プリフォームの製造方法及び繊維強化樹脂成形品の製造方法

申请号 JP2013552039 申请日 2013-10-30 公开(公告)号 JP5668874B2 公开(公告)日 2015-02-12
申请人 三菱レイヨン株式会社; 发明人 佳秀 柿本; 佳秀 柿本;
摘要
权利要求
  • プリフォームを製造する方法であって、
    賦形面と前記賦形面の少なくとも一部を構成する分離可能部とを有するプリフォーム型と、シート状のプリプレグとを準備し、
    前記プリフォーム型を用いて前記プリプレグを賦形したのち、前記プリフォーム型から前記分離可能部とともにプリフォームを取り外す、プリフォームの製造方法。
  • 前記分離可能部として、前記分離可能部を除く前記プリフォーム型の材質と異なる材質を用いる請求項1に記載のプリフォームの製造方法。
  • 前記プリフォーム型が、一対の型からなる請求項1または2に記載のプリフォームの製造方法。
  • 前記一対の型のうち一方のみが前記分離可能部を有する請求項3に記載のプリフォームの製造方法。
  • 前記一対の型のそれぞれが、その賦形面の少なくとも一部に前記分離可能部を有する請求項3に記載のプリフォームの製造方法。
  • 前記分離可能部の材質として、金属または樹脂組成物を用いる請求項1〜5のいずれか一項に記載のプリフォームの製造方法。
  • 前記分離可能部の材質として、熱硬化性樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料を用いる請求項6に記載のプリフォームの製造方法。
  • 前記分離可能部の厚みが0.5〜10.0mmである請求項6または7に記載のプリフォームの製造方法。
  • 請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリフォームの製造方法によって前記分離可能部に固定された前記プリフォームを得て、
    前記分離可能部に固定された前記プリフォームを冷却した後で、前記分離可能部と前記プリフォームとを分離し、
    圧縮成形装置によって前記プリフォームを成形することで繊維強化樹脂成形品を得る繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  • 前記分離可能部と前記プリフォームとを分離する前に、前記分離可能部の外縁部に沿って前記プリフォームを切断する工程をさらに有する請求項9に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  • 請求項1〜8のいずれか一項に記載のプリフォームの製造方法によって前記分離可能部に固定された前記プリフォームを得て、
    圧縮成形装置によって前記分離可能部と前記プリフォームとを一体成形することで繊維強化樹脂成形品を得る繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  • 圧縮成形装置によって前記プリフォームを成形する前に、前記分離可能部の外縁部に沿って前記プリフォームを切断する工程をさらに有する請求項 11に記載の繊維強化樹脂成形品の製造方法。
  • 说明书全文

    この発明は、シート状のプリプレグを所定形状に賦形して得られるプリフォームを製造する方法に関する。 また、本発明は、上記の製造方法で得られたプリフォームから繊維強化樹脂成形品を製造する方法に関する。
    本願は、2012年10月30日に、日本に出願された特願2012−238471号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。

    従来、例えば強化繊維に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させて形成されるシート状のプリプレグを成形型内で加熱、加圧することで、繊維強化樹脂成形品を製造する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。

    上記繊維強化樹脂成形品が曲面を含む三次元形状を有するような場合には、所望の繊維強化樹脂成形品を得る本成形の前に、シート状のプリプレグを最終成形品の形状を考慮した所定形状に賦形し、プリフォームを製造する技術も知られている。

    所望のプリフォームを得る方法として、以下のような方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
    (i)複数枚積層したプリプレグを赤外線ヒーターで加熱する。
    (ii)加熱されたプリプレグを雄型及び雌型のプリフォーム型で挟むことでプリプレグを折り曲げる。
    (iii)プリフォーム型に空気を吹き付けてプリプレグを冷却する。
    (iv)プリフォーム型を開いて、折り曲げられた形状が保持されるようにプリプレグを取り出す。
    また、凸形状を有したプリフォーム型に所定温度まで加熱したプリプレグを配置し、ゴム膜で押し付けながらプリプレグを賦形する方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。

    また、シワの発生を抑制するために、パターンカットシートの外周の一部に延長部分を設けたプリプレグを複数枚積層し、プリフォーム成形機に設置した張付与手段により張力を付与しながら賦形して、賦形後にその延長部分を切除して所望のプリフォームを得る方法も知られている(例えば、特許文献4参照)。

