孔を有する成形体、及びその製造方法

申请号 JP2017538902 申请日 2016-07-19 公开(公告)号 JPWO2017043186A1 公开(公告)日 2018-03-08
申请人 帝人株式会社; 发明人 鈴木 秀平; 横溝 穂高;
摘要 炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを含む、孔h1を設けた成形体であって、孔h1の周辺に領域aを有し、領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2
权利要求

炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを含む、孔h1を設けた成形体であって、孔h1の周辺に領域aを有し、 領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1であり、 領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係が0.2 成形体。前記炭素繊維が、重量平均繊維長Lwの不連続炭素繊維であって、 領域aは、孔h1の内壁面W1と、内壁面W1から距離Lwの位置に、内壁面W1に対して平行に描かれる仮想外壁面W2とで、囲まれた領域である、 請求項1に記載の成形体。前記領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係が、0.2前記熱可塑性樹脂の線膨張率をCmとしたとき、Cm/C2<1である、請求項1〜3いずれか1項に記載の成形体。前記線膨張率C1が22×10−5/℃以下である請求項1〜4いずれか1項に記載の成形体。前記炭素繊維の重量平均繊維長Lwが1〜100mmである請求項1〜5いずれか1項に記載の成形体。請求項6に記載の成形体であって、領域a以外の成形体領域に含まれる炭素繊維が面内方向に2次元ランダムに分散し、領域a以外の成形体領域における面内方向の線膨張率C3が0超2.0×10−5/℃以下である成形体。前記成形体に含まれる炭素繊維は、下記式(1)で定義される臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)と、臨界単糸数未満の炭素繊維束(B1)および/または炭素繊維単糸(B2)とが混在し、炭素繊維束(A)の繊維全量に対する割合が5Vol%超99Vol%未満であり、さらに、上記炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)が、下記式(2)の条件を満たす請求項1〜7のいずれか1項に記載の成形体。 臨界単糸数=600/D (1) 0.6×104/D25/D2(2) (ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である。)炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを含む、孔h1を設けた成形体を、コールドプレスによって製造する方法であって、 雌雄一対の成形型の少なくともいずれか一方に、成形体に孔h1を形成するための孔形成部材を有し、 厚みtの成形材料に孔h0をあけた後に、前記孔形成部材に対応するように成形材料を成形型に配置し、 成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが0 成形体の製造方法。 ただし、前記成形体は、孔h1の周辺に領域aを有し、領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1であり、領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係が0.2成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが、0mm超Lmax以下である、請求項9に記載の成形体の製造方法。 ただし、Lmaxは前記炭素繊維の最大繊維長である。前記炭素繊維が、重量平均繊維長Lwの不連続炭素繊維であって、 領域aは、孔h1の内壁面W1と、内壁面W1から距離Lwの位置に、内壁面W1に対して平行に描かれる仮想外壁面W2とで、囲まれた領域である、 請求項9又は10に記載の成形体の製造方法。請求項9〜11いずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、 成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが、炭素繊維の最大繊維長Lmaxの1/10以上Lmax以下とする、 成形体の製造方法。孔h0の成形型の抜き方向への投影面積が、孔成形部材の成形型の抜き方向への投影面積に対して101%以上2000%以下である、請求項9〜12いずれか1項に記載の成形体の製造方法。

说明书全文

本発明は、炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む、孔を設けた成形体、及びその製造方法に関わるものである。

近年、機械分野において、炭素繊維と熱可塑性樹脂とを含む、いわゆる繊維強化樹脂成形体が注目されている。これら繊維強化樹脂成形体は熱可塑性樹脂内に炭素繊維が存在しているため、機械物性に優れており、自動車等の構造部材として注目されている。これら繊維強化樹脂成形体は、コールドプレスをはじめとする圧縮成形等を用いて目的とする形状に成形できる。また、繊維強化樹脂成形体として、成形体の一部に孔を有する成形体もよく知られている。

このような孔を有する繊維強化樹脂成形体の製造法として、たとえば特許文献1には、成形体の開口穴に対応する開口部を、予め成形材料に設けて予熱し、成形材料を圧縮成形して成形体を得る発明が記載されている。 また、特許文献2には、貫通孔周辺を意図的に弱体部として形成し、破壊され易くした締結構造が開示されている。

日本国特開平10−100175号公報

日本国特開2015−44339号公報

しかしながら、特許文献1に記載の方法では、開口穴を設けた成形体を流動成形する際、成形材料に含まれる繊維が流動せず、ほとんどが樹脂のみの流動によって開口穴周辺を形成するため、開口穴の周辺部が樹脂リッチな状態となり、開口穴周辺部の機械強度が低下してしまう。 一方、特許文献2に記載の方法では、孔周辺とそれ以外の部分での線膨張率が同じであるため、孔部分の寸法安定性を局所的に向上させることは難しかった。 そこで本発明の目的は、孔を設けた成形体であって、孔周辺部の機械強度と寸法安定性とを両立させた成形体、及びその製造方法を提供することである。

上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。

[1] 炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを含む、孔h1を設けた成形体であって、孔h1の周辺に領域aを有し、 領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1であり、 領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係が0.2

成形体。 [2] 前記炭素繊維が、重量平均繊維長Lwの不連続炭素繊維であって、 領域aは、孔h1の内壁面W1と、内壁面W1から距離Lwの位置に、内壁面W1に対して平行に描かれる仮想外壁面W2とで、囲まれた領域である、 [1]に記載の成形体。 [3] 前記領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係が、0.2

[4] 前記熱可塑性樹脂の線膨張率をCmとしたとき、Cm/C2<1である、[1]〜[3]いずれか1項に記載の成形体。 [5] 前記線膨張率C1が22×10−5/℃以下である[1]〜[4]いずれか1項に記載の成形体。 [6] 前記炭素繊維の重量平均繊維長Lwが1〜100mmである[1]〜[5]いずれか1項に記載の成形体。 [7] [6]に記載の成形体であって、領域a以外の成形体領域に含まれる炭素繊維が面内方向に2次元ランダムに分散し、領域a以外の成形体領域における面内方向の線膨張率C3が0超2.0×10−5/℃以下である成形体。 [8] 前記成形体に含まれる炭素繊維は、下記式(1)で定義される臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)と、臨界単糸数未満の炭素繊維束(B1)および/または炭素繊維単糸(B2)とが混在し、炭素繊維束(A)の繊維全量に対する割合が5Vol%超99Vol%未満であり、さらに、上記炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)が、下記式(2)の条件を満たす[1]〜[7]のいずれか1項に記載の成形体。 臨界単糸数=600/D (1) 0.6×104/D2

5/D

2(2) (ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である。) [9] 炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを含む、孔h1を設けた成形体を、コールドプレスによって製造する方法であって、 雌雄一対の成形型の少なくともいずれか一方に、成形体に孔h1を形成するための孔形成部材を有し、 厚みtの成形材料に孔h0をあけた後に、前記孔形成部材に対応するように成形材料を成形型に配置し、 成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが0

