反すう動物のメタン生成を減少させるための飼料用組成物 |
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申请号 | JP2015506241 | 申请日 | 2013-04-18 | 公开(公告)号 | JP5970603B2 | 公开(公告)日 | 2016-08-17 |
申请人 | インテルキム、ソシエダッド アノニマ; | 发明人 | バルセルス テレス、ホアキン; クレスポ モンテロ、フランシスコ ハビエル; | ||||
摘要 | |||||||
权利要求 | 反すう動物におけるメタン生成を減少させるための方法であって、ネオヘスペリジン、イソナリンギン、ポンシリン、及びヘスペリジンからなる群から選択されるフラバノングリコシド又はこれらの混合物を含有する飼料用組成物を該反すう動物に経口的に投与するステップを含む、方法。前記飼料用組成物がネオヘスペリジン及びポンシリンを含む混合物である、請求項1に記載の方法。前記混合物がナリンギンをさらに含む、請求項2に記載の方法。前記混合物が天然の植物抽出物である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。前記植物抽出物がカンキツ類植物抽出物である、請求項4に記載の方法。前記組成物が担体をさらに含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。前記組成物が、25〜55重量%のナリンギンと、10〜20重量%のネオヘスペリジンと、1〜5重量%のポンシリンと、100重量%とするのに十分な量の担体とを含む混合物である、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。前記組成物が、40〜50重量%のナリンギンと、11〜15重量%のネオヘスペリジンと、3〜5重量%のポンシリンと、100重量%とするのに十分な量の担体とを含む、請求項7に記載の方法。前記担体がセピオライトである、請求項6から8までのいずれか一項に記載の方法。前記反すう動物が、子牛、ウシ、バッファロー、ヒツジ、シカ、ラクダ又はヤギである、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。前記反すう動物が子牛である、請求項10に記載の方法。前記組成物が、50〜1000mg/Kgの乾物濃度で、飼料に、固体形態で加えられる、請求項1から11までのいずれか一項に記載の方法。前記組成物が、200〜500mg/Kgの乾物濃度で、飼料に、固体形態で加えられる、請求項12に記載の方法。 |
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说明书全文 | 本発明は、反すう動物のメタン生成を減少させるための新規組成物に関する。 メタン、二酸化炭素及び亜酸化窒素は、温室効果を有する主な気体である。 メタン(CH4)は、その大気濃度が前世紀にわたり劇的に増加した温室効果ガスであり、二酸化炭素の次に、地球温暖化の最も大きな潜在的誘因となっている。対流圏のメタンレベルの増加は、地球規模の人口の増大と密接に相関している。その結果、メタン排出の約70%は、人間の活動に関連すると考えられている。世界中の人々の数が増大するにつれて、廃棄物の埋立て及び農作業により生じ大気中に放出される、メタンの量が増加することになる。 ウシ、バッファロー、ヒツジ、及びヤギを含めた反すう動物は、メタン生成発酵が生じる大きな前胃を有する。反すう胃消化管は、4つの胃の区画、第一胃、第二胃、第四胃及び第三胃で構成されている。これらの中で最も大きく及び最も重要なのが第一胃である。第一胃は発酵区画として作用する。これは、植物性物質を分解するメタン生成古細菌を含む、大きな微生物の集団を有している。当該微生物は一般的にメタン生成菌と呼ばれる。古細菌の集団は、嫌気性微生物の発酵生成物である水素及び二酸化炭素を使用して、増殖のためのエネルギーを産出し、最終生成物としてメタンを生成する。最後に、メタンはおくびを介して第一胃から排出される。 ウシ及びヒツジによるメタンの生成は、炭素損失経路を表し、これは生産性を減少させるものである。メタン合成を介して失ったエネルギーを他の生化学的経路を介して、一般的にはプロピオナート合成へと再び導くことができれば、第一胃発酵はより効率的となり、動物の体重増加又はミルク生産の改善に反映されるであろう。それは、大気へのメタン排出を減少させるのに効果的ツールを提供するだけでなく、生産者にとっても費用対効果が大きいであろう。