(ベンジリデン)−D−ソルビトール)、Millad(登録商標) NX8000及びHYPERFORM(登録商標) HPN 20e(1,2−シクロヘキサンジカルボン酸カルシウム塩を含有する);Ciba(登録商標)から商業的に入手可能なIrgaclear(登録商標) XT 386(1,3,5−トリス−[2,2−ジメチルプロピオニルアミノ]ベンゼン);ならびにAmfine Chemicalsから商業的に入手可能なホスフェート塩であるADK NA−21、ADK NA−27及びADK NA−71が含まれる。スリップ剤は、組成物の押出のような加工の間及び直後に表面潤滑を与える添加剤であることができる。スリップ剤は組成物の合計重量に基づいて0.05〜10重量パーセント、0.05〜5重量パーセント、0.1〜3重量パーセント又は0.1〜1.0重量パーセント又は0.17重量パーセントの範囲の量で組成物中に存在することができる。

スリップ剤はアミドに基づくスリップ剤であることができる。いくつかの態様において、スリップ剤はワックスである。スリップ剤はステアリン酸カルシウム又はステアリン酸亜鉛のようなステアリン酸塩;エチレンビス−ステアラミド(EBS)のようなステアラミド;オレアミド;ベヘナミド;エルカミド;又はそれらの組み合わせを含むことができ る。例えば制限ではないがスリップ剤はシス−13−ドコセノアミドであることができる。

ある態様において、方法はメタロセン触媒ポリプロピレン及びスリップ剤を含有する組成物のキャストフィルムの摩擦係数(COF)を低下させることならびにキャストフィルム内のスリップ剤のスリップブルーム速度を向上させることを含む。COFの低下及びスリップブルーム速度の向上は、組成物に核剤を加えることにより実行され得る。μにより記号化されることもあるCOFは無次元のスカラー値である。COFは2つの物体間の摩擦と2つの物体を互いに押し合う(pressing together)力の比である。COFを以下の式:f=μFnにより表すことができ、式中fは摩擦力であり、μはCOFであり、Fnは垂直抗力である。本明細書で用いられる場合、COFはASTM D1894に従って測定される。例えばキャストフィルムのCOFは、キャストフィルム上に加えられる力に対するキャストフィルムの1つの層をキャストフィルムの別の隣接する層を横切って滑らせるのに必要な力であることができる。例えば制限ではなく、当該技術分野における熟練者に既知の商業的に入手可能な機器、例えばINSTRON(登録商標)から入手可能なCoefficient of Friction Fixture,Model No.2810−005を用い、ASTM D1894に従ってCOFを測定することができる。本明細書で開示されるCOFsは複数のCOF測定の平均化により決定される平均COFsであり得る。理論に縛られるものではないが、メタロセン触媒ポリプロピレンにおけるスリップ剤と一緒の核剤の使用は、メタロセン触媒ポリプロピレンにおけるスリップ剤のスリップブルーム速度を向上させ、且つスリップブルーム速度における向上はCOFを低下させると思われる。本明細書で用いられる場合、「スリップブルーム速度」は、キャストフィルムの押出後のキャストフィルムの表面へのスリップ剤の拡散の速度を指す。

ある態様は、キャストフィルムに関する。いくつかの態様において、キャストフィルムは本明細書に記載される方法により製造される。キャストフィルムは、本明細書に記載されるメタロセン触媒ポリプロピレン、本明細書に記載されるスリップ剤及び本明細書に記載される核剤を含む本明細書に記載される組成物を含む。

ある態様において、キャストフィルムは、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルムのCOFより低いCOFを示す。いくつかの態様において、キャストフィルムは、キャストフィルム中に核剤が存在しないが、他の点では同じキャストフィルムのCOFより少なくとも99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%又は10%低いCOFを示す。例えば他の点では同じキャストフィルムに関するCOFが2.5であり、キャストフィルムに関するCOFが他の点では同じキャストフィルムのCOFより99%低い場合、キャストフィルムのCOFは0.025であろう。

いくつかの態様において、キャストフィルムのCOFは1.00より低いか、0.90より低いか、0.80より低いか、0.70より低いか、0.60より低いか、0.50より低いか、0.40より低いか、又は0.30より低い。

いくつかの態様において、キャストフィルムのCOFは少なくともキャストフィルムの作製後のある時間に及んで低下する。例えばキャストフィルムの作製が完了する時間、すなわちキャストフィルムの押出の時間としてt=0を定義することができる。いくつかの態様において、t>0の時、すなわちキャストフィルムの作製より後の時点に、キャストフィルムのCOFはより低い。少なくともある時間(a portion of time)に及んで、キャストフィルムのCOFはtが増加するとともに低下し得る。例えば制限ではなく、キャストフィルムの作製から1日後のキャストフィルムのCOFは、キャス トフィルムの作製が完了する時点におけるキャストフィルムのCOF(COFinitial)より低いかも知れない。キャストフィルムの作製から2、3、4、5、6、7、8、9及び10日後におけるキャストフィルムのCOFは、COFinitialより低いかも知れない。理論に縛られるものではないが、時間を経てのキャストフィルムのCOFの低下は、スリップ剤がキャストフィルムの表面に移動し、時間を経てキャストフィルムの表面におけるスリップ剤の濃度を向上させる故であり得る。