成形体の製造方法。 ただし、前記成形体は、孔h1の周辺に領域aを有し、領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1であり、領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係が0.2

[10] 成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが、0mm超Lmax以下である、[9]に記載の成形体の製造方法。 ただし、Lmaxは前記炭素繊維の最大繊維長である。 [11] 前記炭素繊維が、重量平均繊維長Lwの不連続炭素繊維であって、 領域aは、孔h1の内壁面W1と、内壁面W1から距離Lwの位置に、内壁面W1に対して平行に描かれる仮想外壁面W2とで、囲まれた領域である、 [9]又は[10]に記載の成形体の製造方法。 [12] [9]〜[11]いずれか1項に記載の成形体の製造方法であって、 成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが、炭素繊維の最大繊維長Lmaxの1/10以上Lmax以下とする、 成形体の製造方法。 [13] 孔h0の成形型の抜き方向への投影面積が、孔成形部材の成形型の抜き方向への投影面積に対して101%以上2000%以下である、[9]〜[12]いずれか1項に記載の成形体の製造方法。

本発明における孔を設けた成形体、及びその製造方法によれば、孔周辺部の機械強度を低下させることなく、孔周辺部の板厚方向の線膨張率を低く設計でき、孔周辺部における板厚方向の寸法安定性は優れたものとなる。

本発明における成形体の一例を示す模式図である。

図1における、「103−103’」の断面図である。

成形体の一例の製造方法を示した模式図である。

孔が2つある成形体の一例を示す模式図である。

孔が2つある成形体の一例の製造方法を示した模式図である。

本発明における孔h1を設けた成形体を2枚重ねて締結した模式図である。

実施例11における成形材料の孔h0と孔形成部材を示す模式図である。

実施例12における成形材料の孔h0と孔形成部材を示す模式図である。

本明細書で示す「成形材料」とは、成形体を成形する前の材料を指し、単に「成形材料」ともいう。

[炭素繊維] 本発明に用いられる炭素繊維としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、気相成長系炭素繊維などが知られているが、本発明においてはこれらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。

なかでも、本発明においては引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましい。炭素繊維としてPAN系炭素繊維を用いる場合、その引張弾性率は100GPa〜600GPaの範囲内であることが好ましく、200GPa〜500GPaの範囲内であることがより好ましく、230GPa〜450GPaの範囲内であることがさらに好ましい。また、引張強度は2000MPa〜10000MPaの範囲内であることが好ましく、3000MPa〜8000MPaの範囲内であることがより好ましい。

本発明に用いられる炭素繊維は、表面にサイジング剤が付着しているものであってもよい。サイジング剤が付着している炭素繊維を用いる場合、当該サイジング剤の種類は、炭素繊維及びマトリックス樹脂の種類に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。

(繊維長) 本発明に用いられる炭素繊維の繊維長に特に限定はなく、連続繊維や不連続炭素繊維を用いる事が出来る。 本発明に用いられる炭素繊維は、重量平均繊維長Lwが1〜100mmの不連続炭素繊維であることが好ましい。不連続炭素繊維の重量平均繊維長は、3〜80mmであることがより好ましく、5〜60mmであることがさらに好ましい。重量平均繊維長が100mm以下であれば、成形材料の流動性が低下せず、プレス成形の際に所望の成形体形状を得られる。一方、重量平均繊維長が1mm以上の場合、成形体の機械強度が低下せずに好ましい。また、重量平均繊維長Lwが1〜100mmの不連続炭素繊維と連続繊維とを併用してもよい。

本発明においては繊維長が互いに異なる炭素繊維を併用してもよい。換言すると、本発明に用いられる炭素繊維は、重量平均繊維長に単一のピークを有するものであってもよく、あるいは複数のピークを有するものであってもよい。 炭素繊維の平均繊維長は、例えば、成形体から無作為に抽出した100本の繊維の繊維長を、ノギス等を用いて1mm単位まで測定し、下記式(a)に基づいて求めることができる。 なお、個々の炭素繊維の繊維長をLi、測定本数をjとすると、数平均繊維長(Ln)と重量平均繊維長(Lw)とは、以下の式(a)、(b)により求められる。 Ln=ΣLi/j・・・式(a) Lw=(ΣLi2)/(ΣLi)・・・式(b) 繊維長が一定長の場合は数平均繊維長と重量平均繊維長は同じ値になる。 成形体からの炭素繊維の抽出は、例えば、成形体に対し、500℃×1時間程度の加熱処理を施し、炉内にて樹脂を除去することによって行うことができる。

(繊維径) 本発明に用いられる炭素繊維の繊維径は、炭素繊維の種類に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。平均繊維径は、通常、3μm〜50μmの範囲内であることが好ましく、4μm〜12μmの範囲内であることがより好ましく、5μm〜8μmの範囲内であることがさらに好ましい。ここで、上記平均繊維径は、炭素繊維の単糸の直径を指すものとする。したがって、炭素繊維が繊維束状である場合は、繊維束の径ではなく、繊維束を構成する炭素繊維(単糸)の直径を指す。炭素繊維の平均繊維径は、例えば、JIS R−7607:2000に記載された方法によって測定することができる。

(炭素繊維体積割合) 本発明において、下記式(c)で定義される、成形体(領域aと、領域a以外の成形体領域との両方を含む、成形体全体)に含まれる炭素繊維体積割合(以下、単に「Vf」ということがある)に特に限定は無いが、成形体における炭素繊維体積割合(Vf)は、10〜60Vol%であることが好ましく、20〜50Vol%であることがより好ましく、25〜45Vol%であればさらに好ましい。 炭素繊維体積割合(Vf)=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+熱可塑性樹脂体積) 式(c)

成形体における炭素繊維体積割合(Vf)が10Vol%以上の場合、所望の機械特性が得られやすい。一方で、成形体における炭素繊維体積割合(Vf)が60Vol%を超えない場合、プレス成形等に使用する際の流動性が良好で、所望の成形体形状を得られやすい。 なお、領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係については後述する。

(目付) 成形体における炭素繊維の目付量は、特に限定されるものではないが、通常、25g/m2〜10000g/m2とされる。

(繊維形態) 本発明に用いられる炭素繊維は、その種類に関わらず単糸からなる単糸状であってもよく、複数の単糸からなる繊維束状であってもよい。 本発明に用いられる炭素繊維は、繊維束状のものを含んでいてもよく、繊維束状のものを用いる場合、各繊維束を構成する単糸の数は、各繊維束においてほぼ均一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。

本発明に用いられる炭素繊維が繊維束状である場合、各繊維束を構成する単糸の数は特に限定されるものではないが、通常、1000本〜10万本の範囲内とされる。 一般的に、炭素繊維は、数千〜数万本のフィラメントが集合した繊維束状となっている。炭素繊維をこのまま使用すると、繊維束の交絡部が局部的に厚くなり薄肉の成形体を得ることが困難になる場合がある。このため、繊維束を拡幅したり、又は開繊したりして使用するのが通常である。