実際、大気中のメタンの寿命は12年であるため(これに対して、二酸化炭素及び亜酸化窒素の寿命はそれぞれ100年及び120年である)、メタン排出を減少させれば、環境に対してずっと迅速な効果があるだろう。 反すう動物を用いた過去の研究では、メタンの生成は食餌によって影響を受けることが示されている。構造的/非構造的(セルロース系/デンプン質)炭水化物の比が増加することによって、メタン排出が増加する。さらに、食餌への脂質源の添加が腸内のメタン排出を減少させる。メタン減少と平行するが、高い脂肪補給の割合は、第一胃微生物の発酵、飼料の摂取及び繊維消化率を減少させる。いくつかの化学飼料添加物、例えば、抗生物質など(すなわちイオノフォア)又は寄生虫除去剤(defaunating agent)を反すう動物の栄養分に導入することによって、成長を促進させ、飼料利用を向上させ、メタン生成を低減する。しかし、畜産物中の化学残留物の存在及び抗生剤に対する菌耐性の発生に対する懸念のため、有機畜産業において有用となるような、より安全な天然の代替形態の探索が推し進められてきた。 エッセンシャルオイル、タンニン、サポニン、フラボノイド及び多くの他の植物の2次的代謝物を含有する植物又は植物抽出物が、第一胃微生物集団の特定の群をターゲットとして第一胃代謝を改善させることが示されている。Patraa A.K.及びSaxenab J(2010年)。「Phytochemistry」、71巻(11−12号):1198〜222頁は、植物の2次代謝物を使用して、第一胃でのメタン生成を阻害することについて記載している。文献WO2005000035は、新鮮なアルファルファから得た可溶性アルファルファ抽出物の投与からなる、第一胃内の発酵を増強させ、特に、メタン生成を減少させるための手順について言及している。 よって、天然由来の化合物を含み、メタンの生成を減少させるのに効果的であり、畜産業におけるその使用に対して安全でもある、代替の反すう動物飼料用組成物に対する必要性が存在する。 本発明者はこの度、天然の化合物を含む飼料用組成物を反すう動物に投与することによって、メタン排出が有意に減少することを見出した。 したがって、ある態様において、本発明は、反すう動物におけるメタン生成を減少させるための方法であって、ネオヘスペリジン、イソナリンギン、ポンシリン、及びヘスペリジンからなる群から選択されるフラバノングリコシド、又はこれらの混合物を含有する飼料用組成物を、反すう動物に経口的に投与するステップを含む方法に関する。 本発明の特定の実施形態では、当該組成物は、ネオヘスペリジン及びポンシリンを含む混合物である。より特定の実施形態では、当該混合物はナリンギンをさらに含む。好ましい実施形態では、当該混合物は天然の植物抽出物である。より好ましい実施形態では、植物はカンキツ類植物の抽出物である。 本発明の特定の実施形態では、当該組成物はさらに担体を含む。好ましい実施形態では、担体はセピオライトである。 特定の実施形態では、当該組成物は、25〜55重量%のナリンギンと、10〜20重量%のネオヘスペリジンと、1〜5重量%のポンシリンと、100重量%となるのに十分な量の担体とを含む混合物である。好ましい実施形態では、当該組成物は、40〜50重量%のナリンギンと、11〜15重量%のネオヘスペリジンと、3〜5重量%のポンシリンと、100重量%となるのに十分な量の担体とを含む。 本発明の特定の実施形態では、反すう動物は子牛、ウシ、バッファロー、ヒツジ、シカ又はヤギである。好ましい実施形態では、反すう動物は子牛である。 特定の実施形態では、本発明の組成物は、50〜1000mg/Kg DMの濃度で、飼料に、固体形態で加えられる。好ましい実施形態では、当該組成物は200〜500mg/Kg DMの濃度で加えられる。 図1は、バイオガス及びメタン生成プロファイルを示す。フラボノイドを補充していない食料(対照)又は異なるタイプのフラボノイドを補充した食料で得た「インビトロ」シミュレーション試験系において使用された平均用量である。