    国際公開第2004/018186号

    日本国特開2009−83128号公報

    日本国特開2006−7492号公報

    日本国特開2011−110899号公報

    しかしながら、タックが強いプリプレグまたは粘度の低い樹脂をマトリックスとするプリプレグを賦形したプリフォームを、プリフォーム型から形状が保持されるように取り出すためには、プリフォーム型を冷却することでプリフォームを冷却したり、プリフォーム型上のプリフォームに長い時間空気を吹き付けるなどして十分にプリフォームを冷却したりする必要があった。 プリフォームを冷却するのに要する時間が長いと、それだけプリフォームの製造に時間が掛かり、効率が大きく低下する。 また、賦形後のプリプレグの冷却が不十分な状態でプリフォームをプリフォーム型から取り外そうとすると、プリフォームの形状を大きく乱してしまう。 従って、プリフォームの形状精度が大きく低下する問題があった。

    また、張力を付与しながら賦形した複雑な形状のプリフォームの場合には、賦形後のプリプレグの延長部分を所定の形状通りに切除するのに時間がかかる、及びプリフォームの寸法精度が低下する。
    本発明は、前記事情を鑑みてなされたものであり、形状及び寸法精度が良好なプリフォームを優れた効率で製造する方法を提供することを目的とする。 また、上記の方法で製造されたプリフォームを用いて強度、外観、及び量産時の繰り返し安定性に優れた繊維強化樹脂成形品を製造する方法を提供することを目的とする。

    本発明の第一態様に係るプリフォームの製造方法は、賦形面と前記賦形面の少なくとも一部を構成する分離可能部とを有するプリフォーム型と、シート状のプリプレグとを準備し、前記プリフォーム型を用いて前記プリプレグを賦形したのち、前記プリフォーム型から前記分離可能部とともにプリフォームを取り外す。
    前記プリフォーム型は、一対の型からなってもよい。
    前記一対の型のうち一方のみが前記分離可能部を有してもよい。
    前記一対の型のそれぞれが、その賦形面の少なくとも一部に分離可能部を有してもよい。
    前記分離可能部として、前記分離可能部を除く前記プリフォーム型の材質と異なる材質を用いてもよい。
    前記分離可能部の材質として、金属または樹脂組成物を用いてもよい。
    前記分離可能部の材質として、熱硬化性樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料を用いてもよい。
    前記分離可能部の厚みが0.5〜10.0mmであってもよい。
    本発明の第二態様に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法は、上記第一態様に係るプリフォームの製造方法によって前記分離可能部に固定された前記プリフォームを得て、前記分離可能部に固定された前記プリフォームを冷却した後で、前記分離可能部と前記プリフォームとを分離し、圧縮成形装置によって前記プリフォームを成形する。
    本発明の第三態様に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法は、上記第一態様に係るプリフォームの製造方法によって前記分離可能部に固定された前記プリフォームを得て、圧縮成形装置によって前記分離可能部と前記プリフォームとを一体成形する。
    本発明の第二態様と第三態様に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法は、前記分離可能部の外縁部に沿って、前記プリフォームを切断する工程をさらに有してもよい。

    上記本発明の第一態様に係るプリフォームの製造方法では、プリフォーム型からプリフォームを取り外す際に、分離可能部とともにプリフォームを取り出せるのでプリフォームの形状及び寸法精度を良好にでき、しかも、プリフォームを取り出す前にプリフォームを冷却する工程を省略することができる。 従って、プリフォームを効率良く製作できる。 さらに、上記本発明の態様に係る繊維強化樹脂成形品の製造方法では、上記第一態様に係るプリフォームの製造方法を用いて得られたプリフォームから強度、外観、及び量産時の繰り返し安定性に優れた繊維強化樹脂成形品を製造することができる。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明の一実施形態に係るプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    従来のプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    従来のプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    従来のプリフォーム製造方法の一工程を示す。

    本発明のプリフォームの製造方法における第一の実施形態例について説明する。
    本発明の第一の実施形態に係る、プリフォーム型を用いてシート状のプリプレグからプリフォームを製造する方法は、賦形面と賦形面の少なくとも一部を構成する分離可能部とを有するプリフォーム型を用いて、前記プリプレグを賦形したのち、前記分離可能部とともにプリフォームを取り外す工程を有する。