繊維束を開繊して用いる場合、開繊後の繊維束の開繊程度は特に限定されるものではないが、繊維束の開繊程度を制御し、特定本数以上の炭素繊維からなる炭素繊維束と、それ未満の炭素繊維(単糸)又は炭素繊維束を含むことが好ましい。この場合、具体的には、下記式(1)で定義される臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)と臨界単糸数未満の炭素繊維束(B1)および/または炭素繊維単糸(B2)とが混在し、炭素繊維束(A)の繊維全量に対する割合が0Vol%超99Vol%であることが好ましく、5Vol%超99Vol%であることがより好ましく、20Vol%以上99Vol未満であることが更に好ましく、30Vol%以上95Vol%未満であることが特に好ましい。炭素繊維束(A)の繊維全量に対する割合が上記範囲内であり、さらに、上記炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)が、下記式(2)を満たすものであれば好ましい。 臨界単糸数=600/D (1) 0.6×104/D2

5/D

2 (2) (ここでDは炭素繊維の平均繊維径(μm)である。)

このように特定本数以上の炭素繊維からなる炭素繊維束と、それ以外の開繊された炭素繊維又は炭素繊維束を特定の比率で共存させることで、成形体中の炭素繊維の存在量、すなわち繊維体積割合(Vf)を高めることが可能となるため好ましい。 また、炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)が0.6×104/D2より大きい場合、高い炭素繊維体積割合(Vf)のものを得ることが容易となり、優れた強度を有する繊維強化プラスチックを得るのが容易になる。また、炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)が6×105/D2未満の場合、局部的に厚い部分が生じにくく、ボイドの原因となりにくい。より好ましい平均繊維数(N)の範囲は、0.6×104/D2

5/D

2である。

(2次元ランダム) 領域a以外の成形体領域に含まれる炭素繊維は、繊維の長軸方向が成形体の面内方向において2次元ランダムに分散していることが好ましい。ただし、領域a以外の成形体領域の全範囲で2次元ランダムに分散している必要はなく、部分的な範囲で2次元ランダムに分散していても良い。

ここで、2次元ランダムに分散しているとは、炭素繊維が、成形体の面内方向において、一方向のような特定方向ではなく無秩序に配向しており、全体的には特定の方向性を示すことなく配置されている状態を言う。この2次元ランダムに分散している不連続繊維を用いて得られる成形体は、面内に異方性を有しない、実質的に等方性の成形体である。 また、成形体の面内方向とは、成形体の板厚方向に直交する方向である(図1、図4のXY方向)。長手方向あるいは幅方向がそれぞれ一定の方向を指すのに対して、面内方向は同一平面上(板厚方向に直交する平行な面)の不定の方向を意味している。 本発明の成形体において、板厚方向とは、成形体の厚み方向であり、図1、図2、図4でいうZ方向である。また、成形体の形状によっては板厚方向が複数存在する場合は、対象とする孔h1が延びている方向である。

なお、2次元ランダムの配向度は、互いに直交する二方向の引張弾性率の比を求めることで評価する。成形体の任意の方向、及びこれと直交する方向について、それぞれ測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った(Eδ)比が2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.3以下であれば、炭素繊維が2次元ランダムに分散していると評価できる。 炭素繊維が2次元ランダムに分散している場合、第2の孔h1−2を有する成形体を製造すると、2つの孔間距離の位置精度が、切削加工で孔を設ける場合と比べて飛躍的に向上する。

[熱可塑性樹脂] 本発明に用いられる熱可塑性樹脂は特に限定されるものではなく、成形体の用途等に応じて所望の軟化点又は融点を有するものを適宜選択して用いることができる。 上記熱可塑性樹脂としては、通常、軟化点が180℃〜350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。

上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)等のスチレン系樹脂、ポリアミド6樹脂(ナイロン6)、ポリアミド11樹脂(ナイロン11)、ポリアミド12樹脂(ナイロン12)、ポリアミド46樹脂(ナイロン46)、ポリアミド66樹脂(ナイロン66)、ポリアミド610樹脂(ナイロン610)等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ボリブチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、液晶ポリエステル等のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリメチルメタクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、変性ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルケトンケトン樹脂、ウレタン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂などが挙げられる。

本発明に用いられる熱可塑性樹脂は1種類のみであってもよく、2種類以上であってもよい。2種類以上の熱可塑性樹脂を併用する態様としては、例えば、相互に軟化点又は融点が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様や、相互に平均分子量が異なる熱可塑性樹脂を併用する態様等を挙げることができるが、この限りではない。

[成形材料の製造方法] 本発明に用いられる成形材料は、一般的に公知の方法を用いて製造することができ、例えば、成形材料前駆体である2次元ランダム配列マットおよびその製造法については、米国特許第8946342号、特開2013−49208号公報の明細書に詳しく記載されている。

[成形体] 本発明における成形体は、炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを含む、孔h1を設けた成形体であって、孔h1の周辺に領域aを有し、領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1である。

(孔h1) 本発明における孔h1とは、成形体の板厚方向に開口して設けられた孔であり、例えば図1のh1で示される孔が挙げられる。孔h1は貫通孔であることが好ましい。 孔h1の形状に関しては、特に制限がなく、板厚方向から見た孔の形状が、例えば円形状、楕円形状、三形状や四角形状などの各種多角形状、不定形状であっても良い。好ましい形状としては円形状、楕円形状、三角形状であり、より好ましい形状としては円形状である。また、形状が円形状である場合、後述する孔成形部材との関係もあるが、直径1mm以上100mm以下の円形状であることが好ましく、直径5mm以上50mm以下の円形状であることがより好ましい。 孔h1の役割に特に限定は無いが、例えば、孔に締結棒を通過させる役割、基準位置とする役割、他部材との干渉を避ける役割などがある。

(領域a) 本発明において定義される領域aとは、孔h1の内壁面W1と、内壁面W1から距離Lw(Lwは成形体に含まれる炭素繊維の重量平均繊維長)の位置に、内壁面W1に対して平行に描かれる仮想外壁面W2とで、囲まれた領域である(例えば図2の201)。 領域aは、孔h1の内壁面W1と、内壁面W1から20mmの位置に、内壁面W1に対して平行に描かれる仮想外壁面W2とで、囲まれた領域であることが好ましい。 成形体の面内方向の任意の面において、板厚方向から見た内壁面W1のなす図形と、仮想外壁面W2のなす図形とは、相似である。 また、領域aは、孔h1の内壁面W1から連続した領域であって、炭素繊維が3次元に配向している部分を含む領域である。

(板厚方向の線膨張率) 本発明における領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係は、C1/C2<1である。 線膨張率とは、物体が温度の上昇又は下降によって、膨張又は収縮する比率の温度変化に対する割合で、特に長さの変化を表し、単位温度当たりのひずみで示される。単位は/℃や、%/℃で表される。線膨張係数とも呼ぶ。なお、線膨張率の測定は、試験片を前処理として110℃×24時間、真空乾燥したのち、以下の通りに行えば良い。