上記で説明したように、本発明者は、フラボノイド、特に、フラバノングリコシドを含む飼料用組成物を反すう動物に投与することによって、メタン排出が有意に減少することを見出した。 したがって、ある態様において、本発明は、反すう動物におけるメタン生成を減少させるための方法であって、ネオヘスペリジン、イソナリンギン、ポンシリン、及びヘスペリジンからなる群から選択されるフラバノングリコシド、又はこれらの混合物を含有する飼料用組成物を反すう動物に経口的に投与するステップを含む方法に関する。 本明細書で使用される「反すう動物」という用語は、亜目反芻類(Ruminantia)の任意の偶蹄目哺乳動物を指す。この哺乳動物は、食い戻しを咀嚼し、4つの区画の胃を有し、そのうちの1つが第一胃である。このグループには、中でも、シカ、アンテロープ、バッファロー、ウシ、ヒツジ、ラクダ、及びヤギが含まれる。 本明細書で使用される「フラボノイド」という用語は、花弁の中に黄色又は赤色/青色の色素沈着をもたらす水溶性植物顔料の1つのクラスを指す。「フラバノン」という用語は、フラボノイドの1つのタイプを指す。フラバノンは一般に、7位においてジサッカライドでグリコシル化されて、「フラバノングリコシド」となる。 後述する実施例に示すように、発明者らは、驚くことに、本発明による飼料用組成物を反すう動物に投与することによって、メタン排出が有意に減少することを見出した。 反すう動物によるメタン生成は、当技術分野で周知の方法を使用して測定することができる。例えば、六フッ化硫黄(SF6)トレーサー法は、呼気を持続的に採取するウシ頸部の周りの真空容器(evacuated canisters)を使用して、野外で個々のウシからのメタンを測定することを可能にする技法である。他の方法として、開放呼吸回路室が挙げられ、これは、それぞれ1頭のウシを飼育している、密封され、気候制御された部屋であり、動物により生成されるすべての気体の分析を可能にする。 放出されたメタンはまた、赤外線分光法、ガスクロマトグラフィー、質量分析、及び調整可能なレーザーダイオード技術、囲い込み技術(enclosure techniques)(例えば呼吸熱量測定法)、飼料特性の発酵バランスに基づく予測方程式、同位体トレーサー技術などにより測定することができる。 また、メタン生成は「インビトロ」で測定することができる。この場合、第一胃液を動物から収集し、嫌気性条件下でインキュベーション培地を用いてインキュベートすることができる。 本発明の特定の実施形態では、組成物はネオヘスペリジン及びポンシリンを含む混合物である。より特定の実施形態では、当該混合物はネオヘスペリジン、ポンシリン及びナリンギンを含む。本発明の別の特定の実施形態では、混合物は天然の植物抽出物の形態である。好ましい実施形態では、当該植物抽出物はカンキツ類植物抽出物であり、より好ましくはダイダイ植物抽出物であり、このような抽出物は、異なるフラボノイド(flavanoid)、特に、フラバノングリコシドを含有する。好ましい実施形態では、当該植物抽出物は、ネオヘスペリジン、ポンシリン及びナリンギンの混合物を含有する。後述の実施例で示すように、当該植物抽出物は、約20重量%のナリンギン及び40重量%のダイダイ抽出物(25〜27%のナリンギン;11〜13%のネオヘスペリジン及び3〜5%のポンシリン)を含む天然の植物抽出物である。ある特定のケースでは、このような天然の植物抽出物は市販されている(Bioflavex(登録商標))。 したがって、本発明によると、本発明の組成物のフラバノンは、植物、より具体的には、カンキツ類植物から得ることができる。 本発明による組成物中のすべての成分は、天然由来の生成物であり、容易に入手可能である。また、組成物が混合物の形態である場合、当該混合物は取り扱いが容易であり、当業者に公知の工業的配合手順に従い調製することができる。 本明細書で使用される「カンキツ類」という用語は、ミカン属(genus Citrus)の植物を指す。カンキツ類植物の例としては、ブンタン(Citrus maxima)(Pomelo)、丸仏手柑(Citrus medica)(Citron)、マンダリン(Citrus reticulate)(Mandarin orange)、ダイダイ(Citrus aurantium)(Bitter orange)、タヒチライム(Citrus latifolia)(Persian lime)、レモン(Citrus limon)(Lemon)、グレープフルーツ(Citrus paradisi)(Grapefruit)、オレンジ(Citrus sinensis)(Sweet Orange)、カラタチ(Citrus trifoliata)(Trifoliate Orange)などが挙げられる。 植物からのフラボノイド(flavanoid)の単離のための方法は現在の技術水準において周知である。ある特定のケースでは、ダイダイ抽出物は、例えば、抽出、濾過、濃縮、沈殿、清澄化及び最終乾燥などの当業者に周知の通常の方法により粉砕したカンキツ果実(特にダイダイ(Citrus aurantium))から得ることができる。