    (プリプレグの配置)
    図1に示すように、プリフォーム型の賦形面の少なくとも一部に分離可能部30を有するプリフォーム型の下型上に、プリプレグ40を配置する。 なお、図1では雌型10が分離可能部30を有するがこれに限定されず、雄型20が分離可能部30を有してもよく、また、雌型10及び雄型20の両方がそれぞれ分離可能部30を有してもよい。
    なお、雌型10に設けられた分離可能部30を用いると、賦形工程後に分離可能部30を雌型10から分離しやすいため好ましく、また、例えば賦形されたプリプレグ40の延長部分の切断工程において(後述)、延長部分を切断しやすく好ましい。
    (プリフォーム型)
    本実施形態に係るプリフォームの製造方法に用いることができるプリフォーム型は、その賦形面(プリプレグとの接触面)に分離可能部30を有さない部分では、プリフォームの所定形状に対応する形状を有している。 また、プリフォーム型は、分離可能部30を有する部分では、分離可能部30の外面が賦形後に得たいプリフォームの形状に対応する形状を有している。 つまり、本発明の実施形態に係るプリフォーム型は、プリフォーム型でプリフォームを挟んで圧力をかけたときにプリプレグ40が分離可能部30の外面を含むプリフォーム型の賦形面と接触することで所望の形状に賦形できれば良い。

    図1では、プリフォーム型として、一対の型が用いられ、上型に雌型10、下型に雄型20を用いているがこれに限定されず、雌型10と雄型20との配置が反対になっていてもよい。 また、雌型10と雄型20とのどちらか一方が固定型でもう一方が可動型であってもよいし、両方とも可動型であってもよい。

    本実施形態に係るプリフォームの製造方法に用いることができるプリフォーム型の材質は金属、ケミカルウッドなどプリプレグをプリフォームに賦形させることができれば特に制限はないが、材料が安価であること、及び加工が容易であることからケミカルウッドであることが好ましい。

    (プリフォーム型の分離可能部)
    本実施形態に係るプリフォームの製造方法に用いることができる分離可能部30は、賦形されたプリプレグ40の形状を乱すことなく、容易に型開きが可能であり、また、賦形されたプリプレグ40とともにプリフォーム型本体から容易に取り外すこと(脱型)が可能である。 分離可能部30の形状はプリプレグ40と接する表面が賦形後に得たいプリプレグ40の形状に対応していればよい。
    分離可能部30を有するプリフォーム型の賦形面の少なくとも一部は分離可能部30の賦形面である。 プリフォームの寸法精度を高く維持して、分離可能部30とともにプリフォームを取り外すためは、分離可能部30はプリフォームの外縁部分とプリフォームとの曲り部分に対応して配置されることが好ましい。 さらに、プリフォームの一方の面に配置される分離可能部30は互いに連続して一体であることが好ましい。 プリフォームの一方の面に対応する分離可能部30がプリフォームの該一方の面を全て覆うことがさらに好ましい。
    分離可能部30の外縁形状をプリフォームの外縁形状と一致させることは、賦形したプリプレグのはみ出し部分を分離可能部30の外縁部分に沿って切除して複雑な形状のプリフォームを精度良く得られるので好ましい。

    また前記プリフォーム型として、一対の型で構成されるプリフォーム型を用いる場合、プリフォーム型の分離可能部30は、型開きが容易にでき、プリプレグ40の形状を保持させる観点から一対の型の少なくともどちらか一方に具備されていればよい。 また、一対の型の両方が分離可能部30を具備していれば、一対の型で構成されるプリフォーム型からの脱型をより容易に行うことができる。

    プリフォーム型の分離可能部30の材質としては、プリプレグ40をプリフォームの形状に賦形する温度で変形しない金属、または、熱硬化性樹脂組成物もしくは熱可塑性樹脂組成物等の樹脂組成物が使用できる。 比強度・比剛性が高く、より大型のプリフォームの製造に対応できること、及び製造が容易であることから、分離可能部30の材質が熱硬化性樹脂組成物を用いた繊維強化複合材料であることがより好ましい。