試験片形状:板厚方向×面内方向×面内方向の直方体状にサンプルを切り出し、板厚方向に圧縮する(測定する)。板厚方向とは、図1、図2、図4でいうZ方向である。 試験機種:TMA/SS7100(セイコーインスツルメンツ株式会社製) 昇温速度:5℃/min 試験荷重:圧縮荷重 49mN プローブ直径:2.9mm 測定雰囲気:窒素雰囲気下(100ml/min) 試験温度範囲:25〜200℃

(板厚方向の線膨張率の関係) C1/C2<1である場合、孔h1の周辺である領域aにおいて寸法安定性が向上する。従来は成形体全体の線膨張率のみを制御していたが、本発明にいては、成形体全体の線膨張率に比べて、孔h1の周辺である領域aのみ線膨張率を下げている。これは成形体全体の板厚方向の寸法安定性を向上させるよりも、孔周辺部のみ局所的に線膨張率を制御すれば良いので、製造上極めて有利である。 C1/C2<1とするための具体的な方法に特に限定は無いが、後述するように成形材料に孔h0を設けて、成形時に成形材料を流動させて孔h1を形成する手段や、領域aのみに線膨張率が低い樹脂を特異的に用いたり、領域aのみ炭素繊維を意図的に板厚方向に配向させたりして孔h1を設ける手段が挙げられる。 製造方法の簡便性から鑑みると、後述するように成形材料に孔h0を設けて、成形時に成形材料を流動させて孔h1を形成することが好ましい。

好ましいC1/C2は、C1/C2<0.9であり、より好ましくはC1/C2<0.7であり、更に好ましくはC1/C2<0.5であり、最も好ましくはC1/C2<0.3である。 具体的な線膨張率C1の値に特に限定は無いが、22×10−5/℃以下であることが好ましく、より好ましくは15×10−5/℃以下であり、更に好ましくは10×10−5/℃以下である。線膨張率C1が22×10−5/℃以下であれば、例えば孔h1に樹脂リベットなどの締結棒を挿入して締結した場合、締結が安定する。

(熱可塑性樹脂の線膨張率) 本発明における線膨張率C2は、好ましくは熱可塑性樹脂の線膨張率をCmとしたとき、Cm/C2<1である。 線膨張率Cmに対して、線膨張率C2が大きいことが意味するのは、熱可塑性樹脂に炭素繊維を含む事により板厚方向の線膨張率が上昇していることを意味する。 Cm/C2<1になる理由として、本発明者らは、以下(i)、(ii)のように考えている。

(i)炭素繊維が板厚方向に配向せずに、成形体の面内方向に一方向や異方性を持って分散していたり、面内方向に2次元ランダムに分散していたりする場合に、領域a以外の成形体領域に含まれる炭素繊維が、炭素繊維配向方向に熱可塑性樹脂が膨張することが難しく、熱可塑性樹脂は板厚方向に積極的に膨張するためである。 (ii)炭素繊維が不連続炭素繊維である場合、領域a以外の成形体領域におけるスプリングバックにより板厚方向に膨張しやすいためである。なお、スプリングバックとは、圧縮されて固定された炭素繊維の集合体において、その固定が失われ又は弱められたときに、圧縮前の状態に戻ろうとする現象のことである。

Cm/C2<1であることにより、例えば本発明における成形体を用いて締結体を作成する場合、孔h1周辺(領域a)では寸法安定性を保ちながらも、成形体の隙間において、高温下でのシーリング効果が増大するという、極めて異質な効果を奏する。 図6に具体例を示す。図6は2枚の本発明の成形体の孔h1重ねてリベットで締結した締結体の断面模式図を表している。図6に描かれている締結体(図6の601)では、本発明における孔h1を設けた成形体(図6の101)を2枚準備して、孔h1が重なるように積層した後、孔h1に樹脂などのリベット(図6の602)を挿入し、2枚の成形体をかしめ締結している。このとき、領域aを含む部分で、かしめ締結しているため、締結部周辺の板厚方向の寸法安定性には優れている。一方、領域a以外の成形体領域では、特に高温領域下で板厚方向に膨張しやすい(図6の矢印方向)。この事により、互いの成形体(図6の101)の間が狭くなり、締結体におけるシーリング効果が増大する。 なお、熱硬化性樹脂の線膨張率は、熱可塑性樹脂の線膨張率に対して非常に小さいものである。

(面内方向の線膨張率C3) 本発明における成形体は、領域a以外の成形体領域に含まれる炭素繊維が、面内方向に2次元ランダムに分散し、領域a以外の成形体領域における面内方向の線膨張率C3が0超2.0×10−5/℃以下であることが好ましい。面内方向の線膨張率C3は、0.10×10−5/℃以上2.0×10−5/℃以下であればより好ましい。この範囲であれば、第2の孔h1−2を有する成形体を製造する場合、孔の位置決めが容易になるという点で優れた効果を奏する(面内方向とは、図1、図4のXY方向である)。 ただし、領域a以外の成形体領域の全範囲で、面内方向の線膨張率が上記範囲内である必要はなく、部分的に上記範囲内にある成形体であっても良い。 また、孔h1−2とは孔h1とは異なる、別の新たな孔であり、例えば図4のh1−2を指す。 なお、面内方向の線膨張率C3の測定は、前述した板厚方向の線膨張率の測定方法において、圧縮方向(測定方向)を面内方向にして測定すれば良い。

(成形体の厚み) 本発明の成形体の厚みは特に限定されるものではないが、通常、0.01mm〜100mmの範囲内が好ましく、0.01mm〜10.0mmの範囲内がより好ましく、0.1mm〜5.0mmの範囲内が更に好ましい。 また、領域aにおける成形体の厚みT1と、領域a以外の成形体領域における厚みT2との関係に特に限定は無いが、0.5

なお、本発明に用いられる成形体が、複数の層が積層された構成を有する場合、上記厚みは各層の厚みを指すのではなく、各層の厚みを合計した成形体全体の厚みを指すものとする。 本発明に用いられる成形体は、単一の層からなる単層構造を有するものであってもよく、又は複数層が積層された積層構造を有するものであってもよい。 成形体が上記積層構造を有する態様としては、同一の組成を有する複数の層が積層された態様であってもよく、又は互いに異なる組成を有する複数の層が積層された態様であってもよい。

(領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係) 本発明において、成形体に含まれる炭素繊維体積割合(Vf)は、上述した通り特に限定は無いが、領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係は0.2