抽出プロセスは、アルカノール/水二成分系で実施することができ、アルカノールは、メタノール、エタノール、プロパノールなどから選択される。好ましくはメタノールが使用される。非限定的な実例では、50gの乾燥ダイダイを300mlのメタノールで抽出する。懸濁液を遠心分離することによって、残渣を分離し、母液を最終体積50mlになるまで真空濃縮する。生成した液体は、5日間室温で静置し、濾過して不溶性物質を分離し、濃縮し、珪藻土床を介して再び濾過し、スプレー乾燥する。 特定の実施形態では、前記フラバノンは、カンキツ類植物の果実から得ることができる。例えば、ナリンギンは、一部のカンキツ類果実、例えば、グレープフルーツ(Citrus paradisi)及びダイダイ(Citrus aurantium)などの皮から得たグリコシル化フラバノンである。ナリンギンはまた、果実のパルプ並びに植物の葉、花及び種子の中にも発見されている。本発明によるフラボノイドの単離方法の例示的な実例としては、例えば、文献US2421063A及びUS2421062Aにおいて記載されている方法が挙げられ、これらの文献中には、植物性材料からナリンギンを回収する方法が記載されている。また、ヘスペリジンは、文献US2442110A、US2348215A及びUS2400693Aに記載されている方法に従い得ることができる。同様に、ネオヘスペリジンは、文献US3375242Aに記載されている方法に従い得ることができる。US3375242Aは、ネオヘスペリジンを生成するための方法を記載しており、ナリンギンをイソバニリンと反応させてネオヘスペリジンカルコンを生成する。次いでこのカルコンを環化することによって、ネオヘスペリジンを生成する。 さらに、本発明の組成物のフラバノン(flavonones)は市販されており、容易に得ることができる。例えば、本発明に従う実施例に示すように、イソナリンギン、ネオエリオシトリン(neoeritrocin)及びポンシリンは、INDOFINE Chemical Company、Inc(USA)から購入する。また、上述の通り、本発明による前記天然の植物抽出物は市販されている(Bioflavex(登録商標))。 本発明の特定の実施形態では、組成物は、25〜55重量%のナリンギン、10〜20重量%のネオヘスペリジン、1〜5重量%のポンシリン及び100重量%となるまでに十分な量の担体を含む混合物である。より特定の実施形態では、組成物は、40〜50重量%のナリンギン、11〜15重量%のネオヘスペリジン、3〜5重量%のポンシリン及び100重量%となるまでに十分な量の担体を含む。 本発明の別の好ましい実施形態によると、組成物は担体を含む。特定の実施形態では、担体はセピオライトである。セピオライトは堆積物由来の自然に発生する粘土鉱物である。セピオライトは、大きな比表面積を有する非膨潤性で、軽量の多孔質粘土である。化学的には、セピオライトは、その個々の粒子が針状形態を有する、水和したケイ酸マグネシウムである。この粘土の高い表面積及び多孔度が、液体に対するその優れた吸収能力の原因となっている。これらの特性により、セピオライトは、例えば、ペット用トイレ砂、動物飼料添加剤、担体、吸収剤、懸濁化添加剤、チキソトロピック添加剤及び増粘剤などの広範囲な用途に貴重な材料となっている。 本発明の方法によれば、天然由来のフラボノイドを含む本発明による組成物を動物に与えると、反すう動物におけるメタン排出/生成が減少する。飼料効率は、農業において経済性と関連する。反すう動物におけるメタン生成を阻害する化合物は、より望ましい脂肪酸プロファイルを生成すること、アセタートの代わりにプロピオナートの比率を増加させること、よって第一胃エネルギー発酵がより効率的になる方向へと第一胃発酵をシフトさせる結果になることが知られている(米国特許第3,745,221号;第3,615,649号;及び第3,862,333号を参照されたい)。したがって、本発明のさらなる目的は、反すう動物におけるメタン生成を阻害して、飼料の利用効率を増加させる第一胃微生物発酵に対する有利な効果を生じる方法を提供することである。以下の実施例に示すように、本発明による組成物は、生成されるメタンのレベルを低減させ、揮発性脂肪酸の生成の傾向を、プロピオン酸の生成の方へとシフトさせた。 揮発性脂肪酸を検出する方法は当技術分野で周知である。通常、クロマトグラフィー法、例えば、HPLC又は炎イオン化検出を有するガスクロマトグラフィーなどが使用される。 