    前記繊維強化複合材料からなる分離可能部を製造する方法としては、強化繊維が一方向に引き揃えられたUDプリプレグ(一方向プリプレグ)もしくは強化繊維が製織された織物プリプレグを所定の形状に賦形して硬化する方法、または強化繊維の各種織物、マット、もしくはノンクリンプファブリックなどを所定の形状に賦形した後に樹脂組成物を含浸して硬化させる方法などが挙げられるが、特に限定されない。 所望の形状に合わせて分離可能部の製造方法を適宜選択すればよい。

    前記繊維強化複合材料に用いることができる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、高強度ポリエステル繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、及びナイロン繊維などが挙げられるが、物性及びコストの観点から、ガラス繊維が好ましい。

    前記繊維強化複合材料に用いることができる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、及びベンゾオキサジン樹脂などが挙げられるが、物性及びコストの観点から不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。 熱硬化性樹脂中には、硬化剤、離型剤、脱泡剤、紫外線吸収剤、及び充填材などの各種添加剤などが含まれてもよい。

    プリフォーム型の分離可能部30の厚みとしては、0.5〜10.0mmであることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0mmである。 分離可能部の厚さが0.5mm未満であると、薄すぎてプリフォームの形状を保持することが困難となる可能性があり、10.0mmを超えると、特に大型形状を賦形するとき等、分離可能部30が重たくなり、取り扱いが困難となると考えられる。

    (プリプレグ)
    本実施形態に係るプリフォームの製造方法に用いることができるプリプレグ40の大きさは得ようとするプリフォームより大きければよく、分離可能部30よりも大きくても小さくても構わない。

    プリプレグ40の材質は、強化繊維が一方向に引き揃えられたUDプリプレグであってもよいし、強化繊維が製織された織物プリプレグであってもよい。

    プリプレグ40の形状は得ようとするプリフォームの形状に応じて適宜選択し、切り出し(パターンカット)すればよい。

    本実施形態に係るプリフォームの製造方法に用いることができるプリプレグ40に用いることができる強化繊維としては、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、高強度ポリエステル繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、窒化珪素繊維、及びナイロン繊維などが挙げられる。 これらの中でも比強度および比弾性に優れることから、炭素繊維が好ましい。

    本実施形態に係るプリフォームの製造方法に用いることができるプリプレグ40に用いることができる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、及びベンゾオキサジン樹脂などが挙げられる。 これらの中でも、硬化後の強度を高くできることから、エポキシ樹脂が好ましい。 さらに、必要に応じて硬化剤、離型剤、脱泡剤、紫外線吸収剤、及び充填材などの各種添加剤などが含まれてもよい。

    本実施形態に係るプリフォームの製造方法に用いることができるプリプレグ40は、一枚(一層)のプリプレグを複数枚積層したプリプレグ積層体を用いることもできる。 積層体に積層する枚数としては2〜30枚であることが好ましい。 プリプレグ40の積層枚数が2枚以上であれば、充分な強度の成形品を得ることができる。 また、30枚以下であれば、積層のコストを抑えることができる。 また、積層する際には、各プリプレグに含まれる強化繊維の向きをさまざまに組み合わせることもできる。 (以下、「プリプレグ積層体」のことも説明の便宜上、「プリプレグ」という。)

    (プリプレグの予熱)
    (加熱機)
    本実施形態に係るプリフォームの製造方法においては、図2に示すように、プリプレグを賦形する前にプリプレグ40を加熱機50で予熱してもよい。
    加熱機50は、賦形前にプリプレグ40を軟化させるために加熱する。 加熱方式としては、例えば、熱風方式、赤外線方式などが挙げられるが、加熱時間を短縮できる点から赤外線方式が好ましい。 この加熱機50は、プリプレグ40を加熱するときのみプリプレグ40の上部に位置し、それ以外のときはプリフォーム型の動作の妨げにならないように配置されている。
    加熱機50は、プリプレグ40を40〜80℃に予熱できることが好ましい。 プリプレグ40の温度を40℃以上にすれば、所定の形状に容易に成形でき、80℃以下にすれば、プリフォーム製造時にプリプレグが硬化することを防ぐことができるので好ましい。