0.2

好ましいVf1/Vf2の関係は、0.2

なお、抄紙法などにより、炭素繊維が完全に開繊された状態の成形材料を用いて成形した場合、領域aは樹脂リッチとなり、締結部の機械強度が低下する。

[成形体の製造方法(コールドプレス法)] 本発明の成形体を製造するにあたっての好ましい成形方法としては、コールドプレスを用いたプレス成形が利用される。 コールドプレス法は、例えば、第1の所定温度に加熱した成形材料を第2の所定温度に設定された成形型内に投入した後、加圧・冷却を行う。 具体的には、成形材料を構成する熱可塑性樹脂が結晶性である場合、第1の所定温度は融点以上であり、第2の所定温度は融点未満である。熱可塑性樹脂が非晶性である場合、第1の所定温度はガラス転移温度以上であり、第2の所定温度はガラス転移温度未満である。

すなわち、コールドプレス法は、少なくとも以下の工程A−1)〜A−2)を含んでいる。 工程A−1)成形材料を、熱可塑性樹脂が結晶性の場合は融点以上分解温度以下、非晶性の場合はガラス転移温度以上分解温度以下に加温する工程。 工程A−2)上記工程A−1)で加温された成形材料を、熱可塑性樹脂が結晶性の場合は融点未満、非晶性の場合はガラス転移温度未満に温度調節された成形型に配置し、加圧する工程。 これらの工程を行うことで、成形材料の成形を完結させることができる。

なお、成形型に投入する際、成形材料は、対象の成形体の板厚に合わせて、単独(1枚で)又は複数枚用いられる。複数枚用いる場合、複数枚を予め積層して加熱してもよいし、加熱した成形材料を積層した後に成形型内に投入してもよいし、加熱した成形材料を成形型内に順次積層してもよい。なお、積層した場合の最下層の成形材料と最上層の複合材料との温度差は少ない方が良く、この観点からは、成形型に投入する前に積層した方が好ましい。

上記の各工程は、上記の順番で行う必要があるが、各工程間に他の工程を含んでもよい。他の工程とは、例えば、工程A−2)の前に、工程A−2)で利用される成形型と別の賦形型を利用して、成形型のキャビティの形状に予め賦形する賦形工程等がある。 また、工程A−2)は、成形材料に圧を加えて所望形状の成形体を得る工程であるが、このときの成形圧力については特に限定はしないが、20MPa未満が好ましく、10MPa以下であるとより好ましい。 また、当然のことであるが、プレス成形時に種々の工程を上記の工程間に入れてもよく、例えば真空にしながらプレス成形する真空圧縮成形を用いてもよい。

[成形体の製造方法] 本発明の成形体の製造方法は、 炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを含む、孔h1を設けた成形体を、コールドプレスによって製造する方法であって、 雌雄一対の成形型の少なくともいずれか一方に、成形体に孔h1を形成するための孔形成部材を有し、 厚みtの成形材料に孔h0をあけた後に、前記孔形成部材に対応するように成形材料を成形型に配置し、 成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが0

成形体の製造方法であることが好ましい。 ただし、前記成形体は、孔h1の周辺に領域aを有し、領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1であり、領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係が0.2

また、本発明の成形体の製造方法は、 最大繊維長Lmaxの炭素繊維と、熱可塑性樹脂とを含む、孔h1を設けた成形体をコールドプレスによって製造する方法であって、 雌雄一対の成形型の少なくともいずれか一方に、成形体の所望の位置に孔h1を形成するための孔形成部材を有し、 成形材料に孔h0をあけた後に、前記孔形成部材に対応するように成形材料を成形型に配置し、 成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離が0mm超Lmax以下とすることがより好ましい。 ただし、前記成形体は、孔h1の周辺に領域aを有し、領域aにおける板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1であり、領域aの炭素繊維体積割合Vf1と、領域a以外の成形体領域の炭素繊維体積割合Vf2との関係が0.2

本発明の成形体の製造方法は、形成される孔h1の精度に優れる。

(成形材料の孔h0) 成形材料の孔h0とは、成形体の孔h1に対応する場所に、予め設けられた開口した孔h0であり、例えば図3の(a)に示したような孔h0である。 成形材料に孔h0を設ける手段としては、ピアス型、トムソン刃、ドリル、エンドミル、等の刃物や、ウォータージェットやレーザーカットを用いることができる。

(孔h1を設けた成形体の製造例) 成形体の所望の位置に孔h1を形成するための孔成形部材は、雌雄一対の成形型の少なくともいずれか一方(すなわち上型又は下型)に設けられていれば良く、例えば図3(b)のような下型の突起(302)が例示できる。なお、孔成形部材は、ピンを成形型に配置することで設けられ、コアピンと呼ばれる場合もある。 図3に成形体を製造するための成形型の例をその断面概略図で示すが、成形型はプレス装置(図示せず)に取り付けられた雌雄一対(303、304)の上型下型で構成されており、通常その一方、場合によってはその両方が成形型の開閉方向に移動可能(図では、雄金型は固定され、雌金型が移動可能となっている)となっている。

これらの成形型は製品形状に応じたキャビティ面を有しており、図3においては、所定の位置に開口を形成せしめるための孔成形部材として、成形型内を成形型の開閉方向に進退可能であって、目的とする成形体の孔h1と同じ断面形状の孔成形部材が、目的とする成形体の孔h1の位置に対応して設けられている。 孔成形部材を設ける成形型は雌雄いずれの成形型であってもよいが、予熱して軟化状態にある成形材料の供給を容易にするためには、成形材料を配置する側の成形型に設けるのが好ましい。また、場合によっては型締時に孔成形部材の先端面が相対して接するように、雌雄両方の成形型に設けてもよい。

以下、図3に示す成形型を用いた場合の本発明の方法を説明する。雌雄両成形型(303、304)を開放状態とし、成形材料(301)を雄成形型(303)のキャビティ面に載置する。成形型に設けられた孔形成部材(302)に対応する位置には、該孔形成部材(302)の投影面積よりも大きい投影面積を有する孔h0が成形材料に設けられており(図3)、成形材料(301)はこの孔h0内に孔形成部材(302)を挿入して成形型下型に載置される(図3の(b))。 孔形成部材に対応するように孔h0を有する成形材料を成形型に配置するとは、具体的には孔形成部材を成形材料の孔h0に通して配置することである。

下型303のキャビティ面上に、孔h0に孔成形部材302を挿入した成形材料を配置したのち、上型304の降下を開始する。上型の降下にしたがって下型に設けた孔成形部材の先端面と上型の成形面が接触し、更に降下を続けると、孔形成部材は、上型(図3、5でいう304)に予め設けておいた、孔形成部材の収納部(図示せず)に収まり、成形材料(301)は流動して孔h1を有する成形体は製造される。 成形完了後、雌雄両金型を開放して成形体を取り出すことにより、孔h1有する成形体が得られる。

(成形材料の配置方法) 厚みtの成形材料(例えば図3の301)を成形型に配置した際には、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが0