餌を与える方式は、特に何れの方式にも限定されず、本発明の飼料用組成物は、配合飼料の上にトップドレッシングして与えてもよいし、本発明の飼料用組成物を配合飼料と混合した後で給与してもよい。また、栄養バランスに悪影響を及ぼさずに、メタン生成が効率的に減少される限り、給与量は制限されない。 よって本発明の好ましい実施形態では、組成物は、飼料に固体形態で加える。特定の実施形態では、組成物は、50〜1000mg/Kg DM(乾物換算)の濃度で加える。より特定の実施形態では、組成物は、200〜500mg/Kg DMの濃度で、固体形態で飼料に加える。 本発明による組成物は、他の飼料成分、例えば、ビタミン、酵素、鉱物塩、製粉した穀物、タンパク質含有成分、炭水化物含有成分、粗小麦粉(wheat middlings)及び/又はふすまなどを含有することができる。 本発明による飼料用組成物の形状は、特に何れかの形状に限定されず、例えば、粉末及びペレットなどの従来の飼料用組成物における任意の形態であってよい。また、飼料用組成物は、配合飼料及び飼料補助添加物を生成するために一般に利用される方法に従い生成することができる。 本発明の特定の実施形態では、前記反すう動物は、子牛、ウシ、バッファロー、ヒツジ、シカ、ラクダ又はヤギである。好ましい実施形態では、前記反すう動物は子牛である。 本発明は以下の実施例を参照してより詳細に記載されるが、これらの実施例は、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。 材料及び方法 同一の実験プロトコルに従う2つの試験を、Theodorou M Kら、(1994)「Animal Feed Science and Technology」、48巻(3号)、185〜197頁;Mauricio、R.M.ら、(1999)、「Animal Feed Science and Technology」 79巻、321〜330頁により記載されている実験プロトコルに基づき、「インビトロ」の模擬試験系を使用して、異なる純粋なフラボノイドの第一胃発酵に対する効果を検討するために設計した。 半自動の圧力計により気体生成を検出し、圧力レベルと生成された気体体積との間の関係を事前に計算した。 主に濃縮物(90:10)で構成される混合飼料を与えた、第一胃をカニューレ処置した子牛を第一胃液ドナーとして使用した;飼料組成は表1に示す。種菌を収集し、2層の手術用ガーゼで濾過し、魔法瓶の中に保持した。基質として、フラボノイド(表2)及び600mgの濃縮物(表1)並びに60mgの大麦わらを予熱したボトル(39℃)内に3重に投与し、嫌気性条件下で維持した。フラボノイドであるイソナリンギン、ネオエリオシトリン(neoeritrocin)、ポンシリンは、INDOFINE Chemical Company、Inc(USA)から購入した。10mlの第一胃液及び40mlの培養培地をボトルに加えた(McDougall、EI(1948年)、Studies on ruminant saliva.1.The composition and output of sheep’s saliva、「Biochem J.」、43巻(1号)99〜109頁)。ボトルを満たし、嫌気性条件を適用したら、ボトルを密封し、インキュベーションプロセスを温水槽内で開始した。圧力を2、4、6、8、12、24、36及び48時間の時点で記録した。各試料を2つのセット又はバッチで3重でインキュベートした。
12時間のインキュベーション後、各処理からの1本のボトル(繰り返し試験)を開封し、pHを記録し、ボトルを揮発性脂肪酸(Jouany,J.P.、1982年、Science des Aliments 2巻、131〜144頁)、ラクタート(Taylor,K.A.C.C.、1996年、Appl.Biochem.Biotechnol.Enzym.Eng.Biotechnol.56巻、49〜58頁)及びアンモニア(Chaney,A.L.、Marbach,E.P.、1962年.Clin.Chem.8巻、130〜132頁)分析のためにサンプリングした。 Yu及びMorrison(2004年)により提案された技法を使用して環境DNAを抽出した。特定プライマーを使用してqPCRにより、ストレプトコッカス・ボビス(Streptococcus bovis)、メガスフェラ・エルスデニ(Megasphaera elsdenii)及びセレノモナス・ルミナンチウム(Selenomonas ruminantium)のDNAを定量した(Tajima,K.ら、2001年、Appl.Environ.Microb.67巻、2766〜2774頁;Ouwerkerk,D.