    (賦形)
    下型(雄型20)の上に配置されたプリプレグ40を予熱した後、図3で示すように、下型と上型(雌型10)の間を閉じて、雄型20と雌型10との間にプリプレグ40を挟んで圧力をかけて、プリプレグ40をプリフォーム型の分離可能部30と接触するように賦形する。 プリプレグ40を賦形する際に掛ける圧力は0.01〜0.10MPaであることが好ましい。 圧力を0.01MPa以上にすれば、所定のプリフォームの形状に容易に成形でき、0.10MPa以下にすれば、プリフォームの製造装置を単純化することができる。 なお、上記予熱工程が必要ない場合は、適宜予熱工程を省略してもよい。

    (プリフォームの取り外し)
    プリプレグ40を賦形した後は、図4で示すように、下型と上型の間を開いて、図5で示すように賦形されたプリプレグ40を分離可能部30とともにプリフォーム型から取り外す。 このようにしてプリフォーム型から取り外した後で、分離可能部30に固定されたプリフォームを冷却することもできる。 このようにして分離可能部ごとプリフォームを取り出すことにより、プリフォームの形態が分離可能部により保持される。 従って、プリフォーム型から取り外す前にプリフォームを冷却する工程が不要となる。 さらに、分離可能部を多数用意しておくと、プリフォームを冷却している間に、次のプリフォームを製造できるため、製造工程にかかる時間を大幅に短縮できる。 さらに、得られたプリフォームは、所定の温度に調整された金型に配置されて圧縮成形され、繊維強化樹脂成形品が得られる。 圧縮成形に先立ちプリフォームの外縁部分を切除する必要がある場合には、分離可能部30の外縁形状を外縁部分が切除された後のプリフォームの形状とすることによって、分離可能部30の外縁に沿って切除することにより、効率的に精度良く切除することができる。
    本実施形態を用いると、プリフォームを分離可能部30から分離してから圧縮成形の金型に配置して圧縮成形することもでき、またプリフォームを分離可能部30に固定したままプリフォームを圧縮成形の金型に配置した後に分離可能部だけを取り去って圧縮成形することもできる。
    さらに、プリフォームを分離可能部30に固定したままプリフォームを圧縮成形の金型に配置し、分離可能部30とプリフォームとを一体成形することで繊維強化樹脂成形品を得ることもできる。

    本発明の第2の実施形態に係るプリフォームの製造方法は、プリプレグを賦形する方法として、賦形面の少なくとも一部に分離可能部を有するプリフォーム型に所定温度のプリプレグを配置した後、プリプレグをゴム膜で覆い、真空引きを用いて大気圧でゴム膜をプリプレグとプリフォーム型に押し付けて、ゴム膜とプリフォーム型の間に挟まれたプリプレグを賦形する方法を採用する。 具体的には、例えば、プリフォーム型に分離可能部30を有する雌型10を用いて、その上にプリプレグ40を配置し、必要に応じてプリプレグ40を加熱した後、図6に示すように、ゴム膜70でプリプレグ40を覆い、ゴム膜70と雌型10との間の空間を真空引きすることで、大気圧でゴム膜70が雌型10に押し付けられ、ゴム膜70と雌型10との間に配置されるプリプレグ40が賦形される。 賦形されたプリプレグ40は、賦形後の形状を乱すことなく、分離可能部30に固定された状態で容易に取り外すことができる。
    その他については第1の実施形態と同様のため省略する。

    また本発明の第3の実施形態に係るプリフォームの製造方法について説明する。 第1の実施形態例では、プリフォーム型がプリプレグを狭圧のみによって賦形する。 しかしながら深絞り形状などでシワの発生を抑制する必要があるときは、パターンカットしたプリプレグの外周の一部に延長部分を設けて、その延長部分にプリフォーム成形機に設置した張力付与装置により張力を付与しながら、プリフォーム型がプリプレグを挟んで圧力をかけることによりプリプレグを賦形して、シワの発生を回避することができる。 その後、前述の延長部分を切除して所望の形状のプリフォームを得ることができる。

    この第3の実施形態例においても、図7に示すように、プリフォーム型の少なくとも一方を賦形面の少なくとも一部に分離可能部30を有するプリフォーム型を用い下型の上に、部分的に延長部分が設けられたプリプレグ40を配置する。 このプリプレグ40の延長部分を、プリフォーム成形機に設置した張力付与装置60により把持した状態で、加熱機50で加熱して、張力付与装置60により緊張させた状態でプリフォーム型を閉じてプリプレグ40を挟んで圧力をかけることによりプリプレグ40を賦形する。 その後、張力付与装置60がプリプレグ40に与える張力を解除して、プリフォーム型を開いて、プリフォーム型から賦形されたプリプレグ40を分離可能部30に固定された状態で取り出す。 プリフォームと分離可能部30とが一体の状態であれば、図8に示すように、プリプレグ40の延長部分41を分離可能部30の外縁部に沿って切除できる。 従って、プリフォームが複雑な形状であっても寸法精度が高いプリフォームを得ることが可能である。
    その他については第1の実施形態と同様のため省略する。