より好ましい平均距離Lfの上限は、7t未満であり、更に好ましくは6t未満であり、より一層好ましくは3t以下である。 なお、成形材料の厚みtは特に限定されるものではないが、通常0.01mm〜100mmの範囲内が好ましく、0.01mm〜10.0mmの範囲内が好ましく、0.1mm〜5.0mmの範囲内がより好ましい。 なお、本発明に用いられる成形材料が複数の層が積層された構成を有する場合、上記厚みtは各層の厚みを指すのではなく、各層の厚みを合計した成形材料全体の厚みを指すものとする。本発明における成形材料は、単一の層からなる単層構造を有するものであってもよく、又は複数層が積層された積層構造を有するものであっても良い。成形材料が上記積層構造を有する態様としては、同一の組成を有する複数の層が積層された態様であってもよく、又は互いに異なる組成を有する複数の層が積層された態様であっても良い。 また、成形材料(例えば図3の301)を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfが0mm超最大繊維長Lmax以下とすることがより好ましい。 成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との距離とは、例えば図3(b)の305で示すように、内壁面W0から孔形成部材までの距離であり、その平均距離は、孔形成部材302と、孔h0の形状が不定形状であったり、配置する場所に偏りが有る場合であったりしても、その平均をとる。

(平均距離Lfの下限) 成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfの下限は、最大繊維長Lmaxの1/10以上がより好ましく、3mm以上であることが更に好ましく、5mm以上であるとより一層好ましい。 成形材料を成形型に配置した際、成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfを0mm超にすると、成形時に炭素繊維と樹脂が共に流動しながら孔h0の内壁面W0が孔成形部材に近づいて、成形体の孔h1の内壁面W1を形成する。このとき、例えば炭素繊維が面内方向に2次元ランダムに分散している成形材料を用いた場合、流動部分は、炭素繊維が板厚方向(図2におけるZ方向)を含めた3次元方向に配向している状態に変化する。一方、成形材料が流動して成形されない部分(成形前後でほとんど動かない部分)は、炭素繊維は面内方向に2次元ランダムに分散している状態が維持される。

流動部分において、炭素繊維がこのように板厚方向に配向する結果、孔h1の周辺(領域a)における板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1である成形体が得られる。 このことは、2次元ランダムに分散している成形材料ではなく、一方向に配列している成形材料を用いても、同様である。すなわち、領域aでは炭素繊維が板厚方向にも配向するが、領域a以外の成形体領域では、一方向に配向している状態となって成形が完了する。このため、孔h1の周辺(領域a)における板厚方向の線膨張率C1と、領域a以外の成形体領域における板厚方向の線膨張率C2との関係が、C1/C2<1である(一方向性の)成形体が得られる。

なお、成形時に炭素繊維と熱可塑性樹脂が共に流動しながら孔h0の内壁面W0が孔成形部材に近づいて、成形体の孔h1の内壁面W1を形成するには、上述したように、炭素繊維が、上記式(1)で定義される臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)と、臨界単糸数未満の炭素繊維束(B1)および/または炭素繊維単糸(B2)とが混在し、炭素繊維束(A)の繊維全量に対する割合が5Vol%超99Vol%未満であり、さらに、上記炭素繊維束(A)中の平均繊維数(N)が、上記式(2)の条件を満たしていると良い。

(平均距離Lfの上限) 成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lfの上限は10t(tは成形材料の厚み)以下であることが好ましく、最大繊維長Lmax以下であることがより好ましいが、30mm以下であることが更に好ましく、20mm以下であると特に好ましい。最大繊維長Lmax以下で流動させれば、成形材料の成形型への配置が簡便になるという点で有利であるし、少なくとも1つの不連続繊維がほぼ完全に流動距離を進むので、より確実に領域aにおいて炭素繊維を板厚方向に配向させることができる。

(上記製造方法の更なる効果) 上述の好ましい成形方法を採用した場合、切削加工により成形体に孔を設けるよりも、生産効率が向上するだけでなく、孔の精度も向上する。 すなわち、成形体を大量生産する場合、成形する際に孔を設ける事で、個々の成形体にそれぞれ切削加工する切削加工工程を省略できる。更に、孔h1周辺(領域a)の繊維体積割合が比較的高いために、寸法安定性が良好であり、成形体に設けた孔の真円度は高いまま維持される。

(孔h0の投影面積) 孔h0の大きさである孔h0の投影面積は、孔成形部材の投影面積の101%以上2000%以下であることが好ましい。投影面積とは、成形型の抜き方向への投影面積であり、図3(a)でいうZ方向である。 孔h0の投影面積と孔成形部材の投影面積の関係が上記範囲にある場合、成形材料を成形する時の作業性に優れ、かつ成形体における孔精度や孔周辺の強度(領域aの強度)を向上させる事ができる。孔h0の投影面積が孔成形部材の投影面積の101%以上であると、成形材料が有する孔h0を孔成形材料に配置するのが容易になり、成形後の孔h1の周辺が肉厚になるなどの問題が発生しにくい。逆に、孔h0の投影面積が孔成形部材の投影面積の2000%以下であると、孔の周りが薄肉化しにくく、孔h0と孔成形部材との距離にバラツキが発生しにくく、孔精度を保つのが容易となる。

さらに、孔成形部材を成形型下型に設けた場合、成形体の成形型下型への固定力を高める事ができ、成形型開放時の成形体の位置が一定になり、成形体の取り出しを安定的に行うことができる。これによって、優れた工程通過性を有する成形体の製造方法とする事ができる。 好ましい孔h0の投影面積は、孔成形部材の投影面積の105%以上1700%以下であり、より好ましくは110%以上1500%以下である。

以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

1.以下の製造例、実施例で用いた原料は以下の通りである。なお、分解温度は、熱重量分析による測定結果である。 ・PAN系炭素繊維 東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24K(平均繊維径7μm) ・ポリアミド6 以下、PA6と略する場合がある。 結晶性樹脂、融点225℃、分解温度(空気中)300℃、 線膨張率:10×10−5/℃

2.本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。 (1)炭素繊維体積割合(Vf)の分析 成形体を500℃×1時間、炉内にて熱可塑性樹脂を燃焼除去し、処理前後の試料の質量を秤量することによって炭素繊維分と熱可塑性樹脂の質量を算出した。次に、各成分の比重を用いて、炭素繊維と熱可塑性樹脂の体積割合を算出した。成形材料に関しても、含有する炭素繊維体積割合をVfで表す。 式(c) Vf=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+熱可塑性樹脂体積) なお、領域aとそれ以外の部分でVf(Vf1とVf2)を測定する場合は、成形体のそれぞれの箇所を切削して取り出し、測定した。

(2)成形体に含まれる炭素繊維の重量平均繊維長の分析 成形体に含まれる炭素繊維の重量平均繊維長は、500℃×1時間程度、炉内にて熱可塑性樹脂を除去した後、無作為に抽出した炭素繊維100本の長さをノギスおよびルーペで1mm単位まで測定して記録し、測定した全ての炭素繊維の長さ(Li、ここでi=1〜100の整数)から、次式により重量平均繊維長(Lw)を求めた。 Lw=(ΣLi2)/(ΣLi) ・・・ 式(b) なお、成形材料に含まれる炭素繊維の重量平均繊維長についても上記と同様の方法で測定することができる。