ら、2002年、J.Appl.Microbiol.92巻、753〜758頁)。SAS統計的パッケージのPROC MIXED手順を使用して、結果を統計的に分析した(SAS、2000年、User’s guide:Statistics、第8版、inst.、Inc.、Cary、NC)。最小有意差を使用して平均値を比較した。平均値の間の差がP<0.05であるものが、有意であると受け入れた。 結果: 1.気体の生成: 図1は、第一胃液の「インビトロ」の培養物を異なるタイプ及び用量のフラボノイドで補充した場合の気体及びメタン生成の動態を示している。プロファイルは、両方の用量に対する平均値を表している。各処理に対する平均値、用量及びサンプリング時間を、結果の統計的分析と一緒に表3に示す。 気体生成レベルがインキュベーション時間と共に急激に増加した。フラボノイドの添加がバイオガス生成を有意に変化させた(P<0.05)。ただし、この変化は、異なるフラボノイド物質の間で均一に生じたわけではない。ネオエリオシトリンは、対照と比較して気体生成レベルを増加させ(266.7vs.253.72 P>0.05)、ナリンギンは変化させなかったが(P>0.05)、その一方でポリフェノールの残りは平均生成レベルを減少させた(P<0.05)。最も低い値は、ネオヘスペリジン及びBioflavex(登録商標)混合物である(それぞれ230.7及び233.3)。イソナリンギン、ポンシリン及びヘスペリジン(それぞれ236.6、238及び239.6)もまた気体生成を減少させた。含有レベル(200及び500mg/kg)は、気体生成に対して有意な効果(P<0.001)があったが、この効果は、フラボノイドのタイプにより異なった。より顕著な用量効果はネオヘスペリジンで達成された。 メタン生成に理論的に関与している特定の古細菌集団の発酵作用に対するフラボノイド物質の効果を分析した。図1(b)は、メタン生成評価値を示し、表4は平均値及び統計分析を示す。 平均メタン収量は生成された全バイオガスより少なかった。対照では、メタン収量はガス総生産量の約15%であった。実験的処理は平均メタン生産量及び累積的メタン生産量を改変したが、これらの変化は処理により異なった:ネオエリオシトリンは対照と比較して、メタン生成レベルを増加させた(P<0.05)。メタン生成活性は、培地へヘスペリジン又はナリンギンを含有させることにより改変されなかった(P<0.01)。しかし、ネオヘスペリジン、イソナリンギン、ポンシリン及びBioflavex混合物はメタン生成を低減させた(P<0.05)。ネオヘスペリジンは最も顕著な低減を示し、これもまたヘスペリジンとは異なるものであった(P<0.05)。一般に、用量を増加させることによってメタン生成がより多く減少したネオヘスペリジンのケースを除いて、用量「それ自体」は有意な差を示さなかった。 実験は、メタン減少に対するフラボノイドの効果が、微生物の活性及びバイオガス生成の全般的減少から生じたものか、或いはこれに反してフラボノイドが特異的にメタン生成(古細菌)集団に影響を及ぼしたのかの判定を可能にするために設計された。この目的を達成するために、総ガス生産量におけるメタン寄与率の統計分析が表5に示されている。培地中のフラボノイドの存在が、バイオガス総生産量におけるメタン寄与率を減少させた(P<0.05)、ただし、やはり、上述の影響は物質によって不均一であった。 ネオエリオシトリンを含有させると(表5)、メタンの比率が有意に増加したが、Bioflavex及びネオヘスペリジンの存在は明らかにこれを低減させた(ネオヘスペリジン、Bioflavex及び対照、それぞれ13.70、13.66及び14.58)。ポリフェノールの残りはメタン生成活性を数値的に低減させたが、報告された差は統計学的に有意ではなかった。ネオエリオシトリン及びBioflavex混合物の用量(500、200mg/kg DM)は、メタン生成を抑制する傾向にあったが、FL−物質の残りはいずれの効果も示さなかった。これは、FL−物質の用量×タイプの有意な相互作用を反映している(P<0.05)。 第2の試験において、負レファレンス(フラボノイドなし、対照)及び2種の正レファレンス(ネオヘスペリジン及びBioflavexのフラボノイド源)に対して、セピオライト(充填剤として)及びCBC(カンキツ類ビオフラボノイド複合体)を試験した。賦形剤(セピオライト)の効果はガス及びメタン生産量の点からは何もなかった(表6及び7)。その一方でCBCはガス生産量を適度に減少させが、メタン生産量に対する変化は検出されなかった。