ある態様において、キャストフィルムは、メタロセン触媒ポリプロピレンがチーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレンで置き換えられているが、他の点では同じキャストフィルムのCOFと同じか又はそれより低いCOFを示す。本明細書で用いられる場合、「チーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレン」は、チーグラー−ナッタ触媒の存在下で重合したポリプロピレンを指す。チーグラー−ナッタ触媒系は、金属成分、例えば触媒前駆体と1種もしくはそれより多い追加の成分、例えば触媒担体、助触媒及び/又は1種もしくはそれより多い電子供与体との組み合わせにより形成され得る。チーグラー−ナッタ触媒の例は式(II): MRAx;(II) により示される金属成分を含む。

式IIにおいて、Mは遷移金属であり;RAはハロゲン、アルコキシ又はヒドロカルボキシル基であり;そしてxは遷移金属の原子価である。例えばxは1〜4であることができる。

いくつかの態様において、キャストフィルムは本明細書に記載される方法により作製され得る多層キャストフィルムである。いくつかの態様において、多層キャストフィルムの1つもしくはそれより多くの層は固体の基材、例えば紙又は板紙であることができる。

本明細書に開示されるキャストフィルムから製品を製造することができる。製品には延伸フィルム、健康衛生製品(例えばおむつ)、剥離ライナー、テープ、自立パウチ(stand−up pouches)、収縮包装、強力バッグ及び運送袋、キャリアエンベロープ(carrier envelopes)、食品包装、ティッシュ及びタオル上包み(overwraps)、ペットフードバッグ、工業用フィルム(industrial films)、クリングフィルム(cling films)、パーソナルケアフィルム(personal care films)、高明澄度フィルム(high clarity films)及びラベルが含まれ得るが、これらに限られない。

いくつかの態様において、キャストフィルムはスリップ剤及び核剤以外の1種もしくはそれより多い添加剤を含有することができる。スリップ剤及び核剤以外の添加剤には炭酸カルシウムのような充填剤;顔料;酸化防止剤;安定剤;腐食防止剤;UV安定剤;及び粘着防止剤が含まれ得るが、これらに限られない。いくつかの態様において、スリップ剤及び核剤以外の添加剤は、すべてキャストフィルム又は組成物の合計重量に基づいて0.01〜5重量パーセント、0.01〜1重量パーセント又は0.1〜0.5重量パーセントの範囲の量でキャストフィルム又は組成物中に存在することができる。いくつかの態様において、キャストフィルムはスリップ剤及び核剤以外の添加剤を含有しない。

開示を一般的に記載してきたが、以下の実施例は開示の特定の態様を示す。実施例は例として示され、明細書又は請求項を制限することを意図していないと理解される。実施例中で示されるすべての組成物のパーセンテージは重量による。

メタロセン触媒ポリプロピレンにおいてスリップ剤と一緒に核生成を用いることが、核 生成の不在下における同じメタロセン触媒ポリプロピレンより低下したCOFを有するキャストフィルムを与えるかどうかを決定するために試験を行った。

アイソタクチックメタロセン触媒ポリプロピレンホモポリマー、Lumicene(登録商標) M3661を含有する3種の試料を調製した。試料Aは対照標準試料であり、Lumicene(登録商標) M3661をスリップ剤としての0.17重量パーセントのエルカミド(シス−13−ドコセノアミド)と配合することにより調製された。試料Aは核剤を含有しなかった。配合の後、2ミルの試料Aのキャストフィルムを作製した(M3661対照標準)。

試料BはLumicene(登録商標) M3661を0.17重量パーセントのエルカミド及び化学構造:

を有する核剤としての0.06重量パーセントのHYPERFORM(登録商標) HPN−68Lと配合することにより調製された。

配合の後、2ミルの試料Bのキャストフィルムを作製した(M3661/HPN−68L)。

試料CはLumicene(登録商標) M3661を0.17重量パーセントのエルカミド及び核剤としての0.06重量パーセントのNA−11(登録商標)(2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム)と配合することにより調製された。配合の後、2ミルの試料Cのキャストフィルムを作製した(M3661/NA−11)。

さらに、チーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレンを含有する3種の試料を調製した。用いられたチーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレンは3575であり、それはTotal Petrochemicals & Refining USA,Incから入手可能な流動学制御ポリプロピレン樹脂(controlled rheology polypropylene resin)であり、Lumicene(登録商標) M3661のメルトフローに適合させるために14g/10分の目標メルトフロー(target melt flow)を有した。

試料Dは対照標準試料であり、3575をスリップ剤としての0.17重量パーセントのエルカミドと配合することにより調製された。試料Dは核剤を含有しなかった。配合の後、2ミルの試料Dのキャストフィルムを作製した(3575対照標準)。

試料Eは3575を0.17重量パーセントのエルカミド及び核剤としての0.06重量パーセントのHYPERFORM(登録商標) HPN−68Lと配合することにより調製された。配合の後、2ミルの試料Eのキャストフィルムを作製した(3575/HPN−68L)。