(3)線膨張率の測定 試験片を前処理として110℃×24時間、真空乾燥したのち、以下の測定条件で測定した。 試験片形状:2.5mm(板厚方向)×5mm(面内方向)×5mm(面内方向) 試験機種:TMA/SS7100(セイコーインスツルメンツ株式会社製) 昇温速度:5℃/min 試験荷重:圧縮荷重 49mN プローブ直径:2.9mm 測定雰囲気:窒素雰囲気下(100ml/min) 試験温度範囲:25〜200℃ なお、線膨張率を測定する際の圧縮方向は、以下(i)〜(iii)の試料における、それぞれの方向である。 (i)線膨張率C1:領域aにおける板厚方向 (ii)線膨張率C2:領域a以外の成形体領域における板厚方向 (iii)線膨張率C3:領域a以外の成形体領域における面内方向 また、(i)においては、孔h1の内壁面W1から内壁面W1の法線方向の外側に向かって4つ試験片を切り出して測定し、平均をとった。(ii)と(iii)においては、領域aから50mm以上離れた場所で試験片を切り出した。

(4)孔h1を含まない箇所の繊維強化樹脂成形体、及び孔h1を含む箇所(領域aを含む箇所)の繊維強化樹脂成形体の強度は、JIS K7161:1994に準じてそれぞれダンベル形状を切出し、引張強度を測定した。 また、孔h1を含まない箇所の引張強度に対する、孔h1を含む箇所の引張強度低下率(%)を、下記式に基づき計算した。 引張強度低下率(%)=(孔h1を含まない箇所の引張強度−孔h1を含む箇所の引張強度)÷孔h1を含まない箇所の引張強度×100

(5)締結安定性の評価 製造した成形体を2枚準備し、孔h1が重なるように積層して、樹脂リベットを用いてかしめ締結し、締結体を作成した。樹脂リベットは、クリンチリベット(ナイロン6、ミツカワ製、品番CR32−2−1)を用いた。 締結体を常温(20℃)から170℃まで昇温した後に下降するサイクルを50回繰り返した後、100μmと180μmのシックネスゲージを成形体とリベットの隙間に入れて、締結安定性を評価した。 Excellent:100μmシックネスゲージが隙間に入らなかった。 Good:180μmのシックネスゲージが入らずに、100μmシックネスゲージが隙間に入った。 Bad:180μmシックネスゲージが隙間に入った。

(6)成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との平均距離Lf 製造された成形体の孔h1の周辺を観察し、成形材料が流動した範囲を定規で測定した。孔h1(真円)から法線方向に、均等間隔12方向で距離を測定し、平均値(mm)を算出した。なお、成形材料が流動した範囲は目視で確認した。

(7)孔h1の精度の評価 各実施例、比較例においては、100個の成形体を製造し、1個の成形体につき孔h1を1つずつ設け、合計100個の孔h1を作成した。CMM測定機(3次元測定機、Coordinate Measuring Machine、ニコンインステック社製LKV20.15.10)を用いて、100個製造した孔h1のうち、最初の10個の孔h1の平均直径と、最後の10個の孔h1の平均直径を測定した。

[製造例1]成形材料の製造 炭素繊維として、平均繊維長20mmにカットした東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24K(平均繊維径7μm、単繊維数24,000本)を使用し、樹脂として、ユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030を用いて、米国特許第8946342号に記載された方法に基づき、炭素繊維目付け1456g/m2、ナイロン6樹脂目付け1620g/m2である二次元ランダムに炭素繊維が配向した炭素繊維およびナイロン6樹脂の成形材料前駆体を作成した。得られた成形材料前駆体を260℃に加熱したプレス装置にて、2.0MPaにて5分間加熱し、平均厚み2.5mmの成形材料(i)を得た。 得られた成形材料について、それに含まれる炭素繊維の解析を行ったところ、前記式(1)で定義される臨界単糸数は86本、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)中の平均単糸数(N)は820本であり、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)の割合は全炭素繊維量の80Vol%であった。また、炭素繊維体積割合(Vf)は35%、炭素繊維の繊維長は一定長であり、重量平均繊維長は20mmであった。

[製造例2] 上記製造例1で成形材料前駆体を作成した後、成形材料前駆体から60mm×60mm切り出し、切り出された部分の代わりに同形状で同体積のナイロン6樹脂ペレットを配置した。これを260℃に加熱したプレス装置にて、2.0MPaにて5分間加熱し、平均厚み2.5mmの成形材料(ii)を得た。成形材料(ii)は成形材料(i)の一部がナイロン6樹脂で置き換えられた部分を有するものである。

[製造例3] ユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030のみを用いて射出成形し、平均厚み2.5mmの射出成形板を準備した。

[製造例4] 成形材料前駆体を作成する際、開繊度を上げて成形材料前駆体を作成したこと以外は、実施例1と同様にして成形材料を準備し、これを成形材料(iii)とした。得られた成形材料について、それに含まれる炭素繊維の解析を行ったところ、前記式(1)で定義される臨界単糸数は86本、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)中の平均単糸数(N)は420本であり、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)の割合は全炭素繊維量の35Vol%であった。また、炭素繊維体積割合(Vf)は35%、炭素繊維の繊維長は一定長であり、重量平均繊維長は20mmであった。

[製造例5] 成形材料前駆体を作成する際、開繊度を上げて成形材料前駆体を作成したこと以外は、実施例1と同様にして成形材料を準備し、これを成形材料(iv)とした。得られた成形材料について、それに含まれる炭素繊維の解析を行ったところ、前記式(1)で定義される臨界単糸数は86本、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)中の平均単糸数(N)は100本であり、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)の割合は全炭素繊維量の5Vol%であった。また、炭素繊維体積割合(Vf)は35%、炭素繊維の繊維長は一定長であり、重量平均繊維長は20mmであった。

[製造例6] 成形材料前駆体を作成する際、開繊度を調整して成形材料前駆体を作成したこと以外は、製造例1と同様にして成形材料を準備し、これを成形材料(v)とした。得られた成形材料について、それに含まれる炭素繊維の解析を行ったところ、前記式(1)で定義される臨界単糸数は86本、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)中の平均単糸数(N)は200本であり、臨界単糸数以上で構成される炭素繊維束(A)の割合は全炭素繊維量の10Vol%であった。また、炭素繊維体積割合(Vf)は35%、炭素繊維の繊維長は一定長であり、重量平均繊維長は20mmであった。結果を表1に示す。

[製造例7] 成形材料の平均厚みが1mmとなるように、炭素繊維目付とナイロン樹脂目付を調整して成形材料前駆体を作成したこと以外は、製造例1と同様にして成形材料を作成し、これを成形材料(vi)とした。