    また、図9に示すように、プリフォーム型の賦形面が全て分離可能部30である場合には、どのようなタック及び柔らかさを有するプリプレグにおいても、プリプレグの冷却時間を待つことなく容易に型開きが可能である。 また分離可能部30に固定された状態でプリプレグ40を取り外すことが出来るため、賦形済みの形状を乱すことなく、プリフォーム成形装置から取り外すことも容易である。

    以上説明したいずれの実施形態に係るプリフォームの製造方法においても、得られたプリフォームは、金型で圧縮成形を行う直前まで、分離可能部30で形状を保持しながら冷却できる。 このように十分に冷却されたプリフォームは分離可能部30から容易に分離することができ、かつ、高い形状精度を保ったまま圧縮成形に用いることができる。 このように本発明のプリフォームの製造方法では、プリフォームの形状及び寸法精度を良好にでき、しかも製作効率に優れる。

    以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。 ただし、本発明は実施例に限定されない。
    (実施例1)
    市販のガラスマットに不飽和ポリエステル樹脂を含浸し、加熱加圧下にて硬化して、厚みが約1.5mmの分離可能部を作製した。
    他方で、市販のケミカルウッドを切削加工し、一対のプリフォーム型を作製した。 このとき雌型の賦形面に相当する面の形状は、最終的に得たいプリフォームの形状から分離可能部の厚み分だけ大きく切削し、分離可能部を設置した状態で所望の雌型となるように設定した。 その後、プリフォーム成形機に図1に示すように可動型として上型に分離可能部30が設けられた雌型10を配置し、固定型として下型に雄型20を配置した。
    次に、炭素繊維にエポキシ樹脂組成物を加熱含浸したプリプレグシートをプリフォームとするのに必要な形状に裁断し、このプリプレグシートを炭素繊維の配向が互いに直交する層が交互になるように10枚積層してプリプレグ積層体を得た(以下、「プリプレグ積層体」のことも説明の便宜上、「プリプレグ」という。)。 得られたプリプレグ40を雄型20の上に配置した。
    その後、図2に示すように、プリプレグ40と雌型10との間に赤外線ヒーター(加熱機50)を配置し、プリプレグ40を約60℃になるように加熱して軟化させた。 その後、加熱機50を退避させ、雌型10を下降させ、図3に示すように雄型20と雌型側の分離可能部30の間でプリプレグ40を狭圧した。 その後、図4に示すように雌型10を上昇させて、図5に示すように雄型20から賦形後のプリプレグ40(プリフォーム)を分離可能部30に固定された状態で取り外した。 このとき賦形後のプリプレグ40は分離可能部30と一体化しているため、形状を乱すことなく、容易に雄型20から取り外すことができた。

    得られた賦形後のプリプレグ40を圧縮成形装置で圧縮成形する直前まで分離可能部30といっしょに冷却して、その後分離可能部30と賦形後のプリプレグ40とを分離した。 分離は容易で、分離された賦形後のプリプレグは形状精度が良好なプリフォームであった。
    このプリフォームを所定の温度に調整した圧縮成形用の下型に配置し、これを上型で挟み、加熱加圧を行うことで、繊維強化樹脂成形品を得た。 得られた成形品は強度、外観に優れており、また、量産時の繰り返し安定性にも優れていた。

    (実施例2)
    図9及び図10に示すように、雌型10だけでなく、雄型20も分離可能部を有するプリフォーム型としたこと以外は、実施例1と同様の方法でプリフォームを製造した。 雄型20の賦形面に相当する面の形状は、最終的にプリプレグを賦形しようとする形状から、分離可能部の厚み分だけ小さくなるように切削した。
    実施例2では、プリフォームの製造おいて型開き、脱型とも容易に行うことができる。 分離可能部30から取り出されたプリプレグ40は、形状精度が良好なプリフォームであった。 また、このプリフォームを実施例1と同様の方法で圧縮成形したところ、得られた成形品は強度、外観に優れており、また、量産時の繰り返し安定性にも優れていた。