試料Fは3575を0.17重量パーセントのエルカミド及び核剤としての0.06重量パーセントのNA−11(登録商標)と配合することにより調製された。配合の後、2ミルの試料Fのキャストフィルムを作製した(3575/NA−11)。

試料A、B、C、D、E及びFから作製されるそれぞれの2ミルのキャストフィルムの切片を平均COFの測定のために採用した。各フィルム試料についての平均COFを、INSTRON(登録商標)から入手可能なCoefficient of Friction Fixture,Model No.2810−005及びBLUEHILL(登録商標)ソフトウェアを用い、ASTM D1894に従って6インチの距離に及んで測定した。各フィルム試料の1つの切片をCoefficient of Friction Fixtureの基板にテープ付けし、各フィルム試料の第2の切片をCoefficient of Friction Fixtureのスレッドの下側に取り付けた。フィルムの第2の切片を有するスレッドに、基板上のフィルムの第1の切片を6インチの距離に及んで横切らせ、フィルムの第2の切片がフィルムの第1の切片を横切って滑るようにした。Coefficient of Friction Fixture及びBLUEHILL(登録商標)ソフトウェアは各フィルム試料に関して平均COFを算出した。少なくとも3回の実験のCOFの標準偏差が平均値の10%以内になるまで各試料に関する試験を行った。図は、この実施例のために作製されたキャストフィルムのCOFを時間(日における)に対してプロットしているグラフである。図において、x−軸上の「Green」は、キャストフィルムの作製の時間、t=0、すなわちキャストフィルムの押出の時間である。試料Aのキャストフィルム(M3661 対照標準)は最も高い初期COFを有し、それはキャストフィルムの作製から3日後まで低下する。試料A(M3661 対照標準)のキャストフィルム作製から3日より後、COFは上昇し始める。

メタロセン触媒ポリプロピレン対照標準試料と反対に、試料D(3575 対照標準)のキャストフィルムは作製時に実質的により低い初期COFを有し、COFはキャストフィルムの作製から後の8日を通じて低下し続けた。かくしてチーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレン及びスリップ剤を含有するキャストフィルムは、核剤なしでメタロセン触媒ポリプロピレン及びスリップ剤を含有するキャストフィルムより低いCOFを示す。

試料B(M3661/HPN−68L)及び試料C(M3661/NA−11)のキャストフィルムは両方とも試料A(M3661 対照標準)のキャストフィルムのCOFより低い、及び試料D(3575 対照標準)のキャストフィルムのCOFより低い初期COFsを示す。また、試料B(M3661/HPN−68L)及び試料C(M3661/NA−11)のキャストフィルムのCOFsは、キャストフィルムの作製から後の8日を通じて低下し続けた。

試料E(3575/HPN−68L)及び試料F(3575/NA−11)のキャストフィルムは、両方とも試料D(3575 対照標準)のキャストフィルムのCOFより低い初期COFsを示した。また、試料E(3575/HPN−68L)及び試料F(3575/NA−11)のキャストフィルムのCOFsは、キャストフィルムの作製から後の8日を通じて低下し続けた。かくしてチーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレン及びスリップ剤を含有するキャストフィルム組成物への核剤の添加は、キャストフィルムにおけるCOFの低下を生じた。

結果は、スリップ剤及びメタロセン触媒ポリプロピレンと組み合わせて核剤を含有するキャストフィルムが、核剤を存在せず、他の点では同じキャストフィルムよりキャストフィルムのCOFを低下させることを示している。また結果は、スリップ剤及びメタロセン触媒ポリプロピレンと組み合わせて核剤を含有するキャストフィルムが、核剤と一緒にか 又はそれなしでチーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレン及びスリップ剤を含有するキャストフィルムのCOFに匹敵するCOFを有することを示す。

かくしてこの実施例は、核剤の添加がチーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレン及びメタロセン触媒ポリプロピレンの両方においてCOFを低下させることを示す。しかしながら、メタロセン触媒ポリプロピレンの場合の対照標準試料におけるCOFに対する核生成試料に関するCOFの変化は、チーグラー−ナッタ触媒ポリプロピレンの場合の対照標試料におけるCOFに対する核生成試料に関するCOFの変化より大きい。

図から明らかな通り、スリップ剤及びメタロセン触媒ポリプロピレンと一緒に核生成を用い、キャストフィルムのCOFを低下させることができる。

状況によって、本明細書における「開示」へのすべての言及は、いくつかの場合にはある特定の態様のみを指し得る。他の場合、それは1つ又はそれより多くの、しかし必ずしもすべてではない請求項において引用される主題を指し得る。前記は本開示の態様、変形及び実施例に向けられるが、それらは本特許中の情報が利用可能な情報及び技術と組み合わされた時に、当該技術分野における通常の熟練者が本開示を作り且つ利用できるようにするために含まれ、開示はこれらの特定の態様、変形及び実施例のみに制限されない。本開示の他の及びさらなる態様、変形及び実施例はその基本的な範囲から逸脱することなく考案され得、その範囲は続く請求項により決定される。

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