[実施例1] 製造例1で得られた成形材料(i)を95mm×195mmに切り出し、図3に示す位置に孔h0を設けた。孔h0の孔径は直径40mmであった。これを120℃の熱風乾燥機で4時間乾燥した後、赤外線加熱機により275℃まで昇温した。成形型としては、100mm×200mmの平板状の成形キャビティを有するものに、図3に示す位置に孔形成部材を配置したものを用いた。なお、孔成形部材の成形型の抜き方向への投影面積は137mm2であった。成形型の抜き方向から見た際の孔形成部材の形状は直径13.20mmの真円形状であった。 この成形型を140℃に設定し、加熱した成形材料を成形型内に導入し、プレス圧力10MPaで1分間加圧し、孔h1(真円形状)を有する成形体を得た。また、この作業を100回繰り返して、孔h1を有する成形体を100個作成し、上述のように孔h1の精度を評価した。結果を表2に示す。

[実施例2] 孔h0の孔径を直径30mmとしたこと以外は、実施例1と同様にしてプレス成形し、成形体を得た。結果を表2に示す。

[実施例3] 孔h0の孔径を直径16mmとしたこと以外は、実施例1と同様にしてプレス成形し、成形体を得た。結果を表2に示す。

[実施例4] 孔h0の孔径を直径14mmとしたこと以外は、実施例1と同様にしてプレス成形し、成形体を得た。結果を表2に示す。

[実施例5] 成形材料(iii)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてプレス成形し、成形体を得た、結果を表2に示す。

[実施例6] 成形材料(v)を用いたこと以外は、実施例1と同様にプレス成形し、成形体を得た。結果を表2に示す。

[実施例7] 孔h0の孔径を50mmとしたこと以外は、実施例1と同様にプレス成形し、成形体を得た。結果を表2に示す。

[実施例8] 孔h0の孔径を62mmとしたこと以外は、実施例1と同様にプレス成形し、成形体を得た。結果を表3に示す。

[実施例9] 孔形成部材(真円形状)の直径を5.20mm、孔h0の孔径を30mmとしたこと以外は、実施例1と同様にプレス成形し、成形体を得た。結果を表3に示す。

[実施例10] 孔形成部材(真円形状)の直径を30.20mm、孔h0の孔径を62mmとしたこと以外は、実施例1と同様にプレス成形し、成形体を得た。結果を表3に示す。

[実施例11] 孔形成部材の形状を1辺6mmの正方形とし、成形材料の流動距離が10mmとなるように、孔形成部材の形状に沿って、孔h0を設けて成形材料を配置した(図7参照)。これ以外は、実施例1と同様にプレスし、成形体を得た。結果を表4に示す。

[実施例12] 孔形成部材の形状を1辺6mmの正三角形とし、成形材料の流動距離が10mmとなるように、孔形成部材の形状に沿って、孔h0を設けて成形材料を配置した(図8参照)。これ以外は、実施例1と同様にプレスし、成形体を得た。結果を表4に示す。

[実施例13] 成形材料(vi)を用い、孔h0(真円形状)の直径を14mmとしたこと以外は、実施例1と同様にプレスし、成形体を得た。結果を表4に示す。

[実施例14] 成形材料(i)を2枚重ねて成形材料の厚みを5mmとしたこと以外は、実施例1と同様にプレスし、成形体を得た。結果を表4に示す。

[実施例15] 成形材料(i)を4枚重ねて成形材料の厚みを10mmとし、孔h0(真円形状)の直径を150mmとしたこと以外は、実施例1と同様にプレスし、成形体を得た。結果を表4に示す。

[比較例1] 成形材料(i)を95mm×195mmに切り出し、孔h0を設けず、120℃の熱風乾燥機で4時間乾燥した後、赤外線加熱機により275℃まで昇温した。成形型としては、100mm×200mmの平板状の成形キャビティを有するものに、孔形成部材を配置しないもの用いた。この成形型を140℃に設定し、加熱した成形材料を成形型内に導入し、プレス圧力10MPaで1分間加圧し、孔を有しない成形体を得た。 得られた成形体に対し、3軸マシニングセンターを用いて加工を行った。螺旋状切削刃のねじれ角が0°、すくい角が10°、刃数(t)が4枚、直径6mmのエンドミルを用いて切削加工し(回転数が8000(1/min)であったので、送り速度は800mm/min)、直径13.2mmの真円状の孔を成形体に設けた。切削加工により孔を設けたため、1工程増加し、生産性に劣るものであった。結果を表3に示す。

[比較例2] 成形材料(ii)を、ナイロン6樹脂で置き換えた部分を含めて95mm×195mmに切り出し、ナイロン6樹脂で置き換えた部分(60mm×60mm)に、図3に示す位置に孔h0(直径40mm)を設けた。これを120℃の熱風乾燥機で4時間乾燥した後、赤外線加熱機により275℃まで昇温した。成形型としては、100mm×200mmの平板状の成形キャビティを有するものに、図3に示す位置に孔形成部材を配置したものを用いた。なお、孔成形部材の成形型の抜き方向への投影面積は137mm2であった。 この成形型を140℃に設定し、加熱した成形材料を成形型内に導入し、プレス圧力10MPaで1分間加圧し、成形体を得た。また、連続して100個の成形体に対してエンドミルで切削したが、この際エンドミルの刃は次第に摩耗した。この結果、最後の10個を作成する際には、摩耗が原因で目的の真円形状を作成できなかった(目的とする真円形状よりも小さくなった)。結果を表3に示す。

[比較例3] 製造例3で得られた射出成形板に対し、螺旋状切削刃のねじれ角が0°、すくい角が10°、刃数(t)が4枚、直径6mmのエンドミルを用いて切削加工し(回転数が8000(1/min)であったので、送り速度は800mm/min)、直径13mmの真円状の孔を射出成形板に設けた。結果を表3に示す。

[比較例4] 成形材料(iv)を用いたこと以外は、実施例1と同様にしてプレス成形し、成形体を得た、結果を表3に示す。

本発明の成形体及びその製造方法は、各種構成部材、例えば自動車の内板、外板、構造部材、また各種電気製品、機械のフレームや筐体等に用いることができる。好ましくは、自動車部品として利用できる。

本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。 本出願は、2015年9月8日出願の日本特許出願(特願2015−176617)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。

101 成形体 201 領域aを示す範囲 301 孔h0を設けた成形材料 302 孔形成部材 303 成形型の下型 304 成形型の上型 305 成形材料の孔h0の内壁面W0と、孔形成部材との距離 501 孔h0と、孔h0−2とを設けた成形材料 601 本発明における孔h1を設けた成形体を2枚重ねて締結した締結体 602 樹脂リベットを用いてかしめられた締結棒 h0 成形材料に設けた孔 h0−2 成形材料に設けた、孔h0とは別の、第2の孔 h1 成形体に設けた孔 h1−2 成形体に設けた、孔h1とは別の、第2の孔 W1 内壁面 W2 仮想外壁面 W0 成形材料の孔h0の内壁面

QQ群二维码
意见反馈