    (実施例3)
    図6に示すように、実施例1で使用した装置と同様の分離可能部30を具備する雌型10上にプリプレグ40を配置し、実施例1と同様の方法でプリプレグ40を加熱した。 その後、ゴム膜70と雌型10との間の空間を真空引きすることで、大気圧でゴム膜70をプリプレグ40を介して雌型10に押し付けながらプリプレグ40を賦形した。
    賦形後は、真空を開放してゴム膜を取り除き、分離可能部30ごとプリプレグ40を取り外した。 取り外しは容易に行うことが可能であった。 分離可能部30といっしょに冷却したのち、分離可能部30から分離したプリプレグ40は、形状精度が良好なプリフォームであった。 また、このプリフォームを実施例1と同様の方法で圧縮成形したところ、得られた成形品は強度、外観に優れており、また、量産時の繰り返し安定性にも優れていた。

    (実施例4)
    図7に示すように、実施例1で使用したプリプレグの外周の一部に延長部分を設けたプリプレグ40を使用したこと、その延長部分にプリフォーム成形機に設置した張力付与装置60により張力を付与しながらプリフォーム型でプリプレグ40を挟んで圧力をかけたこと以外は、実施例1と同様の方法でプリプレグ40を賦形した。 型開いて賦形したプリプレグ40を分離可能部30とともに取り外す作業は容易に行うことが可能であった。 プリプレグ40の延長部分41を分離可能部30に沿ってナイフカットすることで、良好な寸法精度で切除することができた。 また、分離可能部30といっしょに冷却したのち、分離可能部30から分離されたプリプレグ40は、形状精度が良好なプリフォームであった。 また、このプリフォームを実施例1と同様の方法で圧縮成形したところ、得られた成形品は強度、外観に優れており、また、量産時の繰り返し安定性にも優れていた。

    (比較例1)
    分離可能部を有しない一対のプリフォーム型を用いたこと、また図11に示すように、雄型20及び雌型10でプリプレグ40を挟むことで折り曲げた後に、プリフォーム型に空気を吹き付けてプリプレグ40を冷却したこと以外は、実施例1と同様の方法でプリフォームを製造した。 比較例1では、長い時間空気をプリプレグ40に吹き付けた後でないと、プリプレグがプリフォーム型に貼り付いて、型開きを行うことができなかった。 また脱型時にプリプレグ40の形状が乱れ、得られたプリフォームの形状精度が悪かった。 また、このプリフォームを実施例1と同様の方法で圧縮成形したところ、得られた成形品は強度、外観が優れず、また、量産時の繰り返し安定性にも欠けていた。

    (比較例2)
    図12に示すように、分離可能部を有さない雌型を使用したこと以外は、実施例3と同様の方法でプリフォームを製造した。 製造時において脱型時にプリプレグ40の形状が乱れてしまい、得られたプリフォームの形状精度が悪かった。 また、このプリフォームを実施例1と同様の方法で圧縮成形したところ、得られた成形品は強度、外観が優れず、また、量産時の繰り返し安定性にも欠けていた。

    (比較例3)
    図13に示すように、比較例1で使用したプリフォーム型を使用したこと以外は、実施例4と同様の方法でプリフォームを製造した。 長い時間プリプレグに空気を吹き付けた後でないと、プリプレグがプリフォーム型に貼り付いて型開きを行うことができなかった。 また賦形したプリプレグ40をプリフォーム型から取り外す時にプリプレグ40の形状が乱れ、形状精度が悪いプリフォームが得られた。 またこのプリフォームの余剰部分をナイフカットしたところ、ナイフの押し圧でプリフォームが変形し所望の形状通りに切除できず、プリフォームの寸法精度が悪かった。
    このプリフォームを実施例1と同様の方法で圧縮成形したところ、得られた成形品は強度、外観が優れず、また、量産時の繰り返し安定性にも欠けていた。

    10 雌型 20 雄型 30 分離可能部 40 プリプレグ 41 プリプレグの延長部分(余剰部分)
    50 加熱機 60 張力付与装置 70 ゴム膜

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