2.第一胃内の発酵の特徴付け 2.1 VFA及びアンモニアの濃度。 (各タイプ及び用量で)フラボノイドを含有する、又は含有しない「インビトロ」の培地中での平均揮発性脂肪酸(VFA)及びアンモニア(N−NH3)濃度を表8に示す。両方(VFA及びN−NH3)の平均(μ)濃度について、インキュベーション時間全体を通して、各フラボノイドタイプ及び用量に対するこれらの発生を追跡したものがそれぞれ最初の欄に示されている。数値的には、Bioflavexがより高いVFA平均値及び蓄積された濃度を示した;しかしこの差は統計的有意性には到達しなかった(P>0.05)。アンモニアレベルは閾値レベルを超えて、適切な微生物発酵を確実にした(50mg/L)。明らかに、ネオエリオシトリン(227.84mg/L)及びBioflavex混合物(209.92mg/L)はそれぞれ最も高い平均値及び最も低い平均値を示した。 初期のVFA濃度[t=0において一定値を記録]は増加した。この増加は0〜12時間の間が、12〜72時間の間に記録された値よりも大きく、これはインキュベーション時間中の段階的な基質発酵を反映している[すなわち、平均VFA濃度(mmol/L)の増加は、第1の(0〜12時間)期間中には2.1mmol/時間であったのに対して、この期間の後、これらの増加は平均0.2mmol/時間に減少した]。鉱物混合物の緩衝作用により、VFA濃度の増加は、培地の酸性度の増加を反映しなかった。平均pH値は、0、12、及び72時間において、それぞれ6.81、6.77±0.0034及び6.73±0.0033であった。培地安定性は、平均値の狭い標準誤差により証明済みである。 2.2 VFAのモル比率 炭水化物源(デンプンで主に構成;すなわち濃縮物)の培地への補充は、VFAプロファイルに有意な変化を引き起こし、これによって、プロピオナート(20.03、28.20及び26.45)及びブチラート(0、12及び72時間でそれぞれ、9.07、9.88及び10.45)の比率が増加し、その一方でアセタートの比率の低減(モル/100モル;62.5、55.86及び55.86)が観察された。しかし、増加は異なるフラボノイドタイプの間で均一ではなかった。培地内のプロピオン酸の比率は、対照と比較して、ナリンギン、イソナリンギン、ポンシリン、Bioflavex混合物及びネオヘスペリジンにより向上したが、残りは向上しなかった。ネオヘスペリジン、ナリンギン及びBioflavexにおいて、インキュベーション時間に対する応答が用量によっても有意に改変された(D×H:P<0.009)ことに注目されたい。一般に、メタン生産量(表5)とプロピオナートの比率の間に負の相関関係が観察され(表9)、ネオエリオシトリンを含有させるとメタン比率が増加したのに対して、ネオヘスペリジン及びBioflavexの場合では反対の結果になり、これは明らかにメタン排出を抑制し(ネオヘスペリジン、Bioflavex及び対照、それぞれ13.70、13.66、14.58)、プロピオナートの比率を向上させた(ネオヘスペリジン、Bioflavex、及び対照、並びにネオエリオシトリン(neoeritrocin)のプロピオナートの比率、それぞれ25.7、25.8及び24.4(P<0.1)並びに23.7(P<0.05))。
3.1.ラクタート濃度及び微生物プロファイル。 反すう胃内のラクタート濃度と、アシドーシス機能障害との間の関係を実験的に実証した。12時間インキュベートしたボトルから得た、ラクタート濃度及びラクタート産生(S.ボビス)又は消費(S.ルミナンチウム及びM.エルスデニ)細菌力価の値が表10に示されている。 異なるフラボノイドの補充の、乳酸濃度に対する効果は穏やかであり、ネオヘスペリジン、ヘスペリジン及びBioflavexの存在だけが、インキュベーション期間に記録された増加を穏やかにする傾向にあった([c]t=0:22.16mg/l)。上述した発酵条件(表8及び9)の変化が、微生物のDNA濃度における増加をもたらしたが、対照、ネオエリオシトリン、ポンシリン及びヘスペリジンについて力価を比較した場合、増加が統計的有意性に実際到達したのはネオヘスペリジンのケースだけであった。この実験的処理は、S.ボビス及びS.ルミナンチウムの力価を変化させなかった。しかし、以前の実験から得た結果によると、記録された対照の値と比較して、ネオヘスペリジン及びBioflavex混合物の両方が記録されたM.エルスデニの力価を向上させた。
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